1: 2015/10/07(水) 00:34:45.72 ID:gdFl4fHb0
★このSSはダンガンロンパとスーパードクターKのクロスSSです。
★クロスSSのため原作との設定違いが多々あります。ネタバレ注意。
★手術シーンや医療知識が時々出てきますが、正確かは保証出来ません。
★原作を知らなくてもなるべくわかるように書きます。


~あらすじ~

超高校級の才能を持つ選ばれた生徒しか入れず、卒業すれば成功を約束されるという希望ヶ峰学園。

苗木誠達15人の超高校級の生徒は、その希望ヶ峰学園に入学すると同時に
ぬいぐるみのような物体“モノクマ”により学園へ監禁、共同生活を強いられることになる。

学園を出るための方法は唯一つ。誰にもバレずに他の誰かを頃し『卒業』すること――

モノクマが残酷なルールを告げた時、その場に乱入する男がいた。世界一の頭脳と肉体を持つ男・ドクターK。
彼は臨時の校医としてこの学園に赴任していたのだ。黒幕の奇襲を生き抜いたKは囚われの生徒達を
救おうとするが、怪我の後遺症で記憶の一部を失い、そこを突いた黒幕により内通者に仕立てあげられる。

なんとか誤解は解けたものの、生徒達に警戒され思うように動けない中、第一の事件が発生した……


次々と発生する事件。止まらない負の連鎖。

生徒達の友情、成長、疑心、思惑、そして裏切り――

果たして、Kは無事生徒達を救い出せるのか?!


――今ここに、神技のメスが再び閃く!!



初代スレ:
苗木「…え? この人が校医?!」霧切「ドクターKよ」【前編】
苗木「…え? この人が校医?!」霧切「ドクターKよ」【後編】

二代目スレ:
桑田「俺達のせんせーは最強だ!」石丸「西城先生…またの名をドクターK!」カルテ.2【前編】
桑田「俺達のせんせーは最強だ!」石丸「西城先生…またの名をドクターK!」カルテ.2【中編】

桑田「俺達のせんせーは最強だ!」石丸「西城先生…またの名をドクターK!」カルテ.2【後編】

三代目スレ:
大和田「俺達は諦めねえ!」舞園「ドクターK…力を貸して下さい」不二咲「カルテ.3だよぉ」【前編】
大和田「俺達は諦めねえ!」舞園「ドクターK…力を貸して下さい」不二咲「カルテ.3だよぉ」【中編】
大和田「俺達は諦めねえ!」舞園「ドクターK…力を貸して下さい」不二咲「カルテ.3だよぉ」【後編】

四代目スレ:
セレス「勝負ですわ、ドクターK」葉隠「未来が…視えねえ」山田「カルテ.4ですぞ!」【前編】
セレス「勝負ですわ、ドクターK」葉隠「未来が…視えねえ」山田「カルテ.4ですぞ!」【中編】
セレス「勝負ですわ、ドクターK」葉隠「未来が…視えねえ」山田「カルテ.4ですぞ!」【後編】

前スレ:
十神「愚民が…!」腐川「医者なら救ってみなさいよ、ドクターK!」ジェノ「カルテ.5ォ!」【前編】
十神「愚民が…!」腐川「医者なら救ってみなさいよ、ドクターK!」ジェノ「カルテ.5ォ!」【中編】
十神「愚民が…!」腐川「医者なら救ってみなさいよ、ドクターK!」ジェノ「カルテ.5ォ!」【後編】


ダンガンロンパ1・2 Reload 超高校級の公式設定資料集 -再装填- (ファミ通の攻略本)

3: 2015/10/07(水) 00:36:31.65 ID:gdFl4fHb0

☆ダンガンロンパ:言わずと知れた大人気推理アドベンチャーゲーム。

 登場人物は公式サイトをチェック!
 …でもアニメ一話がニコニコ動画で無料で見られるためそちらを見た方が早い。
 個性的で魅力的なキャラクター達なので、一話見たら大体覚えられます。


☆スーパードクターK:かつて週刊少年マガジンで1988年から十年間連載していた名作医療漫画。

 KAZUYA:スーパードクターKの主人公。本名は西城カズヤ。このSSでは32歳。2メートル近い長身と
       筋骨隆々とした肉体を持つ最強の男にして世界最高峰の医師。執刀技術は特Aランク。
       鋭い洞察力と分析力で外の状況やこの事件の真相をいち早く見抜くが、現在は大苦戦中。


4: 2015/10/07(水) 00:37:24.70 ID:gdFl4fHb0

《自由行動について》

安価でKの行動を決定することが出来る。生徒に会えばその生徒との親密度が上がる。
また場所選択では仲間の生徒の部屋にも行くことが出来、色々と良い事が起こる。
ただし、同じ生徒の部屋に行けるのは一章につき一度のみ。


《仲間システムについて》

一定以上の親密度と特殊イベント発生により生徒がKの仲間になる。
仲間になると生徒が自分からKに会いに来たりイベントを発生させるため
貴重な自由行動を消費しなくても勝手に親密度が上がる。

またKの頼みを積極的に引き受けてくれたり、生徒の特有スキルが事件発生時に
役に立つこともある。より多くの生徒を仲間にすることがグッドエンドへの鍵である。


・現在の親密度(名前は親密度の高い順)

【カンスト】石丸 、桑田

【凄く良い】苗木、不二咲、大和田

【かなり良い】舞園、朝日奈、腐川 、ジェノサイダー

【結構良い】霧切、大神

【そこそこ良い】セレス、山田、葉隠

【普通】十神


     ~~~~~

【江ノ島への警戒度】かなり高い


5: 2015/10/07(水) 00:43:32.12 ID:gdFl4fHb0

人物紹介(このSSでのネタバレ付き)

・西城 カズヤ : 超国家級の医師(KAZUYA、ドクターK)

 学園長たっての願いで希望ヶ峰学園に短期間赴任しており、この事件に巻き込まれた。
失った記憶を少しずつ取り戻しながら、希望ヶ峰学園の謎に迫り生徒達と絆を結んでいく。
閉鎖されたこの学園で“唯一の大人”であり生徒のためなら自ら犠牲になることも辞さない。

半数近くの生徒を手術で救い苗木と石丸に医療技術を仕込むが、モノクマに危険視されている。


・苗木 誠 : 超高校級の幸運

 頭脳・容姿・運動神経全てが平均的でとにかく平凡な高校生。希望ヶ峰学園には
超高校級の幸運と呼ばれる、いわゆる抽選枠で選ばれた。自分は平凡だと謙遜するが、
K曰く超高校級のコミュニケーション能力の持ち主で誰とでも仲良くなれる特技がある。
石丸と共に医者を目指すことを決意し、現在はKの指導を受けている。とにかく前向き。


・桑田 怜恩 : 超高校級の野球選手

 類稀な天才的運動能力の持ち主。野球選手のくせに大の野球嫌いで努力嫌い、女の子が
大好きという超高校級のチャラ男でもあった。……が、舞園に命を狙われたことを契機に
自分が周囲からどう見られていたかを知り、真剣に身の振り方を考え始める。その後、
命の恩人で何かと助けてくれるKにすっかり懐き、今はだいぶ真面目で熱い性格となった。


・舞園 さやか : 超高校級のアイドル

 国民的アイドルグループでセンターマイクを務める美少女。謙虚で誰に対しても儀正しく
非の打ち所のないアイドルだが、今の地位に辿り着くまでに凄まじい努力をしており、芸能界を
軽んじる桑田が嫌いだった。真面目すぎるが故に自分を追い詰める所があり、皮肉にも最初に
事件を起こす。その後も自分を責め続け、とうとう限界を迎えた彼女は舞園さやかという一人の
人間を封印。「脱出のための駒」としての自分を演じることにし、現在は精力的に動いている。


・石丸 清多夏 : 超高校級の風紀委員

 有名進学校出身にして全国模試不動の一位を誇る秀才。真面目だが規律にうるさく融通が効かない。
苗木を除けば唯一才能を持たない凡人である。努力で今の地位を築いたため、努力を軽視する人間を嫌う。
堅すぎる性格故に長年友人がいなかったが、大和田とは兄弟と呼び合う程の深い仲になった。
 大和田の起こした事件で顔と心に大きな傷を負い一度は廃人となるが、仲間達の熱い友情により
無事復活。現在は尊敬するKAZUYAに憧れ医学の猛勉強を行っているが……不器用なのが玉にキズ。


6: 2015/10/07(水) 00:46:33.34 ID:gdFl4fHb0

・大和田 紋土 : 超高校級の暴走族

 日本最大の暴走族の総長。短気ですぐ手が出るが、基本的には男らしく面倒見の良い兄貴分である。
石丸とは最初こそ仲が悪かったが、後に相手の強さをお互いに認め合い義兄弟の契りを交わした。
 実兄を事故で氏なせたことを隠していた弱さがコンプレックスであり、不二咲の内面の強さに嫉妬し
事件を起こすが、後に自ら秘密を告白し弱さを克服した。石丸の顔に傷をつけたこと、第三の事件を
誘発し不二咲を危険な目に遭わせたことを後悔しているが、自分なりに償っていく決意をした。


・不二咲 千尋 : 超高校級のプログラマー

 世界的な天才プログラマー。その技術は自身の擬似人格プログラム・アルターエゴを作り出す程である。
小柄で愛らしい容姿をした女性……と思いきや、実は男。男らしくないと言われるのがコンプレックスで
今までずっと女装して逃避していた。秘密暴露を切欠に強くなろうと決意したが、その精神的な強さが
大和田のコンプレックスを刺激し、殺されかける。石丸が自分を庇って怪我を負ったことに責任を感じ、
単独行動を取った結果ジェノサイダー翔に襲われ氏にかけるが、友情の力でギリギリ蘇生した。


・朝日奈 葵 : 超高校級のスイマー

 次々と記録を塗り替える期待のアスリート。恵まれた容姿や体型、明るい性格でファンも多い。
食べることが好きで、特にドーナツは大好物である。あまり考えることは得意ではないが、直感は鋭い。
 モノクマの内通者発言により仲間達に疑われたことでとうとう不満が爆発し、KAZUYAとも衝突するが
お互いに本音をぶつけあったことで和解。現在は苗木達同様、KAZUYAの派閥に入っている。


・大神 さくら : 超高校級の格闘家

 女性でありながら全米総合格闘技の大会で優勝した猛者。外見は非常に厳つく冷静だが、内面は
女子高生らしい気遣いや繊細さを持っている。由緒正しい道場の跡取り娘であり、地上最強の座を求め
日々鍛錬している……が、実は内通者。モノクマに道場の人間を人質に取られており、指令が下れば
殺人を犯さなければならない立場にある。覚悟を決めているが、同時に割り切れない感情も感じている。


・セレスティア・ルーデンベルク : 超高校級のギャンブラー

 栃木県宇都宮出身、本名・安広多恵子。ゴシック口リータファッションの美少女である。徹底的に
西洋かぶれで自分は白人だと言い張っている。いつも意味深な微笑みを浮かべ一見優雅な佇まいだが、
非常な毒舌家でありキレると 暴言を吐く。穏健派の振りをしているが、実は脱出したくてたまらず
常にチャンスを窺っていた。KAZUYAに好感を持っているのか唯一のCランク認定をする。

前々から怪しい雰囲気でいよいよ動くかと思われたが、逆に因果応報か葉隠に刺されてしまった。


・山田 一二三 : 超高校級の同人作家

 自称・全ての始まりにして終わりなる者。コミケ一の売れっ子作家でオタク界の帝王的存在。
セレスからは召使い扱いで毎日こき使われている。 普段は明るく気のいいヤツだが実は臆病で
プライドの高い一面もあり、密かに周囲の人間に対し引け目を感じていた。特に、殺人を図った
メンバーが活躍することに嫉妬しており、それが原因でメンバー全員を巻き込む大騒動を
引き起こしたことも。娯楽室で襲われ、KAZUYAの手術を受けたが現在は昏睡状態である……


7: 2015/10/07(水) 00:49:48.72 ID:gdFl4fHb0

・十神 白夜 : 超高校級の御曹司

 世界を統べる一族・十神家の跡取り。頭脳・容姿・運動神経全てがパーフェクトの超高校級の完璧。
デイトレードで稼いだ四百億の個人資産を持っている。しかし、全てを見下した傲慢な態度で周囲と
何度も衝突を繰り返し、コロシアイをゲームと言い放つなど人間性にはかなり問題がある。初めて
学級裁判が起こった三度目の事件では、自ら事件を撹乱してKAZUYA達に直接攻撃を仕掛けた危険人物。


・腐川 冬子 : 超高校級の文学少女

 書いた小説は軒並みヒットして賞も総ナメの超売れっ子女流作家……なのだが、家庭や過去の
人間関係に恵まれず暗い少女時代だったために、すっかり自虐的で卑屈な性格になってしまった。
十神が好きで、いつも後を追いかけている。実は二重人格であり、裏の人格は連続猟奇殺人犯
「ジェノサイダー翔」。翔が事件を起こしたことがショックで閉じこもっていたが、今は少しずつ
メンバーに心を開いてきている。熱心に自分の面倒を見てくれるKAZUYAに好意を持っており……?


・ジェノサイダー翔 : 超高校級の殺人鬼

 腐川の裏人格であり、萌える男をハサミで磔にして頃す殺人鬼。腐川とは真逆の性格でとにかく
テンションが高くポジティブ。重度の腐女子。乱暴だが頭の回転は非常に早く、味方にすると頼もしい。
腐川とは知識と感情は共有しているが記憶は共有しておらず、腐川の消された記憶も保持している。
コロシアイが起こる以前、自分と腐川に親身だったKAZUYAに好感を持っており友好的である。


・江ノ島 盾子 : 超高校級のギャル

 大人気モデルで女子高生達のカリスマ……は本物の江ノ島盾子の方で、彼女はその双子の姉である。
本名は戦刃むくろといい、超高校級の軍人だった。天才的戦闘能力を誇るが、頭はあまり回らず全く
気が利かないため残念な姉、残姉と妹からは呼ばれている。このコロシアイ学園生活のもう一人の内通者。
ちなみに、色々と残念すぎるためKAZUYAと桑田からは既に正体を看破され霧切らにもかなり怪しまれている。


・葉隠 康比呂 : 超高校級の占い師

 どんなことも三割の確率でピタリと当てる天才占い師。事情があって三ダブし、高校生だが成人である。
飄々として常にマイペース、KAZUYAからは掴み所がないと評されている。普段は割りと 落ち着いているが、
非常に臆病ですぐパニックになる悪癖がある。 また、自分の保身第一であり、借金返済のために友人を
利用しようとする面も……。どうせ外れだと思っているが、大神が内通者だというインスピレーションを得た。

精神的に不安定な場面が過去にも見られたが、とうとう事件を起こしてしまう。果たして逃げ切れるのか?


・霧切響子 : 超高校級の探偵

 学園長の娘にして、名門探偵一族霧切家の人間。初めは記憶喪失で名前以外何も思い出せなかった。
KAZUYAがたまたま霧切について知っていたため、現在は順調に記憶が回復している。いつも冷静沈着で
洞察力も鋭く、的確な指示をするためKAZUYA派の中では副リーダー兼参謀的役割を担っている。
手に火傷の痕がありKAZUYAに手術してもらったが、すぐには治らないのでまだ当分手袋は外せない。


・モノクマ

 コロシアイ学園生活のマスコットにして学園長。苗木達を監禁しコロシアイを強制している
黒幕である。中の人は超高校級の絶望・江ノ島盾子。人の心の弱い部分やコンプレックスを突くのが
得意で、このSSでは幾度も生徒達の心を踏みにじってきた最強のラスボス。 強靭な精神力と
高い医療技術を持つKAZUYAがそろそろ真剣に邪魔になってきており、どうするか思案中である。


8: 2015/10/07(水) 00:52:34.16 ID:gdFl4fHb0

テンプレ作成によもや二時間かかるとは……

本編は週末くらいを予定。もう少し待っててください。


13: 2015/10/12(月) 20:50:54.35 ID:v8LW3hd60
>>11
ありがとうございます。1はちょっと体弱いので気をつけつつ再開します

>>12
いらっしゃいませ。裁判始まれば書き溜めがあるから安定投下出来る…はず


それでは新スレ一発目にして久しぶりの投下……再開

14: 2015/10/12(月) 20:53:45.31 ID:v8LW3hd60

― コロシアイ学園生活四十日目 保健室AM9:12 ―


事件から三日が経つ――。

また以前のような気まずい生活が戻って来てしまった。
あの時よりは仲間意識を持つ生徒もだいぶ増え、お互いに支え合い協力してきたから
まだマシな状況であったが、それでも裁判を控えどこかピリピリとしていた。

KAZUYAに至っては山田とセレス二人を同時に看なければならず、山田は巨体で絶対安静、
セレスは女性と神経を遣うことが多かったので、少しやつれて顔色も悪い。


苗木「先生、持って来ました」

K「すまんな」


苗木はKAZUYAに頼まれた本をドサドサと机の上に置く。


石丸「先生は保健室から離れられないのですから、僕達がお手伝いするのは当然です!」

不二咲「気軽に頼んでくださいねぇ」

セレス「何を持ってきたのですか?」

K「ちょっとな」


手前のベッドに寝ていたセレスが声を掛けた。本来個室以外で生徒の就寝は許されていないが、
山田を動かせないことと二人一緒に様子を看た方が楽だというKAZUYAからの要望で、
モノクマと交渉し特別に許してもらったのだった。


霧切(……奇妙な話ね。ドクターが山田君を手術して、モノクマは明らかに不機嫌だった。
    それなのにあっさりとドクターの要求を呑むなんて、何を企んでいるのかしら)

霧切(今度の裁判で何か仕掛けるつもり? いえ、もう既に何か仕込んでいるのかも……)

苗木「霧切さん、どうかしたの? 何か考えてるみたいだけど」

霧切「別に。何でもないわ」


15: 2015/10/12(月) 21:06:03.29 ID:v8LW3hd60

苗木「そう? ならいいけど、何だか怖い顔をしてたから」

霧切「もうすぐ捜査が解禁されるから集中してただけよ」

セレス「事件の真相は全てわたくしが語った通りですのに、まだ調べるのですか?」

K「いくら証言があっても、証拠もなしに有罪には出来んだろう?
  告発するからには、我々はきちんと調べる義務がある」

セレス「真面目ですのね?」


セレスからは既に事情聴取が済んでいる。

彼女曰く、忘れ物を取りに娯楽室に向かったら葉隠が山田を襲っている現場に遭遇した。
葉隠は目撃者である自分を消すために腹部を刺し逃亡したとのことだった。


K「今の段階では、山田と葉隠の間に何があったのか全くわからない。本人に聞くのが
  一番だが、葉隠の性格的にどこまで正直に話すか怪しいしな。現場検証は必要だ」

セレス「そうですわね。それではよろしくお願いしますわ、皆さん」


疲れたのか、そう言ってセレスは目を閉じる。


苗木(それにしても、何に使うんだろうこの本。これって……)

K「すまん。少しだけ離れる。山田を看ていてくれ」

苗木「あ、はい!」


               ・

               ・

               ・


保健室を苗木達に任せKAZUYAはある場所に向かっていた。既に容態が安定したセレスは
ともかく、いつ容態が急変するかわからない山田の側をKAZUYAが離れることなど通常はない。

しかし、今はどうしてもやらなければならないことがあった。

――最重要容疑者・葉隠康比呂の尋問のためである。


16: 2015/10/12(月) 21:16:45.15 ID:v8LW3hd60

葉隠の部屋のインターホンを鳴らすと、すぐに扉が開いた。


大和田「……センセイか」

K「その男にいくつか聞きたいことがあってな」


部屋の中には神妙な顔で座る葉隠と、見張りをしていた大和田と桑田がいた。

現在は二人一組で見張りをさせているが、葉隠はそこそこ大柄なので腕力に自信があるメンバーを
中心に組む必要があった。そのうち、KAZUYAは緊急時に備えて見張りに回す訳にはいかないため、
現在は大神・江ノ島、大和田・桑田、十神・霧切、大和田・石丸の四組で順番に見張りをしている。


「…………」

「…………」


はっきり言って彼等は疲れていた。

半数近くが見張りにつけないためすぐ順番になる。その上、今でこそ大人しいが始めのうちは
葉隠も騒がしかった。自分は無実だと訴えたり、逆にキレて訴えてやると怒鳴ったり、さながら
ヤクザの取り調べのようだったと言う。その相手をするのはさぞかし大変だったろう。

