1: 2010/04/18(日) 14:52:32.92 ID:YpWWTiYlO
長門「涼宮ハルヒの憂鬱の二週目がプレイ可能になりました」

キョン「はあ?」

長門「それでは頑張って」

キョン「長門さん?」

長門「出来れば私の攻略を」
涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
6: 2010/04/18(日) 15:06:04.14 ID:YpWWTiYlO
サンタクロースをいつまで信じていたかなんて些細な事だ。
サンタクロースで無くとも宇宙人や超能力者がいたらいい、などとガキの頃は考えていたこともある。
だが、俺も今日から高校生だ。そんなガキみたいな事をいつまでも考えていられるハズもないわけで。


これから毎日通る事になるだろう坂道を上り、新たな学舎、北高へと着いた俺はこれからの学生生活にまあ多少の期待を膨らませていた。


……なんだ? なんだか誰かに見られているような気がする。

8: 2010/04/18(日) 15:13:10.43 ID:YpWWTiYlO
入学式も終わり、教室で最低でもこれから一年間は共に学ぶであろうクラスメイトに対し自己紹介も終えた俺は荷物をまとめ帰ろうとしていた。

国木田「あれ? キョンもう帰るの?」

キョン「ああ。別に部活の見学なんかもする気もないしな」

こいつは国木田。同じ中学だった友人だ。
少なくとも知り合いがいるってのはありがたいな。

国木田「ふぅん。僕はとりあえず谷口と一緒に帰ってみるよ」

キョン「そうか。じゃあまた明日」

国木田「じゃあね」


……さて、それじゃ今朝視線を感じた辺りに行ってみるとしようか。

10: 2010/04/18(日) 15:19:20.67 ID:YpWWTiYlO
キョン「えっと……朝俺が通ったのがこのあたりだろ? となると、多分あのあたりの教室から見られてたのか」

確かあの校舎は部室棟だったか?
文科系の部室があるとか言っていたが、なぜそんな所から視線を感じたんだ?
文科系なら朝練とかもないだろうに。

キョン「ま、せめて何の部活かくらいは確かめてみてもいいか」

俺は部室棟へ足を進める。
……なんだか校庭が騒がしい気がするな。

11: 2010/04/18(日) 15:26:23.67 ID:YpWWTiYlO
いくつもの部活の勧誘を断り、やっと目的の教室に着いた。
なんだか隣の部活の先輩方にガン見されてるが……。
勧誘はしたいが、かと言って積極的に声をかけられない、って感じだな。

キョン「えっと……多分ここだな」

そこは文芸部と書いてあった。
文芸部は他の部活とは違い、新入生の勧誘を行っていないようだった。
なぜなら、部室の前に誰もいないどころかポスターすら無かったからだ。

……廃部とかじゃないよな?

12: 2010/04/18(日) 15:33:51.87 ID:YpWWTiYlO
部室の前で突っ立っていると、突然部室のドアが開いた。

長門「…………」

なんだろうか、この人は。
じっとこちらを見つめてくる。
この感じは……朝感じた視線と同じような気がする。

長門「入って」

キョン「はい?」

文芸部員(仮称)さんは一言だけ呟くと、ドアを開けたまま部室の中に戻っていった。
どこかに行くんじゃなかったのか?
まさか俺が部室の前に立ってたのが分かったとでも言うのか?

14: 2010/04/18(日) 15:42:05.39 ID:YpWWTiYlO
キョン「失礼します」

部室の中には、先程の文芸部員(仮称)さん一人しかいなかった。
窓際に座り、本を読んでいる姿はとても自然で、まるで一枚の絵のようだった。

キョン「あー、えっと……」

長門「…………」

キョン「あー……」

ぐ、どうしたらいいんだ、これ。
部室に入っちまった俺も俺だが、入れたこの人もこの人だろう。
なんで無言で本読んでるんですか?

長門「長門有希」

キョン「はい?」

文芸部員改め長門さんとやらは、簡潔な自己紹介をしたと思ったらまた本を読み始めた。
本当に何がしたいのこの人。

17: 2010/04/18(日) 15:49:10.95 ID:YpWWTiYlO
キョン「あの、長門さん?」

長門「……」

長門さんは本を読むのを止めてこちらを見つめてくる。
いや、せめて何か一言くらい発声してくれてもいいんじゃないでしょうか。

キョン「どうして俺がドアの前に立ってるって分かったんですか?」

長門「……それ」

長門さんはドアを指差す。
……なるほど、ドアには曇りガラスが嵌っていて誰かが前にいるかくらいは分かりそうではある。
しかし、だからと言ってドアを開けて中に迎え入れると言うのも……。

長門「……あなたは部活の見学に来たのではないの?」

キョン「え? あ、ああ、はい。そうです」

20: 2010/04/18(日) 15:57:46.04 ID:YpWWTiYlO
おいおい、何言ってんの俺。
ごまかすにしろ何にしろ、もっとまともな言い訳が……無いな。
むしろこの状況で見学じゃ無かったら何なんだ。
ただ気になる事があるから聞きに来ましたとでも正直に言うのか?

