419: 2016/09/26(月) 23:21:06 ID:Fei3cbIY

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


 テクテク


神様「いや~ 京都より西に来たのって久しぶりだよ」

神使「最後にいらしたのはいつ位ですか?」

神様「いつだったかな~ 確か神使2~3人連れて歩いて来た気がする」

神使「神様って昔はそんなにお付きの神使がいたんですね」

神様「道中長いからね~ 途中で神使見つけたり神にしたりしながら旅したんだよ」

神使「そうなんですか!?」


神様「神宮が今の体系になる前だから結構昔だけど」

神使「今度昔のお話も聞かせて下さい」

神様「大して面白い話なんかないけどね~」

神使「あっ、そろそろ次の目的地の神社に着きますね」
江戸前エルフ(9) (少年マガジンエッジコミックス)
420: 2016/09/26(月) 23:21:56 ID:Fei3cbIY

~あらすじ~


神様「私は神様! 神宮に籍を置くとっても立派でかわゆい理想の女神!」

神使(訳)「神宮が誇る最大の問題児! 減給・左遷を総なめにする絵に描いたようなダメ神です」


神様「悪の手先からの激しい嫌がらせにも負けず今日も私を待つ者へ神の力を授ける旅をする」

神使(訳)「悪知恵ばかり働く神様に業を煮やした神宮は無期の長期出向を命じたのでした」


神様「そう、私は強大な神力を持つ心優しき立派な神様だ!」

神使(訳)「神力ゼロです」

421: 2016/09/26(月) 23:23:00 ID:Fei3cbIY

【#11】


―――もももも神社


神様「・・・・・・ねぇ、神使君?」

神使「?」


神様「なにこの神社の名前・・・」

神使「もももも神社です」

神様「いや、見りゃ分かるけど・・・ 読みにくすぎだろ」

神使「おとぎ話に出てくる桃太郎さんを祀っているんじゃないか、と言われているそうです」

神様「へぇ~ 桃太郎ねぇ~・・・」フム

422: 2016/09/26(月) 23:23:53 ID:Fei3cbIY

神使「どうされました?」

神様「ん? 別に。 で、何するんだこんなところで」

神使「実は長く封印されていた開かずの宝物の開封式があるそうでして」

神様「開かずの宝物?」

神使「はい、その立ち会い依頼が神宮に来ていまして」

神様「私達がその立会人ってこと?」

神使「そうなりますね」

神様「・・・・・・」

423: 2016/09/26(月) 23:24:58 ID:Fei3cbIY

神使「神様?」

神様「えっ!?」

神使「何かマズい事を思い出した時のような挙動ですね」

神様「いや全然だよ? 何言ってんの神使君」


神使「お心当たりがあるんですね?」

神様「いやだな~ そんなことないですよ」

神使「明らかに変なんですが・・・」

神様「お前変に疑いすぎ! 取りあえず面倒くさいし帰らない?」

神使「ダメに決まっているじゃないですか。 行きますよ?」

神様「マジかよ」

424: 2016/09/26(月) 23:25:41 ID:Fei3cbIY


――― 社務所


 トントン


 巫女「は~い」

 ガラガラ


神使「神宮から参りました神使と申します」

神様「神ちゃんです!」

巫女「ご苦労様です。 どうぞお入り下さい」

神使「失礼いたします」

神様「おじゃま~」


 テクテク

425: 2016/09/26(月) 23:26:15 ID:Fei3cbIY


 ガチャッ


巫女「宮司を呼んで参りますので、こちらの部屋でお待ち下さい」

神使「ありがとうございます」



神使「立派な神社ですね」

神様「結構古いよね~」

神使「何か思い出しましたか?」

神様「さっぱり。 たぶん私とは無関係だと思う訳よ」

神使「だと良いのですが・・・」

426: 2016/09/26(月) 23:27:03 ID:Fei3cbIY


 ガチャッ


宮司「お待たせいたしました」

神使「はじめまして、神宮より参りました神使と申します」

宮司「ももも神社の宮司でございます」

神様「“も”足りなくない? やっぱ言いにくいよね・・・」


宮司「わざわざ遠いところ、ありがとうございます」ペコリ

神使「こちらは、神宮所属の神で内宮神籍の神様です」

神様「かわゆい神ちゃんと呼んで欲しい」

宮司「神宮の神さま!?」

427: 2016/09/26(月) 23:27:51 ID:Fei3cbIY

神使「開封の儀立ち会いの命を受け参りました。 よろしくお願いいたします」ペコリ

神様「よろです」ペコリ


宮司「わざわざ神宮の神さまに来ていただけるなんて・・・ ありがとうございます」フカブカ

神様「あ~ そんなに畏まらないで」

神使「神様は堅苦しいのが苦手ですので、どうぞ普通に接してあげて下さい」

神様「そうそう」

神使「できれば、神としてではなく巫女として接して頂けると喜びますので」

神様「巫女の仕事は完璧にこなせる!」

宮司「・・・・・・はぁ」

428: 2016/09/26(月) 23:28:48 ID:Fei3cbIY

神様「ところで、ももも神社に伝わる開かずの宝物って何?」

宮司「ももも“も”神社です、少し言いにくいですが」ハハハッ

神様「・・・・・・」

神使「神様? 失礼ですよ神社名を間違えるなんて」

神様「え? だって、さっき宮司も・・・」


神使「宝物は本殿の方でしょうか?」

宮司「はい。 ご覧になりますか?」

神使「もしよろしければ一度拝見してもよろしいでしょうか」

宮司「では、ご案内いたします」

神様「もももも!」

434: 2016/09/28(水) 00:18:27 ID:wJbl366M


――― 本殿


 ギィー


宮司「どうぞ、お入り下さい」


神使「正面にある木箱が開かずの宝物でしょうか?」

宮司「はい。 正式には神宮管理ユ―26号と申します」

神様「なにそれ?」

宮司「中身が何か分からないもので・・・ 名称が登録番号のままなのです」


神使「木箱が結構痛んでいますね」

宮司「えぇ、今回開けようと思ったのもそれが一番の原因でして」

435: 2016/09/28(水) 00:19:33 ID:wJbl366M

神使「神様、何か思い出しましたか?」

神様「あ? 本当に私に関係あるとか思ってるの?」

神使「はい」

神様「即答かよ・・・」


宮司「ユ―26号は神様に由緒のある宝物なのですか?」

神使「間違いなく神様が関係しているものであると思います」

神様「・・・」チッ

436: 2016/09/28(水) 00:20:54 ID:wJbl366M

神使「ちなみに、ユ―26号には由緒などがあるのでしょうか?」

神様「ねぇ、普通に木箱って言おうよ・・・」


宮司「ユ―26号は桃太郎が鬼退治をした際に没収した宝であると言い伝えられております」

神使「おとぎ話の桃太郎さんですか?」

