707: 2016/06/03(金) 23:24:53 ID:0s9jPybg

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


 ファーン
 ガタンガタン


神様「ひょ~ 新幹線早ぇー!」

神使「神様が電車の中で寝ないなんて珍しいですね」


神様「おっ?」

神使「どうされました?」

神様「あの山沿いの道、昔さぁ京都行く時はあそこ歩いたんだよ」

神使「昔は鉄道なんてありませんでしたからね」

神様「そうだな・・・ 良い時代だ・・・」

神使「神様?」

神使「時代の流れもどんどん早くなるんだろうな・・・・・・」
江戸前エルフ(9) (少年マガジンエッジコミックス)
708: 2016/06/03(金) 23:26:08 ID:0s9jPybg

~あらすじ~

神様「私は神様! 問題ばかり起こすダメ神で、迷惑ばかりかけるけど・・・ 皆の願いを叶えたい」

神使(訳)「!?」

709: 2016/06/03(金) 23:27:24 ID:0s9jPybg

【#6】


―― 神宮裏手


神様「うまっ」モグモグ

神使「その赤福は何個目ですか?」

神様「いや~ 地元土産って食べる機会そんなにないじゃん?」

神使「そう言われれば、あまり食べた記憶ありませんね・・・」


神様「お前にも一個やるよ」ホレ

神使「私のお金で買ったんですが・・・」

神様「細けーこと言ってんじゃねーよ」

710: 2016/06/03(金) 23:28:11 ID:0s9jPybg

神使「あの、神様?」

神様「なんだよ、もうやらないぞ?」モグモグ

神使「いえ、内宮神様にお会いするんですよね」

神様「そのつもりだけど」


神使「内宮本殿ではないのですか?」

神様「本殿には居ないんだな~」

神使「え? ではどちらに」

神様「こっち」スタスタ

711: 2016/06/03(金) 23:30:12 ID:0s9jPybg


――― 神宮・奥庭のさらに奥


神使「ずいぶん奥まで入ってきましたね・・・」

神様「ん? でも、まだ神宮の敷地内だけど」

神使「私ここまで入ってきたことないです」


神様「おっ、あった。 あれ」

神使「ずいぶん小さなお社ですね」


神様「なあ、犬ころ」

神使「はい」

神様「神宮主神をはじめ内宮神、外宮神の三神は基本的に誰とも会わない」

神使「はい、神宮の大宮司さんも会ったことがないと聞いております」

神様「何故だか分かるか?」

神使「?」

712: 2016/06/03(金) 23:31:37 ID:0s9jPybg

神様「まぁ、お前なら大丈夫だと思うが・・・ 気をつけろ」

神使「どう言う意味でしょうか・・・」


神様「内宮神は神宮三神の一人だ、ラベルが違う」

神使「・・・・・・レベルです」ボソッ

神様「内宮神は神宮三神の一人だ、レベルが違う」

神使「心得ております」


神様「怒らせるなよ? 私でも庇いきれない」

神使「・・・・・・」ゾクッ

神様「フーッ、緊張するな」ソワソワ

神使「(神様でもこんなに緊張するなんて・・・)」


神様「よしっ、いくぞ」

神使「・・・はい」

713: 2016/06/03(金) 23:34:00 ID:0s9jPybg


 ギィー


神様「内宮神様! 失礼いたします! 神様でございます」ドゲザ

神使「し、失礼いたします! 神様のお付き、狛犬の神使でございます」ドゲザ


内宮神「遅いではないか?」

神様「申し訳ありません」

神使「?(内宮神様って女神様だったのですか・・・ でもこの声・・・)」


内宮神「遅れた理由を述べよ」

神様「この腐れ神使が舞妓茶屋から離れようとしなかったもので!」

神使「えっ!?(うそ~ 神様また裏切った!)」


内宮神「まことか? 極悪邪道腐れ犬ころっ!!」

神使「いえ・・・ その・・・ も、申し訳ございません!」

714: 2016/06/03(金) 23:34:57 ID:0s9jPybg

内宮神「後ほど、この世のものとは思えぬほどの恐ろしき神罰を与える。 覚悟せよ」

神使「!?」ゾクッ

神様「ありがとうございます!」

神使「・・・・・・」


内宮神「二人とも、面を上げよ」

神様「はっ、失礼いたします」

神使「失礼いたします」



神使「・・・・・・えっ?」

716: 2016/06/05(日) 06:08:45 ID:IlZmG0b6

内宮神「はろー」


神様「ぷっ、犬ころいい顔だわ」ゲラゲラ

内宮神「うひゃひゃ、びっくりした? 」


神使「神様が二人・・・?」


内宮神「神様だ!」ヘヘン

神様「私も神様だ!」ヘヘン


神使「あの・・・ これは・・・」

神様「どう思う?」

717: 2016/06/05(日) 06:10:17 ID:IlZmG0b6

神使「姉妹・・・ いえ、双子でしょうか・・・?」

内宮神「あ~ まぁ普通はそう思うよな」

神様「なんて説明すれば良いか分かんないけど・・・ 分身?」

内宮神「まぁ、そんな感じ?」


神使「分身? どちらがオリジナルなのですか?」

神様・内宮神「・・・・・・」


神様「やっぱ分身じゃないね」

内宮神「違うね」


神使「・・・・・・」

718: 2016/06/05(日) 06:11:04 ID:IlZmG0b6

神様「かわゆい神ちゃんと」

内宮神「かわゆい内宮神ちゃんは」

神様・内宮神「同じ」キラッ


神使「あの・・・ 申し訳ないのですが、よく分からないです・・・」


内宮神「だからお前は犬ころなんだよ。 考えるんじゃない、感じるんだ」

神使「・・・・・・」


神様「あれ? 犬ころ理解してる?」

神使「私の理解を超えておりますが、神様が二人いるという事だけは理解しました」

神様「二人と言っていいのか微妙だけど」

719: 2016/06/05(日) 06:13:06 ID:IlZmG0b6

神使「しかし、なんでこんな・・・」

神様「話すの面倒い」

神使「教えて下さい」

神様「あれ? 犬ころがこういう話に突っ込んでくるの珍しいじゃん」

神使「さすがにこれは聞いておきたいです」

神様「しょうがないな~」

内宮神「ちょっとだけ教えてあげよう!」

神使「ありがとうございます」


神様「実はさぁ~ 良く分からないんだよ」

神使「え?」

神様「二百年くらい前にね、気付いたら別れてた」

内宮神「以上!」


神使「またそれですか・・・ 相変わらず神様って分からないことだらけですね」

神様「褒めるな褒めるな///」テレッ

720: 2016/06/05(日) 06:14:18 ID:IlZmG0b6

神使「ということは、最高神様と外宮神様も・・・」

内宮神「お前さぁ、神宮で最高神達って見たことある?」

神使「いいえ、一切お姿をお見せにならないとお伺っておりますので」


神様「だっていないんだもん」

内宮神「見られるわけないじゃん」

神様・内宮神「ね~」

神使「・・・・・・」


神様「強いて言うなら、私達が内宮神で外宮神」

内宮神「ついでに、神宮主神だから」

神様「最高神ってわけ! ドドン!」

神使「・・・・・・」

721: 2016/06/05(日) 06:15:06 ID:IlZmG0b6

神使「ちょっと待って下さい」

神様「ん?」

神使「今、神宮主神と仰いました?」

内宮神「うん」

神様「最高神で最低神!」ドヤッ

神使「・・・・・・」


神使「天照大神様は・・・」

神様「ハァ~ この前言っただろ? そんなヤツいないって」

神使「神話・・・ ですか?」

神様「そう、天照大神って言う最高神は存在しない」

神使「・・・・・・」

722: 2016/06/05(日) 06:21:12 ID:IlZmG0b6

神様「だから私が最高神!」


神使「どうして、そのことを秘密にしているんです?」

神様「ん~ 恥ずかちい」

神使「・・・・・・」


神様「犬ころ凄い顔してるな」

神使「とんでもない暴露をされて困惑中です」

内宮神「だれにも言うなよ?」


神使「ちょっと待って下さい・・・」

神様「ん?」

723: 2016/06/05(日) 06:22:39 ID:IlZmG0b6

神使「内宮神様と神様が同じというなら、なんで態々神様をお呼びになったのですか?」

神様「あ~ それね」

内宮神「そこが分かんないのよ」

神使「はい?」


内宮神「呼んでないし」

神様「呼ばれてないし」

神様・内宮神「呼ぶ必要ないし!」


