2: 2010/04/06(火) 18:23:11.02 ID:Wtp3M1KPP
JUM「これ味見してくれないか」

真紅「なにこれ?」

雛苺「でっかいうにゅ~みたいなの」

翠星石「湯気立つ苺大福なんて気色悪いですぅ」

JUM「おまえら知らないのか。これは苺大福じゃなく肉まんだ」

真紅「聞いたことはあるけど、実際に見るのは初めてね」

雛苺「JUMが作ったの?」

JUM「ああ」

翠星石「チビ人間が料理!? ……湯気立つ苺大福より気色悪いですね」

JUM「その言い草はないだろ」

真紅「たしかに意外だけど、せっかくだから頂きましょうか」

3: 2010/04/06(火) 18:26:39.62 ID:Wtp3M1KPP
雛苺「おいしい!」

JUM「まだ口に入れたばかりじゃないか」

真紅「美味しいと言ってくれるならそれでいいじゃない」

JUM「……まあな。二人はどうだ?」

翠星石「チビ人間にしては上出来、と初めは思ったんですけどねー……なんか噛み切れない具が……」

真紅「この具、味もないわね……」

JUM「やっぱりダメか? 煮込んだり切り刻んだりして食べやすくしたつもりなんだけどな、ダンボール」

真紅  「
       ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!
翠星石                                   」

