1: 2014/08/14(木) 00:12:38.20 ID:oRSFFFhe0
ダメ提督が叢雲にだらだらと甘える話です。

艦隊これくしょん -艦これ- 艦娘型録 参

4: 2014/08/14(木) 00:17:40.99 ID:oRSFFFhe0
提督「ここが新しい職場、か……」

提督「……ダンボールってのはどうなんだ」

叢雲「あら、あなたが司令官ね?」ガチャ

提督「あぁ、これからよろしく。えっと……」

叢雲「叢雲、よ。くさむらの叢に雲泥の雲とかいて叢雲。よろしく頼むわ」

提督「ん、よろしく」

6: 2014/08/14(木) 00:20:52.24 ID:oRSFFFhe0
叢雲「んで、ここでのこと聞いてるわよね?」

提督「あぁ、いくらか任務をメガネのねーさんに渡された、がーー」ドサッ

叢雲「……何してるのよ」

提督「疲れた。ここまで長旅すぎてな」

叢雲「そんなんで良く提督になれたわね」
提督「まー色々あったんよ」

提督「色々……な」

叢雲「……ふぅ」

7: 2014/08/14(木) 00:25:11.17 ID:oRSFFFhe0
叢雲「って、そんなのが許されるわけないでしょうがァアア!今私たちが置かれてる状況わかってんの!?」ガー

提督「うおおお!?」

叢雲「あんたがしっかりしてないと、これから先が心配でしょうがないのよ!わかったらシャキッとしなさい!」

提督「……ふっ、あはっ、あははは!」

叢雲「な、何がおかしいのよ!」

提督「いやね、今までそんなに物事ズバッと言ってくる娘始めてでさ、しかも初対面で!」

叢雲「なっ!」カー

8: 2014/08/14(木) 00:30:05.43 ID:oRSFFFhe0
提督「いやぁいやぁ、元気もらったよ」

叢雲「ふ、ふんっ、あんたのためなんかじゃないんだからねっ!」

提督「あぁ、お前はお前のために生きろ」

叢雲「えっ……」

提督「ただ……信じてもいいか?」

叢雲「はっ?な、なにをよ?」

提督「お前のこと、信じてもいいか?」

叢雲「っ!」

提督「……」

叢雲「……わかったわ。いいわよ、それで」

提督「……ありがとうな」

叢雲「……っ!さ、さぁ!さっさと任務こなすわよ!はやく戦力増やさなきゃこれから先が苦労するんだから!」

提督「おーおー、おすなおすなって」

でまぁ、これが約一年前ぐらいの話か。

9: 2014/08/14(木) 00:33:49.55 ID:oRSFFFhe0
提督「……」

叢雲「艦隊が帰投したわ……なに読んでるのよ?」

提督「あ、おかえり。同窓会のお誘い来ててさ」

叢雲「へぇ、あなた友達いたのね」

提督「ひどくね?」

叢雲「だって、ねぇ……」

提督「学校とか通ってた間は友達結構いたぜ?」

叢雲「今交友を持ってる?」

提督「ねぇです……」

叢雲「典型的なコミュ症じゃない」

提督「うう……んで、戦果は?」

叢雲「ふっ、こんなものよ……」

10: 2014/08/14(木) 00:40:33.82 ID:oRSFFFhe0
提督「お、ぼちぼちだな……んっ」

叢雲「?なにか問題でもあったかしら?」

提督「いや、そういうわけじゃない、気にするな」

叢雲「?なによ気になるわね……」

提督「さってと、任務完了、今週はこの後しばらく休めるぞ」

叢雲「ふぅ、出撃三昧だったしさすがの私もつかれたわ」

提督「今日はゆっくり休め……と言いたいが大事な話がある。今夜は開けておけ」

叢雲「……わかったわ」

11: 2014/08/14(木) 00:44:20.26 ID:oRSFFFhe0
その夜

叢雲(なにかしらね、呼び出しなんて……夜のお手伝い、は流石にないわよね。一応勝負下着だけどいやいやそういう気持ちがあるとかではなくて……)ブンブン

叢雲「ん゛んっ」(突然すぎるしそんな予兆はなかった、むしろ……)

叢雲「……」トントン

提督「よっ」ガチャ

叢雲「おまたせ、とでも言うべきかしら?」

提督「ま、待ってたかと聞かれたらイエスと答えるだろうな。入りな」

13: 2014/08/14(木) 00:47:21.94 ID:oRSFFFhe0
叢雲「で、用事ってなにかしら?」チラチラ

提督「……なんか落ち着きねぇな。ま、座れよ」

叢雲「あれ、こんなソファーいつの間に……」

提督「最近買ったが、使ってなかったんだよな。潜水艦たちがスイカ割りし出したりで汚れそうだったし」

叢雲「この部屋の構造を時々疑うわ」

提督「ほいっ」

叢雲「?」

提督「あ、麦茶だから気にすんな」

叢雲「いや、それはそれで雰囲気台無しじゃない」

14: 2014/08/14(木) 00:50:29.35 ID:oRSFFFhe0
提督「だってこれしかないんだもん、経費的な問題だもん」

叢雲「あんたがいろんな無茶言うからでしょ。AL作戦の件だって……」クドクド

提督「まーそれはそれだ!今夜はほら、特別な日だろ?」

叢雲「?……あ、あー」

提督「……わすれてたん?」

叢雲「い、いや、最近忙しかったし!」

提督「それでも二人の大事な記念日だろぉ……」

叢雲「わ、わるかったわよ!」

提督「ま、いいんだけど」

叢雲「酸素魚雷が手元にないのが悔しいわ」

15: 2014/08/14(木) 00:55:05.63 ID:oRSFFFhe0
提督「ま、今日は忘れられない日にしてやるよ」ボソッ

叢雲「は?」

提督「あ、花火だぞー」

叢雲「あ、本当……綺麗ね」

提督「……」ムフー

叢雲「あんた動作で残念がられる男でしょ」

提督「ばれたか。喋らなければイケメンとよく言われましたよ」

叢雲「家族に?」

提督「いろんな人に」

叢雲「……」

時々彼は遠くを見ながら喋る。
私の知らない彼がいる。
それがたまらなくもどかしいのはなぜ?