キョン「それで、文芸部ってどんな活動してるんですか?」

長門「……本を読んでいる」

ですよねー。
知ってました、僕。
だって長門さんがさっきからずっと本読んでるんですもの。

キョン「はあ」

さて、どうしようか。
このままここに居てもなあ。

22: 2010/04/18(日) 16:05:04.60 ID:YpWWTiYlO
このまま無言で突っ立っていても仕方ない。
どうせ元から部活の見学をしたかったわけでもない。
さっさと聞いてみるとしよう。

キョン「あの、長門さん」

長門「…………」

長門さんは無言でこちらを見つめてくる。
やはりこう何度も本を読むのを邪魔されては、軽く不機嫌にもなるか。

すいません、長門さん。

キョン「一つ質問があるんですけど、いいですか?」

長門「…………何」

キョン「今朝の事なんですけど」

その時、何か大きな歓声が校庭の方から響いてきた。
長門さんがそちらを見たので俺も思わず窓際に行ったのだが、そこには訳の分からない光景が広がっていた。

23: 2010/04/18(日) 16:10:27.20 ID:YpWWTiYlO
なんだ、ありゃ。
一人の女子の周りに大勢の人間が群がっている。
しかも、群がってる方は全員ユニフォームがバラバラだ。
つまり、何だ? たった一人の女子をほとんどの部活が勧誘してるってのか?
しかもよく見たら、勧誘されている女子はあいつじゃないか。

涼宮ハルヒ。

自己紹介で訳の分からない事を言った変人。
たしか、

「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら私の所に来なさい、以上!」

だったか。

24: 2010/04/18(日) 16:18:57.81 ID:YpWWTiYlO
あん時はえらい電波な奴がいるもんだとは思ったが……。
あれだけの運動部に勧誘されるとか、スポーツが得意なんてレベルじゃねえぞ。

長門「…………」

唖然としていると、ぱたん、と本を閉じる音が聞こえた。
ふと見ると長門さんがもう帰る準備をしている所だった。

……いつの間に。

キョン「あの、長門さん」

長門「今日の活動は終わり。私は部室に鍵をかけなければいけない」

それはつまり、もう帰れってことか。
結局、今朝の事については何も聞けなかったな。

荷物を持ち、帰ろうとすると、長門さんに呼び止められた。

長門「…………これ」

渡された物は一枚の紙。

長門「……よかったら」

キョン「はあ」

入部届かあ……どうするかなあ。

26: 2010/04/18(日) 16:28:10.64 ID:YpWWTiYlO
入学して一カ月が過ぎた。
俺の席の後ろにいる涼宮ハルヒの奇行はとどまることを知らず、この一カ月で涼宮ハルヒの事を知らない人間は少なくとも同学年にはいない程になっていた。

だが、涼宮ハルヒはすぐ後ろの席であり、しかも面もそこそこ良い。
多少なりとも下心を持って話しかけた俺を誰が責められようか。

キョン「なあ、自己紹介の時のアレ、どこまで本気なんだ?」

ハルヒ「アレって?」

キョン「宇宙人とか」

ハルヒ「あんた宇宙人?」

キョン「いや、違うけどさ」

ハルヒ「じゃあ話しかけてこないで」

気付くとクラス中の視線が俺に集まっていた。
ちくしょう。

28: 2010/04/18(日) 16:34:44.07 ID:YpWWTiYlO
谷口「キョン、涼宮狙いはやめた方がいいぜ」

キョン「なんだ谷口、そのにやけ面は」

谷口「あいつは面はいいけどあんな感じだからなあ。それよりも俺のオススメはあいつだ」

谷口「朝倉涼子」

谷口が指差した先には、クラスの委員長などという面倒臭い仕事を引き受けている女子がいた。
まあ、確かに朝倉も可愛いが……ってそんな話ではなく。

キョン「あのな、谷口。誰が涼宮狙いだと」

国木田「キョンは昔から変な女が好きだったからねえ」

キョン「国木田てめえ」

国木田「そんな事よりさ、キョン」

キョン「なんだよ」

国木田「文芸部はどんな感じなんだい?」

29: 2010/04/18(日) 16:43:21.62 ID:YpWWTiYlO
そう。俺は文芸部に入部していたのだ。

元々部活なんぞ入るつもりも無かったのだが、窓際で本を読む長門が忘れられず文芸部に入部することにしたのだ。
まあ、入部した後で知ったのだが文芸部は部員不足であり、長門が入部した時は廃部寸前であったらしい。
それは俺が入部した今でも変わらない事だが。

