5: 2010/04/18(日) 16:15:00.83 ID:hqGdAFQNO
森「そ、上からの命令でね。決定事項よ」

古泉「その、解任というのは…どういった意味で…」

森「言葉の通りよ。あなたが置かれている現在の任を解くことになったわ」

古泉「すみません、仰ることの意味が…僕にはわかりかねるんですが…

   つまり、僕は、世に言うところの………“クビ”ということですか?」

森「バカね、古泉。何もそこまで言ってないわよ」クスッ

古泉「はぁ…?」

新川「解任とは言っても部分的なものですよ。
   古泉、君が現在抱える任務を部分的に解除、その総量を減らすことが決定しましてね。
   クビなどではなく…むしろどちらかと言えば昇格に近い」

森「これまでの成果と現状を踏まえての、上の判断よ。喜びなさい」

古泉「は、はぁ…」
涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
6: 2010/04/18(日) 16:16:57.64 ID:hqGdAFQNO
古泉「で、その“部分的な解除”というのは、具体的にはどのような…」

森「非待機配置時における緊急戦闘要員からの除外、緊急や特例事態以外での定期報告の頻度引き下げ…
  それに、涼宮ハルヒに対する干渉レベルの引き下げ、ね」

新川「以前と比べて、涼宮ハルヒの精神状態は比べものにならないほど安定しています。
   閉鎖空間の発生頻度も、その平均的規模も、それに応じて低下、縮小…
   戦闘要員の損耗も、今では珍しいくらいになっています。
   それに応じての処置と考えればいいでしょう」

森「氏人はおろか、怪我人が珍しくなるなんて…発足当時は考えられなかったけど。
  上も、今の安定した状態に安心してるんでしょうね。現状維持を最良としたみたい。
  で、ついでだから“最前線”で奔走したあなたに、特別賞与としてこの待遇を、ってことね。
  あなた一人の働きではないだろうけど、素直に受け取っておけばいいわ」

新川「キョンくんや他の団員の方々にも、感謝しなければいけませんね」

古泉「ちょ、ちょっと待ってください、森さん、新川さん…
   その決定というのは、つまり…」

森「そうよ」ニコッ

新川「“古泉一樹に、可能な限り自由を与える”というのが、今回の決定です」

7: 2010/04/18(日) 16:18:09.96 ID:hqGdAFQNO
古泉「僕に…自由、ですか?」

森「もちろん、涼宮ハルヒ並びにその周辺の人物と接触するときは、既存の制限は守ってもらうわよ。
  事を荒立てたり、涼宮ハルヒの機嫌を損ねるようなことはもってのほか…今更あなたに言うまでもないとは思うけど。
  ただ、それ以外の部分での負担は相当減ると思うわ。戦闘の面でも、事務的な面でも」

新川「君も年頃の青年なんですから、自分の時間を持ってみるのも悪いことではないでしょう?」

森「私たちや他の前線部隊も、それなりの免除が出てるわ。
  あなただけ特別ってわけでもないから、気兼ねはしなくていいわよ」

古泉「で、ですが…」

森「大丈夫。住居、生活、金銭その他…機関からの援助や手当は今まで通りよ。
  多分そっちの方面で困ることはないと思うし、心配はいらないわ」

新川「実感はわかないかもしれませんが…それは私たちも同じことですよ、古泉。
   せっかく手に入れた猶予ですから、思うようにしてみればいい」

森「もし暇になったら、声をかけてくれてもいいわよ。時間さえ合えば、ね」ニコッ

古泉「…」

8: 2010/04/18(日) 16:23:41.69 ID:hqGdAFQNO
―翌日、自室―

古泉「はぁ…」

古泉(お二人はああ言ってくれましたが…一体どうしたものか)

  (確かに…ここのところ涼宮さんは落ち着いた状態。緊急出動もほぼなくなっていた)

  (こうならなくても、時間はなくはなかったはず…)

  (はず、なんですが…)

古泉「改めて身軽になってみると…やることなどないものですね…」

  (手付かずだった部屋の片付け、掃除、洗濯…日用品の買出し…)

  (やったことといえばその程度ですか…半日で終わってしまいましたよ)

  (現在の処置がいつまで続くのかはわかりませんが…この先ずっとこうだとしたら…)

古泉「…ハハッ」

  「僕は、どうすればいいんでしょう…」

9: 2010/04/18(日) 16:24:38.30 ID:hqGdAFQNO
シュボッ ジジジ…

古泉「たまの休日…だったんですが…」プカァ

古泉(まさか、休みに不思議探索がないというだけで、こんなに暇なものとは…)

  (頻繁な定期報告も、緊急出動も、情報の取りまとめも…昨日までで過去の話)

  (で、今日になってみればこれですか)

  (この年で言うのも何ですが…改めて自分が仕事人間だったことを実感しますね…)

  (何か、趣味の一つでも持っていれば…こう手持ち無沙汰にもならずにすんだのか…)

古泉「………ふぅ…」プカァ

  「まだ…昼過ぎですか…」

古泉(いい…天気ですねぇ…)



古泉「…出かけてみますか…」

10: 2010/04/18(日) 16:25:40.60 ID:hqGdAFQNO
古泉(思えば…自分の家の周りのことすら、よく知らなかった)

  (通学以外は、通勤と送り迎え付きでの出動ばかり…当たり前か)

  (徒歩10分圏内のコンビニと食堂、それにクリーニング屋…あとは本屋くらい)

  (それが僕の生活の範囲…)

古泉「なんとまぁ…薄っぺらなことでしょうね…ははっ」

グゥ~…

古泉(まだ…昼食も取っていませんでしたね)

  (そうだな…どうしようか…)



古泉(結局…いつもと同じ定食屋…)

古泉「すみません、ナスと豚のみそ炒め定食を」

店員「はーい、かしこまりましたー」

古泉(しかもいつもと同じもの頼んでますし…)

15: 2010/04/18(日) 16:40:11.25 ID:hqGdAFQNO
「ありがとうございましたー」

古泉(一応、腹は膨れましたが…)ゲフッ

  (…何とも言えないこの虚しさ…)

古泉「参ったな…」

  (選択肢はいくらでもあるんでしょうが…困ったな、何をしたらいいものか、何も浮かばない)

小学生「でさ!そんときの俊介のフリーキックがすげーんだよ!」

小学生「マジでー?俺そこ見てなかったんだよ!母さんが見せてくんなくてさー」

古泉(あのボール…サッカーか。子供は遊び方を知っているものなんですね)

  (なんとも、つまらない大人になってしまったものです)

  (………)



チリチリチリーン!!

