541: 2016/10/10(月) 23:50:28 ID:qI/0iV2M

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#12 「あにあに神社」

 ガタンゴトン


神使「神様?」

神様「なんだよ、極悪邪道腐れ犬ころ変O神使」

神使「スレが余っています」

神様「だから?」

神使「まだ私達の旅を書き記せます」

神様「いや、もう良いんじゃね?」

神使「もうじき次の目的地にも着きますし・・・」

神様「どうせ減給になるだけだから行かなくて良いと思うの」

神使「では、このまま鈍行に乗っていますか? 永遠に終わる事のない鈍行の旅・・・」

神様「!? “神ちゃんと行く全国牡蠣食べ尽くし漫遊記”スタートゥ!」

神使「タイトルが違います」
江戸前エルフ(9) (少年マガジンエッジコミックス)
542: 2016/10/10(月) 23:51:50 ID:qI/0iV2M

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


神様「神様だっ!!」 神使「神力ゼロですが・・・・・・」



 ガタンガタン
 プシュー


神使「いや~ 良い所ですね」

神様「マジで30時間も電車に乗せられるとは思わなかった・・・」ゲンナリ


神使「見て下さい神様! この景色!」

神様「緑色しか見えないんだけど・・・ 人は? お店は? 人工物は?」キョロキョロ

神使「ホームしかないですね、この駅」ハハハ

神様「勘弁してくれよ~ 山しかねーじゃん・・・」


神使「私こういう雰囲気大好きです」

神様「私はコンクリートジャングルの方が好きです!」

543: 2016/10/10(月) 23:52:26 ID:qI/0iV2M


~あらすじ~


神様「かわゆい神ちゃん!」

神使「ダメ神です」

544: 2016/10/10(月) 23:53:20 ID:qI/0iV2M


【#12】


 テクテク


神様「ねぇ、また廃神社だったりするの~?」

神使「次の勤務先の神社は有人です。 神職と巫女さんが居るようですね」

神様「え? マジで?」

神使「はい、あにあに神社という小さなお社のようです」

神様「んじゃ私達が行く必要なんかないんじゃね?」


神使「神社運営の指導という形になります」

神様「指導?」

神使「ですので、私達が神使と神という事は内緒でお願いいたします」

神様「あ?」

545: 2016/10/10(月) 23:54:43 ID:qI/0iV2M

神使「あくまでも神宮からの教育係としての赴任となりますので」

神様「まぁ私は巫女が本職だから良いけど、お前はどうすんの? 番犬か?」ウヒャヒャ

神使「・・・神職という事でお願いします」

神様「神職? お前が?」

神使「これでも神職の資格は持っているんですよ?」

神様「え? うそ!」

神使「神宮に赴任する前に階位を取得しました」


神様「じゃぁ神になれば神・神職・巫女、全部出来るじゃん!」

神使「そういうつもりで取得したつもりはないのですが・・・ あと巫女は関係ないと思います」

神様「一人で全部こなしてこそプロフェッショナルだと思うの。 じゃぁ早速神に―――」

神使「なりません」

神様「・・・」チッ

546: 2016/10/10(月) 23:55:54 ID:qI/0iV2M


――― あにあに神社


 ガラガラ


神使「ごめんください」

巫女「はい?」


神使「神宮から参りました神使と申します」

巫女「神宮!? ど、どうぞお入り下さい」

神使「失礼いたします」スタスタ

神様「おじゃまー」トテトテ


神使「権禰宜さんはいらっしゃいますでしょうか」

巫女「はい!今呼んできますので少々お待ち下さい」スタスタ

547: 2016/10/10(月) 23:56:39 ID:qI/0iV2M

神様「宮司じゃなくて良いのか?」

神使「神宮の資料ですと先日転勤されたそうで、今は権禰宜の神職と巫女さんの二人だけだそうです」

神様「へ~ 宮司不在なんだ」

神使「大変ですよね」


神様「それより、さっきの巫女さん若いな。 初々しくて良いね~」

神使「いじっちゃダメですよ?」

神様「いじるって何だよ・・・ 私は新入りちゃんにはとっても優しいのだよ? 神使君」

神使「それは良かったです」

548: 2016/10/10(月) 23:57:42 ID:qI/0iV2M


 スタスタ


神主「お待たせしました、あにあに神社の権禰宜で神主と申します」ペコリ

神様・神使「・・・・・・」

神主「?」


神様「随分若いね~ 袴の色も白だし、もしかして入ったばっかり?」

神主「四月に研修所を卒業して、先日市内のお社で研修を終えたばかりです!」

神使「・・・そうですか」


神使「巫女ちゃんも新人ぽいけど?」

巫女「はい! 私も先日からこちらに・・・」

神使「お二人とも新人さんという訳ですね?」

神主・巫女「はい!」

神様「神宮も無茶するよね~」

549: 2016/10/10(月) 23:58:52 ID:qI/0iV2M

神使「神宮から連絡があったかと思いますが、しばらく私たちが指導と管理体制のお手伝いをさせて頂きます」

神主・巫女「よろしくお願いします!」


神様「私は神宮の巫女で、みんな大好きかわゆい神ちゃん」

巫女「よろしくお願いします! 神ちゃんさん!」

神様「かわゆい神ちゃん」

巫女「はい! 神ちゃんさん!」

神様「・・・うん」


神使「私は・・・ 神宮の神職で神使と申します」

神主「ご指導よろしくお願いいたします! 神使先生!」

神使「よろしくお願いいたします」

550: 2016/10/10(月) 23:59:32 ID:qI/0iV2M

神様「荷物を置きたいんだけど部屋に案内してもらってもいい?」

巫女「はい! 神ちゃんさん!」


神様「かわゆい神ちゃんさん先生」

巫女「はい! 神ちゃんさん、ご案内します!」


神様「君、中々見所あるね・・・」

巫女「ありがとうございます! 神ちゃん!」

神様「・・・・・・」

554: 2016/10/12(水) 02:42:14 ID:vunJXR6A


――― 客間


 ガラガラ


神主「滞在中はこちらのお部屋をお使い下さい」

神使「ありがとうございます」

神様「ども~」トテトテ


巫女「あっ、神ちゃんさんのお部屋は隣です」

神使「私と神様は同じ部屋で大丈夫です」

巫女「しかし・・・」

神主「男女同じ部屋というのも・・・」

555: 2016/10/12(水) 02:43:40 ID:vunJXR6A

神様「ノープロブレム! 神使君は夜一人だと寂しくて寝られないんだよ」ニヒヒ

神使「夜ヒマになっても花札で遊んであげませんよ?」ボソッ

神様「・・・部屋を二つも使うなんてそんな贅沢は出来ないから一つで良いの」

神主「そう言うことでしたか。 さすが神宮に御奉職されている方の考えは立派ですね」

神様「でしょ? 勉強したまえ」

神使「・・・・・・」


神主「では、私達は社務所におりますので」

神使「わかりました。 後ほど伺います」


 ガラガラ

556: 2016/10/12(水) 02:44:56 ID:vunJXR6A

神使「では、着替えてお仕事に入りましょうか」


神様「う~ん・・・」

神使「どうされました?」

神様「何で新人が神社の管理してんだ? しかも宮司不在なんて変だろ」

神使「・・・実はこの神社、この1年で宮司が五人も変わっているようでして」

神様「そんなに!?」


神使「全員神宮辞令の転勤で来られたそうなのですが、皆さんすぐにお辞めになってしまうようです・・・」

神様「神宮辞令・・・ 理由は?」

神使「住人の方との関係が上手くいかないと・・・」

神様「うへ~ マジっすか・・・」

557: 2016/10/12(水) 02:45:51 ID:vunJXR6A

神使「昔ながらの集落ですので、よそ者は嫌煙されるんじゃないでしょうか」

神様「だったら神職不在神社にしておけば良いじゃん」

神使「それが、神宮がこのお社を重要視しているようでして」

神様「重要視? 見た感じ普通の神社みたいだけど?」

神使「確かにお社の社位もそれほど高くはないようですし、どうしてかは私も知らされていないのですが・・・」

神様「そんな重要視するような所に新人ってどうなの?」

神使「ですから、その体制の見極めもかねて私達がここに来た訳で・・・」

神様「やっぱ曰く付きかよ~・・・」ハァ

558: 2016/10/12(水) 02:47:27 ID:vunJXR6A


――― 夕方


 サァー サァー


神使「さてと、境内のお掃除はこんなもんで良いでしょう」

神主「はい!」


神使「では、この後は本殿でご祈祷の実技を―――」

神主「あっ」

神使「?」クルッ


村人「・・・」ジー

559: 2016/10/12(水) 02:50:07 ID:vunJXR6A

神使「こんにちは」ニコッ

村人「・・・・・・」


神使「今日からこちらでお世話になります神使・・・ いえ、神職の神使と申します」ペコリ

村人「・・・・・・」

神使「?」


村人「よそ者は、夜に出歩くでねぇぞ」

神使「夜?」

村人「分がっだな? 村の掟だ」スタスタ

神使「・・・・・・」

560: 2016/10/12(水) 02:51:05 ID:vunJXR6A

神主「私達あまり歓迎されていないようです・・・」

神使「あの方は?」

神主「毎日ここに来る方なんですが、いつもあんな感じで・・・」

神使「毎日・・・ ですか?」


神主「なんか監視されているみたいで少し怖いですよね」

神使「・・・・・・」

561: 2016/10/12(水) 02:52:19 ID:vunJXR6A


―――社務所


神様「うへへ、お芋・・・ Zzz・・・」グガー

神使「神様?」ユサユサ

神様「んぁ・・・ 芋?」

神使「何ですか芋って・・・ 巫女さんと一緒に紙垂を作っていたんじゃないんですか?」

神様「ん~ とっくに終わった」ボー


神使「巫女さんはどちらに?」

神様「知らない」

562: 2016/10/12(水) 02:54:56 ID:vunJXR6A

神使「神様、教育係なんですからもう少し責任持って下さいよ・・・」

神様「豚汁の匂いするから夕食でも作ってんじゃないの?」

神使「調理場は別棟なのによく分かりますね・・・」

神様「良い香りがプンプンするじゃん」クンクン


神使「夕食前に二人に講習会を開きますから神様もご指導お願いします」

神様「え~ お前一人でやれよ」

神使「私は巫女のお仕事はよく分かりませんから」

神様「講習とか面倒くさいと思うの。 私嫌い」

神使「神様の好き嫌いは関係ありません。 仕事です」

神様「へいへい。 厳ちーね~」ヨイショ

563: 2016/10/12(水) 02:56:04 ID:vunJXR6A


――― 本殿


 ダッ ダッ ダッ


巫女「遅くなりました!」ハァハァ


神使「17時から講習会と言いましたよね?」

巫女「・・・はい」

神使「今何時ですか?」

巫女「17時10分です・・・」

神使「遅刻です」


巫女「夕食の準備をしてまして・・・」

神使「遅刻は遅刻です」

564: 2016/10/12(水) 02:56:53 ID:vunJXR6A

神様「ちょっと神使君? 厳しすぎない?」

神使「いえ、遅刻は奉職上問題がございますので」

神様「はい・・・」


神使「それと、社殿内で走ってはいけません」

巫女「すいません」ペコリ

神使「では、講習会を始めます」

神主・巫女「よろしくお願いいたします!」

565: 2016/10/12(水) 02:58:01 ID:vunJXR6A


――― 2時間後


神使「では、故実に関してはこの位で」

神主「ありがとうございます神使先生!」

神使「実際やってみないと分からない事も多いと思います。 これからゆっくり学んでいきましょう」

神主「はい!」


神使「では、次は神様から巫女の奉務に関してよろしくお願いいたします」

神様「特にないけど」

神使「・・・・・・巫女さん、何か聞きたい事ありますか?」

巫女「はい! 私は普段何をすれば良いでしょうか!」

神様「巫女の仕事すれば良いと思う」

566: 2016/10/12(水) 02:59:35 ID:vunJXR6A

巫女「具体的には!」

神様「お守りの頒布とか?」

巫女「参拝者が来ません!」

神様「あ~ 巫女舞とか?」

巫女「舞う神事がありません!」

神様「え~と・・・ 掃除!」

巫女「なるほど」

神様「一に掃除、二に掃除! 徹底的に掃除をしまくる!」

巫女「分かりました!」

神様「うんうん」ドヤッ


神使「そんなどや顔されましても・・・」

神様「私は座学でなく実践派なのだよ」

神使「そうですか・・・ では、明日からみっちり実践でご指導下さい」

567: 2016/10/12(水) 03:03:36 ID:vunJXR6A


――― 翌日


 チュンチュン


神様「おはよ~」トテトテ

巫女「おはようございます」

