165: 2016/02/29(月) 01:16:20 ID:WvfqAQRo
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
~前回のあらすじ~
神様「私は神様! 神宮に籍を置くとっても立派でかわゆい神様だ!」
神使(訳)「神力ゼロの神様は、神宮でミスを連発し地方へ短期出向を命じられたのでした」
神様「私の神々しい力を待つ者達を救うべく、今日も旅を続ける」
神使(訳)「立ち寄り先で、問題解決のため別の神様へ賄賂を送ったことがバレて無期出向に」
神様「よし! 今日はお前の願い叶えてしんぜよう」
神使(訳)「問題を起こしにあなたの所へ行く可能性があります。 逃げて下さい」
166: 2016/02/29(月) 01:17:30 ID:WvfqAQRo
【#2】
プシュー
神使「神様、ホームに段差がありますから気をつけて降りて下さい」
神様「・・・・・・」
神使「いや~ 疲れましたね」
神様「おい、腐れ神使」
神使「?」
神様「なんだよここ」
神使「しかしか高原駅です」
神様「駅名を聞いたんじゃねぇよ」
167: 2016/02/29(月) 01:18:43 ID:WvfqAQRo
神使「いや~ 想像以上に凄いですね」
神様「木しかねぇじゃん、人いねぇじゃん、秘境じゃん!」
神使「この景色、ひのひの村なんか比べものになりませんね」ハハッ
神様「んがーー! なにコレ、嫌がらせなの? ねぇ、悪質な虐め?」
神使「さて、暗くなる前に行きますよ」
神様「マジかよ~ 勘弁してくれよ~」
168: 2016/02/29(月) 01:19:28 ID:WvfqAQRo
テクテク
神様「なぁ、もうだいぶ歩いたけど民家ゼロなんだけどさぁ」
神使「そうですね」
神様「そうですね、じゃなくてさ~ こんな所で何すんだよ」
神使「暗くなってきましたし、懐中電灯つけますか」ポチッ
神様「うわ~ 気味悪いな」
神使「あっ、お社が見えましたよ」
169: 2016/02/29(月) 01:20:25 ID:WvfqAQRo
神様・神使「・・・・・・」
神様「神使君、帰らない? コレ絶対ヤバいって」
神使「さすがにちょっと引きますね」
神様「間違いなく幽霊出るってコレ、帰ろ? 怒られても良いから帰ろ?」
神使「きっと怒られるだけじゃすまないですよ?」
神様「でもさぁ~ こんなの無理だって」
神使「取りあえず入りましょう」
神様「嘘だろ~」
170: 2016/02/29(月) 01:21:26 ID:WvfqAQRo
ギィー
神使「・・・・・・」
神様「あっ、無理無理。 床ねーじゃん」
神使「ご神体も見当たらないですね」
神様「よし! ご神体もないし帰ろう!」
神使「神宮に問い合わせてみます」スッ
神様「も~ はやくしてちょ」
神使「・・・圏外ですね」
神様「だよね~ 人いないもん」
171: 2016/02/29(月) 01:23:00 ID:WvfqAQRo
神使「神様の神力で神宮に問い合わせできませんか?」
神様「喧嘩売ってるのか犬ころ」ゲシッ
神使「暗くなってきましたし、ここに泊まります?」
神様「はははっ、お前埋めるぞ?」ギロッ
神使「・・・・・・今日は戻って別の場所で宿に泊まりましょう」
神様「よっしゃ、1つ前の駅がしおしお温泉だったよな」
神使「ではそちらへ行きますか」
172: 2016/02/29(月) 01:24:10 ID:WvfqAQRo
テクテク
神使「今から行って泊まれますかね? もう19時まわってますし」
神様「・・・・・・」
神使「神様? どうしました?」
神様「つけられてる」ボソッ
神使「!? ・・・後ろですか?」ボソッ
神様「あぁ」
神使「気付きませんでした、申し訳ありません」
173: 2016/02/29(月) 01:25:20 ID:WvfqAQRo
神様「取りあえず駅まで向か―――!? 神使! 伏せろ!!」
神使「えっ?」サッ
ビュン
神様「神使! 大丈夫か!?」
神使「はい、間一髪です」
神様「当たらなかったか? ケガはないか?」
神使「え、えぇ。 大丈夫です。 これは・・・ 小石?」
神様「誰だ! 姿を見せろ!!」クルッ
174: 2016/02/29(月) 01:26:33 ID:WvfqAQRo
タッ タッ タッ
神使「逃がすか!」
神様「待て! 深追いするな」
神使「しかし・・・」
神様「暗すぎる、危険だ」
神使「分かりました」
神様「もう一本懐中電灯を」
神使「はい、どうぞ」
神様「お前は前を照らせ。 駅まで全速力で走るぞ」
神使「分かりました」
神様「ダーシュッ!」
タッ タッ タッ
175: 2016/02/29(月) 01:27:19 ID:WvfqAQRo
――― しかしか高原駅
タッ タッ タッ
神様「次の電車は何分だ」ハァ ハァ
神使「30分後です」
神様「電車が来るまで後ろを見張ってくれ、私は前を見張る」
神使「はい」
神様「懐中電灯を灯台のように振って周囲を照らし続けろ」
176: 2016/02/29(月) 01:28:19 ID:WvfqAQRo
神様「誰か隠れているみたいだな」
神使「えぇ、2人確認できます」
神様「一体何なんだ?」
神使「でも・・・ 襲ってくる気配はなさそうですね」
神様「大人しく立ち去れってことか?」
177: 2016/02/29(月) 01:29:48 ID:WvfqAQRo
ファーン ガタンガタン
神使「電車が来ました」
神様「早く~! もっと早く~!」
プシュー
神使「神様、足下気をつけて乗って下さい」
神様「はぁ~、助かった~」
ガタンガタン
次は しおしお温泉口です
神使「一体何者なんですかね?」
神様「こっちが聞きたいわ」
178: 2016/02/29(月) 01:30:44 ID:WvfqAQRo
神使「どうしましょう、神宮に報告します?」
神様「う~ん、宿に着いてから考えよう」
神使「分かりました。 それより神様ずいぶん慣れてましたね」
神様「あん?」
神使「いや、何かいつものだらしない神様とは別人のような対応でしたので」
神様「全然褒めてないよね? っていうかかなりナメた発言だよね?」
神使「いえ、そう言うつもりではないんですが・・・」
神様「昔は多かったんだよ、こういうの」
神使「そうなんですか?」
神様「あぁ・・・ 多かったんだ・・・」
181: 2016/03/01(火) 00:56:34 ID:wJKXwtFA
――― しおしお温泉旅館
神使「すいません。予約なしで突然来てしまいまして」
仲居「気にしないで下さいな。 シーズンオフですし、こっちが助かります」
神使「ありがとうございます」
仲居「時間も遅いですし、先にお食事の支度しちゃいますね」
神使「お願いします」
神様「じゃぁその間に」ヌギヌギ
182: 2016/03/01(火) 00:57:58 ID:wJKXwtFA
神使「ちょっと神様? 仲居さんがいるのに下着姿にならないで下さい」
仲居「あら、可愛らしい下着ですね」
神様「照れるじゃないか~」クネクネ
神使「・・・・・・」
神様「お前も浴衣に着替えたら?」
神使「後ほど・・・」ハァ
神様「やっぱ和服の方が落ち着くな~」シュルシュル
仲居「お若いのに珍しいですね。 帯の結びも綺麗ですし」
神様「いや~ん 褒められた?」クネクネ クネクネ
神使「・・・・・・」
183: 2016/03/01(火) 00:58:53 ID:wJKXwtFA
神使「あの、ちょっとお伺いしても良いですか?」
仲居「なんですか?」
神使「先ほど、しかしか高原に行ってきたのですが住んでいる方とかいるんでしょうか」
仲居「誰かにお会いになりましたか?」
神様「変な集団に追いかけられた」
仲居「近づかない方が良いですよ? 宗教団体があるんです」
神使「宗教団体?」
