1: 2009/10/15(木) 15:31:16.02 ID:cYqmq9B40
ジュン「ふぁ~~あ……あれ?」

ジュン「翠星石、何でそんなに大きくなってるんだ? ってか裸っ!?」

翠星石「ひゃあっ!? こっち見んなですぅ!///」ドスッ

ジュン「へぁぁぁぁぁ! 目がぁ、目がぁぁぁああ!」

真紅「おはようジュン。目を開けないで頂戴ね」

ジュン「開けられないよ!! いたたた」

真紅「そのまま聞きなさい。私達の体が人間のものになってしまったのだわ」

ジュン「……人間になった?」

雛苺「球体関節が消えて体が大きくなったの。朝起きたら鞄も服もぶち破ってたのよ」

ジュン「嘘だろ?」

真紅「嘘じゃないわ。そしてもう一つ、あなたはドールになってるのよ」

ジュン「はぁっ!?」バッ

翠星石「目ぇ開けるな! ですぅ!」ドスッ

ジュン「へぁ(ry
薔薇乙女
3: 2009/10/15(木) 15:36:54.61 ID:cYqmq9B40
のり「みんなおはよ~。朝から元気一杯ね」ガチャ

真紅「おはよう。のり、あなたの服を貸して頂戴」

のり「…………」

のり「真紅ちゃんがでっかくなってる! そしてジュン君がちっちゃくなってる!?」

真紅「いつまでも裸だと風邪をひいてしまうわ。早くして頂戴」

のり「え、ええ。分かったわ真紅ちゃん……いえ、真紅さん?」

翠星石「どうでも良いから早くするですぅ!」

のり「は、はいいぃ。分かりました翠星石さん!」

真紅「ジュンも着替えなさい。着替え終わったら下に集まりましょう」

4: 2009/10/15(木) 15:42:28.63 ID:cYqmq9B40
のり部屋。

のり「まずは下着ね。私ので良いなら、はいどうぞ」

翠紅苺「」ハキハキ

のり「ブラはサイズが合わないと……あ、ヒナちゃんならいけるかも」クイッ

のり「わぁ驚いた。ぴったりね」

真紅「……私は合わないのだわ」スカスカ

翠星石「翠星石もですぅ」グググ ポロリ タプルン

のり「私のをそのまま着られるのはヒナちゃんだけね。どうコーディネートしようかな」

のり「ん~、じゃあ真紅ちゃんはこう。翠星石ちゃんはこう。ヒナちゃんはこうね」

真紅 :浴衣
翠星石:ジャージ上下(胸が邪魔でチャック閉まらず)
雛苺 :Tシャツとキュロット

真紅「良い見立てね。気に入ったわ」

のり「あ、あはは~。ありがとう」

のり(……ペチャパイでも映えるように和装を選んだ、とは言えないわね)

7: 2009/10/15(木) 15:47:51.86 ID:cYqmq9B40
ジュン部屋。

ジュン「本当にドールになったんだな。関節が球体になってる」クイクイ クルクル

ジュン「可動域が広いから不便じゃないけど、何か変な感じだ」

ジュン「さて、僕も着替えるか……って、ええええええ!?」

ジュン「い、いや、確かに可動部だから関節があるのは分かるけど」

ジュン「……の根本に球体関節ってどうよ?」

ジュン「立ったら立ちっぱなし、俯いたら俯きっぱなしか。硬いのは良いけど玉袋まで硬いぞ」

ジュン「勃起は、しないだろうなぁ。二十四時間フルタイムで子供ちOちんだ」

ジュン「……男としてのアイデンティティが崩壊した気分」ガックリ

ジュン「せめて上を向かせておこう」クイッ

ジュン「さぁ早く服を着よ――」

ジュン「って、僕は何を着れば良いんだ?」

10: 2009/10/15(木) 15:53:18.78 ID:cYqmq9B40
リビング

真紅「みんな着替えたわね」

翠星石「ぷっくくく。ジュン。ゴス口リとは良い趣味ですね~」クスクス

ジュン「笑うなぁ!/// くそっ、男もののドール服も作っておけば良かった」

翠星石「てことは履いてる下着も女物ですかぁ? ほーれ、見せてみろですぅ」ペロンッ

ジュン「スカートをめくるな!///」

雛苺「ジュンをいじめちゃ駄目なの~! こっちにおいで。ほら、苺登らせ~!」ヒョイッ

ジュン「のわぁっ! 高いっ! 危ない! 下ろせ!!」

真紅「三人ともはしゃぐのは止めなさい」

ジュン「僕ははしゃいでないっ!」

真紅「じゃあ静かにしなさい」

ジュン「……僕は悪くないぞ」ブツブツ

14: 2009/10/15(木) 15:58:32.03 ID:cYqmq9B40
真紅「さぁ話し合いをしましょう。誰か意見はある? 何でも良いから言ってごらんなさい」

雛苺「真紅~、手に指輪が」

真紅「あら本当。契約の指輪がはまってるわね」

ジュン「逆に僕の手からは指輪が消えてるぞ」

翠星石「体だけじゃなくて立場まで入れ替わったみたいですぅ」

ジュン「じゃあ僕はドールの力が使えるのか? スィドリーム」

ス「」チカチカ

ジュン「おぉ。出てきた。てことは庭師の如雨露も」

ス「」シュォォォン パッ

ジュン「へー。ちょっと面白いな。健やかに~伸びやかに~ってね」

翠星石「こら! その如雨露は翠星石のですよ! 返せですぅ!」バッ

ドンガラガッシャン!

