1: 2016/02/17(水) 00:19:25 ID:4ef8WnAw
【#1】

 テクテク

神様「う~ さぶっ!!」

神使「氷点下いっているでしょうね」

神様「んなこと言われなくても分かるわ! 腐れ神使」

神使「神様? 一応女性なのですからもう少し上品な言葉使いをなされては・・・」

神様「うっさい! 一応って何だよ! っていうかまだ着かないの~」


神使「そこを曲がれば次の勤務先のにょろにょろ神社です。 宮司さんへのお土産は?」

神様「あるよ。 大九で買ったどらやの羊羹」

 テクテク

神様・神使「・・・・・・」


神様「なぁ、社務所ないぞ? っていうか神社がないぞ?」

神使「これは大きな駐車場ですね・・・」

 ヒュー

2: 2016/02/17(水) 00:20:37 ID:4ef8WnAw

――― 翌朝

神様「ヘックショイッ!」ズズー

神使「神様、大丈夫ですか?」

神様「大丈夫なように見える? ねぇ、そう見える?」

神使「いえ・・・ その・・・」


神様「お前は犬に姿を変えられるから良いよな~」

神使「ですから私を抱いていれば少しは暖かいと申しましたのに」

神様「獣臭くなる」

神使「・・・いや、私は姿を変えても神使ですから獣臭くはないかと・・・」

3: 2016/02/17(水) 00:21:55 ID:4ef8WnAw

神様「それよりさぁ~、本当にここは東京なのか?」

神使「はい」


神様「でも緑が多すぎると思うんだけど。 川のせせらぎも聞こえるし」

神使「村ですから・・・」

神様「へっ?」


神使「ひのひの村です」

神様「東京じゃないの?」

神使「東京ですよ? 一応、都内です」

神様「・・・・・・」


神使「都内で仕事が少ない所とのご希望でしたので神様の条件にピッタリかと」

4: 2016/02/17(水) 00:22:58 ID:4ef8WnAw

神様「神使君さぁ、私の使いは何年目?」

神使「3年目ですね」


神様「うん、そしたらこのチョイスは変だよね」

神使「?」


神様「私はね? 祥寺とか下北とかに行きたいって言ったよね」

神使「はい」

神様「はいじゃ無くてさ、そしたらここは違うと思わない?」

5: 2016/02/17(水) 00:24:20 ID:4ef8WnAw

神使「申し上げにくいのですが吉祥寺や下北沢は・・・ その・・・ 位が高くないと・・・」

神様「ん? なに?」


神使「神様の神階では・・・」

神様「あ~、そっか~ そうだよね~ 私、神階が最低位だもんね、忘れてた」ズーン


神使「神様!」

神様「!?」


神使「神様は最低位なんかじゃありません!」

神様「神使・・・ おまえ・・・」

6: 2016/02/17(水) 00:26:56 ID:4ef8WnAw

神使「ランク外です。 お間違いの無いように」

神様「・・・・・・」

 ゲシッ ゲシッ

神使「痛っ! 痛いです」

神様「神罰だ」ゲシッ ゲシッ

神使「本当のことじゃないですか、それに神罰じゃなくてただの足蹴りですよそれ」

7: 2016/02/17(水) 00:28:19 ID:4ef8WnAw

神様「それよりさぁ、どうすんだよ~」

神使「社がなければ、別の所へ行けますが・・・」


神様「んじゃ、次行く?」

神使「いえ、あるじゃないですかお社が」

神様「へ?」

神使「駐車場の隅に・・・」

8: 2016/02/17(水) 00:29:05 ID:4ef8WnAw

神様「いやいや、あれは神棚だろ? ホームセンターで売ってるの見たぞ?」

神使「しかし、ご神体が入っていますので」


神様「え~、あんな小さい所ネズミも住めないって」

神使「規則ですし、形だけでも少しは滞在しないと・・・」


神様「こんな真冬に何日も野宿なんて凍氏するぞ?」

神使「その前に警察に通報されますね。 困りましたね・・・」

9: 2016/02/17(水) 00:30:34 ID:4ef8WnAw

 テクテク
 そうそう、それでさ~
 へぇ、そうなんだ


神様「ん?」

神使「神様どうされました?」


神様「・・・・・・」ジー

神使「女子高生のようですね。 こんなに朝早くから大変で―――」

神様「お~い」タッ タッ タッ

神使「あっ、神様?」

10: 2016/02/17(水) 00:31:50 ID:4ef8WnAw

 タッ タッ タッ

 お~い!
 ちょっと神様~ 待って下さ~い


少女「?」

友「少女ちゃん知り合い?」

少女「知らない・・・」

11: 2016/02/17(水) 00:34:18 ID:4ef8WnAw

神様「おはよう!」スタッ

少女「おはようございます・・・ あの失礼ですが」


神様「神使よ、挨拶を」

神使「はい・・・ 私たちこういう者です」スッ


少女「はぁ・・・ 名刺?」

友「神様? 神使?」

少女「神様・・・」

神様「そう、神様!」ヘヘン


友「神様より神使の方が名刺立派なんですね。 紙の厚さも違う」

神様「・・・・・・」


神使「神様は神階がランク外ですが、私は神使の中でも最高位ですので」

 ゲシッ ゲシッ

神使「神様、痛いです」

12: 2016/02/17(水) 00:36:02 ID:4ef8WnAw

友「少女ちゃん行こ、神様とか言って変だよこの人達」

少女「うん」


 スタスタ
 なんで神様がジャージ姿なの? 男の人はちょっと格好良かったのに残念
 そうだね

 
神様「少女よ! 私はそこの駐車場にいる。 いつでも来てくれ」バイバーイ


少女「・・・・・・」チラッ

神様「」バイバーイ


 少女ちゃ~ん バス来ちゃうよ~

少女「うん」タッ タッ タッ

13: 2016/02/17(水) 00:37:53 ID:4ef8WnAw

神使「神様? どういうおつもりですか?」

 ピロリロリン♪

神様「あっ、メールだ」ゴソゴソ

神使「いえ、私の携帯です」ポチ ポチ

神様「・・・お前さぁ、着信音変えてくれない? それ私と同じなんだよ」


神使「神宮からです。 荷物は明日到着で送ったとのことです」

神様「は? どこに?」

神使「ここです」

神様「ここ駐車場だよ?」


神使「神宮も駐車場になっていることを把握していないんでしょうね」

神様「勘弁してくれよ。 駐車場に住み着いて野宿する神なんて聞いたことないぞ?」

神使「そうですね、神宮に電話してみますか?」

14: 2016/02/17(水) 00:39:29 ID:4ef8WnAw

神様「それよりお腹がすいた。 カストのモーニングへ行かないか?」

神使「ありませんよ」

神様「へ?」


神使「カストも、古野屋も、竹屋もありません」

神様「なんで?」

神使「ちなみに、一番近いコンビニはバスで30分かかります」


神様「朝ごはんは? 朝ごはん食べたい!」

神使「来るとき近くに個人商店がありましたから、何か買ってきますか?」

神様「ダッシュだ犬ころ!」

神使「はいはい、じゃぁ大人しく待っていて下さいよ? 動かないで下さいね」タッ タッ タッ


神様「ったく、子供扱いすんなよ・・・」


神様「しかし・・・さっきの少女って」ポチ ポチ

18: 2016/02/17(水) 23:06:11 ID:4ef8WnAw

神様「・・・・・・」クニャ クニャ

神使「・・・・・・」クニャ クニャ


神様「なぁ、なんで私たちは朝から駐車場でコンニャクを食べているんだ?」クニャ クニャ

神使「近くにあった商店はコンニャク屋でした・・・」クニャ クニャ


神様「コンニャク屋って何だよ」クニャ クニャ

神使「この辺の名産だそうです」クニャ クニャ


神様「・・・・・・」クニャ クニャ

神使「・・・・・・」クニャ クニャ


神様「お前の味噌って私のと違う?」

神使「私のはゆず味噌ですね」

神様「くれ」

神使「半分だけですよ?」

19: 2016/02/17(水) 23:07:28 ID:4ef8WnAw

―――2日後・夕方

 ピンポン


少女「?」


 ピンポン  ピンポン


少女「は~い」


 ガラガラ


神様「ねぇ、なんで来ないの?」ブルブル

少女「・・・・・・」

20: 2016/02/17(水) 23:10:06 ID:4ef8WnAw

神様「2日も経ったよ? 駐車場で待ってるって言ったよね」ブルブル

少女「・・・失礼します」ガラガラ

神様「まっ、まって!!」ガシッ


少女「何ですか? 私、宗教とかは・・・」

神様「違うの、寒いの! コンニャクなの! 中に入れて!」

少女「こんにゃく?」

神使「ちょっと神様!」

21: 2016/02/17(水) 23:11:17 ID:4ef8WnAw

少女「警察呼びますよ?」

神使「すいません、今帰りますので。 ほらっ、神様行きますよ!」グイグイ


神様「お前、先月神宮へ行ったろ」ジタバタ

少女「!?」

神使「え?」

22: 2016/02/17(水) 23:12:55 ID:4ef8WnAw

――― 少女宅


少女「お茶です」コトッ

神使「ありがとうございます」


少女「どうぞ」コトッ

神様「あっ、コーラとかある? 炭酸系」

少女「・・・・・・」

神様「うそうそ。 こたつ強にしても良い?」

少女「・・・どうぞご自由に」

23: 2016/02/17(水) 23:14:22 ID:4ef8WnAw

神様「それと、はいお土産」スッ

少女「これは?」

神様「どらやの羊羹。 結構グレード高いヤツ」

少女「・・・ありがとうございます」

神様「気にしないで。 後で食べよ?」

少女「はあ・・・」


神使「お土産自分で食べるんですか?」

神様「良いじゃん、高いヤツだし食べてみたいじゃんよ~」

24: 2016/02/17(水) 23:15:38 ID:4ef8WnAw

少女「ところで・・・」

神様「ん~?」ズズッ


少女「なんで私が神宮に行ったこと知っているんですか?」

神様「だって、鞄に付いてるお守り売ったの私だもん」

少女・神使「え?」


少女「でも、これ巫女さんに・・・」

神様「驚くなよ? その巫女さんの正体が何を隠そう私なのだ!」


神使「あ~、神様は位がものすごく低いので巫女のバイトをしないと給料が―――」

神様「うっせんだよ、腐れ神使」ゲシッ

25: 2016/02/17(水) 23:16:55 ID:4ef8WnAw

少女「・・・本当に神様なんですか?」

神様「その通り! 初めてでしょ! 初めて見たでしょ!!」

少女「でも神宮で会っているんだよね?」

神様「あ~・・・ うん、そうね・・・」


神使「神様は姿を見せないのが常識なんですが、この方は神力がゼロなので姿を―――」

神様「お前喧嘩売ってんの?」ゲシッ

26: 2016/02/17(水) 23:18:02 ID:4ef8WnAw

少女「・・・・・・」ジトー

神様「もしかして疑ってる?」

少女「神様にしては若すぎない? どうみても私と同じくらいの年でしょ?」

神様「彼女は今すごく良いことを言った!! 神使、メモ」

神使「騙されないで下さい。 これでもこの神様は―――」

神様「神使くん? その先を言ったらマジでやばいよ?」ギロッ

神使「・・・・・・」