仲居「えぇ、詳しくは知らないんですが他人を近づけたがらないんです」
神様「気持ちわる!」
仲居「本当ですよ」
神様「宗教団体ってのが胡散臭さ倍増だな」
神使「・・・自分だってそうじゃないですか」ボソッ
184: 2016/03/01(火) 00:59:48 ID:wJKXwtFA
仲居「一体何がしたいんだか」
神使「そうなんですか・・・ 神様どう思います? 」
神様「うわっ、これウマそうじゃん」
神使「・・・・・・」
仲居「しおしお牛のすき焼きです。 食べ終わりましたら廊下にでも出しておいて下さい」
神使「ありがとうございます」
仲居「ではごゆっくり」スタスタ
185: 2016/03/01(火) 01:00:42 ID:wJKXwtFA
神様「食べよう!」
神使「そうですね」
神様・神使「いただきます」
神様「うんま! うんまっ!」パク パク
神使「どうされますか?」
神様「どうって?」モグモグ
神使「あの神社ですよ」
神様「う~ん・・・ ちょっとあの社のこと調べてくれる?」
神使「分かりました」
186: 2016/03/01(火) 01:02:05 ID:wJKXwtFA
神様「な~んか、嫌な感じするな~」パク パク
神使「嫌な感じですか?」
神様「う~ん・・・ なんかあの神社、昔に一度来た記憶はあるんだけどな~」
神使「本当ですか?」
神様「よく覚えてない」モグモグ
神使「どのくらい前なんです?」
神様「さ~な~ 100年? 500年? いやもっと前だったかな」
神使「はい!?」
神様「だから良く覚えてない」
187: 2016/03/01(火) 01:03:34 ID:wJKXwtFA
神使「ちょっと待って下さい、神様ってお生まれはいつなんですか?」
神様「あれ? 聞いてない?」
神使「えぇ、神様に関する情報ってなんか詳しく教えてもらえなかったんです」
神様「ふ~ん」パク パク
神使「教えて下さいよ」
神様「めんどい。 そのうち教えてあげる」モグモグ
神使「はあ・・・」
神様「それより、お前の肉と私のシイタケ交換しないか?」
神使「申し訳ございませんが、それは出来ません」
188: 2016/03/01(火) 01:05:08 ID:wJKXwtFA
――― 翌日
神使「神様? 朝ですよ」ユサユサ
神様「あと6時間・・・」
神使「何言ってるんですか。 起きて下さいっ」ユサユサ
神様「も~ なんだよ・・・ まだ昼前じゃん」ヨイショ
神使「あの・・・ 神様? 浴衣はどうされたんですか?」
神様「浴衣?」
神使「下着姿ですよ?」
神様「ん? 本当だ。 あれ? どこいったんだ?」キョロキョロ
189: 2016/03/01(火) 01:06:17 ID:wJKXwtFA
神使「昨日の神社の件ですが神宮のデータベースを調べてみました」
神様「あ~ しかしか神社?」
神使「はい。 200年ほど前から宮司と主神の連絡が途絶えているようですね」
神様「神も連絡取れないの?」
神使「はい」
神様「ふ~ん、 逃げたか?」
神使「いえ、主神から神籍抹消依頼が出ているようで・・・」
神様「神籍抹消?」
190: 2016/03/01(火) 01:07:34 ID:wJKXwtFA
神使「はい、そこから先の連絡書類が書かれておらず・・・」
神様「それ以降は分からないと?」
神使「そうですね」
神様「神宮も結構雑な仕事してんのな」
神使「なので、神社自体は廃社にはなっていないようです」
神様「どうすっかな~ 明るいうちにもう一回だけ行ってみるか」
神使「それが良いと思います」
191: 2016/03/01(火) 01:09:29 ID:wJKXwtFA
神様「それよりさぁ神使君」
神使「何でしょうか」
神様「それ何?」
神使「? ノートパソコンのことですか?」
神様「なんで持ってんの?」
神使「神様も神宮から支給されてませんか?」
神様「私、ワープロだよ? オアシス。 10Kgもあるヤツ」
神使「物持ちが良いですね・・・」
神様「いや、そういう問題じゃないでしょ」
192: 2016/03/01(火) 01:11:58 ID:wJKXwtFA
神使「3年ごとに更新されてると思うんですが・・・」
神様「初耳。私の30年くらい経ってるけど?」
神使「・・・私が前に使っていたヤツでよければ差し上げますが」
神様「ソレくれ」
神使「これは・・・ ちょっと・・・」
神様「いいじゃんよ~ 私もちっちゃいパソコン欲しい~」
神使「次のボーナスで買えば良いじゃないですか」
神様「ボーナス?」
神使「まさか神様・・・」
神様「・・・・・・」
神使「すいません」
194: 2016/03/02(水) 01:37:27 ID:XnVfOfiI
――― しかしか神社
神様「昨日は暗くてよく分からなかったけど、結構やばいなこの本殿・・・」
神使「よく崩れずに残ってますね」
神様「手分けして何か手がかりでも探してみるか」
神使「そうですね。 私は裏手に回ってみます」テクテク
神様「んじゃ、私は本殿に入りますかねっと」
ギィー
195: 2016/03/02(水) 01:38:50 ID:XnVfOfiI
神様「いや~ やっぱキツいなこれ・・・ 」
ガサゴソ
神様「ん~ やっぱりご神体ないな~」
神様「でも掃除された形跡はあるなぁ」
神使「神様!」
神様「ん~? なにかあった?」スタスタ
神使「見て下さい。 裏手に建物があります」
神様「うわ~ 仲居さんが言っていた宗教団体のやつじゃね?」
196: 2016/03/02(水) 01:40:54 ID:XnVfOfiI
神使「<おきつねこんこん教>って書いてありますね」
神様「なに!? おきつねこんこん教だと!?」
神使「知っておられるのですか?」
神様「引きつけるネーミングだ・・・ 入信したいかも」ゴクリ
神使「何を言ってるんですか・・・」
197: 2016/03/02(水) 01:42:39 ID:XnVfOfiI
神使「それよりもどうします?」
神様「お前ちょっと潜入してこい」
神使「・・・・・・」
神様「バレるなよ? 慎重にな」ポンポン
神使「・・・・・・」
神様「どうした?」
神使「すいません、何を言っておられるのですか?」
神様「どうも~! って行っても中に入れてもらえる訳ないだろ?」
神使「そうでしょうね」
神様「そしたら潜入するしかないじゃん」
198: 2016/03/02(水) 01:44:23 ID:XnVfOfiI
神使「神様は?」
神様「私は神力がない故に協力が出来ないのだ」フッ
神使「神力関係ないですよ? 私も神じゃないので神力ありませんし」
神様「他宗教である私が行くとか喧嘩売りに行くようなもんだろ?」
神使「私も同じですが・・・」
神様「いいから行けよ! 捕まったら助けるからさ」
神使「本当ですか?」
神様「私がお前を置いて逃げるようなヤツに見えるのかよ。 これでも神だぞ?」
神使「絶対助けて下さいよ?」スタスタ
199: 2016/03/02(水) 01:45:05 ID:XnVfOfiI
神使「この壁結構高さありますね・・・」ンショ ンショ
信者「お前何やってんだ?」
神使「えっ!?」
信者「侵入者だ! みんな捕まえろ!」
神使「うわっ、放して下さい~」ジタバタ
信者「あっちに連れの女もいるぞ!」
200: 2016/03/02(水) 01:46:03 ID:XnVfOfiI
神様「やべっ」ダッ ダッ ダッ
こら~ 逃げるな~!!
神様「私関係ないです~!! その人知らないです~!!」
嘘つくなー! 待てー!
女が駅に向かって逃げたぞ!
神使「神様・・・ あなたって人は・・・」
201: 2016/03/02(水) 01:48:54 ID:XnVfOfiI
神様「ぎゃー! 助けて~」ダッ ダッ ダッ
待てこらー!
仲間を置いて逃げるな-!
