327: 2016/03/28(月) 01:51:26 ID:evd5TeSM

328: 2016/03/28(月) 01:52:05 ID:evd5TeSM

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

 ボー
 ザバーン ザバーン

神使「いや~ 私フェリーって初めて乗りました」

神様「・・・・・・」バリボリ


神使「風が気持ち良いですね」

神様「・・・・・・」バリボリ


神使「神様? そのえびせんはウミネコの餌用に買った物なんですが・・・」

神様「神使さんよ~ どこ向かってんだよ」

神使「あと15分くらいで島の港に着くと思います」

神様「あん? 島?」


神使「次の立ち寄り先はにゃんにゃん島です」

神様「ねぇ、立ち寄り先って誰がチョイスしてんの? 私そいつシメてくるわ」バリボリ
江戸前エルフ(9) (少年マガジンエッジコミックス)
329: 2016/03/28(月) 01:53:12 ID:evd5TeSM

~あらすじ~

神様「私は神様! みんな大好きとってもかわゆい理想の女神!」

神使(訳)「神宮が誇る最大の問題児! 減給・左遷を総なめにする絵に描いたようなダメ神です」


神様「悪の手先からの激しい嫌がらせにも負けず、今日も私を待つ者へ神の力を授ける旅をする」

神使(訳)「悪知恵ばかり働く神様に業を煮やした神宮は、無期の長期出向を命じたのでした」


神様「そう、私は強大な神力を持つ心優しき立派な神様だ!」

神使(訳)「神力は使えませんが、心は優しく尊敬できる立派な神様なのです」

330: 2016/03/28(月) 01:54:33 ID:evd5TeSM

#3


神使「神様、タラップと桟橋の間に段差がありますから気をつけて下さい」

神様「分かっとるわ! 痛てっ」ガクッ

神使「全然分かってないじゃないですか・・・」


神様「お~ 向こうに凄い綺麗な海岸があるな」

神使「真っ白な砂浜で綺麗ですね」


神様「沖縄の海水浴場みたいだ」

神使「神様って沖縄に行ったことあるんですか?」

神様「ない」


神使「・・・そうですか」

神様「イメージだよ、イメージ。 そんな感じだろ?」

331: 2016/03/28(月) 01:55:50 ID:evd5TeSM

 ニャー

神様「?」

 ニャー ニャー

神使「猫ですね」

 ニャー ニャー
 ニャー ニャー

神様「・・・ねぇ、ちょっと多すぎない?」

神使「にゃんにゃん島ですから」

 ニャー ゴロゴロ


神様「ワンワンッ!」

 シャーッ!