提督「…お……む…」

叢雲「ひゃいっ!?」

提督「オウッ!?そこまでビビるとは、そんなに花火が珍しかったか?」

叢雲「……初めてだもの」

16: 2014/08/14(木) 00:59:57.84 ID:oRSFFFhe0
この気持ちも、始めてで。

叢雲「もやもやするのよ!あなたが私を見て喋らない時!そんなに過去が大事!?今の私は見る価値がないとでも!?」

提督「……それは、悪かった。おれの悪い癖だ」

叢雲「私は今をあなたに見て欲しいのよ!過去に縛り付けられてなにも変えられない奴にはなって欲しくないの!」

提督「叢雲……」

叢雲「今でも夢に見るわ、誓い合った者たちが沈んでいく光景を、あの沈んで行く感覚を!それでも私はっ!」グッ

提督「もういい、わかった。もう喋るな」ギュッ

17: 2014/08/14(木) 01:03:58.42 ID:oRSFFFhe0
提督「すまん、辛い過去を持ってるのは俺だけじゃないよな。そうなんだ、それでも前を向かなきゃなんだ。でもその力がないんだ」ギュ……

叢雲「……」

提督「俺、やっぱ弱いんだ。忘れることはできない。でも受け止めきれない、そしたらここまで落ち潰れちまった」

叢雲「…!…!!」

提督「叢雲、初めて会った日の俺の頼み事、覚えてるか?」

叢雲「~~!!~~~~!!!」パンパン

提督「え、あ、ごめん、きつかった?」パッ

叢雲「落ちるかと思ったわァアァ!」ゲッホゲホ

18: 2014/08/14(木) 01:05:44.98 ID:oRSFFFhe0
叢雲「ぶはー、で、最初の日?信じさせてってやつ?」イライラ

提督「おう、お前をしんじて頼み事が一つある」

叢雲「どんなお願いごとかしら?」ユッサユッサ

提督「俺とケッコンしてくれ」

叢雲「」

19: 2014/08/14(木) 01:10:18.33 ID:oRSFFFhe0
提督「俺はお前を信じるっていう、一方通行な関係じゃなくて、お互いがお互いを信じる、そんな関係をお前と築きたい」

叢雲「」

提督「俺は弱い、これからも強くなるのは難しいだろう。でもお前にも弱い部分はある。お互いでそこを補い合えばきっと……って、おーい」

叢雲「えっ、ケッコン!?いいわよ!ええ!そんな気がしてたわ!きっとそんなものだろうって!おほほ!!」

提督「どうしよう叢雲さん壊れた」

20: 2014/08/14(木) 01:13:48.93 ID:oRSFFFhe0
叢雲「……わ、わるかったわよ……」

提督「おらの一世一代の告白が、プロポーズがパァだゾ……」

叢雲「……んもう」

提督「もうこれは神からのお告げだゾ……お前は女とくっつくなって」

叢雲「い、いや、そういうわけじゃ」

提督「つーかぁ、俺と付き合うとかマジめんどくねぇー?俺みたいにメンヘラ気味の男とかマジ無理じゃねー」

叢雲「あんた神奈川生まれだったのね」

21: 2014/08/14(木) 01:17:26.26 ID:oRSFFFhe0
提督「はぁ、やっぱ女運ねぇのかな俺」

叢雲「……はぁ」トコトコ

提督「あ、叢雲、今日のことわす……」チュッ

叢雲「……」んむー

提督「……!?」チュパ…

叢雲「忘れられるわけないじゃない。そして忘れさせるわけないじゃない」

提督「……叢雲、俺、弱いよ?」

叢雲「知ってるわ」

提督「クズだよ?」

叢雲「知ってるわ」

提督「こんな俺でも?」

叢雲「リョ○好きでもスカ○ロ好きでも構わないわ」

提督「待ってなんで知ってるの」

叢雲「待って」

22: 2014/08/14(木) 01:21:07.99 ID:oRSFFFhe0
叢雲「ともかく!ケッコンするんでしょ!」

提督「ん……いいんだな?」

叢雲「当たり前じゃない。あんたのこと支えられるのなんて私ぐらいよ」

提督「……ありがとな」

叢雲「……あんたこそ、私のこと、裏切らないでよね」スッ

提督「ったりめーだ」ソッ…

叢雲「うん……うれしい」キラッ


だいぶ端折ったがとりあえずこれが俺と叢雲のケッコン記念日の話だな。

23: 2014/08/14(木) 01:23:46.40 ID:oRSFFFhe0
というわけで今夜の部はおちまい。
お目汚し失礼しました。

こっから先はだっらだらと俺(提督)が叢雲に甘えるお話です。

よければ感想とか、シチュとか、くだされば幸いです(チラチラチラチラチラチラ

ではおやすみなさい。

ちなみにリアルでは叢雲はまだ96レベ。一周年の前に結婚したい

29: 2014/08/14(木) 23:01:51.46 ID:oRSFFFhe0
>>24 一応考えてますがまだ先のお話

>>25 ぐぬぬ羨ましい

>>26~28 叢雲ちゃんに罵られるのもいいがたっぷりいじわるして慌てふためく様子を楽しむのもこれまた一興。さすが叢雲ちゃん万能。

これからトリップつけますね。

30: 2014/08/14(木) 23:02:17.04 ID:oRSFFFhe0
>>24 一応考えてますがまだ先のお話

>>25 ぐぬぬ羨ましい

>>26~28 叢雲ちゃんに罵られるのもいいがたっぷりいじわるして慌てふためく様子を楽しむのもこれまた一興。さすが叢雲ちゃん万能。

これからトリップつけますね。

31: 2014/08/14(木) 23:05:16.88 ID:oRSFFFhe0
マルゴーマルマル

叢雲「んむぅ……はっ」バッ

叢雲「ふぅ、流石にまだね」ハァ…

叢雲「いやいやいや!!期待してたとかそういうわけじゃ……」

提督「んー?むぅ……」

叢雲「……んもぅ、バーカ」

32: 2014/08/14(木) 23:10:53.19 ID:oRSFFFhe0
叢雲「さて、早起きしちゃったし……何しようかしら」

叢雲「このままここにいるのも、悪くはないかもしれない……」ピトッ

叢雲「いやいや!そんな自堕落な女になっちゃダメよ叢雲!」ブンブン

提督(朝から面白いなぁ)