大和田に至っては率先してKAZUYAの分を代わりに引き受けてくれたため、申し訳なかった。


桑田「まったく……まーだ認めねーんだぜ? 往生際が悪いったらねえよ」

葉隠「やったのは俺じゃねえ。容疑は否認するべ!」


ふてくされたように座る葉隠に、KAZUYAはつかつかと近寄る。


K「……事件に関していくつか聞きたいことがあるのだが」

葉隠「黙秘権を発動させてもらう!」

K「全て正直に話すことがお前を救うことになってもか?」

葉隠「う……帰ってくれ。なにも話すことはねえ!」


17: 2015/10/12(月) 21:27:22.20 ID:v8LW3hd60

K「正直に話せ。安広は自分も山田もお前にやられたと言っている。どうなんだ?」

葉隠「お、俺はやってねえ!」


否定するものの、葉隠の顔は不自然に青い。


K「事件の際、お前はどこで何をしていた?」

葉隠「…………」

K「言わないとお前が不利になるだけだぞ」

葉隠「…………」


葉隠は押し黙る。あくまで徹底抗戦の構えだ。


桑田「な? ずっとこんな感じでさ」

大和田「裁判でブッ潰すしかねえだろ」


元々この二人の葉隠に対する心証はあまり良くなかったが、この数日で更に悪くなったようだ。
口では証拠を見つけるまで……と言っているが、心の中では既に犯人だと思っている。


K「…………」


KAZUYAは溜息をつくと、葉隠に背を向けた。


K「あまり保健室を空けられん。俺はもう戻る」

桑田「了解」

大和田「わかった。任せてくれ」

葉隠「お、俺はやってねえぞ! やってねえからな!」

K「――本当にそうか?」


KAZUYAは一度だけ振り返った。その瞳は、まるで全てを見透かしているようだった。


18: 2015/10/12(月) 21:43:40.99 ID:v8LW3hd60

葉隠「あ、あぁ……」

K「ではな。次に会う時は学級裁判だ」


もう、KAZUYAは振り返らない。


葉隠(大丈夫だ。バレてねえ……)

K(クロだな。わかりやすい程に――)


KAZUYAは長年の経験と勘から葉隠の嘘を鋭敏に読み取っていた。
しかし、それにも関わらずKAZUYAの表情が浮かばれることはない。


(この事件はあまりに謎が多すぎる。ただクロを明らかにするだけでは駄目だ)

(――大事な真相を見失ってしまう。そんな予感がする)


               ◇     ◇     ◇


モノクマ「やっほ~い!」


保健室に戻ったKAZUYAをモノクマが明るく出迎える。
その背後では苗木と石丸、不二咲が引き攣った顔を浮かべていた。


K「何の用だ」

モノクマ「いや、午後には捜査時間開始のつもりだからさ。その前にちょっとした連絡だよ」

K「何?」

モノクマ「まず、葉隠君はボクが見張っておいてあげるよ。だって、裁判に失敗しちゃったら
      これが最期になる訳だし? 全員揃ってお昼ごはんを食べさせてあげようという
      ボクの優しさ。ボクってなんて優しいクマなんだろう。感動したっ!」

「…………」


モノクマは勝手に一人で盛り上がっているが、KAZUYA達は無感動に眺めていた。


19: 2015/10/12(月) 21:59:23.96 ID:v8LW3hd60

霧切「でも、ドクターは来られないわよね。ここを動く訳にはいかないのだから」


目で指し示したのは横たわる山田である。不二咲の時とは違い、本当に昏睡状態なのだ。


モノクマ「その点についても抜かりありません!」


モノクマが――嫌な笑みを浮かべた。


K(何だ?)ゾッ

石丸「そもそも、西城先生は裁判に出席出来るのだろうか? 長時間ここを離れるのは……」

モノクマ「だから、そのための用意だって!」


モノクマが手を叩くと保健室の扉が開く。そして一人の見覚えのない人間が入ってきたのだ。


「…………」

苗木「えっ……?! だ、誰だっ?!」

不二咲「女の人……?!」

K「!!!」


彼女――胸や背格好からして女だろう――はモノクマの顔が描かれたマスクで顔を隠している。

マスクからはみ出た髪は長い黒髪であり、ザンバラで長さが揃っていない。
白い看護婦の制服は彼女が医療従事者であることを暗に示していた。


K(まさか……まさかまさかまさか、まさかッ?!)


全身から嫌な汗が噴き出る。顔は見えないが、顔こそわからないが、
その体格や歩き方や雰囲気は彼の知るある人物に酷似していた。

かつて、彼がこの学園の保健室に務めていた頃に助手をしていた人物――


20: 2015/10/12(月) 22:11:21.48 ID:v8LW3hd60

K「君は……」

「…………」

モノクマ「ああ、無駄だよ。彼女は一切喋らないから。捕まえて締めあげても意味ないからね?」

石丸「何者なのだ!」

モノクマ「見てわかんない? 君よりよっぽど腕の良い看護婦さんだよ。もし先生がいない間に
      山田君の容態が急変したらちゃんと適切な処置をしてくれるから安心ですね!」

霧切「信用出来るのかしら? 隙を見て毒でも注射しないと断言出来るの?」

セレス「同感です。西城先生を上手いこと連れ出してわたくしを頃すつもりではないでしょうね」

モノクマ「そこはボクの日頃の行動を信頼して頂くしかない訳ですが」

苗木「ふざけるなよ! お前なんて信用出来る訳ないだろ!」

モノクマ「ショボーン。ボクがその気になればオマエラとっくの昔に
      全員氏んでるのに、それはあんまりではないですかね」

モノクマ「なら山田君におかしなことをしない証拠に、そこの監視カメラの映像を
      オマエラの電子生徒手帳に送ってもいいよ。そこまですれば十分でしょ!」

石丸「しかし、彼女は本当に適切な処置が出来るのかね? 看護婦の可能な医療行為外では……!」

K「……それは問題ない」

不二咲「先生?」

K「…………」

K(もし彼女の正体があの娘ならば、彼女はただの看護婦などではない……)

K(かつて『超高校級の保健委員』と呼ばれた、彼女の技術は既に通常の医師レベルに達している――)


KAZUYAはジッと正体不明の女性を見つめるが、モノクママスクの女は何も反応をしない。
何故彼女がモノクマの手先に? 同じ医療を司る人間なのに一体何故? 心で問いかけても
当然ながら答えはなく、その目に今何が映っているかもわからない……。


21: 2015/10/12(月) 22:30:13.15 ID:v8LW3hd60

混乱する頭を理性で抑え、とりあえずKAZUYAは彼女の正体について伏せることにした。
自分でもわからないことを生徒達に言っても仕方がない。


K「俺は相手を見ればその相手の実力がわかるんだ。彼女は間違いなくその道のプロと言える」

K「大体、手術はもう済んだ。もしこれから山田の容態が急に悪化したとして、我々に
  出来ることは限られている。……俺でも彼女でも行う対処はそう変わらんのだ」

苗木「先生がそう言うなら、そうなのかな?」

霧切「電子生徒手帳に監視カメラという項目が出来ているわ。山田君の様子はこれで見られるわね」


渋々だが、一同が納得しかけたところにセレスが割って入った。


セレス「まだですわ。わたくしの安全はどうなるのです?」

モノクマ「だーかーらー、大丈夫だって! モノクマ学園長を少しは信用しなさいってもう!」

苗木「お前なんて信用出来る訳……!」

K「……裁判までは信用してやってもいい」

石丸「先生っ?!」

苗木「本気ですか?!」

K「安広については、なるべくそこの彼女と二人きりにならないよう配慮しよう。それでいいか?」

セレス「まあ、そういうことでしたら……」

K「どの道、他に選択肢などない。俺は裁判に出席させられるのだ。……嫌だと言ってもな」


諦念が滲むKAZUYAと未だ納得の行っていない苗木達の顔を見回してモノクマは嘲る。


22: 2015/10/12(月) 22:57:33.09 ID:v8LW3hd60

モノクマ「ご覧よ、この物分かりの早さ! これが大人の処世術ってヤツ!!」

モノクマ「キミ達今時の子供は何かあるとすーぐ不満を言ったり駄々をこねるけど、それで
      状況が良くなったことってある? その時間を有効的な何かに使うべきじゃない?」

石丸「確かに、その通りではあるが……」


……KAZUYAは成熟した大人だ。肉体だけでなく精神も。

故に生徒達と比べいつも判断が早い。その判断の大半は自分を犠牲にすることが多いが、
このように仕方のない状況に置かれた時もその判断の早さが曇ることは全くなかった。


K「安広は裁判で葉隠を糾弾する役割がある。殺されはしないだろう。山田に関しては
  不確実だが信じるしかない。他に打てる手など俺達にはないのだから……」

K「もし山田に何かあった時は、俺が山田を頃したものと思って好きなだけ責めてくれていい」

不二咲「そ、そんなこと……!」


だが、生徒達もいつまでも子供ではなかった。何より彼等には確かな絆があったのだ……!


苗木「責めたりなんてしないですよ!」

石丸「当たり前です! 西城先生はいつも限られた選択肢の中から
    僕達にとって最善のものを選ぼうとしてくれているのですから!」

霧切「こちらが嫌だと言ってもモノクマが言い出したら拒否権なんてないものね」

不二咲「今は、出来ることをやろうよ。悩んでいても、時間を無駄にしてしまうだけだし」

セレス「……いつもいつも西城先生に泥を被らせる程、わたくし達も子供ではありませんわ」


珍しくセレスもKAZUYAの味方をした。Cランクに上がったからだろうか。それが思いのほか
KAZUYAを勇気づけてくれたが、疲れ切っているからかすぐにまた気分は沈み込む。


K「……すまん」

K(ありがとう……)


この学園に来てからこれで一体何度目だろう? KAZUYAは申し訳なさげに目を伏せた。


23: 2015/10/12(月) 23:08:51.46 ID:v8LW3hd60

ここまで!

最近裁判以外めっきり本筋書いてなかったのでリハビリも兼ねて
次回から捜査編スタートです。それではまた来週~


29: 2015/10/25(日) 21:46:24.77 ID:Q10FNTO90

― 保健室 PM1:00 ―


『ピンポンパンポ~ン。これより一定の捜査時間の後、学級裁判を行います』


K「いよいよか……」


昼食を終え集まった生徒達の顔に緊張が浮かぶ。今日この時こそが、モノクマの約束した時間であった。

モノクママスクの女を見た十神は捕らえて尋問するようにという至極まっとうな主張をしたが、
下手に手を出してモノクマを怒らせては不味いと全員から説き伏せられ、今も不機嫌な顔をしている。


苗木「また始まるんだ。あの時間が……」

霧切「やらなければ生き残れないわ」

大神「裁判、か……」

十神「…………」

モノクマ「はいは~い。皆さんお待ちかねの捜査時間ですよ~!」

江ノ島「別に全然お待ちかねじゃないけどね」

モノクマ「それではお約束のモノクマファイル~」

苗木「どうせ肝心なことは何も書いてないんだろ?」

モノクマ「もうん! 苗木君、ボクに冷たすぎー! とりあえず読んでみなよ」

K「どれ……」


全員が電子生徒手帳を取り出し、モノクマファイルに目を通す。


霧切「犯行時刻は三日前の夜9時半から10時の間。被害者は山田一二三。額に固いもので
    殴られたような傷痕あり。右太ももに針でつけたような小さな穴がある……」


30: 2015/10/25(日) 21:59:12.99 ID:Q10FNTO90

コトダマGET!

【モノクマファイル】:
  犯行時刻は三日前の夜9時半から10時の間。被害者は山田一二三。
 額に固いもので殴られたような傷痕あり。右太ももに針でつけたような小さな穴がある。
 被害者は娯楽室の奥に仰向けに倒れていた。特に娯楽室内は荒らされてはおらず、
 血痕は山田の体周辺にしかない。床には何らかのガラスの破片が散らばっている。


十神「前回よりは幾分マシだな」

K(……)

石丸「先生! 捜査を始める前に提案が」

K「言ってみろ」

石丸「効率良く捜査を進めるために班決めをすべきだと思います!」

K「そうだな」

十神「俺は参加せんぞ。一人でやらせてもらう」

桑田「聞く前からわかってるっつーの……」

江ノ島「アタシも面倒だからあんた達に任せるわー。ギャルに捜査とかムリっしょ?
     あんた達アタシの代わりに頑張ってよ。それじゃーねー♪」


十神と江ノ島はマイペースに食堂を出て行くが、今更それに腹を立てる者はいない。


腐川「あ、びゃ、白夜様……」

K「どうした?」

腐川「……別に。何でもないわよ」

舞園「腐川さんも私達と一緒に捜査してくれるんですね? 嬉しいです!」

腐川「何でもないって言ってるでしょおおお」キィィ!

K「では石丸からの提案通り、班を決めたいが……」

桑田「つってもどーせいつもと同じメンバーじゃねーの?」

舞園「そうだ。では折角ですしクジで決めませんか?」


31: 2015/10/25(日) 22:08:55.31 ID:Q10FNTO90

大和田「いいんじゃねえか? たまにはな」

腐川「そうね。どうせあたしと組みたい人なんていないだろうし、クジでいいわよ」

朝日奈「あ、私はさくらちゃんの所に行っていいかな? 正直、捜査とか
     よくわからないし、さくらちゃんと一緒に葉隠を見張ってるよ」

大神「ウム。我も頭を使うのは得意ではないゆえ、そうさせてもらいたいが」

不二咲「じゃあ、残りは八人だから3、3、2がいいかな?」

舞園「ちょっと待ってて下さい」カキカキ


その結果――


霧切「…………」

K(……ウーム)

苗木(こ、これは……)

霧切「…………」

石丸「霧切君! 腐川君! よろしく頼むぞ!」

腐川「なんでよりによってあんたと同じグループなのよ……?!」グギギ

石丸「普段はあまり話さないメンバーだしちょうど良い! これを機に友好を深めようではないか!」

腐川「いちいち声が大きいわね……! あとその熱苦しい顔を近付けんじゃないわよ!」

石丸「それはすまなかった!」

腐川「だから声が大きいって言ってるのに……! あんたって学習能力ないの?」

不二咲「ええーっと……」オロオロ

朝日奈「あはは。ちょっと大変そうだね……?」

大神「霧切よ、これも修行だ」

霧切「…………」


先程から一言も発していない霧切の眉間には、大きなシワが寄っている。


32: 2015/10/25(日) 22:16:16.28 ID:Q10FNTO90

舞園「ご、ごめんなさい……まさかこんなことになるなんて……」

苗木「舞園さんのせいじゃないよ……」

桑田「なんつーか、事故だよなこれ……」

大和田「……おう、事故だ事故」

不二咲「大丈夫かなぁ……」

石丸「さあ、いざ捜査だ! 霧切君、腐川君、行くぞ!」

腐川「なにリーダーぶってんのよ! 」

霧切「…………」スクッ

K「あ、霧切」

霧切「…………」

K「その、頑張れ」

霧切「……わかってるわよ」ハァ


スタスタスタスタ……


石丸「ム、霧切君? 待ってくれ! 先に行かないでくれ!」

腐川「あ、あたしをおいていくなんてやっぱり邪魔なのね、そうなのね?!」


溜め息をつきつつ、KAZUYAは二人の肩をガシりと掴んだ。
気のせいか少しばかり目が据わっている。


K「二人共彼女の邪魔をしないように静かに、くれぐれも静かに!捜査に集中するんだ。いいな?」

石丸・腐川「……はい」


33: 2015/10/25(日) 22:26:29.50 ID:Q10FNTO90

        ―    捜    査    開    始    ―


 ○1班(苗木・桑田・不二咲)


苗木「えっと、じゃあ改めて……二人共よろしく」

桑田「いやー、無難なメンバーで良かったわ」

不二咲「よろしくねぇ」

苗木「まずどこから調べようか?」

桑田「フツーは現場だろーけど今は霧切達がいるだろうしなぁ」

不二咲「もう一度セレスさんに話を聞いてみるのはどうかな?」

苗木「そうだね。じゃあ保健室に行こう」



               ◇     ◇     ◇


K「苗木達か」

苗木「もう一度セレスさんの話が聞きたくて」

セレス「残念ながらわたくしからお話出来ることはもうありませんわ。
     話せることがあるならとっくに話しています」

桑田「まあ、そうだよなぁ……」

不二咲「セレスさんは娯楽室から出てきた葉隠君を見てるんだもんね……」

セレス「葉隠君で決まりですわ。調べれば調べる程その確信を得るだけではないでしょうか」

苗木「まあ、その場合はその場合で葉隠君に認めて貰うだけだよ。あと、これは……」

K「安広が刺されたナイフだな。山田の件とは関係ない可能性もあるが、一応調べたらどうだ?」


34: 2015/10/25(日) 22:33:32.58 ID:Q10FNTO90

桑田「凶器は基本だしな」


コトダマGET!

【ナイフ】:護身用に見えるやや小振りのナイフ。セレスが刺された時のもの。


K「カルテはもう出来ている。持っていくといい」

不二咲「ありがとうございます!」


コトダマGET!

【山田のカルテ】:KAZUYAが作成した山田のカルテ

『額に打撃によると思われる広範囲の裂創(肉が裂ける傷)あり。腫れ方にややムラがある。
 頭蓋骨骨折並びに硬膜下血腫を発症。開頭手術により血腫は除去済み。現在も昏睡状態』

コトダマGET!

【セレスのカルテ】:KAZUYAが作成したセレスのカルテ

『刃物による腹部刺創である。傷ついた小腸を10センチ切除して吻合する。
 止血処理を行い、臍(さい:ヘソのこと)の横2センチ程を縦に12針縫合済み』


苗木「こんな所かな」

桑田「で……あー、次はどこ行けばいいんだよ?」

K「ならば立ち寄りついでに俺の頼みを聞いてくれんか?」

苗木「何ですか?」

K「化学室に行ってこの薬品を持って来て欲しい」

不二咲「えっと、薬品ですね? わかりました」

K「早めに頼むぞ」


35: 2015/10/25(日) 22:44:00.54 ID:Q10FNTO90

 ○2班(石丸・霧切・腐川)


霧切達三人は山田が倒れていた娯楽室の捜査に当たっていた。


霧切「…………」

石丸「ム、これは何だ?! 事件の重要な証拠では?!」ヒョイ

腐川「あ、あんた……! 勝手に触ってんじゃないわよ! 位置が重要かもしれないじゃない!」

石丸「し、しまった! 現場保全は最重要だというのに!」

腐川「足引っ張ってんじゃないわよ!」

石丸「すまない! こんなことなら捜査の仕方も勉強しておけば良かった……!」

腐川「そんなことどうやって勉強すんのよ……」


実は石丸の父親は警察官なのだが、腐川は当然そんなことは知らない。


霧切「…………」イライラ

霧切(血痕の一つが不自然に掠れている。上に何かがあった? 或いは誰かが踏んだのかしら……)


コトダマGET!

【掠れた血痕】:上に何かが載ったような掠れた血痕。


次に霧切は雑誌ラックに目をやる。


霧切(逆さまになっている雑誌がある。いつから?)


手に取ってパラパラとページをめくった。最後のページを見て彼女は目を見開く。


霧切「これは……」

石丸「霧切君、それは何かね? こ、これはもしや血文字……?!」


37: 2015/10/25(日) 22:56:28.47 ID:Q10FNTO90

霧切「ダイイングメッセージかしら」

霧切(……山田君の指に血はついていないわね)

腐川「! ダイイングメッセージな訳ないわよ! だ、だってこれトガミって書いてあるじゃない!」

石丸「十神君が犯人だったのか?! そんな……!」

腐川「陰謀よ! 誰かの陰謀だわ!」

霧切「……二人共、静かにしてくれないかしら」

石丸「す、すまない」

腐川「白夜様……」


コトダマGET!