古泉「っと!!(いけない、ついボーっとしてしまった)」

  「…ん?」

  「………そういうのも、ありましたか」

17: 2010/04/18(日) 16:41:04.95 ID:hqGdAFQNO
おっちゃん「まいどー!大事にしてねー!」



古泉「ハハハ、勢いで買ってしまいました…しかもスポーツタイプのマウンテンバイク…」

  「どこか行く宛があるわけでもないのに…6ケタ代の浪費なんて初めてですよ」

  「何だか、勧められるに任せて高めのを選んでしまった気がしなくもありませんが…」

  (でも…自分の意志で買い物をするなんて、久しぶりだ)

  (必要なものはたいてい支給、金銭は貯めても生活費以外に使い道が無かった…)

  (こういうのも…悪くは…ないですよね)

  (…よし)



古泉「んっふ…少し遠出してみるとしましょうか」

22: 2010/04/18(日) 16:55:02.86 ID:hqGdAFQNO
キョン(ったく…ハルヒの奴も勝手なもんだよな)

   (こっちは毎週恒例だからってんで日曜丸々空けてたってのに…直前になって中止とは)

   (ま…急用だってんだから愚痴っても仕方ない、か)

   (しっかし、谷口も国木田も捕まらなかったし、外に出てはみてもこのもてあましっぷり…)

キョン「…俺も相当暇だな、やれやれ………ん?」



キコキコキコキコ



キョン(あれはまさか…)

   (うん、そうだな)

   「…何をやっとんだあいつは」

キョン「おい!古泉!」



古泉「…ん?」

23: 2010/04/18(日) 17:02:55.36 ID:hqGdAFQNO
古泉(今、誰かに呼ばれたような…)

  (おかしいですね、知人や関係者とは、万一のため生活圏を隔てていたはず…)

キョン(?おかしいな、見間違いか?いや、でもあれは…そうだよな)

   (一応もう一回声かけてみるか)

キョン「おーい古泉!何やってんだお前!」

古泉(!あれは…!?どうしてこんなところに?)



キョン「なんというか…おかしなタイミングで会ったもんだな。休みだってのに」

古泉「いやはや、まったくです。偶然というのはあるものですね。

   (おかしい…何故彼がここに?)」

キョン「まぁ、偶然といえば偶然だが…俺は近所だしな」

古泉「(…近所?彼の?)ひとつお聞きしますが…あなたの住まいは確か…」

キョン「?お前、知らなかったか?〇〇だ。
    すぐ近くって程でもないが…ここからは割とすぐだよ」



古泉「………え?」

24: 2010/04/18(日) 17:16:39.45 ID:hqGdAFQNO
キョン「何だ、どうした。なんつー顔をしてんだお前は」

古泉「い、いえ。いつの間にこんなところまで来たものかと…」

  (おかしいな…ついさっきまで家の近くだと思っていたんですが…

   彼の家の近所ということは…相当な距離を走ってきたことになる)

キョン「ん?あぁ…マウンテンバイク…良さそうなのに乗ってるな。それならスピード出るだろ。

    それに、随分綺麗だなそれ。買ったばっかりなんじゃないか?」

古泉「はは、実は…今日買ったばかりのものでして」

キョン「なるほどな。で、試運転ってわけか。
    しかし、こんなとこで会うなんてな。そういや聞いたことなかったが、お前んちってどの辺なんだ?」

古泉(うっ…さすがです、タイムリーに嫌なところをついてきますね、彼は)

古泉「…そんなに近くではないんですが、せっかくですから、少し慣れない道も走ってみようかと思いまして。
   いや、あなたに会うことになるとは思ってもいませんでしたよ、はは(上手くごまかされてくださいよ…)」

キョン「ほぉー…ってよく見りゃお前、随分汗かいてるな。結構飛ばしたのか?
    もうそんなに冷え込む時期でもないが…冷えるだろ、それ」

古泉「(よしごまかした)ああ、言われてみれば…結構なものですね」

  (…気付きませんでした。思った以上にはしゃいでしまったようで、なんだかみっともないですね)

28: 2010/04/18(日) 17:28:22.36 ID:hqGdAFQNO
キョン「お前、この後何か用事とかあるか?」

古泉「いえ、特に何もありませんが…」

キョン「だろうな、考えてみれば俺と同じ状況なわけだし。本来ならSOS団で集まってる時間だ」

古泉「暇を持て余しているのはお互い様、というわけですね」

キョン「そういうこった。そういうこったから…

    暇ならどうだ、俺んちにでも寄ってくか?」



古泉「…はい?」

29: 2010/04/18(日) 17:29:15.15 ID:hqGdAFQNO
キョン「いや…だから暇なんだろ?お互い。
    どうせ暇ならどっか行ったっていいんだが…その汗だろ?
    とりあえずうちに寄ってけば、汗拭くなり、俺のでよければ着替え貸すなりできるだろうが。
    そこまでサイズが違うようには見えんし…まぁ大丈夫だろ」

古泉「え、いや、そうではなくて…」

キョン「ん?何だ?やっぱり何か用事あったか?」

古泉「いえ、何もありません。用事らしい用事は一日…」

キョン「じゃあ大丈夫か。いや、もう帰るんなら無理にとは言わんが」

古泉「いや、だから、その…

   いいんですか?お邪魔してしまって…」

キョン「…今更そんなことに気を遣うような仲か?
    お前が良ければ寄ってけばいいじゃないか」

古泉「そういう…ものですか」

キョン「そういうもんだろ」

34: 2010/04/18(日) 17:41:44.49 ID:hqGdAFQNO
キョン「ただいまー」

古泉「お…お邪魔します」

キョン「母さーん、友達一人連れてきてるんで部屋に上げるぞー」

古泉(友達…ですか)

キョン妹「おかえりーキョンくーん!お友達ー!?」

キョン「あー、お前は下がってなさい。今日はハルヒはいないからな、シャミと遊んでろ」

キョン妹「ぶー!キョンくんのケチー!」

キョン「なんとでもいいなさい。あとお客さん来てるんだからあんまり騒ぐんじゃありません。

    んじゃ上がってくれ、俺の部屋は上だから」

古泉「では…改めて、お邪魔します」

35: 2010/04/18(日) 17:55:35.97 ID:hqGdAFQNO
キョン「まぁ、大したもんはないし、片付いてもいないが…男同士だ、気にせんでくれ」

古泉「これが…」

  (こういうものなんですね…男子高校生の部屋というのは。
   彼の性格を表していてシンプルに見えますが…
   それでも僕の部屋と比べれば、随分と賑やかなものです)

キョン「座布団あるだろ、適当に座ってくれ。俺はベッドでいいから」

古泉「失礼します」

キョン「ほれ、タオル。着替えは…上着の下はYシャツか、じゃあ俺のやつで大丈夫だな」

古泉「なんだか、色々とすみませんね」

キョン「だから気にすんなって。俺から言い出したことだしな」

キョン妹「キョンくーん!お母さんからおやつだよー!」

キョン「せめてノックをしなさいノックを。お客さんいるんだぞ。
    おやつはお前の分持ってっていいから、早くシャミんとこ行きなさい」

キョン妹「ぶー!」

38: 2010/04/18(日) 18:09:25.55 ID:hqGdAFQNO
キョン「騒がしくてすまんな。もうそれなりの年なんだから、静かにしてくれると助かるんだが…
    ほれ、Yシャツ。適当に着替えてくれ」

