191: 2013/09/16(月) 00:09:21 ID:So3bg9XU

192: 2013/09/16(月) 00:11:07 ID:So3bg9XU

_さやか編_

数日後
 ~見滝原市内~

スタスタ
杏子「ん…?ありゃあ…」

杏子「よう、久しぶりだな」

仁美「あ、あなたは!」

仁美「な、なんですの??また戦うんですの!?」

杏子「そう身構えんなよ、もうそんな気ねーよ」

仁美「…なら何の用ですの?」

杏子「ひょっと、みかけてな、ほえはけただけだろ…これ、食うかい?」モグモグ

仁美「い、いりませんわ」
もう誰にも頼らない
190: 2013/09/16(月) 00:07:01 ID:So3bg9XU
再開がてらに挿絵程度に描いた本作のイラストを数枚うpします
下手ですいません

①扉絵をイメージしました
http://free.5pb.org/s/salon1379257360947.jpg
②マミ救出編のシーン
http://free.5pb.org/s/salon1379257435866.jpg
③さやかがまどかに相談するシーン
http://free.5pb.org/s/salon1379257467549.jpg
④仁美魔法少女姿
http://free.5pb.org/s/salon1379257577014.jpg

193: 2013/09/16(月) 00:12:30 ID:So3bg9XU

杏子「なあ…やっぱりあの話、ダメか?」

仁美「この街から出でいけって話ですか、そんなの無理ですわ!」

杏子「何も出て行けって言ってるわけじゃないさ、ただ魔女退治を他所でやってくれって言ってるだけだ」

仁美「…そんなこと」

杏子「さやかだってアンタのこと心配してんだよ、でもだからって、そう気軽に話せる仲じゃないだろ?」

仁美「……」

杏子「いくら和解したっつってもお互い気使ってるのみえみえなんだよ」

仁美「あ、あなたには関係ないですわ…」

194: 2013/09/16(月) 00:14:32 ID:So3bg9XU

杏子「確かにそうかもしれねえし、お前らの間に立ち入る気はねえよ…」

杏子「ただ、さやかのことを本当に思ってるなら…アタシの言うとおり他所で魔女退治をしてくれ…」

仁美「何度も言ってますが、私は既にさやかさんとは和解していますわ!」

仁美「今日だって学校で一緒にお話しましたし、あなたには関係ありませんわ!」

杏子「…お前は本当のことを何も知らないからそんなことが言えるんだよ」

仁美「私はさやかさんのことも考えて…」

杏子「そうじゃねえ!!」

仁美「……」

杏子「さやかはな、ホントは自分に嘘つきたくないって…気持ち伝えようとしたんだよ…!」

195: 2013/09/16(月) 00:15:34 ID:So3bg9XU

仁美「!!」

仁美「っま、まさか…そ、そんなの…う、嘘ですわ!」

杏子「嘘なんかじゃねーよ!けど、さやかは病院でグリーフシード見つけちまって」

杏子「惚れた男助けるために自分の気持ち犠牲にして、アタシたちを呼びにいったのさ」

仁美「そ、そんな!…私は…さやかさんは…諦められたのかと…」

杏子「その上アイツは…契約してまで惚れた男奪ったてめーを嫌いにならず、むしろ助けてやってくれってアタシたちに頼んできたんだよ」

仁美「!!」

仁美「そ、そんな……」

杏子「…だがてめーはそのさやかの気持ちさえ裏切った」

杏子「いくらてめーが事情知らないからって言っても、アタシはそんなお前が許せなかったのさ…」

仁美「わ、私っ…私っ…っ…ごめんなさいっ…さやかさん、ごめんなさい…っ…」

杏子「もういくら泣いたっておせーよ、てめーは…」

196: 2013/09/16(月) 00:17:03 ID:So3bg9XU

翌日
 ~学校~


ガヤガヤ

まどか「仁美ちゃん、今日学校お休みかな?」

さやか「うん…そうなんじゃないか、珍しいね、仁美が休むなんて」





 ~仁美の家~


仁美「…うっ…ひっく…」

コンコン
執事「本日の学校はどうなさるのですか?お嬢様」

仁美「ひっ、一人にしてください!」

執事「も、申し訳ありません!学校には連絡しておきます、ゆっくりお休みください」

197: 2013/09/16(月) 00:18:38 ID:So3bg9XU

仁美「……」


仁美「私は…私は…っ…」

QB「どうしたんだい?仁美」

仁美「……やっぱり契約なんてするんじゃなかったですわ…」

QB「今更そんなこと言われてもなぁ」

仁美「私を元に戻してくださる?こんな力なんてもういりませんわ!」

QB「そんなの無理に決まってるじゃないか、それは時間を戻してくれと同じことを言っているよ」

QB「君はもう契約してしまったんだ、それを今更元には戻せないよ」

仁美「……っ」

198: 2013/09/16(月) 00:19:35 ID:So3bg9XU

QB「君がどんなに否定しようが魔法少女なのは絶対変わらないよ」

QB「君の願い事は間違いなく叶ったじゃないか、これはその代償だよ」

仁美「…契約なんてした私が馬鹿でしたわ…こんな力っ…こんな力っ…」

仁美「ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…さやかさん……」

QB「それより君は杏子と戦って以来魔女を倒していないね、早くグリーフシードで穢れを浄化しないと…」

仁美「そんなこと、もう知りませんわ!私はもうこんな力いりませんの」

QB「大変なことになるのは君自身なんだけど…」

仁美「…ぐすっ…ひっく…っ…さやかさんっ!」

199: 2013/09/16(月) 00:22:31 ID:So3bg9XU

その日の放課後
 ~マミの家~


マミ「今日も無事魔女退治出来たしお茶にしましょう」

まどさや「はーい!」

杏子「……」パクパク

ほむら「……」モグモグ

まどか「あ、そういえば今日、仁美ちゃん学校休みだったんだ」

さやか「そうそう、仁美が休むなんて珍しいなあと思って」

杏子「っ!」

杏子「ごっほ、ごっほ!」

まどか「え?どうしたの、杏子ちゃん?」

杏子「い、いやなんでもねぇよ…」

ほむら「…」チラ

200: 2013/09/16(月) 00:24:10 ID:So3bg9XU

マミ「そうなの、大丈夫かしらね…志筑さん」

さやか「先生もただの風邪だって言ってたし、大丈夫でしょ」

マミ「そう…ならいいんだけど…」

マミ「少し心配ね…」

さやか「てか、QBに聞いたら?仁美がどうしてるか、わかるんじゃないの?」

マミ「それがQB、ここ最近家に帰ってこないのよ」

さやか「え、そうなんすか」

ほむら「……」
ほむら(あいつが姿を現さないときは必ず何かを企んでいる)

201: 2013/09/16(月) 00:25:07 ID:So3bg9XU
~~~

マミ「今日もありがと、みんな」

さやか「いえいえ、ご馳走さまでした!」

まどか「ご馳走さまでした!」

ほむら「…」

杏子「……」

マミ「また明日学校で」

さやか「ばいば~い」

__


杏子「……」

ほむら「…ちょっといいかしら、杏子」

202: 2013/09/16(月) 00:26:44 ID:So3bg9XU

その後
 ~ほむらの家~

杏子「…なんだよ」

ほむら「…あなた、志筑仁美に何をしたの?」

杏子「!」

杏子「…何もしてねーよ」

ほむら「嘘をつかないで…あなたは何か知っている」

杏子「……」

杏子「昨日、アイツに会ったんだよ、偶然な」

杏子「そして話をしたんだ、もちろん手はだしてねーぞ」

杏子「ただ、さやかのことを話したんだ」

ほむら「…美樹さやかの何を話したの?」

203: 2013/09/16(月) 00:27:59 ID:So3bg9XU

杏子「全部だよ…アイツの惚れてた男のことも、ホントは気持ち伝えたかったってことも」

ほむら「……」

杏子「アタシだって最初はアイツに頼んだんだ、さやかのこともあるから、それが落ち着くまで魔女退治は他所でやってくれないかって」

杏子「だけど、アイツはそれに耳を貸さねーで、その上さやかの気遣いさえ無視した」

杏子「だから本当のこと教えてやったのさ」

ほむら「……」

ほむら「あなたがどう思おうと勝手だけど、苛立ちを理由に馬鹿な真似はしないでちょうだい」

杏子「ああ、わかってるよ、もうアイツにゃ会う気はねーよ、顔もみたくねえ」

ほむら「私たちの目的を忘れないで、あなたは美樹さやかだけを見てればいい…」

杏子「わかってるよ、それは…」

ほむら「そう…ならいいのだけど」

ほむら「QBが姿を現さないのも気になるわ、些細なことでも気をつけたがいいかも知れない」

杏子「ああ…わかってる」

204: 2013/09/16(月) 00:29:11 ID:So3bg9XU

翌日
 ~学校~

ガヤガヤ


まどか「仁美ちゃん、今日も来てないね」

さやか「うん…なんかホントに大丈夫かなあ、仁美」

まどか「電話してみよっか」

さやか「うん」

プルルルル…
プルルルル…
プルルルル…
プルルルル…
プルルルル…
プルルルル…
プルルルル…

まどか「あ、あれ出ない…」

205: 2013/09/16(月) 00:30:18 ID:So3bg9XU

プルルルル…
プルルルル…
プルルルル…

さやか「まだ出ない?」

まどか「う、うん…」

プルルルル…
プルルルル…

まどか「う~ん…」

プツッ

まどか「出ないよ…仁美ちゃん」

さやか「大丈夫かなぁ…」

まどか「そうだ!放課後、仁美ちゃんの家まで行ってみよっ」

さやか「うん」

206: 2013/09/16(月) 00:32:48 ID:So3bg9XU

放課後
 ~仁美の家~

ピンポーン

まどか「仁美ちゃ~ん」

さやか「仁美~?大丈夫なの?」


~インターホン通信~

執事「仁美お嬢様のお友達の方ですか?」

さやか「あ、はい、そうですけど、仁美さんは…?」

執事「仁美お嬢様は体調を崩されており…面会はできないかと…」

さやか「そ、そうですか……お大事にって仁美に伝えといてくださいっ、じゃああたしたちはこれで…」

執事「せっかく来てくださったのに申し訳ありません、お嬢様にはお伝えしておきます」

207: 2013/09/16(月) 00:33:59 ID:So3bg9XU

~仁美の部屋~


執事「……本当に良かったのですか?お嬢様」

執事「お嬢様のこと、大変心配されて来られたようですが…」

仁美「ええ…もういいの…」




仁美「もういいんですの…なにもかも…」

208: 2013/09/16(月) 00:35:50 ID:So3bg9XU

翌日
 ~仁美の家~


仁美「……」
ガチャ…
キョロキョロ…
スタスタスタ…

~~~~~~~~~~


コンコン
執事「お嬢様、体調はもうよろしいですか?」

……

執事「お嬢様…??」

……

執事「…入りますよ?お嬢様」
ガチャ…

執事「お、お嬢様…?」

209: 2013/09/16(月) 00:37:02 ID:So3bg9XU
~見滝原市内病院上条恭介病室~


恭介「やあ」

恭介「こんな時間に来るなんて珍しいね、あれ、今日は学校休みなの?」

仁美「……」

恭介「どうかしたの?仁美?」

仁美「…い…今までありがとうございました…上条君…っ」

恭介「えっ」

仁美「そして、ごめんなさい…」
バッ!
ダダダダッ…


恭介「ま、待ってよ!仁美!どうしたの!?」

恭介「……仁美…」

210: 2013/09/16(月) 00:38:08 ID:So3bg9XU

同時刻
 ~学校~

さやか「仁美…今日も…」

まどか「昨日家に行ったんだから、大丈夫じゃないかな…」

さやか「…うん」

211: 2013/09/16(月) 00:39:30 ID:So3bg9XU

放課後
 ~マミの家~
 

マミ「…そう、仁美さん、まだ学校休んでるの…」 

まどか「昨日、家には行ったんですけど…門前払いっていうか…」

さやか「大丈夫ですよね?マミさん」

マミ「そう思うけど……昨日、仁美さんの家に行った時は会えなかったの?」

さやか「体調悪いから今は会えないって言われて…」

杏子「んなら大丈夫だろ、ただ休んでるだけだろうし」モグモグ

マミ「そうね…家の方がそう言ったのなら…それを信じるしかないわね…」

ほむら「……」

さやか「……」

まどか「大丈夫だよ、さやかちゃん」

212: 2013/09/16(月) 00:42:55 ID:So3bg9XU

マミ「じゃあ、もし明日も志筑さんが学校休んだら私たち全員でお見舞いに行きましょ」

さやか「本当!?でもいいの?みんな」

マミ「いいわよね?暁美さん、佐倉さん」

ほむら「……私は別に…」

杏子「アタシはいかねーぞ」

マミ「佐倉さんも来なさい」

杏子「誰が行くかよ」

マミ「いいから、絶対来なさい」

杏子「誰が行くかって…」

さやか「あはは…ごめんね、杏子先輩、でもあたしからもお願いします」

杏子「っ……さやかが言うなら…仕方ねーなあ…」

マミ「じゃあ決まりね」

213: 2013/09/16(月) 00:44:25 ID:So3bg9XU
翌日
 ~学校~


まどか「やっぱり今日も…」

さやか「うん…」


 
~放課後~


マミ「全員揃ったわね、じゃあ行きましょう」

杏子「でも、もしまた門前払いだったらどうするんだよ」

さやか「その時はその時だよ、それはそれで、ただ体調が悪いってだけで済むから」

マミ「美樹さん…」

まどか「……」

ほむら「……」

214: 2013/09/16(月) 00:46:03 ID:So3bg9XU

~仁美の家~

ピンポーン!


~インターホン通信~

執事「仁美お嬢様のお友達の方ですか?」

マミ「はい、あの、仁美さんは…」

執事「仁美お嬢様は……現在外出中でして…」

マミ「あ、そうなんですか…わかりました、では出直してきます」

執事「……」

215: 2013/09/16(月) 00:47:19 ID:So3bg9XU

マミ「外出中ですって…病院かしらね?」

さやか「……」

まどか「……」

杏子「んだよ、せっかく来てやったのに」

ほむら「……」

マミ「大丈夫よ、美樹さん、志筑さんは簡単に魔女なんかに負ける人ではないわ」

さやか「……」

杏子「いねーんなら、アタシは帰るぜ、どうせただの風邪とかだろーし」

マミ「あっ、待ちなさいっ、佐倉さ…」
ガチャ!!

執事「お、お待ちください!」

全員「!」

執事「中にお入りください…お話したいことがあります…」

216: 2013/09/16(月) 00:49:02 ID:So3bg9XU
 ~仁美の家 応接間~


執事「申し訳ありません、お帰りになられるところを…」

マミ「い、いえ、私たちこそ上がらせてもらって…」

執事「じ、実は…」

執事「…ひ、仁美お嬢様は、昨日の午前中より…ご帰宅なされていないのです…」

全員「!」

まどか「そ、そんな…!!」

さやか「う、嘘ですよね!?」

杏子「嘘…だろ…」

ほむら「!」

217: 2013/09/16(月) 00:50:02 ID:So3bg9XU

マミ「落ち着いて、みんな」

執事「私たちも本来は内密にすべきことなのですが、貴女たちが仁美お嬢様のことを大変心配されているようでしたので…」

執事「私の独断でお話いたしました」

執事「…それにあなたたちならお嬢様の居場所か、何か事情を知っておられるのかと…思ったのですが…」

マミ「……」

さやか「そんな…ひ、仁美…!」

まどか「仁美ちゃん…!」

マミ「…申し訳ありませんが、私たちも仁美さんのことが心配で、こうして訪ねてきたので…」

218: 2013/09/16(月) 00:52:40 ID:So3bg9XU

執事「そうですか…こちらから何度も連絡してるのですが、電話も出られないようで…警察にはもう少ししてから連絡しようと…」

執事「我々としても、すぐに事を大きくするわけには…可能な限り穏便にと…」

マミ「…あの、仁美さんのご両親は…?」

執事「ご当主様と奥様はお二人とも現在海外出張中でして…我々がこうして仁美お嬢様のお世話をさせていただいているのです…」

マミ「…そうなんですか」

執事「こんな事態になってしまって…私たちも面目ありません…」

マミ「私たちも全力で仁美さんを探します!」

執事「…ご迷惑かけて申し訳ありません、お願いします」

219: 2013/09/16(月) 00:54:05 ID:So3bg9XU
~~~

マミ「いい?みんな、まだ仁美さんが魔女に負けたと決まったわけではないわ、全員全力で探しましょ!」

マミ「三手に別れましょ、見つけたらすぐにみんなに連絡して!」

マミ「私は市内の中央区を探すから、美樹さんと鹿目さんは東地区を、佐倉さんと暁美さんは西地区をお願い!」



~見滝原市内各部~

さやか「仁美~!!」

まどか「仁美ちゃ~ん!!」


マミ「志筑さ~ん!!」

220: 2013/09/16(月) 00:55:26 ID:So3bg9XU


杏子「ったく、なんでアタシがあんな奴探さなきゃならないのさ」

ほむら「…なら今からでも巴マミに連絡して『もう帰る』とでも言う?」

杏子「ちっ…」


杏子「……アイツ、ホントに魔女に負けたんか」

ほむら「……」

ほむら「巴マミの言う通り、彼女はそれなりの魔力の素質を持っていたわ、戦いにも慣れていたようだし…そう簡単に魔女に負けるとは思えない」

杏子「…だよな」

杏子「だったら、アイツはなんで家出なんてしたんだ、あんな豪華な家持ってるのに」

ほむら「……」

ほむら「…もしかしたら」

杏子「あぁ?」

ほむら「あなた、志筑仁美に美樹さやかのことを全て話したと言っていたわね」

杏子「ああ、それがなんかあんのか?」

221: 2013/09/16(月) 00:57:16 ID:So3bg9XU

ほむら「もしかしたら、志筑仁美はそれを聞いて絶望したのかも知れない」

杏子「はあ!?意味わかんねーって、なんで絶望するんだよ?」

ほむら「それは……詳しくはわからないけど…あの2人の間に何かあったとすれば」

ほむら「美樹さやかを裏切り、あの少年と付き合うことを理由に契約した自分を後悔している」

杏子「……」

ほむら「…もしかしたら…彼女は既に…」

杏子「お、おい!まさか!前のさやかみたいに魔女になったって言うのかよ!?」

杏子「ふざけたこと言ってんじゃねーぞ!!」グッ!

ほむら「ふざけてなどいないわ…これは現時点で考えられるもっとも納得のいく仮説よ」

杏子「…くっ!」

杏子「こうしちゃいられねー、マジでアイツを探さねーと!」
ダダダダッ…

228: 2013/09/16(月) 09:19:38 ID:So3bg9XU
~見滝原市内西地区某所~


杏子「魔女の反応は!?」

ほむら「ないわ…」

杏子「くそ!アイツどこにいやがるんだ…!」

ほむら「……」

………

杏子「…もう街の外れまできちまった…」

ほむら「…」

杏子「…どこにいやがんだよ…!」

ほむら「!」

ほむら「…ソウルジェムに反応が…!」

杏子「何!?」

杏子「こっちか!」
ダダダダダッ!

229: 2013/09/16(月) 09:21:17 ID:So3bg9XU
~見滝原市内西地区某所魔女結界内部~


杏子「…コイツはまさか、アイツの…?」

ほむら「いえ、おそらく違う…」

杏子「なんでわかんだよ」

ほむら「…この魔女はかつて戦ったことがあるわ…」

杏子「ふーん、つまり前にもいた奴ってことか」

ほむら「…そうね」

杏子「じゃあ、まだアイツは魔女になってねーってことだな」

ほむら「…おそらくは…」

杏子「ならさっさとコイツ片付けて、アイツを探さねーと…!」
バッ!

……

魔女「ギャアアア……」


ブオォォン…

230: 2013/09/16(月) 09:22:07 ID:So3bg9XU

杏子「ふー」

ほむら「……」

杏子「さあて、捜索続行だな」

ほむら「ええ」


