3日目

相変わらずヤクルトに変化はない。

なにも言わずに雛苺に渡してやった。


4日目

ヤクルトに変化はないが、ベランダに黒い羽が一枚落ちていた。

ヤクルトは翠星石に飲ませた。

4日目

ヤクルトが倒れており、黒い羽が一枚落ちていた。

奴はまだ警戒しているようだ。ヤクルトは僕が飲んだ。

6日目

ヤクルトの蓋のビニールが破れていた。が、中身は減っていないようだ。
相変わらず黒い羽が数枚落ちている。
その羽を真紅の鞄に入れてやった。

真紅「そろそろ寝るのだわ。あなたもあまり夜更かしせずに早く寝なさいジュン」

JUM「ああ」



真紅「い・・・いやぁぁぁぁーーーーーーーーーーー！！！」ﾊﾞﾀ-ﾝ！

JUM「うわっ、なんだよいきなり」

真紅「は、ははは羽が！わたしの鞄に汚い羽が入っているのだわ！！３枚も！！」

翠星石「うぅ・・・なに騒いでるですか真紅。こんな時間に」

真紅「これを見なさい！わたしの鞄にこ、こんなものが入っていたのよ？」

翠星石「・・・ただのあいつの羽じゃないですか・・・ふわぁ」ﾊﾞﾀﾝ

真紅「た、ただのって！なんでわたしの鞄にこんなものが入っているのよ！！ジュン！」

JUM「知らないよ。それにこんな時間に騒いでると姉ちゃんに怒られるぞ」

真紅「ジュン！！」

7日目

今日も蓋の開いたヤクルトと黒い羽。思っていたより警戒心が強いようだ。

8日目

ついにヤクルトの中身が無くなっていた。羽が5枚も落ちていた。小躍りでもしたんだろうか。

また真紅の鞄に入れておいた。

真紅「きぃやぁぁぁぁーーーーーーーー！！」

以下略

9日目


今日も空のヤクルトだけ残っていた。
ゴミをそのまま置いていくとは中々図々しい奴だ。

10日目

今日はヤクルトがベランダにぶちまけられていた。
そして大量の黒い羽。よく見てみるとカラスの羽も混じっている。カラスと取り合いでもしたのだろうか。

ベランダを掃除するはめになったが、カラスとヤクルトの取り合いをしている奴を想像していたらすぐ終わった。

11日目

今日も空のヤクルトの容器。いつもの黒い羽。
昨日のカラスとの戦いは奴が勝利したということなのだろうか。

12日目

ヤクルトの空の容器と黄色い奴が倒れていた。
状況から察するに、いつものようにうちに侵入しようとしていたらヤクルトを発見
そしてそのヤクルトを飲んでいるところを奴に見つかり粛清された、という感じか

邪魔なので黄色いのは外に放り投げておいた。

13日目

今日はあえてヤクルトを設置しないでみた。
夜、ガラスが割られた。ずっと待っていたということだろうか。

14日目

今日もヤクルトを設置しないでみた。

羽が大量に散らばっていた。暴れたのだろうか。

15日目

今日は二日設置しなかったぶん、3本置いてみた。

1つ空の容器があった。2つは持って帰ったということか。

16日目

そろそろ奴の警戒心も薄れた頃だろう。
今日はヤクルトと一緒に僕の手づくりの鞄を置いてみた。開けた状態で。
我ながら、ローゼンの作った物と見分けがつかないほどの出来だ。

空のヤクルトの容器は置かれていたものの、鞄に入った様子はない。
まだそこまで気を許してはいないということか。

17日目

今日もヤクルトと鞄を設置。

ヤクルトは飲まれているが、鞄には入った様子はない。

気長に待つとしよう。

18日目

今日も空のヤクルトはあるが鞄は使われていないようだ。

なにがいけないんだろうか。試しに翠星石に使ってもらうことにした。

JUM「翠星石、ちょっといいか？」

翠星石「なんですか？翠星石は忙しいからさっさと用件を言いやがれです」

JUM「忙しいならいいや、蒼星石、ちょっと来てくれ」

翠星石「えっ、ちょっとジュン。忙しいとは言いましたが、そこまで忙しいわけじゃ」

蒼星石「なんだいジュンくん」

JUM「鞄作ってみたから、試しにちょっと使ってみてくれないか？」

翠星石「な、なんですって！？」

19日目

今日はヤクルトにミロにジョアにヨーグルトにミルミルを、鞄を開けた状態にして鞄の中に置いてみた。

作戦は当たったようで、鞄の中に黒い羽が落ちていた。

おそらく、この乳酸菌祭を見た瞬間に飛びついてそのまま鞄に入りながら堪能したのだろう。
使用感は蒼星石曰く「鞄の使用感はもしかしたらお父様のより良いかもしれない」とのことだ。
これで奴はこの鞄の感触を覚えたはず。

