1: 2011/08/06(土) 00:50:46.60 ID:lxD91f8E0
佐天「初春~~、大ニュースだよ大ニュース!」

初春「どうしたんですか佐天さん、そんなに声張り上げて。」

佐天「ついに……ついに……能力が発現しました!」

初春「ええ~!本当ですか?!どんな能力なんですか?!」

佐天「うん、私の能力初披露するよ。」

すると、佐天は初春の顔の前に手をかざした。
不思議そうに手を見つめる初春。

初春「佐天さん?能力見せてくれないんですか?」

佐天「もうやってるよ~、ほら。」

まだレベルが低いせいで凄く小さい何かが発生しているのかと思い、
どんな能力か理解できない初春はさらに佐天の手に顔を近づける。

初春「……?なんか甘い香りがしますけど、一体何の能力なんですか?」

佐天「それが私の能力。」

初春「は?」

佐天「だから、体からミルクとはちみつの匂いがする能力。」

初春「佐天さん……」

6: 2011/08/06(土) 01:02:16.53 ID:lxD91f8E0
佐天「どう?凄いでしょ!まだレベルが低いからこの程度だけどさ。
    時間かければちょっとはちみつ出したりできるんだよ!」

初春「……そ、そうですね!おめでとうございます佐天さん!」

初春は反射的にその能力が何の役に立つのかを聞きそうになったが、
我慢してその疑問を喉の奥に飲み込んだ。

佐天「ありがとう初春!この能力さぁ、他人に見せたのは今が初めてだけど
    自分では色々試したんだ~。えとね~……」

ゴソゴソとバッグの中をあさり出す佐天。
しばらく探した後、何やらパッケージのないペットボトルを取り出した。

初春「ミルクティー?喉渇いたんですか?」

佐天「これこそが今の私の能力の集大成だよ初春!
    ぬるい紅茶に手を1時間つけた特製ミルクティー!」

初春「うわ……何やってるんですか佐天さん……」

8: 2011/08/06(土) 01:12:23.55 ID:lxD91f8E0
佐天「おいしいんだよこれ~。絶対コンビニに売ってるやつよりおいしいよ。」

初春「へ、へぇ~……経済的な能力ですね~。」

嫌な予感がした初春は話を逸らそうとしたが、案の定ペットボトルを差し出された。

佐天「飲んでみる?」

初春「いや~……あんまり喉渇いてないし……」

佐天「ほんのちょっとだけ、味見るくらいでいいからさ~」

長い期間レベル0というコンプレックスから解消された反動からか
自分の能力の成果を初春に認めて欲しいらしい。

10: 2011/08/06(土) 01:24:06.98 ID:lxD91f8E0
初春「じゃ、じゃあちょっとだけ……舐めるくらいで」

初春「……!お、おいしい……!」

佐天「でしょでしょ~!これ絶対商品化できるよ~!」

初春「これ凄いですよ佐天さん!私もあんまり多くの種類の紅茶飲んだ事ないですけど
    なんか高級な感じがします!はちみつの良い香りが……」

佐天「うん、ほんとに凄い良い味だと思うんだよね~。
    でもさ……」

佐天はがっくりと肩を落とした

初春「どうしたんですか?」

佐天「飲んだらおいしいけどね……やっぱり私から出た体液って事になるし
    赤の他人は絶対買わないよねこれ……」

初春「そ、そんな事ないですよ!私も飲みましたし!」

佐天「初春は友達だし優しいからさ……ごめんね、無理やり飲ませて。
    やっぱり味だけじゃ商品化は無理かぁ……」

12: 2011/08/06(土) 01:34:56.51 ID:lxD91f8E0
初春「いや……いけますよ佐天さん!」

初春は声を張り上げた。

佐天「う、初春?どうしたの?」

初春「正直に言うと、確かに最初は抵抗ありましたけど
    この味を知ればきっとみんな好きになりますよ!」

初春の思わぬ激励に少し微笑む佐天。

佐天「ありがとう初春……でも飲ませる事が最難関なんだよね……」

16: 2011/08/06(土) 01:44:46.38 ID:lxD91f8E0
初春「そういう能力だって強くアピールすればきっと大丈夫ですよ!
    これを味わえば誰もがそう思うはずです!」