【血文字の書かれた雑誌】:
 雑誌ラックに逆さまに入っていた雑誌。最後のページには血文字で『トガミ』と書かれている。


 ○3班(舞園・大和田)


大和田「で、俺は舞園と二人か」

舞園「よろしくお願いしますね、大和田君」

大和田「つってもよ、俺は捜査なんて全然わかんねえぞ? 舞園に任せていいか?」

舞園「わかりました。そうですね……まずは容疑者である葉隠君の部屋を調べてみませんか?
    もし彼が犯人なら、凶器とか血痕とかそういった致命的な証拠があるはずです」

大和田「だな。じゃあ行くか」


葉隠の部屋には、葉隠の見張りをしている朝日奈と大神がいた。


38: 2015/10/25(日) 23:16:55.00 ID:Q10FNTO90

朝日奈「あ、舞園ちゃんに大和田」

大神「捜査か」

大和田「ああ。葉隠が犯人ならやっぱそいつの部屋を調べねえワケいかないからな」

舞園「ちょっと失礼しますね」

葉隠「俺は犯人じゃねえし、勝手に開けるなって……!」

大和田「ああ?! 犯人じゃねえなら問題ねえだろ!」ギロリ

葉隠「あう……」

舞園「ここに少しだけ返り血のついたシャツがありますね」

大和田「おい、葉隠ェ……!」

葉隠「い、陰謀だべ! 俺を陥れるために真犯人がだな!」

大神「三日前からずっとここにいるお主の前で仕込んだということか?」

葉隠「…………」

舞園「他には、えーと……」

舞園(これは……メモ? 一体なんでしょうか。今回の事件には関係ない気もしますが、
    一応持っていきましょう。他の人が見たらわかるかもしれないし)


引き出しの奥から何やらやたら生徒の名前が書かれた紙が出てきた。
しかし、これは事件には関係ないようだ。


大和田「……見つかったのは服くらいか」


コトダマGET!

【葉隠の部屋】:部屋には血のついたシャツがあった。他に目ぼしいものはない。


51: 2015/11/09(月) 01:11:14.25 ID:JeqRkt620

               ◇     ◇     ◇


桑田「こんなの一体なんに使うんだろーな?」

苗木「治療には関係ない薬品ばかりだね。石丸君ならわかるかな」

不二咲「もしかして、捜査に使うんじゃないかな……」

桑田「捜査ァ?」


話しながら、苗木達1班のメンバーはKAZUYAに頼まれた薬品や器具を持って保健室に入った。

ガラッ。


桑田「オーッス。頼まれたモン持ってきたぜ」

K「助かった。それでは早速作るか」

セレス「作る? 何をですか?」

K「捜査に役立つ物さ」

苗木「捜査に役立つ?」

K「まあ、すぐに出来るからそこで待っていろ」


ハカリで量を調整し、ビーカーに薬剤を入れKAZUYAは手慣れた様子で調合していく。
いや、実際手慣れているのだ。何故なら薬品の調合も彼の専門分野の一つであるのだから。


K「……ほら、出来たぞ」

苗木「えーと、ただの透明な液体にしか見えないんですけど」

不二咲「もしかして、ルミノール溶液かな?」

K「その通り。よくわかったな」


ビーカーを手に取りながら、KAZUYAは生徒達に説明する。


K「ルミノールは3-アミノフタノール酸ヒドラジドというアルカリ性の試薬の俗称だ。
  それに無水炭酸ソーダと過酸化水素水を加えたものが俗に言うルミノール溶液に当たる」


52: 2015/11/09(月) 01:23:29.35 ID:JeqRkt620

苗木「へぇ、そうなんだ(どうしよう、何を言っているのか全然わからないぞ……)」

セレス「まあ……! 西城先生はそのような物まで調合出来るのですね」

K「必要な薬剤と知識さえあれば作ること自体はさほど難しくない。理系の人間にとっては
  よく知られている基本的な実験内容だ。……最も、普通の人間はそうそう知らんだろうがな」


ギラリとKAZUYAの目が光る。知識の有無はこの空間において勝敗を決する重要なファクターだ。
そしてその知識と経験を誰よりも多く持っているこの男こそ勝負の鍵なのである。


桑田「なんだっけそれ? なーんかどっかで聞いたことあるような」

苗木「えーっと……あ、わかった! 警察が捜査の時に使う液体ですよね?」

K「そうだ。ルミノール反応、という言葉の方が馴染みがあるかもしれんな。見てみろ」


KAZUYAはセレスが刺されたナイフを手に取り、切っ先に少し液体を付ける。すると、


桑田「おぉ?! なんかうっすら光ってる?!」

K「簡単に説明すると、ルミノール溶液は赤血球に含まれる鉄や銅(ヘミン)に化学反応を起こし
  付着するとこのように青白く発光する。これにより捜査の見落としをなくすことが出来る訳だ」

不二咲「わぁ、凄い!」

苗木「やった! これがあれば捜査がだいぶ楽になるぞ」

K「この霧吹きに入れて使うといい。量が限られているからあまり使い過ぎないようにな」

「はーい!」


コトダマGET!

【ルミノール溶液】:
 KAZUYAが調合した推理モノではお馴染みの薬品。血痕のあった場所に吹きかけると薄く発光する。


苗木「あ、あとこっちの薬は何ですか?」

K「これは塩酸キナクリンという薬品だ。ルミノール溶液と同様血液に反応して
  発光するが、こちらはY染色体……すなわち男の血液にしか反応しない」


53: 2015/11/09(月) 01:34:12.39 ID:JeqRkt620

桑田「マジかよ?! そんなことまでわかんの?」

K「ルミノール反応よりは知名度は低いかもしれないがな。これも化学捜査では基本だぞ」


コトダマGET!

【塩酸キナクリン】:血液中のY染色体に反応して発光する化学薬品。血痕から性別が割り出せる。


苗木「先生って本業はお医者さんじゃ……」

K「知り合いに監察医がいてな。実際俺も何度か捜査に協力したことがある」

桑田「ほとんどプロみたいなもんじゃねーか……」

不二咲「じゃあ、この液体はなんに使うんですか?」

K「それは……ちょっとな。念のためというやつだ。使う機会がなければ良いが」

「?」

K「そんなことより、捜査の時間は限られているぞ。早く現場を検分した方が良い」

苗木「は、はい」


KAZUYAは少し目を伏せると、パンパンと手を叩き苗木達を保健室から追い出した。


苗木「…………」チラ


去り際に、苗木はKAZUYAの机の上に置かれたその瓶を見る。ラベルにはよく見慣れた名前。


苗木(ヨウ素液って小学校の理科の実験とかで使うやつだよな……一体何に使うんだろう?)


コトダマGET!

【ヨウ素液】:何の変哲もないただのヨウ素液。


54: 2015/11/09(月) 01:47:49.56 ID:JeqRkt620

               ◇     ◇     ◇


そのまま苗木達の班は現場と目される三階の娯楽室に向かった。


桑田「よう。そっちはどんな感じだ?」

霧切「大体見終わったわ。あなた達もよく見ておいた方がいい」

腐川「安心しなさいよ……あんた達にもわかるくらい怪しい物だらけだから。フフフ……」

不二咲「床にガラスが散乱してるねぇ」

石丸「まったく! 折角僕が掃除をしていた最中だったと言うのに!」

桑田「掃除っていやぁ……」

苗木「そういえば今って掃除週間だったね……」


数日前のことである。


石丸『今日から一斉掃除週間を開始する!』

『ハァ?』

石丸『みんな、自分達の生活スペースである寄宿舎は掃除しているが、神聖な学び舎である校舎部分を
    ほとんど放置していただろう? 久々に教室に行ったら部屋の隅に埃が積もっていたぞ!』

石丸『ああ、嘆かわしい……僕が戻ってきたからには、きちんとせねば!
    という訳で、これから一週間みんなで協力し校舎を一斉に掃除する!』


確かに石丸の指摘通り、彼等は厨房や食堂、大浴場など共通のスペース以外はほとんど掃除を
していなかった。それすらも、以前に比べて著しく頻度が減っていた。度重なる事件やアクシデント、
続発する病人の看病に人員を割いていたり、時間はあっても心の余裕がなかったからだ。

やっと落ち着いてきて、心の余裕が生まれたため最初は全員積極的に掃除していたのだが……
だんだん飽きてきて石丸の目が届かない場所は手を抜いていたのはここだけの話だ。


霧切「……娯楽室の担当は別の人ではなかったかしら? それに、確かもう終わっていたはずだけど」


55: 2015/11/09(月) 01:51:34.60 ID:JeqRkt620

石丸「ウム。実はな、みんな掃除が下手だから最後に必ず僕が確認して仕上げを行っているのだよ!」

苗木「そうだったの?!」

腐川「下手で悪かったわね……あたし的にはこれでも十分綺麗よ……」

桑田「俺はむしろサボらなかったことを誉めてほしいぜ」

石丸「わかっている……! 文句も言わず参加してくれているだけでも
    有り難いから、あえてそれ以上は何も言わなかったのだ!」


以前の石丸なら担当を呼びつけてちゃんと出来ていないことを叱っただろうし、
掃除の大切さについて延々説教していただろうが、最近は流石にこの男も諦めてきたようだ。


苗木(……この感じだと何人かはかなり手を抜いてたな。言ってくれれば手伝ったのに。
    なんだか悪いことしちゃったなぁ。僕ももっと気付いてあげないと)

不二咲「知らなかった……。次からは僕も手伝うねぇ」

苗木「うん。遠慮とかしなくていいから」

石丸「すまない。だが、僕も少し細かすぎたかもしれないし程々にせねばな!」

霧切「それがいいわね。何より今は、掃除よりも捜査について集中して頂戴」

桑田「ほいよ。で、なにから見りゃいーんだよ」

霧切「ねえ……この砕けたガラスはどこから来たと思う?」

桑田「窓じゃねーし、ビンかなにかじゃねーの?」

腐川「何の瓶かが重要なんでしょ……!」

不二咲「娯楽室なら、恐らくアレじゃないかなぁ?」

苗木「アレって?」

不二咲「ほら、確かここにはモノクマのぬいぐるみが入った飾り瓶があったでしょ?」

苗木(ああ、そういえばそんなのあったな)


56: 2015/11/09(月) 01:58:15.59 ID:JeqRkt620

言われて苗木も思い出す。頻繁に娯楽室を訪れている訳ではないので
失念していたが、確かにそんなものが棚の上に置いてあった。


石丸「あれは中身に対して瓶の口が小さく、あの大きさの物を中に入れるのは不可能だ。
    即ち、ボトルシップのように長いピンセットを使って中で組み上げたに違いない!」

霧切「その推測は正しいと思うわ。モノクマはモノクマボトルと呼んでいたけど」

桑田「おー、これか。そういやこんなんあったな」


桑田が指し示したのはビリヤード台の上に並べられた四つのモノクマボトルだった。


不二咲「あれ? これって確か棚の上に置いてなかったかな?」

腐川「犯人がわざわざ移動させたって訳……?!」

苗木「犯人が? 一体何のために……」

石丸「いや、移動させたのは僕だ」

(お前かよ!)


その場の全員が心の中で突っ込んだ。


石丸「棚の上の埃を拭こうと思って事件の晩に移動させたのだ。その後戻すつもりだったが、
    掃除に夢中になっていたら時間になってしまったのでやむなくそのままにしてしまった」

桑田「紛らわしいことすんなよな!」


言いながら、桑田がボトルを手に取って眺める。


霧切「気を付けて。中の模型を綺麗に見せるために薄めのガラスで
    出来ているようなの。落としたら多分割れるわよ」

桑田「わーかってるって」


57: 2015/11/09(月) 02:06:29.06 ID:JeqRkt620

苗木(モノクマボトルか。割れてるってことは事件に何か関係あるのかな?)


コトダマGET!

【モノクマボトル】
 ボトルシップのように中にモノクマの模型が入ったボトル。石丸が棚の上からビリヤード台に
掃除のため、一時的に移動させていた。ガラスが薄いので扱いには注意が必要。


不二咲「えっと、このボトルは全部で六本あったはずだよね?」

桑田「数まで覚えてんのか? すげーな」

不二咲「えっとね、そういう訳じゃなくて……」

腐川「フ、フン。チェスでしょ……?」

苗木「チェス?」

腐川「このボトルの中の模型はそれぞれチェスの駒を持っているのよ。チェスはポーン、ルーク、
    ナイト、ビショップ、クイーン、キングの六種類の駒があって、ここには四つしかないわ」

石丸「つまり、事件の晩だけで二つボトルが割れた訳だな!」

霧切「そうね。床に二つ、ナイトとキングの模型が落ちていることから見てそれは間違いない」

苗木「……二つか。並び順は棚にあった時と同じ?」

石丸「ウム、ちゃんと順番通りに並べたからな」


ビリヤード台にはポーン、ルーク、ビショップ、クイーンの四つが置いてあり、
ルークとビショップの間には丁度ビン一つ分ほどの空間がある。


苗木「ということは、左から三番目がナイトで右端がキングってことだね」


コトダマGET!

【なくなった二つのボトル】
 モノクマボトルはそれぞれチェスの駒を表しており、ポーン、ルーク、ナイト、ビショップ、
クイーン、キングの順に並んでいた。割れていたのはナイトとキングで床にその模型が落ちている。
娯楽室の床に散乱するガラスの破片もモノクマボトルの物と思われる。


66: 2015/11/24(火) 01:46:18.72 ID:BYnzH6OV0

桑田「じゃあ次は氏体もとい山田が倒れてた辺りだな」

苗木「縁起でもないこと言わないでよ……」

桑田「でもあれを見たらなぁ……」

苗木「……まあ、うん」

不二咲「……だねぇ」


なるべく見ないようにしていたが、山田が倒れていた場所にチョークで
人型の線が引かれていたのだ。まるで本物の殺人現場さながらである。


石丸「僕が描いたのだ! 流石の僕も警察の捜査現場がどんな感じかくらいは
    知っているからな。どうだね? わかりやすいだろう?」

不二咲「う、うん。わかりやすいよ。ありがとう……」

苗木(……確かにわかりやすいけどさぁ)

腐川「こういう所は無神経なままね……」

苗木「ふ、腐川さん」


ボソリと呟く腐川を苗木が制した。今はそんなことよりも捜査が大事なのだ。
縁起が悪かろうが不謹慎だろうが捜査しやすいに越したことはない。


霧切「……思えば、倒れていた山田君を見たのはあなたとドクター、
    そして大和田君の三人だけよね? 何か気付いたことはない?」

石丸「ウーム。すぐにCPR(心肺蘇生)に取り掛かってしまったのであまりよくは見ていないが、
    特におかしなことはなかったように思う。山田君は額から血を流し仰向けに倒れていた」

霧切「アナウンスのタイミングは? 何人目で流れたの?」

石丸「ほとんど同時に飛び込んだからな。どのタイミングで流れたかまでは……力になれずすまない」

腐川「あんたって本当役に立たないわね……!」

苗木「まあまあ、そう言わずに……」


67: 2015/11/24(火) 01:54:38.35 ID:BYnzH6OV0

霧切「いいわ。別の観点から攻めるだけよ」


元々さして期待はしていなかったのか、霧切はファサリと髪をかきあげ顎に手を当てる。


不二咲「ねぇ……これ、なんだろう?」

苗木「あ、それ僕も気になってたんだ。なんでこんなものがこんな所に落ちてるんだろうね?」

桑田「なんだぁ? マスク?」

腐川「あたしみたいな不細工なマスクですって……?!」

桑田「言ってねーし!」


山田が倒れていたすぐ付近に、モスグリーン色の奇妙なマスクが落ちていた。


不二咲「プロレスとかで悪役レスラーがつけていそうなマスクだねぇ」

苗木「顔を隠してた? 誰が何のために?」

霧切「一つだけ心辺りがあるわ」

苗木「え、本当?!」

霧切「ただ確認しないと。少しの間私達が預かってもいいかしら?」

桑田「おう。いまはなんの変哲もないただのマスクってことしかわからないしな」


コトダマGET!

【謎のマスク】:悪役レスラーが付けていそうなモスグリーン色のマスク。何故現場に……?


不二咲「あとは特にないかな?」

霧切「これを見せておくわ。セレスさんから証言を聞いた後ドクターから預かったの。
    山田君のズボンのポケットに入っていたそうよ」


68: 2015/11/24(火) 02:00:02.45 ID:BYnzH6OV0

苗木「メモだね。なになに……?」


メモにはこう書かれていた。

『脱出口らしきものを見つけた。まだ確証が持てないので、誰にも言わず9:30に一人で
 娯楽室に来てほしい。集合には少し遅れるかもしれないので、誰かにそう伝えておくこと』


苗木「これ……! 呼び出し状だ!」

桑田「山田は誰かから呼び出されてたのか!」

腐川「どうせ葉隠でしょ。あいつがやったんだから……!」

苗木(本当に葉隠君が書いたのかな? それにしては字が少し汚いような)


コトダマGET!

【呼び出し状】:
 山田のズボンのポケットに入っていた呼出状。汚いクセ字で以下のように書かれている。
『脱出口らしきものを見つけた。まだ確証が持てないので、誰にも言わず9:30に一人で
 娯楽室に来てほしい。集合には少し遅れるかもしれないので、誰かにそう伝えておくこと』


苗木「ここの捜査はこんなものかな」

石丸「では、ガラスの破片は危ないから僕が拾っておこう!」

霧切「……待って」

石丸「何かね?」

霧切「気になることがあるの。破片とモノクマ人形を全て集めてくれないかしら」

石丸「了解した」


石丸と不二咲、苗木の三人が協力して娯楽室の床を綺麗にする。


霧切「ありがとう。私は調べることがあるから少し離れるわ。
    石丸君と腐川さんは二人でここを見張っていてくれないかしら?」


69: 2015/11/24(火) 02:06:42.60 ID:BYnzH6OV0

腐川「そ、そんなことを言って邪魔なあたし達を置いて苗木達に合流する気ねそうなのね?!」

石丸「霧切君がそうしたいと言うのなら仕方あるまい。悲しいが……とても悲しいが!」

霧切「…………」

不二咲「えっと、霧切さん……」


ハァ、と霧切は困ったように溜め息を吐いた。


霧切「……あなた達にお願いするわね」

苗木「あ、うん」

桑田「おう」


               ◇     ◇     ◇


大和田と舞園は男女に別れそれぞれ生徒達の部屋を調べていた。


大和田「山田の部屋も含めてかたっぱしから見てったが、何もなかったぜ。
     チッ、十神とか怪しいのによ」

舞園「女子の部屋も特に不審な物はありませんでした。まあ、
    私は素人なので見過ごしている可能性もありますけど」

大和田「次はなにをすりゃいいんだ? 現場でも行くか?」

舞園「現場も大事ですが、霧切さんや苗木君の班も見ていますし、
    私達は皆さんのアリバイや証言をまとめるのはどうでしょう?」

大和田「おう、そうだな。全員で同じ場所を見ても仕方ねえし、あいつらが
     現場から離れられないなら他のヤツが動き回る必要があるしな」


頷いてから、大和田は感心したように呟く。


70: 2015/11/24(火) 02:13:33.73 ID:BYnzH6OV0

大和田「……あれだ。やっぱ女は細かいトコに気が回るな。俺はさっぱり頭が回らなくてよ」

舞園「そんなことないですよ。私なんて西城先生や霧切さんの真似をしているだけです。
    でもあくまで真似ですから、捜査は自信がないし証言を取るくらいなら誰でも出来ます」

大和田「マネできるってことはそれだけ相手のことをよく見てるってことだろ」

舞園「……そうなんですかね?」

大和田「そうだろ? ……ま、俺は頭脳労働はムリだってハナから
     割り切ってるから代わりに体の方を使わせてもらうけどな」


話しながら、二人は再び葉隠の部屋に戻った。


葉隠「ま、また来たな?! おめーらいい加減に……!」

大和田「黙れ」

葉隠「……黙るべ」シュン

舞園(本人は謙遜しますけど、大和田君はこういう時とても頼りになりますね)

朝日奈「あれ、二人共どうかしたの?」

大神「忘れ物でもしたのか?」

舞園「改めて事件当時の皆さんの動きをまとめようと思って。当日のことを聞かせてくれませんか?」

朝日奈「当日かぁ。私は舞園ちゃんとずっと一緒だったから特に変わったことはないと思うよ」

朝日奈「舞園ちゃんの部屋にいたら血相変えた桑田が飛び込んできて、事件が起きたからみんなを
     集めて保健室に集合だ!って言われたんだ。それで、女子の部屋を順番に回って……」

朝日奈「腐川ちゃんは部屋にいて、寄宿舎のホールで霧切ちゃんを待ってから保健室に行ったんだ。
     保健室の前でちょうど今来たところだってさくらちゃんと十神と合流して、中で待ってたら
     ジャマになりそうだからみんなで廊下で待ってた。少し後に江ノ島ちゃんも来たかな」

舞園「私もその場にいたので間違いないです」


コトダマGET!