雛苺「ばっちい」

5: 2010/04/06(火) 18:30:16.25 ID:Wtp3M1KPP
翠星石「ダンボールって、なに食わしやがるですかっ!」

真紅「味見ではなく毒見じゃないの……どういう腹積もり?」

JUM「通販のダンボール箱が溜まってな。なにかいいリサイクル方法はないかと……」

真紅「覚悟はできているのでしょうね」

JUM「えっ、覚悟? なにそれ顔が恐い。逃げよう」ダッ

翠星石「おんどれ逃がさんっ! です!」

真紅「翠星石、二人で挟み込むわよ」

翠星石「がってんです!」










雛苺「肉まんおいしいの~」


 おわり

6: 2010/04/06(火) 18:33:20.80 ID:Wtp3M1KPP
真紅「アリスゲームを終わらせる方法が分かったわ」

翠星石「なにをいまさら。そんなのローザミスティカを集めれば……」

真紅「そうではなくて、姉妹で争う必要がない、実に平和的な方法よ」

翠星石「……本当ですか?」

真紅「アリスを私たちで創ってしまえばいいのよ」

翠星石「はぁ!?」

真紅「錬金術でホムンクルスを生み出すの」

翠星石「うさんくさい……お父様だってそれができれば苦労しないです」

真紅「そうね。けれど私はこの数千年間、それこそ何万という錬金術の書物を読んできたわ」

翠星石「お父様でも成し得なかったことを真紅にできるっていうんですか」

真紅「分からない。けど、子は親を超えていくものよ」

11: 2010/04/06(火) 18:37:04.59 ID:Wtp3M1KPP
真紅「やってみるだけの価値はあると思うの。協力して頂戴」

翠星石「まあ、話くらいは聞いてやるです」

真紅「翠星石には数種類のハーブを用意してほしいの」

翠星石「それだけですか?」

真紅「他にも必要な材料はあるけど、貴女にはそれだけ用意してもらえれば十分よ」

翠星石「ちなみに他に必要な材料というのは?」

真紅「馬糞とスペルマ」

翠星石「ブーーーーーーーーーーーーーッ!!」

真紅「汚い」

12: 2010/04/06(火) 18:40:43.42 ID:Wtp3M1KPP
翠星石「汚いってどっちがっ!?」

真紅「材料については仕方ないでしょう。そういうものなんだから」

翠星石「でも、そんなものどうやって調達するんですか」

真紅「どうにかするわ。どうにか」

翠星石「てきとーな返事してんじゃねーよ、です」

真紅「とにかくハーブ以外のことで貴女の手をわずらわさせはしないから、協力してもらえないかしら?」

翠星石「しょうがないですねー。で、用意するハーブの種類はなんですか」

真紅「セージとか……まあそれらしいものを」

翠星石「そこまでてきとーかよ、この不人気、です」

真紅「やめて……不人気呼ばわりはやめて…………」

13: 2010/04/06(火) 18:44:59.16 ID:Wtp3M1KPP
真紅「さて、どうにかハーブの当てはついたわね」

真紅「馬糞はnのフィールドから田舎へ行って拝借してくればいいわ。返せないけど」

真紅「あとスペルマは……人間の男性といったらやっぱり……」

14: 2010/04/06(火) 18:47:43.52 ID:Wtp3M1KPP
JUM「お泊まり会?」

真紅「金糸雀のマスターに招待されたの」

雛苺「そうなの?」

真紅「そうなの。だから今夜はドール全員出払うわ」

JUM「そうか、姉ちゃんに伝えておけばいいんだな」

真紅「ええ、お願い。……それと、私たちがいないと部屋にはJUM一人よね」

JUM「そうだな」

真紅「遠慮はいらないからね」

JUM「遠慮?」

真紅「好きなことをしていいのよ。一人だから」

JUM「はあ……?」

15: 2010/04/06(火) 18:52:13.03 ID:Wtp3M1KPP
真紅「年ごろの男子が夜な夜なやることといったら一つ」

真紅「しかもJUMにとっては滅多にないチャンスのはず」

真紅「今夜、奇  襲  を  か  け  る」

16: 2010/04/06(火) 18:55:13.23 ID:Wtp3M1KPP
JUM「9時か。あいつらもう寝たかな」

JUM「お泊まり会だし、みんなではしゃいでるかもな」

JUM「…………」

JUM「フォルダのパスワードは『187821878237564』」

JUM「さて、出すもん出しましょか」

18: 2010/04/06(火) 18:58:16.58 ID:Wtp3M1KPP
真紅「きた! nのフィールドから覗かれているとも知らずに事を始めたわ」

真紅「あとは限界に達した瞬間、可及的速やかにスペルマを回収するだけ……」

翠星石「真紅ーっ!」

真紅「翠星石!?」

19: 2010/04/06(火) 19:01:26.89 ID:Wtp3M1KPP
真紅「なぜ貴女がここに!?」

翠星石「それはこっちの台詞です」

真紅「私は……材料を探しまわって戻ってきたところよ」

翠星石「それなら翠星石と同じです。ハーブの採取が終わったから帰ってきたんですよ」

真紅「早すぎではなくて?」

翠星石「nのフィールドには色々あってですね、よっぽど珍しい植物でなければ1日もあれば見つかるんですよ」

真紅「そう、仕事が早いのはいいことね。助かったわ」

翠星石「翠星石はもう疲れたから休むです。9時も過ぎてますし」

真紅「え、ちょ、待っ」

翠星石「真紅も夜更かしはダメですよ~」

20: 2010/04/06(火) 19:04:35.71 ID:Wtp3M1KPP
ニュルン
翠星石「nのフィールドからパソコンの画面を通じて帰ってきたですよーっと」

