732: 2010/06/09(水) 01:08:08.19 ID:uDvbu..0
初春「ぼ、暴行の容疑で、あなたをれん、れん……連行し……っ!」

一方(面倒くせェ……)

一方「なーンなーンですかー? 冗談キツイっつのコリャよォ」

初春「ふ、ふざけないでください! ほ、ほら、腕章だって本物です! お、おとなしく」

一方「はァ。こちとら被害者サマなンだが。なンだ、風紀委員ってのは善良な一般市民をしょっ引くのがオシゴトなンですかァ?」

初春「しらじらしい……! 見ましたよ、あなたがそこで倒れてる人たちを能力で昏倒させてる現場をっ!」

一方「あァ!?」

初春「ヒッ!? うぅ、す、凄んでも駄目です! 支部まで一緒に」

少女「……あの」

初春「来てもら……、すみません、ちょっと待っててください。コホン……どうしたのかな? 何か困ったこと?」

少女「そこのお兄ちゃん、わたしを助けてくれたんだよ?」

初春「え、ええぇっ!? いやでもだって」

少女「そこの怖いお兄ちゃんたちが能力でケンカしてて、わたしがそれに巻き込まれそうになった時に前に出てかばってくれて……」

少女「その……お兄ちゃん、ありがとうっ!」

一方「あァ? 知らねェな。たまたま能力とオマエの間に俺がいたってだけの話だろォが」

少女「それでも私を助けてくれてありがとう!お花のお姉ちゃんも、ありがとうね?」

初春「い、いえ……」
とある魔術の禁書目録 (電撃文庫)
733: 2010/06/09(水) 01:09:12.39 ID:uDvbu..0
初春「…………す、すみませんでした――――っ!! って、居ない!?」

一方「……」スタスタ

初春「あ、ま、待ってくださいっ!」

一方「あン?しつけェ帰れ」

初春「そ、それじゃこちらの気がおさまりません!お詫びさせてください!お願いします!」

一方「いらねェ。じゃあな」スタスタ

初春「そ、そんな事言わずにっ!」ガシッ

一方「うォっ!?」ズルッ 

一方「っつゥ……ホントになンなンですかテメェ!?」

初春「ご、ごめんなさいっ!? だから今のも含めてお詫びを」

一方「いらねェ帰れ」スタスタ

初春「だ~め~で~す~!!」グググ

一方(どォしてこォなった)

735: 2010/06/09(水) 01:18:31.64 ID:uDvbu..0
初春「あの、本当にコーヒーだけでいいんですか? もっと他にも何か頼んでいただいても……」

一方「……別に腹減ってねェし」

初春「そうですか?まあ、私はパフェ頼みましたけど」

一方「……」

一方(コイツ自分がファミレス来たかっただけじゃねェのか)

一方「……ったく、どォしてこォクソガキの相手ってのは疲れるんですかねェ」

初春「失礼じゃないですか!? 目の前に本人がいるのにクソガキって失礼じゃないですか!? 私もう中学生ですもん!」

一方「中学生ってのはまだまだオコチャマなんですよォわかりやがりましたかクソガキ」

店員「お待たせいたしました、特☆製スイーツ(笑)食い倒れ♪パフェのお客様」

初春「そしてこの状況で普通にパフェを持ってくる店員さんにプロの魂を感じます!?」

一方(マッチョの店員があの商品名を無表情で読み上げるとかシュールすぎンだろ……)

初春「と、とにかく。私パフェ来たのでいただきますね」

一方「好きにしろ」

初春「もぐ好きにもぐしますもぐ」

一方「……」

一方(やっぱコイツパフェ食いたかっただけだろ……)

736: 2010/06/09(水) 01:20:11.60 ID:uDvbu..0

初春「それじゃあ今日は本当に申し訳ありませんでした」

一方「ケッ。いい迷惑だ」

初春「その割にはファミレスで私と話してる時も結構楽しそうでしたけど?」

一方「盛大な勘違いだな。思い出すだけで胸やけがするっつゥの」

初春「くすくす……なんだかあなたがどんな人かわかってきた気がします。……あの」

一方「あン?」

初春「お詫びはもう終わっちゃいましたけど。……また今度連絡してもいいですか?」

一方「あァ?そりゃまたどォいったつもりだオイ」

初春「楽しかったですから」

初春「楽しかったですから……。また一緒にパフェでも食べに行きましょう?」

一方「チッ。……やなこった」

初春「……ぐす」シュン

一方「ああもうわかった渡せばいいンだろォ連絡先をよォ!」

初春「……! は、はい!」

878: 2010/06/10(木) 01:29:53.75 ID:ltNW.LQ0
「あむあむ」

「……」ズズズ

あれから。
一方通行はたびたび花飾りの風紀委員―初春飾利に呼び出されてはファミレスに付き合わされていた。
彼は誘いを受けるたびに面倒だと言って出てくるのを拒否したが、
その旨をメールで告げると即電話が掛ってきて泣きそうな声を出されるのだからたまったものではない。
そのせいか最近では拒否のメールを送る、という手順が省略されてしまった。