15: 2009/10/15(木) 16:03:53.04 ID:cYqmq9B40
翠星石「いたた。体が大きくなってるのを忘れてたですぅ」

ジュン「は、早くどけ! 苦しい!」モガモガ フニフニ

翠星石「ひぇっ!? 胸元でしゃべるなですぅ!///」

真紅「全く。二人とも何をしているの」

雛苺「ヒナ知ってるのよ。あれ、ぱふぱふっていうの!」

ジュン「お、重いぃぃ」ジタバタ

翠星石「失礼な! って、おっOいを揉むなですぅ!! んひゃあっ///」

17: 2009/10/15(木) 16:09:42.14 ID:cYqmq9B40
ジュン「あー苦しかった」ハーハー

翠星石「///」ドキドキ

真紅「落ち着いて話をしましょう。のり、紅茶を淹れて頂戴」

のり「はーい」パタパタ

翠星石「うぅぅ。汚された。責任取れですぅ……」

ジュン「僕は悪くないぞ。責任なんて知るか」

真紅「セリフだけ聞いてるとド外道よジュン。確かに原因は翠星石だけどね」

翠星石「真紅ぅ! 姉妹なら翠星石の味方をしろですぅ!」

真紅「今のは翠星石が悪いわ。胸に顔を埋めただけでしょう。それぐらい許しなさい」

翠星石「……じゃあ、てめーもやられてみろですぅ!」ムンズッ

ジュン「ちょっと待て。何で僕の頭を掴むんだ?」

21: 2009/10/15(木) 16:15:48.41 ID:cYqmq9B40
翠星石「そりゃあ!」ギュウッ グリグリ

真紅「あっ、はっ……ちょ、ちょっと止めなさい!///」

ジュン「うわっ、真紅ノーブラか? ヤバイって! 唇と桃色突起の物理的接触もあり得る!」

翠星石「チュパれば良いです。大丈夫。真紅は許してくれますよ」

ジュン「つーか削れる! 顔削れる! これパフパフじゃなくてゴリゴリ!」

真紅「」ピキッ

雛苺「あれれ。真紅が石になったの」

ジュン「……乳サイズがコンプレックスなのか? おーい、真紅~」

真紅「――――」

ジュン「参ったな。まともな頭脳が一つ減ったぞ」

翠星石「石化は金の針で治りますよ」

ジュン「お前、治す気ないだろ。治ったらお仕置きされるもんな」

翠星石「」タラリ

23: 2009/10/15(木) 16:21:17.98 ID:cYqmq9B40
ジュン「巨Oは皆の夢が詰まってるから大きくて、貧Oは皆に夢を与えてるから小さいらしいぞ」

翠星石「それ、励ましてるつもりですか?」

ジュン「ペチャパイ♪ 痴漢にあいにくい♪ ペチャパイ♪ 年取っても垂れない♪」

雛苺「その歌は何なの?」

ジュン「ブリーフ&トランクスの『ペチャパイ』」

翠星石「貧Oが自虐気味に歌う歌に聞こえるですぅ」

ジュン「君の胸はまるでトレース台のようだ。真っ平らだけど光り輝いてて、とても温かい」

真紅「……もう何も言わないで。惨めになるだけよ」ガックリ

雛苺「あ、復活したの」

24: 2009/10/15(木) 16:26:44.85 ID:cYqmq9B40
のり「はい。お待たせ~」カチャカチャ

真紅「ありがとう」

ジュン「あっ、そうだ。姉ちゃん。一つ頼んで良い?」

のり「なに?」

ジュン「子供服買ってきて。お金は後で払うから」

のり「まぁ、ジュン君ったらお洒落さんね♪」

ジュン「誰が着飾りたいって言った!? 女装してるのが嫌なんだよ!」

のり「分かったわ。デパートで買ってくるね」

のり「あ、そうだ。ジュン君。眼鏡無くて大丈夫? 物置に小さい頃のがあると思うけど」

ジュン「平気。ドールになったら目が良くなったみたいだ」

のり「はーい。じゃあ行ってきまーす」ガチャ

25: 2009/10/15(木) 16:32:06.38 ID:cYqmq9B40
翠星石「意見があります。蒼星石の事が気になるですぅ」

真紅「そうね。金糸雀にも連絡してみましょう」

――――

ジュン「電話してみたけど、どっちも変化は無いそうだ」

雛苺「人間になったのはヒナ達だけなのね」

翠星石「やれやれ。チビ苺は考えが浅いですぅ」

ジュン「水銀燈には連絡がつかないからな。僕達だけとは限らない」

雛苺「あっ。そう言えばそうなの」

真紅「蒼星石と金糸雀にはラプラスの魔を探すように頼んでおきましょう」

翠星石「あの兎の悪ふざけかもって事ですか? あり得る話ですね」

真紅「ん……ちょっと失礼するわね。あなた達だけで話しておいて頂戴」

ジュン「どこに行くんだ?」

真紅「花を摘みに行ってくるわ」

29: 2009/10/15(木) 16:37:19.10 ID:cYqmq9B40
ジュン「はぁ? 花なんか摘んでどうするんだよ。何の意味があるんだ?」

真紅「」スッ バチィィィン!!

