1: 2013/09/15(日) 17:18:43 ID:7GeV93yY
先日VIPで立てたのですが
人気無さに落ちてしまいました。
勝手ですが、ここで再挑戦させていただきます

本作はシリアスSSです
長くて申し訳ありません
2: 2013/09/15(日) 17:20:55 ID:7GeV93yY
さやか「誰かの幸せを祈った分…他の誰かを呪わずにはいられない…」
さやか「私達魔法少女って、そういう仕組みだったんだね」
さやか「あたしって…ほんと馬鹿…」
ゴゴゴゴゴ…

杏子「さやかぁぁっ!!」
シュイン!

オクタヴィア「キャァァァァァァァァ!!」

杏子「なんなんだよ…!てめぇ一体なんなんだっ!さやかに何をしやがった!!」
もう誰にも頼らない
3: 2013/09/15(日) 17:21:28 ID:7GeV93yY
ほむら「下がって…」

キンッ! ドカーン!!

ほむら「つかまって…」
杏子「何を?」
ほむら「いいから…!」

ギュッ…
カシャ!

杏子「こ、こいつは…」
ほむら「私から手を離したら、あなたの時間も止まってしまう…気をつけて」
トコトコトコ
杏子「どうなってるんだよ!?あの魔女は何なんだよ!?」
ほむら「かつて『美樹さやか』だったものよ…あなた、見届けたんでしょ」
杏子「逃げるんか…」
ほむら「嫌ならその余計な荷物を捨てて…今すぐあの魔女を頃しましょ、できる?」
杏子「ふざけるなっ!」
ほむら「今のあなたは足手まといにしかならない、一旦引くわ」
杏子「っ…」

4: 2013/09/15(日) 17:22:43 ID:7GeV93yY
~見滝原市内某駅車両置場~

スタスタ…
まどか「!」
まどか「さやかちゃん!さやかちゃん!!どうしたの!?ねぇ、ソウルジェムは!?さやかちゃんはどうしたの!?」
ほむら「彼女のソウルジェムはグリーフシードに変化した後、魔女を産んで消滅したわ」
まどか「えっ……嘘…だよね…」
ほむら「事実よ、それがソウルジェムの最後の秘密、この宝石が濁りきって黒く染まるとき…私達はグリーフシードとなり、魔女として生まれ変わる…」
ほむら「それが…魔法少女になったものの逃れられない運命…」
まどか「嘘よ…嘘よね…ねえっ…!」
まどか「そんな…どうして!さやかちゃん、魔女から人を守りたいって、正義の見方になりたいって、そう思って魔法少女になったんだよ…なのに…!」
ほむら「その祈りに見合うだけの呪いを背負い込んだまでのこと…あの子は誰かを救った分だけ、これからは誰かを祟りながら生きていく」
杏子「……」
グッ!
杏子「てめぇは…何様のつもりだ…!事情通ですって自慢したいのか!?なんでそう得意気に喋ってられるんだ…!こいつは…さやかの!さやかの…親友なんだぞ…っ!」
ほむら「今度こそ理解できたわね、あたなが憧れていたものの正体が、どういうものか…」
ほむら「わざわざ氏体を持ってきた以上、扱いには気をつけて、迂闊な場所に置き去りにすると後々厄介なことになるわ…」
杏子「てめぇそれでも人間か!」
ほむら「もちろん違うわ…あなたもね」
杏子「っ…」

5: 2013/09/15(日) 17:23:47 ID:7GeV93yY
その後
  ~ほむらの家~

杏子「…」


ほむら「どうしたの?入らないの?」

杏子「!」

杏子「気付いてやがったか…」

ほむら「…何をしにきたの?」

杏子「ちょっと話があるんだ、顔貸してくれる?」

ほむら「とりあえず、中で話しましょう」

6: 2013/09/15(日) 17:26:07 ID:7GeV93yY
杏子「悪いが…アンタとは手を組めない、ワルプルギスの夜には一緒に戦えない」

ほむら「今更何を言っているの?ワルプルギスの夜が来たら嫌でも戦わなくてはならない…」

杏子「確かにそうかもしれない、だが今のアンタをアタシは許せない」

ほむら「…美樹さやかのこと?」

杏子「そうだ…アンタがあんな奴だとは思わなかったよ…」

ほむら「私は魔法少女の事実をありのままに伝えただけ…」

ほむら「ああでもしなければ、あの子は契約してしまうところだった…」

杏子「さやかの親友のことか」

ほむら「…あなたには関係のないことよ」

杏子「ほんとに手の内が読めねー奴だな、前にも言ったけど、そんなことじゃいつまで経っても共闘なんて無理だよ」

7: 2013/09/15(日) 17:26:59 ID:7GeV93yY
ほむら「別にいいわ、あなたが戦わないなら私が一人で戦うだけ」

杏子「そうかよ、好きにしな」

ほむら「……」

ほむら「そんなことを言いにわざわざここまで来たの?」

ほむら「以外だわ…」

杏子「…よく気付いたな、本題はこれからさ」

ほむら「…?」

8: 2013/09/15(日) 17:28:36 ID:7GeV93yY
杏子「さっきの時間停止の能力、こないだのワルプルギスの話でアンタが言ってた『統計』って言葉、そして、いつも使うあの妙な技…」

杏子「これから察するに、アンタの能力は時間操作だろ?」

ほむら「!!」

杏子「アタシが馬鹿だとでも思ったかい?これでも学校行ってた時は成績良かったんだぜ」

ほむら「それで…?」

ほむら「私の能力がわかったところで、どうするつもり?」

杏子「……」

杏子「アンタの能力がどの程度かわからないが、もし過去に戻れるなら…アタシはさやかを助けたい…」

ほむら「!」

杏子「アタシを…アタシを過去に戻してくれっ…!さやかが魔女になる前にっ…!」

9: 2013/09/15(日) 17:30:49 ID:7GeV93yY
ほむら「そんなこと……」

杏子「頼むっ!本当に頼む!アタシはアイツを助けてやりたいんだっ!」

ほむら「あなた…そこまで、美樹さやかのことを…」

杏子「…バカと思うかもしれないけど、アタシはね、本当に助けられないのかどうか、それを確かめるまで、諦めたくない」

ほむら「ならはっきり教えてあげる、残念だけど…私の能力は時間操作じゃないわ」

杏子「ち、違うのか!?」

ほむら「近いものだけど、あなたが思っているほど便利なものではないの」

杏子「どういうことだ…」

10: 2013/09/15(日) 17:32:21 ID:7GeV93yY
ほむら「……」

ほむら「私が最初、この街に来たとき、鹿目まどかに会った、あの子は始め、この街で魔法少女をしていたわ」

杏子「……」

ほむら「そして私はあの子に命を救われた、それからずっとあの子の魔女退治に付き合ってきた、もちろん契約はせずに…」

ほむら「そうして、この街にワルプルギスの夜がやってきて、巴マミが氏に、あの子は私を救う為にワルプルギスの夜に立ち向かい氏んだわ」

ほむら「私は助けられてばかりで何も出来なかった自分を悔いた、私は自分なんかよりあの子に生きててほしかった」

ほむら「その時にQBが言ったの『その言葉は本当かい?』って」

ほむら「私は鹿目まどかとの出会いをやり直すことを条件に魔法少女になった…」

11: 2013/09/15(日) 17:33:08 ID:7GeV93yY
杏子「!」

杏子「つ、つまり、てめえは…何度も過去をやり直してきたわけか、そいつを助けるために」

ほむら「ええ…何度もあの子の運命を変えようと…」

杏子「だからてめえはイレギュラーだったわけか…」

杏子「ふーん…じゃあ、アンタはその、『まどか』って奴と会う前の時間までは戻れるわけだな」

ほむら「…そうね」

ほむら「戻ろうと思えば…」

杏子「なら決まりだ、今度はアタシも連れて行け、その時間なら、さやかを助けてやれる」

12: 2013/09/15(日) 17:34:08 ID:7GeV93yY
ほむら「…さっきも言ったわよね…あなたが思ってるほど便利な能力ではない…って」

杏子「…?」

杏子「過去に戻れるんだろ?だったら…!」

ほむら「…時間遡行の発動には条件があるの…私の盾の砂時計の砂が完全に落ち切らなければ、時間停止は出来ても、過去に戻ることはできない…」

杏子「!」

杏子「…つ、つまり今からは戻れないのか…?」

ほむら「ええ」

ほむら「ごめんなさい、力になれなくて…」

杏子「……」

杏子「わかったよ、ならもうアンタには頼らない、さやかはアタシが助ける」

13: 2013/09/15(日) 17:34:52 ID:7GeV93yY
ほむら「…?」

ほむら「何をするつもり?」

杏子「…さあな、まだわからねえ、言ったろ、アタシは助けられないのかどうかわかるまで諦めるつもりはねえ」

ほむら「……」

ほむら「…無理よ」ボソ

杏子「あ…?」

ほむら「…無理よ、魔女化してしまった魔法少女を元に戻すことは…出来ないわ」

杏子「んなこと!やってみなきゃわかんねーじゃねーか!!」

ほむら「…私は過去に見てきたの、どんなに呼びかけても反応すらしてくれなかった」

杏子「…っ!」

14: 2013/09/15(日) 17:38:17 ID:7GeV93yY
杏子「じゃ…じゃあどうすりゃいいんだよ…っ!?」

ほむら「…美樹さやかのことは諦めなさい」

杏子「……」
杏子「んなこと…できるわけねえだろ…っ!」

杏子「どうにかならねーのか…」

ほむら「……」
ほむら「あなたの言った通り、今から2人で過去に戻れたらいいけれど、そんな都合のいいこと、この世界にありはしないわ」

ほむら「…試してもいいけど、どうせダメに決まっている」

杏子「じゃあ、試してみよーじゃんかよ」

ほむら「え…!?」

15: 2013/09/15(日) 17:39:19 ID:7GeV93yY
杏子「アタシの魔力だってあるんだ、2人分の魔力なら今から戻れるかも知れないだろ?」

ほむら「……」

杏子「もしかして2人で戻れれば、さやかと、そいつ2人とも助けてハッピーエンドになるかもしれない」

杏子「そういうもんじゃん?最後に愛と勇気が勝つストーリー、ってのは」

ほむら「……」

杏子「アタシだって、考えてみたらそういうのに憧れて魔法少女になったんだよね」

杏子「すっかり忘れてたけど、さやかはそれを思い出させてくれた」

杏子「…だからどうしても助けてやりたいんだ」

ほむら「……」

16: 2013/09/15(日) 17:40:08 ID:7GeV93yY
ほむら「あなた…本気なの?」

ほむら「失敗すれば、何が起こるかわからないわ、膨大な魔力の消費で魔女になってしまう可能性だってあるのよ」

杏子「アタシは本気さ、それに失敗のリスクはアタシたちにはもう関係ないじゃん、どうせいつかは魔女になんだろ?」

ほむら「……」

ほむら「…経験したから言うけど、過去に戻ったからといっていい結果になるとは限らない」

ほむら「むしろ悪い結果になる可能性のほうが高いってことを忘れないで、それでもいいの?」

杏子「仮にそうなったとしても、アタシはやれるだけのことをやってから後悔したい、アンタだってそうしてきたんだろ」

杏子「まだ、そいつを助けれるって信じてるんだろ?」

ほむら「!」

ほむら「…まず2人で過去に行ければの話ね…」

杏子「ふん、行ってやるさ…」

17: 2013/09/15(日) 17:41:10 ID:7GeV93yY
QB「2人とも何を話しているんだい?」
スッ

杏子「どの面下げて出てきやがったテメェ…!」
チャキン!

QB「やれやれ、招かれざる客ってわけかい」

ほむら「ええ、お前には関係のないことよ、QB…」

QB「」
スタスタ…

18: 2013/09/15(日) 17:42:13 ID:7GeV93yY
ほむら「じゃあいいわね…」

杏子「おう」

杏子「2人で愛と勇気が勝つストーリーってのにしてやろうじゃねーか!」

ほむら「……」


ほむら「つかまって…」

杏子「ああ」
…ギュッ


カシャ!
シュイーン…!

19: 2013/09/15(日) 17:43:35 ID:7GeV93yY
_________

 ~ほむら病室~


ほむら「…こ、ここは」

ほむら「はっ!」

ほむら「杏子…?」

杏子「…なんだよ、ここにいるよ」

ほむら「本当に戻れたの…!?」

杏子「さあな、アタシに聞かれてもわかるかよ、ただ気付いたらここにいただけさ」

ほむら「…本当に戻ってこれたのね、2人で…」

杏子「そうなのか?なら良かった、なっ?やってみなきゃわかんねえことだって世の中あんだよ」

ほむら「…そうね」

20: 2013/09/15(日) 17:44:33 ID:7GeV93yY
杏子「…ところでアンタ、心臓の病気だったのか」

ほむら「…そうよ」

杏子「…ふーん…」

ほむら「もう来てしまった以上、あの未来には戻れない」

杏子「…ああ、わかってるよ、今はいつ頃になるんだ?」

ほむら「私が転校する前だから、あれから一ヶ月くらい前ね」

杏子「一ヶ月も前なら…!」

ほむら「でも迂闊に鹿目まどかには手を出さないでちょうだい、あの子が契約してしまうような事になったら私はまた過去に戻る」

杏子「わかってるよ、アンタはそいつを、アタシはさやかを契約させなければいい話だろ」

ほむら「ええ、理解が早くて助かるわ」

21: 2013/09/15(日) 17:45:29 ID:7GeV93yY
杏子「病人のくせにピーピーしゃべりやがって、じゃあアタシはそろそろ行くよ、後は勝手にやらせてもらう」

ほむら「もう病人じゃないわ、それと状況把握の為に何か変化があったら逐次報告しなさい」

杏子「はあ…めんどくせぇなあ」

ほむら「誰のおかげでここに戻れたと思ってるの?」

杏子「ちっ…」

杏子「…わかったよ、なんかあったらアンタんとこに行くよ」

ほむら「なら行っていいわ、後は好きにしなさい、くれぐれもまどかに手を出したら許さない」

杏子「はいはい、じゃあな、お互い頑張ろうじゃねーか」

ほむら「ええ」

22: 2013/09/15(日) 17:46:09 ID:7GeV93yY
ほむら「……」


ほむら「…あっ」

ほむら(ソウルジェムがいつもよりも濁っている…それもそうね…今回は2人で戻ったんですもの、魔力も二倍消費してるはず)

ほむら(早いとこ魔女を倒して浄化しておこうかしら…)

ほむら(杏子と2人で戻ることが出来た…この時間軸なら…必ず…まどかを…!)