~~~~



杏子「ん…?」

杏子「あ!あれは…!」
ダダダダッ

231: 2013/09/16(月) 09:24:25 ID:So3bg9XU

杏子「おい!何してんだよ!こんなとこで」

仁美「あなたは……お久しぶりですわね…」

杏子「てめぇ…」

杏子「アンタのこと許せないなんて言って悪かった、謝るよ」

仁美「何を謝ってるんですの?私はもういいんですの……」

杏子「おい、ふざけたこと言ってんじゃねえ、さやかだってお前のこと…」

仁美「さやかさんとはもうお友達ではありませんわ…私は自分のことばかり考えてさやかさんのことを考えてなかった…」

仁美「…私のせいでさやかさんは……」

杏子「てめえ…ソ、ソウルジェムが…!」

232: 2013/09/16(月) 09:27:07 ID:So3bg9XU

杏子「理由はもうどうでもいい、今は穢れを浄化しろ、じゃねーと…てめえは魔女に…」

仁美「何を言ってるんですの…私はもう…魔女みたいなものですわ…」

仁美「魔法の力に頼って上条君と付き合って、さやかさんの気持ちさえ知らずに裏切って…」

仁美「そんな私を助けようとした最後のさやかさんの気遣いさえ裏切ったのです、もう立派な魔女ですわ…」

杏子「ふざけたこと言ってんじゃねえ!」

杏子「どんな願いで魔法少女になろーが、それは自分で決めたことだろ!誰のせいでもない!」

杏子「さやかだって、てめーのこと大事に思ってるんだ、だからあの坊やと幸せになること願ってんだ!」

杏子「それがわかってんなら、馬鹿なこと考えるのはやめろ!」

仁美「…」

仁美「…あなたって、ホントはとても優しい人だったんですわね…っ」

仁美「それにも気付けなかった…私…ほんと嫌な子ですわ……」

パキッ…パキキ…パキン…!

233: 2013/09/16(月) 09:28:29 ID:So3bg9XU

ゴゴゴゴゴゴゴ…


杏子「!!」

ほむら「!!」

杏子「クソがっ!!」
ダンッ!

杏子「…これじゃ、さやかと一緒じゃねーか…っ!」


仁美魔女「キャァァァァァァ!!」


杏子「くっ!」

ほむら「一旦引くわ」

杏子「い、いいのかよ!?」

ほむら「じゃあ、あの魔女を倒すの?あなたには倒せるの?」

杏子「っ!」

234: 2013/09/16(月) 09:29:46 ID:So3bg9XU

同時刻
 ~仁美の家~


執事部下「今日もお帰りになりませんね…仁美お嬢様…」

執事「…やむを得ない、警察に連絡しよう…」

執事部下「し、しかし、それでは今回の一件が公に…!」

執事「もう、そんなことを言っている場合ではない!」

執事部下「わ、わかりました…」

235: 2013/09/16(月) 09:30:51 ID:So3bg9XU

~見滝原市内~


杏子「畜生!どうすりゃいいんだよ!」

ほむら「落ち着いて…取り合えず巴マミも含めてあの子たちには教えないでちょうだい」

杏子「わかってるよ!んなことは」

杏子「どうにかできねーのか!なあ!?」

ほむら「私が知っている限り…魔女になった魔法少女を戻す方法はないわ…」

杏子「…クソがっ!」

ほむら「…ところで彼女の氏体はどうしたの?」

杏子「しまった……!」

杏子「いや…結界の中にあるはずだ…だから人目には…」

ほむら「…この状況では見つかると厄介ね」

236: 2013/09/16(月) 09:33:18 ID:So3bg9XU
ダダダダッ
マミ「仁美さんは!?佐倉さん、暁美さん」

ほむら「私たちが探した限りはいなかったわ…」

マミ「…そう」

ほむら「…それと、捜索している時に魔女を倒したわ」

ほむら「後、一度くらいは使えるはず…」スッ

マミ「そう、ありがとう、ごめんなさいね、2人に任せちゃって」

ほむら「…別にいいわ、それよりもそっちも見つからなかったの…?」

237: 2013/09/16(月) 09:34:01 ID:So3bg9XU
マミ「…ええ」

まどか「…うっ…ぐすっ…仁美ちゃん…!」

さやか「…仁美…っ…仁美…っ!」

マミ「これだけ探してもいないなんて…」

杏子「…っ」

マミ「…取り合えず今日はもう遅いわ…明日は学校だけど、みんないいわね…?」

さやか「…学校なんていってる場合じゃないよ…」

まどか「……うん」

ほむら「……」

238: 2013/09/16(月) 09:35:17 ID:So3bg9XU
その後
 ~ほむらの家~


ほむら「ちょっといいかしら…」

杏子「なんだよ…」

ほむら「…志筑仁美が魔女になったことは事実よ、あなたがどう思ったって何も変わらない…」

杏子「んなことわかってるよっ」

ほむら「…志筑仁美が魔女になったのはあなたのせいじゃないわ」

杏子「……」

ほむら「それと…言い忘れてたけど、もうワルプルギスの夜まであまり時間がないわ」

杏子「…いつごろなんだ?」

ほむら「私の予想だと、早ければ明日…長く見積もっても一週間以内ね」

杏子「……」

ほむら「…そこで提案があるのだけれど」

杏子「提案だぁ…?」

239: 2013/09/16(月) 09:37:09 ID:So3bg9XU
ほむら「…志筑仁美のことをあの三人に全て話してはどうかしら」

杏子「な、何言ってんだよ、てめーは…!」

ほむら「まどかと美樹さやかがそれを知れば、魔女になることを知った上で契約なんてこの先も絶対にしないはず…」

ほむら「そして、後は私たち三人がワルプルギスの夜を倒せば、それで全て丸く収まるわ」

杏子「て…てめえ…!」

杏子「…つ、つまり、魔女なっちまったアイツのことは諦めて、アイツを見せしめに、さやかとまどかの契約を止めるってことか…?」

ほむら「ええ、そうね」

杏子「…アタシにはなんでそんな考えが頭ん中で廻るのかわからねえ」

杏子「てめーそれでも人間かっ!」
グッ!!

240: 2013/09/16(月) 09:38:44 ID:So3bg9XU

杏子「さやかが魔女になったときもそうだったよな…」

杏子「てめーはさやかの氏体を目の前にして泣く、まどかの前で自慢気に話してやがった…!」

杏子「…なんでそんなことができるんだ…!」

ほむら「そうね…もう人間やめちゃってるからかしらね」

杏子「…っ」

ほむら「魔女になってしまった魔法少女を元に戻すことはできない」

ほむら「…だったら、諦めるしかないでしょう、それであの2人の契約を完全に阻止できるのなら…」

杏子「…てめーはどうかしてる」

ほむら「そうね…それは否定しない…」

241: 2013/09/16(月) 09:40:05 ID:So3bg9XU

ほむら「でも、あなただってここまできた理由を忘れているわ、あなたがここまで来たのは美樹さやかのためでしょう」

ほむら「美樹さやかの契約さえ阻止できればいいんでしょう」

杏子「…忘れてなんかいねーよ…ああ、そうさ、アタシはさやかを救いたい」

杏子「でも…!」

杏子「でも、だからって…!魔女になっちまったアイツは諦めるんか!?」

ほむら「諦める以外に方法はないわ」

杏子「…っ!」

ほむら「…前に言っていたわよね、この世界の希望と絶望は差し引きゼロだって」

242: 2013/09/16(月) 09:41:32 ID:So3bg9XU

ほむら「それは誰かを助けるときも同じじゃない?誰かを助けたければ、他の誰かが犠牲になるしかない…」

ほむら「そうやって世界のバランスは成り立っているんでしょう」

ほむら「…美樹さやかを救った、だから代わりに志筑仁美が犠牲になった…それでは足りないの?」

杏子「……」

杏子「てめーは大事なもんを落っことしてきちまってるよ…どっかの時間に…」

ほむら「……」

ほむら「私だって…最初はみんなを助けたかった、でも誰かを助ければ他の誰かが必ず氏んだ…何度も何度も繰り返したけど、それは変わらなかった…」

ほむら「だから私はまどかを助けることだけに専念した、だからあなたも美樹さやかだけを助ければいい…」

ほむら「この世界は何もかもが差し引きゼロなのよ…あなたの言う通り…」

243: 2013/09/16(月) 09:43:05 ID:So3bg9XU

翌日
 ~見滝原市内病院上条恭介病室~


キャスター「…次のニュースです、見滝原在住の中学校2年生、志筑仁美さんが12日午前より行方がわからないとの通報があり、警察が捜査を開始しました」

キャスター「関係者によりますと、仁美さんは10日より体調不良を理由に学校を休んでおり、その間に行方がわからなくなったのではないかということです。」

キャスター「警察では、事件と事故の両面で捜査を進めています」

キャスター「続いてのニュースです。見滝原気象台によりますと、これから数日の間に見滝原市内で、まれに起こる突発異常気象である」

キャスター「『スーパーセル』が発生する可能性があると示唆しており、万が一発生した場合の市民の避難経路、避難場所の確認など、事態に備えています」

キャスター「専門家によりますと『スーパーセル』とは……」

244: 2013/09/16(月) 09:43:56 ID:So3bg9XU

恭介「え…」

恭介「ひ、仁美が…行方…不明…」

恭介「…ひ、人違いだよね…」
ガサガサ
ピポパ

プルルルルル
プルルルルル
プルルルルル
プルルルルル
プルルルルル
ガチャ

恭介「あ!仁美!!今何やって……」

自動音声「おかけになった電話番号は、現在電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため、かかりません。」

恭介「え…」

245: 2013/09/16(月) 09:45:18 ID:So3bg9XU

…プツ

恭介「……」

恭介「ひ、仁美…!」

恭介「…うっ…っ…仁美っ…なんで…っ!」

恭介「…仁美!仁美!僕が…僕が探しにいかなくちゃ…!!」

ガチャーン!

恭介「うっ!」

看護婦「な、何をされているのですか!危険ですからベッドに戻ってください!」

恭介「僕は!僕は仁美を…!!」

看護婦「やめてください!危険です!」

看護婦「誰か!誰か手を貸してください!」

246: 2013/09/16(月) 09:46:28 ID:So3bg9XU

~見滝原市内~


マミ「行きましょう、みんな…」

マミ「絶対に大丈夫よ!」

マミ「信じましょう…仁美さんを」

さやか「……」

まどか「……」

杏子「んじゃ、アタシはこいつと探す、ほら、行くぞ」

ほむら「……」

マミ「じゃあ、美樹さんと鹿目さんは私と一緒に来てもらっていい?」

さやか「…うん」

まどか「うん」

マミ「大丈夫よ、志筑さんは」

247: 2013/09/16(月) 09:48:24 ID:So3bg9XU

~見滝原市内~


杏子「…で、いつ話すんだよ?」

ほむら「…まだよ、時期が来たら話すわ」

杏子「……」

ほむら「…それと、巴マミはおそらく、その絶望に耐えられない」

杏子「…どういうことだ?」

ほむら「私が見てきた今までの過去では魔法少女の魔女化を知った巴マミは私たちと心中を図った」

杏子「はぁ!?なんでマミがそんなことしなきゃならないんだ!」

ほむら「…私が見てきた過去の話よ、だから今回も恐らく彼女はその事実に耐えられず、私たちと心中を図る可能性がある」

ほむら「しかも、最初に殺されるのはあなた…」

杏子「!」

248: 2013/09/16(月) 09:49:52 ID:So3bg9XU

杏子「わけわかんねーよ…なんでどいつもこいつもそんな簡単に氏にたがるんだ…!」

杏子「どんな絶望が待ってようが…それまで割り切って生きてりゃいいじゃねーかよ…なんで氏にたがるんだよ…っ」

ほむら「……」

杏子「みんなを頃して、最後に自分も氏ぬなんて…そんなのアタシが許さない…!!」

ほむら「だからこそ、あなたに頼んだのよ、恐らく巴マミは私を拘束して、あなたのソウルジェムを撃ち抜くはずだわ」

ほむら「あながそれを許さないというなら、あなたが阻止する以外にない」

杏子「ああ…絶対にそんなことさせねえ」

ほむら「もし止めれたなら、後は私が巴マミをどうにか説得する」

杏子「……」

249: 2013/09/16(月) 09:50:42 ID:So3bg9XU

杏子「もう、そのことをアイツらに話さないって選択肢はないんだな…」

ほむら「…ええ、それはないわ」

杏子「マミにだけ話さないわけにはいかないのか?」

ほむら「もちろん、それでもいいわ」

ほむら「でも、それだと巴マミはこのまま、氏ぬまでQBに騙され続けることになる…あなたはいいの?それで」

杏子「……っ」

杏子「…わかったよ、話そう…全員に」

杏子「心中なんて絶対させねえ…もうこれ以上は…絶対に!」

250: 2013/09/16(月) 09:54:16 ID:So3bg9XU
~見滝原市内~


マミ「志筑さ~ん!!」

まどか「仁美ちゃ~ん!!」


さやか「……仁美」

さやか「あ…そうだ…!」
ダダダダッ…

251: 2013/09/16(月) 09:55:08 ID:So3bg9XU

まどか「え?さやかちゃん?どうしたの?」

マミ「美樹さん??」

さやか「ごめん~!ちょっと待ってて!」

まどか「え?さやかちゃ~ん!」




さやか(恭介のところになら!きっと仁美だって!それに、もし仁美がいなくても、恭介なら何か仁美のこと知ってるかも!)

さやか「あ…」

さやか(で、でもあたしが恭介のとこに行っていいのかな……ううん!今はそんなこと考えてる場合じゃない!)

さやか(早く仁美を探さないと!恭介の為にも!)

252: 2013/09/16(月) 09:56:24 ID:So3bg9XU

~見滝原市内病院~


さやか「はあ、はあ、はあ…やっと着いた」

ガチャーン…

さやか「え?なんだろ…恭介の病室のほうから…」


~同病院上条恭介病室~



看護婦「落ち着いて、落ち着いてください!」

恭介「…僕は!僕は仁美を!!」

ガチャーン
ガシャーン!


さやか「きょ、恭介!何やってんの!」

恭介「さ、さやか…」

看護婦「あ、あなたは…よく来てくれてた…」

253: 2013/09/16(月) 09:58:02 ID:So3bg9XU

恭介「ごめん…さやか、恥ずかしいところ見られちゃったね…」

さやか「ううん…」

恭介「……うっ…ひっくっ…ひ、仁美…っ…!」

さやか「恭介……」

さやか「…仁美のこと何か知らない…かな…恭介…」

恭介「…仁美は…最後に僕に会いにきたんだ…」

さやか「えっ…?」

恭介「三日前の朝に僕のところに来たから、なんかおかしいと思ったんだ…」

恭介「僕は…!僕は…!あの時、止めるべきだったんだっ!」

恭介「…ぅっ…っ…」

さやか「……」

恭介「こんな僕でもついきてくれるって言った仁美がっ…!」

254: 2013/09/16(月) 09:59:21 ID:So3bg9XU

恭介「…もう僕はどうすればいいんだよ…こんな!こんな!動かない腕しかない僕はっ…!」
ドン!