古泉「ははは、賑やかで羨ましい限りですよ。では、失礼して…」ゴソゴソ

キョン「む…古泉がいるからか、いつもよりいいおやつを…抜け目が無いな」モグモグ

古泉「ありがたくお借りしますよ。団で集まるときにでも、洗ってお返しします」

キョン「ん、お前のいいようにしてくれ」モグモグ



古泉「…」ソワソワ

キョン「…」

古泉「…」ソワソワ

キョン「なんか…落ち着かない感じだな、お前」

40: 2010/04/18(日) 18:22:29.13 ID:hqGdAFQNO
キョン「あれか、気兼ねはしなくていいんだが…やっぱ手持ち無沙汰か」

古泉「いいえ、そんなことは」

キョン「うーむ…男二人で引きこもってるのもなんだな、改めて考えると」

   「着替えと支度は済んでるし…もうちょっとしたらどっか行くか」

古泉「ふむ…そうですね…あなたがよろしければ」

キョン「決まりだな。
    せっかく出されたハイグレードおやつを残していくのも惜しい。
    ほどよくダラダラしながら食い散らかしてから行くとするか」

古泉「んっふ…ではせっかくですから、僕もいただくとしましょう」

キョン「お、横濱煉瓦…どこに隠してたんだこんなもん」

古泉「では…僕は舟和の芋ようかんを…おお、スペクタクル」

41: 2010/04/18(日) 18:32:28.28 ID:hqGdAFQNO
~~~~~~~~~~~~~~~~~



キョン「さて、出てきたはいいが…どうしてこうなった」

古泉「どうして、とおっしゃいますと?」

キョン「何故俺はお前と二人で駅前のファミレスに来ているのか、ということだ」

古泉「さぁ…どうしてでしょうか?」

キョン「まぁ…言うまい。
    男二人で歩きまわるには、日曜の午後の駅前というのは酷だったんだ」

古泉「んっふ…僕は別に構わなかったのですが?」

キョン「そりゃよかった。残念ながら日曜の俺のだらけた精神力は状況に耐えられなかった。
    あ、すみませんエスプレッソを」

古泉「デリケートなことで…ふふっ。僕はカプチーノをお願いします」

45: 2010/04/18(日) 18:52:12.87 ID:hqGdAFQNO
キョン「にしても…改めて思うよ。ほんとに珍しいな、日曜にお前と二人とは」

古泉「まったくです…僕もあなたと会うとは思ってもいませんでしたから」

キョン「ハルヒの奴がドタキャンしなきゃ、こんなこともなかったろうな。
    結果を見れば今現在こんなんだが…たまにはいいか」

古泉「ははは、涼宮さんに…これは感謝するべきなのでしょうかね?」

キョン「折角の休みに男と二人ってっ結果を見れば、感謝ってのも変かもしれんがな。
    あの見目麗しい朝比奈さんに会う理由がなくなるってのは、なかなか勿体ない話だ。
    お前だって、普段はバイトやらで何かと忙しいんだろ?」

古泉「っ…(また、絶妙なところで突っ込んできますね。もはや天性とでも言うべきでしょうか)

   いや、最近はそういうわけでもないものでして」

キョン「…そういや最近はなかったな。ハルヒのやつも落ち着いてるみたいだし…
    閉鎖空間、減ってるのか?」

古泉(…彼に言って問題のある内容ではありませんね。別に特秘事項というわけでもない。
   むしろ現状維持で問題ないなら…彼も安心するところでしょう)

古泉「…ええ、非常に落ち着いた状態でしてね。それに伴って、いくつか僕たちにも影響が」

キョン「影響?」

52: 2010/04/18(日) 19:10:27.91 ID:hqGdAFQNO
~~~~~~~~~~~~~~~~



古泉「~とまぁ、そういったわけでして」

キョン「あれか、要するに暇だと」

古泉「そんな身も蓋もない言い方をしないでください、こちらとしても困りものなんです」

キョン「暇こいたから自転車買って、汗かくほど飛ばしてきたらうちの近所だったと」

古泉「確かに言葉の上ではその通りですけど、もうちょっと言い方ってあると思うんですよ」

キョン「うん…いいんじゃないか?楽しそうで」

古泉「まぁ、楽しかったは楽しかったんですけど。釈然としませんね」

キョン「しかしお前…今までそんなに時間なかったのか?
    そりゃハルヒも今と比べりゃ以前は相当とんがってたが、四六時中ってわけじゃ…」

古泉「僕らの仕事は何も神人退治だけではありません。事務作業や連絡も任務のうちです。
   頻繁に行われる定期報告、上の意思の伝達やチーム内連携の方針決定を行うミーティング…
   それに加えて、涼宮さんが機嫌を損ねた際の緊急出動…
   更に僕の場合は最前線連絡員でしたから、それに関する個人業務も加わります。
   団活を終えた後や活動のない休日などは、それこそ動きっぱなしでした」

キョン「…なるほど、余暇なんてもんはなかったわけだ」

54: 2010/04/18(日) 19:27:04.86 ID:hqGdAFQNO
古泉「そんな状態でしたから…それ以外のことを考えるなんて、とてもとても。
   涼宮さんとの直接接触を果たしてSOS団として活動するまで、任務以外のことを楽しむことなどないと思っていました」

キョン「何だか…すまんな、いらん事を言ってしまって」

古泉「お気になさらず、事情が事情ですから仕方のないことです」

  「話は戻りますが…そんな状態も、SOS団として過ごす時間が長くなるに連れ、緩和されていきました。
   他の皆さん…長門さんや朝比奈さん、そして…あなたと出会ったことによって、涼宮さんの精神状態は大変安定しました」

キョン「確かに、始めて会った頃よりはずっと丸くなったな、あいつも」

古泉「ええ…そしてここ最近の安定状態の持続を見て、上が出した結果が…」

キョン「お前をいくらか楽にしてやろう、と」

古泉「そういうことです。恩恵を受けたのは僕だけではありませんが…
   おそらく僕には他の前線要因と比べても寛大な措置がとられているものと思われます」

キョン「うーむ…俺にはよくわからんが…素直に喜ぶべきじゃないかとは思うがなぁ」

古泉「僕も、そう思っては…思ってはいるんですが…」

55: 2010/04/18(日) 19:39:08.76 ID:hqGdAFQNO
古泉「先程申し上げたとおりの状態でしたから…
   なんというか、時間の使い方というのが非常に下手くそでして」

キョン「俺は…暇ならブラブラするかダラダラしてるからな…あまり参考にはならんぞ。
    SOS団に入って、ハルヒに付き合うようになってからはそんな暇も減ってたが…
    今日の俺のザマを見ただろう、急に予定がなくなって時間ができるとあんなだからな」

古泉「あまり言いたくはありませんが、確かにそうですね」

キョン「俺も言いたくはないが、そう思うだろ。見事なまでに暇人だ。
    何の自慢にもならんが無趣味無特技でな、無為に時間を過ごすことにしか長けとらん」

古泉「本当に何の自慢にもなりませんね…」

キョン「やかましいわい。そんなふうでも生きていけてるんだよ」

古泉「そういう…ものですか」

キョン「そういうもんなんだよ、残念ながら」

58: 2010/04/18(日) 19:50:08.76 ID:hqGdAFQNO
キョン「しっかし…友達と遊ぶとかだっていいだろ?休日や空いた時間を過ごすのなんて…」

   「俺もたまには国木田やら谷口やら、あとは中学時代の友人と遊ぶこともあるしなぁ」

古泉「友達…ですか」

キョン「ああ、友達」



古泉「いないんですよ」

キョン「え?」

古泉「残念ながら、いないんですよ。僕には、友達というものが」

キョン「…え?」

古泉「ですから…何度も言うとおり仕事漬けの生活を昔から続けていましたから。
   まともに付き合いの持てる相手なんて、SOS団に入るまでいなかったんですよ、僕には」