神様「よく起きられたね~」

巫女「昨日は早く寝ましたので!」

神様「んじゃ、巫女ちゃんは裏側から掃除お願い」

巫女「はい!」タッ タッ タッ


神様「走っちゃダメだよ~」


 巫女「はい! すいません!」



神様「かわゆいね~ さてと、私は中庭からやりますか」

568: 2016/10/12(水) 03:05:26 ID:vunJXR6A


 トテトテ


神様「ん?」

村人「・・・・・・」ジーッ


神様「おはようございます。 絶好のキノコ狩りの天気ですね~」

村人「新入りが?」

神様「昨日から巫女を少々。 私の事はかわゆい神ちゃんとお呼び下さい」

村人「うぢらの指示さなしで勝手に村さうろづぐんじゃねぇぞ」

神様「・・・・・・」

村人「分がっだな?」スタスタ

569: 2016/10/12(水) 03:07:13 ID:vunJXR6A


巫女「神ちゃんさ~ん」スタスタ


神様「え? なに?」クルッ

巫女「朝拝始めるそうですから本殿に」

神様「うん・・・」


巫女「どうしました?」

神様「何言っでっが分がんねーよ~」

巫女「?」

571: 2016/10/12(水) 22:42:53 ID:vunJXR6A


――― 翌日・本殿


神主「こんな感じでどうでしょうか」

神使「祝詞の方はそんな感じで問題ありません。 そしたら巫女さんはこの後に―――」

巫女「キャッ!」ビクッ

神使「巫女さん?」


神主「神使先生・・・ 後ろ」

神使「?」クルッ

村人「・・・・・・」ジィー


神使「なにかご用でしょうか?」

村人「今日の午後、おはしら山に来い」

神使「おはしら山・・・ ですか?」

572: 2016/10/12(水) 22:45:30 ID:vunJXR6A

村人「山が騒がしい」

神主「ご祈祷のご依頼でしょうか?」

村人「14時から始める」

神使「あの・・・ どのような趣旨のご祈祷でしょ―――」

村人「お前達は言う事だけすれば良い」スタスタ


神使「・・・・・・」

神主「どうしましょう、神使先生」

神使「氏子さんからのご依頼ですし無視する訳にも行きませんね・・・」

神主「しかし、ご依頼の内容も分からないようでは・・・」


神使「山が騒がしいと仰っていましたね・・・ 取りあえず清祓いの準備をお願いします」

神主「分かりました」

573: 2016/10/12(水) 22:47:20 ID:vunJXR6A


――― 社務所


神様「Zzz・・・」グガー

神使「神様? 神様?」ユサユサ

神様「ん~ 夕飯・・・?」

神使「まだお昼ですが・・・」


神様「なんだよ~」ムニャムニャ

神使「私達外祭の方に行って参りますが、どうされます?」

神様「お留守番してる~」モゾモゾ

神使「では、お任せいたします」

神様「ん・・・ Zzz」グガー

574: 2016/10/12(水) 22:48:39 ID:vunJXR6A


――― おはしら山


神使「おはしら山はこのあたりですよね」


神主「あっ、あそこ。 村の皆さんじゃないですか?」

巫女「大勢・・・ 10人くらい集まっていますね」

神使「行きましょう」


 スタスタ

575: 2016/10/12(水) 22:50:50 ID:vunJXR6A

神使「お待たせいたしました」

村長「あにあに神社の神主か?」

神使「先日神宮から指導役で赴任いたしました神使と申します」ペコリ


村長「山が悪さしおる」

神使「悪さ・・・ ですか? 一体どのような―――」

村人A「ご託は良いから黙って祈祷するんだ! 山巫女様の命令だ」

村長「おい! 部外者に無用な話はするな!」

村人A「すいません・・・ 村長」


神使「あの、山巫女様というのは・・・」

村長「余計な詮索はせずに黙って祈祷をするんだ」

576: 2016/10/12(水) 22:53:46 ID:vunJXR6A

神使「・・・承知いたしました、清祓を執り行わせて頂きます。 神職さんお願いします」

村長「お前がするんじゃないのか?」

神使「あにあに神社の神職である彼が―――」

村長「お前がしろ」

神使「私ですか?」

村長「お前の方が徳が高そうだ」

神使「僧侶ではないので徳とかは関係ないのですが・・・」

村人A「つべこべ言わずにお前がするんだ」

神使「・・・分かりました、私が斎主を務めます。 神主さん準備をお願いします」

神主「はい」

577: 2016/10/12(水) 22:54:47 ID:vunJXR6A


――― 帰り道


 テクテク


神主「しかし、不気味な村ですよね・・・」

神使「山巫女様というのはご存じですか?」

神主「さぁ、私は特に」

巫女「私も存じ上げません」


神使「・・・・・・何かありそうですね。 この村」

神主「・・・・・・」

巫女「私、この村の神社でご奉仕する自信が無くなってきました」シュン

神使「時期に打ち解けますよ」

巫女「だと良いんですが・・・」

580: 2016/10/14(金) 18:45:01 ID:X0lq0TGA


――― 社務所


神主「それでは、私達は用具を仕舞ってきますので」

巫女「先に中に入っていて下さい」

神使「ありがとうございます」


 ガラガラ


神使「ただいま戻りました」

581: 2016/10/14(金) 18:45:50 ID:X0lq0TGA

神様「ふあぁ~ よく寝た」トテトテ


神使「あっ、神様」

神様「お~ お出かけか?」

神使「外祭に行くとお話ししたと思うのですが・・・」

神様「あ~ 言ってたな。 地鎮式?」

神使「清祓を。 村の方10人くらいでしたね」

神様「ふ~ん・・・」ジー

神使「?」

582: 2016/10/14(金) 18:46:47 ID:X0lq0TGA

神様「お前、風邪でも引いたか?」

神使「私ですか?」

神様「少し顔が赤い気がするけど」

神使「そいうえば、少し悪寒がありますが・・・」

神様「ゆっくり休んどけよ。 お前が寝込むと私の仕事が増える」

神使「神様、寝てるだけじゃないですか・・・」

神様「仕事の効率が良すぎるから早く終わるの!」

神使「・・・そうですか」

583: 2016/10/14(金) 18:48:22 ID:X0lq0TGA


――― 夜


 ピピピピ


神様「38度か・・・」

神使「申し訳ありません・・・」

神様「だから休めと言っただろ」

神使「返すお言葉もございません」


神様「熱が引くまでゆっくり寝てろ」

神使「神様にご迷惑をおかけしてしまい神使失格ですね・・・」

神様「熱が引いたら焼き肉ご馳走しろよ」

神使「はい・・・」

584: 2016/10/14(金) 18:49:46 ID:X0lq0TGA


――― 翌日・朝


神様「Zzz・・・」コクッ コクッ


 チュンチュン


神様「んぁ・・・ 朝?」


神使「う~ん・・・」ゼェゼェ

神様「?! おい、どうした神使!」

神使「すいません」ゲホッ

神様「昨日より悪化してないか? ちょっと、おでこ貸せ」ピトッ

585: 2016/10/14(金) 18:50:39 ID:X0lq0TGA

神様「・・・・・・」


神使「ここまで酷い風邪を引いたの初めてです」ゲホッ ゲホッ

神様「なんで、もっと早く言わないんだよ!」

神使「すいません、神様が気持ちよさそうにお眠りでしたので」


神様「・・・お前、いつから体調が悪くなったのを感じた?」

神使「昨日、外祭に行った後くらいでしょうか」

神様「外祭・・・ 確か清祓って言ってたな」

神使「はい」

神様「・・・・・・」

586: 2016/10/14(金) 18:52:02 ID:X0lq0TGA


――― 社務所


 ガチャ


巫女「あっ、神ちゃんさん。 神使先生の容体はいかがですか?」

神様「少し熱が上がってる感じ」

巫女「そうですか・・・」

神様「・・・・・・」ジィー

巫女「?」

神様「神主君は居る?」


神主「はい、何でしょうか」

神様「昨日、うちの犬ころが清祓に行ったって聞いたけど」

神主「えぇ」

587: 2016/10/14(金) 18:52:48 ID:X0lq0TGA

巫女「おはしら山です」

神様「おはしら山・・・ どんな清祓だった?」

神主「普通の・・・ 神宮指定のマニュアルに沿った清祓だと思います」


神様「・・・ちょっとその場所まで案内してもらってもいい?」

神主「・・・・・・」

巫女「私、ご案内します」

神主「分かりました。 私もご一緒いたします」

588: 2016/10/14(金) 18:53:48 ID:X0lq0TGA


――― おはしら山


神主「神使先生が清祓をしたのはこの場所です」

神様「ふ~ん、特に変わった場所じゃ・・・・・・ !?」ピタッ

巫女「神ちゃんさん?」

神様「清祓の内容は?」

神主「確か、山の安全祈願だったと」

神様「・・・・・・」


巫女「あっ!」

神様「?」クルッ

589: 2016/10/14(金) 18:54:55 ID:X0lq0TGA

村民「・・・・・・」ジィー


神主「村の人が見てますね」

神様「・・・引き上げよう」

巫女「え?」


神主「ご祈祷などをなさるのでは?」

神様「・・・必要ない」スタスタ

神主「あの、神ちゃんさん?」

神様「急げ」

神主「はい」


 スタスタ

591: 2016/10/15(土) 01:47:30 ID:4DEuBh5k


――― 夜・寝室


神様「・・・」ゴソゴソ

神様「え~と、神ちゃんお守りは・・・ まだあるな」ギュッ


神使「Zzz・・・」


神様「・・・お守りに封じし我が神力を解放す。 我が神使に付きし災厄を緩和せよ」ボソッ


 ポワポワ


神様「よし、と」スタッ


 トテトテ

592: 2016/10/15(土) 01:48:32 ID:4DEuBh5k

神使「神様?」

神様「あっ、悪い起こしたか」


神使「こんなに遅くにお出かけですか?」

神様「・・・・・・」


神使「何をなさるのか知りませんが、あまり無理なさらないで下さいね?」

神様「・・・・・・あぁ」

神使「私もすぐに治りそうですから」

神様「そんな事が分かるのか?」

神使「はい。 神様から御利益を頂きましたから」

593: 2016/10/15(土) 01:49:47 ID:4DEuBh5k

神様「そうか・・・ でもおとなしく寝てろ」

神使「・・・分かりました」

神様「私の素晴らしい力を持ってすれば病気の一つや二つちょちょいのちょいだ」

神様「はい、やはり神様は素晴らしい神です」

神様「照れるじゃないか」

神様「いいえ、さすがかわゆい神ちゃんと皆から慕われるだけの事はありますね」

神様「そうだろ? なんと言ってもやはり私は―――」

神使「あの? 神様・・・・・・」

神様「あ?」


神使「何一人で漫談しているんですか?」

神様「お前の心の代弁をしたんだけど」

594: 2016/10/15(土) 01:51:19 ID:4DEuBh5k

神使「いえ・・・ そこまで思っておりませんでしたが・・・」

神様「あっ、そ」


神使「山は冷えます。 暖かくしてお出かけ下さい」

神様「まるで私が山にでも行くような言い方だな」

神使「・・・・・・お供できず申し訳ありません」

神様「そうだな。 エキサイチングになりそうなのに残念だな」フッ


神使「・・・そのご装束、神様によくお似合いです」

神様「お前、自分が買い与えた物を褒めるなんて良い趣味だな」

神使「できれば、後でお写真を取らせて下さい」

神様「嫌です~」ベー

595: 2016/10/15(土) 01:51:55 ID:4DEuBh5k

神使「お気を付けて」

神様「あぁ。 もう少しの辛抱だ、ゆっくり寝ていろ」スタスタ


 ガラガラ ピシャ



神様「さてと、行きますか」


 スタスタ

596: 2016/10/15(土) 01:56:38 ID:4DEuBh5k


――― 1時間後


神使「また神様にお守りを使わせてしまいましたね・・・ でも、だいぶ楽になりました」

神使「・・・心配ですが、私が出る幕ではないようですね・・・」シュン


神使「溜まっていた日報でも書いておきますか。 寝ながらでも出来ますし」ゴソゴソ


 ストンッ


神使「? これは・・・ たしか、猫神様が神様に渡したK7の議事録・・・」

神使「神様、また私の鞄に入れて・・・ 通りで重いと思いました」ハァ

597: 2016/10/15(土) 01:57:50 ID:4DEuBh5k


~猫神『40ページあたりからの報告書だけでも後で読んで感想聞かせてもらえると嬉しいなぁ~』~



神使「・・・・・・」ペラッ

神使「え~と、四柱結界に関して・・・・・・?」


神使「・・・・・・」ペラ ペラッ

神使「!? これは!」

602: 2016/10/15(土) 23:29:07 ID:4DEuBh5k


―――

神使「神様、牡蠣が奉納されました」

神様「なに!?」ガバッ

神使「>>599さんにお礼を」

神様「次から私の格好いいシーンが始まる! 見届けよ!」キラッ!

