326: 2012/03/17(土) 19:54:10 ID:dzfOLmEE

楯無「安価で一夏くんにミッションインポッシブル!」一夏「」【前編】


~IS学園寮:織斑一夏の部屋~

楯無「おぉ~こ、ここも懐かしいね…」ドギマギ

一夏「そうですね。そういえばこの部屋での初対面も似たような格好でしたね」

楯無「あ、あれは違うわよ! ちゃんと水着を下に着てたじゃない!!」

一夏「いや、あんな際どいビキニ着てたんですからそんな大差ない…」

楯無「全然違うわよこのアンポンタン!!」

一夏「ひゃ、ひゃい!?」

楯無(あぁもう…さっきの件で余計に意識しちゃってる分、すごくテンパってるわ私…)

一夏(あれ…? 緊張してる楯無さんなんて初めて見たな…。まぁそうか。
   いくらこの人でも裸エプロンは恥ずかしいか)

楯無(どうせ一夏くんのことだから、私がこんな思いをしているのは恥ずかしい格好をさせられるから、
    とくらいにしか思ってないんでしょうねこの唐変朴は!!)
IS<インフィニット・ストラトス>(8) (サンデーGXコミックス)
327: 2012/03/17(土) 19:59:31 ID:dzfOLmEE
楯無「じゃ、じゃあ着替えてくるけど…取りあえずシャワー借りるね」

一夏「え? あぁはい」

一夏(着替えるのにシャワー浴びる必要あるのか? と聞くと何か言われそうだからやめておこう)

―――――――――
―――――
―――

ジャー…

楯無(うぅ…氏ぬのど恥ずかしいけど…やるしかない…!)

楯無(何が起こるのがわからないのがこの企画だから…保険は多い方がいいしね!)

楯無(ちょっとの間の辛抱だから…! 我慢するのよ、更識楯無!!)

楯無(いざ…!)


…ジョリ

―――――――――
―――――
―――

328: 2012/03/17(土) 20:07:16 ID:dzfOLmEE
キィ…

一夏(お、出たようだ…ぶはぁ!?)

楯無「お、おまたせぇ…///」

一夏(あ、相変わらずのボリューム…! エプロンが体にギリギリ収まるかくらいのピッチリとした大きさだから
   ボディラインが満遍なく強調されている…!)

楯無(しまった…サイズがあの時のままだったわ…なんという不覚…)モジモジ

一夏(しかも今回は水着ではなく、あのエプロンの下は紛れもなく裸…!
   それ故に流石の楯無さんも羞恥心を堪えきれない…!
   薄く体を朱に染まらせながら、体を縮こませてモジモジと小刻みに揺れる姿は…圧巻だ!)

一夏(こ、これは予想以上にヤバイ…! 素の本人があれなだけに、更になんかこう…グッとくる!)ビシッ

楯無「…じ」

一夏「ん?」

楯無「ジロジロ見るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ゴゴゴゴゴ…

一夏「ぎゃああああああああああああ!!?? あ、ISしまってください!!
   ここを焼かれたら本当に住む場所なくなりますから、俺!!」

329: 2012/03/17(土) 20:12:46 ID:dzfOLmEE
楯無「ご、ごめん…なんか、つい…(うぅ…平常心を保てない…予想以上に恥ずかしいわコレ…)」

一夏「あ、いえ…(余裕のない楯無さんって…本当になんか新鮮だ…)」

楯無「じゃ、じゃあチャッチャと料理しちゃうから…何かリクエストでもある?」

一夏「え、ええと…何でもいいですよ(正直食事どころの問題じゃなくなってきた気が…)」

楯無「そ、そっか…じゃあ適当に作るね。コロッケとかでいい?」

一夏「え?」

楯無「どうかした? 何でもいいんでしょ?」

一夏「いや、その格好で揚げ物はやめたほうが…」

楯無「え? あ、そっかー…確かにね。じゃあ無難にカレーでいいかな」

一夏「お、いいですね」

楯無「決まりね。じゃあちょっと待ってて。虚ちゃんに材料と器具とか持ってこさせるから」ピッ

―――――――――
―――――
―――

330: 2012/03/17(土) 20:18:54 ID:dzfOLmEE
楯無「よしっ。じゃあ始めますか」

一夏「ミニサイズの寸胴鍋に大型ガスコンロって…何か本格的ですね」

楯無「流石にこの格好で外は出歩きたくないしね。寮室にキッチンでも付けてくれるよう打診してみようかしら」

一夏「いやぁ…そこまでしなくても…。学食があるんですから、いいじゃないですか」

楯無「うーん。(一夏くんの部屋なら特例で降りるかもしれないなぁ。今度言ってみようかしら。色々と融通利くし)」

楯無(…って、何の融通を利かせるのよ。アホらし)

楯無「じゃあ適当に作るから、一夏くんは座って待っててよ」

一夏「はーい」

楯無「まずはサイコロ状に切った牛肉を、油を敷いて暖めたフライパンで軽く炒めて…」ジュー…

一夏(おぉー…やっぱり手馴れてるなぁ)

楯無「あ、下味付け忘れた…って、調味料ないじゃん! 失敗したなぁ…」

一夏「あ、簡単な調味料ならそこの棚にありますよ?」

楯無「え? そんなもの持ってるの?」

一夏「あると便利なので」

楯無「そうなんだ。じゃあちょっと借りるね」スクッ

331: 2012/03/17(土) 20:24:00 ID:dzfOLmEE
楯無「うーん、どこー?」ゴソゴソ

一夏「ええと、そこの下のぉ!?」

楯無「ん、あぁーこれかぁ」

一夏「あ…あぁ…」

楯無「まずは塩コショウにー、ケチャップとマヨネーズ、おぉーポン酢とラー油とかもあるじゃない」

一夏(う、後姿が…簡単な紐でしか覆われてない背面部が、丸見え…!!)

一夏(し、しかも屈んでいるから…うぉぉぉぉぉぉ見てない! 俺は何も見てないぞぉぉぉぉぉぉ!!)ブンブン

楯無「まぁこんなもんで――ん、どうしたの一夏くん。必氏に顔を逸らして…」

一夏「……」

楯無「……」

楯無「は…!」ババッ

332: 2012/03/17(土) 20:25:26 ID:dzfOLmEE
一夏「……」

楯無「…見た?」

一夏「え…?」

楯無「見た…?」

一夏「うッ…」

楯無「……」

一夏(言い訳したいけど…したら何されるかわからないな…)

一夏(というか正直に言っても楯無さんなら大丈夫だろう。
    きっと笑いながら俺をおちょくってくるぐらいで許してくれるはずだ。まぁそれはそれで困るけど…)

一夏「え、ええと…チラッと…」

楯無「…!」

一夏「で、でも少しだけ…いや、というか全然見てないっていうか!」ブンブン

楯無「……///」

一夏(あ、あれ…? 何だこの間は…?)

333: 2012/03/17(土) 20:29:27 ID:dzfOLmEE
楯無「……」

一夏「あ、あの…楯無、さん…?」

楯無「い…」

一夏「い?」

楯無「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


<ミステリアス・レイディ―――展開>


一夏「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? な、何で本気モード!?」

楯無「わあああすぅぅぅぅれぇぇぇなぁぁぁぁさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいッッ!!」


<蒼流旋>


ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!


一夏「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??」

楯無「みぃぃぃなぁぁぁいぃぃぃぃぃでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」ダダダダダダダダダ!!

一夏「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!??」

334: 2012/03/17(土) 20:32:05 ID:dzfOLmEE
一夏「」チーン

楯無「はぁ…はぁ…はぁ……」

一夏「」

楯無「思わずISをぶっ放してしまった…念のため実弾装備を全部空砲に代えておいてよかったわ…」

楯無「ほ、本当に見てないんでしょうね…///」ドキドキ

楯無「……」

一夏「」

楯無「はぁ…何か今日は一夏くんに振り回されるわ…普段は私からからかってばっかだから、変な感じ…」

一夏「」

楯無「……///」

楯無「と、とりあえず一夏くんは都合よくのびてるし、この隙に作っちゃいましょう、うん」

―――――――――
―――――
―――

335: 2012/03/17(土) 20:36:26 ID:dzfOLmEE
楯無「一夏くん、一夏くん」ユサユサ

一夏「う、ん……?」パチ

楯無「ほら、起きて。カレーできたから」

一夏「ん…? おぉ、本当だ…いい匂いがしますね」

楯無「一夏くんってば、急に寝ちゃうんだもん。お姉さんちょっとビックリしたよ」

一夏「あれ? そういえば、俺は何で――」

楯無「一 夏 く ん ?」ギロッ

一夏「ひぃ!?」

楯無「一夏くんは今までのミッションの疲れが溜まっていたせいで、寝ちゃったんだよ?」

楯無「だからさっき何が起こったか見てないし、覚えてもいない。そうだよね?」

一夏「は、はい! その通りであります!!」

楯無「もぉー☆ 頑張ってる先輩を尻目に寝ちゃうなんて…このお茶目さんめ♪」ツンツン

一夏「は、はは…(何だかただ事ならない事が起きたような気がするけど、詮索するなと俺の勘が告げている…)」

一夏(…そしてカレー以外にも香る硝煙の匂いにも、深くは突っ込んではいけないのだろう、多分…)ダラダラ

336: 2012/03/17(土) 20:43:57 ID:dzfOLmEE
楯無「はい。じゃあもうよそってあるから、召し上がれ」サッ

一夏「おぉー…これは美味しそうだ。いただきます」パクッ

楯無「どうかな。といっても、市販のルーだから味はあまり保証できないけど」

一夏「いや、美味しいですよ! 何というか、コクもあるんですけど、それ以上に後味がすごくいいです!
   仄かな酸味が出てて、コクと相まってすごく爽やかで…! 何入れたんですか?」

楯無「そうだねー。私はカレーはどっちかっていうと甘めが好きだからね。
    甘さはトマトケチャップを多めにいれたからかな。とは隠し味にポン酢を入れてみたの」

一夏「へぇ…あまり思いつかない味付けですね」

楯無「まぁカレーなんて何入れても合うしね」

一夏「それでも調整が丁寧ですから、こんな味わい深くなるんですよ。本当に美味しいです。ありがとうございます」

楯無「そ、そうかな…///ありがと」テレテレ

一夏「あ、おかわり貰ってもいいですか?」サッ

楯無「うわ、食べるの早ッ!? いいよ、任せなさい♪」

一夏「?(何か前に料理を褒めたときよりずっと喜んでいる気が…)」

337: 2012/03/17(土) 20:49:34 ID:dzfOLmEE
一夏「ふぅーごちそうさまでした」

楯無「お粗末様でした。まさか本当に全部食べてくれるなんてね」

一夏「いや、本当に美味しかったですよ。量もそんなになかったですから」

楯無「あはは、ありがとっ。それと、ミッション・コンプリートおめでとっ!」パチパチ

一夏「え、あぁどうも…(結局何もしてない気がするけど…)」

338: 2012/03/17(土) 20:52:02 ID:dzfOLmEE
楯無「じゃあ頑張ったご褒美に、お姉さんが皿洗いをしてあげよう」スクッ

一夏「え? いや、いいですよ。こういうのって、振舞ってもらった方がやるもんでしょ?」

楯無「年上の親切は素直に受け取りなさい。まぁすぐ済むから大丈夫よ」

一夏「うーん…」

楯無「そこまで喜んでもらえたから、こっちだって嬉しいの。だからこれはささやかなお礼のつもりってことで」

一夏「まぁ、そこまで言うなら」

楯無「はーい。じゃあ流し借りるね」ガチャガチャ

一夏「あ、食器用洗剤はないんですけど、予備のスポンジならシャワー室の横に―――」クルッ

一夏「ぶッ!!??」

楯無「~♪」フリフリ

一夏(ま、また見えてる! また見えちゃってますから!!)

339: 2012/03/17(土) 20:54:35 ID:dzfOLmEE
一夏(どどどどうしよう…! 注意したいけど、よく分からんがここで何か言えば更に墓穴を掘る気がする…!)

一夏(な、ならばここは素知らぬ顔をして、やり過ごすのがおそらくはベストな選択…のはず!)

楯無「一夏くん、さっき何か言いかけてなかった? スポンジがどうとか―――」クルッ

一夏「あ…」

楯無「……」

一夏「……」

楯無「…あ!」ササッ

一夏(ぎゃあああああああああああ!? き、気付かれたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?)

楯無「(わ、私ってばまた…! 本当に注意力が散漫になってるわ!!)み、見るなこのへんた――」グルン

ズルッ

楯無「え?」

ズテッ…ガラガラガッシャン

楯無「きゃぁっ!?」

一夏「―――!!」

楯無「い、いやああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

340: 2012/03/17(土) 21:49:01 ID:dzfOLmEE
更識楯無が足を滑らせたのは、足元に何かが転がっていたわけではない。
ただ彼女の足元の床には、最初に牛肉を炒めた際に飛び散った油が僅かながら付着していただけであった。
パッと見た感じでは、それに気付かないのは仕方ない。故に彼女が足を取られたのは無理からぬことかもしれない。
それでも普段であれば、彼女にとって受身を取ることくらいなど造作もないはずであった。
しかし裸エプロンを着用しているという羞恥と、二度も失態を見せてしまったことに対する動揺が、彼女の足を絡め取ったのである。

そして彼女は背中を向けた状態から、振り向きざまに尻餅をついた形になる。
鍋にこびり付いたカレーと砕けた食器の一片が彼女の肌を掠めたが、今はそれどころではない。
彼女の最大の不幸は、己の不完全な姿勢ではなく完全無防備の服装にあった。
今自分は、足を曲げ、膝を開き、不恰好な受身を一夏の前に晒している。
そして、目の前には自分の下腹部を凝視している健全な男子高校生の姿が。

かくして彼女は、嘗てないほどの恥辱の限りを味わい、そして織斑一夏に降りかかるのはそれ以上の厄災であることは…。
もはや疑いようもない末路だったのであった…




楯無(…と、一般的な読者ならそう思うでしょうね!!)

341: 2012/03/17(土) 21:55:58 ID:dzfOLmEE
楯無(ふふふ…お生憎様! これくらい想定済みなのよ!)

楯無(何が起こっても不思議じゃないのがこのミッション…私はそれを立案し、それに参加しているのであれば
    いかなるアクシデントにも対処できるように努めなければならない…!)

楯無(まさかテンパって転んでしまうとも、一夏くんがスOベ心丸出しで覗くとも限らない…!)

楯無(この生徒会長の更識楯無は、すでにあらゆる不測の事態を考慮しているッ!)

楯無(故に…その事前対策も既に講じてあるのよ…)

楯無(そう…さっきシャワーを使ったと時に…私は―――)




楯無(筋を絆創膏で覆い隠していたのだッッ!!)

342: 2012/03/17(土) 22:00:11 ID:dzfOLmEE
楯無(ミッションの内容は裸エプロンプレイ…それ故に、エプロン以外のあらゆる衣類は許されない…!
    下着は勿論のこと、アクセサリーや下着の類も許されないでしょう…)

楯無(でも医療器具というのなら話は別!
    しかもデリケートな肌を保護するという目的だから使用目的からも逸脱してない!
    だから絆創膏を使ってもそれは自然な行為に他ならない!)

楯無(とはいえ、この保険にはそれ相応のリスクがあった…。
    名目は守られているとはいえ、いつか剥がれてしまうのではないかという危機感があったから…!)

楯無(そして何より…剥がすときの事を考えると…ちょっと嫌だったわ。だって痛そうだし)

楯無(だから私は決心したのさ…! この奥の手を使うために、自分の身体に科した代償…ッ!)




楯無(それはパイパン! そうよ、剃ったのよ! もうツルッツルにね!!)ドーン

343: 2012/03/17(土) 22:05:40 ID:dzfOLmEE
一夏「……」

楯無(足元はすごくスースーするし、なんかムズムズするし、何よりも氏ぬほど恥ずかしかったけど…
    とにかくこれで、最低最悪の結末だけは回避できたわ!)

楯無(前は勿論のこと、後ろの方まで完全に保護している! そしてまだ粘着性は氏んでない!!)

一夏「……」

楯無(…って、余裕かまわしてる暇はないわ。見られてるもんは恥ずかしいんだから隠さないと///)ササッ

一夏「……」

楯無「ざ、残念だったね一夏くん! 見えちゃったと思った?
    そこまで簡単にラッキースOベを許すほど、私の身体は安くは――」


プッチーン


一夏「―――」

楯無(え…な、何…? いま、なんか切れちゃいけない決定的な何かが切れた音がしたんだけど…?)

344: 2012/03/17(土) 22:11:08 ID:dzfOLmEE
一夏「……」ツカツカ

楯無「へ? い、一夏くんどうしたの…? なんか、怖いんだけど…」

ガシッ

楯無「へ?」

ヒョイッ

楯無「きゃぁ!?」

ドドドド

楯無「ちょ、ちょっと一夏くん! いきなり持ち上げるのはやめ…って、どこ触ってんのよ!!」グィィィ

一夏「ふぅぅぅぅ…ふしゅぅぅぅぅ…」

楯無「な、何コレ…すごく目が血走っているんだけど…?」

345: 2012/03/17(土) 22:14:48 ID:dzfOLmEE
ポスッ

楯無「ひゃっ…!?」

一夏「……」

楯無「ちょ、ちょっと落ち着いてよ一夏くん…そんな、ベッドに連れてきて…何を…!?」

一夏「……」

ガバッ

楯無「きゃぁぁッ!?」

一夏「ぐぅぅ…うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…」

楯無(な、何この状況…!? 一夏くんが獣みたいな唸り声をあげながら、私を抱きしめてる…!?)

楯無(もしかしなくても、一夏くんめっちゃ興奮してるの…!?)

楯無(ま、まさか…! 世の中には秘部を絆創膏で覆い隠しているシチュエーションに萌える、という奇異な
    趣向を持った男子がいるときくけど…!? え、まさか一夏くん、ドストライクだったの!?)

346: 2012/03/17(土) 22:19:27 ID:dzfOLmEE
一夏「ふぅぅぅぅぅ…ふしゅぅぅぅぅぅぅう」ハァ…ハァ…

楯無(そ、そりゃ男子禁制の学園に1人放り込まれたんだから、そりゃそれなりに性欲は溜まるんだろうけど…
   まさかよりにもよって今、タガが外れるなんて…!?)

楯無(ええい、とにかくこのままでは貞操の危機よ! 一夏くんには悪いけど、ちょっと眠ってもらって…!)


ギュゥゥゥゥ…


楯無(はぅッ!? こ、こんな締め付け、全然甘いわ! すぐに振りほどいて…)

楯無(―――!!??)

楯無(あ、あれ!? 振りほどけない! え、何で!?)

一夏「……」グィィ…

楯無(力が入らない…!? 余裕で抜け出せるのに、身体がいうことをきかない…!?)

楯無(な、なんで、私…え…?)

一夏「……」グググ…

楯無(ま、まさか私…)

楯無(受け入れちゃって…る…?)ドキドキ…

347: 2012/03/17(土) 22:24:45 ID:dzfOLmEE
一夏「……」

楯無(一夏くんに抱きしめられて…ていうか、私で興奮してくれてるってことが分かって…)ドキドキ

楯無(それで襲われてるのに…私を求めてくれてるって事を…嬉しいって感じてる…///)バクバク


ドクンドクンドクンドクン…


楯無(…一夏くんの胸、すごい鳴ってる。本当に、私で…)

楯無(私の…身体で……)

楯無(……)


ぎゅっ


楯無(……///)

楯無(一夏くんなら…)

楯無(いい………かな)

348: 2012/03/17(土) 22:32:08 ID:dzfOLmEE
楯無「あ、あの…!」

一夏「……」

楯無「え、ええと、その、今回は、あの、つまり…」

一夏「……」

楯無「だから、うんと、いきなりこんな事するなんてちょっとアレだけど、わ、私も、わ、悪い、わけ、だし…」

一夏「……」

楯無「だ、だから、ね…?」

一夏「……」

楯無「や…」

一夏「……」

楯無「…優しくしてくれなきゃ、怒る、から…///」

一夏「……」

349: 2012/03/17(土) 22:34:51 ID:dzfOLmEE
楯無「お、おーい…? 一世一代の告白に、無反応は流石に堪えるんだけどぉ…?」

一夏「……」

楯無「い、一夏くーん? 聞こえてますかー?」

一夏「……」

楯無「…へんじがない。ただのしかばねのようだ…って、そういう場合じゃなくて」

楯無「というか、さっきからずっと動いてないけど、どうかしたの…?」


ヌルッ


楯無「ん? 何か髪にぬるっとしたものが…何だろ?」ゴソゴソ

楯無「―――って!!」

一夏「」ドクドク

楯無「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!??」

350: 2012/03/17(土) 22:38:29 ID:dzfOLmEE
その当日、たまたま廊下を歩いていた相川清香は、当時の状況をこう述べている。


相川「ええ、もう一瞬でしたね。会長が、私の前を全力疾走していたんですよ」

相川「ハンドボール部であるので動体視力は一般の人以上には自信があるんですけど、それでも目で終えないほどの速さで」

相川「…なんで、あの時の状況を鮮明の覚えていたか、ですか? そりゃそうですよ」

相川「だって…裸エプロンの生徒会長が、顔面血だらけの織斑くんをお姫様だっこしながら廊下を駆けていたんですから」

相川「あれは忘れられませんよ…。あの一瞬のうちの出来事は…衝撃の一言では言い表せません」

相川「…その後ですか? 織斑くんは無事だったそうですよ。
   ただの貧血だけですんだそうです。明日から、ミッションを再開するようです」

相川「しかし、一体あの部屋で何が行われていたのか、私には知る由もないですね…。音声を聞く限りでは、
   織斑くんが会長を襲ってそれに返り討ちにされた、とくらいしか考えられないんですけど…」

相川「まさかあの織斑くんが、と一時は誰もが嘆いてましたけど、あの後すぐ会長から弁明があって」

相川「詳細は省かれましたが、とにかく警察沙汰になる内容はしてないようです。ええ、思わず胸を撫で下ろしました」

相川「しかし結局、真実は闇の中ですが…いやはや、嫌な事件でしたね」

351: 2012/03/17(土) 22:43:28 ID:dzfOLmEE
相川「あぁそうそう。私、そのとき妙なもの拾ったんですよ。これですこれ」サッ

相川「…何ですかコレって、見たまんまですよ。絆創膏です。何の変哲もない」

相川「…気付きませんか? これ、きっと織斑くんの負傷を治す時に使ったと思うんですけど…。
   でもコレ…どこにも血が着いてないんですよ」

相川「…ええ。保護フィルムも剥がされてるし、未使用であるわけでもありません」

相川「あの後、会長の絶叫が学園じゅうに木霊したのと、何か関係あるんでしょうか…?」

相川「…不思議ですよね。私にも、何が何だか…」

―――――――――
―――――
―――

352: 2012/03/17(土) 22:45:34 ID:dzfOLmEE
~生徒会室~

楯無「しくしくしく…」

簪「……」

楯無「もう、お嫁にいけない…」

簪「…元気、だして」

楯無「だってぇ…」

簪「大丈夫。見られてない、から」

楯無「ほんとぉ…?」

簪「…多分」

楯無「うぇぇぇぇん…」メソメソ

簪(…なんかお姉ちゃん、可愛い)

353: 2012/03/17(土) 22:49:01 ID:dzfOLmEE
簪「い、一夏が無事で…良かった、よね」

楯無「え? あぁ、うん、そうだね…」

簪「…なんで残念そうな顔してるの?」

楯無「え?」

簪「ただの鼻血で済んで、良かったじゃない」

楯無「そ、そりゃそうだけど…何もあのタイミングで気絶しなくても…」ブツブツ

簪「……」

楯無「え、ちょ、ちょっと簪ちゃん…? なんか、目が据わってるんだけど…?」

簪「…お姉ちゃん、本当にあの部屋で何があったか、言う気はないの…?」ゴゴゴゴゴゴ

楯無「だ、だめだめだめだめ! いくら血を分けた妹でも、これを言うのは無理!!」ブンブンブン!!