ジュン「痛っ!? いきなり何すんだよ!」

真紅「デリカシーが無いあなたがいけないのよ」ガチャ バタン

ジュン「あ~痛い。何でこんな目に……」

雛苺「大丈夫? 痛いの痛いの飛んでけ~なの」ナデナデ

翠星石「今のはジュンが悪いです。花を摘むってのはおトイレに行くって意味ですよ」

ジュン「元々排泄しないくせにそんな言い回し使うなよ……」

翠星石「化粧を直すとか電話を借りるってのもおトイレの暗喩ですよ。覚えとけですぅ」

34: 2009/10/15(木) 16:43:46.32 ID:cYqmq9B40
ガチャ

真紅「戻ったわ」

ジュン「お帰り。ちょっと話してたんだけど、まず上に行こう」

真紅「何故?」

ジュン「鞄を直しておかないと僕の寝床が無い」

雛苺「一日二日なら平気だけど、鞄で寝ないと疲れが溜まっちゃうの」

真紅「なるほど。三個分の残骸を寄せ集めれば何とかなるかも知れないわね」

翠星石「残骸とはいえチビ人間に貸すのはシャクですが、仕方ないですね。恩にきろですぅ」

ジュン「へいへい。ありがとーありがとー」

真紅「じゃあ行きましょうか」

ジュン(あ、そうだ。普段いいように使われてるんだから、こんな時ぐらいは逆に使ってやれ)

ジュン「なぁ真紅」

真紅「?」

ジュン「抱っこしてくれよ」

36: 2009/10/15(木) 16:49:49.83 ID:cYqmq9B40
真紅「……あなたは下僕としての自覚が足りないようね」

ジュン「僕は下僕じゃな――いや、真紅は困ってる下僕を見捨てるような主人なのか?」

真紅「ぐっ」

ジュン「そんな主人に対して忠誠心や奉仕の心を持つ下僕なんているのかなぁ~?」

雛苺「ヒナが抱っこしてあげるの~」

ジュン「ありがとうな。でも抱き方が雑だから遠慮しておく」

真紅「す、翠星石っ」

翠星石「翠星石ですかっ!? ……い、一生恩に着て翠星石を敬うっていうなら抱っこしてやr」///

ジュン(拒否れ。揉みしだくぞ)ワキワキ

翠星石(ひっ!? い、イエッサー、ですぅ!)

翠星石「ジュンは真紅に頼んでるですよ! 大した手間でもないのに突っぱねるなんて不義理不人情の極みですぅ!」

39: 2009/10/15(木) 16:55:08.56 ID:cYqmq9B40
真紅「……分かったわ」スッ

ジュン「ん、ありがと」ストッ

ジュン「人に指導するだけあって、ちゃんとした抱き方だな」ユサユサ

真紅「当たり前なのだわ。あまり暴れないで頂戴」

ジュン「はいはい」

真紅「はいは一回」

ジュン「御意御意」

真紅「御意も一回」

ジュン「繰り返して意味を強調してるんだよ。『寒そう』と『寒々しい』なら後者の方がより寒そうだろ?」

真紅「言われてみればそうね。日本語は奥が深いわ……」

翠星石「くっちゃべってないでさっさと上れですぅ」

ジ・紅「はいはい」

トントントン

ジュン(ふーん。こりゃ楽ちんだ)

42: 2009/10/15(木) 17:00:22.37 ID:cYqmq9B40
カチャカチャ

雛苺「どう? 直りそう?」

ジュン「うん。蝶番を付けなおすだけで済みそうだ」

翠星石「登らなくても椅子に座れる、ってのは変な感じですねぇ」

真紅「くんくん……体が小さくても、私の中ではとても大きな存在よ」ギュッ

ピンポーン

翠星石「誰でしょう? 蒼星石や金糸雀なら窓から来るはずです」

雛苺「トゥモエかも」

ジュン「誰か出てくれ。知らない人だったら家人は留守だって言って追い返すんだぞ」

翠星石「チビ人間が出られないのは分かりますが、命令すんなですぅ」

ジュン「はっはっは。普段の僕の気持ちが理解できたか」

雛苺「行ってくるの~」パタパタ

真紅「雛苺だけじゃ不安ね。私も行くわ」

44: 2009/10/15(木) 17:06:00.23 ID:cYqmq9B40
ギャーギャー

ジュン「玄関が騒がしいな。何やってんだろ」

翠星石「さぁ」

トントントントン

ジュン「上がってきたか」

翠星石「足音が多いですね」

ガチャ

真紅「」ムスッ

ジュン「どうしたんだ?」

真紅「……これよ」

水銀燈「これとは何よ」

翠星石「水銀燈! てめーもでっかくなったですか!」

ジュン(つんつるてんのパジャマを着たグラマラス銀様か……ありだな)

