1: 2010/08/20(金) 17:30:12.00 ID:xVQ1QvZcP
SSスレ。
設定としては、アニメ・トロイメントが終わってからの続き的な。

全部で70レス(たぶん)   …というわけで投下

2: 2010/08/20(金) 17:31:24.14 ID:xVQ1QvZcP
槐(薔薇水晶を作って以来スランプ続きだったが、
    ようやく納得のいく人形が作れるようになってきた……


   なかでもこのドールは薔薇水晶に匹敵するほど素晴らしい出来栄えだ

      名前は、 そうだな…  )


槐「うん。 この子の名前は△△△にしよう、
             さぁ目覚めるんだ……。」 



     キリキリキリ… 
アリスゲーム
3: 2010/08/20(金) 17:32:59.95 ID:xVQ1QvZcP
 カタ…  カタカタカタ……。




△△△「・・・・。 お……とう…さ……ま? 」

槐「ああ、僕が君を作ったんだ、 美しいよ…△△△。」



△△△「・・お父…様。 嬉しい限りです…

4: 2010/08/20(金) 17:35:12.59 ID:xVQ1QvZcP
槐 (ドールは人形師の思い、すなわち愛で動くことができる。
    思いがそのドールを形作る……


   わが師、ローゼンはアリスを生み出すことこそできなかったが
   薔薇乙女以降、何も人形を作っていないということは
   自分の思い描いたとおりにドールを作り上げることができたのだろうか?


  もしそうなら、未だにドールを作り続けるのをやめない自分はまだ 
                      師を越えていないのではないか? )


△△△「どうしましたか?お父様。」


槐「ああすまない。 …少し考え事をしていたんだ

  そういえば昼食はまだだったな、  一緒に食べるとしよう。」

5: 2010/08/20(金) 17:40:18.39 ID:xVQ1QvZcP
  『 食事が終わった槐達 』


槐「ご馳走様。」

△△△「白崎さん、この紅茶は香り高いですね」

白崎「気に入ってもらえた? 輸入品だからめったに買えないんだよ?」


槐「作業場に戻る…。 後は頼んだ」

白崎「お疲れ様。 程ほどにね……」

6: 2010/08/20(金) 17:42:06.47 ID:xVQ1QvZcP
槐は自分の作ってきたパーツをながめながら考えに耽る。
 


( 僕のドールは完璧なはずだ……



   でもこの満たされぬ感覚は何だ。
   ローゼンメイデン越えたという確たる証拠がないから? ローザミスティカなのか?
   …いや、ローザミスティカは規格が違うし そんなものがなくとも僕のドールは……

  
     試してみるしかない )

7: 2010/08/20(金) 17:44:26.52 ID:xVQ1QvZcP
 ガチャ…

槐「△△△。 話がある……」

△△△「何でしょう?お父様。」


槐「ローゼンメイデンというドールがいて、
     (説明略)
     
  ・・・・そして、闘ってほしい。 もちろんローザミスティカは奪わなくていい
     僕のドールが薔薇乙女を越える実感が欲しいんだ…」


△△△「…それが、お父様のお望みですね……。  わかりました」


そう言って、鏡の向こうへと消えていった。

8: 2010/08/20(金) 17:47:10.91 ID:xVQ1QvZcP
 『 一方、桜田家では 』


雛苺「びぇーーっ!
     すいせーせきがヒナの分も食べちゃったのー!!」

翠星石「うるさいですぅ、
    翠星石はそんな卑しい真似などしないです!」

真紅「ちょっとジュン?  下僕ならなんとか解決なさい」

ジュン「待てよ、 僕は関係ないだろ!?
    それに見てないからどっちに非があるかわからないって」

    (どうせ翠星石が悪いんだろうなぁ……全く)


のり「でも雛ちゃんの分がないってことには変わりないのよねぇ。 どうしよう~……」

雛苺「うゅ~~」

9: 2010/08/20(金) 17:49:22.61 ID:xVQ1QvZcP
ジュン「翠星石、怒らないから白状したらどうだ?」

翠星石「な… チビ人間までぇ。
    こ、こんなのあんまりですぅ~…
           翠星石は本当の本当に食べてないですぅ!」


こうしてお約束のようにジュンと翠星石の口論が展開されるわけだが、これもまたすぐさま打ち消される。


真紅「貴方達、 静かにして頂戴。
   過ぎてしまったことは仕方ないじゃないの!」

のり「そうね~。 これから食後のアイスを出すつもりだったから
   このことはすっかり忘れて、 楽しく食べましょう?」

雛苺「わーい。 アイスなのー!!」

10: 2010/08/20(金) 17:50:22.45 ID:xVQ1QvZcP
    パクパクパク、

雛苺「アイスおいしいの~」


翠星石(ふっふっふ。 目先のアイスで一変するとは
     単純チビチビ苺なのですぅ。


   今回は、 真紅にばっか目がいっているチビ人間の皿に
   チビチビのを移しただけですから、
       翠星石は嘘はついていないのですぅ)

11: 2010/08/20(金) 17:53:19.36 ID:xVQ1QvZcP
翠星石「それにしても寒くないですかぁ?
    エアコンはかけていないみたいですし… 変ですぅ」


ジュン「そうかぁ? アイスを食べているからじゃないのか?