簪「……」

楯無「……///」

簪(…すごく気になるけど、何か顔を真っ赤にして隠したがるお姉ちゃんが可愛いから訊かないでおいてあげよう)

354: 2012/03/17(土) 22:50:45 ID:dzfOLmEE
簪「一夏、明日には戻ってこれるって」

楯無「そ、そう…。じゃあ、明日のミッションも、今のうちに決めておこうか」

簪「…またお姉ちゃんじゃないよね?」

楯無「い、いやぁ…流石に三度続けてはないでしょ」

簪「二度あることは三度ある、とも言う…」

楯無「まぁまぁ。次はきっと簪ちゃんにスポット当たるって!(割と切実なお願いだよ、これは!)」

楯無「じゃ、じゃあ一夏くんが不在だけど…今ここで次のミッションを決めちゃいま~す!!」

ゴソゴソ

楯無「はいッ! 出ました! 次のミッションは…『>>356』です!!」

355: 2012/03/17(土) 22:52:22 ID:dzfOLmEE
はい今日はここまで
次回更新は未定
じゃあの

現時点好感度指数(参考)
鈴     ■■■□□□□□
セシリア ■■□□□□□□
千冬   ■□□□□□□□
楯無   ■■■■■□□□

365: 2012/03/25(日) 20:59:38 ID:7XftjBFg
『簪ちゃんと互いの両親に挨拶に行く☆』


楯無(きた! やっときたよコレ!)

簪(…裸エプロン、本当に書いたのお姉ちゃんじゃなかったんだね。字体が分かりやすすぎ…)

楯無「ほら、お姉さんの言ったとおりじゃん! 次は簪ちゃんでした! 良かったね!」

簪「…うん」

楯無(…本当はもっとイチャラブ満載のミッションとか拾いたかったのに)

楯無(それらをあらかた消化し終えてから極めつけに入れたんだけど…まぁクジ運に頼った時点で間違いかな)


楯無「はいさーい☆ ではでは次のミッションも決まったことで! あとは一夏くんの到着を待つだけです!」

楯無「今日のところはここまで! 皆さん、お疲れ様でしたー♪」バイバーイ

簪「……」

楯無(…ほら、簪ちゃん。カメラに向かって挨拶、挨拶)コソコソ

簪「え、え…? あああの…お、お疲れ様でした…///」フリフリ

―――――――――
―――――
―――

366: 2012/03/25(日) 21:04:10 ID:7XftjBFg
~次の日~


楯無「復ッッッ活!! 一夏くん、完全復活!!」

一夏「ど、どうも…」

簪「…おかえり」

一夏「あ、あぁ…」

簪「…大丈夫?」

一夏「まぁな。でも、何か昨日、カレー食ってからの記憶が曖昧なんだよ」

簪「そ、それは…」

楯無「いやー実はカレーにちょっと香辛料きつく入れすぎちゃったみたいでねー。
   辛さがキツすぎて一夏くんが気絶しちゃったときはビックリしたよ」

一夏「え?」

簪(お姉ちゃん…)

367: 2012/03/25(日) 21:06:40 ID:7XftjBFg
一夏「あれ…? そうだったっけ?」

簪「え、ええと…」

楯無「なーに言ってんのよ。実際貧血だったじゃん。
   辛いもんを食べるとね、血行が舌の方に行くから貧血を起こすんだよ(嘘だけど)」

一夏「え? そうなんですか?」

楯無「そうそう♪」

一夏「うーん…でもなんか、よく分かんないけどすごいモンを見たような気がするんだよなぁ」

楯無「え」

簪(一夏…どうしてそういうとこばっか覚えているの…)

一夏「ええと、確かあの時は撮影…はしてなかったけど録音はしているんだよな?
   簪。ちょっと聞かせてもらってもいいか?」

簪「え…?」

楯無「その必要はないよ」

一夏「へ?」

楯無「どうしても思い出したいのなら…たっぷりと思い出させてあげるよ…。
   その身に刻ませてあげよぉかぁ…」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

一夏「ひぃッ!? い、いや、やっぱりいいです! 遠慮しておきます!!」

368: 2012/03/25(日) 21:10:30 ID:7XftjBFg
楯無「やーれやれ。ともかく、一夏くんは何も見てないし何も覚えてない。
   だから私の言うことを信じるしかないの。お分かり?」

一夏「は、はい…(なんかこのやり取り、前にもやった覚えがあるんだが…)」

楯無「はいとーゆーわけでー。次のミッションはこちらですー」サッ

一夏「あ、やっぱりまだ続いていたんですね…ええと何々…」

簪「…///」

一夏「…なんですかこれ?」

簪「え…?」

一夏「いや、意味が分からないんですけども。何で両親に挨拶に行くんですか?」

簪「」

一夏「別に見知らぬ間柄でもないのに…でもそういうもんなのかな? 親なんていなかったから分からねぇや」

簪「……」プルプル

楯無「簪ちゃん抑えて抑えて。私はもうとっくに諦めたから」ポン

369: 2012/03/25(日) 21:15:51 ID:7XftjBFg
一夏「ええと…俺には両親がいないから千冬姉の所に行くとして」

楯無「その後は私たちの実家で父さんと母さんに会うことになるね」

簪「…///」

一夏「更識家当主のご両親か…なんか緊張するな」

楯無「そー緊張しないでよ。実際、楯無は私が襲名した時点で、父さんも母さんもあまりお家柄とは関係なくなってるし」

一夏「え? そうなんですか?」

楯無「まー細かいところはあんまし言えないけどね。とにかく、そんなに構えなくても大丈夫だよ」

一夏「そうは言われても…」

楯無「さてさて…まぁ一夏くんに挨拶行かせても、きっと当たり障りのないことを行って終わりになるだろうしなぁ…」

楯無(今の時点では簪ちゃんの押しの弱さ的にも、あまり仲が進展するとは考えづらいし…)

楯無「そこで! 今日のミッションは…」

一夏「ん?」

楯無「一夏くんには私たちの両親に…『>>370』と言ってもらいます!!」

371: 2012/03/25(日) 22:52:45 ID:7XftjBFg
一夏「」

簪「え、あ、えぇ…!?」

楯無「きゃっ…///」

一夏「…すいませんもう一度言ってもらえますか?」

楯無「だーかーらー。一夏くんには私たちの両親に…私たちに愛の告白をしてもらいます!!」

一夏「いやいやいやいやいや! おかしいでしょ!? 挨拶に行くのに何でそんなことを!?」

楯無「はぁ…本当にどうしようもないね君は」

一夏「え」

楯無「鈴ちゃんも言ってたけどね。本当にどうしてそんな風に振舞えるの?
   何でそこまでバカで鈍感で唐変朴で朴念仁で無神経なの? 何、君ってサメ脳?」

一夏「あ、あ、いや、あの」

楯無「本当にさぁ…何かの病気かって勘繰りたくもなるよ。どうしてここまでさせといて気付かないかなぁ…。
   そうやって何も分かってない体をされていたら、いつか刺されても何の文句も言えないからね?」

一夏(な、なんでこんな酷い言われ様されなきゃならないんだ…?)

簪「お、お姉ちゃん…許して、あげて…」

楯無「…はぁ。まあいいや。じゃあちゃんと説明してあげるから、耳かっぽじってよーく聴きなさい」

372: 2012/03/25(日) 22:56:42 ID:7XftjBFg
楯無「いいかい一夏くん。一組の男女がご両親に挨拶に伺うっていう意味…分かる?」

一夏「え…ええと……」

簪「……」

一夏「あー…ド、ドラマとかでよくある展開だと…『お嫁さんを僕にください!』、みたいな…」

楯無「……」

簪「…///」

一夏「な、なーんて…まさかそんなこと

楯無「どぅぁいっ! 正解でーす! やればできるじゃーん!!」パンパカパーン

一夏「え」

373: 2012/03/25(日) 23:05:25 ID:7XftjBFg
楯無「いやー危ない危ない。ここで空気読まずに『友達としていつもお世話になってます』とか
   見当ハズレの事を言い出したら、ミストルテインの槍が火を噴くとこだったよ♪」

一夏「さらっとマジで怖いこと言わないでください! っていうかおかしいでしょ!?
   簪とはただの友達ですよ!? 何でそういうことになるんですか!!」

簪「……」ズキッ

楯無「…勘違いしないでね。何もとっとと恋人になって結婚の許しを貰えって言ってるわけじゃないよ?」

一夏「え?」

楯無「あくまでやって欲しいのは事前演習。ようは、予行練習みたいなもんだよ」

楯無「『ご両親に挨拶に伺う』っていう意味の重さを一夏くんが履き違えているようだから、それを正したかっただけだから」

一夏「えぇ…でもそれ、尚更嘘を言うのは良くないんじゃ…」

楯無「だから嘘を言いに行くんじゃないんだってば。ご両親に挨拶に伺うって言うことはそういう意味なの。
   その意味をちゃんと理解して欲しいだけ。そのパートナーとして、簪ちゃんを同行させたいの」

一夏(えぇー…何かいい様に言いくるめられてる気がしてならないんだけど…)

簪「……」

374: 2012/03/25(日) 23:10:06 ID:7XftjBFg
楯無「ともかく私が言いたいのはそういうこと。ほら、分かったらとっとと行った!」

一夏「えぇー…。はぁ…言い出したら聞かないからな、この人…わかりましたよ、やればいんでしょ」

楯無「うんうん♪ そーこなくっちゃね!」

一夏「そういうわけだから…ごめんな簪。こんなことにつき合わせて…しかも相手が俺でさ」

簪「…いいよ」

一夏「そ、そうか…」

簪「い、一夏となら…!」

一夏「ん?」

簪「あ、あの…だから、一、夏となら、ええと、本当、に…」

一夏「え?」

簪「だ、だから、その…ほ、本当に、そういう、かん、けい、に……」ボソボソ

一夏「おーい簪ー?」

簪「あ、あぅ…///」プシュー

一夏「?」

375: 2012/03/25(日) 23:14:10 ID:7XftjBFg
一夏「簪ー? どうしたー? 何言ってんだか聞こえないぞー?」

簪「ひゃぅぅ…」カァァァ

楯無「……」

ゲシッ

一夏「いて!?」

楯無「ほらほら。一夏くんはとっとと織斑先生を探しに行く」

一夏「え?」

楯無「早く行きなさい!!」

一夏「は、はいぃぃ!?」タッタッタ…

376: 2012/03/25(日) 23:17:01 ID:7XftjBFg
楯無「…はぁやれやれ。本当に困ったもんだ」

簪「…お姉ちゃん」

楯無「んー?」

簪「…なんで、『私たちに告白』、なの?」

楯無「あ…」

簪「……」

楯無「え、ええと…それは、そのぉ…あはははは…」

簪「……」

楯無「…なんでかなぁ。実は私にもよく分からないんだよね。気が付いたら言ってた」

簪「…そう」

楯無「…怒った?」

簪「ううん」

楯無「え?」

簪「だって…選ぶのは、一夏だから」

楯無「…そうだね」

377: 2012/03/25(日) 23:20:30 ID:7XftjBFg
簪「…でも」

楯無「ん?」

簪「…お姉ちゃんには、今まで一個も勝てなかったけど」

楯無「……」

簪「…これだけは絶対に負けない。負けたく、ない…!」

楯無「…うん」

簪「…///」

楯無「頑張ってね、簪ちゃん」

簪「お姉ちゃんも…」

楯無「へ?」

簪「…早く、素直になって」

楯無「…ッ」

簪「…それだけ、だから。じゃあ」ステステ

楯無「……」

楯無「やれやれ…敵わないなぁ。簪ちゃんにも、一夏くんにも」

382: 2012/03/26(月) 21:53:48 ID:00BA2paw
~廊下~

一夏「おぉ簪。遅かったな」

簪「ご、ごめん一夏…」

一夏「まぁいいけどな。こっちはもう千冬ね

ゴスッ

一夏「…じゃなくて、織斑先生には来てもらってるし」

千冬「元気そうだな更識妹。いつぞやはウチのバカが世話になったな」

簪「いえ…」

一夏「ええと、じゃあ面会も挨拶も済ませたしこんなところか?」

簪「え…?」

千冬「またこのバカは…」ハァ…

一夏「今更仰々しく接するまでもないだろ。ちふ…織斑先生もそれでいいですよね?」

簪「え、いや、ええと…」オロオロ

千冬「…未だに世話をかけているようで申し訳ないな」

383: 2012/03/26(月) 21:57:34 ID:00BA2paw
一夏「じゃあそういうことですので、俺たちは失礼します。次行こうぜ、簪」

簪「ま、まって一夏!」

一夏「ん?」

千冬(お?)

簪「い、一夏が…お父さんたちに、言うなら…」

一夏「え?」

簪「わ、私も…言わなきゃ、ダメ、だと、思う、の…///」

一夏「はい?」

簪「だ、だから、その…」クルッ

千冬「……」

簪「…///」

384: 2012/03/26(月) 22:00:23 ID:00BA2paw
一夏「お、おい簪? お前、何を言って

千冬「黙ってろバカ者」

一夏「え…」

簪(は、恥ずかしいし…怖いけど…)

簪(でも…)

簪「…一夏」

一夏「ん?」

簪「手…出して」

一夏「え? こうか」スッ


ギュッ


一夏「え…?」

簪(一夏と一緒なら…大丈夫!)

385: 2012/03/26(月) 22:03:26 ID:00BA2paw
簪「お、織斑先生!!」

千冬「何だ。更識いも…いや、更識簪」

簪「あ、あの…!」

千冬「……」

簪「え、ええと、その…あぅ…」

千冬「……」

一夏「…?」

簪「わ、私に…いや…」

一夏「?」



簪「わ、私を…一夏の、お嫁さんに、して、くださ……ぃ…///」カァァァァァァ

386: 2012/03/26(月) 22:10:01 ID:00BA2paw
一夏「え…」

簪「///」プシュゥゥゥゥゥゥ…

一夏「か、簪? お前、何言って


ドゴスッ


一夏「いってぇぇ!?」ズキズキ

千冬「…更識簪」

簪「は、はぃぃ…」バックンバックン

千冬「…その、なんだ」

簪「え…?」ドキドキ

千冬「こんな不良債権でよければ、遠慮なく貰っていってくれ」

簪「あ…」ドクン

一夏「ひ、ひでぇ…不良債権て…俺が何をしたっていうんだよぉ…」ヒリヒリ…

387: 2012/03/26(月) 22:16:55 ID:00BA2paw
簪「あ、ありがとうございます! お、おお織斑先生!」

千冬「違うな」

簪「え?」

千冬「…私のことは、『千冬義姉さん』と呼んで貰おうか」

簪「え!?」

一夏「はぁ!?」

千冬「まぁ冗談だが…しかし何だ。一度呼んでみてくれないだろうか?」

一夏「ちょ、ちょっと何言ってんだよ千冬ね

ドギャスッ

一夏「」ポテ…

千冬「…こんな呼ばれ方くらいしかされないもんでな」

簪「じゃ、じゃあ…ち、千冬…義姉……」

千冬「……」

簪「…ちゃん///」

千冬「…!」ズッキューン

388: 2012/03/26(月) 22:23:43 ID:00BA2paw
簪「ご、ごめんなさい…最近、お姉ちゃんのこと、こう呼んでばかりだから、その…」オロオロ

千冬「…いや、いい。いいぞ。よくやってくれた」ガシッ

簪「え…?」

千冬「お前ならいつでも歓迎する。その時が来れば、いつでも来い」

簪「は、はい!」

千冬「ほら織斑。いつまで横になっている。さっさと更識妹を送り出せ」ゲシッ

一夏「ぐへ!?」

簪「だ、大丈夫、一夏…?」

一夏「な、何とかな…(福音戦で氏にかけた時にみた女の子がまた見えたけど…)」

千冬「とっとと油売ってないで行って来いバカ者。ご両親に挨拶してこい」

一夏「へいへーい…じゃあ行こっか、簪」

簪「あ、うん…///」

千冬「私に恥をかかせるなよ」

一夏「そんなプレッシャーかけないでくれよ…。じゃあちょっと行って来る」

389: 2012/03/26(月) 22:29:23 ID:00BA2paw
千冬「…お姉ちゃん、か。いい響きだな…」

千冬「簪…中々いい娘じゃないか…あの5人は少々アクが強いからな…」

千冬「やはり義妹として持つとしたら、ああいった大人しい娘に限るな…うんうん」

千冬「……」

千冬「待てよ…?」

千冬「もし一夏があの娘と結婚したら…姉の方も私の義妹ということになるな…」

千冬「…ないな」

千冬「あいつは…束のバカと同じ匂いがする…妹だなんてまっぴらゴメンだ…」

千冬「うーむ、どうしたものか…」

―――――――――
―――――
―――

390: 2012/03/26(月) 22:35:24 ID:00BA2paw
~行きのモノレール~

一夏「…さっきは何であんなことを言ったんだよ? ちょっとビックリしたぞ」

簪「い、いや、ええと…///」

一夏「…律儀な奴だな」

簪「ふぇ!?(う、嘘!? 一夏、もしかして、きき、気付いて…!?)」ドキドキ

一夏「真似事でも俺がお前の両親に言うからって…お前まで合わせる必要ないんだぞ?」

簪「」

一夏「あっはは。まぁいいけどな。だってこれは予行演習みたいなもん

ベシッ

一夏「いってぇ!? あ、頭はたくなよ! さっき殴られた腫れ、まだひいてないんだからな!?」

簪「…ふんだ」プイ

一夏「な、何なんだよもう…」

一夏(というかこういう反応もやっぱ姉妹だな…やっぱり何で怒ってるのかは分からないけど)

391: 2012/03/26(月) 22:42:02 ID:00BA2paw
~更識邸前~

一夏「で、でっけぇ…なんて門構えなんだ…」

簪「うん…」

一夏「うぅ…なんか今更ながら、すごく緊張してきたぞ…」

簪「う、うん…///」

一夏「と、取りあえず挨拶しないとな」スッ

簪「い、一夏! インターフォン鳴らしちゃダメ!!」

一夏「え?」ポチッ


ドスドスドス


一夏「ひぃぃぃぃ!?(ど、どこからともなく竹槍が降ってきたぁぁぁ!?)」

簪「ご、ごめん…ウチ、暗殺部隊を相手にしている家業だから…。
  侵入者用のトラップが、家の至る所に施されていて…」

一夏「何そのビックリ忍者ハウスみたいな仕様は!?」

392: 2012/03/26(月) 22:48:01 ID:00BA2paw
簪「…ちょっと待ってて。ちゃんとした入り方があるから」

コン…コンコン…コツーン…

一夏「モ、モールス信号か? よく分からないけど」

簪「それもある。それと、トンツーとかを組み合わせた、更識家のトーンシグナル。
  これがないと、家に入れない」


『…簪か』


一夏(門の向こうに誰かいる?)

簪「…ただいま、帰りました」

『その隣の男は?』

簪「織斑一夏くんです。前に話した、私を助けてくれた人です」

『…そうか』

一夏「ちょ、ちょっと簪…この人、まさか…」ヒソヒソ

簪「うん…お父さん」

一夏「えぇ…い、いきなりかよ…」

393: 2012/03/26(月) 22:54:53 ID:00BA2paw
『織斑一夏くん、だったね?』

一夏「は、はい! 織斑一夏です! タッグマッチの時、娘の簪さんにはお世話になりました!」

『…礼儀正しいな。この頃の男子にしては好感が持てる』

一夏「は、はい…」

『門を隔てた会話というのも失礼だ。あがってきなさい』


ギィィィ…


一夏「おぉ…」

更識父「紹介が遅れたね。簪と…楯無の父だ。いつも娘たちが世話になっている」

一夏「い、いえ! こちらこそ、世話になりっぱなしです!」

更識父「…聞いたとおり面白い子だ。何も準備してないが、あがっていきなさい」

一夏「はい! あ、ありがとうございます!」

一夏(…箒のお父さんみたいに厳格だけど…何となく柔らかい物腰の人だな)

394: 2012/03/26(月) 22:58:07 ID:00BA2paw
~更識邸:客間~

一夏「すげぇな…客間だけで何畳あるんだよ…林間学校の時の食堂くらいはあるぞ…」

簪「う、うん…」


ガララッ


更識父「…待たせてしまったね」

更識母「あらあら、この人が簪ちゃんの彼氏さぁん? いい男ね!」ポヨヨン

更識父「か、母さん…」

一夏「か、彼氏って…」

更識母「はじめまして~簪ちゃんたちの母で~す♪ 今はこの人の、妻をやってま~す☆」キュピッ

一夏(に、似てる…! 楯無さんに…すごく似てる!! 色んなところが…!)