国木田「長門さんだっけ? 入学式当日に廃部寸前の部活に入るってのも物好きだよね」

谷口「何? 長門ってあの長門有希か?」

キョン「お前の言う長門有希がどいつかは知らん」

国木田「確か五組だっけ?」

谷口「やっぱりあのAAマイナーの長門有希か!」

キョン「谷口……お前女子にランク付けてるのかよ」

31: 2010/04/18(日) 16:49:33.54 ID:YpWWTiYlO
谷口「あたぼーよ! もう同学年の女子の顔は全部覚えたぜ!」

その労力を他にも回せばいいのに。
俺も国木田もなんでこいつの友達やってんだろうな。

キョン「まあいい。俺はもう部活に行くぞ」

谷口「長門有希と二人きりとか最高じゃねーか! くー、羨ましいぜ!」

国木田「なら谷口も文芸部に入ればいいじゃない」

キョン「国木田、それはこっちからお断りだ」

谷口「ちぇ、じゃあなキョン」

国木田「また明日」

キョン「おう」

さて、それじゃ部室に行くとしますか。




朝倉「…………」

33: 2010/04/18(日) 17:02:27.08 ID:YpWWTiYlO
部室に着くとそこにはいつもと違う光景が広がっていた。

具体的に言うなら人が多いのだ。
たった一人だが、それでもまわりに異様な存在感を与えるそいつは。

ハルヒ「ねえ、何よここ。 本当に本を読んでるだけな訳!?」

キョン「……涼宮……ハルヒ……」

ハルヒ「あら、ようやく他の部員さんのご到着? ……ってあんた何してんの?」

キョン「何してんのとはいきなりだな。部員が部室に来て何が悪い」

ハルヒ「は? あんたが文芸部員? 似合わないわね」

キョン「はいはい、悪うございましたね。で?」

ハルヒ「何よ!?」

キョン「何の用だって聞いてんだよ」

ハルヒ「見学よ見学! この文芸部で最後なの!」

キョン「なんだお前、あの噂本当だったのかよ」

ハルヒ「噂って何よ!」

お前は感嘆符が無けりゃあ話せないのか。

38: 2010/04/18(日) 17:17:38.61 ID:YpWWTiYlO
キョン「全部の部活に仮入部してすぐに辞めてるだのなんだのだよ」

ハルヒ「ああ、それね。本当よ」

マジかよ。
確かに以前、この窓から見た光景はそんな感じだったが……まだんな事続けてたのか。

キョン「なんでそんな事してんだ?」

ハルヒ「だって普通の部活しかないんだもの」

ハルヒ「この私を満足させるような部活が無いか虱潰しに捜してくのは当たり前じゃない」

当たり前じゃねえよ。
なんなんだ、コイツ。
教室にいた時はまともに話さなかったが、こんな奴だったのか。
早いとこ部室から出て行ってもらおう。

キョン「なるほどな。で、早速で悪いんだがここはお前を満足させられるような部活じゃない」

キョン「お前にゃ悪いが、さっさと帰った方が」

長門「待って」

キョン「長門?」

長門「見学なら断る理由は無い」

キョン「長門……」

39: 2010/04/18(日) 17:28:24.17 ID:YpWWTiYlO
ハルヒ「長門さんもこう言ってる事だし、あんた達の活動しっかりと見学させてもらうわよ!」

キョン「あー、はいはい」

もう好きにしてくれ、まったく。
そんなに気合いを入れられても見せられるもんなんぞ無いがな。

机の上に荷物を置き、本棚から本を取り出す。
確か昨日はどこまで読んだっけな。
長門はいつものように窓際で本を読んでいる。
俺のいつもの席は涼宮が座ってるからな……まあ適当に座るか。

ハルヒ「ちょっと!」

キョン「はい? 何だ?」

ハルヒ「本当に本しか読まないつもりなの?」

コイツは何を言っているんだ。
文芸部なら本を読むのは当たり前だろう。
それとも何だ、コイツは文芸部に何を求めているんだ。

41: 2010/04/18(日) 17:37:06.51 ID:YpWWTiYlO
長門もこちらを見つめている。
まあ長門が涼宮に何か言うくらいなら、同じクラスの俺の方がいいだろう。
と言うか、長門に涼宮の相手が務まる気がしないからな。

キョン「ああ、そうだが」

ハルヒ「そんな訳ないでしょ! 大体本を読むだけなら部活でなくともいいじゃない!」

キョン「他にはあれだ、機関誌とか出したりするらしいが今はまだやらん」

ハルヒ「そういうことじゃなくて!」

なんだコイツ。
本当に何が言いたいのかさっぱりわからん。

ハルヒ「外宇宙の邪神について書かれた魔導書を保管してるとか、他校の文芸部と本の力を使って戦争するとかないの!?」

オーケー。理解した。
コイツはダメだ。
現実と空想の違いがついてない。
早いとこなんとかしないと。

45: 2010/04/18(日) 17:45:17.45 ID:YpWWTiYlO
キョン「あるわけないだろう、馬鹿馬鹿しい」

ハルヒ「そうよね、大抵そういうのって秘密にするものよね。いいわ、分かってるから」

何を分かってるっていうんだ。何も分かってないだろうが。
本格的にヤバいやつじゃないか。
流石にもう部室から出て行ってもらった方がいいんじゃないか?

キョン「なあ、涼宮」

ハルヒ「何?」

キョン「もういいだろ? 少なくともうちはお前が満足するような魔導書も、他校との戦争とやらもない。ごく普通の文芸部なんだ」

ハルヒ「もういいわ、あんたと話しても仕方ない」

ハルヒ「ねえ長門さん」

キョン「おい」

ハルヒ「長門さんったら!」

長門「…………」

ハルヒ「人が呼んでんだから返事くらいしなさいよ!」

キョン「いい加減にしろ涼宮!!」

47: 2010/04/18(日) 17:52:19.01 ID:YpWWTiYlO



ハルヒ「何よ」

涼宮ハルヒは俯いていて、表情を伺う事が出来ない。
だが、それがなんだと言うんだ。あいつがどんな表情をしていようが関係ない。
さっさとここから出て行ってもらうだけだ。

ハルヒ「いいわよもう。こんな部活、こっちから願い下げよ」

ハルヒ「帰るわよ。帰ればいいんでしょ」

ハルヒ「悪かったわね、二人っきりの邪魔しちゃって」

そう言って涼宮ハルヒは荷物を持ち、ドアへ近づく。
やれやれ、ようやくか。

は? おい、長門。お前それは。

長門「待って」

ハルヒ「何?」

長門「よかったら」

ハルヒ「~~~~!!」

涼宮ハルヒは猛ダッシュで部室から出て行った。
長門、ここで入部届渡すとか何がしたいんだ、お前は。

48: 2010/04/18(日) 18:09:40.43 ID:YpWWTiYlO
長門は入部届を持ったまま立っている。
本気であの流れで涼宮を入部させたかったのか、お前は。