神様「駅だ! おっ、電車いるじゃんよ、ラッキ~」ダッ ダッ ダッ
神様「電車待って~ 乗る! 乗るよ~」
タッ タッ タッ
プシュー
神様「ふ~ 助かった~」アセアセ
ガタンガタン
次は、たじたじ駅です
神様「あっぶね~ 神使は・・・ まぁ、うん」
202: 2016/03/02(水) 01:51:38 ID:XnVfOfiI
――― 2時間後
駅員「お客さん?」ユサユサ
神様「ふぁ」ポー
駅員「終点だよ? 降りて」
神様「んぁ、すいません」
トテトテ
神様「あれ? ここどこ?」キョロキョロ
203: 2016/03/02(水) 01:52:54 ID:XnVfOfiI
駅員「えーと、しかしか高原駅からなんで2360円です」
神様「2360円!? 高けー!」
駅員「だって20駅以上あるよ?」
神様「20駅!? しおしお温泉行きたかったんですけど」
駅員「え? 逆だよ? 戻る? 帰り分でもう2360円かかるけど」
神様「・・・・・・いえ、このまま降ります」
206: 2016/03/03(木) 01:29:28 ID:8GsPhRw2
―――あいあい駅前
神様「うわ~ 超寝過ごしたな」
テクテク
神様「おっ、サイセリアあるじゃん。 お腹すいたし入ろっかな~」
神様「でも、電車賃払ったから金ないしな~」ウロウロ
神様「ほうれん草のソテーだけなら食えるかな・・・」ウロウロ
?「か~みちゃん」
神様「??」
207: 2016/03/03(木) 01:30:21 ID:8GsPhRw2
?「久しぶり~」
神様「エキノコックス?」
?「狐神だコラ」ゲシッ
神様「あうっ」
狐神「あんたこんな所で何してんの?」
神様「お腹すいたからサイセリアに入りたいんだ」
208: 2016/03/03(木) 01:31:23 ID:8GsPhRw2
狐神「うちの神社素通りしてサイセリアに向かうとか舐めてんの?」
神様「お前の神社?」
狐神「となり」
神様「あ~、神社あったんだ。 気付かなかった」
狐神「お前は、神社よりサイセリアの方が重要なのかよ・・・」
神様「いま金ある?」
狐神「たかりたいの?」
神様「金なくてさ、食わしてよ」
209: 2016/03/03(木) 01:32:14 ID:8GsPhRw2
――― サイセリア店内
店員「いらっしゃいませ」
狐神「2人です」
店員「こちらへどうぞ」
神様「よっこいしょ」ボフッ
神様「私はペペロンチーノとほうれん草のソテー、あとドリンクバー」
狐神「私はドリンクバーだけで」
店員「はい」
210: 2016/03/03(木) 01:33:21 ID:8GsPhRw2
狐神「で? こんなとこまで来て何用?」
神様「お前こそこんな所で何してんの? びっくりしたわ」
狐神「200年前から隣の神社の主神やってる」
神様「まじで?」
狐神「いや、配属辞令出したのアンタでしょうが」
神様「まじで!?」
211: 2016/03/03(木) 01:34:24 ID:8GsPhRw2
狐神「あんたの神使だった私を無理矢理 神籍 に入れて送り込んだ張本人だろうが」
神様「あ~、そんなこともあったっけ。 1000年くらい前?」
狐神「だから200年前って言った」
神様「飲み物取ってくる」
狐神「聞けよ!」
神様「何飲む? ドクダミ茶?」
狐神「はぁ~、いいよ私取ってくる」スタスタ
神様「私コーラね~」
212: 2016/03/03(木) 01:35:18 ID:8GsPhRw2
狐神「はい、コーラ」コトッ
神様「サンキュー」チュウチュウ
狐神「で? 何しに来たの?」
神様「神宮の嫌がらせで、しかしか神社の立ち寄り」
狐神「しかしか神社・・・」
神様「そう」
狐神「ようやく神宮も重い腰を上げたんだ・・・ それで私の所に?」
神様「は? 電車乗り過ごしただけだけど? 何言ってんの? バカなの?」
狐神「・・・・・・」イラッ
213: 2016/03/03(木) 01:36:25 ID:8GsPhRw2
神様「ぷは~ コーラおいしい」ゲップ
狐神「はしたないわね。 もう少し何とかなんないの?」
神様「お前は私の神使かっつーの」
狐神「元神使ですが?」
神様「私の神使って同じようなヤツばっか」ハァ
狐神「そういえば、あんたって今は神使いるの?」
神様「犬ころ一匹飼ってる」
狐神「狛犬か。 あんたの神使ってことは相当優秀なんでしょうね」
神様「私の元神使がそれ言うの? 自意識過剰なの? バカなの?」
狐神「・・・・・・」イラッ
214: 2016/03/03(木) 01:37:21 ID:8GsPhRw2
店員「お待たせしました」コトッ
神様「ん~ おいしそ~!」
狐神「んで、しかしか神社にはもう行ったの?」
神様「さっき行ってきた」モグモグ
狐神「どうだった?」
神様「犬ころが捕まったから逃げてきた」
狐神「・・・・・・え?」
神様「いや~、裏手にあったおきつねこんこん教に侵入させたんだけどさ」
狐神「侵入?」
215: 2016/03/03(木) 01:38:17 ID:8GsPhRw2
神様「中に入る前に神使が捕まった」
狐神「まさか神使置いて逃げてきたの?」
神様「人聞きの悪い。 潜入捜査と行ってくれ」
狐神「潜入じゃないじゃん。 捕まってんじゃん」
神様「大丈夫だって」モグモグ
狐神「厄介だよ? しかしか神社は」
神様「なんだよ~ やっぱ曰く付きかよ~」
狐神「元凶はアンタでしょうに」
216: 2016/03/03(木) 01:40:14 ID:8GsPhRw2
神様「は? 私何もしてないよ? 何言ってんの? ボケでも始まったの?」
狐神「・・・・・・ あんた200年前ちゃんと事後処理した?」
神様「事後処理?」
狐神「神籍抹消」
神様「??」モグモグ
狐神「しかしか神社の主神から出てた神籍抹消依頼を担当したのアンタでしょ?」
神様「??」モグ… モグ
狐神「やっぱり・・・」
217: 2016/03/03(木) 01:41:21 ID:8GsPhRw2
神様「あ~ そういえば昔、そんな手続きした記憶があるかも」
狐神「ちゃんとやったの?」
神様「神籍の抹消手続きは~ した。 うん、間違いない」
狐神「ご神体の方は?」
神様「ご神体?」
狐神「そう、神力抜いた?」
神様「・・・・・・」
狐神「抜いた?」
神様「・・・・・・」モグモグ
狐神「やっぱり」ハァ
218: 2016/03/03(木) 01:43:12 ID:8GsPhRw2
神様「だってそんな事言われてないもんっ!」
狐神「常識だろ」
神様「言われたことしかやらない。 それが私流」
狐神「主神がご神体の管理できなくなるのに、神力抜かないでどうすんのよ」
神様「でも宮司がいたし、ご神体の管理くらいできるでしょ」
狐神「主神の神籍抹消の理由は知っているわよねぇ?」
神様「ん~・・・ なんだっけ?」
狐神「宮司と駆け落ち」
神様「まじかよ!」
219: 2016/03/03(木) 01:44:21 ID:8GsPhRw2
狐神「あんたが神籍抹消して主神は人間になって宮司と二人でどっか行ったわ」
神様「もしかして・・・ 神力入った状態でご神体放置?」
狐神「そう」
神様「たしか結構強い神力持ってたよね?」
狐神「そう」
神様「ダメじゃん」
狐神「そう」
神様「でも、あの主神はご神体のこと何も言ってなかったよ?」
狐神「神籍抹消でご神体の神力抜くのは常識だから・・・」
神様「それに、ご神体に神力残ってるって言ってなかったし」
狐神「人間になって神力無くなってんのに、ご神体の状態が分かる訳ないでしょ・・・」
神様「・・・・・・」
狐神「はぁ~」
220: 2016/03/03(木) 01:45:26 ID:8GsPhRw2
神様「ちょっと待てや。 お前はそこまで知っていてなんで放置してんだよ」
狐神「管轄地域外だから手が出せない」
神様「はぁ~? だったら神宮に連絡しとけや!」
狐神「したわよ。 何度も」
神様「放置してんのか? 神宮は」
狐神「広域特務課って所に何度も申請書類出してるんだけどね・・・」
神様「広域特務課?」
狐神「そう。 アンタ知ってる?」
神様「・・・・・・」
221: 2016/03/03(木) 01:46:14 ID:8GsPhRw2
狐神「・・・・・・ もしかしてだけどさぁ」
神様「・・・・・・」
狐神「あんた、今の所属は?」
神様「・・・・・・」
狐神「名刺ちょうだい」
神様「・・・・・・」ソロリ
狐神「内宮神籍 神宮所属 “広域特務課” 審査係 神様、なるほどね」
222: 2016/03/03(木) 01:47:24 ID:8GsPhRw2
神様「お願い! 神宮には黙ってて! これ以上減給されると給料マイナスになる!」
狐神「マイナスって・・・」
神様「驚くなよ、私は来月まで無給だ」
狐神「無給なんてあるの?」
神様「この件は私が内密に処理する」
狐神「コソコソやって、ばれるとマズいわよ?」
神様「バレねーよ、ビビってんじゃねーよエキノコックス」
狐神「・・・・・・」ゲシッ
神様「あぅ」
狐神「どうなっても知らないわよ?」
神様「とりあえず、知ってること教えて?」
狐神「ここじゃあれだし、うちの神社行こうか」
225: 2016/03/05(土) 02:59:32 ID:rcioMquE
――― あいあい神社
神様「・・・コックスの神社って結構大きいのね」
狐神「土地が広いだけで本殿はそんなでもないわよ? って言うかコックスって何よ」
神様「聞く?」
狐神「・・・・・・」ゲシッ
神様「あぅ」
226: 2016/03/05(土) 03:00:53 ID:rcioMquE