23: 2013/09/15(日) 17:47:07 ID:7GeV93yY
数日後
   ~教室~

先生「はいっ、じゃあ自己紹介いってみよっ」
ほむら「暁美ほむらです、よろしくお願いします。」

~~~

まどか「あ、暁美さん?」
ほむら「ほむらでいいわ…」
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「何かしら?」
まどか「えっと、その…変わった名前だよね、いや…だから、あのね、変な意味じゃなくてね、その、カッコいいなって!!」
ほむら「鹿目まどか、あなたは自分の人生が尊いと思う?家族や友達を大切にしてる?」
まどか「えっ、えっと…わた…しは、大切だよ、家族も、友達のみんなも、大好きで、とっても大事な人たちだよ」
ほむら「本当に?」
まどか「本当だよ、嘘なわけないよ」
ほむら「そう…もしそれが本当なら今とは違う自分になろうだなんて絶対に思わないことね」
ほむら「…さもなければ全てを失うことになる」
まどか「えっ」
ほむら「あなたは『鹿目まどか』のままでいればいい、今まで通り、これからも…」
まどか「…」

24: 2013/09/15(日) 17:48:46 ID:7GeV93yY
 放課後
~見滝原市某デパート~

さやか「ええ!?何それ?」
まどか「わけわかんないよね…」
さやか「文武両道で才色兼備かと思いきや実はサイコな電波さん!くー!どこまでキャラ立てすりゃあ気が済むんだ?あの転校生は!?萌えか?そこが萌えなのかあ!?」
仁美「まどかさん、本当に暁美さんとは初対面ですの?」
まどか「うん…常識的にはそうなんだけど…」
さやか「何それ?非常識なところで心当たりがあると?」
まどか「あのね…昨夜、あの子と夢の中で会った…ような…」
さやか「あははは、すげー、まどかまでキャラが立ち始めたよ」
まどか「ひどいよぅ、私真面目に悩んでるのに」
さやか「あー、もう決まりだ、それ前世の因果だわ、あんた達、時空を超えて巡り合った運命の仲間なんだわぁ!」
仁美「夢って、どんな夢でしたの?」

~~~~

25: 2013/09/15(日) 17:49:47 ID:7GeV93yY
~~~

QB「助けて…助けて…まどか」
まどか「ええ?誰?誰なの?」
まどか「どこにいるの?あなた誰?」
QB「助けて…」

ドーン!
ガシャーン!

まどか「あなたなの?」
QB「助けて…」

ガチャーン!

26: 2013/09/15(日) 17:50:18 ID:7GeV93yY
まどか「ほむらちゃん…」
ほむら「そいつから離れて…」
まどか「だって、この子怪我してる…だ、ダメだよ、酷いことしないで!」
ほむら「あなたには関係ない」
まどか「だってこの子、私を呼んでた、聞こえたんだもん!助けてって!」
ほむら「そう…」
まどか「……」
ほむら「……」

ブシュー!
さやか「まどか!こっち!」

ブウオオン…

ほむら「こんなときに…」

27: 2013/09/15(日) 17:53:49 ID:7GeV93yY
マミ「危なかったわね、でももう大丈夫」

マミ「私は巴マミ」
マミ「あなたたちと同じ、見滝原中の3年生」
マミ「そして」
マミ「キュゥべえと契約した、魔法少女よ」

~~~~

マミ「魔女は逃げたわ」
ほむら「私が用があるのは…」
マミ「飲み込みが悪いのね、見逃してあげるって言ってるの」
ほむら「」
マミ「お互い余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」

~~~~

さやか「なんで私たちの名前を?」
まどか「お願い?」
QB「僕と契約して魔法少女になってよ」

28: 2013/09/15(日) 17:55:06 ID:7GeV93yY
その日の夜
 ~ほむらの家~


ほむら「……」

ほむら(またもQBをまどかたちと接触させてしまった、杏子がいれば、まだ手はあったかも知れないのに、全く…何をやっているのかしら?あの子は…)

ピンポーン
ほむら「杏子?」

杏子「ああ、遅れて悪い、入っていいか?」

ほむら「入って」

29: 2013/09/15(日) 17:56:07 ID:7GeV93yY
ほむら「それで…一体今まで何をしていたの?あなたは美樹さやかを救いたいんでしょ?目を離してていいの?」

杏子「そりゃそうだが、アタシは一応、風見野の魔法少女なんだからあっちの魔女や使い魔も倒さなきゃいけないだろ…放っておけば人を襲うんだぜ」

ほむら「本当に変わったわね…あなた」

杏子「アタシはさやかに会って魔法少女になりたてだったときの気持ちを思い出したんだ、正義の為とかってわけじゃないけど、出来ることはやりたい…って思ってな」

ほむら「そう」

杏子「でも、それだけじゃないんだぜ…ほらよ!」
ゴロゴロロ…

ほむら「これは…!」

杏子「何しろこの時の風見野には魔法少女はアタシしかいなかったからな、すげー数のグリーフシードが手に入った」

ほむら「あるに越したことはないわ」

ほむら「それより、QBが鹿目まどかと美樹さやかに接触したわ」

杏子「何!?もちろん契約はまだだよな?」

30: 2013/09/15(日) 17:57:49 ID:7GeV93yY
ほむら「ええ、でも接触してしまった以上、魔法少女になる選択肢を選ぶ可能性がゼロではなくなった」

杏子「……」

ほむら「あなたが早くから見滝原に来ていればこんなことにはならなかったわ」

杏子「アタシのせいだって言うのか?」

ほむら「そうよ、あなたのせいよ」

杏子「…まだ契約はしてないんだろ?それにアンタが今まで行ってきた過去で接触を止めれたときはあったのかよ」

ほむら「…そ、それは」

ほむら「…でも今回はあなたがいたのに接触を阻止できなかった」

杏子「どうせアイツ殺ったってすぐに代わりがぽんぽん出てくんだろ、なら遅かれ早かれそうなったんじゃないか?」

ほむら「……」
ほむら「そうね…」

31: 2013/09/15(日) 17:59:05 ID:7GeV93yY
杏子「だろ?なら仕方ないさ、契約したわけじゃないんだ、アタシたちが頑張るのはこれからだろ」

ほむら「……」
ほむら「それと巴マミとも接触したわ…しかも巴マミは、あの2人を魔法少女に誘導している」

杏子「…!!」

ほむら「あなた…昔、巴マミと接点があるわね」

杏子「…どうして、それを」

ほむら「いつの時間軸だったか…巴マミが私に打ち明けたことがあったわ…自分は魔法少女の友達がほしかったって」

ほむら「過去に弟子にしてほしいと言ってきた子がいた、でも自分はその子の先輩でありながら、その子を助けることができなかったって」

ほむら「ワルプルギスの夜の前日だったかしら、自分は今でもそれが後悔してるって…」

杏子「……」

ほむら「…あなたのことでしょ?」

杏子「だったら…何だってんだよ」

ほむら「あなたがどうしようと勝手だけど、この先、美樹さやかを救う為にあの子たちに接触するなら巴マミとも間違いなく接触することになるわ」

32: 2013/09/15(日) 18:00:30 ID:7GeV93yY
杏子「……」

ほむら「それに私が経験した過去の歴史では、巴マミは近いうちに戦うお菓子の魔女と戦って氏ぬことになる」

杏子「!」

ほむら「どうするの?」

杏子「…ど、どうするって、別に…」

ほむら「おそらく私じゃ助けられないわ、前回、巴マミを助けようとしたけれど、彼女はそれを断った、それに彼女は私のことを良く思っていないようだし…」

ほむら「もし、また同じ歴史が繰り返されるのなら、助けられるのはあなたしかいない」

ほむら「私としてもワルプルギスの夜の為に一人でも魔法少女の戦力がほしい…それに巴マミが氏ぬことで、後輩である美樹さやかが責任を感じ、契約を急ぐ過去もあった」

ほむら「だから助けて損は無いと思……」

杏子「……わかったよ」

杏子「…助けりゃいんだろ」

33: 2013/09/15(日) 18:01:21 ID:7GeV93yY
ほむら「そう…」

ほむら「歴史が変わらないなら、数日後、見滝原の病院に結界が現れる、もちろん私も向かうけど、多分私は途中で足止めさせられるわ」

杏子「わかったよ」

ほむら「それと、これからはこの街にいなさい」

杏子「はあ?」

ほむら「神出鬼没では私が困るわ、情報の交換もまともに行えない、これからは極力、私と一緒に行動してもらうわ」

杏子「はあ、ふざけんなよ」

ほむら「この家も自由に使っていいのよ、それにあなたの為にロッキーが買ってあるわ」

杏子「てめぇ…」

ほむら「…」

杏子「よし乗った!」

ほむら「良かったわ…あなたが単純で」

杏子「てめえ…頃すぞ…」ポキッ

34: 2013/09/15(日) 18:02:00 ID:7GeV93yY
~見滝原市内某所廃ビル前~

女性「ここ…あれ、私は?やっやだ、私、なんで、そんな、どうして、あんな、ことを…!」
マミ「大丈夫。もう大丈夫です、ちょっと、悪い夢を見てただけですよ」
さやか「一件落着、って感じかな」
まどか「うん」


まどか「叶えたい願いごととか、私には難しすぎて、すぐには決められないけれど」
まどか「でも、人助けのためにがんばるマミさんの姿は、とても素敵で」
まどか「こんな私でも、あんな風に誰かの役に立てるとしたら、それは、とっても嬉しいなって、思ってしまうのでした」

35: 2013/09/15(日) 18:02:57 ID:7GeV93yY
数日後
 ~見滝原市内病院付近魔女結界内部~


マミ「これなら魔女を取り逃がす心配も…」
まどか「え?あっ…」
マミ「言ったはずよね…二度と会いたくないって」
ほむら「今回の獲物は私が狩る、あなたたちは手を引いて」
マミ「そうもいかないわ…美樹さんとQBを迎えに行かないと」
ほむら「その2人の安全は保障するわ」
マミ「信用すると思って?」
シュキーン…
ガシッ!
ほむら「ば、馬鹿…こんなこと…やってる場合じゃ…!」
マミ「もちろんケガさせるつもりはないけど、あんまり暴れたら保障しかねるわ」
ほむら「今度の魔女はこれまでの奴らとはわけがちがう…!」
マミ「大人しくしていれば帰りにちゃんとに解放してあげる」
マミ「行きましょう…鹿目さん」
まどか「はい…」
ほむら「待っ……くっ」

36: 2013/09/15(日) 18:03:56 ID:7GeV93yY
~~~

杏子「だせぇなぁ、もうマミに足止め食らったのか?」

ほむら「……」

杏子「ったくよ」
ザシュッ

ほむら「……」
スタッ

杏子「ほら、一緒に行くぞ」

ほむら「あなたが一人で行って」

杏子「なんでだよ、てめえも行ったほうがいいだろ」

ほむら「いえ、あなた一人の方がいい、あなたがいれば負けることはないでしょうし」

杏子「……わかったよ、すぐ終わらせて来る、ここで待ってろ」

ほむら「遅れたら意味が無いわ、急いで」

杏子「おう」

37: 2013/09/15(日) 18:05:01 ID:7GeV93yY
~~~~

まどか「ふぇぇ…あの、マミさん…?」
マミ「なあに?」
まどか「願い事、私なりに色々考えてみたんですけど…」
マミ「決まりそうなの?」
まどか「はい…」
まどか「でも、あの…もしかしたらマミさんには考えが甘いって怒られそうで…」
マミ「どんな夢を叶えるつもり?」
まどか「私って昔から得意な学科とか、人に自慢できる才能とか何もなくて、きっとこれから先ずっと誰の役にも立てないまま、迷惑ばかりかけていくのかなって、それが嫌でしょうがなかったんです」
マミ「…」
まどか「でもマミさんと会って、誰かを助けるために戦ってるの…見せてもらって、同じことが私にもできるかもしれないって言われて、何よりも嬉しかったのはそのことで」
まどか「だから…私、魔法少女になれたらそれで願い事は叶っちゃうんです!こんな自分でも誰かの役に立てるんだって胸を張って生きていけたら、それが…一番の夢だから…」
マミ「…大変だよ、ケガもするし、恋したり遊んだりしてる暇も無くなっちゃうよ…」
まどか「でも、それでも頑張ってるマミさんに私、憧れてるんです!」

マミ「…憧れるほどのもじゃないわよ…私…」
マミ「無理してカッコつけてるだけで、怖くても辛くても誰にも相談できないし、一人ぼっちで泣いてばかり…いいものじゃないわよ?魔法少女なんて」
まどか「マミさんはもう一人ぼっちなんかじゃないです」
マミ「…そうね…そうなんだよね」
マミ「本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの?そばにいてくれるの?」
まどか「…はい、私なんかで良ければ…」
マミ「…まいったな…っ…まだまだちゃんと先輩ぶってなきゃいけないのにな…やっぱり私ダメな子だ…っ…」
まどか「マミさん…」

38: 2013/09/15(日) 18:06:50 ID:7GeV93yY
~~~~

マミ「今日という今日はソッコーで片付けるわよ!」
マミ(体が軽い、こんな幸せな気持ちで戦うなんてはじめて、もう何も怖くない、私ひとりぼっちじゃないもの)
マミ「せっかくのとこ悪いけど…」
マミ「一気に決めさせて…」
マミ「もらうわよ!」

さやか「やったぁ!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」
ドーン!



マミ「あ」
まどか「あっ、あっ」
さやか「あぁ!」

39: 2013/09/15(日) 18:07:52 ID:7GeV93yY
ザシュッ!!

お菓子の魔女「!!」

マミ「え」

??「ったく、何やってんだよ…先輩のくせに」

まどか「えっ?」

さやか「え?何?」

??「後輩の前で氏にゃ世話ねえってか、マミ先輩」

マミ「さ、佐倉さん!?」

杏子「間に合ったか、久しぶりだな…マミ先輩」
スタッ…

マミ「佐倉さん…どうして…」

まどか「だ、誰…?」

さやか「てかマミ先輩って…」

杏子「説明は後だ、今はとりあえず、アイツを…」
バッ!

40: 2013/09/15(日) 18:09:02 ID:7GeV93yY
お菓子の魔女「グォォォォ!!」

杏子「久しぶりだから出来るかわからねーけどやってみるか、マミ先輩の前だし」

杏子「言いたくねーけど……」

杏子「ロッソ・ファンタズマ!!」
シュイン!シュイン!シュイン!シュイン!

杏子「おお…すげえ!出来た!」

お菓子の魔女「ガプッ!」

杏子「残念!そっちはニセモノさっ!」
ザシュッ!

杏子「菓子はアタシに食べられるもんだろーが、菓子が人食ってどうすんだよ!」
ズババッ!