―――

603: 2016/10/15(土) 23:30:02 ID:4DEuBh5k


――― おはしら山


神様「・・・さてと、久しぶりの大仕事だから緊張するな・・・」

神様「体調良し! 神ちゃんお守りよし! それじゃ・・・ 始めますか!!」


神様「我! お守りに封印されし神力を解―――」


 ウー
 ピカピカ


神様「?」

604: 2016/10/15(土) 23:31:46 ID:4DEuBh5k


 バタン


警官A「君、こんな遅くに何してんの?」

神様「・・・・・・」

警官B「その格好・・・ なに?」

警官A「コスプレ?」

神様「犬ころに買ってもらった装束をバカにすんな! クソポリ公!」

警官A・B「・・・・・・」

神様「あっ! すいません。 私の事なら気にしないで下さい、普通は見えないはずなので」オロオロ

警官B「何言ってんの?」

神様「他の神は見えないんだけど、私は見えちゃうから」アセアセ

605: 2016/10/15(土) 23:33:01 ID:4DEuBh5k

警官A「・・・ちょっとパトカー乗ってくれる?」

神様「いや、でも少しやる事があって・・・」

警官B「はいはい、警察署でやって」ガシッ

神様「マジっすか~!?」ズルズル


 バタン
 ブーン


神主「・・・・・・」

606: 2016/10/15(土) 23:34:14 ID:4DEuBh5k


――― 隣町・警察署


警官A「どっから来たの?」

神様「あにあに神社」

警官A「正直に話して?」

神様「だから、あにあに神社から来たの!」

警官A「はいはい。 じゃぁ、あの無人神社で寝泊まりしてるの? 家出?」

神様「無人?」

警官A「あそこの神社は神主さんも居ない無人神社だよ? そうだよな?」

警官B「えぇ、村からの届け出は無人神社となってますね」

神様「・・・・・・」

607: 2016/10/15(土) 23:35:38 ID:4DEuBh5k

警官A「身分証ある? 免許証とか」

神様「身分証・・・」ゴソゴソ

警官B「君の名前とか分かるものね」


神様「古いけど・・・ これしか持ってない」スッ

警官A「・・・内務省神社局? なにこれ?」

神様「昔のだから・・・」

警官A「明治33年発行って・・・ 君、いくつよ・・・」

神様「あぁ~・・・」

警官B「これ、ご先祖様とかの身分証? 内務省に居たんだ、偉かったんだね~」

神様「・・・・・・」

608: 2016/10/15(土) 23:36:50 ID:4DEuBh5k

警官A「学生? それともどこかに勤めたりする?」

神様「勤め先は・・・ 神宮?」

警官A「私に聞かれても・・・ 名刺とかある?」

神様「名刺ならある」スッ

警官A「神宮 広域特務課 審査係・・・ 本当に神社の関係者なの?」

神様「嘘ついたって仕方ねっペ!」

警官A「確認のために電話するけど良いね?」

神様「マジっすか・・・」


警官A「ちょっと電話して確認してくれる?」

警官B「はい」スタスタ

609: 2016/10/15(土) 23:37:57 ID:4DEuBh5k

警官A「で、なんであんな所にいたの? しかもそんな格好で・・・」

神様「儀式っぽい事しようと思って・・・」

警官A「ぽいって・・・ 儀式とは違うの?」

神様「神宮が規定している清祓とかの祈祷とは少し違って・・・」

警官A「専門用語使われても分からないよ?」

神様「はぁ・・・」


警官A「呪いの儀式とか、そんな感じのヤツ?」

神様「私がそんな事する訳ねっぺさ!」

警官A「君・・・ どこの人?」

610: 2016/10/15(土) 23:39:34 ID:4DEuBh5k

警官B「お待たせ」

警官A「おう、どうだった?」

警官B「神宮で働いてるって。 当直のA子さんっていう人に確認してもらった」

神様「A子ちゃん・・・ 夜中に何で巫女が神宮にいるんだよ。 また何かやらかしたな」


警官A「まぁ、確認取れたし・・・ 今後はもう少し気をつけてね」

神様「釈放?」

警官A「逮捕した訳じゃないから。 帰って良いよ?」

神様「え・・・ ここまで拉致してきて一人で帰れっての?」

警官A「パトカーはタクシーじゃないからね」

神様「いやいや、帰り方分かんないよ」

警官A「地図書いてあげるから。 徒歩で2時間歩けば帰れるよ」

神様「嘘でしょ・・・ 送ってよ~ こんなにかわゆい子を一人夜道に放り出すの?」

611: 2016/10/15(土) 23:40:44 ID:4DEuBh5k

警官A「仕方ないな、その格好だし・・・ 今回は特別だよ?」

警官B「でも、あんまりあの村行きたくないな・・・」

神様「やっぱ変だよね、あの村」

警官A「まぁ確かに協力的ではないよね・・・」

警官B「特に夜は近づくなって言われてるし」


神様「あの村には見回りとかよく行くの?」

警官A「・・・いや、今日は通報があったから」

神様「通報?」

612: 2016/10/15(土) 23:41:30 ID:4DEuBh5k

警官A「不審者がうろついているって。 行ってみたら君がいたという訳」

神様「不審じゃないでしょ私!」

警官A「いや、そんな格好で夜中にあんな場所に居るのは不審者以外何者でもないよ」

神様「装束! 正装!」プンプン


警官B「でも珍しいな、夜に村の方から来いなんて」

警官A「よっぽど君が怪しかったんだろ」ハハハッ

神様「・・・・・・」

616: 2016/10/16(日) 18:41:17 ID:a8xShpOo
吉備団子国に来てカキオコを賞味せずご出立なされるとは…

つ⌒【虫明のカキオコ】

617: 2016/10/16(日) 22:41:02 ID:kkfpooiA


―――

神使「神様、カキオコが奉納されました」

神様「おっ! 虫明の牡蠣てんこ盛りじゃん!」パクッ

神使「>>616さんにお礼を」

神様「今日こそ! 私の格好いいシーンを堪能せよ!」

―――

618: 2016/10/16(日) 22:42:28 ID:kkfpooiA


――― 参道前


 ブーン


警官A「じゃぁここまでで良いよね」

神様「え~ 参道前じゃん。 社務所まであと200m位ある~」

警官B「ここから先は私有地だから」

神様「持ち主の私が良いって言ってんだからさぁ~」

警官A「君の物じゃないでしょ、神社は・・・」

神様「神宮の物は私の物だと言っても過言ではない」フンスッ

警官B「なにメチャクチャな事言ってんの・・・ 早く降りて」

神様「分かったよ・・・」ガチャッ

警官A「気をつけてね」


 ブーン

619: 2016/10/16(日) 22:43:51 ID:kkfpooiA

神様「気をつけて、とか言うなら最後まで送り届けろっつーの!」


神様「ハァ~ どうすっかな~ 今からおはしら山に戻ってもなぁ~」ウーン

神様「3時か・・・ 日が明けると面倒だし、明日だな」


 トテトテ


神様「これ、月明かり無かったらヤバくね? 街路灯設置しろよ・・・」


神様「あれ? 道の周りにこんなに木があったっけ・・・?」

神様「でも、一本道だったよな・・・」キョロキョロ

神様「・・・まぁ良いか」


 トテトテ

620: 2016/10/16(日) 22:44:55 ID:kkfpooiA


――― 社務所


神様「良かった、神社着いた」ホッ


 ガラガラ


神様「犬ころはちゃんと寝てるのか?」ソォー

神様「ん? 犬ころがいない・・・ 便所か?」



 ギィー


神様「犬ころ?」

神様「いない・・・ どこ行ったんだ?」

621: 2016/10/16(日) 22:45:38 ID:kkfpooiA


――― 1時間後


神様「神主君も巫女ちゃんもいない・・・ 私の荷物もない・・・」


 ピポパ
 prrr prrr


神使『はい、神使です。 神様ですか?』

神様「あ~ 悪い。 お前さぁ、今どこにいるの?」

神使『どこって、部屋です。 それより神様―――』

神様「あにあに神社・・・ だよな?」

神使『えぇ、そうですが』

神様「いや、今部屋にいるんだけどお前いないじゃん」

神使『・・・はい?』

622: 2016/10/16(日) 22:46:41 ID:kkfpooiA

神様「巫女ちゃんもいないけど?」

神使『巫女さんは、すでに外で庭掃除しているようですが?』

神様「・・・・・・」

神使『あの神様? それより大変な事が―――』

神様「後でかけ直す・・・ ちゃんと寝てろよ」

神使『えっ、ちょと神――――』


 ピッ


神様「・・・・・・」

神様「さてと」ヨイショ

神様「どこやねん! ここーー!!」

623: 2016/10/16(日) 22:48:16 ID:kkfpooiA

神様「な~んてね、グーグーマップ使えば衛星写真で位置が分かるのだよ」ニヒヒ

神様「・・・・・・あれ?」

神様「拡大するとボケる・・・ 山しか見えない! ふざけんなよ田舎!」

神様「やっぱどこやねん! ここーー!!」


神様「な~んてね、出てきたら~?」


 シーン


神様「ふ~ん、誰もいないんなら本殿にでも行ってみようかなぁ~」トテトテ

神主「・・・・・・止まって下さい」スッ


神様「神主君か~ どうしてここにいるの?」

神主「・・・・・・」

神様「答えないなら~ 本殿にダッシュだーー」ダッ ダッ ダッ

神主「!? まっ!」ダッ ダッ

624: 2016/10/16(日) 22:49:18 ID:kkfpooiA

神様「ふふふ、この神ちゃんを捕まえる事が君に出来るのかなぁ?」ダッ ダッ ダッ

神主「早い!」ダッ ダッ

神様「ほらほら~ 早くしないと本殿に着いちゃうよ~」シャー

神主「!?」

神様「うひゃひゃ! 見たか! 激安足袋の滑りを考慮した私のコーナリングを! って」


 ズルッ


神様「ぐへっ!」ビタンッ!

