943: 2010/06/10(木) 15:58:08.15 ID:7KaQ0cDO
一方通行「よォ、調子はどうだ打ち止め」

打ち止め「元気だよ! それに今日は天気がいいからなんとなく体も軽いかな?」

一方通行「そいつァよかった。ほらよ、頼まれてたもンだ。これであってるよな?」

打ち止め「うん、あってるよ! ありがと!」

一方通行「しっかしどうして、女向けの漫画コーナーってピンク色ばっかりなンだァ?」

打ち止め「可愛いからじゃないかなぁ?」

一方通行「もう少しどうにかならねェもンかねェ、入りづらいンだよォ」

打ち止め「あははっ!」

一方通行「なにがおかしいンだよ?」

打ち止め「漫画コーナーで舌打ちしながら本を探してるあなたを想像したらおかしくって!」

一方通行「チッ」

打ち止め「あ、ごめんなさい。でもでも、その姿をもう見られないんだから想像くらいはさせて?」

一方通行「なァに馬鹿なこと言ってンですかァ? ハ○ターハ○ターの最終巻を一緒に買いに行くって約束したばっかじゃねェかよ」

打ち止め「そうだった! ……でもいつになるのかなぁ?」

一方通行「さァなァ……なンか出ねェ気がすンぜェ」

打ち止め「えぇー! そしたらあなたと買いに行けないじゃない……」

一方通行「そンなことで落ち込むンじゃねェよ。日本がW杯で優勝する確率よりはたけェよ」

打ち止め「うぅ、ほんとに?」

一方通行「学園都市最高の頭脳で弾き出した確率だ、間違いはねェ」
8月31日(さいごのひ)
944: 2010/06/10(木) 15:58:33.62 ID:7KaQ0cDO
打ち止め「ちなみにMNWの緊急アンケートでは約9割が『しらねーよ』だったよ!」

一方通行「そンなことにMNWを使うンじゃありませン」チョップ

打ち止め「あいたっ! もーっ、ミサカは病人なんだから優しくしなきゃ駄目なんだよ?」

一方通行「十分に優しいですゥ。バファリンくらい優しいですゥ」

打ち止め「あなたの半分も優しさで出来てるなんて信じられない……」

一方通行「うるせェ。でもな半分は薬なンだ、だから早くよくなれよ打ち止め」

打ち止め「……。あなた自分で言ってて恥ずかしくないの?」

一方通行「なにがだよ?」

打ち止め「すっごい臭い台詞言ってるよ?」

一方通行「……。お前がそれを面白れェって思うならいくらでも言ってやンぜ」

打ち止め「面白いっていうかドキッとするからたまにが良いかなってミサカはミサカは激しく動揺してみる」

一方通行「略してはげどうってか! あはぎゃは!」

打ち止め「やっぱり半分も優しさでなんか出来てない!」プィ

一方通行(お前はそうやって元気に騒いでるのが一番似合ってンだよ。だからよォ、こんな辛気臭ェ場所から早く出ようぜ打ち止め)

