739: 2016/10/29(土) 04:55:00 ID:OpaaqRyo


神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#12 「あにあに神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#13 「いつでも一緒」

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


 テクテク


神様「はぁ~ お腹いっぱい」ゲープッ

神使「神様・・・ そんな大きな・・・ はしたないですよ」

神様「出ちゃうものは仕方ないの!」ゲップ

神使「一人で牡蠣60個とか食べ過ぎですよ。 お店の人ビックリしてましたし」

神様「食べ放題だしさぁ~ でも産地で結構味違うもんだな。 食べ比べできたのも食が進んだ原因だね」

神使「私には全く分からなかったんですが・・・」

神様「塩気が全然違っただろうが。 だからお前はいつまで経っても犬ころなんだよ」

神使「そう・・・ なんでしょうか・・・ でも沢山食べて元気百倍ですね」

神様「そうね~」

神使「では、次の場所ではお仕事頑張って下さいね」

神様「任せろ!」


 ゲップ
江戸前エルフ(9) (少年マガジンエッジコミックス)
740: 2016/10/29(土) 04:55:54 ID:OpaaqRyo

~あらすじ~


神様「私は神様! みんな大好き、とってもかわゆい理想の女神! 私の神力で皆の願いをビビッと叶えちゃう!」

神使(訳)「神宮が誇るダメ女神。 問題行動連発による無期出向と減給、多額のローンにより手取り50円。 財布に300円しかない残念な神様です」

741: 2016/10/29(土) 04:57:18 ID:OpaaqRyo


【#13】


――― りんごちゃん神宮前


神様「い~や~だ!」ジタバタ

神使「ダダこねないで下さい」グイグイ

神様「絶っ対、嫌!」


神使「どうして、そんなに嫌がるんですか」

神様「ふざけんなよ! 嫌にきまってんだろうが! りんごちゃん神宮じゃないかよ!」

神使「はい」

神様「はい、じゃねーよ! 極悪邪道腐れ犬ころ変Oアホ神使!」

神使「なんですかそれ・・・」

742: 2016/10/29(土) 04:58:38 ID:OpaaqRyo

神様「りんごちゃん神宮だよ? 凄爺のお膝元だよ?」

神使「凄爺神様は最高位の神階を持つとても立派な神とお伺いしております」

神様「お前・・・ 神階が高けりゃ会いたいのかよ!」

神使「勿論です。 最高位の神ですからお目にかかるのが楽しみです!」

神様「神使君さぁ、勘違いしてるよ? あにあに神社の時に気づけよ」

神使「?」


神様「じゃ、私は体調不良だから駅前で買い物してそのまま神宮に帰るね?」スタスタ

神使「ちょと神様、300円しか持っていないのに何買うんですか? 電車で県外からも出られませんよ」ガシッ

神様「放せよ~ 神宮まで歩いて帰る~」ジタバタ

神使「無理です。 先ほど仕事を頑張ると仰ったばかりですよ? ほら、行きますよ」


神様「ノー! 私まだ氏にたくない~!」ズルズル

746: 2016/10/30(日) 02:54:06 ID:zVC08qI2


――― りんごちゃん神宮


神使「これは・・・」

神様「でかっ!」

神使「さすが神宮と名の付くだけありますね」

神様「中庭が学校のグランドくらい広いんだけど・・・ 何この無駄な空間」

神使「神様はりんごちゃん神宮には来た事が無いんですか?」

神様「室町くらいの時に一回来たけど、こんなに広くなかったぞ?」

神使「かなり昔なんですね・・・」

神様「新年の挨拶に来い! ってうるせーから行ったのに、滅茶苦茶怒られたからすぐ逃げ帰ってきたけど」

神使「また何か生意気な事を言ったんじゃないですか?」

神様「言ってねーよ。 半年くらい行くのが遅くなっただけで」

神使「そうですか・・・ 取りあえず社務所の方へ行きましょう」

747: 2016/10/30(日) 02:56:22 ID:zVC08qI2


 テクテク


神使「建物も大変立派ですね。 色鮮やかで神宮とはまた違った荘厳さがありますよね」

神様「なんか、平城京の大内裏みたい」

神使「そう言えば、神様は平城京は生で見ているんですか?」

神様「住んでたね」

神使「え!?」

神様「私これでも人が素っ裸で走り回っていた時代からいるんだよ?」

神使「そ、そうですよね。 すいません、神様が昔は偉い方だったと言う事をつい忘れがちで・・・」

神様「なにその言い方・・・ それより社務所あれじゃないの?」

神使「あれは第四社務所ですね。 私達が最初に行くのは第三社務所です」

神様「そうなんだ・・・」

748: 2016/10/30(日) 02:58:14 ID:zVC08qI2


――― 第三社務所


 ガラガラ


神使「すいません」

巫女「はい?」

神使「神宮から参りました神使と申します」

巫女「ご苦労様です」

神使「宮司様はおられますでしょうか?」

巫女「あいにく宮司は本日不在でして」

神使「そうでしたか。 神宮から今日こちらに伺うように言われておりまして」

巫女「そういたしましたら、向かいの第五社務所の方へお願いいたします」

神使「わかりました」

神様「反対側じゃん・・・」

神使「仕方ありません」

749: 2016/10/30(日) 02:59:48 ID:zVC08qI2


――― 第五社務所


神使「こんにちは」

巫女「こんにちは」

神使「神宮から参りました神使と申します」

巫女「遠い所ご苦労様です」

神使「神宮から伺うように言われておりまして」

巫女「お約束でしょうか?」

神使「主神様にお目にかかりたく」

巫女「主神? あ~ 本殿への立ち入りですね? 第二社務所の方で立ち入り手続きをお済ませ下さい」

神使「第二社務所ですね。 ありがとうございます」

神様「・・・・・・」

750: 2016/10/30(日) 03:00:43 ID:zVC08qI2


―――第二社務所


神使「失礼します」

巫女「はい」

神使「神宮から参りました神使と申しますが、本殿への立ち入り申請はこちらでよろしいでしょうか?」

巫女「本日ご予約などはございますか?」

神使「神宮から連絡などありませんでしたでしょうか」

巫女「確認いたしますので少々お待ち下さい」スタスタ


神様「ねぇ、面倒くさくない?」

神使「これだけ大きいお社ですから、仕方ありませんよ」

神様「いや~ なんか嫌な感じがする」

751: 2016/10/30(日) 03:01:55 ID:zVC08qI2


巫女「お待たせいたしました」スタスタ

神使「いかがでしょうか?」

巫女「まだこちらの方へは申請が上がって来ていないようですね」

神使「はぁ」

巫女「ちなみに、どの部署宛でしょうか?」

神使「部署・・・ ですか? 主神様とお話しできるとありがたいのですが」

巫女「主神? 祭祀担当でしょうか?」

神様「凄爺!」

巫女「すごじい?」

神様・神使「・・・・・・」

巫女「?」


神様「あ~ また出直すね。 行くぞ、犬ころ」テクテク

神使「え? ちょっと神様?」スタスタ

752: 2016/10/30(日) 03:03:08 ID:zVC08qI2


――― 中庭


 テクテク


神使「神様、どうされたんですか?」

神様「面倒くせーよ。 それにあの巫女ちゃん、凄爺に会った事無いぞ。 たぶん神がいる事自体知らないんじゃない?」

神使「え!?」

神様「ハァ~・・・ ん?」ピタッ

神使「神様?」


神様「ねぇ、あそこでアイス食べたい」

神使「休憩所・・・ そうですね」

753: 2016/10/30(日) 03:04:15 ID:zVC08qI2


――― 休憩所


おばちゃん「いらっしゃいませ」


神使「神様は何にしますか?」

神様「りんご味とかあるよ・・・」

神使「それにします?」

神様「ん~・・・ りんご味とチョコ味」

神使「え? 二つも食べるんですか?」

神様「お前はストロベリーな」

神使「私、抹茶が食べたいんですけど・・・」

神様「じゃぁ抹茶とストロベリー頼めよ」

神使「・・・・・・」

754: 2016/10/30(日) 03:05:35 ID:zVC08qI2

神様「おばちゃん! 私はりんごとチョコ、こいつは抹茶とストロベリーで!」

おばちゃん「二人で四個食べるの?」

神様「やだな~ 私が三個食べるんだよ」

おばちゃん「すごいね~。 はい、落とさないでね」

