164: 2016/08/31(水) 01:32:16 ID:Z8lLJmiA
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神使「神様、色々とお声がかかっているようですが」
神様「いいね~ どこでも行くよ?」
神使「でも、神宮からは戻ってこいとは言われないんですね」
神様「・・・・・・」
165: 2016/08/31(水) 01:33:00 ID:Z8lLJmiA
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
神様「お前! ふざけるのもいい加減にしろ!!」
神使「・・・・・・」
神様「私が・・・ 私が、どれだけ・・・」
神使「・・・・・・」
神様「もう・・・ 二度と私の前に顔を見せるな」スタスタ
神使「あっ、神様・・・」
神様「お前! ふざけるのもいい加減にしろ!!」
神使「・・・・・・」
神様「私が・・・ 私が、どれだけ・・・」
神使「・・・・・・」
神様「もう・・・ 二度と私の前に顔を見せるな」スタスタ
神使「あっ、神様・・・」
166: 2016/08/31(水) 01:33:55 ID:Z8lLJmiA
~あらすじ~
神様「私は神様! 神宮に籍を置くとってもかわゆい理想の女神!」
神使(訳)「神宮が誇る最悪の問題児。減給左遷を繰り返すダメ神です」
167: 2016/08/31(水) 01:34:50 ID:Z8lLJmiA
【#10】
―――とある廃神社
神様「」ムスッ
神使「あの・・・ 神様?」
神様「」プイッ
神使「お猿さんに本気で怒っても仕方ないかと・・・」
神様「あの猿、私の団子盗んだんだぞ!」
神使「きっとお腹が空いていたんでしょうし・・・」
168: 2016/08/31(水) 01:35:42 ID:Z8lLJmiA
神様「もう3日連続なんだよ! そこそこデカい町なのに何で猿がいるんだよ!」
神使「裏がすぐ山ですので・・・ 神様が気をつけて食べれば良いのでは」
神様「お前犬ころだろ! 猿とは仲悪いんじゃないのかよ!」
神使「いえ、別に・・・ 私狛犬ですし」
神様「猿の肩を持つのか! 私はお前をそんな子に育てた覚えはないぞ!」
神使「育てられた覚えがないのですが・・・」
神様「フンだ!」プイッ
169: 2016/08/31(水) 01:36:28 ID:Z8lLJmiA
神使「ほら、拗ねてないでお仕事行きますよ?」
神様「嫌だね」
神使「今回は神様も喜ぶと思うんですが・・・」
神様「どうせ、また私の過去が暴かれて減給処分に発展するパティーンだろ?」
神使「・・・・・・」
神様「大体仕事する度に減給になるって何だよ! 私ここで寝てる!」
神使「では、私一人で視察に行ってきますよ? “巫女カフェ”に」
神様「巫女カフェ!?」ガバッ
神使「お留守番よろしくお願いしますね」
神様「ちょ、ちょっと待った!!」
170: 2016/08/31(水) 01:38:40 ID:Z8lLJmiA
ノープランだけど突き進む!
175: 2016/09/01(木) 19:39:35 ID:qtk/gfs2
テクテク
神使「やはり巫女という言葉には勝てませんでしたか・・・」
神様「当たり前だろ、私は本職だぞ」
神使「いえ・・・ 本職は神だと思うのですが・・・」
神様「って言うか巫女カフェって何だよ」
神使「神社を模した喫茶店のようで、名前の通り巫女さんが接客をしてくれるそうです」
神様「いいね~ でも、そんなの視察してどうするんだ?」
神使「実は働いている巫女さんが本職ではないかと神宮に問い合わせがあったようで・・・」
神様「本職?」
176: 2016/09/01(木) 19:40:42 ID:qtk/gfs2
神使「神社で奉職している巫女が、そのような場所で働いているというのは問題もありますので」
神様「それを調べると?」
神使「もし本職ですと色々と問題もございますので」
神様「別に仕事が終わった後なら個人が何しても良いだろうが」
神使「神社で奉職するというのは仕事とは違いますので・・・ “奉職”ですから」
神様「うわっ、なにその労働基準法の抜け道みたいな言い方」
神使「・・・・・・」
神様「夜くらい好きにさせろよ」
神使「しかし・・・」
神様「神社に居ないときまで管理されるとか、どんだけブラックだよ」
177: 2016/09/01(木) 19:41:48 ID:qtk/gfs2
神使「ですから、通常奉職時間内でもお店が開いているんです」
神様「え?」
神使「お昼から夜9時まで営業しているようです」
神様「じゃぁ本職の巫女じゃないだろ。 普通なら神社に居るはずだし」
神使「ですよね・・・」
神様「どうせちょっとお行儀の良いコスプレ巫女ちゃんだろ?」
神使「でしたら問題ないのですが・・・」
神様「まぁチョロっと見てすぐ帰ろう。 本職か偽物かなんて見たらすぐ分かるし」
神使「そうですね」
178: 2016/09/01(木) 19:42:45 ID:qtk/gfs2
―――巫女カフェ
神使「ここのようですね」
神様「すげー 玄関に鳥居があるじゃん」
神使「手水舎まで・・・ 以外と凝っていますね」
神様「んじゃ入ってみますかね」スタスタ
神使「神様、手水しなくて良いんですか?」
神様「・・・いや別にいいだろ。 それに私は十分浄らかだし~」
神使「そうですか・・・ そうですか?」
神様「なんで疑問形で言い直したんだよ!」ゲシッ
179: 2016/09/01(木) 19:43:44 ID:qtk/gfs2
カランコロン
神様「すいませ~ん」
巫女A「は~い」
神使「入っても大丈夫でしょうか?」
巫女A「何名様ですか?」
神使「2人です」
巫女A「ご案内いたします。 奥のお席へどうぞ」
神様「お~ 内装が神社っぽいな」
神使「結構凝っていますね」
180: 2016/09/01(木) 19:44:28 ID:qtk/gfs2
巫女B「こちらがメニューになります」
神様「ども~」ペラ
神使「あの・・・ こちらのお店は席料とかかかるのでしょうか?」
巫女B「お飲み物と別にお席料として200円お納め頂いております」
神使「分かりました。 神様? 飲み物決まりましたか?」
神様「コーラは・・・ あった。 初穂料300円?」
巫女B「神社ですので」ニコッ
神使「注文一回ごとにおみくじも付くんですね」
神様「良いアイデアじゃん」
181: 2016/09/01(木) 19:45:07 ID:qtk/gfs2
神使「では、コーラ1つと私はブレンドでお願いします」
巫女B「ただいまお持ちいたしますので少々お待ち下さい」ペコッ
神様「結構良い雰囲気じゃん」
神使「お値段もそんなに高くないですね。 席料も良心的ですし・・・」
神様「でも喫茶店で席料って変じゃね?」
神使「いえ、以前行ったメイド喫茶は席料で1時間500円取られましたので」
神様「神使君ってそういう所行くんだ・・・」
神使「・・・・・・昔、友人に連れて行かれただけです。 すいません」
神様「別に謝られても・・・」
182: 2016/09/01(木) 19:46:04 ID:qtk/gfs2
神使「えっと・・・ あっ、従業員の方が着ている巫女装束はきちんとしたものですね」
神様「そうね、本職と同じものだろうな」
神使「それで皆さん本職と勘違いされているのでしょうね。 普通はピンクだったりミニスカのような袴ですから」
神様「神使君詳しすぎない?」
神使「・・・・・・1杯だけ飲んで帰りましょう」
神様「うん・・・」
185: 2016/09/03(土) 18:44:15 ID:SISKpSL6
――― 3時間後
神様「どうよこの話!」
巫女A「神ちゃん面白い~」ゲラゲラ
巫女B「最高! お腹よじれる」ゲラゲラ
神使「・・・・・・」
神様「でしょ? 実はこの後が面白くてさ~ 私がオマルに跨がった瞬間―――」
神使「あの・・・ 神様?」
神様「あ? なんだよ、今良いところなんだよ」
186: 2016/09/03(土) 18:45:02 ID:SISKpSL6
神使「もう3時間もいるのですが・・・ そろそろ・・・」
神様「え~ こんな事言ってるけど私帰った方が良い?」
巫女A「ダメダメ! 続き聞かないと夜眠れない」
巫女B「せめてこの話だけでも!」
神様「だ、そうだ。 犬ころ、お前カウンターでミルクでもペロペロしてろ」
神使「・・・・・・」
187: 2016/09/03(土) 18:46:13 ID:SISKpSL6
―――カウンター
神使「はぁ~・・・」
C子「面白い方ですね」
神使「それだけが取り柄でして・・・」
C子「ふふっ、何かお飲みになりますか?」
神使「では、アイスコーヒーをお願いします」
C子「日本酒もございますよ?」
神使「奉務・・・ いえ、仕事中ですので」
C子「巫女カフェに来るのがお仕事なんですか?」フフッ
神使「!? いえ、その・・・」
C子「はい、アイスコーヒーです」
神使「ありがとうございます」
188: 2016/09/03(土) 18:46:54 ID:SISKpSL6
神使「面白い作りのお店ですよね」
C子「巫女カフェですから、内装もそれなりに」
神使「表に手水舎まであるなんて本格的です」
C子「お詳しいんですね」
神使「いえ・・・ その・・・ 神社巡りが趣味でして」ハハハッ
C子「そうなんですか」
189: 2016/09/03(土) 18:48:31 ID:SISKpSL6
ドン ドン
神使「太鼓?」
C子「あっ、そろそろ閉店の時間ですね」
神使「もうそんな時間・・・ すいません、お会計をお願いします」
C子「あちらで下着姿になって踊っているお嬢さんと一緒で良いですか?」
神使「・・・・・・はい」
C子「1800円お納め下さい」
神使「ではこれでお願いします」」
C子「初穂料は奥の賽銭箱の方へお納め下さい」
神使「賽銭箱・・・ ですか?」
C子「神社ですから」ニコッ
190: 2016/09/03(土) 18:50:56 ID:SISKpSL6
神使「神様?」
神様「うひゃひゃ、どうよこの腰のひねり具合!」クネクネ
巫女A「もうダメ、神ちゃん面白すぎる」ゲラゲラ
巫女B「お願い、もう帰って! これ以上笑ったら明日に響く」ゲラゲラ
神使「コーラだけでよくそこまで羽目を外せますね・・・」
神様「犬ころも一緒に踊る?」クネクネ
神使「踊りませんよ・・・ 閉店だそうですから帰りますよ」
神様「もう閉店なの?」
神使「もうって・・・ 夜9時過ぎてますが」
神様「しゃーねーな。 んじゃ帰るか」テクテク
神使「神様、服着て下さい・・・」
191: 2016/09/03(土) 18:51:58 ID:SISKpSL6
神様「おっ、犬ころお金持ってんじゃん。 くれ」
神使「これはお会計のお金です。 そこのお賽銭箱にお代を入れるそうです」
神様「賽銭箱?」
神使「これですね」
神様「へぇ~ 正面に神棚まであるよ」
神使「凝ってますよね」
神様「ちゃんとお願い事しとけ。 神宮より御利益あるかもよ?」
神使「何を言っているんですか・・・ でも折角ですからお願い事でもしておきますか」
192: 2016/09/03(土) 18:52:55 ID:SISKpSL6
ジャラジャラ
神使「」パンパン
フカブカ
神様「・・・・・・」
神使「よしっと」
神様「」ジィー
神使「どうされたんですか? 神棚をじっと見つめて」
神様「ん? いや・・・ 帰ろう」
神使「はぁ・・・」
193: 2016/09/03(土) 18:53:47 ID:SISKpSL6
神使「では、お邪魔いたしました」
C子「ご苦労様でした」
巫女A「神ちゃんまたねぇ~」
神様「うん、また来る~」
カランコロン
194: 2016/09/04(日) 09:12:47 ID:z9pFbqiY
―――帰り道
神様「あ~ 楽しかった!」ツヤツヤ
神使「結局閉店まで入り浸るなんて・・・ すぐ帰るって言ったじゃないですか」
神様「だって楽しかったんだもん」
神使「でも、あそこにいた巫女さん達はただのコスプレ巫女さんでしたね」
神様「いや、あれは本職だ」
神使「えっ!?」
195: 2016/09/04(日) 09:14:30 ID:z9pFbqiY
神様「少なくとも私と一緒に居た巫女ちゃん達は本職の巫女」
神使「どちらかというと、カウンターにいた方が上品で巫女さんぽかったと思いますが・・・」
神様「見る目がないね~ だからお前はいつまで経っても犬ころなんだよ」
神使「・・・・・・」
神様「まぁどちらにしろ全員神社関係で働いた経験がある奴らだな」
神使「・・・もしよろしければ理由を聞かせて頂けますか?」
神様「巫女装束の着方が綺麗だった」
神使「それは理由にならないのでは・・・」
196: 2016/09/04(日) 09:15:38 ID:z9pFbqiY
神様「巫女装束は普通の着物と違う巫女用の着方があるんだよ」
神使「でも、それだけで決めつけるのは・・・」
