309: 2012/03/03(土) 23:25:46.41 ID:Sd6hYfzDO

麦野「フレンダは…私が殺した」【前編】


青ピ「ここか…」

第十学区にある墓地に患者着の青い髪の少年がいた。

墓地と言ってもビル内にある墓地である。いくつもの墓が収容されているが、それらの墓が点在している訳ではない。普段は見えないところに収容されており、番号を入力すると墓が出てくるという方式だ。

青ピ「言われるままに来てもうたけどな…」

青い髪の少年の正体はとある高校のデルタフォースの一角。元暗部組織『ウォール』のリーダー。学園都市に七人しかいないLevel5第六位【隠密行動】である。

彼は自分の彼女の墓参りに来ていた。彼女の名前はフレンダ=セイヴェルン。暗部組織『アイテム』の幹部であった。二月程前に『アイテム』のリーダー、Level5第四位【原子崩し】麦野沈利により殺害されていた。

8月31日(さいごのひ)
296: 2012/03/03(土) 00:00:18.22 ID:Sd6hYfzDO

布団に入って今日のことを順に思い出す。
自分のケガの具合を聞いた。
滝壺も絹旗も私の罪を背負うと言ってくれた。
フレメアにフレンダのことを告白した。
フレメアと第六位が来てフレンダのことを話した。
フレメアはフレンダの墓でフレンダとフレメアと第六位に謝れと言い、去って行った。
肝心なところでいなかった浜面を(ちょっとキツめに)からかった。

だが、ここまで思い出して肝心なことを忘れていることに気付いた。


297: 2012/03/03(土) 00:01:19.39 ID:Sd6hYfzDO

今朝起きる前に見た夢のこと。

フレンダが出てきて、フレンダは必氏に懇願して、最期は絶望に顔を染めて…

麦野「…フレンダ…」

そっと、自分が頃した仲間の名前を呟いた。

麦野「…ごめんなさい…フレンダ…」


298: 2012/03/03(土) 00:02:46.28 ID:Sd6hYfzDO


その時、コンコン、という音が扉からした。

すでに消灯時間は過ぎている。遅くまで電気が付けっ放しになっていたり、こちら側から呼ばない限り、看護師が訪れることはない。

麦野は不思議に思ったが、ベットから上半身だけを起こした。

麦野「どうぞ」

ガラリ、と扉が開いた。しかし、人の気配はしない。既に暗闇に慣れている麦野の目にも誰も写らない。

しかし、病院の夜の静寂の中、ほんのわずかにだけ足音がした。


299: 2012/03/03(土) 00:05:40.46 ID:Sd6hYfzDO

麦野(そういえば…)

ここで麦野は思い出した。

ロシアから戻って聞いた、フレンダの遺体の行方。

フレンダの遺体は一度この病院に預けられたと聞いた。というのも、上半身と下半身の発見時間が異なり、発見者も異なったからだ。

上半身は麦野が放置したあとから、暗部組織が回収した。しかし、下半身はそれよりも前にビル爆発の野次馬に発見されていた。そして、野次馬は警備員に連絡。警備員は身元確認までの一時的な安置場に困ったためにこの第七学区の病院に預けた、と。

ならば、今耳にしている音は?見えない訪問者とは?


300: 2012/03/03(土) 00:07:37.79 ID:Sd6hYfzDO


しかし、麦野は冷静だった。

麦野「なんの用かしら?第六位」

すると、なにもなかったところに急に青髪ピアスが現れた。だが、昼間に会った時と違い、患者着だった。

青ピ「ふん、さすがにビビったりせぇへんか」

麦野「当たり前だろ。いい趣味してんじゃないの」

青ピ「そうやな。仲間の上半身引きずり回すよりずっとええ趣味やわ」

麦野「…」

青ピ「フレメアちゃんはああ言ったがな、僕は少しも許す気も納得する気もあらへん。お前が何をしようがな」

麦野「…ええ、もともとそのつもり。許されることじゃない。フレメアと、私の仲間が甘過ぎるのよ」

青ピ「ふん…」


麦野「それで、なんの用かしら?また襲撃するつもりならノックする必要もないし、わざとらしい足音も消してたはずだけど」


301: 2012/03/03(土) 00:10:40.75 ID:Sd6hYfzDO

青ピ「釘を刺しにきたんや。お前の義務をな」

麦野「義務?」

青ピ「今後、何があろうともフレメアちゃんを守れ」

麦野「…」

青ピ「本来なら、フレンダが守るはずやったんや。せやけど、フレンダはお前が頃した。なら、お前はフレメアちゃんを守り続ける義務がある」

青髪ピアスは統括理事会に脅迫的なメッセージを送り付けた。そもそもフレメア自身は特異な能力を持ち合わせていないため、今後統括理事会が無理を通してまでフレメアに手を出すことはないだろう。

だが、フレメアを狙うのはなにも統括理事会だけではない。誰でもいいから金ヅルを探しているスキルアウト、研究素体を探している科学者、他にもろくでもない連中はごろごろいる。


302: 2012/03/03(土) 00:12:05.17 ID:Sd6hYfzDO

麦野「…フレメアがそれを許すと思う?」

青ピ「なら気付かれへんように守れ」

麦野「…」

青ピ「…本来なら僕かてこんなこと言いたない。せやけど、僕はまだやることがあんねん。もうしばらくフレメアちゃんのそばにはおれん」

麦野「…お前は暗部を抜けたんじゃねぇのか?」

青ピ「こっちにもいろいろあるっちゅうことや」

麦野「…そう」

青ピ「…お前がホンマにフレンダのことを後悔してるんやったら、アイツの置き形見くらい守ってみせぇ」

その言葉だけ残して、青髪ピアスは再び消えた。


303: 2012/03/03(土) 00:13:34.70 ID:Sd6hYfzDO


麦野「…言われるまでもねぇ」

麦野は決意する。

麦野「私は学園都市第四位の【原子崩し】。『アイテム』のリーダー麦野沈利だ」


麦野「ガキ一人守れないなら学園都市第四位の看板なんて下ろしてやる。仲間の宝の一つも守れないならリーダーなんて肩書きもとっぱらってやる」



304: 2012/03/03(土) 00:15:50.88 ID:Sd6hYfzDO



-フレンダ



-できることなら、もう一度会いたい



-会ってちゃんと謝りたい



-自分で頃しておいて何を今さらって思うけど…



-それでも謝りたい



-アンタは許してはくれないでしょうけど



-ならせめて、アンタが自慢に思ってくれた『麦野沈利』を最後まで貫き通す



-もう二度と狂ったりはしない



-居場所も仲間も守ってみせる



-アンタの大事なものも守ってみせる



-だから、アンタが自慢に思ってくれた『麦野沈利』らしく、身勝手に言わせてちょうだい



-今までありがとう



-本当にごめんね



-フレンダ


305: 2012/03/03(土) 00:30:13.98 ID:Sd6hYfzDO
麦野「フレンダは…私が頃した」本編はここまでです。



さて、以前申しました通り、この話には二回エンディングがあります
次は外伝みたいなモンすかね
後日談…とはちと違います
てか、こんだけ青ピ率いる『ウォール』出しといてこのまま終われないんで
もう少し、お付き合い願います。

310: 2012/03/03(土) 23:27:54.98 ID:Sd6hYfzDO

青髪ピアスは紙切れで確認しながらフレンダの墓の番号を入力する。

この紙切れはフレンダの部下だった浜面という男からもらったものだ。

青髪ピアスは現実主義者である。『人間、氏んだらそこまで』。だから、墓参りに行く意味なんてない。そう思っていた。

だが、件の浜面という男に促されたことと、後日『アイテム』の幹部全員とフレンダの妹のフレメアと共にフレンダの墓を訪れることになっているために、先に自分一人で来たのだった。


311: 2012/03/03(土) 23:29:06.03 ID:Sd6hYfzDO

青ピ「…僕も大概に夢想家やな。先に一人で墓を見たいと思うなんて」

やがて、フレンダの墓が出てきた。墓石ではなく、白くやや小さめの十字架であった。そこには、横書きの英語でフレンダの名前が刻まれていた。

青ピ「…ま、こんなもんやろ」

青髪ピアスはため息を吐く。それも、落胆したように。


312: 2012/03/03(土) 23:30:57.28 ID:Sd6hYfzDO

青ピ「こんなんバッテンにフレンダって書かれてるだけや」

-………


青ピ「こんなんがフレンダな訳あるか。あってたまるか」


-………



青ピ「ようは幻想や幻想。残された人間が自分を慰めるために作っただけのモンや」



-……ト




青ピ「…せやけど」




-…クト





青ピ「だけど、この思い出は…」





-アクト






青ピ「幻想なんかじゃないよな……」






-「結局、アクトは私に惚れてるって訳よ!」






青ピ「フレンダ…」



313: 2012/03/03(土) 23:32:25.90 ID:Sd6hYfzDO





一年前、九月-


「に、逃げろ!俺らの手に負えねぇ!」

「ボス!早くこち…ガ…」

「クソ!怯むなてめぇら!時間稼ぎに撤しやがれ!」

とある操車場。学園都市のとある組織と外部のとある組織間で深夜に機密情報と2000万ドルの取引が行われる。


314: 2012/03/03(土) 23:33:33.23 ID:Sd6hYfzDO

「アシやられました!逃げられません!」

「何やってんだバカども!」

取引の最中、暗部組織『ウォール』が襲撃。取引現場を押さえる。学園都市のとある組織がこれに抗戦。

「ボス!アシ確保できましたこちらへ!」

「! でかした!」

現場に来ていた学園都市のとある組織、見えない敵を前に壊滅。数名が氏亡、十余名が重傷。


315: 2012/03/03(土) 23:35:53.90 ID:Sd6hYfzDO

「ふぃ~、生きた心地がしなかったぞ」

「危ないところでしたな。」

「まったくだ。危ない橋はもっと慎重に渡るべき…おい、何で止まったんだ?早く出せ!」

「いやいや、あなたには組織のことを残らず全て吐いてもらわねば。影武者殿。」

「! き、貴様!裏切るのか!?」

「何を言っている。もともと仲間ではない。」

「クソが!五年も組織に属していながら…!」

「五年?俺は三日前に初めて貴様を見たのだがな。」

「何を…」

「特殊メイクだ。お前の仲間はとうの昔に塀の内側だ。」

「!? バカな…」

「さあ、全部話してもらおうか。内臓を全て人工臓器にしたくなければ早く吐くんだな。」

学園都市のとある組織、後日『ウォール』の急襲を受け完全に解体。首領及び幹部は全員葬られる。


316: 2012/03/03(土) 23:37:21.01 ID:Sd6hYfzDO

「ヒ、ヒィ…」

「アンタが外部とのパイプ役か」

「ど、どこだ!どこにいる!」

「教えるわけないだ…ろ!っと」

「グハッ!?」

「ほ~れ、とっとと降参しないともっと痛い目みるぞ?」

「わ、分かった!降参だ!」

「潔いなぁ。ほな、サイナラ」

「グァッ!?」



317: 2012/03/03(土) 23:38:22.15 ID:Sd6hYfzDO



「あ、霧谷ちゃん?こっち終わったで」

『了解で。横須賀さんも終わったようなんで』

「さよか。外部とのパイプ役は手足縛っとるさかい、適当に尋問したあとどっかの研究所回すように下部組織に言っといてや」

『了解で』

「僕このまま直帰するわ、ほなな」

外部のとある組織、以後学園都市との一切の関わりを絶つ。なお、仲介人は学園都市の闇へと消える。


318: 2012/03/03(土) 23:40:12.66 ID:Sd6hYfzDO

学園都市の裏路地、とあるビルの非常階段下に姿の無い少年はいた。

青ピ(ここなら誰にも見られないだろ…)

姿の無い少年は周囲を見渡す。当然、人の気配は無い。

青ピ「能力解除、と。あぁ~疲れ…」

???「ウソ!?ちょっとどいてぇ!」

青ピ「ん?うお!?」

急に女の声、次いで上から何かが降ってきた。

???「ったぁ~…」

青ピ「い、一体なにが…ん?」

青髪ピアスは目を丸くする。暗がりでよく見えないが、自分の上に降ってきたのは…

青ピ「女の子?」


319: 2012/03/03(土) 23:58:01.69 ID:Sd6hYfzDO
麦野「フレンダは…私が頃した」外伝スタートです。

レスありがとうございます。
本編をご愛顧いただきありがとうございます。
楽しみにしてもらって嬉しいです。

さて、今回の外伝ですが、ほぼ麦のんの出番なしです。
読んでの通り青ピ主体です。
タイトル詐欺とか言わないで
だいたい原作だってタイトルのわりにインデックスさん出てこnゲフンゲフン

320: 2012/03/04(日) 22:36:56.67 ID:sxxswmxDO

-第七学区、病院

<コンコン

???「はーい、どーぞー」

<ガララ

青ピ「…ども」

???「あぁ、アンタか」

青ピ「ホンマすまんかったなあ、完全に僕の不注意やわ」

???「いやいや別にアンタが悪い訳じゃないって!結局、病院まで運んでもらった訳だし!」

青ピ「せやけど、足にヒビ入ってんねやろ?」

???「あー…まあうん。けど、ちゃんと連れてきてくれた訳だし」


321: 2012/03/04(日) 22:39:07.79 ID:sxxswmxDO

青ピ(まさか一般人と接触してケガさせるなんてな…下手すりゃ巻き込んでるぞ)

昨晩、青髪ピアスの上に落下してきたのは金髪の少女だった。おまけに、ぶつかった際に打ち所が悪かったのか足にヒビが入ってしまったと言う。そのためにギブスをはめ、さらには検査入院となってしまった。


青ピ(こーゆーかわいくて明るい娘は暗い世界に来るべきじゃないよな)

青髪ピアスは深く反省した。もし、昨日の抗争に彼女を巻き込んでいたら彼女もタダではすまない。最悪この街の最下層へまっ逆さま。そんな目にあわせる訳にはいかない。

青ピ「ホンマすまんかった。僕にできることがあったらなんでも言ってや」

???「だからいいって…まさかオシオキ代わってなんて言えないし…」ボソッ

青ピ「なんて?」

???「わ、いやいやなんでもないなんでもない!」

青ピ「?」

少女は何かを呟いたが青髪ピアスには聞き取れなかった。


322: 2012/03/04(日) 22:42:06.33 ID:sxxswmxDO

???「そ、そう言えばアンタ名前は?結局、まだ教えてもらってない訳よ」

青ピ「え?あー」

青髪ピアスは少しだけ間を空けた。

青ピ(【隠密行動】は裏の通り名みたいなモンだしな…伏せといた方がいいか)