叢雲「流石に起こすのはあれよね、なら別のこと……朝ごはんでも作ろうかしら……」

叢雲「……じ、自分の分のついでよ!ついで!提督のためなんかじゃないんだからねっ!」

提督(かわいい)

ちくわ大明神(かわいい)

提督(こいつ……直接脳内に!)

33: 2014/08/14(木) 23:14:51.51 ID:oRSFFFhe0
叢雲「というわけで食堂に来て見たけれど、以外と早起きな人多いのね」

龍田「あらぁ?叢雲ちゃん早いじゃない」

叢雲「龍田さんも早いのね」

龍田「天龍ちゃん顏寝坊だから先にご飯作りにきてるのよ。叢雲ちゃんは?」

叢雲「今日は早く目が覚めて、その、いや、特に用事があったとかそういうわけじゃないんだけどその」キラッ

龍田「あら?あらあらあら~?」

叢雲「ひえっ!?」

龍田「あーそーゆーことねー、ふふっ、叢雲ちゃんもかわいいところあるじゃない」

叢雲「うううるさいわねぇ!」///

34: 2014/08/14(木) 23:18:55.38 ID:oRSFFFhe0
龍田「それで、今日は朝ごはん作りに来たのね?」

叢雲「あ、あいつの分はついでよつ!い!で!」

龍田「はいはい、それじゃぁ一緒に作る?」

叢雲「むっ、ひ、一人でも……」

龍田「そうやって始めての食事で思い人に離れられた娘が歴史上何人いるか……」

叢雲「ひうっ……」

龍田「まぁ、私もちょうどお手伝いが欲しかったのよ。ね?お願い叢雲ちゃん」

叢雲「し、仕方ないわねぇ」

龍田(ふふふ、素直じゃないんだから)

35: 2014/08/14(木) 23:23:14.85 ID:oRSFFFhe0
龍田「それじゃ、これ」

叢雲「……何よこれ」

龍田「エプロンよ」

叢雲「それはわかるわよ!なんでこんなにひらひらしてるのよ!」

龍田「本当は天龍ちゃんに着せたかったんだけど、あの子こういうの好きじゃないみたいでねぇ……似合うと思うんだけどなぁ」

叢雲「これ、着なきゃダメ?」

龍田「いい?叢雲ちゃん。台所は戦場よ。そこにあなたはなんの武装もなしに突入するのかしら?」

叢雲「えっ、えと、それもそう、なのかしら」

龍田「そうよ~というわけで」

叢雲「わ、わかったわよ……」

龍田(本当は絶対可愛いと思ったからなんて言えないわね)

36: 2014/08/14(木) 23:28:58.68 ID:oRSFFFhe0
叢雲「これでどうかしら?」

龍田「にあってるわよ~」(やべぇ予想以上だやべぇ)

叢雲「で、今日は何を作るのかしら?」

龍田「そうね、お味噌汁は絶対として、簡単な厚焼き卵とかどうかしら?」

叢雲「そうね、あいつはあんまり好き嫌いしないだろうし」

龍田「あいつ?」

叢雲「あっ、いや、ほら!作っても食べられないのは嫌じゃない!?いや、どっちに背よ食べさせるけど!!」

龍田(かわいい)

間宮(かわいい)

龍田(いつの間に)

37: 2014/08/14(木) 23:35:02.35 ID:oRSFFFhe0
叢雲「で、何からするの?」コホン

龍田「とりあえずお味噌汁から作るわよ」

叢雲「このダシパックってのを入れるわけね」

龍田「そしたら具材を煮て~」

叢雲「味噌を溶かすのね」

龍田「あら、結構ちゃんと作れるじゃない」

叢雲「とっ当然よ!朝飯前だわ!」

龍田「お手伝いはいらなかったかしらね」

叢雲「ふ、二人分だけじゃ手応えがないじゃない」

龍田「ふふっ、卵焼きの味付けはどうする?」

叢雲「あいつは牛乳と砂糖だけとか言ってたわね」

龍田「……」ニコニコ

叢雲「……?……!あ、ちが、これは」

こんなのが何回もあったので以下略

38: 2014/08/14(木) 23:40:17.63 ID:oRSFFFhe0
龍田「さて、卵焼きも出来たし、大根おろしに醤油をつけて……」

叢雲「秋刀魚みたいな食べ方ね」

龍田「これが美味しいのよ~」

叢雲「へぇ、そうなの」パクッ

龍田「どうかしら?」

叢雲「……いいわね、甘ったるいのが醤油と大根と意外と会うのね」

龍田「提督、きっと優しい親御さんだったのかもしれないわね」

叢雲「え?」

龍田「あまーい卵焼きは優しいお母さんの味、だと思うわ、私はね」

叢雲「……ふーん」

龍田「さて、それじゃ私は天龍ちゃんを起こさないとね。叢雲ちゃんもがんばってね~」

叢雲「あ、えと……ありがとう」

龍田「……いえいえ、それじゃまた後でね」

叢雲「……お母さん、か」

叢雲「って、エプロン忘れてったわね……」

39: 2014/08/14(木) 23:44:46.10 ID:oRSFFFhe0
マルロクマルマル

叢雲「さて、提督起こしに行かないとね」ガチャ

提督「ん、おはよう叢雲」

叢雲「あら、起きてた?」

提督「まぁな」(お前が起きてた時からなーってのは内緒)