さやか「恭介っ!」

恭介「っ……仁美…っ!」

さやか「……」

さやか「そ、そっか…恭介は仁美のことすごく大事なんだね…わかった…」

恭介「え…?」

さやか「…だったら、あたしは絶対仁美を見つけてくるよ」

さやか「絶対、仁美を見つけてくる…」

恭介「さやか……」

255: 2013/09/16(月) 10:00:35 ID:So3bg9XU

~見滝原市内~


マミ「…美樹さん、遅いわね…」

杏子「どこ行ったんだよ、さやかの奴は」

まどか「急に走っていっちゃったんだよ」

杏子「はあ?」


ダダダダダッ

さやか「お~い!」

まどか「あ、さやかちゃん」

さやか「はあ、はあ、仁美は?」

マミ「…まだ見つからないわ」

さやか「そっか…絶対に…絶対に見つけないと」

256: 2013/09/16(月) 10:01:28 ID:So3bg9XU

マミ「もちろんよ、どこに行ってたの?美樹さん」

さやか「えっ…う、うん…ちょっと…恭介のところにね…もしかして仁美のこと…何か、知ってるんじゃないか…って…思って…」

マミ「そうなの…何か、わかった…?」

さやか「い、いえ…特には…」

マミ「…そう」

マミ「とりあえず、また今からみんなで探しましょう」

さやか「…はい」

まどか「…うん」

杏子「……」

ほむら「……」


ヒョイ

QB「ちょっといいかい?近くに魔女がいるよ、みんな」

257: 2013/09/16(月) 10:02:40 ID:So3bg9XU

マミ「QB!今までどこに行ってたの?」

ほむら「!」

杏子「!」

QB「ちょっと野暮用でね、それより近くに魔女の反応があるよ」

マミ「ホントだわ…ソウルジェムが!」

ほむら「!」

杏子「ま、待て…!今はアイツを探す方が…!」

マミ「でも、魔女を放っておくわけにかいかないわ」

マミ「それに、魔女のとこになら仁美さんも向かうかもしれないし」

さやか「…うん」

マミ「行くわよ!みんな!」

258: 2013/09/16(月) 10:03:51 ID:So3bg9XU

杏子「お、おい!どうすんだよ!」コソコソ

ほむら「…仕方ないわ…今から事実を伝えたとしても信じないでしょうし…」

ほむら「…でもこの魔力のパターンは…まさか…」



…………

259: 2013/09/16(月) 10:04:40 ID:So3bg9XU
~見滝原市内某所廃墟ビル内~


マミ「…ここね」

マミ「鹿目さんと美樹さんは、ここで待っててもらっていいかしら」

マミ「もしかしたら、仁美さんが来るかもしれないわ」

さやか「あ、そうですね」

まどか「はい」

マミ「じゃあ、佐倉さん、暁美さん、行くわよ…」

杏子「……」

ほむら「……」

バッ!

260: 2013/09/16(月) 10:11:00 ID:So3bg9XU

~魔女結界内部~



ほむら「!」

杏子「クソが!やっぱりか!」



ズギューン!
ズギューン!

マミ「仁美さんを探さなくちゃいけないわ!ソッコーで片付けるわよ!」

261: 2013/09/16(月) 10:11:50 ID:So3bg9XU

杏子「お、おい…マミ、ちょっと待て…」

ほむら「…どうするつもり?」

杏子「どうって…止めるしかないだろ…!」

ほむら「止めてどうするの?」

ほむら「それに…なんて説明するつもり?あの魔女は志筑仁美だって言うつもりなの?」

ほむら「この状況でそんなことを言っても誰も信じないわ」

杏子「…っ!」

杏子「クソ!!」
ダンッ!

262: 2013/09/16(月) 10:12:49 ID:So3bg9XU
杏子「……どうしようも…できねーじゃねーか…!」

ほむら「……ちょうど良い機会だわ…このまま見届けましょう…」

杏子「…てめえっ!」
グッ…

ほむら「…なに、この状況で、あなたには何かできるの…?」

杏子「っ…!」

ほむら「……私には思いつかないわ…この状況で、できることが…」



ズキューン!
ズギューン!

マミ「どうしたのかしら…暁美さん、佐倉さんも」

263: 2013/09/16(月) 10:13:34 ID:So3bg9XU

仁美魔女「ギャアアアア!」


マミ「まあいいわ、私一人でも大丈夫そうだし…」

マミ「2人には前回の借りもあるしね!」



ズギューン!
ズギューン!



杏子「マ…マミ…っや、やめろ…」

ほむら「……」



マミ「そろそろ決めるわよ!」

264: 2013/09/16(月) 10:14:24 ID:So3bg9XU

杏子「おい…やめろ…やめろ…!」


マミ「ティロ・フィナーレ!!」


杏子「やめろおぉぉーッ!!」

ほむら「!」



ドーン!


仁美魔女「ギャアアアア…」



ブオォォン…

265: 2013/09/16(月) 10:15:27 ID:So3bg9XU

マミ「…え」

さやか「あっ、あ…」

まどか「ねぇ…あ、あれ…あそこに倒れてるのって…」

さやか「仁美!!!!」
ダダダダ!

さやか「ねぇ!仁美!仁美!!」

さやか「ねえっ!!仁美…起きてよ!!仁美!!」

さやか「ねぇっ!!仁美!!」

まどか「っ…うっ…仁美ちゃん…起きて!」

266: 2013/09/16(月) 10:16:47 ID:So3bg9XU

マミ「ど、どういうこと…」

杏子「…っ」

ほむら「…彼女は魔女になってしまったのよ」

マミ「!!」

さやか「!!」

まどか「!!」

マミ「え…う、嘘よ!そんなの出鱈目よ!なんで魔法少女が、魔女に…!」

ほむら「事実よ、それがソウルジェムの秘密」

ほむら「この宝石が濁りきって黒く染まる時、私達はグリーフシードになり、そして魔女として生まれ変わる」

ほむら「それが、魔法少女になった者の、逃れられない運命…」

マミ「そ、そんな…っ!!」

268: 2013/09/16(月) 10:17:33 ID:So3bg9XU

ほむら「……」

マミ「なんで…!どうして…!」

マミ「どうして今まで教えてくれなかったのよ…!」

ほむら「…途中で話したとしてあなたは信じてくれたの?」

マミ「…っ!」

マミ「嘘よ…私は信じないわ…そんなの嘘よ…ねぇ…?QB……」

QB「本来、君達に与えるべき情報ではなかった」

QB「でも、ほむらの言っていることは訂正するほど間違ってはいないよ」

QB「なぜ君がその情報を知っていたのかは気になるけどね」

QB「この国では、成長途中の女性のことを、少女って呼ぶんだろう?」

QB「だったら、やがて魔女になる君たちのことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」

269: 2013/09/16(月) 10:19:14 ID:So3bg9XU

マミ「……」
クラッ…
ドタッ…

杏子「お、おい!マミ、大丈夫か!」


まどか「うっ…仁美ちゃん…!ひっく…ぐすっ…!」

さやか「…うっ…ひっく…ひ…っ…仁美…っ」

さやか「……えせよ…仁美を返してよ!!」

QB「そんなこと言われても僕にはどうしようもできないなぁ」

QB「彼女は自分の意思で僕と契約を交わしたんだ、そして、その願いは確かに叶えられた」

QB「僕はただ彼女の願いを叶えたに過ぎない」

まどか「…ひっ…ぐすっ…」

まどか「ひどいよ…こんなの絶対おかしいよ…っ…!」

270: 2013/09/16(月) 10:20:14 ID:So3bg9XU


ズギューン!

まさ杏ほ「!!」


ヒョイッ

QB「危ないなぁ」

QB「何をするんだい?マミ」

マミ「…私たちを騙してたのね…QB…」


QB「それは誤解だなぁ、何も僕たちは君たちに悪意があったわけじゃない」

QB「君たちの願いを叶えた正当な対価さ」

マミ「…っ」

271: 2013/09/16(月) 10:20:58 ID:So3bg9XU

シュイーン…!
シュルル…!

ほむら「杏子!」

杏子「ああ!」


マミ「ソウルジェムが魔女を産むなら、みんな氏ぬしかないじゃない!!」

マミ「あなたも…!私も…!」
ガチャ…
ズギューン!


ヒュッ!
ガキン!!

カシャ…
カチッ…


ガシッ!

272: 2013/09/16(月) 10:21:51 ID:So3bg9XU

ほむら「…馬鹿な真似はやめてちょうだい…巴マミ…」

杏子「…何やってんだよ…マミ、アタシを頃す気か…」

マミ「…っ…だって…だってっ!…魔女になるしか…ないのよ!…だったらもう…私たち…っ…」

ほむら「ふざけたこと言わないで」

ほむら「どんな絶望が待っていようと、どんな理由で契約しようと、魔女と戦い、希望を生むのが私たち魔法少女のはずよ」

ほむら「形は違えど…私たちはそんなあなたを中心に集まった…」

273: 2013/09/16(月) 10:22:34 ID:So3bg9XU

ほむら「あなたは私たちのリーダーなのよ」

マミ「…!」

ほむら「絶望を知ったからって、みんなで氏ぬの?」

ほむら「そんなこと私たちが絶対許さない…」

杏子「お、お前…」

マミ「…うっ……っ…みんな……みんなっ…っ…!」

さやか「……うっ…ひっく…っ」

まどか「…うっ…うっ…ひくっ…」

274: 2013/09/16(月) 10:23:19 ID:So3bg9XU

ほむら「今まで起きたことは全て事実よ…どんなに嘆いてもそれが変わることはない」

ほむら「もうすぐ、この街にワルプルギスの夜がやってくる」

ほむら「私たちはその絶望も倒さなくてはならない」


ほむら「…伝えるだけのことは伝えたわ…あなたがこの街を守りたいというなら一緒に戦って、巴マミ」

マミ「……」

275: 2013/09/16(月) 10:23:52 ID:So3bg9XU

ほむら「それと、氏体がある以上扱いには気をつけて…下手に見つかると後々厄介なことになる」

杏子「……こいつの亡骸はアタシがなんとかする」

ほむら「…今日はもう遅いわ…あなたたちも落ち着くまで家にいなさい…」

マミ「……」

さやか「……」

まどか「っ…っ…」

276: 2013/09/16(月) 10:24:46 ID:So3bg9XU

その日の夜
 ~ほむらの家~


ほむら「……」

ほむら「何を隠れているの?そこにいるのはわかっているわ」

QB「ばれていたとは、さすがだね、ほむら」

ほむら「何の用?」

QB「君に聞いておきたいことがあってね」

QB「どうやって魔女化の秘密を手に入れたんだい?それにワルプルギスの夜の情報も」

ほむら「お前には関係ないわ」

QB「……」

QB「まあ、だいだいの察しはついてるんだけどね」

ほむら「……」

ほむら「私からも一つ聞きたいことがある…」

ほむら「…なぜ志筑仁美を契約させたの?」

277: 2013/09/16(月) 10:25:30 ID:So3bg9XU

QB「それは彼女がそう望んだからだよ」

ほむら「……」

ほむら「魔法少女が同じ街に三人もいれば、もう必要ないはずよ」

ほむら「それをわかった上で志筑仁美を契約させたの?」

QB「僕は契約を促したというだけで、最後は彼女自身が望んで契約したんだ」

QB「確かに君の言う通り、同じ街に三人も魔法少女がいれば十分だ」

QB「僕も無駄になるとわかっていたならこれ以上契約なんかしなかっただろう、でも仁美の契約は無駄じゃなかったんだ」

ほむら「…?」

QB「簡単なことさ、君たち三人じゃ効率が悪い、ただそれだけの話だよ」

278: 2013/09/16(月) 10:26:16 ID:So3bg9XU

ほむら「!!」

QB「君のその様子だと僕たちの本当の目的も知っているようだね、それなら『効率が悪い』って意味もわかるはずだ」

QB「普通、同じ街に複数の魔法少女が存在すれば対立や競争になるのは当たり前のこと」

QB「争いが起これば、どうしてもグリーフシードを取りこぼす者が現れる、そして取りこぼした者は魔女になる」

QB「そうやって僕たちはどんな街でも効率良くエネルギーを回収できた」

QB「だが、君たちは違った」

QB「君たちは三人で、魔女だろうと使い魔だろうと対処した、その上グリーフシードを綺麗に分け合い、誰一人抜けがけするものもいなかった」

QB「僕も驚いたよ、もちろん今までそのスタンスが存在しなかったわけではない、むしろ友達同士で契約し、同じ街の魔法少女になった子たちはみんなそのスタンスを貫いた」

QB「でもね」

QB「このスタンスには大きな欠点があるんだよ、それも君たち特有の『感情』がもたらす欠点がね」

QB「そのスタンスを貫こうとした魔法少女たちは皆、最後は『競争心』という感情に駆られて自ら魔女になった」

279: 2013/09/16(月) 10:27:02 ID:So3bg9XU

ほむら「!」

QB「つまり、わかりやすく言うと、君たち人間の中に最初からある『競争心』と言う感情が、友達なんていう陳腐な建前など壊した、という話さ」

QB「どんなに仲の良い友達同士でも、同じ街で契約し魔法少女となれば、それは競争心となり、最後は他と同じ結果になる」

QB「ただ君達はそのスタンスを貫きながらも全員でグリーフシードを分け、魔力の消費量と穢れの浄化量が見事に釣り合った」

QB「それに君たちの三人の望むことが全て叶っていたから、絶望する理由が一切無かったこともあげられる」

QB「それは僕にとって最悪の状態だった、エネルギーが回収できないだけじゃない、三人で戦っている分、誰かが氏ぬこともまず、ない」

QB「つまり、君達は友達を信じ、誰も絶望を見ることなく、希望を持ち続けてきたから魔女化に至るほどソウルジェムが濁らなかったんだよ」

ほむら「……」

280: 2013/09/16(月) 10:27:44 ID:So3bg9XU

QB「だから僕はこの街に新たに別の魔法少女を契約させることで対処することにした」

QB「最初はまどかとさやかでも良かった、でも彼女たちは君と杏子がしっかり守っていたようだったからね、だから僕はすぐに見切りをつけた」

ほむら「……」

QB「僕は他の子に目をつけた、そうして見つけたのが仁美だったんだよ」


QB「でも、これでようやくそのスタンスも崩れたようだね、今、君たちの前にあるのは絶望だ」

ほむら「…お前の思い通りになんてさせない」

QB「確かに、ワルプルギスの夜に対処できる魔法少女がいるのは残念だし、鹿目まどかを契約させたかったんだけど…」

QB「まだこれから何が起こるかわからないよ、ほむら」

ほむら「……」

281: 2013/09/16(月) 10:28:33 ID:So3bg9XU

QB「それと…君の存在が鹿目まどかの信じられないような魔力係数にも納得できる答えを出してくれた」

QB「君の能力は時間操作だろう」

ほむら「…」

QB「魔法少女に本来与えられる魔法の属性は叶えた願いの内容と直結する」

QB「君のその能力から考察できる願いの内容は……」

ほむら「!」

QB「やっぱりね…僕の予想通りだ」

QB「過去の可能性を切り替えることで、幾多の並行世界を横断し、君が望む結末を求めて、この一ヶ月間を繰り返してきたんだね」

QB「君の存在が、その疑問に答えを出してくれた」

282: 2013/09/16(月) 10:29:15 ID:So3bg9XU

QB「今なら納得いく仮説が立てられる」

ほむら「…?」

QB「魔法少女としての潜在力はね、背負い込んだ因果の量で決まってくる」

QB「一国の女王や救世主ならともかく、ごく平凡な人生だけを与えられてきたまどかに、どうしてあれほど膨大な因果の糸が集中してしまったのか不可解だった」

QB「だが……ねえ、ほむら」

QB「ひょっとしてまどかは、君が同じ時間を繰り返す毎に、強力な魔法少女になっていったんじゃないのかい」

ほむら「…っ」

QB「やっぱりね」

QB「原因は君にあったんだ」

QB「正しくは、君の魔法の副作用?と言うべきかな」

ほむら「…どういうことよ?」

283: 2013/09/16(月) 10:29:57 ID:So3bg9XU

QB「君が時間を巻き戻してきた理由はただ一つ、鹿目まどかの安否だ」

QB「同じ理由と目的で、何度も時間を遡るうちに、君は幾つもの並行世界を、螺旋状に束ねてしまったんだろう、鹿目まどかの存在を中心軸にしてね」

QB「その結果、決して絡まるはずのなかった平行世界の因果線が、全て今の時間軸のまどかに連結されてしまったとしたら、彼女の、あの途方もない魔力係数にも納得がいく」

QB「君が繰り返してきた時間…その中で循環した因果の全てが、巡り巡って、今の鹿目まどかに繋がってしまったんだ」

QB「あらゆる出来事の元凶としてね」

QB「お手柄だよ、ほむら」

QB「君がまどかを最強の魔女に育ててくれたんだ」

ほむら「……」

ほむら「聞くだけのことは聞いたわ…消えなさい」

QB「」
スタスタスタ

ほむら「…絶対あいつの思い通りになんてさせない」

ほむら「……」

284: 2013/09/16(月) 10:31:10 ID:So3bg9XU

____

ピンポーン


ほむら「…杏子?」


ほむら「……誰?」

ガチャ…


さやか「……」

ほむら「美樹さやか…」

285: 2013/09/16(月) 10:32:16 ID:So3bg9XU

ほむら「何の用かしら…あなたが来るなんて…」

さやか「……仁美のことなんだけど…」

ほむら「諦めなさいと言ったはずよ」

さやか「…うっ…っ…そんなこと…できるわけない…っ!」

さやか「…あ、あんた、マミさんより魔法少女のこと知ってるんでしょ…っ」

ほむら「……」

さやか「ねえっ!知ってるんでしょっ!?」

ほむら「……」

さやか「だったらさ…っ、どうにか助ける方法…ないの…?」

ほむら「ないわ」

さやか「そ、そんな…っ…っ」

ほむら「……」

286: 2013/09/16(月) 10:33:03 ID:So3bg9XU

さやか「そ、そうだ…!」

さやか「…あ、あたしが契約すれば…」

ほむら「!」

ほむら「馬鹿なことを考えるのはやめて」

さやか「ば、馬鹿なことって…!」

さやか「…あ、あんただって友達助けるために契約したんでしょっ!」

ほむら「!!」

ほむら「そ、それは……」

さやか「だったらあたしだって…っ!」

ほむら「それに契約したからと言って、志筑仁美を元に戻せる保障はないわ」

さやか「…そうなの?」

287: 2013/09/16(月) 10:33:57 ID:So3bg9XU

スッ…
QB「それは違うね」


ほむら「!!」

さやか「!!」

QB「君が契約すれば仁美を元に戻してあげることだって出来るよ、さやか」

さやか「本当…?」

QB「ああ、本当さ、奇跡は起こせるよ、君が契約さえしてくれれば、僕が……」


バギューン!!