青ピ「山田太郎や」

???「…ホントに?今時そんな名前の日本人なんている訳?」

青ピ「そう思うやろ?僕も気に入っとらんねん。せやから僕のことは青髪ピアスって覚えといてや」

???「アハハ、なにそれ。じゃ、略して青ピって訳よ」

青ピ「かめへんかめへん。ほんで、君の名前は?」



???「私はフレンダ=セイヴェルン。よろしく」



323: 2012/03/04(日) 22:43:52.33 ID:sxxswmxDO



青ピ「ほえー、やっぱ外人さんやったんか」

フレンダ「そういう訳よ。見た目通りでしょ?」

青ピ「まったくや。せやけど、なんで学園都市に?日本語ペラペラやさかい日本育ちかいな」

フレンダ「あー…」

すると、フレンダは何か困ったように目を反らした。

青ピ「…言いたないんやったら言わんでええよ」

フレンダ「あ、そう?」

青ピ「うん。誰でも言いたないことの一つや二つあるモンや」

フレンダ「そ。アンタやっぱいいヤツね」

青ピ「そんなんちゃうて」

青ピ(たぶん言いたくないことはこっちのがいっぱいあるし。こう言っておけば向こうも詮索しないだろ)


324: 2012/03/04(日) 22:46:23.52 ID:sxxswmxDO

青ピ「それよかホンマに僕ができることあらへんか?とりあえず治療費くらいなら僕が出すさかい…」

フレンダ「だからアンタが気負うことなんか…あ、そうだ」

フレンダは何かを思い出したらしく、ベッド脇の大きな紙袋をガサゴソとあさりはじめた。

青ピ「なんや?」

フレンダ「結局、治療費払うくらいならこれに付き合ってほしい訳よ」

そう言ってフレンダは紙袋からピッ、と何かのチケットを取り出した。カラフルな色彩がやたらと印象的なチケットだった。

青ピ「…遊園地?」

フレンダ「そ。本当は妹と休日に行く予定だったんだけど、結局これだからね」

青ピ「…すまん」

フレンダ「あ、違う違う今のはそーゆーのじゃなくて…ま、いいや。とにかく、脚のギブスが外れる予定日とこの招待券の有効期限が一致してる訳よ」

青ピ「…ほんで?」

フレンダ「もったいないから一緒に行こって訳よ」

青ピ「うぇ!?妹さんはええの!?」

フレンダ「結局、平日だから学校な訳よ。ま、アンタも学校かもしれないけど付き合ってくれるでしょ?」

青髪ピアスだって学校になんか通っていない。だから別に世間的に平日だろうが休日だろうが問題はない。

325: 2012/03/04(日) 22:47:37.93 ID:sxxswmxDO

だが…

青ピ「…僕でええの?ケガさせた張本人やで?」

フレンダ「だーかーらー、別にいいっての。結局、関西弁なんて聞いてるだけで楽しいし。なんでもするんじゃない訳?」

青ピ「…お供します」

フレンダ「ニャハハ!よろしい!」


326: 2012/03/04(日) 22:49:47.57 ID:sxxswmxDO

-後日、遊園地前

青髪ピアスは遊園地の前にいた。例のフレンダをエスコートするためだ。

相手がなんのかんの言っても、下手したら相手の人生をメチャクチャにする可能性だってあったのだ。なら、その償いはしっかりせねば。青髪ピアスはそう思っていた。

青ピ(てか、遊園地なんてはじめてだけどな)

青髪ピアスが物心ついた時には『置き去り』の施設にいた。8つのころには研究所に回された。13になるころには暗部デビューだ。遊園地なんてところに行けるわけもない。

なので、実は青髪ピアス自身それなりにワクワクしていた。


327: 2012/03/04(日) 22:51:16.44 ID:sxxswmxDO

青ピ「お」

フレンダ「ん。待ち合わせの時間より早く来てるわね。かんしんかんしん!」

青ピ「もちろんや。こんなかわええ娘ぉエスコートすんねんから」

フレンダ「ニャハハハハ!よい心がけじゃ!誉めてつかわす!」

青ピ「ははー」

フレンダ「よっし、それじゃ早速攻めかかるぞー!」

青ピ「おー!」


328: 2012/03/04(日) 22:52:22.90 ID:sxxswmxDO



フレンダ「いや~いい景気付けになった訳よ」

青ピ「フリーフォールやったっけ?初っぱなから攻めるなぁ」

フレンダ「平日だからなんでもやりたい放題な訳よ!この後もガンガン行くから覚悟しときなさい!」

青ピ「望むところや!」




329: 2012/03/04(日) 22:53:31.42 ID:sxxswmxDO



フレンダ「いや~、流石は学園都市!」

青ピ「ジェットコースターってあないな角度で縦スクリューしながら降下するんな。はじめてやったわ」

フレンダ「スリル満点って訳よ!」

青ピ「…酔ったりせぇへんの?」

フレンダ「? 全然?」

青ピ「…さいでっか」

フレンダ「さ、次行くわよ、次~♪」

青ピ「おーう」




330: 2012/03/04(日) 22:55:13.51 ID:sxxswmxDO



フレンダ「結局かなりの代物だったわね!」

青ピ「一回転はおろかほぼ減速なしで高速二回転半して逆さまで止まるバイキングってなんやねん…」

フレンダ「さっすが新装開店って訳よ!」

青ピ「…化け物ばっかや…」ウプッ

フレンダ「さ~て次は…」

青ピ「ちょ、ちょおタンマ!」ガシッ

フレンダ「?」

青ピ「あ、あのアレや!同じ絶叫系でも趣向を変えへん!?」

フレンダ「趣向?」

青ピ「アレや、アレ」

フレンダ「…お化け屋敷ね。結局、小休止の意味合いも兼ねて丁度いいって訳よ」




331: 2012/03/04(日) 22:57:20.81 ID:sxxswmxDO



フレンダ「ん~、結局可もなく不可もなくってとこね」

青ピ「そうか?昔人体実験しとった研究所なんて学園都市らしい思ったんがなぁ」

フレンダ「学園都市に幽霊って時点で学園都市らしくないって訳よ。結局、あの手のは『どれだけ怖いか』じゃなくて『どれだけ驚いたか』が基準な訳」

青ピ「ふーん、てっきり怖なって腕にしがみついてくる思とったんけどなぁ」

フレンダ「ふふん、私はそんなテンプレ通りの女じゃないって訳よ」

青ピ「む…」

フレンダ「そんじゃ次は…」


332: 2012/03/04(日) 22:58:23.95 ID:sxxswmxDO

従業員「すいませーん」

フレンダ「ん?」

従業員「ただいまカップルでお化け屋敷に入った方は生還記念でお写真撮らせていただいているのですが…」

青ピ「!」ピーン

フレンダ「あ~、私ら別にカップルじゃ…」

青ピ「ええやん撮ろ撮ろ!」ガシッ

フレンダ「え!?ちょっ…」

青ピ「せっかく来たんやから隅々まで楽しまな、やろ?」

フレンダ「…ま、それもそうね」ニコッ

従業員「それじゃいきますねー!ハイ、チーズ!」


333: 2012/03/04(日) 23:01:51.41 ID:sxxswmxDO


フレンダ「あら?撮ったその場で現像される訳?」

青ピ「ポラロイドってヤツやね。しかも学園都市製の」

従業員「詳しいですね。デジタルじゃ嫌だって人のために早く現像する方向で技術が進んだんですよ」

フレンダ「へー、意外な豆知識が増えたわ」

従業員「と、言ってる間に仕上がりました!さ、どうぞこちらが…え?」

フレンダ「…?何?どうしたの?」

従業員「え?え!?」

青ピ「いやぁ~、なかなか怖いお化け屋敷やったんけどなあ…」

従業員「ヒ…」

青ピ「ちょおっとわざとらしすぎるなぁ。僕がおったころはもっと床とかはキレイd」

従業員「うわああああああああああ!」ダダダダダダダダ…

フレンダ「え!?結局どういう訳よ!?」

青ピ「こーゆー訳や」つ写真

フレンダ「ん?」


 楽しそうに笑ってるフレンダ

足がなくて全体的にうっすらしてる青ピの写真

フレンダ「…え?」

青ピ「…あの夜…僕なにもないとこから急に現れたやろ…?」

フレンダ「…ま、まさか…」

青ピ「いやぁ、まさかかわええ女の子にとり憑けるなんてなあ」

フレンダ「ふ…」

青ピ「…実は僕…さっきの研究所で数年前に氏んd」

フレンダ「ふにゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああ!」ピューッ!

青ピ「あはは!脚ホンマに完治したみたいやな!」

<ふに゛ゃ!

青ピ「あ、コケた」


334: 2012/03/04(日) 23:03:25.95 ID:sxxswmxDO



青ピ「もお機嫌直してぇな」

フレンダ「…」 ムッスー

青ピ「イヤ、恐がらせよ思ったんは僕が悪いよ?せやけど走ってコケたんは自己責任やん」

フレンダ「ずっと一緒に遊んでた人の足が写らなかったら動転くらいするでしょうが!」 ウガー!

青ピ「スマンスマン。ほらっ、はよ次行こ、次」

フレンダ「…結局、この心のムカムカを取りのぞくには絶叫系しかないって訳よ」

青ピ「え゛」




335: 2012/03/04(日) 23:05:22.50 ID:sxxswmxDO



フレンダ「あ~楽しかった~」ホクホク

青ピ「…アカンふらふらする。これ僕ちゃんとまっすぐ歩けてる?」

フレンダ「もーまんたいもーまんたい」ニヤニヤ

青ピ「結局、絶叫系のオンパレードやったわ。あ、移ってもうた」

フレンダ「でも、ちゃんとファンタジー系でコーヒーカップに乗った訳だし」

青ピ「あない遠心分離器みたいなモンがファンタジーな訳あるか」

フレンダ「細かいことは気にしない♪結局、青ピも楽しんでた訳だし」

青ピ「…せやなぁ。こんな楽しかったんいつぶりかな」

フレンダ「でしょ?結局、来てよかったって訳よ」 ニシシ

青ピ「まったくや」 アハハ


336: 2012/03/04(日) 23:07:36.95 ID:sxxswmxDO

フレンダ「…ね、よかったら晩ご飯も一緒に食べない?結局、ここまで来たら一人で食べるのも味気ない訳よ」

青ピ「せやなぁ。僕もそっちのが…っとスマン、メールや」



青ピ(出揃った、か) ハァ

フレンダ「?どうした訳?」

青ピ「スマン、用事できてもうた」

フレンダ「えー…」

青ピ「堪忍なあ、今すぐ行かなアカンねん」

フレンダ「せっかくの締めくくりがパァな訳よ」 ハァ

青ピ(…恨むぞ。横須賀、霧谷ちゃん)


337: 2012/03/04(日) 23:08:37.60 ID:sxxswmxDO

フレンダ「んじゃ、次は青ピのおごりでご飯って訳ね」

青ピ「…へ?」

フレンダ「最高の一日の締めくくりを台無しにした罪は重いって訳よ」 ニシシ

青ピ「…なんやまた会えるんか」 ハハ

フレンダ「そういう訳よ。ま、結局私も忙しい身だからいつになるかわからないけどね」

青ピ「いやいや、全然かめへんよ」

フレンダ「そ。じゃあまたね青ピ」 フリフリ

青ピ「うん、ほななぁフレンダ」 フリフリ




338: 2012/03/04(日) 23:10:23.49 ID:sxxswmxDO




横須賀「ようやく来たか。」

霧谷「遅かったんで」

青ピ「…ああ、スマン」

横須賀(…素直に)

霧谷(…謝った?)

青ピ「…なあ、霧谷ちゃん」

霧谷「はい?」

青ピ「男と外食行くんやったらどんなとこ行きたい?」

霧谷「」 ゾワッ

青ピ「…なんや?」

霧谷「…いや、気味悪すぎてサブイボ総立ちになったんで」

青ピ「シバかれたいんか、おどれコラ」 ビキビキッ

横須賀(…精神感応系能力者による精神汚染ではない、か。) フィー

344: 2012/03/05(月) 22:42:03.75 ID:fFGwtYLDO

-11月上旬


青ピ「あちゃー」

フレンダ「久しぶりに遊べる訳なのに遅い」 ムスッ

青ピ「スマンなぁ、あのアレ…バイトが長引いてもうてん」

フレンダ「結局、そんな風にどもられたら言い訳にしか聞こえないって訳よ」

青ピ「いやいや、ちゃうねん!ホンマやって!」

青ピ(ただバイトじゃなくて暗部ってだけで)

フレンダ「ま、いいや。私も遅れ気味だった訳だし」

青ピ「あ、ホンマ?」

フレンダ「うん!さっ、早く行こ!」

青ピ「よっしゃ!今日は映画やったな!」


345: 2012/03/05(月) 22:43:41.05 ID:fFGwtYLDO



フレンダ「…」グス

青ピ「いやぁ~、ええもん観れたわ」ホクホク

フレンダ「結局、ハッピーエンドって訳よ…」ハゥ

青ピ「あはは、確かに感動したけど泣くほどかいな」

フレンダ「私こーゆーA級映画なんて見たの久々だったから…」

青ピ「あー、友達がB級C級映画しか観ないんやったっけ?」

フレンダ「結局、こないだ観せられた腕が三本ある人間による世界救済映画に比べればクオリティが段違いな訳よ」

青ピ「もう設定からして意味分からんわ」

フレンダ「アハハ、私もって訳よ」


346: 2012/03/05(月) 22:45:34.37 ID:fFGwtYLDO

青ピ「…ホンマ、コロコロ表情変わるなぁ」

フレンダ「ん?そう?」

青ピ「うん、退屈せぇへんわ」

フレンダ「…私も青ピといると退屈しない」

青ピ「…ホンマ?」

フレンダ「うん、むしろもっと一緒に…」

青ピ「!…スマン、ちょお、トイレ」

フレンダ「は?」

青ピ「すぐ、戻るさかい!」ダッ

フレンダ「え、ちょっ……ハァ…結局、男なんて大抵KYな訳よ」



347: 2012/03/05(月) 22:47:13.89 ID:fFGwtYLDO



???「む。やはりマズったか。」

「おいこら」

???「!」

「何してんだ横須賀テメェ」
横須賀「たまの自由時間を謳歌していたら、見慣れた顔が見慣れない表情をしてたのでな。」

「それでなんで俺に読心なんてしてんだ」

横須賀「アレが今度のターゲットだと思ったのでな。確認しようと思ったのだ。というか早く姿を現せ。」

青ピ「…」

横須賀「っと、そっちか。」

青ピ「あの娘は学園都市の裏側なんて知らん。妙な真似すんな」

横須賀「そうか。なら、ほどほどにしておけ。」

青ピ「あ?」

横須賀「自分の立場を忘れるな、という話だ。」

青ピ「…」

横須賀「…では。」




348: 2012/03/05(月) 22:49:08.87 ID:fFGwtYLDO



フレンダ「…どこまでトイレ探しに行ってた訳?」

青ピ「スマンなぁ、結局、大って訳や」

フレンダ「サイッテー」 ウワァ

青ピ「あはは、冗談や冗談」

フレンダ「結局、冗談でもそーゆーことを女の子の前で言う時点でアウトって訳よ」

青ピ「堪忍やって。それとな、今度からまたしばらく会えなくなるかも分からへん」

フレンダ「えー?また例のバイトな訳?」

青ピ「そーゆーことや。あんまり連絡つかんくなるかもしれんけど堪忍な」

フレンダ「…そ。結局、寂しくなるわね」

青ピ「…そんな顔しないでくれよ…」

フレンダ「え?」

青ピ「…っとスマン。なんでもないわ」

フレンダ「今…なんて?」

青ピ「あー、なんでもないわ!ほ、ほなな!」ダッ

フレンダ「待っ…行っちゃった…」

フレンダ「…青ピのヤツ標準語じゃなかった?」ウーン




349: 2012/03/05(月) 22:51:43.93 ID:fFGwtYLDO



青ピ(…これでいい)

青髪ピアスは大通りを歩いていた。世間的に休日なだけあって街は賑わっていた。

青ピ(…肝心なのは住み分けだ。表社会は表社会。裏社会は裏社会。ほいほい交わっていいモンじゃない)

横須賀による忠告。それは自分に関わったがために他人の人生を破綻させるという示唆であった。

青ピ(フレンダはもっとふさわしい男と遊ぶべきだ。…少なくとも後ろ暗い男と付き合うべきじゃない)

一旦そう考えると嫌な考えがどんどん出てくる。

もし、自分と関わったばかりに裏社会の連中に巻き込まれたら?自分と親しいという理由で人質にでもされたら?逆恨みした連中が自分の周りに手を出してきたら?