宮司「えぇ、当神社の言い伝えですと桃太郎は女の子だったそうですので鬼退治というのも比喩かと思うのですが」

神使「桃太郎が女性!?」

神様「・・・・・・」


神使「あの、もう少し詳しく教えて頂いてもよろしいでしょうか?」

神様「いや、別に聞かなくても良いんじゃない?」

神使「宮司さま、是非教えて下さい」

神様「・・・・・・」

宮司「はい・・・」

437: 2016/09/28(水) 00:22:53 ID:wJbl366M

宮司「その昔、一人の少女が三人の動物を引き連れこの地を訪れたそうです」

神様「動物なのに三人って変じゃね?」

神使「神使でしょうね。 ということは少女というのは神であった可能性が高いですね。 つまり女神さま」チラッ

神様「・・・・・・」


宮司「少女はこの地の名産である牡蠣を食すために訪れたそうです」

神使「牡蠣ですか・・・」チラッ

神様「・・・・・・」


宮司「しかし悪商人が幅をきかせ、少女は牡蠣を食べる事が出来ずに怒り狂ったと」

神使「それは怒りますよね、神様?」

神様「わ、私に聞くなよ・・・」

438: 2016/09/28(水) 00:24:22 ID:wJbl366M

宮司「少女は鬼の形相で悪商人が住む島へ向かい成敗したと伝記には書かれております」

神様「鬼の形相って・・・ でも桃太郎ちゃん良い子だね、悪いヤツを成敗したんだし!」


宮司「いえ、ここからが恐ろしく・・・」

神使「恐ろしい?」

宮司「はい、何ヶ月もこの地に住み着き牡蠣を・・・ ほぼ食い尽くしてしまい・・・ 遂には―――」

神様「ちょっと待って! 何でそれを書いた書物があるの? 書き直しさせたんだけど!」


神使「・・・・・・」

宮司「・・・・・・」


神様「ぁ・・・」

439: 2016/09/28(水) 00:25:57 ID:wJbl366M

神使「やはり神様ですか・・・」ハァ

神様「あ、いや・・・ その~・・・」

神使「一体どれだけ牡蠣を食べたんですか・・・」

神様「もももも!」


神使「神様?」ジトー

神様「・・・すいません、あのときの事は反省してますので」ドゲザ


宮司「まさか、伝記に登場する桃太郎というのは・・・」

神使「間違いなく、こちらの神様のことですね」

宮司「・・・・・・」

440: 2016/09/28(水) 00:27:52 ID:wJbl366M

神様「ちょっとだけ言い訳させて」

神使「何です?」

神様「こっちは伊勢からはるばる来たのに牡蠣を一つも喰えなかったんだぞ!」

神使「それで、仕返しに何をしたんですか?」

神様「・・・えっと~」


宮司「余りにも惨い仕打ちで表現できないと伝記には書かれていますが・・・」

神使「まさか神様・・・」ゾッ

神様「まて! 私は神! 人の幸せを見るのが生きがいのかわゆい理想の女神!」

神使「理想の女神様は表現できないような酷い仕打ちなどしないと思いますが・・・」

神様「だからそんな酷い事はしてないって!」

441: 2016/09/28(水) 00:28:54 ID:wJbl366M

神使「しかし牡蠣を食べ尽くすだなんて、この土地の人にとってかなりご迷惑ですよ?」

神様「食べ尽くしてねーよ! どんだけだ喰うんだよそれ・・・」

神使「しかし伝記に書かれている以上、本当ではないんですか?」

神様「お前さぁ、伝記が全部本当だったら日本は妖怪だらけだぞ」


神使「ちょっと待って下さい」

神様「あ?」

神使「宮司さま、こちらの神社でお祭りされているのは桃太郎さんですよね」

宮司「はい」

神様「・・・・・・」

442: 2016/09/28(水) 00:30:08 ID:wJbl366M

神使「今の神様のお話ですと、桃太郎というのは神様の事で・・・」

宮司「まさか!?」

神使「そうなるかと・・・」

宮司「」フカブカ


神様「あ、すいません。 なんか歴史を曲げてしまった罪悪感を感じます」フカブカ

神使「桃太郎が神様だったなんて・・・」

神様「だから嫌なんだよ、昔の事を掘り返すのは」


神使「ユ―26号の中身って何なんですか?」

神様「いや~ 何だろう? やっぱヨ―28号は私と関係ないんじゃない?」

宮司「ユ―26号です」

神様「どっちでも良いの!」

神使「やはり開けてみるまで分からないみたいですね・・・」

446: 2016/09/29(木) 00:23:01 ID:lz/kYEUE


――― 夜・社務所


宮司「では、私達は失礼いたします」

神様「あれ? 宮司はここに住んでないの?」

宮司「はい、別の場所に自宅が。 巫女も近くにアパートを借りておりますので」

神使「最近は神職の方も通勤される方が多いみたいですよ?」

神様「ふ~ん」


宮司「お休みの際は奥の客間をお使い下さい」

神使「わざわざありがとうございます」

宮司「それでは、失礼いたします」ペコッ

447: 2016/09/29(木) 00:24:12 ID:lz/kYEUE


――― 客間


 ガチャッ


神様「おっ、良いね~ いかにも客間って感じだよね」

神使「お布団も敷いてありますね」

神様「私、窓側~」ポフッ


神使「ゴロゴロするならパジャマに着替えて下さい」

神様「あとで~」ゴロゴロ

神使「シワになっても知りませんよ?」

神様「大丈夫だよ」

448: 2016/09/29(木) 00:26:22 ID:lz/kYEUE

神使「神様、明日はどうされますか?」

神様「サ―27号の開封式は二日後だよな?」

神使「ユ―26号です」


神様「んじゃ、特に予定はないんだよな?」

神使「そうですね。 お社のお手伝いでもされます?」

神様「え~ 一日ゴロゴロしてたいな~」

神使「ユー26号の事も少し調べないとですね」

神様「いいよ、そんなの」


神使「開封の前に中身が何なのかをある程度調べておいた方が良いのでは?」

神様「今更調べても仕方ないだろ」

神使「しかし、禍々しいものだったりしたら大変ですし」

神様「大丈夫だって」

神使「だと良いのですが・・・」

449: 2016/09/29(木) 00:27:47 ID:lz/kYEUE


――― 1時間後


神様「犬ころ~」ゴロゴロ

神使「どうされました?」

神様「ひまじゃね?」

神使「これが終わったらお相手しますから」カキカキ


神様「何してんの?」ニョキ

神使「神宮へ提出する日報を書いているんです」

神様「そんなのサボって花札しよーぜ」

神使「ダメです」

神様「え~ 良いじゃんよ。 花札~」

神使「ワガママ言っていると花札しませんよ? 終わるまで本でも読んでいて下さい」

神様「うん」

450: 2016/09/29(木) 00:29:12 ID:lz/kYEUE

神使「はい、どうぞ」スッ

神様「月刊神様じゃねーかよ・・・ 読まねーよそんなの」

神使「とても為になるので読んでおいた方が良いですよ」


神使「ん?」

神使「どうされました?」