神使「つまり・・・」

神様「誰かが何か企んでいる」

神使「お心当たりは?」

神様「う~ん・・・ どれだろう」

神使「いっぱいあるんですね」

内宮神「・・・まぁ」

724: 2016/06/05(日) 06:23:24 ID:IlZmG0b6

神使「それと・・・」

神様「どうして、お前に私の本性を教えたのか」

内宮神「だろ?」

神使「はい」


神様「もしかしたら、今回の件が引き金になって大きく流れが変わるかも知れない」

神使「流れ・・・ ですか?」

内宮神「あぁ、・・・今はこれで勘弁してくれ」

神使「分かりました」

神様「お? 今回はずいぶんあっさりじゃん」

725: 2016/06/05(日) 06:25:12 ID:IlZmG0b6

神使「神様が言いにくいことを無理に聞く気はございませんので」

神様「さすが犬ころ、私の躾は完璧だな」カッカッカッ

神使「調子に乗らないで下さい」

内宮神「はい」


神使「・・・私は今、神宮主神である最高神に無礼を言ったんですね・・・・・・」

神様「その通り! 赤福十個で許そう」

神使「先ほど買ってあげました。 次はご自分のお金で買って下さい」

神様・内宮神「はい・・・」

728: 2016/06/06(月) 23:26:05 ID:FlEPfxhI

神使「それで、この後はどうするんですか?」

神様「あれ? もうこの状況を飲み込んじゃった感じ?」

神使「飲み込むも何も、考えてどうにかなるものでもありませんので」

内宮神「いいね~ その適応能力」

神様「弥生時代にタイムストリップしても暮らしていけるよ」


神使「で? どうなさるんですか?」

内宮神「あの・・・ タイムストリップは無視ですか?」

神使「あっ、すいません。 混乱していて突っ込み忘れました」

神様「・・・・・・そう」

729: 2016/06/06(月) 23:27:53 ID:FlEPfxhI

神使「で?」

神様「あぁ、まずは~ 誰が私を呼んだのかを調べることからだな」

神使「召喚状に記載してある場所に行けば、誰か分かると思うのですが」


神様「良いかい? 神使君。 敵が誰なのかは事前に調べておく必要があるのだよ」

内宮神「それで作戦が大きく変わる」


神使「しかし、どのようにして調べるんですか?」

神様「召喚命令はお前の携帯に来たんだよな」

神使「そうです。 いつものように神宮からメールで」

神様「そのメール、私のかわゆいスマホに転送してくれ」

神使「はい」ピッピッ

730: 2016/06/06(月) 23:29:31 ID:FlEPfxhI

 ピロリン♪

神様「よし。 で、これを転送っと」ピィ

神使「どなたに転送されたんですか?」

神様「B夫」

神使「B夫って、神職のB夫君ですか?」

神様「そう。 いま居るかな~」ピピピッ


 prrr prrr
 ガチャ


B夫『B夫っす』

神様「ども~ かわゆい神ちゃんだけど」

B夫『なに?』

神様「今さぁ、B夫にメール送ったんだけど、ちょっと調べてもらいたい事があって」

B夫『なに?』

神様「メールの送り主が誰か調べて欲しいの」

731: 2016/06/06(月) 23:31:11 ID:FlEPfxhI

B夫『メール、メール・・・ これか』

神様「どう?」

B夫『ん~ ヘッダが変・・・ 串通してるね。 どこまで調べんの?』

神様「徹底的に。 内宮神からの命令だから極秘でお願いしたいんだよ」

B夫『内宮神・・・ それ面白い。 引き受けた』

神様「何か分かったら連絡ちょーだい」

B夫『OK、送り主の尻毛の数まで調べてや―――』


 ピッ


神様「これでよしっと」

732: 2016/06/06(月) 23:32:18 ID:FlEPfxhI

神使「B夫君って何者なんです?」

神様「神宮で神主やる前はハッカーだったみたい」

神使「前にそんなこと言ってましたね。 でも、なんでハッカーが神職なんかに・・・」

神様「十年前の神法改正の際に作ったシステム化の時に神宮が引き抜いたんだって」

神使「あぁ~ なんか凄いシステムらしいですね」


神様「B夫は神宮だけじゃなく、神様機構や関連施設の全システムを管理しているんだよ」

神使「神職ですよね?」

神様「建前上はな。 神宮に入る前に一週間だけ神職の講義を受けた」

神使「・・・・・・」

733: 2016/06/06(月) 23:33:29 ID:FlEPfxhI


 ポッポー ポッポー ポッポー


内宮神「あっ、お昼だ」

神様「犬ころ、声を上げるんじゃないぞ」

神使「?」


 ゴソゴソ ゴソゴソ


神使「(扉の前に誰か・・・)」


 よしっ!と。 今日は鯛の塩焼き! 我ながら完璧なのです!

 パンッ パンッ
 何の神様だかよく分からないけど今日も楽しく過ごせますように!

 タッ タッ タッ


内宮神「・・・・・・」コソッ

神様「行ったな」

734: 2016/06/06(月) 23:34:56 ID:FlEPfxhI


 ギィー


神様「うひょ~ 美味ちそ~!」


神使「今の声って、もしかしてA子ちゃんですか?」

内宮神「あぁ、こんな離れのちっぽけな社にも毎日食事を持ってきてくれるんだ」

神様「こんな所にまでお供えを持ってきてくれたのはA子ちゃんだけだ」


神使「A子ちゃん毎日こんな事をしてたんですか・・・ 全然知りませんでした」

神様「本当に良い子なんだよ」


神使「A子ちゃんもまさか最高神にお供えしているなんて思ってもいないでしょうね・・・」

内宮神「そんなの知る必要なんかないよ。 隅っこの可哀想な神にお裾分けくらいに思ってもらった方が気が楽だし」

735: 2016/06/06(月) 23:37:59 ID:FlEPfxhI

内宮神「さて、食べるかね」

神使「美味しそうですね・・・」

内宮神「残念だけど一人分しかないから犬ころは昼抜きな」


神使「あの、一口だけでも良いのですが・・・」

神様「しゃーねーな~ ちょっとだけだぞ?」ホレ

神使「いただきます」パクッ

内宮神「うまいだろ」

神使「良い塩加減ですね、最高に美味しいです」モグモグ

神様「神宮美食クラブ料理長だからな」パクパク


神使「A子ちゃんは、神様がここに居るって事は知らないんですよね」

内宮神「当たり前だよ」モグモグ

神使「不思議な子ですよね」

736: 2016/06/06(月) 23:39:59 ID:FlEPfxhI


 prrr prrr


神様「B夫から電話だ」゙


 ピィ


神様「もしもし~」

B夫『B夫』

神様「どした?」

B夫『メールの解析終わった』

神様「もう分かったの?」

B夫『メールは神宮法規室の参事が使ってる端末から送られてる』

神様「法規室?」

737: 2016/06/06(月) 23:41:28 ID:FlEPfxhI

B夫『そう、でもクッションとして使っただけ。 バレないように念を入れだけってやつ』

神様「そのメールを送らせたヤツって調べることは出来たりするの?」

B夫『次期大宮司、今は外宮の宮司か』

神様「あいつか・・・」

B夫『ちなみに、尻毛の数は――――』

神様「うん、それは興味ない」


B夫『それと神ちゃん、もしかして神宮に居る?』

神様「・・・・・・」

B夫『離れの小さいお社とか?』

神様「なんで知ってんだよ・・・」

B夫『携帯の電波で居場所が分かる』

738: 2016/06/06(月) 23:43:25 ID:FlEPfxhI

神様「もしかして、他のヤツも知ってるの? 特に次期大宮司とか」

B夫『言っていない。 ちょっと話がある、そっち行っても良い?』

神様「・・・・・・」

B夫『最高神の件について』

神様「!!」

B夫『誰にも気付かれないように行く、良い?』

神様「分かった、一時間以内に来れる?」

B夫『五分でいく』

神様「待ってる」

B夫『私あなたのことをいつまでも待ってるわ、って言って欲し―――』


 ピィ


神様「う~ん・・・ まずいかも」

神使「どうされたんですか?」

神様「予想以上に深刻な状態かもな~・・・」

740: 2016/06/08(水) 08:22:20 ID:c4sVeCts

―― 5分後


 ガサガサ


神使「誰か来たみたいですね」

神様「B夫かな?」


 トントン


内宮神「神聖な社に何用か? 合い言葉を述べよ」

 神ちゃんはお守りだけじゃなく御札も値段を割引して売ってい―――

 バン!