巫女「あ、お帰りなさいませ神様」
神様「ただいま~」
巫女「?」
狐神「気にしないでくれ」
巫女「お知り合いの方ですか?」
狐神「あぁ、コレは一応神宮の神様だ」
神様「ど~も~」
巫女「神宮!? 神様!?」
狐神「そう、しかも私の大先輩だ」
巫女「え!? あっ、初めまして! 私、巫女の・・・あの・・・」アタフタ
227: 2016/03/05(土) 03:03:04 ID:rcioMquE
神様「あ~、巫女ちゃんさぁ~」ハァー
巫女「はっ、はい! すいません! あの・・・ その・・・」オロオロ
神様「竹箒はもう少し水平にして円を描くように使わないと」
巫女「え?」
神様「貸してみ?」
巫女「はい・・・」
神様「こう」サァー サァー
巫女「お~」
狐神「あんた、何でそんなこと知ってんの?」
神様「私は巫女のスペシャリストだ」サァー サァー
狐神「・・・それ巫女関係ないだろ」
228: 2016/03/05(土) 03:04:38 ID:rcioMquE
――― 社務所
狐神「適当に座って」
神様「あれ? 宮司とかはいないの?」
狐神「総出で地鎮式。 明日まで帰ってこない」
神様「あ、そう。 ・・・ねぇ、儲かってんの?」
狐神「はぁ?」
神様「装飾とか結構金かかってんじゃん」
狐神「儲かってる訳ないじゃんよ。 年を追う毎に苦しくなる一方よ」
229: 2016/03/05(土) 03:05:46 ID:rcioMquE
神様「ふ~ん・・・ ねぇ余ってる服とかない?」
狐神「はぁ?」
神様「頂戴」
狐神「服って装束とか?」
神様「ちげーよ、要らねーよそんなの。 普段着だよ普段着!」
狐神「普段着って・・・ あんた、服くらい自分で買いなさいよ」
神様「薄給の私をなめんなよ?」
狐神「あげても良いけど、私ほとんど着物だよ?」
神様「はぁ? 着物? じゃあ要らない」
狐神「・・・・・・」イラッ
230: 2016/03/05(土) 03:07:36 ID:rcioMquE
トントン
狐神「どうぞ」
巫女「失礼いたします」スタスタ
神様「?」
巫女「あ、先ほどは大変失礼いたしました・・・」ペコリ
神様「・・・・・・」ジィー
巫女「お茶です///」コトッ
231: 2016/03/05(土) 03:08:16 ID:rcioMquE
神様「巫女ちゃんはさぁ、ここ何年目?」
巫女「えっ? あっ2年目です」
神様「そう。 ねぇ、コーラとかある? 炭酸系」
巫女「はい! すぐお持ちいたします」
狐神「持ってこなくてもいい。 下がって良いぞ」
巫女「承知いたしました。 失礼いたします」スタスタ
パタン
232: 2016/03/05(土) 03:08:52 ID:rcioMquE
神様「偉そうに。 身内にはもっとフレンドリーに接しないとダメよん」
狐神「立場ってもんがあるでしょうが」
神様「あ~やだやだ。 可哀想だからあの巫女ちゃん神宮に頂戴?」
狐神「ダメだバカ。 せっかく見つけたのに」
神様「なんだよケチ」
狐神「そんな事より続きを話すわよ」
神様「へいへい」
233: 2016/03/05(土) 03:42:22 ID:rcioMquE
狐神「しかしかの主神のその後とかは聞いてる?」
神様「いいや聞いてない。 私その後すぐに異動しちゃったから」
狐神「あんたが神籍抹消した後、二人はどこかでひっそりと暮らしていたみたい」
神様「主神は神籍抹消して人間になったから・・・ さすがにもう亡くなっているか」
狐神「そうね」
狐神「で、残ったご神体は管理されずに神力がそのままで放置された」
神様「危険なことするな~」
狐神「アンタのせいでね」ギロッ
神様「・・・はい」
234: 2016/03/05(土) 03:43:18 ID:rcioMquE
狐神「ご神体からはゆっくりと神力解放が続いて周辺で不思議な現象が起っていたみたい」
神様「不思議な現象?」
狐神「まぁ、よくある神力による自然現象ね。見えないものが見えたりとか」
神様「あの場所でそれは嫌だな・・・」
狐神「そうねぇ、だからしばらくは人が近づく事なかったんだけど」
神様「状況が変わったと?」
狐神「30年くらい前かな? 願いが叶うってちょっとした名所になって」
神様「願いが叶う?」
235: 2016/03/05(土) 03:44:09 ID:rcioMquE
狐神「参拝者の願いが結構な確率で叶ってたみたい」
神様「あ~、管理者がいないから無差別に神力が解放されたのか」
狐神「当然そんなことになったら悪巧みする人間も出てくる訳よ」
神様「そりゃそうだわな。 私だって飛びつくわ」
狐神「あんたはそのくらい自力で何とでもなるでしょ」
神様「ねぇ、それ嫌み? 神力ゼロの私へのイジメ?」
236: 2016/03/05(土) 03:45:59 ID:rcioMquE
狐神「へぇ~ 神力ゼロねぇ~」
神様「・・・なんだよ」
狐神「だいぶ貯め込んでるように見えるけど?」ジー
神様「・・・・・・」
狐神「私を神籍に入れて譲渡したときの神力よりも多いんじゃない?」
神様「・・・・・・」
237: 2016/03/05(土) 03:47:05 ID:rcioMquE
狐神「狛犬君用?」ニヤッ
神様「・・・・・・」イラッ
狐神「ごめんごめん悪かったって」
神様「お前、それ言い触らすなよ?」ムスッ
狐神「はいはい、神の出生に関わる口外禁止事項ですものね」
神様「だから口にするなっての」
神様「ごめんってば~」
238: 2016/03/05(土) 03:48:37 ID:rcioMquE
神様「それより、お前かなり神力増えてるんじゃないの?」
狐神「そうでもないと思うけど?」
神様「・・・・・・ ちなみになんだけどさぁ~ フォックスって今の神階は?」
狐神「ん? 従一位」
神様「あ~・・・ そう。 うん、がんばったね」チッ
狐神「っていうか、次コックスって言ったらご神体放置の件神宮にチクるよ?」
神様「は? フォックスって言ったんだけど? 耳まで悪くなったの?」
狐神「うぐっ」イラッ
240: 2016/03/06(日) 04:56:35 ID:bmynmkO.
狐神「話を戻すわよ!!」
神様「へいへい」
狐神「ちょっとした名所になってからすぐに、ご神体が消失する事件があったの」
神様「消失・・・ 盗まれたって事か?」
狐神「えぇ」
神様「持ち出しても意味ないのにな」
狐神「1年後にはちゃんと戻ってきたけどね」
神様「神域から持ち出したら神力解放できないしな」
狐神「盗人もそれに気付いたんでしょうね」
241: 2016/03/06(日) 04:57:08 ID:bmynmkO.
狐神「それと同時に神社の裏手に宗教団体が立ち上がった」
神様「それがおきつねこんこん教か・・・」
狐神「そう、最初はこぢんまりとコソコソ私腹を肥やしてたんだけど・・・」
神様「欲には勝てないと」
狐神「これ以上肥大化する前にはカタ付けておきたいわね」
242: 2016/03/06(日) 05:00:11 ID:bmynmkO.
神様「う~ん・・・ おきつねこんこん教については?」
狐神「信者は30人くらいで幹部以外は真面目な信徒みたい」
神様「ネーミングセンスがイカしてるんだけどキツネと関係あんの?」
狐神「あぁ、しおしお神社って稲荷系だからじゃない? 深い意味はないと思う」
神様「なんだ~ それだけか~ お前とは関係ないの?」
狐神「ない。 私は北海道出身だし」
243: 2016/03/06(日) 05:02:54 ID:bmynmkO.
神様「はぁ~ どうすっかな~」
狐神「きちんと解決していってよね」
神様「めんどくさいな~ 帰りたいな~」
狐神「あんたねぇ、神使置いて帰るつもり?」
神様「あぁ~ 犬ころもいるんだよな~」
狐神「心配なくせに」
神様「・・・・・・」
狐神「もしかして、わざと置いてきたんじゃないの?」
神様「・・・・・・」
244: 2016/03/06(日) 05:03:49 ID:bmynmkO.
狐神「図星?」
神様「もぉ、こいつメンドい」
狐神「まぁ、どっちでも良いわ。 ちゃんと解決してね 」
神様「でもな~ やっぱ、面倒くさいな~」ダラー
狐神「神宮にバレたくなければ解決する以外に道はないわよ?」
神様「はぁ~」ズーン
245: 2016/03/06(日) 05:06:49 ID:bmynmkO.
神様「・・・しゃぁね~な~」スッ
狐神「? なにその手」
神様「金くれ」
狐神「は?」
神様「財布に250円しかない」
狐神「銀行に行って自分のお金下ろしてきなさいよ」
神様「無給だっていってんだろ! 銀行に600円しかねーよ! 下ろせねーよ!」
狐神「本当に無給なんだ・・・」
神様「照れるじゃないか~」クネクネ
狐神「褒めてないし。 貯金くらいしときなさいよ・・・」
246: 2016/03/06(日) 05:09:00 ID:bmynmkO.
―――翌日
神様「さてと、んじゃ連れてって?」
狐神「は?」
神様「いや、従一位様ご自慢の神力使ってバビューンって」
狐神「この駅から向こうは管轄外だから神力効かない」
神様「うそ! だって電車で20駅も先だよ?」
狐神「金あげたでしょ? 5万も」
神様「え~」
狐神「解決して戻ってきたらお駄賃もう5万あげるから」
神様「まじで? よっしゃ! 絶対だぞ! 絶対だからな!! 」
狐神「はいはい。分かったからはよ行けって」ヒラヒラ
神様「燃えたぎってきた~!!! いってきまーーーーす」ダッ ダッ ダッ
狐神「全く、どっちが面倒くさいヤツなんだか・・・」クスッ
247: 2016/03/06(日) 05:42:33 ID:bmynmkO.