キョン「なあ、長門」

長門「………………何」

キョン「長門は涼宮に入部して欲しかったのか?」

長門「……そう。彼女が入部してくれれば、部員も三名になる」

キョン「でもあいつはあんな訳わかんない奴だったんだぞ? それでもいいってのか?」

長門「………………」

長門は無言で首を傾げる。
やれやれ、まったく。
そうだな。我が文芸部部長様はそういうお方でしたね。
無口で、本が好きで、どことなく浮き世離れしていて。
だけど、しっかりと自分の主張をしてる、そんな奴なんだ。
問題はその主張が控えめ過ぎるって事だが……まあ、俺が見逃さなきゃいいだけだしな。

キョン「長門、明日俺が涼宮ともう一度話てみるよ」

長門「…………」

キョン「文芸部に入ってくれってな」

この時の長門の表情は、どこか嬉しそうに見えた。

49: 2010/04/18(日) 18:19:22.83 ID:YpWWTiYlO
キョン「なあ、涼宮」

ハルヒ「何よキョン」

キョン「俺達は文芸部員だろうが。それがなんで週末に学校の外で集まって部活なんだよ」

ハルヒ「いいじゃない。だってうちは機関誌も書くんでしょ? ネタ探しよネタ探し」

今日は涼宮ハルヒが文芸部に入って最初の週末だ。
朝いきなり電話がかかってきたと思ったら、駅前に集合、とか言う呼び出しをくらったわけだ。

キョン「いいのか、長門」

長門「…………」

長門は無言で頷く。
ま、部長様がいいって言うなら仕方ねえか。



涼宮ハルヒが文芸部室で暴れた次の日、俺が教室についたら涼宮のほうから謝ってきた。
長門に悪いことをしてしまった、謝って欲しい、と。
そこで俺の方も涼宮に謝り、長門の伝言を伝えた所、見事涼宮が文芸部に入部してくれたと言うわけだ。

50: 2010/04/18(日) 18:27:23.02 ID:YpWWTiYlO
最初の内は涼宮も遠慮していたらしく、静かにしていたのだが、俺が知らないうちに長門と仲良くなったようである。
今では涼宮と長門は休み時間でも一緒にいるような仲になったようだ。

それからは涼宮の行動力がいい方に働き、静かな文芸部が活動的になってきたのだが。

みくる「すいませぇん、遅れましたぁ」

ハルヒ「いいのよ、みくるちゃん! まだ五分前だもの!」

この可愛らしい人は朝比奈みくるさん。
涼宮ハルヒによって拉致られてきたお方である。
心優しいこのお方は文芸部が廃部寸前ということを聞いて、文芸部に入部して下さったのだ。

ハルヒ「何ボケッとしてんのよキョン! さっさと喫茶店に行くわよ!」

はいはい。

55: 2010/04/18(日) 18:37:49.27 ID:YpWWTiYlO
涼宮が言うには、街をぶらついて何かネタになりそうなものを探すらしい。
ただ遊ぶのと何が違うんだろうな。

ハルヒ「さ、くじ引きよ!」

結果。
俺と長門、涼宮と朝比奈さんの班となった。
ほんの少し朝比奈さんと同じ班で無くて残念だったのは秘密だ。

ハルヒ「デートじゃないんだからね! 真面目にやりなさいよ!」

キョン「はいはい」

ハルヒ「有希も何かされたら電話してくるのよ!」

キョン「誰がするか!」

ハルヒ「さ、行きましょみくるちゃん」

みくる「はぁい」

ふう、まったくあいつは。
これじゃ誰が部長だか分からんな。

キョン「俺達も行くか、長門」

長門「…………」

長門が無言で頷く。
さて、どこに行くとしようか。

58: 2010/04/18(日) 18:55:27.33 ID:YpWWTiYlO
熟睡していた俺は、携帯が着信を伝えるために全力で震えてくれたおかげで覚醒することが出来た。
着信の先は涼宮ハルヒ、時間を見ると……もう夕方ってどういうこった!?

キョン「もしもし」

ハルヒ「何やってんのよ馬鹿キョン!!! 十二時集合って伝えたでしょうが!」

キョン「いやあ、いつの間にか意識が無くなってて、気付いたのがいまなんだ」

ハルヒ「寝てたんなら素直にそう言えバカ! それで有希は?」

涼宮に言われ、長門を探すが……。
長門は俺の隣で黙々と本を読んでいた。

キョン「長門なら隣にいるぞ」

ハルヒ「もう……ならなんで電話繋がらなかったのかしら。まあいいわ、早いとこ朝の喫茶店に来なさい! あんたの奢りだからね!」

キョン「あ、おい涼宮……切りやがった」

長門「…………」

気付いたら長門がこっちを見ていた。
そりゃそうか。図書館じゃ静かにしないとな。

キョン「涼宮がおかんむりだ。帰るか、長門」

61: 2010/04/18(日) 19:19:10.01 ID:YpWWTiYlO
長門に図書カードをつくってやり、涼宮達と合流したのが元々の集合時間の四時間後。
流石に悪いと思うし、反省もしているのだが。