神様「仕草」
神使「はい?」
神様「わざと本職じゃないように見せていたが、時折見せる仕草までは隠せなかったようだ」
神使「そんな仕草なんてありましたか?」
神様「無意識のうちに手の置き方が叉手になってた。 あれはもう癖になっているな」
神使「え?」
197: 2016/09/04(日) 09:16:56 ID:z9pFbqiY
神様「飲み物をお盆にのせて持ってくる時、鼻より上に高く掲げてた。 普通の人はあそこま高く掲げない」
神使「・・・・・・」
神様「あと、店内にあった神棚。 お札とお供えがあっただろ」
神使「神棚ですから普通かと」
神様「置き順が完璧すぎるし、用具が全部神宮指定の神具屋の品だった。 あれは一般には卸してないし」
神使「よくそこまで分かりましたね・・・」
神様「それだけじゃない。 “いらっしゃいませ”も“ありがとうございました”も言わなかっただろ?」
神使「そう言えば・・・」
神様「それに・・・」
神使「?」
神様「いや、ちょっとあの巫女カフェ調べる必要があるな。 面倒くさそ~」ハァ
201: 2016/09/05(月) 23:01:36 ID:TEncXRZU
―――翌日・廃神社
チュンチュン
神使「神様、神様? 起きて下さい」ユサユサ
神様「んぁ・・・ 朝?」ポー
神使「朝ご飯の準備が出来ました」
神様「ふぁ~」ヨイショ
神使「お好きな物を先に選んで下さい」
神様「またコンビニのおにぎりかよ・・・」
神使「文句言うなら朝ご飯抜きですよ?」
神様「!? 私シーチキンとおかか!」
神使「はい、どうぞ」
神様「ん、いただきます」ペリペリ
202: 2016/09/05(月) 23:02:42 ID:TEncXRZU
神使「お茶です」コトッ
神様「モーニングコーラが良い」モグモグ
神使「変な言葉を作らないで下さい」
神様「ハァ~ でもコンビニのご飯も飽きたな・・・」
神使「この神社、台所のような設備がありませんので・・・ 廃神社ですし」
神様「なんで今回は泊まるところが旅館じゃなの?」
神使「外泊するお金なんかありません」
神様「まじで!? そこまで金欠!?」
神使「神様の給料50円ですよ? 私も連帯責任で減給になりましたし」
神様「そ、そうね・・・」モグモグ
203: 2016/09/05(月) 23:04:02 ID:TEncXRZU
神使「それより、巫女カフェの方はどうされるんですか?」
神様「あ~、お前ここら辺にある神社をちょっと調べてくれる?」
神使「それでしたら簡単にですが事前に調べてありますが」
神様「さすが犬ころ、仕事が早いね~」
神使「20km圏内で、神職か神の居る神社は1件もありません」
神様「そうなの?」
神使「はい。 無人の神社も私たちの居るこの廃神社だけです」
神様「う~ん」モグモグ
204: 2016/09/05(月) 23:04:59 ID:TEncXRZU
神使「何か気になることでも?」
神様「少なすぎね?」
神使「そう言われれば・・・」
神様「そこそこ人もいる街なのに20km以内でこの廃神社しかないなんて変だと思うの」
神使「確かに・・・」
神様「まぁいいや。 これ食べたら巫女カフェにもう一度行ってみよう」
神使「分かりました」
205: 2016/09/05(月) 23:05:59 ID:TEncXRZU
―――巫女カフェ前
神様「まだ開いてないな」
神使「オープンはお昼からですからまだ2時間程ありますね」
神様「ん? なんか張り紙してないか?」
神使「昨日は気づきませんでしたね」
神様「巫女募集・・・」
神使「カフェ参拝者のお相手とお掃除など・・・とありますが」
神様「時給900円か・・・」
206: 2016/09/05(月) 23:06:51 ID:TEncXRZU
神使「昨日来たときは私達しかお客さんがいませんでしたけど忙しいんですかね?」
神様「暇な喫茶店で巫女・・・ いいねぇ~」ニヤッ
神使「まさか神様・・・」
神様「大丈夫、業務時間が終わってから働くから」
神使「ダメです。 それに神には業務時間などという概念はございません」
神様「は!?」
神使「神と神使は人と違いますから」
神様「だからその労働基準法の抜け道みたいな表現やめろよ」
神使「・・・・・・」
207: 2016/09/05(月) 23:07:36 ID:TEncXRZU
神様「金欠なんだろ? 私がここで夕方5時から閉店の9時まで働けば1日3600円もらえるぞ?」ニヤッ
神使「それは・・・ 魅力的ですが・・・ でも神宮にバレたらマズいですよ?」
神様「大丈夫だよ、バレねぇよ」
神使「・・・・・・」
神様「ちょっと行ってくるわ。 犬ころはここで待ってろ」
スタスタ
208: 2016/09/05(月) 23:08:26 ID:TEncXRZU
―――店内
カランコロン
神様「すいませ~ん」
C子「!?」
神様「バイト募集の張り紙見てきたんですけど」
C子「あら? またお会いしましたね」
神様「昨日はどうも~ とっても楽しかった!」
C子「ここでバイトしたいんですか?」
神様「うん・・・ じゃなかった。 はい!」
C子「奥のテーブルに座っていて下さい」
神様「はーい」スタスタ
209: 2016/09/05(月) 23:09:37 ID:TEncXRZU
―――数分後
C子「お待たせ」
神様「さっき神主さんみたいな格好してたね」
C子「あ~ 気にしないで」
神様「似合ってた」
C子「ありがとう」ニコッ
神様「表に貼ってあるバイト募集のポスターを見て・・・」
C子「どうしてここでバイトしようと?」
神様「巫女さんが大好きなので」
210: 2016/09/05(月) 23:10:48 ID:TEncXRZU
C子「着ている衣装が?」
神様「それもそうだけど・・・ 実は私、神社で巫女のご奉仕をしていたことがありまして」
C子「え!?」
神様「一通りの巫女の仕事は出来るよ。 でも喫茶店だからあんまり役に立たないかな?」
C子「・・・・・・」
神様「ダメ?」
C子「何か特技はある?」
神様「う~ん・・・ 巫女舞を少々」
C子「あら、得意な舞は?」
神様「一応全部舞える・・・ 舞えます」
C子「全部!?」
211: 2016/09/05(月) 23:11:47 ID:TEncXRZU
神様「神宮が定めている物は一通り」
C子「・・・・・・」
神様「?」
C子「えっとー 神さまって信じてる?」
神様「信じるというのは?」
C子「お願いをすると叶えてくれると思う?」
神様「う~ん、叶えてはくれると思うけど神も少ないだろうし全部は無理かなぁ」
C子「・・・分かりました。 今日はありがとう」
神様「え? やっぱダメ?」
C子「いつから来られますか? できれば土日中心でお願いできると助かるのですが」
神様「もしかして採用!?」
C子「はい」ニコッ
214: 2016/09/06(火) 23:04:02 ID:iVBK7N8Q
―――土曜日
神使「神様、忘れ物はないですか?」
神様「うん」
神使「接客業なんですからきちんとして下さいね?」
神様「大丈夫だよ。 お守り売りで鍛えた神ちゃんトークは完璧だ!」
神使「お守り授与でそんなトーク必要ないと思うんですが・・・」
神様「んじゃ犬ころ、お留守番よろぴこ」
神使「私も後ほど伺いますので」
神様「え~ 金かかるし来なくていいよ」
神使「そう言わず」
215: 2016/09/06(火) 23:05:08 ID:iVBK7N8Q
神様「お前は、私がバイト中に近隣の神社に関してもう少し詳しく調べておいてくれ」
神使「・・・・・・」
神様「犬ころ?」
神使「分かりました。 超特急で調べてからコーヒーだけ飲みに伺います」
神様「お、おう」
神使「では行ってらっしゃいませ」
神様「行ってきま~す」
216: 2016/09/06(火) 23:06:38 ID:iVBK7N8Q
―――巫女カフェ
C子「神ちゃん、4番席にこれ持って行ってくれる?」
神様「ほいさ」
神様「お待たせいたしました、お抹茶になります」コトッ
客「注文良いですか?」
神様「はい、今行きます」スタスタ
客「すいません、メニューってありますか?」
神様「今行きます~」スタスタ
C子「神ちゃん、これ3番席の分」
神様「はい~」スタスタ
217: 2016/09/06(火) 23:08:44 ID:iVBK7N8Q
―――夜
神様「はぁ~・・・ ちかれた・・・」グテッ
C子「お疲れ様でした」
神様「休みの日がこんなに人来るとは思わなかった・・・」
C子「ふふっ、結構遠くからも来てくれるのよ?」
神様「なんで一番多い土日に昨日の二人は来ないの?」
C子「えぇ・・・ 他の仕事があって・・・」
神様「他の?」
C子「・・・・・・」
神様「C子さん?」
C子「あっ、ごめんなさい。 日曜もたくさん来るからよろしくね」ニコッ
神様「マジっすか・・・」
218: 2016/09/06(火) 23:09:37 ID:iVBK7N8Q
カランコロン
神使「遅くなりました」ハァハァ
神様「犬ころ?」
神使「アイスコーヒーを」
神様「もう閉店だけど」
神使「・・・・・・ぁ」
219: 2016/09/06(火) 23:10:20 ID:iVBK7N8Q
―――廃神社
神様「はぁ~ ちかれた」
神使「調べ物が手こずりまして巫女カフェに行くのが遅れてしまいました・・・」シュン
神様「だから無理してこなくてもいいのに」
神使「明日は! 明日は絶対行きますので!」
神様「お、おう・・・」
220: 2016/09/06(火) 23:12:05 ID:iVBK7N8Q
神様「で、何か分かったか?」」
神使「はい、神宮から近辺の神社マップを取り寄せまして」
神様「神社マップ?」
神使「神宮が管理する全国8万の神社が地図上に掲載されている資料です」
神様「へぇ~ そんなのあるんだ」
神使「これがこの近辺の神社マップです」ペラッ
神様「ん~・・・ この廃神社しか掲載されてないな」
神使「念のため過去のマップも取り寄せたのですが、見て下さい」ペラッ
神様「3年前のマップ?」
神使「今のマップには載っていない神社が2社掲載されています」
神様「本当だ」
神使「しかも両方とも比較的大きな神社です」
221: 2016/09/06(火) 23:14:46 ID:iVBK7N8Q
神様「あれ? この場所って・・・」
神使「はい、一つは今の巫女カフェがある場所です」
神様「昔あの場所に神社があったって事か・・・」
神使「神宮の資料によりますと“よわよわ稲荷神社”と記載がありました」
神様「よわよわ稲荷・・・」
神使「ご存じですか?」
神様「いや、はじめて聞いたな」
神使「よわよわ稲荷神社は3年程前に廃社になっています」
神様「廃社・・・ ということはもう一つも?」
神使「いえ、もう一つは“おらおら神社”というらしいですが今は神宮の管轄外となっています」
神様「管轄外?」
神使「えぇ、こちらは3年前に神宮と包括契約を解除して独立しています」
神様「なんだそれ?」
222: 2016/09/06(火) 23:15:52 ID:iVBK7N8Q
神使「どうも一方的に神宮へ契約解除を通知してきたそうです」
神様「管理外になったから神宮の神社マップに載っていないという事か・・・」
神使「そういう事になりますね」
神様「通りで神社の間隔が開きすぎていたはずだ・・・」
神使「同じ時期に2つも、明らかに変ですよね」
神様「そうだな。 何かありそうだな」
神使「これ以上は神宮の資料だけでは調べるのが難しいかと」
神様「そうか~・・・」
223: 2016/09/06(火) 23:17:58 ID:iVBK7N8Q
神使「神様は明日も巫女カフェに出勤ですか?」
神様「うん。 日曜は人がいっぱい来るから私の舞でも見てもらおうかと思って」
神使「神様の巫女舞!?」
神様「なんだよ」
神使「神様巫女舞だけはお上手ですからね」
神様「神使君さぁ、相変わらずトゲのある言い方じゃない?」
神使「いいえ、神様の舞は群を抜いて他の巫女さんより優雅です。 私、以前拝見して涙が出ました」
神様「おっ、褒められた?」
神使「明日は絶対に行かないといけませんね」
神様「いや、だから金勿体ないから来なくていいって」
神使「神様のバイト代もあることですし今月は余裕もありますので」」
神様「巫女カフェで貯めたバイト代を巫女カフェで使ってどうすんだよ!」
226: 2016/09/08(木) 21:33:22 ID:TlIICl4Y
―――日曜日
カランコロン
神様「ご苦労様です」ペコリ
神使「お疲れ様です神様」ペコリ
神様「何だ、犬ころかよ」
C子「あら、こんにちは」
神使「お邪魔いたします」
227: 2016/09/08(木) 21:34:46 ID:TlIICl4Y
神様「ねぇ、お前もしかして暇なの?」
神使「そんなことはございません。 これも仕事ですので」ニコッ
神様「ハァ~ まぁいいや。 何飲む? ミルクでもペロペロするか?」
神使「しませんよ・・・ ブルーマウンテンをお願いします」