      っていうか、人形のくせに何で気温を感じるんだよ!」

真紅「…もう何度も言っていることよ?
             もの覚えの悪い下僕ね」

ジュン「はいはい、呪い人形ってことだろ。 

    …そう言っているうちにアイスが垂れそうだぞ?」

12: 2010/08/20(金) 17:54:36.93 ID:xVQ1QvZcP
翠星石(まーた、真紅のことはすぐ気にかけてっ)


  「もう知らんですぅ!!  
     ヒキこもるあまり感覚が鈍ったチビ人間にゃわからんことなのですぅ!」


ジュン「なんだとこの性悪人形!
     何度僕に禁句を言うつもりだ!!」  ガダッ

翠星石「ヒッ!」


ジュン「ん、何だよ? そんなに驚かなくてもいいだろ?」

13: 2010/08/20(金) 17:56:18.14 ID:xVQ1QvZcP
翠星石「今庭に誰か居ませんでした?

    …いや、 もう何でもないですぅ。
    翠星石の言っていることは信じないんですからね」

ジュン「そんな事言っても普段の行いがアレだからなぁ…」
    (でもこの様子は何か妙だな)


ジュンは、やはり気になるので何気ない感じで庭を覗き込んでみる

14: 2010/08/20(金) 17:57:43.21 ID:xVQ1QvZcP
翠星石「今庭に誰か居ませんでした?

    …いや、 もう何でもないですぅ。
    翠星石の言っていることは信じないんですからね」

ジュン「そんな事言っても普段の行いがアレだからなぁ…」
    (でもこの様子は何か妙だな)


ジュンは、やはり気になるので何気ない感じで庭を覗き込んでみる

15: 2010/08/20(金) 17:59:13.71 ID:xVQ1QvZcP
ジュン「!!!… おいっ、あの水溜りみたいなのって。もしかして…」

真紅「nのフィールドへの入り口だわ…… やはり誰かいた様。

              嫌な予感がするけれど、来いって事ね」


翠星石「えぇ~と、行くですか? 
    翠星石も嫌な予感がするですぅ…」

雛苺「しんく~。 すいぎんとうなの?」


真紅「考えにくいわ……こんな遠まわりな事。 彼女だったら直接来るもの、

   のり、 雛苺の面倒を見ていて頂戴。 私達三人で行って来るわ…」

のり「え、あ、わかったわぁ。 真紅ちゃん、翠星石ちゃん、ジュン君。
                         みんな気をつけてね……」

16: 2010/08/20(金) 18:05:14.81 ID:xVQ1QvZcP
一行は入り口に飛び込んだ。

着いた先は、nのフィールドに典型的な異空間のようなところではなく、
以前に薔薇水晶を交えて壮絶な闘いをくり広げた館の内部であった。

虚ろに濁った空からは、しだいに地面を覆っていく程の雪が降っていて
館内部が冷凍庫のようになっている感覚すらした。



埃が立ち込めていそうな煙たい空気に、物静かな室内……。


夏の昼間とは遠くかけ離れたその雰囲気に 一瞬当初の目的を忘れかけてしまった。

17: 2010/08/20(金) 18:09:50.94 ID:xVQ1QvZcP
ジュン「寒いな、ここ……。 さっきもこれのせいだったのか」


翠星石「ちょっとは翠星石の言っていることが信じられるようになりましたかぁ?
    言っても仕方がないときは嘘つかないですよ」

ジュン「普段だって嘘ついても仕方がない時のほうが多いけどな~」


翠星石「なっ、こんな状況ですからあまり気を抜くなですぅ。
     大体お前というヤツはいつもい…」
真紅「ジュン。 この建物、覚えているかしら?」

ジュン「え、 そうか… あのときの……。」


思い出すにつれ、悲しみと不安が混じった気持ちになっていく。

18: 2010/08/20(金) 18:12:24.92 ID:xVQ1QvZcP
それからしばらく進んで、ふと目についた通路を歩いていくと、
さらに見覚えのある広間に出た。

かつて水銀燈が薔薇水晶に倒された場所である。


真紅「ここ…。忘れもしないわ」

翠星石「あ、翠星石も心なしか何か感じるものがあるです…」

ジュン「何かあったあったのか?」

真紅「あの時はジュンはまだ来ていなかったわね、  実は…」



丁度そのとき、辺りの気温がさらに急激に下がり、
はっとして全体を見回そうとするが、
                反応する間を与えず氷の巨大剣山が突き上げてきた…。

19: 2010/08/20(金) 18:13:54.15 ID:xVQ1QvZcP
間一髪 直撃は免れるも、第二波第三波と押し寄せる氷の塊に、
真紅は体勢を崩し すっかり無防備状態となった。