神使「何やってるんですか神様・・・ 行きますよ?」

332: 2016/03/28(月) 01:57:00 ID:evd5TeSM

 テクテク

神様「しかし、あちこちに猫がいるな」

神使「人懐っこくて可愛いですよね」


神様「犬っころでも猫は可愛いと思うのか?」

神使「まぁ・・・」


神様「で、目的地は?」

神使「この山の頂上にある<もふもふ神社>です」

神様「ふ~ん、初めて聞く神社だな」


神使「10年前から神が配属になったようです」

神様「最近じゃん。こんな所に配属なんて何やらかしたんだ?」

神使「転勤希望だそうです」

神様「希望してこんな僻地にくるなんて物好きもいるもんだな。 ん?」

333: 2016/03/28(月) 01:58:03 ID:evd5TeSM

神使「どうされました?」

神様「いやさぁ、不在神社の管理が私達の仕事じゃないの?」

神使「もふもふ神社には神職と巫女がいません」

神様「神だけいるの?」

神使「そのようです」

神様「ふ~ん」


神使「あっ、見えましたよ」

神様「小さい神社だな」

334: 2016/03/28(月) 01:59:04 ID:evd5TeSM

神様・神使「・・・・・・」


神様「ねぇ、神使君?」

神使「なんでしょうか」

神様「なんで神社の敷地内に喫茶店があるの?」


神使「<喫茶ねこまた>って書いてありますね。 あっ、その下に小さく社務所とも書いてあります」

神様「社務所と喫茶店が同じって変じゃね?」


神使「中に女性の方がいますね」

神様「神職とか巫女さんは居ないんだよな?」

神使「資料ではそうなっています。 取りあえず入りましょうか」

338: 2016/03/29(火) 01:01:09 ID:9d9TqEHE

 カランコロン

店員「いらっしゃいませ~」


神使「お邪魔します」

神様「・・・・・・」


店員「お二人ですか? そちらのテーブルへどうぞ~」

神使「ありがとうございます」


店員「は~い、こちらメニューになりま~す」

339: 2016/03/29(火) 01:03:00 ID:9d9TqEHE

神様「・・・おい」

店員「?」


神様「お前、こんな所で何やってんの?」

店員「ん? あっ! 神ちゃんじゃ~ん!」


神使「神様、お知り合いですか?」

神様「うん、猫」

神使「すいません、雑すぎて全く分からないのですが・・・」

店員「猫神と申しま~す」

神使「猫神様・・・?」


神様「お前って確か、でかでか大神宮の主神だったよな?」

猫神「10年前までね~」


神使「でかでか大神宮の猫神様!? もしかして神の中でも最大級の神力を持つ・・・」

猫神「ふふっ、大げさよ~」

340: 2016/03/29(火) 01:04:02 ID:9d9TqEHE

神使「初めまして、私神様の使いで狛犬の神使と申します」

猫神「神ちゃんの神使さんなんだぁ~ 初めまして」ニコッ


神使「お目にかかれて光栄です」

猫神「そんな堅くならないで~ 仲良くしましょうね」

神使「恐縮です」


猫神「私も昔は神ちゃんの神使だったのよ~?」

神使「えっ? そうなんですか?」


猫神「平安時代だけどねぇ~」

神使「平安時代!?」

341: 2016/03/29(火) 01:05:10 ID:9d9TqEHE

神様「申し訳ございませんが、昔話はご遠慮頂けますでしょうか」

猫神「ふふっ、ごめんねぇ~」


神様「なんでお前が喫茶店なんかやってんだよ」

猫神「だって~ 神社だけじゃ生活できないんだも~ん」


神様「境内で関係者が営利事業をするのは禁止!」

猫神「でも土地を寝かせておくのも勿体ないし~」

神様「だーめ!」


神使「なんで神様そんなに厳しいんですか・・・」

神様「自分に優しく、他人にはめっちゃ厳しく! それが私流」

342: 2016/03/29(火) 01:07:05 ID:9d9TqEHE

猫神「でも、神宮から許可出してもらったも~ん」ペラッ

神使「拝見します。 たしかに神宮の正式な許可証ですね」


神様「誰だよ、そんな許可出したヤツは! 他に示しがつかないだろ!」バンバン

神使「神宮 広域特務課 審査係 神様、とあります」


神様「・・・今の時代は神社運営だけでは厳しいからな。 良い判断だ」ウン

猫神「さっすが神ちゃ~ん、分かる神は違うわ~」

神様「そうだろ? そこら辺の堅物と一緒にするなよ? 私は先見の明を持っているんだ」

神使「・・・・・・」


猫神「で、ご注文は~?」

神様「コーラ、おすすめデザートセットで」

神使「私は、えっと・・・ ブレンドをお願いいたします」

猫神「は~い、少々お待ち下さ~い」

343: 2016/03/29(火) 01:08:25 ID:9d9TqEHE

神様「で? なんでお前はこんなへんぴな島にいるんだ?」

神使「確か、転勤希望と伺っていますが」

猫神「そう、疲れちゃってさ~」

神様「!?」


神使「疲れたと申しますと?」

猫神「ほら、あそこって神宮に次ぐ大きな神社じゃな~い?」

神使「そのようですね」


猫神「他に周辺500個の社の管理もあってね~」

神使「500!?」

猫神「そうなの~ まぁ他にも色々と大変でさ~」

神使「ご苦労様です」

猫神「いやいや、逃げて来ちゃったし~」テヘッ

神様「・・・・・・」

344: 2016/03/29(火) 01:10:11 ID:9d9TqEHE

猫神「は~い、お待たせいたしました~」コトッ

神使「ありがとうございます」


神様「ちょ、このケーキめっちゃウマそうじゃん!」

猫神「ふふふ、分かる~ 自信作なの」

神様「お前が作ってんの?」

猫神「腕に自信ありです。 さぁ召し上がれ~」


神様「んじゃ、いただきま~す」パクッ

猫神「どぉ~?」


神様「やばい! うまいっ!」パクパク

神使「神様、一口頂けますか?」

神様「ふざけんなよ」パクパク


神使「・・・すいません、私もケーキを追加でお願いできますでしょうか」

猫神「ありがとぉ~ 今もってくるね」

346: 2016/03/30(水) 00:28:55 ID:BVEeudSE

 カランコロン

猫娘「すいません店長! 遅くなりました」

猫神「あっ、猫娘ちゃんおはよ~ お客様にこのケーキ持って行って~」


猫娘「お客様?」

神様・神使「・・・・・・」


猫娘「いらっしゃいませ・・・ じゃない。 いらっしゃいませニャ!」

神様「あっ、うん。 えっと・・・ 神使君?」

神使「はい」

神様「どうしよう。 人の姿になった猫が喋ってる」

神使「そうですね」


猫娘「正体がバレてる! ニャ」

猫神「あぁ~ 神宮から来た神様と神使さんよ。 気にしないで~」

347: 2016/03/30(水) 00:30:35 ID:BVEeudSE

猫娘「初めまして、バイトの猫娘です。 違う、バイトの猫娘ですニャ!」

神様「なんで言い直したの?」

猫娘「お客さんの前では語尾に“ニャ”を付けろと店長から言われてまして・・・ ニャ」


神様「猫神ちゃんさぁ」

猫神「なぁに~」

神様「露骨すぎだろ」

猫神「え~ だってにゃんにゃん島の喫茶店だもん。 その位の露骨さは必要だよ~」


神使「もしかして、神使として籍に入れるというのはこちらの猫娘さんですか?」

猫神「そうそう」

神様「神使だぁ?」

348: 2016/03/30(水) 00:32:16 ID:BVEeudSE

神使「はい、神使登録の調査依頼が出ております」

神様「へぇー、数日中に神宮から使いの者がくると思うんでそれまで大人しくしていて下さい」


神使「神様・・・ その使いの者が私達なんですが・・・」

神様「はぁ~っ? お前さぁ、なんだよこれ。 どうすんだよこんなの」


猫娘「こんなのだなんて・・・ こんニャにょだニャんて・・・」