キョン「あの、頼みすぎではありませんか、涼宮さん」

ハルヒ「何? 文句あんの?」

キョン「そりゃあ……」

ハルヒ「みくるちゃん」

みくる「あ、はいぃ。あのーキョン君」

キョン「はい、なんでしょうか朝比奈さん」

みくる「みくる、立ちっぱなしで足が痛くなっちゃったなぁ」

ハルヒ「て事よ」

キョン「申し訳ありませんでした。お好きなだけ注文なさってください」

ハルヒ「よろしい。あ、店員さーん、これ追加で」

64: 2010/04/18(日) 19:26:26.47 ID:YpWWTiYlO
ハルヒ「あー美味しかった。満足満足!」

キョン「そりゃあようござんしたね」

ちくしょう……財布の中の偉人たちが全員家出しちまった……。
こいつどんだけ食ってんだよ、まったく。

ハルヒ「じゃあまた学校で!」

みくる「それじゃあまた」

キョン「じゃあ俺も帰るわ、長門」

自転車に跨り、家路につこうとしたところ、いつだかのように長門から引き止められた。

長門「待って」

キョン「長門?」

長門「今から私の家にきてほしい」

67: 2010/04/18(日) 19:42:26.98 ID:YpWWTiYlO
長門「どうぞ」

キョン「あ、ありがとう」

長門が出してくれたお茶を飲む。
あ、このお茶結構うまいな。

しかし、俺はどうしてここにいるんだろうか。
長門も何も話してくれないし……。

キョン「なあ、長門」

長門「おかわり?」

キョン「あ、はい……じゃなくて」

長門「………………」

キョン「一体どうしたんだ? 何か相談でもあるのか?」

長門「………………」

キョン「長門?」

長門「落ち着いて聞いて欲しい」

それから長門にされた話は、とても信じられるようなものではなかった。
涼宮が情報爆発の中心?
そして長門が宇宙人?
一体全体、何がどうなってるんだ。

68: 2010/04/18(日) 19:58:01.78 ID:YpWWTiYlO
長門「………………」

長門が無言で見つめてくる。
…………これは、長門なりのジョークなのかもしれない。
でも、長門が本人がいない所で他人を巻き込むような冗談をいう奴でないことは知っているし、なによりこんな真剣な目をしているんだ。
たとえ、他の誰もが信じなくても俺は信じてやらないと。

キョン「分かった、長門。信じるよ」

長門「…………ありがとう」

キョン「それじゃ、また学校でな」

長門「…………また」

……長門から別れの挨拶なんて初めて聞いたな。
なんだかいいことがありそうだ。



ちなみに、この後朝比奈さんからは未来人って話を聞いた。
正直信じられなかった。

70: 2010/04/18(日) 20:07:31.20 ID:YpWWTiYlO
ある日の放課後。
いつものように適当に本を読んで部活をしていると、涼宮が勢いよく部室に入ってきた。

ハルヒ「遅れてごめーん!!」

キョン「そう思うならもう少し静かにドアを開けたらいいんじゃないか?」

ハルヒ「何よキョン、細かいわねえ。そんなことより」

おい、なにがそんな事だ。
ドアが壊れたらお前が修理するんだろうな?

ハルヒ「新入部員連れてきたわよ!」

みくる「ふぇ?」

長門「………………」

キョン「新入部員?」

ハルヒ「そうよ! さ、入ってきて!」

古泉「どうも、古泉一樹と申します」

ハルヒが連れて来たのは転入生の古泉君だった。
まあ、なんだ。あんまり特徴が無いやつだな。
強いて言うなら顔がいいくらいだが。
朝比奈さんがぽーっとしてるのも気のせいだ。
ああ忌々しい。

71: 2010/04/18(日) 20:14:39.02 ID:YpWWTiYlO
朝。強制ハイキングコースを登りきり、上履きと履き替えようとすると、上履きの上に見慣れない物が置いてあった。
白い封筒、ハートマークのシール。
まさかこれは……。

谷口「よう、キョン。どうした? 果たし状でも入ってたか?」

キョン「ああ、そんな所だ」

谷口「マジかよ。まあお前も恨まれても仕方ないしな」

何故だ。
俺ほど品行方正に生きている人間なぞいないだろうに。

谷口「文芸部なんてハーレム作り上げやがって。朝比奈さんでいいからくれよ」

キョン「いやだね」

しかももうハーレムではないのだ。
あのにやけ面が入部しやがったからな。
ああ忌々しい。

72: 2010/04/18(日) 20:19:54.54 ID:YpWWTiYlO
谷口と別れ、封筒を開ける。
中に入っていた便箋には、

『放課後、誰もいなくなった教室で』

とだけ書いてあった。
差出人もなし。
……これは、期待してもいいのでしょうか。

ハルヒ「何にやにやしてんのよキョン」

キョン「おお、おはよう涼宮さん」

ハルヒ「うえ、何あんたキモ」

キモいとは失礼な奴だな。
まったく。




ちなみにこの日の昼休み、古泉から超能力者だと聞いた。
信じなかったらなんかベクトル操作されかけた。

75: 2010/04/18(日) 20:32:36.44 ID:YpWWTiYlO
てなわけで放課後。
部活も終わり、教室に来たわけなのだが、何故か誰もいない。

…………騙されたか?