余談だが、僕が鞄を作ったことを翠星石が真紅にチクったらしい。

真紅が鞄を使わせてみなさいだの出来を見てあげるだのだわだわ騒がしかったが華麗に無視した。
そして真紅の鞄に羽を入れておいた。

20日目

今日はまた大量の羽が散らばっていた。案の定カラスの羽もあった。
どうやら鞄をめぐって第２ラウンドがあったようだ。

21日目

鞄の中に黒い羽があった。また勝ったようだ。明日はお祝いにヤクルト2本置いてやろう。

22日目

今日は鞄に使われたあとはなく、ヤクルトの空容器もなかった。2本だと持ち帰る習性があるのだろうか。

23日目

今日も2本ヤクルトを設置したが、やはり空容器はない。
どうやら2本だと持ち帰る習性は事実のようだ。

24日目

今日も鞄に羽。空のヤクルトの容器。大分奴も油断してきているようだ。

ちなみに他のドールでも同じ習性があるのか試してみた。

JUM「蒼星石、ヤクルトやるよ」

蒼星石「ありがとう、なんで2本？」

JUM「いや特に意味はないよ」

蒼星石「・・・ヤクルト・・・しかも2本・・・ﾊｧﾊｧ・・・」

ドールによって習性は違うみたいだ。

1番目は持ち帰って4番目は興奮する、と

25日目

今日はいよいよ実際に様子を観察することにした。

そろそろ奴もリラックスしている頃だろうか、気配を頃してベランダの窓を開ける。



鞄が閉まっている。中で寛いでいるということなのだろう。

今日は退散することにした。

26日目

今日も鞄が閉まっている。

１時間ほど観察しても出てくる様子はない。
たまに中で動く音がしているから入ってはいるんだろう。

諦めてまた明日観察することにした。

27日目

相変わらず鞄は閉まっている。

こうなったら明日は設置してからずっと観察することにしよう。

28日目

15:10分

設置して10分後に馴染みの店に入るおっさんのようにベランダに降り立ち、なんの疑いもなくヤクルトを飲み干してから鞄に入る奴

もっとこう、警戒しながら来るものかと思っていたのに拍子抜けである。

29日目
昨日の感じなら、少しちょっかいを出しても気づかないんじゃないだろうかと思い立つ。

15:10

相変わらず当たり前のように鞄に入っていった。

16:10

少し鞄を揺すってみる。
なんのリアクションもない。

16:30

聴診器を持ってきて鞄に当ててみる。

『・・・すぅ・・・すぅ・・・』

規則正しい寝息が聞こえる。

ノックしてみた。

ｺﾝｺﾝ
『・・・んぅ？・・・すぅ・・・』

完全に油断しているようだ。

今日はこれで退散としよう。

30日目

今日は久しぶりにヤクルトを設置しないでみた。

15:10

キョロキョロと鞄の中や周りを探している。

「またあいつぅ？」

カラスのことだろうか？

「仕方ないわぁ、今度見つけたらシメてやる」

暴れたりはしないようだ。鞄に入っていった。カラスのためにも明日はミルミルも置くとしよう。

いよいよ明日で一ヶ月。

31日目

15:10

しかし、きっちり決まった時間に来るな。意外とまじめなんだろう。

「あらぁ、ミルミルじゃない！」

嬉しそうにストローを吸っている。ミルミルは僕も好きだ。

そして鞄に入って寝息を立てはじめる。


こうして見るとこいつも他の姉妹と変わらないんだなと実感できる。

そもそも姉妹なんだから争う必要なんかないじゃないか。

こうして、徐々に距離を縮めていけば、アリスゲームなんて



真紅「ちょっとジュン！そんなところでなにをしてるの？それにその鞄はなんなのだわ！！」

ｶﾞﾁｬｯ

水銀燈「なによぉうるさいわね・・・っ！！」

真紅「水銀燈！わたしの家でなにをしているのだわ！！」

水銀燈「うるさいわねぇ、不細工な顔がもっと不細工になるわよ？」

真紅「きぃぃぃーーーーーーー！ジャンクに言われたくないのだわ！！」

水銀燈「なぁーんですってぇ！？」


ｷﾞｬｰｷﾞｬｰﾄﾞｶﾄﾞｶﾎﾞｺｯｽﾞﾄﾞﾝｶﾞｼｬｰﾝｷｬｰﾅﾆｼﾃﾙﾃﾞｽｶｰ！





僕の一ヶ月は水の泡になったけど、無駄じゃなかったと思いたいね。



JUMの水銀燈観察日記


終わり

えっ