JUM「え」

翠星石「あ、チビ人間まだ起きてたんですか。翠星石と真紅がいないからって夜更かしは……ってあれ」

JUM「」ボッキーン

翠星石「きゃああああああああああああああこの変Oいいいいいいいいいいいいい」バチーンコ

JUM「おんぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

21: 2010/04/06(火) 19:07:14.18 ID:Wtp3M1KPP
――――――――――

JUM「で、お泊まり会をでっちあげてずっと覗いてたのか」

真紅「お泊まり会は本当よ」

JUM「招待されたってのは嘘だろ。草笛さんなら頼めばすぐに泊めてくれるだろうからな」

真紅「……雛苺は今ごろ熟睡中のはず」

JUM「翠星石は気絶しちゃったし、僕の息子はなんかもうやばいことになってるし……なんでこんなことしたんだ」

真紅「アリスを創るためよ」

JUM「アリスを創るだって?」

真紅「ホムンクルスを創るために男性のスペルマが必要だったの」

22: 2010/04/06(火) 19:10:22.65 ID:Wtp3M1KPP
JUM「真紅、パラケルススの本読んだろ」

真紅「!!」

JUM「いや、そんな目を見開いて驚愕の表情されても……」

真紅「な、なぜ、それを」

JUM「ホムンクルスの創り方といったらパラケルススが一番有名だ」

真紅「そんな……! 私が何万冊もの書物を通してようやく見つけた方法なのに」

JUM「錬金術関連のオカルト好きならたいてい知ってるだろ、それくらい」

真紅「そんなにポピュラーな方法だったの!?」

JUM「まあ、実際ホムンクルスの生成なんてできないだろうけどな。パラケルスス以外成功したやつはいないって言うし」

23: 2010/04/06(火) 19:14:54.45 ID:Wtp3M1KPP
JUM「というか、ローゼンはアリスにしか会うつもりがないのにアリスを創ってどうするんだよ」

真紅「とりあえずアリスが生まれればアリスゲームは終わるじゃない」

JUM「自分が会えなくてもいいのか」

真紅「姉妹全員で協力すればお父様も見つけられるかもしれない」

JUM「……ったく、もう遅いしさっさと寝ろよ」

真紅「え?」

JUM「もういいよ、別に」

真紅「JUM……ごめんなさい」

JUM「……おやすみ」

真紅「ありがとう」

24: 2010/04/06(火) 19:17:15.38 ID:Wtp3M1KPP
翠星石「…………あ……れ……」

JUM「おっ、目が覚めたか」

翠星石「チビ人間……? 翠星石はいったい……って、きゃあああああああああああああああああああ」

JUM「やっべえ! 息子が腫れてパンツもはけないから丸出しだった!!」

翠星石「この変Oいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」バチーンコ

JUM「ほぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ」

真紅「うるさくて眠れないじゃない。静かになさい」

JUM「おまえのせいだろうがああああああああああああああああああああああ」


  おわり

28: 2010/04/06(火) 20:03:21.99 ID:Wtp3M1KPP
JUM「『紅茶を淹れて頂戴』とは言われたものの、いい加減めんどうだな」

JUM「毎度毎度、本当は自分でうまく淹れられないだけじゃないのか」

JUM「そもそも味の違いなんて分かるもんか?」

JUM「と言いつつ淹れてやってる僕も僕だけど」

JUM「……あっつ!」ガシャーン

JUM「しまった、紅茶が全部こぼれた」

JUM「淹れなおしかよ……」

JUM「いや待てよ。たしか冷蔵庫にアレが……」

29: 2010/04/06(火) 20:07:16.18 ID:Wtp3M1KPP
JUM「はい紅茶」

真紅「ありがとう」

雛苺「あ、ヒナも飲むーっ」
翠星石「翠星石も飲むーっ」

JUM「おまえらの分もあるよ」

雛苺「わー! ジュンだーい好き」
翠星石「わーい、ジュ、ジュンだぁいs」

JUM「翠星石なにぶりっ娘やってんだ、気色悪い」

翠星石「ち、ちょっと物マネしてただけですよっ! このバカチビ!」スタタタ

JUM「おい、どこ行くんだよ! 紅茶いらないのか……?」

30: 2010/04/06(火) 20:11:14.61 ID:Wtp3M1KPP
真紅「ゴク」

JUM(おっ、真紅が飲んだ)

真紅「……!」

JUM(やっぱり、ばれたか?)