945: 2010/06/10(木) 15:58:58.25 ID:7KaQ0cDO
――コンコン

一方通行「入るぞ打ち止め」

一方通行「……? 寝てやがンのか?」

――ガチャ

打ち止め「……」スースー

一方通行「やっぱり寝てやがったか」

一方通行(また痩せたか? 前はちょっとぷにってるくらいだったのによォ。もう少しで俺みたいになっちまうぞ)ナデナデ

打ち止め「ん……んあ?」

一方通行「やっと起きたか寝坊助ちゃン」

打ち止め「あれ、ミサカ寝てたの……?」

一方通行「あァ、全国のミサコン(ミサカコンプレックス)が思わずニヤニヤするくらいのいい寝顔だったぜ?」

打ち止め「うーん? あなたが来る時間帯は寝ないようにしてたはずなのに……」

一方通行「おい打ち止め、お前今なンつった?」

打ち止め「っ! う、ううん、なんでもないよ! それより今日のスイーツはなんだろなぁっと!」

一方通行「なンつったって聞いてンだよォ!!」

打ち止め「ひっ!」

一方通行「あ、悪りィ。……なァ、さっきの話は本当か?」

打ち止め「うん……」

946: 2010/06/10(木) 15:59:29.54 ID:7KaQ0cDO
一方通行「……」

打ち止め「あ、あのね、これはただの夜更かしなの!」

一方通行「夜更かしィ?」

打ち止め「うん! 夜中にやってるテレビショッピングが何故か面白くて見ちゃうの! だからどうしてもお昼寝が多くなっちゃってそれでね、それでね」

一方通行「……。は、ガキはガキらしく8時には寝るンだなァ」

打ち止め「それ病院の消灯時間よりも早いよ! それにミサカはガキじゃないもん!」

一方通行「一体どの口がそンな一丁前な台詞を発することが出来るンですかねェ?」ムニィ

打ち止め「いふぁいふぉ……ふぁふぁひふぇぇ。ぷはっ。法律的にはミサカはあなたと結婚出来る歳だもん! あなたがミサカを『女』にしてくれないだけで……」

一方通行「寝言は寝て言えってンだ」

打ち止め「ちょっとあなたそれ酷くない!?」

一方通行「あーはいはい悪ゥござンしたァ」

打ち止め「気持ちがこもってなーい!」

一方通行「分かったから大人しく横になってろよ。すぐに疲れンぞ」

打ち止め「あ、うん。……ミサカはあなたと結婚したいなってミサカはミサカは冗談を――」

一方通行「いいぜ」

打ち止め「言って……ふぇ?」

一方通行「俺が結婚してやンぜ」

947: 2010/06/10(木) 15:59:57.29 ID:7KaQ0cDO
打ち止め「え、えぇっ!?」

一方通行「驚き過ぎだろ」

打ち止め「だってだって!」

一方通行「だってもなにも、お前が先にプロポーズしてきたンじゃねェか。俺はそれに答えただけだァ」

打ち止め「そうかも、そうかもだけど! うー、突然のことでミサカの頭は下位個体から苦情が来るほどキングゲOナーオーバー……」

一方通行「大袈裟過ぎだろ」

打ち止め「じゃあなんであなたはそんなに冷静なの? まさかベクトル操作!?」

一方通行「ンなわけあるかっての。お前、昔っから俺と結婚するって騒いでたじゃねェか。最近は全然言わなくなったけどよォ」

打ち止め「あ、そうだった。……でも、でも! その時と今は全然違うの!」

一方通行「どう違うってンだよ?」

打ち止め「その、歳取ったし、思春期だし、ミサカの身体こんなだし……」

一方通行「それでも、お前がお前であることに変わりはねェ。お前がお前であり続ける以上、俺はどんなお前だって結婚してやンぜ」

打ち止め「ほ、ほんとに? いつもみたいにからかってるんじゃないよね……?」

一方通行「こいつァ俺の本気だ。ミサコン第一号様を舐めンじゃねェ」

打ち止め「嬉しい大好き!」バッ
一方通行「おっと。……打ち止め、俺はいつでも結婚してやっからよ、早くここから出ようぜ」

打ち止め「うんっ!」

一方通行(なンで俺は今幸せを感じてンだろうなァ。ほンとはそうなっちゃいけねェのによォ。なァ、打ち止め。お前は今、本当に嬉しいのか? 実は凄く傷ついてンじゃねェのか? 本当の声を聞かせてくれよ。打ち止め……)

948: 2010/06/10(木) 16:00:22.61 ID:7KaQ0cDO
打ち止め「ん……あれ? もうこんな時間?」

一方通行「そォだ。危うく俺も寝ちまう所だったぜ」

打ち止め「ミサカ最近寝てばっかりでごめんね?」

一方通行「寝る子は育つって言うし、別にいいンじゃねェの?」

打ち止め「それで胸が育てばいいのに……」

一方通行「育っても超電磁砲クラスだろうなァ……」

打ち止め「……。胸なんか育たなくてももっと起きてたいな」

一方通行「なンでだよ?」

打ち止め「あなたとの時間をもっと共有したいの。寝てばっかりだとそれが出来ないから……」

一方通行「俺はずっとお前の傍にいる。お前が起きてる時間はいくらでも相手してやる。それじゃ駄目なのか?」

打ち止め「十分だよ。十分なんだけどね。起きてる時間よりも寝てる時間の方が長くなってきて、このままだといつか目が覚めない気がして……」

一方通行「泣くんじゃねェ打ち止め」

打ち止め「あれ、ミサカ、泣いてるの? あれれ、おかしいな」

一方通行「あァ、おかしいよ。ほんとにおかしいな。お前が目を覚まさねェはずがねェだろ。だから安心して寝ろ」

打ち止め「あなたには分かんないよね! 寝るのが怖いって気持ちが! 寝たら次は二度と目が覚めないかもって気持ちが! 分かった風な口聞いて変に慰めないで!」

一方通行「……馬鹿言ってンじゃねェ!!!」

打ち止め「っ!!」

949: 2010/06/10(木) 16:00:49.96 ID:7KaQ0cDO
一方通行「俺だって怖ェよ! 寝てるお前の姿を見てると、このまま目を開けねェンじゃねェのかって不安で不安で仕方ねェンだよォ! ベクトル操作でもなんでもしてずっとお前を起こさせていてェよ! お前だって分かったような口を聞いてンじゃねェ!」