神様「うほ~ 渦巻きが綺麗! うまそ~」ペロペロッ

神使「椅子に座って食べて下さい」

神様「へいへい」ヨイショ


神使「この抹茶アイスほろ苦くて美味しいです」ペロッ

神様「おい犬ころ、ストロベリー私の方に向けてろ」

神使「はいはい、どうぞ」

神様「ん。 お~ ストロベリーも美味しいね~」アムッ

755: 2016/10/30(日) 03:06:34 ID:zVC08qI2

神使「両手にアイスを持って・・・ 凄い食べ方しますね」

神様「気取って食べても仕方ないだろーが。 高速ペロペロ~!」ペロ ペロ ペロッ

神使「もう少し上品に召し上がって下さい。 神の品格に関わります」

神様「私に品格なんてありません~」ベー

神使「・・・・・・」ハァ


神様「それよりさぁ」

神使「?」

神様「向こうの柱の影からこっちを見てるのってお前の知り合い?」ペロ ペロッ

神使「柱?」

756: 2016/10/30(日) 03:07:33 ID:zVC08qI2


?「・・・」ジー


神使「あっ、もしかして狐娘さん!?」

狐娘「やっぱり! 神使先輩ですか?」スタスタ


神使「お久しぶりですね」

狐娘「ご無沙汰してます! どうしたんですか、こんな所で!?」

神使「神宮から派遣されてきたんですが、たらい回しにされていまして・・・」

狐娘「そうでしたか、申し訳ありません」ペコリ


神様「神使君の知り合い?」ペロ ペロッ

神使「はい、神使研修所で一緒だった後輩の狐娘さんです」

757: 2016/10/30(日) 03:09:04 ID:zVC08qI2

狐娘「りんごちゃん神宮で神使を務めております狐娘と申します」ペコリ

神様「私は、かわゆい神ちゃん! 神宮の内宮巫女長」フンスッ

狐娘「初めまして、社務所の方へご案内しますのでよろしければ」

神使「ありがとうございます。 助かります」ニコッ

狐娘「はぅ・・・ ど、どうぞ///」スタスタ


神様「ほぉ~」ニヤリ

神使「?」

759: 2016/10/31(月) 03:21:08 ID:Xo70zgpE


――― 第一社務所


狐娘「どうぞ」コトッ

神使「ありがとうございます。 あっ、これは」

狐娘「先輩は濃いめの緑茶に、お抹茶を少し入れるのが好きでしたよね?」

神使「覚えていてくれたんですね。 嬉しいです」ニコッ

狐娘「・・・///」

神様「」ニヤニヤ

神使「神様、先ほどから何ニヤニヤしているんです?」

神様「ん? 何でもない」

狐娘「ここへはどのようなご用でいらっしゃったんですか?」

神使「実は私も詳しい事は聞いておらず・・・ 宮司様か主神様にお目にかかれればと思ったのですが」

狐娘「宮司はあいにく出張中でして・・・」

神使「そのようですね。 主神様は?」

狐娘「・・・・・・少しお待ち下さい」スタスタ

760: 2016/10/31(月) 03:22:51 ID:Xo70zgpE

神様「可愛い子だね~」

神使「私の妹と同期なんです。 研修所では成績も優秀で聡明な方でした」

神様「あ~ 妹ちゃんと同期か・・・」

神使「神宮に神付き神使として奉職申請を出されていたようですが空きがなく・・・ こちらに御奉職されていたんですね」

神様「ふ~ん。 憧れを追うのは大変だね~」

神使「?」


神様「お茶美味しい」ズズッ

神使「お抹茶が入っていますからね」

神様「犬ころこれ好きなの?」

神使「はい。 お抹茶の上品な甘みがあって美味しいと思いませんか?」

神様「玉露で良いじゃん。 面倒くさい」

神使「・・・・・・違います」ズズッ

761: 2016/10/31(月) 03:24:23 ID:Xo70zgpE


 スタスタ


狐娘「お待たせいたしました。 三日前に神宮からお二人の主神謁見書類が届いていますね」

神使「良かったです」ホッ


狐娘「ただ、本殿への立ち入りは申請に一週間ほどかかるんです」

神使「え? そうなんですか!?」

狐娘「その後、主神様への謁見審査がありまして・・・ 私の知る限りここ数年は申請自体通った事はないんですが・・・」

神使「それは・・・」

神様「うへ~ 面倒くさ!」

狐娘「神にはそう簡単に会えないんですよ? 特に凄爺様は神階も最高位なので」

神使「まぁ、普通はそうですよね」チラッ

神様「なに? 何か言いたいの? 神使君」

神使「いえ、別に」

762: 2016/10/31(月) 03:25:54 ID:Xo70zgpE

狐娘「私も四年ほどここにいますが数回しかお目にかかった事ありませんし。 神宮も同じじゃないんですか?」

神使「確かに・・・ 神宮も神職や神付き神使でもそう簡単に会う事はできませんからね」

狐娘「先輩は神宮の神付き神使ですよね? 主神様とはお会いになれるんですか?」

神使「えぇ・・・ まぁ・・・ 私の主神様はちょっと特殊でして・・・」

神様「毎日会ってるよね~」

狐娘「毎日!? 神宮の神なのにそんな頻繁にお会いになれるんですか!?」

神使「・・・はい。 その・・・ 今も私の隣にいますね」

狐娘「?」

神様「ハロー」

狐娘「え?」

神様「神宮所属 内宮神籍の女神、かわゆい神ちゃんと申します。 この犬ころの主神をやらせて頂いております」ペコリ

狐娘「・・・・・・」

763: 2016/10/31(月) 03:26:46 ID:Xo70zgpE

神使「信じられないかも知れませんが本当なんです。 こちら神宮の神です」

狐娘「で、でもさっき巫女って!」

神使「それも本当で・・・ 神様は神宮で巫女のアルバイトもやっておりまして」

狐娘「・・・・・・はい?」

神使「お給料が低いのでアルバイトをしないと生活が苦し―――」

神様「アッチョー!」ゲシッ

神使「痛っ!」


狐娘「神・・・ さま・・・ !!」スッ

神様「ストーップ! ふかぶか禁止!」

狐娘「!?」

神使「神様はそういう畏まられたり奉られたりするのが苦手でして・・・ 友達のように普通に接してあげて下さい」

神様「うんうん」コクコクッ

764: 2016/10/31(月) 03:27:58 ID:Xo70zgpE

狐娘「でも、神宮の神にそんな不敬なことは」オロオロ

神様「別に偉くないんだし。 それにこの犬ころだって普通に接してるでしょ?」

狐神「はぁ・・・」


神使「私は、本心では崇め奉りたいほど尊敬しているんですよ?」

神様「よせやい、照れるじゃないか~」クネクネ

神使「きちんと仕事をして頂ければ。 神としての威厳を出して頂ければ。 下着姿で寝なければ・・・ ですが」

神様「それもう私じゃないじゃん!」ゲシッ

神使「痛っ!」


狐娘「・・・・・・」

765: 2016/10/31(月) 03:28:43 ID:Xo70zgpE

神様「それより、ジジイは居るの?」

狐娘「はい?」

神使「神様? きちんと凄爺神様と言わないとダメです。 先日も生意気な口聞いて怒られているじゃないですか」

狐娘「!?」

神様「良いんだよ。 あんなジジイ逆に私がお尻ペンペンしてやる!」

狐娘「あの!」

神様・神使「!?」ビクッ

狐娘「凄爺様とお会いになったんですか!?」

神使「直接お目にかかった訳ではないのですが・・・」

神様「神力越しで会話したくらい。 相変わらず堅物なお節介ジジイだったよ」

狐娘「そうですか・・・」ホッ

766: 2016/10/31(月) 03:29:49 ID:Xo70zgpE

神使「何かあったんですか?」

狐娘「あっ、いえ・・・」

神様「凄爺、ここに居ないんでしょ?」

狐娘「!?」

神使「それは、お出かけ中という意味ですか?」

神様「いや、年単位で不在かな?」チラッ

狐娘「・・・・・・」

神使「どういうことです?」

神様「凄爺の神力が全く感じられない」

神使「神様、凄爺神様が居ない事を知っていたんですか・・・」

神様「ここに凄爺がいたら私がノコノコと足を踏み入れる訳ないだろ?」

神使「ずいぶんと威勢が良いと思ったのはそういうことでしたか」

神様「そんじゃ主神もいないし帰りますか~」

神使「しかし・・・」

767: 2016/10/31(月) 03:30:54 ID:Xo70zgpE

狐娘「あの! 神宮神様!」

神様「?」キョロキョロ

神使「神様の事です」

神様「ミー?」


狐神「非礼を承知で・・・ ご相談に乗っていただけないでしょうか・・・」

神使「分かりました」

神様「ちょっと待って神使君。 今の私宛だよね? 私の意見は?」

神使「牡蠣ご馳走します」ボソッ

神様「よろしい、この神ちゃんに何でも相談しなさい。 たちどころに解決して進ぜよう」フンスッ

神使(この単純さ、私も少し見習いたいですね)