神様「だからなんでそんなことまで知ってんだよ!」

B夫「授与品在庫管理システムと売り上げ管理システム作ったのオレ」

神様「・・・どうぞお入り下さい」フカブカ

741: 2016/06/08(水) 08:24:52 ID:c4sVeCts

B夫「わっ、本当に神ちゃん双子だったんだ」

神様「あ~ まぁ双子とは違うんだけどそんな感じ」


B夫「すげー。 あっ、これ差し入れ」

神様「気が利くじゃ~ん なに、ケーキ?」パカッ

神様「・・・・・・」


神使「これって、猫神様が喫茶店で出していたケーキでは?」

神様「なんでお前が猫神のケーキ持ってるんだよ」

B夫「神宮に来てる。 語尾に無理矢理ニャを付ける変な女と一緒に」

神使「猫娘さんも・・・ どうして神宮に・・・」

B夫「さぁ?」

神様「・・・・・・」

742: 2016/06/08(水) 08:26:11 ID:c4sVeCts

B夫「で、早速なんだけど」

神様「あぁ」

B夫「最初に二人に謝っておく、ごめん」

神使「?」

神様「私達の行動を調べていた件か?」

神使「行動?」

神様「バレないはずの私の素晴らしい行いの数々が神宮に筒抜けになっていた件」

神使「そう言えば、減給がリアルタイムで行われていましたね」

B夫「神ちゃんの携帯を細工して音声と位置情報が把握できる様にした」

神様「やっぱりな~ 変だと思ったよ」

B夫「本当にごめん」

神様「そんなことは気にしてないから謝る必要は無い、B夫の仕事だったんだろ?」

B夫「ごめん」

743: 2016/06/08(水) 08:27:54 ID:c4sVeCts

神使「と言うことは、今もこの会話は筒抜けに・・・」

B夫「携帯変えたでしょ。 京都行く前に」

神様「あ~ 替えた。 見る? 私のかわゆい携帯」ゴソゴソ

神使「なるほど、携帯を変えたから盗聴できなくなったと・・・」

神様「ほら、良いでしょ。 かわゆくない?」ホレ

B夫「良い趣味。 オレと同じ」ホラ

神様「・・・・・・そう」


B夫「神宮アプリ入れてないよね、神ちゃんそれ正解」

神使「アプリ?」

B夫「全部筒抜けになる」

神使「そう言えば、神様入れませんでしたよね」

神様「お、おう。 知ってのことだ。 褒めよ」

744: 2016/06/08(水) 08:29:02 ID:c4sVeCts

神使「私のスマホには入っているんですが・・・」

B夫「神使氏の端末は傍受してない、でも念のため後で消す」

神使「どうも・・・」


神様「もしよかったら私達のことを調べるよう指示したのが誰か教えてくれると嬉しい」

B夫「次期大宮司」

神様「分かりやす~い」


神使「なんで、次期大宮司がそんなことを?」

B夫「たぶん神ちゃんに関係ありそうだから言う。 神法大改正を進めている」

神様「大改正!?」

B夫「神ちゃん十年前の改正の時にかなり反抗したでしょ」

神様「まぁ・・・」

745: 2016/06/08(水) 08:29:49 ID:c4sVeCts

B夫「つまり今回の改正は神ちゃんが邪魔って事。 しかもアイツら大改正って言ってるし」

神様「なるほどね~」

B夫「それで神ちゃんのボロをアイツら調べてる」

神使「でも、神様をこれ以上失墜させるほどの事なんかもう無いと思うのですが・・・」

神様「神使君さぁ、ちょっと余計な言葉が多いよね?」

神使「そうですか?」


B夫「最高神」

神使「最高神・・・? まさか!」

B夫「あいつら最高神に関して色々探ってる」

神様「・・・・・・」

746: 2016/06/08(水) 08:30:53 ID:c4sVeCts

B夫「少し前に神宮本殿を調べてた」

神使「神宮本殿は神でも立ち入りが禁止されている神聖な区域のはずでは?」

B夫「かなり特殊な検査装置で周りから調べたらしい。 オレが電源とネットの引き回しを担当したから間違いない」


神様「最高神の所在か・・・」

B夫「それしか考えられない」

神様「なるほどねぇ~」


神使「神様、どうなさるんですか?」

神様「取りあえず、アイツらの計画を聞いてからだな」

神使「次期大宮司にお会いになりますか?」

747: 2016/06/08(水) 08:32:10 ID:c4sVeCts

神様「B夫さぁ、お前これからかわゆい神ちゃんチームね」

B夫「それ面白いこと起こる?」

神様「あぁ、最高にエキサイチングでイカす出来事が待っている」

B夫「いいね、神ちゃんチームに鞍替え」

神様「よし、今日の夜に作戦会議だ」

神使「大丈夫ですか?」

神様「うひゃひゃ、楽しいぞ~」ニヤッ

神使「・・・・・・」


神様「さて、取りあえず次期大宮司と言っているけど絶対になれない残念なヤツの所へ行くか」

神使「次期大宮司の前でそんな呼び方しないで下さいよ?」

神様「B夫、夜に来てくれ」

B夫「OK」

749: 2016/06/10(金) 00:01:42 ID:RpNbpsl6


―― 外宮宮司室


 トントン
 どうぞ


神様「失礼~」

神使「失礼いたします」


次期宮司「これは神様、どうされましたか?」

神様「ん? お前に呼ばれたんだけど」

次期宮司「・・・はて、私は呼んでおりませんが?」

神様「そう? おかしいな~ 人違いだったかな?」

750: 2016/06/10(金) 00:03:32 ID:RpNbpsl6

神使「・・・内宮神様に呼ばれてきたのですが」

次期宮司「そうでしたか」


神様「そうそう、とっても立派な内宮神様に呼ばれたんだった」

次期宮司「私はお目にかかったことはないのですが、さぞご立派な女神様なのでしょうね」

神様「へぇ~ 内宮神が女だって知ってるんだ」

次期宮司「・・・・・・」


神様「お前、私を試そうとしているな? やめとけ、ボロが出るだけだぞ」

751: 2016/06/10(金) 00:04:34 ID:RpNbpsl6

次期宮司「先日、神宮本殿を調べさせてもらいました」

神様「ほぉ~」


神使「神宮本殿は神でも立ち入れない聖域だと思いますが」

次期宮司「様々な測定器を使って内部を調べただけだ。 踏み込んではいない」

神使「なんて罰当たりな・・・」


次期宮司「三神は言わば神宮の最高責任者だ。 宮司すらも見たことがないというのは変だろ?」

神使「知る必要があるのでしょうか?」

次期宮司「存在しない物を崇め奉るという時代じゃないんだよ」

神使「それは、人が勝手に―――」

次期宮司「だから、それを戻そうとしているんじゃないか」

神様「戻す?」

752: 2016/06/10(金) 00:05:51 ID:RpNbpsl6

次期宮司「はい、そのためには三神が本当に存在するのかを確認しなくてはならないのです」

神使「しかし、それが本殿を勝手に調べる理由にはならないのでは?」

次期宮司「三神は神宮の象徴。それが実は居ませんでした、ではマズいんだよ」

神様「まぁ一理あるな。 で? 三神は居たか?」

次期宮司「いいえ、天照大神様どころか最高神は一人も存在しませんでした」

神使「しかし、私は先ほど最高神様にお目にかかってきました」


次期宮司「そこの神様が最高神なんだろ? いや、最高神役か」

神様「・・・・・・」

次期宮司「ついでに、内宮神と外宮神も神様が役を演じていたってことも知っている」

神使「へぇ~ よく調べたじゃん」

753: 2016/06/10(金) 00:06:36 ID:RpNbpsl6

次期宮司「神宮宮司記録に神様の記載が見つかりましてね」

神使「神宮宮司記録?」

次期宮司「歴代の大宮司以外は見ることが禁止されている書物だ」

神様「おまえ、神宮の大宮司じゃないだろ」

次期宮司「神様が深入りするところではございませんよ?」

神様「・・・・・・」イラッ


次期宮司「大宮司様は入院しておられます。 私が代理で大宮司を執行しておりますので権限があります」

神様「大宮司が入院!? 聞いていないぞ!」

次期宮司「人の問題に神々のお手を煩わせるのも失礼ですので」

神様「・・・・・・」イラッ イラッ

754: 2016/06/10(金) 00:07:22 ID:RpNbpsl6

次期宮司「記録によると、神様は二百年ほど前に猫神様の紹介で神宮に来ていますな」

神使「二百年前・・・(神様が二つに分かれた時代ですか・・・)」

神様「何が言いたいんだ?」


次期宮司「神様は双子のようですな、いやびっくりしたよ」

神様「・・・・・・」

次期宮司「神様の片方を神宮三役として置く。 大宮司以外一切秘密とする、と書かれていました」


次期宮司「まさかとは思ったが、神様が神宮から離れてその存在が確証できました」

神使「もしかして・・・ それを調べるために神様を出向に!?」

次期宮司「考えすぎだ、神様は神宮で問題を起こしたから出向してもらったまでだ」

755: 2016/06/10(金) 00:07:59 ID:RpNbpsl6

神使「なんて卑怯なことを・・・」

次期宮司「卑怯? どっちがだ」

神使「どう言う意味です?」

次期宮司「神宮の最高神が、神力も使えないお飾りだったなんてことを知られたらどんなことになると思っているんだ?」

神使「神様になんて無礼な事を!」

神様「よせ、犬ころ」

次期宮司「しかし、神様!」

神様「黙ってろ」


神様「少なくとも私はこれでも神の端くれだ。 嘘偽り無く腹を割って話そう」

次期宮司「はい」

756: 2016/06/10(金) 00:08:51 ID:RpNbpsl6

神様「何が望みだ?」

次期宮司「先ほども申しましたが、神力が使えない神が最高神というのは神宮としての威厳に関わります」

神様「だから何だ」


次期宮司「ご存じかと思いますが、神社界も参拝者の減少が酷く立て直しが急務なんです」

神様「だから何だと聞いている!」


次期宮司「神様に最高神役を降りて頂き、私達が推薦する者を三神として迎え入れて頂きたい」

神様「そんなものを引き受ける神がいると思えないが? 神には上下はない」

次期宮司「私達が推薦する者を神へ上げて頂きたいと思います」


神使「まさか、神様の力を知っているんですか?」

次期宮司「過去の文献や言い伝えを徹底的に調べてようやくたどり着いた」

757: 2016/06/10(金) 00:10:58 ID:RpNbpsl6

神様「なるほど・・・ 確かに私は人を神にすることが出来る。 神宮主神は誰にするんだ?」

次期宮司「宮司会で決定することになると思います」

神様「お前なんだろ?」

次期宮司「さぁ、それは分かりかねますが」

神様「無理、お前を神にすることは絶対にないから」

次期宮司「・・・・・・」

神様「さらに言うと、私以外にこの役割をやらせるつもりは無い」


神様「犬ころ、帰るぞ」

次期宮司「二日後に、宮司会が開かれますのでそこで神法大改正を決議いたします」

神様「あ?」

次期宮司「よろしくお願いします、最高神様」

神様「・・・・・・」ムスッ プクー

神使「(神様、激おこですね・・・)」

760: 2016/06/12(日) 01:51:08 ID:i5s7HS9E


―― 神宮裏参道


神使「どうされるんですか?」

神様「・・・コーラ買ってくる! 適当にブラブラしてろ!」ズカズカ