27: 2016/02/17(水) 23:19:55 ID:4ef8WnAw

神様「よし、証拠を見せよう」

少女「証拠?」


神様「神使よ、犬ころに変身する芸を」

神使「芸じゃないんですけど・・・」ボンッ

少女「!?」


神様「どうだ?」フフン

少女「うそ・・・」


神使「私は狛犬の神使でして。 一応神使の中では最高位ですので―――」

神様「だから余計な事は喋らなくて良いんだよ!」

28: 2016/02/17(水) 23:21:05 ID:4ef8WnAw

少女「嘘みたい」

神様「これで信じてもらえた?」


少女「あなたは?」

神様「へ?」

少女「え? 神様なんでしょ?」

神様「私は・・・ 神様だから力を見せつけたりはしない!」


神使「神力がないので何もできないのです」

神様「・・・神使よ、人の姿に戻れ」

神使「はい」ボンッ

神様「神罰」ゲシッ ゲシッ

神使「痛い、痛いですって! だからそれ神罰じゃなくて体罰ですから!」

29: 2016/02/17(水) 23:22:25 ID:4ef8WnAw

少女「あの・・・」

神様「名前は?」

少女「私?」

神様「うん」


少女「少女です」

神様「神様です」

少女「はい・・・」


神様「よろしくお願いします」

少女「よ・・・ よろしく・・・ お願いします?」

神様「よし」

少女「?」

30: 2016/02/17(水) 23:23:25 ID:4ef8WnAw

神様「さてと、空いている部屋とかある?」

少女「部屋?」


神様「泊めてくれ」

少女「えっ?」


神様「お願いします! 泊めて下さい!」ドゲザー

少女「そんな急に言われても」

31: 2016/02/17(水) 23:24:22 ID:4ef8WnAw

神様「本当はにょろにょろ神社に滞在する予定だったの」

少女「にょろにょろ神社・・・」


神様「うん、でも行ったら駐車場になってたの」

少女「神社は先月取り壊しで駐車場に・・・」


神様「だから・・・ 住むところがなくて。 もう2日も野宿なの、外寒いの! コンニャクなの」

少女「野宿? っていうか、さっきからこんにゃくって何?」

神様「お願い! 何でもするから! 3月までには出て行くから!」

少女「そんなに長く!?」

32: 2016/02/17(水) 23:25:44 ID:4ef8WnAw

神様「大丈夫、家賃は入れる。1人月10万でどう?」

神使「10万って、神様の手取り以上じゃないですか」

神様「は? 私は月14万もらってるぞ?」

神使「それ神宮手当と巫女のバイト代が付いていただけですから」

神様「うそ!」


神使「今月から神様の手取りは確か8万5千円です」

神様「8万5千円!? ちょっと待てよ、少なすぎだろ!!」

神使「私に言われても」

33: 2016/02/17(水) 23:26:39 ID:4ef8WnAw

神様「ちなみになんだけどさぁ、神使君はおいくらなの?」

神使「私は手取りで58万5千円です」

神様「なんで使いの方が給料高いんだよ! ふざけんなよ!」

神使「階位で基本給が変わりますので」

神様「くそ! 絶対労働組合作ってやる」グヌヌ

神使「そんなことに労力を使わず、神階を上げようとは思わないのですか?」

34: 2016/02/17(水) 23:27:45 ID:4ef8WnAw

神様「少女、家賃は先払いで神使が出す」

神使「私!?」

神様「迷惑料と食費光熱費入れて58万5千円を先払いだ」

神使「ちょっと待って下さい。それ私の手取額じゃないですか」


神様「悪い話じゃ無いだろ~?」

少女「・・・・・・」

神様「足りないか?」

少女「えっ?」

35: 2016/02/17(水) 23:29:21 ID:4ef8WnAw

神様「あーあ、また野宿かー。 神社さえ残っていればこんな苦労はしなかったのになー」

少女「分かった。 泊めてあげる」

神使「いいんですか?」

神様「よし! 決まりっ!」


神様「神使、あとで銀行に行ってお金を下ろして少女に渡せ」

神使「・・・・・・」

神様「返事は?」

神使「貸しですよ神様?」ハァー

36: 2016/02/17(水) 23:30:28 ID:4ef8WnAw

神様「よし、ところで夕飯は食べた?」

少女「まだ」


神様「神使、食事の準備を超特急で」

神使「少女さん、台所お借りしても良いでしょうか?」

少女「あっ、私作ります」


神様「まぁまぁ、神使は犬ころのくせに料理の腕はそこそこだ。 任せてちょ」

少女「はあ・・・ じゃぁ手伝います。 台所はこっちです」

神使「ありがとうございます」

 スタスタ

神様「・・・・・・」

40: 2016/02/18(木) 21:16:27 ID:2mYtABX2

神使「お待たせしました」

神様「なぁ、これって・・・」

神使「コンニャクの煮物、コンニャクのオイスター炒め、コンニャクの―――」

神様「もう良い! コンニャク以外が食べたいよ~」ゴロゴロ


少女「もらい物で・・・ 買い物も中々行けなくて」

神使「明日買い物に行きますから。 ワガママはダメですよ?」

神様「まぁ、味噌だけのコンニャクよりは数百倍マシだな。 白米もあるし」

神使「居候の身分で文句を言わないで下さい。 神の品格に関わります」

神様「うっさいな~ 何だよ品格って」


神使「では、頂きましょうか」

一同「いただきます」

41: 2016/02/18(木) 21:17:37 ID:2mYtABX2

神様「なぁ少女、聞いても良いか?」モグモグ

少女「なに?」


神様「その・・・」

少女「・・・・・・ もしかして神宮でお参りし―――」

神様「ここって夜遊ぶ所ってある?」

少女「へ?」


神様「ゲーセンとか、カラオケとか」

少女「ない・・・ かな」

神様「ビデオレンタル屋は?」

少女「ない」

42: 2016/02/18(木) 21:19:24 ID:2mYtABX2

神様「そうかぁ・・・ もしかしてここはド田舎だったりする?」

少女「超が付くほどのド田舎だと思う」

神様「やっぱり」シュン


少女「知っていて来たんじゃないの?」

神様「いや、私の希望は吉祥寺か下北沢だったんだが」

少女「・・・・・・」


神使「神様の神階が低すぎて行けなかったのです」

神様「・・・神使君さぁ、次の人事査定で評価落とすよ?」

神使「え? 神様って人事権もってるんですか?」

神様「これでも私は君の上司だよ? 神だよ?」

神使「・・・・・・」

43: 2016/02/18(木) 21:20:36 ID:2mYtABX2

神様「あ~あ、今まで全部特A+にしてあげてたのにな~」チラッ

神使「神様、明日はステーキなどいかがですか? 腕によりをかけてお作りします」

神様「うそ! ステーキ? 少女、明日のディナーは豪華だぞ!」ピョンピョン

神使「神様? 食事中ですから跳ねたりしないで下さい」

神様「分かってるよ」


少女「ふふっ」

神様「おっ、やっと笑ってくれた」

少女「・・・・・・ ///」プイッ

神様「う~んっ、照れちゃって可愛いぞっ!」ポンポン


神使「神様? お行儀が悪いですよ?」

神様「だから子供みたいに扱うなよ」

44: 2016/02/18(木) 21:22:21 ID:2mYtABX2

神使「ところで少女さんはお一人でお住まいなのですか?」

少女「ここは祖父の家でして」

神使「そうでしたか。 今日はお出かけですか?」

少女「入院中です・・・」

神使「それは・・・ 大変ですね。 ご両親は別の所で?」

少女「私が小学生の頃に・・・」

神使「・・・すいません」

少女「気にしないで下さい」

神様「」モグモグ

45: 2016/02/18(木) 21:23:16 ID:2mYtABX2

神様「流れぶった切って悪いんだけど、お代わりもらっても良い感じ?」

少女「食べるの早いね」

神様「神様なもので///」テレッ

神使「すいません、躾がなっていないもので・・・」

神様「・・・・・・」ゲシッ

46: 2016/02/18(木) 21:25:11 ID:2mYtABX2


少女「お風呂沸いたけど入る?」

神様「良いの?」

少女「うん、熱かったら水で薄めて」

神様「熱いの大好き!」タッ タッ タッ


神使「・・・色々とご迷惑をおかけいたします」

少女「なんか、急すぎて私もよく分かんない」

神使「反省いたします」

47: 2016/02/18(木) 21:26:30 ID:2mYtABX2

少女「それより、何でこんな田舎に?」

神使「お恥ずかしい話なのですが・・・ 神様が神宮でちょっとミスをいたしまして」

少女「ミス?」

神使「はい、その・・・ 2000円のお守りを300円で売っていて・・・ 3年間も・・・」

少女「・・・・・・」


神使「その罰で他の神社に短期出向を命じられたのです」

少女「その出向先がにょろにょろ神社?」

神使「えぇ、比較的位の高い社の中で100年以上神様の立ち寄りがない神社だったもので」

少女「そうだったんだ・・・」

48: 2016/02/18(木) 21:27:59 ID:2mYtABX2


神様「A CHI CHI A CHI~ 燃えてるんだろうか~♪」ヌギヌギ

神様「やべっ、下着の替え忘れた」

 タッ タッ タッ

神様「あれ? この部屋だっけ?」ソー


 全く神様の相手は疲れますよ
 何となく分かるかも・・・


神様(あの腐れ神使、また私の文句たれてんのか?)コソッ

49: 2016/02/18(木) 21:29:03 ID:2mYtABX2


神使「しかし、駐車場になってしまっているとは知りませんでした」

少女「先月の大雨で裏の山が崩れて神殿が潰れちゃったんです」

神使「え?」


少女「こんな田舎だし、修復するお金も集まらなくて・・・」

神使「そうだったんですか」

少女「放置するのも危険だって、取り壊して先月仮設の駐車場に・・・」

50: 2016/02/18(木) 21:29:58 ID:2mYtABX2

神使「宮司さんは?」

少女「土砂崩れに巻き込まれて・・・ 今は入院しています」

神使「そんな! お見舞いに行きたいのですがどちらの病院か分かります?」


少女「日曜日でよければ一緒に行きますか?」

神使「お知り合いなのですか?」

少女「私の・・・ 祖父です」

神使「!?」

51: 2016/02/18(木) 21:31:13 ID:2mYtABX2


 ヘックショイ!


少女「?」

神使「神様?」スタスタ


 ガチャッ


神使「うわっ、神様下着姿で何やってるんです?」

神様「下着の替えをくれ」

神使「もう、神宮じゃないんですからそんな姿でうろつかないで下さい」

神様「なんだよその言い方。 まるで私が普段から下着姿でうろうろしてる見たいじゃないか」

神使「はぁ~ ちょっと待っていて下さい」


少女「・・・可愛い下着ね」

神様「照れるじゃないか~」クネクネ

52: 2016/02/18(木) 21:32:04 ID:2mYtABX2

 ガサゴソ

神使「はいどうぞ」

神様「サンキュ~」タッ タッ タッ


少女「大変ですね」

神使「世話の焼ける神様です・・・」


 ザバーン
 うぎゃー! 風呂A CHIーー!!


