922: 2016/07/31(日) 18:29:24 ID:fk.qfhc2

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」

――― 車内


 ガタンガタン


神様「あっ 海が見えるね・・・」

神使「砂浜が白くてとても綺麗ですよね」


神様「左側には山が広がってるね・・・」

神使「海の青と、山の緑。 とても美しいです」


神様「でも人がいないね・・・ 民家もさっきからないしね・・・」

神使「電車の中も私たちしかいませんね」ハハッ


神様「だからこんな田舎に来て何すんだよ! 腐れ犬ころ!!」ゲシッ


 ファーン
 ガタンガタン
江戸前エルフ(9) (少年マガジンエッジコミックス)
923: 2016/07/31(日) 18:29:57 ID:fk.qfhc2


~あらすじ~


神様「かわゆい神ちゃん」

神使(訳)「ダメ神です」

924: 2016/07/31(日) 18:31:08 ID:fk.qfhc2

【#8】


 プシュー


神使「神様、ホーム少し低いので気をつけて降りて下さい」

神様「ん」

神使「空気が美味しいですね」


神様「神使君さぁ、ここどこ?」

神使「ホームに駅名書いてませんか?」

神様「あ? 錆びてて読めねーよ」

神使「神使です」

神様「はい?」

神使「その・・・ 神使駅です」

神様「え? なにそれ」

神使「実家の・・・ 神使家の別荘がありまして・・・」

925: 2016/07/31(日) 18:32:51 ID:fk.qfhc2

神様「もしかして、この駅って・・・ 神使家専用?」

神使「他に民家はありませんのでそうなりますね」

神様「そう・・・」

神使「あの山の上に家があります」


神様「神使君ってお金持ちのお坊ちゃま?」

神使「先祖から継いだだけですので」

神様「別荘って、誰かいるの?」

神使「私の妹がいます」

神様「は? お前の妹!?」

神使「はい。 普段は別の場所にいるんですが今日は神様をお連れすると言ったらこちらにと」

神様「はへ~」


神使「さて、では行きましょうか」

神様「あ、うん・・・」

927: 2016/07/31(日) 18:36:58 ID:fk.qfhc2

 スタスタ


神様「でも、なんでお前ん家の別荘なんかに行くんだよ」

神使「夏休みです」

神様「え?」


神使「本日から1週間私たち夏休みとなります」

神様「うそ!」

神使「ですのでアルバイトをしようかと思いまして」

神様「お前の家で?」

神使「妹の手伝いですが」


神様「ちょっと待って、夏休みなのになんでアルバイトするの?」

神使「生活費が足りません」

神様「やだ! 夏休み遊びたい!」

928: 2016/07/31(日) 18:37:55 ID:fk.qfhc2

神使「遊ぶお金あるんですか?」

神様「うっ」


神使「財布にいくら入っているんです?」

神様「・・・・・・」ジャラジャラ

神使「730円ですか」

神様「ぎ、銀行に行けば!」

神使「貯金が601円ありますね」

神様「・・・・・・」


神使「1週間私と神様で頑張ればバイト料を弾んでくれるそうです」

神様「あ~ 私の夏休みが・・・」


 トテトテ

932: 2016/07/31(日) 23:20:38 ID:fk.qfhc2

――― 神使家・別荘


神様「はぁっっっあ!?」

神使「どうされたんですか、大声なんて出して」

神様「家デカすぎだろ! それに神社建築じゃねぇかよ! お前の妹何者だよ!」

神使「妹は会社を経営しておりまして」

神様「まじかよ」


 ピンポン♪
 はい~


神使「私です」


 あっ お兄ちゃん? どうぞ~
 ギー


神使「どうぞ、神様」

神様「お、おう」

933: 2016/07/31(日) 23:22:10 ID:fk.qfhc2

 スタスタ