神主「・・・・・・」

625: 2016/10/16(日) 22:50:00 ID:kkfpooiA

神様「痛つつ・・・ 犬ころのヤツ、さらに安い足袋にランク落としやがったな!? 滑りすぎ!」

神主「・・・・・・」


神様「あっ、やっぱり捕まえたりするの?」

神主「はい」

神様「だよね~ 優しく縛ってね」

629: 2016/10/18(火) 03:04:18 ID:r8d/5.76


――― あにあに神社


神使「・・・」スタスタ


巫女「神使先生!」

神使「あっ、おはようございます巫女さん」

巫女「まだ寝ていないとダメですよ!」


神使「・・・少し伺いたい事があるんですが、この神社以外で村にお社はございますか?」

巫女「えっ?」

神使「神様がどうも他の神社にいるようでして」

巫女「!?」

神使「巫女さん?」

巫女「・・・・・・少しお話する時間ありますでしょうか」

神使「?」

630: 2016/10/18(火) 03:05:13 ID:r8d/5.76


―――??神社


神様「ねぇ、縄の結び雑じゃない?」

神主「・・・・・・」


神様「もっとさぁ~ こう、あるでしょ?」

神主「そっち系の趣味はないので・・・」

神様「ちげーよ! 結び目くらい神社に勤めてんなら少しは凝れよ! 〆はお守り結びくらいヤレってーの!」

神主「そういうのは苦手で・・・」


神様「おま・・・ 神職だろ? 教えてやるから一回ほどいてみ?」

神主「・・・はぁ」


 シュルシュル

631: 2016/10/18(火) 03:07:07 ID:r8d/5.76

神様「良い? 最初に左側の紐で輪を作って」

神主「こうですか?」

神様「違う違う。 2本いっぺんに」


村長「おい」

神様「?」

村長「何やってんだ? お前達・・・」

神主「村長・・・ 村の方も・・・」

村民「・・・」ソロゾロ

神様「うわ~ こんな早い時間なのにいっぱいお出ましで・・・」


村長「おい、その縄で縛っておけ」

神主「・・・はい」ギシッ ギシッ

神様「・・・逃げときゃ良かった」ガクッ

632: 2016/10/18(火) 03:08:46 ID:r8d/5.76

村長「お前は確か神宮から派遣されて来た巫女だな?」

神様「皆は親しみを込めて“かわゆい神ちゃん”と呼んでおります」


村長「なぜ、お前がここにいるんだ?」

神様「警察に捕まって帰ってきたらここに着いた」

村長「警察?」

神様「あ? お前達が通報したんじゃないの?」

村長「まさか、夜に部外者をこの村に入れる訳ないだろ。村で誰か通報したのか?」

村人A「いいえ、そのような事は聞いておりませんが」


村長「神主、君か?」

神主「いえ、私も知りません」

神様「?」

村長「何で夜に出歩かせるような事をした! ちゃんと見張っていたんじゃないのか!?」

神主「・・・すいません」

633: 2016/10/18(火) 03:10:43 ID:r8d/5.76

村長「まぁ良い。 で、おはしら山で何をしようとしていたんだ?」

神様「神力封印」

村長「神・・・ なに?」

神様「お前達、うちの犬ころ使ってあそこで何かしただろ」


神主「あの清祓に何か問題でも?」

神様「大ありだね。 指示したのは誰だ?」

村長「・・・・・・」


神様「あんまり勝手な事してると、この村滅ぶぞ?」

村長「!? な、何を言っているんだ縁起でもない」

村人A「そうだ! 山巫女様の言うとおりにしていれば村は守られる!」

神様「山巫女?」

村長「おい!」

村人A「あっ、すいません・・・」

634: 2016/10/18(火) 03:12:12 ID:r8d/5.76

村長「気になるか?」

神様「・・・・・・」


村長「山巫女様の所に連れいていけ」

神主「しかし・・・」

村長「どちらにしろ、このまま帰すわけにはいかない」

神主「分かりました・・・」

神様「・・・・・・」

635: 2016/10/18(火) 03:13:37 ID:r8d/5.76


―――??神社・本殿


 ギィー


村長「そこの柱に縛り付けておけ」

村人A「はい」


 ギシッ ギシッ


神様「痛いって・・・ もっと優しくして? うふん」

村人A「・・・」チッ

神様「お前! 今、舌打ちしたろ!」

村人A「恐怖の余り暴れて逃げ出されても困るからきつく締めるぞ」

神様「えっ!? もしかしてこれジェットコースター? ドッキリ系?」

636: 2016/10/18(火) 03:14:34 ID:r8d/5.76

村長「ご神体の扉をお開けしろ」

神主「・・・はい」スタスタ

神様「何? 何か飛び出してくるの?」ワクワク


 ギィー


神様「・・・・・・ぇ」


村長「神主、外に出るぞ」

神主「はい」


 スタスタ

637: 2016/10/18(火) 03:15:19 ID:r8d/5.76

村長「本殿の戸を閉めて鍵を掛けろ」


 ギーッ バタン


村長「夜まで見張っておけ」

神主「分かりました・・・」


村長「深夜に山巫女様が現れたら対応を賜る」

神主「・・・・・・」


 ギャーーー!!!