キョン「…」

古泉「それも、お気になさらず。仕方ないことだったんです」

59: 2010/04/18(日) 19:58:18.47 ID:hqGdAFQNO
キョン「…すまんな、軽率だった」

古泉「いいんですよ、一時は境遇を、それに涼宮さんを恨みもしましたが」

  「生まれの違いは誰しもあるものです。顔の違い、貧富の違い、それらとさして変わりません」

  「それに…言っても仕方ない恨み言を繰り返しても、何にもなりませんからね」

キョン「…そういうもんか」

古泉「ええ、そういうものです」ニコッ

64: 2010/04/18(日) 20:36:58.15 ID:hqGdAFQNO
古泉「ですから…人の部屋にあげてもらったことなど、なかったもので」

キョン(あっ…)

古泉「少し、落ち着きが無かったかもしれませんが…はは、そこはお許しください」

キョン(そうか、こいつ…だから…)

キョン「だったら、もうちょっとばかりマシなもてなしをすればよかったな」

古泉「いえいえ、お招きいただいただけで十分ですよ。着替えまで貸していただきましたしね」

キョン「それこそ大したこっちゃないさ」

古泉「ともかく、今日のことではあなたには感謝していますよ」

キョン「よせよせ、男の口から面と向かって感謝を口にされてもな」

古泉「確かに、あなたにはそうかも知れませんね」クスッ

67: 2010/04/18(日) 20:54:15.34 ID:hqGdAFQNO
キョン「つかぬことを聞くが…機関には、俺たちぐらいの構成員ってのはいないのか?」

古泉「現状では僕が最年少ですね。他に若い方がいないわけではありませんが…やはり世代が違います。

   それに、あそこの方々とは「仲間」という意識はありますが…「友達」というわけには」

キョン「まぁ…確かにそうかもな」

古泉「ええ…ですから、お互いの部屋を行き来するのも…そうですね、森さんくらいで…」

キョン「…なに?」

古泉「偶然だったとはいえ、今日のことは、とても貴重な経験をさせていただきました」

キョン「ちょっと待て古泉、今、お前…何と言った?」

68: 2010/04/18(日) 20:55:15.15 ID:hqGdAFQNO
古泉「?ですから、とても貴重な経験を…」

キョン「そうじゃない、その前だ」

古泉「はぁ…部屋を行き来するのは森さんくらいだと…」

キョン「森さんと部屋を行き来だとぉ!?」

古泉「うわ、いきなりなんですか!」

キョン「てめえ、前言撤回だ!ちょっとしんみりした俺がバカみたいじゃねえか!
    森さんと部屋を行き来!?森さんを部屋に入れたり森さんの部屋に行ったりだと!?
    あんな大人の女性とよくもお前!そんなうらやまけしからん!」