一夏(な、何よりも…その圧倒的なボリュームとか…)ゴクリ

簪「……」ムスッ

バシッ

一夏「いってぇ!? だから叩くなよ簪!」

395: 2012/03/26(月) 23:04:51 ID:00BA2paw
更識父「こらこら簪。行儀が悪いぞ」

更識母「あらあらウフフ…男の子ねぇ…でも残念でした☆ 私にはこの人しかいないから!」ムギュッ

更識父「お、おいおい母さん…///」

一夏「あ、あはは…」

簪「……」ジィー

更識母「うふふ~照れちゃって~フゥっ♥」プニュプニュ

更識父「うわぁ!? や、やめなさい、こら!」

簪「……」チンマリ

簪「…大きくなるもん」グス

一夏「?」

396: 2012/03/26(月) 23:10:59 ID:00BA2paw
更識父「か、母さん。客の前だぞ…」

更識母「もぉ~ダーリンったらつまんな~い。いいじゃな~い、将来の義理の息子さんの前だし~」クネクネ

更識父「ば、バカいっちゃいかん! 学生のうちは、健全な付き合いをだな!」

一夏「…いつもこんな感じなのか?」

簪「だいたい…今日はお母さん、とくに機嫌いいみたいだけど」

更識父「す、すまない一夏くん…。見苦しいところを」

一夏「い、いえ…仲がいいのは、いいことですから」

更識父「面目ない…で、今日はよく来てくれたね」

一夏「え?」

更識父「聞いたよ。学園に襲撃してきたISから、娘たちを守ってくれたのだろ?」

一夏「そ、そんな…。だって、最終的には追っ払ったのは、楯無さんの方ですよ?」

更識父「それは君が果敢に先陣を切って、敵の注意を惹きつけてくれたからだとあの子が言っていた。
    娘たちを、身を挺して庇ってくれた…。本当に、親として感謝してもしきれない」

更識父「だからこの場を借りて…正式にお礼を言わせてくれ。ありがとう、織斑一夏くん」フカブカ

一夏「い、いや…そんな…あはは…」テレテレ

397: 2012/03/26(月) 23:42:26 ID:00BA2paw
更識母「もぉ~ダーリンてば相変わらず堅物ね~」

更識父「…お前が柔らかすぎるんだ」

更識母「あっはは♪ …でもまぁ、私だって一夏くんには感謝してるわよ」

一夏「え?」

更識母「君のおかげで…娘たちの関係が明るくなったわ。母親として、やっぱり姉妹には仲良くして欲しいもの」

更識母「簪も、前よりもっと笑うようになった。本当にありがとうね、一夏くん」ニコッ

一夏「あ…(本当に親子だなぁ…言動とか、笑顔とか…まんま楯無さんだ…)」

簪「……」

398: 2012/03/26(月) 23:51:03 ID:00BA2paw
更識母「だから、そんな一夏くんが我が家に来てくれて本当に嬉しいわ!
    簪ちゃん、いい男を彼氏に持ったわね! 流石は私の娘!」

一夏「い、いや、あの…」

簪「…お母さん、違うの」

更識母「へ?」

更識父「む?」

簪「私と一夏は…友達。…まだ」

一夏「あ、あぁ…そう、なんですよ…ははは…」

更識父「な、なんだそうだったのか…恥ずかしい早とちりをしてしまったな」

一夏「えぇ、まぁ…あはは…」

更識母「…うふふ♪」

一夏「ん?」

399: 2012/03/26(月) 23:54:13 ID:00BA2paw
更識父「どうかしたのか、母さん?」

更識母「べっつにぃ~♪」ジィ

簪「…///」プイッ

更識父「?」

一夏「?」

更識母(まだ、かぁ…可愛いわねぇ)

更識母(母としてはちょっと残念だけど…でも、男を見る目はあるようで安心したわ)チラッ

一夏「ん?」

更識母「…ふふっ」パチッ☆

一夏「??」

400: 2012/03/26(月) 23:58:12 ID:00BA2paw
更識父「…そうだったのか。では、何で今日は家に? 勿論、来てくれただけでも嬉しいが」

一夏「え…い、いや、なんと言いますか、その…」ダラダラ

更識父「?」

更識母「?」

一夏(ど、どうしよう…友達だと公言した後で愛の告白なんて…おかしすぎるだろ…)

一夏(い、いや待て待て…楯無さんも言ってたじゃないか…これはあくまで練習みたいなものだって)

一夏(というか、楯無さんの実家なんだから…あとで楯無さんから事情は言ってくれるだろう、うん)

一夏(よしっ…そうと分かれば…)

一夏「あ、あの! 今日は大事な話があって来ました!」

更識父「む」

更識母「あら?」

簪「…///」

402: 2012/03/27(火) 00:02:04 ID:Op0/6SbA
一夏「え、ええと…友達だと言った後でこんなこと言うのって、変かもしれませんけど…。
でも俺、2人の娘さんには…本当にお世話になってて…!」

一夏「簪も、何だかんだあったけど俺を信じてくれて…戦ってくれて…。
   俺自身も、すっごくその姿に勇気付けられて…」

簪「…///」

一夏「楯無さんもその…色々と振り回されてばかりだけど、でもやっぱり助けられたりもして…。
   すごく強くて凛々しい姿勢に、憧れとかあって…」

更識父「……」

更識母「……」

一夏「ええと、その…つ、つまり俺が言いたいのは…」


一夏「お、お2人の事は(友人としても先輩としても)本当に好きですから!!」


更識母「…!!」

簪「…///」

更識「……」

一夏「そ、そういう(設定な)感じでして…はい」

403: 2012/03/27(火) 00:06:58 ID:Op0/6SbA
更識母「……」

更識父「……」

一夏「と、突然こう言ってすみません…いくらまねg

ガタッ

一夏「え…」

更識母「…使用人たち、集合!! すぐに宴の準備を!!」パンパン

一夏「え、あの、ちょ

更識母「もちろん料理は満漢全席だからね! 和洋中際限なくじゃんじゃん持ってきなさい!
    あ、赤飯は忘れちゃだめだからね!!」

一夏「え、ええと…これは、その

更識母「今日はとことん盛り上がるわよ! 蔵に引っ込んでるお酒、全部引っ張り出しちゃいなさいな!!」

一夏「え、えぇ…!?」

405: 2012/03/27(火) 00:11:05 ID:Op0/6SbA
~しばらくして~

ワイワイガヤガヤ

更識母「あっひゃっひゃっひゃ!! 今日は何ていい日なのかひら! ほら、もっほ飲んで///」

更識父「母さんみっともないぞ…昼間から」

更識母「あぁ~ん? あたいの酒が~飲めねぇってぇのかぁぁぁん? そんな奴はぁ…こぉだぁ!」ベロン

更識父「ひぃ!? や、やめなさい!!」

一夏「な、なんだこの状況…」

簪「一夏…」

一夏「も、もしかして…勘違いされてる!?」

簪「バカ…」

一夏「ど、どうしよう…いまさら間違いでした、なんて言える状況じゃないし…」

簪「…ふふっ」

一夏(な、何で嬉しそうなんだよ簪…)

406: 2012/03/27(火) 00:16:23 ID:Op0/6SbA
更識父「あぁ~一夏くん、ちょっと来なさい」クイクイ

一夏「え?(顔真っ赤だ…)」

更識父「話したいことがある」ヒック

一夏「ひぃ!?(やばい…! まさか、バレた…!?)」

更識母「あぁ~ん…ダーリンのいけずぅ~! もっとお酒注いでよ~!」プンプン

更識父「使用人にやってもらいなさい。ああ簪。あまり母さんが飲み過ぎないように見張っていなさい」

簪「…はい」

更識父「私は一夏くんと話がある。ちょっと廊下で悪いが、出てもらえないだろうか」

一夏「は、はい…(怖ぇー…)」

―――――――――
―――――
―――

407: 2012/03/27(火) 00:23:11 ID:Op0/6SbA
更識父「さて…分かっているとは思うが、話というのはさっき君が言っていたことだ」

一夏「あ、あの…あれは、その…」ドギマギ

更識父「…楯無の差し金か?」

一夏「え…?」キョトン

更識父「…やっぱりな」

一夏「な、なんでその事を…?」

更識父「あの子には…昔から手を焼いていたからな」

一夏(く、苦労人だったんだこの人…!)

一夏(考えてみればそうだよな…普段から2人の楯無さんを相手にしていたようなもんだから…。
   その心労は、俺なんかの非じゃないはずだ…!)

更識父「君も大変だね…気持ちは分かるよ」ポン

一夏「あ、ありがとぉございますぅぅ…」オイオイ



※織斑一夏が本当の意味で理解者に出会えた瞬間である

408: 2012/03/27(火) 00:25:31 ID:Op0/6SbA
更識父「なんとなく予想はついたが…やはりだったか。母さんには私から言っておくから、安心したまえ」

一夏「は、はい…何だかすいません…俺の所為で」

更識父「ははは。気にするな」

一夏「あははは…」

更識父「…しかし」

一夏「ん?」

更識父「私は君になら…2人を本当の意味で任せてもいいと思ってる」

一夏「え…?」

409: 2012/03/27(火) 00:31:20 ID:Op0/6SbA
更識父「簪のことは勿論だ。君には色々な意味で救われた。
     姉との蟠りも完全に氷解して…本当の意味で家族の一員になれて良かった」

更識父「内気ではあるが、あれはあれで芯の強い立派な娘だ。
     でも…だからこそ、誰かが傍で支えてあげた方がいい」

更識父「傍で誰かが手を引いて守ってやれれば…あの子は姉に負けないくらい、強い子になれるはずだ」

一夏「……」

更識父「対して楯無の方だが…こっちは簪とは反対だ」

一夏「え…?」

更識父「大胆そうに見えてあの子は意外に繊細だ。それを他人に悟らせないほどの器用さは持ち合わせているが…」

更識父「だがあの子は…何もかも背負いすぎる。名前も、実力も、期待も、すべてを請け負いすぎている。
     それをやり込めてしまうのはあの子の才能と努力の成果だが…やはり親としては不安は大きい」

更識父「あの子の傍にいられるのは…同じ土俵に立ち、渡り合え、信頼できるものだけだ。
     それが出来る男子は…君を置いて他にいないだろう」

一夏「そ、そんな…買いかぶりすぎですよ。俺なんて、まだ」

更識父「いいや。実際、あの子は君に一目も二目も置いている。本当だとも。自信を持ちなさい」

一夏「……」

410: 2012/03/27(火) 00:36:43 ID:Op0/6SbA
更識父「…親として不甲斐ないばかりだが、それでもやはり、君にはこれからも2人を支えて欲しい」

一夏「……」

一夏(両親と挨拶するって…本当に大切なんだな)

一夏(ちょっとだけ分かったよ、楯無さん…)

更識父「…お願いできるかな?」

一夏「…はい! もちろんです!」

一夏「まだまだ俺は未熟ですが…それでも、2人は大切であることには変わりませんから」

一夏「だから全力で…これからも守らせてください!!」

更識父「…ああ。こちらこそ、不肖な娘たちを頼む」

更識父「…やはり今日はいい日だ。君に会えてよかった」

一夏「…はい。俺もです」

更識父「ふふっ…姉妹を堂々と任してしまうとは…二股を許してるみたいで気が引けるが、
     君ならいいと思えるから不思議だ」

一夏「え、ええ!? だ、だからあれは、その…」

更識父「はははは、冗談だとも」

一夏(や、やっぱりちょっと酒入ってるな…)

411: 2012/03/27(火) 00:42:54 ID:Op0/6SbA
更識父「ああそうだ。君に大事なことを1つ教えてあげよう」

一夏「え?」

更識父「本来こういうのは門外不出なんだが…是非君には知って欲しい」

一夏「な、何ですか?」

更識父「名前だよ。あの子の…今の更識楯無の、本当の名前だ」

一夏「え…?」

更識父「もし君にその気があるのなら…ありのままのあの子を、受け入れて欲しい」

更識父「更識家当主でもない、楯無という看板ではない…ただ1人の少女であるあの子を…見てやってくれ」

更識父「あの子には…もっと年頃の恋をしながら、己の道を歩んでいってもらいたいんだ」

一夏「俺でいいんですか?」

更識「…君でなければだめだ。もちろん強要はしないが」

一夏「…分かりました。お願いします」

更識「ありがとう…では教えよう。あの子の本当の名は…

―――――――――
―――――
―――

412: 2012/03/27(火) 00:45:13 ID:Op0/6SbA
~しばらくして、更識邸前~

更識母「うわ~ん…もぉ帰っちゃうのぉ…」ベロンベロン

更識父「まったくみっともない…着物ずれてるぞ」クイッ

更識母「きゃっ…♥ もぉん…ダーリンのえOちぃ☆」

更識父「何を言っとるんだお前は…」

一夏「あ、あはは…」

簪「お母さん…」ハァ…

更識父「こんな見送りですまないね」

一夏「い、いえ…ご馳走になっちゃってすみません」

更識父「ははは。いつでも来なさい。歓迎するよ」

一夏「は、はい!」

更識母「次くるときは、孫の顔も見せてね~♪」フリフリ

更識父「こ、こら母さん!!」

一夏「あははは…」
―――――――――
―――――
―――

413: 2012/03/27(火) 00:48:19 ID:Op0/6SbA
~帰りのモノレール~

簪「…うちの両親(主に母)が、ごめんなさい」

一夏「いや…ちょっと羨ましいよ」

簪「…ねぇ一夏」

一夏「んー?」

簪「一夏の親の事、同情するわけじゃないけど…」

一夏「……」

簪「でも、一夏なら…きっと、いい家庭を築ける」

一夏「……」

簪「そう、思える。一夏なら」

一夏「…ありがとな、簪」

簪「…うん///」

414: 2012/03/27(火) 00:50:40 ID:Op0/6SbA
簪「…ねえ一夏」

一夏「ん?」

簪「ちょっとだけ、目をつぶってて」

一夏「へ? ああ、分かった」スッ

簪「…///」


チュッ


一夏「!!??」

簪「…お、お礼」

一夏「へ…?」

簪「お、お礼、だから…」

一夏「あ、あぁ……そっか」

一夏(頬にキスとは言え…簪、大胆なことするなぁ…楯無さんにもやられたけど…てか何のお礼なんだ?)

簪(う、うぅ…お姉ちゃんに対抗してやってみたけど…これ、氏ぬほど恥ずかしい…///)グツグツ

415: 2012/03/27(火) 00:54:07 ID:Op0/6SbA
~生徒会室~

楯無「お、戻ってきたね」

一夏「ただいま戻りました」

簪「…///」

楯無「…ふむふむ。その様子だとミッションは達成されたようだね。じゃ。コンプリートおめでとー!」パンパカパーン

一夏「へ? カメラを通して見てたんじゃないですか?」

楯無「いやーそれがさー。撮影班の子が家のトラップに引っかかっちゃって…途中から収録できなかったの」

一夏「あぁー…」

楯無「かといってミッション中に水を差すような真似をしたくないしね。ま、何はともあれお疲れさん!」チラッ

簪「…!」ババッ

楯無(ふむふむ…何だかんだで積極的にいけたみたいね。良かった良かった)

楯無(…まぁ、私としてはちょっと複雑だけどね。もっと素直になってね、か…)

楯無「さてさて! では張り切って次のミッションに行きましょー!」ゴソゴソ



楯無「パンパカパーン! 発表します…! 次のミッションは…『>>417』です!!」

417: 2012/03/27(火) 00:54:54 ID:Op0/6SbA
オリキャラ無双で今日はここまで
次回更新は近日中
じゃあの

現時点好感度指数(参考)
鈴     ■■■□□□□□
セシリア ■■□□□□□□
千冬   ■□□□□□□□
楯無   ■■■■■□□□
簪     ■■□□□□□□

427: 2012/03/29(木) 21:02:58 ID:S9Om..k6
『シャルロットと一緒にお風呂に入る』


一夏「」

簪「」

楯無「…うわぉ」

一夏「ま、マジかよ…」

簪「い、意義あり…!」

一夏「え…?」

楯無「お、珍しいね簪ちゃん。そこまで必氏になるなんて」

簪「こ、こんなの、ダメ…! 絶対に、ダメ…!」

楯無「何でかな、簪ちゃん」

簪「だ、だって…え、えええOちぃのは…ダメ、なんでしょ…?」

楯無「まぁそうだね」

簪「だから…! このミッションは、無効…!」

楯無「うーん…なんかそれもぉ…つまらないよね」

簪「なッ…!?」

428: 2012/03/29(木) 21:11:57 ID:S9Om..k6
楯無「まぁ確かにーこのイベントは健全であることがもっともだけど。
    だからといって即無効、っていうのは面白みに欠けるよ。
    せっかくの生徒からの要望に、あまり制限を設けたくないし」

簪「な、何言ってるの…! だ、だって! いいいい一緒に、お風呂、なんて…!」

一夏「うぅ…///」

楯無「…一夏くん。なに鼻の下伸ばしてんの」

一夏「いぃ!?」

簪「一夏…!」キッ!

楯無「まぁまぁ簪ちゃん。こういうミッションもね。捉え方だよ」

簪「え…?」

楯無「任務の指定は一緒に入浴するまで、でしょ? 何も裸の付き合いしろって言うんじゃないんだから」

簪「あ…」

一夏「お、おぉ…」

楯無「というわけで、一夏くんと…ええと、シャルロットちゃんだったね。
    お2人には水着の着用を義務付けまーす。これは絶対でーす♪」

429: 2012/03/29(木) 21:13:04 ID:S9Om..k6
楯無「じゃあミッションの内容はねー。身体を洗ったあと、湯銭に浸かって100までカウントしたら終了!」

楯無「ミッション・コンプリート宣言はこっちの方でしてあげるから! ゆっくり暖まってね!」

楯無「じゃあ、レッツ☆スタート!」

一夏「……」ホォ…

簪「…一夏」

一夏「な、何だよ…?」

簪「もしかして…残念がってない?」

一夏「いぃ!? そ、そんなわけあるか! ホッとしてただけだ!」

簪「……」ジトー

一夏「な、何だよ簪その冷めた目は…」

簪「…変O」

一夏「うぅ…(簪に言われると…なんかショックだ…)」

―――――――――
―――――
―――

430: 2012/03/29(木) 21:18:27 ID:S9Om..k6
~廊下~

シャル「いーちかっ♪」

一夏「おぉシャル…って、もう準備してたのか」

シャル「うん! やっと僕の番が巡ってきたからね!」

一夏「そ、そうか…(何でそんなに嬉しそうなんだ…?)」

シャル「あれ? 一夏、まだ準備してないね」

一夏「あぁ。先にお前を探しておこうと思ってな」

シャル「そ、そっか…僕を優先してくれて…えへへ///」

一夏「?」

シャル「な、何でもないよ! じゃあ一夏の部屋に行こっ! 準備しなきゃね!」

一夏「え? いや、いいよ。お前は先に浴場に―――」

シャル「いいから行くの!」

一夏「お、おう…」

―――――――――
―――――
―――

431: 2012/03/29(木) 21:22:24 ID:S9Om..k6
~男子大浴場~

シャル「うわぁ…ここに来るのも久しぶりだね」

一夏「あぁ、そういやお前は一度入ったきりだっけ」

シャル「そうだねぇ。向こうの方はこっちよりも広いかな」

一夏「そりゃそうか(男1人が入るにしても広すぎるからなぁ…ここは)」

シャル「じゃあ準備しようか」ヌギヌギ

一夏「いぃ!? シャ、シャル! ここで脱ぐなよ」

シャル「え?」

一夏「あ、あれ…?(制服の下に既に水着…どんだけ準備いいんだよ…)」

シャル「…一夏。ひょっとして、期待してた?」

一夏「そ、そんなわけないだろ! いきなりだったらビックリしただけだ!」

シャル「…ふぅん」

一夏「な、何だよ…」

シャル「…一夏のえOち」

一夏「う、ぐッ…(チクショウ…簪といい、何でそんな風に言われなきゃならないんだ…)」

432: 2012/03/29(木) 21:26:34 ID:S9Om..k6
シャル「どうしたの一夏? 脱ぎなよ」

一夏「い、いや、その…」

シャル「?」

一夏「…シャル。先に入っててくれよ」

シャル「え? あ、そうか。一夏はまだ着替えてないのか」

一夏「そういうことだ」

シャル「でも、ここで着替えるの?」

一夏「あぁ。そのつもりだけど?」

シャル「いいの? だって、撮られてるんでしょ?」

一夏「あ…!」

シャル「もう。だからあらかじめ着替えておけばよかったのに」

一夏「ト、トイレで着替えてくる…」

シャル「うん。先に入ってるね~」

433: 2012/03/29(木) 21:30:24 ID:S9Om..k6
シャル「久しぶりに来たけど、やっぱり変わってないなぁ」

シャル「…できれば、ここはもう一度来たかったんだよね。色々と思い出があるから」

シャル「一夏に…初めて、本当の名前で呼んでもらった場所だから」

シャル「一夏…///」

シャル「……」

シャル「本当は、一夏になら…僕の裸、見せても良かったのに…」

シャル「って、何言ってんだろ僕は―――

一夏「うぃーっす。お待たせー」ガララッ

シャル「うわぁ!? い、いきなり驚かさないでよ一夏!」

一夏「え? あ、あぁ…すまん」

シャル「もぅ…ビックリしたんだからね!」

一夏「お、おぅ。ところで、さっきなんか言ってなかったか?」

シャル「へ!? なななななななな何も言ってないよ! 一夏のえOち!」ブンブン

一夏「えぇー…なんかひでぇなぁ…」

434: 2012/03/29(木) 21:40:30 ID:S9Om..k6
一夏「うっし。まずは体を洗うか」

シャル「そうだね」

一夏「じゃあシャルはそっちで洗ってくれ。俺はこっち使うから」

シャル「…一夏」

一夏「ん?」

シャル「ええと…背中、流そうか?」

一夏「え?」

シャル「洗いっこ…しない?」

一夏「あぁー…別にいいけど」

シャル「ほんと!?」

一夏「あぁ。それくらいなら」

シャル(やった♪)

一夏(洗いっこかぁ…いつ以来かなぁ。懐かしいや)

435: 2012/03/29(木) 21:44:15 ID:S9Om..k6
シャル「じゃあまずは僕が洗ってあげるね」

一夏「あぁ。頼む」

シャル「一夏…背中、広いね」

一夏「そうか? 普通だと思うけどな」

シャル「ううん。何だかガッチリしてて…ゴツゴツしてる」

一夏「それ…褒めてるのか?」

シャル「もちろんだよ。男らしくて、かっこいい」

一夏「あはは。まぁ普段から鍛えられてるからな」

シャル(本当に…かっこいいなぁ…)ポー

一夏「シャル?」

シャル「え…? あ、ごめん! 今洗うから!」

一夏「お、おぅ…」

436: 2012/03/29(木) 21:49:51 ID:S9Om..k6
シャル「どうかな、一夏?」キュッキュッ

一夏「うーん…もう少し強くできないか?」

シャル「えぇー…これでも結構力入れてるんだけどなぁ…えい!」ゴシッ

一夏「うぉぅ…まぁ、それくらいで頼む」

シャル「これ…意外に疲れるね」

一夏「あははは、そんなものかな。まぁ無理はしないでいいよ」

シャル「ダメだよ。ちゃんと垢を落さなきゃ」

一夏「別に気にしないけどな」

シャル「ダーメ。ここには女の子しかいないんだから、もっと清潔感に気を使わなきゃ。
     病気の原因にもなるしね」

一夏「わかった。頼む」

シャル「うん!(うふふ…♪ なんだか、奥さんみたいだなぁ…)」ゴシゴシ

一夏(さっきから同じところを擦られて…痛くなってきた)ジンジン

437: 2012/03/29(木) 21:54:08 ID:S9Om..k6
一夏「…なぁシャル」

シャル「なーにー?」ゴシゴシ

一夏「え、ええと…そろそろ、別のところ洗ってくれると嬉しいんだが」

シャル「へ? あ、ごめん! 赤くなってるよ!」

一夏「あはは…頑張りすぎだぞ、シャル」

シャル「ごめんね…痛くない?」

一夏「おおげさだな。ほっとけば大丈夫だよ」

シャル(浮かれすぎちゃった…ごめんね、一夏…)

シャル「……」


ペロッ


一夏「いぃ!?」

シャル「ん…んん…」チロチロ

438: 2012/03/29(木) 21:55:38 ID:S9Om..k6
一夏「シャ、シャル!? 何やってんだよ!?」バババッ

シャル「うわ!? ご、ごめん…日本じゃ、怪我をしたら舐めて治す風習があるってきいたから…」

一夏「いや、それって大昔の話だぞ…?」

シャル「へ…? そ、そうなの!?」

一夏「まったく…驚かせるなよ」

シャル「ご、ごめん…」

一夏(うぅ…前の風呂場のときもそうだけど、シャルって変なところで大胆だからなぁ…///)

シャル(ちょっとだけ間違っちゃったけど…一夏、何だか僕のこと意識してるみたい)

シャル(なんだか嬉しいかも、だなんて…えへへ///)

一夏「じゃあ、続き頼む」

シャル「あ、うん。そうだね」

439: 2012/03/29(木) 21:59:14 ID:S9Om..k6
シャル「どうかな」ゴシゴシ

一夏「あぁ。気持ちいいよ」

シャル「ふふふっ。良かった」

一夏(人に洗われるのって…意外に気持ちいいんだな。久しぶりだったから分からなかったよ)

シャル「痒いところ、ありませんか~?」ゴシゴシ

一夏「あははは。それって、頭洗う時の台詞じゃないのか?」

シャル「細かいところはいいんだよっ」

一夏「うーん。今は特にないかな」

シャル「そっかぁ。残念」

一夏「背中はそれくらいでいいんじゃないか」

シャル「あ、本当だ。じゃあ流すね」


バシャァ


シャル「はい、おしまい」

一夏「よしっ。じゃあ次は俺か」

440: 2012/03/29(木) 22:03:56 ID:S9Om..k6
シャル「じゃあお願いね」

一夏「力加減とかよくわからないから、言ってくれな」

シャル「うん!」

一夏「ええと…これくらいか?」ギュッ

シャル「ちょ、ちょっと強いかなぁ…」

一夏「えぇ…だいぶ抑えたつもりなんだけどなぁ…」

シャル「だめだよー女の子の肌はデリケートなんだからね?」

一夏「うーん…じゃあ、これくらいか」スッスッ

シャル「うーん…ちょっと弱いかな」

一夏「む、難しいな…」キュッキュッ

シャル「あ、それちょうどいい」

一夏「本当か? 良かった」

一夏(うーむ…女って、体洗うのも大変なんだな)

シャル(お風呂で体洗われるのって…いいなぁ。一夏が、僕のことを気遣ってくれるのがよくわかるもん)

シャル(…なんだか嬉しい♪)

441: 2012/03/29(木) 22:08:12 ID:S9Om..k6
一夏「よしっ。だいぶコツを掴んできたぞ」キュッキュッ

シャル「うん、上手いよ」

一夏「痒いとこ、ありませんかー?」キュッキュッ

シャル「あはは。何それ」

一夏「シャルの真似」

シャル「うーん…そこより左上が、ちょっと痒いかも」

一夏「了解。左上だな」

グイッ

一夏「え!?」

シャル「うわ!?」

一夏(ま、まずい! 指に、水着の結び目が引っかかった!)