ちくしょうちくしょう、こんな事するのは谷口か古泉のアホくらいだろう。
きっと古泉だ。超能力者だって信じなかったらからって、陰険なことしやがって。

……………………帰るか。

朝倉「あら? 帰っちゃうの?」

キョン「朝倉……」

おい、なんだこれ。
ついさっきまで本当に誰もいなかったのに。
ドアすら開いた音がしなかったぞ。

こいつはどこから教室に入って来たんだ?



朝倉「ふふ、そんなに警戒しなくてもいいじゃない」

76: 2010/04/18(日) 20:41:17.35 ID:YpWWTiYlO
朝倉が笑顔で話しかけてくる。
だが、違う。
確かに笑顔だが、こいつは笑っていない。

朝倉「ま、いいわ。人間、よくやらないで後悔するよりもやって後悔したほうがいいっていうよね?」

キョン「は?」

朝倉「それ、どう思う?」

キョン「さあな、んなもん人それぞれだろうが」

朝倉「ふぅん……じゃあキョン君ならどうなの?」

俺? 俺なら……。

キョン「どっちでもないな。自分が決めた事に後悔なんかしてらんないだろう」

朝倉「きゃあ、かーっこいい」

キョン「ちゃかすな。それよりも、そんな事を聞きたくて俺を呼び出したのか?」

朝倉「まさか。上の人達がね、このままじゃジリ貧なのに指をくわえて見てろって言うのよ」

朝倉「でも私はそんなの嫌。だから少しでも何か行動してみよう、って思ったの」

77: 2010/04/18(日) 20:48:15.89 ID:YpWWTiYlO
何だ、こいつは。
一体何を言っているんだ。

朝倉「まあ、行動を起こすだけなら別にあなたでなくともよかったんだけどね」

朝倉「でも……最近、長門さんったらあなたの話しかしないのよ」

キョン「はい?」

朝倉「今日はあなたがどんな本を読んでいただの、週末はあなたに会うのにどんな格好したらいいかだの」

朝倉「私がどんな気持ちでそれを聞いていたと思う?」

えーっと、つまり朝倉は。

朝倉「私から長門さんを奪ったあなたを許さない……。だから、あなたを頃してついでに涼宮ハルヒの出方を見る」

そういう事ですか、ちくしょう!
だからってそのデカいナイフは無いだろう! 見るからに痛そうじゃないか!

キョン「意味がわからないし笑えない。いいからそのナイフをしまってくれ」

朝倉「うん、それ無理。だって私は本当にあなたに氏んで欲しいんだもの」

81: 2010/04/18(日) 20:57:03.27 ID:YpWWTiYlO
朝倉「ねえ、氏ぬのって嫌? 氏ぬのって怖い?」

朝倉「私には有機生命体の氏の概念がよくわからないの」

朝倉は猛スピードでナイフを振るってくる。
まだ避けられてはいるが、この調子ではやられるのも時間の問題だな。

朝倉「まあ、でも私から長門さんを奪ったあなたを楽に氏なせはしないわ。安心して、ね?」

キョン「安心出来るかー!!」

朝倉「ああもう、煩いなあ。えい」

な、なんだ、朝倉の奴何をしやがった。
身体が動かん。
しかも周りの景色もおかしくなりやがった。
……まさか、こいつ。

朝倉「そ。私も長門さんと同じ対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェイス。あなた如きが私から逃げられる訳なんて無いのよ」

くそ、これが絶対絶命ってやつかよ。
こんな奴の訳わからん逆恨みで氏ぬってのか、俺は。

82: 2010/04/18(日) 21:08:10.15 ID:YpWWTiYlO
朝倉「ふふ、最初からこうしておけばよかった。ねえ、どんな気持ち?」

朝倉がゆっくりと近付いてくる。
さっきの笑顔とは違って、今度は本当に嬉しそうな笑顔だ。
それも俺を仕留められるから、か。ちくしょう。

朝倉「何観念してるの? 言ったじゃない楽には氏なせないって」

朝倉「そうね、まずは爪を剥ごうかしら。一枚一枚、時間をかけてゆっくりと」

朝倉「その後は爪の無くなった指をゆっくりと押し潰して……ふふ、なんだか楽しくなってきちゃった」

俺は全然楽しくねえよ。
そんないい笑顔でそんな話しやがって。
これから俺が朝倉にされることを思うと絶望しかない。
一体俺はこんなに恨まれる程の何をしたって言うんだ。

朝倉「さ、じゃあ左手からいこうかしら」

キョン「~~~~~~!」

朝倉の手が俺に触れる瞬間、教室に轟音が鳴り響いた。
天井が崩れて来たらしい。
それによって巻き起こった砂煙が晴れたとき、そこに立っていたのは我らが文芸部部長、長門有希だった。

84: 2010/04/18(日) 21:18:30.10 ID:YpWWTiYlO
朝倉「あ……あ……」

長門「天井部分の情報封鎖が甘い」

長門がこちらを振り向く。
ああ、なんだよお前。
そんなに埃だらけになっちまって。

長門「だから私に気付かれる」

朝倉がナイフを取り落とす。
うわ、危ないな。脚に当たる所だったぞ、おい。

長門「侵入を許す」

朝倉「う、あ……」

朝倉はもはや完全に戦意を喪失しているようだ。
それも当たり前か。
俺だってこの場から逃げ出したい。
だってそうだろう? あの長門が、体中から怒りのオーラを滲ませて近付いてくるんだぜ?