C子「はい、ありがとうございます」
神様「なに高いの頼んでんだよ・・・ ったく」
228: 2016/09/08(木) 21:36:02 ID:TlIICl4Y
神使「神様が千早を羽織っているの久しぶりに見ました」
神様「あ~ 巫女舞するからね」
神使「巫女舞はこの後ですか?」
C子「えぇ、もうじき始まりますので楽しみにしていて下さい」
神使「間に合って良かったです」
神様「でも一人だからあんまり期待すんなよ」
C子「それじゃぁ、神ちゃんそろそろお願いできる?」
神様「オッケ~」
神使「カウンターからですと見にくいので、私は前のテーブル席で拝見させて頂きます」スタスタ
神様「神使君・・・ なんでそんな必氏なの?」トテトテ
229: 2016/09/08(木) 21:37:10 ID:TlIICl4Y
カランコロン
男「お邪魔するよ」
C子「・・・・・・」キッ
男「そんな怖い顔しないでくれよ。 客だぞ?」
C子「何かご用でしょうか?」
男「近くまで来たのでね。 ウイスキーを」
C子「はい」
男「ん? あの子は? 初めて見る顔だな」
C子「昨日からお手伝いに来てもらっているバイトの子です」
230: 2016/09/08(木) 21:38:11 ID:TlIICl4Y
♪~~~
男「ほぉ、巫女舞か・・・ これは中々のものだ」
C子「以前、どこかの神社で巫女の経験があるそうです」
男「うちの巫女とは比較にならない綺麗な舞だな・・・ 良いのを見つけてきたな」
C子「・・・・・・」
231: 2016/09/08(木) 21:40:02 ID:TlIICl4Y
~~~♪
神様「浦安の舞でした」ペコリ
パチパチ パチパチ
男「君! ちょっと話をしたいんだが良いかね?」
神様「わたし?」
男「あぁ」
神様「犬ころ、ここにいてカウンターの男と私の会話を聞いてろ」ボソッ
神使「分かりました」ボソッ
232: 2016/09/08(木) 21:40:51 ID:TlIICl4Y
神様「なに?」トテトテ
男「ここに座って。 何か飲むかい?」
神様「奢り?」
男「あぁ、好きなものを」
神様「じゃぁコーラフロートビッグサイズで」
男「とても綺麗な舞だったよ」
神様「いや~ 巫女としては当然の嗜みってやつ?」
男「神社で巫女をしていたそうだね」
神様「少し前に」
233: 2016/09/08(木) 21:41:27 ID:TlIICl4Y
男「どこの神社だい?」
神様「えっと~・・・ 伊勢の方?」
男「伊勢?」
C子「はい神ちゃん、コーラフロートのビッグサイズ」コトッ
神様「やった~!」
男「・・・・・・大きいな」
神様「値段もビッグだから自腹じゃ頼めないんだよね~」
男「そ、そうか・・・」
神様「いただきま~す」ゴクゴク
234: 2016/09/08(木) 21:42:34 ID:TlIICl4Y
男「・・・君、名前は?」
神様「かわゆい神ちゃん」
男「その・・・ かわ・・・ え~と、神ちゃんに相談があるんだが」
神様「なに?」
男「うちで巫女のバイトしてみないか?」
C子「!?」
神様「え~、引き抜き~? でもここでバイトしてるし~」
C子「そうです! おらおら神社は巫女が沢山居るじゃないですか!」
神様「おらおら神社?」
男「知っているかい? 私はそこで宮司をしていてね。 時給は1200円でどうかな?」
C子「・・・・・・」
235: 2016/09/08(木) 21:44:05 ID:TlIICl4Y
男「是非、うちの神社で巫女舞を舞ってもらいたいと思ってね」
神様「いいね~ でも、ここのバイトもあるから平日の夕方までなら良いけど?」
男「どうだC子君?」
C子「しかし!」
神様「ただし条件、時給1500円!」
男「良いだろう。 では明日の朝、おらおら神社に来てくれるかい?」
神様「オッケ~」
男「じゃぁよろしく頼むよ」
C子「・・・・・・」
236: 2016/09/08(木) 21:45:26 ID:TlIICl4Y
――― 夜
神様「ほら、コーヒー」
神使「ありがとうございます」
神様「話は聞いていたか?」
神使「はい。 バイトなんか引き受けて大丈夫なんですか?」
神様「おらおら神社を調べるチャンスだ」
神使「しかし・・・」
神様「宮司の顔を見ただろ? “私悪者ですが何か?”みたいな滲み出る悪人面」
神使「見た目だけで判断するのは流石に失礼では・・・」
神様「あれ、相当やらかしてるぞ?」
神使「・・・・・・」
神様「それと、C子さんが男と話をしているときの表情も気になった」
神使「あまり仲は良くない感じですね・・・」
237: 2016/09/08(木) 21:46:24 ID:TlIICl4Y
ドンッ ドンッ
神様「おっ、閉店だ。 犬ころ、お前先に外で持ってろ」
神使「分かりました」
神様「えっと~ 犬ころの伝票はこれか・・・ って、こんなに頼んだの?」
神使「すいません・・・」
神様「私のバイト代一日分飛んでんじゃんよ」ハァ
神使「で、では入り口で待ってますので・・・ C子さんお邪魔しました」
C子「ご苦労様でした。 またお越し下さい」
カランコロン
神様「さてと、んじゃ片付けちゃいますかね」
244: 2016/09/09(金) 22:28:58 ID:GvLgm6ns
神様「♪~」フキフキ
C子「神ちゃんお疲れ様。 もう上がって大丈夫よ」
神様「でもまだ途中だよ?」
C子「お連れの方、外で待ってるんでしょ?」
神様「あ~ 犬ころだから気にしなくても」
C子「大丈夫、後は私で出来るから」
神様「そう? んじゃ帰るね」
C子「はい、ご苦労様でした」
神様「・・・・・・」
C子「どうしたの?」
245: 2016/09/09(金) 22:30:15 ID:GvLgm6ns
神様「その神棚、ちょっとだけ見ても良い?」
C子「神棚?」
神様「興味があるというか・・・ ちょっとだけ」
C子「ふふっ、どうぞ」ニコッ
スタスタ
神様「開けても大丈夫?」
C子「えぇ、いいわよ」
246: 2016/09/09(金) 22:30:51 ID:GvLgm6ns
ギィ
神様「あっ!」
C子「どうしたの?」
神様「ご神体に蜘蛛が巣張ってる」
C子「え?」
神様「何か掃くものある?」
C子「ちょっと待ってて。 確か奥の部屋にあったと思う」スタスタ
247: 2016/09/09(金) 22:31:26 ID:GvLgm6ns
神様「行ったな・・・ 我、神体の神力を解放す」ボソッ
ポワポワ
神様「やっぱり・・・・・・」
248: 2016/09/09(金) 22:32:01 ID:GvLgm6ns
スタスタ
C子「お待たせ、これで大丈夫かしら」
神様「ん? あ~」
C子「蜘蛛は?」
神様「逃げちゃった」
C子「そう、良かった」
神様「立派な神棚だね」
C子「ありがとう」ニコッ
249: 2016/09/09(金) 22:32:37 ID:GvLgm6ns
神様「C子さんってどこの神社にいたの?」
C子「えっ?」
神様「この前、神主の格好してたから」
C子「あら、気になる?」
神様「稲荷系かな~」
C子「!?」
神様「・・・・・・」ジィー
250: 2016/09/09(金) 22:33:17 ID:GvLgm6ns
神様「まぁいいや。 このご神体凄く立派だからきちんとしたお社に祀りたいね~」
C子「・・・・・・」
神様「じゃ、明日はおらおら神社に行ってくるから夕方こっち来るね」
C子「何かあったら連絡頂戴ね」
神様「はーい。 んじゃ、ばいびー」スタスタ
カランコロン
C子「変わった子ね」フフッ
251: 2016/09/09(金) 22:34:23 ID:GvLgm6ns
―――帰り道
神使「本当におらおら神社でバイトするんですか?」
神様「こんな都合の良い接点なんか他にないだろ」
神使「なんか心配です」
神様「大丈夫だよ。 私はこれでも神宮の巫女だぞ? 内宮の巫女長だぞ?」
神使「いえ・・・ 神宮の神だと思うのですが・・・」
神様「神の仕事より巫女の方が私には合ってるんです~」ベー
神使「神様の巫女好きにも困った物ですね・・・」ハァ
神様「うっせーよ!」ゲシィ
神使「あっ、コンビニで明日の朝食を買っていきます」
神様「そうね」
252: 2016/09/09(金) 22:35:33 ID:GvLgm6ns
―――コンビニ
ピヨピヨ
神様「私カゴ持つね~」
神使「ダメです」
神様「何でだよ!」
神使「アイスとお菓子を入れるからです」
神様「・・・・・・」
神使「明日の朝食だけ買いますよ?」
神様「分かったよ」チッ
253: 2016/09/09(金) 22:37:21 ID:GvLgm6ns
神使「おにぎりと・・・ サラダも買いますか」
神様「ねぇ、コーラは良いだろ?」
神使「そういえば、そろそろ無くなりそうでしたね」
神様「んじゃ、これ」ゴロゴロ
神使「なんでこんなに缶コーラばかり・・・ 1.5リットルの1本で良いんじゃないですか?」
神様「は? お前、缶コーラとペットボトルコーラの味の違いも分からないの?」
神使「え?」
神様「だから、いつまで経っても犬ころなんだよ」ハァ
神使「・・・・・・」
258: 2016/09/10(土) 21:02:28 ID:GF5NeYRY
―――翌日・おらおら神社
男「え~ 今日から巫女のバイトで入ることになった神ちゃんだ」
神様「神ちゃんです! よろしくお願いします!」ペコッ
男「詳しい仕事の内容は巫女長に聞いてくれ。 じゃぁ頼んだ」スタスタ
巫女長「私がおらおら神社の巫女長だ」
神様「よろしくお願いします!」ペコリ
巫女長「隣は巫女のA子君とB子君」
259: 2016/09/10(土) 21:04:40 ID:GF5NeYRY
巫女A「あっ、この前カフェに来た子だ!」
巫女B「本当だ」
神様「あれ? ここの巫女さんだったの?」
巫女長「こら! 私語は慎め」
巫女A・B「すいません・・・」
神様「・・・・・・」ペコリ
巫女長「じゃぁ3人は境内の掃除から始めてくれ」
260: 2016/09/10(土) 21:05:50 ID:GF5NeYRY
―――境内
サァー サァー
神様「ねぇ、この神社って職員どのくらいいるの?」
巫女A「宮司以下神職が5人と、巫女が神ちゃん入れて10人かな」
神様「結構多いんだね」
巫女B「巫女使いが荒い神社だよ」
神様「ふ~ん」
巫女長「おいBグループ! 私語は慎めと言っただろ!」
巫女A・B「すいません!」ペコッ
巫女長「新入りも気をつけろよ」スタスタ
神様「」ペコッ
261: 2016/09/10(土) 21:06:51 ID:GF5NeYRY
神様「あの巫女長、厳しすぎない? しゃべり方も男みたい」
巫女B「私達、陰では鬼軍曹って呼んでるけど」
神様「ふ~ん・・・ ところでBグループって何?」
巫女A「あ~ 元からこの神社にいた巫女さんがAグループ」
巫女B「他から来た私達がBグループって分けられてるの」
神様「他から?」
巫女A「私とB子ちゃんは、よわよわ神社っていうお社の巫女だったの」
神様「よわよわ神社!?」
巫女A「神ちゃん知ってるの?」
神様「ん? いや・・・」
262: 2016/09/10(土) 21:07:57 ID:GF5NeYRY
巫女長「おい、Bグループ」
巫女A・B「はい!」
巫女長「本殿にお供えを運ぶからちょっと来てくれ。 バイトもこっちへ」
神様「はい」
スタスタ
263: 2016/09/10(土) 21:09:17 ID:GF5NeYRY
―――社務所
巫女長「バイトの君に本殿にお供えを運ぶ手順を教える」
神様「はい」
巫女長「お供えはこの三方と言うおぼんに入れてから運ぶこと」
神様「立派な三方ですね」
巫女長「当たり前だ。 この神社で使っている品は全て一級品だ」
神様「はぁ・・・」
巫女長「では、私と同じようにそれを持ちなさい」
神様「・・・・・・はい」
巫女長「A子君とB子君も一緒に来なさい」
巫女A・B「はい」
264: 2016/09/10(土) 21:10:16 ID:GF5NeYRY
神様「あの~」
巫女長「どうした?」
神様「持ち方ってそれでいいの?」
巫女長「なに?」ギロッ
巫女A「ちょっと神ちゃん!」ボソッ
神様「あ~・・・ すいません、何でもないです」
巫女長「言いたいことがあるならハッキリ言いなさい」
神様「・・・・・・もう少し高く揚げないと、神に捧げるものに息がかかるのはダメじゃない?」
巫女長「!?」
265: 2016/09/10(土) 21:11:02 ID:GF5NeYRY
神様「まぁ、神もそんなの気にしないと思うけど・・・ 一応作法として」
巫女長「こ、この神社は他のお社よりも社位が高いんだ。 作法も普通の神社と違うことがある!」
神様「そうでしたか。 失礼しました」
巫女長「君は巫女の経験があるようだがどこに居たんだ?」
神様「えっと~・・・」
巫女長「どうせ作法も教えられないような小さい神社だったんだろ?」
神様「」ムスッ
巫女長「この辺ではこの神社より立派なところはないからな」