神使「ちょ、神様・・・」ハァ


猫神「神ちゃん、ご機嫌ななめだね~」

神使「猫神様!? やっぱり神宮にいらしてたんですか」

猫神「うん、呼び出し受けちゃってさぁ~」

神使「先日はどうもありがとうございました」ペコッ

猫神「こっちこそ~」

神使「呼び出しというのは・・・」

猫神「ちょっとね~」

神使「・・・・・・」

761: 2016/06/12(日) 01:52:50 ID:i5s7HS9E

神使「やはり、神法大改正がらみですか?」

猫神「神使君は神ちゃんからどこまで聞いたの~?」

神使「神様が最高神で、二人いるところまでは伺いました」

猫神「そっか~・・・ ねぇ、少し時間ある~?」

神使「はい」


 テクテク


猫神「今から話すことはたぶん神ちゃんから絶対聞くこと出来ないだろうから、私から話すね~」

神使「そんなに話しにくいことなんですか?」

猫神「そうだね~ 正直私もどうしようか悩んだよ~ 誰にも話すなって言われてるし~」

神使「無理には伺いませんが・・・」

猫神「う~ん、でも神使君には知っておいてもらいたいかなぁ~って。 神ちゃん絶対自分のことは喋らないし~」

神使「・・・・・・」

762: 2016/06/12(日) 01:54:32 ID:i5s7HS9E

猫神「神ちゃんねぇ、千三百年位前に当時の偉い人から頼まれてある役を引き受けたんだよ」

神使「千三百年前!?」


猫神「神ちゃんが居る小さなお社ってねぇ、国を滅ぼす悪い龍が眠っているの~」

神使「はい?」

猫神「その龍が、出てこないように神ちゃんに封印してもらいたいって」


神使「そんな・・・ 迷信ですよね?」

猫神「もちろんそんな悪い龍とか居ないし、封印だとかそんなこと出来ないしね~」

神使「では、なぜ神様はそんな役を・・・」

猫神「当時の人たちにとってはもの凄い不安だったんだよ~ それこそこの国を揺るがしかねないくらい」

神使「・・・・・・」

763: 2016/06/12(日) 01:55:49 ID:i5s7HS9E

猫神「神ちゃんさぁ~ それが皆の願いだったら自分が氏ぬまでその願いを守るって約束したの」

神使「氏ぬまで・・・」


猫神「そんな神ちゃんに人は敬意を表して神宮を作ったんだよ」

神使「神宮は神様のために作られたんですか!?」

猫神「そうだね~ でも神ちゃんって、そう言うの嫌いだから神話を作ってね~」

神使「天照大神・・・」

猫神「そうそう、よく出来てるでしょ~」

764: 2016/06/12(日) 01:57:06 ID:i5s7HS9E

猫神「でも、神ちゃんも神を作らないといけないから仕事を両立させるのが大変だったんだ~」

神使「どちらも神様しか出来ない事ですよね」


猫神「神宮に入れない時間は、信頼の置ける巫女さんに神ちゃんの代理をしてもらってたんだけどね~」

神使「代理・・・」

猫神「しばらくは何とかまわってたんだけど、五百年前にバレちゃってさぁ~」

猫神「当時の神宮の大宮司がちょっと癖のある人でね? 巫女が天照大神様の代理などケシカラン! って」


猫神「その時代は神ちゃんの存在自体を皆は知らなかったし、架空の最高神がねじ曲がった存在になってたんだよね~」

神使「ねじ曲がった存在?」

猫神「人が最高神を見ること自体処刑の対象になるくらい神格化されて・・・」


神使「それじゃぁ、その巫女さんは・・・」

猫神「・・・・・・」

神使「まさか!」

765: 2016/06/12(日) 01:58:08 ID:i5s7HS9E

猫神「神ちゃん相当ショックだったみたいで・・・ 自分のせいだって、少し塞ぎ込んじゃったんだよね~」

神使「・・・・・・」


猫神「あの時の神ちゃん、凄く苦しそうだった。 笑顔も消えちゃって・・・」

神使「そんな神様なんて想像できません・・・」

猫神「全部自分の責任だって背負い込んで、社に籠もってひっそり最高神役を続けてたんだ~」

猫神「私と、仲の良かった昭宮神君と何度も神ちゃんの所に足を運んだんだけど・・・」

神使「・・・・・・」


猫神「そんな期間が二百年くらい続いてさぁ~」

神使「二百年も・・・」

766: 2016/06/12(日) 02:00:07 ID:i5s7HS9E

猫神「でね、ある日突然神ちゃんが二人になったの」

神使「その原因が分からないんですが、一体何がおこったんですか?」

猫神「分からないんだよね~ 神ちゃん自身も驚いてたくらいだし」


神使「原因不明ですか・・・」

猫神「そうだね~ でも神ちゃんが二つに分かれて問題が起ったの・・・ 神ちゃんの神力が使えなくなっちゃって・・・」

神使「その時に神様は神力ゼロに・・・」

猫神「う~ん、表現が難しいんだけどそんな感じかな~」

神使「・・・・・・」


猫神「それで、私が片割れの神ちゃんを見習い神として神宮に入れたんだ~」

神使「最高神の神様と、最低神の神様・・・」

猫神「そうだね~ それ以来少しずつ神ちゃんも元気になってくれてね~」

神使「そんな過去が神様にあったなんて・・・」

767: 2016/06/12(日) 02:01:29 ID:i5s7HS9E

猫神「もう、神ちゃんの苦しむ姿は絶対見たくなな~」

神使「お任せ下さい。 私が絶対にそんな事させません。 これでも神様の神使ですから」


猫神「神ちゃんってあんな性格だけど、他人の事ばっかり気にして自分の事は二の次で~」

猫神「何千年もそうやって・・・ 少し休ませてあげたいなぁ~って・・・」


神使「神様も先日猫神様の事をそう仰っていました」

猫神「神ちゃんが?」

神使「猫神様の願いを叶えて、少し休ませてやりたいって」

猫神「・・・・・・そう」フッ

768: 2016/06/12(日) 02:04:41 ID:i5s7HS9E

神使「これからどうなるんでしょうか・・・」

猫神「さぁ~ どうなるんだろうね~・・・」


神使「神様がどう出るか全く分かりません」

猫神「今回ばかりはね~ でも、何かあったら言ってね? どんなことでも協力するから~」

神使「最大級の神力をもつ猫神様が付いて下さるなら負ける気はしません!」


猫神「私は、猫娘ちゃんと近くのホテルにいるから何かあったら電話ちょうだいね?」

神使「神様にお会いにならなくてもよろしいのですか?」

猫神「やめとくよ~ たぶん神ちゃん私を巻き込まないようにするはずだし~」

神使「分かりました。 色々教えて頂いてありがとうございます」ペコリ

猫神「今の神ちゃんのお付きが神使君で本当によかった~」ニコッ

神使「・・・・・・」


猫神「それじゃぁ~」テクテク

769: 2016/06/12(日) 02:09:25 ID:i5s7HS9E

―― 離れのお社


 ギィー


神使「あれ? 神様、コーラを買いに行ったのでは?」

内宮神「あ? 私は千年以上前からここにいるぞ」

神使「あっ、すいません・・・・・・」

内宮神「・・・・・・」


神使「あの~」

内宮神「なんだ?」ムスッ

神使「何か怒ってらっしゃいます?」

内宮神「次期大宮司と話をしていた私とここにいる私は同じだ」

神使「そうでした・・・」

内宮神「・・・・・・」

神使「・・・・・・」

770: 2016/06/12(日) 02:10:35 ID:i5s7HS9E

内宮神「なぁ、犬ころ」

神使「はい」


内宮神「私は・・・ 必要だと思うか?」

神使「え?」

内宮神「もしかしたら、神という存在をこの時代は必要としていないんじゃないか?」

神使「・・・・・・」


内宮神「昔はさぁ、神なんかになりたいなんて思うヤツいなかったんだよ。 神にする者を探すが大変だった」

神使「神様?」

内宮神「神は権力者じゃない、人の上に立つような存在でもない。 神は・・・・・・」

771: 2016/06/12(日) 02:12:13 ID:i5s7HS9E

神使「神様はどうして居もしない悪い龍の封印のマネなんてしているんですか?」

内宮神「お前何でそれ知ってんだよ・・・ ま~た猫神か」ハァ

神使「はい、先ほどお会いいたしました」

内宮神「誰にも言うなっていったのに・・・」ムスッ


神使「どうして秘密になさるのですか?」

内宮神「・・・・・・」

神使「秘密にしているから皆勘違いすると思うのですが」

内宮神「・・・・・・」


神使「みんなが神の存在なんて知らないのに必要としていないって言うのは変だと思うのですが」

内宮神「やっぱ、お前最近遠慮なしに言うようになったよな」

神使「すいません・・・」

内宮神「謝ることじゃない」

神使「・・・・・・」

772: 2016/06/12(日) 02:13:09 ID:i5s7HS9E

内宮神「今からでも受入れてくれると思うか?」

神使「わかりません」

内宮神「そうだよな」フッ


 ギィー


神様「腐れ犬ころのくせに生意気」

神使「あっ、神様」


神様「でも・・・」

内宮神「一応礼は言っておく」


神様「ほら、奢りだ。 飲め」ポイッ

神使「おっと、ありがとうございます(トクターペッパー・・・)」

773: 2016/06/12(日) 02:14:21 ID:i5s7HS9E

B夫「何の話? オレも混ぜて」

神様「ひやーーっ!」ビクッ

B夫「神ちゃん驚きすぎ」


神様「いつから後ろ居たんだよ!」

B夫「神ちゃんがコーラとトクペを間違えて買って全部の自販機の釣り銭の所をゴソゴソして、その後少し涙を流しながら歩いていた位のと―――」

神様「アッチョー」ゲシッ

B夫「痛っ!」ガクン

神様「ほとんど最初からじゃねーかよ! それに泣いてねーし!」

774: 2016/06/12(日) 02:17:00 ID:i5s7HS9E


―― 外宮宮司室


次期宮司「では、よろしくお願いします。 正一位猫神様」

猫神「本当に神ちゃんには手を出さないんですね~?」

次期宮司「無論です」


猫神「・・・他に方法はないんですか~?」

次期宮司「ここまでこじれてしまった以上、修復は難しいと思います。 神社界もこのままでは維持できません」

猫神「・・・・・・」


次期宮司「二日後に開かれる宮司会の決定を神々代表として、正一位猫神様の名において神勅頂きたく思います」

猫神「・・・・・・」

次期宮司「どうぞよろしくお願いいたします」

776: 2016/06/14(火) 01:21:49 ID:Ki0Gjrog


―― 離れのお社


B夫「で、作戦プランは?」

神様「う~ん、宮司会の模様をテレビで生中継するとか!」

神使「そんなものを全国に流してどうされるんですか・・・」

神様「アイツらの黒い部分を一滴も残さずお茶の間にお届けする」

内宮神「どう?」

B夫「無理」

神使「私も無理だと思います」

777: 2016/06/14(火) 01:23:09 ID:Ki0Gjrog

B夫「宮司会は開催場所と時間がトップシークレット。 場所も分からないようじゃ中継のセッティングが出来ない」

神様「そうか~・・・」

神使「それにテレビだなんて・・・ なにか他の手を考えないと」


 ゴソゴソ
 ちょっと押しちゃダメだよ
 ごめんニャ


内宮神「!?」バッ

神使「扉の前に誰かいますね」

内宮神「誰だ!」


 バン!