バタ…

288: 2013/09/16(月) 10:34:37 ID:So3bg9XU

さやか「!」

さやか「な、何すんの!」

ほむら「あなたを契約させるわけにはいかない…」

さやか「……」

さやか「っ!」

さやか「もういいっ!」


バタンッ!

ダダダダダッ!

289: 2013/09/16(月) 10:35:52 ID:So3bg9XU

ほむら「……っ」

ほむら「このままじゃ美樹さやかは……」


QB「わかってるくせに、意味無いって、もったいないんだよ、何度も頃してくれちゃ」
パクパクパクパク

QB「きゅっぷ…」

QB「さやかが契約してくれそうだね、これで完全に君たちのスタンスは崩壊した」

QB「止めなくていいのかい?美樹さやかを」

ほむら「私はまどかの契約を阻止したいだけ、あの子には杏子がついてる…」

QB「」
スタスタスタ…

290: 2013/09/16(月) 10:36:22 ID:So3bg9XU

ほむら「……」

ほむら「私の誤算だったわ…美樹さやかは事実を知ったところで契約を恐れるような子じゃない」

ほむら「ごめんなさい…杏子」



ほむら「……」

ほむら「…黙って見過ごすわけにもいかないわね」

291: 2013/09/16(月) 10:37:08 ID:So3bg9XU

~見滝原市内~


さやか(絶対…絶対に助けなきゃ!仁美を!約束したんだ!恭介と…)

スッ…
QB「さっきの話は本当だよ、さやか」

さやか「えっ?」

さやか「QB、なんで…?」

さやか「無事なの?QB…」

QB「僕は大丈夫だよ」

さやか「今はあんたの顔なんて見たくないけど…」

さやか「…さっきの話は本当なの?」

QB「本当だよ」

QB「君が望むなら、仁美を元に戻す願いで僕と契約すればいい」

さやか「……」


さやか「…あ、あたしが契約…すれば…」

292: 2013/09/16(月) 10:38:00 ID:So3bg9XU

~見滝原市内某ホテル一室~


杏子「……」
シュイーーン…

杏子「…これで一時は大丈夫なはずだ」

杏子「しっかし…てめーも馬鹿な奴だ…あんな願いで契約しやがって…」

杏子「でも…こいつがさやかの代わりに…犠牲になった…なんて……っ」

杏子「とりあえずこの部屋に寝かせてれば、そのうち誰かに見つかるだろ…」

杏子「……っ」

杏子「…悪かったな、助けてやれなくて…っ」

杏子「…じゃあ、アタシはもう行くぜ…仁美…」

293: 2013/09/16(月) 10:39:04 ID:So3bg9XU

ガキーン!
ガシャーン!!

…スタッ


杏子「…な、なんだ!?」


ほむら「…ここにいたのね」

ほむら「あなたが魔力を使ってくれたから早く見つけることができたわ」

杏子「はあ?何の話だ?」

ほむら「美樹さやかが危ない…彼女は契約しようとしている」

杏子「!」

杏子「んだと!!」

294: 2013/09/16(月) 10:40:14 ID:So3bg9XU
~見滝原市内~


杏子「どういうことだ!?説明しろっ!」

ほむら「さっき彼女が私の家に来たわ…そして志筑仁美を助ける方法を聞いてきたの」

ほむら「もちろん私は諦めなさいと言ったわ…そしたらあいつが…!」

杏子「QBか!!?」

ほむら「…ええ、彼女を唆している…」

杏子「クソ!!アイツ!ぜってー許せねーっ!!」

ほむら「でも、美樹さやかの覚悟も相当なものよ…彼女は自分を犠牲にしてまで志筑仁美を救おうとしている…」

ほむら「私も誤算だったわ、魔法少女の事実を知れば絶対に契約なんてしないはずだと思っていたのだけど…」

ほむら「…それ以上に彼女の志筑仁美を助けたいって意思は大きかったってことね」

杏子「ったく!どいつもこいつも!!」

295: 2013/09/16(月) 10:40:59 ID:So3bg9XU

杏子「…とりあえず、さやかを契約させるわけにはいかねー」

ほむら「おそらく…もうQBは接触しているはずよ…」

杏子「どこにいんだよ!アイツらは!!」

ほむら「わからないわ、急に飛び出していって…」

杏子「なんで止めなかったんだよっ」

ほむら「…そ、それは」

杏子「まあ、いいさ、アンタばっかに頼ってたアタシが悪いってのもあるからな」

ほむら「……」

杏子「畜生!どこにいやがるんだっ!!」

杏子「さやかぁああああ!!」

296: 2013/09/16(月) 10:41:37 ID:So3bg9XU

~見滝原市内某所~


QB「じゃあいいんだね、さやか」

さやか「う、うん…やって」

QB「君の願いはなんだい?言ってごらん」

さやか「あ、あたしは…仁美が元に戻って恭介と幸せになってほしい…」

QB「その願いは君にとって命を掛けるに……」


……ザシュ!

バタン…

さやか「!!」

297: 2013/09/16(月) 10:42:47 ID:So3bg9XU

杏子「……間に合ったか!」

さやか「きょ…杏子先輩…」

杏子「…さやか」

さやか「どうして……」

さやか「ねぇ!どうして!!あたしの願い叶えさせてよ!…ねぇ…どうして…止めるの…っ…」

杏子「……」

さやか「っ…っ…あたしなんか…あたしなんか…っ」

さやか「あたしは仁美助けたいんだよっ…恭介と幸せになってほしいんだよっ…」

298: 2013/09/16(月) 10:43:42 ID:So3bg9XU

杏子「…っ」

ほむら「……」

杏子「さやか!てめーはっ……」

QB「全く、君たちはどうしてそう、僕の邪魔ばかりするのかなぁ」

杏子「!!」

パクパクパク
QB「きゅっぷ…」

QB「せっかく願いを叶えたがっていたさやかが可哀想じゃないか」

杏子「てんめぇ…いい加減に……!!」

バッ


杏子「!」

さやか「QBを頃すなら、あたしを頃してからにして」

299: 2013/09/16(月) 10:45:08 ID:So3bg9XU

さやか「あたしの覚悟は本物だよ」

杏子「わかってんのか!!さやか!!」

さやか「わかってる…覚悟もしてる…後悔なんて、あるわけない…」

杏子「…そうやってお前は後悔したんだよ…」

さやか「…あたしは後悔なんかしない…だってほむらも言ってたでしょ?」

さやか「どんな願いで契約しようと、どんな絶望が待ってようと…希望を信じて戦うのが魔法少女だって…」

さやか「杏子先輩だってそうでしょ?」

さやか「これはね…あたしが叶える最初の希望なんだよ」

ほむら「っ…」

300: 2013/09/16(月) 10:45:54 ID:So3bg9XU

杏子「……やっぱりてめーはその道を選ぶのか…」

さやか「…うん、ごめん…杏子先輩…」

さやか「…やって…QB」



ほむら「…いいの?杏子」

杏子「…いいわけねえだろ!」

杏子「でも…もう、さやかはアタシたちじゃあ止められねぇ……」

杏子「前にも言っただろう、アイツは自分で決めたことは…絶対に曲げねえよ…」

301: 2013/09/16(月) 10:46:55 ID:So3bg9XU

さやか「あ、あたしは…仁美が元に戻って恭介と幸せになってほしい…」

QB「その願いは君にとって命を掛けるに足るものかい?」

さやか「…うん」

QB「契約は成立だ、君の祈りは、エントロピーを凌駕した」

さやか「うっ…」

QB「さあ、受け取るといい、それが君の運命だ」


シュイーン
……

302: 2013/09/16(月) 10:47:31 ID:So3bg9XU

……

杏子「…さやか」

さやか「…ごめん…杏子先輩…あたしのこと考えてくれてたのに」

杏子「……」

杏子「約束してほしいことがある…さやか」

さやか「…」

杏子「…絶対に希望を見失うなよ」

さやか「うん…わかってる」

ほむら「……」

303: 2013/09/16(月) 10:49:30 ID:So3bg9XU
ここまでが『さやか編』となります

長い割につまらなくて大変申し訳ないですが
読んでくれてる人がいるだけで大変気が楽になります

308: 2013/09/16(月) 17:43:46 ID:So3bg9XU
_ワルプルギスの夜編_




翌日
~見滝原市内某ホテル一室~


仁美「……あ」

仁美「……こ、ここは…どこなんですの…??」


仁美「…私は、一体……」

309: 2013/09/16(月) 17:44:41 ID:So3bg9XU

~仁美の家~


ドタタタタッ!
執事部下「はぁ!…はあ!…はぁ!」

執事「…どうした?こんな朝早くから、騒々しい」

執事部下「お、お嬢様がお見えになりました!!」


執事「何を言っているんだ…そんなはずは……」



スタスタスタ
仁美「…ご迷惑おかけしました」

310: 2013/09/16(月) 17:45:39 ID:So3bg9XU

執事「!!」

執事「お、お嬢様??」

執事「本当に仁美お嬢様なのですか!?」

仁美「とても迷惑をかけてしまったようで…」

執事「ご無事だったんですね!!」

執事「良かった!良かった!本当に良かった…」

執事「…ところで…今まで何を?」

仁美「それが…私もあまり覚えていなくて…」

執事「……」

執事「とりあえず…本当に良かった…ご無事で!」

執事「ご当主様と奥様も現在帰国中ですので、もうすぐ元気なお嬢様のお顔が見れるとご連絡しておきます」

執事「…それと一応、検査の為に病院へ」

311: 2013/09/16(月) 17:46:24 ID:So3bg9XU
~見滝原市内病院~


仁美「…私はなんともありませんわ」

執事「一応です、何かあったかもしれませんから」

仁美「……」

仁美(…そういえば、この病院には上条君が…)


ダダダダダッ

執事「あっ!」

執事「お、お嬢様!どこへ行かれるんですか!!」

312: 2013/09/16(月) 17:49:07 ID:So3bg9XU
~同病院内上条恭介病室~


ガララ…

仁美「はあ、はあ、はあ…」

恭介「え」

恭介「ひ…仁美??」

仁美「か、上条君…」

恭介「ひ、仁美!!無事だったんだ!!」

恭介「良かった!良かった!…っ…ほんとに…っ…良かった…」

仁美「……上条君」

恭介「…うっ…ひくっ…行方不明だってっ…聞いてから…どれだけ心配だったことかっ…っ」

仁美「…ごめんなさい…上条君…」

恭介「…もういなくなったりしないで…仁美っ…っ」

仁美「ずっとそばにいますわ…上条君…」

恭介「……うっ…ありがとう…ありがとう…っほんとにありがとうっ…仁美…!」

313: 2013/09/16(月) 17:52:09 ID:So3bg9XU

~病室前~


執事「ま、まさか…お嬢様…あの少年と…」コソコソ


さやか「良かった…願い…ちゃんと叶ったんだ」

さやか「…幸せになってね…恭介…仁美」



執事(あ、あの子は確か仁美お嬢様のお友達の…)