そんな半ば日常的なものとなりつつある二人でのファミレス通いだが、今日はちょっとした変化があった。

「いやー鈴科さんでしたっけ? まさか初春にこ~んな彼氏さんがいたなんて!」

「……彼氏じゃねェ」

「またまたぁ~照れない照れない! ね、初春?」

「あむあむ……ほえ?何がですか?」

「ダメだこの子やっぱ色気より食い気だ」

佐天涙子、初春の親友……らしい。
今日も今日とて一方通行が呼びだされると、今回は彼女も同伴するとのことだった。

「あ、ちなみに鈴科さんは別に彼氏さんとかじゃありませんよもぐもぐ」

「聞いてんじゃん……。あと物食べながら喋らない」

ちなみに、彼女たちが先ほどから口にしている「鈴科」とは一方通行のことだ。
以前初春に連絡先を教える時、適当に口にした名前である。
ひょっとしたら本名だったかもしれない。が、一方通行にはどうでもいいことだった。
どうせ第一位だと知られたらまた面倒事になるに決まっている。なら偽名でも名乗っておけばいい、ということである。

879: 2010/06/10(木) 01:31:00.59 ID:ltNW.LQ0
「でも初春、彼氏じゃないんだったらどういう関係?」

「パフェ友です」

即答である。キリッ、という擬音さえ聞こえてくるようだ。
元来甘いものが好きではない一方通行としてはそんなモノにされてはたまったものではない。

「ンな訳ねェだろ。『ただの』知り合いだよ」

一方通行は彼女の妄言を一瞬で切り捨てた。
ちぇ、などど行っていた佐天も、初春が「ただの……」などとボソボソ言っているのは気づいていない。

「それにしても……よく食べるねー、初春」

佐天は先ほどからがつがつとパフェをかきこむ親友に目を向ける。
初春が食べているパフェは相当な量があり、甘党であるはずの佐天も思わず「うっ……」と思ってしまうほどだ。

「最近は白井さんからの邪魔が入りませんからねー。以前だったら食べようとするたびに『仕事ですの』って連れ出されてたんですけど」

鈴科さんと食べてる時は何故か邪魔が入らないんですよ、などとのたまう彼女に、一方通行は思わず

「俺は魔除けか何かですかァ!?」

と叫んでしまう。彼にしては珍しいリアクションである。
初春はそんな彼をたしなめながらも、パフェにかじりついてご満悦の様子。
やっぱり彼は年下の少女に振り回される宿命でもあるのかもしれない。

(でも鈴科さんもまんざらじゃなさそうな感じ……? こりゃあたしお邪魔虫だったかなぁ)

もともと、最近ご無沙汰な初春に無理を言ってついてきたのは佐天だ。
ここ数日、授業が終わるといそいそと消えることが多かった初春を問い詰めると、知り合いとパフェを食べに行くとのこと。
しかもよくよく聞き出す、その「知り合い」とやらは男性であるらしい。
佐天も含め彼女らには全く男っ気が無かったため、「ついに初春にも文字通り春が!」などと舞い上がり、
物珍しさもあってご相伴に与ることになったのである。

880: 2010/06/10(木) 01:32:59.66 ID:ltNW.LQ0
(でもなんか淡々としててつまんない! ここはいっちょあたしが新たな刺激をプレゼントフォーユー!)

「ねぇ初春ぅ~? それおいしそうだねぇ?」

「ぱくぱくはいもぐおいしいですよもぐもぐ佐天さん? ごっくん」

「だから食べながら喋るなっての。そんなにおいしいんならさぁ……鈴科さんにもあげたら?あ~ん♪って!」

ピクン、とコーヒーを飲む手を一瞬止める一方通行。
佐天はおっ?と意外な反応に手ごたえを感じるが、

「駄目ですよ佐天さん。この人甘いもの苦手ですから」

どうやら甘いものを口にするのが嫌だっただけのようだ。
あ~ん作戦は失敗。次の手を打たねばならない。

(何かないかな……。あ、そういえば)

佐天は今日はまだ初春のスカートをめくっていなかった事を思いだす。
今朝は連日のスカートめくりによってを警戒度を増した初春によって、彼女の日課は阻止されてしまっていた。