神様「表紙、猫神じゃん」

神使「そう言えば、隣の県でK7サミットをやっているんですよね。 確か今年は猫神さまが議長だったと」

神様「K7?」

神使「位の高い七神の皆さんが集まって開かれる全国神さま会議です」

451: 2016/09/29(木) 00:30:25 ID:lz/kYEUE

神様「私呼ばれてないよ?」

神使「神様聞いていました? “位の高い神”の皆さんの会議です」

神様「はいはい、どうせ私は神階が最低位ですよ~だ」

神使「神様は最低位じゃありませんよ。 それは私がよく知っていますから」

神様「神使・・・ お前」

神使「最低位のランク外です。 お間違いのないように」

神様「お~け~! 神罰!」ゲシッ

神使「痛っ!」

452: 2016/09/29(木) 00:31:09 ID:lz/kYEUE

神様「ったく」ヨイショ

神使「お手洗いですか?」

神様「ちょっとコーラ買ってくる」

神使「後で私が買って参りますが」

神様「良いって。 暇だしついでに散歩してくる」

神使「境内から出ちゃダメですよ?」

神様「私は子供かよ・・・」スッ

神使「?」

453: 2016/09/29(木) 00:32:22 ID:lz/kYEUE

神様「お金」

神使「神様、コーラ買うお金もないんですか?」

神様「お前の分も買ってくるから1000円ちょうだい」

神使「お小遣い込みで500円です」ハイ

神様「へいへい。 何飲む?」

神使「では、冷たいお茶をお願いします」

神様「ドクダミ茶?」

神使「そんなの売っていないと思うのですが・・・ できれば緑茶で」

神様「ほうじ茶ね、んじゃ行ってきまーす」スタスタ


 ガチャッ


神使「絶対に緑茶は飲めないですね・・・」ハァ

457: 2016/10/01(土) 06:41:58 ID:cBvQtQk2


――― 境内


 テクテク


神様「おっ、自販機が境内にあるじゃん」

神様「コーラはペットだけか・・・ しゃーねーな~」ポチ


 ガコン


神様「犬ころは・・・ あっ、メロンソーダ! これでいいや」ポチ


 ガコン

458: 2016/10/01(土) 06:43:17 ID:cBvQtQk2

神様「・・・お前は何か飲むか?」

?「さすが神様、お気づきでしたか」スッ

神様「神力ダダ漏れ」

?「神様の背後から申し訳ございません」


神様「久しぶりだな、犬ころ。 いや初代犬ころか」

狗神「その呼び名、懐かしいですね。 ご無沙汰しております」フカブカ

459: 2016/10/01(土) 06:44:26 ID:cBvQtQk2

神様「鉄人29号の件か?」

狗神「鉄?」

神様「大丈夫だよ、お前が一番分かっているだろ?」

狗神「それはそうですが・・・」


神様「箱を封印していた神力がなくなったみたいだな」

狗神「はい。 神様にご連絡をと思っていたところでした」

神様「そうか・・・ 良いタイミングだな」

460: 2016/10/01(土) 06:46:04 ID:cBvQtQk2

狗神「神力の消失を確認したのは2週間程前なのですが・・・」

神様「それで周りの木箱が傷んできたのか・・・」

狗神「念には念をと思いまして・・・ 箱の腐食まで頭が回らず申し訳ございません」

神様「そんな事ないって。 長きに渡りお前には負担をかけた、礼を言う」

狗神「神様・・・」


神様「二日後の開封式までに何とか出来るか?」

狗神「この命に代えてでも」

神様「すまない、私にまだ力があればお前にこんな苦労はさせずに済んだのだが・・・」

狗神「これが私の使命ですので」

461: 2016/10/01(土) 06:47:06 ID:cBvQtQk2

神様「今日は遅い。 明日の夜に執り行う」

狗神「はい。 明日は満月、周りに気づかれず月明かりだけでもこなせるかと」

神様「ツイてるな。 あまり見られたくないしな」

狗神「・・・・・・」


神様「最後まで気を抜くなよ?」

狗神「心得ております。 夜8時頃でいかがでしょうか」

神様「分かった。 開封の儀までには再封印しないとまずいしな」

狗神「神様・・・ わたくし・・・」グスッ

462: 2016/10/01(土) 06:48:00 ID:cBvQtQk2

神様「ほれ、コーラ。 私の奢り」ポイッ

狗神「コーラ・・・」

神様「私が一番好きな飲み物だ。 今日はそれ飲みながら帰れ」

狗神「ありがとうございます」

神様「もし・・・ 二人とも無事でいられたら・・・ 祝杯でも上げよう」ニコッ

狗神「はい!」


神様「今日はゆっくり休めよ」

狗神「神様も明日は万全の体制で」

神様「あぁ、じゃあまた明日」

狗神「失礼いたします」


 スタスタ


神様「アイツにだけは知られたくはないな・・・」フッ

464: 2016/10/01(土) 23:19:19 ID:cBvQtQk2


――― 客間


 ガラガラ


神様「ただいま~」

神使「お帰りなさいませ」

神様「はい、お前のジュース」ポイ

神使「・・・あの緑茶を頼んだつもりなんですが」

神様「そうだっけ? 同じ緑色だし良いじゃん。 後で半分飲ませて?」

神使「神様が飲みたいだけじゃないですか・・・」プシュッ

465: 2016/10/01(土) 23:21:05 ID:cBvQtQk2

神様「ハァ~・・・」ゴロン


神使「あの神様?」

神様「ん~?」ゴクゴク

神使「・・・・・・いえ」


神様「まさか、聞こえてた?」

神使「聞くつもりはなかったのですが・・・ 自販機がこの部屋の真ん前ですので」

神様「あ~・・・」

神使「盗み聞きのような真似をして、申し訳ございません」

466: 2016/10/01(土) 23:23:33 ID:cBvQtQk2

神様「・・・・・・」

神使「話しにくいようでしたら無理には伺いませんが」


神様「1000年以上前になるかな~ 当時この地域に“鬼”と呼ばれるものがいてさぁ」

神使「鬼・・・ ですか?」

神様「まぁ鬼って言っても神力の塊のようなものだけど。 それを封印してるんだよ、国道26号に」

神使「ユー26号」


神様「その後、私の側近だった神に管理を任せた」

神使「先ほど神様とお話をされていた方でしょうか?」

神様「そう。 お前の大先輩の元狛犬で狗神だ」

神使「狗神さまは、この神社の主神さまではないのですか?」

神様「あれがウロウロしていたらバレるからな。 余所から遠隔管理をしていたんだ」

神使「そうだったのですか・・・」

467: 2016/10/01(土) 23:26:50 ID:cBvQtQk2

神様「私のせいで・・・ アイツには長きにわたって迷惑をかけてしまった・・・」

神使「神様・・・」

神様「昔の話だ。 気にしないでくれ」


神使「今でもユー26号の中にはその鬼が?」

神様「さぁな。 ただ封印していた神力が消失しても異常は見つかっていないし」

神使「鬼という物が何かはよく分かりませんが、神宮に移して厳重な封印管理をした方がよろしいのでは?」