叢雲「ちょうどよかった。朝ごはん出来てるわよ」

提督「おっ、叢雲の手作りか?」

叢雲「龍田の手伝いついでよ!」

提督「にしても嬉しいなぁー!他の人の手作りごはんなんていつぶりかなぁ」

叢雲「そこまで?」

提督「ここに来る前もしばらく一人暮らしだったしな。あ、でも食堂の間宮さんのも一応手作りか……むぅ」

叢雲「ほら、ごはん冷めちゃうわよ」

提督「あいあい」

41: 2014/08/14(木) 23:53:52.80 ID:oRSFFFhe0
提督「お、味噌汁に卵焼き……しかも大根おろし付きか。いいねぇ和食だねぇ」

叢雲「ま、その程度だったらいくらでも作れるわよ」

提督「ほほう、それじゃ……」スッ

提督「これからは毎日作って欲しいな」ボソッ

叢雲「なっ、みっみみもとであさからなにを!!」ボボッ

提督「あはは!ま、なんだ、いただきます!」合掌

叢雲「……」ドキドキ

提督「……」ズズッ

叢雲「……」ジー

提督「うん、うまい」

叢雲「!」パァア

提督「ここの味噌汁はうまいが、叢雲の味噌汁は格段にうまい!いやぁ、俺は幸せもんだ」

叢雲「ふ、ふんっ、どうってもんよ!」

提督(なんかなまってる可愛い)

叢雲「そ、その卵焼きも私が作ったんだけど、あ、味付けは砂糖と牛乳だけよ!」

提督「お、俺の懐かしの味じゃねーか!どれどれ……」ハフッハフハフッ

叢雲「ど、どうよ……」

提督「……あ、やばい、泣きそう」

叢雲「ふぇっ!?」

提督「いやぁ、懐かしいなぁ……この味、昔食べたのにそっくりだ」

叢雲「お、義理母さんの味、かしら?」

提督「……いや、ばーちゃんの味だ」

叢雲「ばーちゃんて……」

提督「あ、悪い意味じゃねぇぞ!すごくうまいし……やっぱ叢雲とケッコンしてよかった」

叢雲「……ふんっ、ばーか」

43: 2014/08/15(金) 00:02:47.18 ID:naL7z3X20

叢雲「ま、いいわ。ほら、ちゃっちゃと食べて今日の任務こなすわよ」

提督「あいあーい」


一方その頃

天龍「今日の卵焼きは珍しく甘ったるいな」

龍田「大根おろしと合わせると美味しいわよ~」

天龍「どれどれ……おお、なるほどなかなかいけるじゃねぇか」

龍田「天龍ちゃんに喜んでもらえて何よりだわ~」

龍田(あっちもいいかんじかしらね)