266: 2016/09/10(土) 21:12:33 ID:GF5NeYRY
神様「神宮にいました」
巫女長「神宮!?」
巫女A・B「うそ!」
巫女長「じ、神宮のバイトか」
神様「内宮で巫女長を務めてました」
巫女長「!?」
巫女A「内宮の巫女長!?」
巫女B「神ちゃんてそんな凄かったの?」
神様「いや、別に凄くはないけど」
巫女長「こ、ここは神宮の管轄外の独立神社だ。 作法は神宮と違う!」
神様「そうですよね。 出しゃばった発言すんませんでした」
巫女長「あとは、Bグループだけで片付けておけ!」スタスタ
267: 2016/09/10(土) 21:13:39 ID:GF5NeYRY
巫女A「ちょっと! 神ちゃん神宮にいたって本当!?」
巫女B「しかも内宮の巫女長って!」
神様「あ~ まぁ・・・」
巫女A「はぁ~ 通りで手際が良い訳だ」
神様「ごめん、ちょっとイラッとして口答えしちゃった」
巫女B「気にしないで良いよ」
神様「でも、私だけじゃなくて二人も目付けられちゃったね・・・」
巫女A「大丈夫だって~」
巫女B「そうそう、私たちはここに来たときからずっと目付けられてたしね」
巫女A「それにスッキリした。 Aグループの巫女の作法ってちょっと気になってたんだよね」
268: 2016/09/10(土) 21:14:41 ID:GF5NeYRY
神様「どうして二人はこんな扱い受けてまでここにいるの? なんだったら別の神社紹介するよ?」
巫女A「ありがとう。 でも大丈夫だよ」
巫女B「私たち、よわよわ神社の巫女だから」ニコッ
神様「でも、よわよわ神社って・・・」
巫女B「巫女カフェにC子さんっていたでしょ?」
神様「うん」
巫女B「あの人ね・・・ よわよわ神社の宮司さんの娘で神主さんなんだ」
神様「・・・・・・」
巫女A「よわよわ神社は借金抱えて廃社になっちゃったんだけど」
神様「借金・・・」
巫女B「C子さんあの土地だけは取り戻すって」
神様「それで巫女カフェを?」
269: 2016/09/10(土) 21:15:46 ID:GF5NeYRY
巫女A「あのお店、ここの宮司がオーナーで借金の返済を口実にC子さんを働かせているの」
巫女B「返済が終わったらあの土地を返してくれるって言われて」
神様「でも、A子ちゃんとB子ちゃんは何で巫女カフェに? 今はここの巫女でしょ?」
巫女B「平日は昼から夜まで巫女カフェに行くように宮司に言われて・・・」
巫女A「C子さん巫女じゃないしね。 巫女カフェにはやっぱり巫女が必要だから」
神様「そうだったんだ・・・」
270: 2016/09/10(土) 21:16:35 ID:GF5NeYRY
巫女A「私達、よわよわ神社には凄くお世話になって」
巫女B「だから少しでも恩を返したいなって」
神様「よわよわ神社の宮司さんは?」
巫女A「5年前に・・・」
神様「そう」
巫女長「こらBグループ! またサボってんのか!」
巫女A・B「すいません!」イソイソ
神様「・・・・・・」
272: 2016/09/11(日) 22:54:35 ID:5TPwj.lk
―――昼
男「ではA子君は午後から巫女カフェに行きなさい」
巫女B「え? 私は・・・」
男「B子君は午後から神ちゃんと舞を夕方までお願いする」
神様「夕方まで!?」
巫女B「・・・・・・分かりました」ペコッ
男「頼んだぞ」スタスタ
273: 2016/09/11(日) 22:55:45 ID:5TPwj.lk
神様「夕方まで舞うの!?」
巫女B「たぶん神ちゃんが来たから舞の回数を増やすんだと思う」
巫女A「巫女舞付きのご祈祷は初穂料が高いからね」
神様「うへぇ~ マジっすか・・・」
巫女A「私、舞が下手だから・・・ 手伝えなくてゴメンね」
巫女B「気にしないで。 こっちが終わったらすぐ巫女カフェ行くから」
神様「巫女カフェ、一人で大丈夫?」
巫女A「平日だし、日中は大丈夫だと思う。 じゃぁ先に行ってるね」スタスタ
巫女B「それじゃ神ちゃん、神楽殿行こっか」
神様「うん」
274: 2016/09/11(日) 22:56:38 ID:5TPwj.lk
―――神楽殿
神様「うわっ、結構人居る・・・」
巫女長「じゃぁ君とB子君は客がいっぱいになったら適当に舞を始めてくれ」
巫女B「はい」
巫女長「後は頼んだ」スタスタ
神様「後は頼んだって、そんな雑な・・・」
巫女B「ご機嫌斜めだね、巫女長・・・」ハハハッ
275: 2016/09/11(日) 22:58:53 ID:5TPwj.lk
神様「ねぇ、お囃子軍団は?」キョロキョロ
巫女B「CD音源・・・」
神様「マジっすか!? 巫女カフェで見るのと一緒じゃん」
巫女B「確かに」
神様「これって一人いくら払ってんの?」
巫女B「一人2万だったかな」
神様「・・・神宮より高いよ」
巫女B「はははっ・・・ 待機列出来ちゃってるし、始めよっか」
神様「まぁ見てくれる人には関係ないし・・・ 全力でやりますか!」フンスッ
♪~~
276: 2016/09/11(日) 22:59:41 ID:5TPwj.lk
―――夕方
神様「じがれだ・・・」グテッ
巫女B「神ちゃん、お疲れ様」ハァ
神様「マジでしんどい・・・ これ以上やったら干からびるよ・・・」
巫女B「神ちゃん凄いね。 すごく上手でビックリしたよ」
神様「いや~ん、褒められると照れちゃう」クネクネ
巫女B「今度、巫女舞教えて」
神様「いつでも良いよん」
277: 2016/09/11(日) 23:00:14 ID:5TPwj.lk
巫女B「あっ、もう4時だ!」
神様「そろそろ巫女カフェの方に行く?」
巫女B「そうだね。 神楽殿の鍵閉めてくるから神ちゃん先に社務所行ってて」
神様「うん」
巫女B「あっ、巫女長に見つからないようにね。 帰ろうとするとすぐ仕事押しつけてくるから」
神様「ほ~い、気をつける」
巫女B「じゃ、また後で」
スタスタ
278: 2016/09/11(日) 23:01:01 ID:5TPwj.lk
―――社務所
神様「はぁ~ ちかれたな~」トテトテ
巫女長「おい、バイト」
神様「うげっ」クルッ
巫女長「丁度良かった。 これ洗濯しておいてくれ」
神様「私バイトのお仕事は夕方までだよ?」
巫女長「だから何だ? 神に仕える巫女は仕事ではない。 奉職だ」
神様「・・・・・・」
巫女長「洗濯が終わったら帰ってもいいぞ」スタスタ
神様「」ムスッ
279: 2016/09/11(日) 23:02:11 ID:5TPwj.lk
―――社務所裏
巫女B「あれ? どうしたの神ちゃん」
神様「巫女長に見つかった」ゴシゴシ
巫女B「洗濯・・・ 私も手伝うね」
神様「ありがと」
巫女B「ごめんね・・・」ゴシゴシ
神様「B子ちゃんが謝る必要ないよ?」
巫女B「なにも神ちゃんまで目の敵にしなくても良いのに・・・」
神様「よくこんな扱い耐えられるね。 私なら2日で爆発するよ」
巫女B「私もA子ちゃんも拾われてる身だから」ハハハッ
神様「でもさぁ~ やっぱり勤め先変えた方がいいよ・・・」
巫女B「C子さんだって耐えてるんだもん、このくらい大丈夫」ゴシゴシ
神様「・・・・・・」
280: 2016/09/12(月) 00:09:28 ID:8LHG.Zy6
―――夕方・巫女カフェ
カランコロン
C子「あっ、神ちゃんお疲れ様」
巫女A「ずいぶん遅かったね~」
神様「ゴメン、おらおら神社の巫女長にちょっと捕まっちゃって」
巫女B「神ちゃん初日から目を付けられたみたい」ハハッ
C子「それは災難ね・・・」
281: 2016/09/12(月) 00:10:47 ID:8LHG.Zy6
客「酷いもんだろ~」
神使「そうなんですか・・・」
神様「ん? また犬ころ来てんのかよ・・・」
C子「酒屋のおじいちゃんと意気投合してるみたいよ」
巫女B「絡まれてるだけのようにも見えるけど・・・」
神様「まぁいいや、放っておこ。 すぐ着替えてくるね」スタスタ
巫女B「私も着替えてきます」スタスタ
282: 2016/09/12(月) 00:11:27 ID:8LHG.Zy6
神使「興味深いお話ありがとうございました」
客「良いって、こっちも楽しかった」
神使「お気を付けてお帰り下さい」
客「おう! んじゃC子ちゃん、またな」
C子「ご苦労様でした、またいらして下さい」
テクテク
283: 2016/09/12(月) 00:12:20 ID:8LHG.Zy6
神使「ふぅ~・・・」
神様「ほら、コーヒー」コトッ
神使「あっ、神様! 何時こちらに?」
神様「お前が酒屋のじいじと話してるとき」
神使「気づかず失礼しました」
神様「お前、本当ここ好きだな・・・」
神使「仕事ですから」キリッ
神様「・・・さよですか」
神使「あの、私コーヒー注文してないのですが・・・」
神様「私の奢りだ。 たんとお飲み」
神使「これはありがとうございます」
284: 2016/09/12(月) 00:13:06 ID:8LHG.Zy6
神様「廃神社に戻ってから飯食うから、それ飲んだらお前先帰れ」
神使「分かりました。 後ほど少しお話ししたいことがございます」
神様「よわよわ稲荷の件か?」ボソッ
神使「はい。 出来れば急ぎで」
神様「分かった。 今日は平日で巫女カフェも暇そうだし早めに上がる」ボソッ
287: 2016/09/12(月) 22:51:31 ID:8LHG.Zy6
―――廃神社
ギィー
神様「ただいま~」
神使「お帰りなさいませ、神様」
神様「話があるって?」
神使「今日一日巫女フェにいたのでお客さんとお話をしたのですが、気になる情報をいくつか」
神様「お前の会計が凄い金額だと思ったら一日あそこにいたのかよ・・・」
神使「コーヒーが美味しいんです」
神様「へいへい。 で、何か分かったのか?」
288: 2016/09/12(月) 22:53:17 ID:8LHG.Zy6
神使「3年前によわよわ稲荷が破産状態に陥ったらしく、莫大な借金を抱えたそうなんです」
神様「あ~ 巫女ちゃんもそんなこと言ってたなぁ。 原因って何なの?」
神使「よわよわ神社の境内で事故があったようで、その賠償が巨額だったそうなんです」
神様「事故か・・・」
神使「設置してあった灯籠が倒れて3人が下敷きになったと聞きました」
神様「その賠償が原因か・・・」
神使「よわよわ神社だけではとても払えず、おらおら神社が全て肩代わりしたそうです」
神様「その返済を理由にC子さんを巫女カフェで働かせているんだろ?」
289: 2016/09/12(月) 22:54:44 ID:8LHG.Zy6
神使「しかし、変なんです」
神様「何が?」
神使「事故が起こった直後、おらおら神社が急に羽振りが良くなったと皆さん仰っていました」
神様「ん? 変じゃね? 賠償金肩代わりしたんだから逆だろ」
神使「実はこの時期に、おらおら神社がよわよわ稲荷の敷地を地元不動産業者へ売却しているそうです」
神様「売却?」
神使「よわよわ稲荷は敷地がかなり広かったようで相当な金額になったようですね」
290: 2016/09/12(月) 22:57:13 ID:8LHG.Zy6
神様「いくら賠償を肩代わりしたからって、おらおら神社がよわよわ稲荷を売却なんて出来ないだろ」
神使「よわよわ稲荷の宮司様は5年前に帰幽されており、おらおら神社の宮司が代理宮司を兼任してたそうです」
神様「ん~ でも廃社申請は、神職も神も居ない廃神社じゃないと出来ないんじゃない?」
神使「売却前に、よわよわ稲荷の神職だったC子さんを解任して廃神社状態にしたようです」
神様「お父さんが亡くなってから神主はC子さんだけだったのか・・・ 巫女は?」
神使「二人いたそうですが、二人ともおらおら神社が引き取っています」
神様「A子ちゃんとB子ちゃんだな」
神使「はい」
神様「それなら書類上は無人神社だから廃社申請は通るか。 手の込んだ事を・・・」
291: 2016/09/12(月) 22:58:09 ID:8LHG.Zy6
神使「噂では、よわよわ稲荷の売却益は全ておらおら神社の懐に・・・」
神様「でも賠償金は払われているんだろ?」
神使「酒屋のお爺さんの話ですと、事故に巻き込まれた3人は不動産屋の社員だそうです」
神様「!?」
神使「事故直後なのにピンピンしていたそうですよ?」
神様「・・・・・・」
292: 2016/09/12(月) 23:00:30 ID:8LHG.Zy6
神使「この町では、よわよわ稲荷の崇敬が多かったようで当時おらおら神社の規模はかなり小さかったそうです」
神様「よわよわ稲荷がなくなって、得をしたのはおらおら神社という訳か・・・」
神使「はい。 ここら辺で残る神社はおらおら神社しかないので独占ですね」
神様「不動産屋は膨大な土地を手に入れてウハウハか・・・」
神使「互いの思惑が一致したんでしょうね」
神様「でも、流石に金の流れは神宮の年度末調査でバレそうなもんだけど・・・ あいつら金の事は厳しいから」
神使「現在おらおら神社は神宮の管轄ではありません」