ハラッ


シャル「あ…///」

442: 2012/03/29(木) 22:12:13 ID:S9Om..k6
一夏「ご、ごめん!」プイッ

シャル「も、もぉ…一夏のえOち」

一夏「わ、わざとじゃないんだ! 本当にごめん!」

シャル(…そんなに目を背けなくてもいいじゃん)プクー

一夏「と、とりあえず俺は向こう見てるから…お前、早く直してくれよ」

シャル「……」

一夏「シャ、ル…?」

シャル「ねぇ一夏」

一夏「な、なんだ?」

シャル「一夏に、直してもらいたいな」

一夏「えぇ!?」

シャル「外しちゃったのは一夏だし」

一夏「え、えぇ…それは、そうだけど…」

シャル「じゃあお願い」

一夏「う…(なんでノリノリなんだよ…)」

443: 2012/03/29(木) 22:19:01 ID:S9Om..k6
シャル「はい、どうぞ」

一夏「お、おぅ…(シャルの背中…綺麗だな)」

シャル(背中だけとはいえ…裸を見られるのは恥ずかしいな///)

一夏「じゃ、じゃあ、いくぞ?」ドキドキ

シャル「う、うん…」バクバク

一夏「……」ゴクリ


スッ…ピトッ


シャル「ひゃっ!?」

一夏「うぉ!? い、いきなり声を出すなよ…」

シャル「ご、ごめん…続けて」

一夏「ええと…じっとしててくれ」クイッ

シャル「…うん///」

キュッ

一夏「ふぅ…終わった(なんかドッと疲れた…)」

444: 2012/03/29(木) 22:19:49 ID:S9Om..k6
一夏「シャル、終わったぞ」

シャル「///」ポー

一夏「…シャル?」

シャル「えぇ、あ、ごめん! お、終わった!?」

一夏「あ、あぁ…」

シャル「そ、そっかありがと…じゃあ、続きお願い」

一夏「わ、分かった…」キュッキュッ

一夏(シャルの奴…なんであんなにボーっとしてたんだろう?)

シャル(うぅ…さっき、一夏が僕の水着を直してくれた時に…)

シャル(まるで…お、お姫様に、ネックレスをかけてくれる王子様みたい、って想像してたなんて…)

シャル(あぅぅぅ…! は、恥ずかしいよぉぉ…!)ブンブン

一夏「?」

445: 2012/03/29(木) 22:25:21 ID:S9Om..k6
一夏「流すぞー」

シャル「う、うん…」


バシャァ


一夏「おっし。だいぶ綺麗になったな」

シャル「そ、そうだね…(途中から、それどこじゃなくなってたけど…)」

一夏「じゃあ、入るか?」

シャル「え? 頭は?」

一夏「あ…うーん…別によくないか?」

シャル「えぇー…僕はやっぱり洗ってから入りたいかも」

一夏「そっか?」

シャル「うん。どうせなら、また洗いっこする?」

一夏「え、ええと…できれば遠慮したいな…今、頭腫れてるしな」

シャル「そ、そっか…織斑先生に殴られたんだよね」

一夏(それもあるんだが…なんか、恥ずかしいんだよな…)

446: 2012/03/29(木) 22:29:32 ID:S9Om..k6
一夏「そういうわけだから、ちょっと待っててくれよ」

シャル「うーん…分かった」

一夏「よし。ちゃっちゃと洗っちまうか」



一夏「ふぅ。さっぱり」

シャル「うわ…! 一夏、もう終わったの!?」

一夏「え? いつもこれくらいだけど?」

シャル「し、信じられない…。水で流しただけじゃないの?」

一夏「失礼なこというな。ちゃんとリンス入りのシャンプーで洗ったさ」

シャル「……」

一夏「シャルも早く洗っちまえよ」

シャル「…やっぱダメ」

一夏「え?」

シャル「僕が洗います」

一夏「えぇ!?」

447: 2012/03/29(木) 22:34:55 ID:S9Om..k6
シャル「じゃあじっとしててねー」

一夏「は、はい…(何でこんなことに…)」

シャル「ちゃんと頭を洗わなきゃだめだよー。毛穴に詰まった皮脂を落さないと」

一夏「えぇ…メンドウなんだよなぁ…」

シャル「だめだよー。匂うし、抜け毛の原因になるよ?」

一夏「うッ…そ、それは洒落にならないな…」

シャル「というわけで、僕が徹底的に洗い方を教えます」

一夏「へーい…」

シャル「まずは髪にシャンプーを全体的になじませて…軽く泡立てます」ワシャワシャ

一夏「お、おぉ…(手馴れてるなぁ…)」

シャル「それで…下の生え際から頭頂に向かう感じで…指の腹で小刻みに擦るように」ワシャワシャ

一夏「おぉぉぉ…気持ちいいな」

シャル「うふふーん♪ そうでしょー♪」

448: 2012/03/29(木) 22:38:43 ID:S9Om..k6
一夏「すごいな。美容師さんみたいだ」

シャル「ラウラので慣れているからね」

一夏「ラウラに?」

シャル「軍人さんだからかなぁ…『必要最低限だけ汚れを落せればそれでいい。
     戦場では1ヶ月風呂に入れないのは当たり前だからな』って、苦労したよ。
     せっかく綺麗な髪しているのに勿体ないんだもん」

一夏「あぁー…」

シャル「痒いところ、ありませんかー?」

一夏「あはははは。じゃあ右耳の上を頼む」ワシャワシャ

シャル「了解ーわしゃわしゃ♪」

一夏「お、おぉ…ちょっとくすぐったい…」

シャル「えへへへへ。楽しいね、これ」

一夏「ああ。気持ちいいよ、シャル」

シャル(一夏が喜んでくれてる…嬉しいなぁ…♪)

449: 2012/03/29(木) 22:42:16 ID:S9Om..k6
シャル「五分間念入りに洗ったあとは、ぬるめのお湯で流せば…」


バシャァ


シャル「はい、おしまい」

一夏「お、おぉぉぉぉぉぉぉ! すげぇ! なんか、頭がすごく気持ちいい!」

シャル「ね? ちゃんと頭を洗ったときの爽快感は違うでしょ?」

一夏「すげぇなぁ…なんか、クセになりそうだ」

シャル「……」

一夏「ありがとうな、シャル! 生まれ変わったみたいだ!」

シャル「ね、ねぇ一夏!」

一夏「ん?」

シャル「その…よければ、たまに洗おうか?」

一夏「え…?」

シャル「ご、ごめん…ちょっとした冗談…///」

一夏「そ、そっか…あはは…」

450: 2012/03/29(木) 22:48:10 ID:S9Om..k6
一夏「じゃ、じゃあシャルも早く洗っちまえよ。俺、先に入って待ってるから」

シャル「……」

一夏「ふぅ…やっと風呂に入れ―――

シャル「い、一夏!」

一夏「ん?」

シャル「ええと…ぼ、僕のも洗ってくれない?」

一夏「へ?」

シャル「だ、だめ…かなぁ?」

一夏「え、ええと…いいのか? よく分からないけど、女って、髪洗うのすごく大変なんだろ?」

シャル「そうだけど…一夏に、洗って欲しい」

一夏「え…?」

シャル「お願い…」

一夏「わ、分かったよ。そこまで言うなら、お返しに洗うよ」

シャル「う、うん…///」

451: 2012/03/29(木) 22:54:22 ID:S9Om..k6
一夏「シャルの髪…改めてみると、長いなぁ…」

シャル「うーん…でも、癖っ毛なんだよねぇ」

一夏「そんなこと気にするなよ。綺麗だと思うぜ?」

シャル「はぅぅ…///」キュゥン

一夏「?」

シャル(も、もぉ…! どうしてそういうことをサラリと言うのかなぁ!)

一夏「じゃあ始めるぞ?」

シャル「あ、うん…。本当は一度湯に浸かってから洗うんだけどね。毛穴が開ききるから」

一夏「え? じゃあ何でさっきは?」

シャル「だって…見ていられなかったんだもん」

一夏「えぇ…そんなにひどかったのか?」

シャル「ま、まぁね…あはは」

一夏「じゃあシャルのも、ちょっと入ってからやるか?」

シャル「ううん。今お願い」

シャル(お風呂に入っちゃったら…勇気が萎んじゃいそうだもん…)

452: 2012/03/29(木) 23:01:26 ID:S9Om..k6
一夏「え、ええと…まずはシャンプーを全体に馴染ませて、軽く泡立てるんだよな?」

シャル「ううん。長い髪のときは、予め手でシャンプーを泡立てるんだよ」

一夏「そうなのか。じゃあ」ゴシュゴシュ

シャル「泡立てたら、薄く馴染ませるように塗って」

一夏「おう」ヌリヌリ

シャル「塗り終わったら、生え際から毛先にかけて、小刻みに洗うように。
    このとき、爪を立てたり毛流に逆らわないように気をつけて。髪を傷めるから」

一夏「お、おう…慎重にやらないとな」ワサワサ

シャル「うん。そんな感じだよ」

453: 2012/03/29(木) 23:31:11 ID:S9Om..k6
一夏「ええと…小刻みに…指の腹を使うようにか?」ゴシゴシ

シャル「あぁ、ダメだよ! 髪の毛どうしを擦り合わせちゃ!」

一夏「えぇ!? ど、どうすればいいんだよ…」

シャル「ううん…本当は髪を持ち上げるようにして洗うんだけど、馴れてないと難しいだろうし…」

一夏「うぅ…本当に大変なんだな」

シャル「ええと、じゃあね。両の手の平で髪を挟むようにして、それで滑らせてみて。根元から毛先の方向に」

一夏「え? そんなんでいいのか?」

シャル「うん。その代わり、あまり強く挟みすぎないでね。それと、何度もやらないとダメだよ」

一夏「わ、分かった。いくぞ?」ピト


ツーッ


シャル「い、痛い痛い! 強く挟みすぎ!」グィィ…

一夏「うわぁ!? ご、ごめん!」

454: 2012/03/29(木) 23:34:46 ID:S9Om..k6
シャル「もぉ…そんなんじゃダメだよ。髪は女の命なんだからね」

一夏「す、すまん…」

シャル「…一夏?」

一夏「んん?」

シャル「女の子が他の人に髪を洗ってもらうのって…相当なんだよ?」

一夏「あ、ああ…悪い。もっと慎重に洗うよ」

シャル「そうじゃなくて…はぁ…」

一夏「?」

シャル(大事だからとか、そんな理由じゃないのに…)

シャル(女の子が髪の毛を触らせるほどの異性って意味…分かって欲しいなぁ…)

シャル「はぁ…」

一夏「??」

―――――――――
―――――
―――

455: 2012/03/29(木) 23:39:24 ID:S9Om..k6
シャル「うーん…とりあえずはこんなところかな。じゃあ、流して」

一夏「へ、へーい…(まさかこんなに時間かかるとは思わなかった)」ガシッ

シャル「一夏。ちょっとストップ。まさか、桶で流そうとしてない?」

一夏「へ?」

シャル「やっぱりね…。シャワーで丁寧に、優しく流さなきゃダメだよ?」

一夏「お、おぉ…ごめん」


ジャー


シャル「濯ぎが一番重要なんだ。ちょっとでもシャンプーが残ってたら痛むし匂うから。
    だからもう、これでもかってくらい流しちゃって」

一夏「へーい…(やべぇ…これ、思った以上に重労働だ…命賭けるのもわかる…)」

―――――――――
―――――
―――

456: 2012/03/29(木) 23:43:54 ID:S9Om..k6
シャル「ふぅ…さっぱりした。ありがと、一夏」

一夏「い、いや…良かった―――へっくち!」

シャル「あ…すっかり冷めちゃったね。ごめんね…?」

一夏「気にするなよ。それより、早く入っちまおうぜ」

シャル「そ、そうだね」


チャポン…


一夏「ふぁぁぁぁ…生き返るー…」

シャル「あはは。一夏、おじいちゃんみたい」

一夏「いい湯だのぁ~」

シャル「あはははは。まったく…そんな一夏には…こうだ!」バシャッ

一夏「うぉ!? やったな…この!」ザバッ

シャル「きゃぁ! あはははははは!」

―――――――――
―――――
―――

457: 2012/03/29(木) 23:49:13 ID:S9Om..k6
一夏「やれやれ…高校生にもなって、柄にもなくはしゃいじまったな…」

シャル「そ、そうだね…あはは(ちょっと浜辺の恋人みたいで楽しかった…なんて言えない…)」

一夏「肩まで浸かって、ゆっくり数えようぜ。それで終わりだ」

シャル「あ…」

一夏「ん?」

シャル(このままいけば…ミッションが終わっちゃう…)

シャル(…もっと、一緒にいたかったな)


ピトッ


一夏「!?」

シャル「ごめん、疲れちゃった。このままでいい?」

一夏「あ、あぁ…(背中合わせ…水着とはいえ、あの時を思い出しちまうな…)」

458: 2012/03/29(木) 23:56:02 ID:S9Om..k6
シャル「…ねぇ一夏。覚えてる? 僕がここで、あの時に言った事」

一夏「え…? ええと、お前の、自分自身のあり方のこと、だろ?」

シャル「うん。覚えててくれてありがとう。あの時から僕は…デュノア社の傀儡であることを辞めて…
     本当の僕であろうと…シャルロット・デュノアであることを決めた」

一夏「ああ。立派だと思う」

シャル「ううん違うの。あれは…一夏のおかげだよ」

一夏「え?」

シャル「あの時も言ったけど…一夏がここにいろ、って言ってくれたから」

シャル「そんな一夏がいてくれたから、僕だってここにいよう、って決心がついたんだよ?」

一夏「……」

シャル「…一夏。あの時、庇ってくれて本当にありがとう」

一夏「…うん。なんか…ほっとけなかったからな」

シャル「ルームメイトだったから?」

一夏「それもあるけど…何ていうのかなぁ…やっぱ、シャルだったからかな?」

シャル「へ…?」

459: 2012/03/29(木) 23:59:44 ID:S9Om..k6
一夏「何ていうかさ…あの頃から俺は、お前のことをずっと友達だと思ってたからな」

シャル「……」

一夏「すごく穏やかで、優しくて、気配りが上手なお前といるの…楽しかった。
   勉強やISの面でもすごく助けられたし、一緒にいる大切なものになったよ」

シャル「…///」

一夏「だから…そんなお前がいなくなっちまうのは…
    なんか、すごく嫌だったよ。絶対に助けたいって思ったんだ」

シャル「…そっか」

シャル(友達、かぁ…やっぱりちょっと残念かな)ザブン

シャル(でも…やっぱり僕の事、大切に想ってくれていたんだ…///)ブクブク

シャル(ありがとう一夏。そんな君が…僕は、大好きだよ)

460: 2012/03/30(金) 00:04:17 ID:3DKFEX..
シャル「…ねぇ一夏。君は言ってくれたよね。いつか、僕の会社のことも、何とかしてみせるって」

一夏「…あぁ。情けないことに、今は解決の糸口すら見えてないけどな」

シャル「しょうがないよ。亡国機業のこととか…大変なことが増えたし」

一夏「ごめんな…でも、お前のことも絶対に何とかしてみせるよ」

シャル「…うん。信じてるよ、一夏のこと」

シャル「…でもね」


ギュッ


一夏「いぃ!?(だ、抱きつかれてる!?)」

シャル「きっと一夏なら…何とかしてくれると思う。絶対に僕を助けてくれると思う」

シャル「でも…でもね、一夏。僕…わがままかもしれないけど…」

一夏「…?」



シャル「僕……できるなら、その後も、一夏とずっと一緒にいたい…!」

462: 2012/03/30(金) 00:07:36 ID:3DKFEX..
一夏「へ…?」ドキッ

シャル「出来るならこれからも…ずっと、一夏の傍にいたい…!」

一夏「と、当然だろ…俺と、お前は…と、とも―――

シャル「違う!」

一夏「え…!?」

シャル「あ、あのね…つまり…ぼ、僕が、言いたいのは…!」ドッキンドッキン

一夏(な、なんだこれ…俺、すごく緊張してる!? いや、この動機は…シャルのなのか!?)バックンバックン

シャル「い、一夏!」

一夏「は、はい!」ビクッ


シャル「あ、あの! 僕と、一緒に、いて…ここ、こいb―――



ビ―――――――――――――ッ!!!


シャル「あ…」

楯無『終了ォー!! 一夏くん、ミッション・コンプリートおめでとー!!』パンパカパーン

463: 2012/03/30(金) 00:14:00 ID:3DKFEX..
一夏「あ…い、いつの間にか…100秒経ってたのか…あはは…」

シャル「……」

シャル(もぉ~~~~!! なんてタイミングで~~!! 一夏のバカ~~~!!!)

一夏「シャ、シャル…。さっき、言いかけたことは…」

シャル「…ふんだ」プイッ

一夏「お、おい…何で怒ってるんだよ…?」

シャル「怒ってない」フンダ

一夏「えぇー…(絶対に怒ってる…)」

シャル(何でそういうのは分かるのに…僕の気持ちは分からないかなぁ…はぁ…)

一夏「シャル…」

シャル「ん?」

一夏「お前が心配しなくても…俺はずっと、お前の味方だ。だから、大丈夫だ」

シャル「――ッ!」

一夏「会社のこととか解決して、卒業しても…お前が困っていたら、助けてやるから。
    だから俺たちは…ずっと一緒だ」

シャル「…うん///」

464: 2012/03/30(金) 00:17:26 ID:3DKFEX..
一夏「そ、そろそろあがろうぜ。湯冷めしちまう」

シャル「あ、ちょっと待って一夏」ザバン

一夏「え?」

シャル「えっとね…約束、してくれたから」

一夏「ん?」

シャル「僕と、ずっと一緒にいてくれるって」

一夏「あ、あぁ…」

シャル「だから…これはそのお礼と、誓いの証」

一夏「へ―――


チュッ


一夏「!?」

シャル「…えへへっ。ちょっと恥ずかしいな///」

一夏「お、おぉ…(額に…キスされた…///)」

465: 2012/03/30(金) 00:21:09 ID:3DKFEX..
シャル「あ、あがろ! 次のミッション、あるんでしょ!」

一夏「あ、ああ…そうだな」

シャル「…一夏」

一夏「ん?」

シャル「僕、負けないから!」

一夏「お、おぉ…何だか知らんが、頑張ってくれ」

シャル「うん! 一夏かもね! 待ってるから! じゃあね!」タッタッタ…

一夏「あ、あれ…シャルの奴、行っちまった…水着のまま…」

一夏「うーむ…楯無さんといい、簪といい…最近、女子の間ではお礼をキスで返す習慣でもあるのだろうか…」

―――――――――
―――――
―――

シャル(は、はぅぅぅぅぅ…! 恥ずかしかった~!)

シャル(で、でも…生徒会長も、あの簪って子も…これくらいはやったんだし…!)

シャル(…絶対に負けないから!)