少女・神使「・・・・・・」

57: 2016/02/19(金) 23:19:12 ID:ojJxENE6

神様「・・・・・・」ポチポチ


神使「神様、最近よく携帯いじってますよね」

神様「ん~ あ~」ポチポチ


神使「何やっているんです?」

神様「ライン~」

神使「え? 神様って友達いるんですか?」

58: 2016/02/19(金) 23:21:01 ID:ojJxENE6

神様「・・・・・・」プチッ

神様「よ~し! 腐れ犬ころ、今日という今日は許さないぞ!!」ゴゴゴゴ

神使「すっ、すいません今のは言い過ぎました」


神様「私にだって友達くらいいるわ!」

神使「誰とラインしてたんです?」

神様「A子ちゃん」

神使「去年入った巫女のA子ちゃんですか?」

神様「そう。 A子ちゃんとは話が合うんだよね~」


神使「あの子も結構変わってますからね」

神様「“も”ってなんだよ! 犬ころ」

59: 2016/02/19(金) 23:23:29 ID:ojJxENE6

神使「A子ちゃんは神様の正体は知っているんですか?」

神様「さぁ~、巫女だと思ってるんじゃない?」

神使「教えてあげないんですか?」

神様「え~、だって仕事の事なんて関係ないじゃん」


神使「・・・神様って、きちんと巫女の仕事はしているんですか?」

神様「お前、私の神使だろ?」

神様「神宮だと一緒にいることなんてほとんど無いじゃないですか」

神様「そう言えばそうか」


神使「神様は祭儀にも出ないですし・・・ 出られないですし」

神様「神使君さぁ、なんで今言い直したの?」

60: 2016/02/19(金) 23:24:58 ID:ojJxENE6

神使「そうだ、日曜日にょろにょろ神社の宮司さんのお見舞いに行きますよ」

神様「少女のおじいさまね」

神使「神様知ってい―――」

 ガチャ


少女「部屋の準備できたました」

神使「あっ、ありがとうございます」

神様「どうも~」

61: 2016/02/19(金) 23:28:29 ID:ojJxENE6


少女「しばらくこの部屋を使って下さい」

神様「おっ、広いじゃん! 10畳はあるんじゃない?」


神使「神宮の神様の部屋は3畳でしたからね」

神様「そうそう、押し入れの方が広い・・・ ってどんな間取りやねん!」ゲシッ

神使「ちょ、私に八つ当たりしないで下さい」


少女「・・・じゃぁ、おやすみなさい」

神様「おやすみ~」

 ガチャ

64: 2016/02/20(土) 22:41:19 ID:kmOiIMDE

神使「神様? 少女さんのこと知ってるんですね?」

神様「なにが?」

神使「宮司さんの事とか、にょろにょろ神社の事とか」

神様「うんにゃ、そこまで詳しくは知らなんだ」

神使「でも、何か知ってる雰囲気ですよね? 急に少女さんの家にまで来て」


神様「あ~、これ」サッ

神使「神様の携帯って、かなり古い機種ですよね」

神様「そこじゃねーよ。 画面見ろよ」


神使「神宮お願い事リスト?」

神様「そっ、神宮にお参りした人の願い事をリストにしたやつ」

65: 2016/02/20(土) 22:43:07 ID:kmOiIMDE

神使「見せて下さい」

神様「ダメ~ これは神様しか見ちゃいけないんです~」ベー

神使「・・・・・・」イラッ

神使「あれ? ちょっとイラッっとした? ねぇイラッとした?」

神使「してませんが」


神様「ほれ」ポイッ

神使「おっとっと」


神様「他のリストは見るなよ?」

神使「おじいちゃんが元気になりますように(69)、お金があつまりますように(51)」

66: 2016/02/20(土) 22:44:29 ID:kmOiIMDE

神使「これは?」

神様「少女が神宮に来たときにお参りした内容~」


神使「この後ろの数字は何です?」

神様「あぁ、成就指数だね」

神使「成就指数?」

神様「うん、70以上が神に上がっていくお願いで90以上が神力成就」


神使「それ以下はどうなるんです?」

神様「祈祷、まぁ神には上がらないお願いってこと」


神使「こんなシステム化されているんですね」

神様「10年前からね」

67: 2016/02/20(土) 22:45:22 ID:kmOiIMDE

神使「お金が集まりますようにというのは、さすがに低いですね・・・」

神様「まぁ良くある願いだからね。 普通は成就指数10以下なんだわ」


神使「でもこれって神社復興の為の資金って事ですよね」

神様「たぶん」


神使「なんでこんなに成就指数が低いんです?」

神様「もう少し分かるようにお願いしないと、さすがにこっちも分からんよ」

68: 2016/02/20(土) 22:46:38 ID:kmOiIMDE

神使「ちなみに成就指数っていうのはどうやって決まっているんですか?」

神様「下に詳細ボタンってあるだろ?」

神使「はい」ポチッ


 ズラッー


神使「これは・・・」

69: 2016/02/20(土) 22:47:30 ID:kmOiIMDE

神様「少女が神宮に来た回数とか買ったお守りの種類とか、その他備考なんか色々」

神使「こんな細かく調べているんですか?」


神様「大変なんだな~ これ作るの」

神使「・・・もしかしてこれ神様が?」

神様「だって、わたし他に仕事ないし~」ゴロゴロ

神使「・・・・・・」

70: 2016/02/20(土) 22:49:44 ID:kmOiIMDE

神様「成就指数が上がるように書いたんだけど中々数字が上がらんのよ」

神使「全ての参拝者にやっておられるのですか?」

神様「まさか~ そんなの無理無理。 おっ、みかん見っけ」ヒョイ

神様「たまたま私がお守りを売って、なんとなく気になったからってだけ」ムキ ムキ


神使「やっぱりここに来る前から全て知っていたんじゃないんですか」

神様「そんな訳ないじゃんよ、神力ゼロの私をなめんなよ?」パクッ

神使「威張ることではないと思います」


神様「お守り持った彼女見た時は、こっちがビックリしたわ」モグモグ


神様「このみかん すっぱ!」

71: 2016/02/20(土) 23:11:06 ID:kmOiIMDE


――― 翌日

 チュン チュン

神使「神様? 朝ですよ」

神様「ん~ ふぁ~」ノビー


神使「なんで寝たときと頭が逆の位置にあるんですか?」

神様「毛布が気持ちいい~ 神宮の宿舎にも毛布欲しいよな」スリ スリ

神使「え? いや・・・ なんでもないです」

神様「・・・もしかしてさぁ、神使君って自室に毛布ある感じ?」

神使「・・・・・・」

神様「そうなんだ・・・ うん、分かってる」シュン


神使「あ~、ほら神様! 今日は良い天気ですよ?」

神様「うん・・・ 神宮に帰ったら毛布買って・・・」

神使「はい」

72: 2016/02/20(土) 23:12:18 ID:kmOiIMDE

 スタスタ

神使「おはようございます少女さん」

神様「ふぉ~ ふぁ~ よ~」ノビー

少女「おはようございます・・・」

神使「神様? 朝の挨拶くらいきちんとして下さい」


神様「うひょ~ 見ろよ神使! 朝ご飯出来てる!」

少女「こんなもんで良いかしら?」

神使「申し訳ございません。 本来は居候である私達の仕事なのに・・・」

神様「達じゃない、お前の仕事だ腐れ犬ころ神使」

神使「・・・・・・」

73: 2016/02/20(土) 23:14:31 ID:kmOiIMDE

少女「気にしないで下さい、料理するの好きなんで」

神様「私も! でも、あんま料理作らせてもらえないからな~」

神使「この前10人病院に送ってましたよね」

少女「・・・・・・」