769: 2016/11/01(火) 04:40:07 ID:Eq46KQaE


――― 本殿入り口


テクテク


狐娘「本殿はこの門の先になります」

神使「大変立派な門ですよね」

神様「羅城門かよ・・・」

神使「神様、羅城門は実物を・・・」

神様「もちろん見てるね。 悪戯書きして凄爺に折檻された」


狐娘「・・・あの、失礼ながら神宮神様は何の神なのでしょうか?」

神使「何の神なんです?」

神様「・・・・・・かわゆい神?」

神使・狐娘「・・・・・・」

770: 2016/11/01(火) 04:41:42 ID:Eq46KQaE


テクテク


神主「あっ、狐娘さん。 どうされたんですか?」

狐娘「こちらの方達を本殿へご案内いたします」

神主「え!? 本殿への立ち入り申請は今日はなかったと思うんですが」

狐娘「神宮からの御使者です」

神主「しかし、入館審査証がないと・・・」


狐娘「御正体をお話ししてもよろしいでしょうか?」

神様「オッケ~」


狐娘「こちらは神宮の神さまです。 対応をわきまえて下さいませ」

神主「神宮の神さま!?」

771: 2016/11/01(火) 04:42:56 ID:Eq46KQaE

神様「うむ。 神宮所属内宮神籍の神であるぞぉ~」

神使「こちら神様の神籍証と、私の神使籍証です」スッ


神主「!? た、大変失礼いたしました」フカブカ

神様「フカブカいらないぞぉ~」

神主「え!?」


狐娘「神宮神様はお忍びで来られておりますのであまり公にしたくないそうです」

神主「そ、そうですよね。 失礼いたしました」フカブカ

神様「ユー、面白いぞ~」


狐娘「私達が本殿から出るまで誰も中に入れないようお願いします」

神主「分かりました。 中央の扉からお入り下さい」

772: 2016/11/01(火) 04:45:42 ID:Eq46KQaE


 ギィ


狐娘「神宮神様、どうぞ」

神様「我が神使よ、参るぞぉ~」

神使「・・・・・・はぁ」


 スタスタ


狐娘「この庭を抜ければ本殿です」

神使「お庭も大変立派ですね・・・」キョロキョロ

神様「我が神使よ。 我は疲れた、おんぶせよぉ~」

神使「調子に乗らないで下さい」


神様「え~ もう少し神さまごっこしよーぜ~ おんぶ~」

神使「ダメです。 あまりみっともない行動しないで下さい」

神様「んだよ、ケチ!」

773: 2016/11/01(火) 04:46:39 ID:Eq46KQaE

狐娘「・・・・・・」


神使「どうされました?」

狐娘「!? いえ・・・ 神宮神様に随分と何と言いますか・・・ 対応が・・・」

神様「そうだよ。 もう少し優しく扱えよ。 私はガラスのように繊細なんだから」

神使「厚さ1メートル位の強化防弾ガラスですよね」

神様「うへ~ ちょっと聞きました? 狐娘さん。 うちの子ったら」

狐娘「・・・・・・」

神様「?」

774: 2016/11/01(火) 04:47:23 ID:Eq46KQaE

狐娘「あっ・・・ すいません。 仲がよろしいんですね」シュン

神様「・・・・・・ごめん、そんなつもりじゃ」


神使「どうされたんですか神様?」

神様「・・・」ジロッ

神使「?」

神様「」ゲシッ

神使「痛っ! え!? 私なんで蹴られたんです?」

神様「アホ神使」

775: 2016/11/01(火) 04:49:06 ID:Eq46KQaE


――― 本殿


 ギィー


狐娘「こちらが本殿です」

神様「なんだよこの広さは!」

狐娘「本殿の広さだけで言えば最大の面積はあるかと思います」


神様「あれがご神体の内内陣かな?」

狐娘「はい」

神様「ちょっと中見るね」トテトテ

776: 2016/11/01(火) 04:49:41 ID:Eq46KQaE


 ギィ


神様「あ~・・・」

神使「どうされました?」


神様「我、神体の神力を解放す」


 ポワ


狐娘「!?」

神様「・・・やっぱり」ハァ

神使「神様?」

777: 2016/11/01(火) 04:51:04 ID:Eq46KQaE

神様「凄爺が最後にここに来たのっていつ?」

狐娘「確か二年ほど前だったと思います」

神様「あのジジイ・・・」

神使「何か分かったんですか?」

神様「ん~ まずは狐娘ちゃんの話から聞きましょ」

神使「そうですね。 狐娘さん、相談というのは?」


狐娘「はい。 実は凄爺神様が行方不明でして・・・」

神使「行方不明・・・ ですか?」

狐娘「はい。 二年前から一度もこちらにはお入りになっていないんです」

神使「神宮に報告は?」

狐娘「いいえ・・・ 宮司の判断で、その・・・ 体面的な事もありますので」

神様「神宮って名前が付いているのに神不在じゃ、間違いなく社位は落ちるしねぇ~」

狐娘「・・・・・・」

778: 2016/11/01(火) 04:51:49 ID:Eq46KQaE

神使「凄爺様が出て行かれたお心当たりは?」

狐娘「いいえ」

神使「しかし、ご神体はあるんですよね」


神様「今ここに納められている神体は中継神体だ」

神使「中継神体?」

神様「本体は別の所にあって中継しているだけのお飾り。 摂末社とかでよく使うんだけど」

神使「と言う事は、凄爺神様は別の場所におられると?」

神様「ジジイの居場所はこの中継神体をたどればすぐ分かるけど」

狐娘「!?」

779: 2016/11/01(火) 04:53:07 ID:Eq46KQaE

神使「では、早速」

神様「いや~ でもそれじゃ解決にはならないでしょ」

神使「しかし、お会いになって理由を聞けば・・・」

神様「ん~ ジジイ自分の事は喋らない主義だしなぁ~」

狐娘「・・・・・・」


神様「狐娘ちゃん、相談する事はそれだけ?」

狐娘「・・・・・・はい」

神様「そう」ヨイショ

神使「神様?」

神様「取りあえず、今日は疲れたし寝る。 宿行こう、宿」

神使「・・・・・・。 狐娘さん、お願いがあるのですが」

狐娘「?」

781: 2016/11/02(水) 01:06:09 ID:cuozD91I


――― 客間