妹「お兄ちゃん久しぶり~」

神使「元気でしたか?」

妹「うん」


神使「紹介します。 こちら私の主神で神様です」

神様「はじめまして、神様と申します」ペコリ

妹「お初にお目にかかります。 神使の妹と申します。 このような場所まで足をお運び頂きありがとうございます」フカブカ

神様「あっ、そんな畏まらないで下さい」

神使「どうされたんですか神様、随分よそよそしいじゃないですか」

神様「いや、なんとなく」


妹「どうぞ、お上がり下さい」

神使「さっ、神様どうぞ」

神様「はい。 お邪魔します」

934: 2016/07/31(日) 23:23:53 ID:fk.qfhc2

――― 応接室


妹「ご連絡いただければお迎えに上がりましたのに申し訳けございません」

神様「いえ、気にしないで下さい」


神使「妹さん、神様は堅苦しいのが苦手なので気軽に接して下さい」

妹「でも・・・ 神宮の神さまなのに失礼じゃ・・・」


神様「畏まられるのは苦手ですのでフレンドリーに接してあげて下さい」

神使「神様も、いつも通りでよろしいんですよ?」

神様「そ、そうだな。 うん」


妹「分かった、よろしくお願いします。 神様」ペコッ

神様「よ、よろぴこ」

935: 2016/07/31(日) 23:25:23 ID:fk.qfhc2

神様「そういえば、妹ちゃんは社長って聞いたけど」

神使「はい、お守りやおみくじなどを作って神社に卸しています」

神様「え? あれって神使家が作ってたの?」

神使「神使家と言うより妹の会社ですが」

神様「はぁ~ ビックリした! あれどこで作ってんのかと思ってたんだよ」

神使「あまり大っぴらに言うことでもありませんので」


神様「犬ころ・・・ いや神使君の妹と言うことはやっぱ狛犬なんでしょ?」

妹「はい、一応神使籍に入っています」

神様「だれの神使なの?」


妹「・・・神様機構の長官さんです」

神様「あ~・・・ そうなんだ」フム

妹「・・・・・・」

936: 2016/07/31(日) 23:26:36 ID:fk.qfhc2

神使「神様、疲れたでしょうし少し横になりますか?」

神様「いや、バイトすんだろ?」

神使「大丈夫ですか? 結構疲れますけど」

神様「ところで何のバイトなの?」

神使「おみくじを折る作業です」

神様「え? おみくじ?」

妹「はい、一枚一枚手で折ります」

神様「面倒くさ」

神使「機械で作業しているところもあるようですが、妹の所では基本手作業なんです」

神様「そうなんだ~ んじゃ早速始めますかね」


妹「でもお兄ちゃん、本当に神様にそんな作業をさせても良いの?」

神使「気にしないで下さい、神様はこういう事をするのが好きで慣れているので」

神様「そうそう、神宮では巫女の仕事しかさせてもらえてないし。 はははっ」ズーン

妹「で、では作業場へご案内します」

937: 2016/07/31(日) 23:27:28 ID:fk.qfhc2

 ガチャ


妹「こちらのお部屋をお使い下さい」

神様「!!」

神使「良い部屋ですね。 外の眺めが素晴らしいです」

神様「は~ 海一望できるじゃん! すげー」

妹「疲れたら海に行って息抜きでもして下さい」

神様「もしかして、あのビーチって・・・」

妹「神使家しか入れませんので貸し切りです」


神様「妹ちゃん、私と結婚しない? 嫁がせて?」

妹「え?」

神使「なに言っているんですか・・・ 作業始めますよ」

妹「ふふっ、じゃぁ何かあったら言ってねお兄ちゃん。 よろしくお願いします神様」ペコリ


 ギィー ガチャ

938: 2016/07/31(日) 23:28:12 ID:fk.qfhc2

神様「お前の妹、良い子だな」

神使「ありがとうございます」


神様「とても清楚で良家の箱入り娘って感じ」

神使「あまり褒めないで下さい。 ああ見えてすぐに調子に乗りますから・・・」

神様「ふ~ん、で、折り折りするおみくじは?」