638: 2016/10/18(火) 03:17:51 ID:r8d/5.76


神様「ギャーー!! 何だよあれーー!!」バタバタ

神様「ミイラじゃん! ミイラじゃん! ふざけんなよーー!」ジタバタ

神様「なんで神社にあんなのがあるんだよ! 寺に持って行けよ! 寺!」

神様「すいませーん! お巡りさーん!! 殺人事件です! 千年以上前っぽいけど!!」


神様「も~ 勘弁してよ~・・・」

神様「お家帰りたい!!」

644: 2016/10/18(火) 23:48:22 ID:r8d/5.76


――― 30分後


神様「いつまで閉じ込めておくつもりだよ~」

神様「・・・巫女服着てるし、あのミイラがご神体の山巫女・・・?」

神様「あれを経由すれば神力で抜けられる・・・」


神様「いや~ でも、さすがの私でも嫌だなぁ~」

神様「ミイラってだけなら我慢するけど、なんか変な神力混じってるし・・・」


 ガタガタ


神様「!?」

645: 2016/10/18(火) 23:49:06 ID:r8d/5.76


 ゴソゴソ


神様「なんだよ~・・・ 誰かいるの?」


 ゴソゴソ


神様「悪霊退散! 悪霊退散!」ジタバタ


巫女「・・・・・・」

神様「巫女ちゃん?」

巫女「今、縄をほどきます」


 シュルシュル

646: 2016/10/18(火) 23:49:46 ID:r8d/5.76

神様「どうして巫女ちゃんがここに・・・」

巫女「お話は後ほど。 まずはここから出ましょう」

神様「え? でも入り口には村の人が・・・」

巫女「ご神体の裏に秘密の抜け道があります」

神様「あ~ 神用の抜け道だね。 よく知ってるね」

巫女「さっ、早く」

神様「うん」


 スタスタ

647: 2016/10/18(火) 23:50:38 ID:r8d/5.76


 ゴソゴソ


神様「本殿裏だ・・・」

巫女「あの竹藪に入ります」

神様「え~ 大丈夫なの? 道ないけど・・・」

巫女「付いてきて下さい」

神様「逃げられるなら何でもいいや」

巫女「じゃぁ行きます」


 スタスタ
 ガサガサ



神主「・・・・・・」チラッ

648: 2016/10/18(火) 23:52:20 ID:r8d/5.76


 ガサガサ


神様「葉っぱが当たって――― 痛!」

巫女「大丈夫ですか?」

神様「なんとか・・・ でも巫女ちゃんが通った後の葉っぱが――― 痛!」

巫女「あっ、出口です」

神様「やっと竹藪から出られ――― 痛!」

649: 2016/10/18(火) 23:53:14 ID:r8d/5.76


 ガサガサ


巫女「ふぅ~」

神様「あれ? ここって・・・」

巫女「あにあに神社です」


神様「さっき居た神社は?」

巫女「あにあに神社です」


神様「・・・そうですか。 異次元っていうやつですね? 次元の狭間っていう事ですね?」

巫女「あにあに神社は2つあります」

神様「なんと! 何そのミステリアスな殺人トリック!」

巫女「私の知る限り誰も氏んでいないと思いますが・・・」

神様「って事は、この中でうちの犬ころが!?」ハッ

650: 2016/10/18(火) 23:54:12 ID:r8d/5.76

神使「私がどうしました?」スタスタ

神様「あっ、生きてる」

神使「勝手に殺さないで下さい」

神様「だって、これから“神ちゃん殺人事件・あにあに神社トリック案内”が始まるんじゃないの?」

神使「それですと、亡くなるのが神様になるんですが・・・」

神様「・・・・・・」


巫女「もうじき村の人が来ます。 続きは社務所で」

神様「続けるの?」

652: 2016/10/19(水) 20:11:41 ID:YnMAKHLo


――― あにあに神社・社務所


巫女「お茶です」コトッ

神様「コーラが良いな。 無ければ炭酸系で」

巫女「炭酸水ならありますが」


神使「炭酸水でお茶を煎れますか?」

神様「・・・ノーマルグリーンティーで大丈夫です」ズズッ

653: 2016/10/19(水) 20:13:43 ID:YnMAKHLo

神使「巫女さん、先ほど教えて頂いた事を神様にもお話し頂けますでしょうか?」

巫女「はい・・・」


巫女「先ほどもお話しいたしましたが、あにあに神社はこの村に2つございます」

神様「さっき私が縛られていた方が、本物だよね」

巫女「・・・そうです。 こちらはカムフラージュのために存在するあにあに神社です」


神使「どうして、こちらが偽物だと分かったんです?」

神様「あっちに祀られている神体の神力が高かった。 相当崇敬されている感じだったし」

巫女「山巫女様です・・・」

神様「巫女服着たミイラ」

巫女「はい。 村の伝承では、山の守り神でおはしら山とこの村を守っている言われています」


神使「神様はどうして向こうの神社へ?」

神様「いや、おはしら山に行ったら警察に捕まってさぁ。 釈放されて戻ってきたらあそこに着いたんだよ」

神使「・・・・・・」

654: 2016/10/19(水) 20:15:08 ID:YnMAKHLo

巫女「参道の途中で道が二つに分かれるんです」

神様「え? でも一本道だったよ?」

巫女「夜になると月明かりと地形に由来する影の影響で別の道が現れてもう一方の神社へ続くんです」

神使「夜に出歩くなと言うのは、本物のあにあに神社に行かせないためですね?」

巫女「はい・・・ お二人の事は日中は村の人が見張り、夜は私達が監視しておりました」

神使「しかし、昨日の夜は神様一人でおはしら山へ行かれたんですよね」

神様「そうね」

神使「監視されていなかったのですか?」

巫女「・・・・・・」

神様「わざとでしょ」

神使「え?」


神様「出てきたら~? バレバレだよ?」

神使「?」

655: 2016/10/19(水) 20:16:17 ID:YnMAKHLo


神主「・・・・・・」


神使「神主さん」

巫女「あっ・・・」

神主「大丈夫、村の人には知らせてないから」


神様「さて、それじゃ色々と聞かせてもらいましょうか」

神使「古の昔より―――」

神様「ちょっと待て、何でお前がしゃべり出すんだよ!」

神使「先ほど、伝記を拝見いたしましたので・・・」

神様「二人に譲れ」

神使「すいません。 どうぞ」

656: 2016/10/19(水) 20:18:03 ID:YnMAKHLo

神主「・・・古の昔より、おはしら山には不思議な力が隠されていると伝えられています」

神様「不思議な力ね~・・・」

巫女「その力の暴走を止めるため、神さまが結界を張ったそうです」

神主「何千年も前のお話の伝承のようですが・・・」


巫女「神さまから結界の守りを任されたのが、あにあに神社の巫女だそうです」

神使「それが、山巫女様と言う事ですね?」

巫女「はい。 彼女の氏後も村民が村の守り神としてお祀りしたと・・・」


巫女「山巫女様は、現在もあの神社で守り続けていると言われています」

神様「・・・・・・」

巫女「その山巫女様をお守りするのが、代々私の家系でした・・・」

神使「失礼ですが、神主さんはどのような経緯で?」

神主「私は、彼女の・・・ その、婚約者でして、婿養子として近いうちに籍を入れる予定です」

神使「なるほど、それで神職に?」

657: 2016/10/19(水) 20:19:23 ID:YnMAKHLo

神主「・・・私と巫女ちゃんは昨年まで市内にあるスーパーで働いていました」

神使「と言う事は、あのご神体を守るためにこの村に戻って来られたと?」

神主「いえ・・・」


巫女「今の時代、山巫女の結界なんて誰も信じていませんでした。 私の母も父も市内で会社勤めしていましたし」

神主「村の人もそんな昔話は誰も信じておらず・・・ 私達も最初は村に戻るつもりなどありませんでした」

神様「でも、村長以下村人全員山巫女を信じているっぽかったけど?」


巫女「・・・1年ほど前から山巫女様に異変が・・・」

神使「異変・・・ ですか?」

巫女「はい。 夜になるとお告げのような物を出すようになったんです」

神様「お告げ?」

658: 2016/10/19(水) 20:20:54 ID:YnMAKHLo

巫女「山巫女様から、直接お言葉が・・・」

神様「マジかよ・・・ 怖いなそれ・・・」

神使「そのような現象というのは例があるんでしょうか?」

神様「いや~ 私は聞いた事無いけど・・・」


神主「私も最初は信じていなかったのですが・・・ その、ハッキリと・・・」

巫女「私も何度か聞きました」

神様「う~ん・・・」


神主「村長の命令で、さすがに巫女ちゃんは村に戻らざるをえなくなりまして」

巫女「しかし、一人で村に戻るのはさすがに・・・」

神主「私が神職の資格を取るので、それまで待って欲しいという条件で・・・ 先月私が資格を取ったため二人で戻ってきたのです」

659: 2016/10/19(水) 20:21:42 ID:YnMAKHLo

神使「その間、神宮が宮司の派遣を行っているのですが村からのご依頼でしょうか?」

巫女「いいえ、私は存じ上げません」


神主「村は山巫女様の存在を隠す方向で動いていましたので、村以外から人を呼ぶというのは考えられないのですが・・・」

巫女「現に、村の人は追い返すため色々と行っていたようですし・・・」

神様「・・・・・・」

660: 2016/10/19(水) 20:22:40 ID:YnMAKHLo