神様「だから一々言い直してんじゃねぇよ! しかも噛んでるし」


神使「神使適正を調べて猫娘さんを神使として相応しいか審査して下さい」

神様「審査? 私がすんの?」

神使「はい」

349: 2016/03/30(水) 00:34:00 ID:BVEeudSE

神様「お前がやれよ猫神! 自分の神使にすんだろ?」

猫神「いや~、私じゃ無理なんだよね~」


神使「主神が自分の神使を登録するには一定の規模の社を持っていることが必要なんです」

神様「はぁ? なんだそれ?」

神使「10年前の神法改正で追加された条項です」

神様「なんでそんな変な規則が追加されてんだよ!」

神使「私にそう言われましても・・・」


猫神「そう言うことなんだな~ この社の規模の主神じゃ何も出来ないの~」

神様「・・・面倒くさい時代だなぁ」

猫神「まぁね~ でも規則には従わないと~」


神様「・・・規則ねぇ~」

350: 2016/03/30(水) 00:35:47 ID:BVEeudSE

神使「そういう訳ですので神様、審査をよろしくお願いいたします」

神様「審査って言われても何すんだよ。 知らないぞ私はそんなこと」


神使「神様って審査係ですよね? 専門ですよね?」

神様「ぅっ」ギクッ


神使「神使登録審査は筆記と実技です。 この教本通りに―――」

神様「猫娘は神使になりたい?」

猫娘「猫神様のお役に立てるなら! 立てるニャら!」


神様「・・・猫神は、これが神使で良いの?」

猫神「うん、必要~」


神様「んじゃ、採用。 神使よ審査は合格したから登録を」

351: 2016/03/30(水) 00:37:36 ID:BVEeudSE

神使「えっ? そんな簡単に神使登録など・・・」

神様「こいつが必要だって言ってんだから必要なんだよ。 最低位だったら登録簡単だろ? さっさと登録!」

神使「しかし・・・」

神様「もう人型になってんだから神使にしておいた方が良いだろ」

神使「はぁ・・・ あんなに神使試験大変だったのに、私の立場は・・・」

神様「良いんだよ! 私は私、余所は余所!」


猫神「いや~ すまないねぇ~ 正直試験対策してなかったからどうしようかと思ってたんだ~」

神様「じゃ、そういうことでお前こいつの神使な」

猫娘「ニャニャ! また猫神様の神使でも良いんですか?ニャ」パァッ

神様「?」


神使「登録手続きは後日いたしますが、これからは猫神様の神使・猫娘と名乗って下さい」

猫娘「やったー!! 違う、やったニャー!」

352: 2016/03/30(水) 00:40:00 ID:BVEeudSE

神使「・・・その代わり!」

猫娘・神様「」ビクッ


神使「神に仕える神使として、最低限の作法は私がみっちりとたたき込ませて頂きます」

猫神「それは助かる~ 是非ともお願いします神使君」

神使「お任せ下さい。 これでも神使の階位は最高位です」


神様「猫娘よ、氏ぬ気で耐えるんだ。 私に言えることはそれだけだ・・・」

猫娘「ニャ! よろしくお願いします、神使先生!」


神様「んじゃ、授業料として宿の提供と私のケーキ食べ放題をお願いするぞ猫神」

猫神「おっけ~ そのくらいは持つよ。 2階が住居スペースだから空いてる部屋使ってね~」

353: 2016/03/30(水) 00:41:12 ID:BVEeudSE

神使「ケーキ食べ放題はいらないんじゃないですか?」

神様「うっせんだよ腐れ犬ころ! 毎日ケーキ食べたら破産するわ!」ゲシッ


神使「毎日食べるんですか? すいません猫神様」

猫神「いやいや、この位は安いもんだよ」


神様「じゃぁ早速だけど、ケーキお代わり」

猫神「もう食べちゃったの~?」

神様「神様なもので///」ゲシッ

神使「痛! なんで最近その言葉の後に必ず私を蹴るんですか?」

356: 2016/03/30(水) 23:35:47 ID:BVEeudSE

神様「それより、店は儲かってんの? 客一人もいねぇじゃん」

猫神「平日だし~ 明日は土曜日だから忙しいよ~」

神様「ふ~ん」


猫神「お手伝いよろしくね~」

神様「はい!? 何言っちゃってんの? 明日は海行くんだよ! 海!」

神使「海はまだ寒くて泳げませんよ?」

神様「だれが泳ぐなんて言ったよ。 砂浜で寝るんですぅ」ベェー

357: 2016/03/30(水) 23:37:44 ID:BVEeudSE

猫神「え~ バイト代出すわよ~ 時給1500円でどう?」

神様「よろしくお願いいたします猫神店長」


猫神「神使さんも手伝ってもらえると嬉しいなぁ~」

神使「もちろんお手伝いさせて頂きます」

猫神「やった~」


猫娘「明日は外にテラスも出せますね。 ニャ」

神様「猫娘ちゃんさぁ、語尾に“ニャ”を付けるなら徹底した方が良いよ?」

358: 2016/03/30(水) 23:39:15 ID:BVEeudSE

猫神「あ~、でも神ちゃん達の服がないや・・・ どうしよう」

神様「心配無用。 神使よ、私の正装を用意しておけ」

神使「正装って巫女装束ですか?」

神様「神社の喫茶店だ。 巫女さんの格好をした店員がいた方が面白い」


猫神「なるほど~ さっすが神ちゃん! それ採用~」

神様「私は常に最高のアイディーア~を持ち合わせている。 褒めよ」


神使「猫神様は御装束はお持ちですか?」

猫神「う~ん、昔のならあるかな~」

猫娘「私の服はありますか店長? ニャ」

猫神「古くてもよければ私の装束貸してあげるよ~」


神様「んじゃ、明日は神社らしく装束着て正装で接客だ」

359: 2016/03/30(水) 23:41:15 ID:BVEeudSE

――― 夜・厨房

神様「まだ仕込みか?」

猫神「う~ん、もう少しかな~」


神様「急に神使を付けるだなんてどうしたんだ?」

猫神「・・・・・・」


神様「後継者か」

猫神「ふふっ、そろそろ準備しておかないとね~」

神様「平安時代からだもんな。 疲れただろ」

猫神「少しね~ でもまだまだ大丈夫だよ?」

360: 2016/03/30(水) 23:42:39 ID:BVEeudSE

神様「・・・・・・」

猫神「どうしたの?」

神様「10年前の大改革で苦労したようだな」

猫神「う~ん、でも仕方ないよ。 時代の流れだもん」


神様「すまない。 やはり私がもっと反抗しておくべきだった」

猫神「大丈夫だって、神ちゃんが責任を感じることなんてないんだから~」


神様「でかでか大神宮は相当大変だったか?」

猫神「そうね~ 神法改正で参拝者の声を直接聞けなくなったのは寂しかったかな~」

神様「そうか・・・」

361: 2016/03/30(水) 23:44:53 ID:BVEeudSE

猫神「大きい神社だからね~ 仕方ないよ。 私のワガママで迷惑かけられないし~」

神様「お前は人が好きだもんな」

猫神「うん、大好き。 だって命の恩人だもの」

神様「苦労をかけた」


猫神「神ちゃんも私と同じね」

神様「?」

猫神「神ちゃんが地方神社回りだなんて~」

神様「私も人の願いを直接聞くことが出来ないなんて、そんなのは無理だ」


猫神「相変わらず素性は隠してるの~?」

神様「まぁな、この方が自由で気が楽だ。 誰もこんなのが最高神だなんて思わないしな」

猫神「神ちゃんらしいな~」

362: 2016/03/30(水) 23:46:07 ID:BVEeudSE

神様「でも、お前はなんでココなんだ?」

猫神「今の私にはこの位がちょうど良いかなぁって。 猫もいっぱいいるし~」

神様「そうか」


猫神「ごめんね~ 神ちゃんからこんなに強い神力もらったのに」

神様「そんなことお前が気にする必要は無い。 勝手に神力を渡したのは私だ」


猫神「でも、これだけの神力があるのにこんな小さな神社に引きこもって・・・」

