32: 2011/03/05(土) 15:51:17.41 ID:dqnmxYu50
 
「遅刻遅刻遅刻~!!」
 
三月。
冬の寒さもようやく弱まったこの頃、私(わたくし)上条当麻は全力疾走中でございます。
目的地は高校受験会場。四月から高校生となるためにこれまで必氏に勉強してきたのだが・・・
 
「よりによって今日目覚ましが電池切れになるとか、不幸にもほどがあるだろ~!」
 
我が家の目覚まし時計がエネルギー不足による機能不全で、寝坊をしてしまったのである。
 
「これで間に合わなかったら・・・」
 
このことが『あの人』にバレたりしたらと想像し、みるみる顔が真っ青になっていく。
 
「やばいやばいやばい!!」
 
想像の先にいた悪鬼の教育に畏怖し、上条当麻はさらにスピードを上げた。
IS<インフィニット・ストラトス>2 イグニッション・ハーツ (通常版) - PS3
37: 2011/03/05(土) 16:01:26.71 ID:dqnmxYu50
 
「ぜぇ~、ま、間に合ったか!?」
 
目的地の会場アリーナに到着し、受験室前で息を整える上条。
(これで駄目だったら腹をくくるしかない・・・)

「ふぅ・・・よし!」
 
意を決して扉をあけると・・・
 
「・・・あれ?」
 
明かりのついてない目の前に広がる体育館のような場所だった。
 
「・・・」
 
目の前の光景に頭が理解しようとしない――いや、答えは出ているがそれを認めようとしない
 
「ハハハ・・・もしかして上条さんやってしまいましたか・・・」
 
受験会場を間違える―――遅刻どころではすまないことをやってのけてしまった
 

40: 2011/03/05(土) 16:11:18.44 ID:dqnmxYu50
 
「はは、不幸だ―――ん?」
 
最早諦観するしかない現実の中で、上条は見つけた。
 
 
暗いこの場所にたたずむ、一つのモノ
機械ではあるが、人――『女性』を包み込むことで存在を表すモノ
この時代で「力」の在り方、そして男と女の違いを絶対的に変えたモノ
 
 
「すげぇ・・・これ、IS・・・だよな・・・」
 
 


41: 2011/03/05(土) 16:20:26.98 ID:dqnmxYu50
 
上条はたたずむISに近づいた。
最早受験には間に合わない。ならばどうにでもなれ――というのが今の本音だった。
 
「本物・・・だよな。なんでこんなところにあるんだ?」
 
まじまじとISを眺める。
 
「そういえば、これって女性にしか使えないんだよな?なんでだ?」
 
女性にしか使えない――その事実は全世界を、主に男性の存在を揺るがせた。
数年前に起きた事件、『白騎士事件』によってISは世界における絶対的な存在となった。
 
周りをキョロキョロ見渡す上条。
 
「・・・ちょっとだけさわっても大丈夫だよな。どうせ男には使えないんだし」
 
そういって目の前のISに手を伸ばす上条。
 
 
―――直後、

44: 2011/03/05(土) 16:32:35.99 ID:dqnmxYu50
 
「ッ!?ガァ!?」
 
頭を駆け巡る膨大な情報。
あまりの衝撃にISに倒れかかる上条。
 
(な、ンだよこ―れ―――目――の前―廻――って―――ッ!?)
 
そして、目の前が輝きだし、眩しさに目を閉じる――
 
 
「――ん!?・・・なんだ?」
 
発光が落ち着き、瞼を開く上条。
 
 
「はっ?あれ?」
 
目の前は先ほどまでいた体育館と変わらない。
だが――なぜか視点は高くなっていた。
 
「・・・・・・」
 
おそるおそる自分の身体をみる上条。
 
目の前に映るのは―――ISを身に纏った自分の体だった。

48: 2011/03/05(土) 16:43:01.24 ID:dqnmxYu50


「・・・不幸だ」
 
 
四月。
桜が咲き誇り、真新しい生活を迎え入れる季節の中、上条当麻は一人小さくつぶやいた。
彼がいる場所は『IS学園』。その入学式の真っただ中である。
晴々しい式の中、不幸などと場違いな言葉を漏らしたのは彼の境遇にある。
 
見渡す限り女子、女子、女子――女子しかいない。
 
自分の横や後ろにいる女子から受ける数多の視線に、彼は相当参っていた。
 



50: 2011/03/05(土) 16:53:51.90 ID:dqnmxYu50
 
彼は三月に女性しか動かせないISを動かした「唯一の男性」として、全世界を震撼させた。
当然それによって各世界の諜報機関に狙われる恐れがでたため、日本政府は上条当麻をIS学園に入学させることで対策をとった。
そのことに関しては上条は感謝したのだが・・・
 
(さすがの上条さんもこの視線の数には耐えられませんってマジで!)
 