【朝日奈の証言】:
 舞園の部屋にいたら血相を変えた桑田が飛び込んできた。全員を集めるため、女子の部屋を
順番に回り、まず部屋にいた腐川と合流。その後寄宿舎のホールで霧切と合流し、保健室の前で
十神・大神と遭遇した。その後、廊下で待機中に江ノ島が合流した。


71: 2015/11/24(火) 02:20:27.23 ID:BYnzH6OV0

大和田「大神は?」

大神「部屋にいたらアナウンスが聞こえて来たので、もしやまた事件が起きたのかと思い
    自分から保健室に向かったのだ。我のすぐ後に十神がやって来た」

朝日奈「私達とは入れ違いになっちゃったんだね」

大和田「で、葉隠は……」

葉隠「俺はずっと部屋に篭ってたぞ」

大和田「ま、信用できねえけどな」

葉隠「じゃあなんで聞いたんだべ?!」

舞園「では次の場所に行きましょうか?」

大和田「おう。ジャマしたな」

葉隠「あれ、無視? 無視? 舞園っちまで無視するんか? えぇ~……」


― 物理準備室 ―


苗木「えーと、霧切さんに頼まれたことは……」

不二咲「拾った破片やモノクマ人形と無事なモノクマボトルを比較することだったね?」

苗木「じゃあ、まずはモノクマボトル同士の重さを量るね」


苗木が持ってきたモノクマボトルを順々にはかりに載せていく。


桑田「お、中の人形は微妙に違うデザインなのに全部同じ重さなんだな?」

不二咲「不思議だね」

モノクマ「当然だよ!」ピョーイ

苗木「わ、モノクマ!」


例によってどこかからか飛び出たモノクマが会話に割って入ってきた。


モノクマ「このモノクマボトルはボトルシップのように実に繊細な技術と根気良さで
      作られている芸術品であって、当然全てのボトルは同じ重さなのです!」


72: 2015/11/24(火) 02:26:56.56 ID:BYnzH6OV0

桑田「いや、意味わかんねーよ。芸術品でも別に重さが違ったっていいだろ……」

モノクマ「桑田君みたいなちょっとアレな子に芸術は難しかったみたいですね」

桑田「ハァ?! なんでだよ!」

苗木(成程ね。モノクマボトルが全部同じ重さなのは間違いない訳だ)

苗木「次は破片と無事なボトルを量ってみようか」

桑田「そんなの同じ重さになるに決まってるだろ。割れたって量は同じなんだからさ」

不二咲「そうかなぁ? 拾いきれない細かい破片や粒子もあるはずだし、
     元の重さから微妙に軽くなるんじゃない?」

苗木「実際に比較してみればわかるよ。じゃあ、載せるね」

桑田「どーせ同じだって」


苗木ははかりに破片類を載せた。秤皿は……


不二咲「あ、釣り合った……!」

桑田「ほら、俺の言った通りだぜ!」

苗木「…………」

苗木(――何かおかしくないかな?)

不二咲「あれ?」


釣り合ったかと思われたはかりは、三人の前でゆっくりと片方に傾いていく。

……割れた瓶の方に。


不二咲「本当にごく僅かな誤差だけど、破片の方が重い?」

苗木「えっ、でもそれっておかしくない? 何か余分なものが入ってるのかな?」

桑田「破片を拾った時にゴミも入っちまったんじゃね?」

不二咲「でも、娯楽室は掃除したばかりなのに……」

苗木「うーん……」


コトダマGET!

【秤の実験】:無事なモノクマボトルより、集めた破片やモノクマ人形の方がごく僅かだが重かった。


78: 2015/12/20(日) 21:42:30.71 ID:L1tXx6Pe0

一ヶ月くらい間が空いて申し訳ない。久しぶりに更新します。


79: 2015/12/20(日) 21:45:47.90 ID:L1tXx6Pe0

               ◇     ◇     ◇


舞園「あの、保健室に行っても良いですか?」

大和田「あ? ああ、センセイとセレスの証言か」

舞園「はい」

舞園(それだけではないんですけどね)


彼女の手の中には、葉隠の部屋で手に入れた不審なメモがある。


江ノ島「あ、舞園に大和田じゃん」

舞園「江ノ島さん?」


保健室に入ると、長椅子に腰掛け暇そうにしている江ノ島にまず声をかけられた。


大和田「なんでここにいんだよ?」

江ノ島「なに? アタシが見舞いに来たらオカシイの?」

舞園「いえ……」


舞園は江ノ島が内通者であるという情報を教わってはいなかったが、今までの情報や
女性特有の勘の良さ、特に、同業者ならではの視点からからかなり濃い疑惑を持っていた。

すかさず大和田がフォローする。


大和田「捜査はメンドウって言ってたからてっきり部屋にいると思ってたぜ」

江ノ島「最初は部屋にいたんだけど、ヒマでさー。ま、気分転換てワケ」

セレス「わたくしへのお見舞いは暇潰しということですのね」


80: 2015/12/20(日) 22:07:21.50 ID:L1tXx6Pe0

江ノ島「来てあげただけいいでしょ。部屋にオッサンと二人じゃ気まずいだろうし」

K「まあ、否定はしない」


セレスではなくKAZUYAが同意した。セレスは意外と神経が太いのか、或いは単に
KAZUYAに好感を持っているからかさほど気にしているそぶりはないが、女子高生と同室で
寝泊まりするKAZUYAはそうもいかない。着替えや物音一つ取ってもとかく神経を使う。


セレス「あら、西城先生は見かけによらず意外と気が回りますのよ? 特に困ることはありませんわ」

舞園「当然ですよ! 先生はそういう人ですから!」

江ノ島「いや、なんであんたが胸を張るのよ」

大和田「そういや入院第一号だったな」

舞園「西城先生はとても優しかったです♪」

K「そういってもらえると何よりだ……。それで、何か用事があったのだろう?」

舞園「あ、はい。こんなものを葉隠君の机の引き出しから見つけたので、先生に
    渡しておきます。多分今回の事件には関係ないと思いますが……」


舞園は【葉隠メモ】をKAZUYAに渡した。


大和田「なんだそりゃ?」

K「全員の名前がランダムに書かれているな。――いや、何か法則があるのか?」

舞園「わかりません。葉隠君はだいぶ前に何かを占った結果を書いたけど何を占ったか忘れたと」

K「捜査には関係なさそうだが念のために預かっておこう」

舞園「はい」


その後、二人はセレスと江ノ島から証言を得たが特に
目新しい内容もなかったためメモだけ取るとすぐ次の場所へ向かった。


81: 2015/12/20(日) 22:12:04.91 ID:L1tXx6Pe0

大和田「じゃあいよいよ現場だな」

舞園「そうですね」


娯楽室では霧切達三人が現場を見張っている。


石丸「おお、兄弟!」

大和田「よ、俺達も来たぜ」

舞園「お疲れ様です」

腐川「べ、別にあたしは疲れるほど捜査してないわよ……」

大和田「で、なんか見つかったか?」

霧切「捜査の基本は現場から。重要な証拠を幾つか見つけたわ」


そこに、苗木達のグループも戻ってきて加わった。


苗木「あ、舞園さんに大和田君だ」

舞園「苗木君」

大和田「オメエらも来たか」

桑田「霧切、頼まれたヤツ終わったぜ」

不二咲「霧切さんが気になった通り、少しおかしな結果になったよ」

霧切「そう……」


苗木達が元通りボトルを並べる姿を見つめながら、霧切は考えている。

82: 2015/12/20(日) 22:16:37.51 ID:L1tXx6Pe0

舞園「あ、そうだ。ちょうど皆さんが揃っているので証言を貰っていいですか?
    今全員のアリバイを洗っている所なんです」

苗木「証言だね。でも大体もう全部話しちゃったからなぁ」

不二咲「力になれなくてゴメンねぇ」

舞園「どんな些細なことでもいいんです。何か気になったことはありませんか?」

桑田「ってもよー……」

苗木「あ」

大和田「どうした、苗木ィ?」

苗木「いや、大したことじゃないんだけどね。ふと思い出したことがあって」

霧切「教えて。裁判では何が重要な証拠になるかわからないわ」

苗木「うん。お泊り会の少し前だったと思うけど、石丸君に遅刻組がちゃんと
    時間通りに来るか確認しておいてくれないかって頼まれたんだ」

石丸「ウム。人に任せるのはどうかと思ったが、あの時僕は食事当番、掃除ととても忙しかったのだ。
    そのため、たまたま通り掛かった苗木君に申し訳ないが手伝ってもらうことにした」

大和田「水くせえな。俺に頼めよ」

不二咲「大和田君も僕も同じ班だし……」

桑田「ついでに俺もな」

腐川「ムサ苦しいわね……」


ここに更にKAZUYAが加わる。石丸の班は男臭いのだ。


霧切「それで?」

苗木「遅刻組……山田君と葉隠君に聞きに言ったんだけど」


苗木は二人との会話を克明に思い出す。


83: 2015/12/20(日) 22:22:15.06 ID:L1tXx6Pe0

山田『集合時間ですか? ええ、覚えていますとも。今日はちゃんと時間通りに行きますのでヨロ!』


苗木「山田君は時間通りに来るって言ってた。それで、葉隠君なんだけど……」


葉隠『おお、苗木っち。ちょうど良かった! 実はな、少し遅れるかもしれないから
    先生によろしく伝えといて欲しいんだべ。頼んだぞ』


舞園「……遅れるって言ったんですか?」

苗木「そう。それで理由を聞いたら……」


苗木『え? なんで遅れるの? 急いでやらないといけないことなんてある?』

葉隠『!』

葉隠『な、なんでもないべ! 期待してダメだったらガッカリするだけだからな』ウンウン

苗木『なんの話?』

葉隠『ま、もし本当だったら情報料ニ十万で教えてやるから苗木っちも楽しみにしてろって!』

苗木『はぁ……?』


苗木「今から思うと、呼出状にそう書かれていたからなんだね」

霧切「山田君は時間通り、葉隠君は遅刻。そう……」


コトダマGET!

【苗木の証言】:山田は時間通り保健室に来る予定だった。逆に葉隠は少し遅れると言っていた。


84: 2015/12/20(日) 22:38:03.03 ID:L1tXx6Pe0

苗木「大した手がかりじゃなくてゴメン。今度は僕達が見張ってるから霧切さん達は移動していいよ」

霧切「それじゃあお言葉に甘えさせてもらうわね」

舞園「私達も行ってみましょう」

大和田「おう。でも次はどこ行くんだ? 葉隠の部屋も山田の部屋ももう調べ尽くしちまったぜ?」

腐川「全部のフロアを見て行ったら時間が足りないわよ……」

石丸「しかし、捜査とは思わぬ所から証拠が出るものだぞ」

霧切「そう、思わぬ所。まだ私達が調べていない所がある。犯行現場からさほど離れておらず、
    それでいて被害者と関わりの深い場所――ここまで言えばわかるわね?」

大和田「ア? どこだ?」

腐川「勿体ぶらないでさっさと言いなさいよ……!」

石丸「ここから近くて山田君と縁のある場所だと? 彼は勉強があまり好きではなかったようだから
    物理室は違うだろうし、図書室は漫画がないから嫌いだと言っていたな。となると……?」

舞園「美術室ですね! 山田君はよく美術室にこもって漫画を描いていました」

霧切「ええ、その通りよ」


― 美術室 ―


舞園「あれ?」

K「…………」


彼等が美術室に入ると、そこにはどこか上の空で立ち尽くすKAZUYAの姿があった。


85: 2015/12/20(日) 22:46:35.43 ID:L1tXx6Pe0

石丸「西城先生!」

K「……あ、あぁ。お前達か」

大和田「どうしたんだよ。保健室はいいのか?」

K「俺も少しは現場を見た方が良いだろうと、葉隠を連れて朝日奈達が戻ってきてくれてな。
  ちょうど十神も来たし、保健室は彼等に任せて出てきたのだ。山田の様子はこれで見れるしな」


そう言うと、KAZUYAは目を閉じた山田が映っている電子教員手帳を見せる。


K「俺はもうあらかた見た。美術準備室をよく見ておけ」

霧切「ドクター、それは?」


霧切はKAZUYAが何かの紙束を大事そうに抱えているのを見咎める。


K「……山田の描いた漫画だ。ゴミ箱に捨てられていた」

舞園「酷い……誰がそんなことを?」

腐川「大方自分で捨てたんじゃないの? あたしだって書いた原稿が気に入らなかったら捨てるわよ?」

K「それはないと思いたいが――」

「……?」


原稿を見つめるKAZUYAの瞳は暗い。とても暗い。彼等もそれ以上は聞けなかった。


K「とにかく、俺は現場に向かう。……また後でな」


未だ傷心の抜け切れていないKAZUYAだったが、足取りは確かに美術室から出て行った。


86: 2015/12/20(日) 22:51:08.10 ID:L1tXx6Pe0

石丸「僕達も急がねば!」

舞園「美術室は特に変わった所はないですね。あ、机の上に山田君の描いた同人誌があります」

大和田「絵はすげえ上手いのに、字はきったねえな。俺も人のこと言えねえけどよ」

石丸「兄弟、文字は心の鏡だぞ! 練習した方が良い!」

霧切「それは今は置いておくとして……ドクターも山田君の漫画を持って行ったし、
    これは何かの証拠になるかもしれないわね。一部持っていきましょう」


コトダマGET!

【山田の同人誌】:以前山田が描いた同人誌。絵は凄く上手いが字は汚い。


大和田「で、美術準備室だな。センセイがよく見ろって言ったってことはなんかあんだろうな」

舞園「絵や彫刻に使う道具がたくさんありますね」

腐川「ハンマーに彫刻刀、それにパレットナイフ。よくよく考えたらここって凶器に
    なるものばかりじゃない……! 封鎖しといた方が良かったんじゃないの?」

石丸「しかしそれでは純粋な芸術活動も阻害されてしまう。難しい所だ」ウーム

大和田「現に山田は入り浸って漫画描いたりフィギュアだか作ってたりしたしな」

霧切「封鎖しても無駄よ。男子には工具セット、女子には裁縫セットが配られているし、
    そもそも倉庫に行けばいくらでも凶器になりうるものはあるのだから」

舞園「固い物や長いヒモ状の物さえあれば簡単に人を襲えてしまいますしね……」

腐川「う、うぐぐ! あたしの考えた対策なんてどうせ駄目だったわよ……!」グギギ


さほど広くもない部屋を、五人は順に見ていく。すぐさま、霧切は妙な物を見つけた。


霧切「……ねえ、石丸君。あなたに聞きたいことがあるのだけど」

石丸「何でも聞きたまえ! 僕が答えられることなら何でも答えよう」


87: 2015/12/20(日) 23:02:09.04 ID:L1tXx6Pe0

霧切「この美術準備室はまだ掃除していないわね?」

石丸「当然だ! 見たまえ、この埃まみれの部屋を。僕は悲しいぞ!」

舞園「霧切さん、何か見つけたんですか?」

霧切「このハンマーを見て頂戴」


霧切は壁にかかっている六つのハンマーのうち、二番目に大きいハンマーを指差した。


霧切「他のハンマーはしっかりと埃をかぶっているのに、このハンマーだけ埃がほとんどないの」

大和田「それがどうかしたか?」

霧切「一つだけ違うなんておかしいと思わない?」

腐川「確かに変ね。全部一緒にあった訳だし……」

舞園「誰かが使って洗ったということでしょうか?」


コトダマGET!

【埃のないハンマー】:
 美術準備室の壁にかかっていた大きさの違う六つのハンマーのうち、
二番目の大きさのハンマーだけ他と違いあまり埃をかぶっていなかった。


霧切「ドクターなら、もしかして……」

舞園「霧切さん?」

霧切「事件と関係ある可能性が高いわ。持って行きましょう」


霧切がハンマーを壁から取り外すと、捜査時間終了を示す鐘が鳴った。


102: 2015/12/31(木) 20:07:07.35 ID:DOXLnatC0


キーンコーンカーンコーン……

鐘の音と共に、モニターにモノクマの姿が映り気合の入った号令が飛ぶ。


『比類なき迷走の時間は、終わりを告げ……時は来たれり! 今こそ雌雄を決する時だ!
 鮮血の睨み合い! 狂乱の知恵比べ! さぁ、学級裁判が遂にその幕を開けるぞッ!!』


桑田「まだなんもわかってねーのにタイムアップってワケかよ……」

不二咲「……大丈夫、だよね?」

苗木「うん、多分」

苗木(きっと、大丈夫だ。今までだって何度も僕達は危機を乗り越えてきたんだから……)

K「…………」

苗木「先生?」

K「いや……」


珍しくKAZUYAは煮え切らない顔をしていた。


桑田「大丈夫か、せんせー?」

K「問題ない。行こう」

桑田「おいおい、しっかりしてくれよな」

苗木(どうしたんだろう、KAZUYA先生。いつもと雰囲気が違うな)

苗木(……先生には、まだ僕達が見えていない何かが見えているのかな?)


103: 2015/12/31(木) 20:11:52.32 ID:DOXLnatC0

廊下で霧切達の班と出会う。


桑田「よ、どうだった?」

霧切「重要かもしれない証拠を持ってきたわ」

不二咲「そのハンマー……もしかして美術準備室にあったものかな?」

石丸「その通り! 他のハンマーは埃がかぶっていたのに、このハンマーだけ埃がなかったのだ!」

舞園「事件に使われたんじゃないかな、って思いまして」

苗木「まさか、犯人が?!」

腐川「そこまではわからないわよ……」

大和田「でも怪しいだろ?」

霧切「ドクター。あなたなら化学室の薬品を使って血液反応を割り出せたりしないかしら?」

石丸「そうか、ルミノール溶液さえ作ることが出来れば……!」

不二咲「ちょうど僕達持ってるよぉ!」

大和田「マジか!」

腐川「そんな便利な物を持ってるなら早く言いなさいよ!」

桑田「せんせーが作ってくれたんだぜ! まだ少し余ってるし、さっそく使ってみるか!」

苗木「よし、行くよ……」


ポゥ……


苗木「光った!」


104: 2015/12/31(木) 20:23:38.22 ID:DOXLnatC0

霧切「反応ありね」

K「しかも反応が強い。間違いないな。このハンマーは何らかの形で犯行に使われている」

大和田「凶器ってことか?!」

霧切「それはまだ断言出来ないけど、その可能性は高いわ。みんなよく覚えておいて頂戴」

苗木「うん」


コトダマアップデート!

【埃のないハンマー】:
 美術準備室の壁にかかっていた大きさの違う六つのハンマーのうち、 二番目の大きさの
ハンマーだけ他と違いあまり埃をかぶっていなかった。ルミノール溶液をかけたら強い反応を示した。


舞園「他に反応のあった場所はあるんですか?」

桑田「それがなぁ、三階の事件に関係ありそうなところにとにかく吹きかけてみたけど、
    普通に血痕のある場所しか反応しなくてさ。つまんねーの」

舞園「そうですか……」

K「気を落とすことはないさ。今はわからなくても、後から見えてくる事実もある」

大和田「そういうもんかぁ?」


コトダマアップデート!

【ルミノール溶液】:
 KAZUYAが調合した推理モノではお馴染みの薬品。血痕のあった場所に吹きかけると薄く発光する。
三階の事件に関係ありそうな場所にとにかく吹きかけたが、血痕のある場所しか反応はなかった。


105: 2015/12/31(木) 20:38:33.66 ID:DOXLnatC0

               ◇     ◇     ◇


KAZUYAはセレスを連れてくるため保健室に立ち寄り、苗木達はそのまま廊下で待つ。
まず朝日奈達が出てきた。葉隠は大神に首根っこを掴まれ引きずられている。


朝日奈「みんなー!」

葉隠「ヒィィ、行きたくないべー!」

大神「暴れても無駄だ」

大和田「男のくせに往生際がわりぃな……」

桑田「ま、これでこいつも年貢の納め時だし」

腐川「ざまぁみなさい」

苗木(……腐川さんがそれを言っていいのだろうか)

霧切「朝日奈さん」

朝日奈「え、私? どうしたの、霧切ちゃん?」

霧切「これ、見覚えないかしら?」


霧切は現場から持ってきていたマスクを朝日奈に見せる。


朝日奈「それ……! 私を襲ったヤツのだよ! どうして持ってるの?!」

大神「例の不審者の物か?!」

不二咲「あの時の?!」

苗木「現場に落ちてたんだ」

朝日奈「えっ、現場に? ……なんで?」


106: 2015/12/31(木) 20:48:11.15 ID:DOXLnatC0

霧切「やっぱり……」


コトダマアップデート

【謎のマスク】:
 悪役レスラーが付けていそうなモスグリーン色のマスク。
朝日奈曰く、不審者がつけていたマスクと同じ。何故現場に……?