A子「あっ、神ちゃん」

猫娘「ごめんなさい。ニャ!」

内宮神「A子ちゃん! 牡蠣娘!」

778: 2016/06/14(火) 01:23:46 ID:Ki0Gjrog

A子「いや~ 夜のお供えを持ってきたら中から神ちゃんと神使さんの声が聞こえたもんで」

神使「どうして猫娘さんまで・・・」

猫娘「A子さんに境内を案内してもらって見学してたんです。ニャ」

神様「もう夕飯の時間だったか・・・」


A子「わっ! 神ちゃんが二人いる!!」

神様「あ~・・・ うん」


神使「取りあえずお二人に入って頂いた方がよろしいかと」

内宮神「そうね。 二人とも入って」

779: 2016/06/14(火) 01:24:44 ID:Ki0Gjrog

A子「ごめんね神ちゃん、盗み聞きするつもり無かったんだけど・・・」

神様「私でも中から声が聞こえたら聞き耳立てるし、気にしないで」


A子「それより・・・」

内宮神「あ~」


A子「私の知ってる神ちゃんはどっち?」

神様・内宮神「はい」

A子「・・・・・・?」


神使「神様、お二方にはきちんとお話になった方がよろしいかと」

神様「うん。 実は・・・・・・」




780: 2016/06/14(火) 01:25:36 ID:Ki0Gjrog





A子「マジっすか!」

神様「黙っててゴメン!」

猫娘「びっくりしたニャ~ 神様が最高神だったなんて。ニャ」


A子「なるほど、私は神ちゃんに毎日お供えをしてたって事か」フム

神様・内宮神「タダ飯くらっててすいませんでした!」ドゲザ


A子「いや~ 最高神様にご飯を食べて頂けていたなんて光栄でございますよー」

神様「すいません・・・」

781: 2016/06/14(火) 01:26:30 ID:Ki0Gjrog

A子「それに、毎日最高神様と一緒にお守り売っていたなんて光栄でございますよー」

神様「ごめんA子ちゃん! そんな呼び方しないで! 普通に接して! お願い!」ドゲザ


A子「冗談だよ~ それよりその次期大宮司? ちょっとお仕置きしないとダメだね」

猫娘「猫神様もこっちに来てから頻繁に呼び出されています。ニャ」

神様「そうか・・・ それと猫娘さぁ」

猫娘「?」

神様「さすがに語尾にニャを付けるならそろそろ馴れようよ・・・」

B夫「いや、これかなりグレード高い。 その計算されたぎこちなさが世の男を引きつける。 策士?」

神様「B夫さぁ、気持ち悪い」ゲシッ ゲシッ

B夫「痛っ」

782: 2016/06/14(火) 01:27:36 ID:Ki0Gjrog

A子「あっ、そうだ。 これお供えのご飯なんだけど」コトッ

神様「おいちそ~ でも、他の人の分がない・・・」


神使「私コンビニで買ってきましょうか」

神様「お~ 犬ころ気が利くじゃん。 よろぴこ」

猫娘「私も一緒に行きます。ニャ」

神使「ありがとうございます。 では、行って参ります」


 スタスタ
 ギィー バタン

783: 2016/06/14(火) 01:31:41 ID:Ki0Gjrog

A子「ねぇ、その宮司会ってもしかして明後日のやつ?」

神様「そう」

B夫「場所と時間が分からないから手の打ちようがない」

A子「私、式次第持ってるよ?」ゴソゴソ

神様「え?」


A子「ほら」

B夫「どれどれ・・・ 間違いない。 宮司会の式次第。 時間場所、それにタイムスケジュールも書かれてる」

神様「どうしてA子ちゃんがこれを?」

A子「ん? 私、当日資料配りとかお茶入れの係だから」

B夫「ナイスA子ちん」

784: 2016/06/14(火) 01:32:27 ID:Ki0Gjrog

A子「あっ」

神様「どったの?」

A子「他の人に見せたり無くしたらクビって言われてた」

神様「私は人じゃないから大丈夫」

A子「そうだね、でもB夫さんは・・・」

B夫「オレ紳士だから」

A子「へ~ B夫さんって神使さんだったんだ。 んじゃ良いか」

神様「・・・・・・」

785: 2016/06/14(火) 01:33:42 ID:Ki0Gjrog

B夫「これは役に立つ。 場所は内宮迎賓館の特別会議室か」

神様「迎賓じゃないだろアイツら」


B夫「OK、明日中に会議室に中継用のカメラを設置する」

神様「でもテレビは無理なんだろ?」

B夫「ネット配信」

A子「ネット配信?」

B夫「ネコネコ生放送」

神様「ネコ生か!」


B夫「会場を事前に見たい」

神様「よし、これから一度見に行くか」

A子「この時間なら警備の人もいないしね」

神様「善は急げ、早速行ってみよう」

786: 2016/06/14(火) 01:34:24 ID:Ki0Gjrog


――― 十分後


 ギィー


神使「ただいま戻りました」

猫娘「ご飯買ってきました。ニャ」


神使「・・・・・・」

猫娘「誰もいないです。ニャ」

神使「あの三人が大人しく待っているわけ無いですよね・・・」ハァ

787: 2016/06/15(水) 01:58:17 ID:NTPKgKHM


――翌日(宮司会前日)