神様「心配いらない、明日の夜に再封印を行う。 開封の儀までには間に合わせるよ」

神使「しかし、万が一という事も」

神様「この地でないといけないんだよ」

神使「・・・・・・」

468: 2016/10/01(土) 23:27:53 ID:cBvQtQk2

神様「大丈夫だって、何も起こらないよ」

神使「分かりました」

神様「すまないな、心配かけて」ペコリ

神使「どうしたんですか? 神様らしくないですよ」

神様「当時の事を思い出すと、少しね・・・」

469: 2016/10/01(土) 23:29:05 ID:cBvQtQk2

神使「そうだ! K7に参加されている猫神様に来て頂くというのはどうでしょうか?」

神様「あ?」

神使「確か、K7は明日の夕方で終わりのはずですし」

神様「呼ばなくて良いって」

神使「しかし、神力が強い猫神様でしたら何かあっても助けてくれるのでは」

神様「あいつも忙しいだろうし、それに~・・・」

神使「それに?」

神様「とにかく、呼ばなくても良いから!」

神使「・・・・・・はぁ」

470: 2016/10/01(土) 23:30:45 ID:cBvQtQk2


――― 翌日・朝


神様「Zzz・・・」グガー

神使「神様?」ユサユサ

神様「ん~ 昼?」ポー

神使「朝です」

神様「もう少し寝かせて・・・ 今日の夜は忙しいし」モゾモゾ


神使「私、少し出かけてきますが一緒に行きます?」

神様「デパート?」

神使「今日はK7最終日なので議長声明を聞いてこようかと思いまして。 運良く隣の県ですし」

神様「はぁ? 行かねーよ、そんなの」

神使「では、私一人で行ってきます。 夜には戻りますので」

471: 2016/10/01(土) 23:32:16 ID:cBvQtQk2

神様「明日の開封の儀までゆっくりしてきていいぞ。 ついでに観光でもしてこい」モゾモゾ

神使「居ない方が良いような言い方ですね?」

神様「・・・・・・んなことないって。 ほら再封印の儀式は危険だからさ」


神使「私は立ち会わなくてもよろしいのですか?」

神様「狗神と二人でやるから大丈夫だよ」

神使「くれぐれも無茶はなさらないで下さいね」

神様「へいへい」

神使「では、行って参ります」スタスタ


 ガチャ


神様「」ニヤリ

474: 2016/10/02(日) 15:59:31 ID:1mkzi.nQ


――― K7サミット会場


 テクテク


神使「さすが位の高い神々の方のお話はひと味違いますね」

神使「とても神様が同じ神とはとても思えません・・・」


 お~い 神使君~


神使「? これは、猫神様!」

猫神「いや~ 久しぶりだね~」

神使「ご無沙汰しております」フカブカ


猫娘「お久しぶりです。ニャ」

神使「猫娘さんも一緒でしたか」

猫娘「猫神様の神使なので、どこでも一緒です。ニャ」

475: 2016/10/02(日) 16:00:27 ID:1mkzi.nQ

猫神「神使君がいるって事は、神ちゃんも一緒~?」

神使「いえ・・・ 神様はこういう所は苦手でして・・・」

猫神「まぁそうだよね~ 楽しくない所に神ちゃん来ないしね~」

神使「申し訳ありません、神様もこういう場所に来て勉強して頂きたいのですが・・・」

猫神「いやいや~ それは絶対無理だよ~」


猫娘「神様は一人でお留守番ですか? ニャ」

神使「はい、私達隣の県にあるもももも神社におりまして」

猫神「もももも神社~!?」

神使「猫神様、ご存じですか?」

476: 2016/10/02(日) 16:01:34 ID:1mkzi.nQ

猫神「・・・・・・何か問題事~?」

神使「いえ、そこまでではないのですが・・・ 開かずの宝物の開封式が明日ありまして」

猫神「ユー26号・・・」

神使「さすが猫神様! やはりご存じでしたか」


猫神「あの箱に何かあったの~?」

神使「それが、箱の腐食が酷く・・・ 明日、神社の方で開封の儀を行う事になっておりまして」

猫神「でも、あの箱は神力封印で開封できないはずだけど~・・・」

神使「神様のお話ですと封印が解けているそうで、今日の夜に神様が再封印の儀を行うようです」

猫神「・・・・・・」

神使「猫神様?」

477: 2016/10/02(日) 16:02:25 ID:1mkzi.nQ

猫神「神使君、私達このあと帰るだけだから一緒にもももも神社に行くよ~」

神使「・・・やはり重大な問題でもあるのでしょうか」


猫神「神ちゃんをあの箱に近づけさせたらマズいよ~」

神使「!?」

猫神「神ちゃんいつ箱を触るって言ってた~?」

神使「今日の夜・・・ たしか8時だったと」


猫神「神使君、猫娘ちゃん急いで行くよ~」

神使「はい」

猫娘「はいです。ニャ」

478: 2016/10/02(日) 16:03:24 ID:1mkzi.nQ


―――もももも神社・夜


宮司「では、私達は帰りますので」

神様「あぁ、お疲れちゃん」


巫女「お一人でも大丈夫でしょうか・・・」

宮司「何でしたら、神使さんが戻るまで私達もここにいますが」

神様「大丈夫だって、これでも神宮の神だよ?」

宮司「承知いたしました。 では何かございましたらご連絡下さい」

神様「おっけ~ 箱の開封の儀は明日の朝だよね?」

宮司「はい、ム―26号の開封式は朝9時からを予定しております」

神様「・・・ユー26号じゃない?」

479: 2016/10/02(日) 16:04:03 ID:1mkzi.nQ

宮司「私達は準備のため、朝5時にはこちらに入りますので」

神様「随分早いね・・・」

宮司「?」

神様「いや、何でもない。 よろぴこ」


宮司「神様も明日は立ち会い、どうぞよろしくお願いいたします」

神様「おっけ~ じゃぁ明日また」

巫女「はい、それでは失礼いたします」ペコッ

宮司「失礼いたします」ペコッ

神様「ご苦労様・・・」ペコッ


 スタスタ

480: 2016/10/02(日) 16:05:24 ID:1mkzi.nQ

神様「狗神、居るか?」

狗神「はい」スッ


神様「始めるぞ、準備を」

狗神「炭入れから始めますので、1時間後には」

神様「宮司達が朝5時出勤だから少し急ぐぞ」

狛犬「はい」


神様「覚悟は良いか?」

狗神「いつでも」

神様「よし、数百年ぶりに全力でいくか!」


 ギィー

481: 2016/10/02(日) 16:06:10 ID:1mkzi.nQ

――― 一時間後


神使「午後7時50分、間に合いましたね」ハァハァ

猫神「神ちゃんは本殿の中だね~」

猫娘「でも中は真っ暗です。ニャ」


猫神「満月・・・ 気づかれないように月明かりでやるつもりだね~」

神使「一体、この中で何が・・・」


猫神「・・・いくよ~」

神使「はい」

483: 2016/10/02(日) 22:27:32 ID:1mkzi.nQ


 バンッ!