佐天「そうかなぁ……なんか気持ち悪い人って思われたりしないかな?」

初春「胸毛もじゃもじゃのおじさんとかならともかく、佐天さんなら
    変に意識されたりはしないと思いますよ。いや……逆に意識されるかも。」

佐天「いけるかな……?一儲けできるかな?!」

初春「いけます!」

佐天「でもまだ少量しか無理なんだよねー、ペットボトル1本で1時間だよ?」

初春「そうですね~……じゃあとりあえず知ってる人に試飲してもらいましょうか。」

21: 2011/08/06(土) 01:57:02.17 ID:lxD91f8E0
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後日佐天と初春は美琴と黒子を呼び出し、能力の説明を兼ねた小さな試飲会を開いた。

美琴「また面白い能力が芽生えたわね……」

黒子「お姉さまがその能力を持っていたら……フヒ……ヒ」

佐天「いや~まだ微妙な能力なんですけどね。」

美琴「佐天さんの体のどこからその匂いがするの?」

佐天「どこでもしますよ、ちょっと手を嗅いでみてください。」

美琴の顔の前に手を差し出す佐天。

美琴「……そう言われればそんな気がするけど、あんまり匂わないわよ?」

初春「え?そんな事ないはずですよ。私が嗅いだ時は凄く甘い匂いでしたし……」

25: 2011/08/06(土) 02:06:09.91 ID:lxD91f8E0
佐天「ちょっと昨日頑張りすぎて手の匂いは薄くなっちゃったのかなぁ?」

初春「あ~、なるほど。それなら他の場所を嗅いでもらえばいいんじゃないですか?」

佐天「う~ん……胸のあたりは香りがすると思うんですけど……」

美琴「へぇ~、じゃあちょっと嗅いでもいい?」

佐天「へっ?い、いいですけど……」

美琴は立ち上がって佐天の胸元に顔を近づけた。

黒子「お、お姉さまの次は私が!」

27: 2011/08/06(土) 02:18:09.28 ID:lxD91f8E0
美琴「あっ、ほんとだー良い匂い~……」

美琴は自然に佐天の背中に手を回し、
自分の顔に引き寄せるように匂いを嗅いだ。

佐天「ちょ……!み、御坂さん……!」

美琴「なんか落ち着くわ……ずっとこうしていたい感じ……」

黒子「ハァハァ……お姉さま……!……お姉さま!」

佐天「も……もうおしまいです……!こういう能力なんです!」

黒子「私はお姉さまに移った残り香で……」

美琴「それじゃ意味ないでしょ……」

初春(これは……いける!)