神様「それは私のせいじゃない!」

神使「本当ですか?」

神様「牡蠣だろ? 悪いのは牡蠣だろ? 私じゃないだろ?」

神使「神様が毒を盛っているのを見たとか色々と噂が立ってますよ?」

神様「なんだよそれ! めっちゃ犯罪じゃねーかよ!」


神使「しかも、それを見てほくそ笑んでたとか」

神様「私は悪魔かよ! いい加減にせーや」ムキー

74: 2016/02/20(土) 23:15:52 ID:kmOiIMDE

神使「はいはい、分かりましたから落ち着いて下さい」

神様「神宮に帰ったら言いふらした犯人絶対見つけてやる・・・」グヌヌ


少女「・・・さめちゃうし、食べよ?」

神使「そうですね、すいません」

神様「そうだな、食べるか」


一同「いただきます」


神様「うまい!」パク パク

少女「ありがとう」

75: 2016/02/20(土) 23:17:20 ID:kmOiIMDE

神使「少女さん、宮司さんがご入院されている病院というのは近いのですか?」

少女「バスで駅まで行って、そこから電車で30分くらいです」

神使「結構距離ありますね」

神様「都会?」モグモグ

少女「そこまで都会じゃないかな。 ここよりはずいぶん栄えているけど」


神使「そうだ、銀行に行きたいのですがここら辺にありますでしょうか?」

少女「ATMであれば駅前にあります」

神使「駅前ですか」

少女「日曜日も空いているんで病院に行く時に寄った方が良いと思います」

神使「そうですね。 お家賃の方はそれまでお待ち頂いてもよろしいですか?」

少女「気にしないで下さい」

76: 2016/02/20(土) 23:18:45 ID:kmOiIMDE

神様「私も少しお金下ろそっかな~」

神使「こっちへ来る前に通帳記帳して600円しか入ってなかったじゃないですか」

神様「・・・・・・」


神使「今日は少女さん学校ですよね?」

少女「はい。 18時頃には帰ります」


神様「留守は任せろ! ゲーム機ってある?」

少女「ごめん、ないかな」

神様「遊ぶ所って・・・」

少女「ない」

神様「ですよね~ はい! 寝てます!」

77: 2016/02/20(土) 23:20:11 ID:kmOiIMDE

神使「神様は他にやることないんですか?」

神様「巫女の仕事なら出来るぞ? お守りでも売るか!」

神使「なんですか、それ・・・ せめてお掃除とかっていう発想はないんですか?」


少女「あっ、バス来るまであと15分しかない。 急がなきゃ」

神様「じゃぁ、もう一杯だけご飯を」

少女「もう食べたの? 早いね・・・」

神様「神様なもので///」テレッ

神使「・・・・・・」

神様「・・・・・・」ゲシッ

神使「ちょ、何ですか? 何も言ってなじゃないですか」

81: 2016/02/21(日) 21:50:08 ID:/ejTu7VM

――― 数日後・日曜日


神使「さてと、神様? そろそろ出ますけど準備良いですか?」

神様「おっけ~」

神使「いや、ジャージはダメです」

神様「やっぱり?」


 ゴソゴソ


神使「この服でどうです?」

神様「おっ、いいね~ かわゆい」


神使「あれ? こんな服ありましたっけ?」

神様「A子ちゃんからもらったお下がり~」


神使「立場が逆じゃないですか? 明らかにA子ちゃんの方が年下ですよね?」

神様「・・・・・・」ゲシッ

82: 2016/02/21(日) 21:51:24 ID:/ejTu7VM

神使「お待たせしました」

少女「じゃぁ、いきましょうか」


 テク テク


神様「しかし、何もないね~」

神使「神様? 失礼ですよ」

少女「でも、本当のことだし」ピタッ

神様・神使「?」

83: 2016/02/21(日) 21:52:50 ID:/ejTu7VM

神様「どったの? バス停ってもっと先でしょ?」

少女「あっ、休日だからバス予約制でココで乗せてくれるの」

神様「まじで! 家の前まで来てくれんの?」


 プップッー


神使「本当だ、来ましたね」

神様「でもバス? ワゴンだよねあれ」

84: 2016/02/21(日) 21:54:34 ID:/ejTu7VM

 ガラガラ


運転手「駅で良いの? 少女ちゃん」

少女「はい、おじいちゃんのお見舞いで」

運転手「そちらさんも?」

少女「はい、祖父の・・・ お知り合いの方達です」

神様「神様です」ドヤッ

運転手「・・・・・・」


神使「すいません。 さっ、面白くない冗談言っていないで早く乗って下さい」

神様「はぁ~っ??」


運転手「他に予約無いから駅までノンストップで行くよ?」

少女「ありがとうございます」


 ブーン

85: 2016/02/21(日) 21:55:42 ID:/ejTu7VM

――― 駅前


神様「気持ちわる~」

神使「中々豪快な運転でしたね」


少女「大丈夫?」

神様「大丈夫。 神使、コーラ買ってきて」

神使「お茶とかの方が良いんじゃないんですか?」

神様「どうせ買うなら、甘くて炭酸入っている方が得した感じじゃね?」

神使「・・・お茶買ってきます」


少女「あっ、ATMはそこの角にあります」

神使「電車の時間は大丈夫ですか?」

少女「まだ大丈夫です」


神使「では行って参ります。 神様? 大人しくしていて下さいよ」タッタッ

神様「だから、私は子供じゃないっつてんだろーが」

86: 2016/02/21(日) 21:57:11 ID:/ejTu7VM

少女「神使さんいい人ですね」

神様「騙されちゃダメ、あれは腐れ犬ころだからね? 悪の使いだから。 邪犬だから」

少女「そうは見えないんだけど・・・」


神様「それより、おじいさまの具合はどうなの?」

少女「あんまり良くないかも」

神様「そっか」

少女「うん・・・」


神様「すまないな。 わざわざ神宮まで来てお参りしてもらったのに・・・」

少女「元々気休め程度だったし」


神様「役立たずでごめん・・・」

少女「・・・・・・」

87: 2016/02/21(日) 21:59:34 ID:/ejTu7VM

 タッ タッ タッ

神使「お待たせいたしました。 はい神様お茶です」

神様「ありがとう」

神使「!? どうしたんです? そんなに体調悪いんですか?」

神様「は?」

神使「神様が素直にお礼を言うなんて・・・」

神様「うっさい、犬ころ!」


神使「? 少女さんもお茶どうぞ」

少女「ありがとうございます」

88: 2016/02/21(日) 22:00:39 ID:/ejTu7VM

神使「それと、これ家賃ですのでお納め下さい」スッ

少女「でもこんなに・・・」

神様「気にする必要ナッシング。 正当なお金だ」

少女「・・・・・・」


神様「受け取ってもらわないとこっちが困る」

少女「・・・じゃぁ、お預かりします」

神使「では駅に行きましょうか」

少女「はい」

89: 2016/02/21(日) 22:01:51 ID:/ejTu7VM


――― 電車内


 ガタンゴトン


神様「Zzz・・・」カックン カックン


少女「なんか、全然神様って感じしませんね」

神使「お恥ずかしい限りです」


少女「でも、本物なんですよね?」

神使「神力がゼロで姿も見えてますけど、間違いなく神籍を有した神様ですね」


少女「なんだか不思議」

神使「私も思います」

90: 2016/02/21(日) 22:03:43 ID:/ejTu7VM

少女「神使さんもそう思ってるんですか?」

神使「私は神宮に3年前に赴任したのですが・・・ 初めてお目にかかったときは、びっくりしました」

少女「?」

神使「巫女の格好でお守りを売っていたんですから。 しかも他の巫女さんと一緒になって」