神使「あの、神様?」

神様「ん?」

神使「四柱結界と関係あるのでは・・・」

神様「猫神が渡したK7の議事録か?」

神使「神様、読まれていたのですか?」

神様「ここ来る前に電車の中で読んだよ」

神使「それで、私の鞄に入れたんですね・・・」

神様「お前読んだのか?」

神使「すいません、盗み見するようなまねをして・・・」

神様「お前に読ませるために入れたんだよ」

神使「え?」

神様「今までの説明とあの資料を見て、お前ならどう判断する?」

661: 2016/10/19(水) 20:23:48 ID:YnMAKHLo

神使「神力を安定させるための四柱結界のうち第三柱近辺から神力異常が発生していると記載がありました」

神様「書いてあったね」

神使「場所は記載されておりませんでしたが、おはしら山ですよね? 第三柱がある場所って」

神様「そうだね」

神使「今回の現象は四柱結界の異常による神力放出では?」

神様「当ってる」

神使「やはり・・・」フム


神様「・・・・・・」

神使「・・・・・・」


神様「終わり?」

神使「はい。 まだ何か?」

神様「50点」

神使「え!?」

662: 2016/10/19(水) 20:24:40 ID:YnMAKHLo

神様「おはしら山の第三柱に神力異常が発生しているのは間違いない。 私も神力放出は確認した」

神使「はい」

神様「犬ころは神力放出が起こっている山で何をした?」

神使「おはしら山・・・ 清祓・・・ まさか!」

神様「そう、お前は神の力を祓おうとしたんだよ」

神使「と言う事は、私が体調を崩したのは・・・」

神様「神の力を祓ったから斎主であるお前に厄がふりかかったの。 神の力を祓うなんて良い根性してるよね~」

神使「・・・・・・」

神様「まぁ、その件に関しては私がお守りの神力で押さえ込んでいるから良いんだけど・・・」

663: 2016/10/19(水) 20:25:57 ID:YnMAKHLo

神様「祈祷は山巫女の指示?」

神主「はい・・・」

神様「指示の内容を詳しく覚えてる?」

巫女「確か“外より参りし者が持つ神の力を用いて山を鎮めよ”だったと」

神様「なるほどね、確かに正しいお告げだな。 回りくどい言い方だけど・・・」

神使「え?」

神様「神の力を用い、つまり神力を使ってどうにかしろって事」

巫女「神使先生が神職の高い階位をお持ちだと伺ったもので・・・ すいません」シュン

神様「いやいや、気にしないで。 神の力とか言われても、ね」

神使「では、本来祈祷するのは私でなく・・・」

神様「そだね~」

664: 2016/10/19(水) 20:26:58 ID:YnMAKHLo

神使「山巫女様というのも、同じく神力異常が原因ですか?」

神様「いや~ 山から出てる神力だけで喋り始めるとかありえないわ~」

神使「では一体・・・」


神様「まぁ、正体は後で暴きましょ。 その前におはしら山の神力放出を止めますかね」

神主「すぐに準備いたします」

神様「いや、夜に行く」

巫女「夜・・・ ですか?」

神様「神の力は夜が一番強いんだよ?」

671: 2016/10/20(木) 22:08:18 ID:aQJFW2mY

―――

神使「神様、皆様から色々と頂いてしましました」

神様「嬉しいね~ 責任を持って私が全部食べる!」

神使「・・・・・・」

―――

672: 2016/10/20(木) 22:09:55 ID:aQJFW2mY


――― 昼


神主「私は一度、本あにあに神社に戻りますので」

神様「ばれない?」

神主「山巫女様は深夜0時に現れるので、それまでは本殿には誰も立ち入りません」

巫女「まだ神ちゃんさんは本殿で縛られていると思っているはずです」

神主「出発は何時頃です?」

神様「夜8時くらいかなぁ~」

神主「それまでには戻ります。 巫女ちゃん、こっちは頼んだよ」

巫女「うん!」

神主「では、後ほど」スタスタ


巫女「そうしましたら、お二人は客間でゆっくりしていて下さい」

神様「ほい」

673: 2016/10/20(木) 22:10:54 ID:aQJFW2mY


――― 客間


神様「うへ~ 眠い・・・」ゴロンッ

神使「神様?」

神様「ん~?」

神使「軽はずみな行動を取ってしまい、申し訳ありませんでした」

神様「あ~ 気にすんなって」

神使「しかし、神を祓う行為など・・・」

神様「大丈夫だよ。 神を祓うとか言ってもただの神力だし」

神使「これからは、もう少し慎重に行動いたします」

神様「そんな事しなくても良いって。 それよりもだ」

神使「?」

674: 2016/10/20(木) 22:12:22 ID:aQJFW2mY

神様「私を警察に通報したやつがいるんだよ」

神使「・・・・・・」

神様「誰だ?」

神使「すいません」ドゲザ

神様「やっぱりお前かよ・・・」

神使「K7の議事録に四柱結界の事が書いてあるのを読んで、神様が知らずにまたやらかすと大変だと思ったもので・・・」

神様「やらかすって・・・」

神使「これ以上神様の減給が増えると、ローンに影響しますし・・・」

神様「・・・嫌な事を思い出させるなよ」

神使「本当に申し訳ありませんでした」

675: 2016/10/20(木) 22:14:19 ID:aQJFW2mY

神様「まぁ、そのおかげで山巫女の存在も分かったし良いんだけどさ」

神使「神様、山巫女様の事何かお分かりになったんですか?」

神様「いや、まだ推測だけどね~」

神使「?」


神様「疲れたし、時間まで寝る」ポイポイ

神使「・・・・・・」

神様「下着姿が落ち着くの! 本当は裸になりたいのを譲歩してやってんの!」

神使「せめて腹巻きだけでも」スッ


神様「・・・お前、なんで私の腹巻き持ってんだよ」

神使「神宮のA子ちゃんから先日宅急便で・・・」

神様「A子ちゃんが!?」

神使「神様は冬に必ず巫女装束の下にこの腹巻きを着けて仕事をしているから、と書いてありました」

神様「ばらさないでよA子ちゃん・・・ 地味に恥ずかしいから・・・///」

676: 2016/10/20(木) 22:15:29 ID:aQJFW2mY


――― 夜


神使「神様? 神様」ユサユサ

神様「んぁ・・・」ポケー


神使「夜7時30分です。 そろそろ起きた方が・・・」

神様「んあ~ そうね」ムニャムニャ

神使「巫女装束でおはしら山に行きますか?」

神様「お前に買ってもらった装束も着る」

神使「腹巻きは?」

神様「いらねーよ!」

677: 2016/10/20(木) 22:16:48 ID:aQJFW2mY


――― 社務所


神使「お待たせいたしました」

神様「おっ、神主君も戻ってきてるね」

神主「はい」


神様「村の監視はいなくなった?」

巫女「先ほど帰ったのを確認しました」

神主「村の人たちは、夕食を取って本あにあに神社へ向かうはずです」


神様「んじゃ、おはしら山へ行きますか」

678: 2016/10/20(木) 22:17:48 ID:aQJFW2mY


 テクテク


神様「ねぇ、一つ聞いても言い?」

巫女「私ですか?」

神様「なんで私を助けたの?」

巫女「何となく・・・ 神ちゃんさんを助けないと、と・・・」


神使「何かそう思う理由などがあったんですか?」

巫女「・・・お二人はどのようなご関係なんです?」

神様「私と犬ころ?」

巫女「はい」

神様「神宮の巫女と・・・ 神職だっけ?」

679: 2016/10/20(木) 22:20:07 ID:aQJFW2mY

巫女「それ、嘘ですよね?」

神様「・・・・・・」

巫女「神ちゃんさん、神使先生の事凄く大切に思ってらっしゃる感じがして・・・ 同僚以上の関係というか」

神様「私が? これ犬ころだよ?」

巫女「神使先生が寝込んでいるとき、ずっと寄り添って・・・ 普通あそこまで出来ませんよ?」

神様「・・・・・・」

巫女「神使先生も、神ちゃんさんをとても大切になされていましたし」

神使「・・・・・・」

巫女「あっ、別に正体を詮索しようとは思ってませんから!」


巫女「神ちゃんさんがいなくなった時、神使先生とても心配そうでしたので・・・ それが理由でしょうか」

神様「・・・・・・そう」

680: 2016/10/20(木) 22:21:12 ID:aQJFW2mY

神様「で? 神主君は?」

神主「巫女ちゃんが神ちゃんさんを助けたのであれば、それ以上の理由は必要ありません」

神様「いいね~ 男だねぇ。 犬ころ、メモ」

神使「メモしてどうするんですか・・・」


神様「私をおはしら山へ行かせた理由は?」

神主「私にも分からないのですが・・・ 近寄りがたい雰囲気が・・・」

神様「え? 私そんなに怖かった?」

神主「ご装束を着た神ちゃんさんが・・・ その、とても神聖に見えたもので」

神様「犬ころ、メモ」

神使「・・・・・・」

681: 2016/10/20(木) 22:22:34 ID:aQJFW2mY


――― おはしら山


巫女「この場所で大丈夫ですか?」

神様「オッケ~」


神使「念のためお祓い用の用具を持ってきましたが、準備した方が良いでしょうか?」

神様「あ? そんなのいらないよ」

神使「では、どうやって・・・」

神様「神の力だよ、神使君や」

神使「でも神様、神力が・・・」

神様「これ」スッ