どのパターンもあり得るし、どのパターンも最悪の結末にしか繋がらない。

青ピ(だからこれでいい。…けど…)

ハァ、と大きなため息をつく。

青ピ(…せめて今日くらいもっと遊べばよかったな)

もはや会わないようにすると決めたとたんに、先ほどまでの楽しい時間がよみがえってくる。

青ピ(あんな楽しい娘は表社会の人間だからもう二度と会わない。でも、裏社会の人間にとってはそんな娘だからこそ楽しい、か。やっぱり神様は意地悪だな)

青ピ(…表社会、か。憧れはあるけど現実的じゃないな)

350: 2012/03/05(月) 22:54:09.20 ID:fFGwtYLDO


-11月下旬

青ピ「-っちゅう感じや。他に質問は?」

横須賀「特にないな」

霧谷「私もで」

青ピ「ほな、最終確認はこんなモンやな」

とある研究施設の近くに『ウォール』を乗せたキャンピングカーが駐車していた。

依頼内容は借金に困った研究所による技術・利益の違法な外部提供の阻止及び研究所そのものの解体。

阻止には機材やデータなどを消すもよし、首謀者を消すもよし、手段は任せるとのことだった。

解体などは利権書類などを片っ端から盗み出せとのことだった。おそらくは身ぐるみはいで借金返済に充てさせるつもりだろう。


351: 2012/03/05(月) 22:55:28.40 ID:fFGwtYLDO

青ピ「あ、それからもう一つ」

そして、更に変なオーダーが入っていた。

横須賀「なんだ?」

青ピ「女は頃すな、やって」

霧谷「…フェミニズムこじらせたんで?」

青ピ「ちゃうわボケ」

横須賀「いつもみたいに、苦しませずに殺せ、じゃないのか?」

青ピ「せやから今回は僕のポリシー云々ちゃうっての。上からのお達しや」

横須賀「ふむ。珍しい注文だな。」

霧谷「上の人間がフェミニスト…だったらこんなにコキ使わないで欲しいんで」ハァ

横須賀「ん?お前女だったのか?」

霧谷「ぶっ殺されてぇんで?」 ピキッ

横須賀「冗談だ。ホラ、頼む」

霧谷「ったく…」


352: 2012/03/05(月) 22:57:49.98 ID:fFGwtYLDO

そんなやり取りが交わされた後、霧谷は手近に置いてあった大きいジュラルミンのケースを開けた。中には特殊メイク用の道具類がきちんと整理されている。

本人曰く、必要最低限ならこの大きさでなんとかなるんで、とのことだ。

今回は大きな陽動の隙に横須賀か青髪ピアスのどちらかが目的を果たすという手筈になっている。潜入捜査ではないので、必要最低限で十分なのだろう。

霧谷のメイクが終わるまでに青髪ピアスはケータイに目をやっていた。

青ピ(あれからほぼ一月…さすがにメールも来なくなったな)

あれから何回かフレンダからメールが来ていたが、青髪ピアスはメールを返さなかった。そうする度に後ろ髪ひかれる思いに駆られたのだが、ことごとくその思いを封じた。

青ピ(これでいい。このまま自然消滅で元通り…)

自分は正しい選択をした。これで何も悲劇は起きない。可能性から根絶やしにした。学園都市第六位の頭脳は自身の行動を褒め称えていた。


353: 2012/03/05(月) 22:59:09.50 ID:fFGwtYLDO

しかし、心の方は

青ピ(…やっぱり連絡したいなぁ) ハァ

頭と真逆のベクトルに向かっていた。

青ピ(あ~、フレンダに会いたい)

日が経つにつれそんな想いが増していった。メールが来なくなってからは二倍速で増していった。

オマケにただでさえつまらない任務が余計につまらないものになった。

青ピ(なんだこのモヤモヤ…絶叫マシーンでも乗ったら消えるかな)

フレンダとはじめて遊びに行った日を思い出して表情がほころぶ。そして、すぐ自己嫌悪に陥る。

青ピ(だからダメだっての!フレンダのことは忘れろ!)

354: 2012/03/05(月) 23:02:42.36 ID:fFGwtYLDO

横須賀「ん、バッチリだな。」

霧谷「横須賀さんのガタイのせいで全然研究者っぽくないんで」

横須賀「これでもあの研究者で一番デカイ人間なのだがな。この顔の持ち主は。」

霧谷「どんだけタッパがあっても所詮はインテリなんで。ムキムキの横須賀さんじゃムリがあるんで」

横須賀「なに、要はパニック状態の中でバレなければいいのだ。これで十分。」

霧谷「私のプライドの問題なんで」

横須賀「と言っても、結局これ以上はどうしようもないのだろう?」

霧谷「…まあ、どんなにスゴ腕でもガタイだけはどうしようもない訳で」 ハァ

青ピ「結局とか訳とか言うなや」 イラッ

霧谷「へ?」

横須賀「?」

青ピ「…なんもないわ。準備できたんやったらとっとと行くで」


361: 2012/03/07(水) 21:09:47.05 ID:Z/7z1W6DO

-同日、夕方

研究所から一人の研究者が出てきた。入れ違いで防弾チョッキを着た青髪ピアスが能力を行使して中へ入る。

【隠密行動】は物理的に閉まっていなければどこにでもフリーパスで入れる。

物理的に閉まっていたら扉なり壁なりを壊さなければいけない。だが、そのための道具も一緒に隠すことができ、ものによっては解体作業の音も消せる。

そのため、青髪ピアスはほぼどこにでも行けるのだ。

「…そんじゃ」

誰も見ていないが、誰も聞いていないが、青髪ピアスは研究所に入ってすぐのロビーで言葉を発した。

「ゲームスタートや」

ピンッ、と青髪ピアスは旧式の手榴弾の安全ピンを外し、更に手榴弾を10個ほどばらまいた。




362: 2012/03/07(水) 21:12:43.30 ID:Z/7z1W6DO



横須賀「…始まったか。」

研究所の敷地内に変装した横須賀はいた。先ほどの爆発音は開戦の合図だ。続いて警報を知らせるアラームが鳴りはじめた。

本来ならもう少し控え目にやりたいところだが、急に舞い込んできた依頼だ。正面突破もやむを得ない。

横須賀「行くか。」

そう呟くと、横須賀はとある部屋の窓ガラスを思い切り割った。

普段ならこれだけでアラームが鳴るだろうが今は正面での爆発でとっくの昔に鳴っている。おそらく、爆発事件の犯人はパニック状態の人混みをすいすいと通り抜けてすでに研究所の奥深くに侵入しているころだろう。パニックになって人々が行き交えば扉も開く。それが自分のところのリーダーの狙い。

横須賀も似たようなものだった。パニック状態ならばすれ違う研究者の顔など一々確認しない。ガタイの大きさもデカめの白衣でも着ておけばじっくり見られない限りバレやしまい。


窓ガラスから侵入した部屋は、更衣室だった。そこから内側のロックを外して研究所の廊下に出た。アラームに紛れて人の怒声が聞こえてくる。大半の人間は自分たちのしでかそうとしていることがバレたと感付いているのだろう。

半狂乱なら好都合。こっちもとっととやることをやってしまおう。図面はバッチリ頭に入っている。首謀者のリストもバッチリ頭に入っている。


363: 2012/03/07(水) 21:15:13.63 ID:Z/7z1W6DO

???「お、見ぃつけた」

走り出そうとした瞬間、女の声がした。次いで、背筋が凍った。ほとんど反射的にバックステップを刻んだ。目の前を青白い光が通過?した。その判断は正しかった様で、光が当たったと思われる奥の方の壁は跡形も無く消し飛んでいた。

???「へぇ。今のを躱せんのか…研究者の割に動けるじゃねえの」

声のした方向を見ると二人の女がいた。一人は茶髪のロングヘアー。その後ろにいるもう一人は黒髪のショートカット。

???「さっきからひょろひょろのモヤシばっかでつまんなかったからなぁ。テメェは少しくらい私を楽しませろよ?」

どうやら、この研究所の研究員だと思われているらしい。変装が裏目に出たようだ。

横須賀(コイツらもこの研究所が狙いか…?借金の取り立てにしては物騒過ぎるな。)

だが、考えている暇はなさそうだ。なんせ、向こうはヤル気満々だ。その証拠にさっきと同じ色の光の球体がロングヘアーの周りに浮かんでいる。

???「フレンダのバカがアホみてぇにドッカンドッカンやったせいでイライラしてんだよ。だからテメェでこのストレス解消させてくれ」

横須賀「…よかろう。対能力者戦闘のエキスパートの実力を見せてやる。」




364: 2012/03/07(水) 21:17:08.31 ID:Z/7z1W6DO



「お、見ぃつけた」

「ガッ…!」

たった今、研究所の三階で首謀者の一人を捉えた。そんでもって鳩尾をぶん殴った。身構えてすらいない人間に鳩尾への打撃。氏にはしないだろうが、しばらく立てはしないだろう。

「さぁて、質問タイムです」

研究員「クソ…どこに…」

「この研究所の利権書類を持ち出せる人間は何人いる?」

研究員「だ、誰が…」

「ふぅん、言わないんなら頃すしかないか」

研究員「どの道そのつもりだろ…クソッタレ」

「いやいや、言ったら殺さないって。今回はお前らの違法提携の阻止が目的。機材とデータと利権書類をまるっと出してくれたら命まで奪う必要性なんか無いし」

研究員「…ホ、本当か?」

「もちろん」

研究員「…な、なら案内しましょう。利権書類は金庫の中です。持ち出せる人間は所長である私だけですから…」


365: 2012/03/07(水) 21:19:25.54 ID:Z/7z1W6DO


研究所内を首謀者の後ろについて歩くことになった。あちこちから怒号と悲鳴が聞こえてくる。この分だと横須賀は随分派手に暴れているようだ。

(アイツ暴れまくったら変装の意味ねぇだろ。殺害現場でも見られたか?)

味方のアホっぷりに首を振ったが別に気にしない。それが原因で横須賀が殺されても自業自得だ。助けに行く義理はない。

研究員「あ、あの…ついてきてますか?」

「おお、とっとと歩け」

研究員「は、はい…」

首謀者である研究員は未だに鳩尾を抑えて歩いている。おかげでかなりノロノロと歩く羽目になった。

研究員「こ、ここです」

「そうか。じゃあな。」

研究員「へ?ぎゃふ!」

研究員の後頭部を思い切りぶん殴った。多分意識を取り戻すにはかなりの時間を要するだろう。

「約束通り頃しはしない。ま、お前もこっちの仲間入りだけど」

そう言って『所長室』と書かれた部屋の扉を開けた。


366: 2012/03/07(水) 21:24:47.29 ID:Z/7z1W6DO

「…おーおートラップ三昧。まあ、ピアノ線以外は【隠密行動】の前じゃ無意味なんだけどな」

ヒョイ、と足を上げてピアノ線を跨いだ。おそらく、イタチの最後っ屁というやつだ。所長を狙ってきた人間をトラップで仕留めて少しでも追っ手を減らそうとしたのだろう。

「…コイツか」

すぐに金庫は見つかった。部屋の片隅に1メートル半はある頑丈そうな黒い金庫があった。

「さぁて、コイツの出番やな」

そう言って青髪ピアスはポケットから修正テープの様なものを取り出した。そのテープで金庫の側面を縁取る様に長方形を描き、さらに対角線同士を結んでバツ印を描いた。


367: 2012/03/07(水) 21:26:48.65 ID:Z/7z1W6DO

「そんでちょっと離れて…ほいっと」

仕上げにテープにナイフのようなものを投げつけた。

シュゴッ!、っと言う音とともにテープに沿って爆発が起きた。そして、金庫の側面にはテープの跡に沿って切れ込みが入っていた。

「頑丈だな…オラッ!」

青髪ピアスが側面の上の方に思い切り蹴りを入れた。

ガンッ!、という音とともに上の方から金庫の側面が崩れた。自分の足の上に落ちないように、青髪ピアス急いで飛び退いた。

「…ビンゴ。各種利権書類の方はこれでいいな」

金庫の中身を確認して呟き、右腕に抱える。あとは機材とデータ。場所はあらかた見当ついてるし適当な人間を--


368: 2012/03/07(水) 21:27:42.31 ID:Z/7z1W6DO

研究員「う…ク、ソがぁ!」

突然研究員の声がした。意外にも早く意識が戻ったらしい。見ると手には拳銃が握られていた。

【隠密行動】を使っている以上、青髪ピアスの場所は正確には分からない。だが、これだけ金庫に手を出していればおおよその場所は分かる。

パァン!という乾いた音が響いた。


369: 2012/03/07(水) 21:29:28.94 ID:Z/7z1W6DO

「ぐぁ!」

弾丸は青髪ピアスの左腕に命中した。学園都市製の防弾チョッキに当たってくれれば強く押されたと感じる程度で済んだのに、よりにもよって腕に当たってしまった。

青ピ「っの野郎!」

書類をバラまき、右手に拳銃を握る。

再びパァン!という音が部屋に響いた。それとほぼ同時に、研究員は声も出さずに絶命した。


370: 2012/03/07(水) 21:31:27.87 ID:Z/7z1W6DO

青ピ「っつ~…止血しないと」

左腕の袖を肩口から口と右手を使って破く。そして、今度は防弾チョッキの裏から塗り薬を取り出した。学園都市の止血薬は強力で塗ればとりあえず大半の血は止まる。塗り終えた後、破いた袖を撃たれた箇所にキツく巻き付けた。

青ピ「クソ、油断した…」

傷口から見て、弾は貫通している。動かない方が出血量は減るだろう。だが、大絶賛暴れまくり中の横須賀が来る訳ないし、純粋な戦闘員でもない霧谷がここまで来れる訳もない。残りの仕事はキャンピングカーに戻りながらできる範囲でこなすとし、本格的な仕事は横須賀に託すとしよう。

青ピ(ったく、つまらないからって気ぃ抜きすぎだろ)

床に広がった書類をまとめながらそんなことを考えていた時-


371: 2012/03/07(水) 21:33:15.85 ID:Z/7z1W6DO



???「………青ピ?」


聞き覚えのある声がした。


青ピ「…えっ?」


そこには…



青ピ「…………フレンダ?」


いるはずのない金髪の少女がそこにいた。


372: 2012/03/07(水) 21:35:12.34 ID:Z/7z1W6DO


氏体のそばで呆然と立ち尽くすフレンダ。それに対して書類を集め終えた体制で顔だけ振り向いたまま固まった青髪ピアス。しばらく二人とも周りの喧騒を忘れて固まっていた。

青ピ(しまった!撃たれた時から演算してねぇ!)