真紅「ゴク」

JUM(飲みなおしたぞ)

真紅「……JUM」

JUM「な、なんだ」

真紅「貴方、いつの間に腕を上げたの」

JUM「は?」

31: 2010/04/06(火) 20:15:40.94 ID:Wtp3M1KPP
真紅「こんなに美味しい紅茶は飲んだことがないわ」

JUM「そんなバカな」

真紅「バカなことない。香り、味、色合い、どこをとっても完璧だわ」

JUM「そ、それは良かった……」
JUM(それ午後の紅茶なんだけど)

32: 2010/04/06(火) 20:20:13.61 ID:Wtp3M1KPP
真紅「ほら、雛苺も飲んでみなさい」

雛苺「ゴクゴク」

真紅「どう?」

雛苺「おいしいのよ」

真紅「いつもと違う?」

雛苺「いつも通りおいしいのよ」

真紅「雛苺にはまだ違いが分からないのかしら」

JUM(いくらなんでも葉から淹れた紅茶と午後の紅茶じゃまったく味が違うだろ)
JUM(もしや、真紅も雛苺も味覚オンチ……?)

33: 2010/04/06(火) 20:25:23.99 ID:Wtp3M1KPP
翠星石「チビ人間、これなんですか」

JUM「あ、翠星石今までどこ行って……!」
JUM(あれは午後の紅茶! なんで翠星石が持ってんだ!?)

翠星石「台所に置きっ放しになってたんですけど」

雛苺「この紅茶に色が似てるの」

真紅「本当ね……」

JUM「……それはお酢だ!」

翠星石「お酢にしては色が濃すぎやしないですか」

JUM「もろみ酢だ!」

真紅「なによそれ」

34: 2010/04/06(火) 20:29:27.56 ID:Wtp3M1KPP
JUM「泡盛の酒かす、すなわちもろみを原料とした琉球のお酢だ!」

真紅「ふうん、ラベルには午後の紅茶って書いてあるけれど」

JUM「お酢を移しかえたんじゃあああああああああああああ」

翠星石「なんでそれが出しっ放しになってるんですか。のりなら片づけるはずです」

JUM「僕がちょびっと味見したんだよっ!!」

雛苺「ヒナも味見したい」

JUM「ダメだあああああああああああああああああああああ」

真紅「いいじゃない。味見くらい」

JUM「僕が味見したらものっっっっすごく不味かったんだ!! だから捨てよう! な? な?」

35: 2010/04/06(火) 20:34:25.05 ID:Wtp3M1KPP
翠星石「なに必氏になってるんですか。お酢ごときで」

JUM(はっ! そうだ、もともとちょっとイタズラしてちょっと怒られる程度で済ませるはずだったんだ)
JUM(それが美味しいなどと絶賛するもんだからばらすにばらせなく……)
JUM(ていうかばらす以前に気づくだろ、普通!!)

翠星石「ペロ」

JUM「あ」

翠星石「あまっ、これラベルのまんま紅茶じゃないですか」

真紅「紅茶? 私にも頂戴」
雛苺「ヒナも飲む~」

翠星石「ほいさ」

真紅「ゴク」
雛苺「ゴク」

真紅 「
      ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!
雛苺                                   」

翠星石「」ビッチョリ

JUM「のど鳴らしてから噴き出すなよ……」

36: 2010/04/06(火) 20:37:44.06 ID:Wtp3M1KPP
真紅「マズっ、やっぱり市販品はダメね。葉から淹れないと」

雛苺「甘すぎなの」

翠星石「ドレスがぐしょぐしょに……」

真紅「JUM、こんな紅茶もう買う必要はないわよ。桜田家には貴方がいるのだから」

雛苺「JUMの紅茶が一番おいしいの!」

JUM「味覚オンチってレベルじゃねえぞ」


 おわり

38: 2010/04/06(火) 20:42:15.12 ID:Wtp3M1KPP
ネタがきれたですぅぜ

39: 2010/04/06(火) 21:59:47.77 ID:TpoeotzA0
乙 面白かった

引用: JUM「ダンボール……」