神様・狗神「!?」

猫神「ハロ~ 神ちゃ~ん」

神様「猫神っ!!」


猫神「何してるの~?」

神様「え!? いや・・・ 点検?」


猫神「狗神君も一緒なんだ~」

狗神「・・・・・・」

猫神「狗神君? 何してるの~?」

狗神「・・・あの ・・・これは」オロオロ

484: 2016/10/02(日) 22:28:36 ID:1mkzi.nQ

神様「お前が何でここにいるんだよ!」

猫神「K7サミットの帰り~ 会場で偶然神使君に会ってさぁ~」

神様「・・・」チッ


猫神「あれ? 私が封印した箱が開いてるわね~ 何でだろう~」

神様・狗神「・・・・・・」


猫神「もしかして~ 開けた?」ニコッ

神様・狗神「・・・・・・」ダラダラ


猫神「開けた~ぁ?」ギロッ

485: 2016/10/02(日) 22:30:18 ID:1mkzi.nQ

神様「逃げるぞ! 狗神!」

狗神「え!? 神様?」


猫神「どうして逃げるの~?」ササッ

神様「早いっ!」クッ


猫娘「猫神様から逃げられる事なんて出来ません。ニャ」

神様「しゃべり方はゆっくりのくせに、何で動きはそんなに機敏なんだよ!」

猫神「だって~ 猫だも~ん」

486: 2016/10/02(日) 22:31:07 ID:1mkzi.nQ

神使「あの・・・ これは一体・・・」


狗神「・・・・・・」ソロソロ


猫神「は~い、狗神君はそこで止まって~」

狗神「」ピクッ

猫神「正座~」ニコッ

狗神「はい・・・」ストン


猫神「少しでも動いたら全力でいくからね~?」

狗神「・・・・・・」

487: 2016/10/02(日) 22:31:57 ID:1mkzi.nQ

神使「猫神様? 状況が飲み込めないのですが・・・」


猫神「神使君も箱の中見てみたら~?」

神使「ユー26号の中ですか?」

猫神「うん」


神様「バカ! 見るんじゃない! この世の物とは思えないおぞましき物が入っているんだぞ!」


 スタスタ


猫娘「箱の中身は何だろな~♪ ニャ」

神使「磯の香り?」

488: 2016/10/02(日) 22:32:31 ID:1mkzi.nQ

神様「よせ! 来るな!! 呪われるぞー!」

猫神「神ちゃんは箱から離れてね~」ガシッ

神様「嫌だー!」ズルズル


神使「これは!」

猫娘「ニャニャ!」

489: 2016/10/02(日) 22:33:10 ID:1mkzi.nQ

神使「神様の反応である程度予想はしていましたが・・・」

猫娘「牡蠣が沢山います。ニャ」


神使「とても大きいですね」

猫娘「なんで箱の中に牡蠣が入っているんですか? ニャ」


猫神「一つ食べてみたら~」

神使「食べても大丈夫なんですか?」

猫神「人だったらちょっと面倒だけど、君たちなら大丈夫だよ~」

490: 2016/10/02(日) 22:34:03 ID:1mkzi.nQ

猫娘「やったー! 牡蠣食べる!ニャ」パコッ

神使「では、私も」パコッ

神様「私も」

猫神「ダ~メ」グイッ

神様「私も食べたい!!」ジタバタ


猫娘「あむっ」チュルン

神使「はむっ」チュルン

神様「あーー!!」

492: 2016/10/03(月) 20:24:54 ID:uJPDS2Eo

神使「美味しい!」

猫娘「こんな美味しい牡蠣はじめてです。ニャ」


 ポンッ
 ポコポコッ


神使・猫娘「・・・・・・」


神使「あの、猫神様?」

猫神「な~に?」

猫娘「牡蠣が増えた! ニャ」


神様「・・・・・・」

493: 2016/10/03(月) 20:26:12 ID:uJPDS2Eo

猫神「その牡蠣ね~ 神ちゃんの神力が宿ってるの~」

神使「え!?」

猫神「ねぇ~ 神ちゃん?」

神様「私の神力だって証拠でもあるのかよ!」

猫神「」ギロッ

神様「あい。 すいませんです」ドゲザ


猫神「昔ね~ この地方の人が長い月日をかけて改良して作った鬼牡蠣っていう美味し~い牡蠣」

神使「鬼牡蠣・・・ 確かに大きいですよね」

猫娘「今までこんな牡蠣見た事ないです。ニャ」

494: 2016/10/03(月) 20:27:14 ID:uJPDS2Eo

猫神「養殖するのが凄く難しくてね~ たぶん今はいないんじゃないかなぁ~」

神使「そうなんですか、残念ですね」

神様「でしょ? こんなに美味しいのに! 勿体ないでしょ!?」

猫神「神ちゃん?」ニコッ

神様「・・・・・・」


神使「なるほど。 神様はこの牡蠣が気に入って神力を使って養殖していたのですね?」

神様「絶対絶滅させちゃいけない品種なんだよ!」

猫神「神ちゃん、ちょっと黙ってて」ギロッ

神様「・・・はい」

495: 2016/10/03(月) 20:27:47 ID:uJPDS2Eo