682: 2016/10/20(木) 22:24:48 ID:aQJFW2mY

神使「それは、神様の昔の神力が入っているお守りですか?」

神様「そうそう」

神使「しかし、そこには少ししか神力が無いのでは?」

神様「まぁ火種みないな物だよ。 一旦火を入れれば燃える物はここに沢山ある」

神使「?」


神様「まぁ、見てろって。 神主君と巫女ちゃんは少し下がっていてね」

神主「はぁ・・・」

巫女「何が始まるんですか?」


神様「イッツ ショータイム!」

688: 2016/10/22(土) 15:32:04 ID:prnkP22A


神様「お守りに封印されし我が神力を解放す」


 ポワ


神様「この地に宿りし神力と我が力を同期せよ」


 ポワポワ


神様「・・・よし、っと」


神使「終わり・・・ ですか?」

神様「あ? これからだよ。 ビックリして腰抜かすなよ?」ニヤッ

神使「?」


神様「犬ころ、私の隣に来い」

神使「・・・はい」スタスタ

689: 2016/10/22(土) 15:33:48 ID:prnkP22A

神様「よく見ておけ。 私の力を」

神使「神様の・・・ 力・・・?」


神様「我! 神力を解放す!」


 ボー


神使「!?」

巫女「え!? 神ちゃんさんが・・・ 光ってる・・・」

神主「そんな・・・」


神様「我、おはしら山を御する代理神なり! 我と同期しこの地に宿る神力の片鱗を見せよ!」


 ゴゴゴゴ


巫女「地震!?」

690: 2016/10/22(土) 15:35:19 ID:prnkP22A


 ボワーン


神主「山が・・・」

巫女「すごい・・・ 一面光ってる・・・」

神使「・・・・・・」

神様「思った以上に神力が漏れ出してるな・・・」チッ


 ゴゴゴゴ


神様「神使」

神使「・・・・・・」ポケー

神様「おい! 狛犬の神使!!」

神使「!? は、はい何でしょう」

神様「私が神力放出を封印した後、山のどこかが一瞬強く光るはずだ。 見逃すな」

神使「分かりました」ゴクリ

691: 2016/10/22(土) 15:36:25 ID:prnkP22A


 ゴゴゴゴ


神様「我、天を制し地を制す者なり! その力を持って我に御されし神力の封印を命ず!!」


 ゴゴゴゴ


神様「四柱結界! 第三柱神力封印!!」


 ゴゴゴゴ
 バリバリッ!


巫女「キャッ!」

神主「雷!?」

692: 2016/10/22(土) 15:37:00 ID:prnkP22A


 ピカッ


神使「!? 神様、右14時の方向です!」

神様「・・・あれか」チラッ


 ゴゴ…
 ゴ…


巫女「・・・・・・」ポカーン

神主「・・・・・・」ポカーン

693: 2016/10/22(土) 15:37:52 ID:prnkP22A


 シーン


神様「ふぃ~ もう大丈夫」


神主「あの・・・ 今のは一体・・・」

巫女「神ちゃんさんって、もしかして・・・ 神さま?」

神主「神さま!?」


神様「神宮の女神!“かわゆい神ちゃん”とは私の事だ!」フンスッ

巫女「そんな・・・」

神主「神なんて・・・ 本当に存在していたんですか!?」

694: 2016/10/22(土) 15:39:20 ID:prnkP22A

神使「すごい・・・」

神様「おっ、神使君もようやく私の事を見直して―――」

神使「神様の後ろに後光が・・・」

神様「ん?」


 ポワポワ

695: 2016/10/22(土) 15:40:16 ID:prnkP22A

神様「あ~ ちょっと強めの神力使ったから、まだ光ってるね」

神使「神様こんな凄い力を使えたんですね・・・」

神様「昔の私はこんなレベルじゃないぞ?」

神使「!?」


神様「それより、さっき光った場所ちゃんと覚えてるか?」

神使「え? あっ、はい」

神様「そこに第三柱がある。 位置を正確に記録しておけ」

神使「分かりました・・・」

696: 2016/10/22(土) 15:41:29 ID:prnkP22A

神様「あと、おでこ貸せ」

神使「おでこ? 私のですか?」

神様「お前の厄を取り除く」

神使「・・・はい」


神様「・・・私のデコが届かないからちょっとしゃがめ」

神使「すいません」スッ

神様「・・・ん」ピトッ

神使「!?」


神様「我、汝に付きし災いの元となる厄を祓いその身を清める・・・」ボソッ


ポワポワ


神様「よし、これでオッケー」

神使「・・・あ、ありがとうございます///」

697: 2016/10/22(土) 15:42:23 ID:prnkP22A


神様「?」


神主・巫女「・・・・・・」フカブカ


神様「あっ、そういうの苦手なんで・・・ やめてもらって良いっすか?」

神主「まさか、神ちゃんさんが神さまだったなんて・・・」

巫女「今までの無礼お許し下さい!」


神様「二人ともさぁ、勘違いしてるよ?」

神主・巫女「え?」

神様「神は別に偉くないの」

神主「そんな事は・・・」

698: 2016/10/22(土) 15:43:01 ID:prnkP22A

神使「神様? 一応体裁というのもございますし・・・ 威厳も必要かと思うのですが・・・」

神様「あ? そんなの人が勝手に決めただけだろーが」

神使「そうかも知れませんが・・・」

神様「嫌いなの! そういうのは!」

神使「・・・・・・」ハァ


神様「さて、次は山巫女ちゃんの所に行きますか! あんまり行きたくないけど・・・」

702: 2016/10/23(日) 20:08:18 ID:OWSVaCCE


――― 本あにあに神社


 スタスタ


神様「たのも~!」

村民「!?」クルッ

村長「お前、なんで外にいるんだ! 本殿の中にいるはずじゃ・・・」


神主「・・・・・・」

村長「神主! お前何をしている!」

村人A「巫女まで一緒に!」


神様「あ~ 言いたい事は分かる」ウンウン

村長「うるさい! 捕らえろ!」


 ダダダダッ

703: 2016/10/23(日) 20:09:08 ID:OWSVaCCE

神様「待った!」

村民「!?」ピタッ


神様「山巫女の正体を教えてあげる」

村長「なに?」

神様「1年前から続く様々な異変の元凶に関しても全部教えてあげる」

村長「・・・・・・」


 ザワザワ


神様「知りたいでしょ? 本当の事」ニヤッ

704: 2016/10/23(日) 20:10:11 ID:OWSVaCCE


――― 本殿


神主「そろそろ山巫女様が現れる時間です」

神様「なんか、嫌~な感じの神力が上がってきてるな・・・」

神使「・・・」ゴクリ


 ピカッ


神使「目が光った!?」

神様「うへ~ 悪趣味な演出・・・」


村長「山巫女様!」ハハァー

村民「山巫女様だ!」ハハァー

705: 2016/10/23(日) 20:11:44 ID:OWSVaCCE

山巫女「うむ。 面を上げよ」

神様「声、低! どこのジジイだよ! 巫女ちゃうんかい!」

村長「な! 何を失礼な!」


山巫女「無礼者がいるな」

神様「え!? いや・・・」

山巫女「ん? その声は・・・」

神様「・・・・・・」

山巫女「牡蠣好きのガキか?」

神様「やっぱ凄爺かよ・・・」ハァ

神使「凄爺・・・って、りんごちゃん神宮の凄爺神さまの事ですか?」

神様「だろ」

神使「神階最高位の守護神さまじゃないですか!」

706: 2016/10/23(日) 20:13:14 ID:OWSVaCCE

神様「なんか、嫌な神力を感じると思ったら・・・」

凄爺「嫌な神力じゃと?」

神様「あっ、いえ何でもありません。 守護神凄爺さま」ドゲザ

凄爺「勝手に正体をばらすでない! ガキが!」


村長「あの山巫女様、これは一体・・・」

神様「山巫女の神力を経由して“りんごちゃん神宮”にいる凄爺が喋ってんだろ」

凄爺「バレてしまったものは仕方が無い。 そのガキが言ったとおり私はりんごちゃん神宮の神じゃ」

村長「今までのお告げは、その・・・ 凄爺神さまが・・・?」

凄爺「うむ」

707: 2016/10/23(日) 20:14:13 ID:OWSVaCCE

神様「こんなジジイ声の巫女がどこにいるんだよ・・・」

凄爺「おいガキ! 相変わらず生意気な事を! 少しお仕置きが必要じゃな」

神様「出来るもんならしてみろよ~ おしりペンペ~ン」ベー

凄爺「・・・次に会ったときは覚悟しておけよ、ガキが」

神使「・・・・・・(神様、本当に子供ですね・・・)」


巫女「あの、どうして凄爺様が山巫女の役など・・・」

凄爺「この地に封じし神力結界が破れつつあった。 故に再封印を行うため指示を出していた」

神主「封印は、先ほど神ちゃん様が・・・」

凄爺「知っておる」

708: 2016/10/23(日) 20:16:36 ID:OWSVaCCE

村長「この巫女が?」

村人A「お前何者だ?」


凄爺「無礼であるぞお前達!」

村長・村民「!?」

凄爺「そこのガキは見た目はあれだが、この国の守護神! 神の頂点に立つ最高神だぞ!」


一同「!?」


村長「最高神!?」


 ザワザワ

709: 2016/10/23(日) 20:17:37 ID:OWSVaCCE

巫女「そこまで偉い神さまだったんですか・・・ 神ちゃ・・・ 神様」

村民「今までの非礼、お許し下さい」フカブカ

神使(国の守護神?)