青髪ピアスはなんで自分がバレたのかに先に気付いた。だが、その前に疑問がいくつもある。

フレンダ「…コイツを殺ったのはアンタな訳?」

先に口を開いたのはフレンダだった。

青ピ「…あぁ」

どうしよう。完全にバレた。自分が最低の人間だと。そんな思いで青髪ピアスの頭は軽く絶望の淵まで行った。

青ピ「せ、せやけどなフレンダ…」

なんとか弁明しようと立ち上がる青髪ピアス。

フレンダ「!ちょっとアンタその腕!」

腕の出血に驚いたフレンダが部屋に入ってこようとした。

しかし-

373: 2012/03/07(水) 21:37:12.44 ID:Z/7z1W6DO

青ピ「!伏せろ!」

フレンダ「え?キャッ!」

間一髪、部屋のトラップであるボウガンの矢がフレンダのベレー帽を射ぬいた。

フレンダ「あ、あっぶな…」

「ちょっと待ってろ、俺がそっち行くから」

フレンダ「え?あれ?青ピ?」

「動くなって!」

いきなり消えた青髪ピアスを探そうとしたフレンダを、【隠密行動】を使った青髪ピアスが制した。

青ピ「…ふぅ」

フレンダ「あ、青ピ!アンタそれ大丈夫な訳!?」

青ピ「大丈夫、とは言い難いな。とりあえず、はよこっから離れよ」

フレンダ「え、ええ。でもえっと…」

青ピ「なんや」

フレンダ「言いたいコトも聞きたいコトもいろいろありすぎるんだっての!」

青ピ「こっちもやっての!せやからひとまずここから…」


374: 2012/03/07(水) 21:38:47.02 ID:Z/7z1W6DO

フレンダ「!待って危ない!」

青ピ「うぉ!?」

フレンダが青ピの巨体を押し倒した。瞬間、さっきまで二人がいたところを青白い光が通過した。さらに

青ピ「痛だだだだだだ!」

フレンダ「わ、ゴ、ゴメン!」

フレンダが青髪ピアスの左腕を圧迫していた。それに気付いてフレンダはバッと離れた。その服には血がついていた。

青ピ「な、なんだ今の…」

フレンダ「…アンタは早く病院に行って。話すのも聞くのもその後。」

そう言ってフレンダは立ち上がる。

青ピ「ちょっと待て!危険すぎるだろ!」

フレンダ「大丈夫」

フレンダはクスリと笑った。


フレンダ「結局、今のは私の仲間って訳よ」


青ピ「は…?」

それだけ残して、フレンダは走り去った。


375: 2012/03/07(水) 21:40:29.08 ID:Z/7z1W6DO



青ピ「…とりあえずここに居てもしょうがないな」

青髪ピアスも立ち上がり、研究所の一階を目指した。

おそらく、裏口は逃げ惑う研究員でごった返してる。正面入り口はさっきの手榴弾で瓦礫だらけ。なら、入り口という概念なんてとっぱらって窓から脱出するのが一番手っ取り早い。


376: 2012/03/07(水) 21:44:25.95 ID:Z/7z1W6DO

そんなコトを考えて移動していると、無線から音がした。

???『ザザッ…おい!聞こザ゙ッるか?』

青ピ「どした?横須賀」

横須賀『仕事は終わったか!?』

なぜだか、普段冷静な横須賀の声は荒らぶっていた。

青ピ「利権書だけな」

横須賀『それもう土地の利権書以外いらんぞ!下手すりゃこの研究所、物理的に潰れちまう!』

青ピ「お前どんだけ暴れとんねん。つーかさっきビームみたいなん飛んできたけど新兵器か?」

横須賀『俺じゃない!サザッ女だ!うぉザザザザザザッお!』

青ピ「女?」

横須賀『ああ!ロングヘアーのな!めちゃくちゃな能力者だ!対能力者戦闘のエキスパートである俺が逃げるだけで精一杯だ!』

青ピ「お前それ自称やろ」

横須賀『違うわ!とにかく、機材の方もコイツの能力でとうの昔に木っ端微塵のはずだ!俺は離脱すっから首謀者の連中はお前が…』

青ピ「イヤ、僕弾丸一発くらってもうてん。せやから抜けるわ」

横須賀『な、なあ!?ザザッじゃあ首謀者ザザザザザザザザ!?ぜぇ、ぜぇ!』

青ピ「データ潰して終わりでええやろ。多分そいつの能力で今ごろ木っ端微塵やって」

横須賀『そんな不確実な感じでいいのか!?』

青ピ「どの道裏口から逃げたんやったら霧谷ちゃんがやっとるて。まあ、一人は潰したさかいあと二三人位なら脱出ついでに…」

横須賀『つーかあのババァの相手変わってくれっつってんだよ!ザザビブルチじゃザザザザザザね…ぷぎゃああザザザザザザザザザザザザザザザザザザザーーーーーーーーーーーーープッ』

青ピ「…アーメン」



381: 2012/03/08(木) 21:36:05.58 ID:979ADOjDO

-後日

青ピ「おいこら」

???『なんですか?そんなケンカ腰に』

青髪ピアスは病院から電話をしていた。電話の相手は『ウォール』と学園都市上層部を繋ぐ、正体不明の『電話の男』。

青ピ「どういうことだあの現場は」

???『どう…と申しますと?』

青ピ「…明らかに報告にない勢力がいたぞ。おまけに横須賀をバカみたいに狙ってやがった」

???『…もしかして横須賀君、変装してました?』

青ピ「ああ」

???『あ~、だからですかね。一応「デカい男は頃すな」って指示行ってるハズですが』

青ピ「…っつーことは、やっぱり上層部の勢力か?」

???『ご想像にお任せしますよ。慰謝料として全員に報酬は5割増しで出しますから』

青ピ「8割や」

???『急に関西弁…分かりましたよ』

最後にため息をだけを残して、電話は切れてしまった。

青ピ「…」

横須賀「どうした、浮かない顔して」

青ピ「…お前なんで生きとんねん」 ハァ

横須賀「ふん。言っただろう、対能力者戦闘のエキスパートである、と」

「ハイハイ、どーでもええわ」

そう言って青髪ピアスは姿を消した。


382: 2012/03/08(木) 21:40:47.69 ID:979ADOjDO

青髪ピアスは昼間の大通りを患者着の上からコートを着て歩いていた。今日は平日なので人通りも少ない。

青ピ「…」

コートの上から左腕を三角巾で吊しながら歩く。奇跡的に骨へのダメージはなかったが、筋繊維がズタボロだし、太い血管にも傷が入っていた。

そんな大ケガでも翌日には往来を歩けるから学園都市の技術はズバ抜けている。本当は入院中のハズなのに、能力を使って抜け出してきたのだが。

青ピ「上層部の部隊、か」

青髪ピアスは先ほどの電話を思い出していた。

青ピ(あんな化け物じみた能力だ。上層部が管理してない方がおかしい…けど)

ひとつだけおかしい。というか納得できない



-「結局、今のは私の仲間って訳よ」



普通に受けとめれば、フレンダはあの化け物能力者の仲間ということだ。しかし-

青ピ(…信じられないな)

どう見たってフレンダは明るい女の子だ。学園都市の裏社会に生きてるような人間じゃない。

青ピ(…一人で妄想しても仕方ないな)

そして青髪ピアスは再び携帯電話を取り出した。



383: 2012/03/08(木) 21:42:20.10 ID:979ADOjDO

長いコール音の後、相手は電話に出た。

フレンダ『も、もしも~し』

青ピ「何どもっとんねん」クスッ

意外な対応に、青髪ピアスは思わず笑ってしまった。

フレンダ『だ、だってずっと連絡してきてくれないのに急に電話がきたら…』

青ピ「…すまん」

フレンダ『…うん。でも結局、青ピの考えてたことも分かったし』

青ピ「…そうか」

フレンダ『…ねぇ、結局私たちはお互いに話さなきゃいけないことがあると思うんだけど』

青ピ「あぁ、僕もそう思う」



384: 2012/03/08(木) 21:44:41.99 ID:979ADOjDO



-夜、第七学区病院脇スポーツ公園

青ピ「お」

フレンダ「今日はお互いピッタリって訳ね」

青ピ「せやな」

暗い中、公園の電灯だけが二人を照らしていた。もう12月に入るということもあり、かなり寒かった。

フレンダ「…ねぇ、その腕大丈夫な訳?」

かなりの寒さなので、二人とも厚着をしていたのだが、青髪ピアスは昼間と同様コートの上から三角巾で左腕を吊していた。

青ピ「こんなんかすり傷みたいなもんや」フンス

フレンダ「アハハ、かすり傷で腕吊すの?」

青ピ「僕虚弱体質やねん」

フレンダ「そんなデカい身体して何言ってんだっての」クスクス

一時、場が和んだ。二人でふざけて笑って…なんとも居心地のいい時間。



385: 2012/03/08(木) 21:46:21.76 ID:979ADOjDO



しかし、やがて沈黙が訪れる。



青ピ「…なぁ」

しばしの沈黙の間、青髪ピアスが切り出した。

フレンダ「なに?」

青ピ「もっかい自己紹介せぇへん?」

フレンダ「…そう、ね。そうしましょ」



386: 2012/03/08(木) 21:49:39.16 ID:979ADOjDO




青ピ「俺はLevel5第六位の【隠密行動】。本名は自分でも分からない。歳は15。暗部組織『ウォール』のリーダーだ」




フレンダ「私はフレンダ=セイヴェルン。学園都市の六割を占める無能力者よ。歳は14。暗部組織『アイテム』の幹部って訳」





387: 2012/03/08(木) 21:51:41.50 ID:979ADOjDO

青ピ「…」

フレンダ「…」

青ピ「…やっぱり暗部だったんだな」

フレンダ「青ピもね。しかも超能力者でリーダーって…」

青ピ「そない立派なもんちゃうわ。悪人の代名詞みたいなもんや」

フレンダ「そう、それも聞きたかった訳よ」

そう言って、フレンダはニヤリとしながら指を指した。

388: 2012/03/08(木) 21:52:54.79 ID:979ADOjDO

青ピ「ん?」

フレンダ「その関西弁と標準語の使い分け」

青ピ「ああ、これか。なんちゅうか…こっちのが和むやろ?」

フレンダ「まあね」

青ピ「それだけの話や。仕事やない時とかはふざけた感じで心に余裕持たせたいっちゅうか…」

フレンダ「…ねぇ、なら今から標準語にして」

青ピ「なんでや?」

フレンダ「結局、真面目な話なのにふざけられちゃ困る訳よ」

青ピ「そらそうy…そうだな」

流れで関西弁で喋りそうになったところで、再び標準語に戻した。

フレンダ「よしよし。…それでね?さっきの自己紹介、もう一文足したい訳よ」

青ピ「…なんだ?」


そしてフレンダは大きく息を吸い込む。


389: 2012/03/08(木) 21:54:02.42 ID:979ADOjDO




フレンダ「…私は目の前にいる青ピが大好き」





390: 2012/03/08(木) 21:55:00.94 ID:979ADOjDO

青ピ「…」

フレンダ「連絡がとれなくて…メールも返って来なくて…スゴい淋しかった」

その顔は暗い中でもはっきり分かるほど紅潮していた。そして恥ずかしそうにほほえんでいて…



青ピ(ああ、神様はやっぱり意地悪で、変なとこで気が効くな)