天龍「うめえー!おかわり!」

龍田「はいはい、いっぱい食べてねー」

この後しばらく甘焼き卵大根おろし添えが流行ったのはまた別のお話……

51: 2014/08/16(土) 01:52:36.50 ID:qtJSYxGi0
再開っぽい。


叢雲「ふー夜も涼しくなって来たわね……」

叢雲「そして今日もあいつは外の方で忙しくて顔を出せない、と……」

叢雲「……話し相手がいないと暇ね」

日向「あぁ、暇だな」

叢雲「うのうぉうぁわぁ!?」

日向「なんだ、そこまで驚くことはないだろう」

叢雲「い、いや、誰もいないかと思ったのよ」

日向「ま、海辺はなんだか落ち着くからな。さざ波の音のせいかな」

52: 2014/08/16(土) 01:59:02.51 ID:qtJSYxGi0
日向「それにしてもこうも提督が留守だとあの頃を思い出すな」

叢雲「……そうね、あれからもうそろそろ一年間、か」

提督が着任してから始めての大型作戦。
作戦後突然姿を消した提督。
噂では駆け落ちとかなんとか。

叢雲「ま、ちゃんと帰って来たからいいけれどもね」

日向「半年も一体どこに……」

彼の放浪生活、その半年間のことについてはほとんどが謎のままだった。

叢雲「ま、きっと何かあったんでしょう」

日向「叢雲は何か知らないのか?」

指輪をチラリと見られる。

叢雲「……あいつが話さないなら私が知る必要はないわ」

日向「……そういうものか」

53: 2014/08/16(土) 02:03:22.86 ID:qtJSYxGi0
日向「あいつもいい嫁をもらったものだ」

叢雲「……お見通し、か」

日向「ん?なんのことだ?」

叢雲「いいえ、なんでもないわ」

日向「……ま、相談ならいつでも来たまえ。もっと日向お姉様に頼ってもいいぞ?」

叢雲「ふふ、遠慮しておくわ。伊勢の件知らない方が珍しいわよ?」

日向「うぐ……ま、まぁ、そういうことだ。じゃ、私わ戻るよ」

叢雲「おやすみなさい」

日向「無理するなよ」

叢雲「……どうってことないわよ」

54: 2014/08/16(土) 02:08:33.46 ID:qtJSYxGi0
自室

叢雲「二人用ベッドも一人じゃ広いわね……」

叢雲「提督が帰って来てから半年間もたったのね」

叢雲「季節遅れの雪が降ってたあの頃私はまだあいつとそう仲良くなかったわね」


半年前ー

天龍「おい!提督が帰って来たぞ!」

叢雲「……やっと、ね」

提督「……わりぃ、心配かけた」

天龍「お前、大丈夫かよ……顔色悪いぞ?」

提督「すまん、少し休ませてくれ……」

天龍「あ、あぁ、しっかりな!」

叢雲「……」ムスッ

55: 2014/08/16(土) 02:16:02.98 ID:qtJSYxGi0
提督「……くっ、くっくっ……あはは……あーあ……」

提督「……なんでこうなっちゃったかな……」

叢雲「入るわよ」ガチャ

提督「あ、叢雲……」

叢雲「……だいぶ荒れてるようね」

提督「すまない、今片付ける」

叢雲「いいわよ、そのままで……で?何があったか話してもらおうかしら」

提督「お前結構容赦ないよな」

叢雲「半年も音信不通のやつに容赦も何もないわよ。で、駆け落ちでもしてたの?」

提督「ん……駆け落ちとはちょっと違うな……」

叢雲「ほう、では詳しく報告してもらおうかしら。あなたにはその義務があるわ」

提督「……へいへい」

56: 2014/08/16(土) 02:21:07.47 ID:qtJSYxGi0
提督「一生添い遂げたい相手に出会った」

叢雲「……」

提督「そいつと半年一緒に暮らしてた」

叢雲「……」

提督「裏切られて、帰ってきた」

叢雲「……そう」

提督「以上だ。何か質問は?」

叢雲「何がそこまであなたを突き動かしたのよ」

提督「変われると思った」

提督「彼女となら俺は変われると、信じてた」

提督「じっさいあいつと一緒にいる頃は今までと比べ物にならないほど幸せだった」

提督「でもやっぱりダメだった。俺は弱いままだった」

叢雲「さっき裏切られたって言ってたけど」

提督「あいつ、間者だったんだ」

57: 2014/08/16(土) 02:24:52.60 ID:qtJSYxGi0
提督「馬鹿な話だ。単に踊らされてたんだ。俺はもう、変われないんだ」

叢雲「……その間者、どうしたの?」

提督「憲兵に突き出したさ。もうあいつとは関わりたくない。顔も見たくない」

叢雲「ならいいわ」

提督「……いままで何度変わろうとしたか……なんどそれが否定されたか思い出せねぇ。もうなにやってもそれが肯定されねぇ。もう……疲れた」

叢雲「……そう」

58: 2014/08/16(土) 02:30:00.90 ID:qtJSYxGi0
提督「もうこの職もやめようと思う。あとはどっかの樹海でぽいー、かな」

叢雲「何言ってんの、これから大型作戦よ?」

提督「……は?いや、いまから準備したんじゃ……」

叢雲「あんたがいない間はしっかり管理しておいたわよ。他のみんなもだけど……あなたの帰りを待っていたのよ」

提督「俺を待ってるなんて、そんなこと……」

叢雲「あるわよ。ここにいる全員、あんたがいなきゃここにいないし、それにあんたの甘々の管理のウケ、結構いいのよ」

提督「それでもこんな俺がここにいていいハズが……」

叢雲「……はぁ、あんた、私との約束も忘れたわけ!?あんたから言い出したんでしょうが!」

提督「えっ、あ、あの……」

叢雲「私はあんたを信じてる。だからあんたは私含め、ここの全員を信じなさいよ」

提督「叢雲……」

59: 2014/08/16(土) 02:35:05.29 ID:qtJSYxGi0
叢雲「忘れたとは言わせないわ。始めての出会ったあの日、あんたが私に誓わせた約束を」

提督「……そう、だな。約束は守らないとな」

叢雲「あんたがどんなに弱かろうが、脆かろうが構わないわ。私はあんたを信じてやるわよ」

叢雲「だからほら、さっさと準備して!そのシケたツラどうにかしなさい!」

提督「……あぁ、悪かったな。俺はお前を、みんなを信じよう。さてっ!」グイッ


叢雲「……ふっ、あんたが提督、ね」

提督「お前が俺の右腕、な」


「勝手にあんたのしたにつけないでよ」
「えぇ!?提督のしたに着くのが艦娘じゃ……」
「だまらっしゃい!」


叢雲「懐かしい……と言うか恥ずかしいわね、この記憶」///

60: 2014/08/16(土) 02:38:07.35 ID:qtJSYxGi0
提督「俺も若干若気の至り入ってるから恥ずかしいわぁ」

叢雲「……いつから?」

提督「お前の演説部分から」

叢雲「……」ワナワナ

提督「いやぁ、まさか一人語り始めちゃうとは、よっぽどさみしかったか?」

叢雲「酸素魚雷でも食らってなさい!!」

提督「え、ちょタンマタン……」ドーン

叢雲「ふんっ、ばーかばーか!!」タタタッ


提督「お前には感謝してもしきれねぇよ、叢雲」

68: 2014/08/16(土) 22:59:28.21 ID:qtJSYxGi0

叢雲「ったく、帰って来てしばらく様子を見てたら元気そのもの、心配して損だったわ!」

叢雲「……ま、それは表のあいつなだけだったわけだけど」


数ヶ月前

叢雲「さて、今日の仕事は終わりね」

提督「あぁ、ありがとな叢雲。今日はもう上がっていいぞ」

叢雲「えぇ、じゃ、おやすみなさい」

提督「いい夢見ろよ(裏声」

叢雲「……ばっかじゃないの」ガチャン

提督「手厳しいなぁ」


叢雲「あ、しまった……部屋の鍵忘れちゃったかしら」

叢雲「多分あそこで……はぁ、気が重いわ……」

69: 2014/08/16(土) 23:04:53.03 ID:qtJSYxGi0
叢雲「提督ー?いるの?入るわよ」ガチャ

叢雲「?いないのかしら……」

叢雲「まぁいいわ。鍵鍵……」

ッヒッ……ハッ、ハァ、ハァ……

叢雲「……提督?いるの?」

叢雲(寝室かしら……でも入るのは……)

っ!ヒッ、やめっ……許し……

叢雲「!提督!?何事!?」バターン

提督「っ!やめ、こっちくるな!見るな!」

叢雲(敵らしき姿は見当たらない……襲われてたわけじゃないのね)