そこへ、攻撃の仕掛け主らしい謎の存在が追い討ちをかけに急接近してくる…


ジュン「真紅!!」


ジュンの手は真紅の元へ届かなかったが、
代わりに指輪が力を供給し、シールドのような紅いエネルギー体が真紅を覆い攻撃主を弾いた。


翠星石「一体何者ですか!? 出てきやがれですぅ!」

20: 2010/08/20(金) 18:16:11.44 ID:xVQ1QvZcP
翠星石の声が広間に響き渡り、
音の反響が消え入るようにおさまるとそれは静かに現れた…。

???「ローゼンメイデン…」

真紅「貴方は誰なの!?」

???「わたくしは△△△。 貴方達を越えるためにお呼び致しました。」


そう言うと、氷の剣を沢山出現させ、今度は三人めがけて
飛ばしてきた…。

21: 2010/08/20(金) 18:18:23.50 ID:xVQ1QvZcP
翠星石「そんなもの食らわんです、 スィドリーム!!」

大きなツルを伸ばすと、どうやら到達までに間に合ったらしく
盾となって氷剣を防いだ。
            
       氷は簡単に砕け散った。



翠星石「さぁ、やられたらやり返すです!
    ここからは2体がかりで反撃ですよー」


真紅はローズテイルで標的を追い、
△△△がそれを迎撃しながら回避を続けている。


隙を見て、翠星石がツルで捕らえようとするが それも避けられてしまう。

22: 2010/08/20(金) 18:22:26.64 ID:xVQ1QvZcP
真紅「…くっ、きりがないわ、
   翠星石。 まずは逃げ場をふさぎましょう」


翠星石は頃合を見計らって、ちょっとやそっとでは切り崩せそうな
巨大なツルで移動範囲を削っていった。


翠星石「これでちょこまか動き回れんですよー!
    真紅っ、こやつ実はあまり強くなさそうですぅ」

真紅「油断しては駄目よ? 
            ……一気にたたみかけるわ」


2体は、全力の一撃を決めようとする。
……しかし、急にガクッと力が入らなくなってしまった


気がつくと、ジュンが倒れこんでいた…。

23: 2010/08/20(金) 18:24:06.81 ID:xVQ1QvZcP
翠星石「!!  ジュン……。
       そういえばいつもより力を使っていたかも知れないです」

真紅「それと、きっと寒さで必要以上に体力を奪われてしまっていたのだわ…」


ジュンは力尽きたように横になっているが
まだ意識はわずかにあり、震えが止まらないでいた


ジュン「真紅……翠星…石。」


△△△「確かに貴女方ローゼンメイデンはその媒介から力をもらって
     わたくし以上の能力を持っています…。」

△△△は体勢を立て直し歩み寄る。

24: 2010/08/20(金) 18:25:40.68 ID:xVQ1QvZcP
△△△「ですがどうでしょう? わたくしの、ちょっとの力による攻撃を全力で防いだり、
    中る確証もないまま大技を続けていたら、力の源が枯れてしまいます…。

     温存しておいたわたくしの力で、止めを刺すことに致します」




そう言い寄ると、力が出せず抗うことが困難な状態になった真紅の腕をつかんだ。


           ピキピキピキ……

25: 2010/08/20(金) 18:30:15.54 ID:xVQ1QvZcP
真紅「かはっ……あ…、…」

ジュンも翠星石も疲労から力が出ず、動くことも難しい…。



真紅の肘の球体関節が急速に冷却されていく……。

凍りつき、曲げることができない



冷気は関節の隙間から全体に行き通り、
        真紅を内側から完全冷凍させた。


ジュン「……!!!」


△△△「ふふ、お父様から真紅を傷つけずに連れてくるよう
                頼まれているの。  ……さようなら」
        

26: 2010/08/20(金) 18:32:22.85 ID:xVQ1QvZcP
△△△が後ろへ振り返り、去ろうとする…。


翠星石に目配せをして合図を送っていたジュンは、最後の余力を
彼女に預けることにしようと考えていた。


翠星石が合図に気づき、 一瞬ためらうも、
気づかれないように生やしたツルで△△△に不意打ちを浴びせ
数メートル先までなぎ払うことに成功した。


翠星石「今です!!」

翠星石は出口を開き、二人を引きずりながら駆け込んでいく



その後。 △△△は起き上がり、口惜しそうにしばらくそこにたたずんでいた。

27: 2010/08/20(金) 18:34:08.21 ID:xVQ1QvZcP
のり「あ、翠星石ちゃん。 
      あと二人は…っきゃあ!  どっどうしたの!?」


何とか帰ることができたようだが、ジュンは力をほぼ使い果たし眠ったまま目覚めず、
真紅にいたっては目を見開いたまま固まっている…。


雛苺「ジュン~。 しんくぅ~……」

28: 2010/08/20(金) 18:37:25.57 ID:xVQ1QvZcP
槐「そうか、不意をつかれた隙に…」
△△△「お役に立てず、申し訳ありません」
槐「少し、休むといい。」


槐はうなだれる……


(どうして一歩届かないのだろう!? 僕の完璧なドールが!そんな馬鹿なっ
 ………ミーディアムなのか?一体媒介にどういった意味が…
 僕は僕のドールを誰よりも深く愛している!!
 作ったきりで他の人間に巻かせ続けている師とは違うのに何故!?