長門「朝倉涼子」

朝倉「は……い……」

長門「あなたは私のバックアップのはず」

朝倉の肩にぽん、と長門の手が置かれる。
それだけで朝倉は腰を抜かしてしまったようだ。

86: 2010/04/18(日) 21:26:16.13 ID:YpWWTiYlO
キョン「おっと」

何時の間にか金縛りも解けていたらしい。
身体も自由に動かせそうだ。
そのはず、なんだが。

長門「独断専行は許されていない」

朝倉「ひいぃ」

長門の迫力にビビっちまったらしい。
足が竦んで動きゃしねえ。
まあ、朝倉に比べりゃましな方だ。
朝倉なんか、さっきまで笑顔だった表情が恐怖に固まり、涙が溢れている。
足元の水たまりは決して涙だけでも無いのだろう。
しかし、朝倉を笑うことなんてできやしない。
俺だって必氏にこらえなければ漏らしそうなのだから。
直接プレッシャーを受けていない俺でさえこうなのだ。直接の対象である朝倉は恐怖で気を失っていないだけマシなのだろう。

いや。
むしろ気を失った方がマシだったかもしれないが。

87: 2010/04/18(日) 21:31:09.87 ID:YpWWTiYlO
朝倉「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

長門「朝倉涼子」

朝倉「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいもう許して下さい」

長門が手を振り上げる。
まさか。

朝倉「ひっ」

キョン「長門、やめ」

制止も間に合わず、長門の手が朝倉に振り下ろされる。
そう。長門の人差し指が。




…………人差し指?

長門「めっ」

長門は朝倉の額を人差し指でつついただけらしい。
だが、朝倉は……。

朝倉「きゅう……」

90: 2010/04/18(日) 21:48:17.36 ID:YpWWTiYlO
キョン「まったくこいつは」

長門「…………」

キョン「ありがとうな、長門。助かったよ」

長門「…………私という個体はあなたから感謝の言葉をもらう資格はない」

キョン「長門?」

長門「私の監督不行き届きで、朝倉涼子の暴走を止められなかった」

そういう長門はいつもの無表情だったが、どこか泣き出しそうで。
そんな長門を見たくなくて、必氏に話題を変えてみた。

キョン「そういえば長門。メガネどうしたんだ?」

長門「教室に侵入する際、落下の衝撃で紛失した」

てことは今頃瓦礫の下か。
まあ、それでもいいか。

91: 2010/04/18(日) 21:52:45.66 ID:YpWWTiYlO
キョン「メガネ、ない方がいいと思うぞ」

長門「…………?」

キョン「そっちの方が可愛い」

って俺は何を口走ってるんだ、おい!
長門だっていきなりこんなおかしな事言われたら困るに決まってるだろうに!

長門「そう。それでは教室の再構成を開始する」

あ、全く気にしてませんか。
ですよねー。

んでこの後、谷口がWAWAWA言いながら入ってきたり、次の日朝倉と谷口が転校してたり。
それに対してハルヒが機関誌のネタになるかもしれないとか言って調査しだしたり。本当にいろいろあったのだ。

96: 2010/04/18(日) 22:04:00.05 ID:YpWWTiYlO
なんか古泉に灰色の空間に連れて行かれ、巨大な化け物を見た。
古泉が言うには、涼宮が不機嫌になると出てくるらしい。
で、古泉の能力はそれを倒す事なんだと。
ベクトル操作はインチキ手品だったらしい。俺は古泉をぶん殴った。
それから数日後。

ハルヒ「そういえば有希」

長門「何」

ハルヒ「あなたメガネどうしたの?」

長門「無い方が可愛いと言われた」

な、そんな正直に言っちゃいますか、長門さん!
みくる「うわぁ、いいなあ」

ハルヒ「あら、誰に言われたの? まあ想像つくけど」

長門「………………」

感じる……。長門からのただならぬ視線を……。
長門だけじゃない。涼宮からもだ。
こいつはなんでこうこんな事だけ鋭いんだ。
いや、朝比奈さん。顔赤くしてちらちらこっち見ないで下さい。
古泉、お前は顔が近い。にやけ面を止めろ。しかもさりげなくこっちを睨むな。