狐娘「申し訳ありません。 急でしたのでこんなお部屋しか用意できなかったのですが・・・」

神使「無理言ってすいません」

神様「・・・広っ!」


狐娘「本当に本殿でなくても良いんですか? 神宮神様にこのようなお部屋というのも・・・」

神使「いえ、こんなに広いお部屋贅沢すぎです。 ねっ、神様?」

神様「旅館が良い。 温泉入りたい。 神社ヤダ」

神使「そんなお金ありません。 折角用意して頂いたのに失礼ですよ?」

神様「へいへい。 でもこの1/4の広さで良いのに・・・ 20畳くらいあるよね、この部屋」

782: 2016/11/02(水) 01:07:36 ID:cuozD91I

狐娘「本来は別々にお部屋をご用意したいのですが・・・ すぐに間仕切りを入れますので」

神使「お気遣いなく。 このままで大丈夫です」

狐娘「しかし、それでは・・・」

神使「主神と同行の神使は一緒にいないといけないもので。 同じ部屋で大丈夫です」

狐娘「・・・・・・」


神様「大丈夫だよ、犬ころは悪さしないように隅っこの一畳だけで生活させるから」

神使「・・・・・・」

狐娘「では、何かご用がございましたらご指示下さい」


 スタスタ
 ガチャッ

783: 2016/11/02(水) 01:08:44 ID:cuozD91I

神使「神様、何か解決策はありますか?」

神様「う~ん・・・ 神使君ってさぁ、モテた?」

神使「・・・はい?」

神様「女の子からモテたかって」

神使「・・・・・・質問の意味が分からないのですが」

神様「告白された回数は?」


神使「それは今回の件と何か関係あるのでしょうか・・・」

神様「うん」

784: 2016/11/02(水) 01:09:50 ID:cuozD91I

神使「・・・・・・8回ほど」

神様「」イラッ

神使「すいません、9回でした」

神様「」ゲシッ

神使「痛ぃ! 何ですか・・・」

神様「極悪邪道腐れ犬ころ変Oすけこまアホ神使」

神使「それ言いにくくないですか?」

神様「寝る!」モソモソ


神使「私買い物に行ってきますので、夕方に目覚まし掛けておきますから起きて下さいね」

神様「ん」モソモソ

785: 2016/11/02(水) 01:10:40 ID:cuozD91I


――― 夕方・社務所


 テクテク


神使「コーラが特売で助かりました。 これだけあればこちらにいる間は大丈夫でしょう」

神使「しかし、神様のコーラ代もバカにならなくなってきましたね・・・」


 ザワザワ
 あの子下着姿でどうしたのかしら・・・ ヒソヒソ
 何で廊下で寝てるの? ヒソヒソ


神使「?」

786: 2016/11/02(水) 01:11:51 ID:cuozD91I


 狐娘「あの、大丈夫ですか? 風邪引いてしまいますが・・・」


神使「狐娘さん、どうされたんですか?」スタスタ

狐娘「あっ、神使先輩。 それが・・・」



神様「Zzz・・・」グガー



神使「あ~ すいませんご迷惑をおかけして」

狐娘「何度かお声をおかけしているんですが・・・」

神使「神様は揺らさないと起きませんので」

狐娘「しかし、神宮神様に触れるだなんて・・・」

神使「気にしないで下さい。 すぐ片付けますから」

狐娘「片付け!?」

787: 2016/11/02(水) 01:12:37 ID:cuozD91I

神使「神様、廊下で下着姿なんかで寝てちゃダメですよ。 通行の邪魔です」ヨイショ

狐娘「!?」

神使「お騒がせしました」スタスタ


 すごーい! 脇に抱えて持ってった
 あの男の人格好いいね~


狐娘「・・・・・・」

788: 2016/11/02(水) 01:19:22 ID:cuozD91I


――― 客間


 ガチャッ


神使「神様、まだ寝ます?」

神様「まんにゃむみゃ・・・」

神使「はいはい」ヨイショ

神様「みゅみょむ・・・」

神使「はい、布団です。 ちゃんと肩まで掛けて下さい」パサッ

神様「ん~ Zzz・・・」スースー

神使「フフッ」ニコッ


神使「さて、コーラを冷やしてきましょう」スタスタ

789: 2016/11/02(水) 01:20:29 ID:cuozD91I


 ガチャッ


狐娘「!?」ビクッ

神使「うわっ! 狐娘さん!」

狐娘「あっ、すいません。 神宮神様は大丈夫でしょうか」

神使「先ほどは驚かせてしまって申し訳ありません」ペコリ

狐娘「あっ、いえ」

神使「コーラを冷やしたいのですが冷蔵庫をお借りしてもよろしいでしょうか?」

狐娘「コーラですか?」

神使「神様の大好物でして・・・ コーラを切らすと風当たりが強いもので」

狐娘「台所に私物入れの冷蔵庫があります。 ご案内します」

神使「ありがとうございます」


 スタスタ

792: 2016/11/03(木) 02:30:46 ID:fpk2ek/M

神様「Zzz・・・」グガー


 猫神『神ちゃ~ん、起きないとお説教だよ~』


神様「!?」


 猫神『神ちゃ~ん、そんなにお説教されたいの~』


神様「まって! 起きる!!」ガバッ


 猫神『神ちゃ~ん、起きないとお説教だよ~』


神様「・・・目覚ましかよ。 何だよこの悪趣味なアラームは・・・」


 ポチッ

793: 2016/11/03(木) 02:31:41 ID:fpk2ek/M

神様「ハァ~ 最悪の目覚め・・・ おい犬ころ!」


 シーン


神様「そういえば買い物行くって言ってたな・・・ まだ戻ってないのか」

神様「・・・・・・」ブルッ

神様「お花を摘みに行きたい。 そう思う神ちゃんであった」トテトテ


 ガチャッ

794: 2016/11/03(木) 02:32:17 ID:fpk2ek/M


――― 廊下


神様「も~ 広すぎてトイレの場所わかんねーよ~」トテトテ



 神使『へぇ~ そうだったんですか』

 狐娘『はい、面白いですよね』クスクス



神様「ん? 犬ころと狐娘ちゃん・・・」ニヤリ

神様「」コソッ

795: 2016/11/03(木) 02:33:07 ID:fpk2ek/M


――― 台所


神使「では、そろそろ神様が起きる時間ですので」

狐娘「ぁ・・・ あの神使先輩!」

神使「はい?」