打ち止め「っ!! ……ごめ、ごめんね? ミサカすっごい馬鹿だね。馬鹿で馬鹿でどうしようもないね……」

一方通行「あァ、馬鹿で馬鹿でどうしようもねェよ。そんな馬鹿な気持ちを隠してたンだからなァ。だが、俺も馬鹿で馬鹿でどうしようもねェみたいだ」

打ち止め「え……?」

一方通行「俺も、お前みたいに弱音をずっと馬鹿みたいに隠してたンだよ。お前が寝た後、自分自信を責めて責めてよォ……」

打ち止め「……ミサカ達、似たもの同士なんだね」

一方通行「そうかもなァ。あ、でも俺はガキじゃねェから違うかもな」

打ち止め「また子供扱いした!?」

一方通行「好きな男の前で胸を気にするンてガキのやることだろ。大人ならデンッと構えとけっての」

打ち止め「胸は女の子の一生の悩みなんだよ!?」

一方通行「なら一生悩め」

打ち止め「へ?」

一方通行「俺の前で一生悩めよ。俺は飽きるまで何度でも小馬鹿にする。その度に悩めよ」

打ち止め「……でも、いつか飽きるよね?」

一方通行「一生飽きねェよ。だからお前も一生悩め。分かったな?」

打ち止め「分かった! いっぱいいっぱい悩むことにするね!」

一方通行(俺はこの笑顔にどれだけ救われてきたンだろうなァ。神様だろう氏神だろうがこの笑顔は絶対に奪わせねェ。安心しろ打ち止め。氏からも俺が守ってやるからよォ)

950: 2010/06/10(木) 16:01:16.08 ID:7KaQ0cDO
打ち止め「怒らないで聞いてほしいことがあるんだけど……」

一方通行「なンだ打ち止め?」

打ち止め「話す前に絶対に怒らないって約束してくれる?」

一方通行「……。分かった約束する」

打ち止め「良かった。……ミサカね、『そろそろ』みたいなの……」

一方通行「おまっ……! ……。続けろ……」

打ち止め「うん。ミサカこれでも電撃使いだから自分の生体電流くらいは分かるんだよ。その生体電流の信号がね……弱くなってるの」

一方通行「……」スッ

打ち止め「ベクトル操作でも一時しのぎにしかならないよ。それはあなたもよく分かってるでしょ?」

一方通行「このまま黙って見てろって言うのかよ……?」

打ち止め「うん。いつも通りのあなたで、いつも通りミサカに接して? それが今のミサカの一番の望み」

一方通行「……。はは、そンなわがまま言えるンならババァになるまで大丈夫だなァ!!」

打ち止め「お婆ちゃん達に失礼だよ」

一方通行「お前がババァになったらどうなンのかなァ?」

打ち止め「女の子の前でそれは失礼だよ。今日のあなたは失礼なことばっかりだね」

一方通行「失礼ついでにお前に一つ謝らなきゃいけねェことがあるンだ」

打ち止め「なに?」

951: 2010/06/10(木) 16:02:03.12 ID:7KaQ0cDO
一方通行「俺は前に、お前だけは絶対に守ると誓った。その時、氏からも守ってやると誓ったンだ。だけど俺は誓いを破ることになりそうだ。それを謝りたいンだ」

打ち止め「ミサカ、もう十分に守ってもらってるよ。だからあなたが謝ることなんて何一つないよ?」

一方通行「それでもだ。氏から守れなくてなにが学園都市最強だ。氏を反射出来なくてなにがベクトル操作だ。……こンな俺をどうか許してくれェ」

打ち止め「許すもなにもそんなに自分を責めないで? ミサカ、氏ぬの全然怖くないよ?」

一方通行「強がンじゃねェよ……」

打ち止め「強がってなんかないよ。でもなんでかな? 多分あなたという存在が恐怖を反射してるのかな? うん、きっとそうだよ」

一方通行「……。は、まだ学園都市最強の肩書きを捨てるには早かったみたいだな」

打ち止め「出来ればずっと捨てないでほしいな」

一方通行「なンでだよ?」

打ち止め「あなたにはずっとミサカの最強でいてほしいからってミサカはミサカは人生最高の笑顔をあなたにプレゼント!」

これが一方通行が最後に見た打ち止めの笑顔だった。その笑顔には恐怖や悲しみといった感情は一切なく、一方通行への信頼と愛が溢れんばかりに詰まった最高の笑顔だった

952: 2010/06/10(木) 16:03:41.33 ID:7KaQ0cDO
終わりです。一方通行の()で場面と時間の経過を区切ってみたんだけど伝わってるかな?
こう書いてみると携帯小説(笑)ってほんと誰でも書けるレベルで笑える

953: 2010/06/10(木) 16:08:32.97 ID:fFXaU/go
これは善良な一方さんニヤニヤしました乙

引用: ▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-5冊目-【超電磁砲】