神様「お前が平安からどれだけの人の願いを叶えてきたかくらい知っている。 十分だ」

猫神「そう言ってもらえるだけでも嬉しいな~」


神様「後はお前の好きなように生きてくれ」

猫神「ありがと~ 神ちゃん」

363: 2016/03/30(水) 23:47:28 ID:BVEeudSE

――― 寝室

 ガチャ

神様「ふぁ~ 寝み~」トテトテ


神使「あっ、神様どこ行ってたんですか?」

神様「ん?」


神使「ずいぶんと長かったですね」

神様「うOこ」


神使「・・・女性の方があまりそのような単語を口にしない方が良いと思いますが」

神様「へいへい、すんませんね~」


神使「あの神様?」

神様「分かってるって、下品なんだろ?」

364: 2016/03/30(水) 23:49:32 ID:BVEeudSE

神使「いえ、そうではなくて・・・ 猫神様なんですが」

神様「猫神?」

神使「私ごときがお聞きするのは失礼かとは思うのですが・・・」


神様「・・・あいつは平安時代に私が神使に向かえ、そして神にした」

神使「・・・・・・」


神様「あいつは野良猫だったとき、食べ物がなくて餓氏しそうだった所を一人の人間に救われたそうだ」

神使「そうなんですか・・・」


神様「人に恩返しがしたい、その一心で神使になってそして私が神力を与え神にした」


神様「神になったあいつは人の願いを聞いて叶えることが生きがいだった。 本当に嬉しそうだったな」

神使「立派な方ですね」

365: 2016/03/30(水) 23:50:57 ID:BVEeudSE

神様「でも10年前の神法改正で、神が人の願いを直接聞くことが出来なくなった」

神使「それで、でかでか大神宮を出てここに・・・」

神様「神職が不在の神社は特例で神が参拝者の願いを直接聞く裁量が与えられるからな」


神様「あいつは本当に人が大好きなんだ。 だから相当つらかったと思う」

神使「・・・・・・」

神様「平安時代から長いこと神として願いを叶えてきてくれたんだ。 少し休ませてやりたいな」

神使「そうですね」


神様「今度は私があいつの願いを叶えてやる番だ」

神使「お手伝いさせて頂きます」

神様「・・・・・・腐れ神使のくせに。 一生腐ってろ。 寝る」ヌギヌギ

366: 2016/03/30(水) 23:52:24 ID:BVEeudSE

神使「あっ、神様の巫女袴がシワシワだったので布団の下に敷いてあります」

神様「は? アイロン掛けくらいしろよ。 なんでそんな原始的なしわ伸ばしなんだよ」

神使「アイロン壊れてしまいまして・・・」


神様「私が史上最悪に寝相が悪いことくらい知ってるだろ? もっとグチャグチャになるぞ?」

神使「では、私の布団の下でも良いですか?」

神様「いいよ」


神使「では、寝る場所を交換しましょう」

神様「ん」モソモソ


神使「それと神様?」

神様「なんだ?」

神使「下着の上に何か着てから寝て下さい」

神様「はい」

368: 2016/03/31(木) 23:11:14 ID:DlNnkoJw

――― 翌日

神様「・・・・・・」


神使「猫神様、立派な御装束ですね」

猫神「そぉ~? なんか動きづらくてあんまり好きじゃないんだけどね~」

猫娘「とっても綺麗です! ニャ」


猫神「ふふっ、猫娘ちゃんも似合ってるわよ~?」

猫娘「そうかニャ」

神使「はい、とってもお似合いです。 神用の中でも最高位の御装束ですよ?」

369: 2016/03/31(木) 23:13:21 ID:DlNnkoJw

神様「・・・・・・」ムスッ

神使「神様? どうされました?」


神様「おかしくね?」

神使「?」

神様「いや、なんで私の格好が一番しょぼいの?」

神使「それは神様の着ているものは普通の巫女装束ですので・・・」


猫娘「でも、とっても着慣れてる感じがして一番しっくりきてると思う。 ニャ」

神様「だから無理してニャをつけんじゃねぇよ! 徹底しろ! 徹底!」


神使「神様らしい格好で良いと思いますが・・・」

神様「褒められたのかなぁ? でも、私も綺麗なおべべが着たい!」

神使「神様はそれしか装束がございませんので・・・」

370: 2016/03/31(木) 23:15:17 ID:DlNnkoJw

神様「犬ころ、お前その上の狩衣脱げ」

神使「え?」


神様「私と同じ白衣と袴だけにしろ」

神使「正装でと言ったのは神様ですよ?」


神様「私が惨めなんだよ! バランス取れよ!」

神使「はぁ・・・ まぁ狩衣は脱いだ方が動きやすいですし」ヌギヌギ


猫神「私達も、上は脱ごうかねぇ~」

猫娘「はいニャ。 ちょっとゴワゴワして接客が難しいニャ」

371: 2016/03/31(木) 23:16:31 ID:DlNnkoJw

神様「それより、本当に客なんか来るのか?」

猫神「あと30分で港にフェリーが来るからお昼にはお客さんがいっぱい来るよ~」


神様「こんな島に何しに来るんだよ」

猫神「それは猫を見にだよ~」

神様「猫?」

猫娘「みんな人懐っこくて良い子なの。ニャ」

神使「確かにとっても人に馴れてるみたいですね」


猫神「この島には沢山の猫がいるからね~ 住んでいる島民の数よりも多いんだよ~?」

神様「そんなにいるのか・・・」


猫神「それじゃぁ~ 準備しちゃおうか」

372: 2016/03/31(木) 23:18:59 ID:DlNnkoJw

――― お昼

猫神「猫娘ちゃん、これ3番席ね~」

猫娘「はいニャ! これ追加オーダーですニャ」


神様「はぁ~ すんげー混んでんな」

神使「ここまでお客さんが来るとは思っていませんでした」


 すいませ~ん

神使「はい。 神様、テラス席のお客様のご注文お願いしても良いですか?」

神様「あぁ行ってくる」トテトテ

373: 2016/03/31(木) 23:19:37 ID:DlNnkoJw


 キャー 巫女さんだ! かわいい~
 そうだろ? かわゆい巫女さんだろ? 本物だぞ?


神使「神様に任せて大丈夫でしょうか・・・」

猫神「大丈夫だって~ 神ちゃん接客上手だも~ん」


神使「まぁ、普段から巫女さんとしてお守り売っていますからね」


 こっちも注文良いですか~?

神使「はい、今お伺いいたします」

374: 2016/03/31(木) 23:20:29 ID:DlNnkoJw

――― 2時間後

客A「うそ~ そんなことある訳ないじゃんよ~」

客B「神ちゃん、話盛りすぎ~」ハハハ

神様「いやいや、そう思うだろ? でもまだ続きがあってさぁ」


神使「ちょっと神様、何やっているんですか?」

神様「うるせー犬ころ。 今良いところなんだよ」

神使「ちゃんと仕事して下さいよ~」


神様「あっ、みんなお代わりとか頼むよね」

客A「もち、私同じヤツ追加で」

客B「私も~」

375: 2016/03/31(木) 23:21:59 ID:DlNnkoJw

神様「ここのケーキが最高に旨いんだよ。 試してみる価値はあるぞ?」

客A「そうなの?」

客B「神ちゃんが言うなら食べてみようか」


神様「んじゃ、ケーキセット3つ。 私はコーラね」

神使「なんで神様の分も数に入っているんですか・・・」

神様「ケチケチすんなよ。 なぁ皆話の続き聞きたいよな?」


客A「ここでやめられたら困る」

客B「私が神ちゃんの分払ってあげる」

神様「そういうことだ。 さっさと持ってこい犬」


神使「話し終わったら仕事して下さいよ?」

神様「はいはい。 で、続きなんだけどさ~ 私がおまるに跨がった途端―――」

376: 2016/03/31(木) 23:22:42 ID:DlNnkoJw

神使「テラス席のお客様、ケーキセット追加で3つお願いします」


 ハハハッ 神ちゃん面白い!
 やばいツボった!!