さやか「あ…」チラ
ダダダダダッ


執事「あ!ちょっ…待って…!」

314: 2013/09/16(月) 17:53:46 ID:So3bg9XU

~マミの家~


マミ「……うっ…ひくっ…!」

マミ「…私…私っ…!」



~回想~
ほむら『あなたは私たちのリーダーなのよ』



マミ「私…」

マミ「…どうすればいいの?…パパ…ママ…」

マミ「…ひくっ…どうすれば…っ」

315: 2013/09/16(月) 17:54:48 ID:So3bg9XU

~まどかの家~


まどか「……」

QB「入っていいかい? 話があるんだ」

まどか「……」

まどか「昨日の話、本当なの?」

QB「昨日も言ったじゃないか、訂正するほど間違ってはいないよ」

まどか「じゃあ、あなたはみんなを魔女にするために、魔法少女に?」

QB「勘違いしないでほしいんだが、僕らは何も、人類に対して悪意を持っている訳じゃない」

QB「全ては、この宇宙の寿命を伸ばすためなんだ」

QB「まどか、君はエントロピーっていう言葉を知ってるかい?」

QB「簡単に例えると、焚き火で得られる熱エネルギーは、木を育てる労力と釣り合わないってことさ」

QB「エネルギーは形を変換する毎にロスが生じる」

316: 2013/09/16(月) 17:55:43 ID:So3bg9XU

QB「宇宙全体のエネルギーは、目減りしていく一方なんだ」

QB「だから僕たちは、熱力学の法則に縛られないエネルギーを探し求めて来た」

QB「そうして見つけたのが、魔法少女の魔力だよ」

まどか「あなたは…一体…?」

QB「僕たちの文明は、知的生命体の感情を、エネルギーに変換するテクノロジーを発明した」

QB「ところが生憎、当の僕らが感情というものを持ち合わせていなかった」

QB「そこで、この宇宙の様々な異種族を調査し、君たち人類を見出したんだ」

QB「人類の個体数と繁殖力を鑑みれば、一人の人間が生み出す感情エネルギーは、その個体が誕生し、成長するまでに要したエネルギーを凌駕する」

QB「君たちの魂は、エントロピーを覆す、エネルギー源たりうるんだよ」

QB「とりわけ最も効率がいいのは、第二次性徴期の少女の、希望と絶望の相転移だ」

QB「ソウルジェムになった君たちの魂は、燃え尽きてグリーフシードへと変わるその瞬間に、膨大なエネルギーを発生させる」

QB「それを回収するのが、僕たち、インキュベーターの役割だ」

317: 2013/09/16(月) 17:56:31 ID:So3bg9XU

まどか「私たち…消耗品なの?あなたたちのために…氏ねって言うの?」

QB「この宇宙にどれだけの文明がひしめき合い、一瞬ごとにどれ程のエネルギーを消耗しているのか分かるかい?」

QB「君たち人類だって、いずれはこの星を離れて、僕たちの仲間入りをするだろう」

QB「その時になって、枯れ果てた宇宙を引き渡されても困るよね?」

QB「長い目で見れば、これは君たちにとっても、得になる取引のはずだよ?」

まどか「バカ言わないで、そんなわけのわからない理由で、仁美ちゃんが氏んで、あんまりだよ…酷過ぎるよ」

QB「僕たちはあくまで君たちの合意を前提に契約しているんだよ?」

QB「それだけでも充分に良心的なはずなんだが」

まどか「みんな騙されてただけじゃないっ!」

318: 2013/09/16(月) 17:57:38 ID:So3bg9XU

QB「騙すという行為自体、僕たちには理解できない」

QB「認識の相違から生じた判断ミスを後悔する時、何故か人間は、他者を憎悪するんだよね」

まどか「あなたの言ってること、ついていけない、全然納得できない」

QB「君たち人類の価値基準こそ、僕らは理解に苦しむなあ」

QB「今現在で70億人、しかも、4秒に10人づつ増え続けている君たちが、どうして単一個体の生き氏ににそこまで大騒ぎするんだい?」

まどか「そんな風に思ってるなら、やっぱりあなた、私たちの敵なんだね」

QB「これでも弁解に来たつもりだったんだよ?」

QB「君たちの犠牲が、どれだけ素晴らしい物をもたらすか、理解して貰いたかったんだが、どうやら無理みたいだね」

まどか「当たり前でしょ?」

319: 2013/09/16(月) 17:58:31 ID:So3bg9XU

QB「まあ、それでも魔法少女になりたがる子はいたんだけどね」

まどか「えぇ?」

QB「さやかは仁美を元に戻すことを条件に契約したんだよ、まだ聞いてなかったのかい?」

QB「だから仁美は氏んでないんだよ」

まどか「…嘘…だよね?」

QB「本当だよ、確かめてみたら?」

まどか「」

QB「まどか」

QB「いつか君も、最高の魔法少女になり、そして最悪の魔女になるだろう」

QB「その時僕らは、かつて無い程大量のエネルギーを手に入れるはずだ」

QB「この宇宙のために氏んでくれる気になったら、いつでも声をかけて、待ってるからね」
スゥ…


まどか「…さやかちゃん」

320: 2013/09/16(月) 17:59:31 ID:So3bg9XU

~ほむらの家~


ほむら「……」

杏子「……」


ほむら「…そろそろいいかしら?」

杏子「何がだよ?」

ほむら「あなたが落ち着いたかどうか聞いてるの」

杏子「……落ち着いてるよ」

ほむら「美樹さやかは仕方なかったと諦めるしかないわ」

杏子「…諦めてねーよ、契約は仕方なかったかもしれねーけど…」

杏子「アイツはアタシが絶対守る…ワルプルギスの夜との戦いには絶対出るなって念を押しといたからな、それに予備のグリーフシードも渡してきた」

321: 2013/09/16(月) 18:00:50 ID:So3bg9XU

杏子「アタシらだけでも勝てるんだろ?」

ほむら「なりたての美樹さやかになど頼らないわ」

ほむら「そうね…私たちだけで十分のはずだけど、巴マミは大丈夫なの?」

杏子「…っ」

ほむら「彼女は今、絶望の淵にいる」

杏子「だったら…アタシが…!」

ほむら「馬鹿なことはやめて…もうできるだけのことはやったわ」

ほむら「…後は巴マミを信じるしかない」

杏子「…」

322: 2013/09/16(月) 18:02:10 ID:So3bg9XU

ほむら「どうなるかはわからない…わからないからこそ、今のうちに作戦を練るわよ」

杏子「いざとなりゃアタシたち2人でどうにかするぜ」

ほむら「ええ、そのためにも作戦が必要ね」

ほむら「まずワルプルギスの出現予測ポイントはこの付近」

杏子「……」

ほむら「作戦としては、あなたに低空にいる魔女の手下を殲滅、一掃してほしい」

杏子「アタシは下っぱの相手かよ」

323: 2013/09/16(月) 18:02:51 ID:So3bg9XU

ほむら「私は多数の重火器を用いて奴に挑む、だからあなたにはその邪魔をする手下を一掃してほしいの」

杏子「けっ、本命はやれせてくれねーのか?」

ほむら「そして奴が弱ってきたら次はあなたが直接攻撃をしかける」

ほむら「私があなたの援護をするわ」

杏子「ふーん、止めはアタシがもらっていいんだな」

ほむら「ええ、好きにしなさい、奴を倒せればの話だけど」

ほむら「巴マミが参加した場合は武器の特性上、私と一緒に戦ってもらう事になるけど異論はないわね?」

杏子「ああ」

324: 2013/09/16(月) 18:04:11 ID:So3bg9XU

ピンポーン


杏子「誰か呼んだのか?」

ほむら「…いえ、誰も呼んでないわ」



ほむら「……」

ガチャ…


まどか「あ、ほむらちゃん、ちょっといいかな?話があるんだけど……」

ほむら「まどか…」

ほむら「…入って」

325: 2013/09/16(月) 18:05:27 ID:So3bg9XU

スタスタ…

まどか「あ、杏子ちゃんもいたんだ」

杏子「ああ、気にしなくていいよ、アタシはもう帰るからさ、コイツに話があって来たんだろ?」

まどか「あ、ううん、気にしなくていいよ、杏子ちゃんっ」

杏子「いいって、いいって、丁度話も一段落ついたとこだしさ、なあ?」

ほむら「……」コク

まどか「…そうなの…なんかごめんね…杏子ちゃん」

杏子「気にすんなって、じゃあ、またな」

まどか「うん、またねっ、杏子ちゃん」

326: 2013/09/16(月) 18:06:42 ID:So3bg9XU

まどか「わ、わぁ、この天井の絵とか数字は何!?」

ほむら「まどかには関係ないわ、魔法少女の資料よ…」

まどか「そ、そうなんだ…」

ほむら「…それで、話って?」

まどか「その…あのね…QBに聞いたんだけど、さやかちゃんが契約したって…」

ほむら「……」

まどか「…ほんとうなのかな…と思って」

ほむら「そうね、事実よ」

327: 2013/09/16(月) 18:08:21 ID:So3bg9XU

まどか「…仁美ちゃんを助けるために契約したの?」

ほむら「ええ」

まどか「そ、そうなんだ…」

ほむら「…」

まどか「うっ…ひっ…くっ…いくら…仁美ちゃんのためでもっ…さやかちゃんまでっ…契約しちゃうなんて…っ!」

ほむら「…彼女はそこまでの覚悟があって志筑仁美を助けたのよ」

まどか「でも、でも、魔女になっちゃうんでしょ…?」

まどか「ううっ…ひくっ…どうしてっ…そこまで…してっ……っ」

ほむら「……」

328: 2013/09/16(月) 18:09:15 ID:So3bg9XU

ほむら「自分自身の希望を叶えるために彼女は魔法少女になった…この先の運命を知っても、彼女は魔法少女になることを選んだのよ」

ほむら「私も、杏子も、巴マミも、美樹さやかも、志筑仁美も皆、そういう契約で、私達はこの力を手に入れたの」

ほむら「誰のためでもない、自分自身の希望のために、戦い続けるのよ」

まどか「そんな…」

まどか「…他に仁美ちゃんを助ける方法は無かったの…?」

ほむら「無かったわ、魔女になった魔法少女を元に戻すことは他の誰かが契約するしかない」

ほむら「だから今回は仕方なかった…あなたが責任を感じる必要は無いわ」

まどか「…う、うん…責任っていうか…なんて言うか…」

329: 2013/09/16(月) 18:10:26 ID:So3bg9XU

ほむら「……」

まどか「…でも、みんな自分を犠牲にして、希望を叶えて戦うなんて、すごいなって思って…」

まどか「…なんか私だけ…何もできなくて…何もしてなくて…このままでいいのかな…って」

ほむら「っ…」

ほむら「あなたは何もしなくていいの、魔法少女になる必要なんてない」

ほむら「あなたは、『鹿目まどか』のままでいればいい」

まどか「……」

330: 2013/09/16(月) 18:11:41 ID:So3bg9XU

まどか「私ね、最初はマミさんに助けられて、悩んだんだけど、契約するつもりだったの…」

ほむら「……」

まどか「私ってね、昔から得意な学科とか、人に自慢できる才能とか何もなくて」

まどか「きっとこれから先もずっと、誰の役にも立てないまま、迷惑ばかりかけていくのかなって」

まどか「そんな風に思ってて、それが嫌でしょうがなかったの…」

まどか「でもマミさんと会って、誰かを助けるために戦ってるの、見せてもらって」

まどか「同じことが、私にもできるかもしれないって言われて、何よりも嬉しかったの…そのことが」

まどか「だから私ね、魔法少女になれたらそれで願いごとは叶っちゃうなって思ってた…」

まどか「だけど、マミさんが杏子ちゃんに助けられて、あの時、杏子ちゃんが来てなかったらって思うと、考えたくもないし」

まどか「それに杏子ちゃんは魔法少女に絶対になるなって私たちに忠告してくれて、ほむらちゃんはもっと前から忠告してくれてたんだよね」

331: 2013/09/16(月) 18:13:25 ID:So3bg9XU

まどか「だから私も一時は契約はいいかなって思ってたんだけど…さやかちゃんも契約しちゃって…」

まどか「私、これからもこのままでいいのかな…って、もちろん、契約はよくないことだってわかってるんだけど…」

まどか「私自身が自分の本当の気持ちがわからなくなって……どうしたらいいんだろ…って」

ほむら「……」

ほむら「…っ!」

ほむら「本当の気持ちなんて、伝えられるわけないのよ」

まどか「ほむらちゃん?」

332: 2013/09/16(月) 18:14:10 ID:So3bg9XU

ほむら「だって、だって私は…私はまどかとは、違う時間を生きてるんだもの!」
スタスタ…
ダキッ

まどか「えっ…?」

ほむら「…私ね、未来から来たんだよ、何度も何度もまどかと出会って、それと同じ回数だけ、あなたが氏ぬところを見てきたの」

ほむら「どうすればあなたが助かるのか、どうすれば運命を変えられるのか、その答えだけを探して、何度も始めからやり直して」

まどか「それって…えぇ?」

ほむら「ごめんね、わけわかんないよね…気持ち悪いよね」

333: 2013/09/16(月) 18:15:31 ID:So3bg9XU


ほむら「まどかにとっての私は、出会ってからまだ1ヶ月も経ってない転校生でしかないものね」

ほむら「だけど私は…私にとってのあなたは…」

ほむら「繰り返せば繰り返すほど、あなたと私が過ごした時間はずれていく、気持ちもずれて、言葉も通じなくなっていく、多分私は、もうとっくに迷子になっちゃってたんだと思う」

まどか「ほむら…ちゃん…」

ほむら「あなたを救う、それが私の最初の気持ち…それが私の願い、今となっては…たった一つだけ最後に残った、道しるべ」

ほむら「わからなくてもいい、何も伝わらなくてもいい、それでもどうか、お願いだから、あなたを私に守らせて」

334: 2013/09/16(月) 18:18:20 ID:So3bg9XU

その後
~見滝原市内~


まどか「あ、さやかちゃん」

さやか「まどか~、なになに、こんなとこに呼び出して」

まどか「さやかちゃん…魔法少女になったって本当なの?」

さやか「誰から聞いたの?」

まどか「…ほむらちゃん」

さやか「あはは…そっかあ…ばれちゃ、しょうがないかあ…」

さやか「じゃじゃーん!」

まどか「…さやかちゃん…っ!」

まどか「…やだよっ…さやかちゃんもっ…魔女になっちゃう…なんて…っ」

335: 2013/09/16(月) 18:20:23 ID:So3bg9XU

さやか「お、おいおい…まどか~?あたしはまだ魔法少女だぞ~っ」

まどか「…い、いくら…仁美ちゃんのため…だからっ…て…っ」

さやか「……」

さやか「あたしはさあ…恭介の悲しむ顔見たくなかったんだ…」

さやか「恭介の奴…本気で仁美のこと心配してたみたいだったからさ…」

さやか「いいんだ、あたしはこれで!後悔なんてしてないし」

さやか「あの2人が幸せになってくれることがあたし自身の希望にもつながるからさ」

さやか「…いいんだよ」

まどか「……」

336: 2013/09/16(月) 18:21:00 ID:So3bg9XU

さやか「なーに、心配すんなって~!杏子先輩からの教えもちゃんと胸に刻んであるんだからっ」

まどか「…ぐすっ…さやかちゃんは魔女になったりしない…?」

さやか「当たり前じゃん!」

さやか「…あたしは希望を見失わない…杏子先輩の言いつけ絶対守るんだ」

まどか「うん…絶対だよ」

337: 2013/09/16(月) 18:22:38 ID:So3bg9XU

その後
 ~まどかの家~


まどか「……」

まどか「さやかちゃんも契約しちゃった…」

QB「意外な展開ではないよ」

まどか「どうでもいいって言うの?」

QB「はあ」

QB「例えば君は、家畜に対して引け目を感じたりするかい?」

QB「彼らがどういうプロセスで、君たちの食卓に並ぶのか」

まどか「あっ…やめてよ!」

338: 2013/09/16(月) 18:24:03 ID:So3bg9XU

QB「その反応は理不尽だ」

QB「この光景を残酷と思うなら、君には本質が全く見えていない」

まどか「…?」

QB「彼らは人間の糧になることを前提に、生存競争から保護され、淘汰されることなく繁殖している」

QB「牛も豚も鶏も、他の野生動物に比べれば、種としての繁殖ぶりは圧倒的だ」

QB「君たちは皆、理想的な共栄関係にあるじゃないか」

まどか「同じだって言いたいの?」

QB「寧ろ僕らは、人類が家畜を扱うよりも、ずっと君たちに対して譲歩しているよ?」

QB「曲がりなりにも、知的生命体と認めた上で交渉しているんだしね」

QB「信じられないのかい?」

QB「それなら、見せてあげようか、インキュベイターと人類が、共に歩んできた歴史を」

まどか「!」

339: 2013/09/16(月) 18:25:26 ID:So3bg9XU

QB「僕たちはね、有史以前から君たちの文明に干渉してきた」

QB「数え切れないほど大勢の少女が、インキュベーターと契約し、希望を叶え、そして絶望に身を委ねていった」

まどか「!」

QB「祈りから始まり、呪いで終わる――これまで、数多の魔法少女たちが繰り返してきたサイクルだ」

QB「中には、歴史に転機をもたらし、社会を新しいステージへと導いた子もいた」

まどか「もうやめて…!みんな、みんな信じてたの…!信じてたのに裏切られたの」

QB「彼女たちを裏切ったのは僕たちではなく、寧ろ自分自身の祈りだよ」

QB「どんな希望も、それが条理にそぐわないものである限り、必ず何らかの歪みを生み出すことになる」

QB「やがてそこから災厄が生じるのは当然の節理だ」

QB「そんな当たり前の結末を裏切りだと言うなら、そもそも、願い事なんてすること自体が間違いなのさ」

QB「でも、愚かとは言わないよ」

340: 2013/09/16(月) 18:27:19 ID:So3bg9XU

QB「彼女たちの犠牲によって、人の歴史が紡がれてきたことも、また事実だし」

QB「そうやって過去に流された全ての涙を礎にして、今の君たちの暮らしは成り立っているんだよ」

QB「それを正しく認識するなら、どうして今更、たかだか数人の運命だけを特別視できるんだい?」

まどか「ずっとあの子たちを見守りながら、あなたは何も感じなかったの?みんながどんなに辛かったか、わかってあげようとしなかったの?」

QB「それが僕たちに理解できたなら、わざわざこんな惑星まで来なくても済んだんだけどね」

QB「僕たちの文明では、感情という現象は、極めて稀な精神疾患でしかなかった」

QB「だから君たち人類を発見した時は驚いたよ」

QB「全ての個体が、別個に感情を持ちながら共存している世界なんて、想像だにしなかったからね」

まどか「もしも…あなたたちがこの星に来てなかったら」

QB「君たちは今でも、裸でほらあなに住んでたんじゃないかな」

341: 2013/09/16(月) 18:32:09 ID:So3bg9XU

____翌日




ゴゴゴゴゴゴゴゴ



研究員「雷雲がとんでもない勢いで分裂と回転を起こしています、明らかにスーパーセルの前兆です、直ちに避難指示の発令を」

広報車「本日午前7時、突発的異常気象に伴い避難指示が発令されました」

広報車「付近にお住いの皆さんは、速やかに最寄りの避難場所への移動をお願いします、こちらは見滝原市役所広報車です」

広報車「繰り返します、本日午前7時……」

342: 2013/09/16(月) 18:32:58 ID:So3bg9XU

~見滝原市内避難所~


ガヤガヤ…
ザワザワ…


タツヤ「今日はお泊り~?キャンプなの~?」

知久「ああ、そうだよ、今日はみんなで一緒にキャンプだぁ~」

タツヤ「やったぁ、キャンプ~お肉焼くの~?」

まどか「……」

343: 2013/09/16(月) 18:33:38 ID:So3bg9XU

まどか「あ、さやかちゃん!」

さやか「おお、まどか~!」

まどか「さやかちゃんもここに?」

さやか「うん、なんかやばそうだったからさあ」

まどか「そっか…」

さやか「これって…多分…杏子先輩が言ってた…」

まどか「え?」

344: 2013/09/16(月) 18:37:08 ID:So3bg9XU

さやか「そっか…まどかは知らないのか…『ワルプルギスの夜』って言う超でかい魔女らしいよ」

まどか「ええ!?大丈夫なの??」

さやか「うん…杏子先輩はあたしはまだなりたてだし、自分たちだけで十分だから絶対に戦いには参加するなって」

まどか「えっ、じゃ、じゃあ…ほむらちゃんも…?」

さやか「うん、多分ほむらもいると思う、一人では手強い魔女だって言ってたから、2人で戦うつもりだと思う…」

まどか「だ、大丈夫かなあ…ほむらちゃんたち……」

さやか「……」

345: 2013/09/16(月) 18:39:34 ID:So3bg9XU

~見滝原市内~
~ワルプルギスの夜出現予測ポイント付近~


杏子「…結局、集まったのはアタシらだけか」

ほむら「そうね」

杏子「おっと、忘れてたぜ、これ、アタシはもう浄化したからさ、残りのグリーフシードだ、使えよ」
ヒョイッ

ほむら「…いいの?もう私にグリーフシードのストックは無いわ、恩返しは期待できないわよ」

杏子「ああ、今までの借りの分だと思え、気にすんな」

ほむら「……」シュルル

杏子「…これで残りは一個だけだ、大丈夫か?」

ほむら「ええ、これだけ浄化出来てれば十分よ」

346: 2013/09/16(月) 18:40:50 ID:So3bg9XU

杏子「…今までありがとな」

ほむら「…?」

杏子「…これがどんなに結果になろうと、アタシはアンタと過去に戻れたこと、後悔してないぜ」

ほむら「……」

ほむら「…本当に…あなたらしくないわね」

杏子「…それ、もう聞き飽きたよ」

杏子「さあって…んじゃ、アタシたちで『最後は愛と勇気が勝つストーリー』って奴にしてやろーじゃねーか!!」

ほむら「ええ…もちろん…そのつもりよ!」
バッ!
バッ!

347: 2013/09/16(月) 19:27:47 ID:So3bg9XU


ゴゴゴゴゴゴゴゴ…


舞台装置の魔女「キャハハハハハハハ」


杏子「!!」

杏子「んだよ…あの馬鹿でけーのは!?」

ほむら「あれが『ワルプルギスの夜よ』」

杏子「はあ!?てめぇあんなのに一人で戦ってたのか!?」

ほむら「無駄口を叩いてる暇はないわ」


ほむら(今度こそ…決着をつけてやる!)

348: 2013/09/16(月) 19:28:59 ID:So3bg9XU
ガガガガガガガガガガガガガ!!

カシャッ…

カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!
カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!
カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!
カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!カチャ!ズギューン!

…カチッ

ヒューヒューヒューヒューヒュー…

ドドドドドドドドドドドガン!!