神使「あの箱です」

神様「・・・結構あるね」


神使「この時期は注文が特に多いようですので」

神様「まぁ夏休みで参拝客多いしな・・・」

939: 2016/07/31(日) 23:29:34 ID:fk.qfhc2

――― 1時間後


神様「飽きた」

神使「え? まだ1時間ですよ?」


神様「外、良い天気だな~ 海水浴とか気持ちいいだろうな~」

神使「…海行きますか?」

神様「ん~ でも今から行っても時間も半端だよなぁ~」


神使「神様今日はお昼寝されてませんから、少しお休みになります?」

神様「まだいっぱいあるし・・・ 続ける」オリオリ

940: 2016/07/31(日) 23:30:18 ID:fk.qfhc2

――― 夕方


 コンコン


神使「はい」

妹「どう? お兄ちゃん」

神使「久しぶりなので少し疲れますね」


妹「神様は?」

神使「そちらに・・・」

妹「?」


神様「ちかれた~」グテッ

妹「ふふっ、夕飯にしましょうか」

神使「そうですね」

妹「お兄ちゃんから神様の好物を聞きましたので沢山ご用意いたしました」

神様「!?」バッ

941: 2016/07/31(日) 23:31:03 ID:fk.qfhc2

神様「うひょ~ 貝づくし! 牡蠣もあるじゃん」

神使「豪勢ですね」

妹「沢山働いてもらわないといけませんからね」

神様「残さず全部食い尽くしてやる!」フンスッ


一同「いただきます!」


神様「うまい!!」パクパク

妹「どんどん食べて下さい」

神様「どんどん食べる」モグモグ

942: 2016/07/31(日) 23:31:47 ID:fk.qfhc2

神様「でもさぁ~ 結構大変だよね、あれ」

神使「慣れないと大変ですよね」

神様「200枚しか折れなかった」

神使「もう少し頑張って下さい・・・」


神様「機械使って大量生産した方が良いんじゃない?」

妹「確かにその方が楽なんですが・・・」

神様「なにか理由があるの?」


妹「一枚一枚心を込めて折ったおみくじと、機械で折ったおみくじってなんか違うと思うんです」

神様「・・・・・・」

妹「神社にお納めしたおみくじに神さまが神力をお授けになって・・・」

妹「その後参拝者の方が手にする物ですので、作り手もきちんとしたいと思いまして」


神様「ごめん」

妹「え!?」

943: 2016/07/31(日) 23:32:27 ID:fk.qfhc2

神様「さっき私が折ったおみくじ、買い取る」

神使「神様いきなりどうされたんですか?」


神様「私、心込めて折ってない」

妹「そんな、気になさらないで下さい」オロオロ

神様「ダメ、1枚いくら?」

妹「卸値は1枚2円ですからそんな気になさらずに」

神様「1枚2円!? そんなに安いの?」

妹「ですから、お気になさらずに」


神様「・・・・・・明日がんばります」シュン

神使「神様、そんなに気にする必要ございませんよ?」

神様「・・・うん」

944: 2016/07/31(日) 23:33:32 ID:fk.qfhc2

妹「あっ、そうだ! 神様は和室と洋室どちらが良いですか?」

神様「ん?」

妹「寝室をご用意いたしますので」


神様「あ~、私こいつ・・・ 神使君と一緒で」

妹「お兄ちゃんと?」

神使「主神とお付きの神使は、同行中一緒にいないといけない決まりがあるんですよ」

妹「あ~ そうだったね」


神使「神様は恐ろしいほど寝相が悪いので和室にして下さい」

妹「寝相?」

神使「ベッドなんかで寝たら5分以内に転がり落ちます」

神使「落ちねーよ! でも、念のため和室でお願いします」

945: 2016/07/31(日) 23:34:23 ID:fk.qfhc2

――― 寝室


妹「こちらが寝室です」

神様「・・・・・・すげー」


神使「あれ、畳張り替えたんですか?」

妹「うん、神様がお泊まりになるんだもん」

