210: 2010/04/17(土) 16:45:50.42 ID:c+A2Bhkc0


私は対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース。


情報統合思念体は私に情報を提供した。

それは任務であり、遂行する義務がある。


休止状態の体が強制的に起動した。



”CL-6”



長門「……」










「CL-7」

212: 2010/04/17(土) 16:48:57.80 ID:c+A2Bhkc0

形のない”情報”として流れてくる情報を日本語に直訳する。



”緊急の任務を与える”


長門「……」


真っ暗な部屋にぽつんと、布団が敷かれそれに横たわっていた。
統合思念体の情報をもれなく理解する為、静かに。




”CL-6を超えるCL-7が地球に誕生した”

”その検体は最先端の技術を搭載している”

”こちらで処分することはたやすいがそれではCL-6が正常な状態を維持できない”

長門「……」



シリアルナンバー6は私。

統合思念体は私の生命維持に警告をだしている。

213: 2010/04/17(土) 16:55:45.92 ID:c+A2Bhkc0


”CL-6がCL-7を破壊することでCL-6は維持できる”

”説明はしなくてもわかるだろう”

長門「……把握した」

”発見次第、破壊せよ”

長門「了解」


私と似て非なる個体”CL-7”を破壊する






214: 2010/04/17(土) 17:03:16.73 ID:c+A2Bhkc0


――――――――
キョン「ハルヒ、サイトのロゴ変えたのか?」

ハルヒ「なんかしっくりこないから変えたの」

ハルヒはマグカップを傾け、紅茶を一気に飲み干した。

キョン「……」

キョン「長門、ちょっといいか?」

長門「なに」

キョン「すまん、このサイトの事なんだが…… よくわからん」

長門「了解した」




任務を引き受け4日も経つが、それらしき検体の該当は0。
この地球上にCL-7が存在していない。

216: 2010/04/17(土) 17:09:28.95 ID:c+A2Bhkc0


CL-7には優れた同期能力があるという。
それは透視能力ともいえる。


CL-7のスペックはすべて了解済み。
その情報に基づいて私は地球の隅々まで詮索した。



しかしそれらしい個体は存在していない。



いつ如何なる惨事がこのSOS団にふりかかるかわからない。



かくして私は涼宮ハルヒ以外のメンバーにこのことを伝えた。

217: 2010/04/17(土) 17:16:00.46 ID:c+A2Bhkc0
キョン「CL-7?」

古泉「なるほど…… 長門さんと同じ作りの検体ですか」

長門「そう」

朝比奈「怖いですね……」

長門「その検体は私と同じ格好をしている」

長門「見極めるのは困難」

キョン「確かにな……」

長門「今後私に近づかないでほしい」

長門「この任務が完了するまで」

キョン「わかったよ」

朝比奈「わかりました……」

長門「協力に感謝する」

218: 2010/04/17(土) 17:23:12.61 ID:c+A2Bhkc0


――――――――
その後私は帰宅し、詮索に取りかかった。

しかしそれらしい個体は未だ発見できない。



長門「……」




しかし統合思念体は神に匹敵する存在。
間違える可能性は考えられない。
もし、間違ったとしてもすぐに修正するだろう。



CL-7とはなんなのか。

220: 2010/04/17(土) 17:30:34.44 ID:c+A2Bhkc0

CL-7は私に似ているのか。

CL-7とはどのような容姿なのか。

CL-7は私をどれほど超越しているのか。

CL-7とは一体なんなのか。




長門の処理は光に劣らない早さで進んでいった。
予測演算を積みに積んで恐らく富士山の倍くらいに山積みになっているだろう。





しかし真相は闇に包まれたまま。




むしろ辻褄が合わず、謎が一層深まった。

長門「……」


わからない。

221: 2010/04/17(土) 17:37:05.55 ID:c+A2Bhkc0
長門は布団に潜り、しばしの間休養をとった。

休んでいる暇はないはず。



エネルギーを消費しすぎたのだろう。


長門「……」



CL-7の事が頭をかけ巡る。




長門「……」




やむを得ず長門は自身を強制シャットダウンした






222: 2010/04/17(土) 17:43:19.08 ID:c+A2Bhkc0






ガバッ!




無音の空間に音が生じた。
いきなり布団を剥いだ長門はただ漠然としていた。


長門「……」



長門は体内時計を確かめ、異変に気づいた。



長門(ただ今の時刻はAM3:46。 強制起動時刻はAM4:00のはず)



長門「……」

223: 2010/04/17(土) 17:46:42.04 ID:c+A2Bhkc0
原因はすぐに明らかとなった。


スタッ



長門「――――――――」





この部屋に誰かいる――――――――





この気配に目を覚ましたんだ。
長門は確信した。



スタッ……



その足音はだんだんと長門へ近づいていく。

224: 2010/04/17(土) 17:50:47.39 ID:c+A2Bhkc0

スタッ… スタッ…



長門「……」



まもなく真横にそれは姿を表すだろう。
攻撃されてからでは遅い。

長門は二進数の電気信号を蛍光灯におくり、電気をつけた。


パチッ


長門「……」バッ


すぐさま起き上がりその動く物体を確かめた。


長門「……」


226: 2010/04/17(土) 17:56:24.18 ID:c+A2Bhkc0
長門「……」


正面に位置するは紛れもなく長門。
そしてそれに対する者も長門。



その個体は口を開き、つぶやいた。






「CL-7……」





間違いない、この個体はCL-7。
その個体が自ら発した言葉で確信した。



長門「あなたを分解し、統合思念体へ送る」

CL-7「……」

227: 2010/04/17(土) 18:08:17.45 ID:c+A2Bhkc0
CL-7「……」

長門「○△◇θγ……」


長門はなにやら理解不能な呪文を詠唱し、手の矛先をその個体に向けた。
その矛先には制服を着た長門。

CL-7。


長門「不可視帯域、中和光線……」



長門「発射」



バチイイイイイイイ!!!