45: 2009/10/15(木) 17:11:15.65 ID:cYqmq9B40
めぐ「お邪魔します」

ジュン「どちら様ですか?」

めぐ「柿崎めぐ。水銀燈のマスターです」

ジュン「僕は桜田ジュン。真紅、翠星石、雛苺のマスターだ。えっと、とりあえず服貸そうか?」

めぐ「ありがとう。枕カバーだけじゃ寒かったの」

ジュン(いや、寒い寒くないじゃなくて。恥ずかしくないのか?)ガサゴソ

ジュン「はいどうぞ。僕は部屋を出てるから。真紅、ステッキ借りるぞー」

真紅「丁寧に扱って頂戴ね」

ガチャ バタン

46: 2009/10/15(木) 17:16:54.49 ID:cYqmq9B40
めぐ「これ、可愛い服ね」シュルシュル キュッ

雛苺「ジュンが作ったの!」

水銀燈「あの人間、見た目だけじゃなく趣味も女々しいのね。女装までしてるし」

翠星石「文句あるなら服を返せですぅ」

めぐ「それは困っちゃうなぁ」

水銀燈「わ、分かったわよ。今の言葉、取り消せば良いんでしょう」

真紅「行儀良く玄関から入ってきたかと思えば傍若無人ぶりは変わらないのね」

水銀燈「何よその言い方は」ムカッ

真紅「別に。部屋が荒れなくて良かったわ。行き場が無くて逃げてきたんでしょう? 大変だったわね」

水銀燈「誰が逃げてきたですって?」ムカムカ

真紅「違うの? じゃあお茶を飲みにきたのかしら。それともアリスゲーム?」

51: 2009/10/15(木) 17:22:14.32 ID:cYqmq9B40
水銀燈「……お望みならやってやるわよ! アリスゲームを! 覚悟しなさぁい!!」

真紅「止めておきなさい。今のあなたは人間よ。普段の調子でいると怪我するわ」

水銀燈「っ! このぉっ!」パシィィン!

真紅「……やったわね!」グイッ!!

水銀燈「髪を引っ張るなんて卑怯よ!!」

雛苺「ケンカしちゃだめなのー!」

翠星石「相変わらず仲が悪いですねぇ。放っておけばいいです」

紅・銀「」ギャーギャー ドガッ ボゴッ メシャッ

ガチャッ!

ジュン「おい! 僕の部屋で暴れるな!」

翠星石「まだ着替え中ですよ!」ドスッ

ジュン「へぁぁぁ目が……って、あれ? 真っ暗だ」

雛苺「ひぃっ! 怖いの! ジュンの目が無くなってるの!」

翠星石「しまった。指を突っ込みすぎて目玉が飛び出しちゃったです!」コロコロコロ

54: 2009/10/15(木) 17:28:10.66 ID:cYqmq9B40
翠星石「まぶたを大きく開けてろですよー」ゴリュッ

ジュン「あ、あ、あ、あー、見えた見えた」

真紅「絆タックル! 絆マウント! 絆パンチ! 絆パンチ! 絆パンチ!」ドゴゴゴゴ!!

水銀燈「ぎゃっ、ひっ、ぐぇっ、ごあっ!」ビクンビクン!!

ジュン「……こんな光景は見たくなかったな~」

翠星石「与えられた力が強かった分、それに頼り過ぎたんですね。水銀燈は鍛錬が足りねーです」

めぐ「水銀燈。ブリッジして」

水銀燈「こ、こうっ!?」グッ

真紅「きゃ!?」グラッ

めぐ「相手の片手を抱きしめて、首に足を絡みつけるの。三角締めよ」

水銀燈「こうねっ!?」ギュウッ

ジュン「真紅。太ももをつねるか肛門に親指突っ込んで逃げろ」

真紅「むぐぐ」ブスッ

水銀燈「へはぁんっ」ピーン

58: 2009/10/15(木) 17:33:33.27 ID:cYqmq9B40
ジュン「止めるのも面倒だから僕達だけで下にいこうか」

紅・銀「」ギャーギャー

雛苺「二人ともおっOい丸出しなのー」

めぐ「パジャマと浴衣だからね。あられもない姿」クスッ

翠星石「ジュンッ!」ギランッ!

ジュン「見てないから目ぇ突くなよ。それより抱っこしてくれ」

翠星石「し、仕方無いですね~///」

雛苺「じゃあヒナはめぐを抱っこするの」

ジュン「危ないから駄目だってば」

雛苺「むーー! ヒナだってちゃんと抱っこできるの!」

ジュン「はぁ。じゃあ僕を抱っこしてくれ。翠星石は柿崎さんを頼む」

翠星石「……分かったですぅ」ムスッ

60: 2009/10/15(木) 17:39:09.36 ID:cYqmq9B40
ドッタンバッタン

雛苺「二階が騒がしいの~」

ジュン「無視してろ。柿崎さんは今回の件について、何か知ってる?」

めぐ「いいえ」ニコニコ

翠星石「非常時だってのに随分楽しそうですね」

めぐ「今ごろ病院がどうなってるかと思うと楽しくて」

雛苺「病院?」

めぐ「ええ。看護師さん達の慌てる顔が目に浮かぶわ。くすっ」

翠星石「めちゃくちゃ陰湿な笑顔ですね」ボソボソ

ジュン「あぁ……詮索しない方が良いな」ボソボソ



雛苺「めぐは入院してるの?」

ジ・翠(うわああああひないちごぉぉぉぉぉおおうううう!!)