神様「まさか、それを見越して神宮と包括契約を解除したのか!?」
神使「独立神社ですから神宮が調べることは出来ませんので、年度末調査は実施されません」
神様「すげー手を使ってんな・・・」
293: 2016/09/12(月) 23:01:23 ID:8LHG.Zy6
神使「これは私の憶測ですが、今回の件よわよわ稲荷を潰す為に仕組まれたのではないかと」
神様「・・・・・・」
神使「事が事だけに真相を調べるのは私達では無理があると思いますが」
神様「いや、一つだけ方法がある」
神使「え?」
神様「事の顛末を全て見てきたものに聞けば良い」ニヤッ
神使「?」
294: 2016/09/13(火) 23:13:27 ID:koVW5Tpk
グゥー…
神使「あっ、そう言えば夕食まだですね」
神様「そうね、久しぶりに外食したいなぁ~」チラッ
神使「ずっとコンビニのご飯でしたからね・・・ 何か食べたいものありますか?」
神様「う、鰻重?」
神使「何で鰻重なんですか・・・ ハンバーガーとかどうです? 牛丼でも良いですよ?」
神様「鰻重」
神使「・・・・・・」
神様「鰻重食べたい!」
神使「分かりました、神様バイト掛け持ちで頑張ってますからね。 鰻重食べに行きましょう」
神様「よっしゃー!! 言ってみるもんだ!! 鰻重なんて三年ぶりだよ!」ウヒョー
295: 2016/09/13(火) 23:15:09 ID:koVW5Tpk
―――うなぎ屋
神様「いや~ 腹減った」
店主「らっしゃい! ご注文は」
神様「鰻重!」
神使「では鰻重を2つお願いします」
店主「上うな重、特上うな重もあるよ?」
神様「特上・・・ どうする? 神使く~ん」キラキラ
神使「・・・では、特上を2つお願いします」
神様「嘘! いいの!?」
神使「今日は特別です」
神様「よっしゃー!! 店主! 特上! 特上で!」
店主「ははっ、はいよ。 特上二丁~!」
296: 2016/09/13(火) 23:16:33 ID:koVW5Tpk
神使「私も鰻重なんて久しぶりですよ」
神様「・・・・・・」ジィー
神使「神様?」
神様「ねぇ店主」
店主「何だい?」
神様「あの神棚」
店主「ん?」
神様「中に入っているお札って、よわよわ稲荷のだよね」
店主「あ~ もう無くなっちゃったんだけどな」
神様「あのお札はどうやって?」
店主「無理言って譲ってもらったんだよ」
297: 2016/09/13(火) 23:17:14 ID:koVW5Tpk
神様「もしかしてC子さんに?」
店主「なんだ、C子ちゃんを知ってんのか?」
神様「まぁ・・・」
店主「今は、この辺にはおらおら神社しかないけどよ~ 俺たちの中での氏神様は、よわよわ稲荷なんだよ」
神様「・・・・・・」
店主「本当に良い神社だったんだ。 宮司も巫女もみんないい人でさぁ。 町のみんなから愛されてた」
神使「そうでしたか」
店主「でも神社はなくなっても俺らの心までは・・・ 忘れちゃいけないと思ってさ」
神様「・・・・・・」
店主「C子ちゃんだって頑張ってんだ」
298: 2016/09/13(火) 23:17:50 ID:koVW5Tpk
店主「はいよ、特上うな重!」ドンッ
神様「!? で、でかい!」
神使「これは立派ですね」
店主「値段も立派だけどな」ハハッ
神使「・・・・・・」
神様「いただきます!」ガツガツ
302: 2016/09/14(水) 23:26:53 ID:d4M6/tPI
―――帰り道
神様「もうダメ・・・ 歩けない・・・」ゲップ
神使「神様おんぶされてるだけで歩いていないじゃないですか」テクテク
神様「仕方ないだろ~ お腹キツくて動けないんだもん」
神使「確かに、いつもよりお腹の部分がぽっこり背中に当たっていますね」
神様「でしょ~」ゲシッ ゲシッ
神使「痛っ! すいません!」
神様「ったく。 おっとっと」ユラッ
神使「ほら、暴れてるからですよ? 落ちないようにしっかり掴まっていて下さい」
神様「ん」ギュッ
テクテク
303: 2016/09/14(水) 23:28:08 ID:d4M6/tPI
神様「あれ? あそこ、電気ついてるの巫女カフェじゃない?」
神使「もう夜11時になるのに・・・ C子さんまだいるんでしょうか?」
神様「ちょっと挨拶していこーよ~」
神使「こんな遅くにご迷惑ではないですか?」
神様「大丈夫だよ」
神使「ではご挨拶だけ」
テクテク
304: 2016/09/14(水) 23:29:51 ID:d4M6/tPI
神使「中に何人かいるみたいですね・・・」
C子「話が違うじゃないですか!」
巫女B「騙してたんですか!?」
神使「巫女さんも一緒のようですが、何か変ですね」
神様「おい、ちょっと降ろせ」モゾモゾ
神使「はい」
神様「よいしょ」ピョン
神使「奥にいるのって、おらおら神社の宮司じゃないですか?」
神様「・・・・・・」コソッ
305: 2016/09/14(水) 23:31:59 ID:d4M6/tPI
―――巫女カフェ店内
男「ここは私の店だ、どうしようと勝手だと思うが?」
C子「来月で借金は返し終わるはずです! なのに今になってそんな・・・」
男「この巫女カフェの土地を二千万で買うと言っている人がいてね」
巫女B「賠償金の返済が終わったらこの土地を返すって言ったじゃないですか!」
男「差額を君たちが用意すれば良いじゃないか? そしたらこの土地はC子君のものだ」
C子「そんな! 」
巫女A「卑怯です!」
男「まぁまぁ、不動産屋も駅前に巫女カフェ用の場所を新たに提供してくれると言ってくれている」
巫女A「もしかして、はじめから土地を返すつもりなんて無かったんじゃ・・・」
男「おいおい失礼だな。 こっちはビジネスなんだよ」
C子「ビジネスですって!?」
男「条件の良い方と契約するのは当たり前だろ?」
306: 2016/09/14(水) 23:32:51 ID:d4M6/tPI
カランコロン
C子「!?」
巫女B「あっ、神ちゃん!」
男「なんだ、バイトか。 どうしたんだこんな遅くに」
神様「ちょっと近くまで来たから」
C子「ゴメン神ちゃん、ちょっと取り込んでて・・・」
男「私の話は終わったから帰らせてもらう。 今週中に荷物はまとめておけ」スタスタ
カランコロン
307: 2016/09/14(水) 23:33:44 ID:d4M6/tPI
C子「・・・・・・」
巫女A「ゴメン、神ちゃん。 もしかして聞いてた?」
神様「丸聞こえだった」
C子「ごめんなさいね・・・ バイト採用したばっかりだったのに」
神様「大丈夫、この神ちゃんに全てお任せ!」
C子「?」
神様「神宮の力の見せ所だ!」
C子「神宮?」
神様「あ~ 隠すつもりはなかったんだけど、私と犬ころは神宮から来たの」
巫女B「神宮で巫女してたんだよね?」
神様「チッ、チッ、チッ。 今も神宮に籍があるんだナウ」
308: 2016/09/14(水) 23:34:53 ID:d4M6/tPI
巫女B「え? 神ちゃん神宮の人なの!?」
神様「うん。 よわよわ稲荷が無実の罪で廃社になった件について調査中」
C子「!?」
巫女B「神ちゃん、なんでその事!?」
神様「私の調査能力を甘く見ちゃだめよん」
神使「あの・・・ 私がほとんど調べたのですが・・・」
神様「知ってるよ。 ここに一日中入り浸ってたのはその為だろ?」
神使「・・・・・・」
神様「ちなみに、私がここで稼いだお金を綺麗に還元してた事も知ってる」
神使「ご存じだったのですか?」
神様「腐れ犬ころの分際で、私に隠し事をするなんて二千年早いわ」
309: 2016/09/14(水) 23:35:52 ID:d4M6/tPI
神使「C子さん、事情は大体把握しています」
C子「折角で悪いけど・・・ もう神宮でもどうにもならないの」
神様「犬ころ」
神使「はい」
神様「明日神宮に連絡して、よわよわ稲荷の廃社手続きに不備がないか徹底的に洗い出すように言ってくれ」
神使「廃社申請書類ですか?」
神様「あぁ、徹底的にだ。 どんな小さなミスも見逃さないように念を押せ」
神使「はぁ・・・」
C子「ちょ・・・神ちゃん!?」
310: 2016/09/14(水) 23:37:21 ID:d4M6/tPI
神様「もう一つ、おらおら神社の神宮との包括契約の解除申請についても調べ直すように手配しろ」
神使「分かりました。 法規室にチェックしてもらいます」
神様「神様機構の長官でも内宮神の名でも何でも使え」
神使「そこまでですか!?」
神様「善良な神社が廃社になった。 絶対に許せない」
神使「・・・・・・」
神様「神宮が許可を出さなければこんな事にはならなかった。 神宮の責任が一番重いことを一緒に伝えておけ」
神使「承知いたしました」
神様「明日中に何が何でも申請不備を見つけ出して結果を出させるんだ」
神使「はい」
C子「・・・・・・」
312: 2016/09/15(木) 22:47:44 ID:02jH5Q.c
神様「さてと、暴露ついでにもう一つ話しておく事がある」
巫女B「もう一つ?」
神様「犬ころ、狛犬になれ」
神使「はい」ボンッ
C子「!?」
巫女A「え!?」
巫女B「うそ!」
313: 2016/09/15(木) 22:48:56 ID:02jH5Q.c
神様「こいつは神宮の犬ころ」
神使「・・・神宮所属の狛犬で神使と申します」ボンッ
巫女B「うわっ! 人の姿に戻った!」
神様「そして、私は内宮神籍の神。 名をかわゆい神ちゃ―――」
巫女B「すごーい! 神使さんって本当にいたんだ~」
C子「神使って、伝説上の存在かと思っていました」
神様「あの・・・」
巫女A「あっ、ごめんね神ちゃん」
巫女B「神使さんとお知り合いなんて神ちゃん何者?」
神様「いや・・・ だから神宮の神・・・」
C子「・・・・・・」
314: 2016/09/15(木) 22:49:44 ID:02jH5Q.c
巫女B「嫌だな~ 神ちゃん、そんなの冗談でも言っちゃダメだよ。 神さまに失礼だよ?」
神様「本当なの! 神宮の神なの! かわゆい女神なの!」
巫女A「またまた~ 相変わらず面白いんだから」
神様「よ~し! 証拠だ! 証拠を見せてあげる」ズカズカ
ギィ
神様「我、神体の神力を解放す!」
ポワポワ
315: 2016/09/15(木) 22:50:50 ID:02jH5Q.c
C子「!?」
巫女A「ご神体が光ってる!」
神様「どう? 信じてもらえた?」
巫女B「神ちゃんが、神宮の神さま!?」
巫女A「本当に!?」
神様「うん」
C子「そんな・・・ !!」ハッ
C子「」フカブカ
巫女A・B「」フカブカ
神様「あ~ そういうのやめて? 苦手だから」
神使「神様は堅苦しいのが苦手なので、今まで通りダメ巫女という体で接してあげて下さい」
神様「お前、一言余計なんだよ」ゲシッ
316: 2016/09/15(木) 22:51:57 ID:02jH5Q.c
巫女A「でも、神って普通姿を見せないって聞いた事が・・・」
神様「・・・・・・わ、私は特別なの」
神使「神と言っても自身の神力が使えませんので、姿を消す事が出来な―――」
神様「アッチョー」ゲシッ
神使「痛っ!」
C子「・・・・・・」
巫女B「でも、おらおら神社で巫女舞を・・・」
巫女A「巫女の作法も完璧だったし・・・」
神様「優秀な神は巫女の仕事も完璧にこなせるの!」
神使「神宮が誇るダメ神なので、巫女の仕事しか任せてもらえないんで―――」
神様「お前! 黙ってろや!!」ゲシッ ゲシッ ゲシッ
神使「痛っ! 痛いですよ、神様!」
317: 2016/09/15(木) 22:52:38 ID:02jH5Q.c
C子「・・・・・・」ジトー
巫女A「・・・・・・」ジトー
巫女B「・・・・・・」ジトー
神様「うっ! なにこの突き刺さる“こいつ本当に神かよ~”な視線・・・」
神使「・・・・・・」ジトー
神様「なんで犬ころまで半信半疑なんだよ!」
318: 2016/09/15(木) 22:53:30 ID:02jH5Q.c
神使「しかし神様、正体までばらしてどうされるんですか?」
神様「みんなの願いを聞いちゃったからね~」
C子「え?」
神様「C子さん、巫女ちゃん達、それからここに来た沢山のお客さんの願い・・・」
神様「こここまで大勢の人が一つのお願いをしてるんだ・・・ 叶えないなんて神失格だと思う訳よ」
神使「しかし、さすがに今回ばかりは神宮の力を使っても・・・ 民間の契約絡みですから証拠が・・・」
神様「そこで、これだよ」
ポワポワ
319: 2016/09/15(木) 22:54:56 ID:02jH5Q.c
神使「ご神体・・・」
神様「そう」
神使「“事の顛末を全て見てきたもの”というのはご神体の事ですか・・・」
神様「神体は絶対に嘘はつかない」
神使「しかし、さすがに神体の力を証拠にするのは・・・」
神様「神宮へ説明するのはこれで十分だ」
神使「神宮は良いとしても、一般的には・・・」
神様「ふふふっ・・・ その為にあるのが神罰なのだよ、神使君や」ニヤッ