霧切の顔が途端に険しくなる。その意味を聞く前に、保健室が開いた。
セレスが乗った車椅子をKAZUYAが後ろから押し、その横には江ノ島が立っている。


江ノ島「お待たせー」

セレス「すみません。お待たせしました」

K「では、向かおうか」


KAZUYAは名残惜しげに山田の方を振り返り、苦肉の表情で扉を閉めた。
医者が患者を置き去りにするなど、この非常時以外では考えられないことだ。

……モノクママスクを付けた不気味な彼女は、無言の存在感を放ちながらそこにいる。


霧切「ドクター、少し良いかしら?」


そんな中霧切に呼び止められ、何か重要な話があると察したKAZUYAは他の生徒達を促した。


K「……みんな、すまないが先に行っててくれ」

苗木「じゃあ僕が代わります」

セレス「わかりましたわ」

大和田「早く来いよな」

桑田「あんま遅いとモノクマにせっつかれるぞー」

K「ああ、わかってる」


107: 2015/12/31(木) 21:04:39.30 ID:DOXLnatC0

               ◇     ◇     ◇


赤い扉を開くと、エレベーター前には既に全員が集合していた。


十神「遅い! この俺を待たせるとは。自慢の手術で頭に時計でも入れたらどうだ?」

K「そうカッカするな、十神」

霧切「もう少し余裕を持った方が良いわよ」

十神「フン」


裁判前でピリピリしているのか、十神はいつも以上に機嫌が悪い。
だが、それは他の生徒達にも言えることだ。


朝日奈「大丈夫……だよね? 葉隠、殺されないよね?」

不二咲「山田君が生きてる限りは大丈夫だと思うけど……」

腐川「あ、あたしは意識がない時で良かったわ。普通の人間ならきっと堪えられないわよ……!」

葉隠「嫌だあああ、氏にたくないぃぃ!」

大和田「犯人じゃなかったんじゃねえのか? ア?」

石丸「では行くぞ、諸君! 今日こそ葉隠君の凶行を暴くのだ!」

桑田「おー! 行くぜ!」

苗木「えっと、決めつけはいけないんじゃなかったっけ……?」

十神「何だ? ではこいつ以外に真犯人がいるとでも?」

苗木「それはわからないけど……」

舞園「冷静になりましょう。乗せられたらダメですよ」


108: 2015/12/31(木) 21:22:06.41 ID:DOXLnatC0

江ノ島「あー、メンド。早く終わらないかなー」

セレス「わたくしとしても起きているのは辛いので早く戻りたいですわね」

大神「しかし葉隠もしぶといからな。一筋縄で行くだろうか」

霧切「証拠が多すぎて状況が雑然としているわ。全容を暴くには骨が折れそうね」

K「そうだな。――行こう」


15人もの人間を載せた鉄の箱が微かに揺れ、ゴウンゴウンと低い音が響く中、
彼等はそれぞれの物思いに耽っていた。怒り、悲しみ、恐怖、そして……?

いくつもの感情の色が複雑に交差し、混ざり合って奇妙な模様を描いていく。


K(……もうこれには乗りたくなかったのだがな)

K(とうとう二度目の裁判か。多いと見るか少ないと見るか。いや……正直な話、
  生徒達はよくやってくれている。もう俺の役目は半分以上終わっているも同然だ)



――そう、この学園でのKAZUYAの役目は終わりに近付いている。



K(俺がこれに乗るのは、きっと今回が最後だろう――)

K(集中しろ! 目の前の裁判に、そして生徒達に! 最後まで……!!)


そして、始まる。


希望と絶望が渦巻く学級裁判が始まる。

ある者が渇望し、ある者が望まなかった二度目の裁判がここに始まるのだ――


118: 2016/01/24(日) 21:18:01.45 ID:5/hTHHmi0

申し訳ない。現在最終調整中のため、もう少しかかります。来週には始められるかな?
とりあえず、時間潰しに以前作ったカルテの最新verでも……


カルテNo.1【KAZUYA】その①

 頭部に複数の挫傷あり。頭骨に若干のヒビ。右腕に一発、腹部に三発の銃痕。
弾は腹直筋及び外腹斜筋内部で止まり、術式にて全て摘出縫合済である。

[負傷日] :コロシアイ学園生活-三日目。

[経過日数]:43日。完治。


<KAZUYAのコメント>

 この生活が始まって大体一週間くらいで治ったかな? 俺は治るのが早いんだ。


カルテNo.2【舞園 さやか】

 腹部刺創。胃中心部に貫通創。術式にて縫合止血済み。
縫合した皮膚は完全に癒着していると見られる。12日目に抜糸予済み。

右手首骨折。33日目にギプスを外す。長期間固定していたため関節が固まっているが、
リハビリをすれば戻ると思われる。37日目に手に入れたレントゲンで撮影をした所、
骨は見立て通り綺麗に再生していた。ほぼ完治と見ていい。

[負傷日] :コロシアイ学園生活四日目深夜(五日目)。

[経過日数]:35日。十日目に仮退院。現在、腹部は完治。右手はリハビリ中。


<KAZUYAのコメント>

 腹部の傷は無事完治したが、俺の腹の傷のように縦15センチ程の大きな縫い跡が出来てしまった。
舞園はアイドルで歳も若い。石丸の顔もそうだが、ここから出たら綺麗に消してやらねば……
右手は熱心なリハビリの結果、少しずつ可動範囲が広がっている。もう日常生活に問題はないな。


カルテNo.3【江ノ島 盾子】

 右膝下4cm、左膝下6cm、左大腿部9cm、左肩5cmの切創。左肩、左大腿部は縫合処置。
左腕に槍状の鉄棒による貫通刺創。橈骨動脈が切断されていたため、吻合。


[負傷日] :コロシアイ学園生活十日目。

[経過日数]:30日。完治。


<KAZUYAのコメント>

 あの後なんとか抜糸だけさせたんだ。その後は自然治癒に任せたが綺麗に治ったようだな。
けして軽くはない怪我をしたはずなのに本人は至ってケ口リとしている。やはり、彼女は……


119: 2016/01/24(日) 21:19:40.36 ID:5/hTHHmi0

カルテNo.4【石丸 清多夏】その①

・左額から瞼を通り左頬に抜ける12cmの切創Ⅰ。
・切創Ⅰの左、正面から見てやや右の左頬から左顎部に抜ける8cmの切創Ⅱ。
・左頚部に7cmの切創Ⅲの計三つ。

切創Ⅲはトレーニング機材の角にぶつかったことにより外頚静脈を損傷していたので縫合。
創面が粗かったため、[ピザ]リードマンを実施の上、創面も縫合。

切創Ⅰ、Ⅱは鏡の破片で切ったものであり創面は特に問題なかったが、極度の興奮が原因か
麻酔効果の減衰が見られたため、真皮縫合は行えず通常縫合での縫合とした。


[負傷日] :コロシアイ学園生活十日目深夜(十一日目)。

[経過日数]:29日。14日目に退院。現在は完治(ただし、大きく傷痕が残っている)。


<KAZUYAのコメント>

 本人はもう克服したとのことだが、あまりにも傷痕が目立つため他の生徒達への心理的負担を
考慮し、現在も包帯で傷を覆わせている。俺的には脱出後真っ先に治療したい案件だな。

…………。何にしろ、失明だけは避けられて本当に良かった――。


カルテNo.5【不二咲 千尋】①

 縄状のものにより頚部を圧迫され窒息。発見し即座に心肺停止を確認。
気管挿管し、バックバルブマスクにて送気しつつ開胸式心臓マッサージを施行。
CPRと同時にエピネフリン1mgを静注。以後、様子を見ながら追加で静注を行った。

約二時間後、心拍再開を確認。強心剤心注し、自発呼吸を再開した。 蘇生後は、蘇生後脳症を
防ぐため低体温療法を実施。ただし、学級裁判により一時看護が中断するため、シバリングの
発生する極低温は避け34~35℃を目処に調整する。

裁判後、無事に意識を回復。予後は安定していたため、様子を見ながら一週間入院させた。


[負傷日] :コロシアイ学園生活十四日目。

[経過日数]:26日。21日目に退院。現在は完治。


<KAZUYAのコメント>

 正直に言うと、この時のことはあまり思い出したくないな。俺にとって忘れられない悪夢の一つだ。
いつか、こんな凄惨な出来事すらも思い出として生徒達が語れる日が来るといいな。


カルテNo.6【腐川 冬子】

 全身にⅠ度の熱傷あり。電極と直接接触していた部分は浅達性と見られるⅡ度熱傷。
変色、水ぶくれも多少見られるが植皮は必要ない程度である。

アズノール軟膏を塗ってガーゼで覆った(症状が軽度だったため処置は霧切に委任)。
事件の影響か、部屋に引きこもってしまう。精神のケアが必要。


[負傷日] :コロシアイ学園生活十四日目。

[経過日数]:26日。33日目に無事復帰。


<KAZUYAのコメント>

 石丸の件やジェノサイダーの存在があったとはいえ、しばらく放置することになってしまった。
実は、俺は今でもあの時のことは本当に申し訳ないと思っているんだ。無事、信頼関係が築けて
心から嬉しく思っている。……脱出後は、約束通り映画を一緒に見に行かないとな。


120: 2016/01/24(日) 21:21:17.88 ID:5/hTHHmi0

カルテNo.7【KAZUYA】その②

 左掌に折れた木刀の木片が三箇所貫通。その他複数の切創。消毒止血済。
手当をするまでにやや時間がかかってしまったので、破傷風に気をつけたい。


[負傷日] :コロシアイ学園生活十四日目。

[経過日数]:26日。約5日で完治。


<KAZUYAのコメント>

 俺は傷が治るのが(略)。……破傷風には何故か嫌な感じを覚えるからかからなくて良かった。


カルテNo.8【石丸】その②

 深刻な精神疾患を発症。急激なストレスのせいか髪が脱色現象を起こしている。

< 中略 >

また、会話が全く成り立たず独り言、強度の他害妄想有り。独り言の内容は謝罪、
自己否定的なものが大半を占め、時々理解不能な内容も含まれる。

< 中略 >

25日目、長期療養になると判断し右鎖骨下静脈にカテーテルを通し、
中心静脈栄養法に切り替えた。向精神薬を使うかギリギリまで見極めたい。

< 中略 >

30日目、上記により石丸の意識・会話能力は共に標準レベルに回復。
今後、感染等に注意をしていくが本日をもって退院扱いとする。


[発症日] :コロシアイ学園生活十四日目。

[経過日数]:26日。30日目に退院。


<KAZUYAのコメント>

 今回ほど自分の力不足を痛感したことはない。俺より生徒達の方がお互いをよく理解している。
……それも当然か。俺は後からここにやって来た人間なのだからな。生徒達の記憶さえ戻れば……


121: 2016/01/24(日) 21:22:53.32 ID:5/hTHHmi0

カルテNo.9【不二咲 千尋】②

 突然何の兆候もなく嘔吐し昏睡状態になる。諸々の症状から、極度のストレスにより自家中毒を
発症したと診断。脱水症状を避けるため点滴を打つ。幸い、大事には至らず早期に意識を回復。


[発症日] :コロシアイ学園生活二十七日目。

[経過日数]:13日。30日目に退院。


<KAZUYAのコメント>

 不二咲のカルテは色々と辛い。軽症で本当に良かった……


カルテNo.10【安広 多恵子(セレスティア・ルーデンベルク)】

 小型のナイフによる腹部刺創。傷ついた小腸を約10センチ切除して吻合する。
止血処理を行い、臍(さい:ヘソのこと)の上2センチ程を横に12針縫合済み。
45日目に抜糸予定。


[負傷日] :コロシアイ学園生活三十七日目。

[経過日数]:三日。入院中。


<KAZUYAのコメント>

 舞園の時とほぼ同じだな。幸い、重要な血管に傷が付いていなかったため大事には
至らなかった。しかし、また大事な生徒の体に傷を残してしまうとは。俺は……


カルテNo.11【山田 一二三】

 額に打撃によると思われる広範囲の裂創(肉が裂ける傷)あり。腫れ方にややムラがある。
頭蓋骨骨折並びに硬膜下血腫を発症。開頭手術により血腫は除去済み。現在も昏睡状態。

術後出血、脳浮腫等の二次性脳損傷に気をつけつつ術後管理に細心の注意を払う。


[負傷日] :コロシアイ学園生活三十七日目。

[経過日数]:三日。現在昏睡状態。


<KAZUYAのコメント>

…………。目を開けてくれ。頼む。


123: 2016/01/24(日) 23:11:33.07 ID:5/hTHHmi0

モノクマ「以上、カルテの更新でした。完治の日にちとKAZUYA先生のコメントが増えてるよ!」

モノクマ「おっと。>>119のデブリードマンが特殊変換に引っかかってピザになってるね。
      ピザリードマンてなんだよ!(笑) デブのリードマンさんてこと?」

モノクマ「そして久しぶりのモノクマ劇場~。って言ってもただの雑談だけどね」

モノクマ「今更だけど多忙の中、1はダンガンロンパ2の舞台見に行きましたよ。凄く面白かったよ!」

モノミ「あちしの活躍を見に来てくれたんでちゅね!」

モノクマ「配役も概ね合ってるし、何よりセットが! 無印の時のあのショボさはなんだったのってレベル!」

モノミ「無視されまちたよ! 潔いくらい見事な無視でちゅ!」

モノクマ「演出も前回の時より大幅パワーアップ! 特にボクは裁判の演出が好きだね。緊張感があっていいよ」ダンッ!

モノミ「役者さんも誉めてあげてくだちゃい! 田中君、左右田君、罪木さん、終里さん、
     澪田さんはまんま本人でちたよ! そして狛枝君が案の定ヤバかったでちゅ!」

モノクマ「……見た目は細いのに凄く男らしかったね。ゲームだと絵柄と声で中性的な感じだったけど
      舞台の狛枝君はちゃんと男の子だったよ。そして、ちょっと夜神月ぽかった」

モノミ「デスノ?! 藤原竜也なの?! キレちゃうの?!」

モノクマ「あとボクは個人的に小泉さんが好きでした。理由はかわいいからです」

モノミ「顔?! 顔なんだ?! 女の子はみんな可愛かったよ! それに主役の日向君も誉めてあげて!」

モノクマ「日向君もまんまだったね。なんか普通に上手くてコメントに困るっていうかー、イジりづらい」

モノミ「なんでイジる前提なの?! 普通に誉めてあげればいいじゃない!」

モノクマ「演技力がずば抜けてるなって思ったのはやっぱりいしだ壱成さんだね。ベテランだし。
      最初は一人だけ歳が離れてて大丈夫かなーとか思ったけど無駄な心配だったよ」

モノミ「ブルーレイ&DVDは絶賛発売中でちゅ! 気になったら買ってくだちゃい!」

モノクマ「でもさー、なんで今回は台本オマケについてないワケ? 購買意欲が……」

モノミ「それ以上はダメでちゅ―!」

モノクマ「あ、あとダンガンロンパ1再演決定したから。しかも地方四都市巡業するのでヨロシク」

モノミ「さり気なく言わないで埋もれちゃうから! 宣伝する気あるの?!!」



ダンガンロンパ1舞台再演決定!!(東京・名古屋・大阪・神奈川)
http://www.cornflakes.jp/dangan/

詳しくは公式サイトにて。



モノクマ「ぶっちゃけ神奈川いらなry」

モノミ「ダメったらダメ―!!」


139: 2016/02/07(日) 21:53:22.49 ID:/Ucnhdbh0

  ― 軍曹によるわかりやすい学級裁判の進め方講座Ⅱ ―


大垣「……また俺の出番か。嬉しいやら悲しいやらってヤツだな。そもそもお前ら、俺を覚えてるか?」

佐知子「前に出たのは3スレ目の>>671だから3スレ振り、期間にすると一年半振りね。お久しぶりです!」


大垣蓮次(軍曹)&佐知子:KAZUYAの帝都大時代の先輩とその妻である。


大垣「ここでは学級裁判について説明するぜ。基本的には前回と同じだからおさらいだな。
   【】で囲まれてる部分を適切なコトダマで撃ち抜くんだが……」

佐知子「今回からは同意も含まれているの。《》で囲まれてる部分はコトダマで同意してね」

大垣「吸収はなしだ。もう今の段階でコトダマありすぎて作者も把握しきれてないからな」

佐知子「他にも色々増えてるけど、基本的には裁判中に指示されるわ」

大垣「あと必要なのはこのスレ独自のコマンドだな」

佐知子「ヒントが欲しい場合は『助けて霧切さん』。答えが知りたい場合は『教えてKAZUYA先生』ね」

大垣「正直なぁ、今回はかなりゴチャゴチャしてるし何より長いからな。
    ちょっと考えてわからなかったらどんどんコマンド使っちまえ!」

大垣「前回の学級裁判の時は、KAZUYAは基本生徒任せで自分は傍観に徹してたが、
    今回は頻繁に前に出てくる。その意味がわかるか?」

佐知子「それだけ裁判が難しい、切羽詰まっているということね?」

大垣「……まあ下手したら氏ぬかもしれないしな」

佐知子「えっ?」

大垣「なんでもねえよ! とにかく俺達も応援してるから頑張んな!」

佐知子「頑張ってください、皆さん! それでは」


参考画像:http://i.imgur.com/lUkSi2i.jpg


140: 2016/02/07(日) 22:12:37.04 ID:/Ucnhdbh0

エレベーターを降りた一同は、前に一度来た道を迷うことなく真っ直ぐと進む。
地下特有の臭いと閉鎖空間故のカビ臭い空気が、以前にも増して鼻腔を刺激し一同は眉を顰めた。

自己主張の激しい蛍光色の黄色い矢印を踏みつけながら扉を開け、裁判場に入場する。


モノクマ「遅いよ! もうボク待ちくたびれちゃったよ!
      オーディエンスを待たせるなんてエンターテイナー失格だね!」

桑田「誰がエンターテイナーだっつーの」

「…………」


桑田が苦々しく返したが、他の面々は無言のまま自分の席に向かう。


朝日奈「……あれ? なんか前と雰囲気少し違わない?」

モノクマ「おや、気が付いたかい? あまりに前の裁判から間が空いたので、その時間を
      利用してリフォームしちゃいましたー! 見映えが変わらないとつまらないしね」

モノクマ「――『視て』いる方もさ」

霧切「…………」

K(これはいつものブラフか。それとも……)

K「どうでもいい。さっさと始めるぞ」

モノクマ「おや、先生ヤる気十分? ヤッちゃうヤッちゃう?」

K「…………」


モノクマの煽る声を無視してふと視線を下にやると、KAZUYAは自分の席にも生徒達同様金文字で
名前が彫られた木製のプレートが置かれていることに気が付いた。これもリフォームの結果らしい。


141: 2016/02/07(日) 22:25:02.60 ID:/Ucnhdbh0

モノクマ「ではでは、折角オマエラがやる気になっているのに学園長のボクが
      水を差しちゃう訳にはいかないよね~。お約束のルール説明をするよ!」


「学級裁判の結果はオマエラの投票により決定されます」

「正しいクロを指摘出来れば、黒だけがオシオキ。だけど……」

「もし間違った人物をクロとした場合は……クロ以外の全員がオシオキされ、
 みんなを欺いたクロだけが晴れて卒業となりまーす!」

「それじゃ、ちゃっちゃと始めちゃってください!」


モノクマの説明が終わると一同の視線はある男に集中する。


葉隠「…………」


勿論葉隠康比呂だ。額から汗を流し、助けを求めるようにKAZUYAの方をチラチラと見ている。


K「……皮肉なことに、今回も俺には完璧なアリバイがある。議長として進行役をさせてもらおう」

K「みんな色々言いたいことはあるだろうが、今回の事件にはハッキリしない点が多すぎる。
  なるべく感情的にならず、事件の全貌を解き明かすことに注力してもらいたい」

K「――頼んだぞ」

「ハイッ!」

十神「フン……」

江ノ島「…………」


142: 2016/02/07(日) 22:32:51.58 ID:/Ucnhdbh0





          !   学   級   裁   判   開   廷   !