64: 2009/10/15(木) 17:44:50.57 ID:cYqmq9B40
めぐ「そうよ。私は生まれつき、ここがジャンクなの」トントン

雛苺「ローザミスティカ?」

めぐ「似たようなものかな。だからずーっと病院にいたのよ」

雛苺「…………」

雛苺「ずっと? 一人で?」

めぐ「水銀燈に会うまでは一人だったなぁ。周りは偽善者ばかりで心はいつも一人ぼっち」

雛苺「ヒナも、マスターがお出かけする時は「鞄から出ちゃダメ」って言われてきたの」

雛苺「とっても退屈で、とっても寂しくて、とっても悲しくて……」グシュグシュ

めぐ「えっ? えっ、ちょっと?」

翠星石「こ、こら雛苺! 思いだし泣きなんかすんなですぅ!」

ジュン「そうだぞ! 今は翠星石も真紅もいるし、それに、ぼ、僕もいるじゃないか!」

雛苺「うぅぅ」ポロポロ

翠星石「ジュン、チビ苺をあやしてて下さい。翠星石は苺大福を取ってきますですぅ!」

ジュン「分かった!」

65: 2009/10/15(木) 17:51:23.02 ID:cYqmq9B40
ジュン「ソファーに登って、と」ヨジヨジ

ジュン「ほら。泣き止めって」ナデナデ

雛苺「」ヒックヒック

ジュン「寂しかったんだよな。じゃあ一緒に遊ぼう。だから泣くなよ。泣いてたら遊べないだろ?」

雛苺「うん……うん……」

ジュン「あ、そうだ。背が伸びたからダンスダンスレボリューションができるんじゃないか?」

雛苺「!!」

ジュン「ギターフリークスも肩から掛けて弾けるぞ」

雛苺「!!!」

ジュン「ドラムマニアもちゃんとしたセッティングでプレイできるな」

雛苺「ジュン! 何をもたもたしてるの!? 早くやるのよ!!」

ジュン「急に元気に――まぁ、いっか」

67: 2009/10/15(木) 17:56:59.62 ID:cYqmq9B40
雛苺「テレビ一台じゃ足りないの。物置から持ってくるね! みんなでやろっ!」ドタバタ

ジュン「……柿崎さんも一緒にプレイしてくれないかな?」

めぐ「え? 私は――」

ジュン「あいつはみんな一緒の方が喜ぶと思うんだ。お願いします」

めぐ「う、うん」

雛苺「どぉっこいしょぉ! テレビはジュンのお父様の部屋にもあるのよね。持ってくる!」

雛苺「あ、そうだ! ジュンのぱそこんも持ってくるね!」

ジュン「それは待てぇ!」

雛苺「や~なの! 待たないのー!」ドタバタ

ジュン「……あ~。雛苺が何をしたいか分かった」

ジュン「プレステ1、2、3とPCでDDR、ギタフリ、ドラマニ、BMを同時にプレイする気だ」

翠星石「レースゲームもテレビ一台ずつ使って対戦できますね」

ジュン「戻ったか。あやし過ぎたみたいだ。超ハイになっちゃってる」

翠星石「超鬱よりはマシですよ。ごくろーさまです。特別に翠星石の紅茶を振る舞ってあげますよ」ニコッ

68: 2009/10/15(木) 18:02:34.84 ID:cYqmq9B40
雛苺「同時にスタートするのよ。せーのっ!」

ポチッ

~♪

雛苺(DDR)「よっ、はっ、ほっ!」ニコニコ

翠星石(ドラマニ)「……おっOいが邪魔で腕を交差させにくいですぅ」

めぐ(BM)「あ、あ、あ、missばっかり」

ジュン(ギタフリ)「専コンを床に置いてプレイしてるんだけど、これだとお琴フリークスだよな」

~~♪

雛苺「後ちょっとでフルコンボ。そして――――決めっ!」ビシッ!!

雛苺「……ふふっ。キマったの。キマり過ぎて、ヒナ、自分が怖いの」フルフル



ジュン「ありがとう」ボソボソ

めぐ「ううん。私も楽しいし」ボソボソ

69: 2009/10/15(木) 18:09:08.05 ID:cYqmq9B40
翠星石「さぁそこをどくです。今度は翠星石が踊ります」

雛苺「えー。ヒナもっと踊りたいのー」

ジュン「じゃあDDRは二人プレイにしたらいいだろ」

雛苺「そうね!」

翠星石「翠星石の華麗なステップに酔いしれるがいいですぅ♪」

翠星石(って今の体だと、ステップよりも跳ね回るおっOいばかり見られるかも?)