古泉「教育担当で直属の上司なんです、当たり前でしょう!」

キョン「当たり前なことがあるか!おま、俺と年齢同じでそんなことが許されるとでも!」

古泉「許されるとか許されないじゃありませんよ!それが普通だったんですから!」

キョン「そんな普通があってたまるかあ!」

店員「お客様!お静かに願います!」

69: 2010/04/18(日) 20:58:46.15 ID:hqGdAFQNO
ごめんちょっと親のパシリで買い物行ってくる

77: 2010/04/18(日) 22:12:08.05 ID:hqGdAFQNO
~~~~~~~~~~~~~~~~

―ファミレスの外、駅前―



キョン「森さんと、かぁ…羨ましいねえ、羨ましいねえ…」

古泉「まだ言ってるんですか、まったく…それについては説明したでしょう」

キョン「理屈と感情は違うんだ、俺だって一介の男子高校生なんだ」

古泉「森さんと僕とはそういう関係ではありませんよ。
   第一、あなたには涼宮さんがいらっしゃるじゃありませんか」

キョン「なんでそこでハルヒが出てくるんだ、全然話が違うだろう」

古泉「(ああもう、この人は…)いえ、何でもありません、忘れてください…」



キョン「それじゃ、そろそろ時間だ。この辺で、な」

古泉「ええ、今日はお付き合いいただきありがとうございます」

キョン「偶然の産物だよ。こんなんでよけりゃ、機会さえあれば付き合うさ」

古泉「覚えておきましょう。楽しみにしておきますよ」

キョン「何度も言うが、男の口からじゃな」

78: 2010/04/18(日) 22:13:01.07 ID:hqGdAFQNO
キョン「そうだ」

古泉「?」

キョン「結局教えてくれなかったろ、お前んち、どっちの方なんだ?」

古泉「ハハッ…覚えてらっしゃいましたか」

  (機関員の宿舎ですからね…本来なら秘匿事項、と言えなくもないのですが…)



(キョンくんや他の団員の方々にも、感謝しなければいけませんね)



古泉(ま、現場の判断というやつですよ)

  「せっかくだからお教えしましょう、××ですよ」

  「それでは、また明日、部室でお会いしましょう」

キョン「おう、そんじゃあな」



キョン「………」

   (××ね…駅いくつ離れてると思ってんだよ…)

80: 2010/04/18(日) 22:24:10.75 ID:hqGdAFQNO
キョン(確かにいいものを買ったんだろうけど…だからってわかりもしないうちにこんなとこまで来るかよ…)

   (時間ができて暇になったって言ったって…自転車一つ買っただけでそこまで、か…)

   (たまの日曜に、男と二人でファミレスでムダ話して…それで出てくるのがあの顔か…)

   (なんて言ったらいいのかね、まったく…)



キョン「はぁ………」



カチャッ ピピピピ…



キョン「ああ、遅い時間に悪…あーもう、済まないって言ってるだろ、そんなに怒鳴るな。

    いやな、一つ頼みが…待て待て、いいから話を聞けってお前…」

   「次の日曜のことなんだがな…」

85: 2010/04/18(日) 22:44:54.10 ID:hqGdAFQNO
―翌週、日曜―

古泉(指定の時間が朝8時とは…いつもにも増して早いですね、涼宮さん…)

  (まぁ、夜遅いことも少なくなりましたし、起きるのは苦ではありませんが)

  (学校に行くようなものと思えば、何のこともありませんね)



古泉(さて…いつも通りなら先に長門さん、僕が2番手ですか………?)

  (あれは…?)



ハルヒ「遅いわよ古泉君!」ニカッ

みくる「えへへ…」

長門「まさかの史上初」

キョン「見ての通りでな、今日は俺が先だぜ、古泉」



古泉「おやおや…」

88: 2010/04/18(日) 23:04:03.82 ID:hqGdAFQNO
古泉「いやはや…やられてしまいましたね、これは」

ハルヒ「ふふふ…恒例ルールだったら、今日は古泉君の奢りね!」

古泉「んっふ、甘んじて受けましょう、団長命令とあらば」

ハルヒ「と、言いたいところなんだけど…」

古泉「…?」

ハルヒ「(びしぃっ)水くさいわ!水くさすぎるわよ!古泉君!」

古泉「ええと…それはどういった…」

ハルヒ「キョンから聞いたわ!」

   「ギッチリだったバイトのシフトが急に減って、時間の使い方に困っているそうじゃない!
    ダメよ、SOS団副団長ともあろうものが、そんなことじゃ!時間は有限よ、有意義に使わなきゃ!
    それに、団員のスケジュール管理も時には団長、そして団員の仕事!」

   「と、いうことで!!」

   「今日はSOS団の総力を上げて、“古泉君に有意義な休日を過ごしてもらう日”とするわ!」

キョン「…だそうだ」ニッ

91: 2010/04/18(日) 23:22:40.90 ID:hqGdAFQNO
古泉(これはこれは…まったく)

  (あなたには、しばらく頭が上がりそうにありませんね)ニッ

古泉「お気遣いありがとうございます、涼宮さん。せっかくの催しですから、ありがたくお受けしましょうか」

ハルヒ「団長として当然のことよ!副団長なら、休日や空いた時間も有意義かつ優雅でなきゃ!」

   「フフン…キョンにしてはなかなかの発案だわ!今日のところは褒めといてあげる!」

キョン「へいへい、そいつぁどうも…」

古泉「しかし…ずいぶんと集合の時間も早いようですが、何をなさるんです?」

長門「今日のタイムスケジュールは、事前に四人で相談、決定済み」

みくる「今日のために、古泉君には内緒で一日どうするか、話し合ってたんですよぉ」

ハルヒ「朝を制するものは一日を制するわ!しっかり目を覚まして脳に栄養を送る!」

   「まずは…朝の一杯!カフェに行くわよ!」

92: 2010/04/18(日) 23:25:14.58 ID:hqGdAFQNO
ごめん、書く送る貼るってやってるとどうしても遅くなる
でも絶対途中で投げないから勘弁して

103: 2010/04/19(月) 00:35:11.54 ID:Zy124Ru7O
キョン「まぁ…テンプレートといえばテンプレートな気がしなくもないが」

ハルヒ「朝の栄養の価値をわかってないわね!そんなんだからあんたはボーッとしてるのよ!」

キョン「ヘーへー、悪うござんしたね…」

古泉「朝比奈さんは…フレンチトーストにカフェオレ、ですか。また可愛らしい」

みくる「えへへ、苦いのはあんまり飲めないから…古泉くんは?」

古泉「サンドイッチにブレンドコーヒーです。まぁ、スタンダードな形だと思います。長門さんのそれは…」

長門「アップルパイ、シナモンロール、バームクーヘン、ミルクココア。朝の糖分は非常に重要」

みくる「ひえぇ…そんなに食べて大丈夫なんですかぁ…?」

長門「(チラッ)…私はあなたと違っていいところに脂肪はつかない、大丈夫(つん)」

みくる「ふえぇぇぇぇえぇ…」

古泉「長門さん…」

105: 2010/04/19(月) 00:36:34.34 ID:Zy124Ru7O
ハルヒ「あたしはもちろんエスプレッソよ!濃くて苦味のある一杯で気合を入れるわ!」

キョン「どうでもいいがそれ、それと同じ選択だぞハルヒ」

ハルヒ「っ!!べ、別にいいでしょそんなこと!あんたもあたしを見習いなさいってことよ!」

キョン「なんのこっちゃ」

古泉「っはは、お似合いですよ、涼宮さん」

ハルヒ「っ古泉君何言ってんのよ!ただ偶然同じってだけで、何の意味もないの!いいわね!」

古泉「ふふっ、了解いたしました」



古泉(考えてみれば、誰かと朝食をとるなんて、本当に久しぶりだ…)

  (いや、最後がいつだったのかももう定かじゃない…)

  (…何だか、一周回ってきて新鮮ですね、これは)

  (うん、とても…新しい)

106: 2010/04/19(月) 00:38:04.69 ID:Zy124Ru7O
―AM9:00―

キョン「まったく…お前が朝だってのに騒ぐから店員さんの視線が痛かったぞ」

ハルヒ「な、何よ!元はといえば誰のせいだと思ってんのよバカキョン!」

キョン「少なくとも俺のせいではないだろうよ…で、次だな」

長門「古泉一樹おもてなしツアー、エネルギー摂取を終えての第一弾は…私」

キョン(おもてなしツアーとは違うんだが…まぁ実際大した違いではないし、いいのか)

古泉「長門さんの選択ですか。となると、やはり…」

長門「(コクリ)有意義な時間は有意義な知識から…