  …そういえば、ローゼンメイデンが数百年を超えても存在を
   維持できるのはどういった事なのだろう)


そして、何かにつき動かされるように、
     ふらふらと作業場に向かっていった。

29: 2010/08/20(金) 18:42:33.90 ID:xVQ1QvZcP
雛苺「ジュン起きないのー」

翠星石「真紅は凍らせられてしまったですぅ」


のり「……。二人ともきっと良くなるわよ、
     だから、私達は見守りながら待っていましょう…ね?」

翠星石「のりの言う通りかもしれないです…
    ジュンが元気になれば、 凍った真紅も何とかなると、…そう思うのですぅ」

雛苺「ヒナいい子にして待っているの。
   このうにゅ~もジュンと真紅のためにとっておくのよ」

のり「翠星石ちゃん。雛ちゃんも…

   うん、
   お姉ちゃんも二人が元気になった時のために花丸ハンバーグを用意しておくわね」

30: 2010/08/20(金) 18:46:01.98 ID:xVQ1QvZcP
日はすでに落ち、夜を迎えようとする中
槐は再び新しいドールを作り始めている。


何かを思い浮かべながら作ろうとしているのではなく
不思議と流れこんで来るイメージを、そのまま完成へと向かうように
黙々と製作している…。

31: 2010/08/20(金) 18:47:09.20 ID:xVQ1QvZcP
これが完成したら何かが悟れるのかもしれない。

(わが師、ローゼンは薔薇乙女を最終作品として姿を消した。
 それはいつか考えたように満足がいったからか?
 作っても作っても満たされないから人形制作を続けている…?
 
 別なものを作っているつもりではあるが同じものを求めている気がしてならない。
 自分は何を求めているのだろう?

 しかしこれで……、これで答えが導き出せそうな感覚もある。
                       
                       …もう少しで……)


  作業は深夜も長く続く。

32: 2010/08/20(金) 18:50:37.37 ID:xVQ1QvZcP
翌朝、 桜田ジュンは目を覚まし、
    重たい体をやっとのことで起き上がらせる。


ジュン「うぅん…。

         ……。   戻ってきたんだ…」


翠星石「ジュン。やっと目を覚ましたですか?
    みんな心配…、真紅はまだ凍りづけのままでした。

  
   さぁ、何まだ寝ぼけてるです?
       朝食をとりに食卓に来るですよ」

そう言ってさっと階段を下りていった。

33: 2010/08/20(金) 18:51:17.16 ID:xVQ1QvZcP
(まだ頭がボーっとするな…)

ジュン「ん?真紅!?
    そうだ、あの良くわかんない人形に…」

部屋を見渡すと薔薇乙女の鞄に目がとまった。


開けてみる……。

34: 2010/08/20(金) 18:53:16.87 ID:xVQ1QvZcP
 真紅は中に横たえられていた。


そのまま冷凍されたので、目は開ききったままだ…。
なんだか苦しそうだし、こんな状態見ていられないのだが
まぶたを閉ざしてやるなんて、氏んでしまったものに対して行うみたいな気がして、

結局そのままにすることにした。



徐に鞄を閉じる…。

35: 2010/08/20(金) 18:55:35.64 ID:xVQ1QvZcP
覚束ない足取りで食卓に向かう。

なんだか力という力が湧きあがってこない…。


雛苺「あ! ジュンおはようなのー」

のり「おはよう、ジュン君」



いつものようで、やはりいつものようではない朝食の時間…
雛苺は無邪気に食事を楽しんでいるようだが、
のりと翠星石はどこか気を使って無理に明るさを保っているようにも見える。

36: 2010/08/20(金) 18:56:40.75 ID:xVQ1QvZcP
そんな様子で、ジュンは居心地に違和感を感じているとき
 
    目の前に、フォークに刺された卵焼きが差し出された。


翠星石「ほ、ほら、真紅を助けるにはミーディアムでもあるお前が
    力を使えなかったらあれですから、 翠星石の分も分けてやるですぅ。」


ジュン「えっ?……あ、・・・・サンキュ」


ジュンはそのまま食べさせてもらうのかと、
すんでのところで口を開けるところだったが
それよりも早く翠星石が慌ててジュンの取り皿に卵焼きを置いていった。

37: 2010/08/20(金) 18:57:29.98 ID:xVQ1QvZcP
間を埋めるように翠星石が口を開く、


翠星石「それでですね、その件について後で言っておく事があるのですぅ。」

ジュン「……。 わかった。 食べ終わったら片付けているから
                     先に部屋に戻っていろよ」

38: 2010/08/20(金) 19:00:18.60 ID:xVQ1QvZcP
部屋のドアを開けると、

鞄に安置されている真紅と、それを物寂しそうに見つめる翠星石の姿があった…



ジュン「翠星石……。 真紅は、 どうしたら元に戻るんだ?」

翠星石「この氷はただの氷と違って、時間の経過では解けないみたいですぅ。
    これはあのドールの力によるものなので、 ジュンの力を真紅に与えて中和すれば
    とりあえずは冷凍状態は治ると思うです…。」