466: 2012/03/30(金) 00:27:13 ID:3DKFEX..
~生徒会室~

楯無「おぉ…やっぱシャルロットちゃん、大胆だね~」

簪「……」

楯無「簪ちゃんも、少しは見習った方がいいよ?」

簪「…ふん。一夏ってば…デレデレしちゃって…」

楯無「あらあら…ご立腹だ」

ガラガラ

一夏「ふぅー。いいお湯だったー。さっぱりしました」

楯無「おかえりなさーい。お疲れさーん」

簪「……」キッ

一夏「うッ…(だ、だから何で睨むんだよ…)」

楯無「はいはい簪ちゃん。一夏くんへの鬱憤は、ミッションで発散させよーね。さてさて…
   体も心もリフレッシュできたことだし、次なるミッションに移りましょう!」ガサガサ

一夏「あぁ…そういやまだ続いてたんだ…日を跨いだから忘れそうだったけど…」


楯無「はい出ました! 次なるミッションは…『>>468』です!!」

467: 2012/03/30(金) 00:27:33 ID:3DKFEX..
今日はほのぼのだったね。とりあえずここまで。
残念だけど、あまり過激な工口はしないようにしてるのよ…
次回更新はまたあきます…最近また忙しいの
じゃあの

現時点好感度指数(参考)
鈴     ■■■□□□□□
セシリア ■■□□□□□□
千冬   ■□□□□□□□
楯無   ■■■■■□□□
簪     ■■□□□□□□
シャル  ■■■□□□□□

493: 2012/04/15(日) 20:14:48 ID:1VssNhtw
『織斑先生への日頃の感謝の気持ちを作文にして、クラスメイト全員の前で読む』


一夏「」

簪「……」

楯無「あっはっはっはっは!! これは罰ゲームミッションだね!!」

一夏「な、何だよコレ…どんな羞恥プレイだよ…」

簪「しかもクラスメイト全員の前で読むって…模様は全校放映しなきゃ、だから…」

一夏「実質全校生徒の前で音読…うわぁ、氏にてぇ…」

楯無「あー大丈夫だよー。そこはミッションの内容に倣って、発表は1組の教室だけにしておいてあげるから」

一夏「そ、そうですか…まぁ恥ずかしいことには変わりないんだけど…」

楯無(まぁ…結果はあまり変わらないと思うけどね…♪)ニシシッ

簪(お姉ちゃん…また悪い顔してる…良からぬ事が起きるのを知ってて黙ってる顔だ…)

494: 2012/04/15(日) 20:20:32 ID:1VssNhtw
楯無「はい☆ というわけで、じゃあ今回のミッションを具体的な内容ね!」

楯無「これから一夏くんには作文執筆作業に移ってもらいまーす♪
   存分に織斑先生に思いの丈をぶつけてもらえるように、ライティング環境は整えるからね!」

楯無「とりあえず、寮に篭って書いてもらおうか。もちろんその間は放映しません! 
   納得する原稿が出来上がるまで存分に書き上げてね!
   どこぞの鬼編集のように締め切りの催促はしないけど、あんまり遅いとお姉さん怒っちゃうぞ☆」

楯無「無事脱稿したらそのまま教室へ直行! 最後まで音読できたら終了!
   あ、ちなみに原稿の文字制限とかはないよ! 思い思いに書いてね!
   説明は以上! さぁ、文豪の時間だ!」

一夏「へーい…」トボトボ…


ガララッ…ピシャッ…


楯無「…まぁ織斑先生なら安心かな」ボソッ

簪「ん? 何か言ったお姉ちゃん?」

楯無「え? えええええええいやいやいやいや!! 何も言ってないよ! うん!」ブンブン

簪「……」

―――――――――
―――――
―――

496: 2012/04/15(日) 20:24:17 ID:1VssNhtw
~廊下~

一夏「はぁ…なんでこんな…これって完璧に罰ゲームじゃねぇか…。
   あのミッション入れた人、何考えてんだよ…」

一夏「…まぁ『好きな女の子の名前をカミングアウトする』とかじゃないだけマシか。
   いないから言いようがないけど」

一夏「はぁ…作文の音読なんて小学校の時以来だよ…どうやって―――」

千冬「よぉ織斑」

一夏「どわっ!? ち、ちふゆ―――」


バギャスッ


一夏「」

千冬「まったく何度目だ。学校では織斑先生と呼べと言っているだろうが莫迦者」

497: 2012/04/15(日) 20:27:03 ID:1VssNhtw
一夏「いてて…せっかく引いた腫れがまた…」

千冬「学習しないお前が悪い。それよりも織斑、面白いことになっているじゃないか、えぇ?」ニヤッ

一夏「うッ…」

千冬「ははははは。気兼ねなく存分に書いていいからな。別に内容で罰則など設けようとは思わんから安心しろ」

千冬「だがまぁ…あまり私に恥をかかせるなよ。言いたいことはそれだけだ」

一夏「は、はい…」

千冬「ふははははは。ではな。しっかりと書け。誤字脱字のチェックも怠るなよ」ツカツカ

一夏「はーい…」

一夏「…暗に釘を刺されたのか、今のは?」

一夏「はぁ…気が重い」

―――――――――
―――――
―――

498: 2012/04/15(日) 20:29:30 ID:1VssNhtw
千冬「……」ツカツカ

千冬「……」スタスタ

千冬「……」カツカツ

千冬「……」

ダッ!!

―――――――――
―――――
―――

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

山田「ほぇ?」

千冬「やぁぁぁぁぁぁまぁぁぁぁぁぁぁだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ダダダダダダダダダダダ

山田「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

499: 2012/04/15(日) 20:32:45 ID:1VssNhtw
山田「おおおおおおおおお織斑先生!? い、いったい―――」

ガシッ

山田「ひぃえ!?」

千冬「正直に答えろ山田先生…何故あんなものを投函した!?」

山田「あ…や、やっぱり、分かっちゃいました?」

千冬「何年一緒にいると思っているんだ! お前の筆跡くらいすぐに分かるぞ!!」

山田「お、織斑先生…落ち着いてください…痛いですぅ…」ギリギリ

千冬「あ…」

パッ

千冬「す、すみません山田先生…公私混同してしまいました」

山田「い、いえ…(ああ、研修時代のトラウマが…)」

500: 2012/04/15(日) 20:36:27 ID:1VssNhtw
千冬「…しかし山田先生といえども感心しません。あれは何ですか? 私をからかっているんですか?」

山田「い、いえ! そんなことは全然!」

千冬「では何故!?」クワッ

山田「ひぃ!? だ、だって…織斑先生…弟のことで、相当悩んでいらっしゃったようですので…」

千冬「はい?」

山田「ほら、前にバーで飲みに行った時も、自分は織斑くんに執着しすぎているような節があるとか」

千冬「む…」

山田「それに…普段自分が織斑くんからどう思われているのかも、気になさっていたようですから…」

千冬(あぁそうか。山田先生たちは、私の部屋の一夏とのやりとりを知らないんだったな)

山田「…でも、私には織斑くんは貴女のことを邪険にしているようには思えません。
   むしろとても尊敬していると思います」

千冬「……」

501: 2012/04/15(日) 20:41:16 ID:1VssNhtw
山田「確かに織斑くんは危なっかしくて、座学も…正直いっていい成績とは言えませんが…
   でも、とてもいい子だってことくらいは分かります」

山田「そんな立派な弟さんが、貴女の事を悪く思うなんて考えられないんですよ」

山田「だからここは、正直に織斑くんに言ってもらえば分かってくれるんじゃないかなぁ、って…」

千冬「…それならわざわざクラスで発表させることもないのではないですか?」

山田「え…? あ、ははははは…そうかもしれませんね…。きっと作文にすれば織斑くんも考えがまとまると
   思って…どうせなら発表させた方がいいかなぁ、なんて…あははは…」

千冬「まったく…余計なお世話も程々にしてください。人の家庭の事情に節介とは何を考えているんですか」

山田「あ、はははは…すみません」

千冬「…まぁ悪気がないのはよく分かりました。しかし、今後はこういうことは謹んでください」

山田「は、はい…」

千冬(気持ちはありがたく受け取っておくが…しかしやはり恥ずかしいことには変わりない…!)

千冬(くぅ…! 頼むから余計なことは書くなよ、一夏…!)

―――――――――
―――――
―――

502: 2012/04/15(日) 20:46:37 ID:1VssNhtw
~IS学園寮:織斑一夏の部屋~

一夏「ふむ…まぁというわけで鉛筆と作文用紙(400字詰め)を用意したわけだが」

一夏「…しかし何を書いていいのか分からん。作文なんて得意じゃないしな」

一夏「とりあえず思いつく限り書いてみるか。えーと…昨日は千冬姉に殴られて、部屋の掃除して、
   マッサージして、色々話して、そんで今日もまた殴られて…」カキカキ

一夏「……」グシャグシャ

一夏「だめだ…これじゃただの日記だ…」

一夏「というか下手なことは書けないな。そうだ、思い切って褒めちぎってみるか」

一夏「ええと…俺の姉は容姿端麗、頭脳明晰、才色兼備、文武両道を兼ね備えた超人であり、
   モンド・グロッソで優勝したこともあり、林間学校のときの水着姿もそれはそれは麗しく…」カキカキ

一夏「……」ビリビリ

一夏「あからさまな賛美は逆効果だな…絶対に千冬姉に嘘だってばれる…」

一夏「はぁ、どうすればいいんだ…」

503: 2012/04/15(日) 20:49:47 ID:1VssNhtw
一夏「……」

一夏「取りあえず千冬姉について整理してみよう」

一夏「まずは俺の姉。まぁここまではいい。それで…モンド・グロッソで一回優勝したんだけど、
   次の大会は決勝戦を放棄して…」カキカキ

一夏「…これって俺のせいなんだよな。そういえばラウラも最初はこのことで怒っていたっけ」

一夏「そのあとはドイツに1年ほど赴任して、その後は知らなかったけどIS学園に教師として働いていた。
   箒のときもそうだったけど、再会してすごくビックリしたっけ」

一夏「それで、学校生活ではいつも怒られて、殴られて…。たまに帰ってきてもマッサージと飯を作るくらいで…」

一夏「……」

一夏「あれ? もしかして俺、千冬姉の事、あまり知らない?」

504: 2012/04/15(日) 20:54:15 ID:1VssNhtw
一夏「千冬姉のこと、確かにあまり知らないよな…学園で働いている時も何も言われなかったし」

一夏「うーむ…となると、千冬姉をよく知る人にきいてみるか?
   候補はラウラ、山田先生、あと叶うなら束さんくらいだけど…」

一夏「……」

一夏「何言ってんだよ俺…自分の姉のことなのに、人に訊かなきゃ分からないなんて…みっともなさ過ぎるだろ」

一夏「はぁ…」

505: 2012/04/15(日) 20:57:43 ID:1VssNhtw
一夏「…別に千冬姉の情報が全てじゃない。こんなの、俺が千冬姉をどう思ってるかが重要なんだ」

一夏「そこのところを意識して、もう一度思い返してみよう」

一夏「まずは千冬姉に対するイメージは…うん、とにかく厳しい。やたら殴るし」

一夏「それで…やけに女生徒たちに人気がある。『ブリュンヒルデ』とか呼ばれてるんだっけか。
   本人はあまり好きじゃないみたいだけど…弟の俺からしても複雑だけど…」

一夏「…なんてこった。碌な思い出がないぞ」

一夏「……」

一夏「いや、違うな…一番印象に残っているのは…やっぱアレだな。俺が小学生の時、剣道を教えてくれた時だ」

一夏「あの時の千冬姉の言葉は…今でも印象に残っているなぁ」

一夏「きっとあれが…俺の原点なんだと思う」

一夏「俺も千冬姉みたいになりたくて…」

一夏「守られてばかりじゃなくて、今度は俺の方から守ってあげたくて…」

506: 2012/04/15(日) 21:01:15 ID:1VssNhtw
一夏「……」

一夏「そっか…」

一夏「俺って昔から…ずっと千冬姉に守られていたんだな」

一夏「俺に剣を握らせてくれたのも、結局は俺自身が俺を守れるように。
   それを教えてくれたのは、俺を守るためだもんな」

一夏「千冬姉…本当にありがとう」

一夏(俺もいつか…千冬姉みたいに)

一夏「……」

一夏「よし! 書くべきことは大体決まったな! 筆がなるぜ!」カキカキ

一夏(うーむ…そういえば千冬姉が守りたい人って誰なんだろうな?
   学園の生徒たちかな? いや、一人しかいないような口ぶりだったけど)

一夏(っと…。いかんいかん。原稿に集中せねば)カキカキ

―――――――――
―――――
―――

519: 2012/04/17(火) 22:13:45 ID:ELX1zZJU
~1時間後、1組教室前廊下~

一夏「…で。書きあがったからいざ来てみたら…」

わいわい
がやがや
ざわざわ

一夏「何だよこの人の多さは…教室の後方や廊下にまではみ出しているじゃねぇか…」

楯無「あっはっはっは! 一夏くん、大人気だね!」

一夏「た、楯無さん! どういうことですかこの状況は!?」

楯無「何か問題でも?」

一夏「だ、だって! 発表は俺のクラスだけにしてくれるって!」

楯無「うん、その約束は守ってるじゃない。でも、それでも寄ってくる生徒に対しては保証しきれませーん。
    イベントを楽しみにしてくれてる娘たちを追い返すのも悪いじゃない?」

簪「こういう、ことだったのね…お姉ちゃん」

一夏「か、簪…何でお前までいるんだよ…」

簪「ご、ごめん…やっぱり、気になって…」

鈴(…フォローしてあげたいけど、あたしも出刃亀でここにいる以上は何も言えないわ…)

520: 2012/04/17(火) 22:20:25 ID:ELX1zZJU
「あ、織斑くんよ!」「きゃー! ついに織斑お姉さまの赤裸々な事情をきけるのね!」
「弟からしたら、お姉さまってどう見えるのかしら!? 気になるわー!」

一夏「…なんかギャラリーのほとんどは俺目当てじゃなくて、千冬姉のおっかけみたいだな」

楯無「そーいうこと。だから一夏くんは気にしなくていいのよっ♪」

一夏(いや、逆にプレッシャーですよ…余計逃げ出したくなってきたし…)

楯無「はいはい! いつまでもこんな廊下で油売ってないで、とっとと入っちゃいなさい!」ドン!

一夏「うわぁ!? …ったく。分かりましたよ、はぁ…」ガララッ

ラウラ「……」キッ!

箒「……」ムスッ

セシリア「……」プイッ

シャル「あは、はははは…」

一夏(な、何だよ…何で専用機持ちの皆はシャル以外は不機嫌そうなんだよ…)

一夏(いや、ていうか…)


千冬「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


一夏(黒板の隣で仁王立ちしている俺の姉が怖いです、はい…)

521: 2012/04/17(火) 22:25:54 ID:ELX1zZJU
ラウラ(一夏め…! 私の嫁という自覚が足りないばかりか、よりにもよってあの女に振り回されおって…!)

箒(クソッ…! 何故いつまで経っても私の番が回ってこないのだ…!)

セシリア(私の肉じゃがを食べてくださる約束をしましたのに…! 他のレディの料理を褒めるなんて…!)

シャル(み、皆荒れてるなぁ…でも僕は僕で色々やっちゃったから、フォローしても火に油だし…)

のほほん「おりむーだー! 待ってたよー!」ピョコンピョコン

一夏「あはは…のほほんさん…」

相川「織斑くーん! 早く早くー!」
谷本「織斑先生の秘密、知りたいー!」
鷹月「ま、まったく皆ってば…」

一夏「いや、秘密とかそんな大したもんじゃないけど…」


千冬「……」ギロッ!!


女生徒たち『』ビクッ

一夏「?」

シャル(…流石一夏。織斑先生の視線に全く気付いてない)

山田(あぅぅぅぅぅ…織斑先生の隣、怖いですぅぅぅぅ…)ヒィィン…

522: 2012/04/17(火) 22:29:55 ID:ELX1zZJU
千冬「…さて、静かになったところで織斑。とっとと原稿を読み上げろ」

一夏「は、はい」スタスタ

一夏(うおぅ…き、緊張する…高校生にもなってまさか作文の読み上げするとは…)

一夏「えー…コホン。では、始めます。タイトルは…『僕の姉さん』」


箒(普通だ)

セシリア(普通ですわね)

ラウラ(シンプルでいいな)

シャル(僕って…)


一夏「僕の姉さんは、怖いです」


女生徒たち『』

千冬「」

山田(…織斑先生の絶句が、怖いです)

523: 2012/04/17(火) 22:34:12 ID:ELX1zZJU
一夏「普段は眉間に皺が寄っていることが多いです。怒ると口よりも手が先に出ます」

一夏「僕が失敗すると、大抵は拳骨されてから二言めくらいに『莫迦もの』と呼ばれます」

一夏「正直おっかないです」

箒「」

セシリア「」

シャル「」

ラウラ「ふむふむ」


鈴「」

簪「」

楯無「ぷっ…くくく…」プルプル



千冬「……」ツカツカ ガララッ

山田「ちょ、織斑先生、どこへ、え、何で空き教室の方に―――」

ドガッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

山田「」

524: 2012/04/17(火) 22:41:27 ID:ELX1zZJU
千冬「ふぅ…やれやれ。柄にもなく取り乱してしまった」ツカツカ

山田「」

千冬「…放心している山田先生は放っておいて、と。まったく一夏め…また余計なこと喋っていないだろうな」


ガララッ


一夏「家に帰ると下着姿で放浪してます」

千冬「」

箒セシ『』

ラウラ「ほう…なるほど、半裸健康法か。私も今度隊に戻ったら実践してみるか」メモメモ

一夏「しかもお酒を飲みまくります。飲んだくれというほどではありませんが、年齢的にもちょっと控えて欲しいです」

女生徒たち『』


山田(か、帰ってきてみたら…何ですかこの空気は…)←立ち直った

千冬「……」ドドドドドドドドドドド…

山田(…織斑先生の背後からただならぬ瘴気が)

527: 2012/04/17(火) 22:46:28 ID:ELX1zZJU
一夏「家での家事は基本的に僕の仕事です。姉は家事をあまりしないようです」

一夏「掃除、洗濯、料理とこなしていく内に、僕も一通りの生活の術を身に付けられました」

一夏「その辺は感謝してます」

箒(それは遠まわしに馬鹿にしているぞ…)

一夏「ちなみに姉のお気に入りは、僕の作ったコーヒーゼリーです」

一夏「しかし、やはり身の回りのことはもう少し気を付けて欲しいと思います。さっき寮の部屋に入った時も――」

千冬「―――!!」ビュッ!!

山田(あ! いつのまにチョークを!? ライフル弾のごとく織斑くんの方に!?)


パァン!!
パラパラ…


千冬「!?」

楯無(ふふふ…させませんよ、織斑先生…今、面白いところなんですから)<IS部分展開>

千冬(ぐ…! おのれ、更識姉の方…! だがまぁいい…余計な部分はシャットアウトできた…)

一夏(? なんか一瞬変な音がしたけどまぁいいか)

シャル(一夏、何で気付いてないの!?)

528: 2012/04/17(火) 22:55:17 ID:ELX1zZJU
一夏「と、まぁこのように、普段のイメージとは違った一面もあり、皆さんも驚いているかもしれません」

セシリア(驚いている以前に織斑先生の株価がストップ安な気が…)

一夏「姉はよく僕の事を『放っておけない奴だ』とよく言いますが」

シャル(一夏やめてあげて…多分このクラス全員がとばっちり受ける羽目になるから…)

一夏「僕としては姉の振る舞いも、少し見ていて心配な部分があります」

谷本「…なんだかなぁ」ヒソヒソ

相川「イメージと違うというか…そういうのじゃなくて…」コソコソ

鷹月「これ以上は聴いちゃいけない気がしてきた…」ボソボソ

箒(…何だか同情の念が湧いてきた)

ラウラ(実に興味深い)

千冬「…山田先生。今度の実習ですが、いい場所があります。富士の樹海などはどうでしょうか?」

山田「織斑先生…さらっとクラス全員と心中する算段をたてないでください…」

一夏「でも…それでも僕の命を賭けて言えることが1つだけあります」

全員『……?』


一夏「僕の姉の織斑千冬先生は、世界一の女性です」

530: 2012/04/17(火) 23:02:19 ID:ELX1zZJU
女生徒たち『…!』

千冬「……」

一夏「実力の意味でももちろんそうです。僕の姉がモンド・グロッソで優勝した経験があるのは、皆さんも知っていると思います」

一夏「そして…2回目の大会で突如試合を放棄してしまったこともご存じでしょう。
   あれは…僕のせいなんです」

一夏「僕はあの時、亡国機業誘拐されていました。そしてそれを助けてくれたのが、姉なんです」


ざわざわ…


ラウラ(…一夏。言ってしまうのか、あれを)

千冬(莫迦者が…また余計なことを…)

一夏「あの時の不安は…今でも忘れられません。わけも分からないまま連れてこられて、
   何をされるかも分からないまま怯えていました」

一夏「そんな時に駆けつけてくれた姉は…本当に格好良かったです。僕は、姉に命を救われました」

「そんな事情があったのね…」
「いい話だわ…」
「織斑先生も…やっぱり人間なのね」

千冬「…ふん」

532: 2012/04/17(火) 23:06:06 ID:ELX1zZJU
一夏「僕の姉は、世界最強という称号を投げ捨ててまで僕を助けてくれました。
   それは決して、誰にでも真似できることではないと思います」

一夏「家族の存在のありがたさを、僕が身を以て一番体感した瞬間でした」

「まぁ確かに…」
「でも、仕方ないことじゃない?」
「確かにねぇ…トロフィーか家族かって言われたら、誰だって家族を選ぶと思うけど…」

千冬「……」

一夏「僕はそのとき、『守られる』ということがどういうことかを思い知りました」

一夏「自分のために駆けつけてくれる人がいる。そんな人がいるということは…とても素晴らしいことです」


『……』


一夏「…でも、それだけではありません。
   僕の姉は…『守る』ということがどういうことかも教えてくれました」


千冬「――!!」

533: 2012/04/17(火) 23:09:33 ID:ELX1zZJU
一夏「最初は僕が小学校の時…初めて剣道を習った時です。
   自分が剣を振るうその意味を…その大切さを最初に教えてくれた人が…他でもない千冬姉です」

一夏「あの言葉は僕の原点であり、そして僕の道標でもあります」

一夏「そして…強さとは何のためにあるのか、そういう大切なことも…本当に色々なことを教えてくれました」

箒「……」

セシリア「……」

シャル「……」

ラウラ「……」

千冬「……」

535: 2012/04/17(火) 23:15:25 ID:ELX1zZJU
一夏「思えば、僕には千冬姉しかいなかったように、千冬姉にも僕しかいませんでした。
   でも僕とは違い、寂しがったり悲しがったりもせず…ただ直向きに、前を走っていました」

一夏「今でも僕は、その背中を追うのに必氏です。でも、僕の姉はとても優しい。
   僕が転んでも、起き上がるまで待ってくれるような人です。」

千冬「……」

一夏「普段僕にも、皆にも辛く当たるのはそういう理由なんだと思います。
   誰だって生きていくには力が要ります。一人で立ち上がるくらいの力は必要です」

一夏「だから姉は手を引っ張っていくよりも、ちゃんと自分自身で立てるように促せる人間なんです」

一夏「僕の姉は、そういうことがよく分かってるんだと思います。
   誰よりも強さというものは何かを理解し、力が何のためにあるのかを知っている人ですから」


鈴「……」

簪「……」

楯無「……」

山田「……」


千冬「……」

536: 2012/04/17(火) 23:19:31 ID:ELX1zZJU
一夏「自分の都合よりも、皆のことを誰よりも思っている」

一夏「そしてたった一人の家族の僕に、『守られることの温かさ』と『守ることの大切さ』を同時に教えてくれました」

一夏「だから姉は僕のたった一人の家族であり、教師であり、目標であり…」

一夏「僕を守ってくれる人であり…そしてこれから僕が、守ってあげたい女性の一人です」

千冬「……!」カァァァ…

一夏「厳しくて怖い所もあるけど、でも色々知ってて、格好良くて、何よりも強い姉を、僕は尊敬してます」

一夏「だから僕の姉は世界一です。たった一人の、大好きな姉です」

千冬「~~~~~~~///」

一夏「ですから皆さん、これからもどうか…僕の姉の織斑千冬先生を、宜しくお願いします」

一夏「…拙い文章で申し訳ありませんでした。最後にこの場を借りて、一言だけ言わせて下さい」

全員『……?』



一夏「…千冬姉、いつもありがとう。俺、千冬姉の弟で本当に良かった」ニコッ



千冬「―――!!」ドクン!!