神使「しかし、先ほど食べ終わった後に増えた気がするのですが・・・」

猫神「食べた分だけ永遠に増え続けるの~」

神様「なんてメチャクチャな・・・」

猫娘「凄いです。ニャ」


猫神「でも、神力を使って養殖した牡蠣を人が食べちゃったら大変だしね~」

神使「それで猫神様が封印を・・・」

猫神「うん。 神力封印すれば神ちゃんでも開けられないし~」

神使「そうだったんですか」

496: 2016/10/03(月) 20:28:42 ID:uJPDS2Eo

猫神「でも誤算だね~ 狗神君が仲間に付いていたなんて」

狗神「すいません、あまりに美味しい牡蠣だったもので・・・ 味を忘れられず」

猫神「でも、簡単に解けるような神力封印じゃなかったと思うんだけど~」

狗神「毎日少しずつ封印の神力解放を続けていました」

神使「そこまでして・・・」


猫神「神力封印が解けても、新しく封印が発動すると思うけど~?」

狗神「封印の神力が消失後は箱を開けない限り再封印はかからず・・・ 箱を開けても再封印は翌日に発動するようで」

猫神「そんな穴があったんだ~」

497: 2016/10/03(月) 20:30:45 ID:uJPDS2Eo

神使「つまり牡蠣を食べられるのは、封印が解けた一日だけということですか?」

狗神「はい。 封印が解け再封印がかかる一日で食べまくり・・・ それを数百年におきに」

神使「何という執念・・・」

猫娘「尊敬します。ニャ」


神様「お願い! この牡蠣を食べるのは数百年に一度の私の楽しみなの! 見逃して!!」ドゲザ

猫神「も~ 神ちゃんは仕方ないな~」

神様「!? ありがとう猫神!」

猫神「絶対に開かないように永久封印しないとね~ 神力結構使うな~」

神様「ぇ・・・」

498: 2016/10/03(月) 20:31:41 ID:uJPDS2Eo

神使「猫神様、神様も当時は桃太郎として悪商人を成敗して人々を助けたみたいですし少しくらいは・・・」

猫神「神ちゃんが桃太郎~?」

神様「バカ、犬ころ黙ってろ!」


猫神「嫌だな~ 神使君。 何言ってるの~?」

神使「え? ももも神社に伝わる伝記にそう書かれているようですが」

神様「“も”が足りねーよ! もももも!」

499: 2016/10/03(月) 20:33:10 ID:uJPDS2Eo

猫神「神ちゃんは悪商人と手を組んで、鬼牡蠣を血眼で探したんだよね~」

神様「・・・・・・」

猫神「離れ小島に生息しているのを知って、その島に鬼がいる事にして~」

神使「はい!?」


猫神「何だっけ~ 鬼は牡蠣が嫌いだから無限に作れば鬼退治できるんだっけ~」

神様「うぐっ・・・」

猫神「村の人にお願い事を強要して勝手に叶えたんだよね~ 鬼牡蠣の無限増殖っていう自分の願いを」

神様「・・・・・・」

500: 2016/10/03(月) 20:34:31 ID:uJPDS2Eo

神使「神様・・・ 昨日私に話してくれた昔話と違うのですが」

神様「私は嘘なんか一つもついてないぞ! 神力を宿した鬼が封印されていただろ!」

神使「では再封印の儀式というのは・・・」

神様「私達が箱を開ければ次の日には再封印がかかるんだよ! ついでに牡蠣食うだけ!」


神使「最低です・・・」ジトッ

神様「さ、最低とか言うな!」


猫神「あれ~ まだ反省してないの~? 当時あんなになるまでお説教したのに~」

神様「・・・・・・」

猫神「もう一回お説教する~?」

神様「い、いえ! 必要ありません!!」ブルブル

神使「(神様があんなに震えるなんて、一体どんなお説教だったんでしょう・・・)」

501: 2016/10/03(月) 20:35:36 ID:uJPDS2Eo

神使「では、桃太郎さんというのは・・・」

猫娘「悪い鬼を退治した猫神様ですね。ニャ」

神使「猫神さまが桃太郎・・・ つまり悪い鬼というのは・・・・・・」チラッ

神様「・・・・・・なんだよ」

神使「神様、この神社に伝わる伝記を書き換えさせようとしたと仰っていましたね」

神様「なんの事かな~」プイッ


神使「猫神さま、神様にキツいお説教をお願いいたします」

神様「!?」

猫神「神使君に言われたらするしかないね~」

神様「あっ、いや・・・ 反省してますので! すいません! 本当すいません!」ドゲザ


猫神「神使君と猫娘ちゃんは、ちょ~っと本殿から出てくれる~?」

神使・猫娘「はい!」スタスタ


 ギィー バタン

502: 2016/10/03(月) 20:36:36 ID:uJPDS2Eo


猫神「神様、生きてここから出られますかね? ニャ」

神使「狗神さまも無事だと良いのですが・・・」


 ギィャーーーー!!!!