少女「他の神様はしないんですか?」

神使「ありえませんね。 人や神使と普通に会話をする神なんてこの方くらいかと」

少女「へー、意外です」

91: 2016/02/21(日) 22:04:50 ID:/ejTu7VM

神様「Zzz・・・」コテッ

少女「あっ」


神使「神様? 少女さんに寄りかかっちゃダメですよ?」ユサユサ

神様「んぁっ・・・ ごめん」ボー

少女「気にしないで」


神様「ん~ あとどのくらい?」

少女「次の駅かな」

神様「そう。 ふあぁ~~」ノビー


神使「神様? 人前でそんな大あくびなんて、はしたないですよ?」

神様「一々うるさいな~ 少女も何か言ってやってくれ」

少女「私も神使さんと同じ意見かな」

神様「・・・・・・」

93: 2016/02/23(火) 01:28:53 ID:GQpgFhWg


―――うめうめ病院

神様「大きな病院だな~」

少女「ここら辺では一番大きいかな」


神様「おっ、看護師さんだ。 ナース服かわゆいな~」

神使「神様? あんまり恥ずかしいことはしないで下さいね」

神様「わかってるよ。 なんだよその言い方」


神使「そこの売店でお見舞いの果物でも買っていきましょう」

少女「あっ、気になさらないで下さい」


神様「私はあの大きい網々のメロンが良いな」

神使「神様が食べるものじゃないんですけど」

94: 2016/02/23(火) 01:29:49 ID:GQpgFhWg

 スタスタ

少女「この部屋です」

神様「あ~ 念のため私達が神と神使って言うことは秘密にしておこう」

神使「そうですね」

少女「わかりました」


 ガラガラ


少女「おじいちゃん? 起きてる?」

宮司「少女ちゃんか?」

少女「うん、どう? 体の具合は」

宮司「あ~、天気が良い分いくらかマシだな。 ん? そちらの方は?」

95: 2016/02/23(火) 01:31:00 ID:GQpgFhWg

神様「神社の方から来ました」

神使「なんですか、その胡散臭い言い方は・・・」

少女「・・・・・・」


神使「すいません。 神宮から使いで参りました」

宮司「神宮? これはわざわざ」ヨイショ

神使「あっ、そのままで」


宮司「可愛らしいお嬢ちゃんも神宮の方ですか?」

神使「え~と・・・ うちの巫女です」

神様「可愛いだなんて///」クネクネ

96: 2016/02/23(火) 01:32:06 ID:GQpgFhWg

神使「この度は大変でしたね」

宮司「大切な社を申し訳けない」


神様「社のことなど気にする必要は無いぞ? 神宮の方でなんとかする」

神使「そんな上から目線なしゃべり方したらバレちゃうじゃないですか」ボソッ

神様「うっ・・・」


少女「この果物お二人からもらったんで台所で切ってくるね」スタスタ

97: 2016/02/23(火) 01:33:33 ID:GQpgFhWg

宮司「お嬢さんの方は、もしかして神宮の神様ですかな?」

神様「あっ、バレた?」

宮司「やはりそうですか。 50年ほど前、神宮で5年間奉職していましたので」

神使「そうなんですか!?」


神様「もしかして、私の事知ってたりする?」

宮司「私は事務方でしたので、でも何度かお見かけしました」

神使「神様って、そんなに前から巫女のバイトしてたんですか?」

宮司「巫女? とんでもない! 大変立派な神様でしたよ?」

神使「え?」


神様「うわー! 昔の話はダメ! 絶対!」ゲシッ

神使「痛っ! え? なんで私蹴られたんですか??」

98: 2016/02/23(火) 01:35:04 ID:GQpgFhWg

宮司「こんな老いぼれのためにわざわざ・・・ お忙しいのに申し訳ございません」

神使「お気になさらず」

神様「そうそう、全然忙しくないし。 あっ、こいつは犬ころ神使」

神使「申し遅れました。 私、神様の使いで狛犬の神使と申します」

宮司「おや、神使さんまで来て頂けるなんて。 ありがとうございます」


神様「あまり体調がすぐれないようだな」

宮司「正直・・・ 入院前はピンピンしていたのですが。 やはり年ですので一度体を壊すと・・・」

神使「そんなことおっしゃらずに」

99: 2016/02/23(火) 01:36:19 ID:GQpgFhWg

宮司「神様と神使様に会えたんですから、いつお迎えが来ても思い残すことありません」

神様「私達なんかに会っても冥土の土産にもならないぞ? そこら辺歩ってるし」

神使「そうですよ、少女さんだってまだ若いんですから」

宮司「ありがとうございます」


神様「すまないな~ にょろにょろ神社は100年以上神の立ち寄りがなかったそうだな」

神使「神宮からの達しで立ち寄りを行うために来たのですが・・・」

宮司「そうだったのですか」


神様「もう少し早く来ていればなぁ」

宮司「いいえ。 跡取りもいませんし・・・ きっとこうなる定めだったのでしょう」

神使「少女さんはお継ぎにならないのですか?」

宮司「あの子には、こんな田舎で一生を終えて欲しくは無いのです」

神様「・・・・・・」

100: 2016/02/23(火) 01:37:32 ID:GQpgFhWg


 ガラガラ


少女「おじいちゃん、果物切ってきた」

神様「うまそ~! メロン一切れもらって良い?」

宮司「どうぞ、どうぞ」


神使「神様? さすがにそれはどうなんですか?」

神様「だから遠慮して一切れって言ったじゃん」

宮司「神様と一緒に食べるだなんて、なんだか不思議ですな」


少女「あれ? バレてる?」

神使「はい、バレた原因は神様です」

神様「肝心な部分を端折って話すなよ。 あむっ」モグモグ

102: 2016/02/24(水) 00:12:47 ID:bo0GfM2I


――― 病院帰り道


 テクテク


神使「宮司さんお元気そうでよかったですね」

神様「お前の目は節穴だな」

神使「え?」


神様「かなり無理してたぞ?」

神使「すいません、気がつきませんでした」

少女「・・・・・・」ギュッ


神様「・・・・・・」チラッ

神使「? あっ、それ神宮のお守りですね」

少女「え? ・・・はい」

神様「私が売ったやつ~」

103: 2016/02/24(水) 00:15:26 ID:bo0GfM2I

神使「神様が直々にお授けされたお守りですから御利益満点ですね」

神様「・・・・・・」ゲシッ

神使「痛っ」


神様「空気読めよ神使」

神使「すいません・・・」


神様「謝るくらいなら私と少女にステーキご馳走しろ」

神使「またですか?」

神様「お店でステーキが食べたいんだよ!」

104: 2016/02/24(水) 00:16:09 ID:bo0GfM2I

神使「はぁ・・・ 少女さん、お昼はステーキでも良いですか?」

少女「私はなんでも・・・」


神様「犬ころの奢りだ。 国産黒毛和牛のサーロイン400gとか注文しような」

神使「どんな胃袋してるんですか・・・」

神様「神様なもので///」ゲシッ

神使「痛っ!」

105: 2016/02/24(水) 00:17:52 ID:bo0GfM2I

―――数日後


 ジリリリ ジリリリ


少女「はい、もしもし・・・ えっ・・・」

神使「?」


少女「そんな・・・」

106: 2016/02/24(水) 00:20:02 ID:bo0GfM2I


神様「燃えろっ! いい女~♪ 燃えろっ! ナッツコ~~♪」テクテク


神様「はぁ・・・ スーパーまで往復1時間って拷問だろ」テクテク

神様「ただいま~」ガラガラ


 スタスタ


神様「みんなが大好きなかわゆい神様がお帰りですよっと」ガチャ

 バタンッ!