31: 2011/08/06(土) 02:32:00.22 ID:lxD91f8E0
美琴に続いて黒子も佐天の匂いを嗅ぐ。

黒子「……確かに良い香りがしますわね。
    香りで誘惑するという能力ですの?」

佐天「香りだけじゃないんですよ!」

そう言うと佐天はバッグの中をあさり出し、ミルクティー入りの水筒を取り出した。

美琴「水筒?」

初春「まさか……温めてきたんですか?」

佐天「うん、その方が香りもいいみたいでさ。」

黒子「香りだけじゃなくて味もつける事ができますの?」

佐天「そうなんですよ、ちょっと気持ち悪いかもしれませんけど
    味はほんとにおいしいんです。」

佐天はコップに暖かいミルクティーを注いだ。
あたりにミルクとはちみつの甘い香りが広がった。

33: 2011/08/06(土) 02:48:23.02 ID:lxD91f8E0
美琴「良い香り……これってどうやって作ったの?」

佐天「えーっとですね……凄く原始的な方法なんですけど。
    私の手を紅茶につけてダシを取る感じで作るんですよ……」

黒子「原始的ですわね……手が匂わないというのはそういう事でしたの。」

初春「このミルクティー本当においしいんですよ!
    ちょっと抵抗があるかもしれませんけど騙されたと思って飲んでみてください!」

佐天は拒否されるかもしれないと思い、顔を濁らせた

美琴「佐天さんなら清潔感があるから大丈夫よ。」

黒子「お姉さまがいけるなら私もいけますの。」

二人がミルクティーに口をつける様子を奇妙な表情で見つめる佐天

佐天「……どうですか?」

黒子「おいしいですの……」

美琴「ほんと……凄くおいしい……」

36: 2011/08/06(土) 03:09:32.29 ID:lxD91f8E0
佐天「よかった……」

味の感想よりも、抵抗なく飲んでくれた事に胸を撫で下ろす佐天。

黒子「市販の物とは比べ物になりませんわね。」

美琴「うんうん、紅茶にあんまり興味無い人でも好きになりそうな感じがするわ。」

佐天「あの~……お二人に質問なんですけど、もしこの能力を手に入れたら
    どういう風に活用しますか?」

美琴「う~ん……そうねぇ」

黒子「商品として売るのが一番良い気がしますの。」

佐天「そうですよね!やっぱりそれしかないですよね。」

美琴「確かに凄く売れそうね……でもどうやって売るの?」

40: 2011/08/06(土) 03:24:16.99 ID:lxD91f8E0
初春「私はペットボトルに詰めて店頭に並べるよりも、喫茶店で売る方がいいと思うんです。」

佐天「なんで?」

初春「やっぱり香りが凄くいいじゃないですか、だからペットボトルに入れちゃうと魅力半減ですよ!」

初春の発言に黒子と美琴の二人が頷いた。

美琴「確かに……喫茶店からこの香りがしたら入っちゃうかも」

黒子「でも、喫茶店を開業する為には数百万は必要ですわよ?
    アイデアは良いと思いますけど、現実的じゃありませんの。」

佐天「そうかー……資金面の問題があった。」

初春「じゃあ最初は移動販売とかしたらいいんじゃないですか?
    佐天さんも有名になりますし、一石二鳥ですよ!」

佐天「なんかそれ恥ずかしいな……安いよ安いよ~とか言うの?」

41: 2011/08/06(土) 03:45:10.69 ID:lxD91f8E0
黒子「この味なら逆にある程度高くした方が売れると思いますの。」

美琴「安すぎる商品ってなんか怖いもんね、それにしてもやけに現実的な話し合いだけど
    すぐに始める気なの?」

ぼんやりとしたイメージで語っていた佐天は
美琴の鋭い質問にハッとなった。

佐天「実際始めるとなると色々ありますもんね~……
    私はそういうのあんまりわからないしなぁ……」

初春「販売の許可とかは私が取りますよ。
    たぶん大丈夫だと思います。」

佐天「お~、初春かっこいい!」

黒子「初春ならいけそうですわね。」

初春「やっと芽生えた佐天さんの能力ですもんね!頑張りましょうね佐天さん!」

路上で販売するなら喫茶店を開業するほど資金はかからないという事で
美琴がほとんど出資してくれた。
こうして、ミルイコティー(仮名)の販売計画は急ピッチで進められていった。

佐天も自宅で自分なりの能力開発にはげみ、最初の頃よりもずっと甘い香りを
家の隅々まで行き渡らせていた……

42: 2011/08/06(土) 03:46:36.63 ID:lxD91f8E0
明日の為に寝る

43: 2011/08/06(土) 03:48:25.77 ID:QYaVeYrh0
ふむ、明日書き続けるということか

57: 2011/08/06(土) 06:04:41.06 ID:jIVG8KVv0
どの部位が一番強い匂いなんだろうかね

引用: 佐天「ミルクとはちみつの匂いがする能力かぁ……」