猫神「神ちゃんまたお客さんと話し込んでるの~?」

神使「もう4組目ですよ? なんの話をしているんだか・・・」ハァ


猫娘「でも、みんな追加注文してくれるから嬉しいです。ニャ」

猫神「さすが神ちゃんよね~ 自分の分までお客さんに払わせるなんて~」

神使「すいません、何のお役にも立てずに・・・」

377: 2016/03/31(木) 23:23:36 ID:DlNnkoJw

猫神「そんなことないよ~ お客さんも楽しそうだし、セットで追加取るなんてすごいよ~」

猫娘「あの技、盗みたい。 ニャ・・・」

神使「あまりおすすめ出来ませんが」


猫神「ふふ、はい追加のセット~」コトッ

神使「ありがとうございます」


 すいません、お会計お願いします


猫娘「はいニャ! 今行きますニャ」スタスタ

378: 2016/03/31(木) 23:24:40 ID:DlNnkoJw

――― 夕方

神様「いや~ 忙しかった!」

神使「神様ずっとお客さんと話し込んでただけじゃないですか」


猫娘「でも凄い! お客さんみんな楽しそうだった。 ニャ」

猫神「売上もすごいよ~ 客単価とか最高記録かも~」

神様「ほら見ろ」フフン

神使「なんか、納得いかないのですが・・・」

神様「ったく、そんなだからお前はいつまで経っても犬ころなんだよ」

379: 2016/03/31(木) 23:25:22 ID:DlNnkoJw

猫神「明日は日曜だからもっとお客さんくるよ~ よろしくね~」

神使「はい、よろしくお願いいたします」

神様「任せろ! それよりさぁ」

猫神「な~に?」

神様「猫はここにいないのか?」

猫娘「皆には境内に入っちゃダメって言ってあるの。 ニャ」

猫神「飲食店だからね~ 衛生上マズいんだよ~」

神様「あ~ 結構リアルな事情なのね」

380: 2016/03/31(木) 23:27:04 ID:DlNnkoJw

神使「猫娘さん、今日の夜はお時間ございますか?」

神様「なに、デートの誘い? 犬と猫はさすがにダメだろ~」


神使「何を言っているんですか・・・ 神使の実技指導です」

猫娘「もちろん大丈夫です。 ニャ」ビシッ


猫神「本殿使う~?」

神使「お借りしても大丈夫でしょうか?」

猫神「もちろん大丈夫だよ~」

神使「では、後ほど本殿にて」

381: 2016/04/06(水) 00:00:04 ID:Ipk9nNmI

――― 夜・本殿

神様「なぁ、私は別に付き合わなくても良いんじゃないか?」

神使「神様も一緒に指導をして頂かないと」


神様「今日はテレビにエガちゃんが出るから見たいんだよ」

神使「・・・神様って江頭2:55さん好きですよね」

神様「あのお方は本物だ」ウン

神使「本物って何ですか・・・」


猫神「神ちゃん相変わらず変わった人が好きだよね~」

神様「はぁ~ エガちゃんのお嫁さんになりたいなぁ~ ///」ウットリ

神使「・・・・・・」

382: 2016/04/06(水) 00:01:33 ID:Ipk9nNmI

猫娘「そんなに好きなんですか? ニャン」

神様「あぁ。だって、ああ見えてエガちゃんはさぁ―――」

神使「はいはい。 さて猫娘さん、まずは神使としての立ち振る舞いからいきましょうか」

猫娘「はい先生。 ニャ」ビシッ


神使「神様、神壇の前にお立ち頂けますか?」

神様「え? 私が相手すんの?」

神使「できれば・・・」


猫神「あ~ 私がするよ~」

神様「だそうだ」

神使「申し訳ございません・・・ よろしくお願いいたします」

猫神「気にしないで~ 一般的な神勅型で良いかな~?」

神使「はい、お願いいたします」

猫神「お~け~」スタスタ

383: 2016/04/06(水) 00:07:42 ID:Ipk9nNmI

神使「では猫娘さん、まずこの場合の神使の立ち位置ですが―――」

猫娘「神勅は知ってるニャ」スタスタ ストン

神様「ほぉ~」


猫娘「・・・」ペコリ

神使「では猫神様、なにか当たり障りのない神勅をお願いできますでしょうか」

猫神「はいよ~ では」ゴホン


猫娘「・・・・・・」フカブカ

猫神「神勅、明日のねこねこ島の天気を晴天とす~」

猫娘「・・・・・・・・・ありがたき御神勅、しかとお受けいたしました」フカブカ

384: 2016/04/06(水) 00:09:20 ID:Ipk9nNmI

神様「なんだ完璧じゃん」

神使「はい。 立ち振る舞いと良いタイミングと良い素晴らしいです」


猫神「うんうん、さすが猫娘ちゃ~ん」

猫娘「・・・・・・」フカブカ

神使「あっ猫神様、締めのお言葉を」

猫神「あっ、ごめ~ん。以上、正一位猫神から神勅を申し伝えた~」

猫娘「ニャッ、大丈夫だったかニャ?」パッ


神使「もしかして、猫娘さんはどこかで神使の実技とか習得されたりしました?」

猫神「猫娘ちゃんは、でかでか大神宮からずっと一緒だからね~」

神様「は? 猫娘はこの島出身じゃないのか?」

猫娘「はいニャ、でかでか大神宮から猫神様にくっついて来たんだニャ」

神様「なんだぁ、そんじゃ心配ないじゃん」

385: 2016/04/06(水) 00:10:15 ID:Ipk9nNmI

神使「でも神使籍には入っていないのですか?」

猫娘「・・・・・・」


猫神「うん10年前までは私の神使だったんだけどね~」

神様「はい?」

神使「猫娘さん神使だったのですか!?」

猫娘「・・・・・・」コクン


猫神「でもね~ でかでか大神宮にいるときに・・・ 除籍されちゃったの」

神様「除籍!?」

386: 2016/04/06(水) 00:14:22 ID:Ipk9nNmI

神使「除籍とは穏やかではありませんね」

猫神「私のせいなんだけどね~」

猫娘「猫神様のせいじゃありません! 私が・・・ 私が悪いんです。 ニャ」シュン

神様「・・・・・・」


猫神「神法改正の時にちょっとね~」

神様「なるほどな、猫神寄りの神使であるお前が目を付けられたと」

神使「そんなことで除籍だなんて考えられないのですが・・・」

神様「大きい神社だと複雑な事情があるんだよ。 内部の勢力関係とかな」

神使「そんな・・・」

387: 2016/04/06(水) 00:16:14 ID:Ipk9nNmI

神様「復籍か~ ちょっと面倒だな」

神使「猫娘さんは神使でいらした時の階位は?」


猫神「う~んと・・・ 一位だったよね~?」

猫娘「はいニャ」

神使「高位ではないですか!」


神様「犬ころの一つ下か。 位が高いとさらに面倒だな」

猫神「そうなの~?」

神様「あぁ、神使の復籍の場合は一つ階位を上げないといけないんだよ」

神使「そうですね、猫娘さんを最高位の特位で神使籍に入れる必要があります」


猫娘「私・・・ 猫神様の神使になれないのですか・・・ ニャ」シュン

猫神「・・・・・・」

神使「最高位となりますと・・・」

388: 2016/04/06(水) 00:17:47 ID:Ipk9nNmI

