1: 2017/02/03(金) 03:20:14 ID:kFMRXB4g


神様「前スレだ!!」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#12 「あにあに神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#13 「いつでも一緒」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#0
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#14 「キセキ野教会」


神使「読む必要は無いようですね」

神様「!?」



2: 2017/02/03(金) 03:21:37 ID:kFMRXB4g

神様「・・・・・・」ジー

神使「あの、神様?」

神様「何だよ」

神使「早くお決め下さい」

神様「そんな事言ったって、こんな重大な事すぐに決められないって」

神使「選択肢はないと思うのですが・・・」

神様「でもっ・・・」

神使「・・・・・・」


神様「よし、決めた!」

神使「どちらに?」

神様「店員さん、私“あんまん”で」

店員「あい」

3: 2017/02/03(金) 03:22:48 ID:kFMRXB4g

~あらすじ~

神様「私は神様! 神宮に籍を置くとっても立派でかわゆい理想の女神!」

神使(訳)「神宮が誇る最大の問題児。 給料14万円、貯金残高601円で無期出向中のダメ女神です」
江戸前エルフ(9) (少年マガジンエッジコミックス)
4: 2017/02/03(金) 03:24:33 ID:kFMRXB4g

【#14】

――― きせき野町


神使「“あんまん”と“もずくまん”なんて悩む必要ないと思うんですが」

神様「いや、以外と美味いかも知れないじゃん。もずくまん」

神使「そうでしょうか?」

神様「なんでピザまんが売り切れなんだよ」パクッ

神使「あっ! 神様、歩きながら食べるなんてダメですよ」

神様「うるせー」パクッ パクッ

神使「神宮の女神である事を少しは自覚して下さい」

神様「私のお金で買ったんだし好きにさせろってーの!」アムアム

神使「あまり無駄にお金を使っているとすぐに無くなっちゃいますよ?」

神様「そうね、すでに残り250円しかない。 銀行にある601円と合わせて私の全財産は851円だ」

神使「・・・・・・」

神様「ちゃんと私を養ってね、高給取りの最高位神使さま。 ハート」

5: 2017/02/03(金) 03:25:16 ID:kFMRXB4g

神使「さてと。 では次の勤務先に急ぎましょう」

神様「話をおそらしになられましたね?」

神使「私は金づるではありません」

神様「私は神使君のヒモです!」

神使「どこの世界に使いの者に集る神がいるんですか・・・」

神様「ココにいます!」フンスッ

神使「・・・・・・」

6: 2017/02/03(金) 03:26:21 ID:kFMRXB4g

神様「妾は神宮が誇るかわゆい女神でありんすぞ? 我が使いはその身をもってもてなすのじゃ」

神使「言葉遣いが変です、何年この国にいるんですか・・・」

神様「2000年以上おりますが」

神使「そんな立派な神なのにどうして悪さばかりするんです?」

神様「してねーよ! いつしたよ! してねーよ!!」

神使「お守りの値引き販売、他の神への賄賂、職務怠慢、神宮菜園からの野菜泥棒」

神様「・・・・・・」

神使「減給は日に日に額が大き苦なる一方、私も連帯責任で―――」

神様「分かった! 分かったよ・・・ 次はちゃんと仕事するから」

神使「お願いしますよ?」

神様「でもさぁ~ 出向という名の左遷はいつまで続くんだ?」

神使「最低でも2000円のお守りを300円で売り続けた3年間分の補てんが完了するまでは、神宮に帰れないと思います」

神様「結構な数売ったしなぁ~ こりゃ帰れないな。 ハハハッ」ズーン

7: 2017/02/03(金) 03:27:06 ID:kFMRXB4g

テクテク


神使「あっ、見えましたね。 たぶんあのお社が次の私達の勤務先です」

神様「神明社か?」

神使「よくお分かりになりますね」

神様「一応これでも業界人なもので」

神使「はさまれ神社です」

神様「何に挟まれてんだよ・・・」

8: 2017/02/03(金) 03:27:55 ID:kFMRXB4g

――― はさまれ神社


神様「あぁ~・・・ 確かに挟まれてるね」

神使「お隣は教会とお寺さんのようです」

神様「神社、細長!」

神使「両隣は大きいんですけどね」

神様「やっぱ神社って弱いよね~」

神使「・・・・・・行きましょう」

9: 2017/02/03(金) 03:28:37 ID:kFMRXB4g

神様「ちょっと待った!」

神使「?」

神様「まず、今回の目的を聞きたいと思っている神ちゃんであった」

神使「復興です」

神様「は?」

神使「はさまれ神社を建て直せと」

神様「なるほど、三大宗教の激突ですね?」

神使「・・・・・・」

10: 2017/02/03(金) 03:29:45 ID:kFMRXB4g

神様「帰らない?」

神使「神宮からの指令です」

神様「いやいや、私達は何と戦うんだよ」

神使「キリストさん?」

神様「わざわざ日本に来ないだろ・・・ っていうかいるのか?」

神使「お釈迦様?」

神様「ココは立川かよ・・・」

神使「・・・取りあえず社務所に行きましょう」


テクテク

11: 2017/02/03(金) 03:34:03 ID:kFMRXB4g

暇を持て余す
のんびり行こうと思うのでした

19: 2017/02/04(土) 06:53:25 ID:ESPJwW3s

―――社務所


ガラガラ


神使「・・・・・・」

神様「うはっ! カビ臭!」

神使「荒れ放題ですね」

神様「今までほったらかしにしておいて、どうやって他宗教にタイマン張るんだよ」

神使「別に喧嘩しろと言う事ではないと思うのですが」

神様「取りあえず窓開けよう」

神使「はい」ガラガラ

20: 2017/02/04(土) 06:54:56 ID:ESPJwW3s

ブオォー


神使「うわっぷ・・・」ガラガラ ピシャッ

神様「何、今の冷たい風」

神使「お隣のエアコンの室外機でしょうか」

神様「仕方ないな、反対側の方だけ開けるか」ガラガラ


ブオォー


神様「ぶばばばば・・・」ガラガラ ピシャッ

神使「・・・・・・」

21: 2017/02/04(土) 06:56:24 ID:ESPJwW3s

神様「帰ろ?」

神使「よ、良かったじゃないですか。 神様の憧れていたコンクリートジャングルですよ?」

神様「ん? コンクリートじゃなかったよ? お隣のお寺さん立派な木造建築」


神使「後ろ、裏手の窓を開けましょう」ガラガラ

神様「墓!」

神使「・・・・・・」ガラガラ ピシャッ


神様「墓見えた! 一面墓畑!」

神使「変な言葉を作らないで下さい」

神様「なんだよ、この神社の立地は・・・」

神使「そ、そういえば神様お昼寝まだでしたよね。 少しお休みになりますか?」

神様「どこで寝るんだよ。取りあえず寝る場所だけでも確保しないとマズいな」

神使「そうですね。 社務所は厳しそうですし・・・ 本殿の方を見てみましょうか」

神様「そうね」

22: 2017/02/04(土) 06:57:33 ID:ESPJwW3s

――― 本殿


ギィー


神様「・・・・・・」

神使「これはこれは・・・」

神様「ねぇ、廃社にしない? 復興とか無理だって」

神使「・・・・・・」

神様「これ寝る場所確保するの無理だろ。 床に穴あいてるよ?」

神使「今日は無理でも2~3日使って掃除すれば寝る場所くらいは・・・」

神様「お前は狛犬に姿を変えれば外でも良いかもしれないけど、私は無理だからね?」

神使「私もできれば外で寝たくはないです」

23: 2017/02/04(土) 06:58:20 ID:ESPJwW3s

神様「ん? 犬ころ、手に持ってる袋って何?」

神使「お隣さんへのご挨拶用の洗剤セットです」

神様「ふ~ん」

神使「先にご挨拶にでも行きましょうか」

神様「問題先送りってヤツですね」

神使「・・・・・・」

24: 2017/02/04(土) 07:00:20 ID:ESPJwW3s

――― キセキ野教会

ギィ


神使「すいませ~ん」

神様「留守?」

神使「でも扉が開いていますので誰かいると思うのですが」

神様「寒いから中入ろうぜ」トテトテ

神使「ちょっと神様、勝手に入っちゃ・・・」

25: 2017/02/04(土) 07:01:44 ID:ESPJwW3s

スタスタ


神様「うわぁ~ 凄いな」

神使「立派な礼拝堂ですね」

神様「ん?」

神使「どうされました?」

神様「あの壁画」

神使「随分と前衛的な絵ですね・・・ マリア様と天使でしょうか」

神様「犬ころ、僕もう疲れたよ。 一緒に休もう・・・」

神使「神様、フラソダースの犬好きなんですか?」

神様「あ?」

神使「よくその言葉を仰ってますので」

神様「読んだ事無いけどね~」

神使「そうですか・・・」

26: 2017/02/04(土) 07:02:48 ID:ESPJwW3s

修道女「あの~」

神様・神使「?」クルッ

修道女「礼拝でしょうか?」

神使「申し訳ございません、勝手に入ってしまいまして」

修道女「いいえ、大丈夫ですよ」ニコッ

神様「!? あ・・・ ぁ・・・」ワナワナ

修道女「?」

神使「神様? どうされたんですか?」

神様「修道服、かわゆい・・・」ゴクリ

神使「神様、本当に制服好きですね・・・」

27: 2017/02/04(土) 07:04:06 ID:ESPJwW3s

修道女「あの・・・」

神使「あっ、申し訳ありません。 私達、はさまれ神社に赴任して参りました神宮の者です」

修道女「はさまれ・・・ お隣の神社さんですか?」

神様「かわゆい神ちゃんです!」

修道女「本当に可愛い巫女さんですね」ニコッ

神様「でしょ! 犬ころ、メモ」

神使「・・・私は神使と申します」

修道女「はじめまして、シスターと申します」

神使「ご挨拶にと思ったのですが、扉が開いていたものでつい・・・」

修道女「日中はどなたでも入れるように開けているので気になさらないで下さい」

神使「そうだったのですか。 立派な礼拝堂ですから多くの人に見て頂きたいですものね」

修道女「ありがとうございます」

28: 2017/02/04(土) 07:06:08 ID:ESPJwW3s

神様「ねぇ」

修道女「?」

神様「あの絵って・・・」

修道女「以前ここに寄贈された絵画と聞いております」

神様「へぇ~」

神使「神様、あの絵が気になるんですか?」

神様「ん? いや~ 凄く精神の深いところに訴えかけてくる絵だなぁ~って思って」

神使「そうですか?」

修道女「私もあの絵は大好きです」

29: 2017/02/04(土) 07:07:10 ID:ESPJwW3s

神使「あっ、これよければお使い下さい」スッ

修道女「ご丁寧にありがとうございます。 まぁ、お掃除洗剤」

神使「ありきたりな物ですいません」

修道女「そんなことありません。 とても助かります」ニコッ

神使「色々とご迷惑をおかけするかも知れませんが、どうぞよろしくお願いいたします」

修道女「こちらこそ、よろしくお願いいたします」ニコッ


神様「」キョロキョロ

神使「今度はどうしたんですか?」

神様「ん? いや・・・ また来てもいい?」

修道女「ふふっ、いつでも気軽に遊びに来て下さい」

神様「宗教違うけどいいの?」

修道女「もちろんです。 神社さんのお話もぜひ聞かせて下さい」

30: 2017/02/04(土) 07:08:02 ID:ESPJwW3s


テクテク


神使「とても素敵な方でしたね」

神様「う~ん・・・」

神使「なにか気になる事でも?」

神様「なんでシスターがいたんでしょ~か」

神使「教会ですからシスターさんが居ても不思議はないと思うのですが・・・」

神様「そう? まぁいいや。 次は寺行くの?」

神使「はい」

31: 2017/02/05(日) 03:48:31 ID:aytmGO.M

――― キセキ野寺


住職「チャオ!」

神様・神使「・・・・・・」

住職「?」

神様「ココのお寺の人?」

住職「そうで~す。 オ~ ベリッシマな巫女さ~ん」

神様「・・・・・・」


神使「外国の方ですか?」