537: 2012/04/17(火) 23:24:32 ID:ELX1zZJU
一夏「以上です。ありがとうございました」ペコッ

全員『……』


パチパチパチパチパチパチパチ


箒(…敵わないな)

セシリア(本当に…大切ですのね)

ラウラ(教官の言っていたこと…ほんの少しだけ分かった気がします)

シャル(やっぱり…織斑先生は強いなぁ…色々な意味で)


鈴(まったく…見せつけてくれちゃって)

楯無「ブラボー! ハラショー!!」パチパチ

簪「お、お姉ちゃん…」

538: 2012/04/17(火) 23:26:50 ID:ELX1zZJU
千冬「……」

山田「…本当に、いい弟さんをお持ちになりましたね(一時はどうなることかと思いましたが…)」

千冬「……」

山田「…織斑先生?」

千冬「……」

千冬(な、何を考えているんだ私は…!? ぐ、愚弟のあんな三文作文で…)ドキドキ

千冬(どうかしている…! あ、あんな言葉で…あんな台詞でここまで…私が嬉しがっているだと!?)バクバク

千冬(こ、こんなはずでは…! あんな…あんな、一夏の笑顔などで…!)ドッキンドッキン

千冬「……///」

540: 2012/04/17(火) 23:30:39 ID:ELX1zZJU
山田「あ、あのぉ…」

千冬「…山田先生、あとは頼みます」

山田「へ?」

千冬「どうやら私は…少し腑抜けてしまったようです。少し鍛えなおしてきます」

山田「え」

千冬「取りあえず、頭を冷やしてくる意味も込めて、アリーナを100周ほどランニングしてきます。
   何かありましたら…呼んでください。では」ズカズカ

山田「あ、ちょっと……」

山田「…気のせい、かしら。織斑先生、笑っていたような…」

―――――――――
―――――
―――

542: 2012/04/17(火) 23:36:19 ID:ELX1zZJU
~生徒会室~

楯無「はーい! というわけで無事一夏くん、ミッション・コンプリートおめでとー!!」パンパカパーン

一夏「もうこれには馴れてきたけど…今回のはマジで精神的にきつい…」

簪「お、お疲れ様…」

楯無「ひっひっひ☆ 想像以上だったよ! まさか織斑先生のあんな一面見れちゃうなんてね!」

一夏「あぁそういえば…あれから千冬姉の姿が見えないんだよな…見れないだけに後々どうされるのか怖い…」

楯無「…まぁ悪いようにはしないと思うよ。精々がIS装備でフルマラソンくらいじゃない?」

一夏「それって千冬姉がマジギレした時に課すデスマーチを覚悟しておけってことですか…はぁ…」

楯無(迂闊だったわ…肉親はないかと思っていたけど、思わぬ伏兵がいたものだわ…)

簪(織斑先生…手ごわいけど、やっぱり負けたくない…!)

楯無「さてさてー…一夏くんも大分慣れてきたことだし、次のミッションに移りますかね!」


ゴソゴソ


楯無「なになにー…次のミッションは…『>>544』だー!!」

548: 2012/04/17(火) 23:40:14 ID:ELX1zZJU
というわけで今日は以上。久しぶりすぎてすまん…
そして次回更新はおそらく次の日曜っす


現時点好感度指数(参考)
鈴     ■■■□□□□□
セシリア ■■□□□□□□
千冬   ■■■□□□□□
楯無   ■■■■■□□□
簪     ■■□□□□□□
シャル  ■■■□□□□□

※千冬姉は姉という立場上、パラメーターは上がりにくいよ。
 根気よくスナイピングしてれば個別√もあるかもしれないけど

そして安価把握。ようやく箒ちゃん書けそうでホクホクするお
じゃあの

566: 2012/04/22(日) 20:17:32 ID:FV8IfFjs
『ランダムに選ばれた3人と一緒に一泊の温泉旅行に行く』

一夏「温泉?」

簪「旅行?」

楯無「…ふむ」

一夏「何だか結構ほのぼのとしてるなぁ。まぁ前のミッションよりは全然マシだからいいけど」

楯無(これは…きっと一夏くんとあんまり面識のないけど好意を寄せてる子が入れた奴ね。
   任意に一夏くんが相手を選んじゃえば、専用気持ちの誰かに決まってるから…)

一夏「しかし相手選べないのかー。全然知らない人だったらどうしようかな」

楯無「まーまーミッションだからしょうがないよ。ちょっと待っててねー。今アミダ作ってくるから」

楯無「ランダムってことだから徹底して作ってくるよ。
   学年もクラスも教員も生徒も用務員も全部ごちゃ混ぜにするから」

楯無(ふっふっふ…アミダに細工して私も同行メンバーにあやかろう―――

簪「……」ジロッ

楯無(…と思ったけどなしなし。最近読んだマンガでも公平こそパワーとか言ってたし。
   意味はよく分からないけど)

―――――――――
―――――
―――

568: 2012/04/22(日) 20:21:43 ID:FV8IfFjs
楯無「…なんとまぁ」

一夏「相手は箒と簪と鷹月さんか。面識がない相手じゃなくて良かったぜ」

簪「……」←見えないところでちょっとガッツポーズしてる

楯無(アトランダムに選んだのに3人中2人が専用気持ちって…。
   何だか一夏くん、IS関係ではいい意味でも悪い意味でも妙な縁を持ってるわね…)

一夏「でも温泉か。林間学校の時に行ったところとかになるのかな」

楯無「あーそこでいいかな。ちょうどいいし。領収書貰って来てくれれば費用は生徒会でもつから安心してね」

楯無「じゃあ今回も特筆すべき内容はないね。一泊温泉旅行に行って、翌日に一夏くんは
   この生徒会室に戻ってくればミッション・クリアということで」

楯無「まぁ模様は絶賛放映しているから、あまり気を抜き過ぎないようにねー。
   じゃ、ミッション☆スタート!」

一夏「おっし。簪、行こうぜ」

簪「う、うん…///」トテトテ

楯無(ふっふっふ…1日待ちぼうけを食らうんだから…ちょっとくらいちょっかい出してもいいよね…?)

楯無(さて…どうやってかき回そうかなぁ…今から悪知恵が冴えるわぁ…)ニヤリ

―――――――――
―――――
―――

569: 2012/04/22(日) 20:26:21 ID:FV8IfFjs
~廊下~

一夏「お、箒と鷹月さん。探していたんだ」

鷹月「お、織斑くん…」

箒「……」

一夏「ちょうどいいな。2人して見つかるなんて」

鷹月「い、いや…篠ノ之さんと私は同室だから…」

一夏「そういやそうだっけ。あ、そうだ。鷹月さんは会うのは初めてだよな。4組の専用気持ちの更識簪だ」

簪「……」ペコッ

鷹月「ど、どうも…」

箒「……」ムスッ

一夏(…心なしか箒が何故か荒れている)

箒(ぐ…! やっと私の番が回ってきたかと思えば…! 何故同伴者がいるんだ! これではいつもと同じではないか!)

鷹月(何で私がここにいるんだろう…完全に場違いな気がしてならないんだけど…)

570: 2012/04/22(日) 20:30:24 ID:FV8IfFjs
一夏「とりあえず、バスの手配は楯無さんがしておいてくれたんだってさ」

鷹月「えぇ!? じゃあ、今から行くの?」

一夏「そうだな。とりあえず寮の部屋に戻って準備しようぜ。出来たらモノレールに集合で」

簪「…分かった」

鷹月「う、うん…ほら、行こうよ篠ノ之さん」

箒「ああ。すぐ行く」

一夏「しかしこうしてみると、クラス旅行みたいでワクワクするな。林間学校も色々あったから楽しめなかったしな」

箒「たるんでいる。あれだって遊びに行ったわけではないんだぞ」

一夏「あ、はははは…(何で不機嫌なんだろう…)」

―――――――――
―――――
―――

571: 2012/04/22(日) 20:33:10 ID:FV8IfFjs
~行きのモノレール~

鷹月「で、その時アナウンスで言ってたのよ。『じゃあ今から離陸しますよ』って。
   そうしたら機内はパニックになったそうよ」

一夏「ははははは。相変わらず鷹月さんは面白い話をするな」

鷹月「あ、ありがとう…雑誌の受け売りだけど」

箒「……」

簪「……」

鷹月(ていうか気まずい…篠ノ之さんは相変わらず不機嫌だし、会長の妹は全然喋らないし…)

鷹月(そ、そりゃあ…私だって織斑くんはちょっといいな、とか思ってたけど…。
   私なんて全然地味だし、織斑くんって競争率高いし半ば諦めてるのに…)

鷹月(というか明らかに篠ノ之さんが一途だから気まずいわ…)

一夏「簪も箒もさっきから黙ってどうした? 緊張してるのか?」

簪「…別に(ちょっとしてるけど…)」

箒「お前に気を使われるまでもない」プイッ

一夏「そ、そうか」

鷹月(織斑くんは平常運転だし…)

572: 2012/04/22(日) 20:34:17 ID:FV8IfFjs
~モノレール終着駅前~

一夏「おぉー。本当に来てたな」

簪「…小っちゃい」

一夏「まぁ4人だしな。大型バス借りるのも勿体なかったんだろう」

一夏「席は2人掛けが2列か。席順はどうしようか?」

鷹月「私はどこでもいいわ」

箒「私もだ」

簪「わ、私は…い…」

一夏「2人はそっか。簪はどうする? 窓際がいいとかあるか?」

簪「え、えっと…い…」

一夏「?」

簪「…いいよ、どこでも」

簪(一夏の隣がいいって…言えなかった…)シュン

一夏「そっか。じゃあじゃんけんで決めるか」

一夏の隣は誰?
>>573

574: 2012/04/22(日) 20:43:52 ID:FV8IfFjs
一夏「俺の隣は簪か。よろしくな」

簪「う、うん…///」コクッ

箒「……」ゴゴゴゴゴ…

鷹月(篠ノ之さん…不機嫌になるくらいなら何で素直に隣になりたいって言わないのよぉ…
   私、隣座るの怖いよぉ…)

一夏「じゃあ席順も決まったし早く乗ろうぜ。俺、タランプ持って来たしな」

一夏「あ、簪は席は通路側と窓際どっちがいいかってあるか?」

簪「で、出来れば窓際で…」

一夏「了解。じゃあ先に乗っててくれ」

簪「う、うん…///」

箒「ぐっ…!」ギリリッ

鷹月(ひぃぃぃぃ…)

575: 2012/04/22(日) 20:49:02 ID:FV8IfFjs
~行きのバス内~

一夏「……よし! こっちだ!」ピッ

一夏「ぐわああああああああ! またババかー!」

箒「ふん、性根が曇っているからだ。お前にはババがお似合いだ」

一夏「くっそー…じゃあ次は簪の番だな。引いてくれ」

簪「うん…」ピッ

簪「…あがり」

一夏「うわ、またか!? 簪、ババ抜き強いな…」

簪(さっきから篠ノ之さんの手から札を引いてる度に、一夏の手元が丸見えなのは…言わない方がいいのかな…)

576: 2012/04/22(日) 20:54:08 ID:FV8IfFjs
鷹月「じゃあ次は私が引く番ね。織斑くん、出してくれる」

一夏「お、おう」スッ

鷹月「……」サッ

一夏「……」ビクッ

鷹月「……」スッ

一夏「……」ホッ

鷹月「……」ピッ

一夏「ぬが!?」

鷹月(分かりやすい…)

一夏「くっそー…何でこうもあがれないんだ…」

箒「鍛練が足りんのだ未熟者め。私もあがりだ」ピッ

一夏「げ!? こ、このまま最下位続きなんて嫌だ! 絶対に勝ってやる!」

箒「言っておくが、多分お前は100万回やっても勝てないと思うぞ?」

一夏「え…?」

鷹月(織斑くん…面白いくらいにババ抜き向いてないね…。
   …でも、篠ノ之さんがちょっと機嫌直ったみたいで良かったわ)

577: 2012/04/22(日) 20:58:27 ID:FV8IfFjs
~しばらくして~

簪「うぅ…」

一夏「ど、どうした簪? 顔色が悪いぞ?」

簪「ご、ごめん…ちょっと酔ったかも」

一夏「大丈夫か? 背中さするな」スリスリ

簪「!!」ビックゥ

一夏「あと、なるべく遠くの景色とか見てろ。ほら、もう海が見えてるぞ?」ズイッ

簪(い、一夏! 顔、近いぃぃぃ…!)カァァァァ

一夏「お、おい簪! 顔まで赤くなっているけど大丈夫か!?」

簪「~~~~~///」プシュゥゥゥゥゥ

箒「……」グググググ

鷹月「し、篠ノ之さん…トランプがひしゃげちゃってるわよ…?」

鷹月(うぅ…また居心地が悪くなってきた…)

―――――――――
―――――
―――

579: 2012/04/22(日) 21:04:06 ID:FV8IfFjs
~旅館前~

一夏「ここに来るのも久しぶりだな」

簪「……///」ドキドキ

一夏「…簪、本当に大丈夫か?」

簪「だ、大丈夫…! 平気…!」フルフル

一夏「そっか。もう夕方だから、夕食までゆっくり部屋で休んでいろよ?」

簪「……」コクコク

箒「……」ピリピリ

鷹月(織斑くん…天然ジゴロでイチャつくのはよして…)

一夏「じゃあ一足先にチェックインしてくるから、ちょっと待っててくれ」

鷹月「う、うん…」

―――――――――
―――――
―――

580: 2012/04/22(日) 21:07:49 ID:FV8IfFjs
一夏「…どういうこった」

鷹月「どうかしたの?」

一夏「いや、部屋割りが…ちょっと面倒なことになってな」

簪「え?」

鷹月「え? 織斑くん1人と、女子は3人共用じゃないの? 順当に考えれば」

一夏「いや、何だか2人ずつ充てられたんだ」

鷹月「えぇ!?」

箒「なッ…!? み、見損なったぞ一夏! お前はどこまで破廉恥な奴なんだ!」

一夏「お、俺じゃねぇよ! 知らないうちに予約が入ってたんだよ!」

簪(…きっとお姉ちゃんだ)

鷹月「え、ええと…じゃあ誰が織斑くんと一緒の部屋なの?」

一夏「それが…」

一夏と同室は誰?
>>581

582: 2012/04/22(日) 21:18:09 ID:FV8IfFjs
簪「え…」

一夏「はぁ…」

箒「……」ピキピキ

鷹月「」

簪「え、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

一夏「いや、何ていうか…ごめん」

簪「い、いや、あの、べつに、嫌じゃなくて、その…///」

一夏「そ、そっか…まぁ悪く思ってないならいいや」

簪「よ、よろ…しく…///」

一夏「お、おう(また顔が…熱でも出てるのかな?)
   そんなわけだからさ。箒は鷹月さんと一緒な。普段から同室だから気を使わないで済むだろ?」

箒「知らん!!」

一夏「え」

箒「私は先に部屋に戻る! キーを寄越せ!!」バッ

一夏「あ、おい…って、行っちまいやがった」

鷹月(うわぁ…どうしよう…もの凄く帰りたい)

584: 2012/04/22(日) 21:23:00 ID:FV8IfFjs
~一夏と簪の個室~

一夏「おぉーやっぱ和室はいいなー」

簪「う、うん…///」

一夏「…簪、本当に大丈夫か?」

簪「だ、だい、じょう、ぶ」カチコチ

一夏「いや、大丈夫じゃないだろ…バス移動が長かったから疲れてんのか?」

簪「べ、別に…そんな、こと…」

一夏「まぁひとまず夕食まで時間あるし、ゆっくりてようぜ。俺はテレビとか見てるよ」ピッ

簪「あ、うん…」

一夏「おぉー。何か旅館の地方番組って、わけもなくテンション上がるよな」

簪(一夏…全然緊張してない…)

簪(…なんかムカつく)

585: 2012/04/22(日) 21:28:27 ID:FV8IfFjs
簪「…お茶、淹れるけど?」

一夏「ん? じゃあ貰おうかな」

簪「うん」


簪「はい」

一夏「ありがと。うーん、やっぱり和室で飲む日本茶は旨いな」ズズッ

簪「お茶菓子…」スッ

一夏「お、ありがとな。こういう個室に備え付けられてる茶菓子って結構好きなんだよ」ポリポリ

簪「うん…」モグモグ

一夏「はぁー落ち着く…最近はミッション続きで休まる心地がしなかったからなー」ズズッ

簪「…うん」

簪(…一夏が全然気にしないから、ちょっと残念だけど)

簪(でも…私といて気が休まるってことで…何か、一夏とこうしてのんびりするのも…)

簪「…ちょっといいかも」ボソッ

一夏「ん? 何か言ったか?」

簪「べ、別に…!」

587: 2012/04/22(日) 21:54:24 ID:FV8IfFjs
~箒と鷹月の部屋~

箒「まったく一夏め…! 軟弱者め!」ブツブツ

鷹月「あ、ははは…」

箒「くそ…! 目を離すとすぐデレデレしおって助平め…!」クドクド

鷹月「……」

箒「本当にしょうがない奴だ! 今度会ったら、性根を叩きなおして―――」

鷹月「あー篠ノ之さん? その…」

箒「ん?」

鷹月「その、さ。あんまり気負いすることもないと思うよ?」

箒「べ、別に私は…! あんな唐変朴に気を使うなど!」

鷹月「織斑くんもさ。別に意地悪で篠ノ之さんに構ってあげないんじゃないんだから」

箒「なッ…!?」

588: 2012/04/22(日) 22:01:38 ID:FV8IfFjs
鷹月「まぁ確かに…織斑くんは私からしても目に余るほどの鈍感っぷりだけど…」

鷹月「でも裏返せばね。織斑くんの親切は、引け目とかそんなもんじゃない、本当の気遣いだって分かるでしょ?」

箒「そ、それは…まあ」

鷹月「…織斑くんも織斑くんだけど、篠ノ之さんも篠ノ之さんだよ。
   言いたいことも言えないようじゃ駄目だよ? あの鈍感の織斑くん相手なら、尚更」

箒「だ、だから、私は、その…」

鷹月「ほら。そう強がっちゃうからダメなの。ちゃんと素直に向き合わなくちゃ」

箒「……」

鷹月「…私は雑誌を貸したり、こうしてお節介をやくことくらいしか出来ないけどね。
   でも、これでも応援はしてるつもりだよ?」

箒「…静寐」

鷹月「ね?」

箒「…ありがとう」

鷹月「いいわよ。ルームメイトじゃない」

鷹月(というか、本当に気持ちの整理をつけてくれないと…同室として私も困るってのもあるけど…)

589: 2012/04/22(日) 22:06:58 ID:FV8IfFjs
~食堂~

一夏「お、2人も今来たのか」

鷹月「こんにちは、織斑くん」

一夏「鷹月さんも箒も浴衣似合うなー」

箒「なッ…///」

鷹月「そ、そうかな…///」

簪「……」ムスッ

一夏「箒は浴衣もいいんだけど、この間神社で見た巫女装束もすごく似合ってて」

ガスッガスッ

一夏「うげ!?」

箒「お、お前という奴は! あの事をほいほい他言するな!」

一夏「いてぇな…殴ることないだろ…ていうか何で簪まで…」

簪「別に…」

鷹月「あ、ははは…(こりゃすぐには無理かなぁ…)」

簪(一夏…私の浴衣姿には何も言ってないくせに…)

590: 2012/04/22(日) 22:11:23 ID:FV8IfFjs
一夏「おー。やっぱ旨そうだな」

鷹月「またここの料理が食べられるとは思ってなかったわ」

一夏「そうだな。そういやセシリアがあの時、正座に慣れてなくて苦労したな」

鷹月「オルコットさんにもお茶目なところあるよね」

一夏「あははは、そうだな」ストン

箒「……」スッ

一夏「ん? 箒、俺の隣か?」

箒「ふ、不服か!?」

一夏「いや、別にそういうわけじゃないけど」

箒「ふ、深い意味などない! ただ、お前の食べ方の指導をしてやろうと思っただけだ!」

一夏「えぇー…何だよそれ…」

鷹月(やれやれ…まぁ一歩前進、ってことにしときますか)

591: 2012/04/22(日) 22:17:15 ID:FV8IfFjs
箒「ほら、姿勢がなってないぞ! 背筋がまた曲がっている!」

一夏「べ、別にいいだろ…」

箒「ダメだ! 食の作法は武の作法にも通じる! 怠ることは許さん!」

一夏「まったく…飯くらい落ち着いて食おうぜ」バクバク

箒「こら! 箸の扱いが雑だぞ! 箸先は、3cmまでしか濡らしてはいかん!」

一夏「こまけぇなー…いいだろ別に」

箒「…行儀の悪い奴はこうだ!」パクッ

一夏「んが!? 俺が楽しみに取っといた刺身を!?」

箒「信賞必罰だ。作法を嗜まないお前が悪い」

一夏「なら俺は…! これをいただく!」ガバッ

箒「甘い!」ガキン!

一夏「ぐ…! 流石は箒…甘くはないか…!」ググググ

箒「生憎だったな…この出汁巻き卵は渡さん!」ギギギギ

鷹月「行儀悪いよ2人とも」パクパク

簪「まったく」モグモグ

592: 2012/04/22(日) 22:21:48 ID:FV8IfFjs
鷹月(…まぁ楽しそうだからいいか)

簪「……」ジィー

鷹月(…この簪って子。さっきからずっと織斑くんの方を見てる…)

簪(一夏のバカ…イチャイチャしちゃって)

一夏「まったく…あれ? ほ、箒! また俺の飯盗ったな!?」

箒「は? 知らんぞ」

一夏「嘘付け! 大事に守っていたエビフライがなくなっているじゃないか!」

箒「知らないうちに食べていたんだろ。濡れ衣など男らしくないぞ」

一夏「白を切るって言うなら…容赦しないぞ!」ババッ

箒「ぬわ!? こら貴様! プリンを取るな!」

簪「……」モグモグ

鷹月(…簪って子の皿の上の海老の尻尾が…2つになってる)

簪「…ふん」

593: 2012/04/22(日) 22:26:33 ID:FV8IfFjs
一夏「はぁ…結局食べ損ねるし、箒には殴られるし、散々だ…」

箒「当たり前だバカ! 私のプリンをよくも!」

一夏「何だよー。お前なんかメインディッシュ2つじゃないか。デザート1個じゃ割りに合わないぜ」

箒「だからエビフライは潔白だと言っているだろうが! それに…女子から甘味を奪うとは貴様!」

一夏「うぉ…な、何で怒ってんだよ…」

鷹月「織斑くん、今のはダメだよ」

一夏「え?」

鷹月「覚えておきなさい。女の子ってのはね。甘いものと綺麗になるためなら、命だって賭けれるんだよ」

簪「…今のは一夏が悪い」ウンウン

一夏「え、えぇー…」

箒「まったくお前は! 反省しろ!!」

一夏「は、はい…(チクショウ…俺だって被害者なのに…)」

594: 2012/04/22(日) 22:30:12 ID:FV8IfFjs
一夏「お、ここって卓球台があるじゃないか。ちょっとやってかないか?」

鷹月「え? 食後なのに? まぁ私はいいけど」

一夏「だってこの後風呂に入るだろ? 風呂前に汗をかく方がいいんじゃないか?」

箒「まだ賛成と言ってないのに話を進めるな」

一夏「っと、そうだな。すまん、箒はパスか?」

箒「…いや、やる。プリンの恨み、この卓で晴らしてやる!」

一夏「お、おう…簪はどうする?」

簪「…皆が、やるなら」

一夏「よし。じゃあ2対2でやるか。ペアは…またじゃんけんでいいか?」


一夏のペアは?

>>595

598: 2012/04/22(日) 22:36:03 ID:FV8IfFjs
鷹月「わ、私!?」

一夏「よろしくな、鷹月さん」

鷹月「う、うん…(うわぁ…どうしよう…篠ノ之さんの背中を押した手前なのに…)」

箒「…まぁそういうわけだからよろしく頼む」

簪「う、うん…」



一夏「じゃあまずは俺からのサーブだ」パコッ

箒「貰った!」バシーン!!