   空白の時間を知識の吸収で埋めることによって、あなたの時間はどこまでも濃厚になる…」

長門「というわけで、ここ…」

古泉「なるほど、言われてみればいいかもしれません」

長門「知識の泉、図書館」

長門「好みの本を、心ゆくまで」

107: 2010/04/19(月) 00:39:55.04 ID:Zy124Ru7O
みくる「古泉くんは、何の本を読んでるんですか?」

古泉「お聞きのとおり、時間ができたものですから…少しやってみようかと思いまして」

みくる「わぁ、料理の本…素敵ですね、腕が上がったら、ご馳走してくれますか?」

古泉「ふふっ…喜んで。いつになるかはわかりませんが…

   朝比奈さんの…それは?」

みくる「えへへ…雑誌です。図書館って、雑誌も置いてあるんですね。
    それも割と最近のまで置いてあって。びっくりしちゃいました。
    ホントは、この時代のこと…もっと知らないといけないこともあるんですけど。
    やっぱり、その前に浮いちゃってないか、心配になっちゃって」

古泉「なるほど、それで女性向けファッション誌ですか…朝比奈さんらしい」

みくる「でも、私も料理できないといけないから…少し勉強してみようかな」

古泉「では、上達しましたら…」

みくる「ええ、ご馳走しますよっ」ニコッ

108: 2010/04/19(月) 00:41:33.07 ID:Zy124Ru7O
ハルヒ「キョン、あんたは何読んでんの?」

キョン「ああ、どうにも退屈なんだが、寝てるのも流石にな。
    てなわけで、俺の目と脳に優しい動物図鑑を眺めてる」

ハルヒ「あんた、どこまで行ってもぐうたらね…知識欲とかそういうのないわけ?」

キョン「ほっとけ。でもみろ、ほれ、ペンギンがこんなにかわいいぞ」

ハルヒ「まぁかわいいけど…それとこれとは話が別でしょ」

キョン「おお、恐ろしいな。ペリカンは小型の動物くらいなら飲み込んでしまうそうだ」

ハルヒ「えっ、何それ。ちょっと見せなさいよ、どこに書いてあるのよそれ…」

キョン「ほれ、ここだここ。写真付きで…ってお前、近い!近い!」

ハルヒ「いいじゃない、ちょっとくらい気にすんじゃないわよ!で、ペリカンどこよペリカン!」

キョン「いや、当たってる!いろいろ当たってるから!ちょ、ハルヒ…!」

ゴンッ ゴンッ

ハルヒ「いだっ!」 キョン「いでぇっ!」

長門「…館内は静かに」

ハルヒ・キョン「…すみません」

110: 2010/04/19(月) 00:42:59.40 ID:Zy124Ru7O
古泉(まったく…微笑ましいことですね、あの二人は………ん?)

トテトテトテ

長門「…古泉一樹」

古泉「おや…長門さん。どうかなさいましたか?」

長門「…あなたは…楽しんでいる?」

古泉「………(クスッ)ええ、とても。おかげさまで楽しませていただいています」

長門「そう、なら…よかった。」

  「私は…うまく言い表せない。でも…」

  「あなたが楽しんでくれていることを…嬉しく思っている」

古泉「それは、僕も嬉しい限りです」

111: 2010/04/19(月) 00:46:17.11 ID:Zy124Ru7O
長門「私は情報統合思念体に属するインターフェース…あなたは“機関”に属する人間…」

  「同じ場所にいながら、異なる所属の存在だと思っていた」

  「でも、今は…」

  「私とあなたは…涼宮ハルヒのもと、SOS団に所属する存在…」

古泉「!」

長門「もし、あなたが迷うことがあるなら…」

  「頼ってくれて構わない、彼と、同じように」

  「それだけ…」




古泉「………ははははははっ…」

  (彼の言っていたことが、少しだけ分かったような気がしますよ)

  (ありがとうございます、長門さん…)

131: 2010/04/19(月) 01:59:42.41 ID:Zy124Ru7O
―AM11:30―

キョン「ん~、たまには頭脳労働ってのも悪くないもんだな、たまには、だが」

ハルヒ「結局あんたは動物図鑑見てただけでしょうが、どこが頭脳使ってんのよ」

キョン「お前だって途中から一緒に見てただろうが」

みくる「ま、まあまあ二人とも…

    それじゃ気を取り直して、次は私の番ですね!張り切っちゃいますよぉ!」

古泉「お次は朝比奈さんですか…んっふ、楽しみですね」

ハルヒ「なんてったってSOS団のアイドル、みくるちゃんのチョイスよ!期待してかかるのよ古泉くん!」

みくる「えっと…そろそろのハズなんですけど…あ、あれですあれですぅ!」



キョン「へぇ…」

ハルヒ「さすがね、みくるちゃん!」

長門「ユニーク」

古泉「木造りのオープンテラス…レストランですか」

132: 2010/04/19(月) 02:00:36.76 ID:Zy124Ru7O
古泉「…あそこにいるのは…」

鶴屋「遅いぞっ!待ちくたびれたよっ!」

キョン「鶴屋さん…来てたのか。こりゃ俺も聞いてなかったな…」

みくる「私の担当はどうしようかって思ってたときに、ちょうど声をかけてくれて…

    どうせだから一緒にって、お願いしちゃいました」

鶴屋「一樹くんをもてなそうってイベントに、このあたしを呼ばないなんて不届き千万だねっ!
   あたしが来たからにはど、どーんともてなしちゃうから、覚悟しておくんだねご一行さんっ!」

古泉「これはこれは…なるほど、お店は鶴屋さんのつてですか、楽しみですね。

   で、なんとなく予想はつきますが…その“格好”は…?」

鶴屋「ん?これかい?そりゃどう見ても“ウエイトレスさん”じゃないか!
   レストランで素敵なおもてなしをしようと思ったら、これは欠かせないよっ!」

キョン「うむ、これは…うん」

古泉「なるほど…素敵なおもてなしですね」

133: 2010/04/19(月) 02:01:35.77 ID:Zy124Ru7O
鶴屋「さってぇ、みんな席についたかな?そんじゃ、説明するよ!
   決まりごとは簡単、料理も飲み物も好きなだけ飲んで、食べてっておくれっ!水道水も飲み放題だよっ!
   でもひとつだけ、食べ残しは厳禁だからねー!食べ物に感謝!」

長門「…なんの問題もない。準備は万端」

古泉「それは結構なのですが…さっきから、朝比奈さんの姿が…」

鶴屋「フッフッフ…よく気づいたね一樹くん、さすがはSOS団イチのいい男…

   もう準備はできてる頃だからね…

   みくるーっ、頼んだよー!」



みくる「お、お待たせしましたぁ~~~~あっ!」

古泉(ブフッ)

キョン(ブフッ)

長門(…非常にユニーク)

134: 2010/04/19(月) 02:02:29.11 ID:Zy124Ru7O
キョン「あ、あ、朝比奈さん、そのカッコは…」

みくる「お、お料理お持ちしましたぁ、ウエイトレスさんですぅ~」

キョン「いや、そ、それはわかるんですけど…」

古泉(やられた…姿が見えなかった時から、考えうるパターンではあったが…)

  (侮っていた…コスプレや特別な衣装程度なら普段から見慣れていると…)

  (しかし…しかしこれはっ…)

キョン(いつも以上に開かれ、強調された胸元、そして散りばめられたフリル…)

   (スカート丈も…何だありゃ!見えない…見えないんだが…もう見えないってだけじゃねえか!)

   (ただでさえ朝比奈さん単体での破壊力も高いってのに…これは、これは…)



キョン・古泉(正直、たまりません………!!)

135: 2010/04/19(月) 02:03:35.86 ID:Zy124Ru7O
古泉(機関のエージェントとして、あらゆるものに心流されぬよう、訓練を受けてきましたが…)

  (すみません森さん、新川さん…!僕はまだまだ…未熟者だったようです…)ツー…

キョン(いかん、今なら…氏んでも悔いはないと思ってしまっている自分がいる…!)

鶴屋「フッフッフ、堪能しているようだね男子2名!
   この衣装は、ここの普段の制服にあたしが改良を加えて、みくるのために作ったものなのさ!」

みくる「お店のことはお願いしちゃったから…私にできるお手伝いをしたいと思って…
    これはちょっと…やりすぎですけど…///」

鶴屋「何言ってるんだい!何でもするって言ってくれたのは、み・く・る・だ・ろ~?」わきわき

みくる「ひゃぁあっ///つ、鶴屋さん、やめてくださいぃぃ~///」

古泉(僕は…休暇をもらっていいような身分ではありませんでした…!)

  (一から出直しますっ…!一からっ…!!)

