425: 2016/04/15(金) 05:56:01 ID:HA2uwBac

430: 2016/04/23(土) 10:02:50 ID:iB.c2IF2

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

 プシュー
 吉祥寺~ 吉祥寺~


神使「お疲れ様でした神様」

神様「・・・・・・」


神使「あれ? どうされたんですか? 吉祥寺ですよ?」

神様「お尻痛い・・・」

神使「12時間かかりましたからね」

神様「でも・・・ 遂に・・・ 遂に! 我、吉祥寺に降り立つ! ドドン!」


神様「・・・お尻痛い」
江戸前エルフ(9) (少年マガジンエッジコミックス)
431: 2016/04/23(土) 10:05:31 ID:iB.c2IF2

~あらすじ~

神様「私は神様! 神宮に籍を置くとっても立派でかわゆい理想の女神!」

神使(訳)「神宮が誇る史上最悪の問題児、左遷と減俸を総なめにする神様は神宮から地方神社へ出向を命じられます。
しかし赴任先の神社ではその問題児ぶりを遺憾なく発揮し、ついには無給と無期出向扱いに。
捨てる神あれば拾う神あり、神様のお友達である猫神様から吉祥寺の神社で代理神として赴任することが出来た神様は、
意気揚々と吉祥寺に降り立つのでした」