叢雲「はぁ、本当あんたは心配するだけ損な男ね」

提督「……あぁ、悪りぃ」

叢雲「あら、えらく無口ね」

提督「今は気分じゃない。用事はなんだ」

叢雲「忘れ物よ、わーすーれーもーの」

提督「……そうか、もう戻れ。明日もあるんだ」

叢雲「……そうわいかないわね」

70: 2014/08/16(土) 23:09:02.16 ID:qtJSYxGi0
提督「何を」

叢雲「あんた、隠し事してるでしょ」

提督「……お前らに話す必要はない」

叢雲「……私たちが迷惑被る、と思ってるのかもしれないけど、むしろ逆よ。あんたが何に怯えてて、うなされてるのかわからないままのほうがよっぽど迷惑よ」

提督「……」フイッ

叢雲「こっち見なさい」グイッ

叢雲「……よく見たらひどい顔ね。まともに寝れてないでしょ」

提督「……まぁな」

叢雲「あんた最近妙にやつれてるから何か隠してると思ったけど……」

提督「さすが叢雲だ」ハッ

叢雲「どれだけ秘書やってると思ってるのよ」クスッ

71: 2014/08/16(土) 23:16:42.64 ID:qtJSYxGi0
叢雲「ともかく、私に話しなさい。あんたは私に隠し事なんてできないんだから」

提督「叢雲……」

叢雲「信じてるんでしょ?私の事」

提督「……そうだな、全部、話そう」

ここで私は彼の人生をようやく全て知った。

ここに来るまでの経緯、失踪のきっかけ、裏切り、そしてここに戻ってくるまで、全て知った。彼のこと。彼の人生を。

叢雲「なるほど、ね」

周りの過多な期待。親に振り回された少年時代。どこにも馴染めなかった青年時代。居場所を失い荒れ狂っていた頃もあったらしい。

提督「引きこもってオンラインゲームを極めた頃、ここへのオファーが来たんだ。戦略や判断力を持つ人材が求められてたらしい。まさかゲームやってて仕事が入り込んでくるとはな、皮肉なことだ」

72: 2014/08/16(土) 23:24:56.23 ID:qtJSYxGi0
彼の親はとことん彼の趣味や夢を否定し、「理想的な息子」を求めていた。特にゲームは時間の無駄だと否定し続けていた。彼の最後の居場所だったのに。

提督「そんなこんなで今ここにいるわけだ」

叢雲「なるほどね……」

こういう時にどういう言葉をかければいいのか、私は知らなかった。

提督「今でもさ、もっと別の、それこそ夢とか追っかける人生を歩めたのかなって思うんだ。無駄だってのはわかってるけど」

叢雲「過去は、変えられないわね」

自分の過去、あの記憶、蘇る。

提督「もう俺の人生なんてなかったことにした方がいいんじゃないか。そう思うんだ。周りが誰も味方してくれなかった。俺のことを肯定してくれる人なんていなかった。こんな俺ならいない方がいいんじゃないか、毎晩そういうこと考えてうなされるんだ」

叢雲「長い。けど、そうね……」

私も目覚めた直後はあの記憶が鮮明に蘇って、よくうなされてたわね。周りが助けてくれたおかげで今はなんともないけれど。

彼は昔の私と同じ、過去の記憶が現在を未来を侵している。忘れたいのに忘れられない。そんな日々を一人で過ごして来た。誰の助けもないまま。

今度は私の番、かしらね。

73: 2014/08/16(土) 23:32:15.97 ID:qtJSYxGi0
叢雲「……そう、散々苦しんだわね」そっ

提督「むらく……」

叢雲「もういいのよ。泣いても謝っても、私に頼っても。苦しいわよね。さみしいわよね……」ぎゅっ

提督「……すまん、叢雲……ほんとに……」じわっ

叢雲「しばらくは話も聞いてあげる。一緒に夜も過ごしてあげる。だから甘えてもいいのよ」

あんたにはその権利がある。
昔の私にも、その権利があったのだから。


その後しばらくは彼の寝室にしょっちゅう通ってた。デキてるとかいう噂も流れると思っていたけれど、察しのいい連中ばかりでたすかったわ。

昔の私を理解してくれたのだから当然とも言えるかしら。


その後彼と他の艦娘との交流も増やした。彼がもっと私たちを信用し、私たちがもっと彼を信用するために。

74: 2014/08/16(土) 23:37:50.87 ID:qtJSYxGi0
結果としては、まぁまぁね。

時々フラッシュバックするけれども、経過は順調そのもの。

彼自身も自信がついてきたし、それに、プロポーズできるまでにもなった。

素直に良かった、とか嬉しいとか言えないのが少しばかり切ないけれど。

……この性格、どうにかすべきかしら?

提督『叢雲はそのままでいいんだよ。そのままで』

いつか言われたセリフを思い出す。

……私は私のままで彼を愛そう。
彼が彼のままで私を愛してくれるように。


叢雲「……よし、こんな物かしらね」

叢雲「……見られたら見たやつを徹底的に沈めなきゃね……しっかり隠しておかないと」

提督「おーい、叢雲、夕飯だぞ」トントン

叢雲「わかったわよ!いまいくわ!」バタン

ま、たまには優しくしてあげるからいいわよね?