お菓子の魔女「グォォォ……」
ドドーン…

さやか「か、カッコイイ…!」

まどか「す、すごい!」

杏子「菓子は菓子らしく食われてろよ!」
ポキッ

41: 2013/09/15(日) 18:10:25 ID:7GeV93yY
ブオォォン…


杏子「ふー…」

マミ「佐倉さん…どうして…」

杏子「…先輩のピンチに後輩が駆けつけなくてどうするのさ」

マミ「あなたはもう…私とはやってけないって…」

杏子「あの時は……」

杏子「…でもアタシ改心したんだ…だからもう一度マミ先輩と一緒に戦いたいって、一緒にこの街救ってた時の気持ち思い出したんだ」

杏子「もちろん無理にとはいわねえ、今更図々しいのも承知だし、アタシからマミ先輩とは縁を切ったんだ、アタシは嫌われて当たり前の事を……」

マミ「っ…嫌いになんてなってない!」

42: 2013/09/15(日) 18:11:28 ID:7GeV93yY
杏子「…!」

マミ「…あなたが…あなたがいなくなってどれだけ寂しかったことか…あなたのことがどれだけ心配だったことかっ…!」

マミ「あなたは、私にとって魔法少女として志を共にできる初めての親友だった…でも…でもっ!私は…あなたを助けてやれなかった!だから…だからっ…その事だけが…っ!」

杏子「悪かった…ホントに」
ギュッ…

マミ「…!」

杏子「だから、これからまた頑張ろうぜ…なっ?」

マミ「っ…やっぱり私先輩失格だ、もう泣かないって決めたのに…ぐすっ…」

杏子「…よしよし…ほらよ」

マミ「グリーフシード…でもこれはあなたが…」

杏子「何言ってんだよ、昔みたいに…ほら、ソウルジェム出せって」

マミ「う、うん…」シュルル

43: 2013/09/15(日) 18:12:16 ID:7GeV93yY
まどか「なんだかよくわからないけど…」

さやか「感動の再会…ってやつ?」

まどか「うん、そうなのかな、マミさん…すごく嬉しそう」

さやか「なんかすごくいいコンビみたいだなあ、あの2人」


マミ「で、でも、どうして私が危ないってわかったの?」

杏子「ああ、それはこいつのおかげさ、こいつが教えてくれたのさ」

45: 2013/09/15(日) 18:15:46 ID:7GeV93yY
スッ…
ほむら「私は何も…」

さやか「げっ!転校生!」

まどか「ほむらちゃん…!」

マミ「あなたは…暁美さん…」

杏子「こいつはなんだかんだでマミ先輩のこと心配してたのさ」

ほむら「杏子…何を…」

マミ「…本当に?」

ほむら「…私はただ、あなたに氏んでもらっては困るだけ…」

杏子「な?つまりマミ先輩のこと心配してるんだよ」

マミ「そうなの…今まで誤解していたわ…ごめんなさい、暁美さん…」

ほむら「私は別に…」

杏子「これでわかったろ、こいつはマミ先輩に敵対心があるわけじゃないってことだな」

マミ「気付けなくて…ごめんなさい」

マミ「そうだ…良かったらあなたもこの街で一緒に戦いましょ?暁美さん」

47: 2013/09/15(日) 18:18:47 ID:7GeV93yY
ほむら「私は……」

杏子「おい、うなずけよ、仲良くしといて損はないんだろ?」コソコソ

ほむら「……」コク

マミ「ありがとう、暁美さん」

マミ「じゃあ、そうと決まれば今日は魔法少女コンビ再結成記念パーティーよ」

杏子「えっ!」

さやか「い、今からですか?」

まどか「うんうん、ほむらちゃんとも仲良くなれそうだし」

ほむら「まどか…」

マミ「じゃあ今から私の家に!私が腕を揮ってご馳走作るから!」

マミ「私は準備あるから先に帰っとくわ!」

48: 2013/09/15(日) 18:20:26 ID:7GeV93yY
杏子「あ、お、おい!」

杏子「さっきまでの涙はどこいったんだよ…」


さやか「あんなに嬉しそうなマミさん、初めてみたね」

まどか「そうだね、あの子と会えたのがすごく嬉しいんだね」

ほむら「……」

まどか「何やってるの、ほむらちゃんもいこっ!」
ギュッ
ほむら「あっ…うん」

49: 2013/09/15(日) 18:22:19 ID:7GeV93yY
言い忘れてましたが本作は5編構成になっています。

ここまでが『マミ救出編』です

これからが『日常編』となります

50: 2013/09/15(日) 18:24:15 ID:7GeV93yY
~マミの家~


マミ「じゃあこれから魔法少女コンビ再結成記念パーティーを開催します!遠慮なく食べてください」

杏子「おお!すげぇ!やっぱマミ先輩の料理は最高だぜ」パクパク

マミ「佐倉さんは行儀良く食べなさい、あなたたちも遠慮しないで食べて」

さやか「あ、はい」

まどか「いただきま~す、どれもおいしそう!」

さやか「てか、あたしたちまでお邪魔して良かったんですか?あたしたちまだ魔法少女じゃないですし…」コソコソ

マミ「いいのよ、パーティーなんだから人は多いほうがいいでしょ?」

さやか「そうですか…なら、遠慮なくいただきます!」

マミ「ええ、あなたもね、暁美さん」

ほむら「……」モグモグ

ほむら「おいし…」

51: 2013/09/15(日) 18:26:13 ID:7GeV93yY
マミ「それは良かったわ…そう言えば2人はまだ知らなかったわね、佐倉さんのこと」

マミ「佐倉さん、2人に自己紹介してあげて」

杏子「ええ、まだ食ってる途中だぜ…」モグモグ

マミ「いいから、しなさい」

さやか(この2人、ホントに先輩と後輩みたいだなー)

杏子「…佐倉杏子だ、隣町の風見野で魔法少女をしてる、マミ先輩の一番弟子ってとこだな、よろしくね」

まどか「よろしくー、杏子ちゃんって呼ぶね」

さやか「マミさんの一番弟子なんですか!?」

杏子「……」ジー(さやか…)

さやか「あ、あのー…?」

杏子「あっ…ああ、そうだな、ただアタシよりも前に弟子がいないってことだから、アタシが一番弟子だな」

52: 2013/09/15(日) 18:27:57 ID:7GeV93yY
マミ「佐倉さんが私に弟子にしてださいって言ってきたのよね」

杏子「おい、もう昔の話はいいだろ」

マミ「ふふっ、そうね、そしてこの2人が私の中学の後輩、鹿目まどかさんと美樹さやかさんよ」

杏子「ああ、よろしく、こいつらもQBに選ばれたってわけなのか?マミ先輩」

マミ「ええ、そうね、鹿目さんはQBの声が聞こえたらしいわ」

QB「僕が助けてって呼んだら聞こえたんだ、まどかに、もちろんさやかのことも知っていたよ」

杏子「そうか…で、どうするんだ?2人とも」

ほむら「」チラッ

さやか「私たちはまだ…保留って言うか…なんていうか…ね、ねぇ?まどか」

まどか「う、うん、私もケーキで魔法少女にはちょっと…やっぱり…」

さやか「え?ケーキって何の話??」

まどか「えへへ…いや、なんでもないよ~ねえ?マミさん」

マミ「え、ええ…ま、まあ私たち2人の秘密ってことで、ね?鹿目さん」

さやか「ええっ~何さ、2人だけの秘密って~ずるい~不公平だあ~あたしにも教えろよ~」

ほむら「……」

53: 2013/09/15(日) 18:29:28 ID:7GeV93yY
杏子「…そうか」

杏子「そうだな、魔法少女になんてなるもんじゃないよ…絶対にな…」

まどか「えっ…」

さやか「……」

マミ「佐倉さん……」

杏子「アンタらみたいに幸せな連中が命までかけて魔女なんかと戦う必要はねーってことさ」

さやか「幸せって…」

まどか「そう言えば…杏子ちゃんはどうして魔法少女に…?」

まどか「あっ、言いたくないなら無理には…」

杏子「…いいさ、だがちょっとばかり辛気臭いし、長い話になる、それでもいいってんなら話すよ…」

まどか「うん、私、ぜひ聞きたいの、杏子ちゃんが魔法少女になった理由、それに魔法少女になるなっていう理由も…」

杏子「…ったく、変な奴だな、アンタ」

54: 2013/09/15(日) 18:30:40 ID:7GeV93yY
杏子「……」

杏子「アタシの親父はね牧師だった、正直過ぎて、優し過ぎる人だった、毎朝、新聞を読む度に涙を浮かべて真剣に悩んでるような人でさ」

杏子「新しい時代を救うには、新しい信仰が必要だって、それが親父の言い分だった」

杏子「だからある時、教義にないことまで信者に説教するようになった」

杏子「もちろん、信者の足はパッタリ途絶えたよ、本部からも破門された、誰も親父の話を聞こうとしなかった」

杏子「当然だよね、傍から見れば胡散臭い新興宗教さ、どんなに正しいこと、当たり前のことを話そうとしても、世間じゃただの鼻つまみ者さ」

杏子「アタシたちは一家揃って、食う物にも事欠く有様だった」

杏子「納得できなかったよ、親父は間違ったことなんて言ってなかった、ただ、人と違うことを話しただけだ」

杏子「5分でいい、ちゃんと耳を傾けてくれれば、正しいこと言ってるって誰にでもわかったはずなんだ」

杏子「なのに、誰も相手をしてくれなかった、悔しかった、許せなかった、誰もあの人のことわかってくれないのがアタシには我慢できなかった」

杏子「だから、QBに頼んだんだよ、みんなが親父の話を真面目に聞いてくれますように、って」

55: 2013/09/15(日) 18:33:53 ID:7GeV93yY
杏子「翌朝には、親父の教会は押しかける人でごった返していた」

杏子「毎日おっかなくなるほどの勢いで信者は増えていった」

杏子「アタシはアタシで、晴れて魔法少女の仲間入りさ」

杏子「いくら親父の説法が正しくったって、それで魔女が退治できるわけじゃない」

杏子「だからそこはアタシの出番だって、バカみたいに意気込んでいたよ」

杏子「アタシと親父で、表と裏からこの世界を救うんだって」

杏子「…でもね、ある時カラクリが親父にバレた」

杏子「大勢の信者が、ただ信仰のためじゃなく、魔法の力で集まってきたんだと知った時、親父はブチ切れたよ」

杏子「娘のアタシを、人の心を惑わす『魔女』だって罵った」

杏子「笑っちゃうよね、アタシは毎晩、本物の魔女と戦い続けてたってのに」

56: 2013/09/15(日) 18:34:35 ID:7GeV93yY
杏子「それで親父は壊れちまった」

杏子「最後は惨めだったよ」

杏子「酒に溺れて、頭がイカれて、とうとう家族を道連れに無理心中さ」

杏子「アタシ一人を、置き去りにしてね」

杏子「アタシの祈りが、家族を壊しちまったんだ」

杏子「他人の都合を知りもせず、勝手な願いごとをしたせいで、結局誰もが不幸になった」

杏子「奇跡ってのはタダじゃないんだ、希望を祈れば、それと同じ分だけの絶望が撒き散らされる」

杏子「そうやって差し引きをゼロにして、世の中のバランスは成り立ってるんだ」

杏子「でもアタシは後悔しなかった、それは自業自得だってわかってたからだ、だからアタシはこれからも自業自得の人生を生きていこうと割り切ってるのさ」

57: 2013/09/15(日) 18:37:33 ID:7GeV93yY
マミ「……」

さやか「……」

まどか「……」

ほむら「……」

杏子「こんな風にして魔法少女になったアタシだから言うけど」

杏子「毎日美味いもん食って、幸せ家族に囲まれて、そんな何不自由ない暮らしをしてる奴がさ」

杏子「たった一つの奇跡の為に魔法少女になろうとするんなら、そんなのアタシが許さない、いの一番にぶっ潰してやるさ」

杏子「命を危険に晒すってのはな、そうするしか他に仕方ない奴だけがやることさ、そうじゃない奴が首を突っ込むのはただのお遊びだ、おふざけだ」

杏子「アンタらだっていつかは、否が応でも命懸けで戦わなきゃならない時が来るかもしれない、その時になって考えればいいんだよ。だろ、マミ先輩?」

マミ「……確かにそうかもね…佐倉さんの言う通り、魔法少女はそうするしか他に仕方ない人がなるものかもね…私もその一人だから」

杏子「…そう言えばそうだったな、マミ先輩も」

58: 2013/09/15(日) 18:39:12 ID:7GeV93yY
マミ「さっきはあんなこと言ったけど、あなた達にはきちんと選ぶ余地があるわ、もう一度よく考えて」

マミ「これからは佐倉さんと暁美さんが一緒に戦ってくれるから、私ももう一人じゃない」

マミ「もちろんあなたの気持ちもすごく嬉しいわ、鹿目さん、でも今はその気持ちだけ受け取っとくわね」

まどか「…はい、私もまだ願いごと決まってなかったですし、えへへ」

さやか「……そうだよね、やっぱり簡単じゃないよね」

杏子「アタシはさ、自分のエゴを叶えて魔法少女になった、でもそのエゴを叶えた分、アタシの前から消えていったものの方が大きかった」

杏子「もちろんアタシはそれを割り切ってる、誰のせいでもない自分のせいだって」

59: 2013/09/15(日) 18:40:00 ID:7GeV93yY
杏子「でも中には、憧れや自惚れで魔法少女になった奴も見てきた、人の幸せを願ったのに報われずあっけなく氏んだ奴だって見てきた」

杏子「そんな奴らを見るとアタシは虫唾が走るんだ、なんでてめーらが魔法少女になったんだって」

杏子「アタシよりも幸せな癖に何と引き換えに魔法少女になったんだって、こんな役を担うのはアタシみたいな奴でいいって」

杏子「いくらアンタらがQBに選ばれたからって契約しようなんて考える必要はない、なっちまったんなら仕方ないけど、なる前ならまだ後戻りは出来る」

マミ「そうね…なってしまったらもう後戻りはできないわ…あなたたちに任せたいけど、今の所はやっぱり……」

マミ「それに今はこの街に、私たち三人も魔法少女がいるんだし、いざって時に考えれば、それでいいと思うの」

QB「僕としては契約してくれたがいいんだけどなぁ、まぁ僕の立場からどうこうも言うのもルール違反になるからね」

マミ「ダメよ、QB」

杏子「QB…てめぇ…!」

60: 2013/09/15(日) 18:40:59 ID:7GeV93yY
さやか「そっかぁ…やっぱり考えが甘かったね…あたしたち」

まどか「うん…やっぱりさやかちゃんが言うとおり私たち幸せ馬鹿なのかもね…」

さやか「かもね…」

まどか「でもありがと、杏子ちゃんも私たちのこと心配してくれてるんだねっ」

さやか「うん、うん!ありがとうございます!杏子先輩!」

杏子「別にそんなわけじゃ、てか杏子先輩って…」

マミ「とりあえず今のところは考えなくていいわ、二人とも」

まどさや「はーい!」

マミ「さぁさぁ、せっかくなんだし、みんなで楽しい話をしましょう!」

さやか「いえーい!」

61: 2013/09/15(日) 18:42:32 ID:7GeV93yY
ガヤガヤ
____

さやか「あんたのこと、あたしも誤解してた、ごめん」ボソ…

ほむら「いいのよ…別に私なんか」

さやか「…あんたはさ、どんな願いで魔法少女に?」

ほむら「……」

さやか「あ、ごめん…言いたくなかった?」

ほむら「……友達を助けるために…それだけ」

さやか「…そうなんだ」

さやか「教えてくれてありがと」

62: 2013/09/15(日) 18:44:39 ID:7GeV93yY
~~~

マミ「今日はありがとう!またいつでもいらっしゃいね、みんな」

まどか「いえいえ、こちらこそありがとうございました!」ペコッ

さやか「ありがとうございました!」ペコッ

ほむら「…楽しかったわ」

マミ「それは良かったわ、暁美さん、これからもよろしくね」

ほむら「…」コクッ

さやか「あれ?杏子先輩はぁ?」

マミ「佐倉さんは疲れて寝ちゃったみたい、今日はここで休ませてあげるわ」

さやか「そっかぁ、じゃあみんな~また学校で~」

まどか「バイバーイ」

マミ「また学校でね」

63: 2013/09/15(日) 18:46:26 ID:7GeV93yY
バタン…

マミ「佐倉さん、ホントに寝ちゃった」


杏子「マミは…アタシが助けるうぅ…ふにゃ…ふにゃ」


マミ「あらあら、寝言言っちゃって」

杏子「zzz」スゥースゥー

マミ「…ありがとうね、佐倉さん」



マミ「後片付けしなきゃ」

64: 2013/09/15(日) 18:47:36 ID:7GeV93yY
翌日
 ~学校~

まどか「おはよ~さやかちゃん、仁美ちゃん」
さやか「おお、まどか!おっはよ~」
仁美「おはようございます、まどかさん」
____

 授業中

まどか(杏子ちゃん昨日どうしたんだろうねぇ?さやかちゃん)

さやか(爆睡してたみたいだし、泊まってったんじゃない?マミさんとこに)

マミ (ええ、佐倉さんなら朝から私と一緒に出て行ったわ、夕方には帰ってきなさいと言ったのだけど…)

まどか(あ、マミさん)

さやか(おはようございます)

マミ (今日は夕方から魔女退治に行くわよ、みんないいわね?今日は遅くならないようにするから)

まどか(わかりました)

さやか(了解ですっ)

マミ (暁美さんもいいわね?)

ほむら(了解…)

65: 2013/09/15(日) 18:48:22 ID:7GeV93yY
放課後
 ~見滝原市内~

マミ「では行きましょうか」

まどさや「はーい!」

ほむら「……」コク

さやか「杏子先輩は?」

マミ「ここで待ち合わせのはずなんだけど…」

杏子「おーい!遅れてわりぃ」

マミ「どこ行ってたの?佐倉さん」

杏子「いやぁ、悪い、ちょっと野暮用でな」

マミ「まぁいいわ、これで全員揃ったわね、ではいざ魔女退治に出発よ」

66: 2013/09/15(日) 18:49:25 ID:7GeV93yY
スタスタ
さやか「なんかマミさん気合入ってますね~」

マミ「だってみんなといると楽しいんですもん」

まどか「なんか放課後こうしてると部活みたいだよね~」

マミ「そうね、魔法少女部ね、でも危険なことしてるって意識は忘れちゃダメよ」

まどさや「はあーいっ!」

杏子「全く、調子いい奴らだぜ」

ほむら「……」

67: 2013/09/15(日) 18:50:18 ID:7GeV93yY
 ~見滝原市内魔女結界入口~

マミ「この辺りに反応があるわ、行くわよ、みんな」

さやか「やっぱ緊張するね…何度来ても」

まどか「…うん」

杏子「」シュイン

ほむら「」シュイン

マミ「ここね…結界だわ」シュイン

マミ「行くわよ」

68: 2013/09/15(日) 18:51:51 ID:7GeV93yY
魔女「ギャハハハハハハハハ」


マミ「私が牽制しつつ、敵の懐に近づくわ、佐倉さんは近距離から適当に攻撃を仕掛けて」

マミ「暁美さんは遠距離から私と佐倉さんのバックアップをよろしくね」

杏子「オーライ」

ほむら「……」コク

マミ「ソッコーで片付けるわよ」
バッ!


マミ「……」
ズキュン!
ズギュン!

杏子「動きが鈍いんだよ!」
ザシュッ!
ズシュッ!

ほむら「……」
ドガガガガガガ! 
バシュー!ドガン!

魔女「ギャアァァァァァァ」

69: 2013/09/15(日) 18:53:11 ID:7GeV93yY
さやか「すごいよ…やっぱりあの三人…」

まどか「うん」


魔女「ギャアァァァ……」

ブオォォン…

マミ「みんなお疲れさまっ、やっぱり三人でやると仕事が早いわね」

杏子「だな」

ほむら「……」

マミ「じゃあ2人ともソウルジェム出して」

杏子「」スッ

ほむら「私はいい、あなたたちだけで浄化して」

マミ「あなたも戦ったんだから、ちゃんと出さなきゃダメよ、暁美さん」

ほむら「……」スッ

マミ「それじゃあ私も」スッ 
シュルル…

70: 2013/09/15(日) 18:55:13 ID:7GeV93yY
マミ「QB」
ヒョイッ

QB「使用済みは回収するよ」

さやか「いやぁ、やっぱすごいっすね~、みんな~」

まどか「うん、あんなに早く魔女倒せたの初めてだよね」

マミ「こうやってみんなで戦えば、魔力の消費だって少なく済むし、一人で戦うよりリスクも減るわ、まぁその分浄化も少ししか出来ないんだけどね」

マミ「でも一人で戦うより、みんなで戦った方が絶対いいと思うの、縄張り争いなんてするものじゃないわね」

杏子「ああ」

ほむら「……」

マミ「あなたたちとこうして戦えて本当に嬉しいわ、これからもよろしくね」ギュッ

杏子「当たり前だろ、マミ先輩っ」

マミ「あなたもね、暁美さん」ギュッ

ほむら「……」コク

71: 2013/09/15(日) 18:56:06 ID:7GeV93yY
マミ「じゃあ今日も私の家で…」

さやか「いっ!?」

杏子「おいおい、さすがに今日は…」

まどか「そ、そうですよ、マミさんも大変でしょうし…準備とか」

マミ「何よ、まだ最後まで言ってないじゃない、そんなに私の家に来るのが嫌なの?」シュン…

さやか「い、いえいえ!別にそういう意味じゃなく…」

まどか「そ、そうですよ!また行きたいなぁ、ね、ねぇ?ほむらちゃん?」

ほむら「……」

杏子「……」(マミってこんなめんどくせぇ性格だったっけか…)

マミ「冗談よ、さすがに今日はいいわ」

まどさや(はあ…良かった…)

72: 2013/09/15(日) 18:57:59 ID:7GeV93yY
マミ「そうね、じゃあ代わりと言っては何だけど、魔女に遭遇した時の為にも全員の連絡先交換しときましょうか!」

まどか「あ、いいですね、それ」

さやか「いいですよ!」

まどか「ほむらちゃんもいいよね?」

ほむら「まどかの連絡先が聞けるなら…」

まどか「私のもちゃんと教えるよ~」

杏子(やべ、携帯とか持ってねぇ)

さやか「あれ?杏子先輩、携帯は?」

杏子「も、持ってない…」

さやか「そうなんすか!?じゃあ…」

マミ「あら、そう…それじゃあ連絡どうしましょうか」

杏子「と、とりあえず魔女とか使い魔見つけたときは、QB使って伝えるよ、アタシ以外はみんな携帯あるわけだし」

杏子「アタシが見つけた時は誰かに連絡して、そいつが全員に連絡すれば済むだろ?」

73: 2013/09/15(日) 18:59:49 ID:7GeV93yY
マミ「そうね、それが一番いいわね、抜け駆けも一人で戦うのもダメよ」

マミ「じゃあ、私たちだけで」

まどさや「はーい」
ピッ
ピッ
まどか「あ、あれ?ほむらちゃんの携帯、もう私の連絡先あるよ?」

ほむら「えっ…あ、あ…これは…その…」

まどか「あれ、いつか交換してたっけ~?」

ほむら「え…ええ、まどかは忘れっぽいから忘れてるだけよ、会ってすぐに交換したじゃない?」

まどか「そうだったかな、ほむらちゃん、えへへ」

さやか「ええ~なになに?まどかは転校生と会ってすぐ交換したの~?ひどい~あたしにも教えろよ~まどかあ~」

まどか「ごめんごめん、さやかちゃん、今からほむらちゃんの連絡先送るね」
ピッ
ピッ

74: 2013/09/15(日) 19:01:54 ID:7GeV93yY
その日の夜
 ~ほむらの家~

ほむら「……」
ピンポーン


ほむら「入って」

杏子「おいおい、誰か聞かなくていいのかよ?」

ほむら「あなただってすぐにわかったわ」

杏子「…で、どうすんだ、これから」

ほむら「さあ、それは私にもわからない…」

杏子「はあ?なんだよそれ」

ほむら「私が知ってる歴史とは既に大きく変わってしまったわ、これから先は何が起こるか予想もつかない…」

杏子「なるほどね、でもそれっていいことなんじゃないのか?」

杏子「何をどう見たって、少なくとも悪いようには進んでないだろ、アタシたちはみんな何の誤解も無く仲良くなれたし、魔女退治に不満もリスクもない」

75: 2013/09/15(日) 19:03:50 ID:7GeV93yY
ほむら「そうね…あなただってやけに巴マミと仲良くしていたようだし」

杏子「うるせぇ…ペコペコしてたのはてめえもだろ、それにマミは難しい性格なんだよ、正義のヒーローぶって人前じゃ強気だけど、ホントはすげー寂しがりなんだよ」

ほむら「あら、そう…どこかの誰かさんと性格までそっくりね…やっぱり先輩と後輩では性格まで似るのかしら」

杏子「誰のこと言ってるんだよ、てめぇは」

ほむら「でもこれで少なくともワルプギスの夜に対処できる戦力が増えたわ」

杏子「…やっぱりワルプルギスの夜だけは確実にこの街に来るのかい?」

ほむら「ええ…私が見てきた過去では全ての時間軸において来たわ…歴史が大きく変わった今回でもそれは多分変わらないでしょうね…」

杏子「そうか…つか、てめえがもう少し素直にしてマミと仲良くしてりゃ、アタシがあんな仲介することもなかったのに、感謝しろよ」

ほむら「そうね…その事に関しては感謝しているわ」

杏子「その事だけかよっ!」

76: 2013/09/15(日) 19:06:17 ID:7GeV93yY
ほむら「…それより、これからはあの2人の動向によって歴史が変わってくる…」

杏子「さやかとまどかか…」

ほむら「でも、あなたがいくら説得しても、美樹さやかが契約する可能性は高いことを忘れないで」

杏子「……」

ほむら「あなた、美樹さやかが過去に契約した理由…知っているでしょう…」

杏子「…っ!」

ほむら「美樹さやかが契約しない、ということはあの少年の腕は治らない」

杏子「わかってるさ…でもそれだけはどうしようもできねえ、アタシがいくらアイツに言ったって、契約しちまえばそこまでだ」

杏子「どんな無理強いしたって、アイツは多分、自分で決めちまったら契約しちまうだろーな、それだけはどうしようもねーかもしれねぇ」

ほむら「……」

77: 2013/09/15(日) 19:07:33 ID:7GeV93yY
杏子「だからアタシは忠告したんだ、アタシみたいになるから絶対契約するなって、アイツらも真剣な顔で聞いてたから、そう簡単に契約したりしねーだろ」

杏子「万が一、そうなっちまった時はアタシがアイツを守る、アタシよりも先に魔女なんかにゃ絶対させねえ…」

ほむら「そう…なら良かったわ、これからは小さな出来事でも気をつけて…美樹さやかを絶望から救いたいなら」

杏子「どういう意味だ?」

ほむら「これから先はどんなことが起こるか予想できない、だからどんな小さな出来事の変化も見落とせないってことよ」

杏子「なるほどな…まっ、まだあの2人は大丈夫だろ、なんとかなるさ、アタシら2人とマミもついてるんだ、なんとかなるって信じようぜ」

ほむら「そうね……」

78: 2013/09/15(日) 19:08:49 ID:7GeV93yY
数日後
 ~屋上 昼休み~


さやか「ねぇ、QB、やっぱり魔法少女って大変なの?」

QB「それは僕の口からは何とも言えないよ、さやかがマミやほむらや杏子を見て判断することじゃないかな?」

まどか「さやかちゃん、まさか…」

さやか「え?いやいや、少し気になってね、まだあたしは命かけれるようなこと見つかんないし…」

まどか「だよね、マミさんにはあんなこと言っちゃったけど…私も今のとこは全然いいかなって感じかな…」

QB「君たちがそう言うならそれでいいんじゃないかな、また契約したいって思った時はいつでも呼んでよ、僕がすぐにでも願いを叶えてあげるから」

まどか「うん、そうするね」

さやか「ごめんね、QB」

QB「こっちこそ、巻き込んで済まなかった」

QB「お別れだね、僕はまた、僕との契約を必要としてる子を探しに行かないと」

まどか「え?」

さやか「会えなくなるの?」

QB「大丈夫、マミと一緒にいるから、マミの家に来ればいつでも僕はいるよ、だから契約したくなったらいつでも呼んで」

79: 2013/09/15(日) 19:10:39 ID:7GeV93yY
さやか「…仕方ないよね、とりあえず今は」

まどか「…うん」

さやか「あ、そうだ、まどか、放課後CD屋いい?」

まどか「いいよ、また上条君の?」

さやか「まあね」
___

放課後
 ~見滝原市内病院~

 
さやか「じゃあ恭介に渡してくるね、ごめん、ちょっと待ってて」

まどか「うん」

80: 2013/09/15(日) 19:12:08 ID:7GeV93yY
~同病院内上条恭介病室~

さやか「何を聴いてるの?」

恭介「……『亜麻色の髪の乙女』」

さやか「ああ、ドビュッシー?素敵な曲だよね」

さやか「あ、あたしってほら、こんなだからさ、クラシックなんて聴く柄じゃないだろってみんなが思うみたいでさぁ、たまに曲名とか言い当てたら、すごい驚かれるんだよね。」

さやか「意外すぎて尊敬されたりしてさ、恭介が教えてくれたから、でなきゃあたし、こういう音楽ちゃんと聴こうと思うきっかけなんて、多分一生なかっただろうし」

恭介「さやかはさぁ…」

さやか「なーに?」

恭介「さやかは、僕を苛めてるのかい?」

さやか「え?」

恭介「何で今でもまだ、僕に音楽なんか聴かせるんだ…嫌がらせのつもりなのか?」

さやか「だって恭介、音楽好きだから…」

恭介「もう聴きたくなんかないんだよ!」

恭介「自分で弾けもしない曲、ただ聴いてるだけなんて!」

恭介「動かないんだ…もう、痛みさえ感じない、こんな手なんてっ」

81: 2013/09/15(日) 19:13:44 ID:7GeV93yY
さやか「大丈夫だよ、きっと何とかなるよ、諦めなければきっと、いつか…」

恭介「諦めろって言われたのさ」

恭介「もう演奏は諦めろってさ、先生から直々に言われたよ…今の医学じゃ無理だって」

さやか「……」

恭介「うっ…うっ…ごめん…さやか、怒鳴ったりして…っ」

さやか「え…あ…あたしは…別に」

恭介「せっかく来てくれたのに…今日は一人にしてくれないか…さやか」

さやか「あ、う、うん、わかった…ごめん」

さやか「し、CD買ってきといたから、ここ置いとくね…」

恭介「……」

さやか「じゃ…じゃあ、あたしもう帰るね…」

恭介「…ごめん、さやか」

82: 2013/09/15(日) 19:16:27 ID:7GeV93yY
まどか「あ、おかえり、どうだった?」

さやか「う、うん、少し元気なかったかな…恭介」

まどか「そうなの?」

さやか「…うん」

~~~

まどか「じゃあまた明日学校でね~」
さやか「うん、またね~」

~~~

さやか「……」

83: 2013/09/15(日) 19:17:51 ID:7GeV93yY
同時刻
 ~見滝原市内~

ザシュッ!
ドガガガガガッ!
ズキュン!
ズキュンン!

使い魔「ギャアアアア…」

ブオォォン…


杏子「今日も魔女退治完了だな!」

マミ「ええ、完璧だったわ」

ほむら「…」

杏子「使い魔か…」

マミ「使い魔でもちゃんと倒さないと」

杏子「ああ、わかってるよ、あれ、さやかたちは?」

マミ「今日は2人ともお休みしたいって」

84: 2013/09/15(日) 19:19:46 ID:7GeV93yY
杏子「ふーん、そうなんか、まぁ、あの2人は魔法少女じゃないしな」

マミ「そうね、一応後輩にはなるんだけど…」

杏子「いいじゃねーか、この街にはアタシたちがいるんだし、なあ?」

ほむら「……」

マミ「そうね、私たちがいれば最強だわ」

杏子「ああ」

ほむら「…」

マミ「じゃあ今日も私の家で今後の魔女対策と戦略について反省会しましょうか」

杏子(またかよ…まぁ食費浮くからいいか…)

ほむら「……」

マミ「2人とも来てくれないのね…」シュン…

杏子「な、何言ってんだよ、いくって!なぁ!?」

ほむら「……」コク

マミ「良かったわ、じゃあ準備しなきゃ、先に行っとくから!」

85: 2013/09/15(日) 19:22:23 ID:7GeV93yY
杏子「…ったく、相変わらずだなあ…マミの奴」

ほむら「そうね、あなたに助けられてからまるで人が変わったみたいだわ」

杏子「…こんな日がずっと続けばいいのにな…」

ほむら「…?」

杏子「こんな風にアタシたち三人で魔女退治してさ」

杏子「たまにマミの家にさやかとまどかも集まって、五人でパーティしてさ…すげー楽しかったんだ、アタシ」

杏子「だからさ、こんな日が毎日続けばいいなぁ…って思ってな」

ほむら「そんなこと言うなんて、本当に変わったわね…あなた」

ほむら「でも……」

ほむら「…その通りだわ」

86: 2013/09/15(日) 19:23:48 ID:7GeV93yY
その後
 ~まどかの家~

まどか「ただいま~」

……

知久「あはは、こんなこともあったねえ」

詢子「あった!あった!この時は大変だったんだよなあ」

タツヤ「こえ、おねえちゃんなお?」

詢子「そおだぞ~」



まどか「あれ、ママもう帰ってるの、ていうかみんなで何騒いでるんだろぉ…」

87: 2013/09/15(日) 19:25:43 ID:7GeV93yY
ガチャ…
まどか「ただいま~、ってみんなで何みてるの?」

詢子「おお、まどか、おかえり~」

知久「おかえり、まどか」

タツヤ「おねえちゃん、おかえい~」

まどか「って、これ私のアルバム!?」

詢子「おお、久しぶりに早く帰ってこれたからさ、掃除してたらちょうど出てきて、みんなで見てたんだよ」

詢子「ほら!これなんて生まれてすぐにアタシら三人で写ってるやつ!」

まどか「もう~、なんか今見ると恥ずかしいよぉ~」カアァァ

詢子「あはは、まどかにもこんな時代があったってことさあ」

詢子「ほら!これとか、小学校入学ん時の、こん時はまどかすごい恥ずかしがって、大変だったんだぜえ」

まどか「うう~ちゃんと憶えてるよお~もういいでしょ~早くしまって~」

詢子「あはは、わかった、わかった、もう少し見たら直すよ」

88: 2013/09/15(日) 19:27:09 ID:7GeV93yY
その日の夜
 ~まどかの家~


詢子「…ふ~」

知久「…僕も一杯いいかな」

詢子「お、珍しいね」

\カン/


詢子「ぷ…ぷははははっ」

知久「ど、どうしたのっ?」

詢子「いいや、さっきのアルバム思い出してさ、まどかにもあんな時代があったんだなあって思うと、なんか笑えてきて…っぷ、ははは!」

知久「ああ、まどかも大きくなったねえ」

詢子「ああ、アタシの自慢の娘だ!世界一の!いや宇宙一の!!」

89: 2013/09/15(日) 19:28:16 ID:7GeV93yY
知久「もしかして、もう酔ってる?」

詢子「まだまだあ、こんなこと話すのもあれだけどさ」

詢子「アタシさ、あの子が生まれて、初めて看護婦から渡された時にさ、すげー重かったって覚えてるんだ」

詢子「今でもあの重みは忘れない、そして、その瞬間にこいつは絶対にアタシが守ってやるんだって思ったんだ」

知久「ふふ…ママらしいね」

詢子「そんなアイツがさ、もうあんなにも大きくなって、最近大人になってくような気がすんだ…それが少し寂しいって言うかさあ…」

詢子「もちろん親としては喜ぶべきとこなんだけどさ、でも、どんなに大きくなっても、アイツはアタシの娘なんだなって…」

詢子「まあ、きちんといい子に育ってるし、子供としてはもう合格だからいいんだけどさあ」

知久「そうだね、まどかはいい子に育ったと僕も思うよ」

詢子「だろ?何しろアタシの自慢の娘だ!世界一の…ふにゃふにゃ…宇宙一の…ふにゃ…」

詢子「ふにゃ…zzz」

知久「あらら、酔いつぶれちゃったか…」

90: 2013/09/15(日) 19:29:23 ID:7GeV93yY
知久「…よいしょっ!」

知久「…やっぱり一人じゃ無理かあ…」

スタスタ
知久「まどか、起きてるか?」

まどか「うん、どうしたの?」


詢子「うーぐ、まどかあ…大人になんかなるなあ…」

まどか「はぁ~、またかあ、どうしたの?」

知久「いや、一杯やってたらちょっと酔いがまわっちゃったみたいでね」

詢子「…うう、まどかあ…」

まどか「はいはい、私はここにいますよ~」

詢子「でへぇい…ふあああ…つははは、まどかは自慢の娘だあ、聞いてる?ふふふう…」

91: 2013/09/15(日) 19:30:40 ID:7GeV93yY
~~~

まどか「ふ~」

知久「ありがとう、ココアでも淹れようか」

まどか「うん、おねがい」
_

まどか「何の話してたの?私が自慢の娘だあ、とかなんとか言ってたけど…」

知久「ああ、ははは、今日ちょうど、まどかのアルバムを見てただろう?そのことでママがまどかの思い出話をしてたのさ」

まどか「ああ、そうなんだ」

知久「まどかは自慢の娘に育ったって、宇宙一の娘だって言ってたよ」

まどか「そ、そんなこと言ってたんだ、ママ…」

知久「うん、僕もそう思うよ、まどか」

まどか「え、う、うん、ありがと、きゅ、急にほめられるとなんか照れるよ…」

知久「あははは、まどかは本当にいい子だよ、パパにとっても自慢の娘だ」

まどか「んもう~パパったら~」

92: 2013/09/15(日) 19:33:32 ID:7GeV93yY
ここまでが『日常編』となります

93: 2013/09/15(日) 19:52:45 ID:7GeV93yY
_『仁美編』_


数日後
 ~見滝原市内ビル屋上~



QB(この街には既に三人も魔法少女がいる、それでも僕の願いを必要としてくれてる子はいるのかな?少しでも因果の大きな子がいればいいんだけど…)

QB(僕としてもあと一人魔法少女がほしいところだ)



~~~~~~~~~~~~~~~

94: 2013/09/15(日) 19:54:05 ID:7GeV93yY
~仁美の家~


仁美「はぁ…上条君の事、どうしましょう…やはり、さやかさんには伝えるべきでしょうか…」オロオロ

仁美「あら?こんなぬいぐるみ、私の部屋にあったかしら?」

QB(この子なら、因果も普通の子より大きいし、願い事もまとまってるみたいだね、この子に声をかけてみよう)


コンコン…
執事「仁美お嬢様、御夕飯の準備が整いました」

仁美「わかりました、すぐ行きます」
スタスタ

95: 2013/09/15(日) 19:55:22 ID:7GeV93yY
_夕食後_


仁美「…はあ…上条君…」

QB「君の願いは本当かい?」

仁美「え…?空耳ですの?」

QB「君のその願い、僕が叶えてあげよう」

仁美「えっ!?誰ですの?誰かおられますの!?」

QB「ここだよ、仁美、君がさっきぬいぐるみと間違えた…」

仁美「えっ、あなたなの?」

QB「そうだよ、僕の名前はキュウベぇ、僕と契約して魔法少女になってよ!」

96: 2013/09/15(日) 19:57:00 ID:7GeV93yY
仁美「はあ…私、疲れていますのね、幻覚が見えるなんて…上条君の事考えすぎかしら…」

QB「僕は、君の願いごとをなんでもひとつ叶えてあげる」

仁美「…今日は早めに休みますわ」

QB「なんだってかまわない、どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」

QB「って、おーい、仁美!起きて、これは夢なんかじゃないよ」

仁美「じゃあ、あなたがなんでも叶えてくれるっていうんですの?」

QB「そうだよ、どんな奇跡だって起こしてあげられる、さぁ君の願いを言ってごらん」

仁美「……」

QB「僕を信じてないみたいだね…仕方ないなぁ、魔法の力を見せてあげよう」

仁美「そうですわ、見せてくれれば信じますわ」

97: 2013/09/15(日) 19:58:39 ID:7GeV93yY
QB「全く、君たち人間ってのは」
ピキーン!

仁美「…!?」

仁美「か、体が…う、う…浮いて…!」
フワフワ

QB「今、君の体を持ち上げているのは僕だよ」

仁美「わ、わわ、わかりましたわ…降ろしてくださいます?」

QB「……」
…バタン

QB「これで信じてくれるかい?」

仁美「と、とりあえず…し、信じますわ…」

QB「良かったよ、僕は別に君に危害を加えようという気はないよ、むしろさっきも言った通り君の願いをなんでも一つ叶えてあげる」

仁美「本当…ですの?」

QB「だから僕と契約して魔法少女になってよ」

98: 2013/09/15(日) 20:01:03 ID:7GeV93yY
仁美「??」
仁美「願いを叶える…と言うのは…」

QB「だから仁美が願いを叶えて、魔法少女になるんだよ、それが契約さ」

仁美「魔法少女って…なんですの?」

QB「魔法少女になって、魔女と戦うのさ」

仁美「?」
仁美「では、魔女って何ですの、魔法少女とは違うんですの?」

QB「願いから産まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は呪いから産まれた存在なんだ」

QB「魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を蒔き散らす」

QB「不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ、そういう災いの種を世界にもたらしているんだ」

仁美「そ、そんな方がいたら、誰か気付くのではなくて?」

QB「魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないからね」

QB「結界は様々な場所にある、この街にだって魔女はたくさん潜んでるんだよ」

仁美「つまり、どんな願いでも叶えてくれる代わりにその魔女ってのと戦えばいいんですのね?」

QB「うん、そうだよ、でも時には命がけになる時もある」

99: 2013/09/15(日) 20:05:42 ID:7GeV93yY
仁美「えぇ!?氏ぬこともありますの!?」

QB「もちろん、魔法少女は常に氏と隣り合わせさ」

仁美「……」

QB「でも大丈夫、僕の見立てでは契約すれば君は並の魔法少女よりも強い魔法少女になれる、僕が保障するよ!」

仁美「本当ですの?」

QB「本当だよ、君は普通の子よりも因果が大きいからね、だから、そう簡単に魔女に負けたりはしないよ、大丈夫さ」

仁美「……すぐに決めなければなりませんの?」

QB「ううん、いつでもいいよ、決まったら呼んでくれれば」

仁美「わかりましたわ、では、気持ちの整理がついたらご報告しますわ」

QB「うん、いい返事を待ってるよ」

仁美「……」

100: 2013/09/15(日) 20:06:42 ID:7GeV93yY
~翌日~
 
QB「おはよう、仁美、気持ちの整理ができたかい?」

仁美「やっぱり、夢じゃないんですのね…」

__________

同日
 ~放課後~

仁美「さやかさん今から少しいいかしら?」

さやか「えっ?あたし?うん、いいよ、まどかも呼ぶ?」

仁美「いえ、あなたに話があるんですの、さやかさん…」

さやか「え?う、うん、わかった」

101: 2013/09/15(日) 20:09:26 ID:7GeV93yY
その後
~見滝原市内デパート~


さやか「それで…話って何?」

仁美「恋の相談ですわ」

さやか「……」

仁美 「私ね、前からさやかさんやまどかさんに秘密にしてきたことがあるんです」

さやか「え…?」

仁美「ずっと前から…私…上条恭介君のこと、お慕いしてましたの」

さやか「そ、そうなんだ」

さやか「あはは…まさか仁美がねえ…あ、なーんだ、恭介の奴、隅に置けないなあ」

仁美「さやかさんは、上条君とは幼馴染でしたわね」

さやか「あーまあ、その…腐れ縁って言うか、何て言うか」

仁美「本当にそれだけ?」

仁美「私、決めたんですの、もう自分に嘘はつかないって」

仁美「あなたはどうですか?さやかさん、あなた自身の本当の気持ちと向き合えますか?」

102: 2013/09/15(日) 20:11:26 ID:7GeV93yY
さやか「な、何の話をしてるのさ」

仁美「あなたは私の大切なお友達ですわ、だから、抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんですの」

仁美「上条君のことを見つめていた時間は、私よりさやかさんの方が上ですわ」

仁美「だから、あなたには私の先を越す権利があるべきです」

さやか「仁美…」

仁美「私、明後日に上条君に告白します」

仁美 「明日、一日だけお待ちしますわ、さやかさんは後悔なさらないよう決めてください、上条君に気持ちを伝えるべきかどうか」

さやか「あ、あたしは…」


___________


仁美「……」
仁美(本当にこれで良かったのかしら?明日中にさやかさんが上条君に告白されたのなら私は大人しく手を引きますわ…)

103: 2013/09/15(日) 20:12:53 ID:7GeV93yY
その日の夜
 ~さやかの家~


さやか(どうしよう、このままじゃ恭介、仁美に取られちゃうよーっ、でも仁美だって友達だし、私が恭介に告白すれば、仁美は…っ)

さやか(まどか…あたし、どうしよう…)
ピッポッパッ
プルルルル
プルルルル
ガチャ
まどか「もしもし~?さやかちゃん?」

さやか「そうだよ、ごめん、まどか、今からちょっといい?」

まどか「え?今から?別にいいけど…あんまり遅くなるとパパに怒られるから…」

さやか「大丈夫、少し会って話がしたいだけだから」

まどか「じゃあ、近くの公園でいいかな?」

さやか「うん、ごめんね、わかった」

104: 2013/09/15(日) 20:15:17 ID:7GeV93yY
~見滝原市内公園~


まどか「さやかちゃん、遅れてごめん」

さやか「いいよ、あたしの方こそこんな時間にごめん…」

まどか「ううん…話って?」

さやか「うん、あのさ…仁美のことなんだけど…」

まどか「仁美ちゃん?」

さやか「うん、仁美がね…その、恭介のこと…好きなんだって…明後日に告白するんだって…で、でもあたしが恭介の幼馴染だからって、その…」

さやか「あはは…なんて言ったらいいのかなあ…告白するの、ためらってるって言うか…あたしのこと気にしてるって言うか…そんな感じの事、放課後言われて…」

まどか「…うん」

さやか「あたし、どうしたらいいのかな…って」

さやか「あたしってほんと馬鹿…仁美が恭介に告白したら…あ、あたしなんかに、恭介が構ってくれるわけないって…あたし…どうしたら…っ」

105: 2013/09/15(日) 20:17:20 ID:7GeV93yY
さやか「ぐすっ…仁美に恭介を取られちゃうよ~っ!でも仁美も友達だから傷つけたくないよっ…どうしようもできないよ~っ!」
ダキッ!

まどか「……さやかちゃん」

さやか「うっ…ひくっ…ごめん、まどかにこんな事言っても始まらないよね、自分で決めなきゃ」

さやか「…少しスッキリした…ありがと、まどか」

まどか「ううん、私は誰かのことまだ好きになったことないからよくわからないけど、仁美ちゃんもさやかちゃんのことを思ってその事をちゃんと事前に伝えたんだと思うよ」

まどか「だから、さやかちゃんも後悔がないようにそれに答えるべきなんじゃないかな…」

さやか「そう…かな、やっぱり」

まどか「うん、これ以上のことはさやかちゃん自身が決めることだよ」

さやか「だよね、あたしが決めなきゃね、ありがと、まどか、やっぱりまどかはあたしの最高の友達だよ!」

106: 2013/09/15(日) 20:18:30 ID:7GeV93yY
まどか「もう~さやかちゃん」

さやか「遅くまでごめんね」

まどか「ううん、さやかちゃんの力になれたなら良かったよ」

さやか「ごめん、ありがと、じゃあまた明日学校で」

まどか「うん、また明日ねっ」

____



さやか「……」
さやか「やっぱりあたしも自分に嘘つきたくない」

107: 2013/09/15(日) 20:20:07 ID:7GeV93yY
同時刻
 ~仁美の家~


仁美「はぁ…」

仁美(もしも、さやかさんが明日までに上条君に告白しなければ、私は契約で上条君と…)

QB「願いごとは決まったのかい?」

仁美「そうですわね…決まっていますわ」

QB「ならどうして今すぐにでも契約しないんだい?」

仁美「そ、それは……私だって今すぐ願いを叶えたいですわ、でも…」

QB「何か理由があるんだね、僕はいつでもいいよ、待ってるからね、じゃあ決まったらまた呼んでね」
スッ

___

仁美「……私…嫌な子ですわ…」

108: 2013/09/15(日) 20:20:59 ID:7GeV93yY
次の日
 ~通学路~


さやか「おはよ~」

まどか「さやかちゃん、おはよ~」

さやか「あ、あれ?仁美は?」

まどか「…うん、仁美ちゃん、今日は先に行っとくって…」

さやか「そ、そっか」

まどか「さやかちゃん」

さやか「ん?…何?まどか?」

まどか「さやかちゃん、やっぱり上条君に…」

さやか「う、うん、放課後告白するつもり、やっぱりあたしも後悔したくないからさあ」

まどか「そっか、さやかちゃんがそう決めたなら頑張って」

さやか「…うん」

109: 2013/09/15(日) 20:22:30 ID:7GeV93yY
同日放課後


さやか「お願い!まどか、病院までついてきてくれない?」

まどか「ごめんっ、ついていってあげたいんだけど、今日パパがいないから早く帰ってこいってママに言われてるんだ」

さやか「えぇ~まどかぁ~」

まどか「ほんとにごめんねっ、でも大丈夫だよ、さやかちゃんなら、絶対大丈夫だよ」

さやか「うう……わかったよ、一人で行って来る」

まどか「うん、頑張ってね」

さやか「じゃ、行って来るね」

まどか「うん、いい返事待ってるよ、じゃあね」

110: 2013/09/15(日) 20:24:00 ID:7GeV93yY
スタスタ
さやか(でも、本当にあたしなんかが恭介に告白していいのかな…仁美の方がよっぽど恭介に相応しいと思う…)
    
さやか(…ああ!ダメだ、ダメだ!あたしだって後悔しないように告白するんだ、こんな事考えちゃ……)

___

 ~見滝原市内病院前~


さやか「はぁ、やっとついた…」

さやか「ん?…って、あれって…ま、まさか!!」

111: 2013/09/15(日) 20:26:52 ID:7GeV93yY
さやか「なんで…また…こんなところに…グリーフシードが…!!」

さやか(そ、そうだ、見なかったことにしよう…今はこんな事に構ってる時間は…)

さやか(で…でも…っ)

さやか(うっ……そ、そうだ!携帯でマミさんかほむらに!)

さやか「あ、あれ?」
アタフタ

さやか「あ、まずった…携帯忘れた…」

さやか(ど、どうしよ~っ!!このまま見なかったふりして、もし魔女が孵化すれば、この病院だけじゃなくて恭介まで…)

さやか(でも誰かを呼びにいけば、もう今日の面会時間には間に合わないっ…!!)

さやか「……」
さやか「うっ…ひくっ…!」

さやか(後悔しない道を選ぶなら……あたしは…あたしは……っ!)
ダダダダッ…

112: 2013/09/15(日) 20:29:33 ID:7GeV93yY
~マミの家~

ピンポーン

マミ「どなた?」

さやか「はあ、はあ、マミさん!魔女が!…グリーフシードが…病院に…はぁ、はあ…っ」

マミ「ど、どうしたの!?そんなに急いで、美樹さん!」

さやか「とりあえず、早く病院に!」

マミ「え、う、うん、わかったわ!」

113: 2013/09/15(日) 20:31:19 ID:7GeV93yY
~~~

ザシュッ…

魔女「ギャアアアア…」

ブオォォン…


杏子「ふう、なんとか間に合ったな」

マミ「ええ、そうね、美樹さんが教えてくれなければ大変なことになっていたわ」

ほむら「…」

杏子「お前のおかげで魔女を倒せたんだぜ、さやかっ」

杏子「ってあれ?さやかは?」

マミ「あれ?さっきまでいたんだけど…」

ほむら「美樹さやかなら走ってどこかに行ったわ」

杏子「何急いでんだ…アイツ…」

114: 2013/09/15(日) 20:50:34 ID:7GeV93yY
~見滝原市内病院受付~


さやか「あ、あの、今日の面会は……」

受付「申し訳ございません…本日の面会時間は終了いたしました。明日の面会時間は午前……」

さやか「で…ですよね…すいませんでした」
__


さやか「…ぐすっ…っ…ひっく…っ」ポロポロ



さやか「……」

プルルル
プル
ガチャ
まどか「もしもし、さやかちゃん?」

さやか「…うん、ま、まどか…実は…っ」

115: 2013/09/15(日) 20:53:28 ID:7GeV93yY
翌日
 ~見滝原市内病院上条恭介病室~


恭介「……」


ガララ…

恭介「あれ?志筑さん?」

仁美「お久しぶりですわ、上条君」

恭介「久しぶりだね」

恭介「でも、いくら土曜日だからって、こんな朝早くから僕のお見舞いに?」

仁美「ちょうど近くに用事がありましたので…」

恭介「そうなんだ、ありがとう」

116: 2013/09/15(日) 20:54:49 ID:7GeV93yY
仁美「…お礼されるほどのことはありませんわ」

恭介「でも、ありがたいよ、最近はお見舞いに来てくれる人も少なくてね」

仁美「そうなんですの?…でも…さやかさんはよく……」

恭介「ああ、さやかはよく来てくれるよ、いつもCD買ってきてくれて、すごくありがたいんだ」

仁美「そ、そうですの…昨日も行くって言われてましたわ…」

恭介「え…?昨日?昨日は誰も来てないけどなぁ…」

仁美「え!そうなんですの!?」

恭介「うん、昨日は誰も来てないよ」

仁美「……ちょ、ちょっと用事を思い出しましたわ、済ませてきます、また戻って来ますわ」

恭介「え、うん」



仁美「……」

仁美(どういうことですの、さやかさんは昨日上条君に気持ちをお伝えしたものと思っていましたわ…昨日ここに来られてないのなら、さやかさんは…)

仁美「少し外の風に当たって考えますわ…」

117: 2013/09/15(日) 20:56:03 ID:7GeV93yY
~同病院屋上~


仁美「……」

仁美(わけがわかりませんわ……さやかさんは諦められたのでしょうか…)

仁美(それなら私が契約して、上条君と恋仲になっても……どうせ命をかけるんですわ…それだけのことをするなら…っ)


スウッ…
QB「どうやら決まったようだね」

仁美「本当に、どんな願いでも叶いますのね?」

QB「大丈夫、君の祈りは間違いなく遂げられる」

QB「じゃあ、いいんだね?」

仁美「…いいですわ」

QB「君の願いはなんだい?言ってごらん」

118: 2013/09/15(日) 20:57:09 ID:7GeV93yY
仁美「私と…私と上条恭介君を恋仲にしてもらえます」

QB「その願いは君にとって命を掛けるに足るものかい?」

仁美「…も、もちろんですわ」

QB「契約は成立だ、君の祈りは、エントロピーを凌駕した」

仁美「ううっ…」

QB「さあ、受け取るといい、それが君の運命だ」
シュイーン…

119: 2013/09/15(日) 20:58:40 ID:7GeV93yY

~見滝原市内病院上条恭介病室~


恭介「……」

ガララ…

仁美「お待たせして申し訳ありませんわ、本当は私、今日は上条君に用事があって来たんですの…」

恭介「僕に用事?」

仁美「ええ…私…ずっと前から上条君のこと…お慕いしてましたの」

恭介「ええ!?それって…」

仁美「上条君、私とお付き合いしてもらえませんか…」

恭介「……」

恭介「…嬉しいよ…でも、僕の腕はもう動かないし、こんな僕と付き合っても志筑さんを落胆させるだけだよ…」

仁美「私はそんなこと関係ないですわ!私は上条君にずっとついていきますわ…そう決めたんですの」

120: 2013/09/15(日) 20:59:41 ID:7GeV93yY

恭介「え…!…本…当?」

仁美「本当ですわ」

恭介「……」

恭介「こ、こんな僕で良ければ…」

仁美「私とお付き合いしてくれますの!?」

恭介「うん…」

121: 2013/09/15(日) 21:01:28 ID:7GeV93yY

その日の夜
 ~仁美の家~


仁美「上条君と恋仲になれましたわ!」

QB「言ったろ?君の祈りは間違えなく遂げられるって」

仁美「それと、この宝石のようなものはなんですの?」

QB「これはソウルジェムだよ、魔法少女の魔力の源であり、魔法少女の証でもあるんだ」

仁美「あ、私、魔法少女になったんでしたわね、すっかり忘れてましたわ」

QB「忘れちゃ困るよ、君はこれから命をかけて魔女と戦わなければならないんだから」

仁美「わ、わかってますわ!」

QB「せっかくだし、このまま魔女退治に出かけよう」

仁美「い、今からですの?」

QB「そうだよ、君はまだ魔女との戦い方も魔法の使い方も何も知らないだろ?僕が教えてあげるから今から魔女退治に行くよ」

仁美「わ、わかりましたわ…」

122: 2013/09/15(日) 21:04:02 ID:7GeV93yY

QB「まずは君が戦う上で必要な武器があると助かるね」

仁美「武器…そんなものありませんわ…」

QB「魔法の使い方次第ではなんでも武器になるよ、出来れば最初から武器のものを使った方がいいけど」

仁美「あ、そういえば…」

___


仁美「こんなものでもいいんですの?」

123: 2013/09/15(日) 21:07:31 ID:7GeV93yY

QB「これは……こんなものがあるなら先に教えてくれれば良かったのに」

仁美「これは私のひいお爺様が戦争中に使われていた銃ですわ、こんな古いものでもいいんですの?」

QB「十分だよ、十分すぎるくらいさ、これを使っていいのかい?」

仁美「それはわからないですけど、とりあえず今日だけ使わせていただきますわ」
ガシッ


執事「ひ、仁美お嬢様!な、何をされているのですか?」

執事「おやめください、これは大変危険なものですよ」

124: 2013/09/15(日) 21:09:49 ID:7GeV93yY
仁美「見つかってしまいましたわ…」

執事「夜も遅いですし、お部屋にお戻りください」

仁美「……」


 ~仁美の部屋~


仁美「どうしましょう…」

QB「今日は仕方ないね、でもあんな武器があるなら使わない手はないよ」

QB「とりあえず、今日は休もう」

仁美「そうですわね」

125: 2013/09/15(日) 21:10:30 ID:7GeV93yY
同時刻
 ~さやかの家~



さやか「……恭介…」

126: 2013/09/15(日) 21:12:21 ID:7GeV93yY
翌日
 ~仁美の家~


QB「おはよう、仁美」

仁美「おはようございます」

QB「魔女を倒しに行こうよ、仁美」

仁美「こんな朝早くからですの?それに今日は日曜日ですわ…」

QB「」

仁美「…わ、わかりましたわ」

QB「あの銃をうまく使えるようになれば君は最強の魔法少女さ」

仁美「でもその銃をどうやって持ちだすんですの?」

QB「君の魔法を使って、偽物を作るのさ」

QB「そうだなー、あ、これでいいよ」

仁美「それはただのシャープペンシルですわ、どうするんですの?」

QB「君の魔力を使って、僕が偽物を作るから仁美は本物とすり替えて」

仁美「わかりましたわ」

127: 2013/09/15(日) 21:13:39 ID:7GeV93yY
~~~~

QB「ようやく使えるね」

仁美「重いかと思ったら意外と軽いですわ」

QB「それは君の魔力を使っているからさ」

QB「それに君の魔力でこの武器は普通の人には見えないようにもなってるんだよ」

仁美「そうなんですの」

QB「じゃあ魔女倒しに出発だ」

QB「ソウルジェムを見て、ゆっくり点滅しているだろ、これは魔女の居場所を教えてくれるアイテムでもあるんだ」

仁美「近くに魔女がいるんですの?」

QB「みたいだね」

QB「こっちだ」

128: 2013/09/15(日) 21:14:43 ID:7GeV93yY
~見滝原市内魔女結界付近~


仁美「な、なんですの、これは!」

QB「これが結界の入り口さ」

QB「魔女はこの中の最深部にいる、それを今から倒しにいくのさ」

仁美「む、無理ですわ!そんなの!」

QB「君はもう魔法少女だろう、これは背負わなければならない運命なんだよ」

仁美「……っ」

QB「君の祈りは確かに叶っただろ?それだけの覚悟で君は契約したんだ」

QB「大丈夫、うまく魔法をつかいこなせれば君は誰にも負けない魔法少女になれる」

仁美「本当ですのね…」

129: 2013/09/15(日) 21:16:09 ID:7GeV93yY
QB「もちろんさ、さぁ、だから変身してごらん」

仁美「ど、どうやって変身するんですの…?」

QB「君がそう思えばいいんだよ」

仁美「……」
シュイン!

QB「出来たじゃないか」

仁美「こ…これが…魔法少女なんですのね」

QB「そうさ、じゃあ結界の中に行くよ」

仁美「……」
バッ

130: 2013/09/15(日) 21:17:27 ID:7GeV93yY
~魔女結界内部~


仁美「こ、ここは一体なんですの~!!」

QB「ここは魔女の結界の中さ」

QB「怖いかい?」

仁美「あ、当たり前ですわ!」

QB「でも君はこの結界に入ってしまった以上魔女を倒さない限り二度と元の世界には戻れないよ」

仁美「ええっ、そうなんですの!?」

QB「命がけだって僕は言ったはずだよ」

仁美「た、戦いますわ…私だって、やっと上条君とお付き合いできましたのに氏んでは意味がないですわ!」

131: 2013/09/15(日) 21:18:32 ID:7GeV93yY

~~~~

QB「魔女には気をつけて」

魔女「キャハハハハハハ」

仁美「きゃっ!」

QB「大丈夫だ、仁美、魔法をうまく使うんだ」

仁美「私だって……!」

魔女「?」

仁美「負けるわけには行きませんわ!」
ガチャ…ズギューン!
ガチャ…ズギューン!


魔女「ギャアアアア…」


ブオォォン…

132: 2013/09/15(日) 21:19:35 ID:7GeV93yY
仁美「元の景色に戻りましたわ」

QB「君が魔女を倒したからさ」

QB「それを拾って」

仁美「これは、なんですの?」

QB「これはグリーフシードと言って、たまに魔女を倒すと落とすんだ」

仁美「グリーフシード…」

QB「君のソウルジェムを見せてくれるかい?」

仁美「え?これがどうか…あっ」

QB「さっきよりも黒く濁ってるだろ?」

QB「これにグリーフシールドを近づけると…」
シュルル

133: 2013/09/15(日) 21:20:47 ID:7GeV93yY

仁美「あ、色が戻りましたわ」

QB「これで今まで消費した君の魔力も元通りってわけさ」

仁美「つまり魔法を使うためには魔女を倒して、これをいつも綺麗にしとかなくてはいけないんですのね」

QB「うん、さらに言えばこれがたくさんあれば、魔法を出し惜しみすることなく使えるってことさ」

仁美「…もう魔女はもうこの近くにはいないんですのね?」

QB「そうだね、近くにはもういないみたい、帰るかい?」

仁美「ええ、そうですわね」

QB「少しは魔法の使い方も戦い方もわかったみたいだね」

仁美「なんとなく…ですわ」

QB「君は才能がある、すぐに強くなるよ」

134: 2013/09/15(日) 21:30:43 ID:7GeV93yY
その日の夜
 ~仁美の家~


仁美「……はあ」

仁美(やはり、さやかさんには上条君とお付き合いしたこと、ちゃんと言わなくてはなりませんよね…)

QB「何を考えこんでるんだい?」

仁美「…なんでもありませんわ」

135: 2013/09/15(日) 21:39:47 ID:7GeV93yY
翌日
 ~教室~


ガヤガヤ…

仁美「…さやかさん、少しよろしいかしら…?」

さやか「えっ、ひ、仁美…う、うん、いいよ」


______

 ~屋上~


仁美「さやかさん、率直に言いますわ…」

仁美「ごめんなさい……私、上条君と……」

136: 2013/09/15(日) 21:41:53 ID:7GeV93yY

さやか「な、何を謝ってるのさ~、良かったじゃん…おめでとう」

仁美「さ、さやかさん…っ」

さやか「いやあ、恭介も仁美と付き合えて幸せものだよねえ~」

さやか「ま、まあこれであたしももうお見舞い行かなくて済むし~、ちょうど良かったよ~、あはは」

仁美「さやかさん、私……っ!」

さやか「いいんだよ…あたしは…恭介に何もしてあげれなかったんだし…だから、だから仁美は…恭介のそばにいてあげて…」

仁美「……っ…さやかさんっ!」

さやか「泣かないで、仁美、あたしのことは気にしないでいいんだよ…あたしは後悔なんてしてないんだからさ…」

仁美「ごめんなさい…っ…さやかさん…ごめんなさいっ…っ!」

137: 2013/09/15(日) 21:46:11 ID:7GeV93yY

放課後
 ~見滝原市内~


まどか「さやかちゃん…本当に上条君のこと…」

さやか「…ホント言うとね、あたしも恭介の事好きだったよ、はっきり気持ちの整理はつかなかったけど…でもあたしは後悔してない」

さやか「あの時のグリーフシードを見て見ぬふりしなかったことを…多分、あの時気付かないふりしてた方がきっと今、後悔してる」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「それにあたしだって、今までチャンスが無かったわけじゃないしね…やっぱり恭介には仁美がお似合いだよ、幸せになって…くれるよね」

まどか「…うん」

さやか「さぁ、気分切り替えて今日も魔女退治に出発だあ!気合入れて行こう!」

138: 2013/09/15(日) 21:49:07 ID:7GeV93yY

まどか「うん、この辺りが集合場所のはずだよ」

杏子「おーい!お前ら~!こっちこっち!」

まどか「あ、杏子ちゃん、マミさんにほむらちゃんも!」

さやか「遅れてごめんっ」

杏子「気にすんなって」

ほむら「……」

マミ「じゃあ今日も魔女退治に出発しましょ」

139: 2013/09/15(日) 21:53:32 ID:7GeV93yY

同時刻
 ~同市内~


QB「今日は魔女退治に行かないのかい?」

仁美「今日は日本舞踊のお稽古ですわ」

QB「魔女退治は毎日行った方が君のためにもなると思うけど」

仁美「…でもお稽古事をサボるわけにはいきませんわ」

QB「ソウルジェムを見て、ちょうどすぐ近くに魔女がいるみたいだよ」

仁美「……仕方ないですわね…すぐに終わればいいんですけど…」

140: 2013/09/15(日) 21:54:31 ID:7GeV93yY

~見滝原市内結界内部~


使い魔「キャハハハハハ」

ガチャ…ズギューン!
ガチャ…ズギューン!

仁美「……」

QB「だいぶ慣れてきたみたいだね、仁美」

141: 2013/09/15(日) 21:55:27 ID:7GeV93yY

~同結界入口~


マミ「ここね…」

杏子「!」

ほむら「!」

杏子「…ま、まさか、け、結界が歪んでやがる…!」

マミ「本当だわ、まさか…!」

ほむら「これは…」

マミ「みんな急いでいくわよ!」
バッ!

さやか「え?何?」

まどか「何かあったのかな」

マミ「暁美さんは美樹さんと鹿目さんについててあげて!私たちは先に行ってるから」

ほむら「」コク…

142: 2013/09/15(日) 21:56:51 ID:7GeV93yY

~同結界内部~


杏子「ちっ!」

杏子(どういうことだ、結界が歪んでるってことは奥で既に誰かが戦ってるってことだ…だが、アタシたちは全員外にいた…ってことは…!!)

マミ「佐倉さん、奥にどんな魔法少女がいても敵意を剥き出しにしてはダメよ…」

杏子「っ」

ダダダダッ

143: 2013/09/15(日) 21:58:55 ID:7GeV93yY

______

仁美「これで終わりですわ!」
ガチャ!ズギューン!
ザシュッ!!

使い魔「ギィイイイイ……」


仁美「はあ…終わりましたわ」
スタッ…


ブオォォン…

杏子「!!」

マミ「!!」

144: 2013/09/15(日) 22:02:01 ID:7GeV93yY

仁美「えっ、ど、どなたですの…!?」


杏子「…て、てめーは…どこの魔法少女だ!」

仁美「えっ、わ、私は…この街の」

マミ「ちょ、ちょっと佐倉さん」

杏子「この街のだと……まさかQBと契約したのか」

仁美「そ、そうですわ!あ、あなたちこそなんですのっ」

マミ「私たちはこの街で魔法少女をしているの、あなたの敵じゃないわ、あなたも見た所、見滝原中の制服をしているけれど…」

145: 2013/09/15(日) 22:04:38 ID:7GeV93yY

さやか「おーい、マミさ~ん、杏子せんぱ~い~!」


仁美「!!」

仁美「こ、この声は…」

マミ「あ、美樹さんに鹿目さん、暁美さんも」
ダダダダッ

さやか「ふー、やっと追いついたよ、急に飛び出していっちゃうんだからあ」

さやか「って、ひ、仁美!?ど、どうして仁美がここに!?」

まどか「えっ??仁美ちゃん?」

仁美「さ、さやかさんにまどかさん…」

杏子「こいつが使い魔を倒しやがったんだ」

ほむら「!」

さやか「ええ!…ひ、仁美が…なんで魔法少女に…」

杏子「どういうことだ、おい、知り合いか?さやか」

仁美「ごめんなさい、さやかさん…」

146: 2013/09/15(日) 22:06:45 ID:7GeV93yY
ダダダダダッ!

さやか「…仁美…」

杏子「おい!待てよ!」
ダダッ…

マミ「待って、佐倉さん!」

杏子「っ」
ピタッ…

マミ「どういうことなの?美樹さん、鹿目さん、さっきの子とは知り合いなの?」

まどか「……」

さやか「……」

ほむら「この2人は言いにくいでしょうから、私から言うわ…さっきの子は私たちのクラスメイトよ」

147: 2013/09/15(日) 22:08:43 ID:7GeV93yY

杏子「なんだと…!!」

マミ「本当なの?2人とも」

まどか「う、うん…」

さやか「でも…どうして、仁美が……」

さやか(ま、まさか…)

ほむら「それと、本当に彼女は魔法少女で、使い魔を倒したの?」

杏子「ああ、間違いない…はっきり見たし、アイツは自分でQBと契約したと言いやがった…」

ほむら「!」

マミ「どういうことなの…新しい魔法少女なのかしら…」

148: 2013/09/15(日) 22:09:48 ID:7GeV93yY

………

さやか「……」

さやか「あ、あの!あ、あたしみんなにちょっと話しておきたいことがあるんだ!」

まどか「さやかちゃん…」

マミ「…?」

杏子「さやか…」

ほむら「……」

149: 2013/09/15(日) 22:11:18 ID:7GeV93yY
その後
 ~マミの家~


ズズ…
カチャ…

マミ「…それで話しておきたいことって」

さやか「うん、さっきの仁美って子のことなんだけど…」

さやか「仁美はあたしたちの小学生の頃からの親友なんだ」

150: 2013/09/15(日) 22:14:21 ID:7GeV93yY
さやか「でね、この間、仁美からちょっと話があるって呼ばれたんだけど、そしたら恋の相談で、あたしの幼馴染で『恭介』っているんだけど、その恭介のこと仁美が好きらしくて」

さやか「でも、仁美は恭介とあたしが幼馴染だからって、その事気にしちゃったみたいで、あたしに一日だけ時間くれたんだ」

さやか「あたしも色々考えたんだけど、やっぱり後悔したくなかったから、恭介に告白しようと思ったんだけど…恭介のいる病院についたら、グリーフシード見つけて…」

マミ「だからあの時…」

杏子「……なるほどな」

さやか「あたし、そんな日に限って携帯家に忘れてきちゃって、でも見逃しちゃえば、恭介が巻き込まれてたかもしれないし…だから後悔はしてないんだ」

さやか「それで、今日、仁美が恭介と付き合ったって教えてくれてね…でも仁美が魔法少女になってて、もしかしたらって思って…こんなこと考えたくないんだけど…」

さやか「ひ、仁美が魔法少女になっちゃったってことは、もしかしたら恭介と付き合うことを願って契約したんじゃないかな…って」

マミ「ま、まさか…」

杏子「!!」

ほむら「……」

151: 2013/09/15(日) 22:15:09 ID:7GeV93yY

さやか「だ、だからね、理由はまだはっきりわからないよ、こんなことあったけど仁美はホントいい子だし、あたしたちの友達だし、だから…その…助けてあげてほしいんだ」

さやか「もちろん、マミさんたちにも無理承知だってわかってる、それにもしもホントに仁美が恭介と付き合うこと理由に魔法少女になってるなら…杏子先輩は多分、嫌いなタイプだろうし」

さやか「それでも、もし危ないときは助けてあげてほしいんだ、できれば仲良くしてあげてほしいんだ…」

マミ「美樹さん…」

まどか「さやかちゃん…」

杏子「ふーん…つまり、そいつはさやかの親友でありながら、さやかの惚れた男を奪ったわけか」

さやか「ち、違うよ!杏子先輩、そういうわけじゃ…」

杏子「…どこが違うんだよ!」

マミ「佐倉さん、落ち着いて…」

152: 2013/09/15(日) 22:16:16 ID:7GeV93yY

さやか「まだ決まったわけじゃないから、こんな話をするあたしも最悪なんだけど…でも、もしそれが事実でもあたしはマミさんたちに頼んでるよ…」

さやか「だって、あたしはさ、少なくとも仁美よりも先に契約できる立場だったんだよ、あたしが決心できてれば恭介と付き合うことだって出来たし、恭介の腕を治してあげることだってできた…」

さやか「…でも、あたしにはそれだけの覚悟がなかったんだよ、だけど、仁美は違った…仁美は自分の命をかけてまで恭介と付き合うことを願ったってことでしょ」

さやか「それって、やっぱり…あたしよりも恭介のそばにいる人として相応しいってことじゃないかな…」

さやか「だからね、あたしは仁美に何かあって、悲しむ恭介の顔も見たくないんだ、あの2人には幸せになってもらいたいんだ…」

まどか「……」

マミ「……」

杏子「……」

ほむら「……」

153: 2013/09/15(日) 22:18:50 ID:7GeV93yY

さやか「仁美に何かあったら助けてあげて、仲良くしてあげてください…お願いします」
ペコ

杏子「……さやか、お前はどこまで…他人のために…」

マミ「と、とりあえず私情は抜きにしても、新しい魔法少女がいるってことは、私としても仲良くした方がいいと思うの…」

杏子「っ…」

ほむら「……」

マミ「美樹さん、あなたのことも考えて明日、私が志筑さんと直接話してみるわ…」

さやか「あ、ありがとうございます、マミさん」

154: 2013/09/15(日) 22:20:48 ID:7GeV93yY

その後
 ~ほむらの家~


杏子「どういうことだよ!わけわかんねーぞ!」
ダン!

ほむら「私に言われても困るわ…」

ほむら「…まさかこんなことになるとは、私も初めてだわ…私たち5人以外の人間が契約するなんて」

杏子「…っ!」

ほむら「でも、これで美樹さやかが契約することは完全になくなったんじゃないかしら」

杏子「…確かにそうかもしれねぇ、でもアタシにゃ、その仁美って奴がどうしても許せねぇ…」

ほむら「美樹さやかを契約させない目的は達成されたはずよ、何がそんなに不満なの?」

杏子「まだ、はっきりわかんねーけど、その仁美って奴が、さやかの惚れた男を奪うことで契約したかどうかだ…」

ほむら「別にいいじゃない、美樹さやかだって後悔してるわけではないようだし」

杏子「…アイツはいつも他人のことばかり考えすぎなんだよ…」

156: 2013/09/15(日) 22:24:46 ID:7GeV93yY

ほむら「あなたがどう思ってるかは知らないけど、志筑仁美にも迂闊に手は出さないで」

杏子「なんでだよ!」

ほむら「これからはその子次第で歴史が変わってくるわ」

杏子「今更、何がどう変わるってのさ、このままワルプルギスだろ?」

ほむら「…そう甘くない、私だって何度戻ったと思ってるの、間違いなく何かが起こる、それもほんの些細なことがきっかけで…」

ほむら「こんなことになったのが初めてだからこそ、何が起こるかわからないの…軽率な行動は謹しんでもらいたいわ」

杏子「っ…じゃあ、どうすりゃいいんだよ!」

ほむら「現状では、わからないことが多すぎる、その子が何を願って契約したのかも、その子に才能があったのかも」

ほむら「そして…私たちと結託する気があるのかどうかも…ね」

ほむら「今は少しでも情報がほしいところね…つまり待つしかないわ、明日、巴マミがその子と接触するようだし」

杏子「…っ」

157: 2013/09/15(日) 22:27:33 ID:7GeV93yY

翌日
 ~学校 屋上~


マミ「いきなり呼び出したりしてごめんね…」

仁美「い、いえ、大丈夫ですわ」

マミ「私は三年生の巴マミ、早速で悪いんだけど…志筑さん、あなた本当に魔法少女なの?」

仁美「…そ、そうですわ」

マミ「そう…なら私たちの仲間ね、私もこの街で魔法少女しているわ」

仁美「そうだったんですの…だからあの時…えっ…と、ということはさやかさんもまどかさんも契約しているんですの!?」

マミ「彼女たちはまだよ、あくまでまだ候補ってところね、ただ暁美さんは私たちと一緒に戦っているわ、それと赤い髪をした子もね」

仁美「そうなんですの……」

マミ「そこでね、ものは相談なんだけど、あなたも私たちと一緒にこの街で魔女と戦わない?」

マミ「一人で戦うよりリスクは少ないし、グリーフシードも確実に確保できるわ、あなたのためにも絶対いいと思うの」

仁美「……」

マミ「そうよね…すぐには決まらないものよね…」

仁美「わ…私は…」

158: 2013/09/15(日) 22:29:28 ID:7GeV93yY

仁美「…私は、自分で契約することを決めました…それは、やはり自分で背負っていかなくてはならないものだと思いますわ…」

マミ「……」

仁美「先輩方は悪い人ではありませんわ、それはわかっております。ですが、私は自分で決めたことなので魔女とも自分で戦いますわ…」

仁美「私はそれだけの覚悟を決めて自分の叶えたいことを叶えました、だからその代償も私一人で払いたいんですの…いえ、私一人で払うべきだと思うんですの」

マミ「そ、そう…」

仁美「…せっかくのお誘いなのに申し訳ありませんわ…」

マミ「い、いえ、いいのよ…でも何かあったら私たちを頼っていいのよ、すぐにでも助けてあげるし、私たちはいつでも待ってるから」

仁美「ありがとうございます、何かあればお願いするかもしれませんわ…では、私はこれで…」

マミ「……」

159: 2013/09/15(日) 22:32:32 ID:7GeV93yY

まどか「どうだった?マミさん」

マミ「今のところはなんともね…やっぱり自分のことだから自分でなんとかしたいって…でもだからって私たちと対立するって感じでもないわ…」

さやか「……」

マミ「美樹さん、聞いてきたけど、やっぱり自分の願いを叶えた代償は自分で払うから、一緒には…って感じだったわ」

マミ「志筑さんの願ったことまでは聞いてないけど…私たちにも頼っていいのよ、っては言ってきたから…」

マミ「それにしても…あの子、とてもしっかりしてる子ね」

さやか「…そっか…やっぱり仁美は…そうだよね…」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「わざわざ手間かけさせちゃってすいません、マミさん…」

マミ「ううん、私は全然いいのよ…」

さやか「でも、もし仁美が危なくなったら助けてあげてください」

マミ「それはもちろんよ、ねえ、暁美さん」

ほむら「……」コク

さやか「ほむらもありがと、杏子先輩は大丈夫かな…」

マミ「大丈夫、佐倉さんにもちゃんと私から言い聞かせとくから」

160: 2013/09/15(日) 22:34:37 ID:7GeV93yY

その日の夜
 ~ほむらの家~

杏子「で、どうだったんだ?聞いてきたんだろ」

ほむら「…やはり志筑仁美は私たちと一緒に戦う気はないようね」

杏子「何?…結託する気は無いってか」

ほむら「でもその理由は自分の願いを叶えた代償は自分で払うべきだからっていう理由よ」

杏子「はあ、なんだよ、その説明書通りみてーな答えは…アイツはさやかの気遣いを無視するつもりか…」

ほむら「これがその子の出した答えなんだから仕方ないわ…」

杏子「で、このままワルプルギスの夜が来たとして、そいつはどうすんだよ、超ド級の大物魔女が来るから一緒に戦ってほしいって頼むんか」

ほむら「そんなことしなくても、私と巴マミ、そしてあなたが全力を尽くせばワルプルギスの夜は倒せるはずよ」

杏子「ふーん、てことはそいつは用無しか、んじゃ後は勝手にやっていいんだな」

ほむら「…あなた、何をするつもりなの」

161: 2013/09/15(日) 22:35:45 ID:7GeV93yY

杏子「おっと、大事なこと聞き忘れたぜ、そいつの契約の理由は結局何だったんだ?」

ほむら「そこまでは聞いていないわ…」

杏子「…そうかよ、ならアタシは用事ができた、ちょっと行ってくる」

ほむら「あなた、まさか…」

ほむら「待って、馬鹿なことはやめて、そんなことをして美樹さやかが喜ぶの?」

杏子「…なーに、ちょっと話をしてくるだけだ、手出しゃしねーよ、アタシだってさやかの親友襲うほど馬鹿じゃないさ」

ほむら「……」

162: 2013/09/15(日) 22:37:12 ID:7GeV93yY

~見滝原市内~


仁美「はあ…お稽古事ですっかり遅くなってしまいましたわ…」
スタスタ

杏子(いやがったか…)

杏子「よう、ちょっと話がある、顔貸してくれる?」

仁美「あ、あなたは……」

163: 2013/09/15(日) 22:38:48 ID:7GeV93yY

杏子「…率直に聞くぞ」

杏子「なんでアタシたちと戦うのを断ったんだ?」

仁美「そ、それは…」

仁美「…私が叶えた願いごとですわ、だから、その代償も私一人が負うものですわ」

杏子「アンタの契約の願いってのは…あんまり大きな声で言えるもんじゃねーんだな…?」

仁美「!!」

仁美「そ…それは…っ」

杏子「ふん、まあアタシにとっちゃ別にどうでもいいけどさ…」

仁美「……」

杏子「アンタに頼みたいことがある」

仁美「えっ…」

164: 2013/09/15(日) 22:40:30 ID:7GeV93yY

杏子「頼む、この街で魔法少女をやるのをやめてくれないか?」

仁美「ええっ…どういうことですの?」

杏子「アタシはアンタがどうしても許せない…でもアンタが悪い奴じゃないってこともわかってる、だから魔女退治は他所でやってくれないか」

杏子「さやかだってアンタにいつまでも気つかっちまうし、アタシだって魔女倒してるときにアンタと鉢合わせすりゃ、手出さない保障はねぇ…」

杏子「だから頼む…魔女退治の時だけ他所でやってくれないか、隣り街の風見野なら今は誰も…」

仁美「そ、そんなこと私の勝手ですわ…それにさやかさんとは…」

杏子「さやかはなぁ、てめーの為にどんなことしてきたか……」

仁美「あ、あなたには関係ないですわ!それにさやかさんとはもう和解しましたの」

杏子「…関係ない…だと…」

仁美「そ、それより、あなたはさやかさんの何ですの?私よりもさやかさんと仲がよろしくて?」

杏子「…んだと…てめぇ…!」

165: 2013/09/15(日) 22:41:39 ID:7GeV93yY

仁美「私は私の信念がありますわ…だから私は…」

杏子「もうわかった…それがアンタの答えだな…」

仁美「…そうですわ」

杏子「なら…!」シュイン!

仁美「な、何をするつもりですの!?」

杏子「言って聞かせてもわからねーなら、後はわかるだろ!」

仁美「…戦うんですのね…わかりました、私も売られた以上は逃げる気はありませんわ!」シュイン!

166: 2013/09/15(日) 22:42:53 ID:7GeV93yY

杏子「新人のクセに口だけは達者だな!」
バッ!!

仁美「巴先輩はいい人だったのに、あなたとは仲良くできそうにありませんわね!」
ガチャ!
ズギューン!

杏子「そんなバカ長いライフル当たるわきゃねーだろ!」
ヒュッ!

杏子「遅せーよ!!」
ガキンッ!

仁美「きゃっ…!」
ドタッ…

杏子「ふん、トーシローが、調子乗るからだろ」

仁美「っ…」

仁美(私は普通の魔法少女よりも素質があるんじゃないんですの…これじゃ戦うことすら出来ませんわ…QBの言ってたことは嘘だったんですの…)

167: 2013/09/15(日) 22:45:01 ID:7GeV93yY

フッ…
QB(嘘なんかじゃないよ、仁美、君はまだ願いによって発現する本来の力を使ってないじゃないか)

QB(その力さえうまく使えれば君は杏子なんかに負けない魔法少女になれる)

仁美「…私の本来の力…?」

QB(教えてあげよう、君の本来の力はね……)



仁美「くっ…ま、まだですわ…」

杏子「おっかしいなぁ、全治1ヶ月ってぐらいにはかましてやったはずなんだけど」

仁美「…このくらいの傷なんてことないですわ」シュイン!

杏子「!」

杏子(回復魔法!こいつなりたてのクセにもうそんな魔法使えるのか…!)

168: 2013/09/15(日) 22:47:29 ID:7GeV93yY

仁美「それにしても…あなたのその武器…便利ですのね」

杏子「ああ?こいつかい、こいつは…」

杏子「な、何!?」

仁美「ふふ…」
チャキ…

杏子「てめー!いつの間に!」

杏子「はっ!どんな手品使ったか知らないけどさ、たかが槍の一本くらいすぐにっ…!」

シュインッ…
パアァッン!

杏子「な、何!?」

170: 2013/09/15(日) 22:49:13 ID:7GeV93yY

杏子「クソッ!!」

シュインッ…
パアァッン!

杏子「ど、どうなってやがんだ…」

杏子「槍が出せねえ…!」

QB「無理だよ、杏子、だって君の武器は今、仁美が使っているんだから」

杏子「どういう意味だ…!?」

QB「教えてあげよう、彼女の魔法の属性は『奪略』だよ」

171: 2013/09/15(日) 22:50:56 ID:7GeV93yY

杏子「奪略…だと…!?」

仁美「あなたの武器は私がいただきましたわ、これであなたは戦えませんわね、おとなしくしてくださる?」

杏子「はっ!笑わせんな!アタシから武器を取り上げたくらいで、勝った気なのかい?なめられたもんだね」

仁美「!」

仁美「まだ何か…ありますの…!?」

杏子「てめえに属性があるんなら、アタシもあるに決まってんだろ!」
グッ…
シュイン!シュイン!シュイン!シュイン!

仁美「こ、これは…!」

杏子「さーて、どれが本物のアタシかな」

172: 2013/09/15(日) 22:53:33 ID:7GeV93yY

仁美「…ぜ、全部まとめて片付けますわ!」
サシュッ!
ザシュッ!

杏子「残念!そっちはハズレだよ!」
ドフッ!

仁美「きゃっ」
ドタッ…
ガラン…ガラン!

杏子「ふんっ、どんな能力かと思えば、ただの泥棒かよっ」

仁美「……」

杏子「返してもらうぜ、こいつは…」
…ガシャ

仁美「……いいですわ、それはお返ししますわ、代わりに…」

杏子「?」

173: 2013/09/15(日) 22:55:12 ID:7GeV93yY

仁美「あなたのその能力いただきますわ!」

杏子「な、何!?」
フワッ フワッ フワッ フワッ…

杏子「しまった!…分身が…!!」

シュイン!シュイン!シュイン!シュイン!
仁美「…さて、本物の私はどれでしょうか?」

杏子「…くっ!!」

杏子(こ、こいつ…武器だけじゃなく、能力まで奪えるのか!?)

174: 2013/09/15(日) 22:56:27 ID:7GeV93yY

杏子「じ、実力の差がわからねぇ奴だな、新人、てめーが何人いようが、アタシにゃ勝てないんだよ!!」
ザシュッ!!

仁美「それはニセモノですわ」
ガチャ!
ズギューン!

杏子「一人ずつ潰していきゃ…!!」
ザシュッ!ザシュッ!

仁美「では…これならどうですの?」
ザッ ザッ ザッ ザッ…

杏子「し、しまった…!!」

175: 2013/09/15(日) 22:57:59 ID:7GeV93yY

仁美「これであなたは逃げられませんわ…もう一度お聞きします、おとなしくしてくださる?」

杏子「っ…!」

杏子「ふざけんなよ…」

仁美「そうですの、では…」
ガチャ
ガチャ
ガチャ
ガチャ
ガチャ…

仁美「これで終わりですわ!」

杏子「…くっ!」

176: 2013/09/15(日) 22:59:52 ID:7GeV93yY


………

キン!
ドゴーン!


杏子「な、何っ!?」

仁美「な、なんですの!?」

177: 2013/09/15(日) 23:01:24 ID:7GeV93yY
……

ほむら「…馬鹿なことはしないでと言ったはずよ、杏子、あなた…何をしているかわかってるの?」

杏子「…助けに来たのかよ」

ほむら「勘違いしないで、前にも言ったわ、私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵」

杏子「…ちっ」

仁美「あ、あなたは、暁美さん…?あなた、その子の味方なんですの?」

ほむら「違うわ、私は無駄な争いを止めに来ただけ、あなたに敵意はないわ」

仁美「…でも私にはその子を助けたようにしか見えませんわ」

ほむら「…あなたがどう思おうと勝手だけど、魔力の無駄な消費はお互いにいいことじゃないわ、あなたもわかっているでしょう」

仁美「…っ」

178: 2013/09/15(日) 23:02:44 ID:7GeV93yY

仁美「…し、仕掛けてきたのはその子ですわ!」

ほむら「ごめんなさい、その事はこの子に代わって謝るわ、だから今日のところは手を引いてくれないかしら」

仁美「……」

仁美「…わ、わかりましたわ」

ほむら「…あなたが冷静な人でよかった」

仁美「……」
スタスタ

179: 2013/09/15(日) 23:04:37 ID:7GeV93yY

ほむら「なんてことをしてくれたの?」

杏子「はっ、別に大したことねえだろ、このくらい」

ほむら「約束したはずよ、手は出さないって」

杏子「アイツが、アタシにてめーはさやかの何なんだって言ってきたんだ、そりゃブチ切れるってもんさ」

ほむら「理由はどうでもいいわ、今後一切こんなことはしないで」

杏子「…ちっ」

ほむら「約束できないの?」

杏子「わかったよ!手出さなきゃいんだろっ」

180: 2013/09/15(日) 23:06:30 ID:7GeV93yY

スタスタ
仁美「…それにしてもあの子、一体なんなんですの」

QB「杏子も悪気があったわけじゃないさ」

仁美「……」

仁美「そういえば、私の能力って『奪略』ですのね」

QB「そうだよ、君の能力は相手から武器を奪ったり、能力を奪ったりできるんだ」

QB「武器か能力、どちらかしか奪うことはできないけど、奪われた相手は奪われてる間、それを一切使えなくなる」

QB「これをうまく使えれば君は他のどんな魔法少女にも負けない」

QB「ベテランの杏子をあれだけ追い詰めるとはやっぱり僕の見たては正しかったみたいだね」

仁美「……」

181: 2013/09/15(日) 23:08:12 ID:7GeV93yY

翌日 放課後
 ~見滝原市内病院上条恭介病室~


恭介「やあ」

仁美「遅れて申し訳ありませんわ…」

恭介「いいんだよ、そんなの、来てくれただけでありがたいよ、仁美」

仁美「な、名前で呼ばれると変な感じがしますわ」

恭介「そう?いい名前だと思うよ」

仁美「私はあんまり好きじゃありませんわ、普通過ぎて…」

恭介「いい名前だよ、僕はすごく好きな名前だなぁ」

仁美「か、上條君にそう言ってもらえると大変嬉しいですわ」

恭介「僕のことも名前で呼んでいいんだよ」

仁美「え、えっ…そ、それは…」

仁美「きょ、きょ…恭介…でいいんですの?」

恭介「うん、なんか仁美って意外と恥ずかしがりなんだね」

182: 2013/09/15(日) 23:10:12 ID:7GeV93yY

仁美「そ、そんなことありませんわ!恭介だって恥ずかしがりなとこありますわ!」

恭介「普通に呼べたじゃないか、ありがと、仁美」

仁美「あっ…い、今のは勝手に…」

恭介「でも、ごめんね…せっかく来てくれたのに、こうして話くらいしかできないなんて…」

仁美「いいんですの、私は恭介と話せるだけで嬉しいですわ」

恭介「それなら良かったけど…」

仁美「……そう言えば、最近…」

恭介「…ん?」

仁美「さ、さやかさんはお見舞いに来られますか?」

恭介「さやか?ああ、そういえば最近は来てくれないなぁ…何してるんだろ…」

仁美「……」

183: 2013/09/15(日) 23:12:14 ID:7GeV93yY

同時刻
 ~マミの家~


マミ「……仁美さんのことなんだけど…私はもちろん全力でサポートしてあげたいわ」

ほむら「……」

杏子「アタシは反対だな」

まどか「杏子ちゃん…」

さやか「杏子先輩…やっぱりダメかな…」

マミ「確かに佐倉さんの言いたいこともわかるわ…」

マミ「特に美樹さんとのことを知っていれば尚更助けたいなんて気持ちにはならないでしょうけど…」

マミ「契約の理由はどうであれ仁美さんも私たちと同じ魔法少女に変わりはないわ…」

マミ「だから一緒に戦うことを断られても、助けてあげたいの」

184: 2013/09/15(日) 23:13:37 ID:7GeV93yY

杏子「じゃあマミ先輩たちで好きにすればいい…」

マミ「佐倉さん…」

さやか「お願いっ、杏子先輩!仁美のこともわかってあげて…」

杏子「さやか……てめーは…っ」

マミ「それに仁美さんは鹿目さんと美樹さんの親友なのよ?」

杏子「アイツはさやかの気遣いさえ無視したんだぞ!」

杏子「アタシにゃそれが許せない、もちろん助ける気なんかない」

杏子「まあ、アイツがアタシに土下座までして『助けてください』って言ったら考えるかもな」

マミ「いい加減にして、佐倉さん、あなただって美樹さんの気遣いを無視するつもり?」

杏子「さやか、お前は優しすぎるんだよ…」

杏子「まあアタシだってそんな鬼じゃないさ、アイツが危なくなりゃ、どう出るかわかんねえしな」

杏子「グリーフシードいただく代わりに助けてやるかもな」

185: 2013/09/15(日) 23:15:05 ID:7GeV93yY

マミ「私は佐倉さんを信じているわ、だってあなたは本当はいい子ですもん、私のことだって助けてくれたんだし」

さやか「うん!あたしも杏子先輩はなんだかんだでいい人だって信じてる」

杏子「お、おい、お前ら何言ってるんだよ、アタシは今んとこそんな気ねえって」

まどか「やっぱり杏子ちゃんはいい人だよー」

杏子「はあ、ふざけんな」

ほむら「……」

マミ「とにかく、私たちは仁美さんをサポートしていくから、安心して美樹さん、鹿目さん」

まどか「はい、ありがとうございます」

さやか「ありがとうございます、マミさん、杏子先輩、ほむら」

杏子「だから、アタシはまだわかんねえって言ってるだろっ」

186: 2013/09/15(日) 23:18:03 ID:7GeV93yY

その後
 ~ほむらの家~


杏子「ったく、アイツらアタシのこと勘違いしてやがんぜ、なあ?」

ほむら「いいえ、あなたは本当に美樹さやかのことも言えないくらいのお人よしよ」

杏子「何言ってんだよ!ついこの間までアタシはさやかと頃し合いしてたんだぞ!」

ほむら「歴史を変えるってそういうことよ…それより志筑仁美のことだけど…」

ほむら「本当に何があっても助けないつもり?」

杏子「…アタシは」

杏子「…そういう状況になってみねーことにはわからねーな…」

ほむら「そう…」

杏子「このまま何もなけりゃいいんだがな…」

ほむら「……そうね」

187: 2013/09/15(日) 23:19:29 ID:7GeV93yY
ここまでが『仁美編』となります

189: 2013/09/15(日) 23:31:29 ID:7GeV93yY
残りは
『さやか編』
『ワルプルギスの夜編』
と続きますが、少し休憩します。
すいません
杏子「愛と勇気が勝つストーリーってのにしてやろうじゃねーか!」【後編】

引用: 杏子「愛と勇気が勝つストーリーってのにしてやろうじゃねーか!」