神様「ふふふ、そんな時こそ! この、かわゆい神様の出番だ!」

神使「え?」


神様「私は神宮でただ一人の審査係の神だ」ニヤッ

神使「まさか神様・・・ また変なことを考えているのでは?」

神様「変な事ってなんだよ!」ゲシッ


猫神「でも、神ちゃんに迷惑かけられないよ~」

神様「大丈夫! 猫娘よ、お前を神使の最高位として復籍させる」

猫娘「ニャニャ!? 最高位?」

神使「神様、さすがに最高位登録はそんな簡単にできませんよ?」


神様「猫神、お前の神力を少し猫娘に移せ」

猫神「神力を~!?」

389: 2016/04/06(水) 00:19:30 ID:Ipk9nNmI

神様「そうだ、神登録特例条項を使う」

神使「神登録? そんなのあるんですか?」

神様「あるんだなぁ~ それが」


猫神「でも特例ってなに~?」

神様「神として登録する神使で審査神が未熟と判断した物は神使最高位として待機させるというものだ」


神使「初めて聞きました・・・」

神様「私が前に作ったけど公布していないからな」

神使「え? それって効力あるんですか?」

神様「当たり前だ。 公布していないだけで神登録法には記載されている」

390: 2016/04/06(水) 00:20:49 ID:Ipk9nNmI

神使「でも異議を唱えられるんじゃ・・・」

神様「神の出生に関するに法律だ、人の審査や異議は受け付けない。 私が法律だ! ババン!!」


猫神「でも~ 勝手に私が神力を移すのは違反な気が~」

神様「ビビってんじゃねーよ、バレねーよ」

神使「その言葉、使わない方が良いと思うんですが・・・ 絶対バレてますよ?」

神様「・・・うん、今の言葉は取り消す」


神使「しかし、多少なり神力を移すと言うことは猫娘さんは神と言うことになるのでは?」

神様「その通り、故にまずは猫娘を神籍に入れる」

猫娘「ニャニャ!? 」

神使「ちょっと待って下さい。 そんないきなり神にだなんて」

391: 2016/04/06(水) 00:22:12 ID:Ipk9nNmI

神様「猫娘は神使経験がある。猫娘は猫神とどのくらいの期間一緒にいるんだ?」

猫神「う~んと・・・」

猫娘「248年ニャ」

神様「十分だ」

神使「十分といいますと?」


神様「猫神の神力がゆっくり解放されて側近の猫娘に移ってしまったという言い訳が使える」

猫神「へぇ~ そんなことあるんだ~」

神様「いや、まずないな」

神使「は?」

神様「良いんだよ、それっぽい言い訳さえあれば」

神使「神様・・・」

392: 2016/04/06(水) 00:24:10 ID:Ipk9nNmI

神様「猫神よ、猫娘に神力を移しても良いか?」

猫神「うん、神ちゃんの提案なら異論はないよ~」

神様「よし。 んじゃ猫神、猫娘に神力を与えろ」


猫神「はいよ~ 猫娘ちゃん私の力受け取ってね」ニコッ

猫娘「猫神様の神力を私なんかが・・・」


猫神「猫神ちゃんに受け取ってもらえるなら私はとっても嬉しいな~」

猫娘「猫神様・・・」


神様「神力の量は私が制御するから、猫神は神力をゆっくり与え続けてくれ」


猫神「うん、それじゃぁいくよ~」

 ポワポワ

猫娘「あったかい・・・ ニャ」

 ポワポワ

神様「よし、その位でいいだろ」

393: 2016/04/06(水) 00:25:09 ID:Ipk9nNmI

猫神「はぁ・・・ 結構大変なんだね~」ハァハァ

神様「思った以上にしんどいだろ?」


猫娘「大丈夫ですかニャ、猫神様・・・」

猫神「大丈夫だよ~ 猫娘ちゃんはどう?」

猫娘「なんだか、不思議な気分ニャ」

神様「神力が体に馴染むまで数日位は違和感があるかも知れないが問題ない」


神使「・・・・・・」

394: 2016/04/06(水) 00:26:01 ID:Ipk9nNmI

神様「どうした? 犬ころ」

神使「いえ、初めて見たもので」


神様「そりゃ、神の誕生に立ち会うなんて普通じゃ絶対にないからな」

神使「・・・・・・」


神様「お前もここで神にしてやっても良いんだぞ?」

神使「いいえ、私はまだ神様の神使で良いです」

神様「あっそう」


猫神「ふふっ」

395: 2016/04/06(水) 00:27:41 ID:Ipk9nNmI

神様「さてと、これで猫娘は神になっちゃった訳なんだけど・・・」ゴソゴソ

 ポチッ

神使「神様、その機械は?」

神様「ICレコーダーだ」

猫神「レコーダ~?」


神様「猫娘、私の問いに対し正直に答えよ」

猫娘「はい。ニャ!」ビシッ


神様「嘘偽りは私だけでなく、全ての神に対する侮辱となる。 分かるな?」

猫娘「はい!」

396: 2016/04/06(水) 00:28:58 ID:Ipk9nNmI

神様「猫娘は本審査に対し誘導尋問を受けているか?」

猫娘「受けていません!」


神様「誓えるか?」

猫娘「猫神様に対しても誓えます!」


神様「よろしい、お前は人が好きか?」

猫娘「はい! 大好きです!」


神様「お前の主神であった猫神を尊敬するか?」

猫娘「もちろん尊敬してます!」


神様「お前は神として長い時を生きる覚悟はあるか?」

猫娘「正直・・・ まだわかりません・・・」

397: 2016/04/06(水) 00:31:04 ID:Ipk9nNmI

神様「自らを、猫神をも犠牲にし、人の願いを叶えることが出来るか?」

猫娘「それは・・・ 猫神様を犠牲にするなんて・・・ 出来ません・・・」シュン

猫神「・・・・・・」


神様「質問は以上で終了だ。 神宮審査神である私、神様は猫娘を神として相応しくないと判断した」

神使「そんな!」

猫神「・・・・・・」

猫娘「すいません・・・」


神様「よって猫娘は神籍登録を行ったのち神階を保留、特例条項を採用し身分を最高位神使へ置くものとする」

猫娘「ニャ・・・」

398: 2016/04/06(水) 00:31:59 ID:Ipk9nNmI

神様「猫娘よ、本審査において異議申し立てはあるか?」

猫娘「ないです。 ニャ」


神様「神階の保留期間は、猫神を主神として任命する。 よいか? 猫神」

猫神「はい。 私猫神は審査神・神様の命に従います」


神様「よろしい。 以上を持って、神登録審査を終了する」

 ポチッ

399: 2016/04/06(水) 00:33:03 ID:Ipk9nNmI

神様「よし、これでOK。 犬ころの“そんな!”が迫真の演技で良い感じだった」

神使「神様があまりにも冷たい言い方でしたのでつい・・・」

神様「はぁ? 儀式的と言えよ」

猫娘「神様とっても威厳があったニャ」


猫神「でも、なんで録音なんかするの~?」

神様「証拠を残しておかないと採用されないんだよ」

猫神「へぇ~ 時代も変わったね~」


神様「失礼しちゃうよな。 私が不正なんかするわけないのに」

神使「・・・・・・」

神様「なんだよ犬ころ!」ゲシッ