翠星石「……///」ドキドキ

ジュン「2コンを繋いだぞ。どうした翠星石。踊らないのか?」

翠星石「う、うるさいですぅ、このエOチ人間!////」

ジュン「はぁっ!?」

雛苺「はいはい。スタートするのよ。ノンストップモードでGOなの!」

翠星石「あっ、待つです! 翠星石にも曲を選ばせろです!」

~♪

71: 2009/10/15(木) 18:14:28.13 ID:cYqmq9B40
翠星石「はぁ~、足が疲れちまいました。ジュン、ギター変われです」

ジュン「んじゃ僕はドラマニでも。あ、柿崎さんも別のやつやる?」

めぐ「ううん。これで良いよ。体動かさなくて済むから」

雛苺「めぐも踊るの! 踊るとスカッとするのよ!」

めぐ「でも運動すると発作とかあるから」

翠星石「今はドールの体だから平気なんじゃないですか?」

めぐ「あっ、そっか」

雛苺「あはは。めぐったらうっかりさんなの」

めぐ「よーし。じゃあ、思いっきり踊ってみようかな」

翠星石「体が小さいから、いっそ四つんばいで踊るのもありですよ」

ジュン「演奏するのは翠星石だけか。ミスするなよ?」

翠星石「当ったり前ですぅ。って言うか、ミスってもそっちに影響は無いですよ!」

ジュン「分かってるさ。気分だ気分。翠星石のギターに併せて踊るって気分」

雛苺「じゃあヒナは歌いながら踊るの! スタートするよ。せーのっ!」ポチッ

74: 2009/10/15(木) 18:20:15.24 ID:cYqmq9B40
一方、二階では。



真紅「き、絆パ……ンチ……」ヘロヘロ ポムス

水銀燈「いや……ぁ……」

真紅「ふ、ふふふ。もうヘバッたの? ふらふら……じゃない」フラフラ

水銀燈「それはあんたでしょぉ? 私はまだまだ……平気……よぉ」フラフラ

紅・銀「……はぅっ」グラッ

バタン バタン

紅・銀「」ハーハーハー

水銀燈「この私が、真紅相手にここまで苦戦するだなんて……」

真紅「苦戦? 惨敗の間違いじゃないの?」

水銀燈「そのザマで自分が勝ったと思ってるのぉ?」

真紅「少なくとも負けてはいないわね。だってあなたも倒れているもの」

75: 2009/10/15(木) 18:25:26.15 ID:cYqmq9B40
真紅「…………」

真紅「小憎らしいあなたを殴ったらスッキリしたわ。仲直りしましょうか」

水銀燈「はぁ!? 何言ってんの? 頭おかしいんじゃない?」

真紅「これからの事について、真面目な話よ。横やりを入れずに聞いて頂戴」

真紅「このままドールに戻れず、人間として暮らしていく場合を考えてみなさい」

真紅「鞄で寝て次のマスターを待つ事は出来ない。そして、人間は食べないと生きていけない」

水銀燈「っ!」

真紅「マスターがドールになり、私達は仮宿を失ってしまった。姉妹で助け合わないといけないわ」

水銀燈「……」

真紅「私だっていつまで桜田家にいれるか分からない。食い扶持が増えて家計が大変だと思うから」

真紅「私とあなたと翠星石で働けば部屋を借りるくらいすぐよ。きっと」

水銀燈「……蒼星石や金糸雀はどうしたのよ」

真紅「その二人はドールのままよ。アリスゲームはどうなるのかしらね。ジュンとあなたのマスターが代わりに戦うのかしら」

水銀燈「中止よ中止。そうに決まってるわ」

76: 2009/10/15(木) 18:30:39.63 ID:cYqmq9B40
真紅「水銀燈」スッ

水銀燈「何よ。この手は」

真紅「仲直りの握手よ」

水銀燈「……あんたと手を結ぶくらいなら私は一人で生きていくわ」

真紅「過去という鎖に縛られたままだとその重みで溺れ氏ぬわよ」

水銀燈「うるさいわよ」

真紅「一人で生きていくならそれも良いわ。あなたの選ぶ道だもの」

真紅「でも、せめてあなたが住まいを見つけるまでで良いから、仲直りしましょう」

水銀燈「……」



ギュッ



真紅「ありがとう」

水銀燈「……フンッ」プイッ

78: 2009/10/15(木) 18:36:03.50 ID:cYqmq9B40
めぐ「はぁはぁ……ふふふっ。運動して息が切れるのって初めてかも」

雛苺「喉乾いたの~」

翠星石「さっき用意した紅茶、は冷めちまってますね。翠星石が淹れておくからもっとゲーム持って来いですぅ」

ジュン「太鼓の達人はどこにしまったかな~」

雛苺「パラパラパラダイスなら物置の隅にあったのよ」

ジュン「そう言えば、さっきから二階が静かだな」

めぐ「二人ももう疲れて喧嘩を止めちゃったんじゃないかな」

雛苺「じゃあ呼んでくるね。真紅達も一緒だともっと楽しいの!」

81: 2009/10/15(木) 18:41:21.31 ID:cYqmq9B40
ガチャッ

雛苺「真紅~。水銀燈~。もうケンカは終わったの?」

水銀燈「」サッ

雛苺「あれぇ? いま手を繋いでなかった?」

水銀燈「み、見間違いよ。そんな事あるわけないじゃない!」

雛苺「……ふ~ん。あのね、下でゲームしてるの。一緒に遊ぼ!」

水銀燈「はぁ? 子供の遊びに付き合うほど私は暇じゃな――」

真紅「水銀燈」

水銀燈「くっ……し、仕方ないわね。付き合ってあげるわぁ」

雛苺「わーい!」

84: 2009/10/15(木) 18:47:10.78 ID:cYqmq9B40
雛苺「二人を連れて来たのよ!」

ジュン「こっちはキーボードマニアとドンキーコンガ、さらにBMの専コンを発掘しておいたぞ」

雛苺「わぁっ! めぐ凄いの! まるでブレイクなの!」

めぐ「ブレイクって、ブレイクダンスの事?」タタタッ!

翠星石「手で体を支えて足を動かす辺り、ちょっと似てますね」

めぐ「足だけだと間に合わないから手を使ってみたんだけど」タタンッ! タンタタ!!