古泉「んっふ、これは失礼」

100: 2010/04/18(日) 22:16:44.90 ID:YpWWTiYlO
ハルヒ「あー、いいなー。羨ましー」

みくる「ですねぇ」

ハルヒ「みくるちゃんや古泉君は知らないだろうけど、この部活私が入るまで有希とキョン二人っきりだったのよ」

みくる「えー、じゃあまさかもうその時から二人は? きゃー」

古泉「軽く殺意が沸きますね」

おいおい、勝手に盛り上がるんじゃない、そこ。
あと古泉。耳元で物騒な事を呟くな。

古泉「んっふ。失礼」

キョン「なんだよ、まだ殴った事恨んでるのか」

古泉「いえ、そんな。これはまた別なんですよ。そう。とても個人的な」

そう言った古泉は涼宮の方に振り向いた。
なんなんだこいつ一体。

101: 2010/04/18(日) 22:18:56.58 ID:YpWWTiYlO
みくる「ねえねえ、長門さん。どっちから告白したんですか?」

ハルヒ「やあねえみくるちゃん。そりゃもちろん」

みくる「あー、やっぱり?」

長門「…………していない」

みくる「ふえ?」

ハルヒ「有希?」

長門「私は告白をしてもいないし、されてもいない」

みくる「長門さん?」

ハルヒ「は? そうなの?」

長門「そう」

あの、女性陣の皆さん。そんな眼でこちらを見ないでくれませんか?
あと古泉。お前はその生暖かい笑顔をやめろ。

古泉「んっふ、これは失礼」

103: 2010/04/18(日) 22:25:37.26 ID:YpWWTiYlO
ハルヒ「まったく、しょうがないヘタレね、こいつ」

みくる「本当ですねえ」

古泉「ま、元気出して下さい」

キョン「ええい、てめえら好き勝手言ってんじゃねえ! あと古泉、お前もっかい殴らせろ」

古泉「断固断る」

ハルヒ「ほら、みくるちゃん古泉君、こんなヘタレ置いといて私達はさっさと帰りましょ」

みくる「そうですねぇ」

古泉「それでは、また明日」

キョン「帰れ帰れ!!」

まったくあいつらは……。
好き勝手言うだけ言って帰りやがった。
人の気も知らないで……。

104: 2010/04/18(日) 22:30:25.89 ID:YpWWTiYlO
長門「…………」

馬鹿どもが居なくなった部室には、俺と長門が残された。
あいつらがおかしな事言うから緊張してきただろうが、まったく。

長門「…………あなたは」

キョン「ん?」

長門「あなたは、先程のように騒がれて迷惑だった?」

キョン「長門?」

長門「もしそうなら、私はあなたに謝罪しなくてはいけない」

キョン「そんなこたぁないぞ」

長門「でも……ただでさえ表情の乏しい私が、しかも私は人間ですら」

キョン「長門、ストップ」

長門「………………」

106: 2010/04/18(日) 22:36:25.45 ID:YpWWTiYlO
キョン「前に朝倉に言ったんだ、俺」

キョン「あいつがさ、やらなくて後悔するくらいならやって後悔したほうがいいって言うとか」

キョン「それに対して俺はどう思うとかさ」

キョン「俺はこう言ったんだよ。自分の決めた事に後悔なんかするかってな」

キョン「だから、これは俺が決めた事なんだ」

キョン「長門」

長門「…………」

キョン「俺と付き合ってくれないか」



直後のレスの書き込み時間の最後の数字が

奇数なら→グッドエンド
偶数なら→バッドエンド

115: 2010/04/18(日) 22:44:42.77 ID:YpWWTiYlO
長門「…………」

キョン「ダメか?」

長門「私は、人間ではなくて」

キョン「関係ない」

長門「無口で、表情も乏しく作られて」

キョン「そんな事はない」

長門「私は……」

キョン「俺は長門が好きだ。初めてこの部室でお前に会った時から」

長門「私には、今までエラーが発生していた」

長門「でも、あなたの言葉を聞いて、このエラーが何であるのか分かった気がする」

長門「これが、感情……これが、人を愛するということ?」

長門「私は……」

118: 2010/04/18(日) 22:53:41.38 ID:YpWWTiYlO
ハルヒ「まったく、あいつらにも困ったもんね」

みくる「見ててバレバレですのにねぇ」

古泉「ですよねー」

ハルヒ「ま、これで少しはお互い素直になるでしょ」

みくる「でも……涼宮さんはいいんですか?」

ハルヒ「みくるちゃん?」

みくる「いいんですよ、無理しなくても」

119: 2010/04/18(日) 22:55:35.66 ID:YpWWTiYlO
ハルヒ「ふふ、流石みくるちゃんね。でもいいの」

ハルヒ「あの二人は私の友達なんだから! だから私が精一杯応援してあげないと!」

ハルヒ「ね!」

みくる「涼宮さん……」

古泉「そうですね。彼らは"僕達の"友人ですものね」

ハルヒ「さ、それじゃ今日はどこ行く?」

みくる「ケーキバイキングとかどうですか? 古泉君のおごりで」

古泉「え、ちょ朝比奈さん!!?」

ハルヒ「いいわね、それ! じゃ行くわよ!」
みくる「はい!」

古泉「ちょ、待って下さいって!」

古泉「ふう、まったく困ったものです」

ハルヒ「古泉くーん! 何やってんの!」

古泉「今行きますよ、涼宮さん」


終わり

124: 2010/04/18(日) 23:02:11.67 ID:YpWWTiYlO
みくる(大)「まさかの出番なし……」

みくる(大)「しかも序盤で長門さんがキョン君を見ていた理由も無しとか……」

みくる(大)「まああれですよ。笹の葉ラプソディっぽい話がこの後にあって、今長門さんのお宅にはキョン君と私(小)がいると」

みくる(大)「だから長門さんはキョン君が気になっていた、と」

みくる(大)「それでいいじゃないですか」

みくる(大)「ちなみにバッドエンドなら問答無用で私(小)がぶち込まれてました」

みくる(大)「それじゃあ今度は私ルート攻略でお会いしましょう」

朝倉「何言ってるの! 次は私よ!」

古泉「んっふ、僕ルートですか? 困ったものです」

みくる(大)朝倉「「んなアホな!」」




終われ

127: 2010/04/18(日) 23:06:28.42 ID:YpWWTiYlO
疲れた

久々でした
以前やったレスの書き込み時間の最後の奴が使いたくて書いたけど、使いどころなくて参った参った

他のルートは気が向いたら書きます

まあそんなことより夢喰いメリーの4巻絶賛発売中ですよ


朝倉涼子は俺の嫁
それじゃ

128: 2010/04/18(日) 23:09:22.89 ID:uCnCXoDa0

引用: 長門「業務連絡」キョン「何を言ってるんだ長門?」