B夫「はい、これ内宮迎賓館に入ることが出来るセキュリティーカード」

神使「ありがとうございます」

A子「結局昨日はセキュリティーカードがなくて入れなかったしね~」


B夫「迎賓館の正面玄関には警備がいて入れないから勝手口から入る。 このカードで入れる」

神様「さすがB夫」


神使「このカードはどこで入手したんです?」

B夫「さっき作った。 セキュリティーカード作っているのオレだし」

神使「・・・・・・」

788: 2016/06/15(水) 01:59:14 ID:NTPKgKHM

B夫「問題は迎賓館に行くまでに、ここからだと一度内宮の社務所を通る必要があること」

神使「確かに・・・ バレますね」

A子「今日の夜から待機する?」

B夫「無理。 監視カメラに写り込む」


神様「あ~、トンネル使えば内宮本殿まで行ける」

神使「トンネル?」

神様「ここと内宮本殿、外宮本殿、神宮本殿は隠しトンネルで繋がってるんだ」

A子「すごい、そんなのあるんだ!」

神様「うん、バレずに行き来できるようになってるんだよ」

B夫「トンネル使って内宮本殿まで行けば見つからずに迎賓館まで行ける」

789: 2016/06/15(水) 02:00:19 ID:NTPKgKHM

神様「よし、んじゃ作戦の最終確認だ」

神使「すいません、私これから神使会がありまして・・・」

神様「は?」

神様「私も先ほど聞いたのですが・・・ たぶん宮司会に関する事かと」」


神様「まぁ、明日のことが少しでも分かるかも知れないしな。 行ってこい」

神使「はい、猫娘さんも行きますよ?」

猫娘「私もですか?ニャ」

神使「猫娘さんも建前上は最高位の神使ですから」

猫娘「ニャ」


神使「では、行って参ります」

猫娘「行ってきます。ニャ」


 スタスタ
 ギィー バタン

790: 2016/06/15(水) 02:01:20 ID:NTPKgKHM

A子「猫娘さんって可愛いよね~」

B夫「よく分かってらっしゃる」


A子「猫神様の神使さんなんでしょ?」

神様「あ~ あれは半分神で半分神使だから」

A子「猫娘さんて神なの?」

神様「うん、扱い上は神使だけど・・・ 猫神が後継者にするんだって」

A子「へぇ~ そうなんだ~」


神様「A子ちゃんも神になって私の後継者にならない?」

A子「ならな~い」

神様「・・・・・・そう」

791: 2016/06/15(水) 02:02:11 ID:NTPKgKHM


――― 一時間後


 ギィー


神使「ただいま戻りました」

猫娘「ニャ」


神様「あ~ どうだった?」

神使「少しまずい事に・・・」

A子「まずい?」


神使「明日の宮司会に神使代表で“でかでか大神宮”のうさ夫さんが出席する事に・・・」

神様「うさ夫?」

神使「はい、次期大宮司寄りの改革派筆頭です」

792: 2016/06/15(水) 02:03:43 ID:NTPKgKHM

神様「でかでか大神宮って言ったら猫神と、猫娘が前にいたところだな」

猫娘「はいニャ・・・」

神様「・・・なるほど、お前と猫神を追い出したやつか」

猫娘「・・・・・・」


神使「結構癖のある方でした。 申し訳ありません猫娘さん、嫌な思いをさせてしまって」

猫娘「大丈夫です・・・ ニャ」


神使「それと、宮司会の代表神として猫神様が決定したそうです」

神様「猫神が!?」

神使「はい」

793: 2016/06/15(水) 02:05:18 ID:NTPKgKHM

神様「まずいな・・・」

猫娘「猫神様じゃダメなんですか? ニャ」

神様「宮司会で決議された内容は、代表神が可決し神勅を出す」

神使「今回は猫神様が代表神という事ですよね」

A子「それじゃぁ、猫神様が嫌だって言えば終わりだね」

猫娘「そうニャ。 猫神様がそんな物可決するわけないニャ」


神様「いや、代表神には否決する権限はないんだよ」

神使「えっ?」

神様「それが神を支える宮司会の願いである以上、神は拒む事なんか出来ない」

794: 2016/06/15(水) 02:06:02 ID:NTPKgKHM

神使「そんな・・・ でも十年前の時は神様が否決したのでは?」

神様「あの時は代表神使が意見を保留にしたから審査神の私へ可否の権限が与えられた」

神使「では大改正の法案はこのままだと可決に・・・」


B夫「いいね、それ」

神使「どう言うことですか?」

B夫「宮司会の壊しがいがある」

神様「B夫もそう思う?」

B夫「もち」

神様「うひゃひゃ、燃えたぎって参りました!」メラメラ

神使「・・・・・・」

795: 2016/06/15(水) 02:07:16 ID:NTPKgKHM

A子「あれ? もう一人の神ちゃんは?」

神使「そう言えば、ちょくちょく居なくなっていますよね」


神様「あ~ 今は神宮本殿にいる。 お願い事リストを見に行ってるんだよ」

A子「へぇ、ちゃんと見てるんだ」

神様「当たり前さね、直接お願い事を聞く事は出来ないけどお願い事リストは用意されてるし」


神使「神様本当に人が好きなんですね・・・」

神様「・・・・・・」


 ゲシッ ゲシッ ゲシッ


神使「痛い! 痛いです・・・」

796: 2016/06/16(木) 00:37:00 ID:pqLpHb06


――― 宮司会当日


B夫「神ちゃん、ちゃんと台詞覚えてきた?」

神様「もち。 宮司会を混沌に陥れてやるよ。 ひっひっひっ」


神使「私、結局何も聞かされていないんですが・・・」

猫娘「私も作戦を聞いてないニャ」

神様「あ? 大丈夫だよ、このかわゆい神ちゃんの言うとおりに付いてくれば問題ない」

神使「それが一番不安なのですが・・・」


A子「じゃぁ、私は準備があるから先に行くね?」

神様「うん、会場で会おうね~」


B夫「猫さんは、オレと一緒に会議室隣の準備室ね」

猫娘「ニャ」

神様「よし、それじゃぁ行くぞ!」

797: 2016/06/16(木) 00:38:24 ID:pqLpHb06


――― 宮司会会場


次期大宮司「参拝者の減少による収入減の対策は一刻の猶予も残されていない」

出席者「その通り、神宮ですら厳しい財政。 地方の神社など崩壊寸前です」

次期宮司「今回提案する神法大改正は、その問題を一気に解決できる」


 ザワザワ


次期宮司「十年前の神法改正で廃案となった神の統制を神宮が直接行う条項を復活、神職・神使・神を一元管理する」

出席者「人が神を管理すると・・・?」

次期宮司「まさか。 神宮主神を最高位に置く事に変わりは無い」

出席者「では、今のままで問題ないのでは?」

次期宮司「今の神宮主神制度は過去に作られた神話が元になっている」


 ザワザワ


司会「ご静粛に」

798: 2016/06/16(木) 00:40:05 ID:pqLpHb06

出席者「まさか、天照大神様の事を言っているのですか?」

次期宮司「この中で最高神を見た者はいるか?」

出席者「最高神様は誰ともお会いにならないのでは」

次期宮司「そんなものいないんだよ。 神が人を操るために作った創作だ」

猫神「!?」


 ザワザワ  ザワザワ


司会「ご静粛に!」

次期宮司「私達は長きにわたり、居もしない神宮主神を奉ってきたのだ」

猫神「ちょっと待って下さい!」

次期宮司「猫神様? 今は宮司会の最中です。 神の発言は宮司会規律違反でございますよ?」

猫神「でも!」

799: 2016/06/16(木) 00:40:57 ID:pqLpHb06

次期宮司「では猫神様? 天照大神様は神宮に存在しますか?」

猫神「・・・・・・」


次期宮司「答えられないと?」

出席者「そんな・・・・・・」


 ザワザワ  ザワザワ


次期宮司「最高職となる神宮主神・内宮神・外宮神は今後、人・神使・神から選出しその職へ就くものとする」


 ザワザワ  ザワザワ


司会「ご静粛に!」

800: 2016/06/16(木) 00:42:02 ID:pqLpHb06

次期宮司「では、今提案した―――」

A子「お茶です」コトッ

次期宮司「・・・・・・あぁ。 では、今提案した神法大改正について皆の決を採る。 賛成の者は挙手を」


 スッ スッ スッ


次期宮司「神宮神職は賛成多数で可―――」

A子「赤福です」コトッ

次期宮司「・・・・・・君、下がっていろ」

A子「はい」スタスタ

801: 2016/06/16(木) 00:43:21 ID:pqLpHb06

次期宮司「あー、神宮神職は賛成多数で可決とする」

神使代表「神使会も賛―――」

A子「うわ~!」ズコッ

司会「・・・大丈夫かい? A子君」

A子「すんませ~ん」スタスタ


代表神使「・・・・・・神使会も賛成いたします」

次期宮司「うむ。 大宮司は入院中のため、代理として私が宮司会を代表し神法大改正を可決とする」

司会「では、本案を代表神・猫神様から神勅としてお出し頂きたく思います」

猫神「・・・・・・」


A子「猫神様、赤福でございます」コトッ

猫神「・・・・・・?」

司会「A子君・・・ 本当、邪魔だから」シッ シッ

A子「すんませ~ん」テクテク

司会「猫神様、神勅を」

802: 2016/06/16(木) 00:44:41 ID:pqLpHb06


 ちょっと待ったー!
 バンッ!