ジュン「そっか…。 だから僕に回復しろって言ってたのか、
    悪いけど、今は力が足りなくて助けてやれそうにない」

39: 2010/08/20(金) 19:01:30.41 ID:xVQ1QvZcP
翠星石「あの時… あの時ジュンは真紅に力を使えば
    こんなになるまでは凍らされませんでしたよ?」

ジュン「………。 あんな事たえられなかったんだけど…
    でもあの状況で皆が助かるのには、真紅を解凍するのを先にやっては駄目だと思ったんだ」

翠星石「それで私に…」

ジュン「ああ。 極限状態だからこそ考えられたのかもしれない」


翠(真紅があんな目にあっても……。少しは考えてるですぅ
          いつもいつも真紅ばかりではないのですね)

40: 2010/08/20(金) 19:03:16.44 ID:xVQ1QvZcP
翠星石「まぁ、チビ人間にしては上出来ですぅ
    これで翠星石のありがたみがちょっとはわかったか?ですぅ」

ジュン「なにぃ? 大体お前に力を預けると
    根こそぎ奪われるかもしれなかっただろ?」

翠星石「な、な…。翠星石はチビチビ苺じゃねぇですから
    ちゃんと考えて力を使ったですぅ!  そもそもチビ人間の
    体力がないからこんな事になったです!」

ジュン「あそこは寒かったんだからしかたないだろ
    それと、お前も最初から全力を出しすぎだぞ!?
      ちょっとは僕のことを考えてから力を使えよ」

翠星石「考えたからチビ人間は生きているですぅ、
      少しでも感心した翠星石が馬鹿だったですぅ!」

41: 2010/08/20(金) 19:05:35.32 ID:xVQ1QvZcP
ジュン「ぷっ、なんだよ?
    何だかんだいって僕のこと気にかけて…」

   ガ ン ッ

ジュン「イデーー!  本性表したな性悪人形!」

翠星石「言うにことかいてこの人間はぁ~…。
    真紅を早く何とかしたいのならさっさと寝て回復でもしているです!」

ぷんぷん怒りながら去っていく。


(翠星石… 僕を元気付けようとしてくれたんだよな、 ありがとう。)


ジュンは、少し満足そうにまた眠りについた…

真紅のことは、じきに何とかなるだろう。

46: 2010/08/20(金) 19:45:58.32 ID:xVQ1QvZcP
2日程、 のんびりと休息しながら過ごしてきたので
ジュンはすっかりいつも通りの状態をとりもどした。


ジュン「今日ならいけそうだ…  真紅の解凍やってみよう」

翠星石「いよいよですね。 ちゃんと目覚めるといいのですが……」

雛苺「しんく元気になるのー!」


目を閉じて真紅に力を注ぎ込むことに集中する……
指輪が光を増していく。

ジュン「あ、熱い…」



すると、真紅の周りに立ち込めていた冷気は消えていき、
やがて解凍が済んだようだ。

47: 2010/08/20(金) 19:47:18.04 ID:xVQ1QvZcP
指輪の発光がおさまると、
そこには眼を閉じて眠る、 真紅の姿がある。

ようやく、苦しそうな表情が穏やかで優しい顔に見えた気がした

ジュン「真紅…。」


ゼンマイをまいてみる


       キリキリキリ…

48: 2010/08/20(金) 19:50:02.27 ID:xVQ1QvZcP
しばらく経っても目覚める気配がない。

  ・・・・・。

雛苺「しんく起きないの…」

ジュン「そんな……どうしたんだよ!」


   何度か揺すってみるがやはり反応がない。


翠星石「まさか凍っている間に迷子になってしまったんじゃ…?」


ジュン「おい真紅っ  起きろよ、……僕はここにいるぞ!?
         みんな心配しているんだ!  …だから……。」

翠星石「ジュン……」

雛苺「しんく迷子になっちゃいやー!」

49: 2010/08/20(金) 19:52:06.43 ID:xVQ1QvZcP
今にも涙を落としそうなジュンを見て、翠星石はこらえきれなくなり うつむきながら話す。


翠星石「もし迷子だとしたら、 何か…呼び戻す方法はないものですか……。」

雛苺「あぅ…  えっぐ… …ぐすっ」

のり「ただいまぁー…!?   えっとぉ、みんなどうしたの?」

50: 2010/08/20(金) 19:55:08.94 ID:xVQ1QvZcP
戦いから帰ってきた後のときよりはるかに暗い食卓を囲む…



雛苺「ごちそうさまなの…」

のり「あら雛ちゃん?もういいの?」

翠星石「翠星石もあまり食欲がないですぅ。 もう寝るです」

ジュン「・・・・・。」 ガタ…

のり「みんな…。  真紅ちゃんどうしたらいいのかしら?