神使「わざわざありがとうございます」


妹「洗面所は突き当たりです。 ではお休みなさい、神様」

神様「おやすみ~」


妹「お兄ちゃんも、おやすみ」

神使「おやすみなさい」


 ギィー バタン

946: 2016/07/31(日) 23:36:12 ID:fk.qfhc2

神様「寝るだけなのに広すぎだろ。 なんだよこの部屋は」

神使「すいません、神様は寝室が広いと緊張しちゃいますよね」

神様「お前、相変わらず刺々しいな」

神使「そうでしょうか?」


神様「まぁいいや」ポイポイ

神使「・・・・・・」

神様「うるせーよ、良いだろ下着姿でも!」ゲシッ

神使「何も言っていないのですが・・・」


神様「あっ、寝る前にお花もりもり摘んでくる」スタスタ

神使「ちょっと神様、さすがにその格好では!」


 ギィー バタン

947: 2016/08/01(月) 18:38:25 ID:z7QyLviE


 ジャァー

神様「なんでトイレが神宮の私の部屋よりデカいんだよ・・・」


 スタスタ


神様「あれ? 部屋ここだっけ?」


 ギィー


妹「あっ、神様どうされました?」

神様「妹ちゃん、ごめん部屋間違えた」

妹「神様その格好!? もしかして浴衣気に入りませんでしたか?」

神様「あ~ 私寝るときいつもコレだから」

妹「・・・そ、そうでなんですか」

948: 2016/08/01(月) 18:39:23 ID:z7QyLviE

神様「何やってんの?」

妹「えぇ、急に神宮からおみくじの追加が来たので」

神様「神宮から? 夜だよ?」


妹「はい、明後日までに6000枚入れて欲しいと」

神様「ストックの確認すらまともにできないのかよ・・・ 発注者って誰?」

妹「えぇと~ 巫女のA子さんという方から御発注書を頂いております」


神様「A子ちゃん・・・」

949: 2016/08/01(月) 18:40:17 ID:z7QyLviE

神様「・・・・・・」


妹「神様?」

神様「手伝う」

妹「え? そんな大丈夫です」

神様「お願い、手伝わせて」

妹「でも」


神様「ちゃんと心込めて折るから! お願い!」

妹「では、お願いします」ニコッ


神様「・・・・・・」オリオリ

妹「・・・・・・」オリオリ

950: 2016/08/01(月) 18:41:06 ID:z7QyLviE

――― 翌日・朝


 チュンチュン


神様「これで最後!」オリオリ

妹「お疲れ様でした」


神様「いや~ 久しぶりに本気で仕事したよ」フー

妹「ありがとうございます。 朝一の宅急便で送れそうです」

神様「よかった」


妹「何かお飲みになりますか?」

神様「コーラある? 炭酸系」

妹「ありますよ」


 スタスタ

951: 2016/08/01(月) 18:41:56 ID:z7QyLviE

妹「はい、キンキンに冷えたコーラです」コトッ

神様「ひょ~ 仕事の後のコーラは格別なのよ」グビグビ

妹「いっぱいありますから好きなだけ飲んで下さいね」


神様「ぷは~ うまい!」ゲップ

妹「ふふっ」

神様「あっ、ごめん。 はしたなかった・・・」

妹「気にしないで下さい」

神様「いつも神使に、はしたないからやめて下さい!って怒られてるんだよ」

妹「お兄ちゃんらしいなぁ。 いつも兄がお世話になってます」ペコッ

神様「いやいや、世話になってるのはこっちだし・・・」

神様「私、ダメ神で神階も低いから迷惑かけっぱなしで」

妹「お兄ちゃん神様のことすごく尊敬しているみたいですよ?」

952: 2016/08/01(月) 18:44:25 ID:z7QyLviE

神様「あ~ それ社交辞令だよ」

妹「そんなことないと思いますよ? あんなに楽しそうなお兄ちゃん見たの久しぶりだもん」

神様「そぉ? いつもと変わんないけど」

妹「じゃぁ、神様といるときはいつも楽しいんだと思います」