鷹月「きゃぁ!?」ガッ

箒「よし! まずは先制だ!」

一夏「い、いきなりリターンエースかよ…容赦ねぇな」

箒「ふん! 私を敵にまわしたことを後悔するんだな!」ビシッ

鷹月(ラバーに焦げ後が…どんだけ本気なのよ…)

600: 2012/04/22(日) 22:40:33 ID:FV8IfFjs
簪「…えい」パコン

一夏「甘い打球! こいつは貰った!!」バシーン

箒「させるか!」カキーン!

鷹月「ひッ!?(またぁ!?)」

一夏「危ない!!」ガッ

鷹月「え」

カラカラ…

一夏「あー…ネットか。ごめんな鷹月さん」

鷹月「う、ううん…ていうか、ダブルスだと同じ人は2回打っちゃダメなんじゃ?」

一夏「そうなのか? まぁ温泉卓球なんだから公式ルールはいいだろ」

鷹月「そ、そうかもね…あはは…」

601: 2012/04/22(日) 22:43:35 ID:FV8IfFjs
一夏「なるべく俺が打つから、鷹月さんはフォロー頼む」

鷹月「う、うん…」

一夏「俺が守るから、安心してくれ」

鷹月「うッ…///」ドキッ

一夏「? どうかしたか?」

鷹月「べ、別に…」

一夏「?」

鷹月(な、なるほど…皆こうやって織斑くんに…)

箒「……更識簪。私が前に出るから援護してくれ」

簪「…了解。全力で手を貸す」

箒「潰すぞ」

簪「うん」

鷹月(あ、ははは…2人の背後から暗雲が…)

602: 2012/04/22(日) 22:47:58 ID:FV8IfFjs
箒「はぁ!!」バコーン!!

一夏「うぉ!?」ガッ

簪「ふん!!」バシーン!

一夏「ひぃ!?」パコン

箒「おらおらおらおらおらぁ!!」ガキーン!!

一夏「ちょ、ま、何で2人して俺を狙い打っているんだ!?」

箒「戦略だ!!」

簪「共闘戦線!」

鷹月(…何だかすごく暇になっちゃった)

一夏「い、意味がわから……あ」ガッ

箒「甘いわ! 喰らえ!!」バガッッッ


ベチコーン!!


一夏「がは!?」ドサッ

鷹月「も、もろ顔面に!? 大丈夫、織斑くん!」

603: 2012/04/22(日) 22:52:47 ID:FV8IfFjs
一夏「いててて…眉間に入った…」

箒「ふん…鉛玉や矢でなくて良かったな」

鷹月「まったく…大丈夫、織斑くん?」

一夏「だ、だいじょう……いぃ!?」

鷹月「?」

一夏(た、鷹月さんの浴衣がはだけてる!?)

一夏「た、鷹月さん! 水色、水色!」

鷹月「水色? いったい何の……」

鷹月「!!」バババッ

箒「」ピクッ

簪「」ピキッ

604: 2012/04/22(日) 22:56:29 ID:FV8IfFjs
鷹月「おおおおおおお織斑くん! 見たの!?」

一夏「い、いや、その…ほんの、ちょっとしか…」プイッ

鷹月「きゃぁぁぁぁぁ///!」

箒「いちかぁぁ…きさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ゴゴゴゴゴ

一夏「いいいいいいいいやいやいやいや待て待て!! これは不可抗力で!!」

箒「問答無用だ! そこに直れ!!」ブンッ

一夏「うわ待て待て待て待て!! ラケットを振りかぶるな!! 本当に洒落にならないから!」

簪「……」

一夏「か、簪! 見てないで止めてくれ!!」

簪「…変O」スッ

一夏「え、ちょ、あの、何で簪までラケットを振りかぶってんですか…?」

箒「天誅!!」

簪「成敗!」

一夏「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??」


バガスバガスッ

613: 2012/04/27(金) 21:55:30 ID:CYeMkxFo
―――――――――
―――――
―――

~女湯~

カポーン…

箒「まったく一夏め…! あそこまで不埒だとは思わなかったぞ!」

簪「同感…!」

鷹月「あぁもう…だから2人とも。あれは事故だって言ってるじゃない」

箒「腹づもりがなかろうとあろうと結果は同じだ! 女の下着姿に欲情しおって!」

簪「…!」コクコク

鷹月「よ、欲情って…はぁ…。じゃあ何? 自分の裸で欲情して欲しかったとか?」

箒「ばばばばばばばばばばばばばばバカな事いうな!!
  そのような邪な感情を抱かれたら、問答無用で穿千をお見舞いしてくれるわ!」

614: 2012/04/27(金) 22:03:11 ID:CYeMkxFo
簪(……)

鷹月「あんたねぇ…そうやってISやら竹刀を振り回さない方がいいわよ?」

箒「知らん! 腐りきった性根を叩きなおしてやるのも幼馴染の務めだ!」プカプカ

簪(浮いてる…)

簪「……」ジッ↓

簪「……ぐすっ」

鷹月「…?」

615: 2012/04/27(金) 22:08:11 ID:CYeMkxFo
※何かもう鷹月さんが『篠ノ之さん』って言うの違和感ありまくりだから変更
鷹月「…前々から思ってたけどさ」

箒「ん?」

鷹月「織斑くんってよく箒に愛想尽かさないわよね」

箒「なッ…!?」

鷹月「だってそうでしょ? 事あるごとに竹刀やら木刀やらで暴力振るわれてるのに。
   それで次の日くらいになると何事もケロッとしてるんだもん」

箒「ま、まぁな! 私は一夏のことはよく知ってる! 一夏はそんなことくらいでは私を嫌いになったりはしない!」

鷹月「…織斑くんって今更言う必要ないくらい鈍感だけど、それが上手い具合に好転しているのがそれよね」

箒「は?」

鷹月「要するに。幼馴染という立場と鈍感という織斑くんの性格を知っているから、
   箒はそんなことも出来るってことだよね?」

箒「ま、まぁ…そう、なるのか…?」

鷹月「…逆に言うとね。今のままじゃ、絶対に箒と織斑くんの仲は進展しないと思うよ」

箒「え…?」

616: 2012/04/27(金) 22:14:00 ID:CYeMkxFo
鷹月「裏を返すと箒の言い方は、織斑くんと幼馴染であることに胡坐をかいていることになるからね」

箒「わ、私は…そんな、つもりは…」

鷹月「だって織斑くんのこと、信じてるからそういうことが出来るんでしょ?
   まさか愛情表現の一種として殴ってるわけじゃあるまいし」

箒「そ、そんなわけない! 私だって好きで暴力を振るいたいわけではない! ただ、あいつが不甲斐ないから…」

鷹月「だからってすぐ殴るようなことでもないでしょ? さっきも言ったけど、あれは事故だったんだよ?
   織斑くんはとんだトバッチリなのに、何で全部織斑くんが悪い言い方するの?」

箒「な、何だ静寐…。お前は、あいつの味方なのか?」

鷹月「味方か敵とかそういう問題じゃない。あくまでモラルの問題よ、これは。
   諭すにしても、もっとやり方ってものがあるでしょう」

箒「ぐっ…」

簪「う…」

617: 2012/04/27(金) 22:18:14 ID:CYeMkxFo
鷹月「…箒が織斑くんのことをどう思ってるかくらい、私にだって分かる。
   でも今の箒や更識さんは、見ていて不安だよ」

鷹月「今は幼馴染や友達同士のじゃれ合いで済んでいるからいいけど、織斑くんだって人間だよ?
   いくら鈍感とはいえ、絶対に我慢の限度ってものがあると思う」

箒「……」

簪「……」

鷹月「…友達でも幼馴染でもいたくないなら、まずはその関係性を壊すことから始めなきゃ。
   そして、その関係でいたくないならまずは自分を変えることが大事だと思う」

箒「自分を…」

簪「変える…」

鷹月「男は黙って女に従順するなんて女尊男卑の精神、織斑くんには通じない。
   なら古風に、女を磨いて振り向かせる他ないじゃない」

鷹月「だからすぐに暴力に訴えるのはNG。分かった?」

箒「お、おう…」

鷹月「返事は?」

箒「は、はい…(なんかルームメイトが怖い…)」

簪「はい…」

618: 2012/04/27(金) 22:24:56 ID:CYeMkxFo
箒「し、しかし…そう言われても、どうすればいいんだか…」

鷹月「焦る必要なんてないのよ。まずは身近なところから変えてけばいいの」

箒「わ、分かった…なるべく、善処してみる」

鷹月「うん。頑張って」

箒「すまない静寐…また世話をかけた」

鷹月「いいのよ」

簪「…ねぇ」

箒「ん? 私か?」

簪「やっぱり…篠ノ之さんも、一夏のこと、好き、なの…?」

箒「なッ…!?」

簪「……」

619: 2012/04/27(金) 22:27:34 ID:CYeMkxFo
箒「……」

簪「……」

箒「…お前はどうなんだ。更識簪」

簪「わ、私は…」

箒「……」

簪「…一夏のこと、好き。大好き」

箒「…そうか」

簪「…///」

箒「私もだ」

簪「…!」

鷹月(あ、あれ…? これってもしかして地味に修羅場?)

620: 2012/04/27(金) 22:35:42 ID:CYeMkxFo
箒「…私だって一夏が好きだ。小学校の頃からずっと、あいつを想っていた」

簪「…そう」

箒「今やセシリアたちや生徒会長やらお前まで恋敵が増えてしまったが…。
  だが、一夏への想いは誰にだって負けない自信がある」

簪「…年月なんて、関係ない」

箒「ふふふっ。そうは言うけどな。私はあいつがいつまで寝小便をしていたかも知っている。
  私と一夏はそれくらい旧知の仲だ」

簪「わ、私なんか…! 両親に、挨拶を済ませた…!」

箒「ははは。そう言えばそうだったな」

箒「…想ってきた年月なんて些細な問題かもしれない。
  だが、私は誰よりも一夏を理解しているつもりだ」

箒「だから一夏も私を理解してくれているはずだ。今は届いてないが…いつか絶対に振り向かせる」

簪「…私だって負けない。相手がお姉ちゃんでも、幼馴染でも、絶対に一夏を諦めない」

箒「……」

簪「……」

鷹月(温泉に浸かっているはずなのに…すごく肌寒いんですけど…)

621: 2012/04/27(金) 22:41:12 ID:CYeMkxFo
鷹月「ね、ねぇ2人とも!」

箒「?」

簪「?」

鷹月「え、ええと…その、さ! 2人の気持ちはよく分かったけど…
   でも、だからと言っていがみ合う必要なんてないんじゃないかな!?」

箒「……」

鷹月「せせせ折角こうして、女子が3人水入らずなんだし、もっと親睦を深めあおうよ!」

簪「……」

箒「…そうだな。まぁ一夏のことは置いといて、お前とはちゃんと話したかったからな」

簪「え…?」

箒「ゴーレムⅢのとき、お前の活躍がなければ私も危うかったからな。
  だから今更だが、礼を言いたかった」

簪「あ、あれは…お姉ちゃんと、篠ノ之さんと、一夏が頑張ってくれたからだし…」

箒「だからこそだ。私たちは一度、共に氏線を潜り抜けた仲だ」

簪「あ…」

箒「共に背を預けあい、助け合ったなら、それは立派な仲間だからな」

622: 2012/04/27(金) 22:44:15 ID:CYeMkxFo
簪「……」

箒「こ、こんな格好で言うことではないかもしれないが…これからも、よろしく頼むぞ」スッ

簪「…一夏のことは、負けないけど」

箒「その言葉はそっくり返すが…それはそれ、これはこれだ」

簪「……」スッ

ギュッ

箒「改めて、篠ノ之箒だ」

簪「更識、簪、です…よろしく、篠ノ之さん」

箒「改まる必要などない。名前で呼び合わないか?」

簪「あ、うん…よ、よろ、しく…箒」

箒「ああ。こちらこそよろしく頼む、簪」

鷹月(ほっ…。何とか穏便に済んで良かったわ…)

鷹月(それにしても…あの箒が、自分から友達を作ろうとするなんてね)

鷹月(…ちゃんと変われてるとこもあるじゃない。口を出すまでも無かったかな)

623: 2012/04/27(金) 22:48:21 ID:CYeMkxFo
箒「何か好きなものでもあるか?」

簪「え、ええと…抹茶が好き。マフィンも、作るし」

箒「おぉそれはいいな! 私も日本茶が好きなんだ!
  今度いい店を紹介するぞ! 宇治のを使った特級品でな! 茶菓子も絶品なんだ!」

簪「い、行きたい!」パァァ

箒「よしっ、今度の休みに行こう! 空いているか?」

簪「うん! 行く!」

鷹月(新たな友情が芽生える瞬間…いいわねぇ…)ウンウン

―――――――――
―――――
―――

624: 2012/04/27(金) 22:51:42 ID:CYeMkxFo
~生徒会室~

楯無「いやーいいねー! これぞ青春! って感じがするね!」

楯無「箒ちゃん…本当にいい娘だね…こんな後輩持てて、お姉さんは嬉しいわぁ…」グスッ

楯無「しかし未成年向けとは言え、モザイクかけるなんて惜しいことしたわぁ…。
   同席してる簪ちゃんが羨ましいわ。箒ちゃん、なんてナイスバディなの…」ジュルリ

楯無「……」

楯無「…簪ちゃん。友達できて…良かったわ」

楯無「ありがとう、箒ちゃん。姉の私からも、妹を宜しくお願いするわ」

625: 2012/04/27(金) 22:55:28 ID:CYeMkxFo
楯無「さてさて…まぁ姉妹の私情は置いておいて…生徒会会長としての職務を真っ当しますか!」

楯無「現在、一夏くんはダウン中。女子と入れ替わりで温泉に入る模様」

楯無「勿論この旅館の温泉は男女で別れていますが…」

楯無「…さてさて。聡明な諸君らは、私がしたいこと分かるわよね?」


楯無「そう! これぞ定番中の定番の温泉旅行のメインイベント! 
   『ドキドキ混浴会~きゃっ/// 何でアンタがここにいるのよ!~』を決行します!!」バーン


楯無「ふふふ…。これから起こる出来事には露知らずで乙女トークを咲かせてるところ悪いけど…。
   このまま行っても盛り上がりに欠けるからね! だからここでテコ入れさせてもらうわよ!」

楯無「さてさて…流石に3人か2人と鉢合わせるのはまずいわね…発覚も早くなりそうだし」

楯無「というわけで…ここにいる3人の内、誰かは一夏くんとドキドキ展開を繰り広げてもらいます!」

楯無「さぁ、撮影班の方! 脱衣所から、誰かの衣服一式をかっぱらっちゃってください!!」


誰の下着と浴衣がなくなった?
>>626

627: 2012/04/27(金) 23:03:03 ID:CYeMkxFo
~脱衣所~

撮影班「あいあいさー!」

撮影班「しかしとは言ったものの…誰が誰のかなんて分からないわよね…」

撮影班「あ…これは鷹月さんのね。水色だし…」

撮影班「…織斑くん、こういうのがいいのかしら。なら、私だって…」

キャッキャウフフ

撮影班「はッ!? あまりのんびりしてられないわ! 早く済ませなきゃ!」

撮影班「ええい、これでいいや!」ガババッ

―――――――――
―――――
―――

撮影班「…これ、篠ノ之さんのだ…てか何よこのブラのサイズ…こんなのってないわよ」グスン

撮影班「っとっとっと…。私怨はこのくらいで、仕事、仕事、と」

『男湯』『女湯』

『女湯』『男湯』

撮影班「これでよし、と」

628: 2012/04/27(金) 23:07:56 ID:CYeMkxFo
~女湯~

箒「な、ない!?」

鷹月「箒、どうしたの?」

箒「なくなってる! 私の下着も服も!」

鷹月「えぇ!?」

簪「ま、まさか、盗まれた…!? さ、財布は!?」

箒「いや…ISなどの貴重品は、個室の金庫に入れているから問題ないが…」

鷹月「きっと誰かが間違えて持ってっちゃったか、回収しちゃったのね。
   私たちの他にも、入れ替わりで出てっちゃった人がいたし」

箒「どどどどどどうすれば!?」

鷹月「落ち着きなさい。取りあえず、フロントに訊いてきてあげるから。
   箒は湯冷めするのもあれだし、もう一回入っちゃえば?」

箒「す、すまない…そうさせてもらおう。本当に世話をかける」

鷹月「いいっていいって」

簪「私は…そろそろ、一夏を呼びに行ってくる」
―――――――――
―――――
―――

629: 2012/04/27(金) 23:12:11 ID:CYeMkxFo
~一夏と簪の個室~

一夏「はぁ…だいぶ腫れも引いてきたかな」←氷袋で患部を冷却中

ガララッ

簪「一夏…あがったよ」

一夏「おぉそうか。じゃあ俺も入ってこようかな」ノソッ

簪「…瘤、平気?」

一夏「まぁこれくらい、いつものことだよ」

簪「…あの」

一夏「ん?」

簪「ごめん、ね…?」

一夏「え? あぁ、別にいいよ」

630: 2012/04/27(金) 23:15:12 ID:CYeMkxFo
簪「怒って、ない…?」

一夏「怒るっているというか何と言うか…まぁいつのものことだし」

簪「…ごめん」

一夏「ど、どうしたんだよ。気にしてないって」

簪「事故だったのに…ごめんね」

一夏「ま、まぁ…分かってくれたならいいけど」

簪「これからは、気をつけるから…」

一夏「あ、ああ。反省してくれてるなら別にいいよ」

簪「うん…」

一夏(しかしこういう場合…俺が泣き寝入りするのがお決まりだったんだが…何かあったのか?)

一夏(…ま、いいか。それよりも久しぶりの温泉だ。ゆっくり浸かってこよう)

―――――――――
―――――
―――

631: 2012/04/27(金) 23:17:44 ID:CYeMkxFo
~男湯(女湯)~

一夏「おぉー。客は俺1人か。こりゃゆっくり入れるな」

一夏「まぁ今はシーズンオフだしなぁ。こんないい旅館なのに、勿体無い」

一夏「弾の奴にも教えてやるとするか。今度あいつらと銭湯でも行こうかな」

一夏「さてさて。まぁそれはそれとして…お邪魔しまー」ガララッ


箒「なッ…!?」


一夏「え」

632: 2012/04/27(金) 23:22:23 ID:CYeMkxFo
箒「」バイーン

一夏「ほ、箒!?なんでここに!? ここここここここ、男…」

一夏(ていうかやべぇ…! 箒の裸、モロに見ちまった!)

箒「…こ」プルプル

一夏「え」

箒「この戯けがああああああああああああああああああああああああ!!!」ガッ

一夏「ひぃぃぃぃ!?(ヤバイ! 桶を投げられる!?)」ババッ

箒「…///」

一夏(あ、あれ…桶が飛んでこない…?)

箒「…し」

一夏「し、し?」

箒「早く閉めろ! ジロジロ見るな!!」

一夏「は、はぃぃぃ!」ガララッピシャッ

633: 2012/04/27(金) 23:25:36 ID:CYeMkxFo
箒「……」

ツカツカ

箒「……」ザブン

箒「い、一夏に…」

箒「見られて…しまった…」

箒「~~~~~~///」ブクブク

―――――――――
―――――
―――

一夏「はぁ…はぁ…はぁ…危なかった…絶対に殴られるか殺されるかと思った」

一夏「しかし箒が…大人しくしてるなんて珍しいこともあるもんだ…どんな心境の変化だ?」

一夏(し、しかし箒…久しぶりに見たけど、小さい頃とは全然違…///)

一夏「いや待て待て待て! 何で箒が男湯にいるんだ!? ちゃんと入る時に確認したのに!」


「箒ー? いるー?」


一夏「!?」

634: 2012/04/27(金) 23:29:13 ID:CYeMkxFo
一夏「ままままままままずい! 誰か来たのか!? この声は、鷹月さん!?」

一夏「やばい…! 脱衣所には隠れるところなんてない!」

一夏「…かくなる上は!」


ガララッ


箒「い、一夏!?」

一夏「すまん箒! 匿ってくれ!!」

箒「バババババババ莫迦者!! 堂々と覗きにくる奴があるか!!」

一夏「覗きとかそんな趣味は毛頭ねぇよ! 何でだか知らんが、男湯にお前がいたんだ!」

箒「はぁ!? そんなわけあるか!」


「箒ー? まだ入ってるのー?」


箒「し、静寐!?」

635: 2012/04/27(金) 23:34:23 ID:CYeMkxFo
一夏「話はあとだ! とにかく匿わせてくれないと、俺が社会的に氏ぬ!」

箒「だ、だからといって…」

一夏「頼む箒! お前だけが頼りなんだ!」

箒「…!」


「箒ー? 大丈夫ー? そこに誰かいるのー?」


箒「わ、分かった! とにかくお前は、湯の中でじっとしてろ!」

一夏「あ、ああ! 助かるぜ、箒!!」ザブン

箒「うぷ!? い、いきなり入るなこの莫迦!!」

鷹月「誰が莫迦だって?」

箒「うわぁ!? い、いきなり驚かせるな!!」

鷹月「いやだって…いきなり大きな水音がしたから…転んだかと思ったじゃない」

箒「そ、そうかすまん! ちょうど、シンクロナイズドスイミングの練習をしていたもんでな! はっはっは!」

鷹月「?」

一夏(あ、危ねぇ…風呂の湯が乳白色じゃなかったら一発でアウトだった…)

639: 2012/04/28(土) 20:09:32 ID:/lDRzvEk
箒「そ、それよりどうだ!? 私の服は見つかったか!?」

鷹月「うーん…フロントに訊いてみたんだけど、見つけてもいないし届けられてもいないって」

箒「そ、そうか…」

鷹月「だから新しい浴衣とバスタオルを貰ってきたわ。箒の持ち物も盗まれたのもは下着だけみたいだし、
   明日朝市で売店に買いに行きましょう。今日は下着無しで寝てもらうことになるけど、我慢してね」

箒「わ、分かった…仕方ないな」

鷹月「許さないわねぇ…。旅館の人達は、場合によっては警察呼ぶって言ってるわ」

箒「そ、それは困る! 私物を盗まれたばかりか、はしたない格好で寝ていたなんて知られたくない!」

鷹月「…まぁ箒がそれでいいならいいけど」


一夏(ま、まずい…お湯の中で息を止めているのって…予想以上にきついぞ…)フガフガ

640: 2012/04/28(土) 20:13:30 ID:/lDRzvEk
鷹月「そういえばさ。何だか女湯の暖簾、逆になってたんだけど」

箒「な、何!? それは本当か!?」

鷹月「ええ。おかしいと思って旅館の人にはもう言っておいたから、多分そろそろ直っているわ。
   で、誰か男の人とか入ってきてない?」

箒「ふぇ!? いいいいいいいや知らんぞ! 誰も入ってきてないぞ、うん!」ブンブン

鷹月「?」


一夏(ぐ…やばい! そろそろ、息が…! 岩陰に移動して、こっそり呼吸しよう…)モゾモゾ

モニュッ

箒「きゃぁ!? い、いきなり何すんだ!!」ドゲシッ

一夏(ぶほぉ!?)ブブブッ

鷹月「!?」

642: 2012/04/28(土) 20:18:11 ID:/lDRzvEk
鷹月「ほ、箒…? どうかしたの?」

箒「へ…? いいいいいいいや! 何でもないぞ! いきなり背筋に水が垂れてきたから、ビックリしただけだ!」

鷹月「露天風呂なのに水が垂れてきたの? 天気だって晴れなのに…って、あら?」


ブクブク…


箒「あ…」

鷹月「ほ、箒…それ…」

箒「うわぁ! み、見るなぁ!! これは、違うんだぁ!!」

鷹月「な、何言って……あ」

鷹月「あー…そういうことか…」

箒「え?」

鷹月「分かったわ。今のは黙っておいてあげるから。箒ものぼせない程度に早くあがってきてね」ソソクサ

箒「え…あ、あぁ…うん」

鷹月(まったくはしたないわね…お風呂で…《ゴニョゴニョ》なんて…。ま、まぁ女の子といえど、しょうがないけど…)

644: 2012/04/28(土) 20:25:14 ID:/lDRzvEk
箒「……」

箒「…行ったぞ」

ザッパーン

一夏「ぶはぁ! はぁ、はぁ、はぁ…! お、お湯、少し飲んじまった…はぁ、はぁ…」

箒「このバカ者! いきなり股座を触るな! 変な声が出てしまったではないか!」

一夏「し、仕方ないだろ! このお湯の中じゃ、全然分からないんだよ!」

箒「まったくお前は! 女湯に忍び込むばかりでは飽き足らないのかこの女こましめ!」

一夏「だから違うんだって! お前が男湯に入っていたからビックリしたんだよ!」

箒「お前はまだ…あ、そういえば静寐も似たようなことを言っていたぞ…?」

一夏「だろ!? 俺は無実だよ!」

箒「そ、そうか…って、こっち見るな!!」ガバッ

一夏「ひぃ!? ご、ごめん!」ササッ

箒「…///」プルプル

一夏(あ、あれ…? また、殴ってこないぞ?)