  
    ジュン君全然手をつけていない…。」

51: 2010/08/20(金) 19:57:09.13 ID:xVQ1QvZcP
みんなでアイスを食べてから何日たっただろうか?

くんくん探偵の録画もだいぶ溜まっている…


夏休み真っ盛りで、外はセミの鳴き声や賑やかな声が時折聞こえてくるが、
こっちはまだ憂鬱な生活が続きそうだ、

         夏は長い。



  (そういえば宿題全然やっていないや…)

することも特にないので今日は珍しく机に向かうことにする。


  カリカリカリ…

52: 2010/08/20(金) 20:02:10.36 ID:xVQ1QvZcP
遅れを取り戻すよう必氏になっていたためか
気がつくと すっかり夜遅くになっていた…。

もうそろそろ寝ようかと考えながら背伸びをしていると、 
                    
鞄の開く音がした。



(翠星石? どうしてこんな時間に?
       ………と思ったらもう部屋を出て行ったぞ?)


よくわからないが、追ってみることにした。

53: 2010/08/20(金) 20:05:11.49 ID:xVQ1QvZcP
一階に降りて、周囲を探る、

(あれ? 誰もいない?)

    台所の方でカチャカチャと音が聞こえてきた…


(そこにいたから視界に入らなかったのか…)



近づいて覗き込んでみると、

二つのカップに紅茶を注ぐ……   赤いお人形。



久ぶりに見る真紅の「動く」姿だった。


ジュン「真紅!!」

54: 2010/08/20(金) 20:06:22.16 ID:xVQ1QvZcP
真紅「あら、ジュン。降りてきていたのね?
   ちょうど今紅茶を淹れているところだから部屋で待っていて頂戴。」


ジュン「そんなの僕がやるよ、 真紅。一体何があったんだ?」

真紅「それを説明するため。 そして久しぶりにゆっくりお話するために
    紅茶の用意をしていたのだわ」

ジュン「そっか…。 紅茶は僕が運んでおくから
            真紅が部屋で待っててくれよ」

真紅「……そういうい事ならそうさせてもらうわ」



ジュンはテクテクと階段を昇っていく真紅を、トレーにカップを並べながら見送る。

55: 2010/08/20(金) 20:09:11.48 ID:xVQ1QvZcP
    ガチャ

ジュン「もっ、持ってきたぞ?」

真紅「ありがとう… ここにおいて頂戴。」

    お互い向かい合って座る、


ジュン「真紅……。その…久しぶり。」

真紅「ええ、ひさしぶりね」


一口紅茶をすすると真紅は語りだした。


真紅「 私は……ただ眠っていただけ。 迷子になんかなっていないわ
    凍らされて動けなくなっている間は眠れていなかったから
                    その分長く鞄の中で眠っていたの」


ジュン「そうか……良かった。  もう大丈夫なのか?」

真紅「ええ。 心配をかけてしまったわね… ごめんなさい」

56: 2010/08/20(金) 20:11:44.53 ID:xVQ1QvZcP
久しぶりなだけあって空気がぎこちない。
こういうときこそ、「起こすのが遅すぎるわ。考えたらわかるでしょう?」とかなんとか、
そういった言葉を言ってほしい気もする。