神様「あいつもこんなに良い家柄の息子なんだから、もっと神階が高い神の神使になれば良いのに」

妹「・・・・・・」


神様「どったの?」

妹「お兄ちゃん神様の神使になる前は、すごく位の高い神の神使だったんです」

神様「そうなの? 私あんまり神使君の過去聞いてないから」

妹「ならなら神社の主神さまだったと思います」

神様「あ~ 鹿の宮神だっけ。 アイツってそんなに神階高いんだ」

妹「はい、鹿の宮神様は正一位です。 お兄ちゃんは第二神使でした」

神様「ふ~ん」

妹「色々と大変だったみたいですが・・・」

953: 2016/08/01(月) 18:47:11 ID:z7QyLviE

神様「あそこも大きいからね~ しがらみも多いだろうなぁ~ あいつの苦労はなんとなく分かるわ」

妹「え?」


神様「神使の中でも優秀で名高い狛犬、しかもあいつは最高位だし良家出身となれば嫉妬もすごかっただろう」

妹「毎日つらかったと思います」

神様「妹ちゃんもでしょ?」

妹「・・・・・・」

神様「神様機構長官の神使だって聞いたから」

妹「長官はとても良い方です」

神様「まぁアイツは根っからの良い子ちゃんだしね。 でもね? 私の給減承認にポンポン判を押してるから。 だまされちゃダメ」

妹「減給?」

神様「お守りを三年間値引き販売したの。 あと賄賂とご神体紛失と・・・ それから~」

妹「それは・・・ 長官が正しいかと・・・」

神様「うん、そうね・・・ 自分で言っててそう思った」シュン

954: 2016/08/01(月) 18:48:29 ID:z7QyLviE

 コンコン
 ガチャッ


神使「神様ここにいたんですか」

神様「ん? あぁ」

神使「昨日はずっと戻ってこないので廊下で寝てしまったのかと思いました」

神様「そんなとこで寝ねーよ」


神使「うわっ、何ですか? このおみくじの山は」

妹「昨日の夜に急に発注が入って」

神使「妹さん、まさか神様を朝まで付き合わせたんですか?」

妹「ごめんなさい」シュン

神様「神宮から明後日までに6000枚納品しろって言われたんだよ」

神使「神宮がそんな急におみくじの発注をかけるなんて考えられないですが」

神様「A子ちゃんからの発注」

神使「あぁ・・・ なるほど。 発注を忘れていたんですね・・・ でも6000枚なんて間に合うんですか?」

955: 2016/08/01(月) 18:49:19 ID:z7QyLviE

妹「神様にお手伝いしてもらって全部終わったから大丈夫だよ」

神使「神様、徹夜で作業なさったんでしたら少しお休みになりますか?」

神様「ん~ お昼まで寝ようかな」


妹「では、折角ですし午後は海で遊んだらいかがです?」

神様「でも、おみくじ折り折りしないと」

妹「今日お願いする予定だった分は神宮の分に回してしまいましたので」

神様「あ~」


神使「では、今日はゆっくり夏休みを満喫しましょうか」

神様「よし! そういうことなら寝る! 神使、絶対お昼に起こせよ」

神使「はいはい、お休みなさい」

神様「んじゃ、おやちゅみ~」スタスタ


 ガチャ

956: 2016/08/01(月) 18:50:16 ID:z7QyLviE

妹「神様って素敵な方だね」

神様「はい、自慢の主神さまです」


妹「うん、そうだね」ニコッ

神使「・・・・・・」

959: 2016/08/01(月) 23:18:10 ID:z7QyLviE
>>958
こんな感じ?

神宮はあくまでも宗教団体の一つという位置づけで、国とか関係なし。
神様機構、神使協会、神職協会があって3団体で神宮や全国の社を管理運営。


●神宮
頂点に神宮主神(最高神)、管理者として大宮司。
建物が内宮(内宮神)と外宮(外宮神)に分かれていて、管理者として内宮宮司、外宮宮司。
・内宮神(外宮神)直轄で、神宮付きの神が何人かいる。
・内宮宮司(外宮宮司)直轄で、神職と巫女、神宮付きの神使がいる。