ジュン「上手だなぁ。初めてのDDRでこれだけ踊れるのは凄い」

めぐ「そ、そうかな? ふふふっ」

真紅「……みんな楽しそうね」

水銀燈「……殴り合ってたのが馬鹿らしく思えてきたわ」

雛苺「ほら。コントローラーはまだ空いてるのよ。真紅達もやるの!」

真紅「体中が痛いから動かなくて済むものがいいわね」

水銀燈「私も」

87: 2009/10/15(木) 18:52:36.40 ID:cYqmq9B40
――――

蒼星石「」ひゅーん

金糸雀「」ふわふわ

蒼星石「あ、金糸雀。こんにちは」

金糸雀「ええ。こんにちは。何か分かったかしら?」

蒼星石「ううん。何も」

金糸雀「カナの方もさっぱりかしら」

蒼星石「ん? あれはのりさんじゃないかな?」

金糸雀「そうね。会いにいくかしら」

ひゅーん

のり「あら。二人ともこんにちは。家のみんなに会いに来たの? さぁ入って入って」

88: 2009/10/15(木) 18:59:42.77 ID:cYqmq9B40
のり「ただいまー!」

蒼・金「お邪魔します(+かしら)」

全「おかえり(+各語尾)」

の蒼金「……何をしてるの?」

ジュン「見ての通りだよ」

のり「ジュン君がゴス口リ姿でパラパラ。知らない女の子がドレス姿でコンガ」

蒼星石「ジャージ姿の翠星石が太鼓を叩き、雛苺はラフな格好でDJみたいなことしてる」

金糸雀「そして真紅が浴衣姿でギターを弾いて……ええっ!? ぱ、パジャマ姿の水銀燈が踊ってるかしら!」

ジュン「そうだ。僕達は今、音楽をしてるんだよ」

金糸雀「カオスかしら……」

真紅「はっ。蒼星石、金糸雀、ごめんなさい。あなた達に仕事を頼んでおいて、自分が遊んでいただなんて」

蒼星石「いいよ。スィドリームと――」 金糸雀「ホーリエが知らせに来てくれたかしら」

紅・翠「えっ?」

ジュン「もう完全に遊ぶ流れだったからな。ご苦労様」

ホ・ス「」チカチカ

89: 2009/10/15(木) 19:06:07.23 ID:cYqmq9B40
雛苺「のりも一緒にやろー!」

めぐ「お邪魔してます。柿崎めぐといいます。ほら水銀燈も」

水銀燈「……ローゼンメイデン第一ドール。水銀燈よ」

のり「これはご丁寧に。私は桜田のりです。良かったら私の服、貸そうか?」

水銀燈「そうね。ずっとパジャマなのもアレだし。借りておくわぁ」

金糸雀「わぁ~。色んなゲームがあるのね。これはどうやって遊ぶのかしら?」

翠星石「これはキーボードと言って、鍵盤を足で踏んで音を鳴らす楽器ですよ」

ジュン「どこの柔道家だ。ってか、そんな古いネタ誰もついてこれないだろ」

金糸雀「よっと。な、中々難しいかしら」ヨタヨタ ピロンポロン♪

ジュン「お前も信じるなよ! ピアノくらい見た事あるだろ!?」



その後、皆は疲れ果てるまで一緒にゲームをして遊んだ。

(めぐの事情を知ったのりが、こっそり病院に連絡を入れる一幕もあった)

90: 2009/10/15(木) 19:11:44.29 ID:cYqmq9B40
夕食。


のり「はーいみんなー。今日はチーズフォンデュよー」

全「わー」パチパチパチ

のり「苺と卵焼きも用意してるわ!」

苺・金「キャーーーッ!!」

ジュン「苺にチーズからめて食うのか……」

翠星石「当人が喜んでるならそれで良いんですよ。多分……」

水銀燈「まさか姉妹揃って食卓を囲む日が来るとはね」

真紅「ええ」

蒼星石「楽しいね」ニコニコ

のり「さぁみんな。手を合わせて」スッ

のり「いただきます」

全「いただきまーーす!」

91: 2009/10/15(木) 19:17:10.72 ID:cYqmq9B40
その日の夜。皆はリビングに布団を敷き詰めて雑魚寝している。

だがジュンは不思議な場所にいた。

思考がぼやけていて夢か現か分からないが、真っ白な世界の中でふわふわと浮かんでいるようだった。

そこでジュンは声を聞いた。

92: 2009/10/15(木) 19:23:05.23 ID:cYqmq9B40
翌朝。

のり「良い朝。こうして皆で寝起きすると合宿みたいで楽しいわ」

雛苺「むにゅむにゅ……おはよーなのー」

のり「あれ? ヒナちゃん。ドールに戻ってるわよ」

雛苺「ええっ? ほ、本当なの!!」

翠星石「ううーん。うるさいですねぇ」

雛苺「翠星石! ヒナ達ドールに戻ってるのよ!!」

翠星石「おおぉっ!? 真紅、水銀燈! 起きろです! 寝てる場合じゃねーですよ!」

翠星石「って、うわぁぁぁ! 人間に戻ったジュンが服を引き裂いて、素っ裸になってるです!」

のり「ジュン君。立派になって……今夜はお赤飯ね」

雛苺「ぞうさんがパオーンしてるの」

のり「朝はこうなっちゃうのよ。記念に撮影しておかないと」

ジュン「zzzzz」

ジュン以外「////」ジーッ パシャパシャ

96: 2009/10/15(木) 19:28:36.37 ID:cYqmq9B40
……

…………

………………



「おまえらぁぁああああああああああ!!!!!」



通行人「っ!?」ビクッ

97: 2009/10/15(木) 19:34:10.09 ID:cYqmq9B40
翠星石「翠星石の目玉はどこですかぁぁぁぁ」ヨロヨロ ガスッ 「痛っ」 ゴツッ 「痛っ」

蒼星石「ジュン君。返してあげてくれないかな」

ジュン「もう少し後で」

のり「布団叩きでお尻叩かれた」ヒリヒリ

ジュン「写真なんて撮るからだ! 削除削除」

のり(デジカメからPCに退避済みだけどね)