杏子「す、すげぇ…アイツ…」

杏子「アタシも負けてらんねーな!!」

グッ!
シュイーン!シュイーン!シュイーン!シュイーン!シュイーン!シュイーン!シュイーン!シュイーン!シュイーン!

杏子「これで戦力は十倍だぜ!」

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!
ズババッ!
ズババッ!

349: 2013/09/16(月) 19:37:15 ID:So3bg9XU

杏子「安心しろ、てめーの邪魔はさせねーよ…」



魔女手下「キャハハハハ」

ザシュッ!ザシュッ!



 「キャハハハハハハ」

ほむら「……」


カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ

ドドドドドドドドドドドドドドガアアアン!!


ズズズズ……

舞台装置の魔女「フフフフフフフフ」

350: 2013/09/16(月) 19:43:40 ID:So3bg9XU

ほむら「…」

ポチ

ピー!!

ドドーン!!!!

ほむら「杏子!今よ!直接攻撃を!!」

杏子「おう、待ってたぜ!!」


舞台装置の魔女「フフフフフフフフ…キャハハハ」


シュインシュインシュインシュインシュイン!!

杏子「喰らえぇぇっ!!」

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!!

351: 2013/09/16(月) 19:45:42 ID:So3bg9XU

ゴゴゴゴゴゴ…

杏子「…これで終わりだろ」


バシュー!

杏子「!」
ガギーン!

魔女手下「キャハハハハ」

杏子「くっ!」

杏子「…ま、まだピンピンしてやがんのか…!?」


ほむら「くっ!」

352: 2013/09/16(月) 20:02:20 ID:So3bg9XU

~見滝原市内避難所~


さやか「…杏子先輩たち…やっぱり戦ってるみたい」

まどか「……」

さやか「あたし…ここにいていいのかな…」

まどか「…でも、杏子ちゃんに言われたんでしょ?戦っちゃダメだって…」

さやか「…う、うん…そうだけど…」

まどか「そう言えばマミさん、どうしてるんだろう…マミさんも戦ってるのかな…」

さやか「…うーん、あの時も相当ダメージ受けてたみたいだからなあ…」

353: 2013/09/16(月) 20:29:52 ID:So3bg9XU

 ~マミの家~


~~~~~~~~


マミ『……パパ?ママ?どこにいるの?』

スゥゥ…

マミ父母『マミ…』

マミ『ママ!パパ!』

マミ『わ、私ね…もうそっちにいきたくなっちゃった…すごく寂しくて…もう、疲れちゃったの…』

マミ父母『……』

マミ『ママ…パパ…』

354: 2013/09/16(月) 20:34:43 ID:So3bg9XU

マミ母『…マミ、あなたにはまだしなきゃならないことがあるはずよ』

マミ『え?』

マミ父『マミは私たちの分まで頑張らなきゃならないことがあるよ』

マミ『パパ……』

マミ母『…大事な人と一緒にいたいって気持ちは誰でも同じなのよ…マミ』

マミ『…う、うん』

マミ母『…あなたの今するべきことは何?マミ…よく考えて』

マミ母『あなにならできる、あなたにしかできないことがあるはずよ、みんなを助けてあげて…』

マミ『あ!ママ…パパ…待ってよ…待ってよ!』

マミ『……』

…スゥ

~~~~~~~~

355: 2013/09/16(月) 20:37:44 ID:So3bg9XU
___

マミ「はっ!」

マミ「…ゆ、夢……?」


ドドーン…
ドーン…

マミ「…何かしら?」


マミ「!!」

マミ「あ、あれは…!」

マミ「……暁美さんと佐倉さんが戦ってる…?」

マミ「わ…私は……っ」


~回想~
ほむら『あなたは私たちのリーダーなのよ』


マミ「……私が…みんなの……」

356: 2013/09/16(月) 20:41:01 ID:So3bg9XU

~見滝原市内中心部~
~ワルプルギスの夜出現予測ポイント付近~


舞台装置の魔女「キャハハハハハ」


杏子「ったく…なんて野郎だ…」

杏子「おい!まだ大丈夫か!?」

ほむら「ええ」


杏子「よし…んじゃ第二波と行くか…」

ほむら「……」

357: 2013/09/16(月) 20:43:33 ID:So3bg9XU

バシュー!
バシュー!
魔女手下「キャハハハハ」

ほむら「!」

杏子「!」
ガキーン!
ガキーン!

杏子「クソっ!!…なめ…やがって…!」

ほむら「くっ!」
ガキン!

杏子「あの野郎…本気になりやがったってことか…!」


バシューン!
ガギン!

ほむら「このまま…この攻撃が続けば…耐えきれない…!」

358: 2013/09/16(月) 20:44:53 ID:So3bg9XU

バシュー!
魔女手下「キャハハハ!」

杏子「しまった!!」



…ズギューン!
魔女手下「ギャッ!」

ドガーン!


ほむら「!!」

杏子「な!なんだ!?」


??「ティロ・リチェルカーレ!!」

ドドドドドカーン!!

ズズズズ…

359: 2013/09/16(月) 20:45:59 ID:So3bg9XU

杏子「こ、こいつは…!」

杏子「マミ!!」

マミ「良かったわ、間に合って」

ほむら「戦う覚悟を決めたのね…巴マミ」

マミ「ええ、もちろんよ…」

マミ「だって私はみんなのリーダーですもの」


杏子「マミ!これを使え!最後の一個だ!」
ヒュッ

パシッ
マミ「グリーフシード…」

杏子「マミまで魔女になっちゃ、かなわねーからな」

360: 2013/09/16(月) 20:48:34 ID:So3bg9XU

マミ「いいの?佐倉さん」

杏子「ああ、アタシたちは大丈夫だ、その代わり、きちんと援護頼むぜ」

マミ「もちろんよ、任せて」
シュルル



杏子「さぁて…んじゃこっちも反撃と行こうぜ!」


ガガガガガガガガ
ザシュッ!ザシュッ!
ズバババババ!
ズギューン!ズギューン!ズギューン!ズギューン!

361: 2013/09/16(月) 20:53:36 ID:So3bg9XU

舞台装置の魔女「キャハハハハ」


杏子「なんてタフな野郎だ…」

ほむら「効いてないはずはないわ」

バシューン!


杏子「くっ!!」
ガキーン!!
ガキ…ガキ…キ…

杏子「…っ!」

マミ「佐倉さん!後ろ!!」

杏子「何っ!?」


ザザシュッ!!


杏子「ぐはっ…!」

マミ「佐倉さん!!」
シュイン!
シュルルル!

362: 2013/09/16(月) 20:54:25 ID:So3bg9XU

ほむら「…杏子!」

杏子「くっ…なんとか大丈夫だ……!」

杏子「はあ、はあ、はあ…」

マミ「大丈夫なはずないわ…ケガしてるじゃない…!」

マミ「私が治してあげる」

杏子「ま、待て…大したケガじゃない…アタシでもこんぐらいなら治せるさ、マミたちは先にアイツを…!」

マミ「そんなわけにはいかないわ!」

杏子「…アイツを倒さねえと意味がねえ…アタシは大丈夫だ…行け!」

マミ「佐倉さん…」

マミ「行くわよ!暁美さん!」

ほむら「…」コクッ
バッ!
バッ!

363: 2013/09/16(月) 20:55:13 ID:So3bg9XU

杏子「くっ…ははっ…ち、ちょっと強がっちまったかな…」


魔女手下「キャハハハハ!」

杏子「!」

杏子「て、てめーら…いつの間に…!」

杏子(ク、クソ…このケガじゃ…!!)

364: 2013/09/16(月) 20:56:33 ID:So3bg9XU

~見滝原市内避難所~


ゴゴゴゴゴ…


さやか「……」

まどか「……」

さやか「やっぱあたし…ちょっと様子見てくる」

まどか「えぇ…ダメだよ、さやかちゃん…杏子ちゃんに…」

さやか「でも…!杏子先輩たちがもしも…!」

まどか「…っ」

さやか「あたし…」

さやか「…杏子先輩を…恭介を…仁美を…みんなを守らないと…!」

まどか「待ってよお…ダメだよ…杏子ちゃんに…」

366: 2013/09/16(月) 20:59:01 ID:So3bg9XU

さやか「で、でも…」

まどか「……QB、杏子ちゃんやほむらちゃんは本当に戦ってるの?」

QB「もちろんさ」

QB「さっきグリーフシードの回収がてら見てきたけど今はマミも参加しているよ」

さやか「マミさんも戦ってるの!?」

QB「マミも戦う決意を固めたみたいだね」

まどか「も、もちろん…勝てるんだよね…?」

QB「あれだけの手勢だからね、負けることは無いと思うけど、ワルプルギスの夜の力は僕にも計り知れない」

QB「でも、諦めたらそこでお終いだ、彼女たちにとっては希望を持って前に進むことも、立ち止まることも、目を伏せることも、全て同じことなのさ」

QB「どうせその先にあるのは…」

まどか「もう!やめてよっ!」

まどか「やめてよ…ひっ…ぐすっ…」

367: 2013/09/16(月) 21:14:57 ID:So3bg9XU

さやか「……」

さやか「ねぇQB、やっぱりあたしが出ても杏子先輩たちの役には立てないのかな…?」

QB「そんなことはないよ、さやか」

QB「君は自分の魂を犠牲にしてまで仁美を助けた、すなわちそれは最高の癒しの力を手に入れたということだ」

QB「君の魔法の属性は『癒し』それもただの癒しなんてレベルじゃない、最高の癒しの力だよ」

QB「だから君の回復力は人一倍、いや、それ以上だ」

さやか「本当…!?」

さやか「あたしの力で杏子先輩やマミさんたちの力になれるの?」

QB「もちろんだよ」

さやか「……あたし」

さやか「…やっぱり行かなくっちゃ」

さやか「みんなを守らなくっちゃ…杏子先輩たち助けなくちゃ…!」

368: 2013/09/16(月) 21:15:45 ID:So3bg9XU

まどか「さやかちゃんっ!!」

さやか「…まどか、あたしは必ず戻ってくるよ、約束したんだから希望を見失わないって…」

まどか「さやかちゃんっ…ひっ…ぐすっ…」

さやか「大丈夫、あんたは絶対に来ちゃダメだよ」

さやか「待っててね…まどか…」

さやか「…さよならは言わないよ」

まどか「うっ…うん…っ…絶対だよ…っ…さやかちゃん…っ…」


バッ!!

370: 2013/09/16(月) 21:17:56 ID:So3bg9XU

~見滝原市内中心部~
~ワルプルギスの夜出現予測ポイント付近~


杏子「て、てめーら…!!」

魔女手下「キャハハハハ」

魔女手下「フフフフフフ」

杏子「く、クソっ!!」



ガガガガガガ
ドゴーン!ドゴーン!
ズギューン!ズギューン!

マミ「佐倉さんが危ないわ!」

ほむら「!」
バッ!

ほむら(お願い…間に合って!)

371: 2013/09/16(月) 21:20:23 ID:So3bg9XU

バシューン!
ほむら「!!」

魔女手下「キャハハハハ」
ガンッ!

ほむら「っ…!!きゃっ…!…ぐふっ!」
ドタッ!
ズササー

マミ「暁美さん!!」


ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュッ!

ザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュ!!


魔女手下「ギャッ!」

魔女手下「グフッ!」
ドガーン!


マミ「こ、これは…」

ほむら「…はぁ、はぁ…何?」

杏子「……ん?」

372: 2013/09/16(月) 21:21:35 ID:So3bg9XU

杏子「さ…さやか…!?」

さやか「…ごめん、杏子先輩」

杏子「おい!出てくるなって…!」

さやか「…もう、こんな状態でよくそんなこと言えるね」

さやか「あたしが来なきゃ今頃どうなってたと思う?」

杏子「…っ」

さやか「今、傷治すよ」
シュイーン…


杏子「さやか…」

さやか「あたしだって…自分の力で守りたいものがあるんだよ…だからその為に手伝わせて」

杏子「…っ」

杏子「…下手打つんじゃねーぞ…絶対な…!」

さやか「うん」

373: 2013/09/16(月) 21:23:04 ID:So3bg9XU

マミ「ど、どうして美樹さんが!?」

杏子「…そうか、マミは知らなかったんだな」

杏子「まっ、理由はアレだ、こいつを倒してからのお楽しみって奴だな」

さやか「…そうだね、あたしたちには帰る場所も、待ってる人もいる、こいつを倒して終わらせようよ」

マミ「そうね…わかったわ、話は後でゆっくりお茶でも飲みながら聞きましょうか」

さやか「ほむらも大丈夫?」

ほむら「ええ…それよりもいいの?」

さやか「何が?」

ほむら「戦う覚悟はあるの?」

さやか「うん…もちろん、だから来たんだよ」

374: 2013/09/16(月) 21:24:29 ID:So3bg9XU

ゴゴゴゴゴゴゴ…

舞台装置の魔女「キャハハハハハハ」


杏子「さあって…役者は揃ったな…」

さやか「うん…絶対に勝って…帰るんだ…みんなで…!」

マミ「もちろんよ…絶対にね…!」

ほむら「……」コク



ヒュッ!ヒュッ!
ザシュッ!ザシュッ!
ズババッ!
ドガガガガガガ!
スギューン!ズギューン!


ズズーン…

376: 2013/09/16(月) 21:27:17 ID:So3bg9XU

舞台装置の魔女「!!」

舞台装置の魔女「ひゃひゃ…ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」

ゴゴゴゴゴ



杏子「んだ?様子がおかしいぞ」

ほむら「攻撃が利いてるのよ…確実に…」

さやか「あ!まずい!避難所の方に向かってる!」

マミ「!!」

ほむら「これ以上先には…」

杏子「いかせねえ!!」
バッ!!


マミ「先行しすぎよ!佐倉さん!」

ほむら「杏子!」

杏子「大丈夫だ!アタシが奴の動きを止める、その間に攻撃を!」

377: 2013/09/16(月) 21:28:52 ID:So3bg9XU

舞台装置の魔女「ひゃひゃひゃひゃ…」

杏子「おい、これ以上は行かせねえ…」
グッ…
ズズズズス…゙
シュイーン!!
ガキン!ガキン!ガキン!


杏子「これで先には進めねーぞ!」

杏子「おうりゃあああ!!」
ガキン!
ガキキ!!

杏子「今だ!!」

378: 2013/09/16(月) 21:29:31 ID:So3bg9XU

舞台装置の魔女「ひゃひゃ…ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」

さやか「任せて!」
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュッヒュッ!

ほむら「……」
ドガガガガガガガガガ!!

マミ「ティロ・フィナーレ!!」
ドガーン!



ドコオオーン!!


舞台装置の魔女「!!」

ズズズズズズ…

379: 2013/09/16(月) 21:30:21 ID:So3bg9XU

杏子「ふー…これでようやく……」


…ザシュ!!

杏子「!!」

杏子「ごはっ…!!」

魔女手下「フフフフフフフ」

杏子「ど、どこに隠れてやがったん…だ…っ!!」

杏子「く、クソ…っ!!」

杏子「っ……」
ドタッ…



舞台装置の魔女「ヒャハハ…ヒャヒャヒャヒャヒャ」

380: 2013/09/16(月) 21:31:47 ID:So3bg9XU

さやか「やったよ!杏子先輩!効いてるよ!」

さやか「あ、あれ?杏子先輩?」


杏子「……」

さやか「杏子先輩!!」
バッ!

さやか「こ…こんなに血が…っ!」

さやか「ねぇ!!杏子先輩!!もうすぐ倒せそうだよ!だから起きてよっ!!」

杏子「」

さやか「あたしが…あたしが治さなきゃ…!!」
シュイーン…

381: 2013/09/16(月) 21:32:39 ID:So3bg9XU

魔女手下「フフフフフフ」


さやか「今はあんたに構ってる暇はないの!」

さやか「早く…杏子先輩助けないと…!!」
シュイーン…



ズギューン!

魔女手下「ギャッ!」
ドーン

382: 2013/09/16(月) 21:33:33 ID:So3bg9XU

さやか「!」

マミ「気をつけて、美樹さん!どこに手下が隠れているかわからないわ」

マミ「って、佐倉さんっ!!」
バッ!