400: 2016/04/06(水) 00:34:05 ID:Ipk9nNmI

神使「あんな酷な質問を毎回するのですか?」

神様「は? する訳ねぇ―じゃん」

神使「え?」


神様「特例を使うためにした質問だよ。 あそこで猫娘が猫神を犠牲にするとか言ったらハッ倒してたわ」

神使「あ~ そう言うことでしたか」

猫神「神ちゃんは相変わらずそういう事をするのがうまいね~」


神様「褒めるな褒めるな///」クネクネ

神使「いえ、褒めているわけではないと思うのですが・・・」

401: 2016/04/06(水) 00:35:36 ID:Ipk9nNmI

猫神「じゃぁ、お祝いを兼ねて夕食は豪勢にいこうかね~」

神様「いいね~」


猫娘「さっき、島の人からいっぱい牡蠣もらったニャ」

神様「くっは! 牡蠣っ!」クラクラ


猫娘「もしかして、苦手だったかニャ・・・」

神使「逆です。 神様の大好物の中でも他の追随を許さないほど最高に好きな食材です」

猫神「神ちゃんて二枚貝大好きだもんね~」


神様「やったーーー!!! 最高だよ! うひょ~ 牡蠣かよ!」

猫娘「バケツいっぱいもらったニャ」

神様「やべー やべーよ」

402: 2016/04/06(水) 00:36:28 ID:Ipk9nNmI

神使「でも焼き牡蠣にして食べますよ? 生はダメです」

猫神「そうだね~」

神様「焼き牡蠣も最高だよね。 はぁ」ウットリ


猫神「それじゃ~ 浜焼きの準備しよっかね~」

猫娘「はいニャ。 網焼きセット持ってくるニャ」

神使「お手伝いします」

猫娘「ありがとうございますニャ」


猫神「お~い、神ちゃ~ん」

神様「はぁ」ウットリ

神使「神様はしばらく使い物にならないと思います。 放っておきましょう」

404: 2016/04/13(水) 00:04:58 ID:dHinQzDg

神様「あちちっ」パクパク

神使「神様、そんなに慌てて食べなくても大丈夫すよ」

猫娘「まだまだいっぱいあるニャ」


神様「ふぉもふぁもふん」モグモグ

神使「何言ってるんです?」


猫神「でも美味しいよね~」

神使「本当に。 しかし凄い量ですね」

猫娘「ここら辺は養殖でいっぱい牡蠣が採れるニャ」

405: 2016/04/13(水) 00:06:22 ID:dHinQzDg

神様「最高の環境だな、私もここで巫女として住み着こうかな~」モグモグ

神使「神としてではないんですか?」

神様「神は猫神がいるし、神使も猫娘がいる。 巫女としてなら転勤許可がおりそうじゃん」

神使「なんでそこまで本気で考えているんですか・・・」


神様「はぁ~ 美味しいっ!」パクパク

猫娘「まだまだあるニャ」


猫神「保存できないし、全部食べてね~」

神様「こんなに食べてもいいの~ 最高に幸せだよ~」モグモグ

406: 2016/04/13(水) 00:07:51 ID:dHinQzDg

――― 翌日

 チュンチュン

神使「神様? 朝ですよ?」ユサユサ

神様「ん~ あと6時間・・・」モゾモゾ

神使「またそんなことを言って・・・ 朝食は牡蠣ご飯ですよ?」

神様「それを早く言えよ!」バサッ

神使「うわっ、なんで下着姿なんですか!」

神様「着るの忘れた。 それより牡蠣ご飯は?」

神使「下で猫娘さんが用意してくれてます」


神様「よっしゃ! 待ってろ牡蠣娘!!」タッタッタッ

神使「牡蠣娘って・・・ って神様? 服着てから出て下さい!!」

407: 2016/04/13(水) 00:08:59 ID:dHinQzDg

 ダダダ

神様「朝は牡蠣ご飯と聞いた! どこだっ!!」ズサーッ

猫娘「ニャー!! 神様裸ニャ!」

神様「失礼な! 下着は着ているから裸では無い」


神使「神様ー! 服着て下さいよ」タッタッタッ

神様「着ないとダメか?」

神使「当たり前です」


猫神「神ちゃん、可愛い下着だね~」

神様「照れるじゃないか~///」クネクネ

408: 2016/04/13(水) 00:11:13 ID:dHinQzDg

猫娘「朝ご飯はテーブルに用意してあります。ニャ」

神様「よし! 皆早く席に着け!」サッ

猫神「はいよ~」スタスタ


神様「いいな? では、頂きます!!」

神使「なんで神様が仕切っているんですか・・・」

神様「うるせー犬」


猫神「じゃぁ食べようかね~」

神様「いや~ 朝から牡蠣なんて幸せすぎるぞ」パクッ


猫娘「味はどうですかニャ?」

神様「ひゃーーー!! なんじゃこりゃー!!」

409: 2016/04/13(水) 00:12:57 ID:dHinQzDg

猫神「あれ? 味、変だった~?」

神様「これを作ったのは誰だ!」

猫娘「わたしです。ニャ・・・」


神様「猫娘よ」

猫娘「はい・・・」


神様「わたしのお嫁さんにならないか?」

猫娘「ニャニャ!?」


神使「くだらないこと言っていないで大人しく食べて下さい」

神様「んだよ、腐れ犬ころ」ゲシッ

410: 2016/04/13(水) 00:14:12 ID:dHinQzDg

猫神「神ちゃん、相変わらずだね~」

神使「猫娘さん、神様は美味しいものを食べるとテンションが変になるので気にしないで下さい」


神様「いや~ うんめー」パクパク

神使「そうだ、神様?」

神様「ふぉん?」パクパク

神使「今日一日お手伝いをしたら、最終のフェリーでここを出ます」


神様「はぁ~? 冗談だろ?」

神使「冗談を言ってどうするんですか・・・」

411: 2016/04/13(水) 00:15:39 ID:dHinQzDg

神様「牡蠣は?」

神使「はい? すいません、言っている意味が分からないのですが」

神様「牡蠣食べれないじゃん」

神使「牡蠣を食べるために旅しているわけではございませんので・・・」


猫娘「神様とお別れニャ」

猫神「仕方ないね~ 神ちゃんも仕事だし」

神様「え? なんか皆ずいぶんとあっさりしてない? 引き留めないの?」


猫神「忙しそうだし、引き留めちゃ悪いよ~」

猫娘「ニャ」


神様「・・・・・・そう」モグモグ

412: 2016/04/13(水) 00:17:13 ID:dHinQzDg

神使「で、次の場所なのですが」

神様「どうせまた田舎なんだろ? 次は無人島か?」ハハッ

神使「吉祥寺です」

神様「!?」


神使「吉祥寺です」

神様「騙されません~ どうせ田舎にある吉祥寺とかいうオチだろ?」


神使「東京にある吉祥寺です。 神様の行きたがっていた」

神様「え? 嘘だろ?」

神使「本当です」


神様「猫神、猫娘。 わたしを皆が待っている。 名残惜しいとは思うがお別れだ」

猫神「うん、がんばってね~」

413: 2016/04/13(水) 00:19:23 ID:dHinQzDg

神使「ちなみに猫神様からのご依頼で吉祥寺に行くんですよ?」

神様「はい?」


猫神「お友達の神が有給でお休みする間、神社を管理して欲しいって相談受けてて~」