テクテク
神様「ちかれた~ やっと着いたよ」
神様「さて、どうやって潜入しよっかな~」ウロウロ
信者「お嬢ちゃん?」
神様「ん?」クルッ
信者「ダメだよ? 潜入とか物騒な事しちゃ」ガシッ
神様「え? うそ。 もう捕まった??」
信者「監視カメラあるからね」
神様「ぎゃー 助けて~ 襲われる~」ジタバタ
信者「襲わないから、取りあえず事務所来て?」
248: 2016/03/06(日) 05:43:28 ID:bmynmkO.
――― おきつねこんこん教
神様「・・・・・・」
信者「で、なんで勝手に入ろうとしたの?」
神様「昨日来たとき、すごくイカした名前で興味があって」
信者「ん? もしかして昨日逃げた女の子か?」
神様「あいつとは関係ありません。 今日初めて来ました」
信者「言ってること矛盾しまくってるよ?」
スタスタ
神使「あれ? 神様?」
神様「・・・・・・」
249: 2016/03/06(日) 05:44:41 ID:bmynmkO.
信者「神様?」
神使「はい、昨日私と一緒に居た・・・」
信者「やっぱ逃げた子じゃん」
神様「すいません」
信者「でもこの子が神様なんですか? 狗神様」
神様「狗神?」
神使「ですから、私は神でなくその方の神使なのですが・・・」
信者「またまた。 狗神様はご冗談もうまいですね」ハハハッ
250: 2016/03/06(日) 05:45:42 ID:bmynmkO.
神様「おい、犬ころ」
信者「貴様! 狗神様に失礼な呼び方をするな!」
神様「!? はい! すいませんでした!!」
神使「あの・・・ 申し訳ございませんがこの方と二人にして頂けますでしょうか」
信者「大丈夫ですか?」
神使「ご心配なく」
信者「では、なにかございましたらお呼び下さい狗神様」スタスタ
ガチャ
251: 2016/03/06(日) 05:46:33 ID:bmynmkO.
神様「ねぇ、神使君っていつの間に神になったの?」
神使「何度も神使だと言ったのですが・・・」
神使「神様に見捨てられた後、びっくりして狛犬になってしまいまして・・・」
神様「あ~、それでお前を神と勘違いしてんのか。 って言うか見捨ててないし」
神使「いえ、それはもう見事な逃げっぷりでした」
神様「・・・・・・」
252: 2016/03/06(日) 05:47:45 ID:bmynmkO.
神様「それより、中の様子はどうだ?」
神使「えぇ、昨日から色々内部を見て回っているのですが特に怪しい気配などなく」
神様「そうか・・・」
神使「皆さんご神体に向かって一生懸命お祈りされていましたね」
神様「しかしかのご神体があるのか?」
神使「よく出来ていますが、たぶんレプリカだと思います」
神様「レプリカか・・・ 本物の場所は分かるか?」
神使「いいえ、まだそこまでは」
神様「ん~・・・」
神使「何かあったのですか?」
253: 2016/03/06(日) 05:48:50 ID:bmynmkO.
神様「実は、しかしか神社のご神体が神力の入ったまま放置されているらしいんだ」
神使「神力が入ったままですか!?」
神様「あ・・・ うん」
神使「それは問題ですね。 すぐに神宮に連絡した方がよろしいかと」
神様「え? いや・・・ これは私達で解決しようと思う」
神使「しかし、神力が入ったままのご神体放置なんて大問題ですよ?」
神様「そうなの?」
神使「もしかして、200年前の神籍抹消と関係しているのでは・・・」
神様「!? で、でも200年も前だし? 神籍抹消の担当神も分からないし? 」アセアセ
神使「なるほど。 分かりました」
神様「よし!」ホッ
254: 2016/03/06(日) 05:49:43 ID:bmynmkO.
神使「神籍抹消を担当したのが神様なんですね?」
神様「・・・・・・」
神使「神様のことですから、その際ご神体から神力を抜くのを忘れた、といった所でしょうか」
神様「・・・・・・」
神使「そうなんですね?」
神様「はい・・・ すいません。 その通りです」
神使「やはりそうですか」
255: 2016/03/06(日) 05:50:37 ID:bmynmkO.
神使「で、どうされるおつもりですか?」
神様「ご神体から神力を抜く」
神使「それは当然ですが作戦は・・・」
神様「う~ん・・・ お前さぁ、このまま神として振る舞ってろ」
神使「え?」
神様「私はお前の神使・・・ いや動物じゃないから巫女。 うん、それで行こう」
神使「作戦の意図が見えないのですが・・・」
神様「決まりだ! 頼んだぞ狗神様」
256: 2016/03/06(日) 05:51:24 ID:bmynmkO.
神使「その作戦大丈夫なんですか?」
神様「大丈夫だよ。 私が神だってバレないようにするからさ」
神使「いえ、神様が神だとバレることはないと思うのですが・・・」
神様「ん? どういう意味?」
神使「神様が自分から神だと名乗っても信じる人はいないと思いますので」
神様「あ~・・・」ゲシッ
神使「痛っ」
257: 2016/03/06(日) 05:52:13 ID:bmynmkO.
神様「ほら、行くぞ」
神使「はぁ」
神様「・・・・・・」
神使「・・・・・・」
神様「早く行けよ、お前が神なんだから先に行くんだよ」
神使「あ、はい。 では失礼します」スタスタ
258: 2016/03/08(火) 04:35:18 ID:qgDacTR6
ガチッ
信者「あ、狗神様」
神使「お待たせして申し訳ございませんでした」
信者「で、そちらのちっちゃい女の子は一体・・・」
神使「あぁ、え~と・・・」
神様「私は狗神様の使いで巫女をさせて頂いております。 神ちゃんとでもお呼び下さい」
信者「使いの方でしたか。 通りで馴れ馴れしいと思いました」
神様「・・・・・・」イラッ
259: 2016/03/08(火) 04:36:15 ID:qgDacTR6
神使「いいえ、これは神ちゃんの最も優れた特技ですから」
信者「なるほど・・・ さすが狗神様、素晴らしい解釈ですね」
神使「そういうつもりではないのですが・・・」
信者「またご謙遜を」
神様「はははっ。 ところで皆さん、この後は?」イライラ
信者「そうだ! 皆が待ってますので続きを」
神使「はい、今行きます」
神様「つづき?」
260: 2016/03/08(火) 04:36:51 ID:qgDacTR6
スタスタ
神様「お~ 人がいっぱい居るな~」ボソッ
神使「おきつねこんこん教の信者の方達です」ボソッ
神様「何か一生懸命書いているみたいだけど何やってんだ?」
神使「祝詞を書いているんです」
神様「祝詞?」
神使「はい、明日の朝に読む分だそうです」
神様「ふ~ん。 真面目だな」
261: 2016/03/08(火) 04:37:55 ID:qgDacTR6
女信者「狗神様? お聞きしたいのですがよろしいでしょうか」
神使「はい」スタスタ
女信者「ここなんですけど」
神使「あぁ、これはここで区切ったらどうでしょうか」
女信者「でも、この部分とうまく繋がるかが・・・」
神使「ん? そうですね。 そしたらここでどうでしょうか」
神様「・・・・・・」ジィー
262: 2016/03/08(火) 04:38:38 ID:qgDacTR6
――― 1時間後
信者「では、今日はこの辺で終わりにしましょう」
神使「はい」フゥ
信者「狗神様、今夜も祝詞をお願いできますでしょうか」
神様「? 神が祝詞を朗誦するのか?」
信者「勉強のためにも是非お願いできればと」
神使「分かりました」
神様「・・・・・・」
信者「では、本殿でお待ちしております」スタスタ