神様「ぐへっ!」ビタン

少女「はっ、はっ、はっ」ダッ ダッ ダッ

107: 2016/02/24(水) 00:21:32 ID:bo0GfM2I

神使「少女さん!!」

神様「痛い・・・」


神使「神様! 大変です!」

神様「ほんとだよ・・・ 痛つつ」


神使「宮司さんの容体が!」

神様「!!」

108: 2016/02/24(水) 00:22:35 ID:bo0GfM2I


神使「先ほど病院から電話があって宮司さんが危篤状態になったと」


神様「・・・お守りがないな」

神使「お守り?」


神様「少女の鞄に着いていたお守りだ」

神使「そういえば飛び出す前に鞄をゴソゴソしてました」

神様「・・・・・・」


神使「私達も向かいますか?」

神様「ここで待とう」

神使「・・・分かりました」

109: 2016/02/24(水) 00:25:21 ID:bo0GfM2I


―――翌日


 ガラガラ


神使「少女さん!?」

神様「」


 タッ タッ タッ


少女「・・・・・・」

神使「少女さん! 宮司さんの御容体は?」

110: 2016/02/24(水) 00:26:59 ID:bo0GfM2I

少女「意識・・・ 不明です・・・」ギュッ

神様「・・・・・・」


神使「取りあえず家の中へ」

神様「少女・・・ その・・・」


少女「何が・・・」

111: 2016/02/24(水) 00:28:10 ID:bo0GfM2I

少女「何が神様よ! こんなお守り効きもしないじゃない!」バンッ

神様「・・・・・・」


少女「神社は取り壊されて、おじいちゃんは意識不明に・・・ なんでよ・・・」

神様「・・・・・・」


神使「少女さん、落ち着いて下さ―――」

少女「出て行って!」


神使「・・・・・・」

少女「何も守ってくれないじゃない! 嘘・・・つき・・・」タッ タッ タッ


神使「少女さん!」

112: 2016/02/24(水) 00:29:00 ID:bo0GfM2I

神様「・・・・・・」

神使「神様・・・」


神様「行くぞ」

神使「どちらへ?」


神様「・・・出て行けと言われたんだ」スタスタ

神使「あっ、神様!」スタスタ


 ガラガラ


少女「うっ・・・ うっ・・・」

113: 2016/02/24(水) 00:31:03 ID:bo0GfM2I

 トテトテ

神様「・・・・・・」シュン

神使「神様?」

神様「・・・・・・」


神様「神使よ、この近辺で一番神力の強い神はどこにいる」

神使「うごうご山にある、うご山神社の主神様かと・・・」

神様「うごうごか・・・」


神使「神様? 何を考えているんです?」

神様「・・・・・・」


神使「それよりこれからどうするんですか?」

神様「疲れた、寝る」


神使「どこで寝るのですか?」

神様「・・・・・・」

114: 2016/02/24(水) 00:32:26 ID:bo0GfM2I

――― 深夜・駐車場


神使「神様?」

神様「・・・・・・」ポチポチ


神使「携帯なんかいじって何しているんです?」

神様「・・・・・・」ポチポチ


神使「今夜は冷えます。 寒ければ私を抱いていて下さい」

神様「・・・・・・」ポチポチ


神使「・・・おやすみなさい神様」

神様「・・・・・・」


 モソモソ


神様「・・・・・・」ギュッ

神使「・・・・・・」

115: 2016/02/25(木) 01:33:54 ID:XzXb3j5E


――― 翌日


 チュンチュン


神使「う~ん・・・ 朝?」


 ゴソゴソ


神使「神様?」


 ゴソゴソ


神使「お出かけですか?」

神様「買い物」

神使「今準備しますので少しお待ち下さい」

神様「いや、私一人で行ってくる」

116: 2016/02/25(木) 01:35:02 ID:XzXb3j5E

神使「まさか、うご山神社じゃないでしょうね?」

神様「うごうごは・・・ 明日の朝に行く」


神使「ではどちらへ?」

神様「ん? あぁ~」


神使「神様?」

神様「大丈夫だ。 お土産を見繕ってくるだけだ」


神使「ハァ・・・ お金は持っているんですか?」

神様「ぅ・・・」

117: 2016/02/25(木) 01:36:28 ID:XzXb3j5E

神使「何を買うのか知りませんが、これで足ります?」サッ

神様「うん」


神使「お戻りは」

神様「夕方には戻る。 私の正装を用意しておいてくれるか?」

神使「分かりました」


神様「じゃぁ行ってくる」テクテク

118: 2016/02/25(木) 01:38:22 ID:XzXb3j5E


―――翌日・うごうご山参道


神使「結構急な山道ですね」

神様「はっ はっ」ゼェ ゼェ


神使「神様、大丈夫ですか? 少し休憩をされては・・・」

神様「はっ はっ」ゼェ ゼェ


神使「・・・・・・」

119: 2016/02/25(木) 01:43:30 ID:XzXb3j5E


――― 山頂・うご山神社


神様「は~ ふぅ~」

神使「やっと頂上ですね」


 スタスタ


神様「おい、そこの巫女よ」

巫女「?」


神様「私は神宮神籍、内宮付きの神様である」

巫女「神宮!?」

神様「ここの神に用があって参った。 主様に取り次ぎを願いたい」

巫女「はい、少々お待ち―――」

主神「だれかと思えばお前か、久しぶりだな」パッ

巫女「主様」

120: 2016/02/25(木) 01:45:07 ID:XzXb3j5E

神様「お願いがあって来た。 話を聞いて欲しい」


主様「隣は?」

神様「私の神使だ」

神使「はじめまして。 神様の使い、狛犬の神使と申します」


主様「巫女よ、下がっていろ」

巫女「はい」スタスタ


主様「その格好・・・ お前巫女にでもなったのか?」

神様「・・・・・・」イラッ


神使「神様は神階ランク外のため礼装がなく申し訳ございません」

神様「・・・・・・」ゲシッ

主様「ははははっ、これは愉快だな」

121: 2016/02/25(木) 01:48:28 ID:XzXb3j5E

神様「神階など不要だ」

主様「ほぅ、相変わらずだな。 さて、何用かな?」


神様「にょろにょろ神社の宮司を助けてもらいたい」

主様「ダメだ」

神様「・・・・・・」


主様「人の生氏をいたずらに弄るのは規定違反なこと位お前も知っているであろうが」

神様「そこを理解した上でお願いしている」

主様「お前のその発言自体が神としては重罪だぞ?」

神様「承知している」

主様「はぁ~」


神様「お願いします!」

主様「頭を下げてもダメなものはダメだ」

神使「神様・・・ さすがにそのお願いは無茶すぎます・・・」

122: 2016/02/25(木) 01:50:11 ID:XzXb3j5E

神様「・・・・・・」ピラピラ

主様「? なんだその紙切れは」


神様「聖騎魔II 黒ミサコンサート」ボソッ

主神「」ピクッ


神様「全席氏刑ツアー アリーナ席、前列」ニヤッ

主様「」ピクッ

123: 2016/02/25(木) 01:51:32 ID:XzXb3j5E

神様「主様、もう一度お願いします。 宮司をお助け下さい!」ピラピラ

主様「ケーブルカーを使わずよくここまで歩いてきた。 大変だったであろう」

神様「主様へ謁見するのにそのような失礼は出来ません!」ピラピラ

主様「よかろう、褒美だ。 その願い聞き入れよう」

神様「ありがとうございます!」ピラピラ

神使「・・・・・・」


神様「それと主様、もう一つご相談が」

主様「なんだ、まだあるのか?」

神様「デモン閣下ディナーショー S席チケット」ピラピラ

主様「なんだとっ!?」クワッ!