猫神「神ちゃん・・・?」

次期宮司「・・・・・・」チッ


神様「かわゆい神ちゃん登場! ドドン!」

 パッ パッ


神使「(なんでスポットライトがあるんですか・・・)」




――― 会議室隣・準備室


B夫「OK、決まった。 最高に古くてダサい登場、萌える」

猫娘「カメラで神ちゃんをアップで写すニャ」

B夫「神ちゃん台本通りにちゃんと出来るかな?」

803: 2016/06/16(木) 00:45:19 ID:pqLpHb06


――― 宮司会会場


猫神「神ちゃん、どうしてここに~?」

神様「よく耐えたな。 ご苦労だった、猫神」

猫神「・・・・・・」

神様「安心しろ、この改正案は絶対に潰す。 宮司会をグチャグチャにしてやる」ボソッ

猫神「神ちゃん・・・」


神様「よーし、お前達! このかわゆい神ちゃんが、お前らに一言もの申―――」

神使「皆さんにお聞きしたい事がございます」

神様「―― あ~ん?」

804: 2016/06/16(木) 00:46:44 ID:pqLpHb06

神使「皆さんは神の存在意義をどのようにお考えになられているんですか?」

次期宮司「何だ急に」

神様「そうだぞ、台本では私がこの後“ドーン! ドーン!”をやって会場を―――」

神使「懲罰は受けます」

神様「―――え? 懲罰? 私は受けないよ?」


神使「是非ご意見をお聞かせ頂けますでしょうか」

出席者「人の願いを聞き、それを叶えて下さるのが神の存在意義では?」

神使「では、神の願いは?」

出席者「?」

神使「あなた達は・・・ いえ私を含めて神々の存在を勘違していたようです」

次期宮司「何が言いたいんだ?」

805: 2016/06/16(木) 00:47:58 ID:pqLpHb06

神使「A子ちゃん」

A子「私?」

神使「A子ちゃんは神様とはどういうご関係ですか?」

A子「神ちゃん? う~ん・・・ 神ちゃんは友達」


神様「そう! 私とA子ちゃんは深い精神のところで繋がっ―――」

神使「先日、神様が昔は神も神使も人も区別はなかったと仰っておりました」

神様「――― あん?(言ったっけ?)」


出席者「何を世迷い言を。 神と人を同列に扱うなどそんなバチあた―――」

A子「赤福です」コトッ

出席者「――― あぁ。 ・・・冷たいお茶も頼む」

A子「ありません」スタスタ

出席者「・・・・・・」

806: 2016/06/16(木) 00:48:37 ID:pqLpHb06

神使「神々の皆さまは人の願いを聞き、それを叶えて下さいます」

次期宮司「当然だ」


神使「人はそれに対して何をするのでしょうか?」

出席者「神の住む社を維持し信仰を捧げることですかね」

神使「神様がそれをお望みに?」

出席者「信仰無くして神は存在できませんよ?」


神使「あなた達に信仰を感じないのですが」

出席者「なっ、何を無礼な! 最高位の神使だからって調子に乗りすぎですぞ」

神使「お気に召さないようでしたら、私の階位を剥奪して頂いて構いません」

出席者「言ったな! 忘れるんじゃないぞ!」

807: 2016/06/16(木) 00:50:00 ID:pqLpHb06

神使代表「ふっ」ニヤッ

神様「あっ、うさぎ野郎! お前、今笑ったな? うちの極悪邪道犬ころを笑っ―――」

神使「どうぞ、ご自由に。 神使の階位は皆さんに決定権がありますので、私は今日から最低位で結構です」

神様「―― え!? いいの? 給料下がるよ? 私を養えるの?」


神使「神様、少し黙っていて下さい」

神様「はい・・・」


神使「私、どうして神様が神力を無くしてまで二人に別れて外に出てきたのかがようやく分かりました」

神様「!?」

神使「きっと、友達が欲しかったんです。 人と接したかったんです。 ずっと一人で古い社に閉じこもって寂しかったんだと思うんです」

神様「・・・・・・」

神使「神様はとても優しいから・・・ 何千年も自分を犠牲にして皆さんのお願いを叶えて守ってきてくれたんです」

808: 2016/06/16(木) 00:50:46 ID:pqLpHb06

次期宮司「なにが言いたいんだ?」

神使「神様のお願いは私達が叶えてあげないといけないんです」

A子「人の願いは神が叶える、神の願いは人が叶える! だね」


神使「今回の神法大改正は逆の事をしようとしています」

次期宮司「何を訳の分からない事を、とっとと出て行け!」


神使「どうして今まで気付かなかったのか私自身腹立たしく思います。 神使失格ですね」


神使「神様? お願い事はございますか?」

神様「神使・・・ お前・・・」

809: 2016/06/16(木) 00:51:25 ID:pqLpHb06

神使「今、私の手の届く範囲で手を差し伸べなければならない方がいます」

神使「だから私はその方に全力で手を差し伸べたいと思います。 神力がない分どんな手を使ってでも」

神使「神様? 神様の願いを私に叶えさせて下さい」

神様「・・・・・・」


猫神「神ちゃん? 神ちゃんだってお願い事を聞いてもらう権利くらいあるんだよ~?」

神様「私は・・・ 私は・・・」


神様「ただ・・・ 人と神使と一緒に・・・ グスッ 遊んで・・・ 喋って・・・ 一緒にいたいよー!」ウエーン

神様「うえ~ん うえ~ん」

810: 2016/06/16(木) 00:52:22 ID:pqLpHb06

神使「神様・・・」ダキッ

神様「うえ~~ん うえ~~ん」ゲシッ ゲシッ

神使「!?(おかしい・・・ なぜこんな場面で神様は私を蹴っているんです?)」


神様「うえ~ん うえ~ん」ゲシッ ゲシッ

神使「あの・・・ 神様?」ボソッ

神様「台本とかなり違うが、まぁ良しとしよう」ボソッ

神使「!?(まさか、神様・・・ 演技!?)」


神様「うえ~ん うえ~ん」ゲシッ ゲシッ

次期宮司「何だ、この茶番は! こいつらをつまみ出せ!」

811: 2016/06/16(木) 00:53:07 ID:pqLpHb06


 トントン


巫女「会議中に失礼いたします」ペコッ

次期宮司「大事な会議中だ! 入るなと言っただろうが!」

巫女「それが・・・ 緊急でして・・・」オロオロ

次期宮司「緊急?」

巫女「この会議内容がライブ配信されているようで・・・」

次期宮司「ライブ配信!?」

巫女「その・・・ 世界中にインターネットを通して生放送されています」

次期宮司「!!」

巫女「電話がパンクする量の抗議と、各方面から呼び出しが・・・」

812: 2016/06/16(木) 00:53:38 ID:pqLpHb06

次期宮司「な・・・ 何を言って・・・ お前達か! お前達が仕組んだのか!!」

神様「うえ~ん うえ~ん」

神使「・・・・・・(どっちが悪者だか分からなくなってしまいました・・・)」


猫神「フフッ、さすが神ちゃ~ん」

神様「うえ~ん うえ~ん」ニヤッ

813: 2016/06/16(木) 00:54:28 ID:pqLpHb06


――― 会議室隣・準備室


 ドンドン
 こら! すぐココを開けろ!
 自分でやっていることが分かっているのか!!
 ドンドン


B夫「神が存在していたなんてニュース、これ大スクープ。 ネコ生のサーバー持つか?」