263: 2016/03/08(火) 04:39:19 ID:qgDacTR6
神使「本殿はこの先です。 行きましょうか神様」
神様「神ちゃん」
神使「そうでした。 神ちゃん」
神様「それよりお前さぁ、もう少し神らしく―――」
女信者「狗神様、一緒に本殿へ行きましょう!」
神使「あ、はい。 神さ・・・ いえ神ちゃんも行きましょう」
神様「はい・・・」
スタスタ
264: 2016/03/08(火) 04:40:16 ID:qgDacTR6
――― 本殿
神様「あの祭壇の上に乗っかってんのがしかしか神社のご神体か・・・」
神使「レプリカですが、たぶん本物と形は同じだと思います」
神様「きっとこの建物のどこかに隠してあるんだな」
神使「確証はありませんが、幹部室が一番怪しいかと」
神様「幹部室? あの端の部屋か」
神使「唯一鍵がかかっている部屋でしたので」
神様「なるほどな・・・」
265: 2016/03/08(火) 04:41:42 ID:qgDacTR6
信者「狗神様、準備が出来ましたのでよろしくお願いします」
神使「分かりました。 では―――」
神様「まて、いや・・・ お待ち下さい狗神様」
神使「?」
神様「私が朗誦します」
信者「あなたが?」
神様「神に祝詞を朗誦させるなど、私が許さない。 代わりに私が読む」
神使「神さ―――」
神様「狗神様、どうか使いである巫女の私にお任せ下さい」
神使「・・・神ちゃんが言うのでしたら任せます」
信者「では巫女さんお願いします」
神様「稲荷祝詞でいいか? 何も書いていないから略式だぞ」スタスタ
266: 2016/03/08(火) 04:42:31 ID:qgDacTR6
神様「神聖な祝詞だ。 朗誦中は目を閉じ私の言葉に集中しろ」
神使「皆さん、神ちゃんの言うとおりに」
・・・・・・
神様「では」
神様「掛巻も恐き稲荷大神の大前に恐み恐みも白く~」
信者「・・・・・・」
神様「堅磐に常磐に命長く 子孫の八十連屬に至まで~」ゴソゴソ
神使「・・・?」
神様「夜の守日の守に守幸へ賜へと~ 恐み恐みも白す~」
267: 2016/03/08(火) 04:43:48 ID:qgDacTR6
――― 夜・寝室
神使「神様ってあんなにスラスラと祝詞を読めるんですね」
神様「はぁ? お前バカにしてる?」ゲシッ
神使「しかも暗記してるだなんて」
神様「基本くらいは押さえてるっつーの」
神使「はぁ」
268: 2016/03/08(火) 04:44:39 ID:qgDacTR6
神様「それよりもだ」
神使「?」
神様「お前、形とは言え今は神なんだぞ? もう少し神らしく振る舞えよ」
神使「はい?」
神様「もう少し何というか・・・」
神使「そのお言葉そのまま神様へお返しいたします」
神様「ぅっ・・・ 私はほら、神と言っても神力も使えないランク外だし」
神使「いいえ、同じですよ神様だって立派な神なんですから」ニコッ
神様「ったく、どいつもこいつも・・・」ハァ
269: 2016/03/08(火) 04:45:19 ID:qgDacTR6
モソモソ
神使「?」
神様「寝る」
神使「暖房がないので私を抱いて寝ますか?」
神様「・・・好きにしろ」
神使「それ、私の台詞だと思うのですが・・・」
神様「・・・なぁ」
神使「何ですか?」
神様「お前は・・・ 神になりたいと思うか?」
神使「え?」
神様「・・・なんでもない」
270: 2016/03/08(火) 04:45:58 ID:qgDacTR6
――― 翌日
チュンチュン
神使「神様?」ユサユサ
神様「ん~ん・・・ あと6時間」
神使「ほら、起きて下さいってば」ユサユサ
神様「なんだよ・・・ 早すぎだろ」ヨイショ
271: 2016/03/08(火) 04:46:30 ID:qgDacTR6
神使「朝ご飯持ってきてもらいましたから食べましょう」
神様「朝ご飯? どこ?」キョロキョロ
神使「目の前にあるじゃないですか」
神様「・・・ なにこれ?」
神使「お稲荷さんです」
神様「小さいなぁ・・・」
272: 2016/03/08(火) 04:47:35 ID:qgDacTR6
神使「それよりどうするんですか?」
神様「今日中にカタを付けるぞ。 長居無用だ」
神使「まずは、ご神体を見つけないとですね」
神様「そう言えば、幹部というのはいるのか?」モグモグ
神使「数日おきにこちらへ来るようなのですが」
神様「ふ~ん。 今はいないんだな?」
神使「えぇ、ただ幹部専用の裏口から入るようで来ても誰も分からないそうです」
神様「よし、今のうちに私が幹部室に潜入して探してこよう」
273: 2016/03/08(火) 04:48:09 ID:qgDacTR6
神使「でも鍵閉まってますよ?」
神様「これ」ジャラジャラ
神使「いつの間に・・・」
神様「昨日、祝詞を読んでいるときにな」
神使「ゴソゴソしていたのはそれですか・・・」
神様「ご丁寧に鍵入れと書いた箱が祭壇の近くにあった」
神使「他の鍵も丸ごと持ってきてバレますよ?」
神様「だから早めに忍び込むんだよ」
274: 2016/03/08(火) 04:49:46 ID:qgDacTR6
神使「昨日の夜に忍び込めばよかったと思うのですが」
神様「私もそう思ったんだが、監視のヤツが扉の前に居てな」
神使「そうなんですか?」
神様「神であるお前が逃げないように監視でもしてるんじゃないか?」
神使「すいません、全く気がつきませんでした」
神様「まぁ、それは良い。朝も当然祝詞をあげるんだろ?」
神使「はい、その後は本殿の掃除と聞いています」
神様「よし、祝詞をあげているときに忍び込もう」
275: 2016/03/08(火) 04:50:21 ID:qgDacTR6
トントン
神使「はい」
朝の祝詞のお時間です
神使「分かりました。今参ります」
神様「よし、いくぞ」
276: 2016/03/08(火) 04:51:17 ID:qgDacTR6
信者「あの・・・ 祝詞の方ですが・・・」
神様「狗神様に朗誦させるのはダメだ。 今日はお前達が読め」
神使「そういう事ですので・・・」
信者「・・・分かりました」
神様「私が作った祝詞だ。 これを読むと良い」スッ
信者「はぁ、うわっ長!」
神様「いいか、集中して読めよ? 他の者は目を閉じて言葉に集中しろ」
信者「はい」
神使「いつの間にあんなの用意したんですか?」ボソッ
神様「昨日の夜中にな。 20分は時間が稼げるはずだ」ボソッ
神使「なるほど・・・」
神様「じゃぁ頼んだぞ?」コソコソ
277: 2016/03/08(火) 04:51:59 ID:qgDacTR6
――― 幹部室
ガチャ
神様「よし! 開いた!」
ギィー バタン
神様「向かいの扉が幹部専用の入り口か・・・ 帰ってきませんように」パンパン
神様「さてと、ご神体を探しますかね」ガサゴソ
278: 2016/03/08(火) 04:52:41 ID:qgDacTR6
フンフンフーン♪
神様「嘘だろー 幹部か? ヤバいヤバい! 隠れなきゃ」イソイソ
ガチャッ
幹部「ん? 誰か居るのか?」
シーン
幹部「気のせいか・・・」
279: 2016/03/08(火) 04:53:29 ID:qgDacTR6
prrr prrr
ピィ
幹部「なんだ? あ~ お前か・・・」
神様(あっぶねー、って言うか私ってついてね~)
幹部「あぁ、順調だよ問題ない」
神様(ん? これってご神体じゃん! ラッキ~ 私ってついてる~)
280: 2016/03/08(火) 04:54:18 ID:qgDacTR6
幹部「だから問題ねーよ・・・ 取りあえずうちの信者達の生前分与だけ急がせろ」
神様(・・・?)