なお、件の日記を龍田に盗み読みされていることは梅雨知らぬ叢雲だった。

ちゃんちゃん

100: 2014/08/24(日) 03:07:09.82 ID:KLfciuhA0

提督「……」ジトー

叢雲「ほら、起きなさい。朝よ」

提督「お前早起きだな……」

叢雲「あんたが朝弱すぎなのよ。低血圧にもほどがあるわよ」

提督「るっせーなー誰のせいだと……」もみっ

叢雲「……朝からセクハラとは、元気な物ね」

提督「あ、あかん、これそういう気分じゃないやつだ」

ボコスカベコスカ


提督「はひ、目が覚めました」

叢雲「よろしい。朝ごはん出来てるわよ」

提督「あーい」

叢雲「って、部屋から出るんだから服くらい着なさい!他の娘もいるんだから!」

提督「うーい」ぼりぼり

叢雲「ったく、朝から仕方ないわねぇ……」

102: 2014/08/24(日) 03:09:03.85 ID:KLfciuhA0

提督「……」ジトー

叢雲「ほら、起きなさい。朝よ」

提督「お前早起きだな……」

叢雲「あんたが朝弱すぎなのよ。低血圧にもほどがあるわよ」

提督「るっせーなー誰のせいだと……」もみっ

叢雲「……朝からセクハラとは、元気な物ね」

提督「あ、あかん、これそういう気分じゃないやつだ」

ボコスカベコスカ


提督「はひ、目が覚めました」

叢雲「よろしい。朝ごはん出来てるわよ」

提督「あーい」

叢雲「って、部屋から出るんだから服くらい着なさい!他の娘もいるんだから!」

提督「うーい」ぼりぼり

叢雲「ったく、朝から仕方ないわねぇ……」

103: 2014/08/24(日) 03:20:28.61 ID:KLfciuhA0
提督「……」あむもぐんぐ

叢雲「……」ジー

提督「……」もしゃもしゃ

叢雲「……」指くるくる

提督「……」ズズッ

叢雲「……」たるー

提督「……朝から面白いな叢雲」

叢雲「こんな朝もたまにはいいわね」

提督「そだなーんまい飯と、可愛い嫁がいる、男の理想だな」

叢雲「褒めても何も出ないわよ」にへら

提督「お前のにやけ顔だけで十分だ」

叢雲「に、にやけてなんてないわよ!」

提督「まーた照れてる。そこがいいんだが」

叢雲「朝からバッカじゃないの……」てれてれ

天龍「おい提督!いちゃついてるところ悪いが緊急伝達だ!」ガチャ

叢雲「いちゃついてるわけじゃないわよ!」

提督「それで、内容は?」

叢雲(無駄に切り替え早いわね……)

天龍「南西方面から未確認物体の接近を探知した!数およそ20!どうする!?」

提督「そこそこいるな。とりあえず偵察機を飛ばせ。第一艦隊は各個戦闘準備、待機するように伝達」

天龍「了解だ!」ダッ

提督「せっかくの朝飯の時間を邪魔してくれたんだ、ただじゃ返さねぇぞ」

叢雲「公私混同とはまさにこのことね」

104: 2014/08/24(日) 03:28:35.38 ID:KLfciuhA0
そうだレスだうわ恥ずかしい酸素魚雷食らって沈みたい気分だ。


数分後

赤城「偵察の結果敵の主戦力は潜水艦の模様。おそらく偵察部隊かと」

提督「だとしてもこんなにあっさりバレるか……?駆逐艦二隻及び軽巡洋艦二隻に対潜装備と、金剛と赤城も一応参加してくれ。嫌な予感がする」

赤城「了解しました」

金剛「久々に腕がなるネー!」

提督「編成は叢雲、ヴェールヌイ、木曾、天龍、金剛、赤城で行くぞ。対潜を主軸に木曾は水上機も装備していけ」

赤城「航空隊の編成はいかがなさいましょう」

提督「スツーカと彩雲……一応烈風も連れて行こう」

赤城「了解、さて、妖精さんを集めないと」

提督「金剛は何時もの装備で構わん。出番がない方がありがたいが」

金剛「て、提督ぅ~それはあんまりね~!」

提督「ま、運が悪けりゃ、な」

105: 2014/08/24(日) 03:33:46.97 ID:KLfciuhA0
ヴェールヌイ(以下ヴェル)「にしても提督随分と慎重だね」

叢雲「潜水艦で偵察に来ているのになんでわざわざ発見されたか気にしてるんでしょうね」

木曾「あぁ、油断は禁物、だからな。水上機は要らないと思うが」

天龍「俺なんて完全対潜だからむしろその水上機がほしいぐらいだ」

提督「よし、各自準備はいいな?」

装備よーし、補給よーし!

叢雲「いけるわ」

提督「そんじゃ第一艦隊……出撃!」

ウララー!


明石「なんで無人島生活なんですかね」

間宮「まぁ、ノリでしょう」

106: 2014/08/24(日) 03:40:35.06 ID:KLfciuhA0
赤城「偵察機の情報からして会敵まで八分ほどです!」

叢雲「ソナーにかすかに反応があるわね」

天龍「この程度ならでっけぇ魚ぐらいじゃねぇか?」

ヴェル「この距離で八分はないだろうしね」

金剛「電探にも反応なしデーズ」しぼーん

木曾「そー気を落とすなって。運が悪かったんだろ」

赤城「む、第二偵察隊が帰還……!?」

天龍「どうした赤城」

赤城「数が減ってます……潜水艦に対空が……?」

木曾「おっと、つまり運がいいかもしれねぇってことだな」

赤城「偵察隊によると潜水艦の後方に戦艦と空母が確認された模様です」

金剛「わーたしたちのでばんねー!」

叢雲「とりあえず潜水艦から沈めるわよ!」

\ウラー!/

107: 2014/08/24(日) 03:55:02.13 ID:KLfciuhA0
鎮守府

提督「そうか、戦艦に空母か。備えあれば憂なし、塞翁が馬、ともあれ不運なのは変わらんな」

大淀「そろそろ会敵と予想されます」

提督「初手は単横陣で乗り切り、戦艦相手になったら単縦陣に切り替えるように伝えてくれ」

大淀「かしこまりました」

提督「ふぅ、あいつらならなんとかなるだろう」


海上

木曾「鎮守府からの通信、単縦陣で乗り切れってよ」

叢雲「言われなくてもそのつもりよ!」

ヴェル「敵影発見……これは……!天龍!危ない!真下だ!」

天龍「へっ!読めてんだよっ!」斬ッ

カ級「アバー!」ぶしゃー

天龍「あぁ、重油のにおいがさいっこぅだなぁ」タパパッ

108: 2014/08/24(日) 04:07:48.72 ID:KLfciuhA0
木曾「また出たよ、天龍のバーサーカーモード」

ヴェル「戦場に出るといつもこうだよね」

赤城「今度は前方から来ますよ!」

叢雲「カ級ばかり……さっさと沈みなさい!」ポンッ

叢雲の装備している、地上戦用のグレネードランチャーのような形をした爆雷投下砲より放たれた爆雷は敵潜水艦直上に着水、起爆した。海を割るような爆発とともに潜水カ級をミンチにした。