神様「アチョ~ッ!」ゲシッ

432: 2016/04/23(土) 10:07:13 ID:iB.c2IF2

【#4】

神様「はぁ~ 駅でっかいな」

神使「人も凄いですね」


神様「おっ?」

神使「どうされました? 神様」

神様「見ろよ! ヨトバシ! でっかいヨトバシカメラがある!!」

神使「本当ですね」


神様「ねぇ、ちょっと寄って良い?」

神使「構いませんが、何か買う物でもあるんですか?」

神様「スマホ見たい」

神使「予定よりも早く着きましたし、見るだけですよ?」

神様「金ないんだから買えないことくらい分かってますー」ベェー

433: 2016/04/23(土) 10:08:20 ID:iB.c2IF2

――― ヨトバシカメラ

神様「うわ~ いっぱいある」トテトテ

神使「神様はDacomoですから向こうのフロアですね」


神様「ここか」

店員「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」

神様「スマホ見て良い?」

店員「どうぞ、今お使いの機種は何ですか?」

神様「ん? これ」スッ

店員「・・・・・・」

434: 2016/04/23(土) 10:09:34 ID:iB.c2IF2

神様「どったの?」

店員「物持ちがよろしいんですね」

神様「やっぱ古いよね、これ」


神使「神様の携帯っていつ買ったんですか?」

神様「う~んと・・・ 分かんないけど中古」

神使「あ~・・・ それアンテナ伸びるタイプでね」

435: 2016/04/23(土) 10:10:40 ID:iB.c2IF2

店員「今ですとこちらのアイポンとかがオススメですね」

神様「いいね~ 聞いたことある。 あっ、でもコッチの黄色いちっさいヤツが良いな~」

店員「ソミーの最新機種ですね。 そちらも人気でオススメです」

神様「ふ~ん・・・ ありがと店員さん、行くぞ神使」

神使「もうよろしいんですか?」

神様「うん、やっぱ見てると余計欲しくなる」

神使「・・・・・・」

神様「くそ、神宮の奴ら少しは給料出せっつうの」

436: 2016/04/23(土) 10:11:22 ID:iB.c2IF2

 テクテク

神使「では、神社の方に行きますか」

神様「いや~ お店多いな~」

神使「小さなお店が結構多いんですね」


神様「神社はここから近いの?」

神使「はい、駅から歩いて10分くらいだそうです」

神様「最高の立地だな」

441: 2016/04/24(日) 11:02:39 ID:j08XnWvk

――― きちきち神社

 テクテク

神使「ここですね」

神様「きちきち神社?」

神使「社務所は・・・ あちらですね、行きましょう」

 テクテク

神使「すいませーん」

巫女「は~い」


神使「神宮から参りました」

巫女「ご苦労様です」ペコリ

神使「宮司さんはいらっしゃいますでしょうか」

巫女「呼んで参りますので少々お待ち下さい」スタスタ

442: 2016/04/24(日) 11:04:46 ID:j08XnWvk

神様「結構大きい神社だな」

神使「そうですね。 かなりご立派なお社です」


宮司「ご苦労様です。 きちきち神社の宮司でございます」

神使「はじめまして、神宮から参りました神使と申します」

宮司「これは、神使様でしたか」

神使「本日からご厄介になります」

宮司「どうぞよろしくお願いいたします。 そちらの方は巫女さんでしょうか?」

神使「いえ、代理神の神様です」

宮司「!? 神様!?」


神様「親しみを込めてかわゆい神ちゃんでも良いぞ?」

宮司「・・・・・・」

443: 2016/04/24(日) 11:06:33 ID:j08XnWvk

神様「?」

神使「宮司さん?」

宮司「あ・・・ 申し訳ありません。まさか神様が普通にいらっしゃるとは思っていませんでしたので」


神使「神様は訳ありで姿を消すことが出来ませ―――」

神様「私は常に人と接することを信条としている」

神使「・・・とのことです」

宮司「そうでしたか、大変失礼いたしました」


神使「こちらの主神様は?」

宮司「神殿の方にいらっしゃると思います。 ご案内いたします」

444: 2016/04/24(日) 11:07:39 ID:j08XnWvk

 テクテク

神様「ここの主神は長期休暇でどこかに行くのか?」

宮司「はい、何と言いますか・・・ 私たちと一緒に海外旅行へ・・・」

神使「一緒と言いますと?」

宮司「私と、巫女を含めこの神社で奉職している者と一緒に・・・ 社員旅行みたいなものです」

神使「それはそれは、楽しんできて下さい」

神様「いいなぁ~ 私も海外行きたい」

445: 2016/04/24(日) 11:10:10 ID:j08XnWvk

宮司「こちらが神殿でございます」

 ギィー

宮司「主神様? おられますか?」

主神「どうぞ」


神使「神宮から参りました神使と申します」

主神「これはこれは、どうぞお入り下さい」

神使「失礼いたします」

神様「んじゃ、おじゃましまーす」


主神「!? 神様ではございませんか!」

神様「おっ、久しぶり」

主神「ご無沙汰いたしております」フカブカ

446: 2016/04/24(日) 11:11:21 ID:j08XnWvk

神使「神様、お知り合いですか?」

神様「あぁ、最後にあったのは・・・ 何年前だっけ?」

主神「150年ほど前になります。 そちらの方は?」

神様「犬ころ」


神使「はじめまして、わたくし神様の使いで狛犬の神使と申します」

主神「神様の神使さんでしたか。 ご立派でございますな」

神様「は? 腐った極悪邪道な犬ころだ」

神使「神様、もう少しまともな紹介をして下さい・・・」

447: 2016/04/24(日) 11:12:57 ID:j08XnWvk

神様「しかし、お前は相変わらずイケメンだな~」

主神「そんな勿体ないお言葉」フカブカ

神様「畏まるな、楽にしろって」

主神「ありがとうございます。 宮司、お茶を用意してくれるか?」

宮司「今お持ちいたします」スタスタ


主神「しかし、わざわざ神様がどうしてこのような場所へ?」

神様「臨時で代理神頼んでただろ?」

主神「はい、まだお見えになっていないようですが・・・」

448: 2016/04/24(日) 11:14:29 ID:j08XnWvk

神様「いや、目の前にいるじゃん」

主神「!? 神様が・・・ 代理神!?」

神様「うん」


主神「まさか神様ほどのお方が私ごときの代理など・・・ 失礼大変申し訳ありません」

神使「神様は以前から吉祥寺に来たがっておりましたので、こちらとしてもありがたいお話でした」


主神「神様がこの地へ!? なにか問題事でも感じられたのでしょうか」

神様「いや別に?」

主神「不徳の致すところ、気になることがありましたら私もお手伝いいたしますが」

神様「お前旅行へ行くんだろ?」


主神「しかし、この地に何か問題があるのでしたらそれどころでは・・・」

神様「大丈夫だって、何もないよ」

449: 2016/04/24(日) 11:16:42 ID:j08XnWvk

神使「神様は単純におしゃれな吉祥寺の街を気に入って来たがっていただけですので」

主神「この地をお気に入りに!! ありがとうございます」フカブカ

神様「だから一々大げさだよお前・・・」


主神「私にとっては何よりも嬉しく、そしてありがたいお言葉でございます」

神様「そうなの?」


主神「神様からこの地をお預かりして良い街にしようとがんばって参りました。 幾度もくじけそうになりながらも―――」

神使「神様? なんかもの凄い神様に敬意を払っているようですが・・・」ボソッ

神様「昔からこんな感じだ、こいつは・・・・・・」ボソッ

主神「――― そんな出来損ないの私にねぎらいのお言葉を頂けるなんて・・・ 私は・・・ 私は・・・」グスッ

450: 2016/04/24(日) 11:17:38 ID:j08XnWvk

神様「あ~、うん。 お前はよく頑張った。 ここの神職や巫女達と心ゆくまで旅行を満喫するがよい」

主神「神様・・・」


神様「あとの事は私達に任せ存分に楽しんでこい。 私からの褒美だ」

主神「ありがとうございます」フカブカ


神使「(・・・この主神様、いい人過ぎる)」

452: 2016/04/26(火) 06:58:06 ID:IcJGX2uE

 スタスタ

宮司「お茶でございます」

神使「ありがとうございます」


神様「コーラが飲みた―――」

神使「神様?」

神様「・・・美味しそうなお茶だ」ズズッ


宮司「事務的なことは後ほど巫女を交えて引き継ぎさせて頂きたく思います」

神使「よろしくお願いいたします」


主神「神様も長旅でお疲れでしょう。 少しお休みになった方がよろしいかと」

宮司「そうでございますね」

神様「確かに、ちょっとお尻痛いし、お前達が出かけるまで横になろうかな」

453: 2016/04/26(火) 06:59:20 ID:IcJGX2uE

主神「どうかなされたのですか!?」

神様「いや~ 電車で12時間も椅子に座ってたからさぁ」

主神「そんなに長く・・・」


宮司「新幹線や飛行機でははかったのですか?」

神様「鈍行なんだよ、この犬ころが金を―――」

神使「神様は無駄なところにお金を使わない主義でして」

主神「さすが神様!」

宮司「素晴らしい」

神様「・・・ほ、褒めよ・・・」

主神「私達も見習わなければなりません」

宮司「はい、主神様」

454: 2016/04/26(火) 07:00:07 ID:IcJGX2uE

神様「もういいや、部屋案内して?」

宮司「はい」


主神「神様、どうぞよろしくお願いいたします」フカブカ

神様「旅行楽しんでこいよ」ニコッ

主神「神様・・・」ウルウル

神様「だから一々大げさな態度取るなよ・・・」

455: 2016/04/26(火) 07:01:23 ID:IcJGX2uE

――― 夕方

 ガチャ

神使「神様?」

神様「Zzz」グガー


神使「神様? 起きて下さい」ユサユサ

神様「ん~ なに~」ポー

神使「主人様達が出かけられるそうです。 お見送りを」

神様「あ~ そんな時間か」ヨイショ

神使「・・・・・・」

456: 2016/04/26(火) 07:03:14 ID:IcJGX2uE

神様「? なんだよ」

神使「また下着姿で寝てたんですか?」


神様「あ~ 布団が気持ちよくてさぁ、肌で感じたかったんだよ」

神使「着るもの持ってきますからちょっと待てて下さい」

神様「ん」


神使「下着と、巫女装束で良いですか?」ガサゴソ

神様「そうね」

457: 2016/04/26(火) 07:04:57 ID:IcJGX2uE

 スタスタ

神様「ごめんごめん」

神使「お待たせして申し訳ございません」


宮司「とんでもない」

主神「神様に見送りをさせるなど失礼申し訳ございません」

神様「気にすんなって」


宮司「神宮から代理の巫女の方が本日中に到着すると思いますので」

主神「神様よりも後に来るなど、ご無礼お許し下さい。 神宮にはキツく申し伝えておきます」

458: 2016/04/26(火) 07:05:53 ID:IcJGX2uE

神様「気にしないでくれ。 あそこの巫女も結構大変なんだ」

主神「!? 失礼いたしました。 私はまだまだ心が狭いようです。 精進いたします」

神様「あ・・・ うん」


宮司「では、バスの時間も近いので私達はここで」

主神「行って参ります」


神使「どうぞ楽しんできて下さい」

神様「お土産よろぴこ~」

459: 2016/04/26(火) 23:52:50 ID:IcJGX2uE

――― 夜

 TV:お前に一言もの申ーす!