321: 2016/09/17(土) 06:42:32 ID:.GkW9/GU
―――翌日・廃神社
テクテク
?「ここか・・・」
ギィ
?「誰かいる~?」
神様「後ろ」ヌゥ
?「うわっ! ちょっとビックリさせないでよ!」
神様「めんごめんご、 悪いね呼び出して」
?「本当だよ、すごく疲れたんだけど・・・」
神様「エキノコックスも年だもんなぁ」
?「狐神だコラ」ゲシッ
神様「あうっ」
322: 2016/09/17(土) 06:43:48 ID:.GkW9/GU
狐神「で、どうしたの? あんたが呼び出すなんて珍しい」
神様「ちょっと見てもらいたい物があって、一緒に来てくれる?」
狐神「私、長旅から到着したばかりなんだけど・・・ お茶くらい出してよ」
神様「あ? ココ廃神社だぞ? 六畳の本殿だけで台所なんかねーよ」
狐神「あんた、相変わらず狭いところ好きね」
神様「お前みたいに金持ちじゃねーんだよ! 従一位狐神さんよ~」
狐神「はいはい、ごめんなさいね」
323: 2016/09/17(土) 06:44:44 ID:.GkW9/GU
神様「・・・・・・」
狐神「?」
神様「・・・お前ここまでどうやって来たの?」
狐神「普通に電車に乗ってきたけど」
神様「え!? その格好で?」
狐神「か、神なんだから外出する時だってそれなりの格好じゃないとダメでしょ」
神様「凄い注目浴びなかった?」
狐神「・・・・・・」
324: 2016/09/17(土) 06:46:16 ID:.GkW9/GU
神様「何時代からタイムスリップしてきたんだよ・・・」
狐神「電車に乗って移動するなんて初めてだったから・・・///」
神様「よくここまで一人で来れたな」
狐神「うちの巫女にそこまで一緒に来てもらった・・・」
神様「あっ、そうなんだ」
狐神「こんな遠くまで来るなんて100年ぶりだし」
神様「でも、その格好はさすがの私でも引かざるを得ないんだけど・・・」
狐神「・・・///」
神様「私のジャージ貸そうか?」
狐神「うん」
325: 2016/09/17(土) 06:49:29 ID:.GkW9/GU
―――巫女カフェ
カランコロン
神様「ども~」
C子「あっ、神ちゃん」
狐神「お邪魔する」
C子「? 神ちゃん、そちらの方は?」
神様「エキノコックス」
狐神「狐神だ! ちゃんと紹介しろ!」ゲシッ
神様「あうっ」
C子「えっ!?」
326: 2016/09/17(土) 06:52:43 ID:.GkW9/GU
狐神「私は、あいあい神社の主神で従一位の狐神という」
C子「従一位って・・・」
巫女A「まさか、神さま!?」
巫女B「私、神さまって始めてお会いしました!」
狐神「普段は姿を見せぬからな、無理もない」
C子「」フカブカ
巫女A・B「」フカブカ
狐神「そんなに畏まらなくても大丈夫だ。 楽にしてくれ」
神様「・・・・・・」
狐神「ん? あんたは正体話してないの?」
神様「昨日話したつもりなんだけど・・・ あれ? おかしいなぁ?」
狐神「・・・・・・」
327: 2016/09/17(土) 06:53:36 ID:.GkW9/GU
狐神「しかし、随分と変わった所だな・・・」キョロキョロ
巫女B「狐神さま、ジャージ姿だね」ボソッ
巫女A「やっぱり今時の神さまって着る服も現代に合わせるんだね」ボソッ
狐神「・・・・・・」
神様「ぷっ」ニヤニヤ
狐神「!!」ゲシッ
神様「あうっ」
328: 2016/09/17(土) 06:55:46 ID:.GkW9/GU
狐神「で! 何を見せてくれるんだ?」
神様「ちょっと神体を見てもらいたくって」
狐神「神体?」
神様「うん。 五年分くらいの記録をサラッと覗いてくれる?」
狐神「五年分って・・・ そんな簡単に言われても」
神様「あ? そのくらい一瞬で出来るだろ?」
狐神「あんたみたいに、どの神体もほいほい扱える訳じゃないんだから・・・」
神様「大丈夫だって、ちょっと覗いてみ?」
狐神「へいへい」
ギィ
狐神「へぇ~ 結構古そうな神体だね」
神様「800年くらいかな~?」
329: 2016/09/17(土) 06:57:02 ID:.GkW9/GU
狐神「じゃぁ早速。 神体の神力を解放する」
ポワポワ
狐神「おっ、稲荷系のご神体じゃん。 私の神力によく馴染んで心地いい♪」
神様「だから言っただろ?」
狐神「神体よ、我が望みを受け答えたまえ!」
ポワポワ ポワポワ
狐神「・・・・・・」
神様「どう?」
狐神「これ・・・ 本当なのか?」
神様「お前のお膝元である稲荷の分社がこんな仕打ちを受けちゃったの」
狐神「・・・・・・」
330: 2016/09/17(土) 06:58:00 ID:.GkW9/GU
神様「酷くない?」
狐神「久しぶりに不愉快だな」
神様「しかも、こんなに強い皆の願いを無視する訳にはいかんでしょ? “神”ならば」
狐神「そうだな、神としての腕の見せ所だな」
神様「よし! その調子!」
狐神「でも、おらおら神社はギッタンギッタンにするとしてよわよわ稲荷はどうする気?」
331: 2016/09/17(土) 06:59:18 ID:.GkW9/GU
神様「それは~」サササッ
狐神「なによ、急に寄ってきて気持ち悪い・・・」
神様「再建させるに決まってんじゃん」ボソッ
狐神「はぁ!?」
神様「声でけーよ! みんなに聞こえちゃうだろ?」シーッ
狐神「ゴメン。 でも、再建って・・・」ボソッ
神様「稲荷系の神社だよ? お前の管理社だよ?」
狐神「だから?」
神様「お前の金で再建させるのが筋だろ」
狐神「・・・・・・」
332: 2016/09/17(土) 07:00:39 ID:.GkW9/GU
神様「本当は私が自腹で再建したいんだけどさぁ~ この前別の神社を復興させて金無いんだよ」
狐神「あんたが自腹で!?」
神様「だから、うるせーって!」
狐神「あっ、ごめん」ボソッ
神様「1億円もかかっちゃってさぁ~ 60年のローン組んだし」
狐神「え、偉いじゃん・・・」
神様「金に縁の無い私がだよ? 主神でもない神社を自腹で建て直したんだよ?」
狐神「・・・・・・」
333: 2016/09/17(土) 07:02:55 ID:.GkW9/GU
神様「この神社は何系?」
狐神「稲荷」
神様「お前は何系?」
狐神「・・・稲荷」
神様「ご神体は?」
狐神「・・・・・・稲荷」
神様「再建するのは?」
狐神「・・・・・・・・・稲荷?」
神様「さすが、稲荷の頂点、狐神だ!」カッ カッ カッ
狐神「ハァ~・・・ 分かったわよ。 なんとかする」
337: 2016/09/17(土) 23:49:13 ID:.GkW9/GU
カランコロン
神使「神様! こちらでしたか」
神様「犬ころじゃん、どこ行ってたんだ?」
神使「神宮から書類が届いていたので郵便局の方へ」
神様「ふ~ん」
神使「あれ? 狐神様じゃないですか。 どうしてこちらに?」
狐神「このダメ神に呼び出された」
神様「一応よわよわ神社は稲荷系だから狐神に話はしておこうと思って」
神使「そうでしたか、よろしくお願いします狐神様」ペコリ
狐神「あっ、うん・・・」
338: 2016/09/17(土) 23:50:20 ID:.GkW9/GU
神様「で、どうしたんだ?」
神使「神宮からよわよわ稲荷の廃社申請書類と、おらおら神社の契約解除書類の検証結果が届きました」
神様「お~ 早かったな」
神使「まず、よわよわ神社の廃社申請書類ですが書類上の不備が確認できました」
神様「いいね~」
神使「廃社申請書に記載されているよわよわ稲荷の宮司名が、おらおら神社の宮司になっていまして」
神様「よわよわ稲荷の代理宮司はおらおら宮司だから問題ないんじゃないの?」
神使「神宮に登録されていたよわよわ稲荷の宮司名と違うんです」
神様「ごめん・・・ よく分かんない」
339: 2016/09/17(土) 23:51:25 ID:.GkW9/GU
神使「5年前のよわよわ稲荷宮司のお名前はC夫さんと登録されております」
C子「それ、私の父です」
神様「お亡くなりになって、おらおら宮司が代理宮司になったんだろ?」
神使「いえ、帰幽される直前だと思うのですが宮司変更がC夫さんから神宮に出されていまして」
C子「え!?」
神使「よわよわ稲荷の宮司はC子さんで申請が出ていました」
神様「・・・・・・」
340: 2016/09/17(土) 23:52:54 ID:.GkW9/GU
狐神「皆に愛される神社をC子が作っていく事を願う・・・」
C子「狐神様?」
狐神「帰幽される直前、神体に祈願された父上の願いだ」
C子「・・・・・・」
神様「と言う事は、おらおら宮司は廃社申請の資格がないと・・・」
神使「そういう事になります」
C子「お父さん・・・ 私、大切な神社を・・・」
狐神「古き物を守るのも大事だが・・・ お前が新しく歴史を作っていけば良い。 父上もそれを望まれている」
C子「狐神様・・・」
341: 2016/09/17(土) 23:53:32 ID:.GkW9/GU
神様「神宮とおらおら神社の契約解除に関してはどうなんだ?」
神使「それが・・・」
神様「?」
神使「神様機構の長官から預からせて欲しいと」
神様「預かる?」
神使「はい、後ほど神様宛に通達を出すそうです」
神様「ふ~ん」
342: 2016/09/17(土) 23:54:14 ID:.GkW9/GU
狐神「どうすんの、神ちゃん?」
神様「決まってんじゃん」
狐神「?」
神様「楽しい神ちゃんショーの始まりだ」ニタァ
343: 2016/09/17(土) 23:55:04 ID:.GkW9/GU
―――夜・おらおら神社・社務所
巫女長「今日は凄い霧だな・・・」
コンコンッ
巫女長「?(こんな遅くに誰だ?)」
ガラガラ
巫女長「どなたですか?」
344: 2016/09/17(土) 23:56:17 ID:.GkW9/GU
狐神「夜分遅くに失礼します」ペコリ
巫女長「本日は業務が終了してますので明日お越し頂けますか」
狐神「では、ご案内だけ」
巫女長「案内?」
狐神「この神社に神罰を下します」
巫女長「何を言ってるんだ?」
狐神「巻き込まれたくなければ今日中にお逃げなさい」
巫女長「・・・・・・」
狐神「これは警告です」
巫女長「ふざけた事を言っていると警察を呼ぶぞ?」
狐神「好きになさい。 では私はこれで」
スゥー
巫女長「!? 消えた!」キョロキョロ
345: 2016/09/17(土) 23:57:35 ID:.GkW9/GU
―――社務所裏
スタスタ
狐神「これで良い?」
神様「上出来! さすがコックスは演技派だねぇ~」パタパタ
狐神「うまく消えたように見えたでしょ」
神使「さっきからドライアイスで煙を出していた理由はこれですか・・・」パタパタ
狐神「これが結構効果的なんだよね」
神使「でも、狐神様は神力が強いのですから消える事くらい出来るのでは?」
狐神「あ~ 管理地外だから神力使うには事前申請が必要なの」
神使「・・・そうなんですか」
346: 2016/09/17(土) 23:58:37 ID:.GkW9/GU
神様「さてと、じゃぁ始めますか」
神使「あの、神罰ってどうやって下すんです?」
神様「まずは~」ヨイショ
神使「ずいぶん大きな風呂敷ですね・・・ 中に何が入ってるんですか?」
神様「ん? これ」ジャラジャラ
神使「鎌? しかもこんなに沢山」
神様「犬ころ、これをそこら辺の木に突き刺してこい」
神使「・・・はい?」
347: 2016/09/17(土) 23:59:39 ID:.GkW9/GU
神様「この鎌を木に突き刺してこいって言ったの!」
神使「なんでそんな事を・・・」
神様「なんか呪いっぽくね?」
神使「呪いって・・・ 神罰を下すのでは?」
神様「お前さぁ、なにか勘違いしてない?」ハァ
神使「?」
神様「神罰って神力を使って天罰を起こすとか思ってんじゃないの?」
神使「・・・違うのですか?」
神様「そんな事出来ねぇよ、アホか」
神使「えっ?」
348: 2016/09/18(日) 00:01:03 ID:QmM0FW12
狐神「残念だけど、神力で人を苦しめるような事は出来ないの」
神使「では、神罰は・・・」
神様「人力、っていうか神がするからある意味神力?」」
神使「・・・・・・」
神様「分かったら早くこれ突き刺してこい。 時間ないんだから」
狐神「あっ、神使君」
神使「な、何でしょうか」
狐神「これに着替えてくれる?」バサッ
神使「・・・これって」
狐神「白装束、あと頭にこのペンライト巻き付けて」
神使「・・・・・・」
349: 2016/09/18(日) 00:01:49 ID:QmM0FW12
神様「おっ、いいね~ なんか本格的じゃん」
狐神「出来れば誰かに見つかるくらい音を立ててもらえると効果あるんだけど、お願いできる?」ニコッ
神使「・・・・・・」
神様「じゃ、私達別の仕掛けしてくるから後で合流な」スタスタ
狐神「よろしくね、出来るだけ怖がらせてね」スタスタ
神使「これ、ただの悪戯じゃないですか・・・」