マミ「だ、大丈夫なの!?」

さやか「絶対、あたしが治してみせます!」

ほむら「…杏子!」

さやか「早く…早く…起きて…杏子先輩…!」
シュイーン…


杏子「」

383: 2013/09/16(月) 21:34:24 ID:So3bg9XU

~見滝原市内避難所~


ゴゴゴゴゴ…


まどか「……」

まどか「みんなが勝てるっていうのは、ホント?」

QB「それを否定したとして、君は僕の言葉を信じるかい?」

QB「彼女たちは今、最大の絶望に打ち勝とうとしている」

QB「でも、それに勝ったところであくまでも小休憩にしかならない」

QB「どんな希望を持って信じていようと、遅かれ早かれ彼女たちは皆そうなる」

384: 2013/09/16(月) 21:35:02 ID:So3bg9XU

まどか「希望を持つ限り、救われないって言うの?」

QB「そうさ」

QB「過去の全ての魔法少女たちと同じだよ」

QB「まどか、君だって一緒にみただろう?」

まどか「うぅ…っ…っ」

まどか「…でも、でも。でもっ!」


スタスタスタ…

385: 2013/09/16(月) 21:35:53 ID:So3bg9XU

詢子「どこ行こうってんだ?オイ」

まどか「ママ…」

まどか「私、友達を助けに行かないと」

詢子「消防署に任せろ、素人が動くな」

まどか「私でなきゃダメなの!」

パシッ…

詢子「テメェ一人のための命じゃねぇんだ!あのなぁ、そういう勝手やらかして、周りがどれだけ…っ」

まどか「わかってる、私にもよくわかる」

まどか「私だってママのことパパのこと、大好きだから、どんなに大切にしてもらってるか知ってるから、自分を粗末にしちゃいけないの…わかる」

まどか「だから違うの、みんな大事で、絶対に守らなきゃいけないから、そのためにも、私今すぐ行かなきゃいけないところがあるの!」

詢子「理由は説明できねぇってか」

詢子「なら…アタシも連れていけ」

まどか「ダメ、ママはパパやタツヤの傍にいて、二人を安心させてあげて」

386: 2013/09/16(月) 21:36:39 ID:So3bg9XU

まどか「ママはさ、私がいい子に育ったって、言ってくれたんでしょ?パパから聞いたよ、世界一の自慢の娘だって」

まどか「今でもそう信じてくれる?私を正しいと思ってくれる?」

詢子「……」

詢子「絶対に下手打ったりしないな?誰かの嘘に踊らされてねぇな?」

まどか「…うん」

トンッ…
まどか「ありがとう、ママ」

387: 2013/09/16(月) 21:37:48 ID:So3bg9XU

~見滝原市内中心部~
~ワルプルギスの夜出現予測ポイント付近~


シュイーン…
さやか「お願い!!杏子先輩!!起きて!!」

杏子「」


スッ…
QB「無理だよ、さやか」

さやか「え?」

QB「いくら君の癒しの力がすごくても、回復対象のソウルジェムの穢れが限界に達していては、どうしようもできない」

さやか「え……」

マミ「!!」

ほむら「!!」

388: 2013/09/16(月) 21:38:38 ID:So3bg9XU

さやか「…どういうこと」

QB「どんなに杏子の体を治しても、杏子自身のソウルジェムが魔力の大量消費により穢れを溜め込みすぎている」

QB「これじゃ、体が治っても意識が戻らないはずさ」

QB「君の癒しの力はすごいけど、ソウルジェムの浄化まではできないからね」

さやか「…どうすれば…いいの?」

QB「簡単なことさ、グリーフシードを使って穢れを浄化すればいいだけのことだよ」

QB「グリーフシードが無いなら、杏子は魔女になるのを待つしかない」

マミ「そ、そんな…!!」

389: 2013/09/16(月) 21:40:30 ID:So3bg9XU

ほむら「グリーフシードは!?」

さやか「そ、そうだ!!」

さやか「あたしが杏子先輩もらった分があるんだ…!」

さやか「杏子先輩は絶対に非常時以外使うなって言ってたけど…今がその時…だよね」
スッ

さやか「お願い…杏子先輩、魔女なんかにならないで…」
シュルル…


杏子「」

390: 2013/09/16(月) 21:41:19 ID:So3bg9XU

杏子「…っ、さ…やか…?」

さやか「杏子先輩っ!」ダキッ

さやか「よかったあ~」

杏子「お前、アタシなんかの為に…ま、まさか…グリーフシードを…!」

さやか「うん…杏子先輩を魔女なんかに絶対させないよ」

杏子「さやか……」

マミ「良かったわ…佐倉さん」

ほむら「杏子…」

杏子「アタシなんかのために…さやか」

さやか「約束したでしょ?絶対みんなで帰るって」

マミ「…そうよ、みんなで帰るのよ」

391: 2013/09/16(月) 21:42:04 ID:So3bg9XU

舞台装置の魔女「キャアアアアアアアアア!!」

バラ…バラバラ…ラ


全員「!!」


ほむら「…奴が悲鳴を…上げている…!」

マミ「攻撃がだいぶ効いてるようね」

さやか「もう後、ひと頑張りみたいだね、杏子先輩」

杏子「ああ、終わらせてやる」

392: 2013/09/16(月) 21:42:46 ID:So3bg9XU

マミ「みんな!魔力はもう残り少ないでしょうけど、次の一撃に賭けるわ!!」

ほむら「奴が弱っているわ、チャンスは今しかない」

マミ「用意はいい?みんな!」

さやか「いつでもOK!」

杏子「ああ!!」

ほむら「…」コクッ



マミ「全員で四方から囲んで一斉攻撃よ!」
バッ!
バッ!
バッ!

393: 2013/09/16(月) 21:43:50 ID:So3bg9XU

マミ「せーのっ!」


マミ「ベリタ・ティロ・フィナーレ!!」

ガチャ!!
ズギューン!!
ズズズズズ…
ヒュッ!
キュイーン…

ドドドオオォォーン!!


舞台装置の魔女「!!!」

舞台装置の魔女「ヒャヒャハハヤヤ…」

バラ…バラ…ラ

舞台装置の魔女「ひゃ…ひゃ…ひゃはは…」
ズズズ…
ドゴーン…

394: 2013/09/16(月) 21:44:44 ID:So3bg9XU

マミ「や、やった!!崩れていくわ!!」

ほむら「はぁ…!はぁ…!はぁ…!」

ほむら「か…勝ったの…?」
グラッ…

マミ「だ、大丈夫!?暁美さん!」


ほむら「はぁ…!はぁ…!少し…疲れたわ…」



さやか「はぁ…!はぁ…!あ、あたしもかも…っ」
グラッ

杏子「お、おい!さやか…大丈夫か!?」

395: 2013/09/16(月) 21:45:49 ID:So3bg9XU

さやか「…大丈夫、杏子先輩…ちょっと疲れただけ…だから…」

杏子「お、おい…さやか…」

さやか「それより…あ、あたしたち…ほんとに勝ったの…?」

杏子「ああ!お前のお陰だよ」

さやか「ううん…あたしだけじゃないよ…みんなで勝ったんだよ…」



まどか「みんな~!!」
ダダダダッ

396: 2013/09/16(月) 21:47:31 ID:So3bg9XU

マミ「鹿目さん!」

ほむら「まど…か…」


まどか「大丈夫なの!?みんな」

マミ「うん、なんとかね…暁美さんと美樹さんが少し心配だけど…」

まどか「そっか…ぐすっ…良かったっ…みんな無事でっ…ほんとによかった…っ」






ドタッ…

397: 2013/09/16(月) 21:48:21 ID:So3bg9XU

杏子「え」



杏子「って!おい!さやか!大丈夫か!?」

まどか「さやかちゃん!大丈夫!?」

マミ「美樹さん!!」

さやか「ご、ごめん…も、もう立ってるのも…キツイ…かも」

杏子「お、おい…と、とりあえずここで休め…」

さやか「う、うん…ごめんね…杏子先輩…」

398: 2013/09/16(月) 22:18:05 ID:So3bg9XU

さやか「ふう…」


さやか「うっ!!」

さやか「うっ…!…む、胸がっ…くっ…くる…苦しっ…!!」

まどか「えっ!大丈夫!!さやかちゃん!?」

杏子「お、おい!!さやか!!大丈夫か!!」

杏子「ま…まさか…!!おまえ…」

杏子「!!!」

杏子「ソ…ソウルジェムが……!!」

399: 2013/09/16(月) 22:20:05 ID:So3bg9XU

ほむら「!!!」

マミ「!!!」

杏子「ち!ちきしょー!!なんでだよ…っ!!」

杏子「ワルプルギス倒したのに…っ!」

杏子「おいっ!!誰か!!グリーフシードは!!」

杏子「誰かグリーフシードは持ってねえのか!!?」

杏子「おいっ!!」

マミ「…うっ…ひくっ…!」

ほむら「…っ」

さやか「あ、あはは…グリーフシードはさっきので…最後だよっ…うっ…!」

400: 2013/09/16(月) 22:21:33 ID:So3bg9XU

杏子「っ!!」

さやか「ちょ、ちょっと…魔力、使いすぎちゃったかなっ…っ」

さやか「ご、ごめん…み、みんな…約束…守れないかもっ…うっ!…」

まどか「ううっ…ひくっ…やだよぉ…さやかちゃんっ…さやかちゃんっ…!」

杏子「なんでだよ!!!!」
ダンッ!!

杏子「くっ…!!…ううっ!!」

さやか「ごめんっ…杏子先輩っ…あたしの為に…あんなに頑張ってくれてたのに…っ」

杏子「…うっ……!!」

401: 2013/09/16(月) 22:24:17 ID:So3bg9XU

さやか「泣くなんて杏子先輩らしくないよ…まどかもごめん…ほんとにごめん…みんなっ…うっ…!」

さやか「ごめんっ…杏子先輩…最後に…頼みたいことがあるんだ…っ」

さやか「あ、あたしね…魔女なんかに…なりたくない……っ」

さやか「…みんなを傷つけたくない…ううっ…だから、お願いっ…!」

杏子「!!」

ほむら「!!」

マミ「そんなっ…ううっ…美樹さんっ…!!」

ほむら「っ…こんなこと…!」

マミ「美樹さんっ…ダメよ…っ!」

杏子「…ひくっ…!さやか…っ!」

402: 2013/09/16(月) 22:26:00 ID:So3bg9XU
 
まどか「さやかちゃんっ!…ううっ…いやだよっ!…絶対やだよっ…っ!」

まどか「こんなのひどいよっ…どうして…!ひっ…ぐすっ…さやかちゃん…っ!!」

さやか「…ごめんねっ…うっ!…みんな…お願いっ…杏子先輩っ…!」


杏子「…はっ…ぅ、ぐっ……うぅ………うう゛ううううう゛う゛うっ!!」




ザシュッ…
ガキン…

403: 2013/09/16(月) 22:27:21 ID:So3bg9XU

杏子「で、っ…できるわけっ…ねーだろ…っ!」

ほむら「杏子…ダメよ…後悔するわ…くっ…だから…だから今のうちに…っ!」

マミ「ううっ…ひくっ…!」

まどか「いやだよぉっ…こんなのって…ひっ…ひどいよっ…!」


杏子「っ…で、できるわけねーだろおおぉぉぉっ!!」

さやか「…そ、そっか…やっぱ杏子先輩は…ほんとに優しいや…っ」

さやか「ごめん…杏子先輩…ごめん、まどか…ごめん…マミさん、ごめん、ほむら…」

さやか「…みんな…ほんとにごめん…っ」

さやか「うっ…ううっ…っ!!」


パキッ…パキキ…キン…!

404: 2013/09/16(月) 22:29:14 ID:So3bg9XU

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…


杏子「っ!!」

ほむら「……遅かったわ」

マミ「!!」

まどか「…そんな…どうしてっ…ぐすっ…さやかちゃん!!」



オクタヴィア「キャアァァァァァ!!」

405: 2013/09/16(月) 22:31:16 ID:So3bg9XU

まどか「さやかちゃんっ!…やだよっ!さやかちゃんっ!!」

杏子「っ…ちきしょう…!ちきしょう!!ちきしょう!!ちきしょう!!ちきしょおぉっ!!!」
ダン!!!

杏子「っ…ううっ…さやか…っ」

杏子「…んでだよ…なんでなんだよぉぉ!!!!」



オクタヴィア「キャアアアアア!!」
ブンッ…

ほむら「杏子!避けて!!」

マミ「!!」
バッ!

406: 2013/09/16(月) 22:33:28 ID:So3bg9XU

ザシュッ!!


マミ「うっ!!」


杏子「マ!マミ!!」

杏子「お、お前…!!」

マミ「さ…佐倉さん…今度は…私があなたを助ける番ね…良かったわ…無事で…」

マミ「ひくっ…美樹さんに…これ以上誰も傷つけさせないで…ううっ…お願いっ…っう…佐倉さんっ……お願いっ!!」



パキ…パキキ…パリンッ…!


ドタッ…

407: 2013/09/16(月) 22:34:27 ID:So3bg9XU

まどか「マミさん!!」

まどか「マミさんっ…!!マミさん…!!」

まどか「…もう…やめてよっ…もういやだよぉ…っ…こんなの…っ」

杏子「マミぃっ!!!」

杏子「くっ…!!うっ…!!…ううっ!!」

杏子「アタシのせいだ…全部アタシの…っ!!」

杏子「クソがあああああ!!!」

杏子「うあああああああ!!!」
バッ!


ほむら「杏子っ!」

408: 2013/09/16(月) 22:35:07 ID:So3bg9XU

杏子「目を覚ませよ!!!さやか!!!いい加減にしてくれよっ!!!」


ザシュ!!



オクタヴィア「キャアアアアアア!」




杏子「そ、そうだ!!」

杏子「ほむら!!」
バッ!

409: 2013/09/16(月) 22:35:58 ID:So3bg9XU

杏子「もう一度、過去に行かせろ、やり直させろ!!」

ほむら「!」

杏子「いいから行かせろ!!」

杏子「こんなの許せねーよ!!こんな未来あるかよ!!」

杏子「許せねーよ…っ!!こんな未来…!!」


ほむら「…」

ほむら(このまま、またこの時間を無為にすれば、まどかの因果が増える…でも、杏子だって…さやかを助けたい気持ちは同じはず…っ…)

ほむら(…杏子がいたからここまで来れた…でも…!!私は…まどかを…!!)

410: 2013/09/16(月) 22:37:05 ID:So3bg9XU

杏子「おい!!」


ほむら「……」

ほむら「……捕まって」
ギュ

杏子「……」


カシャ!


………

411: 2013/09/16(月) 22:38:48 ID:So3bg9XU


カシャ!

カシャ!


杏子「ん…どうした?」

ほむら「……あ」

ほむら「あ、ああ…」

杏子「おいっ!」

ほむら「…も、もう魔力が残ってないわ…戻れるだけの…」

ほむら「はあ!!?」

杏子「ッ!」

杏子「んだよそれ!!!」

杏子「て、てめーが望んだのはこんな未来だったのかよ…!ふざけんなよっ!!」

ほむら「…違うわっ…!でもっ…私まで諦めたら…それは…っ!」

杏子「ふざけんなよ……!」

杏子「ふざけんなよおぉっ!!!」

412: 2013/09/16(月) 22:39:44 ID:So3bg9XU

オクタヴィア「キャアアアアアア!!」
ブン…


ほむら「杏子!!後ろ!!!」


杏子「くっ!!」

ガン!

ドガッ!


ほむら「痛っ!!」


…ザシュッ!!

413: 2013/09/16(月) 22:42:22 ID:So3bg9XU

まどか「そんなっ…杏子ちゃん…っ!?」

杏子「はぁ…はぁ…はぁ…さやか…」

ほむら「杏子!!」

ほむら「わ、私を庇って…」


杏子「…わ、悪かったな…アタシの馬鹿に付き合わせちまって…ほむら…」

ほむら「杏子…!!!」

杏子「…てめーらといれた時間は少なかったかもしれねーけど…楽しかった…」

杏子「てめーは…ただ一つだけ、守りたいものを最後まで守り通せばいい…守れなかった…アタシの代わりにさ…」

杏子「一人なら…戻れるかもしれねーだろ?…まだ…諦めんなよ…」

ほむら「…ひっ…ううっ…杏子…っ!!」

414: 2013/09/16(月) 22:43:29 ID:So3bg9XU

杏子「さやか…」


杏子(いつぞやのお返しとはいわねーよ…さやか…てめーはいいことしかしてねーのに…みんなの幸せ願ったのに…)

杏子(なんで魔女になんなきゃいけねーんだよ……)

杏子(なぁ、神様、ほんとにいるならさ…こんな人生だったんだ…最後くらい、幸せな夢見させてやれよ……)


杏子「助けてやれなくて、ほんと…ごめんな…」


…パキッ…キキキッ…キン…



ほむら「杏子ッ!!!」

415: 2013/09/16(月) 22:44:53 ID:So3bg9XU

まどか「もうやだよ~っ!!こんなのやだよ~…ううっ…ひくっ!」

まどか「…ぐすっ…ひっくっ…!」

まどか「…もう誰も殺さないで…っ!…もう誰も氏なないで…っ!…さやかちゃんっ…マミさんっ…杏子ちゃんっ…!」

ほむら「…まどか」



まどか「…私」

まどか「…私…決めたよ…っ…もう誰も悲しませない…誰にも絶望を知ってほしくない…」

ほむら「…!?」

416: 2013/09/16(月) 22:45:51 ID:So3bg9XU

オクタヴィア「キャアアアアア」


まどか「もういい…もういいんだよ…さやかちゃん、もう誰も傷つけなくていい…」

ほむら「まどか…?」

ほむら「まどか…まさか…!?」

まどか「ほむらちゃん、ごめんね」

まどか「私、魔法少女になる」

417: 2013/09/16(月) 22:46:29 ID:So3bg9XU

ほむら「まどか…そんな…」

まどか「私、やっとわかったの、叶えたい願いごと見つけたの、だからそのために、この命を使うね」

ほむら「やめてっ!」

ほむら「それじゃ…それじゃ私は…杏子は…何のために…っ!」

ほむら「ひっ…くっうぅ…!」

まどか「ごめん、ホントにごめん、これまでずっと、ずっとずっと、ほむらちゃんに守られて、みんなに守られて、望まれてきたから、今の私があるんだと思う」

まどか「ホントにごめん」

まどか「そんな私が、やっと見つけ出した答えなの…信じて」

まどか「絶対に、今日までのほむらちゃんを…みんなを…無駄にしたりしないから」

ほむら「まどか…」

418: 2013/09/16(月) 22:47:18 ID:So3bg9XU

QB「数多の世界の運命を束ね、因果の特異点となった君なら、どんな途方もない望みだろうと、叶えられるだろう」

まどか「本当だね?」

QB「さあ、鹿目まどか、その魂を代価にして、君は何を願う?」

まどか「私…」

まどか「はぁ…ふぅ…」

まどか「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい、全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で」