神使「まぁ、自業自得ですね」

猫娘「ニャ」

503: 2016/10/03(月) 20:56:17 ID:uJPDS2Eo

>>502

 ×
猫神「神様、生きてここから出られますかね? ニャ」



 ○
猫娘「神様、生きてここから出られますかね? ニャ」


ごめんなさい

506: 2016/10/04(火) 22:43:55 ID:ySMz8lj.


――― 翌日・朝


神様「・・・・・・」ボー

狗神「・・・・・・」ボー


猫神「二人ともよく似合ってるよ~ 予備の装束持ってきて良かった~」

猫娘「神さまっぽいです! ニャ」

507: 2016/10/04(火) 22:45:43 ID:ySMz8lj.

宮司「・・・あの神使さん?」

神使「はい」

宮司「なぜ神の方が三人もいるのでしょうか・・・ しかもあちらは正一位の猫神様では?」

神使「驚かせてしまい申し訳ございません」

宮司「三神体制だなんて・・・ そんなにユー26号は禍々しい物なのですか?」

神使「いえ、そういう訳ではないのですが・・・」


巫女「神様すごくやつれているように見えます。 体調が優れないのでは?」

宮司「狗神さまも先ほどから足がプルプル震えているような・・・」

神使「(猫神様、早朝まで一体どんなお説教をされたのでしょう・・・)」

508: 2016/10/04(火) 22:46:57 ID:ySMz8lj.

猫神「宮司さ~ん」

宮司「はい、何でしょうか猫神様」フカブカ

猫神「残念だけどユー26号は開封する訳にはいかないから~ 再封印の儀を行いますので~」

宮司「承知いたしました」


猫神「狗神君~?」

狗神「はい!!」

猫神「新しい箱を本殿に入れて~」

狗神「ただいま!!」プルプル

宮司「あっ、私がお持ちいたします」

狗神「ありがとうございま―――」

猫神「狗神君が一人で持って行って~」

狗神「・・・・・・私、正座のしすぎで足が思うように動かな―――」

猫神「狗神君が一人で持って行って~」ニコッ

狗神「はい・・・」

509: 2016/10/04(火) 22:47:43 ID:ySMz8lj.

猫神「神ちゃんは、私の神力を経由して神力封印ね~」

神様「あの、それメッチャ疲れるんで猫神がやれば良いと思―――」

猫神「神ちゃ~ん」ニコッ

神様「承知いたしました」フカブカ


猫神「永久封印だからね~?」

神様「それって唱えるだけで3時間くらいかかると思―――」

猫神「永久封印だからね~?」ニコッ

神様「はい・・・」

510: 2016/10/04(火) 22:48:36 ID:ySMz8lj.

――― 夕方・客間


神様「ハァ~・・・ ちかれた・・・」トテトテ

神使「お疲れ様でした」

神様「目の前にある究極の牡蠣を食べずに封印するなんて、私の精神はボロボロだよ」シュン

神使「過去の過ちは悔い改めるべきです」

神様「お前、いつから牧師になったんだよ・・・」


神使「うだうだ言っていないで、装束脱いで下さい」

神様「そんな体力ない・・・」ゴロン

神使「ちょっと神様、装束着たまま布団に転がらないで下さいよ」

神様「疲れたんだよ・・・ パトラッシェ」

神使「猫神様の装束なんですから、怒られますよ?」

神様「!?」ヌギヌギ

511: 2016/10/04(火) 22:50:39 ID:ySMz8lj.

神使「シワになりますからもう少し丁寧に脱いで下さい」

神様「うるせー」ヌギヌキ


神使「あの、下着まで脱がなくても・・・」

神様「裸で布団に包まれたい気分なの!」

神使「ダメです。 ちゃんと服は着て下さい」

神様「いいじゃんよ~」


神使「もう出発するんですから。 猫神様が外で待っていますので」

神様「私、完徹なんだけど・・・ 少し寝かせてよ」

神使「電車の中でたっぷり寝る時間ありますから」

神様「もももも・・・」

512: 2016/10/04(火) 22:51:20 ID:ySMz8lj.


――― 境内


 テクテク


神使「お待たせいたしました」

神様「おまたせー」


宮司「神々の皆様、本当にご協力ありがとうございました」

猫神「気にしないで~ ユー26号は神力封印で永久に開く事はないから~」

宮司「代々お守りして参ります」

513: 2016/10/04(火) 22:52:20 ID:ySMz8lj.

猫神「それじゃぁ~ 私達はこれで~」

宮司・巫女「お世話になりました」フカブカ

神使「ご苦労様でした」

猫娘「また来ます。ニャ」


猫神「神ちゃん~、狗神君~ ちゃんとご挨拶しないとダメよ~」

狗神「・・・この度は、大変お騒がせいたしまして申し訳ございません」フカブカ

神様「深く反省しております」フカブカ

宮司「?」

神使「で、では・・・ 失礼いたします」ペコリ

514: 2016/10/04(火) 22:53:51 ID:ySMz8lj.


 テクテク


神様「ハァ~ 散々な目に遭ったよ・・・」

神使「元はと言えば神様が原因ですよ?」

猫神「あれ~ まだ反省してないの~?」

神様「反省してます!」


猫娘「そういえば、狗神様はどうしたんですか? ニャ」

神様「タクシーで帰ったよ。 足プルプルして歩けないんだと」

神使「狗神様も神様と付き合ったばかりに災難ですね・・・」

515: 2016/10/04(火) 22:55:03 ID:ySMz8lj.


――― 駅


神様「さて、私達は次どこ行くんだ?」

神使「東北方面ですね」

神様「遠いなぁ・・・」


猫神「私達と一緒だね~」

神様「そういえば、猫組も東北だな。 飛行機か?」

猫娘「新幹線で仙台です。ニャ」

猫神「飛行機は苦手でね~」

猫神「6時間かかるので疲れます。ニャ」


神様「たった6時間くらいで根を上げるようじゃまだまだだな。 私は電車で12時間耐え抜いた事がある」ドヤッ

猫神「12時間も!? すごいね~」

517: 2016/10/04(火) 22:56:59 ID:ySMz8lj.

