1: 2013/09/01(日) 20:42:02 ID:p.SkIgIE


――エレンを除いて

3: 2013/09/01(日) 20:48:08 ID:p.SkIgIE
※捏造未来設定注意

私は今エレンと2人で暮らしている
巨人のいない平和な世界で
何者の介入も受けず
家族と共に過ごす

あれ程渇望して止まなかった生活なのに
こんな筈じゃなかったとそれ以上を求めてしまうのは私の我儘だろうか?
進撃の巨人(34) (週刊少年マガジンコミックス)

4: 2013/09/01(日) 20:55:59 ID:p.SkIgIE
私達が暮らしているのは旧調査兵団本部

かつて特別作戦班が根城として使っていた場所だ

そして私達は兵団所属時の給金と僅かばかりの退職金で食い繋いでいる

贅沢ではないながらも最愛の家族とのささやかな暮らし
正に待ち望んでいた未来がここにある



――エレンが地下室に繋がれている事を除いては

5: 2013/09/01(日) 21:01:25 ID:p.SkIgIE
エレンがまだエレンであった頃に漏らしていた事がある

近頃夢を見ると

周りに何も見えない暗闇の中
いつの間にかライナー ベルトルト アニがそこに居て
無表情でただこちらを見ている
そして何も言わず去って行くという
そんな夢を

7: 2013/09/01(日) 21:08:05 ID:p.SkIgIE
思えばその頃から少しずつおかしくなっていたのだろう

それでもエレンは決してそれを表に出さず
ただ自分の使命を全うしようと力を尽くし

そして全てが終わったその瞬間に

エレンのは心は壊れてしまった

8: 2013/09/01(日) 21:12:18 ID:p.SkIgIE
突然我を失ったかの様に発狂しては自傷行為に走る

かと思えば何も言葉を発さず突然涙を流す

一日中笑い続け引き付けを起こす事もあった

その姿はまるで人の皮を被った獣の様だ

10: 2013/09/01(日) 21:20:14 ID:p.SkIgIE
決まった時間に食物を与え
体を拭き清め
髪を梳き
排泄物を片し
お休みのキスをする
……これが現在の私の日課だ

本来ならばこの様な非人間的な暮らしなどエレンにさせたくはないのだが

――今の私は左足を失っている

11: 2013/09/01(日) 21:23:12 ID:p.SkIgIE
今のエレンに能力があるかは分からないけれど
何かあってからでは遅い

かつての私はエレンを守ると息巻いていたが
この身体ではそれも叶わない

……私は無力だ

14: 2013/09/01(日) 21:28:47 ID:p.SkIgIE
それでも命があるだけ私達はまだ幸運なのかもしれない

ジャンもサシャもコニーもクリスタもユミルも

リヴァイ兵士長もハンジ分隊長もエルヴィン団長もハンネスさんも

――そしてアルミンも

……皆みんな いなくなってしまった

15: 2013/09/01(日) 21:33:05 ID:p.SkIgIE
皆が皆 生きようと必氏にもがいて足掻いて

人が氏に行く中でそれでも明日を繋ごうとして

……そして結局何も残らなかった

17: 2013/09/01(日) 21:36:57 ID:p.SkIgIE
……この世界は残酷だ

私に生きる意味を与えてくれたエレン

そのエレンが生きる意味を失っているのに

私は何も返す事が出来ないでいる

18: 2013/09/01(日) 21:39:42 ID:p.SkIgIE
……この世界は残酷だ

誰よりも人間らしく
誰よりも強く生きたいと願ったエレン

その為に我が身を捧げ
その為だけに全てを投げ打って

――その顛末がこれだ

19: 2013/09/01(日) 21:45:32 ID:p.SkIgIE
「駆逐してやる
この世から一匹残らず」

……かつてエレンが言っていた言葉だ

もし本当に巨人を一匹残らず駆逐するその時まで この戦いが終わらないのであれば
私は一体どうすれば良いのだろうか

……私にはもう分からない

20: 2013/09/01(日) 21:49:03 ID:p.SkIgIE
何でエレンはいつも
私から遠くへ行くんだろう

私はただそばにいるだけでいいのに


……それだけなのに……

21: 2013/09/01(日) 21:50:07 ID:p.SkIgIE
終わり

23: 2013/09/01(日) 21:54:51 ID:p.SkIgIE
御支援有り難う御座いました

絶対こうはならないだろうという結末を書く事が出来るのも二次創作の醍醐味ですよね

引用: ミカサ「巨人を駆逐した」