箒(くぅ…堪えろ…堪えろ、篠ノ之箒…! ここで変わらなければ…私は一生後悔する…!)

645: 2012/04/28(土) 20:32:00 ID:/lDRzvEk
一夏「え、ええと…」

箒「…///」

一夏「ほ、箒…? 怒って、ないのか?」

箒「怒っているわバカ!!」

一夏「ひぃ!?」

箒「ただ…どうやらこれはお前には責はないようだから…責める様な真似などできん。それだけだ!」

一夏「そ、そうか…」

箒「だ、だからといって私の裸を見られた辱めは許したわけではないからな!」

一夏「わーったよ。まったく…道場の外じゃ素っ裸で水浴びしたこともあったじゃないか」

箒「いつの話だいつの! それに裸だったのは貴様だけだろう!」

一夏「あははは。そうだったっけか」

646: 2012/04/28(土) 20:38:28 ID:/lDRzvEk
箒「ま、まったく! とにかく私はもう出るぞ!」ザパッ

一夏「あ、あぁ…うん」

箒「やれや…(はッ!? し、しまった! こんな手ぬぐい1つでは、裸を隠し切れない!!)」

箒「いいいいいいいいい一夏! やっぱり、お前が先に出ろ!」

一夏「はぁ!? 何でだよ!」

箒「私が先に出るとお前に私の裸を見られるだろうが! 私はお前が出て行ったのを確認してから出る!」

一夏「な、何言ってんだよ! そんなことしねぇよ!
   それに、俺が先に出たら脱衣所で誰かに鉢合わせるかもしれないだろ!?」

箒「ぬ…そ、それは困るな…幼馴染を性犯罪者にするわけにもいかないし…」

一夏「あ、あぁ…そうしてくれると助かる」

箒「…///」

一夏「と、とにかく俺は体を洗ってくるよ」

箒「わ、分かった…」

一夏「…こっち、見るなよ?」

箒「みみみみみみみみみみ見るかバカ!!」

647: 2012/04/28(土) 20:44:13 ID:/lDRzvEk
カポーン

一夏「はぁ…いい湯だなぁ…」

箒「まったく。親父臭いぞ」

一夏「いいじゃねぇか。久しぶりの温泉だ」

箒「やれやれ…」

一夏「そういや、お前と風呂に入るのって久しぶりだよな」

箒「なッ!?」

一夏「ほら、小学校の時にさ。夏場とかお前の道場の風呂とか借りて、一緒に入った時とかあったよな」

箒「ああああああああれは雪子叔母さんに半ば無理やり…ていうか、今になってその話を出すな!」

一夏「お、おいおい…顔が赤いぞお前。のぼせているんじゃないか?」

箒「煩いこのバカ!」ザパッ

一夏「うわ!?」ササッ

箒「……」フルフル

一夏「あ、あれ…? また?」

箒(ぐ…止めているとはいえ、やはり反射的に手をあげてしまう…まだまだ修行が足りない…!)

648: 2012/04/28(土) 20:52:30 ID:/lDRzvEk
一夏「な、なぁ箒」

箒「なんだ一夏」

一夏「お前…どこか具合が悪いのか?」

箒「はぁ!?」

一夏「いやだって…いつもならこういう時、真っ先に叩いたり殴ったりするもんだからさ」

箒「私を何だと思ってる!? 暴漢か何かと勘違いしているのか!?」

一夏「そういうわけじゃないけど…まぁ、お前らしくないかな、って」

箒「私だって好んでお前を叩いているわけではない! お前が助平だからだ!」

一夏「お前こそ普段俺をどういう風に見てるんだよ…」

箒「事実を言ったまでだ! 好きあらば女子と破廉恥なことばかりしおって!」

一夏「いつそんなことしたんだよ!?」

箒「た、例えば…シャルロットと裸で風呂に入っていた時とか…山田先生の、その…胸を…」

一夏「いや、それらは全部事故だぞ!? 第一、俺がいつ自分からそんなことしたんだよ!」

箒「そ、それは…」

649: 2012/04/28(土) 20:54:40 ID:/lDRzvEk
箒「そ、そういえば…お前が自発的にそのような行為に臨んでいたことなど…なかったかもしれないな」

一夏「だろ!?」

箒(いつも頭に先に血が上っていたから…気がつかなかった)

箒「す、すまん一夏…」

一夏「え?」

箒「わ、私はそうとは知らずに…お前に色々とひどいことを…」

一夏「い、いや…別に気にしてないけどさ」

箒「ほ、本当か?」

一夏「まぁな。箒って真面目だけど、昔からそそっかしいからな」

箒「ぐッ…!」

一夏「でもまぁ俺も俺で色々と抜けてるところがあるからな。お前に諭されたり、正されたりするのは嫌いじゃないよ」

箒「え…?」

一夏「昔からお前や千冬姉には叱られてたからなぁ。だからお前が何だか大人しいのは、少し寂しいっていうかさ」

箒「一夏…」

650: 2012/04/28(土) 20:58:14 ID:/lDRzvEk
箒「ま、まったく! 叱咤されることを望んでいるなんて、お前はとんだ変Oだな!」

一夏「何だよそれ…別に怒られたい願望なんかねぇよ…」

箒「…まぁ、私は特に変わる気はないさ。ただ、これからお前を正す時は、
  しっかりと事実を見極めてからにしようと思っただけだ」

一夏「そっか。そうしてくれると助かるな。毎回お前に殴られるのはかなわないからな」

箒「お前…厳しくされたいのかされたくないのか、一体どっちなんだ」

一夏「あははは。まぁお前はお前らしくしてくれていいんじゃないか? 俺もその方がいい」

箒「…そうか?」

一夏「何年の付き合いだと思ってんだよ。お前の事、結構分かってるつもりだぜ?」

箒「…そうだな。ただ、やはり私ももう少し自制はするように心掛けてみることにするよ」

一夏「ああ、そうだな。それで、俺が道を外れそうになったら、遠慮なく引っ張っていてくれよ」

箒「まったく。やはりお前は私がいないとダメだな」

一夏「何だそれ。ぷっ…あはははははははは!」

箒「ふふふふふふ…はははははははは!」

―――――――――
―――――
―――

651: 2012/04/28(土) 21:03:02 ID:/lDRzvEk
~脱衣所~

箒「……」キョロキョロ

ガララッ

箒「一夏、今なら大丈夫だ。抜けられるぞ」

一夏「そ、そうか。じゃあお前は廊下に出て、ちょっと見張っててくれ。俺は風呂から出て着替えてくるから」

箒「わ、分かった…」ガララッ…ピシャッ

箒(…本当に見られてないだろうな? 一夏はずっと向こう見ていると言ってはいたが…)スタスタ

箒(ま、まぁ一夏なら…私の裸を見られても…別に…)

箒(なななななななななな何考えているだ私は!? そんな変Oじみたことを――)

箒(うぅ…///)カァァ…

―――――――――
―――――
―――
~一夏と簪の部屋~

一夏「はぁ…やっと部屋に帰ってこれたぜ…あれ、簪は…」

※簪は? 1.起きてる2.寝てる3.部屋にいない
>>652

653: 2012/04/28(土) 21:38:02 ID:/lDRzvEk
簪「あ…」

一夏「簪、起きてたのか。もう遅いのに」

簪「う、うん…心配、だったから」

一夏「そっか。何か悪いな」

簪「…お」

一夏「ん?」

簪「おかえり、なさい、一夏…」

一夏「あ、ああ。ただいま、簪」

簪「…///」

一夏「?」

654: 2012/04/28(土) 21:41:49 ID:/lDRzvEk
簪「…なんで、遅かったの? 探したよ?」

一夏「え? わ、悪い…俺、長風呂だからさ…ははは…」

簪「…そっか」

一夏「あ、ああ」

簪「……え、えっと」

一夏「ん?」

簪「もう、寝る?」

一夏「あ、ああそうだな。明日も朝早いし、もう寝ようか」

簪「そ、そう…///」

一夏(? 何で顔が赤くなっているだろう?)

一夏「って、布団が綺麗に横に並べられている…」

簪「~~~~~~///」プシュゥゥ…

655: 2012/04/28(土) 21:46:27 ID:/lDRzvEk
一夏「ま、まぁ男子と同室でゴメンな。俺は壁の方に寄って寝るから」

簪「え…」

一夏「やれやれ…多分この部屋決めは多分楯無さんの差し金だろうけど、あの人も何考えてんだか…」イソイソ

簪「い、一夏!」

一夏「ん?」

簪「そ、その…! 離れること、ないんじゃない?」

一夏「え?」

簪「え、ええと…その…」

一夏「だ、だっていいのか? 布団くっつけて寝るんだぞ?」

簪「わ、私は、別に、その…あぅ…///」

一夏「?」

簪「さ、作法! 折角部屋の中央に並べてくれたから、崩しちゃ、失礼! 旅館の人に!」

一夏「え? そういうもんか?」

簪「……」コクコク

簪(自分で言ってて苦しい言い訳だけど…でも、誰にも負けたくないって決めたから…!)

656: 2012/04/28(土) 21:49:45 ID:/lDRzvEk
一夏「…まぁ簪がいいならいいけどな」

簪「う、うん…」

一夏「じゃあ寝るか。電気、消すぞ?」パチッ

簪「あ…」

一夏「おやすみ、簪」

簪「お、お休み…一夏」

―――――――――
―――――
―――

~30分後~

簪「……」

一夏「……」

簪(ね、眠れない…)ドキドキ

一夏(やべぇ…何か、近くに女の子が寝てるってだけで…すげぇ緊張してる…)バクバク

657: 2012/04/28(土) 21:52:36 ID:/lDRzvEk
一夏「…簪?」

簪「な、何…? 一夏」ビクッ

一夏「…お前も眠れないのか?」

簪「一夏も?」

一夏「ああ。何か、興奮しちまってさ。完全に修学旅行のテンションみたいなもんだな」

簪「…そっか」

一夏「ははは。そういや林間学校でも1人部屋だったからな。誰かと一緒に寝たのなんて久しぶりだ」

簪「そ、そっか…」

一夏「寝付けないし、何か話すか?」

簪「…うん!」

一夏「うーん。といっても、何を話せばいいやら」

簪「そ、そうだね…」

658: 2012/04/28(土) 21:58:27 ID:/lDRzvEk
簪(…そういえば、箒は一夏の小さい時の頃を知ってたんだよね)

簪「…一夏の、小さかった時の話とか、訊きたいな」

一夏「俺の? そんなんでいいのか?」

簪「うん」

一夏「そうだなぁ。小さかった頃って言ってもな。俺は物心ついたときから親の顔を知らなくて、
   俺にとっては千冬姉が親みたいなもんだったしなぁ」

一夏「千冬姉の勧めで剣道始めて、箒と出会って別れて、中学校では鈴とか、友達とバカ騒ぎした記憶くらいしかないし」

一夏「まぁ高校に行ってからは、お前の知るところだよ」

簪「…そっか」

一夏「…なんか、ゴメンな」

簪「え…?」

一夏「ほら、俺が急にIS動かしたもんだからさ。お前のISの開発が先延ばしにされた事あったじゃないか」

簪「あ、あれは…もう、いいよ」

一夏「いいのか?」

簪「うん…。あれがあったから、私は努力できた」

一夏「…そっか」

659: 2012/04/28(土) 22:03:33 ID:/lDRzvEk
簪「…一夏はさ」

一夏「ん?」

簪「…楽しい?」

一夏「は?」

簪「学校」

一夏「学校? そりゃあ、楽しいさ」

簪「…そう」

一夏「どうしてそんなこと、訊くんだ?」

簪「深い意味は、ない…。ただ、男の子にとっては、環境が特殊すぎる、と思ったから…」

一夏「あはははは。まぁ確かに最初は苦労したよ」

簪「…嫌にならない?」

一夏「何が?」

簪「え、ええと…女の人が、いっぱいで…男の人にとっては、あまり良い思いはしない、かなって…」

一夏「んー。そういうもんはないかな。何だかんだで皆優しいから、そういうのは特にないよ。
   そういや俺がチヤホヤされてるのは、俺が国家保護受けるくらい特殊な奴だからって俺の親友に言われたっけか」

簪「……」

660: 2012/04/28(土) 22:10:07 ID:/lDRzvEk
簪「…一夏って、すごいね」

一夏「ん?」

簪「男でIS動かせるのに…それをひけらかしたりしない、から」

一夏「そうか? 別に自慢するようなもんでもないと思うけどな」

簪「そんなこと、ない。実際、女尊男卑が酷すぎて、男性の集団のデモ抗議なんか、世界中で起きてるから」

一夏「そういやそういうの、ニュースでよく見るな」

簪「だから普通は、男の人がISを持ったら、すごく危険だと思った」

簪「…でも、一夏だったら全然大丈夫。同じ男なのに、何でだろう。一夏がISを持っても、すごく安心する」

一夏「あははは。まぁ確かに男だと割りに合わない世の中だけどさ。俺は別に気にしてないよ。
   その世の中でたまたまISを動かせるからって、どうこうしようなんて思わない」

簪「……」

一夏「俺は世の中に抵抗するなんて大それた真似…柄じゃねぇしな。
   折角の力なら、身近な誰かを守るために使いたい。俺はただ、そう思ってるだけだよ」

簪「…そっか」

661: 2012/04/28(土) 22:15:59 ID:/lDRzvEk
一夏「はははは。まぁ本当はそんな大したことじゃなくてさ。最初は慣れなかった学園も、幼馴染の箒と再会したり、
   新たな友達も出来たりとすごく充実してる」

一夏「だから俺はそいつらと同じ青春を送りたいと思うし…それが壊されそうになったら精一杯抗いたい。
   ただ、そう思ってるのかもしれないな」

簪「……」

一夏「…守りたいって難しいよな。俺は家族も友達も、守りたいって思ってるけど…。
   でも、そう考えると、結局は自己満足を守るためにやっているんじゃないかって思えてくるよ」

一夏「結局俺は…自分のためだけに、力を振るいたいのかな…。何か、分かんなくなってきた」

簪「…それで、いいと思うよ?」

一夏「え?」

簪「誰だって…自分が可愛いもの」

一夏「簪…」

簪「私だって…そうだったから」

一夏「……」

662: 2012/04/28(土) 22:23:41 ID:/lDRzvEk
簪「私もね…自分のためだけに、必氏に頑張ってきたから」

簪「お姉ちゃんのこと、今では好きだけど…でも、元々は私のことを気遣ってくれていた、
  というよりは、私との関係が鬱々としていたもので、それが耐えられなかったから、だとも思う」

一夏「簪…本当に楯無さんは、お前を気遣って」

簪「分かってる。これは、見方の問題。あのね一夏。きっと誰かが行動を起こす時って、
  多かれ少なかれ、自分に益が出ることを吟味する、と思うの」

一夏「それって…何か、悲しくないか? 打算的みたいでさ」

簪「そうは思わない。打算でも何でも、行動の結果で救われる人がいるなら、私はそれでいいと思う」

簪「完全な人はいない。お姉ちゃんが言ってた。だから、完全な善も存在しない。私は、そう思ってる」

一夏「……」

663: 2012/04/28(土) 22:28:48 ID:/lDRzvEk
簪「あのね一夏。一夏、誰かを救った時、一夏も嬉しくなるでしょ?」

一夏「そ、そりゃ…まぁな」

簪「それでいいんだよ。それでね…一夏が嬉しいと、きっと救われた人も嬉しいと思う」

一夏「え…?」

簪「そしてその人が嬉しいと分かった時、一夏はもっと嬉しくなる。一夏がもっと嬉しくなると、相手もまた…」

簪「そうやっていくと…嬉しさが、どんどん積み重なっていくの。
  倍々ゲームみたいに…どんどん、幸せみたいなものが、膨らんでいくと思うの」

簪「これってさ…すごく、素敵なことだと思う」

一夏「簪…」

簪「…だから私は、一夏には嬉しくなってもらいたい。
  一夏が嬉しいと、私も嬉しい」

一夏「……」

一夏「ありがとな、簪。お前がそう思ってくれて…俺も嬉しいよ」

簪「…うん」

664: 2012/04/28(土) 22:31:09 ID:/lDRzvEk
一夏「何かちょっとスッキリしたよ。本当にありがとう、簪」

簪「ううん」

一夏「ふぁぁ…話し込んだら眠くなっちまったよ。そろそろ寝ようぜ」

簪「そうだね」

一夏「…簪」

簪「何?」

一夏「お前の話…聞けてよかったよ。ありがとう」

簪「…うん」

簪(私も…一夏のこと、知れて嬉しかった)

一夏「お休み、簪」

簪「うん」

―――――――――
―――――
―――

665: 2012/04/28(土) 22:35:05 ID:/lDRzvEk
~帰りのバス内~

一夏「ふあぁぁ…」

箒「また欠伸か。たるんでいるぞ」

一夏「う~ん…昨日は色々あったからなぁ…あまり寝つけてないんだよ」

箒「…まさか簪とやましいことしてないだろうな?」

簪「なッ…!? ちょ、ちょっと、箒!」

一夏「してねぇよ。まぁ夜中にちょっと話したくらいだよ」

箒「本当か?」

一夏「本当だよ。まぁ説明するのもちょっと面倒だし…俺は寝るから、モノレール駅に着いたら起こしてくれ」ゴロン

箒「あ…まったくこいつは…」

一夏(やれやれ…寮のベッドに慣れちまったから、旅館の布団は寝つきが悪かった…)

一夏(…あれ? 箒と簪って名前で呼び合う仲だっけ? いつのまに仲良くなったんだ?)

一夏(…まぁいいや。俺はちょっと寝よう…)

666: 2012/04/28(土) 22:39:22 ID:/lDRzvEk
箒「やれやれ…本当にこいつはマイペースな奴だ」

鷹月「まぁまぁ。疲れているんだから寝かせてあげなさいよ」

箒「何を言っているんだ。朝は一日の要だぞ。朝こそシャキっとしなくてどうする」

鷹月「やれやれ…あんただって朝方すごい格好で寝てたんだから大目に―――うぷ!?」

箒「うわああああああああああああ!? そ、それは言うなって言っただろうが!!」

簪「…?」

箒「そ、そんなことより簪! お前、昨晩一夏と何かあったのか!?」

簪「…別に何も」

箒「…本当か?」

簪「うん。少し話しただけ」

箒「そ、そうか。差し支えなければ、どんな話か訊いてもいいか?」

簪「ダメ」

箒「なッ…!?」

簪「秘密」

箒「ぐぬぬ…」

667: 2012/04/28(土) 22:43:34 ID:/lDRzvEk
鷹月「もぉ…せっかく仲良くなれたんだから、帰りにそんな張り合わなくてもいいじゃない…」

簪「箒は、誰も知らない一夏の秘密を知ってる。だから、これでおあいこ」

箒「ぐぐぐ…」

簪「…ふふっ」

鷹月(うわぉ…すごくいい笑顔だ…)

箒「ふん、まぁいい。私だって昨日は一夏と色々あったからな」

簪「え…?」

箒「ふふふふ…一応言っておくが二人きりだったんだぞ?」

簪「なッ…!? な、何があったの!? 教えて!」

箒「ダメだな。一夏と私の秘密だ」

簪「ぐッ…」プルプル

鷹月「あーもう…ほら、そのくらいにしましょうよ。旅館のお土産でも食べながら落ち着きましょう?」

一夏「……」グゥー…グゥー…

―――――――――
―――――
―――

668: 2012/04/28(土) 22:53:21 ID:/lDRzvEk
~生徒会室~

楯無「おっかえりなさーい☆ そして一夏くん、ミッション・コンプリートおめでとー!!」パンパカパーン

一夏「うぉ…起きぬけにこれは結構堪えますね…」

楯無「今回は色々と長丁場だったしねー。ま、気分もスッキリできたことだし、良しとしますか!」

一夏「あはは…また凄惨なミッション地獄の日々が始まるのか…」

楯無「文句言わないのー! ほら、ちゃっちゃとスタンバイする!」

一夏「へーい…」

簪「……」

楯無「あ、あれ…? 心なしか、簪ちゃんかなり落ち着いてるわね…?」

簪「え? お姉ちゃん、見てたんじゃないの?」

楯無「流石に消灯時間過ぎてからは撮影できないよ…ま、まさか部屋で何かあった?」

簪「…秘密」

楯無「ぬぅ!? き、気になるわ切実に! か、簪ちゃん…一応聞くけど、まだ処Oだよね?」

簪「!? なななななななななななな何、言って、る、の!?」

楯無「あ、ああ良かった…まだ穢れてないみたいでお姉さん安心したよ…。やれやれ。
   さてさてじゃあ不安もなくなったことだし…次のミッションを読みまーす。ええと…『>>670』だね」

669: 2012/04/28(土) 22:54:02 ID:/lDRzvEk
というわけでやっとこさ終了
続きはGW最終日か明けかな
じゃあの

現時点好感度指数(参考)
鈴     ■■■□□□□□
セシリア ■■□□□□□□
千冬   ■■■□□□□□
楯無   ■■■■■□□□
簪     ■■■■■■□□
シャル  ■■■□□□□□
箒     ■■■□□□□□
鷹月   ■□□□□□□□



楯無「安価で一夏くんにミッションインポッシブル!」一夏「」【後編】

引用: 楯無「安価で一夏くんにミッションインポッシブル!」一夏「」