雛苺「なんでのりと翠星石がお仕置きされてるの?」

真紅「翠星石のは仕返しでしょうね。裸見られたら目を突く。やり返されただけよ」

金糸雀「はわ、あわ、あわ、男の人ってあんな風になるのかしらぁ///」

水銀燈「汚らわしいだけじゃない……まぁ逞しくはあったけど」

めぐ「凄かったね」

99: 2009/10/15(木) 19:39:47.94 ID:cYqmq9B40
真紅「それにしても、何故元通りになったのかしら」

ジュン「それは……ローゼンの仕業だったんだよ」

水銀燈「お父様のっ!?」

めぐ「私、夢の中で男の人が話しかけてきたんだけど、その人かな」

ジュン「多分そうだ。僕の夢にも出てきた。人形師ローゼン。ドールズの生みの親だよ」

真紅「それでお父様は何と言っていたの?」

ジュン「」チラッ

めぐ「」コクン

ジュン「ドールとマスターの絆を深める為だったそうだ」

めぐ「一度、立場を変えてみたらお互いの事がよく分かるから、だって」

102: 2009/10/15(木) 19:45:24.70 ID:cYqmq9B40
真紅「……お父様ったら。せめて一言言って下されば」

翠星石「ずるいですよジュン! お父様とお話するなんて!」

ジュン「それを僕に言われてもな」

金糸雀「カナ達はどうしてそのままだったのかしら」

めぐ「ドールとマスターが互いに理解しあっているから必要無かったんじゃないかな」

蒼星石「そっか。人になるのは楽しそうだったけど、それはそれで嬉しい話だなぁ」

翠星石「ずるいです、ずるいですぅ!」

ジュン「うるさいぞ。あ、そうだ。お前らにはローゼンからプレゼントがあるぞ」

ドールズ「本当っ!?」

ジュン「新しい鞄と服だって。蒼星石達の家にも届いてるはずだ」

ドールズ「……」

ドールズ「お父様」ウルウル

103: 2009/10/15(木) 19:51:11.97 ID:cYqmq9B40
こうして今回の件は終わったのだが、実は秘密にされてしまった話が一つあった。


めぐ(ローゼンさんの真意。それは――)

ジュン(真紅と水銀燈の仲直りだった)


アリスゲーム以外にもアリスに至る道はある。だがその道を選ぶにはあまりにも、二人の仲が悪すぎた。


めぐ(あの二人が喧嘩すれば、それはもう頃し合いになってしまう)

ジュン(だからドールとしての力を奪い、人間として思いっきり喧嘩させたんだ)


そうして溜まったものを吐き出させ、関係を修復する事が目的だったのだ。

だがそれを二人に言うわけにもいかなくて、ジュンとめぐは絆を深めるという話をしたのだった。

ドールに戻った水銀燈はアリスゲームを止めるつもりが無く、しばしば桜田家を襲っている。

だが世話になった恩を感じているのか、ジュンを攻撃しなくなった。

そして姉妹、特に真紅に対してもあまり敵意を見せなくなり、罵声を吐くのも止めた。

辛そうな顔をして戦う水銀燈に真紅が和解を持ちかけ、水銀燈が逃げ去るのが最近よく見られる光景である。

107: 2009/10/15(木) 19:56:57.49 ID:cYqmq9B40
ジュン「みんな、大丈夫か?」

翠星石「平気ですぅ。怪我もないし」

真紅「……水銀燈もその内アリスゲーム以外の可能性を追ってくれると良いわね」

雛苺「それよりお腹減ったの~!」

ジュン「戦いの直後なのに元気なやつだな。んじゃ下にいくか」

真紅「抱っこして頂戴」

ジュン「……仕方ないな。階段は本当に大変だったし。ほら」

雛苺「ヒナもヒナもー!」

ジュン「分かったよ」

翠星石「す、翠星石も抱っこしろですぅ!」

ジュン「手ぇ塞がってるから勝手に登れ」

翠星石「良いですか。真紅と雛苺だけ楽してるのが不公平だから登るんですよ。勘違いするなですぅ!」


立場を入れ替える事で絆を深める、という話も別に嘘ではない。
この件以降、ジュンはドールズに対して少しだけ優しくなったのだった。

おしまい。

116: 2009/10/15(木) 20:05:46.30 ID:cYqmq9B40
完全に立場を入れ替えて桜田家の運動不足ドールズとか病弱銀様とかスーツ眼鏡の大人リアとかも考えた。
けどそうすると蒼星石が乙女から一気に老人へ。


翠星石「どうしたんですか蒼星石! そんなにヨボヨボになって!」

ジュン「年寄りマスターの影響を受けたのか」

真紅「胸がぺたんこ…… っ!! まさか垂れ」

蒼星石「お願い。それ以上言わないで」


蒼薔薇の媼はさすがに可哀想過ぎるので止めた。


俺は一度ローゼンSSから手を引いて別作品のSSやオリジナルを書くつもりです。
バラバラの人って名前でSS書くのはこれが最後かな。
過去作はぷん太に幾つか載ってるので読んで貰えたら嬉しいです。
ちなみに俺のお気に入りは、苺落とし、ジュン君大好きだよ、双子達磨、そして復学。
このスレがぷん太の目に留まるかは分からないけど、今まで載せてくれてありがとうございましたー、とこの場を借りてお礼を言っておこう。
vipに投下してレスつくのも嬉しいけど、載ってコメントがつくと更に嬉しいんだよなぁ。

では、さよならノシ

118: 2009/10/15(木) 20:10:00.25 ID:6KJR4X7rO
乙よかった

引用: ジュン「抱っこしてくれよ」