神様「うひゃひゃ、見ろよエガちゃんノリノリだよ」ゲラゲラ

神使「も~ ニュース見せて下さいよ」

神様「うるせー」


神使「それよりピザはもう食べないんですか?」

神様「寝る前に夜食で食べるから取っておいて」

神使「冷めちゃいますよ?」

神様「チンしてフニャフニャになったピザもうまいんだよ」

 トントン
 すんませ~ん

神使「? どなたか来られたようですね」

神様「御朱印じゃね? 行ってこいや犬」

神使「はい」スタスタ

460: 2016/04/26(火) 23:53:38 ID:IcJGX2uE

 TV:ドーン! ドーン!
   キャ~ こっち来ないで~ 気持ち悪い~

神様「エガちゃんやべ~ ちょー腹痛い!」バタバタ


 ガチャッ

神使「あの神様?」

神様「あ~ 誰だった?」


?「あれ神ちゃんだ」

神様「おわっ、A子ちゃん! どったの?」

461: 2016/04/26(火) 23:54:45 ID:IcJGX2uE

A子「しばらくここの巫女やれって神宮から追い出された」

神様「代理の巫女さんてA子ちゃんだったの!?」

A子「うん、神ちゃんも代理でここに来たの?」

神様「私? 私は・・・ えっと・・・」


神使「神様? A子ちゃんは神様が普通の巫女さんだって思っているんですよね?」ボソッ

神様「あぁ、私は正体を話していない」ボソッ

462: 2016/04/26(火) 23:55:29 ID:IcJGX2uE

神使「神ちゃんさんはこちらの方とお友達でして、個人的に頼まれてここに来たんです」

A子「あ~ そうなんだ~」

神様「そうそう、猫神から頼まれてさぁ」

A子「猫神?」

神使「猫神様のお使いの方とお友達なのです」

神様「そう! 牡蠣娘」

A子「かきむすめ? 凄い名前だね」

神様「・・・うん」

463: 2016/04/26(火) 23:59:05 ID:IcJGX2uE

A子「それより、神ちゃん今までどこいたの?」

神様「神宮の嫌がらせで色々な神社を転々としてた」

A子「神宮の皆も色々噂してるよ?」

神様「そうだな、皆心配してるだろうな・・・」


A子「急に静かになったとか」

神様「私の声を聞けないから寂しいんだろうな」ウンウン

神使「(うるさいヤツがいなくなったということでしょうね)」


A子「初穂料の集計時間が減ったとか」

神様「やっぱり私がお守りを納めないと初穂料も減るよな」ウンウン

神使「(勘定ミスが無くなったんでしょうね)」

464: 2016/04/27(水) 00:00:20 ID:l7l9lUgU

A子「私は神ちゃんがいなくなってから寂しくて寂しくて・・・」ヘナヘナ

神様「A子ちゃん・・・ 私もA子ちゃんと別れてから心にぽっかりと穴があい―――」

A子「あっ! ピザだ! 食べても良い? お腹すいちゃってさぁ」

神様「・・・・・・」


神使「どうぞ食べて下さい」

A子「やったぁ!」

465: 2016/04/27(水) 00:01:33 ID:l7l9lUgU

A子「しかし、吉祥寺って凄いね~」モグモグ

神様「おしゃれでナウいスポットがいっぱいあるんだよ。 この吉祥寺には!」

A子「神ちゃん相変わらず氏語好きだね~ あっ、でも一周まわって逆に新鮮かも!」

神様「・・・・・・」

神使「(さすがA子ちゃん、天然なのかわざとなのか判断が難しいですね)」


神様「そっ、そうだA子ちゃん、明日公園行かない?」

A子「公園?」

神様「そう、近くにでっかい公園があるんだよ」

神使「井の頭公園ですね」

A子「あ! 聞いたことある! 行く!」

466: 2016/04/27(水) 00:02:37 ID:l7l9lUgU

神使「いきなり遊びに行くんですか?」

神様「朝行って夕方前には戻ってくるから良いだろ?」

神使「まぁ平日は参拝者もそれほど来ないと言ってましたから私だけでも大丈夫ですが・・・」

A子「神使さん優しい~ 戻ってきたらバリバリ働くから!」

神使「本当ですか?」

A子「巫女嘘つかない」

神様「つかない」


神使「仕事はきちんとして下さいよ?」

A子「大丈夫であります!」ビシッ

神様「あります!」ビシッ

467: 2016/04/27(水) 00:03:39 ID:l7l9lUgU

――― 翌日・早朝

 ガサゴソ

神使「・・・ん?」ムニャムニャ

 サァー サァー

神使「(まだ朝の5時・・・ 神様?)」

神様「Zzz・・・」グガー

神使「(・・・ではないですね。 というか、また下着姿で寝て・・・)」

 サァー サァー

神使「(氏子さんが境内を掃除しているのでしょうか・・・)」チラッ

468: 2016/04/27(水) 00:05:19 ID:l7l9lUgU

 サァー サァー

参拝者「朝早くからご苦労様です」

A子「おはようございます」

参拝者「こちらの巫女さんですか?」

A子「今日からしばらくこちらでお世話になります」ペコリ

参拝者「そうでしたか、私は毎日朝一番でこちらに来るのが日課でして」

A子「神様もお喜びになると思います」ニコッ

参拝者「・・・それは嬉しいです」


神使「(A子ちゃん?)」

469: 2016/04/27(水) 00:06:18 ID:l7l9lUgU

 スタスタ

神様「おい」

神使「神様起きていらしたんですか?」


神様「どこ行くんだ?」

神使「A子ちゃんが境内を掃除しているようで」

神様「知っている」


神使「お手伝いをしようかと・・・」

神様「巫女の仕事だ。 お前はここにいろ」ンショ

神使「しかし・・・」

神様「A子ちゃんに余計な気遣いをさせるな」シュルシュル

470: 2016/04/27(水) 00:07:22 ID:l7l9lUgU

神使「神様? 巫女装束なんか着てどうされるんです?」

神様「本殿を掃除してくる。 さすがにA子ちゃんだけじゃ広すぎるし」

神使「え? 神様が本殿を掃除するんですか?」


神様「・・・A子ちゃんの前では、まだダメ巫女の神ちゃんでいたいんだよ」

神使「神様・・・」


神様「7時に朝食だ、社務所で待っている」スタスタ

神使「はい」

神様「あっ、私達の後に入ってこいよ? いいな?」

 ガチャ

471: 2016/04/27(水) 00:08:47 ID:l7l9lUgU

――― 朝食

神使「おはようございます」ソロリ

A子「あっ、神使さんおはよ~う」

神様「んじゃ、朝ご飯にしますかね」


神使「あれ? こちらのお弁当は?」

A子「神使さんのお昼ご飯。 私達お出かけするからさぁ」

神使「わざわざありがとうございます」

472: 2016/04/27(水) 00:10:25 ID:l7l9lUgU

神様「ついでだ。 A子ちゃんのご飯は最高だぞ? 何しろ実家は料亭だからな」

A子「厳しい料理修行の毎日・・・ 料理を極めた私はこうして立派な巫女になったのです!」

神使「巫女関係ないですよね? それ」


神様「A子ちゃんは神宮美食クラブ料理長だぞ?」

神使「初めて聞きましたが」

神様「当たり前だ。 神宮美食クラブは地下組織だからな」

A子「神ちゃん! その話はマズい!」シーッ

神様「おっと失言だ」


神使「はいはい、では冷めないうちに美食クラブ料理長が作られたホットドッグを食べましょう」

476: 2016/04/27(水) 23:07:57 ID:l7l9lUgU

――― 夕方

A子「神使さん、ただいま~」

神様「ただいま~」


神使「お帰りなさいませ。 二人ともすごい量の荷物ですね・・・」

A子「いや~ お金ほとんど無くなっちゃったよ」

神様「私も~」


神使「神様? クレジットカード使いましたね?」

神様「・・・・・・」

神使「天引きですよ?」ハァ

神様「はい」シュン

477: 2016/04/27(水) 23:08:56 ID:l7l9lUgU

神様「それより、神社の方はどうだ?」

神使「変わったことはございません。 こちら今日の参拝者お願い事リストです」

神様「ん。 特に神力成就が必要なお願いはなさそうだな」ペラペラ

神使「はい。 それと神宮から“月刊神様”が届いてます」

神様「うわ~ いらね~」

神使「もらっても良いですか?」

神様「お前、これ好きだよな」

神使「どうして神様が読まれないのか不思議なくらいです」

神様「ほれ。 読み終わったらちゃんと燃やしておけよ?」

神使「はい」

478: 2016/04/27(水) 23:10:01 ID:l7l9lUgU

A子「・・・私、着替えて社務所で事務処理してくるね~」タッタッタッ

神様「うん、よろぴこー」


神使「神様はこの後どうされますか?」

神様「う~ん、ご神体の神力使ってお願い事リストの祈願だけ軽くしておこうかな」

神使「お手伝いいたします!」


神様「A子ちゃんは~ しばらく大丈夫だよな」

神使「事務処理で一時間くらいは必要かと思います」

479: 2016/04/27(水) 23:13:48 ID:l7l9lUgU

神様「んじゃ、バレないようにサクッとやりますかねっと」

神使「はい!」


神様「神使君は何でそんなに力入ってんの?」

神使「神様が祈願する所を見るのは初めてなもので・・・」

神様「あ~」


神使「祭礼用の御装束に着替えられますか?」

神様「いや、私もってないし・・・」

480: 2016/04/27(水) 23:15:06 ID:l7l9lUgU

神使「主神様からお預かりしております!」

神様「うわっ・・・ 面倒くさいから良い」

神使「そう言わずに」


神様「っていうか、なんで男のアイツが女物の装束持ってんだよ!」

神使「さぁ? でも、綺麗なおべべですよ?」

神様「うるさい! さっさと行くぞ!」

 スタスタ

481: 2016/04/27(水) 23:18:58 ID:l7l9lUgU

――― 30分後・社務所

A子「ふい~ 終わった~」

A子「この位の量、神宮で膨大な事務処理をこなした私にはお茶の子さいさいなのです!」

A子「ん~ 夕飯の準備しちゃおっかなぁ~」

A子「・・・そう言えば神ちゃん達どこ行ったんだろ?」キョロキョロ

A子「本殿に明かりがついてる」

 スタスタ

482: 2016/04/27(水) 23:19:52 ID:l7l9lUgU

――― 本殿

神様「よし、こんなもんで良いか」フゥ

神使「・・・・・・」


神様「なんだよ」

神使「いえ、凄いです神様・・・」

神様「は?」

神使「一回一回祈願文を変えるだなんて」

神様「当たり前だろ。 全部お願い事が違うんだから」

神使「・・・・・・」

神様「あーもう! 行くぞ!」ヨイショ

483: 2016/04/27(水) 23:21:16 ID:l7l9lUgU

神使「あっ、神様すそ踏んでます」

神様「ん? うわ~」ビタン


神使「大丈夫ですか?」

神様「痛い・・・ だから装束嫌いなんだよ! それに大げさすぎだろこの衣装」

神使「でも、とってもお似合いです。 さすが神様」

神様「てめぇ犬ころ! バカにしてんじゃねーよ」ゲシッ ゲシッ

神使「痛! すいません、本気で痛いですっ」


神様「ほら、行くぞ! A子ちゃんにこんな格好してるの見つかったら言い訳できない」

 ギィー

A子「神ちゃ~ん、いるの~?」

神様「A子ちゃん!!」

A子「・・・・・・」

485: 2016/04/29(金) 11:05:02 ID:bm0nLWO2

A子「神ちゃん・・・ その格好って・・・」

神様「あ! これは・・・」アタフタ


A子「それ、上級神の御装束・・・」

神様「・・・・・・」


A子「神ちゃん、まさか・・・」

神様「あっ・・・ 違うんだ」オロオロ

486: 2016/04/29(金) 11:06:03 ID:bm0nLWO2

A子「ご祈願するなら言ってくれれば手伝ったのに~」

神様「ほへ?」


A子「私も神ちゃんのご祈願するとこ見たかった!」

神使「A子ちゃん、もしかして神様のことご存じで・・・?」

A子「え? 神ちゃんが神様って事?」

神使「まぁ・・・ はい」

A子「そんなの知ってるよ~」ケロッ

神様「え?」

487: 2016/04/29(金) 11:07:17 ID:bm0nLWO2

A子「なんか神ちゃんが隠しているっぽいから聞いたりはしなかったけどさぁ」

神様「A子ちゃん・・・」


神使「でも、どうして分かったんですか?」

A子「え? だって“審査神 神様”って判が押された書類がよく回ってくるし」

神使「あ~」


A子「組織図にも神ちゃんの所に“内宮神籍 神様”って書いてあったし」

神様「あ~」


A子「神様しかもらえない“月刊神様”が神ちゃんの所に毎月届いてたし」

神様・神使「あ~」

488: 2016/04/29(金) 11:08:30 ID:bm0nLWO2

A子「それに巫女には神使さんなんて付かないもん」

神様・神使「・・・・・・」


神使「神様? もう隠す必要はなさそうですね」

神様「・・・・・・」


A子「それより、神ちゃん御装束姿すごく綺麗だね~」

神様「ぅ///」

489: 2016/04/29(金) 11:09:22 ID:bm0nLWO2

――― 夕食

A子「さぁ、召し上がれ!」

神使「あの・・・ A子ちゃん?」

A子「ん?」

神使「これは・・・」

A子「ピッツァ」

神使「良い発音ですね。 もしかして出前ですか?」

A子「いや~ ご飯炊き忘れちゃってさぁ」

490: 2016/04/29(金) 11:10:49 ID:bm0nLWO2

神使「二日連続ピザになってしまうのですが・・・」

神様「私はピッツツアで良い」

神使「言えないならピザで良いと思いますよ? 神様は」

神様「アチョ~ッ!」ゲシッ

神使「痛!」


A子「熱々のうちに食べちゃおうよ」

神使「そうですね。 では頂きましょうか」

神様「うん」

491: 2016/04/29(金) 11:11:30 ID:bm0nLWO2

A子「うまうま」ハフハフ

神様「・・・A子ちゃん」

A子「なに?」

神様「その・・・ ごめんなさい!」ドゲザ

A子「え? 急にどしたの神ちゃん」

神様「いや、私が神だって事を隠していて・・・」

A子「あ~ 全然隠れてなかったけどね」

492: 2016/04/29(金) 11:12:50 ID:bm0nLWO2

神様「A子ちゃんとは神だとか人だとかそういうの抜きで、その・・・ 友達でいたかったから・・・」

A子「そんなの気にする必要ないのに~」

神様「でも・・・」


A子「やっぱり神と人は一線を置かないといけないの?」

神様「そんなことない!」

A子「じゃぁ良いじゃん。 私バカで礼儀知らないから誰とでもフレンドリーだし」

神様「うん・・・ 知ってる」


A子「それに、他の神様なんて見たことないし接し方とかあんま知らないからね~」

神使「それは巫女としてどうかと思いますが・・・」

A子「じゃぁ神ちゃんのこと、敬い奉ったほうが良い?」

神様「やめて! そういうのだけは絶対やめて!」

A子「そう言うと思った」

493: 2016/04/29(金) 11:14:16 ID:bm0nLWO2

神様「でも、本当にごめん!」

A子「だから気にしてないって~」

神様「いや、それじゃ私の気が済まない。 どうしよう」


A子「う~ん・・・ じゃぁ今から私が気になっていたことを質問するから正直に答えること」

神様「質問?」

A子「うん、それで帳消しって事で」

神様「お安いご用だ! 私が知っていることなら包み隠さず話す!」


神使「ちょっと神様、大丈夫ですか?」ボソッ

神様「心配いらない。 A子ちゃんの質問だ、難しいことなんか質問してこないだろう」ボソッ

494: 2016/04/29(金) 11:15:09 ID:bm0nLWO2

A子「じゃ~最初の質問!」

神様「バッチこーい!」


A子「神ちゃんて生まれはいつ?」

神様「・・・・・・」

神使「(いきなりストレートパンチですね)」

497: 2016/05/05(木) 22:59:15 ID:Q2TQZ4Wc

神様「あー、生まれのことか~」

A子「神ちゃんの由来だけ神様図鑑に載ってないんだよね~」

神様「えっ? そんな図鑑あるの?」

A子「うん」


神使「私も以前に調べたのですが、何の情報も記載されていませんでしたね」

神様「ふ~ん・・・」


A子「きっと裏に何かある! 私はそう思ったのです!」

神様「いや、書き様がないんだよね~」

A子「へ?」

498: 2016/05/05(木) 23:01:02 ID:Q2TQZ4Wc

神様「実はさぁ、自分でもよく分からないんだ。 気がついたらいた」

A子「なにそれ~」


神様「ん~ 弥生時代とか呼ばれている時の記憶は少し残ってる。その前は・・・ よく覚えてないな~」

A子・神使「・・・・・・(思っていたよりも古い)」


A子「そんなに昔からいるの?」

神様「あぁ、素っ裸で走り回っていた記憶もかすかにある」

神使「(神様が裸でウロウロする理由はこれですか・・・)」フム

神様「犬ころ、お前なに一人で納得してんだよ」

神使「・・・いえ、別になんでもないです」

499: 2016/05/05(木) 23:02:18 ID:Q2TQZ4Wc

A子「そんな昔から神ちゃん何してたの?」

神様「何って仕事さね」

A子「仕事? 神ちゃんのお仕事って何?」

神様「ん~ 突き詰めれば皆が幸せに過ごせるように願いを叶えるための神を作ることかな?」

A子「神を作る!?」

神様「そう」

A子「・・・・・・(思っていたよりも凄い)」

神使「・・・・・・(それが仕事だったのですか)」


A子「神ちゃんてもしかして凄い神様?」

神様「それも質問? 別に凄くは無いけど。 それに厳密に言えば私は神じゃないし」

神使「はい!?」

A子「どういうこと?」

500: 2016/05/05(木) 23:05:05 ID:Q2TQZ4Wc

神様「私が神力を与えた者が神と呼ばれるわけで。 だから私は本当は神じゃ無い」

A子「そうですか・・・ よく分かりませんでした」

神様「まぁ深く考えたことないし、呼び名なんてどうでもいいと思う。 引き続きかわゆい神ちゃんと呼んで欲しいな」

A子「え~ そんな風に呼んだことないけど~」

神様「・・・・・・」


神使「もしかして天照大神様も神様が?」

神様「なんでお前まで便乗して質問してくるんだよ! 犬!!」

501: 2016/05/05(木) 23:06:21 ID:Q2TQZ4Wc

神使「A子ちゃん、是非この質問も」

A子「興味なーい」

神使「・・・・・・」

神様「うむ。 知らない方が良いこともある」ウンウン

神使「まさかとは思いますが、神様が天照大神様ということは・・・」

神様「はぁ? 天照だぁ? 神話と現実を一緒にすんなよ。 だからお前は犬ころなんだよ」

神使「・・・・・・(本当に聞かない方がよかったかも知れません・・・)」

502: 2016/05/05(木) 23:07:58 ID:Q2TQZ4Wc

A子「でも、神様っていっぱいいるんだよね? そんなに必要なの?」

神様「実は神の数は年々少なくなっているんだ」

A子「そうなの?」

神様「あぁ、今は一番多かったときの半分以下になっているだろうな」

神使「どうしてそんなに・・・」


神様「一つは神の在籍する神社への参拝者が減ったこと」

神使「どこの神社も頭を抱えてますよね」

神様「神は参拝者がいなくなると・・・ 力が減ってくるんだ」

A子「力が?」

神様「はっきりと言ってしまうと、神力がなくなって最後は消えてしまう」

A子「氏んじゃうって事?」

神様「人で例えるならそう言うことかなぁ」

503: 2016/05/05(木) 23:08:46 ID:Q2TQZ4Wc

神使「参拝者の多い神社に集めるというのじゃダメなんですか?」

神様「神は勝手に神社を移れない。 いや移る方法もあるんだけどワンランク下の神社にしか移れない」

神使「猫神様ですか・・・」

神様「そうだ。 あいつは大きいところから小さいところへ移ったから異動許可が出たんだ」

神使「なるほど・・・」

504: 2016/05/05(木) 23:09:48 ID:Q2TQZ4Wc

神様「で、もう一つは私が神に任命する者を減らしていること」

A子「なんで?」


神様「例えばさぁ、A子ちゃんが神になったとするじゃん?」

A子「うん」

神様「そしたら、まずは神宮に配属されるんだよ」

A子「人多いもんね~」

神様「そう。 で、一通り仕事を覚えたら地方の神社に異動になるわけ」

A子「独り立ちだ~」

505: 2016/05/05(木) 23:10:55 ID:Q2TQZ4Wc

神様「でも、神が不在で参拝者の多い神社って今はほとんど無い訳よ」

神使「一つ目の問題と関係してるわけですね?」


神様「最初から参拝者の少ない神社に配属させるわけにもいかないしさぁ」

A子「参拝者増やせば良いじゃん」

神様「ナイスアイディーア! でも、そう簡単にいかないんだよね~」


神使「何か解決法はないんでしょうか」

神様「神宮が出した答えが十年前の神法改正」

A子「神法改正?」

506: 2016/05/05(木) 23:11:42 ID:Q2TQZ4Wc

神様「まぁ簡単に言うと神社の運営なんかを神から人に移譲するってこと」

A子「なんかメリットあるの?」

神様「徹底的な効率化を図って、少ない神で多くの神社を管理できることかな」


神使「それってこの先、神が減るっていうことが前提の話ですよね?」

神様「そうも取れるな」

神使「他にも訳が?」

神様「・・・・・・」

507: 2016/05/05(木) 23:13:30 ID:Q2TQZ4Wc

A子「神様が存在してるってバラしちゃえば?」

神様「う~ん、昔はそうだったんだけどね」

A子「なんで今は隠してるの?」

神様「存在がバレるとちょっと面倒事が多いんよ」

A子「そうなの?」

神様「いやさ、面倒なお願いを強要してくるヤツがいるんだよ」

A子「面倒なお願い?」

神様「その・・・ 戦争とかさ? そういう政治的なお願い?」

A子「断れば良いじゃん」

神様「でもさぁ、国の頭とかに国民を守るためだ! とか、このままじゃ大勢の国民が氏ぬ! とか言われちゃうと・・・ ねぇ」

神使「なるほど・・・」

神様「神も基本良いやつだからな。 お願いされたら断れないんだよ」

A子「もっと気楽に考えれば良いのに~」

神様「ほんとだよ」ハァ

509: 2016/05/07(土) 20:53:00 ID:xhwN41h2

――― 翌日・早朝

 ゴソゴソ

神使「ん・・・ 神様・・・?」

神様「悪い起こしたか」

神使「早いですね」

神様「巫女さんの朝は早いんだよ」

 サァー サァー

神使「A子ちゃん、もうお掃除してますね」

神様「あぁ、神宮にいたときからA子ちゃんは誰よりも早く掃除を始めるんだ」

神使「立派な心がけですね」

510: 2016/05/07(土) 20:54:12 ID:xhwN41h2

 おはようございます
 おやまたお会いしましたね ハハッ


神使「あの方、昨日も朝早くにいらしてましたね」

神様「ん?」ソォー

神使「よほどこちらの主神様をお慕いしているのでしょうね」

神様「う~ん・・・」

神使「どうかされましたか?」

神様「いや・・・ 本殿掃除してくる」タッタッタッ

511: 2016/05/07(土) 20:55:16 ID:xhwN41h2

――― 朝食

神使「おはようございます」

A子「おは~」


神様「今日の朝ご飯も最高だぞ」

神使「サンドイッチとお味噌汁という組み合わせは凄いですね・・・」

神様「あ? 味噌汁じゃねーよ。 コンソメスープだよ」

神使「・・・コンソメスープって濁りませんよね?」

神様「私の特製スープだ。 心して飲め」

神使「はぁ・・・」


A子「私はわかめスープ」

神様「あっ、私もそれにしよー」

神使「・・・・・・」

512: 2016/05/07(土) 20:56:19 ID:xhwN41h2

神使「神様、今日はどうされるんですか?」

神様「土曜で人来そうだからな~」


A子「授与所と社務所にはだれかいないとね~」

神様「じゃぁ私とA子ちゃんは授与所」

神使「私は社務所でよろしいですか?」

神様「あぁ。 御朱印と祈祷があったらまわしてくれ」

神使「承知しました」

513: 2016/05/07(土) 20:57:38 ID:xhwN41h2

A子「あっ! 神使さん、神ちゃんの特製スープ残してる!」

神使「・・・・・・」


神様「うまいから飲んでみ?」

神使「(このスープ何で出来ているんでしょうか・・・)」


A子「神ちゃんが神使さんのために昨日の夜から作ってたんだよ?」

神様「うむ、私の愛情がギュッと詰まっている」

神使「・・・はい」ズズッ


神様「どうだ?」

神使「!? 美味しい・・・」

神様「見た目は悪いがうまいだろ」フフン

514: 2016/05/07(土) 20:59:20 ID:xhwN41h2

――― 午後


 ガヤガヤ


参拝者「このお守り下さい」

A子「はい。 五百円お納め下さい」


参拝者「このお守りって大きいヤツの方が御利益あるんですか?」

神様「実は同じなんだよ、違うのは大きさだけ。 素材費の違い?」

参拝者「じゃぁ、こっちの安いヤツで」

神様「はい、三百円ね。 ついでにおみくじもやってかない? 百円だし今日は小吉以下って入ってないから」

515: 2016/05/07(土) 21:00:43 ID:xhwN41h2

参拝者「オレおみくじ一回やるわ」

A子「はいどうぞ」

参拝者「可愛い巫女さんじゃん、写真撮っても良い?」

A子「ははは・・・」モジモジ

神様「私なら良いよん♪」クネクネ

参拝者「いいっす」

神様「・・・・・・」ムカッ

参拝者「うわ大凶かよ・・・」

神様「二百円」

参拝者「え? 百円じゃないの?」

神様「そちらは二百円のとっても良く当たるおみくじですので」ニコッ

参拝者「・・・・・・」


 ガヤガヤ

516: 2016/05/07(土) 21:02:06 ID:xhwN41h2

――― 夕方


神使「お疲れ様でした」

神様「本当だよ」ハァ

A子「人多かったねぇ」


神使「神様、こちら今日のお願い事リストです」ドサッ

神様「・・・・・・多いね」ペラペラ

神使「夕飯食べたらご祈願いたしましょう」


神様「ん? これで全部か?」

神使「えぇ」

517: 2016/05/07(土) 21:02:59 ID:xhwN41h2

神様「A子ちゃん」

A子「なにー?」

神様「朝早くお参りに来る男の人知ってる?」

A子「あ~、いるねぇ。 毎朝来てるんだって」


神様「なにか気になったことない?」

A子「気になること? 特に無いけど・・・ お参りして帰るだけだよ?」

神様「お参り? 毎朝来てるって言ってた?」

A子「うん」

518: 2016/05/07(土) 21:04:08 ID:xhwN41h2

神様「・・・・・・ おい、極悪邪道腐れ犬ころ」

神使「私の事でしょうか?」


神様「私達が来る前のこの神社のお願い事リストってあるか?」

神使「えぇ、念のため宮司さんから預かっております」

神様「ちょっと男の人のお願い事が何か調べておいてくれる?」

神使「分かりました」


A子「どったの?」

神様「う~ん、なんか気になるんだよね~」

519: 2016/05/08(日) 00:08:49 ID:oDizP/ys

――― 夜


神使「神様?」

神様「なに?」ペロペロ

神使「・・・そのアイスどうしたんですか?」

神様「あ~ 冷たくておいちい~」


神使「勝手に冷蔵庫を漁っちゃダメじゃないですか」

神様「さっきA子ちゃんが買ってきてくれたんです~」ベー

神使「そうですか」

神様「お前の分もあるぞ “アイスな実”、メロン味だけ私にくれ」

神使「はぁ」

520: 2016/05/08(日) 00:09:40 ID:oDizP/ys

神様「で、何か用か?」

神使「過去1週間分ですが私達が来る前のお願い事リストを調べてみました」

神様「あ~ どうだった?」ペロペロ

神使「実は、リストには朝に来る男性と思われる記載が見当たらなく・・・」


神様「ふ~ん・・・ やっぱりか」ペロペロ

神使「?」

521: 2016/05/08(日) 00:11:15 ID:oDizP/ys


 ガチャ


A子「あっ、神ちゃんここにいた。 お風呂沸いたから先入っちゃってよ」

神様「A子ちゃん先に入って良いよ。 私もうちょっとダラダラしたい」

A子「んじゃ、先もらうね~」


A子「あっ、神使さん」

神使「はい」

A子「冷蔵庫に“アイスな実”あるから。 巨峰味だけ私にちょうだいね~」


 スタスタ


神使「・・・・・・」

522: 2016/05/08(日) 00:12:24 ID:oDizP/ys

神様「おい、犬ころ」

神使「これ以上“アイスな実”を取られたら私の分無くなってしまうのですが・・・」

神様「違うわ。 お前、今日寝るのか?」

神使「すいません、仰っている意味がよく分からないのですが・・・」


神様「お前、今日徹夜したいだろ」

神使「いいえ、寝たいです」


神様「徹夜したいだろ?」ニコッ

神使「・・・はい」

523: 2016/05/08(日) 00:13:54 ID:oDizP/ys

神様「拝殿に身を潜めて気配を頃して見張ってろ」

神使「拝殿にですか?」


神様「このお守りを持ってジッとしてろ」スッ

神使「・・・すごく嫌なのですが」

神様「このお守りを持っていれば大丈夫だ。 たぶん」

神使「大丈夫と言い切って頂けないでしょうか?」

神様「うん、大丈夫。 これでいいか?」


神使「・・・・・・ 何かあるんですか?」

神様「分かんない」

神使「・・・・・・」


神様「何かあったら私の携帯に電話してくれ。 絶対に外に出るなよ?」

神使「はぁ・・・」

524: 2016/05/08(日) 00:15:01 ID:oDizP/ys

――― 夜中

神使「はぁ~ 三時ですか・・・ 神様は一体何を考えているのでしょう・・・」


 ガサッ ガサッ


神使「(? こんな時間に参拝者・・・)」


参拝者「・・・・・・」キョロキョロ

神使「(本殿を覗いて何しているのでしょうか・・・)」


参拝者「・・・・・・」ガサゴソ

神使「(まさか・・・ 賽銭泥棒!? 神様に電話を!)」ピッピッ

525: 2016/05/08(日) 00:16:13 ID:oDizP/ys


 prrr prrr


神様『ん゛・・・』

神使「あっ、神様ですか? 賽銭泥―――」

神様『何時だと思ってんだよ』ガチャ


 p- p- p-


神使「・・・・・・」

526: 2016/05/08(日) 00:17:44 ID:oDizP/ys

―――翌日・早朝


 サァー サァー


神様「んぁ・・・ A子ちゃん・・・」ポー

神様「もう五時か・・・ フワ~ァ」ムニャムニャ


神様「ん? 犬ころがいないな」キョロキョロ

神様「こんな朝早くから散歩か?」

527: 2016/05/08(日) 00:18:51 ID:oDizP/ys


 スタスタ


神様「A子ちゃんおはよ~」

A子「おはよ~」


神様「犬ころ見なかった?」

A子「神使さん? 見てないよ」

神様「あの腐れ犬ころ勝手にどこ行ったんだ?」


神使「ここに居ますが・・・」

A子「?」

神様「お前、拝殿の中で何やってんだよ」

神使「・・・・・・」

528: 2016/05/08(日) 00:20:27 ID:oDizP/ys


――― 朝食


神様「だからゴメンって言ってんじゃんよ。 な? 私のタコさんウインナーあげるから」ホレ

神使「今日は神様も一緒に起きていて下さいよ?」

神様「わーったよ」


A子「でも本当に賽銭泥棒なの?」

神使「暗くてよく見えなかったのですが本殿の周りをウロウロしていましたね」

神様「でも賽銭は無くなってなかったんだろ?」

A子「開けられた形跡も無かったね」


神使「しかし参拝にしては不自然だったのですが・・・ 私が吠えたら居なくなってしまいまして」

A子「下見とか?」

神様「どうかな~」

529: 2016/05/08(日) 00:23:02 ID:oDizP/ys

――― 夜・社務所

神様「さてと、んじゃ今日は三人で見張りって事で」

神使「順番で交代制にしますか?」

神様「いや、全員で朝まで見張る」

A子「どこで見張るの?」

神様「私は万が一の時に神力が使えるよう本殿にいる。 A子ちゃんは社務所で待機」

A子「ほい」


神使「私はいかがすればよろしいでしょうか」

神様「昨日と同じく拝殿にいろ。 もし不審者が来たら本殿に誘導してくれ」

神使「大丈夫ですか?」

神様「代理とはいえ一応はこの社の神だぞ? ご神体経由だけど神力が使える私は無敵なのだよ」フフン

神使「はぁ、でも無茶はしないで下さいね」

神様「へいへい。 じゃぁ、昨日は三時頃に来たようだしその時間は要注意で」

530: 2016/05/08(日) 00:24:08 ID:oDizP/ys


――― 深夜


 コソコソ


神使「(来ましたね)」


 バンッ


参拝者「!?」

神使「こんな時間に当社にご用でしょうか?」

参拝者「あ・・・ いえ本殿をちょっと見たくて・・・」


神使「そうでしたか。 ではどうぞ本殿にお入り下さい」

参拝者「え? いいのですか?」

神使「今お開けいたします」

531: 2016/05/08(日) 00:26:14 ID:oDizP/ys


 ギィッ


神使「さぁ、お入り下さい」

参拝者「・・・・・・」


 ギィッ バタンッ


参拝者「!?」


神様「ふふふ、盗人め! 我が社に忍び込むとは良い度胸! だが相手が悪かったよう・・・ ん?」


参拝者「神様・・・」

神様「・・・・・・」

532: 2016/05/08(日) 00:28:36 ID:oDizP/ys

神使「? 神様どうされました?」

神様「犬ころ! そいつは敵だ! ガブッっと噛みつけっ!!」

神使「え?」


参拝者「そんな敵だなんて・・・」

神様「てめぇは何でこんな所に来てんだよ!」

参拝者「いえ・・・ その・・・」


神使「もしかして神様お知り合いですか?」

神様「しらねー」

参拝者「そんな殺生な・・・」


神使「あの、失礼ですが・・・」

参拝者「あっ、私は神様の夫です」

神使「・・・・・・」

535: 2016/05/09(月) 00:47:06 ID:zUO5Zbd6

神使「え? 神様の旦那様!?」

参拝者「はい」


神様「結婚なんかしてないだろ! 嘘つくんじゃねーよ!」

参拝者「許婚ですから結婚しているも同じです」

神様「お前が勝手に言っているだけだろうが!」


神使「あの・・・ どう言う事でしょうか?」

536: 2016/05/09(月) 00:48:19 ID:zUO5Zbd6


――― 社務所


A子「お茶です」コトッ

参拝者「ありがとうございます」

神様「こんなやつにお茶なんか出す必要ないぞ」


A子「いや~ 神ちゃんに旦那さんがいたなんてびっくりしたよ」

神様「A子ちゃん? 私は結婚してないから、ね?」


神使「失礼ですがお名前は・・・」

参拝者「申し遅れました。 私、神様の夫である昭和神宮の主神で昭宮神と申します」

神様「さりげなく夫とか付けてんじゃねーよ」

537: 2016/05/09(月) 00:50:40 ID:zUO5Zbd6

神使「昭和神宮の主神様ですか!?」

A子「昭和神宮?」

神使「東京で最高位のお社です。 まさか昭宮神様が神様の旦那様だったなんて・・・」

神様「神使君? 私は結婚してないから、ね?」


A子「神ちゃんの旦那さんて凄い神様だったんだね~」

昭宮神「いえ、私など神様の足下にも及びません」

神様「あーもうっ! 結婚してないって言ってんじゃん! 私の旦那さんはエガちゃんって決まってんの!!」


神使「神様? 昭宮神様は大変素晴らしい神と伺っております」

神様「だからなんだよ」

神使「これほど素晴らしいお話など、今後神様には縁遠いかと思―――」

神様「・・・・・・」ゲシッ ゲシッ ゲシッ ゲシッ

神使「痛い! 痛いです神様、ちょ・・・ 本気で痛いです」

538: 2016/05/09(月) 00:52:14 ID:zUO5Zbd6

A子「昭宮神さんって、すごく格好いいですね~」

昭宮神「ありがとう、お世辞でも嬉しいですね。 神様、是非皆さんを紹介して下さい」

神様「あ~ この子は神宮の巫女でA子ちゃん。 私の大親友であり神宮では常に私と一緒にコンビを組んでる」

昭宮神「神様のご親友で側近の巫女さんですか! 今後ともよろしくお願いいたします」

A子「神ちゃんと私は見えない深いところで繋がっている最強コンビなんです!」

昭宮神「素晴らしい! なんて頼もしい関係なのでしょう」


神様「んで、こっちは犬」

神使「・・・・・・神様の使いを務めております狛犬の神使と申します」

539: 2016/05/09(月) 00:53:27 ID:zUO5Zbd6

昭宮神「ほぉ、もしかして最高位の神使さんですか? 今月の月刊神様にインタビューが載っていましたね」

神様「え? おまえ取材なんか受けたの?」

神使「はい、ダメ神との付き合い方というコーナーで」

神様「なにそれ! 超気になるんだけど!」

昭宮神「大変興味深い記事でした。 こうして神様とお目にかかれたのも神使さんの記事のおかげです」

神様「あ?」


昭宮神「今週からこちらの神社で神様が代理神を勤められると紹介がございましたので」

神様「・・・・・・」

神使「・・・・・・」

神様「犬ころ、お前明日からドッグフードな」

540: 2016/05/09(月) 00:54:40 ID:zUO5Zbd6

A子「神ちゃんは何で結婚しないの?」

神様「私はエガちゃんと・・・」

A子「茶化さないの」


神様「・・・いやさぁ、私は人じゃないし結婚とかそういう概念が無いからさぁ」

A子「神様って結婚できないの?」

神様「そんな決まりは無いけど・・・ 人と恋に落ちて神の職を捨てるヤツもいるし」

A子「じゃぁ良いじゃん」

神様「ちょっと待って? なんで私を結婚させようとしてんの?」

昭宮神「私が神様と結婚したいからです」

神様「てめぇは黙ってろや」

541: 2016/05/09(月) 00:55:42 ID:zUO5Zbd6

神使「許婚と仰ってましたが」

神様「あ~ 昔こいつに私の名前を教えたんだよ」

A子「うん」

神様「それだけ」

A子「はい?」

神様「いや、昔はさぁ女が男に名前を教えるって結婚前提の行為だったんだよ」


神使「それっていつの時代ですか?」

神様「すんげー昔」

昭宮神「奈良時代です」

神使・A子「・・・・・・(古すぎる)」

542: 2016/05/09(月) 00:56:56 ID:zUO5Zbd6

神使「と言うことは、昭宮神様は奈良時代から神様のことを・・・」

昭宮神「はい、お慕い申し上げております」

神様「・・・・・・」


A子「神ちゃん、これは腹くくるしかないよ」

神様「い・や・だ!」

A子「こんなに長く想ってくれる人なんていないよ?」

神様「人じゃないから、こいつ神だから」

A子「も~ そんな減らず口叩いて~ 人も神も恋愛は同じです!」

神様「ぅぐ」

543: 2016/05/09(月) 00:58:43 ID:zUO5Zbd6

A子「でも神様同士の結婚って結婚届とかあるの?」

神様「さぁ? そんなの聞いたことないけど」

A子「じゃぁ、結婚してるも同じじゃん」

神様「違うから。 同じじゃないよ?」

A子「でも昔、神ちゃんは昭宮神さんに名前を教えたんでしょ?」

神様「そうね・・・」

A子「事実婚じゃん」

昭宮神「話が分かる巫女さんです。 その通りなのです」

神様「お前は黙ってろや!!!!」


A子「う~ん、神ちゃんの負け!」

神様「いやいや、勝負じゃないから。 私は同意してないから、ね?」

A子「も~ 諦めた方が良いよ?」

神様「嫌だ!」ブーブー

544: 2016/05/09(月) 01:00:45 ID:zUO5Zbd6

神使「でもなんでこんな時間にこちらへ・・・」

昭宮神「この時間しか私の自由にならないもので」

神使「お忙しいのですね」


昭宮神「神様からお預かりした職務ですので苦ではございません」

神様「・・・・・・」


神使「しかし、こんな遅くでは神様もご就寝されているので会えない可能性が高いと思うのですが」

昭和神「一目だけでもお姿を拝見したく、本殿でご就寝されているものと思っておりましたので・・・」

神使「確かに神は普通本殿から出ませんからね」

神様「あんな何も無いところで寝られないっつーの」

545: 2016/05/09(月) 01:01:29 ID:zUO5Zbd6

昭宮神「相変わらず寂しがり屋なところは変わらないんですね」

神様「てめぇ! それ以上戯れ言を抜かすと蹴り飛ばすぞ!」

昭宮神「ははっ、失礼しました」

A子「もう、神ちゃんたら照れ屋さんなんだから」

神様「照れてないよ? 全然照れてないよ? むしろ怒ってるからね?」


昭宮神「・・・どうやら、今は私の出る幕はなさそうですね」ニコッ

神使「?」

546: 2016/05/09(月) 01:02:33 ID:zUO5Zbd6

昭宮神「では、私はこれで失礼いたします」

A子「もう帰っちゃうの?」

昭宮神「もうじき朝のお勤めが始まりますので。 神様とお話しできただけでも、あと300年はがんばれます」

神様「そうかい、んじゃはよ帰れ」ヒラヒラ

神使「神様? せっかく来て下さったのに失礼ですよ?」

昭宮神「いえ、私の方がこんな時間に申し訳ありませんでした」

神使「お気を付けて」

昭宮神「失礼いたします」

547: 2016/05/09(月) 01:03:39 ID:zUO5Zbd6

神様「おい」

昭宮神「?」

神様「まぁ、がんばれよ。 お前のことは信頼している。 これからも頼んだぞ」

昭宮神「神様・・・ 神様が伴侶となって下されば私はもっと―――」

神様「調子に乗ってんじゃねーよ! 帰れっ!」


昭宮神「ふふっ、神様が元気になられたようで安心いたしました」

神様「・・・・・・」

昭宮神「では、またお目にかかれる日を楽しみにしております」スゥ

A子「わっ! 消えた!」

548: 2016/05/09(月) 01:04:56 ID:zUO5Zbd6

神様「ったく、不愉快だ。 寝る」

神使「そろそろ私達も朝のお勤めが始まる時間ですが・・・」

神様「・・・昼まで寝かしてくれ」スタスタ


 ガチャッ


A子「神ちゃん嬉しそうだったね」

神使「そうですか? 私には不機嫌全開のように見えましたが」

A子「照れ隠しだよ~ 神使さんは乙女心が分からないんだね~」

神使「すいません、乙女ではないもので・・・ 乙女?」

549: 2016/05/09(月) 01:05:49 ID:zUO5Zbd6

A子「私もお昼まで寝るー」

神使「えっ?」

A子「神使さんはお昼から寝て良いよ?」

神使「私、二日連続で起きているのですが・・・」

A子「大丈夫だって、神使さん! ここは男を見せるところです!」

神使「ハァ・・・ お昼にちゃんと起きて下さいよ?」

A子「巫女嘘つかない」

神使「では後ほど」

A子「じゃぁお休み」スタスタ


 ガチャッ


神使「私の知らないことばかりですね・・・」

神使「さて、もう一踏ん張り。 リホビタンD飲んでおきましょう」スタスタ

550: 2016/05/09(月) 01:06:38 ID:zUO5Zbd6


 テクテク


神様「・・・・・・」ハァ

神様「・・・///」

552: 2016/05/10(火) 01:25:03 ID:p9FDXyvs


――― 数日後


神様「ふぁ~ぁ」ゴロゴロ

神使「神様、だらしないですよ? 神の品格に関わります」

神様「うるせー 誰もいないじゃねーかよ」グダグダ


神使「そう言えば、A子ちゃんはどちらに?」

神様「ん? 駅で帰りの切符予約してくるんだって」

神使「そう言えば、今日の夕方に主神様達がお戻りになるんですよね」

神様「あ~あ、吉祥寺ともお別れか~ もう少し居たかったな~」

553: 2016/05/10(火) 01:26:23 ID:p9FDXyvs


 ガラガラ
 ただいまー


神使「A子ちゃん帰ってきましたね。 では、最後のご祈願を致しましょうか」

神様「そうだな、主神達が帰ってくる前に終わらしておくか」

神使「では」ゴソゴソ

神様「何やってんの?」

神使「最後ですから、祭儀用の御装束でご祈願を」

神様「え~ それ裾がちょっと長いんだよ」

神使「全て着用せずとも簡易型で結構ですので」

神様「それでも面倒くさいって」

554: 2016/05/10(火) 01:29:42 ID:p9FDXyvs

 ガチャ

A子「いや~ 新幹線最後の一席だったよ。 あぶねーあぶねー」

神使「お帰りなさい」


A子「あれ? ご祈願するの?」

神使「はい、主神様達が帰ってくる前にと思いまして」


A子「あっ、神ちゃん今日は御装束着るんだ」

神様「面倒くさいから着替えなくても良いと思うんだよね」

神使「最後なんですから・・・ A子ちゃんからも言ってやって下さいよ」

555: 2016/05/10(火) 01:31:25 ID:p9FDXyvs

神様「!? A子ちゃん・・・」ワナワナ

A子「?」


神様「その服・・・ すごく、かわゆい・・・」ゴクリ

A子「あ~これ? いいでしょー」フリフリ

神様「どこで買ったの? 教えて!」

A子「去年買ったヤツだからもうないと思うなー」

神様「そうかー・・・ 残念」

A子「あげようか? 私こっちで新しいの買ったし」

神様「うそ! いいの!」

A子「その代わり、神ちゃんはご祈願で御装束を着ること」


神様「神使! 祭儀装束を用意しろ! 手を抜くなよ!」

神使「(さすがA子ちゃん、神様の扱いは完璧ですね)」

556: 2016/05/10(火) 01:33:02 ID:p9FDXyvs


――― 夕方


神様「よし、祈願の方はこれで全部か?」

神使「はい。 お疲れ様でした」

神様「いや~ ちかれた」フー


A子「ねぇ、神ちゃん?」

神様「なに?」

A子「・・・私もご祈願してもらいたいんだけど良い?」

神様「A子ちゃんも何かお願い事あるの?」

A子「うん」

557: 2016/05/10(火) 01:34:21 ID:p9FDXyvs

神様「私なんかより神宮で祭儀神にやってもらった方が良くない?」

A子「神ちゃんにやってもらいたいなって」


神様「ん~・・・ でも私じゃ御利益薄いよ? 階位最低のダメ神だし」

A子「そんなことないよ。 神ちゃんとっても立派な神様だよ」

神様「・・・・・・」


A子「それに、今の神ちゃんとっても綺麗で威厳があるもん」

神様「・・・分かった。 全身全霊を込めて神力成就でやってあげる」

558: 2016/05/10(火) 01:35:47 ID:p9FDXyvs

神使「A子ちゃん、ご祈願の種類は?」

A子「はい、これ」スッ

神使「お預かりします」


 スタスタ


神使「神様どうぞ」スッ

神様「はい」ペラペラ

神様「・・・・・・神恩感謝?」


A子「うん」

神様「・・・・・・」


A子「これからもよろしくね、神ちゃん!」ニコッ

神様「A子ちゃん・・・」フッ

559: 2016/05/10(火) 01:37:13 ID:p9FDXyvs

神様「よっしゃ、それじゃぁ本日最後のご祈願を執り行いますか」


 ギィ


主神「私もご祈願のお手伝いをさせて頂いてもよろしいでしょうか」

宮司「私もご一緒いたします」

神使「主神様に宮司様、お戻りでしたか。 気付かず申し訳ございません」


宮司「本殿に明かりが付いていたもので、もしやと思いまして」

主神「神様のご祈願を拝見するのは初めてでしたので外から拝聴しておりました」

神様「すげー恥ずかしいんだけど・・・」


主神「神様のご祈願、心が洗われました。 私など足下にも及ばず恥ずかしい限りでございます」

神様「お世辞言っても何も無いぞ?」

主神「尊敬する神様に対してお世辞などとんでもございません、本心でございます」

神様「あっそ」

560: 2016/05/10(火) 01:38:45 ID:p9FDXyvs

主神「もしよろしければ神様の副神を務めさせて頂いてもよろしいでしょうか」

神様「お好きにどうぞ」


宮司「私は神使様の補佐をさせて頂きます」

神使「ありがとうございます」


神様「じゃぁ神恩感謝と・・・ A子ちゃんの諸願成就を願って祈願を執り行う」

神使「二神でのご祈願なんて相当な御利益ですね」



神様「A子よ」

A子「はい」


神様「其方の願い、我が神力成就で叶えて進ぜよう」ニコッ

561: 2016/05/10(火) 18:48:42 ID:p9FDXyvs


――― 翌日


神使「神様? 忘れ物は無いですか?」

神様「んー、大丈夫」


神使「主神様からもらったお土産が床に転がっているんですが・・・」

神様「これさぁ、何?」

神使「マーライオンの置物ですね・・・ 見た感じ結構高そうな物だと思うのですが」

神様「A子ちゃん欲しい?」

A子「いらなーい」


神様「犬ころ、これ私からのプレゼント。 同類だろ?」ホイ

神使「何ですか同類って・・・ 神様の鞄に入れておきますよ?」ゴソゴソ

神様「ちょ、入れるなやー」

562: 2016/05/10(火) 18:49:21 ID:p9FDXyvs

A子「神ちゃん達は次どこ行くの?」

神様「知らない。 次どこ?」

神使「着いてからのお楽しみです」

神様「たぶん、人もいないようなド田舎だと思う」

A子「そっか~ またしばらくお別れだね」

神様「でもA子ちゃん、必ず近いうちに会える。 別れは辛―――」

A子「がんばってねー」

神様「・・・・・・うん」

神使「主神様と宮司様が、外でお待ちですから行きますよ」

563: 2016/05/10(火) 18:50:32 ID:p9FDXyvs


 テクテク


神使「お待たせして申し訳ございません」

宮司「いいえ、こちらこそ駅までお見送りできず申し訳ございません」


主神「この度は本当にありがとうございました」フカブカ

神使「こちらこそ、貴重な経験をさせて頂き感謝いたします」


主神「宮司、神様達にお礼を」

宮司「はい、こちら少ないですがお納め下さい」

神使「ありがとうございます」

宮司「こちらは巫女さんの分です」

A子「私ももらって良いんですか?」

宮司「こんなに綺麗に掃除までして頂いたのですから、そのお礼と思って受け取って下さい」

A子「ありがとうございます」

564: 2016/05/10(火) 18:51:24 ID:p9FDXyvs

宮司「そして、こちらは神様の分でございます」

神様「うそ! 私も良いの!?」

宮司「どうぞお納め下さい」

神様「やったー」ビリビリ

神使「ちょっと神様! はしたないからやめて下さいよ・・・」

神様「すげー こんなに入ってるよ!!」

神使「こちらでお預かりします」

神様「ぇ・・・」

神使「先日は豪快にクレジットカード使いましたよね? 借金もまだ残っています」

神様「・・・・・・」

565: 2016/05/10(火) 18:52:16 ID:p9FDXyvs

神使「はい、神様の分です」チャリン

神様「500円・・・」

A子「うわ~ 神ちゃん可哀想・・・」

神様「私は子供かよ!!」

神使「クレジットカードは魔法の財布では無いんですよ?」

神様「はい・・・」シュン


神使「では、主神様、宮司様、大変お世話になりました」

宮司「こちらこそ、無理なお願いを聞いて頂きありがとうございます」

神使「では、失礼いたします」

A子「お世話になりました」

神様「ハイバーイ」

566: 2016/05/10(火) 18:52:53 ID:p9FDXyvs


――― 駅前


 テクテク


神使「そうだ、神様?」

神様「あん?」

神使「ちょっとヨトバシ寄って良いですか?」

A子「買い物?」

神使「えぇ、受け取りなのですが」

神様「んだよ、お前だけ買い物しやがってずりーな~」

567: 2016/05/10(火) 18:54:45 ID:p9FDXyvs


――― ヨトバシカメラ


神使「店員さん、神使と申しますが」

店員「お待ちしておりました。 こちらが新しいスマホです」スッ


神様「うわっ、この腐れ犬ころ私の欲しいスマホにしやがった」

神使「神様のスマホですよ? 受け取って下さい」

神様「ほへ?」

神使「この黄色い小さいヤツで良いんですよね?」

神様「えっ? 私の?」

神使「さすがに神様の携帯は古すぎますから」


A子「うわ~ 最新型じゃん! いいな~」

神様「いや、でもわたし金ないし・・・」

神使「この位は大丈夫です。 新幹線を使ったと思えばトントンですから」

568: 2016/05/10(火) 18:55:30 ID:p9FDXyvs

神様「でも・・・」

神使「なに遠慮してるんですか? 神様らしくない」


神様「本当に大丈夫?」

神使「その代わり、弄って良いのは1日1時間までですよ? あと課金は一切NGです。 約束できます?」

神様「約束する!」


店員「では、付属品などはこちらになります」

A子「神使さん優しい~」

神使「さすがにあそこまで古い物をもたれると神様の品格に関わりますので」

神様「ありがとうな、大切にする」

569: 2016/05/10(火) 18:56:23 ID:p9FDXyvs


――― 電車内


 ガタンガタン


A子「これでやっと神ちゃんとLINEがリアルタイムで出来るね」

神様「前のヤツは面倒くさかったからな~」

A子「ガラケーってリアルタイムじゃ出来ないもんねー」


神使「あっ、神宮アプリは入れておいて下さいね」

神様「嫌だよ、そんなの」

A子「あれ重いからね~、私は削除したー」

570: 2016/05/10(火) 18:57:00 ID:p9FDXyvs

神使「A子ちゃんは東京から新幹線ですよね」

A子「うん」


神様「っていうか私達は次どこだよ」

神使「まぁ隠す必要もございませんし・・・ 京都です」

神様「え~ 京都なの~?」


A子「あれ? じゃぁ名古屋まで新幹線一緒じゃん」

神様「そうだね」

571: 2016/05/10(火) 18:57:40 ID:p9FDXyvs

神使「私達は各駅ですので」

神様「・・・・・・えっ?」クルッ


神使「鈍行です」

神様「ねぇ、巫女さんが新幹線で神と神使が鈍行ってその差は何?」

神使「A子ちゃんは神宮の職員ですから経費で落ちますが、私達は違いますので」

神様「いやいや、そこは経費で落とそうよ」

神使「ですから、私達には経費という概念がございませんので」


神様「A子ちゃんも鈍行で行かない?」

A子「新幹線で帰る」

神様「まぁ・・・ そうだよね」

572: 2016/05/10(火) 18:58:42 ID:p9FDXyvs