351: 2016/09/19(月) 02:49:13 ID:qdw4bf0I
―――翌日・おらおら神社
神様「おはよ~」テクテク
巫女A「あっ、神ちゃん」
ザワ ザワ
神様「どしたの?」
巫女B「それが・・・」
352: 2016/09/19(月) 02:51:18 ID:qdw4bf0I
神様「うわ~ 木にいっぱい鎌が刺さってる~ 怖ーい(棒)」
巫女B「昨日の夜に、男の人が打ち付けてるのを神職の人が見たって・・・」
巫女A「しかも周りにこの紙がいっぱい落ちてて」
神様「どれどれ? “呪”か・・・」
巫女B「怖いよね」
神様「あいつ、なんだかんだ言って結構ノリノリじゃん」ボソッ
巫女A「神ちゃん?」
神様「神罰だよ」
巫女B「じゃぁこれって・・・」
神様「間違いない」
巫女A「狐神さまの神罰・・・」
神様「アイツの神罰ってえげつないんだよね~」ニヤッ
巫女A・B「・・・・・・」ブルッ
353: 2016/09/19(月) 02:52:10 ID:qdw4bf0I
―――社務所
神様「今日の朝一って、あくあく不動産の商売繁盛の祈願だよね」
巫女B「うん、私達を補佐に付けるなんて嫌がらせとしか思えないよ・・・」
巫女A「本当・・・」
神様「大丈夫。 今日はきっとエキサイチングな祈願になるよ」
巫女A・B「?」
神様「うひゃひゃ」
354: 2016/09/19(月) 02:53:27 ID:qdw4bf0I
―――拝殿
巫女長「では、あくあく不動産の商売繁盛のご祈祷を執り行います」
社長「巫女カフェ跡にパチOコ店を立ち上げるんだ。 しっかり頼むよ?」
男「巫女長、社長から果物を頂いた。 祭壇に一度上げておけ」
巫女長「はい」スタスタ
コトッ
355: 2016/09/19(月) 02:54:34 ID:qdw4bf0I
ミシミシ
ガシャーン! ガラガラ
巫女長「えっ!?」
男「!?」
巫女A「祭壇が!」
巫女B「壊れた!」
神様「あー 祭壇の足がポッキリ折れてるー(棒)」
社長「おい、なんだこれは! 縁起でも無い!」
男「すぐに新しい祭壇を準備しろ」
巫女長「は、はい」
神様「」ニヤッ
356: 2016/09/19(月) 02:56:16 ID:qdw4bf0I
―――授与所
巫女長「今日は一体どうなっているんだ・・・」ハァ
~この神社に神罰を下します~
巫女長「・・・まさかな」フッ
『あら、まだ居たのですか?』
巫女長「!? この声は、昨日の!」
『仕方ありません。 あなたにも神罰を下さねばならないようです』
巫女長「な、何を言っている! どこに居るんだ!」キョロキョロ
『この神社は神の怒りを買った。 稲荷の屈辱を思い知るが良い』クッ クッ クッ
巫女長「・・・・・・っ」ゾクッ
357: 2016/09/19(月) 02:57:14 ID:qdw4bf0I
―――授与所・裏手
狐神「最後の警告です。 すぐにここから立ち去りなさい」
神使「・・・・・・」
狐神「これで良しっと」ポチッ
神使「何の為のマイクかと思ったら・・・」
狐神「昨日授与所の足下にスピーカーを取り付けておいてね」
神使「どこでそういう方法を調べたんですか・・・」
狐神「これも結構効果あるんだよ~?」
神使「確かに、姿が見えないのに声が聞こえたら怖いですよね・・・」
358: 2016/09/19(月) 02:58:01 ID:qdw4bf0I
タッ タッ タッ
神使「あっ、巫女長さんが」
狐神「血相変えて逃げてったね」
神使「効果覿面ですね・・・」
狐神「さてスピーカー回収しないと。 神使君、その箱もって一緒に表に行くよ」スタスタ
神使「えっ?」
359: 2016/09/19(月) 02:59:06 ID:qdw4bf0I
―――数分後
男「どうしたんだ、こんな所まで連れてきて」
巫女長「いえ、気になる事がありまして」
男「!? 何だこれは!」
巫女長「お守りが! いつの間に!?」
神様「どうしたの~ 大きな声出して」トテトテ
巫女B「うわっ! お守りが全部黒い!」
巫女A「“呪”って書いてある・・・」
巫女長「さ、さっきまで普通のお守りだったのに」オロオロ
360: 2016/09/19(月) 03:00:06 ID:qdw4bf0I
男「・・・・・・と、とにかく片づけろ!」
神様「ダメ!」
巫女B「神ちゃん?」
神様「これ・・・ 触らない方が良い」
男「何だと?」
神様「前に神宮の大宮司から聞いた事ある。 手にした者の寿命を吸い取る呪い袋だよ」
巫女長「!?」ゾクッ
男「お前達、早くこれを捨てるんだ!」
巫女長「すいません・・・ わたし、体調が悪いので今日は帰らせて頂きます」スタスタ
男「おい! 巫女長」
361: 2016/09/19(月) 03:01:01 ID:qdw4bf0I
神様「私、扱い方知ってるから片付けても良いよ?」
男「じゃぁ、ここは頼んだ」スタスタ
神様「はーい」ニヤッ
巫女B「巫女長、顔真っ青だったね」
巫女A「神ちゃん、これもやっぱり神罰?」
神様「そだねー 怖いよねー」テキパキ
巫女B「え? そんな普通に手に取って大丈夫なの?」
神様「うん。 呪いなんかある訳ないじゃ~ん」
巫女A・B「・・・・・・」
362: 2016/09/19(月) 03:01:50 ID:qdw4bf0I
神様「コックス~ 居るんだろ~?」
狐神「だから狐神だって言ってんだろーが!」ゲシッ
神様「あうっ」
狐神「ちょっとやり過ぎたか?」
神様「いや、今日巫女長はここにいない方が都合が良い」
狐神「ふ~ん。 あっ、それこの箱にちゃんと戻して」
神様「これ面白いな。 私も欲しい」
狐神「特注品だから結構高いよ?」
363: 2016/09/19(月) 03:03:06 ID:qdw4bf0I
ピロリロリン♪
神様「ん? メールだ」ゴソゴソ
狐神「どこから?」
神様「神様機構・・・ 長官だ」
狐神「長官君?」
神様「ほぉ~ 神宮もやるときはやるじゃん」
狐神「?」
神様「二人にお願いがあるんだけど、良い?」
巫女A「私達?」
神様「うん。 おらおら宮司を本殿に呼び出して欲しいんだけど」
狐神「呼び出してどうするの?」
神様「最終決戦だよ。 まぁ私に勝てる訳なんか無いんだけどね~」
364: 2016/09/19(月) 03:05:27 ID:qdw4bf0I
ようやく終わりが見えてきて一安心……
370: 2016/09/20(火) 00:00:39 ID:9PG6lyqg
―――夕方・本殿
ギィー
神様「おっ、いらっしゃ~い」
男「私を呼び出したのは君か?」
神様「うん、あとこいつも」
狐神「こんにちは」ニコッ
男「誰だ?」
狐神「私は稲荷を管理する従一位で狐神という」
男「狐神?」
狐神「神を目の前にするのは初めてのようだな、不作法者め」
男「何を馬鹿げた事を」ハハッ
371: 2016/09/20(火) 00:02:23 ID:9PG6lyqg
狐神「宮司のくせにその年になって神を目にした事がないなど、お前本当に神職か?」
男「失敬な女だな。 そんな戯言など子供にすら信じてもらえないぞ?」
狐神「まぁ良い、信じる信じないは人の勝手だ」
男「お遊びに付き合っている暇はない。 帰るぞ?」
神様「ねぇねぇ、おらおら神社に下された神罰はどう?」
男「神罰? ハッ、あんな子供騙しなど」
神様「ほぉ~」
男「・・・まさか、お前の仕業か? 何が目的だ」
372: 2016/09/20(火) 00:04:41 ID:9PG6lyqg
狐神「我の分社であるよわよわ稲荷を潰した責任を取ってもらおうと思ってな」
男「責任?」
神様「も~ 分かってるくせに」
男「C子から何を聞いたのか知らんが、お前達には関係の無い事だ」
狐神「そうかな?」
男「残念だが、よわよわ稲荷は事故が原因で廃社になったんだよ。 全く惜しい事だ」
狐神「その社を売り飛ばすなど言語両断だ!」
男「賠償金が巨額だったものでね。 他に方法がなかったのだ。 苦渋の決断だったよ」
神様「賠償金を払う事が目的でよわよわ稲荷を売り飛ばしたんだな?」
男「随分と含みのある言い方だな」
神様「ちゃんと払われたのかな~?」
男「・・・なんだと?」
神様「賠償金。 ちゃんと払われたのかなぁ、って思って」
男「無関係の人間が変に首を突っ込まないほうが良いぞ?」
373: 2016/09/20(火) 00:06:16 ID:9PG6lyqg
神様「それが、無関係じゃないんだな~」
男「どう関係があると言うんだ?」
神様「私達さぁ、実は神宮の者なんだよね~」
男「神宮だと?」
神様「うん」
男「なら、なおさら関係の無い話だな。 ここは神宮の管理外の神社だ」
神様「あ~ そうだったっけ?」
男「残念だな」ニヤッ
374: 2016/09/20(火) 00:06:50 ID:9PG6lyqg
神様「オッケ~ それじゃぁ面白い物見せてあげる」
男「一体何だ」
神様「まずはこの紙」ペラッ
男「?」
神様「本日付で発行された、よわよわ稲荷の廃社申請取り消し通知書」
男「なに?」
375: 2016/09/20(火) 00:08:31 ID:9PG6lyqg
神様「当時神宮に出された廃社申請に不備があったんだよね~」
男「そんな訳ないだろ」
神様「申請宮司名がお前になってんだよ」
男「だからなんだ? 何もおかしい事はないじゃないか」
神様「よわよわ稲荷の宮司はC子さんなんだよ」
男「何をバカな事を、よわよわ稲荷の宮司が亡くなる直前に私が代表宮司になっている。 C子の父親が申請を出したはずだ」
神様「いや~ 残念だけどその時に申請された書類にはC子さんを宮司にするって書かれてんだわ」
男「・・・・・・」
神様「つまり、この廃社申請はよわよわ稲荷の宮司じゃないお前が勝手に作った書類ってわけ」
男「あの野郎、勝手な事を・・・」イラッ
狐神「本性が現れてきた?」
男「・・・・・・」
376: 2016/09/20(火) 00:09:29 ID:9PG6lyqg
神様「それと、おらおら神社の神宮契約の通知書類、これも無効~」ペラッ
男「無効だと?」
神様「契約解除通知を出す2日前まで遡ってお前は神職階位剥奪。 つまりこの書類を出す資格無し」
男「何を馬鹿げた事を。 廃社書類といい、そんな事を今さら言われて効力あると思ってんのか?」
神様「うん。 だってお前犯罪を犯したんだもん」
男「犯罪? 随分と名誉毀損な事を言ってくれるじゃないか」
神様「事故で負傷したとされる不動産屋の社員の保険金、お前も受け取ったろ」
男「・・・・・・」
神様「しかも賠償金も払われていないよな」
男「・・・・・・」
377: 2016/09/20(火) 00:10:16 ID:9PG6lyqg
神様「よわよわ稲荷の土地を売り飛ばしたお金も全部自分の懐に入れたんだろ?」
男「証拠でもあるのか?」
神様「少なくとも神宮を動かすだけの証拠はある」
男「神宮限定じゃ法には裁けないぞ」
神様「お前さぁ、神宮ナメちゃだめだよ?」
男「・・・・・・」
神様「おらおら神社は神宮との包括契約が無効になった事で今は神宮管理下なんだよね~」
狐神「つまり、神宮がおらおら神社を徹底的に調べることが可能になったわけだ」
男「くっ!」
378: 2016/09/20(火) 00:11:03 ID:9PG6lyqg
神様「鳥居の前に黒塗りの車が止まってるだろ?」
男「?」クルッ
神様「あれ、な~んだ?」
男「・・・・・・」
神様「神宮を敵に回すとめっちゃ怖いからね?」
男「・・・何が望みだ。 金か?」
狐神「この期に及んでまだそんな事を!」
神様「まぁまぁコックス君や、そう慌てなさるな」
狐神「でも!」
神様「おらおら宮司さんよ~ 私と取引しない?」ニヤッ
382: 2016/09/20(火) 22:16:21 ID:9PG6lyqg
―――翌日・巫女カフェ
カランコロン
神使「失礼いたします」
神様「ハロ~」
C子「あっ、神ちゃんに神使さん!」
巫女B「大変だよ神ちゃん!」
神様「ん? どしたの?」
巫女A「それが、あくあく不動産経由でC子さんにこの土地の権利書が届いて」
神様「良かったじゃん」
383: 2016/09/20(火) 22:17:19 ID:9PG6lyqg
C子「・・・神ちゃん、何かした?」
巫女A「昨日、本殿でおらおら宮司と何の話したの?」
神様「ここの土地くれって」
巫女B「そんな簡単に言って、返してくれる訳ないじゃん・・・」
神使「よわよわ稲荷の廃社申請が取り消しになりましたから、土地が戻ってきただけですよ」
C子「神ちゃん・・・ ありがとう」
巫女B「神社は無くなっちゃったけど、土地だけでも戻ってきて良かった」
巫女A「そうだね」
384: 2016/09/20(火) 22:18:08 ID:9PG6lyqg
カランコロン
狐神「無くなってなどいないぞ?」
C子「狐神様!」
?「ほぉ~ こりゃ面白い作りの喫茶店だなぁ」
神様「あっ! 棟梁だ!」
棟梁「お~ また会ったな」
神使「のんびり村の時はお世話になりました」