主様「失礼。 お前との仲だ、何でも言うが良い」

神様「ありがとうございます!」ピラピラ

神使「・・・・・・」

124: 2016/02/25(木) 01:52:59 ID:XzXb3j5E


 ゴウン ゴウン


神使「帰りはケーブルカーなんですね」

神様「もうあいつに用はないし~」


神使「賄賂だなんて犯罪ですよ?」

神様「何のこと言ってんの?」


神使「コンサートチケットと交換で宮司を助けるだなんて」

神様「は? あれは歩って山頂まで行った褒美だぞ?」


神使「バレたらヤバいですよ?」

神様「バレねーよ、ビビってんじゃねーよ犬ころ」


神使「神様?」

神様「・・・・・・」

125: 2016/02/25(木) 01:55:33 ID:XzXb3j5E

神様「なぁ、神使」

神使「なんです?」


神様「神があまり人と接触を持たない理由って知っているか?」

神使「え?」

神様「どの神も若い頃は積極的に人と関わりを持つんだよ。 人が嫌いな神なんかいない」

神使「・・・・・・」


神様「でも・・・ 神のくせに身近な一人の願いすらまともに叶えられない」

神使「・・・・・・」


神様「何回も、何百回も、何千回も・・・ その繰り返しを味わうんだ。 私達は長生きだからな」

神様「そして、いつしか距離を置くようになる。 いや、遠くから見守る存在になると言った方が良いか」

神使「神様・・・」

126: 2016/02/25(木) 01:57:03 ID:XzXb3j5E

神様「私はそれでもいいと思っている。 間違っていないしな」

神様「でも・・・ 私は・・・」


神様「今、私の手の届く範囲で神として手を差し伸べなければならない者がいる」

神様「だから私はその者に全力で手を差し伸べる。 力がない分どんな手を使ってでもな」

神様「それが私のやるべき事であり、存在できるたった一つの理由だ」

神使「神様・・・」


神様「だから、神使よ」

神使「はい」

127: 2016/02/25(木) 01:58:13 ID:XzXb3j5E

神様「下に降りたら売店で、いか焼きとりんご飴を奢ってくれ」フッ

神使「・・・・・・」


神使「シリアスは最後まで続けないと寒いですよ?」

神様「・・・・・・///」

129: 2016/02/26(金) 03:32:25 ID:JgXwXzCI


―――翌日・病院


少女「おじいちゃん・・・」


 トントン


少女「・・・はい」


 ガラガラ


?「にょろにょろ神社の宮司はここで良いのか?」

少女「そうですが、祖父のお知り合いの方ですか?」

?「あ~ 何というか・・・ 神社の方から来た」

130: 2016/02/26(金) 03:33:43 ID:JgXwXzCI

少女「・・・・・・もしかして神様のお知り合いの方ですか?」

?「なんだ、あいつを知っているのか?」

少女「・・・・・・」コクッ


主神「じゃぁ話は早い。 うごうご神社の主神だ」

少女「うごうご?」


主神「ちょっと入らせてもらうぞ?」スタスタ

少女「あの・・・」



主神「なるほどな。 さてと、少女よ少し下がっていてくれ」

少女「?」

主神「このじいさんをこれから助ける」

少女「えっ!?」

131: 2016/02/26(金) 03:34:36 ID:JgXwXzCI

主神「では、いくぞ」


 ポワッ ポワッ ポワッ


主神「久しぶりだから腕が鈍っていないと良いが」


 ポワッ ポワッ ポワッ


主神「まぁこれで大丈夫だろう。 じゃぁワシは帰るぞ」スタスタ


少女「あの!」

主神「なんだ?」

少女「一体何を?」

主神「その者の生命力を高めた。 時期に目覚めるだろう」

少女「えっ?」

132: 2016/02/26(金) 03:35:55 ID:JgXwXzCI

主神「腐れ縁のバカ神から頼まれたのでな」

少女「神様のことですか?」


主神「昨日の朝にワシの所に来てな。 お前のじいさんを助けろと」

少女「神様が・・・」


主神「礼なら私でなくあのバカに言え。 にょろにょろ神社跡の駐車場でしょぼくれているぞ」

少女「なんで神様がそんなことを・・・」

主神「神に願い事をしておいて変なヤツじゃな」


少女「でも、私・・・ 神様に酷いことを」

主神「飯でも作ってご馳走してやれ。 あいつは大抵それで何とかなる」

少女「・・・・・・」

133: 2016/02/26(金) 03:37:44 ID:JgXwXzCI

主神「それと、そのじいさんの目が覚めたら、うご山神社の宮司にするから言っといてくれ」

少女「?」


主神「じいさんの命を助ける。 じいさんの再就職先を斡旋する。 そう約束した」

少女「そんなことまで・・・ 神様が・・・」グスッ


主神「あのバカの前でそんな暗い顔や涙なんか見せるなよ? あいつはそういうのが一番苦手だ」

少女「・・・・・・」コクッ

主神「だから、あいつの前では明るく笑っていてやってくれ・・・ って何言ってんだワシは」ボリボリ


主神「じゃぁな。 あいつとの縁は切るなよ」

少女「ありがとうございます」フカブカ

主神「だから礼はあのバカに言えって。 じゃぁ・・・ そうだな、また会おう」ガラガラ

134: 2016/02/26(金) 03:38:36 ID:JgXwXzCI


―――駐車場


神様「お前さぁ~ コンニャク以外の物を買ってこいよ!」ゲシッ

神使「付近にコンニャク屋さんしかお店がないんですから我慢して下さい」


少女「神様・・・」

神使「少女さん!」

神様「ん? 少女? って!」

少女「・・・・・・」

135: 2016/02/26(金) 03:39:49 ID:JgXwXzCI

神様「あっ、ごめん! すぐこの町から出て行くから」

少女「あの・・・」

神様「分かった! 今すぐ片付ける! ほら神使ブルーシートどかせよ!!」ゲシッ

神使「痛っ」


少女「違う!!」

神様・神使「!?」


少女「違うの・・・ その・・・」

神様「?」

136: 2016/02/26(金) 03:41:16 ID:JgXwXzCI

少女「・・・ありがとうございます! それとごめんなさい!」

神様「え? なに? どしたの?」


少女「さっき、うご山神社の主神さまに・・・」

神様「うごうご? アイツに会ったの?」

少女「今日の朝に病室へ来て・・・」


神様「あいつが人前に現れるなんて珍しいな」

神使「そうなんですか?」


神様「まぁ、どうせアイツのことだから私の悪口でもほざいてたんでしょ」

少女「そんなことない」フルフル


神様「うごうごには、聖騎魔IIのチケット渡しに行っただけだって」

137: 2016/02/26(金) 03:42:40 ID:JgXwXzCI

少女「私・・・ 神様に失礼なことを言って・・・ どうしよう・・・」

神様「本当のことだし、気にしなくても大丈夫よん」


少女「おじいちゃん、来週には退院できるって」

神様「そう、よかったね」ニコッ


少女「おじいちゃんの再就職先も神様が斡旋してくれたって」

神様「あ~ うご山神社は神主不在で派遣の巫女しかいなかったからね~」

少女「ありがとうございます、神様」

神様「いや、私は何もしてないんだけど・・・」


少女「・・・・・・」

神様「少女?」

138: 2016/02/26(金) 03:43:30 ID:JgXwXzCI

少女「その・・・ 料理作ったんだけど食べに来て・・・ もらえないでしょうか」

神様「うそ! いいの?」

少女「はい、ぜひ来て下さい」


神様「行く行く! コンニャク飽きちゃってさ~」

神使「ダメですよ神様? そんな失礼なことを言っちゃ」

神様「うるさいよ腐れ犬ころ」


少女「本当に・・・ ありがとうございます」

139: 2016/02/26(金) 03:45:09 ID:JgXwXzCI

神様「ねぇ、敬語はやめて? 友達として接して欲しいな」ニコッ

少女「・・・ ありがとう」グスッ

神様「泣くより笑っていた方が良いと思うよ? 私はそっちの方が嬉しい」

少女「そうだね」


神様「はい」スッ

少女「?」

神様「携帯。 ラインやってる? ふるふるしよ?」

少女「うん」

神様「やった! 二人目だ!」フルフル フルフル


少女「神様? ガラケーじゃ、ふるふる出来ないと思う・・・」

神様「・・・・・・」フル

140: 2016/02/26(金) 03:47:13 ID:JgXwXzCI


―――少女宅


神様「いや~ ご馳走様!」

少女「お粗末様でした」

神使「やはり温かいご飯は美味しいですね」


少女「お茶です」コトッ

神使「ありがとうございます」


少女「神様はコーラで良い?」

神様「分かってるね~」

少女「はい」シュワシュワー

神様「ゴクゴク あ~ 美味しい~」ゲップ


神使「神様?」

神様「分かってるよ、下品なんだろ?」

141: 2016/02/26(金) 03:48:04 ID:JgXwXzCI

神使「それもそうなのですが・・・ 明後日ここを離れることになりました」

少女・神様「え?」


神使「先ほど神宮から連絡がありまして」

神様「ずいぶんと急だな。 っていうか私にはそういう連絡は来ないの?」

神使「・・・・・・」


少女「まだこっちに来てそんなに経っていないですよね?」

神使「今後のこともありますし、おじいさまが退院するまでは残りたかったんですけどね」

神様「後は神宮の方で何とかすんでしょ。 私達よりは役に立つはずだし」

少女「神様・・・」

142: 2016/02/26(金) 03:50:15 ID:JgXwXzCI

神様「少女よ、私との別れは辛いであろう・・・ しかし私は少女の今後を影―――」

少女「私、高校卒業したらおじいちゃんの後を継ぐ!」

神様「はい?」


少女「神主さんってどうやったらなれるの?」

神様「・・・・・・」

少女「やっぱり修行とかしないとダメなのかな」


神使「私もあまり詳しくはないのですが、専門の養成機関や大学などがあるようです」

神様「え? そうなの?」

神使「神様、知らないんですか?」

神様「だって神宮の玄さんなんか草野球やっているときに宮司に誘われたって言ってたぞ?」