A子「でも鈍行で京都って、今日中に着くの?」

神使「うまくいけば日付が変わる直前には着きます」

神様「ねぇ、まだ14時だよ?」


A子「うわ~ お尻割れちゃうね」

神様「吉祥寺に来るときも鈍行で12時間も揺られてきたんだよ? もうお尻粉々だよ」

神使「はしたない会話をこんな場所でしないで下さい・・・」

神様「へいへい」


 ご乗車ありがとうございました
 まもなく東京です


神使「そろそろ着きますね」

573: 2016/05/10(火) 18:59:55 ID:p9FDXyvs


――― 東京駅


A子「じゃ、わたし新幹線ホームだから」

神使「お気を付けてお帰り下さいね」


神様「そうだ、A子ちゃん?」

A子「なに?」

神様「これ、もう少し後に渡すつもりだったんだけど」スッ

A子「お守り?」

神様「私が作ったやつだから御利益は無いんだけどね」

A子「神ちゃんが作ったの?」

神様「うん」

A子「結構年期はいってるね」

神様「昔に作ったヤツだから古くさくてゴメンね」

A子「そんなことないよ。 ありがとう! 大事にするね」

574: 2016/05/10(火) 19:00:29 ID:p9FDXyvs

神様「じゃぁ、気をつけて。 皆によろしく」

A子「うん、またね~」バイバーイ

神様「元気でねー」フリフリ


神使「さて、私達もいきましょうか」

神様「あぁ」


 テクテク


神様「京都か・・・ 久しぶりだな~」

神使「どのくらい前に行かれたんですか?」

神様「ん? 去年」

神使「結構最近じゃないですか・・・」

575: 2016/05/10(火) 19:01:24 ID:p9FDXyvs


 神様! 神様~


神様「?」キョロキョロ

神使「あっ、あれ昭宮神様じゃないですか?」

神様「げっ、なんでアイツがいるんだよ」

神使「なんか、凄い量のバラの花束を持っていますけど・・・」

神様「神使! 逃げるぞ!」タッ タッ タッ

神使「え? 神様?」


 待って下さいよ~ お見送りさせて下さい~


神様「お前、仕事抜けられないんじゃないのかよー!」


 あと十分しかないんです~


神様「じゃぁ帰れよっ!」

576: 2016/05/10(火) 19:02:26 ID:p9FDXyvs

神使「神様、待ってあげた方が良いんじゃないですか?」

神様「ふざけんなよ」


 神様~ 神様~
 わっ、ちょっと何ですか?


神使「神様! 昭宮神様が警備の人に捕まってます!」

神様「よし、今のうちに全速力で逃げるぞ!」ダダダダ


 神様~~!! お元気で~


神様「・・・・・・」ピタッ クルッ

神使「?」


神様「お前もなーー!」フリフリ

神使「神様・・・」

577: 2016/05/10(火) 19:03:16 ID:p9FDXyvs


神様「神使よ」

神使「はい」


神様「良い街だったな」

神使「そうですね」


神様「また来たいな」

神使「はい、また来ましょう」





神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#4 ―END

578: 2016/05/10(火) 19:05:48 ID:p9FDXyvs


【おまけ】


 ガタンガタン
 次は浜松~


神様「んぁ・・・」ポー

神使「Zzz」スースー


神様「まだ浜松かよ・・・ なぁ犬ころ~」ユサユサ

神使「Zzz」スースー


 ストン


神様「ん? 月刊神様・・・ そう言えばアイツ取材受けたって言ってたな」

579: 2016/05/10(火) 19:07:34 ID:p9FDXyvs


月刊神様 962号
集中連載 ~ダメ神との付き合い方~
神宮所属 狛犬 神使さま


――今日はお忙しい中ありがとうございます。

神使:いいえ、こちらこそ。どうぞよろしくお願いいたします。


――まず神使さんの経歴についてお伺いしてもよろしいでしょうか

神使:はい。 神使として登録されたのは8年ほど前でして、奈良の『ならなら神社』で奉職しておりました。


―――神宮にいらしたのは?

神使:3年前です。 神様という方にお仕えするよう辞令を受け赴任いたしました。


―――神使になられて8年で最高位の階位とはご立派ですね。

神使:そんなことはございません。 私などまだまだひよっこですので日々勉強の毎日です。

580: 2016/05/10(火) 19:08:32 ID:p9FDXyvs

――さて、神使さんの主神様についてお聞かせ頂けますでしょうか。

神使:はい。 私の主神様は神宮所属で内宮神籍の女神で神様と申します。


――内宮神籍と言うことはかなりご立派な神なのでしょうね。

神使:階位は最低位、しかもランク外、左遷と減給を繰り返す絵に描いたような問題児です。 ちなみに現在は無給です。


――それは…… 凄いですね(汗)

神使:月刊神様を読まれている神の皆さまは、きっと『あ~あの方か』とお分かりになると思いますが(笑)


――まさにこのコーナーにピッタリの主神様ということですね

神使:そうかも知れませんね。

581: 2016/05/10(火) 19:09:12 ID:p9FDXyvs

――初めてお目にかかったときのご印象は?

神使:びっくりした、の一言です。


――びっくり?

神使:はい、巫女の格好をして授与所でお守りを参拝者の方々に授けておられました。


――神様がですか?

神使:えぇ、普通じゃ考えられませんよね? しかも夕方には箒を持って境内のお掃除までして。


――それは興味深いですね。 どのような意味があるのでしょうか。

神使:巫女の仕事をしないと給料が低すぎて暮らしていけないようです。


――あぁ……

神使:自身の神力も使えないので祭儀にも出られませんし、業務の90%以上は巫女さんでしたね(笑)

582: 2016/05/10(火) 19:10:20 ID:p9FDXyvs

――えーと…… 話題を変えますがその神様との付き合い方に関してエピソードなどございましたら是非。

神使:夜ご就寝されるときに下着のまま寝る癖があるので、そこは一番注意しております。


――下着のままですか? 女神様ですよね?

神使:えぇ。 寝相も最悪ですので、酷いときは布団を抜け出し下着姿で廊下で寝ていることもございます。


――えーと…… 神様のことは普段なんとお呼びしているのですか?

神使:周りには『かわゆい神ちゃん』と呼ばせたがっているようですが、私は『神様』とお呼びしております。


――『かわゆい神ちゃん』ですか?

神使:自身以外で、そのように呼んでいる方は見たことありませんけどね。

583: 2016/05/10(火) 19:11:28 ID:p9FDXyvs

――……話題を変えます。 今は全国のお社をまわっておられるとお伺いしておりますが。

神使:はい。 主に全国の神職不在神社を中心にまわっております。


――今までのお話をお伺いした限りだらしなさそうな神様でしたが、やはりご立派なのですね。

神使:神宮で2000円のお守りを300円で売っていることがバレまして、その罰なんですよ(笑)


――あぁ……

神使:本当は一社のみの予定だったんですが、赴任先で賄賂疑惑や過去の職務怠慢が発覚しまして無期出向となりました。


――……

神使:?

584: 2016/05/10(火) 19:12:42 ID:p9FDXyvs

――失礼しました。 私も色々な神様や神使様をインタビューさせて頂いているのですが、ここまでのダメ神は初めてです。

神使:ありがとうございます。でも、勘違いはなさらないで頂きたいのですが私は主神である神様を尊敬しております。


――尊敬ですか?

神使:神様は他の神とは異なる位置におられ、私も素性は詳しく知らないのですが、とても人に近い神なのです。


――人に近い神?

神使:『私は神力が使えない分、どんな手を使ってでも願いを叶える』 神様からこの言葉を伺ったとき感銘いたしました。


――なるほど。 他の神とは異なるお言葉ですね。

神使:神力が使えないのに願いを叶えるって凄く難しいと思うんです。 でも神様は叶えてくれるんです。


――それがどんな手を使ってでも、という事ですね?

神使:はい。 神力を使って願いを叶えるだけが神ではないということを教えて頂いたんです。

585: 2016/05/10(火) 19:13:29 ID:p9FDXyvs

――興味深いお話です。

神使:今度、是非神様にもインタビューして下さい。 美味しいご飯を用意して頂ければ大抵ついてきますから(笑)


――はい、是非近いうちに『かわいいい神ちゃん』に取材させて頂きます。 この後、神使さんはどちらのお社へ行かれるのですか?

神使:来週から吉祥寺の『きちきち神社』で神様が代理神を務められますので同行いたします。


――本日はありがとうございました。

神使:こちらこそありがとうございました。

586: 2016/05/10(火) 19:14:22 ID:p9FDXyvs


神様「・・・・・・」ハァ

神使「Zzz」

神様「まぁこの位は許してやるか・・・」

神様「・・・・・・」


神様「な~んて、許すわけないじゃん! 犬ころ!!」

神使「はい!」ビクッ

神様「寝起きはどうだ?」

神使「急に大声出してどうされたんですか?」

587: 2016/05/10(火) 19:15:25 ID:p9FDXyvs

神様「これ」パンパン

神使「月刊神様?」


神様「てめぇ、私の事を変にベラベラ喋ってんじゃねぇよ!」

神使「え? 全部本当のことではないですか・・・」

神様「これじゃぁ、私がすげぇダメ神じゃんよ」

神使「そういうコーナーですので」


神様「もっと褒めろよ! 嘘でも奉っとけよ」

神使「神使嘘つかないです」

神様「・・・・・・」

588: 2016/05/10(火) 19:16:29 ID:p9FDXyvs

神様「神罰!」


 ゲシッ ゲシッ ゲシッ ゲシッ ゲシッ ゲシッ


神使「痛い、痛いですよ神様。 それは神罰でなく体罰ですから」


神様「うるせー、京都までずっと折檻してやる!」

神使「やっぱり体罰じゃないですか~」


神様「うひゃひゃ、もっと泣き叫べ~」


 ドタバタ






神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」―END

589: 2016/05/10(火) 19:17:43 ID:p9FDXyvs
よし、終わった!
相変わらず内容が薄くてすみません!

590: 2016/05/10(火) 19:52:12 ID:4kZnXkCs
乙乙
まだ続いてほしい

591: 2016/05/10(火) 21:12:50 ID:oKA.p09g

次は京都編か
楽しみに待っとるで(切実)

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」

引用: 神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」