神様「あの、内緒にしている事をべらべら喋らないでもらえないでしょうか・・・ 最高機密なんですが・・・」

凄爺「さっきのお返しじゃ」

神様「・・・・・・」チッ

710: 2016/10/23(日) 20:18:48 ID:OWSVaCCE

神様「回りくどい事を・・・ 凄爺が来て直接やれば良かったと思うの!」

凄爺「わしは今は動けん」

神様「?」


神使「もしかして、宮司の派遣は凄爺様が・・・」

凄爺「そうだ。 しかしこの村の者が全て追い返すもんじゃから、しかたなく暇そうであったお前達を向かわせた」

神様「暇じゃねーよ!」

凄爺「嘘つくでない! 噂では相変わらずそこら中で悪さしているそうじゃないか!」

神様「うぐっ・・・」

凄爺「適任じゃ」

神様「指示が雑! 昔と違うんだからもっと分かりやすく指示しなきゃダメ!」

凄爺「そんな事まで面倒見切れん!」

神様「逆切れかよ・・・」

711: 2016/10/23(日) 20:19:35 ID:OWSVaCCE

村長「と言う事は、このミイラ・・・ 山巫女様は・・・」

神様「ただのご神体。 勝手に喋ったりすることなんて無いから」


凄爺「さてと、直近の問題も解決したしワシは引き上げるぞ」

神様「とっとと帰れ! 散々掻き回しやがって!」

凄爺「次に会うときが楽しみじゃな。 覚悟しておけ! 牡蠣ガキ」スッ

神様「もう会う事なんてありませんし~」ベー

神使(神様に伝えた方が良いでしょうか・・・ 次の訪問先の事を・・・)


山巫女「・・・・・・」

神使「消えたようですね」

神様「じじくさい神力が消えたな」

712: 2016/10/23(日) 20:20:44 ID:OWSVaCCE

神使「しかし、凄爺様も結界が壊れているから直せと神宮に言えば済んだのでは・・・」

神様「四柱結界は最高機密なんだよ。 私も一部の神にしかその存在を知らせてないし、神宮の人間も知らないはずだ」

神使「ここにいる方にはバレてしまいましたが・・・」

神様「大丈夫。 この地に住んでいるものは知る資格があるし、それに・・・」

神使「?」

神様「なんだかんだ言っても、山巫女の存在を今まで秘密にしてこれたんだ。 信頼できる」

713: 2016/10/23(日) 20:21:33 ID:OWSVaCCE

神様「村長」

村長「?」


神様「そのミイラを山巫女ちゃんとしてゆるキャラを作って、2つのあにあに神社を一般に公開しろ」

村長「え!?」

神様「きっと、大勢の人たちが訪れる。 とても豊かで明るい村に生まれ変わるはずだ」

村長「そんな罰当たりな事・・・」

神様「いいや、そんな事はない。 この巫女も明るい村が好きだったみたいだし・・・ きっと喜ぶと思う」

神使「神様・・・」

714: 2016/10/23(日) 20:22:10 ID:OWSVaCCE

神様「その代わり一つだけ条件がある」

村長「条件?」

神様「ロイヤリティーとして商品の上代4%を発案者である私に納付する事。 それだけだ」フッ


一同「・・・・・・」


神使「神様?」

神様「・・・・・・あにあに神社の財源として納付する事」

村長「分かりました」

717: 2016/10/24(月) 01:35:19 ID:ZgcnK/As


――― 翌日


巫女「本当に神ちゃん様にはなんとお礼をしたら良いか」

神主「ありがとうございました」

神様「いやいや~ 元はこっち側の問題だし。 めんごめんご」


神使「では、私達はこれで失礼いたしますので」


神様「・・・・・・」

神使「神様?」


神様「・・・巫女ちゃんに一つお願いがあるんだけど良い?」

巫女「私ですか?」

718: 2016/10/24(月) 01:36:22 ID:ZgcnK/As

神様「その・・・ 山巫女のミイラをあんまり嫌いにならないで欲しいなって」

巫女「山巫女様を?」


神様「まぁ、さすがにミイラは私もどん引きしたけど・・・ 山巫女は凄く良い子だったんだよ」

巫女「え?」

神使「神様、山巫女様をご存じなんですか?」

神様「凄く明るくて、楽しくて・・・ 村を本当に大切にしてたんだ。 だから・・・」

巫女「任せて下さい! 山巫女様の代わりは私には出来ないですが・・・ 大切にお守りします!」

神主「それに、この村には国を守る大切なお柱もあるんです。 自慢の村です」

巫女「うん!」


神様「ありがとう」

巫女「きっと山巫女様もまた神様に会えて嬉しかったんじゃないですかね?」フフッ

神様「そうかな。 だと嬉しいな・・・」

719: 2016/10/24(月) 01:36:55 ID:ZgcnK/As

神使「では、行きましょうか」

神様「あぁ」


神主「道中お気を付け下さい」

神使「神主さん、巫女さん。 どうぞお幸せに」

神主・巫女「ありがとうございます!」

神様「はいばーい!」

720: 2016/10/24(月) 01:38:36 ID:ZgcnK/As


――― 田舎道


 テクテク


神使「神様、山巫女様の事知っていたんじゃないですか・・・」

神様「いや、昔はそんな名前じゃなかったし・・・ 正直、第三柱の場所も忘れてた」

神使「きちんと覚えておかないとダメですよ・・・」

神様「千年以上も前なんだ。 全部は覚えきれない・・・ でも・・・ そうだな、忘れちゃダメだったな」

神使「あっ、いえ、別に責めている訳ではないのですが・・・」アセアセ


神様「でも、よく似ていた」

神使「?」

神様「山巫女と・・・ 巫女ちゃん」

神使「もしかして・・・ 山巫女様は巫女ちゃんのご先祖様かも知れませんね」

神様「そうかもな」

721: 2016/10/24(月) 01:39:09 ID:ZgcnK/As


 テクテク


神使「そうだ、一つ気になる事があるのですが」

神様「あ?」

神使「なぜ第三柱が神力放出を起こしたのか・・・」

神様「・・・・・・」

神使「あっ、すいません。 最高機密でしたよね」

神様「四柱結界全体が不安定な状況なんだわ」

神使「え!?」

722: 2016/10/24(月) 01:39:43 ID:ZgcnK/As

神様「そんな簡単に破られるものじゃないんだけどな」

神使「破る? ・・・だれかが結界を破ったと言う事ですか?」

神様「ん~・・・ 自然決壊とは考えにくいな」

神使「そんな・・・」


神様「まぁ、分からない物を考えても仕方ないし今はいいや」

神使「きちんと対策した方が良いと思いますが・・・」

神様「大丈夫だよ。 その為に守護神を配置しているんだし」

神使「凄爺神さまですね?」

神様「まぁ、凄爺もそのうちの一人ではあるね」

723: 2016/10/24(月) 01:41:03 ID:ZgcnK/As

神使「一度お会いしてみたいですね」チラッ

神様「やだ! 絶対に会いたくない! 次に会ったら私は間違いなくコキャとやられる」

神使「そうですか」


神様「・・・・・・」

神使「・・・・・・」


神様「・・・・・・お前、何隠してる?」ジー

神使「何故そう思ったのですか?」

神様「何故質問に答えず、別の質問で返すのですか?」

神使「・・・・・・」


神使「急ぎましょう、電車に乗り遅れます」

神様「嘘つけよ! さっき社務所に張ってある時刻表見たら次の電車2時間後だったぞ!」

724: 2016/10/24(月) 01:41:42 ID:ZgcnK/As

神使「一本前に乗ります」

神様「え!? だって後5分しかないよ?」

神使「走ります!」

神様「マジかよ!!」


神使「行きますよ!」タッ タッ タッ

神様「ふざけんなよ! おんぶしろ! おんぶ!! 私は走らないぞ!」

神使「神様が私を追い抜く事が出来れば、途中で牡蠣食べ放題に寄りましょう」

神様「!?」

725: 2016/10/24(月) 01:42:47 ID:ZgcnK/As


 ダダダダ


神様「うひゃひゃ、私に勝とうなんて千年早いわ!」ダダダダ

神使「負けませんよ?」タッ タッ タッ


神様「!? お前、なに本気で走ってんだよ! 牡蠣食わせろよ!」

神使「神様が勝てば良いだけですよ」


 ダダダダ


神様「まって! 牡蠣~! 牡蠣食べたいよ~!!」





神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#12 ―END

726: 2016/10/24(月) 01:43:50 ID:ZgcnK/As

引用: 神様「神様だっ!!」 神使「神力ゼロですが・・・・・・」