143: 2016/02/07(日) 22:39:12.53 ID:/Ucnhdbh0


          裁判席


          モノクマ

       朝日奈  K  葉隠 

   大和田            不二咲               

  霧切                 十神

大神                      セレス

  江ノ島                桑田

    石丸            腐川

       舞園 苗木 山田



144: 2016/02/07(日) 22:46:57.25 ID:/Ucnhdbh0

モノクマ「コトダマは結構ダイナミックに変更・修正しちゃったからこちらを参考にしてね!」


― コトダマリスト ―


犯行現場見取り図
no title



>>30
【モノクマファイル】:
  犯行時刻は三日前の夜9時半から10時の間。被害者は山田一二三。
 額に固いもので殴られたような傷痕あり。右太ももに針でつけたような小さな穴がある。
 被害者は娯楽室の奥に仰向けに倒れていた。特に娯楽室内は荒らされてはおらず、
 血痕は山田の体周辺にしかない。床には何らかのガラスの破片が散らばっている。

>>34
【ナイフ】:護身用に見えるやや小振りのナイフ。セレスが刺された時のもの。

【山田のカルテ】:KAZUYAが作成した山田のカルテ

『額に打撃によると思われる広範囲の裂創(肉が裂ける傷)あり。腫れ方にややムラがある。
 頭蓋骨骨折並びに硬膜下血腫を発症。開頭手術により血腫は除去済み。現在も昏睡状態』

【セレスのカルテ】:KAZUYAが作成したセレスのカルテ

『舞園の時同様、刃物による腹部刺創である。傷ついた小腸を10センチ切除して吻合する。
 止血処理を行い、臍(さい:ヘソのこと)の上2センチ程を横に12針縫合済み』

>>35
【掠れた血痕】:上に何かが載ったような掠れた血痕。

>>37
【血文字の書かれた雑誌】:
 雑誌ラックに逆さまに入っていた雑誌。最後のページには血文字で『トガミ』と書かれている。

>>38
【葉隠の部屋】:部屋には血のついたシャツがあった。他に目ぼしいものはない。

>>52
【ルミノール溶液】:
 KAZUYAが調合した推理モノではお馴染みの薬品。血痕のあった場所に吹きかけると薄く発光する。

>>53
【塩酸キナクリン】:血液中のY染色体に反応して発光する化学薬品。血痕から性別が割り出せる。

【ヨウ素液】:何の変哲もないただのヨウ素液。デンプンにたらすと青紫になるのが有名。


145: 2016/02/07(日) 22:55:35.32 ID:/Ucnhdbh0

>>57
【モノクマボトル】
  ボトルシップのように中にモノクマの模型が入ったボトル。石丸が棚の上からビリヤード台に
 掃除のため、一時的に移動させていた。ガラスが薄いので扱いには注意が必要だ。

【なくなった二つのボトル】
 モノクマボトルはそれぞれチェスの駒を表しており、ポーン、ルーク、ナイト、ビショップ、
 クイーン、キングの順に並んでいた。割れていたのはビショップとキングで床にその模型が
 落ちている。 娯楽室の床に散乱するガラスの破片もモノクマボトルの物と思われる。

>>67
【謎のマスク】:悪役レスラーが付けていそうなモスグリーン色のマスク。何故現場に……?

>>68
【呼び出し状】:
 山田のズボンのポケットに入っていた呼出状。汚いクセ字で以下のように書かれている。
『脱出口らしきものを見つけた。まだ確証が持てないので、誰にも言わず9:30に一人で
 娯楽室に来てほしい。集合には少し遅れるかもしれないので、誰かにそう伝えておくこと』

>>70
【朝日奈の証言】:
  舞園の部屋にいたら血相を変えた桑田が飛び込んできた。全員を集めるため、女子の部屋を
 順番に回り、まず部屋にいた腐川と合流。その後寄宿舎のホールで霧切と合流し、保健室の前で
 十神・大神と遭遇した。その後、廊下で待機中に江ノ島が合流した。

>>72
【秤の実験】:無事なモノクマボトルより、集めた破片やモノクマ人形の方が明らかに重かった。

>>83
【苗木の証言】:山田は時間通り保健室に来る予定だった。逆に葉隠は少し遅れると言っていた。

>>86
【山田の同人誌】:以前山田が描いた同人誌。絵は凄く上手いが字は汚い。

>>87
【埃のないハンマー】:
  美術準備室の壁にかかっていた大きさの違う六つのハンマーのうち、
 二番目の大きさのハンマーだけ他と違いあまり埃をかぶっていなかった。


146: 2016/02/07(日) 23:11:09.87 ID:/Ucnhdbh0

裁判開廷と同時に口を開いたのは、当然今回のもう一つの事件の被害者・セレスだった。


セレス「犯人など議論する必要もありません。何故なら犯人はこいつです! 葉隠康比呂ォ!」

葉隠「ひ、ひぃぃ! 違うべ! 俺じゃねえ! 俺はやってないべ!」

朝日奈「いい加減にしなよ! セレスちゃんはしっかり犯人を見てるんだからね!」

石丸「言い訳は見苦しいだけだぞ! 潔く認めたまえ!」

葉隠「よ、夜時間は廊下の照明もちょっと暗くなるし、はっきり顔が見えた保障はないべ!」

セレス「あなたのような目立つ髪型の人間を見間違えるとでも?」

葉隠「そこが逆に盲点なんだべ! 例えば誰かがカツラでもかぶれば俺と間違えるだろ?!」

大和田「まあ、そうだな……こんな髪型の男は葉隠に決まってるって先入観はあるかもしれねえ」

葉隠「そうだべ! 人間の記憶なんて曖昧なんだ! 目撃者の証言と実際の犯人が
    食い違ってるなんて話は腐るほどあるじゃねえか! こんなん誰かの陰謀だ!」

K「人間は不確かな記憶があると脳が勝手にその空白を埋めることはある」

葉隠「だろ?! だろ?! だから陰謀なんだって……!」

腐川「陰謀? あんた、氏体発見アナウンスが鳴る前から部屋でガタガタ震えてたんでしょ……?」

葉隠「う゛!」

江ノ島「正直議論する必要なくない?」

霧切「……そうね。状況証拠は十分過ぎる程揃っているわ」

「…………」


147: 2016/02/07(日) 23:31:23.55 ID:/Ucnhdbh0

その言葉を引き金に、全員黙り込む。明らか過ぎる犯行に、もはや議論の余地はなかった。
だが、ここに諦める訳にはいかない男がいる。――被告人である葉隠康比呂本人だ。

この男、とにかく往生際が悪かった。ない頭を絞り、助かる方法を何度も占い、
そして今横に立っている、最も情け深いだろう男に泣きながら縋り付いた。


葉隠「け、K先生ー!! 頼む! 俺を信じてくれえええええ!」

K「…………」

葉隠「俺、俺まだ氏にたくねえ! やりたいことがたくさんあるんだべ!!」


葉隠の懇願を全員が冷ややかな目で見ている。特に厳しいのはやはり被害者であるセレスだ。


セレス「西城先生に手術していただいたらどうですか? 即氏でなければ可能性はありますわよ?」

葉隠「氏んじまったらどうすんだ?! 大体物的証拠はなんにもねえんだぞおおおお?!!」

K「……そうだな」

苗木「先生……?」

K「証拠がないなら、議論して証拠を見つけて行く必要があるだろう」

葉隠「じゃ、じゃあ……!」

K「勘違いするな。議論の結果、出てくる証拠がお前を地獄に突き落とすやもしれんぞ」ギロリ!

葉隠「ひえええええ!」

霧切「確かに、事件の全容は明らかになっていないし、議論なしで投票するのは早急ね」

K「では、早速議論に移る。まずは基本となる犯行時刻や犯行現場等について議論しよう」


159: 2016/02/14(日) 22:56:51.47 ID:6KUZX75R0

[ 事件概要 ]


石丸「断言しよう! 被害者は山田君とセレス君の二人だ! しかし、セレス君を
    刺した犯人は既に判明しているので、この裁判では山田君を襲ったクロを探すぞ!」

桑田「わかってんだよ、んなことは!」

苗木「とりあえず、犯行現場は娯楽室でいいのかな?」

K「山田の体はまだ温かかった。襲われてからさほど時間が経っていないのは
  間違いないだろう。<犯行現場はそのまま娯楽室と見ていい>」

腐川「山田を運べるヤツなんて限られてるから、多分それで合ってるでしょうね……」

大和田「でもよ、<共犯者がいたらわかんねえ>ぜ?」

十神「裁判のルールがわかっていない馬鹿がいるようだな。【共犯に何の
    メリットもない】のに殺人の片棒を担ぐ人間がいると思うのか?」

江ノ島「だよねー。他人のために自分の命かけるとかありえないし!」

大神「果たしてそう言い切れるものだろうか……」

舞園「心当たりでもあるんですか?」

セレス「事件と関係ない話は裁判の後にしてくださいまし。議論を戻しますが、
    【恐らく葉隠君が山田君を呼び出し、一撃お見舞いしたのでしょう】」

葉隠「だーから、違うんだってー!」


適切な台詞を適切なコトダマで撃ち抜け!
コトダマリスト>>144-145

↓2


160: 2016/02/14(日) 23:08:00.34 ID:6KUZX75R0
フム、わかってはいたが人がいないね
最近ちょっと投下が不定期だったから仕方ないね

ちょくちょくセルフ上げしていくしかないか……

162: 2016/02/14(日) 23:25:26.21 ID:6KUZX75R0
ヒントと言いますか、最初の問題はチュートリアルですので
そんなに捻くれた出題ではありません。ストレートでオッケー

165: 2016/02/15(月) 00:16:26.58 ID:gkXFuoUW0

モノクマ「……ちょーっと不味いかな、これは。あまりにも裁判の進行が遅すぎると
      視聴者も飽きちゃうだろうし。という訳で霧切さーん、ヘールプー!」

霧切「コマンドが使われていないのに出るのはしゃしゃり出るようで気が乗らないけど、
    あまりに遅いと確かに進行に関わるからヒントを出させてもらうわね」

霧切「ドクターは基本的に何らかの確信があって発言をしているわ。
    つまり、今回はドクターの発言にあのコトダマで同意すればいいのよ」

霧切「犯行現場は娯楽室……。それに同意するには娯楽室の外から山田君が
    運び込まれていないことを証明するコトダマを選択すればいいわ」

霧切「ここまで言えばわかるわね?」


↓1

166: 2016/02/15(月) 00:42:54.31 ID:W9YDNev60
モノクマファイル

"血痕は山田の体周辺にしかない"から外から運び込まれていない......で合ってるかな

167: 2016/02/15(月) 00:55:15.44 ID:gkXFuoUW0

【モノクマファイル】 ドンッ! ====⇒ <犯行現場はそのまま娯楽室と見ていい>同意!!


舞園「それに同意します。モノクマファイルにも書かれているように、血痕は山田君の周辺にしか
    ありません。もし少しでも引きずったりしたら何らかの痕跡が残るはずです」

霧切「推定犯行時刻から考えても、山田君の巨体を運んで血の跡を処理するには
    ほとんど余裕が無いわ。犯行は娯楽室で襲われたと見るのが妥当ね」

十神「そんなことはわかっている。それよりも、既に容疑者がいるのだから
    そいつに対して尋問することがあるんじゃないか?」

葉隠「し、知らねえ! そもそも俺は娯楽室になんか行ってねえ! 本当だべ!」

K「まず葉隠が娯楽室にいたかどうかをハッキリさせる必要があるようだな」



[ 葉隠が娯楽室にいた根拠 ]


葉隠「し、知らねえ知らねえ! 俺は三階にも【娯楽室にも行ってねえ】んだって!」

大和田「おめえなぁ……【服にバッチリ返り血がついてた】じゃねえか……」

朝日奈「そうだよ! もう葉隠で決定だよ! 間違いないって!」

葉隠「! ……あ、えと、<三階には行ったべ>。そこで刺されたセレスっちを発見して、
    触っちまったんだ! その時の血だな! ああ、うん!」

セレス「ここまで正々堂々と嘘をつかれますと怒りを通り越して頃したくなりますわね……」

桑田「やっぱおめーが犯人じゃねえか!」

葉隠「ふざけんな! 今の説明に【俺が現場にいた証拠なんてなかった】ぞ!」

不二咲「本当にそうなのかなぁ……?」


適切な台詞を適切なコトダマで撃ち抜け!
コトダマリスト>>144-145

↓2 おやすみなさい。次は水曜か木曜の夜を予定


168: 2016/02/15(月) 01:08:38.04 ID:uNf5frr8O
乙です 【葉隠の部屋】にあったシャツを【塩酸キナクリン】を使って調べる

171: 2016/02/15(月) 18:44:14.62 ID:t/c7Vbiuo
(もう逆に何を使って論破していいのかわからなくて混乱してるのは私だけじゃないよな?いいよね?)

助けて霧切さーん!

173: 2016/02/16(火) 00:44:28.90 ID:/Vj4jl810

ヒントだけ


>>171

モノクマ「なんだか今回の裁判は忙しくなりそうだねぇ」

霧切「そうね……応援を呼んだ方がいいかしら?」

K「霧切にだけ負担をかけさせる訳にもいかん。毎回ヒントが必要になるなら俺が手配しておこう」

霧切「とりあえず今回も私がヒントを出すわ。葉隠君が娯楽室にいた根拠……
    当然、その証拠は娯楽室に残されていると見るべきよね?」

霧切「捜査パートのうち、娯楽室を調べているレスをよく読み直せばわかるはず」

霧切「ここまで言えば……」

モノクマ「わかるよね!」

霧切「……人の台詞を取らないでくれるかしら」


↓2

174: 2016/02/16(火) 00:50:56.00 ID:3PBgmHCn0
【俺が現場にいた証拠なんてなかった】→【掠れた血痕】

178: 2016/02/17(水) 21:30:05.23 ID:nLRgUpnG0

モノクマ「再開する前に、えー……業務連絡です」

K「毎回ヒントでは霧切の負担が大きいからな。こちら側で合議した結果、
  オリロンパシリーズ等でよく見られる『スキル制』をこのスレでも採用することにした」

モノクマ「何か情報がほしい。でもヒントだとほぼ答えになっちゃってつまらない。
      そんな人のためにフレキシブルに活用出来る、それがスキル制度なのです!」

苗木「ロンパポイントはわかるのにコトダマがわからない。もしくはこのコトダマが
    怪しいけど、誰をロンパすればいいかわからないって時に使ってほしいな」

江ノ島「でもさー、ぶっちゃけスキルなんて今まで手に入れてなかったじゃん」

葉隠「そうだべ。ズルだべ! ついでに俺は冤罪だべ! 釈放しろ!」

舞園「甘いですね、皆さん。この苗木君は全生徒の通信簿をMAXにしてるいわば苗木君改ですよ?
    伊達にお医者さんになる勉強をしてる訳じゃないんですよ!」

「ナ、ナンダッテー?!」

  ・ ・ ・

モノクマ「茶番はここまで。苗木君がストーリーの裏で密かに通信簿制覇してるのは
      事実だけど、今回はKAZUYA先生が用意したスキルを使ってください」

K「……これは俺の友人達のスキルだ。適宜使ってくれ」


高品 龍一【診察】:ロンパポイントの持ち主を三人まで絞ることが出来る。

大垣 蓮次【咄嗟の機転】:コトダマを三種類まで絞ることが出来る。

ドクターTETSU【眼力】:論破すべき人物を特定する。

磨毛 保則【M.A.R.S】:コトダマを完全に特定する。


K「ちなみに、TETSUと磨毛のスキルは強力過ぎるので【二回ミスをした時のみ使用可】だ」

霧切「今まで通り私のヒントやドクターに答えを聞くことも可能よ。気分で使い分けて頂戴」

モノクマ「それじゃあ本編再開! 行っくよー!」


179: 2016/02/17(水) 21:41:21.96 ID:xVgKoOsGO
承知しやした

180: 2016/02/17(水) 21:51:41.91 ID:nLRgUpnG0

【掠れた血痕】 ドンッ! ====⇒ 【俺が現場にいた証拠なんてなかった】BREAK!!


不二咲「それは違うと思うよ」

葉隠「な、なにが違うって言うんだべ!」

霧切「……葉隠君、あなたの草履の裏を見せてくれないかしら」

葉隠「草履? なんで草履の裏なんか……」ヒョイッ

葉隠「!」

K「……血が付着しているな」

不二咲「娯楽室の床の血痕に、一つだけ踏まれたみたいな妙な血痕があったんだ。もしかしてと思って」

十神「ククク、服は個室に予備があるが靴の替えはないからな?」

大和田「娯楽室に行ってたんじゃねえかよ!」

葉隠「訴えるべ!!」


  反論ッ!!


葉隠「確かに俺の草履には血が付いてるけど、【それが証拠だって言うなら気が早い】べ!」


スルー or 論破
論破する場合はコトダマリスト>>144-145

↓2


181: 2016/02/17(水) 22:02:54.95 ID:eJZdWyqlo
スルー

183: 2016/02/17(水) 22:11:32.65 ID:nLRgUpnG0

発展!!


桑田「往生際わりーぞ!」

葉隠「うるせー! 【絶対的な証拠をつきつけられる】まで俺は諦めねえ!」

葉隠「あの晩はセレスっちの血が廊下にたくさん飛び散ってたし、それをたまたま踏んだだけだ!」

葉隠「それとも、これが【セレスっちの血じゃないなんて証拠でもある】んか?!」


スルー or 論破
論破する場合はコトダマリスト>>144-145

↓2

184: 2016/02/17(水) 22:12:29.61 ID:mBuJvOFi0
【塩酸キナクリン】:

187: 2016/02/17(水) 23:37:53.48 ID:nLRgUpnG0
反論ショーダウンではノンストップ議論同様、
ポイントになる【】とコトダマを選択してくださいね

次は土曜日だと思います。それでは。

↓1

188: 2016/02/18(木) 04:16:19.96 ID:nA6SwBk9o
【セレスっちの血じゃないなんて証拠でもあるんか?!】


スキルでコトダマ特定とか、論破ポイント特定とかよりも、文章なんだよなぁ……
例えば、

【掠れた血痕】
床の血痕の一つが、上に何かが載ったか或いは誰かが踏んだかのように不自然に掠れていた。

とかだともうちょっと繋がりやすかったかと

197: 2016/02/20(土) 23:51:26.80 ID:y8Txq45h0
一部わかりづらいところがあり申し訳ありません。以後気を付けるようにします

ただ一つ言い訳を致しますと、霧切さんの踏んだ発言は本来存在しなくて後付けなんですね
推理モノで掠れた血痕→誰かが踏んだものだ!は割りとよくある表現かなと思ったので。

…が、当たり前ですが読者の皆さんは金田一君やコナン君ではないので、それだけの情報では難しい人も
当然いるだろうし、全くヒントを入れないのは不親切かな?と難易度調整のため後から追加した台詞や
文章が結構あります。捜査パートだけでなくて裁判パートとかにもヒントがあったりするので、いちいち
全部読み直すのも大変でしょうから、スキルを駆使してアタリをつけて読み直すと案外簡単にわかったり
するかもしれません。あと、外しても特にペナルティとかないのでガンガン安価取って大丈夫です。

ちなみに、前回の裁判は余裕で優評価でした。裁判が難易度高めなので評価も甘めです。
再開します。


198: 2016/02/20(土) 23:56:00.23 ID:y8Txq45h0

【塩酸キナクリン】→【セレスっちの血じゃない/なんて証拠でもある】


          解ッ!!