フレンダ「気付いたら青ピに夢中になってた訳。だから-」

青ピ「ダメだ」

まだフレンダが話しているというのに、青髪ピアスはバッサリ切って捨てた。


391: 2012/03/08(木) 21:56:28.09 ID:979ADOjDO

フレンダ「…え?」

フレンダの表情が一瞬で変わる。さっきまでほほえんでいたのに、今は一気に真顔に戻っている。

青ピ「互いに違う暗部組織に所属してるんだ。片方の情報がうっかり漏れたら…」

フレンダ「それがどういう訳!?結局私はそんなことしないし!」

激昂するフレンダ。しかし青髪ピアスは動じない。

青ピ「うっかりって言ってるだろ。そうなった場合、その暗部組織は壊滅したっておかしくない」

フレンダ「で、でも…」

青ピ「…むしろこうやって会ってるだけでもマズいだろ。もう会わない方がいい」

青髪ピアスは現実主義者だ。淡い幻想よりも現実を見る。

フレンダ「…なんで」

青ピ「仕方ないだろ。それが裏社会って…」

フレンダ「違う」

青ピ「…え?」


392: 2012/03/08(木) 21:57:11.01 ID:979ADOjDO



フレンダ「なんでそんな顔して言ってる訳?」




393: 2012/03/08(木) 21:58:42.97 ID:979ADOjDO

青ピ「…」

黙り込む青髪ピアス。自分の表情は自分では分からないが、大方予想はついた。きっと考えてることじゃなくて思ってることが顔に出てる。

フレンダ「暗部がどうこうなんて、結局どうでもいい訳よ!アンタだってそう思ってんでしょ!?」

青ピ「だけどな…」

踏ん切りがつかない。現実は甘くないと、頭は理解しているからだ。

フレンダ「…そう。そうよね。結局アンタはリーダーな訳だしね」

青ピ「…」

フレンダ「アンタの判断は正しい。…もう会わない方がいい」

全てを諦めきったように、フレンダは青髪ピアスの考えを肯定し始めた。その顔には仕方ない、という気持ちが見てとれた。

青ピ「…あぁ」

フレンダ「…じゃあね、青ピ。今まで楽しかった」

そう言ってフレンダは背を向けて歩き始めた。小さな背中に淋しさがはっきりと映っていた。

青ピ「…待ってくれ」

フレンダ「…何?」

青髪ピアスの呼び掛けにフレンダは振り向く。

青ピ「…俺も自己紹介にもう一文足していいか?」

フレンダ「え…?」


394: 2012/03/08(木) 22:00:01.27 ID:979ADOjDO




青ピ「俺は目の前にいるフレンダが大好きだ」




フレンダ「え…」

青ピ「…だから」




青ピ「ずっと一緒に居てくれ」





395: 2012/03/08(木) 22:01:06.10 ID:979ADOjDO

フレンダ「…~~~~っ!」ダキッ

青ピ「うおっ、と」

フレンダは顔を真っ赤にして、走って青髪ピアスに抱きついた。反動で青髪ピアスは倒れそうになったがなんとか持ちこたえた。

フレンダ「…ヒグッ…ホントに…ヒッ…一生会えないと、思ったじゃないのよ、バカァ!」

青ピ「ゴメンな」

青髪ピアスの胸で泣きながらに喋るフレンダの言葉が青髪ピアスに突き刺さった。そして、青髪ピアスはそんなフレンダを右腕だけで抱き締めた。

フレンダ「うぅ…」

青ピ「…俺だって一生会えないなんて嫌だから、さ」

フレンダ「…罰としてもうちょっとこのままでいさせて」

青ピ「あぁ、気が済むまでいつまででも」




396: 2012/03/08(木) 22:03:12.69 ID:979ADOjDO


フレンダ「ね、今さらだけど左腕大丈夫な訳?」

フレンダが青髪ピアスに抱きついた時、三角巾で吊されてる腕は思い切り圧迫されていた。

青ピ「せやからかすり傷やって。気にせんでええ」

フレンダ「さすがは暗部のリーダー。規格外な訳よ」

青ピ「関係あんの?」

フレンダ「あるわよ。ウチのリーダーだって…」

青ピ「ストップ」

フレンダ「おっと」

青ピ「…お互いの暗部の情報は漏らさない。これが大前提だろ」

フレンダ「そうね、危ないところだったわ」

青ピ「それに、付き合ってんのも隠した方がいいな」

フレンダ「結局、誰かに知られたらマズイことにしかならない訳だしね」

青ピ「綱渡りになるで、こりゃ」 ハハ

フレンダ「いいじゃない?危険な恋。結局、普通に恋愛するより燃えるって訳よ」

青ピ「…せやな、こんな悪人と恋愛しとるんやさかい。危険やわ」

フレンダ「別に悪人だからといってコンプレックスを感じる必要なんかない訳よ。それで言ったら私も悪人だし」

青ピ「…なるほど、悪人同士っちゅうのもええかもな」ニヤッ

フレンダ「ふふん、結局ベストカップルな訳よ」ニヤッ

青ピ「せやな。これからもよろしうな、フレンダ」

フレンダ「こちらこそ、青ピ」


399: 2012/03/09(金) 00:40:26.22 ID:n1pN+XnDO

-12月下旬、日暮れ

フレンダ「うぅー、さっぶいわ」

青ピ「もうすぐ一年終わってまうからなぁ」

フレンダ「その前にメインイベントな訳よ」

青ピ「せやな。お、雪や」

フレンダ「…結局、ロマンチックな訳よ」

青ピ「ホワイトクリスマスやな」




400: 2012/03/09(金) 00:41:40.48 ID:n1pN+XnDO



青ピ「ほれ、寒いんやったら」

フレンダ「ん?」

青ピ「手ぇ繋ごうや。ほんで僕のポケットでよければ貸すで」

フレンダ「…ニャハハ、おっじゃまっしまーす!」

青ピ「うわっ!冷たっ!ホンマに寒かったんやな」

フレンダ「そーそー、寒くてしょうがない訳よ。だからもっと暖めて」ダキッ

青ピ「うおぅ!そない腕に抱きつかんでも…」

フレンダ「だーかーら、寒いんだっての♪」

青ピ「…ま、ええか」ニコ

フレンダ「♪」ニコニコ


401: 2012/03/09(金) 00:42:45.78 ID:n1pN+XnDO

青ピ「…にしても」

フレンダ「うん?」

青ピ「こーゆー抱きつきイベントってもっとこう…男を惑わせるような…」

フレンダ「な~にが言いたい訳?」ピキッ

青ピ「じょ、冗談や冗談!せやから何も取り出さんといてや!」

フレンダ「ふん!結局、厚着してるせいな訳よ!これが夏ならアンタだって…」

青ピ「肋骨の感触が楽しめる?」

フレンダ「よろしい。ならば戦争だ」 スチャ

青ピ「ちょっと待て!往来でそいつはbbbbbb!」



402: 2012/03/09(金) 00:43:36.81 ID:n1pN+XnDO


フレンダ「結局、見せたいものって何な訳?」

青ピ「ん~、暗なってきたしそろそろええか。あそこや」

フレンダ「?高層ビル?」

青ピ「そ、学園都市で一番高いところや」

フレンダ「…最上階の高級レストラン、とか?」

青ピ「ハズレ~。最上階ってのは近いな」

フレンダ「?」



403: 2012/03/09(金) 00:44:32.42 ID:n1pN+XnDO


青ピ「よっしゃ。フレンダ、もっかい手ぇ繋ご」

フレンダ「?ハイ」

「よっ」

「え!?わ!スゴい私も消えた!」

「なんか僕の『自分だけの現実』が変化しよったみたいでな。人一人ぐらいまで適用範囲広がっててん」

「そうなんだ。なんか変な感じ」

「こっからは音も消すで。しゃべりかけても聞こえへんから堪忍な」



404: 2012/03/09(金) 00:46:01.58 ID:n1pN+XnDO

-屋上


青ピ「能力解除、と」

フレンダ「ふわぁ~」キラキラ

青ピ「どうや!『立ち入り禁止の屋上から見る学園都市の夜景ver.クリスマスイルミネーション』や!」

フレンダ「うん…スゴい…」

青ピ「ほい、これ」

フレンダ「ん?」

青ピ「寒いやろ?さっき自販機で買っといたんや」

フレンダ「あ、ありが…」

【いちごおでん】

フレンダ「」

青ピ「ん?どないしたん?」

フレンダ「結局、台無しな訳よ」ハァ

青ピ「何ィ!?」



405: 2012/03/09(金) 00:47:06.10 ID:n1pN+XnDO


青ピ「ほい、これ」

フレンダ「何?またいちごおでん?」

青ピ「ちゃうちゃう。クリスマスプレゼントや」

フレンダ「お!ありがとっ♪開けてもいい?」

青ピ「かめへんよ」

フレンダ「…ベレー帽?」

青ピ「ほら、あの日ダメになってもうたやろ?」

フレンダ「そうね。結局、思い切り貫通してたわ」

青ピ「せやから新しい帽子をって訳や」

フレンダ「ありがと…どう?似合う?」

青ピ「めちゃめちゃかわええわ!買うた甲斐があったで!」

フレンダ「ニャハハ、大事にするわ♪」



406: 2012/03/09(金) 00:48:04.83 ID:n1pN+XnDO


フレンダ「結局、私からもある訳よ」

青ピ「おお、彼女からクリスマスプレゼントなんてはじめてやわ!」

フレンダ「私も彼氏からクリスマスプレゼントなんてはじめてだっての。ハイこれ」

青ピ「おおきに!開けてもええ!?」

フレンダ「もちろん!」

青ピ「んー…シルバーのネックレス?」

フレンダ「そ。裏組織のリーダーっぽいでしょ」

青ピ「確かにな…ん?なんか彫って…Act?」

フレンダ「それがもう一つのクリスマスプレゼントって訳よ!」

青ピ「へ?」


407: 2012/03/09(金) 00:49:18.79 ID:n1pN+XnDO

フレンダ「アンタの名前よ。『アクト』」

青ピ「…アクト?」

フレンダ「そう。アンタ『記憶装置』の弊害で自分の名前が分からなくなったんでしょ?だから私が考えたの」

青ピ「…」

フレンダ「アンタの能力と悪人をかけて『アクト』って訳よ!」

青ピ「…うぅ」グスッ

フレンダ「え!?ゴ、ゴメン!そんなに気に入らなかった!?」

青ピ「…違う」

フレンダ「え?」

青ピ「あの、な…うれしくて…グスッ」

フレンダ「…」

青ピ「【隠密行動】としか、呼ばれてこなかったから…こんな…グスッ人並みな名前が、もらえるなんて…」




408: 2012/03/09(金) 00:51:41.31 ID:n1pN+XnDO



フレンダ「…落ち着いた?」

青ピ「ああ、ちゅうか急にに恥ずかしうなってきてもうた」

フレンダ「結局、恥ずかしがることなんかない訳よ。そんなに喜んでもらえるなら考えた甲斐があったわ」

青ピ「…せやけど、僕だけ2つもプレゼントもらうのは申し訳ないな」

フレンダ「…じゃ、じゃあ、さ」

青ピ「ん?」

フレンダ「こ、ここに、ちょうだい?」

青ピ「唇?…も、もしかして!?」

フレンダ「ん。アクト、のファーストキスが、欲しいって、訳、よ…」プシュー

青ピ「そ、そんな顔真っ赤にすなや!そんなんされたら僕かて緊張して…」

フレンダ「口調」

青ピ「へ?」

フレンダ「こーゆー時は標準語にしてほしい訳よ」

青ピ「な、なんで?」

フレンダ「そっちのがムード出るでしょ?」

青ピ「…うまくできるか分からないぞ…」

フレンダ「結局、それがファーストキスな訳よ」


413: 2012/03/09(金) 23:44:52.74 ID:n1pN+XnDO

-1月下旬

青ピ「お、あけおめやな」

フレンダ「あけおめね。っつーか結局、正月なんてとうの昔に終わってるけど」

青ピ「しゃあないやん。2つの暗部が同じ日に休日になるなんてめったにないんやさかい。クリスマスが奇跡的やったんや」

フレンダ「ま、それもそっか」

青ピ「この分やとバレンタインやホワイトデーも危ういやろな」

フレンダ「ま、結局会えなかったら送ればいいって訳よ」

青ピ「期待してええの?」

フレンダ「当然!とびきりのヤツあげて悶氏させちゃうって訳よ!」

青ピ「またえらいハードル上げたな。ホンマに期待しとくわ。…とりあえず寒なってきたし、はよ行こか」


414: 2012/03/09(金) 23:46:58.35 ID:n1pN+XnDO


-ゲーセン


青ピ「らっ!」

<ズドン!
<250Kg!

フレンダ「お~、さすがね」

青ピ「ふふん、どんなもんや」 ドヤッ

フレンダ「でもあんなテレフォンパンチじゃ結局実戦では…ってそっか」

青ピ「そ、能力使てれば丸分かりの隙だらけパンチでも大丈夫なんや」

フレンダ「結局、超能力者なんて大概チートな訳よ」

青ピ「言うても僕はギリギリやけどな。自分だけ石ころ帽子状態なんて学園都市にしてみれば誰得やろうし」

フレンダ「ギリギリ?序列的にはアクトの下にもう一人居るんでしょ?」

青ピ「聞いた話やとアレは強力やけど意味不明すぎて第七位らしいで。現段階じゃ解明できへんねんて。けど、言い換えればそんだけ未知の法則を持っとるっちゅうことや。たぶんその未知の法則が解明されて、実用性があれば今の第三位みたいにごぼう抜きで第二位くらいに上がるんとちゃう?」