(スカートをめくられて慌てる初春、赤面する鈴科さん、それを煽るあたし。完璧だ……)

思いたったが吉日とばかりに、スカートめくりを実行しようとする佐天。
だが悲しいかな、座っている彼女らにめくるスカートなどない。
テーブルの下で密かに作戦が遂行されたとしても意味はないのである。
と、その時だった。

「あ、私ドリンクバー入れてきますね」

パフェに夢中だった初春が、ドリンクが切れている事に気づいて席を立つ。
その瞬間を見逃す必殺仕事人・佐天涙子ではない。

「う~い~は~るぅ~ん!」

「はい? なんですか佐天さ」

「今日のパンツはなんだろな~っと!」

バサァ!と勢いよく親友のスカートをめくりあげる佐天。
今日ははたしてストライプかはたまたくまさんか、と言わんばかりの勢いで初春の下着が晒された。

881: 2010/06/10(木) 01:34:18.29 ID:ltNW.LQ0
「……え……?」

「……ゴボッ!?」

予想に反して。
少女のそれはいつもの子供っぽい趣味のものではなく、どちらかといえば白井あたりが好んで履きそうなソレだった。
反応は三者三様。
被害者は呆然と立ち尽くし、実行犯は信じられないようなものを見た顔をしている。
傍観者だった白い少年は、コーヒーが器官に入ったのかひどくむせていた。
やがて無言で立ち尽くすだけだった初春が自分の身に何が起きたのかを理解すると、店中に響き渡る声で悲鳴を上げた。

「きゃ、きゃああああああぁぁぁぁぁぁ!!?」

何事かと店内の目線が集中する。
彼女の悲鳴で我に返った佐天は、とりあえず初春をなだめる。

「おっ、落ち着いて初春!?」

「落ち着けません!! なんてことするんですか!!?」

「い、いや、まさか初春があんな……!」

思い出したのか、佐天が顔を赤くする。

「赤面しないでください!私の方が恥ずかしいんです!」

(やっば、初春本気で怒ってる……)

と、そこで彼女の矛先がむせている一方通行へと向かう。

「鈴科さん!見ました!?」

「い、いや……ゲホッ……、見て、ねェ……」

どう考えても見た者のソレだった。

「う、うわあぁぁぁーん!?」

再度店中に響く大声を上げる初春。
結局、気まずい雰囲気を残したまま、三人はすごすごと料金を払って店を後にすることとなった。

ちなみに、余談ではあるが一方通行は過去に何度か女性の裸体を目撃した事がある。
同居人の少女や保護者のものだが、彼にとって少女は守るべき対象であって異性として見るには幼すぎ、
保護者二人は年長者すぎて一方通行からしてみれば、いわゆる「ババァ」だった。
なので、年齢の近しい異性の下着を彼が目撃するのはこれが初なのであり、以外とウブなのも仕方がないのだった。

882: 2010/06/10(木) 01:35:13.29 ID:ltNW.LQ0
「ひどい目に遭いました……」

初春が嘆息しながら佐天を睨みつける。

「あ、あははー……ごめんなさい」

彼女からはもう平謝りしか出てこない。
もう初春もそんなに怒ってはいないのか、ため息をひとつ。

「これに懲りたら、もうやめてくださいね……?」

佐天としてはうなずくしかない、
コクコクコク!と何度も了解の意を示す彼女に、ようやく初春は肩の荷が下りた。

「鈴科さんも、今日はすみませんでした。ほらっ、佐天さんも!」

「スミマセンデシタ……」

「あ、あァ……」

ショックが大きかったのか、一方通行も大分参ってるようだ。
初春は最後に念を押す。

「今日見たものは、絶っ、対! 忘れてくださいね?」

「おォ……忘れとく……」

「それを聞いて安心しました……。それではまた」

彼女たちと別れた一方通行は一人ごちる。

「『また』って……。また呼ばれンのか……」

一方通行は気付かない。
当初ほどそれが嫌だと思っていないことに。

「じゃあ佐天さんも」

「あ、うん。またね……」

初春と別れた佐天はふと考える。

(そういえば、なんで初春はあんなきわどいパンツを履いていたんだろう?)

883: 2010/06/10(木) 01:37:38.49 ID:ltNW.LQ0
なんで3回も!?しかも3個目は時空が歪んでるYO!
あと4レス目の番号が3になってるのはミスです。

と、ともかく読んでいただいた方はありがとうございました。
好評のようならまだ続く……かもしれません。

地の文の批評もできればよろしくお願いします。

引用: ▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-5冊目-【超電磁砲】