石丸「切り捨て御免っ!」

石丸「葉隠君、君は塩酸キナクリンという薬品を知っているかね?」

葉隠「塩酸……キナコとクリ? なんだそりゃ?」

朝日奈「ドーナツに入れたらおいしそうだね!」

石丸「塩酸キナクリンとは、血液の中のY染色体に反応して染色反応を起こす薬品だ!」

K「染色体が何かを説明すると長くなるから省略させてもらうが、要は哺乳類の性別は
  XとYという二つの性染色体で決まるのだ。男ならXY、女ならXXの染色体を持っている」

桑田「えーと、つまりどーゆーことだよ?」

苗木「Y染色体を持ってるのは男子だけ。つまり、Y染色体に反応する塩酸キナクリンで
    血の色が変わったら、それは男子の血液っていうことになるんだよ」

セレス「先に言っておきますが、わたくしは不二咲君のように男の娘ではありませんから」

霧切「江ノ島さん以外の女子が証明するわ」

K「では、草履を貸してくれ」

葉隠「…………」


半ば放心状態の葉隠から草履を奪い取り、塩酸キナクリンをかける。すると、見事に色が変わった。


199: 2016/02/21(日) 00:06:56.15 ID:swcOcPbv0

大神「どうやら決まったようだな」

葉隠「あ……あぁ……」

大和田「もうこいつが犯人で確定じゃねえか! さっさと投票しようぜ」

石丸「ウム、正直彼の言い訳は見苦しい」

腐川「とうとうあんたも年貢の納め時ね……!」

セレス「だから議論なんか無駄だってさっきから言ってんだろうがよぉ!」

葉隠「た、確かに現場に行ったのは認めるべ! でも、俺が行った時は既に山田っちは氏んでたんだべ!」

江ノ島「ハァ? あんたまだ言うワケ?」

大和田「人を刺し殺そうとした分際でなに言ってんだ!」

セレス「テメエいい加減にしないとぶち頃すぞ?!」

大神「葉隠……余りに暴言を繰り返すようなら流石の我も容赦せぬ」

朝日奈「もうこんなヤツの言うことアテにしないでさっさと投票しちゃおうよ!」

十神「同感だ。見苦しいだけだな」

不二咲「葉隠君……」

苗木「あんまり往生際が悪いのは良くないんじゃないかな……」

葉隠「い、嫌だ! 助けてくれぇー!!」

モノクマ「じゃ、前回に比べて大分スピーディーだけどちゃっちゃと行っちゃいますか!」

モノクマ「投票ターイ……!!」








「待ったッ!」


200: 2016/02/21(日) 00:24:38.62 ID:swcOcPbv0

桑田「ハ?」

大和田「なッ?!」

苗木「えっ?」

十神「……!!」

K「……もう少しだけ議論を続けてくれないか? 俺にはどうしても気になることがあるんだ」

舞園「気になることですか?」

石丸「それは一体……」


しかしその問いには答えず、KAZUYAはいつもながらの冷静な口ぶりで生徒を宥める。


K「俺自身もまだはっきり確証がある訳ではない。だから、もう少しだけ議論を続けてみたいんだ」

霧切「そうね。私もいくつか葉隠君に聞きたいことがあるし」

十神「ちゃんと納得の行く成果が得られるんだろうな? 貴様等は
    この俺の貴重な時間を無為に浪費しているという自覚を少しは持て」

江ノ島「ムダに裁判を長引かせただけでしたーとかやめてよね。なんか飽きてきたし」

朝日奈「先生の言うことなら大丈夫……だよね? 多分」

大神「……わからぬ」

舞園「今は西城先生を信じましょうよ」

セレス「わたくしが怪我の体をおして無理に参加しているということを忘れないでください。
     長時間起き上がっているのは辛いので、早めに結論を出して頂きたいですわ」

不二咲「う、うん。ごめんねぇ」

大和田「お前が謝るこたないだろ」


犯人は葉隠――

この当たり前過ぎる結論の前に、生徒達はすっかり議論の意欲を失っている。


201: 2016/02/21(日) 00:38:58.46 ID:swcOcPbv0

苗木(先生も霧切さんも、何か考えがあるんだよね……?)

苗木(適当なことを言ったら何だか不味いことになりそうな雰囲気だぞ……)

K(まずは、この場に一石を投じる。全てはそれからだ――)



[ 葉隠が三階にいた理由 ]


K「俺が気になっていることだが、そもそも葉隠は何故三階にいたんだ?」

石丸「確かに。葉隠君は何故【お泊り会に遅刻】してまで三階に行ったのだろうか」

葉隠「俺は誰かに呼び出されたんだ。抜け穴を見つけたから娯楽室に来いって!」

江ノ島「ウソつかないでよ! 本当は<山田を頃すために行った>んでしょ」

腐川「わざわざ【呼出状まで用意してね】! この、人頃し!」

桑田「……いや、おめーは人のこと言えなくね?」

大和田「まあ<動機を配られた後にノコノコ一人で出向くなんてぶっちゃけ山田も不注意>だけどな」

舞園「逆に、それだけ追い詰められていたのかもしれませんよ」

苗木「脱出……なんて文字を見たら【誰だって冷静ではいられない】しね」

十神「まあ、俺だったら行かないがな」


適切な台詞を適切なコトダマで撃ち抜け!
コトダマリスト>>144-145

↓2


202: 2016/02/21(日) 00:46:34.77 ID:rW7C+q8f0
【呼出状まで用意してね】→【苗木の証言】

206: 2016/02/21(日) 02:04:06.96 ID:swcOcPbv0

苗木「そうだよね。わざわざ僕に伝言までして何で三階に行ったんだろう?」

朝日奈「怪しいね! 怪しい匂いがプンプンだよ!」

石丸「全く、五分前行動は基本と日頃から言っているだろうに!」

葉隠「だから呼び出されたって言ってんだろ! オメーら人の話聞いてんのか?!」


不正解のようだ。

コトダマリスト>>144-145


↓2おやすみ。


207: 2016/02/21(日) 02:11:06.70 ID:mu39EFvYo
【呼出状】→【呼出状まで用意してね】

呼出状はクセ字らしいから葉隠が用意したものじゃないと思う

212: 2016/02/21(日) 17:57:34.44 ID:uMXi6Ag50

【呼び出し状】 ドンッ! ====⇒ 【呼出状まで用意してね】BREAK!!


朝日奈「それは違うんじゃない?! 確か、葉隠って字だけはムダに綺麗だったような?」

葉隠「字だけとムダには余計だべ」

石丸「そうだ、思い出したぞ! 以前、僕のためにみんながパーティーを開いてくれた時、
    達筆な彼が代表して横断幕の文字を書いてくれたのだったな!」

舞園「よく覚えています。普段の葉隠君のイメージとは真逆でしたから印象に残りました」

霧切「みんな、これをよく見て頂戴。例の呼出状よ」

大神「フム。言われてみれば、確かに葉隠が書いたにしては悪筆過ぎるな」

葉隠「というか、ん? その呼出状……俺がもらったやつと同じじゃねえか? 見せてくれ」

K「……何だと?」

葉隠「間違いねえ! どこ行ったのかと思ってたけど、山田っちが持ってたんか!」

苗木「ちょっと待って……その呼出状、葉隠君が書いた訳じゃないんだよね?
    じゃあ、一体誰が書いたの?」

葉隠「そりゃあ山田っちに決まってんべ。何せ“俺を呼び出したのは山田っち”なんだからよ!」

「ハァ?!」


全員が予想外過ぎるその発言に固まった。


213: 2016/02/21(日) 18:19:38.28 ID:uMXi6Ag50

江ノ島「あんた、さっきは誰かに呼び出されたって言ってたよね?」

K「何故山田に呼び出されたことを黙っていた?」

苗木「そうだよ! 凄く大事なことじゃないか! 君の無罪がかかっているんだよ?」

葉隠「いや、だって……この流れで山田っちに呼び出されたって言っても
    どうせ信じてもらえねえと思ってよ……かえって疑われそうだったし……」

葉隠(本音を言うと、あんまり詳しく言いたくねえんだべ! K先生に霧切っちに十神っちと
    頭のいいヤツが揃ってるし、何が失言になるかわかったもんじゃねえしな……)


基本的にしぶとい性格をしている葉隠だが、変な所で潔さもあった。自分がこのメンバーの中で
最も頭脳派から遠いことは本人が一番自覚している。故にタチが悪いのだった。


大神「本当に呼び出したのは山田だったのか?」

腐川「どうせ、適当に誤魔化してるだけでしょ! 氏人に口なしだものね……!」

不二咲「山田君はまだ氏んでないよぉ……」

石丸「ウーム、山田君がこの呼出状を書いたという確かな証拠でもあれば話は違うのだが」

舞園「私達が現在持っている証拠の中に、何か役立つ物があるかもしれません」

桑田「いっぱいあってよくわからねー!」ウーン


呼出状を山田が書いたという証拠を選べ!

コトダマリスト>>144-145

↓2


214: 2016/02/21(日) 18:21:43.70 ID:LvcVFPjDO
【山田の同人誌】

216: 2016/02/21(日) 18:40:29.48 ID:uMXi6Ag50

【山田の同人誌】正解!


大和田「そういやよ、確か美術室にあいつの同人誌がたくさん置いてあったよな?」

霧切「何かの証拠になるかもしれないと思って一部持ってきているわ」

K「同人誌とは要は漫画だ。漫画だから当然至る所に手書きの台詞が入っている」

腐川「この特徴的な汚い文字……そうね。間違いなく山田のものだわ……」

桑田「ハハーン、わかったぜ。つまり、どういうワケか山田に呼び出された葉隠は、
    娯楽室は人気がないから誰にもバレずに殺せるチャンスだって気付いたんだよ」

大和田「それで、思い切ってヤっちまったってワケか」

十神「さもありなんという話だ。このクズは前々から金に執心していたからな?」

葉隠「ま、待てって。あの呼び出し状には日にちが入ってなかったし、いつの
    今夜かわからねえべ! つまり、ずっと前の物かもしれねえだろ?!」

苗木「ずっと前って……葉隠君が貰ったものなのにそれがいつかわからないんだ?」

舞園「そもそも、呼び出されたからあの晩娯楽室に行ったってさっき言ってましたよね……?」

葉隠「う゛……」


露骨におかしなことを言い出した葉隠に、全員の冷たい視線が浴びせられる。


江ノ島「もうメンドーだしさっさと投票しちゃおうよ!」

十神「時間の無駄だな」

セレス「ですからわたくしもさっきからそう言っておりますのに……」

K「いや、待ってくれ」


222: 2016/02/21(日) 21:04:04.64 ID:06fFAc8S0

腐川「な、何が気になるの……? 犯人は葉隠! それ以外にない、と思うけど……」

K「まず、何故葉隠は山田を襲ったんだ?」

葉隠「だから襲ってなんか……」

K「正直に言え! 俺はまだお前を犯人だと思っていないが、言わないならお前がクロだッ!!」


いつになく厳しいKAZUYAの声に、流石の葉隠も俯いて真実の一端を漏らす。


葉隠「う、ぐ……山田っちが俺を襲おうとしたから、咄嗟にモノクマボトルで殴ったんだべ……」

霧切「山田君が葉隠君を襲おうとした……?」

朝日奈「え、なにそれ?!」

不二咲「どういうことぉ……?!」

大和田「なんでそんな大事なことを言わねえんだ!!」


ザワザワ! ガヤガヤ!

裁判場は一瞬で騒然となるが、混乱を正すようにモノクマが口を挟む。


モノクマ「あのさぁ、好奇心旺盛なのは構わないけどキミ達ちゃんとクロを特定する気ある?
      今ここで重要なのは、何で襲ったかじゃなくて誰が襲ったかでしょ?」

セレス「あくまでホワイ(Why?)ではなくフー(Who?)を問うのが学級裁判ですからね」

十神「そうだ、西城。貴様が何故こんな男を弁護しようとしているか知らんが、
    今こいつはハッキリと自白したぞ。山田を襲った、とな」

大神「如何にも。クロを明らかにするだけならこれで裁判も終わりに出来よう」


223: 2016/02/21(日) 21:21:55.49 ID:06fFAc8S0

葉隠「ち、違う! 俺は悪くない! ……そうだ! 動機につられて先に襲いかかってきたのは
    山田っちなんだべ! だからこれは立派な正当防衛で俺は悪くねえんだ!」

桑田「ムダだろ。俺が正当防衛っつった時だって通らなかったし」

舞園「もし葉隠君の言っていることが本当なら気の毒だとは思いますが……」

苗木「そもそも、山田君が本当に襲ってきたの? 勘違いとかじゃなくて?」

葉隠「間違いねえ! それだけは本当に間違いねえべ! この水晶球を賭けてもいい!」

江ノ島「葉隠があのガラス球を賭けるなんて……! なんかマジっぽい?」

大和田「いや、でもしょせんガラス球だろ?」

石丸「僕は葉隠君の熱意を信じるぞ! 彼はきっと本当のことを言っているのだ!」

葉隠「そ、そうだべ! 今回ばかりは全部本当のことだべ! ワッハッハ!」

苗木(……何だろう。確かに本当のことも言ってるんだろうけど、
    他にまだ大事なことを隠してるような気がする)

K(あの晩二人の間にどのようなやり取りがあったか……それが今回の事件において
  重要なピースだと思うが、まだ聞き出せる段階ではなさそうだな)

K(――どうにかして議論を引き延ばさねばなるまい)

霧切「ねえ、まずは山田君の致命傷について議論する必要があるんじゃないかしら?」

K「!」


KAZUYAと霧切の視線が合う。


霧切「葉隠君の与えた傷が致命傷なら彼がクロ、もしそうでないなら他の可能性もあるわ」

K(そうか、霧切。お前も……)

十神「馬鹿らしい。いいだろう。そこまで言うならとことん議論してやろうじゃないか。
    そしてお前達の行動が単なる徒労に過ぎないことをわからせてやる」


224: 2016/02/21(日) 21:37:05.54 ID:06fFAc8S0

[ 山田の致命傷 ]


十神「この無駄な裁判をさっさと終わらせるために、愚民共にもわかるようこの俺がまとめてやろう」

十神「【山田は動機に目が眩み、葉隠を頃すため娯楽室に呼び出した】。
    しかし、間抜けにも<葉隠を頃す前に反撃を受けてしまった>訳だ」

霧切「その時に【使われたのはビリヤード台に置かれていたモノクマボトル】。間違いないわね?」

石丸「娯楽室にはモノクマボトルの物と思われるガラスの破片が散乱していた。
    葉隠君の証言から見ても恐らく間違いないだろう!」

不二咲「<なんの抵抗も出来ずに殴られた山田君はそのまま倒れちゃった>んだねぇ」

大神「咄嗟のこととはいえ【固いガラス瓶で脳天を強打】か。完全に頃す気ではないか……」

セレス「普通の人間は鈍器で思い切り頭部を殴られたら氏にますからね」

江ノ島「正当防衛にしてもやり過ぎ。完全にアウト」

朝日奈「やっぱり葉隠じゃん!」

葉隠「う、うう……誰でもいいから助けてくれー!」

苗木「うーん、おかしな所なんてあるかな……?」


適切な台詞を適切なコトダマで撃ち抜け!
コトダマリスト>>144-145

↓2


226: 2016/02/21(日) 21:49:38.90 ID:LvcVFPjDO
【固いガラス瓶で脳天を強打】→【山田のカルテ】

打撲と裂傷の2つの傷とガラス片からの矛盾で行けるか?

228: 2016/02/21(日) 22:09:03.31 ID:06fFAc8S0

苗木「先生! 質問ですけど、カルテの裂創はどうやって出来たんですか?」

K「打撃が主原因だな。あれは刃物で斬りつけられた鋭い裂創ではなく、強い打撃で
  皮膚が裂けた鈍い創だ。だから、頭部の出血自体はさほどでもなかったろう?」

K「頭部のように皮膚が薄い部位は、一定以上の衝撃を与えると裂けてしまうのだ」

桑田「殴られて肌が破れるってなんかイメージしにくいけどなー」

大和田「いや、俺はわかるぜ。確かに腕や足は殴られてもアザになるだけだけどよ、
     頭を殴られたら結構血が出るからな。あと鼻もヤバイ」

腐川「物騒な話をしないでよね……」


不正解だ。

コトダマリスト>>144-145


↓2


225: 2016/02/21(日) 21:43:58.26 ID:XIqU/6dT0
【固いガラス瓶で脳天を強打】→【モノクマボトル】
モノクマボトルは薄いから致命傷の傷を与えた凶器は別か?

231: 2016/02/21(日) 22:31:13.05 ID:06fFAc8S0

【モノクマボトル】 ドンッ! ====⇒ 【固いガラス瓶で脳天を強打】BREAK!!


霧切「それは違うわ」

大神「何が違うのだ?」

霧切「あのボトルは中のぬいぐるみを綺麗に見せるため、非常に薄く
    作られているの。落としただけで粉々になってしまうほどにね」

K「そう、それが俺の気になっている所だ。人間の頭蓋骨はお前達が思っているよりずっと
  頑丈に出来ている。中身がからっぽの薄い瓶で殴ったくらいなら脳震盪で済むはずだ。
  山田は頭部にも脂肪が多く付いていたし、頭蓋骨も分厚かったからな」

苗木「そういえば……落ちていたガラスの破片にはそんなに血がついていなかったね」

石丸「成程、血が吹き出る程の衝撃ではなかったということだな」

セレス「そんな手札は通りませんわ!」


     反論ッ!!


セレス「確かにモノクマボトルの瓶は薄っぺらいかもしれません」

セレス「ですが、底の角の部分で殴ればどうです? ここなら他の部分より固いはずですわ」

セレス「不幸にも山田君は瓶の当たりどころが悪く致命傷を負ってしまった。
     これならガラスが薄いモノクマボトルが凶器でも矛盾はありません」

セレス「【角の部分で殴っていない証拠でもない】限り、その推理はあくまでも憶測なのです」


スルー or 論破
論破する場合はコトダマリスト>>144-145

↓2


232: 2016/02/21(日) 22:36:16.80 ID:XIqU/6dT0
【山田のカルテ】
広範囲の傷だから角ではない・・よね

234: 2016/02/21(日) 22:57:12.97 ID:06fFAc8S0

【山田のカルテ】→【角の部分で殴って/いない証拠でもない】


             解ッ!!


K「その言葉、メスをいれさせてもらう」

K「カルテに写真を付けたから見て欲しいが、山田の傷は広範囲に丸く腫れ上がっている。
  もし君の言う通り瓶の角で殴ったなら、細長い傷痕になるはずだが?」

セレス「あら、そのようですわね」

朝日奈「でも、じゃあどういうこと?」

十神「……つまり、モノクマボトルでの一撃は致命傷とはならなかったということだ」


苦々しい顔で十神も認める。


葉隠「ほ、ほら! やっぱり俺は犯人じゃなかったじゃねえか!」

桑田「うるせー! お前が山田を殴ったことに変わりはねえだろうが!」

不二咲「でも……じゃあ、どうして山田君は瀕氏の状態だったのかな?」

K「それについてだが、はっきり断言出来ないからカルテには書かなかったが、どうも
  傷口がズレている気がする。つまり、俺には深い傷と浅い傷の二つあるように見える」

苗木「それって……!」

霧切「山田君は二回殴られ、そして二回目が致命傷になった可能性があるということよ」

江ノ島「モノクマボトルが凶器じゃなかったの? じゃあ本物の凶器は……?」

K「それについてはもう見当が付いている。わかるな、お前達?」


コトダマリスト>>144-145

↓2


235: 2016/02/21(日) 23:00:59.66 ID:8xcmjnKL0
【埃のないハンマー】

237: 2016/02/21(日) 23:23:09.96 ID:06fFAc8S0

【埃のないハンマー】 正解!


桑田「覚えてるぜ。これだろ!」

石丸「僕が美術室で発見したハンマーだな!」

舞園「このハンマーだけホコリをかぶっていなかったんです。誰かが使って洗ったんですよ」

大和田「兄弟が掃除掃除うるさいから気付いたんだよな」

霧切「一歩間違えば証拠を消してしまう所だったけどね」

苗木「それは言いっこなしだよ……」

十神「何故それが事件に使われたと断言出来る? 別の用で使った可能性もゼロではあるまい」

桑田「アレだよ、アレ! ルミノール反応! せんせーが調合して薬を作ったんだって」

葉隠「そんなことまで出来るんか?!」

石丸「ルミノール試薬は知識と薬品さえあれば意外と簡単に作れるぞ?」

江ノ島「まるっきり科学捜査じゃん! なら、犯人もすぐ見つかるんじゃない?」

霧切「それはどうかしらね……」

苗木「霧切さん、それってどういう……」

霧切「…………」


霧切は答えなかった。ただいつものように思案顔で顎に手を当てただけだ。


238: 2016/02/21(日) 23:47:16.96 ID:06fFAc8S0

K「だが、ルミノール反応は絶対ではない。実は血液以外にも反応する成分がいくつかあり、
  しかも反応精度が高すぎるため裁判での証拠能力は知名度の割りに高くないのだ」

舞園「えっ、そうなんですか?」

霧切「本当よ。だから科学捜査では常に複数の視点から検証を行うの。間違いがないようにね」

K「故に、今回はルミノール反応に加え保健室にあったこれを使った。本来は便潜血を
  調べるキットだが、これに付属する試薬を使えばヘモグロビンの有無がわかる」

不二咲「ヘモグロビンって確か赤血球の中に含まれてるタンパク質のことだよねぇ?」

石丸「そうだぞ。人間の血が赤いのはヘモグロビンに含まれる赤色素ヘムに由来しているからだ!」

K「検査の結果は陽性だった。つまり、このハンマーに血液が付着していたのはほぼ確かという訳だな」

大和田「お、おう」

葉隠「ええ~っと……つまりそういうことなんだな、うん」

腐川「本当にわかってるんでしょうね……?」

K「真犯人かは別にして、今一番怪しいのが葉隠なのは間違いないだろう」

桑田「なんかいろいろ余計なことしてそうだしな」

朝日奈「さんざんウソついてたしね! 信用できないよ」

K「真相を明かすためにもあの晩の葉隠の行動をもっと突き詰めたい。
  本当にお前が犯人でないなら、事件の時の出来事を順を追って正確に話せ」

霧切「今度嘘をついたらあなたを犯人として扱うわよ?」

大神「お主の体をサバ折りにしてくれよう」

葉隠「ヒ、ヒィィ! わかった! わかったからそれだけは勘弁してくれ!」


そして葉隠は少しずつあの晩のことを話し出した。


264: 2016/02/28(日) 00:24:34.86 ID:rVJP8TF40

葉隠「え、えっとだな……あの時は頭に血が上ってて正直あんまり覚えてねえんだけど……」

葉隠(へ、へへ……良かったべ。泣きついてみるもんだな! 今回で俺の容疑は
    晴れたし、あとは『あのこと』さえ黙っとけば万事上手くいく……)


すっかり気が抜けた葉隠は持ち前の飄々さを少し取り戻したが、その空気は周囲にも伝わっていた。


霧切「……ねえ葉隠君、あなた勘違いしていないかしら?」

葉隠「あ? 何を?」

霧切「言っておくけどあなたの容疑はまだ完全に晴れた訳じゃないのよ?」

葉隠「ぬなっ?! なんでだべ?! 俺の攻撃で山田っちは氏ななかった! それでいいじゃねえか!」

十神「馬鹿め。西城が証言したのはあくまで初撃で氏ななかった可能性が高いということだけだ。
    山田を殴って後に引けなくなった貴様が改めてトドメを刺していないと何故言える?」

葉隠「ああーっ??! ち、違う! 俺じゃねえべ! 本当だべ!!」

K「わかったからさっさと話せ。それとも投票にするか?」

葉隠「待った! 待ってくれ! 今話すって! 俺はメモで呼び出されて娯楽室に行ったんだべ!」

腐川「怖がりのくせになんでのこのこ呼び出しに応じた訳? 馬鹿じゃないの?」

セレス「きっと脱出の二文字に目が眩んだのですわ。つまり馬鹿なのです」

葉隠「そう言われたら反論できねえけど……」


265: 2016/02/28(日) 00:40:18.15 ID:rVJP8TF40

桑田「そもそもさ、山田がいきなり襲いかかったっつーのがまず信じらんねえよな」

不二咲「人を襲うような人には見えなかったけど……」

大和田「いや、ああいうタイプは案外キレるとタチわりいぞ?」

朝日奈「前にすごい怒鳴ったこともあったしね。けっこう気の強いところはあるんじゃないかな?」

大神「そうだな……あの時は大変だった」


食堂で大喧嘩をした時のことを思い出す。あの時の山田は大神かKAZUYAでなければ止められまい。


舞園「娯楽室で会った時、山田君は何か言っていませんでしたか?」

葉隠「ああ、少し話したぞ」

大神「会話していたのか! 何と言っていた?」

葉隠「前に不審者騒動があったろ? そのことについてだ」

K「不審者だと……?!」

K(何故ここで唐突にその話が出る――!)