断末魔を上げる暇もなく次弾、ヴェールヌイの発射した爆雷が別のカ級に命中するも轟沈までは至らなかった。

敵勢力に反撃する隙を与えないよう、間髪入れずに対潜装備をした三人の爆雷の連射と赤城による艦載機からの爆雷投下もあり、尖兵の潜水艦部隊は難なく全滅した。

この後も二度潜水艦の攻撃を受けるも、艦隊はほぼ無傷だった。

赤城「次の会敵は五分後、先の偵察情報からしておそらく戦艦率いる主力部隊かと」

金剛「やーっと私の出番ネー!待ちわびたネー!」

天龍「血を……俺に血をッ!」

叢雲「帰ったらお医者に見せなきゃ」

ヴェル「龍田さんに任せた方がいいと思うけど……」

109: 2014/08/24(日) 04:21:14.00 ID:KLfciuhA0
赤城「!敵航空機接近!迎撃します!」

叢雲「そういえば空母もいたんだったわね」チャッ

緊急用のボウガンのような武装から艦載機を射出し、迎撃。他の艦も自動小銃型の武装で航空機を撃ち落とす。敵の航空機も艦爆のみだったため難なく制空権確保は成功した。

金剛「さて、一発ドカンとやってやるねー!」チャキッ

無反動砲を模した武器を肩にかけ、敵影に向け発射。見事に命中するも、敵旗艦である戦艦ル級を駆逐艦イ級がかばう形になり、戦艦の轟沈ならず。

木曾「んじゃ、今度は俺の番だな」

水上機を発射し、長距離狙撃用武装を構え、発射。一撃目を外すも、弾着観測情報より微調整、第二射を見事弱点に命中させ軽空母ヌ級を轟沈。

木曾「どーってもんよ!」

110: 2014/08/24(日) 04:32:53.80 ID:KLfciuhA0
叢雲「駆逐艦も残り三体、戦艦は無傷。夜戦狙いで行くべきね」

ヴェル「駆逐艦の轟沈を優先しよう。叢雲、ニ級は任せるよ」

叢雲「あんたこそしっかりロ級沈めなさいよ」

ヴェル「無論さ」ザッ

敵艦との距離が狭まったタイミングでロ級に急接近し、弱点部である口内めがけ一斉射撃。グラリと体を傾け内部から爆発するロ級。

ほとんど同時にニ級も爆発し敵駆逐艦は全滅。した。

赤城の艦載機による攻撃を仕掛けるもル級撃破ならず。

夜戦に突入し、叢雲の不意をついた接近による闇討ちによってル級撃破。

今回の作戦は成功を収めた。


はずだった。


天龍「叢雲!あぶねぇ!」

叢雲「はっ?」ズガッ

ル級が最後の力で叢雲にゼロ距離で主砲を浴びせた。ヴェールヌイの追撃によりル級は完全に轟沈するも、叢雲は大破し、意識不明となってしまった。

大淀「以上が報告です」

提督「……それで、帰還までどれぐらいだ?」

大淀「叢雲が大破した為、10分ほどかかるかと」

提督「できるだけ急ぐように伝達。ドッグの準備も始めろ。明石と夕張にも手伝ってもらう」

大淀「はい、かしこまりました」

提督「……叢雲っ!」ギリッ

111: 2014/08/24(日) 04:48:03.49 ID:KLfciuhA0
天龍「第一艦隊!今戻ったぞ!」

提督「よし!全員ドッグに迎え!よく頑張った!」

天龍「提督、叢雲がっ!」

提督「把握してる。とりあえずドッグまで運んでくれ。明石と夕張を待たせてる」

天龍「すまねぇ、俺がもっと早く気づければ……」

ヴェル「いや、私がもっと早く反応出来ていればよかったんだ……」

提督「大丈夫だ、お前らはよくやった。今回は不慮の事故だ、気にするな。ほら、休んでこい」

天龍「……すまねえ」

提督「大丈夫だっつーの」

ヴェル「……ほら、天龍、行こう」

天龍「あ、あぁ、わかった」

提督「……ったく、お前らしくもない……」

提督「珍しいなぁ、お前が大破とは」

痛々しい叢雲の姿を見下ろす提督。片腕が吹き飛び、腹に大穴が空いている。

提督「明石!なるはやでこっちも頼む」

明石「はい!今すぐ行きます!」

ふと吹き飛ばされていない右手に何か握っていることに気がついた。

提督「……ったく、無茶するなぁ……」

顔を見られないように帽子を深く被り直し、明石の治療開始を確認して部屋を出た。


叢雲「……悪かったわよ」

提督「怒ってねーよ。無事で良かった」

叢雲「……油断したわ。まさかあんなにしぶといとは」

提督「気にするな。誰にも失敗はあるさ」

朝飯をつまみながら気を落とす叢雲と話す。

治療は終わり、腕も腹も元通りになっていた。

提督「ま、嬉しいこともあったしな」ニヤー

叢雲「な、何よ、にやけて気持ち悪い」

提督「内緒だ」

あの時右手に固く握っていたのは左手の薬指だった。

提督「やっぱお前を嫁にして良かったなーとおもったんだよ」

頭の上にはてなマークを浮かべながらしかし珍しく提督が何を考えているかわからない叢雲だった。


しかし、嬉しい反面、少し恐怖も感じていた。
あの傷で次の日には元通り。人間とは、自分とは違う……そう痛感するのであった。



提督「龍田に言われて日記を始めたが、なんかなぁ……やっぱ俺が書くとイマイチくらい雰囲気が出てあれだな……」

叢雲「夕食よー」

提督「あいあい」

何かいてたのよ
始末書
…ふーん


なお龍田にはやはり読まれているのであった。

113: 2014/08/24(日) 06:37:55.88 ID:zTTpvWil0
ま、装備外せば普通の女の子になるらしいけどな。

乙。

引用: 提督「あー死にたい」 叢雲「……大丈夫?」