長門が喋り終わると同時にすさまじい火花が視界を覆った。

228: 2010/04/17(土) 18:14:30.40 ID:c+A2Bhkc0

長門「――――――――火花?」



あり得ない。
火花が生じるはずがない。



CL-7はシールドを張った……?



これがCL-7の力……。



停電し、チカチカと舞う光がロマンを感じさせる。
このシリアスな場面には必要のない演出だ。


CL-7「……」

長門「……」


予想通りCL-7は原型をとどめていた。

229: 2010/04/17(土) 18:20:29.15 ID:c+A2Bhkc0
長門「……」

CL-7「……」

CL-7「今の絶対不可侵領域は私の意志ではない」

長門「……」

長門「言っている意味がわからない」

CL-7「私を守ったのは情報統合思念体」

長門「……」




そんな嘘は通じない。
私は統合思念体とコンタクトをとった。

そしてCL-7の破壊要請を受け入れた。

長門「統合思念体があなたを守るとは考え難い」

CL-7「……」

232: 2010/04/17(土) 18:25:53.31 ID:c+A2Bhkc0
長門「……」

CL-7「……」


CL-7は静かに口を開いた。


CL-7「任務完了」

長門「……」

CL-7「CL-7を異相空間に捕獲した」

長門「――――――――」

長門「CL-7の捕獲……?」

CL-7「そう、あなたがシリアルナンバー7」

長門「……」


私がシリアルナンバー7……?

233: 2010/04/17(土) 18:34:14.84 ID:c+A2Bhkc0
そんなはずはない。

私はシリアルナンバー6。

長門「あなたがCL-7……」

CL-7「あなたは知っているはず」

CL-7「CL-7にはすばらしい同期能力がある」

長門「……」

CL-7「あなたは私の情報を同期した」

CL-7「統合思念体はあなたを危険分子と見なし、私は破壊の要請を受け入れた」

長門「……」

CL-7「あなたに伝えられた要請は統合思念体の罠」

CL-7「貴方の力を恐れ、このような形で捕獲した」

長門「……」

CL-7「悪く思わないでほしい。 でないと貴方の暴走で地球が危ない」

235: 2010/04/17(土) 18:37:32.74 ID:c+A2Bhkc0
長門「……」

CL-7「私の任務はこれまで、あとは統合思念体が貴方を破壊する」

長門「……」

長門「待って……」

長門「私は……」

CL-7「さようなら、CL-7」

長門「まt……」


プツン














238: 2010/04/17(土) 18:46:34.72 ID:c+A2Bhkc0

すべて罠――――――――



CL-7を凍結し、私の部屋へ移した。
その間、私はずっとCL-7の側にいた。


あなたが私を発見できないのは当たり前。

CL-7は貴方なんだから。



この手間のかかる作業はCL-7の驚異を恐れたがゆえ。
もし、自分がCL-7だとわかったら暴走するだろう。
涼宮ハルヒ消失の事件で私は私を一番理解した。


そしてあなたが睡眠している間、私は部屋に異相空間を創った。


異相空間であれば多少の力を抑え込める。



そう。

すべては罠――――――――

239: 2010/04/17(土) 19:18:19.15 ID:c+A2Bhkc0


――――――――
キョン「長門」

長門「なに……?」

キョン「あの件は片づいたか?」

長門「なんの事を指しているのかわからない」

キョン「CL-7の事だろ」

長門「……」

長門「CL-7の件は心配いらない……」

キョン「お、そうか! よし、みんな入ってこい!」

ガチャ

一斉にSOS団のメンバーが部室に駆け寄せた。
このメンバーと顔を合わせるのは5日ぶり。

長門「……」

5日も部室に姿を表さなかった理由を理解した。

240: 2010/04/17(土) 19:22:57.99 ID:c+A2Bhkc0


CL-7が私に近づかないようお願いしたのだろう。


ハルヒ「いきなり有希がインフルエンザにかかったって聞いたからビックリしちゃった」

長門「もう問題ない」

ハルヒ「5日も経てば部屋の菌も帰るでしょ」

ハルヒ「ということで今からSOS団始動ね!!」

241: 2010/04/17(土) 19:37:41.23 ID:c+A2Bhkc0


長門「……」



貴方達が会話している私はあの時の私ではない。


しかし彼らはそれに気づかない。



CL-7と私は同価値。




CL-7とはなんなのか。

CL-7誕生の経緯はなんなのか。








何故、CL-7だけが優れていたのか。

242: 2010/04/17(土) 19:40:41.34 ID:c+A2Bhkc0
CL-7という検体はなんのか。

CL-7とは私と全く同じ思考を持っていた。

CL-7が団員に指示を促したのは紛れもなく良心。

彼女が団員の安全を確保した。

そんな良心を抱くCL-7を私は騙した。


長門「……」


私は生きていていいのだろうか。
同じ検体でありながら私は生き延びていいのだろうか。 我々は平等ではないのか。

”CL-7” 私はこの存在の意味を理解してしまった。


”CL-7”という存在は私を苦しめる。



今も、そしてこれからも。


「CL-7」 終わり

249: 2010/04/17(土) 20:23:20.27 ID:c+A2Bhkc0
わかりにくくてすいません……
世にも奇妙な物語ということで許してください

次は愉快な物語を書いていきたい。



引用: キョン「涼宮ハルヒの世にも奇妙な物語」