神宮に関してはこんなレベル。
組織図張れば簡単なんですけどね……

960: 2016/08/01(月) 23:20:38 ID:z7QyLviE

――― 昼・神使家ビーチ


神様「良いね! 海!」

神使「天気も良いですし、絶好の海水浴日和ですね」

神様「よし! それじゃぁ早速」ポイ ポイ ポイ

神使「ちょっと神様! なに素っ裸になってるんですか!」

神様「あ? ほかに誰もいないんだろ」

神使「私がいます! 妹だっているんですから」

妹「・・・///」

神様「だって水着ないもん」

神使「だからって素っ裸にならなくても・・・ Tシャツと短パンで良いじゃないですか」

神様「え~ そんなの着てたら動きにくいじゃん」

神使「幼稚園児でも人前で裸なんかで泳がないですよ?」

神様「なんだよそれ! 私は幼稚園児以下って言いたいのかよ!」

神使「・・・・・・」

961: 2016/08/01(月) 23:22:18 ID:z7QyLviE

神様「いや~ん 犬ころが私の豊満な体を視姦する~」

神使「・・・神様の裸を見ても全くそのような気は起こりませんが」

神様「てめぇ! 今“神様ってつるペタ幼児体型なんですね”って思ってんだろ!」


神使「妹さん、神様に何か着るものを用意して下さい」

妹「一応、神用の水着を用意したんだけど」

神様「そんなのあるの? 初耳」

妹「はい、神宮から取り寄せまして」ゴソゴソ


神使「これは、磯着ですか?」

神様「じぇじぇじぇ!」

962: 2016/08/01(月) 23:24:31 ID:z7QyLviE

神様「は~ 気持ち良い~」プカプカ

神使「神様、泳げないんですね・・・」スイスイ

神様「浮き輪にのって他のヤツに引っ張らせてプカプカするのが良いの!」

神使「はいはい」スイスイ


神様「お前、泳ぐのうまいな。 それに犬掻きじゃないんだな」

神使「まぁ・・・ さすがに人の姿の時は・・・」スイスイ

神様「もっと沖に行こうぜ」

神使「ダメです」


神様「この格好で潜ったら牡蠣採れるかなぁ」

神使「採れるわけないじゃないですか、下は砂ですよ?」

神様「じぇじぇ!」

神使「神様ってあまっちゃん見てましたっけ?」

神様「ん? 見たことない」

神使「そうですか・・・」

963: 2016/08/01(月) 23:25:25 ID:z7QyLviE

神様「妹ちゃんは遊ばないのか?」

神使「結構仕事がたまっているそうですので」

神様「ふ~ん 大変だな」

神使「仕事ですし、好きでやっていることですからお構いなく」


神様「なぁ」

神使「これ以上沖へは行きませんよ?」

神様「ちげーよ! ・・・妹のこと話せよ」

神使「はい?」

神様「なにかあるんだろ?」

神使「・・・・・・」

神様「お前、私が何年生きてると思ってんだよ。 訳ありな事くらいすぐ分かるわ」

神使「しかし・・・」

神様「気になるんだよ!」

964: 2016/08/01(月) 23:27:50 ID:z7QyLviE

神使「・・・妹は数年前までお社の主神様に仕える神使だったんです」

神様「へぇ~ 誰に仕えてたの?」

神使「くろがね大神宮の第二神使です」

神様「くろがね・・・か」


神使「私が言うのも何ですが、妹はとても素晴らしい神使です」

神様「だろうな。 私も枠があったら妹を神使に付けたいくらだ」

神使「自慢の妹です。 私よりも先に神使の最高位を取得したんですよ?」

神様「お前より先にか!? それは凄いな・・・」

神使「今は階位が下がって第二階位ですが、出仕時代はどっちが先に神宮の神へお仕えできるか競争していましたね」

神様「神宮の神?」

神使「神宮の神にお仕えするのは、私たちの憧れでしたから」

神様「ふ~ん、お前夢かなってんじゃん。 仕えてんの最低神のダメ神のだけど・・・」

神使「そうですね、私の夢は叶いました。 しかも尊敬できる最高神さまですから。 これ以上は望めませんね」

神様「ん・・・・・・///」

965: 2016/08/01(月) 23:30:29 ID:z7QyLviE

神使「でも・・・ 本来ならば、神様の横にいるのは私でなく妹だったと思います」

神様「えっ?」

神使「妹は神宮所属の主神付き神使として私より前に内定を頂いていました」

神様「・・・・・・」


神使「でも、妹は辞令が出る直前に・・・ 失職しました」

神様「失職!?」

神使「厳密に言えば失職直前に神様機構の長官に拾って頂いたのですが・・・」


神様「もしかして、四年前の裏金事件か?」

神使「!? 神様ご存じで・・・」

神様「話題になったからな。 その時の神使がお前の妹だったのか」

神使「妹は・・・ そんな事には加担などしていないです・・・」

966: 2016/08/01(月) 23:32:41 ID:z7QyLviE

神様「言い方が悪かった、すまない」

神使「・・・・・・」

神様「嵌められたんだろ?」

神使「え?」


神様「当時のくろがね大神宮の第一神使が犯人だ。 極秘で懲戒解雇処分が下っている」