神使「そう言うことです。 神宮からも正式な代理神として委任も受けました」

神様「やったー! 吉・祥・寺! いえぇ~い」

猫娘「凄く嬉しそうニャ」


神様「やっぱ猫神、お前は最高だよ!」

猫神「よかった~ 楽しんできてね~」

414: 2016/04/13(水) 00:20:52 ID:dHinQzDg

神様「でもさぁ、なんで私に相談の一つもなしにそんなのが決まるわけ?」

猫神「ごめんね~ 驚かせようと思ってさぁ~」

神様「いや、猫神は良い。 問題は神宮が勝手に進めることだ」


神使「私には連絡ありましたよ?」

神様「だから、なんで私をすっ飛ばしてお前に連絡が行くんだよっ!」


神使「神宮に抗議します? 吉祥寺行きは白紙になると思いますが」

神様「やめて! 抗議なし! 従います」

415: 2016/04/13(水) 00:23:09 ID:dHinQzDg

猫神「それじゃ~ 神ちゃんよろしくね~」

神様「任せろ! おしゃれでナウくてかわゆい神ちゃんになってくる!」

神使「そんな言葉向こうで使わないで下さいよ? 氏語です」

神様「え?」


猫神「さて、それじゃ~ そろそろ開店の準備しますかね~」

猫娘「はいニャ」

神様「バッチグー!」

416: 2016/04/15(金) 05:42:44 ID:HA2uwBac


――― 夕方


猫神「ありがとうございました~」

猫娘「また来てニャ!」

 カランカラン


神様「いや~ ちかれた!」

猫神「お疲れ~ 今日もいっぱい人来たね~」


神使「神様はまたお客さんと喋ってただけですよね?」

神様「うるせー腐れ犬ころ!」ゲシッ


猫神「二人は今日のフェリーで帰るんだっけ~」

神使「はい、バタバタして申し訳ございません」

猫神「いや~ 吉祥寺行きはこっちからのお願いだし~」

417: 2016/04/15(金) 05:43:43 ID:HA2uwBac

神様「楽しみだな~ 吉祥寺!」

神使「では神様、そろそろ出発しますか」

神様「もう少し休んでから行こうよ~」

神使「最終のフェリーまでそんなに時間もございませんので・・・」


猫神「あっ、じゃぁこれ少ないけど~」スッ

神様「?」


猫神「バイト代~ はい、神ちゃんの分」

神様「そうだった! バイト代もらえるんだ」

猫神「こっちは神使君の分だね~」スッ

神使「私も頂いてよろしいんですか?」

猫神「当たり前だよ~」

猫娘「とっても助かったニャ」

神使「では、お言葉に甘えて。 ありがとうございます」

418: 2016/04/15(金) 05:44:44 ID:HA2uwBac

猫神「道中は気をつけてね~」

神使「猫神様、猫娘さん、お世話になりました」

猫神「こっちこそお店手伝ってもらって助かったよ~」

猫娘「お世話になりました。ニャン」


神様「まっ、何かあったら連絡ちょ」

猫神「神ちゃんも、本当にありがとう~」フカブカ

猫娘「ありがとうございます」フカブカ

神様「いや仕事だし、ケーキ食べたし、牡蠣食べたし、バイト代ももらったし・・・」


神使「神様? せっかくバイト代入ったのに申し訳ないのですがそのお金下さい」

神様「ぇ?」


神使「まだ借金残っていますので」

神様「・・・・・・」

419: 2016/04/15(金) 05:45:18 ID:HA2uwBac

猫神「神ちゃん、相変わらずお金には縁が無いね~」

神様「はぁ・・・ 本当だよ」シュン


神使「では、私達はここで」

猫娘「荷物は宅急便で送っておくニャ」

神使「どうぞよろしくお願いいたします」


神様「そうだ、猫娘」ゴソゴソ

猫娘「はいニャ」

420: 2016/04/15(金) 05:46:42 ID:HA2uwBac

神様「これやる」スッ

猫娘「お守りですかニャ?」

神様「私が作ったヤツだからあんま御利益無いけど」


猫神「お~ 神ちゃんお手製のお守りだねぇ~」

猫娘「ありがとうございます! ニャ」

猫神「大切にしなよ~ 神ちゃんのお守りは凄く貴重なんだから~」

猫娘「はいニャ」

神様「古くて年季が入っているだけだ。 たいしたもんじゃない」


神使「では、向こうに着いたら一度ご連絡いたしますので」

猫神「うん、よろしくね~」

神使「お世話になりました」

神様「じゃーねー」


 カランカラン

421: 2016/04/15(金) 05:47:39 ID:HA2uwBac

猫娘「行っちゃいましたね」

猫神「そうだねぇ~」


猫娘「お守り・・・ 大切にします」

猫神「そのお守り、たぶん神ちゃんがまだ神力使えたときに作った物だね~」

猫娘「そうなんですか?」

猫神「うん。 私達神様の“神様”が作ってくれたお守りだよ~」


猫娘「神様の神様・・・」

猫神「そう、神ちゃんは私達の神様だからね~」


猫娘「・・・・・・」ギュッ

422: 2016/04/15(金) 05:48:22 ID:HA2uwBac

――― 港


神使「神様、船とタラップの間に段差がありますから気をつけて乗って下さい」

神様「だから分かってるってんだよ! 痛てっ」ガクッ

神使「・・・・・・」

神様「・・・・・・」


神様「アチョ~ッ!」ゲシッ

神使「え? なんで蹴られたんですか?」

神様「ん? なんとなく?」

神使「・・・・・・」

423: 2016/04/15(金) 05:49:00 ID:HA2uwBac

神様「いや~ でも吉祥寺か~ 楽しみだな~」

神使「明日の夕方までには着きたいですね」

神様「は? 明日?」


神使「結構距離ありますので」

神様「新幹線なら夜には着くんじゃないの?」


神使「金銭的な問題がありまして・・・」

神様「ふ~ん。 でも、どっかで一泊する方が高くない?」

424: 2016/04/15(金) 05:52:05 ID:HA2uwBac

神使「各駅で行けるところまで行って夜は駅で泊まります」

神様「各駅? 駅で泊まるって野宿って事です?」

神使「そういう言い方もございますね。 廃神社でも良いですが」

神様「うそ~!! マジで言ってんの?」

神使「はい」


神様「嫌ー! 帰る! 牡蠣娘の所に帰る」ジタバタ

神使「ダメです、ほら出航しますよ?」

神様「牡蠣娘ー! 助けてくれ~」

 ボー
 ザバーン ザバーン


猫娘「ニャニャ! 神様の雄叫びが聞こえたニャ!」

猫神「ふふっ、本当だ~」




神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#3 ―END

425: 2016/04/15(金) 05:56:01 ID:HA2uwBac
ゆるゆるとしすぎて…
反省!(ドゲザ)

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」

引用: 神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」