QB「!」

QB「その祈りは……そんな祈りが叶うとすれば、それは時間干渉なんてレベルじゃない!」

QB「因果律そのものに対する反逆だ!」

419: 2013/09/16(月) 22:47:55 ID:So3bg9XU

QB「!」

QB「……君は、本当に神になるつもりかい?」

まどか「神様でも何でもいい」

まどか「今日まで魔女と戦ってきたみんなを、希望を信じた魔法少女を、私は泣かせたくない、最後まで笑顔でいてほしい」

まどか「それを邪魔するルールなんて、壊してみせる、変えてみせる」

まどか「これが私の祈り、私の願い」

まどか「さあ!叶えてよ、インキュベーター!!」

420: 2013/09/16(月) 22:49:01 ID:So3bg9XU


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


マミ「鹿目さん、それがどんなに恐ろしい願いかわかっているの?」

まどか「たぶん…」

マミ「未来と過去と、全ての時間で、あなたは永遠に戦い続けることになるのよ」

マミ「そうなればきっと、あなたはあなたという個体を保てなくなる」

マミ「氏ぬなんて生易しいものじゃない、未来永劫に終わりなく、魔女を滅ぼす概念として、この宇宙に固定されてしまうわ」

まどか「いいんです、そのつもりです」

まどか「希望を抱くのが間違いだなんて言われたら、私、そんなのは違うって、何度でもそう言い返せます、きっといつまでも言い張れます」

421: 2013/09/16(月) 22:49:44 ID:So3bg9XU

杏子「いいんじゃねぇの」

杏子「やれるもんならやってみなよ」モグモグ

杏子「戦う理由、見つけたんだろ?逃げないって自分で決めたんだろ?なら仕方ないじゃん、後はもう、とことん突っ走るしかねぇんだからさ」

まどか「うん、ありがとう、杏子ちゃん」

マミ「じゃあ、預かっていた物を返さないとね」

マミ「はいコレ」

まどか「えへへ…」

マミ「あなたは希望を叶えるんじゃない、あなた自身が希望になるのよ、私達、全ての希望に」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~

422: 2013/09/16(月) 22:50:27 ID:So3bg9XU

まどか「あなた達の祈りを、絶望で終わらせたりしない」

まどか「あなた達は誰も呪わない、祟らない、因果はすべて、私が受け止める、だからお願い、最後まで、自分を信じて…」



まどか「もういいの」

まどか「もう…いいんだよ」

まどか「もう誰も恨まなくていいの、誰も、呪わなくていいんだよ、そんな姿になる前に、私が受け止めてあげるから」


_______


ほむら「…!?」

ほむら「…ここは…?」

QB「まどかがもたらした新しい法則に基づいて、宇宙が再編されているんだよ」

QB「そうか…君もまた、時間を越える魔法の使い手だったね」

QB「じゃあ一緒に見届けようか、『鹿目まどか』という、存在の結末を」

423: 2013/09/16(月) 22:51:13 ID:So3bg9XU

ゴゴゴゴゴゴ…


QB「あれが、彼女の祈りがもたらしたソウルジェムだ」

ほむら「そんな…」

QB「その壮大過ぎる祈りを叶えた対価に、まどかが背負うことになる呪いの量が分かるかい?」

QB「一つの宇宙を作り出すに等しい希望が遂げられた」

QB「それは即ち、一つの宇宙を終わらせるほどの絶望をもたらすことを意味する」

QB「当然だよね?」



アルティメットまどか「ううん…大丈夫」

アルティメットまどか「私の願いは、全ての魔女を消し去ること」

アルティメットまどか「本当にそれが叶ったんだとしたら、私だって、もう絶望する必要なんて、ない!!」

424: 2013/09/16(月) 22:51:55 ID:So3bg9XU

QB「まどか」

QB「これで君の人生は始まりも、終わりもなくなった」

QB「この世界に生きた証も、その記憶も、もう何処にも残されていない」

QB「君という存在は、一つ上の領域にシフトして、ただの概念に成り果ててしまった」

QB「もう誰も君を認識できないし、君もまた、誰にも干渉できない」

QB「君はこの宇宙の一員では、なくなった」




ほむら「何よそれ…」

ほむら「これがまどかの望んだ結末だって言うの?こんな終わり方で、まどかは報われるの!?冗談じゃないわ!!」

ほむら「これじゃ、氏ぬよりも…もっとひどい…ひどい…」

425: 2013/09/16(月) 22:52:45 ID:So3bg9XU

まどか「ううん…違うよ、ほむらちゃん」

まどか「今の私にはね、過去と未来の全てが見えるの、かつてあったかもしれない宇宙も、いつかあり得るかもしれない宇宙も、みんな」

ほむら「まどか…」

まどか「だからね、全部わかったよ…いくつもの時間で、ほむらちゃんが、私のためにがんばってくれたこと、何もかも」

まどか「何度も泣いて、傷だらけになりながら、それでも私のために」

まどか「ずっと気づけなくてごめん…ごめんね」

ほむら「う…っ…ぅううう…っ」

まどか「今の私になったから、本当のあなたを知ることができた、私には、こんなにも大切な友達がいてくれたんだって、だから嬉しいよ」

まどか「ほむらちゃん、ありがとう」

まどか「あなたは私の、最高の友達だったんだね」

ほむら「だからって、あなたはこのまま、帰る場所もなくなって、大好きな人たちとも離れ離れになって、こんな場所に、一人ぼっちで永遠に取り残されるって言うの?」

426: 2013/09/16(月) 22:53:41 ID:So3bg9XU

まどか「んふっ、一人じゃないよ」

まどか「みんな、みんないつまでも私と一緒だよ」

まどか「これからの私はね、いつでもどこにでもいるの、だから見えなくても聞こえなくても、私はほむらちゃんの傍にいるよ」

ほむら「まどかは…それでもいいの?私はあなたを忘れちゃうのに?まどかのこと、もう二度と感じ取ることさえできなくなっちゃうのに!?」

まどか「ううん、諦めるのはまだ早いよ、ほむらちゃんはこんな場所まで付いて来てくれたんだもん」

まどか「だから、元の世界に戻っても、もしかしたら私のこと、忘れずにいてくれるかも」

まどか「大丈夫、きっと大丈夫、信じようよ」

ほむら「まどか…」

427: 2013/09/16(月) 22:55:11 ID:So3bg9XU

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


___創り変わった世界で___いつかの未来で____




司会「それでは新郎新婦の入場です!みなさん拍手でお迎えください!!」
ワーワー
パチパチパチ!!

司会「改めまして、新郎の上条恭介さん、新婦の仁美さんです!!」

恭介「…///」

仁美「…///」

ワーワー
パチパチパチパチ
ワーワー

428: 2013/09/16(月) 22:55:56 ID:So3bg9XU

___

さやか「…何か、手間かけさせちゃったね」

まどか「ううん、こっちこそごめん」

まどか「さやかちゃんを救うには、何もかもなかったことにするしかなくて」

まどか「そしたら、この未来も消えてなくなっちゃうの」

まどか「でも、それはたぶん、さやかちゃんが望む形じゃないんだろうなって」

まどか「さやかちゃんが祈ったことも、そのためにがんばってきたことも、とっても大切で、絶対…無意味じゃなかったと思うの」

まどか「だから…」

429: 2013/09/16(月) 22:56:56 ID:So3bg9XU

さやか「…うん…これでいいよ」

さやか「そうだよ、あたしはただ、仁美とアイツに幸せになってほしかっただけなんだ…ヴァイオリンが弾けなくなったあいつのこと支えてくれる人が必要だったんだ」

さやか「幸せになってくれたら、十分だよ、もう何の後悔もない」

さやか「まあ、そりゃ…ちょっぴり悔しいけどさ、仁美じゃ仕方ないや、恭介にはもったいないくらいいい子だし…絶対幸せになって…くれるよね」

まどか「…うん」

まどか「…じゃ、いこっか」

さやか「うん」

まどか「あ、杏子ちゃんがね、さやかちゃんとお話したいんだって」

さやか「…いいの?」

まどか「大丈夫だよ」

430: 2013/09/16(月) 22:58:04 ID:So3bg9XU

~~~~

杏子「……」

さやか「杏子先輩…まどかから聞いたよ、あたしを助けるために、ほむらに無理言って…ここまで来たんでしょ?」

杏子「……」

さやか「…ごめん」

杏子「っ…うっ…っ!」

杏子「さやかあっ!!」ダキッ!

さやか「杏子先輩…」

杏子「も…もう、会えないのか…っ?」

さやか「…うん、そうなるかも…ごめんね…っ」

431: 2013/09/16(月) 22:59:06 ID:So3bg9XU

杏子「やだやだやだっ!!そんなの絶対やだっ!!」

さやか「もう、何言ってんの…子供じゃないんだから」

さやか「それに先輩なんだよ、あたしの」

杏子「っ…ううっ…さやかっ…っ!」

さやか「泣いてる杏子先輩なんて杏子先輩らしくないって」

杏子「うっ…ぐすっ…っ!」

さやか「ほーら、顔上げて、元気だしなって」

さやか「あたしはさあ、後悔してないよ…みんなといれて、杏子先輩に会えて楽しかった」

さやか「だから、いいんだよ…これで…」

さやか「まどかも言ってたよ、ひょっとしたら、本当の奇跡があるかも知れないって」

432: 2013/09/16(月) 23:00:04 ID:So3bg9XU

さやか「いつも希望を信じて戦うのが魔法少女でしょ?」

さやか「そうやって戦ってたのも、それを教えてくれたのも杏子先輩だったんだから」

杏子「っ…うっ…ううっ…さやか…っ!」

さやか「だからさ、奇跡を信じようよ、これ…」

さやか「あげるからさ」

杏子「…うっ…ひっ…ぐすっ…っう、うん…っ」

433: 2013/09/16(月) 23:02:47 ID:So3bg9XU

さやか「そろそろ…いかなくちゃ…」

杏子「いくな!!さやかあっ!!」

さやか「ダメだよ、杏子先輩、あたしなんかのことで立ち止まってちゃ…」

杏子「あ…アタシはぜってーさやかのこと忘れない…っ!…いつまでも…っ!絶対に…っ!!」

さやか「うん、ありがとっ…やっぱり杏子先輩は、あたしの最高の先輩だよ…っ」

さやか「あたしは杏子先輩といつも一緒だよ…」

さやか「大丈夫、きっと大丈夫、奇跡も魔法もあるんだよっ!杏子先輩っ」

杏子「さやかあぁぁぁッ!!」


434: 2013/09/16(月) 23:06:16 ID:So3bg9XU
________________________
________________________

~見滝原市内~

ゴゴゴゴ…


ほむら「…!?」

杏子「…!?」

杏子「…さやかは?」

マミ「いってしまったわ…円環の理に導かれて」

マミ「美樹さん…さっきのあの一撃に、全ての力を使ってしまったのね」

杏子「…ううっ…さやかっ…!」

マミ「それが魔法少女の運命よ、この力を手に入れた時からわかっていたはずでしょ」

マミ「希望を求めた因果が、この世に呪いをもたらす前に、私達はああやって消え去るしかないのよ」


ほむら「まどか…」

杏子「さやか…」

マミ「……」

435: 2013/09/16(月) 23:07:29 ID:So3bg9XU

~見滝原市内~


ほむら「……」
スタスタスタ…


タツヤ「まどか、まどかぁ!」

ほむら「うん、そうだね、そっくりだよ」

知久「コラ、ダメじゃないかタツヤ、女の人の髪を引っ張るのはダメ」

タツヤ「まどかまどか!まどかぁ!まどかぁはは、まどかぁ、あはは」

詢子「すみません、大丈夫でしたか?」

ほむら「いえ、こちらこそお邪魔してしまって」

ほむら「まどか…だね」

タツヤ「はあい!」

436: 2013/09/16(月) 23:08:20 ID:So3bg9XU

タツヤ「行くよ~」

知久「さぁ来い~、よっと」



詢子「まぁその…あの子が一人遊びする時の見えないお友達ってやつ?子供の頃にはよくあることなんだけどねぇ」

ほむら「ええ、私にも覚えがあります」

詢子「まどか…ってさ、あなたも知ってるの?アニメか何かのキャラとか?」

ほむら「さあ…どうだったか、聞き覚えがあるような、ないような」

詢子「…そっか、アタシもどっかでタツヤと一緒に見たのかなぁ」

詢子「たまにね…すっごく懐かしい響きだなって思うことがあるんだよね…まどか…」

ほむら「…そうですか」

詢子「お?そのリボン、すごくかわいいね、アタシの好みにド直球だわぁ、ちょっとビックリしたくらい」

ほむら「差し上げましょうか?」

詢子「あははは、こんなおばさんには似合わないって、まあ娘とかいたら?付けさせたかもしれないね」

437: 2013/09/16(月) 23:09:16 ID:So3bg9XU

~見滝原市内ビル屋上~


QB「ふうん、なるほどね」

QB「確かに君の話は、一つの仮説としては成り立つね」

ほむら「仮説じゃなくて、本当のことよ」

QB「だとしても、証明しようがないよ」

QB「君が言うように、宇宙のルールが書き換えられてしまったのだとすれば、今の僕らにそれを確かめる手段なんてない訳だし」

QB「君だけがその記憶を持ち越しているのだとしても、それは、君の頭の中にしかない夢物語と区別がつかない」

ほむら「私だけじゃないわ、杏子もこの記憶を持ち越しているはずよ」

438: 2013/09/16(月) 23:10:07 ID:So3bg9XU

QB「だとしても、君たち2人だけの記憶じゃ、証明できるだけの証拠にはならない」

ほむら「ふん」

QB「まあ確かに、浄化しきれなくなったソウルジェムが、何故消滅してしまうのか、その原理は僕たちでも解明できてない」

QB「その点、君の話にあった『魔女』の概念は、中々興味深くはある」

QB「人間の感情エネルギーを収集する方法としては、確かに魅力的だ」

QB「そんな上手い方法があるなら、僕たちインキュベイターの戦略も、もっと違ったものになっただろうね」

ほむら「そうね、あなたたちはそういう奴らよね」

QB「君が言う、『魔女』のいた世界では、今僕らが戦っているような魔獣なんて、存在しなかったんだろう?」

QB「呪いを集める方法としては、余程手っ取り早いじゃないか」

ほむら「そう簡単じゃなかったわ、あなたたちとの関係だって、かなり険悪だったし」

QB「ふうん」

QB「やっぱり理解できないなあ、人間の価値観は」

439: 2013/09/16(月) 23:10:55 ID:So3bg9XU

ほむら(たとえ、魔女が生まれなくなった世界でも、それで人の世の呪いが消え失せるわけではない)

ほむら(世界の歪みは形を変えて、今も闇の底から人々を狙っている)


QB「今夜はつくづく瘴気が濃いね」

QB「魔獣どもも、次から次へと湧いてくる、幾ら倒してもキリがない」

ほむら「ボヤいたって仕方ないわ、さあ、行くわよ」



ほむら(悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけれど)

ほむら(だとしてもここは、かつてあの子が守ろうとした場所なんだ)

ほむら(それを…覚えてる)

ほむら(決して、忘れたりしない)

ほむら(だから私は…戦い続ける)

440: 2013/09/16(月) 23:12:06 ID:So3bg9XU


Epilogue___

~見滝原市内~



杏子「よう、久しぶりだな」

ほむら「!」

ほむら「杏子!」

杏子「へえ、なかなか似合ってんじゃねーか、まどかのリボン」

ほむら「そう?ありがとう」

ほむら「あなたこそ、その髪留め似合っているわ、さやかそっくりね」

杏子「う、うるせぇっ///」

441: 2013/09/16(月) 23:12:46 ID:So3bg9XU

杏子「…マミは最近どうしてるんだ?」

ほむら「彼女は相変わらずかしら、最近は学校の友達ともうまくやっているわ」

杏子「そうか…」

杏子「しっかし、こうして2人で会うと、あの時のことを思い出すな」

ほむら「そうね、あの時は大変だったわ」

ほむら「……また戻ってみる?」

杏子「はあ!?何言ってんだよ」

ほむら「ふふっ…冗談よ」

杏子「へ、へえー、てめえも冗談が言えるようになったとはなぁ」

442: 2013/09/16(月) 23:14:22 ID:So3bg9XU

ほむら「……懐かしいわね」

杏子「ああ、アンタのやってきたことにようやく答えが出たんだ」

ほむら「そうね…私だけじゃないわ、あなたもよ」

杏子「アタシは手伝っただけだよ、逆にアタシはアンタに助けられた」

ほむら「そうかしら?まあお互い様ね」

杏子「…アタシたちはもう一人じゃない」

ほむら「ええ」

杏子「…アタシたちはいつもみんな一緒だ」

ほむら「ええ、もちろんよ」



443: 2013/09/16(月) 23:16:38 ID:So3bg9XU

以上で終わりです
つまらない作品にお付き合いいただきありがとうございました

最後まで読んでいただいた方、本当にありがとうございました。


445: 2013/09/16(月) 23:33:50 ID:1aDDlHzo


さやかちゃんは恭介の腕を治すことしか願わないと思ってたけどもし
恭介が仁美と幸せになることor恭介の腕が治ることの2択だったら
前者を選んでしまう、このことに納得してしまう

自分の願望の反動形成でやっちまうんだろうけど、それがさやかの人となりであり
俺はそんなさやかちゃんが好きだし、原作をなぞりながらしかしもしこうならさやかちゃんは
そして仁美はこうしただろうって部分に説得力があるし共感する

引用: 杏子「愛と勇気が勝つストーリーってのにしてやろうじゃねーか!」