神使「それは・・・ 初めて聞きました」

神様「公になるとかなり問題になる規模のお金が動いていたから神宮が極秘で処理したはずだ」

神使「そうでしたか」

神様「ここ百年では最大規模の神社界の汚点だ」

神使「・・・・・・」

967: 2016/08/01(月) 23:34:09 ID:z7QyLviE

神様「無念だっただろうな、妹は・・・ 夢を壊してしまった・・・」

神使「でも、今はあの通り元気にやってますから。 社長ですし私なんか足下にも及ばないくらい給料良いんですよ?」


神様「・・・申し訳ない、お前の妹を巻き込んでしまって」ドゲザ

神使「そんな、やめて下さい。 神様が頭を下げることじゃないです。 それに・・・」


 ザバーン


神使「浮き輪の上で正座なんてしたら落ちるに決まってるじゃないですか・・・」


 ブク ブク ブク…

969: 2016/08/02(火) 21:16:20 ID:Y6GLr2y6

――― 数日後


神様「・・・これで最後!」オリオリ


神様「終わった!!」

神使「お疲れ様でした、神様」

神様「いや~ 百年分は仕事をしたな」

神使「そこまでの作業量ではないと思うのですが・・・」


妹「ありがとうございました神様、お兄ちゃんもお疲れ様」

神使「これだけ作ればしばらくは急な発注にも耐えられますね」

970: 2016/08/02(火) 21:17:02 ID:Y6GLr2y6

妹「はい神様、仕事の後のコーラです」コトッ

神様「妹ちゃん分かってるね~」グビグビ


神使「神様、今日はぐっすりお休みになって、明日朝一番でここを立ちましょう」

神様「はぁ? まだ夏休み満喫してねーよ!」ゲップ

神使「先日海に行ったじゃないですか」

神様「半日だけじゃん!」

神使「しかし、明日は夕方までに次の勤務先にご挨拶に行かないといけませんので」

神様「まじかよ・・・ なんだよそれ・・・」

971: 2016/08/02(火) 21:18:05 ID:Y6GLr2y6

妹「あっ、じゃぁバイト代を先に渡しておくね」

神様「そうだ! バイト代もらえるんだった」ヤッター


妹「はい、お兄ちゃん」

神使「ありがとうございます」

神様「♪~」ワクワク


妹「じゃぁ、私は発送用の荷物を梱包してくるね」スタスタ

神様「?」キョトン


神使「どうされました神様?」

神様「ん? 私のバイト代は?」

神使「私が一緒に頂きましたので」

神様「もしかして・・・」

神使「ご説明が必要ですか?」

神様「・・・いえ、予想はしてましたのでショックはそれほど大きくありません」

972: 2016/08/02(火) 21:18:46 ID:Y6GLr2y6

――― 翌日


神使「では妹さん、また」

妹「うん、元気でね。 神様も兄をよろしくお願いいたします」


神様「妹ちゃん」

妹「はい?」

神様「妹ちゃんには正直に話しておこうと思う」

妹「なんでしょう」


神様「妹ちゃんのお兄さんは神宮の神に仕える最高位の神使だ」

妹「はい、妹として誇りに思います」


神様「そして~ 私は何を隠そう神宮の最高神なのだよ」カッ カッ カッ

妹「え?」

973: 2016/08/02(火) 21:20:13 ID:Y6GLr2y6

神使「神様! それはトップシークレットでは・・・」

神様「良いんだよ。 妹ちゃんは神宮三神って知ってる?」

妹「最高神様、内宮神様、外宮神様ですよね?」

神様「その三神は私が兼任している。 ちなみに、神宮は私のために建てられた」

妹「・・・・・・」


神使「妹さん、驚いたかもしれませんが本当なんです」

神様「訳あって素性を隠しているんだけどね~」

妹「神様が最高神様!?」

神様「そう、だから私には叶えられない願いなどない!」

神使「・・・・・・」


神様「妹ちゃん、世話になったお礼に願いがあるなら一つだけ叶えてあげる」

妹「願い・・・ ですか?」

神様「うん、どんなことでも叶えてあげるから。 その代わり本心以外は受け付けないよ」

神使「・・・・・・」

974: 2016/08/02(火) 21:21:57 ID:Y6GLr2y6

妹「私の願い・・・」

神様「遠慮せずに、ほらほら~ 夢とか希望とか一つくらいあるでしょ~?」


妹「これからも、お兄ちゃんをどうぞよろしくお願いします」フカブカ


神使「妹さん・・・」

神様「・・・・・・」ジーッ

妹「」フカブカ

神様「本心みたいだね」ニコッ


神様「分かった! その願い、最高神・神様がしかと受け止めた」

妹「口うるさい兄ですがよろしくお願いします、神様」ニコッ


神様「神使よ」

神様「はい」

神様「お前の妹は本当に素晴らしいな」

神使「ありがとうございます。 私も誇りに思います」

975: 2016/08/02(火) 21:22:51 ID:Y6GLr2y6

神様「では、神勅を申し伝える!」

神使・妹「!?」


神様「私、神様は“妹”を神宮・内宮神付きの神使として任命する!」

妹「えっ!? 私が神宮の神使!?」

神様「」ゴホン!