狐娘「その・・・/// 先輩ってお付き合いされている方とかいるんですか?」

神使「え!? 私ですか?」

狐娘「先輩、すごくモテてましたから・・・ 今はどうなのかなぁって」

神使「そんな事ありませんよ。 そのような方はおりませんよ?」

狐娘「そうなんですか!?」パァ

796: 2016/11/03(木) 02:34:46 ID:fpk2ek/M

神使「狐娘さんは、おられるのですか?」

狐娘「いえ・・・ あの、憧れている方はいるのですが・・・ ///」モジモジ

神使「あっ、では私と同じですね」

狐娘「えっ、えっ!?」ソワソワ

神使「私もお慕いしている方はおります。 全く相手にされていないんですが」ハハッ

狐娘「え・・・?」


神使「私はその方をとても尊敬しております。 私にとっても女神様ですね」ニコッ

狐娘「それって・・・ お気持ちは、お伝えになったのですか?」

神使「まさか。 私がそのような事を口にするのは大変失礼ですし、その資格はございませんから」

狐娘「・・・・・・」

797: 2016/11/03(木) 02:35:51 ID:fpk2ek/M


神様「・・・・・・」

 トテトテ


神様「・・・///」

 タッタッタッ

798: 2016/11/03(木) 02:39:02 ID:fpk2ek/M


――― 客間


 ガチャッ


神様「!?」

神使「あっ、神様起きておられてのですね」

神様「!? んぁ!? あ・・・ あぁ」

神使「どうされたんですか? 顔真っ赤ですよ? まさか熱があるんじゃ!」

神様「え!? いや、ほら今日暑いじゃん? ///」パタパタ

神使「そんな事はないと思いますが。 まさか凄爺様が嫌で清祓いをして逆に祟られたとか!?」

神様「しねーよそんな事! あの・・・ あっ、目覚まし! 目覚ましに驚いたの!」

神使「あぁ~ やはり効果覿面でしたか」

神様「何だよあの目覚まし・・・ 悪質ないじめだぞ?」

799: 2016/11/03(木) 02:40:01 ID:fpk2ek/M

神使「先日、猫神様に神様が中々起きないと相談したら目覚ましに声を吹き込んでくれまして」

神様「なんだよそれ・・・」

神使「猫神様がこれなら絶対に神様は起きるからと」

神様「猫神のヤツ・・・」


神使「そうだ。 先ほどコーラ買ってきましたのでお飲みになります?」

神様「飲む」

神使「はい、どうぞ」スッ

神様「わ~ 瓶コーラじゃん。 すげー」

神使「特売で売っていまして。 瓶は返すと10円戻してくれるそうですから飲み終わったら渡して下さい」

神様「うん」プシュッ

800: 2016/11/03(木) 02:41:48 ID:fpk2ek/M

神使「それより神様、凄爺様の件はどうされますか?」

神様「ん~ そうだな~・・・」ゴクゴク

神使「何か難しい問題でもあるんでしょうか?」

神様「いや、そっちは簡単だけど・・・ もう一つが・・・」ゲップ

神使「もう一つ?」


神様「明日、ジジイの所に行くか・・・」

神使「神様、凄爺様の居場所をご存じなんですか?」

神様「まぁ・・・ その~ お前も一緒に来る?」

神使「そのつもりですが?」キョトン

神様「いや~ でも、どうすっかな~・・・」ウーン

神使「?」

802: 2016/11/03(木) 22:09:22 ID:fpk2ek/M


――― 翌日・ひねくれ神社


神使「ここは?」

狐娘「確かうちの兼務社で“ひねくれ神社”・・・」


 キャッ キャッ
 ワー ワー


神使「随分と賑やかな場所ですね・・・」

狐娘「神社を囲むように公園と幼稚園があるんです」

神様「元々この一帯はひねくれ神社の神域だったんだよ」

神使「え? そうなんですか?」

神様「でも今は小さいよね~ この鳥居も・・・ !?」ハッ


 タッ タッ タッ



神使「神様! 急にどうされたんですか~」

803: 2016/11/03(木) 22:10:36 ID:fpk2ek/M


――― ひねくれ神社・本殿


 バンッ


神様「!?」

神使「神様、急に走ってどうされ・・・ これは!?」

狐娘「凄爺神様!!」

神様「おい、凄爺! どうした! おい!!」ユサユサ


神使「これは一体・・・」

神様「そこの座布団を並べて凄爺を寝かせるぞ。 急げ!」

神使「はっ、はい」

神様「しっかりしろ! 凄爺!」

凄爺「・・・・・・」

804: 2016/11/03(木) 22:12:05 ID:fpk2ek/M


――― 1時間後


凄爺「・・・・・・ん」

神様「気づいたか」

狐娘「凄爺様!」


凄爺「お前は・・・ りんごちゃんの狐娘か」

狐娘「はい。 よかった」ホッ

凄爺「牡蠣ガキも一緒か」チッ

神様「命の恩人にその態度はないんじゃな~い?」ニヤッ

凄爺「神がそう簡単に氏ぬわけないだろ!」

神様「へぇ~」

805: 2016/11/03(木) 22:12:56 ID:fpk2ek/M

凄爺「・・・ん? となりのヤツは誰だ?」

神使「申し遅れました。 神様の使いで狛犬の神使と申します」フカブカ

凄爺「その声・・・ 確かあにあに神社でも聞いたな」

神使「恐縮でございます」

凄爺「賢そうな狛犬だ」

神使「私などまだまだ右も左も分からない未熟者でございます」


凄爺「・・・なるほどな」チラッ

神様「何だよジジイ・・・」プイッ

806: 2016/11/03(木) 22:14:08 ID:fpk2ek/M


狐娘「それより凄爺様、どうしてこのような場所に」

凄爺「お前らに話す事ではない」

狐娘「・・・・・・」シュン


神様「ご神体の神力が枯渇してるけど?」

凄爺「牡蠣ガキ! お前ワシの神体を勝手に覗いたのか!」

神様「覗いてないって。 神力の量なんて見れば分かるっつーの」

凄爺「相変わらず神力操作だけは得意だな」

神様「何その言い方・・・」

凄爺「褒めてやったんだ、感謝しろ」

神様「へいへい。 で? りんごちゃん神宮の神力全部使ってまで何したんだよ」

凄爺「大した事じゃないわ! とっとと帰れ牡蠣ガキ!」


神様「うへ~ 面倒くさ~・・・」ゲンナリ

神使(なるほど、確かに面倒ですね・・・)