神使「今回は記録更新しそうですね」

神様「は?」

神使「予定では35時間かかるみたいですので」

神様「・・・・・・」

猫娘「35時間ですか!?」

神様「おい猫娘、“ニャ”忘れてるぞ」


猫神「どういうルートで行くの~?」

神使「鈍行ですので・・・ 途中廃神社で1泊いたしますから電車に乗るのは27時間くらいですが」

518: 2016/10/04(火) 22:58:26 ID:ySMz8lj.

神様「猫神さぁ、私達の切符と交換しない?」

猫神「え~ 嫌だよ~」

神様「良いじゃんよ、交換しようぜー」

猫神「じゃぁ、私達も一緒に鈍行で行ってあげようか~」

猫娘「ニャニャ!?」

神様「・・・・・・」


猫神「ふふっ、冗談だよ~ 神ちゃんは神使君と二人が良いんだもんね~」

神様「猫神さぁ・・・」ギロッ

猫神「あ~ 怖い~ 神ちゃんが本心を見抜かれて怒ってる~」


神使「・・・・・・あの、あまり神様をからかわないであげて下さい」

猫神「冗談だよ~」

神様「さっさと新幹線でねこねこアイランドに帰れ!」

519: 2016/10/04(火) 22:59:07 ID:ySMz8lj.

猫娘「猫神様、新幹線ホームはこっちです。ニャ」

猫神「じゃぁ私達はここで~」

神様「へいへい」


神使「今回は色々とありがとうございました」

猫神「どういたしまして~ 元気でね~」

神使「また、暇を見つけてねこねこ島の方へ遊びに伺いますので」

猫娘「待ってます! ニャ」

猫神「じゃぁね~」

520: 2016/10/04(火) 22:59:57 ID:ySMz8lj.

神様「んで、私達はどこだ?」

神使「3番線ですから向こう側ですね」

神様「長旅だなぁ・・・」

神使「頑張っていきましょう!」

神様「何を頑張るんだよ~」

神使「では、東北へ向け出発です!」

神様「お家帰りたい!」





神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#11 ―END

521: 2016/10/04(火) 23:00:51 ID:ySMz8lj.

猫神「お~い、神ちゃ~ん」

神様「あん?」


 スタスタ


猫神「神ちゃんにこれ渡すの忘れてた~」

神様「ん? なにこの書類」

猫神「K7の議事録~」

神様「あ~」

猫神「40ページあたりからの報告書だけでも後で読んで感想聞かせてもらえると嬉しいなぁ~」

神様「分かった」


神使「K7と言えば、猫神様の議長宣言は大変素晴らしかったです!」

猫神「嫌だなぁ~ 聞いてたの~?」

神使「毎年素晴らしいお言葉ですが、今年は特に心に染みました」

猫神「うれしいね~」

522: 2016/10/04(火) 23:02:08 ID:ySMz8lj.

神使「神様にもぜひ聞いて頂きたいお言葉でした・・・」


神様「“神があって人があるのではない、人があって神がある”か?」

神使「はい、とても考えさせるお言葉です・・・ って、神様ご存じなんですか?」


猫神「ふふっ、それ神ちゃんの言葉だよ~」

神使「えっ?」


猫神「これは秘密なんだけど~ K7で出す議長宣言って神ちゃんが毎年考えてるんだよ~」

神使「神様が!?」

猫神「うん、毎年ぎりぎりで今回も当日の朝にメールで送られてきたんだけどね~」

神使「・・・・・・」


神様「何だよ」

神使「いえ・・・」

523: 2016/10/04(火) 23:02:52 ID:ySMz8lj.

神様「神使君さぁ忘れちゃってるかも知れないけど、私これでも神宮の神だからね?」

神使「そ、そうですよね・・・ 確かにこの国の神は神様から生まれてるんですよね・・・」


神様「母なる神ちゃん!」フンスッ

猫神「え~ 嫌だな~ その表現」

神様「・・・・・・すいません、調子に乗りました」ペコリ


神使「やっぱり神様は凄いんですね・・・」

猫神「その神様を支える神使君はもっと凄いと思うよ~」

神使「いえ、私などまだまだ・・・」

524: 2016/10/04(火) 23:03:52 ID:ySMz8lj.

猫神「こんなにいつも一緒にいる神使なんて神ちゃん初めてじゃな~い?」

神様「あ?」

猫神「神ちゃんって神使なんて眼中になかったもんね~ 一ヶ月に一回会ってくれたら良い方だったし~」

神様「・・・申し訳ございませんが過去の話を持ち出すのは勘弁して頂けないでしょうか」

猫神「ふふっ、ゴメ~ン」


猫娘「猫神様、新幹線出ちゃいます! ニャ」

猫神「じゃぁ今度こそ、バイバ~イ」

神様「へいへい」

神使「色々とありがとうございました」

猫神「どういたしまして~ 元気でね~」


 スタスタ

525: 2016/10/04(火) 23:04:35 ID:ySMz8lj.

神使「さてと、では神様行きましょうか」

神様「30時間か・・・」

神使「すいません、お金の方が少し厳しく神様にご不便をおかけしまして」

神様「そんな事を気にする必要なんかないよ」

神使「しかし・・・」

神様「私はお前となら歩いて東北まで行くのも苦じゃないしさ」

神使「神様・・・」


神様「我が神使、狛犬よ」

神使「はい・・・」

526: 2016/10/04(火) 23:05:38 ID:ySMz8lj.

神様「神にならない?」

神使「お断りします」


神様「・・・少しは考える振りくらいしろよ」チッ

神使「以前も申しましたが、私は神様の神使でいたいのです」

神様「・・・・・・」

神使「電車の時間です。 行きますよ?」

神様「やっぱ、新幹線にしない?」

神使「ダメです、お金がないって言ったばかりじゃないですか」

神様「じゃぁ神になってよ」

神使「しつこいですよ?」

神様「私のお願い、一つくらい聞けやーー!!」





神様「神様だっ!!」 神使「神力ゼロですが・・・・・・」 ―END

527: 2016/10/04(火) 23:07:14 ID:ySMz8lj.

引用: 神様「神様だっ!!」 神使「神力ゼロですが・・・・・・」