棟梁「良いって事よ。 あの神社良い出来だったろ?」
神使「えぇ・・・ おかげさまで・・・」
神様「・・・・・・」
385: 2016/09/20(火) 22:19:42 ID:9PG6lyqg
棟梁「立て続けに神社作らせてもらえるなんてありがてぇ」
神様「コックス君? もしかして、棟梁に神社頼むの?」
狐神「当たり前だろ。 神社を作らせて棟梁の右に出る者はいない」
神様「まぁ・・・ そうだけどさぁ・・・」
狐神「棟梁、頼んだ。 全てお前に任せるから好きにしてくれ」
棟梁「任せな!」
神使「あっ・・・ その言葉は・・・」
神様「棟梁! 最高の稲荷神社にしてくれ!」
棟梁「おうよ! 一番立派な稲荷にしてやる!」
神使「・・・・・・」
386: 2016/09/20(火) 22:21:03 ID:9PG6lyqg
C子「ちょっと神ちゃん! 神社を作るって・・・ え!?」
神様「よわよわ稲荷の再建だ」
巫女B「うそ!?」
巫女A「よわよわ稲荷が!?」
C子「再建・・・」
狐神「当たり前だろ。 おまえ達、人の願いを叶えるためにいるのが私達神の務めだ」
神様「良い事言うね~ さすが従一位エキノコックス!」
狐神「狐神だ!」ゲシッ
神様「あうっ」
神使「あの、狐神様?」
狐神「何だい? 神使君」
神使「神専用神社建て替えローンは100年までですから注意して下さいね・・・」
狐神「?」
387: 2016/09/20(火) 22:22:25 ID:9PG6lyqg
神使「では神様、御神勅をお願いできますでしょうか」
神様「そうだな。 狐神、神勅を」
狐神「何言ってんのよ、あんたが出しなさい。 言い出しっぺでしょ」
神様「私が出しても良いの?」
狐神「私より、あんたの神勅の方が重いでしょ」
神様「んじゃ、お言葉に甘えて」
388: 2016/09/20(火) 22:23:51 ID:9PG6lyqg
神様「神勅を申し伝える!」
神使「」フカブカ
狐神「ほら、あなたたちも。 神宮の神からの神勅よ?」
C子「」フカブカ
巫女A・B「」フカブカ
神様「不当な理由により廃社となったよわよわ稲荷の社位を二段階上げ再建する事とする」
神様「再建されるよわよわ稲荷神社の宮司をC子に任命、神宮はその管理をすべて宮司に委ねる」
C子「!?」
389: 2016/09/20(火) 22:24:46 ID:9PG6lyqg
神様「また、おらおら神社をよわよわ稲荷の管理下に置き、C子が宮司を兼任する人事を合わせて発令する」
巫女B「うそ!」
狐神「ゴホン!」チラッ
巫女B「ぁ・・・」フカブカ
神様「と、ここまでは神様機構の長官経由で決定していて神宮の許可まで出ているんだけど~」
狐神「?」
神様「さらに、私から神勅を付け加える事とする」
狐神「え?」
390: 2016/09/20(火) 22:26:12 ID:9PG6lyqg
神様「追加の神勅! 再建されるよわよわ稲荷に巫女カフェを併設するものとする」
狐神「・・・・・・はぁ?」
神様「また、かわゆい神ちゃんを名誉巫女店員に任命」
狐神「いや、あんたそれは―――」
神様「うるさいぞ狐神、神勅の発令中だ」
狐神「うっ・・・」
神様「よわよわ稲荷は、様々な取り組みを行う次世代神社として位置づける」
神様「以上、神宮審査神・神様から神勅を申し伝えた!」ドヤッ
棟梁「ほぉ~ 巫女カフェ・・・ 次世代神社・・・ ちょっと予算オーバーするが面白そうだな」
神使「(絶対ちょっとじゃないですよね・・・)」
391: 2016/09/20(火) 22:28:07 ID:9PG6lyqg
狐神「あんた、なに勝手な神勅出してんのよ!」
神様「あ?」
狐神「巫女カフェって何よ! ここ稲荷よ? 私の分社よ!?」
神様「神社は本来、地域に住む氏子達の集会場を兼ねていた」
狐神「だから?」
神様「街に住む皆が気兼ねなく集える場所を作りたい」
狐神「それが巫女カフェって訳?」
神様「今時さぁ、集会場とか作って誰が来るんだよ」
狐神「そりゃそうだけどさぁ・・・」
神様「古き物を守るのも大事だが、新しく歴史を作っていくのも大事なんだろ?」
狐神「・・・・・・」
神様「私達も新しい物を積極的に取り入れていくべきだ」
狐神「神ちゃん・・・ お金出して神社作るの私なんだけど・・・」
396: 2016/09/21(水) 20:59:00 ID:m/Y0H7iA
―――帰り道
テクテク
神使「無事解決できて良かったですね」
神様「かわゆい神ちゃんの手にかかれば全てがOKなのよ♪」
狐神「ハァ~・・・」ゲンナリ
神使「神様に神勅を任せた時点でこうなる事は、ある程度予想できたかと・・・」
狐神「まぁ、それはいいんだけどさぁ」
神使「まだ、何かあるんですか?」
397: 2016/09/21(水) 20:59:42 ID:m/Y0H7iA
狐神「神ちゃん、あんたどういうつもりなの?」
神様「あ?」
狐神「おらおら宮司の件よ!」
神使「そういえば・・・ おらおら神社の宮司さんはどうされたんですか?」
狐神「聞いてよ神使君!」
神使「はい・・・」
狐神「神ちゃん、おらおら宮司を神宮にスカウトしてんの!」
神使「えっ!?」
398: 2016/09/21(水) 21:01:57 ID:m/Y0H7iA
狐神「なんで神宮がクビにしたヤツを神宮に向かえ入れんのさ・・・」
神様「お前も聞いてたろ? 交換条件だよ」
神使「私その場にいなかったので聞いていないのですが、どういう交換条件だったんですか?」
狐神「よわよわ稲荷の土地とおらおら神社の放棄を条件に、全ての問題帳消しとおらおら宮司を神宮の神職として迎える」
神使「それは・・・ 随分とおらおら宮司さんに都合がいい条件ですね・・・」
狐神「警察に突き出すとかいくらでも出来たでしょ?」
神様「あの男、凄いぞ?」
狐神「何、そのアホっぽい言い方・・・」
399: 2016/09/21(水) 21:02:59 ID:m/Y0H7iA
神様「本格的な巫女カフェを作るという発想が気に入ったんだよ」
狐神「はぁ?」
神様「それに、鳴かず飛ばずだったおらおら神社をあそこまで立て直した点も評価できる」
狐神「それは、よわよわ稲荷を潰したおかげでしょうが」
神様「いや、それだけではあそこまで大きく出来ない」
狐神「そりゃそうかも知れないけど・・・」
神様「あいつの能力は高く評価できる。 このまま捨ててしまうのは勿体ないぞ?」
400: 2016/09/21(水) 21:03:45 ID:m/Y0H7iA
狐神「ねぇ神使君、どう思う?」
神使「神様がそう決めたのであれば、きっと正しい選択であったと私は思います」
狐神「さすが神ちゃんの神使だね~ 頭下がるよ」ハァ
神様「大丈夫だよ、神宮でしっかり管理させるから~」
狐神「本当・・・ 神ちゃん優しすぎだよ・・・」
神使「神様から巫女と優しさを取ったら、悪ガキ成分しか残りませんから」
神様「うっせーよ! 極悪邪道腐れ犬ころ変O神使!」ゲシッ
神使「痛っ!」
狐神「全く・・・ 昔から何にも変わらないわね、神ちゃんは」フッ
401: 2016/09/21(水) 21:04:50 ID:m/Y0H7iA
―――翌日・廃神社
神使「神様、忘れ物ございませんか?」
神様「大丈夫」
狐神「あんた達、次はどこいくの?」
神様「どこ行くんだ? 犬ころ」
狐神「あんた、知らないの・・・?」
神様「こいつ、いつも教えてくれないんだよ」
神使「教えてしまうと神様が行くのを嫌がりますので」
神様「つまり、人もいないような超ド田舎って事だと思う」
狐神「そうなんだ・・・」
402: 2016/09/21(水) 21:05:44 ID:m/Y0H7iA
神様「お前はどうすんの?」
狐神「私は、よわよわ稲荷再建の手続きで今週まではここにいる予定」
神様「あっそ。まぁ頑張れや」
狐神「本当は神勅出したあんたがやる事なのよ?」
神様「私がそんな面倒くさい事なんかしないって知ってんだろ?」
狐神「“しない”じゃなくて“できない”でしょ?」
神様「・・・・・・」
神使「さすが狐神様。 神様の事をよく分かっていらっしゃいます」
神様「だから、お前一言多いんだよ! 神罰」ゲシッ ゲシッ
神使「痛っ! 痛いですよ!」
403: 2016/09/21(水) 21:06:46 ID:m/Y0H7iA
狐神「相変わらず良いコンビね」
神様「・・・おい犬ころ、この狐ガブッといったれ!」
神使「何を言っているんですか・・・」
狐神「まっ、元気でね。 何かあったら連絡頂戴」
神様「あぁ、よわよわ稲荷よろしく頼んだ」
狐神「分かったわ」
神様「んじゃ、行くか犬ころ」
神使「巫女カフェの皆さんに挨拶していかなくても良いんですか?」
神様「忙しいだろうし、いいよ」
狐神「みんな寂しがるよ?」
神様「大丈夫だよ」
404: 2016/09/21(水) 21:07:40 ID:m/Y0H7iA
狐神「そう言うと思って、呼んであるんだけどね」
神様「あ?」
テクテク
巫女B「あっ、神ちゃんだ」
巫女A「神ちゃん、この廃神社に住んでたんでたの?」
C子「ここって住むところあったっけ?」
神様「・・・・・・」
狐神「本殿六畳に三人で寝泊まりしてたんだよねー」
神使「神様は広いところが苦手なのでこのくらいの部屋じゃないと緊張し―――」
神様「アチョー」ゲシッ ゲシッ
神使「痛っ!」
405: 2016/09/21(水) 21:08:47 ID:m/Y0H7iA
巫女B「神ちゃんここを立つって狐神様から聞いて」
巫女A「せめて最後にお礼をと思ったの」
神様「そんなの気にしなくて良いのに、私の仕事なんだから」
C子「私達にとっては今後の運命を左右するくらいお世話になったから・・・」
神様「・・・そう言ってもらえると嬉しい」
C子「神様、ありがとうございました」フカブカ
巫女A・B「ありがとうございました」フカブカ
神様「あ~ そういうの照れちゃうから・・・」
C子「でも、何かお礼をしないと」
406: 2016/09/21(水) 21:09:41 ID:m/Y0H7iA
巫女B「私、これから毎日神ちゃんに朝拝と夕拝する!」
巫女A「私も!」
C子「そうね」
神様「いや・・・ そういうの本当やめて下さい・・・」
狐神「神にとっては毎日朝夕挨拶してもらえるなんて嬉しい事じゃない」
神様「そんな事されてもその場に居なけりゃ分かんないじゃんよ」
狐神「だから、そういう古くから伝わる儀式の根底をひっくり返すような事を暴露するなよ・・・」
407: 2016/09/21(水) 21:11:42 ID:m/Y0H7iA
巫女B「あっ、これお店で買ったんだけど電車の中で食べてよ」スッ
神様「ん?」パカッ
神様「うわっ! これ向かいのお店で売ってる団子じゃん! しかも一番高いヤツ!」
神使「良かったですね。 神様こちらに来て少ないお小遣い全部使って買ったのに、一つも食べられませんでしたからね」
狐神「そうなの?」
神様「そう! 猿に全部取られたんだよ」
神使「今度は取られないようにしないとですね」
神様「もうここ出るし~ 取られる心配ナッシング!」
神使「それでは、皆さんお世話になりました」ペコリ
神様「ありがとね」
C子「お気をつけて」
408: 2016/09/21(水) 21:12:17 ID:m/Y0H7iA
神様「そうだ、三人にプレゼントあげる」コトッ
神様「えっと~」ゴソゴソ
C子「?」
神様「はいこれ」スッ
C子「お守り?」
巫女B「うわー ありがとう」
巫女A「どこのお守り?」
神様「私が昔作ったヤツで、御利益薄いけどこんな物しか持ってないから」
409: 2016/09/21(水) 21:12:56 ID:m/Y0H7iA
狐神「神ちゃんお手製のお守りは、この世で一番貴重なお守りだよ?」
C子「ありがとう」
巫女A「大切にするね」
巫女B「私も、肌身離さず持つ」
神様「そこまで大切に扱わなくても良いって」
神使「あっ!?」
神様「何だよ犬ころ。 大声上げて」
神使「神様がもらったお団子が!」
神様「えっ!?」クルッ
ウキッ
410: 2016/09/21(水) 21:13:34 ID:m/Y0H7iA
神様「!? てめぇ!! また私の団子を!!」
猿「ウキキ」タッ タッ タッ
神様「待て! さすがに今度ばかりは許さないぞ!!」タッ タッ タッ
狐神「も~ そんなところに置くからよ」
神使「神様も学習しないですね・・・」
神様「止まれ猿!! お願い! 止まって!」
猿「ウキキッ」タッ タッ タッ
神様「団子~ 私の団子~~」
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#10 ―END
411: 2016/09/21(水) 21:16:59 ID:m/Y0H7iA
412: 2016/09/21(水) 21:32:39 ID:YuaTTxak
乙でした。
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