807: 2016/11/03(木) 22:15:09 ID:fpk2ek/M


狐娘「凄爺神様、りんごちゃん神宮の皆も心配しています。 お戻り頂けませんでしょうか?」

凄爺「まだ戻れん。 そう伝えてくれ」

狐娘「・・・・・・」


神様「だから何やってるか言わないと心配すんだろーが。 向こうじゃ出来ないのかよ」

凄爺「ワシの仕事に一々口を出す出ない!」

神様「仕事だったら向こうでも良いだろーが」


神使「確か凄爺神様は守護神様でしたよね」

凄爺「・・・・・・」

神様「まさか、ジジイ・・・」

凄爺「なんだ」

神様「あにあに神社の時、動けないとか言ってたな」

凄爺「・・・変な事だけは覚えているんだな」

808: 2016/11/03(木) 22:16:17 ID:fpk2ek/M

神様「神体を借りるぞ」スタスタ

凄爺「バカ! 神体に触れるでない!」

狐娘「凄爺様、お体に触ります」


神様「我、神体の神力を解放す。 我の問いに答えたまえ」


 ポワポワ


神様「!?」

神使「神様?」


神様「嘘だろ・・・」

凄爺「」チッ

809: 2016/11/03(木) 22:18:08 ID:fpk2ek/M

神使「神様? どうされたんです?」

神様「四柱結界が壊れてる・・・」

神使「えっ!?」

狐娘「四柱・・・ 結界?」


神様「凄爺、いつからだ?」

凄爺「・・・・・・」

神様「凄爺!!」

凄爺「亀裂が入り始めたのは百年前。 決壊が発生し始めたのは三年ほど前だ」

神様「なんで黙ってたんだよ!」

凄爺「四柱結界の守護は私の仕事だ。 それに十分修復も可能だ」

810: 2016/11/03(木) 22:19:36 ID:fpk2ek/M

神様「・・・・・・まさか私が神力を使えなくなってからずっと一人で・・・」

凄爺「勝手に神力を失いおって。 ガキの力なんか無くてもワシ一人でどうにでもなるわい」

神様「・・・・・・」


凄爺「すぐに神力は満杯になる。 あと数回再結界を行えば維持できる」

神様「すまない・・・」シュン

凄爺「お前が一々責任を感じる事では無い。 ワシが守ると約束したんだ」

神様「・・・・・・」グッ

811: 2016/11/03(木) 22:21:02 ID:fpk2ek/M

神使「神宮から行うのはダメなのでしょうか? あそこならりんごちゃん神宮より強い神力が・・・」

凄爺「四柱結界の基盤はこの場所で行った。 この場所以外で修復は行えん」

神使「そうでしたか。 失礼いたしました」

神様「・・・・・・」

凄爺「おい牡蠣ガキ、ワシはお前との約束を果たしている。 お前も果たしに来たと思って良いのか?」チラッ

神使「?」



神様「・・・・・・」テクテク

 ギィ


神使「あっ、神様」スタスタ

狐娘「」スタスタ




凄爺「ったく、だから誰も知らせたくなかったのだ」ハァ

812: 2016/11/03(木) 22:22:08 ID:fpk2ek/M


――― 境内


神使「神様?」

神様「私はやっぱりダメ神だな・・・」

神使「そんな事はございませんよ? とてもご立派な女神様です」

神様「優しいな・・・ でも私はお前が思っているような・・・ そんな立派な神じゃない」グッ

神使「神様・・・」

狐娘「・・・・・・」


神様「私は、自分勝手だ。 神にしている者も私の友達・・・ いや、ただ友達になりたいヤツだけで」

神使「・・・・・・」

神様「面倒くさい事は他の神に全部押しつけて・・・ 私は毎日ただ遊んでいるだけで・・・」

神使「そんな事は・・・」

813: 2016/11/03(木) 22:23:13 ID:fpk2ek/M

神様「神力も使えない神なんて、お前の主神である資格すらもないしな」

神使「そんな事ありませんよ? 神様は私が尊敬する主神さまです」

神様「・・・」フッ


神様「いや。 自分の事は自分が一番分かっている。 だから・・・」

神様「潮時かもな。 潔く神なんか辞めてニートにでもなっ―――」

神使「神様!!」

神様「!?」ビクッ

814: 2016/11/03(木) 22:23:56 ID:fpk2ek/M

神使「見損ないました」

神様「ぇ・・・」


神使「私の知っている神様はどんな状況でも絶対に諦めたりしません」

神使「私の知っている神様は神力がなくてもどんな願いだって叶えてくれます」

神使「そんな神様を私は・・・」


神使「今の神様は、私の知っている神様ではありません」ウルウル

神様「・・・・・・神使」


神使「失礼します」スタスタ

狐娘「あっ、先輩・・・」

815: 2016/11/03(木) 22:25:08 ID:fpk2ek/M


神様「・・・・・・」ウルウル

神様「ふぇ・・・ ぐすっ」ポロ ポロ

神様「うぇ~ん! ひぐっ・・・ うぇ~んっ!」ボロ ボロ


 トテトテ





狐娘「・・・・・・神宮神様」

818: 2016/11/05(土) 03:11:33 ID:qi3vY.0w


神使「・・・・・・」テクテク


 凄爺「おい狛犬」


神使「凄爺神様・・・」フカブカ


凄爺「話がある、本殿に上がれ」

神使「・・・はい」スタスタ

819: 2016/11/05(土) 03:12:32 ID:qi3vY.0w


――― 本殿


神使「・・・先ほどは申し訳ございませんでした」フカブカ

凄爺「何故謝る?」

神使「一介の神使が神に・・・ いえ最高神様に非礼な事を・・・」


凄爺「アイツの正体はどこまで知っているんだ?」

神使「神宮三神を隠れて兼任している事と・・・ 二百年前に分裂してお二人いると言う事までは・・・」

凄爺「ほぉ~ あのガキの神使は何年目だ?」

神使「神様にお仕えして4年になります」

凄爺「たったそれだけか?」

神使「・・・はい」

820: 2016/11/05(土) 03:13:19 ID:qi3vY.0w

凄爺「ワシは神になる前はあのガキと40年ほど一緒にいた」

神使「・・・・・・」

凄爺「だが、あんなにギャンギャン泣いたのを見たのは初めてだ」

神使「申し訳ありません・・・」フカブカ

凄爺「だから、何故謝る」

神使「神様はこの国の最高神です。 そのような立派な方にあのような非礼を・・・」


凄爺「ワシはあまり自分の事を喋らん主義だが・・・ まだ神になる前に、その・・・ 思いを寄せていたヤツに告白した事がある」

神使「え!?」

821: 2016/11/05(土) 03:14:08 ID:qi3vY.0w

凄爺「彼女はどんな時も他人を優先し、どんな難しい難題でもあらゆる手を使って解決してくれた」

神使「・・・素晴らしい方ですね」

凄爺「当時はまだ神力が使えていたが、名実ともに神の頂点と言って良い素晴らしい女神だった」

神使「それって・・・」

凄爺「言わすな、恥ずかしい」

神使「それで、神様・・・ いえ、その方からのお返事は」

凄爺「まぁ・・・振られたな」

神使「・・・・・・」

822: 2016/11/05(土) 03:16:39 ID:qi3vY.0w


凄爺「雲一つ無き青空と、夕日に燃える朱色の・・・」

神使「え?」

凄爺「・・・・・・なるほどな。 そう言うことか」フッ


神使「あの・・・」

凄爺「いや、すまん」

神使「?」


凄爺「アイツは毎日一緒にいても飽きなくて、お金にはうるさいけど定期的に好物を食べさせてくれる使いが好きだと言っていた」

神使「随分と限定的な方なのですね・・・」

凄爺「そうだな。 ワシも全く同じ事を言った」

神使「そうでしたか・・・」

823: 2016/11/05(土) 03:17:51 ID:qi3vY.0w

凄爺「まぁ、盛大に振られた代わりアイツは一つだけ約束をしてくれた」

神使「約束・・・ ですか?」

凄爺「もし好きなやつが出来たときはワシの所に連れて来るとな・・・ 全く悪趣味なヤツだ」


神使「その後、神様は誰かお連れになったのですか?」

凄爺「ワシが神になってから一人だけ男を連れてきた」

神使「!?」

凄爺「誰だか分かるか?」

神使「・・・・・・もしかして、昭宮神様でしょうか」

凄爺「昭宮神? あの妄想野郎を知ってるのか?」

神使「はい。 神様の旦那様だと仰っておりました」

824: 2016/11/05(土) 03:18:52 ID:qi3vY.0w

凄爺「あの変Oが勝手に言っているだけだろ。 アイツが昭宮神を連れてきた事など一度も無いぞ」

神使「では一体・・・」


凄爺「お前だ」

神使「えっ?」

凄爺「お前以外であのガキがワシの前に男を連れてきた事は無い」

神使「それは・・・ 私は神様の神使ですので当然かと」

凄爺「そうかもな。だが、アイツの神使や使いで男は今まで沢山いた」

神使「・・・・・・」