神使「それは・・・」

143: 2016/02/26(金) 03:52:02 ID:JgXwXzCI

少女「野球できないとダメ?」

神様「いや、2年前入ったB夫は神宮に来る前はハッカーしてたって言っていた」

神使「それ大丈夫なんですか・・・」


少女「一芸なの?」

神使「違います」


神使「少女さんはおじいさまが神職ですし、推薦状があれば養成所に入れると思います」

少女「そうなんですか?」

神使「神様が推薦状を付けてあげれば今からでも間に合うんじゃないですか?」

神様「え~、私の推薦状なんか意味ないだろ」

神使「一応は神様ですし・・・ その位は・・・」


神様「いや、絶対無いと思う。 逆効果になる可能性の方が高い」

神使「あ~ それもそうですね」

神様「そこは否定しろよ」ゲシッ

144: 2016/02/26(金) 03:52:41 ID:JgXwXzCI

神使「でも少女さんは高校卒業されたらどうするつもりでいたのですか?」

少女「おじいちゃんの神社のお手伝いをと」

神様「あ~ でも、もう無いよね・・・」

少女「うん」


神使「でも神職だなんて、おじいさまがなんて言うか」

神様「そこは関係ないんじゃない? 少女の人生だし」

神使「そうですね」

145: 2016/02/26(金) 03:54:07 ID:JgXwXzCI

少女「それに、この前神様が私の夢に出てきたんだよ」

神様「私?」

少女「うん、凄く神様オーラ全快でちょっとイメージと違ったけど」

神様「うそ、私かわゆかった?」

少女「後ろの光がまぶしくてあんまりよく分からなかったけど。 でもお日様みたいに温かかった」

神様「・・・・・・」


少女「で、神様が私に“立派な<かみしょく>になるがよい”って」

神使「かみしょく? しんしょく(神職)じゃないんですか?」

少女「そうなのかな」

神様「・・・・・・」

146: 2016/02/26(金) 03:54:54 ID:JgXwXzCI

神使「神様って夢枕に立てるんですか?」

神様「えっ? 私は・・・ほら、神力ないから夢に入れないんだけどさぁ・・・」

神使「そうですよね。 そんな神様っぽいこと出来ませんよね」

神様「・・・・・・」ゲシッ


神使「でも、少女さんが神職になる頃はにょろにょろ神社も復興されているでしょうしね」

少女「でも、復興には凄くお金がかかるみたいで」

神様「神宮が復興費用を出す。 再建までには何年かかかると思うけど」

少女「えっ?」

147: 2016/02/26(金) 03:55:36 ID:JgXwXzCI

神使「話はついています。 近いうちに神宮から復興に関する連絡があると思いますので」

少女「そんなことまで・・・」

神様「仕事だから、し・ご・と! 気にする必要ナッシング」


神様「でも、神主だなんて・・・ 本気?」

少女「うん、絶対揺るがない」


神様「・・・まぁ、好きにしてちょ」

148: 2016/02/26(金) 03:56:51 ID:JgXwXzCI


 だからお願いだって!
 良いじゃんよその位さぁ~


神使(ん? 神様? こんな遅くに携帯で誰と・・・)コソッ


 いや、1人くらい入れてあげてよ。
 すごく優秀な子だってば~
 頼むって お前が神勅!とか言えば良いだけなんだから
 なんでも言うこと聞くからさぁ~
 本当? いや~ありがとう!
 うん、じゃぁよろしくね。 バイビー


神使「・・・・・・」フフッ

149: 2016/02/26(金) 03:57:44 ID:JgXwXzCI


――― 翌日


神様「あの~ 少女?」

少女「なに?」

神様「本当に神主になるの?」

少女「うん、今年はもう間に合わないけど来年行こうかと思って」


神様「その~ なんか私の知ってる神社が神主候補を募集しているようで・・・ いく?」

少女「えっ? 本当に!?」

神様「少し遠いしここを離れないといけなくなるだろうから無理にとは言わなけどさ」


神使「へぇ~、珍しいですね。 どこの神社なんですか?」

神様「・・・神宮」

150: 2016/02/26(金) 03:58:42 ID:JgXwXzCI

少女「神宮って、もしかして・・・」

神使「神社の頂点みたいな所ですね。 普通じゃ入れませんよ?」


神様「たまたま空いていたみたいで・・・ ちょうど相談を受けて・・・」

神使「へぇ~ そうなんですか。 そんな採用枠初めて聞きました」


神様「お前さぁ、なんか言いたいことあるの?」

神使「いいえ、特にありません」ニコッ

神様「・・・・・・」イラッ

151: 2016/02/26(金) 03:59:45 ID:JgXwXzCI

少女「ありがとう・・・ でも私ばっかり神様にこんな沢山お願いを叶えてもらって悪い気が・・・」

神様「は? 私は仕事しただけだし、これで給料もらってるから気にする必要は無いと思うけど」


少女「でも・・・ これはお返しします」スッ

神様「・・・・・・」


神使「これは家賃としてお支払いしたお金ですか?」

少女「はい、これはお返しさせて下さい」

神使「気になさらないで下さい。 一度お渡した物ですし」

少女「でも」

152: 2016/02/26(金) 04:00:33 ID:JgXwXzCI

神様「おじいさんが退院したら旅行にでも連れて行ってあげれば~」

少女「・・・・・・」


神様「残りは入院費にでもまわせば良いし」

少女「・・・・・・」


神様「気にするなって~、それとも神様が渡した物をいらないと言って返すつもり?」

少女「ありがとう」


神様「神宮へ行くんだろ? 色々お金もかかる。 私からの選別と思ってくれ」ニコッ



神使「神様? それ全額私の給料ですけどね・・・」

153: 2016/02/26(金) 04:02:58 ID:JgXwXzCI


――― 夕方


神使「さてと、神様忘れ物はないですか?」

神様「うん」


神使「では、少女さん。 お世話になりました」

少女「また会えるかな」

神様「約束する。 絶対に会える」

少女「うん、楽しみにしてる」

154: 2016/02/26(金) 04:03:45 ID:JgXwXzCI

神様「そうだ少女、これ」スッ

少女「お守り・・・」


神様「私が作ったヤツだから御利益ないんだけど」

少女「これって神様が作ったやつだったの?」

神様「御利益なしは実証済みだけど、こんな物しか作れないし」

少女「ありがと・・・ すごい御利益あったよ。 一生大切にする」

神様「いや、そこまでする必要は無い」


神使「神様の神階が上がったら作り直してあげて下さい」

神様「うっせーよ、犬ころ」ゲシッ


少女「ふふっ」ニコッ

155: 2016/02/26(金) 04:05:26 ID:JgXwXzCI

神様「じゃぁ、暇なときラインちょうだいね~」

少女「分かった」


神使「では少女さん、お元気で」

神様「ばいば~い」


――――
―――
――

156: 2016/02/26(金) 04:06:57 ID:JgXwXzCI


 ガタンガタン


神使「少女さん良い子でしたね」

神様「あれ? ほの字?」

神使「からかわないで下さい。 でも良い神職になれそうですね」


神様「あぁ、きっと・・・ 良い神様になるな」ボソッ

神使「何か言いました?」

神様「いいや、順番的にはお前が先だな」

神使「順番? 何のですか?」

神様「なんでもない」ニコッ

神使「?」

157: 2016/02/26(金) 04:08:22 ID:JgXwXzCI

神使「そうだ、神様機構から懲罰書が届いてますよ?」

神様「・・・・・・」


神使「当面、全国の神職不在神社の管理を命ずる だそうです」

神様「えっ?」


神使「それと人事院からも届いています」

神様「はっ?」

神使「半年間給料30%カットを命ずる だそうです」

神様「30%オフって何だよ! 手取りいくらになるんだよ!」

神使「6万切るでしょうね」

神様「無理、っていうか何でバレてんの?」

神使「さぁ?」

神様「お前、まさかチクったんじゃないだろうな?」

神使「私は何もしてませんってば」

神様「なんだよー! なんでだよ! 完璧な作戦だったのに~!」ムキー

158: 2016/02/26(金) 04:09:18 ID:JgXwXzCI

神使「あとですね」

神様「なんだよぉ~ まだあるのかよぉ~」


神使「クレジットカードの明細に身に覚えのない項目があるんですけどね?」

神様「・・・・・・」


神使「ヤホーかんたん決済という項目で12万ほど」

神様「・・・・・・」


神使「身に覚えありますか? 神様」

神様「・・・・・・」


神使「最近何か落札されましたか? 例えばコンサートチケットとか」

神様「・・・・・・」

159: 2016/02/26(金) 04:10:41 ID:JgXwXzCI

神使「分かりました。 神様の給料から天引きしておきますね?」

神様「えっ?」


神使「来月まで給料ありませんよ?」

神様「狛犬さま~ 堪忍じでぐだざい・・・」

神使「あきらめて下さい」

神様「うぅ・・・」

160: 2016/02/26(金) 04:13:14 ID:JgXwXzCI

神使「と言う訳で、このまま次の勤務先に行きましょう」


神様「吉祥寺です?」

神使「まさか~」


神様「下北沢です?」

神使「そんな訳ないでしょうが」


神様「どこです?」

神使「着いてからのお楽しみです」



神様「いやだー! おしゃれな街に行きたいよーーーーー!」





神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#1 ―END

161: 2016/02/26(金) 04:14:32 ID:JgXwXzCI

たいした物語でもなく・・・ すいません
反省!(ドゲザ)

162: 2016/02/26(金) 05:52:46 ID:7CmeRKj6
乙神

163: 2016/02/26(金) 06:52:31 ID:/hBL8M36

引用: 神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」