キョン(駄目だ…今日の俺は、もう駄目かもわからんね…)

ハルヒ「…駄目だわこいつら」

長門「ユニーク」

146: 2010/04/19(月) 03:03:36.94 ID:Zy124Ru7O
ハルヒ「キョン!あんたの皿のお肉美味しそうね!あたしが貰ってあげるわ!」

キョン「おいこらハルヒ、ふざけんなお前!って長門!お前も!俺のパスタに手を伸ばすんじゃありません!」

長門「うっかり…これは私の意思によるところではない、思念体の(以下略」

鶴屋「あははははは!ハルにゃんも長門っちも、お替わりしたらいいよ!
   ウエイトレスさんが、パパっとどっさり、いっくらでも持ってきてあげるからね!」



みくる「はい、古泉くん。ラビオリのお代わりですよ」

古泉「ありがとうございます、朝比奈さん。

   なんだか…感謝を通り越して、申し訳ないような気持ちにすらなりますね。
   僕のために、こんなに盛大な催しを…」

みくる「そんな、気にしないでください。みんな古泉君のことが大事だから、こうしてくれてるんです」

古泉「それはわかってはいるんですが…まぁ、個人的に思うところもありましてね」

みくる「…少し、お話ししてもいいですか?」

古泉「…ええ、どうぞ」

147: 2010/04/19(月) 03:04:39.26 ID:Zy124Ru7O
みくる「私ね…最初のこと、古泉くんはずっと、怖い人だと思ってたんです。
    長門さんは、その…宇宙から来てて、考えてることがわからなくて、苦手だったけど…
    古泉くんは、同じ人間の集まりから来てて、私たち未来とは別の目的があって、そのために潜り込んでて…
    なんていうか、何もかもを計算尽くで見てるような…そんなふうに思ってたんです」

古泉「…」

みくる「でも…今までSOS団として一緒に活動してきて…今はそうじゃないって、思えるんです。
    ごめんね、うまく言えないけど…
    ただ、来てるところが違うだけで、目指してるものとか求めるものは、今は一緒なんじゃないかって…」

みくる「つまり、その…私が言いたいのは…

    今の古泉くんは、SOS団副団長の古泉一樹くんなんです。
    今の私は、SOS団の一団員の朝比奈みくるなんです。
    私は、同じ団員としての古泉くんを大切に思ってますし…きっと、みんなもそうです」

みくる「だから…古泉くんが困ったら、力にならせてください。
    私、ドジだし何かできるわけでもないけど…

    でも、頑張ります!」

148: 2010/04/19(月) 03:05:35.80 ID:Zy124Ru7O
古泉「…不思議ですね」

  「図書館で、長門さんに全く同じことを言われましたよ」

みくる「長門さんが?」

古泉「ええ。同じ団員なのだから、頼ってくれて構わない、と」

  「正直に言います。あなたの言っていることは事実です。
   僕はあなたや長門さんを、敵対する、ないし方向性を別にする組織の一端としか見ていなかった。
   無論…“鍵”としての彼も例外ではありません。
   涼宮さんの機嫌を伺うことが第一であり、そしてそれは“機関”の一端としての僕の方針でした」

みくる「古泉くん…」

古泉「ですが…確かに今の僕は違います。それも事実です。
   僕は機関員であると同時に…いえ、もしかしたらそれ以前に…
   SOS団副団長、古泉一樹になっているのかもしれません」

  「朝比奈さん、あなたが…そしてSOS団の皆さんが、僕のことを大切に思ってくれているというなら…」

  「僕の口からも言わせてください。僕はあなたが、そして涼宮さん、長門さん、彼が…大切です」

  「同じ場所にいる仲間として、です」

149: 2010/04/19(月) 03:06:25.44 ID:Zy124Ru7O
みくる「…ふふふっ、ありがとうございます///」

古泉「お礼を言わなくてはいけないのは僕の方ですよ」



鶴屋「みくるーっ!長門っちのお代わりが間に合わないよーっ!エビ一皿おねがーい!」

みくる「あっ、はーいっ!今行きますぅ!」

古泉「ふふっ、では、いってらっしゃい」

みくる「時間はまだありますから、楽しんでいってくださいね?」

古泉「ええ、後悔のないよう、堪能させていただきます」

  「やはりその衣装は…近くだとだいぶ目の毒のようですが」クスッ

みくる「え、や、あ、わわわぁっ…///もう、古泉くん!」

古泉「冗談です」

  (まぁ、あながち冗談でもありませんが…)

150: 2010/04/19(月) 03:07:25.41 ID:Zy124Ru7O
―PM3:00―

ハルヒ「っふぅー!お腹いっぱい食べちゃったわ!」

長門「…至福」ゲプ

ハルヒ「お喋りもさんざんして、みくるちゃんのセクシー衣装も楽しんだし…
    三大欲のうち二つはしっかり満たされたわね!」

キョン「長門、口は閉じてしなさい…
    あとハルヒ、さりげなく結構下品だからな、その発言」

古泉「ふぅ…さながら気分は満漢全席でしたね…」

みくる「ふふ…喜んでいただけたみたいで嬉しいです」

ハルヒ「でも!満足してる暇はないわよ!次は私!

    この団長自ら練った企画、骨の髄まで叩き込むわよ!」

キョン「それはもうおもてなしとは言わんだろ…趣旨違うけどよ…」

159: 2010/04/19(月) 04:00:38.69 ID:Zy124Ru7O
ハルヒ「私の立てた企画は…これよっ!」

キョン「いや…わかってはいた事だけどな…ハルヒよ」

古泉「スポーツ施設…アミューズメントセンター、ですか」

キョン「食事の次に持ってくるものが運動って…お前の消化器官に常識はないのか…」

ハルヒ「必要ないわよそんなもん!いい!?よく聞きなさいキョン!!
    当たり前だけど、有意義な生活、充実した時間ってのは健康な体があってこそよ!
    気付け、知識、食事と来たら、次は運動に決まってるじゃない!」

キョン「だからってお前…」

古泉「僕はかまいませんよ?お受けしましょう」

キョン「お前も元気だな…」

古泉「伊達に鍛えてませんからね…ここは副団長の面目躍如と行きましょう」

ハルヒ「っふっふっふ、頼もしいわね古泉くん!
    それじゃ行くわよ!突撃ーっ!」

キョン「ああもう、だから待てって…あ、駄目だ、脇腹いてぇ…」

160: 2010/04/19(月) 04:01:29.26 ID:Zy124Ru7O
ドゴォン

ハルヒ「9番もらいねっ!!よーし、あとは2番5番でパーフェクトだわー!」

長門「素晴らしいコントロール」

キョン「ストラックアウトとはまた懐かしいものを…にしてもハルヒの奴すごいな」

古泉「草野球の時を思い出しますよ…あの時も大活躍でしたからね」



キョン「まったくあいつ…おもてなしとか言いつつ自分が楽しんでるんじゃねえか」

古泉「その方が僕にとってもいいですよ。
   それに、僕を楽しませるのが目的だというなら、それはもう十分すぎるほどに果たされています」

キョン「そうか?…まぁそれなら構わないんだけどよ」

161: 2010/04/19(月) 04:02:19.55 ID:Zy124Ru7O
古泉「僕は…幸せものですね」

キョン「…どうしたいきなり」

古泉「手が届かないと思っていたものが、あまりにも都合よく舞い込んできてしまって」

  「…僕には、あまりに縁がないことだと思っていましたから、こういうのは」

キョン「まぁ、お前じゃなくたって大抵の場合縁はないだろ、これほどのことは。
    谷口あたりが見たら血の涙を流すかもしれんぞ」

古泉「ハハッ、そうかも知れません」

キョン「お前が置かれてた状況ってのは…俺にはよくわからんよ。
    実感しろって言われたってまず無理な話だろうさ。色々壮絶すぎてな」

   「でもまぁ…少なくとも、こうやって人に思われて、与えてくれるものがあるってのは…
    悪くはないんだろ?今のお前にとってはさ」

   「だったら、いい顔して受け取って、礼を言えばいい話だろ」

   「難しいことじゃない、お前だって団の仲間なんだから」

162: 2010/04/19(月) 04:03:15.40 ID:Zy124Ru7O
古泉(本当に、この人は…)

  「SOS団というのは…本当にSOS団なんですね、どこまでも」

キョン「?なにいってんだお前」

古泉「いいえ、こっちの話です。ただひとつ違うとしたら…

   あなたは最初から、何者でもないあなたなんですね」

キョン「???ますます何いってんだお前。最初っから俺は俺だ」