あまりに予想外過ぎる話の流れに、議論は大きくターニングポイントを迎えることとなる。


266: 2016/02/28(日) 00:54:49.11 ID:rVJP8TF40

[ 浮かび上がる不審者の影 ]


葉隠「それが、変なマスクを見せながらいきなり<俺が内通者>だのなんだの言われたんだべ!」

K「マスク? 現場に落ちていたというあの妙なマスクか……?」

セレス「何故そんな重要なことを黙っていたのです!」

葉隠「いや、だって……下手なことを言うと俺が不審者扱いされるかもしれねえし……」

十神「この期に及んでまた山田のせいか。いい加減ワンパターンだな」

大和田「呼出状はともかく、お前が前にモノクマから
   【凶器をもらっていた】のは言い訳できねえからな?」

朝日奈「そういえば、あんた前にもナイフを振り回してたよね?」

江ノ島「【ナイフ持ってる葉隠が不審者】なんじゃないの? つーかそれが一番自然だし」

舞園「以前の朝日奈さんの証言よりは少し背が大きいですが、誤差の範囲ではありますね」

苗木「じゃあ、逆に言うと【例の不審者が山田君を襲った訳ではない】んだね?」

葉隠「だから俺は不審者じゃねえって! きっと真犯人が不審者なんだべ!
    <マスクを取り返しに後から現場に現れた>んだ! 間違いねえ!!」

大神「そもそもマスクの出どころがわからないのではな……」


適切な台詞を適切なコトダマで撃ち抜け!
コトダマリスト>>144-145

↓2 また明日


268: 2016/02/28(日) 02:03:12.85 ID:JA6CB7zRo
まったくわからんな…
せっかくだしたまにはスキル使ってみるか

【診察】

270: 2016/02/28(日) 17:46:19.79 ID:hJILHcxN0

スキル【診察】発動!

・大和田
・江ノ島
・苗木

この三人の誰かが論破相手だ!


↓2次は夜

278: 2016/02/28(日) 22:10:48.09 ID:3S0bZNoDO
【例の不審者が山田君を襲った訳ではない】→【朝比奈の証言】

280: 2016/02/28(日) 22:31:28.51 ID:hJILHcxN0

大和田「なんでそう言えるんだ? 朝日奈の証言によるとよ……」

朝日奈「え、なんでそこで私の証言が出てくるの?」

苗木「僕の発言は、もし葉隠君があの時の不審者の正体なら他に不審者が存在して
    その人が山田君を襲った訳じゃないんだね?っていう意味だよ」

霧切「不審者が複数いたらどうしようもないけど、今回はその可能性は消しているわ」

モノクマ「だって、この場にいない奴が犯人だったら裁判成り立たないし」


コトダマリスト>>144-145

↓2

287: 2016/02/29(月) 20:29:02.36 ID:sdvUqOADO
答えが分からん
『助けて霧切さん』

294: 2016/03/02(水) 21:13:59.68 ID:XmIhtX050

苗木「ぜ、全然わからないよ……助けて霧切さん!」

霧切「今回は少し捻った問題だから難しいかもしれないわね……。
    とりあえず【】の部分をもう一度落ち着いてよく読んで頂戴」

K「論破する、ということはそれを否定するということだ。例えば【凶器をもらっていた】を
  否定するのなら凶器を貰っていない証拠を提示すればいい。【ナイフ持ってる葉隠が
  不審者】を否定するなら葉隠が不審者ではない証拠を提示すればいい」

不二咲「でも、どのコトダマで否定出来るかわからないよぉ……」

霧切「これ以上は答えになるから、思い切ってスキルでコトダマを絞るのはどうかしら?」

K「コトダマさえわかれば、自ずとどの台詞を論破するか見えてくるはずだ」


↓2

300: 2016/03/03(木) 23:32:20.78 ID:t2tD3XTZO
ひっくり返すと
【凶器をもらっていた】→凶器をもらっていない
【ナイフ持ってる葉隠が不審者】→ナイフ持ってるけど葉隠は不審者ではない
【例の不審者が山田君を襲った訳ではない】→例の不審者が山田を襲った
になる?
だったら 江ノ島の【ナイフ持ってる葉隠が不審者】かな?
不審者は江ノ島(本物)だから葉隠ではない
んで使えるコトダマはマスクぐらい?
あの髪型で頭入るの?とか不審者だったならマスクを置いていかないだろとか疑問はあるし


というわけで【ナイフ持ってる葉隠が不審者】に【マスク】

312: 2016/03/05(土) 20:30:23.97 ID:nL05ykoq0

江ノ島「は? そのマスクがどうかしたの?」

苗木「葉隠君がかぶるには髪が邪魔なんじゃないかなーって……」

モノクマ「マスクはフリーサイズとなっております。推理漫画でよく犯人が黒い影になっているけど
      実際にはあの影に収まりきらない人なんてたくさんいるでしょ。そういうもんです」

十神「頭の大きい人間は入らないなら、誰かが大きさについて言及しているはずだろう。馬鹿め」

セレス「大きさについて説明がないということはそこは問題ではないということですわね」

霧切「でも、着眼点は良くなって来たんじゃないかしら。少しずつ真実に近付いているわ」

石丸「ムムム。不審者について何か思い出せそうな気が……?」

舞園「もう少しですよ。頑張ってください!」


コトダマリスト>>144-145

↓2

315: 2016/03/06(日) 01:13:43.49 ID:1C6elu82o
【M.A.R.S】を使う

320: 2016/03/06(日) 23:45:30.86 ID:1lqvtntx0

スキル【M.A.R.S】ヲ起動シマス...

ウィィィン!


コトダマ装填→【ナイフ】ガチャッ


↓2

324: 2016/03/08(火) 00:51:40.13 ID:5FpRm3coO
もしかしてセレスを刺した凶器のナイフが、前モノクマに貰った奴なのかどうかが焦点なのか?
読み返したらあの時のナイフ、机に置かれてから誰が片付けたかわからないんだな
それなら大和田のセリフにコトダマ使うのが適切か?

安価なら【凶器をもらっていた】に【ナイフ】
外したらごめん

338: 2016/03/13(日) 21:23:27.41 ID:9/aTNNPK0

大和田「葉隠が前にモノクマから凶器をもらってたのは間違いねえからな!」

苗木「そのナイフはセレスさんの犯行に使われたナイフだよね?」

桑田「おう。ハッキリ覚えてねーけど、確かそんな感じの折りたたみナイフだったぜ?」

江ノ島「じゃあやっぱり葉隠じゃん!」

葉隠「ヒエー?!」


違ったようだ。既に正解(>>308)が出ているので、オートで進行


【ナイフ】 ドンッ! ====⇒ 【ナイフ持ってる葉隠が不審者】BREAK!!


石丸「いや、それは違うぞ! 不審者が持っていたナイフはアーミーナイフのはずだ。
    今回の事件で葉隠君が使ったナイフとは別物だぞ!」

大和田「セレスを刺したナイフは折りたたみだし、どっちかっつーと
     護身用って感じだな。前にモノクマから貰ってたヤツだろ、多分?」

不二咲「あの騒ぎは不審者事件より後に起こったしねぇ」

霧切「葉隠君が不審者の正体なら、わざわざ凶器を変える必要はないと思うわ」

腐川「構成がなってないわね……!」


        反論ッ!!


腐川「何でナイフの種類が違うから不審者じゃないってことになるのよ……
    不審者はモノクマの手先なんだからナイフぐらい何本でも持ってるでしょ」

腐川「は、【葉隠が不審者の正体】だった! それで決まりじゃない……!」


スルー or 論破
論破する場合はコトダマリスト>>144-145

↓2


339: 2016/03/13(日) 21:44:33.22 ID:1kkD3+BX0
【葉隠の部屋】かな?
「ナイフぐらい何本でも持ってる」と「シャツ以外めぼしいもの無し」の矛盾で

安価下

341: 2016/03/13(日) 22:21:57.44 ID:9/aTNNPK0

腐川「部屋が何? それで葉隠が不審者じゃないって何で言えるのよ」


違ったようだ。


スルー or 論破
論破する場合はコトダマリスト>>144-145

↓2

342: 2016/03/13(日) 22:40:31.39 ID:akKR6tY9O
【謎のマスク】で、葉隠が不審者なら現場にあったマスクを被ってセレスを刺すはず、とか?

352: 2016/03/19(土) 13:16:26.50 ID:eyUTEMrj0

        発展!


苗木「でも、何でわざわざ違うナイフにしたんだろう? サバイバルナイフはどこに行ったの?」

腐川「知らないわよ、そんなの。あたしに聞かないでよね!」

腐川「【持ち運ぶのに不便】だから小型のナイフに変えたんじゃないの?
    どうせ行方不明のサバイバルナイフだって【どこかに隠してる】んでしょ……!」


スルー or 論破
論破する場合はコトダマリスト>>144-145

↓2

354: 2016/03/19(土) 13:40:21.50 ID:5Z/rknhH0
【持ち運ぶのに不便】→ナイフ

360: 2016/03/20(日) 00:31:49.87 ID:yxMUx4BD0

腐川「ハア?! それが何だって言うのよ……!
    大型のナイフは持ち運びが不便だから小型のナイフにしただけでしょ!」


違ったようだ。


スルー or 論破
論破する場合はコトダマリスト>>144-145

↓2

363: 2016/03/20(日) 03:48:57.73 ID:FFhPxrTuO
【どこかに隠してる】←【葉隠の部屋】

365: 2016/03/21(月) 21:15:35.79 ID:Cb4y9wzF0

【葉隠の部屋】→【どこかに/隠してる】


             解ッ!!


苗木「その言葉、切らせてもらうよ」

苗木「葉隠君は事件後すぐに大神さん達に確保されて証拠を処分出来る時間なんてなかった。
    もし葉隠君が不審者の正体だったのなら、部屋にサバイバルナイフがあるはずなんだ!」

セレス「ですが、娯楽室に行く前にサバイバルナイフを隠せばいいだけでは?」

苗木「葉隠君は山田君に呼び出された側であって元々殺意があった訳じゃない。だから護身用に
    小型のナイフを隠し持っていただけであって、事前にサバイバルナイフを隠す動機がないよ」

江ノ島「まあ、普通は部屋の中が一番安全な隠し場所だもんね」

桑田「隠そうとしてるとこを見られたらそれこそ言い訳できねーしな」

K「凶器を変えるメリットがないのはそれだけではない。不審者の正体は未だ明らかに
  なっていないのだ。可能ならば不審者のせいにした方が逃げ延びられる確率は上がる」

葉隠「ほー、成程なぁ」

腐川「なんであんたが納得してんのよ。……そうね、確かにこのバカが不審者は無理があったわ」

朝日奈「でもさ、いくら護身のためでもナイフなんて持ち歩かないでよ!
     現に事故が起こっちゃったワケだしさ!」

葉隠「あ、その件なんだけどな……」


気まずい顔で葉隠は切り出す。



366: 2016/03/21(月) 21:40:03.81 ID:Cb4y9wzF0

葉隠「実は、あのナイフは騒動のドサクサで失くしちまって事件の時はもう持ってなかったんだべ……」



シーン……!



一瞬の静寂の後、全員が同時に声を上げた。


「ハァ?!」

苗木「葉隠君、いくらなんでもその言い訳は……」

葉隠「ほ、本当なんだって! 大マジだべ!!」

十神「投票するか……」

大神「そうだな……」

セレス「時間の無駄でしたわね」

桑田「なんかすっげー疲れたわ……」

葉隠「待った待った! K先生ー!!」

K「……気持ちはわかるが、全員落ち着け」

霧切「彼以外にナイフを入手出来た人はいるのかしら? 凶器の入手手段を調べる必要があるわね」

K「モノクマ、確認だ。俺達の誰かが殺人を計画したとして、お前が凶器を用意することはあるか?」

モノクマ「ボクがこっそり凶器を渡すことはありません! 誰も知らない凶器を持ってるというのは
      ミステリーにおいてかなり強いアドバンテージがあるからね。謎解きは公平でないと」

K「――それは内通者であってもか?」


ギ口リと鋭い目線を飛ばしながらKAZUYAはモノクマを睨みつける。


367: 2016/03/21(月) 21:53:41.06 ID:Cb4y9wzF0

モノクマ「内通者であっても、内通者がその正体を明かさない限りは他の生徒と同様に扱います。
      学級裁判においては、たとえボクの内通者であろうと同じまな板の上の鯉なのです!」

霧切「では、凶器以外の道具はどうかしら?」

モノクマ「……全く、細かいなぁ。新妻に指のホコリを見せて詰め寄る姑並みだよ」

K「で、どうなんだ?」

モノクマ「うーん、ボクはフレキシブルなクマだからね。不自由はさせないって前に言っちゃったし、
      倉庫にあってもおかしくないような平凡な品物なら、要望に応じて渡したことはあるよ」

モノクマ「でも、事件に使う道具は別! この学園にはたくさん物があるでしょ!
      犯人にはそれを上手くやりくりして事件を起こしてもらわないと」

大神「では、内通者もモノクマから凶器を受け取っていないと言うことか」

十神「その発言……裏を返せば俺達の中に不審者はいなかったと言うことになるな」

不二咲「体型的に山田君は不審者じゃないだろうし……」

モノクマ「ギク! まさかとは思いますが、その『不審者』とはあなたの想像上の存在にすぎないのでは
      ないでしょうか。もしそうだとすれば精神科の病院にかかることを切にお勧めします」

朝日奈「ひどい! 私おかしくなんかないよ! 確かにいたもん!」

石丸「そうだ! 僕だって誰かを投げた覚えがあるぞ!」

モノクマ「う、うるさいよ! 今はそんなこと話してる場合じゃないでしょ!
      真面目に議論する気がないならタイムアップにするよ!」

K(……やはり不審者の正体はこの場にいない人間だったか。だが、予想の
  範囲内であって特に驚くことではないな。今は裁判に集中せねば……)

霧切「山田君は他に何か言っていた?」


368: 2016/03/21(月) 22:03:41.11 ID:Cb4y9wzF0

葉隠「他? 俺がモノクマの内通者だって言いがかりをつけてきて、
    俺が否定したら襲ってこようとして……。おう、そんだけだ」

桑田「え、そんだけ? 手掛かりは?」

大和田「なんかこう、あんだろ。事件解決につながるような重要な発言とかよ」

葉隠「いや、なにも。本当にこれだけだべ」

苗木「え、いやいやいや……」

腐川「ここまで議論して来たっていうのに、結局どん詰まりぃ?!」

葉隠「そんなこと言われてもなぁ。あの時は頭に血が上ってて記憶も飛び飛びだしムチャ言うなって……」

十神「おい、葉隠……嘘をつくにしても、もう少しまともな嘘をついたらどうだ?」

葉隠「ウ、ウソ? 俺はウソなんて……」


獲物を見る蛇のように冷たい目をした十神が、葉隠をじっと睨み付けていた。


十神「今までの議論で証明されたのはせいぜいお前が山田に呼び出されたことくらいだ。
    どうせ、言いがかり等は全部嘘で本当はお前から襲いかかったんだろ?」

セレス「葉隠君は先程から嘘ばかりついていますからね。何が本当で何が嘘なのか信用できませんわ」


今度ばかりは嘘ではなかったのだが、哀れな狼少年もとい狼青年はすっかり信用を失っていた。


葉隠「ああー! 俺は本当のことを言ってるはずなのに! もう頭ん中ぐちゃぐちゃだべ!」

K「凶器についての議論はここで打ち止めのようだ。次は、別の視点から話してみよう」

苗木「別の視点と言えば……」

K「どうした?」


370: 2016/03/21(月) 22:19:06.87 ID:Cb4y9wzF0

苗木「山田君は、体型が違いすぎるから不審者じゃない。
    で、さっきの議論で葉隠君も不審者じゃないって結論になった」

苗木「葉隠君も山田君も不審者じゃないなら……あのマスクはどこから来たんだろう?」

不二咲「本当だ……山田君は本物の不審者の正体を知ってたのかなぁ?」

江ノ島「でもそれだと葉隠を不審者呼ばわりしたことの説明が付かなくない?」

モノクマ「君達ってさぁ、人に言われたことをすぐ素直に信じちゃうよね。考える頭がないの?」


議場が迷走する前に、素早くモノクマが割って入った。


モノクマ「あのマスクが本物とは限らないでしょ? あんなマスクどこにでもある訳だし。
      そんなんだと、葉隠君みたいに騙されてガラス球を掴まされることになるよ?」

葉隠「これは本物の水晶球だべ! かのナポレオンがなぁ……!」

桑田「あー、その話聞くと一気に信憑性なくなるわ」

腐川「どうせモノモノマシーンじゃないの? あの中には色んなガラクタが入ってたじゃない」

大和田「まあ入っててもおかしくはねえよな。役に立つモノより変なモノの方が多いしよ」

霧切「逆に、あのマスクを手に入れたからこそ今回の犯行を思い付いた可能性もあるわね」

十神「山田がな。葉隠を不審者呼ばわりしたのは単に因縁をつけただけだろう」

セレス「きっと不審者に罪をなすりつけようとしたのですね」

苗木(因縁をつける? ……でも、それって変じゃないかな。
    どう考えても不意打ちした方がいいと思うけど……)

苗木(なんでそんな、わざわざ相手に警戒させるようなことをしたんだろう。まるで……)

K「――何かから注意を逸らすかのようだ」

苗木「えっ?!」

K「…………」

不二咲「どうかしたのぉ?」

K「……いや、何でもない」


372: 2016/03/21(月) 22:47:48.67 ID:Cb4y9wzF0

ちょっとゴチャゴチャしてきたので、ここで一旦切って整理しておきます。

モノクマ「学級裁判!!」KAZUYA「俺が救ってみせる。ドクターKの名にかけてだ!」カルテ.6【中編】

374: 2016/03/21(月) 23:19:30.76 ID:v9Ztfh2LO
乙だべ!

引用: モノクマ「学級裁判!!」KAZUYA「俺が救ってみせる。ドクターKの名にかけてだ!」カルテ.6