凄爺「アイツが自分の使いに会うのは月に1回あれば多い方だ。 お前はどのくらいの周期で会っているんだ?」

神使「・・・・・・毎日お会いしております」

凄爺「そうか」

825: 2016/11/05(土) 03:19:32 ID:qi3vY.0w


凄爺「アイツは途方もない長い時間を過ごしている。 ワシでも想像できないような辛い出来事も経験しているはずだ」

神使「・・・・・・」

凄爺「あんな小さな体で、あんな性格なのに何千年もそれに耐えてきたんだ」

神使「はい・・・」


凄爺「そんなヤツがたかが4年一緒にいる神使にキツく言われただけであんなに泣くと思うか?」

神使「えっ・・・」


凄爺「羨ましいわ」ボソッ

神使「凄爺様・・・」

826: 2016/11/05(土) 03:20:45 ID:qi3vY.0w

凄爺「あのガキ、お前に嫌われたと思っているだろうな」

神使「え?」

凄爺「たぶん初めての感情だったんだろ。 あんなに泣きやがって」

神使「・・・・・・」


凄爺「あとはワシは知らん。 お前が決めるんだな」

神使「ありがとうございます。 私は、どんな形であれ神様をお守りすることをお約束します」

凄爺「・・・・・・」

神使「しかし、私は神様の神使です。 神ちゃんさんに相応しい男になった時に、この思いをお伝えいたします」フカブカ

凄爺「そうか」




凄爺(なるほど、確かにお前の言う通り私はコイツに勝てないな)フッ

830: 2016/11/05(土) 21:01:25 ID:qi3vY.0w


――― ひねくれ神社・境内の端っこ


神様「・・・・・・」シュン



狐娘「神宮神様?」

神様「・・・狐娘ちゃん」グシグシ


狐娘「少しお話しをしてもよろしいでしょうか?」

神様「・・・うん」

831: 2016/11/05(土) 21:03:09 ID:qi3vY.0w

狐娘「先輩に怒られちゃいましたね」

神様「・・・うん」

狐娘「私、先輩が怒っているところ初めて見ました」

神様「・・・・・・」


狐娘「ちょっと羨ましいです」

神様「え?」

狐娘「先輩って、どんな人にも全く同じ対応なんですもん。 誰にでも優しくて、頼み事だって絶対断らないんですよ?」

神様「知ってる・・・ でも私のお願いはあんま聞いてくれないけど・・・」


狐娘「私、神宮神様といるときの先輩の対応を見てびっくりしました」

神様「あいつ、私を見下してるから・・・」

狐娘「先輩が神を・・・ いえ、人も神使も見下すなんて事は絶対にありません」

神様「・・・・・・」

832: 2016/11/05(土) 21:04:56 ID:qi3vY.0w

狐娘「私、先輩の妹と研修所時代の同期なんです」

神様「この前アイツから聞いた」

狐娘「妹さんはご存じですか?」

神様「うん」

狐娘「先輩、妹にも敬語なんですよ?」

神様「・・・うん」

狐娘「先輩って女性と話すときは絶対に一歩自分を引いて話すんです。 相手が妹でも」

神様「・・・・・・」

狐娘「神宮神様と一緒の時はその距離がありませんでした。 あんな先輩初めて見ました」

神様「でも、それは・・・」

833: 2016/11/05(土) 21:06:27 ID:qi3vY.0w

狐娘「それに、どんなに親しくても先輩が女性を脇に抱えて歩いたりするなんて考えられませんよ」

神様「さすがにそんなこと私もされた事無いけど・・・」


狐娘「・・・先日、神宮神様を脇にお抱えになっていましたよ?」

神様「え!?」

狐娘「廊下でお眠りになっていたときに・・・ 覚えていないのですか?」

神様「・・・・・・うん」

狐娘「手慣れた感じでしたし、何度もされているのでは・・・」

神様「・・・///」

狐娘「大変非礼な発言ですが、あんなの見せられて・・・ 私、嫉妬しちゃいました」

834: 2016/11/05(土) 21:07:51 ID:qi3vY.0w


神様「・・・・・・狐娘ちゃんは、犬ころの事を好きなんだよね」

狐娘「はい」


神様「・・・あいつ優しいから、ちゃんと思いを伝えれば大丈夫だと思うよ」

狐娘「私もそう思っていました。 でも先輩はすでにお慕いしている方がいるようですし」

神様「今なら大丈夫だよ。 たぶんそいつ嫌われたし」シュン


狐娘「私が神使先輩に告白しても絶対にお返事はもらえません。 先輩を悩ませちゃうだけです」

神様「でも・・・ 思いを伝えるのは大事だよ?」

狐娘「神宮神様は思いをお伝えになったのですか?」

神様「・・・・・・」

835: 2016/11/05(土) 21:09:09 ID:qi3vY.0w


狐娘「神使先輩は神宮神様にお譲りします!」

神様「でも・・・ 私は嫌われたし・・・」

狐娘「あの先輩が神宮神様の事を嫌いになるわけ無いじゃないですか」

神様「狐娘ちゃん・・・」


狐娘「神さま、どうか神宮神様が神使先輩と共に歩んでいけますように」パン パンッ

神様「・・・・・・」

狐娘「これが、私から神様へのお願いです」ニコッ

神様「ありがとう・・・///」

836: 2016/11/05(土) 21:10:07 ID:qi3vY.0w

狐娘「はい、お賽銭です」ジャラ

神様「130円?」

狐娘「裏手に自動販売機がありますので、一緒にコーラ買いに行きませんか?」

神様「うん。 ありがとう狐娘ちゃん」

狐娘「出過ぎたまねを失礼いたしました」ペコリ

神様「後でアイツに謝まる。 もう絶対神を辞めるなんて言わない!」

狐娘「ふふっ、そうですね」ニコッ

837: 2016/11/06(日) 00:36:17 ID:EKibyOBE


―――ひねくれ神社・本殿前


 テクテク


神様「狐娘ちゃん、折角ジュース買うのに水とか無いわ~」

狐娘「そうでしょうか・・・」


神様「あっ・・・」


神使「・・・・・・」



神様「・・・・・・」シュン


狐娘「神宮神様? 謝るのでは?」ボソッ

神様「神使・・・ あの、さっきは・・・」モジモジ

838: 2016/11/06(日) 00:37:26 ID:EKibyOBE


神使「神様? またコーラを勝手に買ったんですか?」

神様「え・・・? いや、これは・・・」


神使「これからは、1日2本までですよ?」

神様「・・・・・・」

神使「約束できますか?」

神様「する・・・ 約束する!」

神使「ありがとうございます」


神様「それと、もう一つ約束する事がある」

神使「?」


神様「もう、神を辞めるだなんて言わない。 冗談でも絶対に言わない! だから・・・」

839: 2016/11/06(日) 00:38:30 ID:EKibyOBE

神使「よくよく考えたら神様が神を辞めるわけなんかありませんからね」

神様「え?」

神使「神様は神以外の仕事は出来ませんし」

神様「・・・どういう意味?」

神使「そのままの意味です」

狐娘「」クスッ


神様「あのさぁ、勘違いしてもらっちゃ困るんだけど私の本職は巫女だからね?」ハァ

神使「そうでした。 内宮巫女長でしたね」

神様「その通り! 神としての神階は最低位だけど巫女としては優秀なのだよ」カッ カッ カッ


 凄爺「おい」


神様・神使「?」

840: 2016/11/06(日) 00:39:27 ID:EKibyOBE

狐娘「凄爺様、お体に触りますのでお休みになって頂かないと・・・」


凄爺「悪いんだが、お前達うるさいから帰ってくれないか? ゆっくりできん」」

神使「も、申し訳ございません」フカブカ


神様「へぇ~ こんなにキッズ達がウジャウジャいるのに、そっちはうるさくないの?」ニヤッ

凄爺「・・・あのガキ達はしかたあるまい」

神様「だよね~ 好きで無きゃ神宮の反発を押し切って土地を切り売りして幼稚園誘致したり公園にしたりしないもんね~」

凄爺「・・・おい牡蠣ガキ、なんでそれを知っているんだ!!」

神様「前に、神宮の大宮司が教えてくれたの」

凄爺「あの野郎・・・」

841: 2016/11/06(日) 00:40:13 ID:EKibyOBE

神様「狐娘ちゃん、色々ありがとう」フカブカ

狐娘「そんな! やめて下さい」

神様「これ、お礼にもならないと思うんだけど受け取って」スッ

狐娘「お守り?」

神様「うん。 私が作ったヤツだから御利益薄いけど・・・」

狐娘「ありがとうございます。 大切にいたします」


凄爺「ほぉ~ お前お守りなんか作っていたのか」

神様「なんだよ・・・」

凄爺「ワシの分は無いのか?」

神様「ありません~ これは私の大事な友達にだけあげてるんです~」ベー

凄爺「何だと? 生意気な!!」

842: 2016/11/06(日) 00:40:59 ID:EKibyOBE

神様「よし! 逃げるぞ犬ころ!」タッ タッ タッ

神使「え!? ちょっと、神様?」