真紅「ねぇジュン」

ジュン「ん?」

真紅「私がこれだけ長い間動けなくても自分を見失わないでいられたのは
                        きっとジュンのおかげだわ…

    だって、 貴方の私を呼ぶ声が、
          いつだってちゃんと届いていたもの…」


穏やかに微笑むその顔を見ると、これも久しぶりだからだろうか?
とても美しく見え、思わずドキっとしてしまった。

57: 2010/08/20(金) 20:14:16.18 ID:xVQ1QvZcP
ジュン「真紅……」


動揺を隠すように紅茶を喉に流し込む。

ふと見ると、真紅がこっちを見つめて両腕を伸ばしている…

     「抱っこして頂戴。」



ジュン「…うん。  こうか?」


真紅を抱きかかえると、どこへ行くわけでもないから
そのまま座りなおす。

58: 2010/08/20(金) 20:16:19.84 ID:xVQ1QvZcP
少しどきどきしていると、真紅がまた語りだす、

真紅「ジュン…。 
   私達ローゼンメイデンがなぜ数百年の時を越えても存在を続けられるかわかる?」

ジュン「そんなこと急に聞かれてもわかんないよ」


真紅「そうね…。 私達姉妹は人の思いによって動いているものなの。
   そして次の時代へ眠りにつくとき、 その人との記憶を大事にしまっておくのよ。

   だから、そこから何年経とうと自分を忘れてしまうなんて事がないのだわ…

  ジュンが私や他の姉妹を大切にし続けているように、
         ドールは人間の思いを、時を越えてつなぎ続けるの…」


ジュン「なんかいつもの真紅じゃないみたいだ…」

真紅「おしゃべりが過ぎたかしら? でもこれは貴方に知っておいて欲しかったのだわ。

        こんな時にしか言えないこともあるから……」

59: 2010/08/20(金) 20:19:27.36 ID:xVQ1QvZcP
一通り話を聞くと、安堵とそれから宿題の疲れから眠気がやってきた。

    夢うつつの状態…


ジュンは真紅の温もりを抱きながら深い眠りに落ちていった。


真紅も、そのままジュンに身を預けて静かに眼を閉じる…。

60: 2010/08/20(金) 20:23:50.02 ID:xVQ1QvZcP
朝の目覚めは最悪だった。


フライパンを叩く騒音で目を覚ましかけたところに
              盛大にひっぱたかれたのだ。

翠星石「早く起きやがれです!この寝ぼすけ人間!!」
  
  そう言ってズカズカ一階へ向かっていった。

ジュン「なんだぁ?なんで朝からそんなに怒っているんだよ?」


一階へ降りると、もうみな朝食を終え、くつろいでいる様子だった。
あの性悪人形は相変わらず不機嫌だったけれど……。

61: 2010/08/20(金) 20:25:43.04 ID:xVQ1QvZcP
ジュン「姉ちゃん、あいつどうしたんだよ?」

のり「ふふ、ジュン君おはよう。 真紅ちゃんもすっかり元気になってよかったわ~。

   でも、一晩中抱っこして眠っていたんだものぅ」

ジュン「えっ!?」  (そういえば昨日……、思い出した!)


雛苺「すいせーせき、しっとなのよー」

翠星石「何を言っているですかっ おバカ苺!!
    翠星石はそんなの羨ましくもなんとも思わないですぅ」

真紅「あらジュン、 おはよう。
   貴方がそのまま眠ってしまうのがいけないのよ?」

62: 2010/08/20(金) 20:28:14.28 ID:xVQ1QvZcP
こんな形でとはいえ、ようやく日常を取り戻したようだ…



一連の問題が解決すると今度は根本問題に思考が働く。



ジュン(あの謎のドール… 確かお父様に真紅を連れて行くとか言ってたけど
     何の目的で? こんなこと考えるなんておそらくローゼンではないようだし
     ……!!  ローゼンではないお父様!?
                     もしかしすると…これって……)


ジュン「 真紅。ちょっといいか」

63: 2010/08/20(金) 20:30:10.76 ID:xVQ1QvZcP
槐「ようやく完成したぞ。  僕の至高のドールの三体目…」



槐「名前はもう決めてある。
   僕の燃えさかる情熱を込めて作った人形……  紅蓮だ!!


   目覚めるといい、



          キリキリキリ…

64: 2010/08/20(金) 20:33:16.49 ID:xVQ1QvZcP
ジュンは真紅を引き連れて(といってもバスケットに入れて)家を飛び出した。
槐に会いに行って、彼の真意を聞くためである。

また争いが起こることは想定済みだ、
だが何故未だにこんなことをするのかとい尋ねなければならない気がしたのだ。
          ・
          ・
          ・

ドールショップに辿りつき、真紅をバスケットから降ろす。
定休日と書かれているが……


ドアを押してみると、鍵などかかっていなく簡単に開いた。


作業場から槐が、新たなドールを抱いて現れる。

65: 2010/08/20(金) 20:35:08.51 ID:xVQ1QvZcP
槐「丁度良いところにやって来たな、 真紅とそのミーディアム。」

ジュン「お前、一体何が目的だ!?」

槐「決まっているだろう? 僕のドールがかのローゼンメイデンを
  超えることを証明するためだ。
  ドールが人の思いで動き、薔薇乙女を倒すことができたのならば、
  それは師のローゼンよりも僕の方が人形を愛していたことになる…。」



ジュン「上回るとか超えるとか、 人形に優劣なんてあるものか!
    少なくともこいつら姉妹は誰一人として劣るヤツなんていないんだぞ!?」

真紅「ジュン……。」

66: 2010/08/20(金) 20:36:36.58 ID:xVQ1QvZcP
槐「ついて来るといい。
       その先に僕の求めていた答えがある……」