神使「妹さん、神勅が発せられてる間は神さまからの問い以外で神使は言葉を発してはいけません」ボソッ

妹「・・・・・・」

976: 2016/08/02(火) 21:23:31 ID:Y6GLr2y6

神様「続ける」


神様「同時に本日付けで、妹の階位を第二位から最高位である特位へ昇格とする」

妹「!?」

神使「・・・・・・」


神様「我が神使よ」

神使「はい」

神様「神勅内容を神宮へ通達せよ」

神使「・・・承知いたしました」フカブカ


神様「以上、神宮審査神・神様から神勅を申し伝えた」

神使「・・・・・・」フカブカ

977: 2016/08/02(火) 21:24:11 ID:Y6GLr2y6

妹「」ポカーン


神使「ちょっと神様!」

神様「あ?」

神使「どういうことですか?」

神様「神勅で伝えたとおりだ」


神使「こんな手順で妹が特位へ戻れるわけないじゃないですか。 しかも神宮の神付き神使だなんて」

神様「神様機構長官と神使協会、神宮大宮司の許可は得た。正式な手順を踏んだ発令だ」

神使「え? いつの間にそんな事したんです?」

神様「内宮神の神ちゃん経由で数日前から脅し・・・ 根回しをした」


神使「しかし、内宮神付の神使となると妹は神宮に行かなくては・・・ 仕事もありますし・・・」

神様「神宮に行く必要はない。 内宮神が必要であると召還したときにだけ神宮に来れば良い」

妹「・・・・・・」

978: 2016/08/02(火) 21:25:40 ID:Y6GLr2y6

神様「妹、それから神使よ」

妹・神使「はい」


神様「勘違いしないでもらいたいが、私は同情や償いのためにこんな事をした訳じゃない」

妹「・・・・・・」

神様「妹、其方は神宮に必要であると最高神である私が判断した」

妹「え?」

神様「今すぐという訳ではないが、いつか妹の力が神宮に必要になると思ったから今回の神勅を発令した」

妹「神様・・・」


神様「最高神の神使であるお前の兄、本日より内宮神の神使となった妹。 二人の力が神宮の将来を変える。 私はそう思っている」

神使「・・・・・・」

神様「迷惑か? 妹よ」

妹「いいえ。 内宮神様の神使をお受けいたします」フカブカ

神様「よろしい。 期待している、妹よ。 いや神使兄妹」

979: 2016/08/02(火) 21:26:45 ID:Y6GLr2y6

――― 電車内


 ガタンガタン


神様「ねぇ、本当にコレで夏休み終わりなの?」

神使「そうですよ」


神様「ハァ~ 夏休みをバイトに費やし、そのバイト代も取られて私の夏とは一体何だったのであろうか・・・」

神使「そんなに拗ねずに」ゴソゴソ


神使「はい、これ神様のお小遣いです」

神様「え?」

神使「今回妹からもらったバイト代のうち、神様分は全部お小遣いとしてお渡しします」

神様「うそ! 良いの!?」


神使「妹から少し多めにもらってしまったので・・・ 今回だけ特別です」

神様「やったー!!」

980: 2016/08/02(火) 21:27:25 ID:Y6GLr2y6

神使「途中で買い物でもしていきましょう」


神様「なんか気持ち悪いな~ お前なにか裏があるんじゃないか?」ジロッ

神使「そんなことございません」


神様「お前、まさかさっきのお礼とか―――」

神使「神様? 私はそんな公私混同はしない主義ですよ?」

神様「・・・・・・」

神使「でも、妹を救っていただきありがとうございました」フカブカ


神様「私は神さまだ。 私を慕ってくれる者の願いは絶対に叶える」

神様「神力がない分、どんな手を使ってでもな」

神使「そうでした、神様は立派な女神様でした」

981: 2016/08/02(火) 21:28:37 ID:Y6GLr2y6

神様「だろ? だからお前はかわゆい神ちゃんをもっと崇め奉るが良い!」カッ カッ カッ

神使「では、実力で神階を上げてダメ神を返上して下さい」

神様「ぅっ・・・・・・」


神使「神様?」

神様「それは・・・」

神使「できないのでしたら、あまり調子に乗らないで下さいね?」

神様「神使君さぁ、私にけんか売ってる?」

神使「そんなことはございません。 これでもダメ神に付く最高位神使ですから」

神様「やっぱ、けんか売ってんじゃねーかよ! 神罰」ゲシッ ゲシッ

神使「痛っ! ですから、それは神罰でなくただの足蹴りです」

神様「うひゃひゃ、折檻だー!」ゲシッ ゲシッ

 ドタバタ




神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#8 ―END

982: 2016/08/02(火) 21:36:37 ID:Y6GLr2y6


#01 「ひのひの村」 >>1-160
神宮から出向となった神様は、神使と共に田舎神社へ向かうがそこは駐車場に・・・

#02 「おきつねこんこん教」 >>165-320
廃神社の裏手にある新興宗教団体、そこには廃神社に放置されていたご神体が・・・

#03 「にゃんにゃん島」 >>328-424
小さな島の社で喫茶店を開く猫神、最高位の神階を持つ猫神が何故こんな所に・・・

#04 「吉祥寺」 >>430-577
代理神として赴任した神社へ神宮で神様とダメ巫女コンビを組むA子が手伝に・・・

おまけ「月刊神様」 >>578-588

#05 「京都」 >>595-703
10年前の神法改正に猛反対した神様を快く思わない宮司達が嫌がらせを計画し・・・

#06 「神宮」 >>707-824
神様の正体に気づき、自ら最高神になろうと計画を進める時期大宮司だったが・・・

#07 「こわこわ神社」 >>832-917
古より村に伝わる女神伝説と奇祭、社から消失した神体女神像は神様と関係が・・・

#08 「神使」 >>922-981
生活費の足しにするため、神使の妹を手伝うことになった神様は神使家別荘へ・・・

983: 2016/08/02(火) 21:37:29 ID:Y6GLr2y6

ありがとうございました

992: 2016/08/20(土) 23:17:18 ID:e2XX6Uko

引用: 神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」