凄爺「おい!」


 神様「狐娘ちゃん、元気でね~」タッ タッ タッ


狐娘「はい! お元気で!」


 神様「おいジジイ! 次に私が来るときは牡蠣用意しておけよ~」タッ タッ タッ


凄爺「うるさいわ! お前が土産を持って来い!」

843: 2016/11/06(日) 00:42:03 ID:EKibyOBE

神使「申し訳ありません! 凄爺様、お世話になりました」

凄爺「期待しているぞ、狛犬の神使」

神使「はい! 狐娘さんも頑張って下さい」

狐娘「ありがとうございます」ペコリ


神使「では、失礼いたします」フカブカ


 神使「神様、待って下さ~い」タッ タッ タッ




凄爺「ったく、ワシは縁結びの神では無いぞ・・・」

狐娘「これを機に、縁結びの神としても活動されてはいかがでしょうか?」

凄爺「バカを言うな。 こんな面倒くさい事してられんわ」

844: 2016/11/06(日) 00:42:40 ID:EKibyOBE


――― 帰り道


 テクテク


神様「なぁ、犬ころ」

神使「何です?」


神様「私はお前を絶対に神にするぞ」

神使「何度もお話しいたしましたが、私は神様の神使でありたいのです」


神様「人よりは随分と長いけど、神使にも寿命がある」

神使「・・・・・・」

845: 2016/11/06(日) 00:43:58 ID:EKibyOBE

神様「お前が私の神使として過ごす時間は・・・ 私にとっては短すぎる」

神使「神様・・・」

神様「だから、その・・・ 何というか、私はお前を・・・///」モジモジ


神使「神様? その先は今は言わないで下さい」

神様「・・・・・・」

神使「ワガママですが私が胸を張って神様にお伝えできるその日まで、もうしばらくお時間を下さい」

神様「そうか。 私はお前がおじいちゃんになってからでも構わない。 その時を待ち続ける」



神使「神様、おんぶしましょうか?」

神様「・・・そうだな。 少し疲れたかも」

神使「はい、どうぞ」スッ

神様「ん」ヨイショ

846: 2016/11/06(日) 00:45:05 ID:EKibyOBE


 テクテク


神様「今日は良い天気だな」

神使「そうですね。 雲一つ無い快晴です」

神様「お前の袴の色と同じだ」

神使「確かに。 似た色ですよね」

神様「私はその色が大好きなんだよ」

神使「私も巫女さんの緋色の袴は大好きですよ?」

神様「うれしいな。 毎日これで過ごすかな」

神使「それは止めて下さい」

神様「何でだよ・・・」

神使「神様は・・・ いえ、かわゆい神ちゃんは私の大切な方です。 あまり他人に見せびらかしたくありませんので」

神様「・・・そういうことを言うのは先じゃなかったのか?」

神使「そうでした。 今のは胸にしまっておいて下さい」

神様「分かった・・・///」ギュッ

847: 2016/11/06(日) 00:45:58 ID:EKibyOBE


 テクテク


神使「それでは、心機一転。 次の出向先へ向かいましょう」

神様「都会が良い」

神使「・・・そうですか」

神様「都会?」

神使「・・・・・・」


神様「・・・おい」

神使「頑張っていきましょう!」

848: 2016/11/06(日) 00:46:54 ID:EKibyOBE

神様「ふざけんなよ! 絶対田舎だろ! 間違いなく次の場所は田舎だろ!」

神使「神様の言う田舎という定義が私の定義と同じかどうかが分からないので何とも言えないのですが」

神様「何わけ分かんねーこと言ってんだよ! コンクリートジャングルに行かせろよ!」ゲシッ ゲシッ

神使「ちょっと! 神様! この状態で足蹴りはマズいですよ!」

神様「うるせー! 神罰だ!」ゲシッ ゲシッ

神使「うわっ、ちょっと! 本当にマズいですって!」フラフラ

神様「うひゃひゃ、都会って言うまで折檻だ~」ゲシッ ゲシッ


神使「止めて下さい~!!」





神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」#13 ―END

849: 2016/11/06(日) 00:47:43 ID:EKibyOBE

――――
―――
――


~~ ずっとずっと昔


凄爺(若)「主神様はどんな方が好みなんですか?」

神様「そんな事を聞いてどうするのだ?」

凄爺(若)「盛大に振られた記念にぜひ教えて頂けないでしょうか」


神様「・・・その者は雲一つ無い青空、私は夕日に燃える朱色なんだ」

凄爺(若)「?」

神様「お金にはうるさいけれど定期的に好物を食べさせてくれる私の使い・・・ そんな者が私の好みだ」

凄爺(若)「随分と限定的な方なのですね・・・」

850: 2016/11/06(日) 00:48:33 ID:EKibyOBE

神様「その者と私はいつも一緒にいて、寝るときも同じ部屋なのだぞ?」

凄爺(若)「使いと一緒の部屋にですか!?」

神様「あぁ。 その者はいずれ神となり、私と共にこの国を守ってくれる」

凄爺(若)「・・・・・・」

神様「私は、その者を一生愛し続け片時も離れる事は無いであろう」

凄爺(若)「主神様・・・」

神様「お前も時が来れば神になる。 いずれ会わせてやる」

凄爺(若)「それは、複雑な気分でございますね・・・」

神様「約束する。 お前はその者には勝てないと役不足を痛感するはずだ」ウヒヒッ


――
―――
――――

851: 2016/11/06(日) 00:49:13 ID:EKibyOBE

凄爺「確かにワシでは役不足だったな・・・」

狐娘「凄爺神様?」

凄爺「浅葱色の袴と巫女の緋袴か・・・ なるほどな」フッ

狐娘「?」


凄爺「お前は良いのか? 思い人を取られても」

狐娘「私も・・・ 役不足でした」ニコッ

凄爺「ハハハッ、お互い甘酸っぱい経験をしたな」

狐娘「そうでございますね」

852: 2016/11/06(日) 00:50:20 ID:EKibyOBE

凄爺「さて、結界の確認でもするか。 お前もワシの隣でよく見ておけ」

狐娘「え?」

凄爺「今日からお前にも手伝ってもらおう」

狐娘「しかし・・・ 私のような者がお側にいるとご迷惑では・・・」

凄爺「お前にも四柱結界の守護を手伝ってもらう事にする」

狐娘「!?」

凄爺「不満か?」

狐娘「いいえ! ぜひ勉強させて下さい!」

凄爺「よし。 では牡蠣を買ってこい」

狐娘「牡蠣・・・ ですか?」

凄爺「そうだ。 アレを喰うと力が湧く。 ワシが尊敬する神から教えてもらったのだ」

狐娘「分かりました! すぐに買って参ります」


 タッ タッ タッ

853: 2016/11/06(日) 00:50:57 ID:EKibyOBE


 チュンチュン


凄爺「良い天気だ・・・」


 トテトテ


子供「ねぇ、神社の神主おじいちゃん」

凄爺「なんだ? 勝手に本殿に入ってきてはダメであろう」

子供「この前のお話しの続き聞きたい」

凄爺「話?」

子供「神ちゃんの昔話」

凄爺「お~ そうだったな。 良いぞ、聞かせてやろう」

子供「やった! 皆~ 神ちゃんの昔話の続き教えてくれるって~」


 ワー ワー
 キャッ キャッ

854: 2016/11/06(日) 00:52:46 ID:EKibyOBE

凄爺「さてと、どこからだったかな?」

子供「神ちゃんが池から出てきた所から~」

凄爺「そうだったな。 では」


凄爺「神ちゃんが池から這い上がると、そこにおまるがあってな? そのおまるにまたがった次の瞬間―――」




 ワハハッ
 ギャハハッ





神様「神様だっ!!」 神使「神力ゼロですが・・・・・・」―END

855: 2016/11/06(日) 00:53:51 ID:EKibyOBE

#09 「のんびり村」 >>1-153
神様の悪友である大宮司が退職。大宮司の思いを知った神様はある決意をする・・・

#10 「巫女カフェ」 >>165-410
本職の巫女が喫茶店で働いている。真相は三年前に起った事件が引き金だった・・・

#11 「もももも神社」 >>419-526
もももも神社に伝わる開かずの宝箱。その箱には神様が知られたくない過去が・・・

#12 「あにあに神社」 >>542-725
新米神職の指導のために着任する神様。しかし村人から歓迎されていない様で・・・

#13 「いつでも一緒」 >>739-854
神様と神使がお互いの気持ちに気づいたとき・・・ 新たな旅が始まるのであった・・・

856: 2016/11/06(日) 00:54:52 ID:EKibyOBE

857: 2016/11/06(日) 00:57:35 ID:AYflCG.I
乙!乙!!
これは素晴らしいSSだ

引用: 神様「神様だっ!!」 神使「神力ゼロですが・・・・・・」