猫娘「この数字が見ている人の数ですか? ニャ」

B夫「そうそう、すげー数。 あっ、猫さん、神ちゃんの顔あまり写さないで。 ちょっとカメラ引きで」

猫娘「ニャ」


B夫「神ちゃん右手に持ってる目薬何とかしてくれないかな。 カメラワーク面倒い」

猫娘「さっきから、神使先生を蹴り続けてる。ニャ」

B夫「次期大宮司ゆでだこで怒ってるよ。 これはさすがに俺クビだな」

猫娘「大丈夫ニャ、ねこねこ島の神社で神職兼、喫茶店のウエイターとして席を空けて置くニャ」

B夫「いいね、それ。 田舎暮らし悪くない。 ホームページ作って通販やろう」

814: 2016/06/16(木) 00:55:04 ID:pqLpHb06

司会「次期大宮司様・・・ 宮司会は中止にした方がよろしいかと・・・」オロオロ


A子「赤福です」コトッ

次期宮司「もういらん! クソッ!」

815: 2016/06/16(木) 00:57:14 ID:pqLpHb06


―― 数日後・神宮


TV:司会者「先日神宮から配信されたと思われるネット配信はドラマ撮影であるとのことですが」

TV:コメンテーター「最高神役の女の子が目薬持ってましたからね。 リハか何かだったんでしょう」


B夫「やっぱ目薬画面に入り込んでたか」

神使「今回一番損をしたのはB夫さんですね・・・」

A子「まさかクビになるなんて」

神様「すいませんでした!」ドゲザ

B夫「もう辞めようと思ってた所だし。 覚悟の上。 最後に一波乱起こせたのはグー」

816: 2016/06/16(木) 00:57:52 ID:pqLpHb06

神様「なんなら神にでもなる? すぐ出来るし、空いてる神社とか紹介するけど」

B夫「やだ」

神様「痛くないって、すぐ終わるし。 ねぇ~ どう?」


神使「でも、B夫さん今後どうされるんですか?」

猫娘「ねこねこ島で一緒に働くんだニャ」

神様「猫神の所行くの?」

B夫「そう、ネット通販担当兼雑用」

神様「私も牡蠣島行きたい!」

神使「ねこねこ島です」

817: 2016/06/16(木) 00:59:54 ID:pqLpHb06

猫娘「B夫博士、よろしくニャ」

B夫「お任せ。 オレの知識を全て使ってねこねこ島をサイバー島にする」

神使「もう一度よく考えた方がよろしいのでは・・・」


A子「でも、これで問題解決だね!」

神使「次期大宮司も地方のお社の宮司として転勤になったようですし」

A子「よくクビにならなかったね~」

神使「神様が取り繕ったと聞いておりますが?」

神様「・・・・・・どこ情報だよ、それ」

B夫「オレ情報。 間違いは絶対に無い」

神様「・・・・・・」ギロッ

818: 2016/06/16(木) 01:00:28 ID:pqLpHb06

A子「神ちゃん優しいな~」

神様「神は常に人のためにある。 どんなヤツでも人を見放すような者は神としては終わりだ」


A子「神ちゃん格好いいね~ 尊敬するよ」

神様「そう? じゃぁその尊敬するかわゆい神ちゃんと同じ神にA子ちゃんもなってみない?」

A子「ならな~い」

神様「・・・・・・」

819: 2016/06/16(木) 01:01:25 ID:pqLpHb06

神使「さて、神様そろそろ行きましょうか」ヨイショ

神様「は? どこへ?」

神使「次の勤務先です」

神様「何言っちゃってんの? 問題は全て解決したでしょ?」


神使「神法大改正の件は解決しましたが、神様の出向は解かれておりませんので」

神様「はぁ!? 何でだよ!」

神使「三年にも及ぶお守りの値引き販売と、数々の問題行動は帳消しになっておりません」

神様「・・・・・・」

820: 2016/06/16(木) 01:02:03 ID:pqLpHb06

A子「神ちゃんまた出かけるんだ」

猫娘「次はどんな辺境の地ですか?ニャ」

神様「・・・ちなみに何処?」

神使「着いてからのお楽しみです。 あっ、もちろん移動は鈍行電車ですから」

神様「嫌だ! ここに残る!」

A子「大丈夫だよ、内宮神ちゃんも居るし神ちゃんは地方に行ってきな」

内宮神「A子ちゃん? かわゆい内宮神ちゃんもかわゆい神ちゃんも同じだから・・・」


神使「ワガママ言っていないで行きますよ?!」ガシッ

神様「嫌だ! 放~せ~よ~!!」ズルズル

821: 2016/06/16(木) 01:04:16 ID:pqLpHb06


 放せよ~
 ダダこねないで下さい、神様


昭宮神「神様元気ですね」

猫神「あっ、昭宮神君~ 神宮に来てたの~?」

昭宮神「マイワイフにもしもの事があったら困りますから」

猫神「ふふっ、今回は大丈夫だったみたいだね~」


昭宮神「神様があんなに元気になってくれたなんて・・・ 私達が神様を元気づけていた二百年間って何だったんでしょう・・・」

猫神「本当~ あの子達に任せておけば大丈夫そうだね」

昭宮神「不思議ですね」

猫神「私達もそろそろ引退だね~ 次はあの子達の時代」

昭宮神「楽しい時代になりそうですね」

猫神「神ちゃんが楽しそう時は良い時代になるからね~」

822: 2016/06/16(木) 01:05:10 ID:pqLpHb06


 ズルズル


神様「あっ! 猫神じゃん!! お願い助けて~!!」ズルズル

猫神「頑張ってお勤め果たしてきてね~」

神様「薄情者! 隣のストーカーでもいいや、助けてくれー」ズルズル

昭宮神「お達者で!」

神様「てめぇ! 覚えてろよ! 次会ったら全力で蹴り飛ばしてやるからなー!!」ズルズル


神使「ほら、神様ダダこねてないで行きますよ」

神様「助けて~!!!」





神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#6 ―END

823: 2016/06/16(木) 01:06:46 ID:pqLpHb06


――― とある田舎町


役場職員「何故こんな田舎に・・・」

村長「昨日、急に連絡があって」

役場職員「まさかバレたんじゃ・・・」

村長「バレるわけ無いだろ。 最近変なことも続いてるし・・・ それを調べるんじゃないか?」


 スタスタ


神使「あの~、すいませんが・・・」

役場職員「はい、どうされました?」

神使「ここって、こわこわ神社で間違いないでしょうか?」

村長「そうですが・・・ どちら様で?」

824: 2016/06/16(木) 01:07:28 ID:pqLpHb06

神使「申し遅れました。 私、神宮から参りました神使と申します」

役場職員「神宮・・・ こちらのお嬢ちゃんは?」



神様「神様だ!」

神使「神力ゼロですが・・・」





神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」END

825: 2016/06/16(木) 01:09:18 ID:pqLpHb06

ダラダラと長く書いてしまいました
またどこかで!

826: 2016/06/16(木) 01:19:09 ID:YiRc4.2c

引用: 神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」