   「ただのSOS団団員その一だよ、初めからな」




ハルヒ「よっしゃー!パーフェクト!景品もらえるんでしょこれ!」

みくる「凄いですぅ、涼宮さ~ん!」

長門「次は私」



古泉(まったく…幸せものですよ、本当に)

163: 2010/04/19(月) 04:04:02.89 ID:Zy124Ru7O
ハルヒ「いっやぁ~、良い汗かいたわ!」

キョン「ほとんどお前だけがな!あと取った景品全部俺に持たせるんじゃねえ!」

ハルヒ「いいじゃないあんた雑用なんだから、それぐらいしなさいよ」

キョン「これからまた荷物増えるかもしれんってのに…」

古泉「最後は…あなたですか。一体どこへ?」

みくる「そういえば、私キョンくんの企画だけ知りません…」

長門「私も…」

ハルヒ「キョンの考えることだから、予想はつくけどね」

キョン「うっさいわ!俺なりに考えた結果だ!

    俺たちは結局高校生なんだから、高校生らしい遊びもしておくもんだろ!」

180: 2010/04/19(月) 05:08:20.80 ID:Zy124Ru7O
―PM6:00―

ハルヒ「で、最後の場所がゲーセン、と…まぁ確かにあんたらしいかもね」

みくる「ひえぇぇぇ、めまいがしちゃいそうです…(この時代のゲームって…こんなに派手なんですかぁ~)」

長門「おお、なんというリラックマ…」

キョン「ひねりが無いって言われりゃそれまでだけどな…
    こういう遊びだって立派な遊びだ、そうだろ?」

古泉「こういう所は初めてでして…いや、ひねりが無いなんてとんでもない。
   僕には新鮮ですよ」

キョン「ならいいだろ。ま、遊び方はやりながら覚えればいい。
    資金の持つ限りは、好きなだけ遊べばいいさ」

   「そんじゃ、まずは定番から行くか」

181: 2010/04/19(月) 05:09:21.58 ID:Zy124Ru7O
キョン「くっそ、古泉お前、無事故無違反運転って一体どういう事だ!」

古泉「え…そういうゲームでは…?」

みくる「ふえぇ~、ビリですぅ~」

ハルヒ「一位いただきね!キョン、賠償金一億なんてお笑いよ!」

キョン「おかしい…違反点だけはハルヒがブッチギリなのに…」



ハルヒ「みくるちゃん!もっと撃たなきゃ!ほら目ぇ開けて!映画でもやったでしょ!」

みくる「そそ、そんな事言われても無理ですぅ~!」

キョン「長門…このゲームにマシンガンはないはずなんだが…」

長門「チートの類は使用していない。ただの連射」

182: 2010/04/19(月) 05:10:02.82 ID:Zy124Ru7O
ハルヒ「あ~もう!あと少しで取れたのに~!アーム弱いんじゃないの!?」

長門「それでは駄目…もう少し奥を狙って、重心を動かす必要がある」

ハルヒ「有希うまいわね…リラックマいくつ目?」

長門「大小合わせて7個…あと三つは取って帰る」

古泉「っ…と、はは、取れましたよ、朝比奈さん」

みくる「わあぁ~、ありがとうございます、古泉くん!」



ハルヒ「で…キョンはそこでひとりで何取ってんのよ?」

キョン「ジャスタウェイ」

184: 2010/04/19(月) 05:13:11.23 ID:Zy124Ru7O
長門「…あれは何?」

キョン「どうした長門…あぁ、プリクラか。
    あれは…簡単にいうと写真撮ってその場でシールにしてくれるもんだ。
    随分前だけど撮ったことあったな、中学の友達と…」

ハルヒ「なに、キョン、あんたがプリクラなんか撮るわけ?」

キョン「別にいいだろそれぐらい…そうだ、せっかくの記念だ、みんなで撮るか?
    五人だと少し狭いかもしれんが…この際それはいいだろ」

ハルヒ「あんたがやらしいことを考えてなきゃね、工口キョン」

キョン「やかましいわい!」

185: 2010/04/19(月) 05:15:02.59 ID:Zy124Ru7O
ハルヒ「あたしたち三人が前で、二人は後ろね」

キョン「あいよ…古泉、そっち大丈夫か?」

古泉「ええ、何とか…狭いですが、一応収まってはいます」

ハルヒ「ほら撮るわよ…キョン、あんたもうちょっと屈まないと」

キョン「んなこと言われてもな…うわ、バカ引っ張るな!おい、やめ、ああ、あああああ!」

みくる「ひえぇぇぇえええ!」

古泉「朝比奈さん!?」



カシャッ

186: 2010/04/19(月) 05:16:46.49 ID:Zy124Ru7O
キョン「で、撮り直してたらこの枚数か…」

古泉「これはなかなか…圧巻ですね…」

ハルヒ「あははははは!キョンの顔、このみっともないヒゲ!」

キョン「あ!それ…長門が書いてたやつだろ!」

長門「…なんのことかわからない」

みくる「ふえぇえぇぇぇ~ん、私のおでこに肉って書いたの誰ですかぁ~?」

ハルヒ「それはあたしじゃないわよ?」

古泉(僕です、とは…言えませんね)

188: 2010/04/19(月) 05:18:02.46 ID:Zy124Ru7O
―PM10:00―

キョン「あっという間にこんな時間か」

ハルヒ「今日は格別だったわ!楽しいと時間が早いっていうけど、今日は音速は超えたわね!」

古泉「ありがとうございます…本当に、なんとお礼をいったらいいか」

みくる「喜んでもらえたら、それだけで十分ですよ」

長門「催した甲斐があるというもの」

古泉「重ね重ね…ありがとうございます、皆さん」




キョン「そんじゃ、時間が時間だ、補導食らう前にお開きにするか」

189: 2010/04/19(月) 05:20:40.73 ID:Zy124Ru7O
キョン「それじゃ、また明日な」

ハルヒ「HR終わったら即部室!みんな遅れるんじゃないわよ!」

みくる「また明日」

長門「…また」

古泉「ええ………また―――――明日」




古泉(また明日、ですか)

  (………そうですね)

  (初めてですよ、こんなに再開が待ち遠しくなる別れは…)

  (また明日)

196: 2010/04/19(月) 06:04:37.13 ID:Zy124Ru7O
ハルヒ「あれ、古泉くん…帰り自転車なの?」

古泉「ええ。少し距離はありますが、運動になるので」

ハルヒ「運動ね、大事なことだわ」

   「ふーん、見た感じかなり新しいけど…買ったばっかり?」

古泉「ええ、一週間ほど前に買ったばかりの、思い出の一台です」

ハルヒ「買ったばっかりで、思い出?何だか変な話ね」

古泉「そう思われるでそうね、でも…そうなんですよ、思い出です」

ハルヒ「ヘー…そういうもの?」




古泉「ええ、そういうものです」ニコッ




おしまい

197: 2010/04/19(月) 06:07:05.24 ID:Zy124Ru7O
やっとさる解けた…タイミングの悪さに泣くかと思った

一応これで終わり
以前不在からの乗っ取りで書いたら楽しかったから、代理まで頼んでスレ立てたけどちゃんと書けてよかた

読んでくれた人と保守してくれた人ありがとう

198: 2010/04/19(月) 06:11:59.24 ID:ZXnAsi0gO
おつ!

206: 2010/04/19(月) 11:19:58.14 ID:Zy124Ru7O
エピローグ



森「古泉、帰ってるの?遅かったみたいだけど…」

 「ドアも開けたまま、靴も脱ぎ散らかして…あの子らしくもない」

 「古泉~?ちょっと~…」



森「何だ…寝てるのか」

 「あ~あ、服も着替えないで、倒れ込んだまんま…皺になっても知らないわよ?」



森「あらあら…かわいい寝顔しちゃって」

 「疲れもわからなくなるほど、楽しいことでもあったのかしら」

 「急に自転車なんか買ってきたりして、どうしたのかと思ったけど…」

 「この子はこの子で、ちゃんと楽しめてるみたいね」

207: 2010/04/19(月) 11:21:26.53 ID:Zy124Ru7O
ポロッ

森「…これは…」

 「ふふふっ、なんだかんだで子供ね、連絡用の携帯にこんなもの貼っちゃって…」

 「でも…よかったわ。素敵な“友達”ができたみたいね」

 「多少行儀が悪いのは、今日はよしとしましょうか…」



チュッ

 「おやすみ、一樹…いい夢をね」

208: 2010/04/19(月) 11:23:42.60 ID:Zy124Ru7O
今度こそおしまい

>>204
こないだ、喫茶店でハルヒたちがキョンと古泉の話を盗み聞きしてんの書いてた
それが初めて

引用: 古泉「解任…ですか」