槐は店に置いてある大きな鏡の中へと入って行き、姿を消した。


真紅「行くわよ、 ジュン。」

ジュン「うん。」       

           二人とも後を追っていく…

68: 2010/08/20(金) 20:41:27.78 ID:xVQ1QvZcP
鏡を通り抜けると、広く優雅な薔薇園へと出た。

薔薇だけでなく、
色とりどりの花や小川が庭園を煌びやかに飾っている…  なんとも美しい景色。


ジュン「ここは…?」

真紅「まぁ…。 どういうことかしら?」


槐「僕のドールが薔薇乙女をはるかに超越するのに相応しい場所…
  だが場所などどうでもいいのかもしれない、


  すべてを焼き払ってしまうのだから!! さぁ 紅蓮!!!」

69: 2010/08/20(金) 20:43:24.81 ID:xVQ1QvZcP
見慣れない謎のドール二体目、 紅蓮が手をかざし、庭園の花々を焼き払っていく…

そして、 炎の勢いが増してくると今度は真紅をめがけて突撃してきた…


 巨大な炎からもはや逃れられそうにない、

    真紅は、竜巻のようなその炎に巻き込まれた。


ジュン「真紅っ!!」

70: 2010/08/20(金) 20:46:25.65 ID:xVQ1QvZcP
凄まじく勢いで渦巻く炎がようやく過ぎ去った後、


見てみると、  意外なことに真紅は無傷であった……


槐「……。 どういうことだ?」



紅蓮は何度も何度も攻撃を真紅に浴びせるが、一向に変わりはない。


力を使い果たし、その場でぐたっと倒れ、ついには動かなくなってしまった…。

71: 2010/08/20(金) 20:47:54.63 ID:xVQ1QvZcP
槐「どうしてだ!! 
  なぜ超えることができない、
    僕の情熱と愛をすべて込めたドールなのにっ!」


真紅「想いがドールを形作る…。
       つまり、そういうことなのね…、」


ジュン「??」


真紅は諭すように槐のもとへコツコツと歩み寄る。

72: 2010/08/20(金) 20:50:39.30 ID:xVQ1QvZcP
真紅「人の想いがドールに反映されるということは、貴方。
   本当にその子を作りたかったのかしら? 
    
     …いいえ、そうではないと思うわ。  貴方が求めてきたものとは…」


ジュン「そういえばこの人形。 真紅に雰囲気や顔つきが
                 似てるなとは思ったけど、」


真紅「そう。 貴方の本当の目的はローゼンメイデンを超えることではなかったと思うの…。

    貴方は……  私を探し求めていたのではなかった?」

73: 2010/08/20(金) 20:53:42.88 ID:xVQ1QvZcP
槐「僕は… 僕は…… うぅ、……。


  そうだったのか…?
  ずっと君の存在に憧れていたのかもしれない。
  君をずっと僕の傍に置いておきたかったのかも知れない。

         本当は、 君なんか壊したくなかったんだ……」



真紅「その気持ちが、あの子に表れてしまったのね。
   もう…、私という形骸だけを追い求めて悲しいドール達を作らないで…

        私ならここにいるわ…。 」

74: 2010/08/20(金) 20:56:25.78 ID:xVQ1QvZcP
槐は真紅を抱きしめた。


 何か、心の底から満たされるような気がしたのと同時に、
             自分が何をやるべきかを悟ったのであった。


槐「真紅、……有難う。 ようやく気づいたんだ…
  僕はローゼンメイデンを超えるドールを作りたかったんじゃない。

  君は、僕の理想に最も近かったから君を求めていたのだけれど、

   本当に欲しかったのは、こうやって愛情を返してくれる僕だけの人形だったんだ…。」

75: 2010/08/20(金) 20:58:54.18 ID:xVQ1QvZcP
槐「ずっと僕の傍にいて、
  僕の愛をすべて受け入れて、  
  それを返してくれる人形……、 それは薔薇水晶。

  今こそ彼女を作り直さなくては…。

  真紅。 君は大切なものを僕に気づかせてくれた。
      君達… ローゼンメイデンも…  いつかきっと……」



言い終わらないうちに、槐は光に包まれながらこのフィールドから消えていく…

真紅はそれを慈愛に溢れた目で見守る…。


いつの間にか、あのド-ルも消えてしまっていた。

76: 2010/08/20(金) 21:00:28.62 ID:xVQ1QvZcP
真紅「さて。 全て解決したみたいだし、一件落着といったところかしら…。
                      ジュン。  何を呆けているの?」

ジュン「え? あ… 、人形師っていうのは何考えているかわからないなぁって思って」

真紅「お父様にも、私達の知りえないことがたくさんある。
   そこは私達姉妹がなんとかしていくべきところね……


    それより、 せっかくこんな素敵な所へ来たのだから
                散歩でもしてから帰りましょう?」

ジュン「こっちの方は焼け焦げちゃってるけどな」

真紅「細かいことはいいのよ。
       
     あら? 向こう側に綺麗な花畑が見えるわ……

               あそこまで抱っこして行って頂戴…」

77: 2010/08/20(金) 21:01:19.36 ID:xVQ1QvZcP
   【人は愛を形にした】

              ~Fin~



79: 2010/08/20(金) 21:11:57.42 ID:JRJDkPeI0


いい話だった

引用: 薔薇乙女 Human formed love