幹部「構わねーよ、こっちにはご神体があるんだからよ。 怖いもんなしだよ」
神様(・・・・・・)
幹部「はぁ? 信者なんてただの金ズルだよ。 面倒くさくなったら切り捨てれば良いんだよ」
神様(・・・・・・)イラッ
幹部「おう、信者の数は半年以内に10倍にする。 あぁ、だいぶ稼げるぞ」
281: 2016/03/08(火) 04:55:03 ID:qgDacTR6
ガタン
神様「おい!お前!!」
幹部「? なんだ、貴様どっから入りやがった! ってテメーなんでそれ持ってんだ!」
神様「うるさい! ふざけんのもいい加減にしろ!」
282: 2016/03/08(火) 04:55:44 ID:qgDacTR6
信者「恐み恐みも白く~」
ドタバタ
ガシャーン
信者「なんだ? 幹部室か?」
神使「神ちゃん」タッ タッ タッ
ガチャッ
神使「神ちゃん、大丈夫ですか!?」
283: 2016/03/08(火) 04:56:28 ID:qgDacTR6
ドタバタ
ガシャーン
神様「信者の心をもてあそぶな! 純粋に信仰を捧げる者達の心を踏みにじるな!」ドタバタ
信者「巫女! あんた何でこの部屋にいるんだ」スタスタ
幹部「おい! この部屋に入ってくるんじゃない!」
信者「」ピタッ
神使「神ちゃん!」
幹部「なんだ? お前、うちの信者じゃないな?」
神様「は~な~せ~よ~」ジタバタ
神使「その方を放しなさい」
284: 2016/03/08(火) 04:57:33 ID:qgDacTR6
幹部「なんだと? おい、お前達その男も捕まえろ!」
信者「・・・・・・」
幹部「何やってんだよ! 早くしろよ!」
神使「幹部さん、あなた達のやろうとしていることは全てバレています」
幹部「あ?」
神様「祭壇に飾っているのはレプリカ、あなたがその手に持っているのが本物ですよね?」
信者「え?」
幹部「!? 何言ってんだ・・・ これはレプリカ。 そうこっちがレプリカだ!」
信者「幹部さん、あなた・・・ もしかして騙していたんですか・・・」
幹部「は? お前達はこんな得体の知れないヤツの言うことを信じるのか!」
信者「・・・・・・」
285: 2016/03/08(火) 04:58:12 ID:qgDacTR6
神使「それとあなたが捕まえた巫女さんですが早く解放した方が良いですよ?」
幹部「はぁ? こんな女ごときに何が出来るってんだよ」
神使「その方は神宮の神ですよ?」
幹部「神だと? はっ、笑わせんな」
神使「その方に危害を加えると大変な神罰が下ってしまいますが・・・ 忠告はしましたからね?」
幹部「・・・・・・」チラッ
神様「いいの? 全力で行くよ?」ベー
286: 2016/03/08(火) 04:59:05 ID:qgDacTR6
神使「神力が本当に存在することくらい、そのご神体の効果で知っていると思うのですが・・・」
幹部「この女が神だって言う証拠でも見せてみろや」
神使「・・・・・・」ボンッ
幹部「うわぁ! なんだ??」
神使「私は狛犬です。 驚きましたか?」
幹部「うそだろ・・・」
神使「神様にわざわざ神力を使わせることなど出来ませんので」ボンッ
287: 2016/03/08(火) 04:59:42 ID:qgDacTR6
幹部「お前達何者だ・・・」
神使「私達は神宮から来ました」
幹部「神宮?」
神使「神職不在のしかしか神社への立ち寄りが目的です」
幹部「じゃぁ、うちと関係ないだろ! 出てけよ!」
神使「あなたの持っているご神体は、しかしか神社のものです」
幹部「・・・・・・」
神使「この土地も、しかしか神社の土地だと思うのですが?」
幹部「・・・・・・」
神使「返して頂けますか?」
幹部「ふ、ふざけるな! 渡すわけないだろ!」
288: 2016/03/08(火) 05:00:25 ID:qgDacTR6
神使「交換条件でどうです?」
幹部「交換条件だぁ?」
神使「そのご神体を置いて今すぐ立ち去るのでしたら一切を不問にします」
幹部「はぁ? 嫌だと言ったらどうすんだよ」
神使「全ての神の力を使って最大の苦痛を永遠に与えることになるでしょう」
幹部「・・・・・・」
神使「本気ですよ? あなたにとっては選択の余地などないと思うのですが」
289: 2016/03/08(火) 05:01:24 ID:qgDacTR6
神様「そうだぞ、あきらめろや!」ジタバタ
幹部「おい! ガキは大人しくしてろ!」ゲシッ
神様「あぅ」
神使「無礼はやめなさい!」
幹部「あん?」
神使「そちらの神様は多くの神の中でも神階を超越した最高神です!」
神様「え? お前なんでそれ知ってんの?」
神使「え?」
神様「え?」
・・・・・・
290: 2016/03/08(火) 05:02:12 ID:qgDacTR6
神様「あ~ 秘技! 金玉頭突き!!」ガンッ
幹部「ぁっ・・・」フラフラ
信者「うわぁ、痛そう・・・」キュン
幹部「おま・・・え・・・ そこは・・・」
バタン
神様「どうだ! 神の力思い知ったか!」フンスッ
神使「神の力なんですか・・・ それ・・・」
291: 2016/03/08(火) 05:02:42 ID:qgDacTR6
信者「狗神様、お見事でした!」
神使「はい?」
信者「まるであの巫女が神のような錯覚を覚えるほどの演技。 素晴らしかったです」
神使「いえ・・・」
神様「狗神様は演技派で売り出し中なのです。 何かあればマネージャーである私を通して仕事をご依頼下さい」
神使「・・・・・・」
292: 2016/03/08(火) 05:03:57 ID:qgDacTR6
信者「やはりこの幹部は私達を騙していたのですか・・・」
神使「残念ながら」
信者「しかし、ご神体を取り戻して頂きありがとうございます」
神使「大変申し上げにくいのですが・・・ このご神体は回収させて頂きます」
信者「回収!?」
ザワザワ
神使「はい」
信者「そんな・・・ ご神体なしでは私達は・・・」
神使「残念ですが、これは本来ここにあってはならない物なのです」
信者「しかし・・・」
293: 2016/03/08(火) 05:05:34 ID:qgDacTR6
神使「あちらのご神体でも皆さんが大切にして下さればきっと神力も入っていくでしょう」
信者「・・・そうだ! 狗神様がこれからは私達の神様になって―――」
神様「いい加減にしろ!」
信者「!?」
神使「神ちゃん・・・」
神様「ご神体が偽物だと分かった途端、お前達は別の神を見立てるのか」
神様「そのご神体を今まで奉ってきたんだろ! 失礼だとは思わないのか!」
信者「!?」
神様「お前達の信仰はそのご神体にも伝わっている。 悲しませないでやってくれ」
信者「・・・・・・」
神様「狗神様が言ったようにこれからも大切にしろ」
信者「・・・・・・」
294: 2016/03/08(火) 05:06:20 ID:qgDacTR6
神様「行きましょう、狗神様」
神使「え? あっ、はい」
信者「狗神様・・・ どちらへ」
神使「長居も出来ませんので・・・ 申し訳ございませんが失礼いたします」
神様「神宮の使いの者が数日中にここへ来る。 それまでここを絶対に離れるんじゃないぞ」
信者「・・・・・・」
神様「分かったか? 絶対離れるなよ?」
信者「・・・分かりました」
神使「・・・・・・」
神様「行くぞ」ボソッ
神使「はい」
295: 2016/03/08(火) 05:07:09 ID:qgDacTR6
スタスタ
神使「神様・・・」
神様「あん?」
神使「お願いがあるのですが・・・」
神様「なんだ急に」
神使「このお社は廃社にするんですよね」
神様「ん? あ~ そうだな」
神使「その・・・ もし出来ればなのですが」
神様「?」
神使「あの方達のために、この土地を譲渡するということは出来ないでしょうか」
神様「・・・・・・」
神使「すいません、他宗教ですし無理ですよね。 忘れて下さい」
神様「・・・電車の時間がない。 急ぐぞ」
神使「はい」
296: 2016/03/08(火) 06:29:44 ID:qgDacTR6
――― あいあい神社
神様「ただいま~」
狐神「ん? もう帰ってきたの?」
神使「御邪魔します」
狐神「おや? そちらは神使君?」
神使「初めまして、神様の神使を務めております狛犬です」
狐神「ちょっと! 格好いいじゃん!」
神様「はぁ?」
狐神「あいあい神社の主神、狐神よ。 よろしく」
神使「お初にお目にかかります。 ご丁寧にありがとうございます」
狐神「よく出来た子ね。 あんたには勿体ないわ」
神使「そんなことありません。 私の方が神様には不釣り合いでして」
神様「ねぇ、そういうのやめて? むなしくなるから・・・」
神使「どうして神様がむなしくなるんですか?」
297: 2016/03/08(火) 06:30:43 ID:qgDacTR6
神様「腹減った、何か食わせて~」
狐神「巫女に何か作らせるわ。 巫女! いるか?」
巫女「はい、神様」スタスタ
狐神「何か作ってやってくれるか?」
神様「あ~作らなくて良いよ。ピザ頼もう? ピザ」
狐神「神社でピザかよ・・・ まぁ良いわ、じゃぁピザ注文してくれるか」
巫女「畏まりました。 ご希望はございますでしょうか」
神使「では、みみまでソーセージのベーコンポテトを、あとコーラをお願いします」
神様「さすが犬ころ! 分かってるね~」
神使「神様の大好物くらいは心得ておりますので」
298: 2016/03/08(火) 06:31:31 ID:qgDacTR6
神様「そうだ、はいご神体」コトッ
狐神「え? あんた持ってきたの?」
神様「だって、神力抜く準備とか何もしないで行ったからさぁ」
狐神「・・・・・・」
神様「お前が抜け」
狐神「はぁ?」
神様「いいじゃんよ~ 抜けや」
狐神「もぉ、しようが無いわね・・・」
神様「神力抜いたら、おきつねこんこん教へ送ってくれ」
神使「え?」
299: 2016/03/08(火) 06:32:20 ID:qgDacTR6
神様「もう何十年もアイツらが持っていたんだ。 所有権はおきつねこんこん教にある」
神使「神様・・・」
狐神「へぇ~ 優しいじゃん」
神様「私はいつでも優しくてかわゆいのだ」
狐神「分かった。 明後日おきつねこんこん教へ行ってくるから渡してくる」
神様「は? お前が直接行くの?」
狐神「神宮から連絡があってね。 しかしか神社の廃社手続き処理任された」