フレンダ「…なるほど」

青ピ「その能力の測定と観測及び監視っちゅう無期限任務をウチに回されて今どないしy」

フレンダ「ストップ」

青ピ「おっと」

フレンダ「結局、大前提を忘れてんのはアクトな訳よ」ハァ

青ピ「…申し訳ない」




415: 2012/03/09(金) 23:48:36.42 ID:n1pN+XnDO



フレンダ「…いけっ」

<ウィーン
<ストン

フレンダ「イェイ!4つ目ゲット!」

青ピ「経費600円で早くもぬいぐるみ4つか。店員さん泣くで」 ケラケラ

フレンダ「いいの。結局、他の客から十分ふんだくってるだろうし」

青ピ「それもそやな。でも、こんな腕もっとるんやったらすでに部屋とか景品だらけちゃう?」

フレンダ「まあね、しかもほとんどぬいぐるみ」

青ピ「こない集めてどないすんねん」

フレンダ「ふふん、ぬいぐるみって意外と万能な訳よ。鑑賞できるし、モフモフできるし、プレゼントできるし、爆弾にできるし」

青ピ「なるほどなあ。って爆弾?」

フレンダ「そ。結局ぬいぐるみに爆弾が仕込まれてるなんて誰も思わないから殺りやすい訳よ」

青ピ「またエッグイなあ~」

フレンダ「この話はこの辺にしときましょ。せっかくのデートだし」

青ピ「せやな。…ってまたUFOキャッチャーやるんかいな」




416: 2012/03/09(金) 23:52:39.32 ID:n1pN+XnDO



フレンダ「ニャハハ、楽しかったわ~」

青ピ「最後のアレめっちゃおもろかったな!っちゅうか大尉おもろすぎるでアレ!」

フレンダ「すっごいカッコつけてたのに結局トラップで振り子状態だったからね。でも、あのタフさは下部組織に欲しいわ」

青ピ「既にウチの幹部にいrっとマズイか」

フレンダ「別にそんくらいいいんじゃない?結局、私もかなり喋っちゃってたし」

青ピ「え?それいつや?」

フレンダ「いろんな時。結局、友達の話は全部幹部の話な訳」

青ピ「…ホンマか?」

フレンダ「ホンマよ」

青ピ「え?暗部の連中とプライベートで遊んどんの?」

フレンダ「うん。ってゆーかほとんど共同生活に近いかな?結局、自宅よりアジトにいる方が多いし」

青ピ「へー…」

フレンダ「アクトはそーゆーのないの?」

青ピ「一切ないな」

フレンダ「なんで?」

青ピ「なんでって…馴れ合うもんちゃうやろ。暗部って」

フレンダ「結局、それじゃつまらない訳よ。いつ氏ぬかも分からないならいっぱい遊んでおいた方がお得な訳!」


417: 2012/03/09(金) 23:54:20.41 ID:n1pN+XnDO

青ピ「…なるほどなあ」

フレンダ「でしょ?」ニシシ

青ピ「イヤ、そっちやのうて」

フレンダ「え?」

青ピ「ずっと疑問やったんや。なんで暗部におんのにフレンダはこんな明るいんやろな、って」

フレンダ「アクトだって明るいわよ?」

青ピ「フレンダの前でだけや。最初会うた時はそうでもなかったやろ」

フレンダ「んー…、言われてみれば…?」

青ピ「そんで、なんとなく疑問が解けたわ。暗部のヤツらと遊んでるからやな。…ちょっとうらやましいわ」

フレンダ「じゃ、アクトも遊べばいい訳よ」

青ピ「…暗部組織の超能力者やで?」

フレンダ「関係ないっての。結局、私のリーダーだって超能力者だし」

青ピ「言うてええんかそれ」

フレンダ「結局、私はアクトがリーダーって知ってるからこれでイーブンな訳よ」

青ピ「そう…かぁ?」

フレンダ「そうなの。で、結局私はそのリーダーと仲良くやってるし、頼りにしてる訳よ」

青ピ「…そうか」

フレンダ「うん。こないだだって危ないところで私を助けて」

青ピ「ストップ。さすがに任務内容はアカン」

フレンダ「っとと。まあ何が言いたいかって言うと、最初から決め付けちゃいけないってこと!」


418: 2012/03/09(金) 23:55:50.36 ID:n1pN+XnDO

2月上旬-

青ピ「ん。これでええな。下部組織呼んで後片付けさせといてくれ」

霧谷『了解で』

横須賀「では、これで解散だな。俺は下部組織の連中と第七位対策の打ち合わせだから残るぞ。」

青ピ「さよか」

横須賀「ああ。」

青ピ「…」

横須賀「…?」

青ピ「なあ、横須賀」

横須賀「なんだ?」

青ピ「…お前…好きなん何や?」

横須賀「」 ゾワッ

青ピ「…なんや」

横須賀「お前…確かに俺は立場を考えろと言ったが…」

青ピ「は?」

横須賀「だからって俺に切り替えんでm」

青ピ「本気でシバくぞ、おどれコラ」 ビキビキビキッ




419: 2012/03/09(金) 23:58:02.34 ID:n1pN+XnDO

-2月下旬

霧谷「…いったいどーゆー心境の変化で?…ケホッ」

青ピ「…」

霧谷「任務でドジった人間なんていつもなら見捨ててるはずなんで。それをわざわざ前線から駆けつけて助けるなんて…」

青ピ「…なあ、霧谷ちゃん」

霧谷「はい?」

青ピ「ちょっと前に『ウォール』でカラオケ行ったやろ?」

霧谷「…あの横須賀さんが『モ○娘。メドレー』で満点出したヤツで?」

青ピ「そや。霧谷ちゃんが『恋○メガラバ』歌いながらトランスしたヤツや」

霧谷「忘れてほしいんでっ!」

青ピ「あはは、まあええやん。…ほんでアレ楽しかった?」

霧谷「…ええ、まあ」

青ピ「僕もやねん」

霧谷「…で?」

青ピ「イヤ、せやからもっかいみんなで行きたいし、氏なせたなかったんや」

霧谷「…似合わないんで」

青ピ「お前な…」

霧谷「でも、助かったんで。ありがとうございました」ペコリ

青ピ「…さよか。じゃ、今度は霧谷ちゃんおごりな」ハハ

霧谷「左様で」


420: 2012/03/09(金) 23:59:30.06 ID:n1pN+XnDO

青ピ「あ、そうや。もう一つ聞きたいことあったんや」

霧谷「はい?」

青ピ「バレンタインのお返しって何あげたらええかな?」

霧谷「」

青ピ「…なんや?」

霧谷「…え?私義理チョコなんてめんどくさいもの渡してないはずなんで」

青ピ「?分かっとるわ。違う娘にもろたんやて」

霧谷「」

青ピ「…何ケータイ取出しとんねん」

霧谷「…あ、横須賀さん?なんかリーダー錯乱したみたいなんで読心して調べてもらいたいんで」

青ピ「錯乱ちゃうわ、こんボケ」 イラッ




421: 2012/03/10(土) 00:00:42.18 ID:Fof1aD1DO

-3月中旬、フレンダ宅

フレンダ「お、おお?」

青ピ「…」

フレンダ「…手作りクッキー?」

青ピ「…すまん。手作りが送られてきたさかい手作りで返そ思て…」

フレンダ「…結局こうなった、と」

青ピ「い、イヤ、形はアレやけどな?ちゃんと味見はしたさかい…」

フレンダ「…ん、おいし」

青ピ「せ、せやろ!?」ホッ

フレンダ「でも、こんなに歪な形じゃ食べる場所によって味が変わっちゃう訳よ。火の通り具合とかで」

青ピ「…来年までに精進します」




422: 2012/03/10(土) 00:02:00.42 ID:Fof1aD1DO



フレンダ「それで?前に言ってたのは結局どうだった訳?」

青ピ「…暗部のヤツらと、ってやつ?」

フレンダ「うん」

青ピ「キチOイ扱いされてもうた」

フレンダ「え゛」

青ピ「でも、まあ前よりは仲良うなった気ぃするわ」

フレンダ「あ、そう。よかった~」ホッ

青ピ「なんや仲良うなってからの方が連携取りやすくなった気もするしな」

フレンダ「当然よ。結局、意志疎通しやすくなるって訳」

青ピ「それに…ちょっと楽しうなったしな」

フレンダ「ふふ、勧めて良かったわ」




423: 2012/03/10(土) 00:03:14.04 ID:Fof1aD1DO



青ピ「…小腹空いてきよったな」

フレンダ「ん?じゃあ、ちょっと待ってて」

青ピ「お?今度は手作りおやつかいな」

フレンダ「そんな手間のかかるもんないっつの」




フレンダ「ハイ、これ」

【サバ缶】

青ピ「」

フレンダ「ん?」

青ピ「…いちごおでんのが絶対マシやで」

フレンダ「はぁ!?あんなゲテ物と一緒にされちゃたまらない訳よ!」


424: 2012/03/10(土) 00:04:28.74 ID:Fof1aD1DO

青ピ「そもそもこれプルタブないやん。缶切りは?」

フレンダ「あ、持ってくるの忘れちゃった」

青ピ「まあいいわ」サッ

フレンダ「?何それ?修正テープ?」

青ピ「コイツを…こう、ふちどってやな…よっ」

ボンッ

フレンダ「おおー!」

青ピ「どや!」

フレンダ「そんな缶切りツールがあったとは…」 ゴクリ

青ピ「イヤ、缶切りツールちゃうわ。本来は鉄板とか焼き切るモンや。これはちょいと威力控え目やけどな」

フレンダ「いいわねそれ!応用効きそうだわ!」

青ピ「実際重宝するで、コレ」

フレンダ「」ジーッ

青ピ「…いる?」

フレンダ「いいの?」

青ピ「まあ、上に言えば支給してもらえるしな。かめへんよ。ホワイトデーやし」

フレンダ「じゃ、ありがたくいただくって訳よ♪」

青ピ「次からは上に言うてな。たぶん型番言えば分かるやろ」




425: 2012/03/10(土) 00:07:14.49 ID:Fof1aD1DO



青ピ「さて、帰ろかな」

フレンダ「え!?帰っちゃうの!?」

青ピ「?結構ええ時間やろ」

フレンダ「まあ…でも彼女の家に来た訳だし、さ」

青ピ「…もしかしてなんか期待しとった?」

フレンダ「へ!?な、なんのことかな~?」

青ピ「」ニヤニヤ

フレンダ「~~~っ!」プシュー

青ピ「あはは!やっぱかわええなぁ!」

フレンダ「るっさい!」

青ピ「すまんすまん。せやけど今日は帰らなアカンねん。明日試験やし」

フレンダ「へ?試験?」

青ピ「そ、高校入試」

フレンダ「え!?学校通うの!?」

青ピ「そうや。もっといろんなヤツと仲良うなった方が人生おもろいと思ってな」

フレンダ「…なんか急にポジティブになっちゃったね」

青ピ「フレンダのおかげや」ニッ

フレンダ「でも、暗部のリーダーこなしながら学校なんて大丈夫な訳?」

青ピ「大丈夫や。上に頼んで『書庫』に適当なデータ上げてもろうたし、授業出れんでもええようにバカ学校選んだし」

フレンダ「…バカ学校なら入試勉強なんていいじゃん。結局、学園都市第六位なんだし」

青ピ「念のためや。今日まで一秒も勉強しとらんし。だから」グイッ

フレンダ「わ、ん」




青ピ「…今日はこれで勘弁してくれ」

フレンダ「…意地悪」


426: 2012/03/10(土) 00:16:42.82 ID:Fof1aD1DO
今回はここまでです。
アレ?俺シリアスなSS書いてたよな?


レスありがとうございます。
残念ながら次回は横須賀さんおやすみです。てか麦のんファンの方の次は横須賀さんファンの方が…wありがとうございます。
今回もホクホクしていただいたら幸いです。


てか大尉のネタ分かる人居ますかね?数年前のシューティングなんですが…
タイムクライシス4だか3だかです。
友達とゲーセン行って、めちゃめちゃ笑ったな…懐かしい…
学園都市ではリメイク最新版ってコトで

430: 2012/03/10(土) 21:37:19.86 ID:Fof1aD1DO

-4月上旬、とある高校


青ピ「はじめまして!田中亜久人言います!青髪ピアスて呼んでもろうて結構や!よろしう頼んます!」

小萌「はーい、青髪ちゃんですねー。元気があって大変よろしいのですよー」

青ピ(まさかアレが教師だったとは…やっぱ学校は新鮮だな)

小萌「んー!今年も元気な新入生ちゃんばかりで先生はものすごーくハッピーなのですよー!みなさん不安もあるとは思いますが、充実した高校生活を送ってくださいね!先生相談ならいくらでも乗ってあげちゃうのです!」

青ピ(…なんかめちゃめちゃいい人っぽいな)




431: 2012/03/10(土) 21:38:54.75 ID:Fof1aD1DO



???「よう、青髪ピアスくん」

青ピ「ん?えーと君は…土御門くんやったっけ?」

土御門「おーっ!早速覚えてもらってるなんて嬉しいぜよ!」

青ピ「そらそうやろ。学校でグラサンなんかかけとったら」

土御門「ハッハッハ、お互い覚えやすい外見だぜい」

青ピ「外見だけやないで。口調もやろ」

土御門「まったくだにゃー。気が合いそうですたい」

青ピ(やっべ、俺以上に口調がスゴいぞコイツ)


432: 2012/03/10(土) 21:40:11.58 ID:Fof1aD1DO

土御門「ついでに俺のお隣さんも紹介するぜい」

青ピ「お隣さん?」

土御門「おーい!上やーん!」

青ピ「上やん?」

上条「ハイハイ、上条さんですのことよ」

青ピ「ああ、上条くんか。なるほど」

上条「えーと、田中…だっけ?」

青ピ「青ピでええよ青ピで。そっちのが覚えやすいやろ?」

上条「あ、そうか?」

青ピ「ああ。僕も上やんて呼ぶさかい」

青ピ(つーか田中って偽名だし)

上条「そっか。じゃあよろしくな青ピ」

青ピ「こちらこそや、上やん」


433: 2012/03/10(土) 21:42:45.63 ID:Fof1aD1DO

土御門「いやー、しっかし入学早々ビックリしたぜよ!まっさかあんな幼稚園児みたいな人が先生だったとはにゃー!」

青ピ「せやなぁ。まあけっこうかわえかったけど」

上条「かわいいって…まさか口リコン趣味が?」

青ピ「イヤ、そんなんちゃうわ!」

土御門「じゃあ青ピのストライクゾーンはどこぜよ?」

青ピ「僕か?んー…」

青ピ(フレンダとの出会いを考えると…)

青ピ「…落下型ヒロイン。…!」ハッ


-それに、付き合ってんのも隠した方がいいな

-結局、誰かに知られたらマズイことにしかならない訳だしね


上条「あんなの二次元限定だろ。ちなみに上条さんは年上の…」

青ピ「…-のみならず」

土御門「ん?」




青ピ「義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブクセっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護婦さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さん口リシOタツンデレチアガールスチュワーデスウエイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様二ーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まであらゆる女性が僕のストライクゾーンやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




青ピ「」ハァハァ

上条「」


土御門「」



クラス一同「」




青ピ(やっちまった…)ズーン


上条「え、えーと、結局口リk」

青ピ「口リだけやない!口リも好きなんやでぇぇぇ!」(もうヤケクソだちくしょー!)




434: 2012/03/10(土) 21:45:27.76 ID:Fof1aD1DO

-4月下旬、青髪ピアス宅


フレンダ「ーっ!ーーっ!」バンバン!

青ピ「どんだけ笑とんねん…イヤそら笑うかぁ」ズーン

フレンダ「ヒーッ!氏ぬ!氏ぬ!っぷははははは!あははははははは!」バンバン!

青ピ「ホンマ…何考えてんねやろ僕…」

フレンダ「テンパりすぎでしょ!学園都市第六位の思考回路ぶっ飛びすぎてるわ!あっははははははは!」ヒーッヒーッ

青ピ「ホンマやなぁ…別に一般人にバレたってかめへんのに…何やってんねやろ」ハァ

フレンダ「あはははは!腹筋切れちゃうってば!」

青ピ「…それ以来僕の評価ドン底やし…さすがの小萌先生も反応に困っとったわ」

フレンダ「そりゃ自分の生徒が史上最強の変Oだって分かったrあはははははは、ダ、ダメだわ!発作が!あっはははははは!」

青ピ「変O…せやなぁ…気付いたら僕オタクでドMっちゅう設定になっとったしなぁ」シミジミ

フレンダ「あっはっはっはっはっはっはっはっ!や、やめ!氏ぬってば!あっはははははは!」バンバン!

青ピ「…人間テンパると信じられん行動するんやなぁ。最終的に僕新しい動き身につけてん。見てホラ」クネクネ

フレンダ「ーっ!あ、あんたわざと笑わせnっはっはっはっはっ!はははははははは!軟体動物か!あっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」ヒーッヒーッ




435: 2012/03/10(土) 21:47:03.18 ID:Fof1aD1DO


フレンダ「」ピクピク

青ピ「大丈夫か?おい」

フレンダ「だ、大丈…っぷ」クスクス

青ピ「大丈夫ちゃうやん」ハァ

フレンダ「しょ、しょうがないじゃん。そんな話されたら」プルプル

青ピ「…」

フレンダ「…」プルプル

青ピ「」クネクネ

フレンダ「」ブッフー! バンバン!



436: 2012/03/10(土) 21:48:26.70 ID:Fof1aD1DO



フレンダ「にしても、なんで未だに青ピって呼ばせてる訳?せっかく私が名前考えてあげたのに」

青ピ「大事な大事なファーストネームや。知り合ってすぐのヤツに呼ばせたないんよ」

フレンダ「ふーん…」

青ピ「名前がないから青ピって呼んでもらうのと、名前があるけど青ピって呼ばせるのじゃえらい違いなんやで?アクトって名前は僕ん中じゃ宝物や」

フレンダ「…ホント?」

青ピ「もちろんや!名前もアクト=セイヴェルンしよか本気で迷ったしな。感づかれそうやからやめたけど」

フレンダ「…んふふ、嬉しいわ」




437: 2012/03/10(土) 21:50:04.88 ID:Fof1aD1DO



フレンダ「ま、結局その感じじゃ浮気の心配はいらないみたいね」

青ピ「どのみちフレンダがおるのに浮気なんてする意味あらへんわ」

フレンダ「結局、男はみんなそうやって言う訳よ」

青ピ「どこ情報や、それ」

フレンダ「友達情報」

青ピ「…さよか」

フレンダ「だから学校ではそのキャラでいてね」

青ピ「嫌や…って言いたいとこやけど案外楽しいしな…でもさすがに…」

フレンダ「いいの。その代わり来年から私もアクトの学校通うって訳よ」

青ピ「お?ホンマ?」

フレンダ「もち!話聞いてみたら結局面白そうだし」

青ピ「よっしゃ!僕ホンマのこと言うと制服デートってしてみたかったんや!」

フレンダ「ニャハハ!いきなり青春街道まっしぐらな訳よ!」




438: 2012/03/10(土) 21:51:36.25 ID:Fof1aD1DO



フレンダ「ねえ」

青ピ「ん?」

フレンダ「ホントに浮気しない?」

青ピ「せぇへんて!」

フレンダ「ホントにホント?」

青ピ「…あんなぁ、フレンダ以上の女の子なんか僕ん中におらへんの」

フレンダ「…そう、なの?」

青ピ「…あたりまえだろ?なにがそんな不安なんだ?」

フレンダ「…ョ…」ボソッ

青ピ「ん?」

フレンダ「…プロポーション」

青ピ「…なるほど」

フレンダ「結局、一瞬で納得いっちゃうほど乏しい訳よ…」ニャハハ…

青ピ「別にかまわない」

フレンダ「え?」

青ピ「結局、大事なのは中身って訳だ」

フレンダ「…ありがと」

青ピ「…そんなに気になるなら大きくしてやろうか?」

フレンダ「ふぇ?」

青ピ「よく言うだろ?揉むといろいろ大きくなるらしいぞ」ガバッ

フレンダ「え?ちょっ、まっ、キャッ!」ドサッ

青ピ「…つーか、フレンダ脚キレイだからそれだけでも十分だし」

フレンダ「うぅ…」

青ピ「…やっぱかわいいし」

フレンダ「…ねえ、アクト」

青ピ「ん?」

フレンダ「キス…して…」

青ピ「…いつもの?」

フレンダ「どっちも…いっぱいキスして…」

青ピ「…ああ」



439: 2012/03/10(土) 21:58:15.03 ID:Fof1aD1DO
今回はここまでです。
やっと上条さんもつっちーも出てきた。

レスありがとうございます。
アレ?横須賀さんファンが増えたw
嬉しいことです。ありがとうございます。


次回からちょっとずつ地の文復活です。

445: 2012/03/12(月) 21:07:26.54 ID:y/xxJs6DO

-5月中旬、第十三学区とある小学校前

ガヤガヤ ガヤガヤ

フレンダ「んー…、そろそろなんだけどな」

青ピ「いやーみんなちっこいのばっかやな」

フレンダ「そりゃそうでしょ、小学校なんだし」

青ピ「そうやな。みんなかわええわ」

フレンダ「結局口リコンな訳?」クスクス

青ピ「そーゆーかわええちゃうわ!」




446: 2012/03/12(月) 21:08:32.90 ID:y/xxJs6DO



フレンダ「あ、いたいた」

青ピ「ん?アレか?」

???「!お姉ちゃん!」

フレンダ「おーう、お疲れフレメア」

フレメア「お疲れ、にゃあ」

青ピ「この娘がフレメアちゃんか?フレンダそっくりやな」

フレメア「?お兄さん誰?」

フレンダ「結局、私が連れてくる男って言ったら一人しかいないって訳よ」

フレメア「!じゃあ、この人が大体いつもお姉ちゃんが話してる『アクト』って人!?」

青ピ「せや、アクトや。はじめまして」

フレメア「フレメア=セイヴェルンです!はじめまして!」




447: 2012/03/12(月) 21:09:53.72 ID:y/xxJs6DO


-公園

フレンダ「じゃ、私なにか飲み物買ってくるわ」

青ピ「僕行くよ?」

フレンダ「結局、意地悪して【いちごおでん】買ってくるような人には行かせられないって訳よ」

青ピ「バレたか」ハハ

フレンダ「そんじゃ、ちょっと待っててね」 タタタ

青ピ「…美味しいと思うんやけどなあ、【いちごおでん】」

フレメア「」ジーッ

青ピ「ん?なんや?」

フレメア「アクト大きいね」

青ピ「まあ180越えとるからな」

フレメア「でも、大体駒場のお兄ちゃんのが大きい」フフン

青ピ「ほぅ、僕より大きいとなるとかなり大きいな」

フレメア「♪」

フレンダ「おまたせー」

青ピ「お、何買うてきたん?」

フレンダ「はい、【椰子の実サイダー】」

青ピ「まともやな。【サバ缶】かと思ったわ」

フレンダ「自販機に売ってねーっての」

フレメア「お姉ちゃん」

フレンダ「ん?」

フレメア「大体私の勝ち、にゃあ」フフン

フレンダ「は?」




448: 2012/03/12(月) 21:11:21.63 ID:y/xxJs6DO



青ピ「おや?」

少年「おーい、フレメアー」

フレメア「あ、どうしたの?」

フレンダ「友達?」

フレメア「うん。学校の」

少年「あのさ、俺たち今から缶けりしよう思ってたんだ。だからそれ飲み終わったらくれよ」

フレメア「ん、いいよ」

少年「サンキュー!フレメアもやる?」

フレメア「やる!にゃあ!」

少年「よし!じゃあ行こうぜ!」

フレメア「うん!お姉ちゃんとアクトも行こ!」

フレンダ「え?イヤ私たちは…」

青ピ「よっしゃ行こ!」

フレンダ「え゛、マジ?」

青ピ「ええやん!楽しそうやし!」

<早くー!

フレンダ「…ま、たまにはいっか」




449: 2012/03/12(月) 21:12:29.18 ID:y/xxJs6DO



フレンダ「よーし、後はアクトだけって訳ね」

フレメア「お姉ちゃん大体強い…」

少年「アレ、フレメアのお姉ちゃん?スゲーな、カッケー」

フレメア「ふふん♪」

フレンダ「さーてどこに…」

「ここや、ここ」

フレンダ「え?」

<スコーン!

青ピ「ホラみんな逃げろー!」

ワアアアアアアア!

フレンダ「ちょっとアクト!結局、能力なんて卑怯な訳よ!」




450: 2012/03/12(月) 21:13:40.84 ID:y/xxJs6DO



少年「」ジーッ

少年(…今なら…行ける!)ダッ

青ピ「ほい、最後の一人見っけ」

少年「うわぁ!」

フレメア「また何もないとこから出てきた、にゃあ」

フレンダ「結局、大人気ない訳よ」ハァ

少年「ビックリしたぁ…お兄さん空間移動の能力者なの?」

青ピ「ちゃうちゃう。能力者ですらないわ」

フレンダ「ん?」

フレメア「え?でも今も何もないとこから出てきて…」

青ピ「僕の足見てみ」

フレメア「…!?」

少年「う、わ」

青ピ「そう…実は僕…幽r」

フレンダ「やめんか!」バキッ

青ピ「あだっ!」




451: 2012/03/12(月) 21:16:14.77 ID:y/xxJs6DO

-6月上旬、第三学区とあるホテル


暗部組織『アカデミー』によるテロが発生。フランス大使及びSP・通訳等を人質にホテルを占拠。

30分後、暗部組織『ウォール』が現場に急行。フランス大使ら人質の奪還に成功。

フランス大使等、武器を奪い返したSPの護衛のもとホテルを脱出。この時点で暗部組織『アカデミー』は半数が脱落。


452: 2012/03/12(月) 21:17:22.64 ID:y/xxJs6DO

「横須賀、そっち何人か行ったで」

横須賀『了解。捕縛する。』

「さあ、お前らももう終わりや」

三階ロビーにてどこからともなく声がする。アナウンスではない。確実にロビーにいる。だが、どこからするかは分からない。

そんな敵に怯えるように、『アカデミー』の残党はロビーの片隅に追いやられていた。下部組織の人員も全て武装しているが、それでも半数が脱落しているのだ。無理もない。

幹部「ふん、終わるのはお前だ」

だが、『アカデミー』の幹部はまだ諦めていない。急場を凌げば、別のプランだってある。たった一つの策のみで学園都市を相手取れるとは思っていない。


453: 2012/03/12(月) 21:18:40.36 ID:y/xxJs6DO

そして、今回のプランを完遂させるにあたって下準備は整えてきた。

ガシャン!と言う音と共に、ロビーを囲うように設置されていた全ての防火シャッターが降ろされた。

「な!?退路が!?」

フランス大使らを奪還されたのはたしかに誤算だった。しかし、ここで固まったのは誤算ではない。相手を潰すための策だ。

幹部「このロビーにいることが分かれば見えなくても関係ねぇんだよ!撃て!撃ちまくれ!」


ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!





454: 2012/03/12(月) 21:20:09.87 ID:y/xxJs6DO



青ピ「制圧終わったでぇ。下部組織よこしたって」

霧谷『了解で』

横須賀「…また一段とチートだな。駆動鎧ごと消せるとは。」

青ピ「おかげで仕事がはかどるで。30ミリガトリングでも平気なんよ、コレ」

横須賀「そこまで能力が向上するとはな。ここまで適用範囲が広がれば序列も上がるんじゃないか?」

青ピ「イヤ、上の連中には見せへん。今さら序列なんてどーでもええし。もっと大事なモンがあるしな」

横須賀「駆動鎧支給を頼んだ時点で上の連中も気付いているのではないか?」

青ピ「大丈夫やろ。コレお前が使っとることになっとるし」



455: 2012/03/12(月) 21:22:11.64 ID:y/xxJs6DO

-キャンピングカー


霧谷「お疲れで」

横須賀「おう。」

青ピ「ほな、帰ろか。出したってやー!」

<ヘイ

ブロロロロロロロロロロロロロロ…

横須賀「そういえば気になったんだが。」

青ピ「ん?」

横須賀「お前なんで最近任務中もエセ関西弁なんだ?」

青ピ「え?」

霧谷「あ、それ私も思ったんで」

青ピ「あー、そういやそうやったか。別に大した理由やあらへんよ。標準語使う条件が変わったんや」

霧谷「…?」

横須賀「…それで『自分だけの現実』が変わって、能力の範囲が広がった。と?」

青ピ「そんなん関係な…イヤ、どうやろな?自分でも分からへんわ」




456: 2012/03/12(月) 21:24:20.89 ID:y/xxJs6DO


霧谷「それと、なんで最近は全員捕縛なんで?」

横須賀「…そういえばそうだな。頃しはあまりないな」

青ピ「せやったら聞くけど、君ら人頃ししたいか?」

霧谷「…私は殺人狂じゃないんで」

横須賀「同じく、だな。」

青ピ「僕もや。ほんで、それが理由や」

横須賀「それでいいのか?」

青ピ「頃すんも無力化させんのも似たようなモンや。かめへんやろ」

霧谷「左様で」

青ピ「ちゅうても、ムリやったら頃してもええで?特に拘る必要もあらへんわ」

キッ

<着きやした!

横須賀「ご苦労。」

青ピ「さ、風呂入って続きやろか」

霧谷「桃鉄48年目…まだひっくり返せるんで」


457: 2012/03/12(月) 21:26:41.65 ID:y/xxJs6DO
-6月下旬、とある高校

青ピ「なんや上やん。お疲れやね」

上条「あー…最近いろいろあってな。不幸なのは最近に限らずだけど…」

青ピ「いろいろってなんや?」

上条「…お前には言わねえよ。たぶんめんどくさいコトになる。とにかく不幸なコトだよ」

青ピ「なんやねん薄情やなー。僕と上やんの仲やないの」

土御門「おやぁ?果たしてかわいい女子中学生に迫られるのは不幸って言えるのかにゃー?」

上条「土御門てめえなんで知ってんだよ!」

青ピ「なんや上やん!そんなん不幸どころか幸福の極みやん!」

上条「迫られるってそーゆー迫られるじゃねーんだよ!好意じゃなくて敵意剥き出しで迫られてんの!」

土御門「敵意剥き出しって…」

青ピ「何したんや、上やん…」

上条「なんもしてねーよ!助けようとしただけだって!」

青ピ「…分かったアレや。きっとまたなんかの拍子に胸でも触ったんやろ?」

上条「ねーよ!つーかまたってなんだ!?」

土御門「そしてキメ台詞に「不幸だー!」って言ったんだぜい。そりゃ女の子もキレるぜよ」

上条「だから違うっつってんだろ!話聞けてめえら!」



458: 2012/03/12(月) 21:28:04.09 ID:y/xxJs6DO


-放課後

青ピ(フレンダのヤツ遅いな…)

青髪ピアスはとある本屋の前に立っていた。フレンダとの待ち合わせのためである。

久々に2つの暗部の休日が重なったのだし、学校をサボって遊ぼうと思ったのだが、
「青髪ちゃん、そろそろ追加課題だけじゃ補いきれなくなりますよ?出席日数的に」
だそうだ。

それでもサボろうとしたが、
「結局、まだアクトの学ラン姿見てない訳よ」
だそうだ。

青ピ「ん?」

フレンダはまだ来ないだろうか。そう思いながら往来を見渡すと、見覚えのあるツンツン頭が大通りを横切って路地裏に飛び込んで行くのが見えた。

青ピ(なんだ?あんな血相変えて…)




459: 2012/03/12(月) 21:30:05.08 ID:y/xxJs6DO


-路地裏

ツンツン頭が飛び込んだ路地裏に入ると、腰を抜かした女子高生と思われる女が一人、孤軍奮闘するツンツン頭が一人、意気揚々と暴力を振り回すスキルアウトが四人いた。

路地裏に入る際、青髪ピアスは能力を使っていた。なのでケンカしている五人も腰を抜かした女子高生も青髪ピアスに気付かない。

(…穏便に済ませるか)

青髪ピアスは一人ずつ能力を使って脱出させようとした。

なんだか分からないが、気が付いたら助かっていた。そう思ってもらおう。フレンダと遊ぶ前に余計な体力も時間も使いたくない。まずは既に満身創痍のツンツン頭だ。


460: 2012/03/12(月) 21:31:23.06 ID:y/xxJs6DO

狭い路地裏で周りの人間に当たらないように器用に彼の背後に回り、左肩を掴んだのだが

(ん?なんで消えないんだ?)

ツンツン頭は消えずにそこにいた。彼の右手におかしな力が宿っているのは重々承知である。だが、右手以外なら能力は適用される。そう思っていたのだが、どうやら違うらしい。

上条「!?くっそ!なんだ新手かよ!?」

スキルアウト「ああ!?何言ってんだてめえ!」

どうやら肩を掴んだら、敵の新手だと思われた様だ。気配すら感じとれないスキルアウト達には何のことだか分からないだろうが。


461: 2012/03/12(月) 21:32:51.43 ID:y/xxJs6DO

(しょうがない。普通にやるか)

めんどくさいが仕方ない。能力を使いながらなら瞬殺だが、上条に味方だと分からせるには能力を解いた方がいいだろう。めちゃくちゃに拳を振り回されてこちらに被害が出るのも難儀だ。

青ピ「さすがに四対一は卑怯やで」

スキルアウト「!?誰だてめえ!?」

上条「青ピ!?いつ来たんだ!?」

青ピ「質問なんてあと回しや上やん。女の子にええとこ見せんのが先やろ」




462: 2012/03/12(月) 21:35:03.31 ID:y/xxJs6DO



上条「…ふう、助かったぜ青ピ。ってて」

青ピ「大丈夫かいな。っちゅうかなんで四対一なんて無謀な真似したんや?」

上条「イヤ、この娘が囲まれてたから…」

青ピ「それやったらまずは風紀委員か警備員やろ」

上条「そんな悠長な感じじゃなかったんだよ。いてて…」

女子高生「あ、あの!」

上条「ん?」

青ピ「なんや?」

女子高生「助けていただいてありがとうございました!」

上条「あー、別にかまいませんよ。それよりケガないか?」

女子高生「は、はい!おかげさまで…」

上条「そっか。そりゃ良かった」

青ピ「上やんは自分の心配すんのが先やで」

女子高生「す、すいません。私のために…」

上条「あー、大丈夫大丈夫。上条さんはタフネスだけが取り柄ですから」

青ピ「…ええヤツすぎるで上やん」




463: 2012/03/12(月) 21:36:54.96 ID:y/xxJs6DO

フレンダ「結局、どーゆー状況な訳?」

上条「へ?」

青ピ「おお、遅かったなフレンダ」

フレンダ「こっちのセリフだっての。私のコトほっといて何してる訳?」

上条「あ、あの~どちらさまでせう?」

フレンダ「私?私はアクトの…」

「秘密や」

「ムグッ」

上条「あれ!?青ピ!?」

女子高生「消え、た?」

「ほなな、上やん。また学校でな」



464: 2012/03/12(月) 21:48:56.77 ID:y/xxJs6DO
今回はここまでです。
フレンダ成分も横須賀成分も少ないですが。


レスありがとうございます。
そのコーヒーは多分かき回すとジャリジャリ言いますよ。砂糖で。
てか、もう横須賀さんが輝くシーンあんま無いかもです…
…自分もです。だからこそ、です。
シリアス青ピからの変O青ピ。シスコン土御門からのシリアス土御門。みたいな感じです。


次回から原作とちょっとずつリンクしていきます。また地の文消えますが…
黒妻さん出せるかな…ムリだな…

467: 2012/03/14(水) 21:00:51.30 ID:CMHImC9DO

-7月上旬、第十九学区


霧谷「やっぱり所持してたんで」

青ピ「…またかいな」

霧谷「なんというか…裏社会もちょろいんで」

横須賀「俺は楽しいがな。」

青ピ「【幻想御手】使うた武装集団の暴走…これで何件目や」




468: 2012/03/14(水) 21:02:13.26 ID:CMHImC9DO



横須賀「そういえば、『アカデミー』の連中も使っていたな。」

青ピ「あ、そうなん?」

霧谷「あそこの幹部5人中3人が使ってたんで。まあうち2人は能力使う間も無く捕縛したんで」

青ピ「…あー、能力使て後ろから一発で仕留めたさかい」

横須賀「相変わらずチートだな。で、残る一人が俺のところに回ってきた訳だ。」

霧谷「と言っても、横須賀さん少し危なかったんで」

横須賀「何を言う。結果無傷だっただろう?」

霧谷「ビブルチ寸前だったんで。私の援護のおかげなんで」


469: 2012/03/14(水) 21:03:26.90 ID:CMHImC9DO

青ピ「一番ヤバいのは高位能力者が【幻想御手】を使うコトやな」

霧谷「高位能力者が【幻想御手】に手を出すコトなんてめったに無いんで」

青ピ「僕が一番最初に対峙した使用者が大能力者やってん」

横須賀「…いつの話だ?」

青ピ「先々月の終わりくらいやろか?とある学校の優等生だから穏便に頼むっちゅうコトで単独任務やったんよ」

霧谷「でもそれってほとんど超能力者だったんじゃないんで?」

青ピ「せやから危なかったで。【量子変速】の大能力者や言うてな?そいつが大幅に能力向上したモンやから疑似ブラックホールとか作りだしてたで」

横須賀「…よく勝てたな。」

青ピ「なんや知らんけど、粘っとったら勝手ぶっ倒れよった。きっと脳が追っ付かなかったんやろな」



470: 2012/03/14(水) 21:05:42.08 ID:CMHImC9DO

-7月下旬、プールサイド


青ピ「」

フレンダ「」ドキドキ

青ピ「…」

フレンダ「ど、どう?」

青ピ「かなりええな」

フレンダ「YES!」グッ

青ピ「せやけど…ちょっと際どすぎひんか?」

フレンダ「結局、水着なんて魅せるために着るんだからちょうどいいの」

青ピ「さよか」

フレンダ「じゃ、早く行こ!ウォータースライダー!」

青ピ「…もうちょい待ってもらえへんやろか」

フレンダ「?お腹でも痛いの?」

青ピ「…せやな、うん。せやから、前屈みの状態から動けへんねん」

フレンダ「…大変ね」ジトー

青ピ「…スマンな、たぶんもう少ししたら治るさかい」



471: 2012/03/14(水) 21:07:08.72 ID:CMHImC9DO


バッシャーン!


フレンダ「っぷは!」

青ピ「ぷあっ!」

フレンダ「ふぃー、気ん持ちいい!」

青ピ「気持ちええなコレ!ただの滑り台やと思っとったわ!」

フレンダ「訳が違うっての。ホラ、早く退かないと体当たりされるわよ」

青ピ「っと、アカンアカン。そうやった」



472: 2012/03/14(水) 21:09:39.31 ID:CMHImC9DO


フレンダ「よーし、もう一丁!」

青ピ「ええけど、そろそろ普通に泳がへん?」

フレンダ「えー、結局泳ぐだけならプライベートプールのがいいしなあ」

青ピ「プライベートプール?そんなんあんの?」

フレンダ「うん、暗部のみんなで借りてるの」

青ピ「…稼いどるなぁ」

フレンダ「ウチのリーダーの自腹だけどね」

青ピ「ガチでか」

フレンダ「結局、超能力者ともなると収入が段違いな訳よ。アクトもそんくらいもらってるんでしょ?」

青ピ「まあな。せやけどそんな使わないしなぁ」

フレンダ「そうよね。結局、今まで一緒にいてアクトがお金をばらまくとこなんて見たことないし」

青ピ「中の上の生活ができればそれで十分やん。プラスかわええ彼女が居れば天国やで」

フレンダ「…ニャハハ、相変わらず急に嬉しいこと言ってくれるね」



473: 2012/03/14(水) 21:11:32.38 ID:CMHImC9DO


-プールサイド

青ピ「いやぁ久しぶりに泳いだで!」

フレンダ「結局、最後の方は一人で泳いでたもんね」

青ピ「ゴメンな、テンション上がって限界目指してもうたわ」

フレンダ「まあ、楽しかったからいいけどね」

青ピ「ならよかったわ。そろそろ着替えよか」

フレンダ「…ねえ」

青ピ「ん?」

フレンダ「この水着似合う?」

青ピ「なんや今さら。最初僕がどうなっとったか覚えてへんの?」

フレンダ「じゃあ…」スッ

青ピ「ぶっ!?」

フレンダ「結局、アクトが能力使ってくれれば周りには気付かれないし」

青ピ「な、なに急にスイッチ入れとんねん!」

フレンダ「ふふ、結局ここんとこアクトが襲ってこないから自分からって訳よ」

青ピ「…」

フレンダ「ホラ、早く能力使って…」



474: 2012/03/14(水) 21:13:13.09 ID:CMHImC9DO

青ピ「ダメだ」

フレンダ「えー」

青ピ「だって能力使ったら周りに見えなくなるけど、俺らもお互い見えないし」

フレンダ「あ、そっか」

青ピ「それに今ゴムもないしな」

フレンダ「ちぇっ」

青ピ「まあ…でも今日はフレンダの家に泊まろうかな」

フレンダ「ホント!?」

青ピ「あぁ。ぶっちゃけ性ありきの関係にしたくないってだけでさ…俺も限界なんだ」

フレンダ「じゃあ今からずっと標準語ね」

青ピ「なんで?」

フレンダ「あの日言ったでしょ。結局、私の中では関西弁よりも標準語の方がアクトはカッコいい訳よ」

青ピ「最初の頃は関西弁の方が楽しいって言ってたけど」

フレンダ「楽しいのは関西弁。カッコいいのは標準語って訳よ」

青ピ「ははっ、了解です」

フレンダ「それと…」

青ピ「標準語はフレンダの前でだけ、だろ?」

フレンダ「…ニャハハ、結局私ってば独占欲が強いのよん♪」



475: 2012/03/14(水) 21:14:34.44 ID:CMHImC9DO

-8月上旬

青ピ「やっぱアロハ似合うなあ」

土御門「ハッハッハ、こんなクソ暑い日にはアロハしかないぜよ」

青ピ「入学式ん時から学ランの下はアロハやなかったっけ?」

土御門「アロハシャツは基本的にオールシーズンで着れるんだぜい?」

青ピ「いやいやあらへんやろ」




476: 2012/03/14(水) 21:15:38.54 ID:CMHImC9DO



青ピ「しっかしこのクソ暑い中ナンパしに行くメリットなんてあんのかいな?」

土御門「知らんのか?青ピ。夏は女を開放的にさせるんだぜぃ?」

青ピ「あー…たしかに」

土御門「…なんぜよそのリアクションは…まさか経験あるのか?」ゴクリ

青ピ「…秘密や」

土御門「何ィ!?ま、まさか青ピに先を越されただと!?」

青ピ「よう言うわ。舞夏ちゃんおるクセに」

土御門「まあな」キリッ

青ピ「あはは、腹立つわ~」イラッ




477: 2012/03/14(水) 21:16:25.09 ID:CMHImC9DO



青ピ「しかし、コレやったらなんでナンパしに来たのか本格的に意味不明やん」

土御門「…でも、面白いモンが見れたからOKだにゃー」

青ピ「面白いモン?」

土御門「ホラ、アレぜよ」

青ピ「…上やん?と…誰やアレ」

土御門「…シスターっぽいぜよ」




478: 2012/03/14(水) 21:17:12.07 ID:CMHImC9DO



青ピ「中々に素敵な交渉中なんやけどな~上やん」

土御門「ちなみにその娘誰ぜよ」

上条「…え?あ…」

青ピ「どした?暑さで記憶飛んでんのかいな」

上条「…」

青ピ「冗~談やがな。記憶喪失なんて不思議系電波少女の特権やでぇ?」

土御門「実際その娘誰ぜよ?」

青ピ「もしかして女装少年?女の子にしてはペッタンコすぎるし」

???「」ムカッ

上条「お、お前ら!言っていいコトと悪いコトが…。いくら幼児体型だからって…!」

???「とうま」ピキピキピキッ

上条「はい?」

???「私はイギリス正教に属する修道女です。悔いがあるなら今のうちに聞いてあげてもいいんだよ」


その後、上条の奢りでファーストフード店に行き、食い倒れた巫女さんに会ったりしたのは余談である。


479: 2012/03/14(水) 21:18:29.64 ID:CMHImC9DO

-8月中旬、第七学区病院

<コンコン

???「はーい、どーぞー」

<ガララ

青ピ「…ども」

???「あぁ、アクトか」

青ピ「…大丈夫なん?フレンダ」

フレンダ「うん。結局大したことないし」



480: 2012/03/14(水) 21:19:21.71 ID:CMHImC9DO


青ピ「ホイ、コレ。お見舞いの品や」

フレンダ「ん、ありがと。…まさかとは思うけど」

青ピ「【いちごおでん】やないから安心してや。定石通りに果物や」

フレンダ「よかった。結局、いらない心配だったか」

青ピ「なんなら今リンゴの皮ぐらい剥こか?」

フレンダ「できるの?」

青ピ「それなりにな」スチャ

フレンダ「じゃ、お願いするわ」



481: 2012/03/14(水) 21:20:16.18 ID:CMHImC9DO


青ピ「しかし、元気そうで何よりやわ。入院したなんてメール来たから焦ったで」ショリショリ

フレンダ「ニャハハ、結局メールが打てるんだから重体な訳ないんだって」シャグシャグ

青ピ「それでも焦るもんなんや」ショリショリ

フレンダ「ゴメンね。さすがのフレンダ様もLevel5を相手するのは」

青ピ「ストップ」

フレンダ「っと」

青ピ「…詮索はせぇへん。けど、Level5相手取って五体満足なら大したもんや」

フレンダ「結構ギリギリだったけどね…」ニャハハ…




482: 2012/03/14(水) 21:21:23.61 ID:CMHImC9DO


青ピ「なあ」

フレンダ「何?」

青ピ「…もう、やめにしないか?」

フレンダ「…なに、を?」

青ピ「…暗部の活動」

フレンダ「…ビックリした~」

青ピ「え?」

フレンダ「一瞬フラれんのかと思ったわ」

青ピ「はぁ!?ありえねぇよ!誰が手放すか!」

フレンダ「結局、あんな切り出し方じゃ勘違いしてもおかしくないっての」

青ピ「…言われてみればそうか…?スマン」

フレンダ「一瞬脳が機能停止しちゃったわ」

青ピ「スマン…でも、あんな告白しといてフったりしないよ」

フレンダ「…ずっと一緒にいてくれ」

青ピ「ヤメロ、ハズイカラ」


483: 2012/03/14(水) 21:22:44.13 ID:CMHImC9DO


フレンダ「で、なんで急にそんな話になった訳?」

青ピ「…フレンダにケガしてほしくないんだよ」

フレンダ「…」

青ピ「それに、さ。なんつーか…頃しとかもあんまりしてほしくないし」

フレンダ「現実主義者のアクトとは思えない意見ね」

青ピ「…」

フレンダ「結局、そんな簡単に辞められたら誰も暗部になんか残らない訳よ」

青ピ「だよなぁ…」

フレンダ「それに、別に頃しが悪いコトだとも思わないし。結局、人間誰でも何かの犠牲の上に生きてる訳よ。牛なり豚なり。私たちはプラス人間ってだけ」

青ピ「そのプラスがマズいんだろ」

フレンダ「それ兵隊と傭兵って職業全否定してるわよ?」

青ピ「…」

フレンダ「ま、命懸けでお金稼ぐよりはもっと楽に稼ぎたいってのはあるけどね」

青ピ「だったら…」

フレンダ「ムリだっての。アクトは最悪自分で解散宣言すればなんとかなるかもしれない。Level5でリーダーだしね。でも私は別。結局、組織の情報をほとんど知ってる私が抜け出そうとしたら粛正されちゃうって訳」

青ピ「…これ以上ないくらい正論だな」

フレンダ「それにそうなったらフレメアに何されるか…考えたくもないわ」

青ピ「…フレメアちゃんと一緒に暮らしてないのはそういう理由か」

フレンダ「…半分正解。もう半分は私と一緒に暮らして襲撃なんてされたらフレメアを守り切れないから」

青ピ「そう…だな」

フレンダ「あそこの『置き去り』の施設なら大丈夫。セキュリティしっかりしてるし。まあ、アクト相手なら話は別だろうけどね」

青ピ「…」

フレンダ「そんな顔しないの。結局、らしくないよ?」

青ピ「…ああ、そうだな」




484: 2012/03/14(水) 21:25:09.79 ID:CMHImC9DO



青ピ「明日も休みの予定やしまた来るわ。フレメアちゃんも連れてこよか?」

フレンダ「あの子が来たら無駄に心配するからいい…って言いたいとこだけど、結局黙ってたら余計に心配するのよね」ハァ

青ピ「二人きりの姉妹なんやから当然やろ…っとそう言えば僕フレメアちゃんの連絡先知らんわ」

フレンダ「じゃ、私から連絡しとくわ。結局、施設の責任者にも許可もらわないといけない訳だし」

青ピ「頼むわ。ほな、お大事にな」

フレンダ「…ねえ」

青ピ「ん?」

フレンダ「…」ジー

青ピ「…」クスッ





青ピ「これでいいか?」

フレンダ「ニャハハ、よろしい!」



485: 2012/03/14(水) 21:32:27.55 ID:CMHImC9DO
今回はここまでです。
投下数が本編超えそう…。
ま、まあ、本編の方が一回当たりが濃いし。うん。


レスありがとうございます。
てか、レスの返し方が微妙ですいません。


次回でようやく黒妻さん登場。
横須賀さんはオールマイティーだけどカッケーのは黒妻さん。


麦野「フレンダは…私が殺した」【後編】

引用: 麦野「フレンダは…私が殺した」