あまりの視線にすでに恐怖している上条であった。
 
 


52: 2011/03/05(土) 17:00:55.36 ID:dqnmxYu50
 
「私が副担任の山田真耶です。みなさんよろしくおねがいします――」
 
入学式も終わり、各クラスへ移動になった時も多くの視線を受けた上条は自分の机でダウンしていた。
クラスになったことで人数は格段に減ったが、それでも視線をうけることに変わりはなかった。
 
(こんな生活が毎日続くのか・・・ヤバい・・・)
 
「――くん、上条当麻くんっ!」
 
「はい゛っ!?」
 
自分の名前を呼ばれ、意識が思考に向いていた上条は反射的に返事をして勢いよく立ち上がった!
 
「だ、大丈夫? び、びっくりさせてごめんね。お、怒ってる? 怒ってるかな? ゴメンね、ゴメンね! でもね、あのね自己紹介、『あ』から始まって今『か』なんだよね。だからね、ご、ゴメンね? 自己紹介してくれるかな?」
 
いつのまにか自己紹介まで話が進んでいたのか、周りをみれば自分の顔をクラス全員が注視していた。
 

54: 2011/03/05(土) 17:07:35.99 ID:dqnmxYu50
 
直接受ける視線に顔をひきつらせ、
 
「かっ上条、当麻です!よろしく、お、お願いしますっ」
 
上擦った声で挨拶をする。
周りをみればまだ女子達は顔を輝かせ続きを待っている。
 
冷汗が出てきた上条は気持ちを落ち着かせるため大きく息を吸い込み、
 
「―――以上!!」
 
声に出した瞬間、周りにいた女子かずっこけた。
 

56: 2011/03/05(土) 17:14:46.61 ID:dqnmxYu50
 
挨拶を終えたことに安心していると、突然頭に衝撃が走った。
それはあまりにも慣れた衝撃で、頭に手をやりながら前を振り向くと当の人物がいた。 
 
 
黒い髪、黒いスーツ、黒いタイトスカート。
長身の身体は鍛え上げてられているのにすらりとしたシルエット。
そして何よりも印象的なのは、釣り上げられた目の放つ獣の如き鋭い眼光だろう。 
 
 
「ちふy」
 
ズバンッ!
 
「ぎょっ!?」
 
二度目の攻撃に机に突っ伏す上条。
 
「学園では織斑先生だ」
 

58: 2011/03/05(土) 17:23:54.32 ID:dqnmxYu50
 
織斑 千冬。
世界で最初のIS『白騎士』の搭乗者で、現在は引退をしている。
引退後にISの指導者になり、今ではこのIS学園で教師をしている。
 
上条とは小さいころからの付き合いだが、ある事件によって彼との関係は深くなったが、それはまた後ほど記する。
 
「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」
 
「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」
 
「い、いえっ。副担任ですから、これくらいはしないと……」
 
山田先生には打って変わって優しい声色で応じる千冬に、先ほどの上条への攻撃をみた生徒たちは苦笑いをする。
ちなみに上条はまだ沈黙している。
 
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。
 私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。
 私の仕事は弱冠一五才を一六才までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
 
有無を言わさぬ断固とした口調に生徒たちも身を正す。
 

 

59: 2011/03/05(土) 17:28:17.38 ID:dqnmxYu50
 
だが、
 
「キャ――――――! 千冬様、本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです! 北九州から!!」
「あの千冬様にご指導いただけるなんて嬉しいです!」
「私、お姉様のためなら氏ねます!」
 
一部の生徒から熱烈の嬌声を浴び、さすがの千冬も呆れ顔になる。
 
「……毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。
 それとも何か? 私のクラスにだけ馬鹿者を集中させてるのか?」
 
騒がしさを増す女子に実の姉は凄まじく鬱陶しそうに顔をしかめた。
 
「で、お前はいつまで寝ている。いい加減起きろ」
 
千冬は出席簿で上条の頭を先ほどよりも軽く叩く。
 
「あで!ハッ!?ここは!?」
 

63: 2011/03/05(土) 18:14:59.64 ID:dqnmxYu50
 
顔を上げた上条は目の前にいる千冬を見て、
 
「ちふ、じゃなかった。織斑先生オハヨウゴザイマス。」
 
「ああ、おはよう」
 
挨拶を交わす二人をみて周りの生徒は、
 
「え……? 上条くんって、千冬様と知り合い……?」
 
「いったいどんな・・・まさか深い関係!?」
 
「それじゃあ世界で唯一男で『IS(アイエス)』を扱えるっていうのもそれが関係して……?」
 
色々な憶測から教室がざわめく。
 
(こ、これはまた上条さんに不幸が降りかかるのでせうか・・・)
 
上条が冷汗をかいていると、
 

64: 2011/03/05(土) 18:24:36.35 ID:dqnmxYu50
 
「静かにしろ!」
 
 
窓際から一人の少女が声をあげた。
 
シン―――と教室は静かになり、声をあげた生徒に注目が向いた。
 
上条も顔を向けると、その少女は既知の人物だった。
 
 
篠ノ之 箒(しののね ほうき)。
小学生の頃、同じクラスで幼馴染の『あいつ』と箒とよく三人で遊んでいた。
しかし四年生の途中で箒は転校してしまい、それ以来会う機会もなかったのだ。
 
 
箒は立ちあがり、
 
「・・・先生方の話は終わっていない。今は静かにしよう」
 
そう言って、一瞬だけ上条と視線を合わせてから席に着いた


68: 2011/03/05(土) 18:37:06.95 ID:dqnmxYu50
 
パン、と千冬は手を鳴らし意識を向けさせ、
 
「さあ、SHR(ショートホームルーム)は終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。
その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか、いいなら返事をしろよ。
よくなくても返事をしろ、私の言葉には返事をしろ」
 
そう言ってホームルームを締めくくった。
 
上条は授業の準備をしながら、箒のことを考えていた。
 
(さっきの目・・・何か俺に言いたそうな目だったな
 しかしえらく別嬪さんになったもn――)
 
バシン!
 
三度目の衝撃が上条の頭に走った。
 
「何時までくだらん事を考えている。授業を始めるぞ馬鹿者が」
 
「・・・・・・不幸だ・・・」
 
自業自得だが、そう言わずには居られなかった上条は再び机の上で沈黙した。
 

 

71: 2011/03/05(土) 18:52:00.32 ID:dqnmxYu50
 
昼休み。
いくつか授業を受けて上条は一つわかったことがある。
それは「何一つわからない」ということだった。
それも当然といえば当然である。
 
本来、IS学園に入学する生徒は当然ながら女子である。
さらに言えば、ISを扱うことを『前提』とした教育を受けている人間である。
もともと普通の高校に行くはずだった上条にISに関する基礎知識など持っているわけはない。
一週間前にIS学園に入学が決まった時にもらった基礎教科書には目を通したものの、
お世辞にも頭がいいとはいえない上条にはほとんど理解できなかったのである。
 
「こんなんで俺本当にやっていけるのか・・・」
 
溜息をつきながら一人ゴチていると、
 
「――すこし、よろしくて?」
 
横から声をかけられた。

73: 2011/03/05(土) 18:59:36.95 ID:dqnmxYu50
 
まず目に入ったのは鮮やかな金髪だった。
次いでその綺麗な蒼い瞳。金髪碧眼――まあ白人の女の子だ。
 
「・・・えーと、どちらさまでしょうか?」
 
上条の気の抜けた返事に白人の少女は―――なんと怒りを表した。
 
「まぁ!なんですのその気の抜けた返事は!?それにわたくしをご存じないと!?」
 
それに対し上条は、記憶を掘り返したが
 
「・・・ごめん、わからないや」
 
結局わからなかった。
 

74: 2011/03/05(土) 19:07:24.56 ID:dqnmxYu50
 
目の前の少女はプルプルと体を震わせ、
 
「いいですわ!ならお教えしましょう!
イギリスの代表候補生にして、入試主席のこのわたくし、セシリア・オルコットと申します!」
 
代表候補生、その名に聞きおぼえがあった上条。
 
「つーことは、貴方様は専用機持ちってことですか?」
 
「そうですわ!わたくしは国家代表IS操縦者の候補生として選出されたエリートなのです!この意味がおわかり?」
 
「とりあえずすげーってことはわかりました」
 
あまりに単純な感想にセシリアはおもわずずっこけた。
 

75: 2011/03/05(土) 19:13:10.89 ID:dqnmxYu50
 
「くっ、本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくすることだけでも奇跡……幸運なのよ。
その現実をもう少し理解していただける?」
 
上条の顔にビシィ、と人差し指をつきつけるセシリア。
 
「はぁ・・・」
 
あまりわかった顔をしていない上条にセシリアは、興味をなくしたかのようにつぶやいた。
 
「…………男でISを操縦できると聞いていましたから、少しくらい知的さを感じさせるかと思っていましたけれど――期待外れでしたわね」
 
その言葉に少しカチンと来た上条。
 

76: 2011/03/05(土) 19:21:55.35 ID:dqnmxYu50
 
「ほぉ~それじゃあセシリアさんは実技入試でさぞかし華麗に教官を倒したのでしょうね!
俺なんか情けない相討ちでしたが」
 
上条はこのIS学園に入学するにあたって、本来なら入試は免除だったのだが、実技だけはやらされていた。
筆記試験においてはやらせてもほぼ白紙になることがわかりきっていたのである。
そしてその実技試験、ISを用いて教官と模擬戦を行うことであった。
実技試験において、重視される評価は教官に勝利することではなく、ISの動かし方や捉え方である。
もっとも、教官を倒すことなど普通はあり得ないのである。
 
上条の言葉を聞いたセシリアは驚愕を露わにした。
 
「・・・なんですって?」
 

77: 2011/03/05(土) 19:31:52.04 ID:dqnmxYu50
 
「きょ、教官を倒したのはわたくしだけと聞きましたが!?」
 
物凄い勢いでセシリアが上条に詰め寄る。
 
「だから相討ちって上条さんは言いましたが」
 
「それでも教官を倒したことには変りないでしょう!?」
 
「まあ、そうなるのか?」
 
ここで上条は当時のことを思い出す。
ISを身に纏ったり軽く動かしたりは何度も政府のお偉い方に見せてきたが、実戦形式で動かすのは初めてのことだった。
そして迎える模擬戦。相対する教官――今思い返せばあれは山田先生ではなかったか?と思いだす。
開始の合図とともに思い切りタックルを仕掛けたら、相手もまったく同じ行動で思いっきり衝突。
そのまま上条と真耶は気絶をした――というのを目覚めてから聞いたのである。
 

78: 2011/03/05(土) 19:38:27.22 ID:dqnmxYu50
 
「じゃあ……あなたも教官を倒したって言うの!?」
 
「いやあれは最早事故のような―――」
 
授業の鐘によって会話が途切れた。
 
「っ! 話の続きはまたあとでしますわ! 逃げないことね!!」
 
セシリアはズバッと上条を指さした後、慌てて席へ戻っていく。
 
そして千冬と真耶が教室に入ってきた。
 

79: 2011/03/05(土) 19:44:29.21 ID:dqnmxYu50
 
「この時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」
 
千冬が教科書を開き説明を始めようとして、何か思い出したように顔を挙げる。
 
「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」
 
生徒たちが少しざわめく。
 
「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まあ、クラス長だな。
ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。
今の時点で大した差はないが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更はないからそのつもりで」
 
(ようするにみんなの期待を背負って頑張らなきゃいけないってことか)
 
そう上条が一人自己完結していると、
 
「はい、上条君がいいと思います」
 
一人の生徒が上条を推薦した。

80: 2011/03/05(土) 19:49:23.10 ID:dqnmxYu50
 
「え?ちょっとm」
 
上条が抗議しようとすると
 
「私もそれがいいと思いまーす」
 
私も私もー、と上条推薦者が増えていった。
 
(いやいやいやいやないって!その選択はないって!)
 
「では候補者は上条当麻……他にはいないか? 自薦他薦は問わないぞ」
 
そういい上条に視線を向ける千冬。若干顔に笑みが浮かんでいた。
 

81: 2011/03/05(土) 20:00:23.39 ID:dqnmxYu50
 
さすがの上条もこれには物申す姿勢で、
 
「いやいやいや!上条さんはISを動かせるってだけで実力とかないですから!
それにうちのクラスにはセシリアさんっていう専用機持ちがいるでしょ!?」
 
ビシィ、とセシリアに指をさす上条。
 
「つまりお前は専用機持ちが代表にふさわしいというのだな?」
 
「もちろんです!」
 
それに対し千冬は
 
「お前にも専用機はあるぞ。学園がお前のために用意してくれたからな」
 
などと爆弾発言をした。
 

 

82: 2011/03/05(土) 20:06:37.43 ID:dqnmxYu50
 
「・・・・・・えっ?」
 
千冬の言葉に固まる上条。
生徒たちのその言葉に一瞬静かになったが、
 
「専用機って――1年の、しかもこの時期に!?」
「やっぱり政府からの直接支援が出てるんだ……」
「いいなぁー……私も早く専用機欲しいなぁー……」
 
驚愕や羨望でまたざわめきだした。
 
「――もしかして上条くんって、本当は凄いんじゃないの?」
「実はずっと昔からISの英才教育を施されてきたって噂、案外本当なのかも……」
「やっぱり上条君でいいんじゃない?」
 
本格的にホームという名のアウェーになってきた上条は打開策を考えるが何も浮かばなかった。
 
そこに、
 
 
「待ってください!納得いきませんわ!!」

83: 2011/03/05(土) 20:12:24.74 ID:dqnmxYu50
 
今まで傍観をしてきたセシリアが声を荒げた。
 
「専用機があるからといって、実力がわたくしの方が上なのは変わりませんわ!
大体、男がクラス代表なんていい恥さらし! 
一年間も――このわたくしが一年間もそんな屈辱を味わうなんて耐えられません!!」
 
プライドが高い彼女は、自分の扱いに言葉をあげずにはいられなかった。
 
「本来実力で決めるべき栄誉あるクラス代表の座を!
ただ物珍しいからという理由だけで極東の猿に決められてはたまったものではありませんッ!!
ISでサーカスの見世物でもやるつもりですか!?」
 
そしてそれは、自分の本音になっていく
 
「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体――」
 
そこで上条は反論した。 
 
ちょっと抜けます

86: 2011/03/05(土) 20:37:47.60 ID:dqnmxYu50
 
「イギリスだって飯がまずいって有名じゃねーか」
 
「なっ!?」
 
上条の一言にセシリアは顔を真っ赤にする。
 
「我が祖国を侮辱しますの?」
 
「お前だって日本を後進的な文化っていったじゃねーか」
 
睨みあう二人。
 
そして―――
 
 
「決闘ですわ!」
 
 
代表候補生とISを扱える唯一の男との決闘が約束された。
 
 

90: 2011/03/05(土) 20:47:59.89 ID:dqnmxYu50
 
「決闘なんて約束しちまったけど、どうすっかねほんと」
 
上条は放課後の教室で一人黄昏ていた。
勢いで決闘を受け入れたが上条はISの扱いにおいてズブの素人である。
それに対して相手は代表候補生。
決闘は一週間後の予定であるが、これから一週間で技術がどうにかなるものではない。
 
「千冬さんに訓練でも・・・いや、あの人の訓練じゃ決闘前に氏ぬな、俺が」
 
どうしたものか、と上条が悩んでいると真耶が教室に入ってきた。
 
「ああ、上条くん。まだ教室にいたんですね。よかったです」
 
「はぁ、何か用ですか山田先生」
 
「えっとですね、寮の部屋が決まりました」
 
「寮?」

92: 2011/03/05(土) 20:55:39.72 ID:dqnmxYu50
 
「あれ? 最初一週間は自宅から通学って話じゃないんですか?」
 
「そうなんですけど、事情が事情なので一時的な処置として部屋割りを無理矢理変更したらしいです。
……上条くん。そのあたりのことって政府(日本政府)から聞いてます?」
 
「いや、特にそんなことは。でも俺荷造りとかしてませんよ」
 
 
「それは私が手配をしておいてやった。ありがたく思え」
 
遅れて千冬が入ってきた。
 
「まあ、生活必需品だけだがな。着替えと、携帯電話の充電器があれば十分だろう」
 
「なんて質素な・・・」
 
隣で真耶が苦笑いをしている。
 

101: 2011/03/05(土) 21:27:20.22 ID:dqnmxYu50
一夏と当麻、千冬は幼馴染。
親に捨てられた後で上条家に引き取られたけど一夏は箒が転校後に事故で氏んじゃってた
事故に居合わせた当麻は一夏を護れなかった後悔、千冬は自分のいないところで一夏を失い、二度も家族がいなくなる悲しみを背負う
一夏が誰かを護る、そのことに憧れを持っていたことを知っていた当麻はその想いを受け継ぎ、絶望していた千冬を立ち直らせ、陰ながら千冬を支えることを決意
千冬は当麻の後悔を知り、立ち直ってから当麻と共に歩んでいくことを決める
 
 
そんな妄想をしていたよ僕は
 

105: 2011/03/05(土) 21:59:41.53 ID:dqnmxYu50
 
いまになって賢者モードですよ。
 
>>102
禁書ファンには多大な誤解を与えてしまいました。ごめんなさい
>>103
いまになってそうすれば原作最初からやらなくて良かったって思いました

112: 2011/03/05(土) 23:38:44.23 ID:5fAzV5Wv0
え!?
終わり!?

引用: 上条「IS学園・・・?」