神様「・・・・・・」
狐神「でね? その後に、とある団体に譲渡手続きをしに行かないといけないの」
神使「譲渡手続きですか?」
狐神「えぇ、信者さんって方がいる団体に土地と建物を無償譲渡するようにって」
神使「なんでそんな・・・」
300: 2016/03/08(火) 06:33:16 ID:qgDacTR6
狐神「どっかの優しくてかわゆい神が仕込んだんじゃない?」
神使「神様・・・」
神様「コックス君さぁ、なんでそういうことを言うの? トップシークレットだよね? それ」
狐神「そうだったけ?」
狐神「でもさぁ、あんた他の宗教法人へ譲渡するって言ってないでしょ」
神様「・・・・・・」
狐神「神宮は稲荷神社保存の氏子団体って言ってたよ?」
神様「・・・・・・」
301: 2016/03/08(火) 06:34:18 ID:qgDacTR6
狐神「ばれるとマズいわよ~」
神様「ば、バレねーよ・・・ び、ビビってんじゃねーよ」アセアセ
狐神「ふ~ん」
神様「・・・ お願い、黙ってて」
神使「私からも、お願いします!」
狐神「ちょっと、やめてよ。 大丈夫だって、私は言わないから」
神使「ご迷惑をおかけします」
狐神「そんなことないわよ」
神使「神様も・・・ ありがとうございます」
神様「今度うまいもん食わせろよ」
302: 2016/03/08(火) 06:34:54 ID:qgDacTR6
神様「あぁ、それと」スッ
狐神「?」
神様「いや、金!」
狐神「あんた本当に食べることとお金だけは忘れないわよね」
神様「なに? その言い方、私が欲の塊みたいじゃん」
狐神「・・・・・・」
神使「・・・・・・」
303: 2016/03/08(火) 06:35:32 ID:qgDacTR6
神様「え? ちょっと待って、マジでそう思ってんの君たち」
神使「いえ、そのようなことは・・・」
狐神「大丈夫、思ってないって。 はい、お駄賃」スッ
神様「うひょ~ 臨時収入~」キラキラ
神使「なんか、すいません。 神様がいやしいお願いをしたようで」
狐神「気にしないで。 言い出しっぺは私だし」
神様「そうだぞ、私をあんまり蔑むなよ?」
304: 2016/03/08(火) 06:36:28 ID:qgDacTR6
神様「財布に諭吉さんがいっぱい居るよ~」ウットリ
神使「本当ですか?」
神様「見る? 見ちゃう??」
神使「では、没収させて頂きます」
神様「ぇ・・・」
神使「ひのひの村で少女さんに渡した宿代の半分は神様負担ですから」
神様「ぜんぶ?」
神使「1万だけ残してあげます」
神様「半分」
神使「ダメです」
神様「・・・はぃ」
305: 2016/03/08(火) 06:37:23 ID:qgDacTR6
――― 翌日
神使「では、色々ご迷惑をおかけいたしました」
狐神「もっとゆっくりしていけば良いのに」
神様「そうだよ」
神使「次の場所が少し遠いので・・・」
神様「そうなの?」
狐神「まぁ、こんな所にいてもね。 ほら、巫女~」
巫女「あっ、はい」タッ タッ タッ
狐神「お二人がお帰りになるそうだ」
巫女「どうぞお気を付けて」ペコリ
神使「ご丁寧にありがとうございます」
306: 2016/03/08(火) 06:37:59 ID:qgDacTR6
神様「巫女ちゃんさぁ、この狐が嫌になったら私に連絡ちょうだいね」
巫女「え? そんな、嫌になるだなんて」フルフル
神様「はい、これ私のラインのID。 いつでも連絡してね」スッ
巫女「ありがとうございます! 私ラインやってみたかったんです!」
狐神「そうなの? じゃぁスマホ買ってあげないとな」
神様「え? 私にもスマホ買って?」
狐神「なんでお前の分も買わないと行けないんだよ・・・」
神使「神様? そろそろ行きますよ?」
神様「わーてるよ」
307: 2016/03/08(火) 06:38:39 ID:qgDacTR6
神使「狐神様、色々とご迷惑をおかけします」
狐神「気にしないで、仕事だから」
神使「ありがとうございます。 では神様行きましょうか」
神様「おっけ~」
狐神「じゃ、元気でね」
神様「バイバ~イ」
巫女「・・・・・・」フルフル
神使「失礼します」ペコリ
308: 2016/03/08(火) 06:39:42 ID:qgDacTR6
スタスタ
神様「なぁ神使」
神使「何ですか?」
神様「お前は神になりたいと思うか?」
神使「どうしたんですか?」
神様「いや、深い意味はないんだけどさぁ」
神使「神ですか・・・」
神様「あぁ。 神力を使って多くの人の願いを叶える存在だ」
神使「神力・・・」
309: 2016/03/08(火) 06:41:10 ID:qgDacTR6
神使「興味ありませんね」
神様「!?」
神使「神力には興味ありません。 だって・・・」
神様「?」
神使「私の知っている神様は神力を使わないんです」
神様「・・・・・・」
神使「神力を使わなくても願いを叶えてくれるんです」
神使「方法は、少し強引なんですが・・・ 私はその方を尊敬しています」
神様「・・・・・・」
神使「多くのことを学ばせて頂きたいと思っています」
310: 2016/03/08(火) 06:41:45 ID:qgDacTR6
神使「ですからその方が神である以上、私は神使であり続けたいと思います」
神様「・・・・・・」
神使「つまり・・・ 私はずっと神使のままだと思います」
神様「そうか」
神使「はい」
神様「その神は神使に恵まれているな」フッ
311: 2016/03/08(火) 06:42:24 ID:qgDacTR6
神使「さてと、次の勤務先なんですが」
神様「よし! 吉祥寺か?」
神使「いいえ、ちなみに下北沢でもありません」
神様「どこです?」
神使「着いてからのお楽しみです」
神様「・・・・・・」
312: 2016/03/08(火) 06:43:05 ID:qgDacTR6
神使「さぁ、急ぎましょう。 船に間に合いません」
神様「え? 船? ちょ、待って。 船って何だよ」
神使「行きますよ、神様」
神様「いやだー! おしゃれな街に行きたいよーーーーー!」
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#2 ―END
313: 2016/03/08(火) 06:43:49 ID:qgDacTR6
神使「あっ、そうだ忘れてました」
神様「?」
神使「神様機構から懲罰書が届いてます」
神様「・・・ぇ」
神使「お前もう神宮に帰ってくんな」
神様「ちょっと待って、本当にそんな口調で書いてあんの?」
314: 2016/03/08(火) 06:44:34 ID:qgDacTR6
神使「それと、人事院からも」
神様「・・・・・・」
神使「給料なし」
神様「それだけ? いつまでとか何%カットとかそういうの書いてないの?」
神使「書いてないですね」
神様「ちょっと何で私だけそんな扱い受けんだよ-!」
神使「神様? 私も同じですよ?」
神様「え?」
315: 2016/03/08(火) 06:46:20 ID:qgDacTR6
神使「当然じゃないですか。 前回の給料30%オフも今回の全カットも同じです」
神様「!?」
神使「神様の神使ですから」
神様「・・・ごめん」
神使「なんで謝るんですか?」
神様「・・・・・・」
神使「これからはバイトでもしながら神社周りしないと行けませんね」
神様「・・・・・・ごめん」
神使「当面は貯金もありますし何とかなるでしょう」
神様「神使、お前私の使いを外れて神宮に帰った方が―――」
神使「神様?」
316: 2016/03/08(火) 06:47:07 ID:qgDacTR6
神様「私が上に話せばその位はやって―――」
神使「お願いですから私を神様の神使でいさせて下さい」
神様「・・・・・・」
神使「私が尊敬する神の使いでいさせて下さい」
神様「・・・お前」
神使「私は神使である以上、神様の使い以外は考えられません。 お願いします」フカブカ
神様「・・・・・・」
317: 2016/03/08(火) 06:49:01 ID:qgDacTR6
神様「なぁ神使、お前の尊敬するその神の正体を教えてやろうか?」
神使「いいえ、結構です」
神様「? 知りたいんじゃなかったのか?」
神使「なんか、それを聞いたら離れないと行けない気がするもので」
神様「そうか・・・」
神使「はい」
318: 2016/03/08(火) 06:50:17 ID:qgDacTR6
神使「あっ、でも一つだけ聞きたいことがあります」
神様「?」
神使「その神様はどうして素性を隠しているのでしょうか」
神様「人が好き、それだけだ。 それ以外は邪魔とでも思っているんじゃないか?」
神使「ありがとうございます」
神様「なんだよ、それ」フフッ
神使「やっぱり私の神様はあなただけです」ニコッ
神様「あ~あ、 面倒くさい神使を持ってしまったようだな」
神使「はい。 あきらめて下さい」
319: 2016/03/08(火) 06:51:11 ID:qgDacTR6
神様「給料ないぞ?」
神使「大丈夫です」
神様「バイトが必要になるぞ?」
神使「任せて下さい」
神様「ずーっと、神社周りになるかも知れないぞ?」
神使「旅は大好きです」
神様「階位が下がるかも知れないぞ?」
神使「階位など不要です」
神様「そうか」フッ
320: 2016/03/08(火) 06:53:18 ID:qgDacTR6
神様「こうなったら日本全国まわっちゃうか!」
神使「はい!」
神様「よし、腐れ犬ころ神使! しゅっぱーつ!」
神使「はい!!」
神様(ありがとう神使・・・)
神使(ありがとうございます神様・・・)
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」 ―END
321: 2016/03/08(火) 06:54:09 ID:qgDacTR6
本当はもっと短くまとめるつもりだったんです…
反省!(ドゲザ)
322: 2016/03/08(火) 08:36:22 ID:eNq7jQAg
面白かった
乙!
乙!
324: 2016/03/09(水) 13:41:15 ID:tAHc07p2
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります