1: ◆8/Q4k6Af/I 2010/09/29(水) 19:06:32.12 ID:UapqOW8F0
01.


「あ、いたいたあれだな。間違いない。今よりちょっと髪が長いな」
「あ、そうです。あれが涼宮さんです。」

突然だが俺は今、過去に来ている。まあ突然なのは今に始まった事じゃないがな。
もちろん、遊びに来ているわけではない。
今─というか今現在俺がいるこの時空は、七月三十一日のことであり、
俺、つまりジョン・スミスがハルヒ(小)と会ってちょっとたったころである。

「相変わらずぶすっとした顔してんなあ……。」

北高に入学した当時のハルヒの顔を思い出す。
まさに、あんな感じだ。

「今、思えばハルヒも丸くなったなあ……。」
「ふふ、キョン君のおかげですよ。」
「違いますよ。ハルヒが自分で変わっただけです。」

自惚れる訳ではないがハルヒが変わったのは、
少なからず俺のおかげということも含まれているであろう。
つまり今のは謙遜であり、本心ではない。
涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
2: 2010/09/29(水) 19:07:50.80 ID:UapqOW8F0
「それより、長門さんの所へ向かいましょう。」
「あ、そうですね。」

そう言われて当初の目的を思い出す。
まったく、いつも長門のお世話になってんな。

せっかく見つけたハルヒを逃がすのはおしいが、
まず、長門に相談しないとな。

次、次こそは長門に頼られるような場面が欲しいものだ。

3: 2010/09/29(水) 19:10:23.57 ID:UapqOW8F0
00.


『今日、団活が終わっても部室に残ってて欲しいです。』
朝比奈さんは俺のお茶とともに、走り書きしたようなメモを渡してきた。
やれやれ、これも既定事項を満たすようなことをするのだろう。

『了解しました。』
俺はそのメモの下に一文を加えた。
もちろん、走り書きだ。団長さんに気づかれたら困るからな。
ニコッと笑う朝比奈さん。
マイエンジェルの微笑みによって俺の体力は上限を飛び越えてどこか行ってしまった。
糸のような目を見たのだろう、ハルヒがぶすっとした顔で言ってくる、

「あんた、顔が気持ち悪くなっているわよ。」

ハルヒは俺に返答を求めてないらしく、すぐにパソコンのモニタに視線を移す。
その後はいつもどり、ボードゲームで古泉をボコボコにし、長門の本を閉じる音によって終わった。

「じゃあ、あたし帰るから、最後の人戸締りよろしくね。」
「それじゃあ、僕も帰らさせていただきますね。」
「……」

「よかった。自然と二人になれましたね。じゃあ時間もないので、早くやっちゃいますね。」

自然と意識が遠のく─またTPDDを使って眠らされたのだろう。

4: 2010/09/29(水) 19:10:55.87 ID:UapqOW8F0
「えーあ、俺だ。キョンって言えばわかるか?」
「……入って」

そういわれて相変わらず何もない部屋へ通される。
まあ過去だから当然か。
ちなみにこの長門は同期してるため今の長門となんら変わらない。
お茶を出される。最初に長門の部屋へ入った時と同じお茶だ。

「とりあえず、俺はここに連れてこられた理由を知りたいんだが……」
「あ、私から説明します。えーと、涼宮さんの精神状態が中学生の頃不安定だったってのは聞いてますよね?」
「ああ、古泉が大変だったって言ってましたね……。」
「それです!!」
「えっ?」
「なにから、説明していいのかわかんないんですけど。ジョン・スミス─つまりキョン君ですね。
実は涼宮さん七夕の翌日にもジョンに会えるかも─と思って東中のグラウンドに行ったんですね、
だけど、ジョンは現れなかった。それですごくイライラしてるんですよ。っていうわけです。」
「なにもわかんないですけど……」

5: 2010/09/29(水) 19:12:01.76 ID:UapqOW8F0
「要するに、古泉一樹の負担を減らすため、涼宮ハルヒのイライラを解消しなければならない…」
「なるほどそういうことか、でも古泉は何もしなくても大丈夫なんじゃないのか?」
「それも、また既定事項……古泉一樹に負傷されては困る。」

なるほど、そういうことか。最初から長門に聞けばよかったな……
要するにあれだろ、ハルヒのご機嫌をとれっていうことだろ。
すっかり、ご機嫌取りとしてつかわれてんな、俺

「だいたいのことはわかりましたが、具体的になにをすればいいんですか?」
「そこです!!キョン君には、涼宮さんの夏休みを楽しくしてあげればいいんです。
端的にいえば涼宮さんと遊んであげてくださいっていうことです。」

「長門、それでいいのか?」
「いい。」

なるほどな、俺は過去に戻ってまで、ハルヒのイライラを解消しなければいけないんだな。
ただ疑問が残る。

「俺、たぶんジョン・スミスって一発でばれますよ。」
「問題ない。私の情報操作で彼女の記憶を一部消す。」

長門のご都合主義パワーが炸裂ってことか……

8: 2010/09/29(水) 19:17:07.42 ID:UapqOW8F0
03.


「お嬢ちゃん、たこ焼き一個くれないか?」
じとっとした目で振り返る女の子
「あれ、あんたあたしと会ったことあるかしら?
正確に言うと七夕の日」
「いや、知らないな、それよりたこ焼きくれるのか?くれないのか?」
ちょっとがっかりした顔をする女の子─言うまでもなくハルヒだ。
「あげないわよ!その辺の砂利でも食ってなさい!」

そう言い残すと去っていった。
おっと、ハルヒを見逃したらいけないんだった。
すぐにハルヒを見つけることができた。
射的の屋台でおっちゃんと口論している。

「おっちゃん、これ本当に落ちるの?さっきからビクともしないんだけど。」
「落ちるさ、落ちるとも。だけど、お嬢ちゃん下手糞だね。」

ハルヒは顔を赤くしている。取りたいのは大人の足ぐらいの大きさのクマの人形だった。
もっとも、欲しいのではなく、落としたいだけだろう。
何発も当ててるようでパッケージに凹みができている。

9: 2010/09/29(水) 19:21:49.74 ID:UapqOW8F0
「あまいぜ、お嬢ちゃん。見てな」
そういいながら俺はおっちゃんに金を渡す。
銃を受け取り照準をつける。
撃つ。
クマは倒れる。

おっちゃんもハルヒも驚いてる。
おっちゃんの驚きからして、重りでも突っ込んでやがったな。
説明をしとくと、長門の宇宙人的援助を受けてるので、今の俺に敵はいない。

ハルヒの顔の前に指を持っていき、ちっちっちと舌を鳴らす。
安い挑発だったがこれだけでハルヒは乗ってきた。

「ほ、他にも勝負よ!そうねー金魚すくいで勝負よ!」
「望む所だ。」

10: 2010/09/29(水) 19:24:30.75 ID:UapqOW8F0
その日俺は、ハルヒと一日遊び倒した。
楽しかった。すごく楽しかった。
「おい、ハルヒ、花火やるぞ、花火」
「待って!そういえばあたしまだあんたの名前聞いてないわ」
「俺の名前か?俺の名前は─そうだな桃太郎だ」
「ふざけないで」
「まあ、匿名希望ってことにしといてくれ、」
「あんたやっぱり、いや─なんでもないわ花火しましょ。」

11: 2010/09/29(水) 19:30:36.13 ID:UapqOW8F0
04.


「ハルヒ、明日空いてるか?」
「空いてるわよ。」
「セミ取り行くぞ、セミ多くとったほうが、一日命令できるそれでどうだ?」
「望む所よ」
ハルヒは100Wの笑顔をしながら言った。
「じゃあ明日九時駅前な、遅れたら──罰金だからな。」

その日俺は長門の家に泊まった。

次の日駅前へ行くと、ハルヒが立っていた、
そして笑顔を振りまきながら…
「遅い、罰金!」
中学生におごらさせるわけいかないだろ、そういうことだ

うだるような暑さとともにセミが鳴く
暑いのにご苦労なこった。

13: 2010/09/29(水) 19:35:36.02 ID:UapqOW8F0
結局、一匹の差で俺の勝ちとなった
「やっぱり、キャッチアンドリリースの精神は必要だな、」
そういって虫かごを開ける。
「あ、せっかく捕まえたのに…」
「もしかしたら、セミが恩返しに来るかもしれないだろ。」
「一方的に捕まえて逃がして恩返しにきたらそれこそ虫並の知能ね。」

昔のほうが大人だなハルヒよ

「明日はバッティングセンターへ行くぞ!」
「いいわよ。」
ハルヒも楽しそうだった。

14: 2010/09/29(水) 19:41:22.97 ID:UapqOW8F0
カーン、カーン
相変わらずのバッティングだ。
「やるな」
「当然でしょ」

そのかわり、俺のバッティングはひどかった。
スカッ、スカッ、
別に勝負ではないので、長門の力は使わない。

「もっと腰入れて打つのよ。」
スカッ、スカッ、
なおらない。
「おいハルヒ、そっちのバット貸してくれ。」
「うわ男らしくない…」
スカッ、スカッ、

才能はない


16: 2010/09/29(水) 19:48:16.77 ID:UapqOW8F0
「ハルヒもう帰らないか?」
自分が打てないので楽しくない。
ハルヒはたのしそうだったが、俺の言うことを聞いた。

「明日はどこ行くの?」
「そうだな、バイトするぞ!」

バイトの説明をし、わかれる。

「相変わらず涼宮さんと仲いいですねえ。」
「いや別に、子供ハルヒはかわいいぞ。」

「……そうですか、キョン君幼女性愛者だったんですね。」
「違う!話が飛躍している。」


17: 2010/09/29(水) 19:49:25.18 ID:UapqOW8F0
なんか文がおかしくなってきたんで
文の構成再確認してきます

18: 2010/09/29(水) 20:00:04.07 ID:UapqOW8F0
「遅い、昨日、楽しみすぎて眠れなかったんだからね。」
「お前…かわいいな。」
「な、何バカ言ってんのよ。」
当然でしょと言うハルヒの顔は赤かった。

「じゃあ行くぞ」

―――――

「暑い~あんたに騙されたわ。」
「カエルかわいかったぞ」
「あんた口リコンなのね…怒る気にもなれないわ」

いっておくが俺に口リコンのきはない。
ただハルヒと遊ぶのは楽しかったが…

ハルヒはアイスを食べ終え、手を差し出してくる。
「何だ?」
「バイト代よ バ イ ト 代」
「ああそれなら、アイスあげたろ。」
「は?」

仕返しだこの野朗

20: 2010/09/29(水) 20:06:24.61 ID:UapqOW8F0
その後もいろんなとこへ行った。
ハゼ釣り大会、映画館、天体観測、野鳥観察。

そしてあっという間に夏休みは過ぎ、
七月三十日となった。
いつもの喫茶店、無論俺にとってだが、

「おいハルヒ、言いたい事がある。」
「何よ?」
「お別れだ。」
「……」
何も言わないハルヒ、だがこいつはずいぶん前から気づいてるきがした。

「わかってるわよ……。」
「お前と過ごした三十日間楽しかったぞ。」
「わかってるわよ……。」

21: 2010/09/29(水) 20:11:59.88 ID:UapqOW8F0
「実は俺ジョン・スミスなんだ。」
「………わかってるわよ。」
「……いつから気づいてた?」
最初からよと微笑むハルヒ
今になってコイツの記憶を消したくなくなった。

――――わかってる長門、思っただけだ。
それはやっちゃいけないことだし、やらないべきだ。

「最後になったが、ハルヒ高校生になったら、―――友達の宿題手伝ってやれよ。」
「じゃあな、ハルヒ今日はお前がおごってくれ、――――いつか返す。」

じゃあなハルヒ
そんでありがとう

長門よろしく

25: 2010/09/29(水) 20:48:19.40 ID:UapqOW8F0
後日談

俺はいつものように、妹に起こされ、
いつものように朝食を食べて、
いつものように、坂道を駆け上って
いつものように、ハルヒと会った。

「ほらよ、いつかの千円だ。お釣りはいらないぜ」
「はあ?何言ってんの?」

「…それと、夏休みの課題手伝ってくれてありがとな。」
「……感謝しなさいよ。」





「……それと、たこ焼きくれてありがとな」

ふぃん

26: 2010/09/29(水) 20:50:42.31 ID:UapqOW8F0
ノドアメの影響うけて書いたSSでした。
ノドアメ更新がんばってー

読んでくださった方ありがとうございました。

29: 2010/09/29(水) 21:11:37.29 ID:TF1GdKvEO

引用: 涼宮ハルヒの思い出