住職「すごい! よく分かりましたね~ イタリアの人で~す」キラッ

神様「見りゃ日本人じゃないことくらい分かるわ・・・」

32: 2017/02/05(日) 03:51:31 ID:aytmGO.M

神使「私達、隣の神社に赴任いたしました神宮の者です」

住職「オ~ 神社! 私大好きで~す」

神使「ご迷惑をおかけするかも知れませんが、よろしくお願いいたします」

住職「何でも相談して下さ~い。 スィニョリーナ、コーヒーでもいかがですか?」キラッ

神様「いえ、私はコーラ派ですので今日は失礼いたします」ペコリ

住職「オ~ 残念。 あいにくコーラ切らしてます・・・」


神使「あの、これ良ければお使い下さい」スッ

住職「デテルジェンテ! 助かりま~す」

神使「・・・それでは、私達はこれで」

住職「お構いも出来ず、すいませ~ん」

神使「お気になさらず」ハハハ


住職「スィニョリーナ! コーラ用意しておきますからいつでも来て下さ~い」

神様「はい」ペコリ

33: 2017/02/05(日) 03:52:48 ID:aytmGO.M

――― はさまれ神社


神使「ビックリしましたね」

神様「お経とかちゃんと読めるのか?」

神使「さぁ・・・ でもあれだけ大きいお寺さんの住職様ですから・・・」

神様「なんか私、あれ嫌い」

神使「そんな、初対面で失礼な・・・」

神様「クソ坊主がケンカ腰で塩いて出てくるのを期待してたのに」

神使「そんな分かりやすい態度をとってくる方が異常だと思いますが」

神様「それよありさぁ~ どうすんだよこの神社」

神使「修繕できるところは直して寝るところだけでも確保しましょう」

神様「どちらにしろ今日は泊まれないから宿は用意しておけよ?」

神使「はぁ・・・」

神様「ヌルヌルした温泉付きの宿で頼む。 肌に良いんだよヌルヌルが」

神使「・・・・・・」

34: 2017/02/05(日) 03:53:54 ID:aytmGO.M

――― 夜


神様「嫌だよ~」

神使「そう言わずに・・・」

神様「だってさぁ~」

神使「駅前に出ればネットカフェがありますから」

神様「ネカフェで一夜を過ごす神とか現代の闇に馴染みすぎだろ!」

神使「では、外で野宿しますか?」

神様「勘弁して下さいよ、神使さ~ん」

神使「私が狛犬になりますので、抱いていればいくらか暖かいと思います」

神様「生氏をかけてまで寝たくない!」

神使「ワガママ言っていないで行きますよ」

神様「ヤダヤダ! 旅館が良い! ヌルヌルした温泉に入りたい!」ジタバタ

35: 2017/02/05(日) 03:55:07 ID:aytmGO.M

修道女「?」キョロキョロ

神様「あっ、シスターちゃん」


修道女「どうされました?」

神使「夜分に大きな声を出してすいません・・・」

神様「神社が廃墟で寝る場所がないの」

修道女「それは大変ですね。 もしよろしければ、お部屋をお貸しいたしますが」

神様「マジで!?」

神使「お気になさらずに。 駅前で夜を過ごしますので」

神様「え~ でもネカフェだろ~?」

36: 2017/02/05(日) 03:55:55 ID:aytmGO.M

修道女「ネカフェ?」

神使「その・・・ 24時間営業のカフェの様な所です」

修道女「それでは体も休まらないでしょう。 どうぞ遠慮なさらずお入り下さい」

神使「しかし・・・」


神様「今日は甘えようよ」

神使「本当によろしいのでしょうか?」

修道女「どうぞ、空いている部屋は沢山ありますから」ニコッ

37: 2017/02/05(日) 20:18:09 ID:aytmGO.M

――― キセキ野教会


神使「本当に申し訳ありません。 正直助かりました・・・」

修道女「気になさらないで下さい、お互い様です」

神様「おっと、犬ころはここまで~ 今日は礼拝堂の隅っこで寝ること」

神使「えっ?」

神様「お前は礼拝堂から奥に入っちゃだめ。 その方が良いでしょ? シスターちゃん」

修道女「・・・・・・」

38: 2017/02/05(日) 20:22:27 ID:aytmGO.M

神使「何か問題でもあるんですか?」

神様「ここ、修道院だよね。 しかも女子修道院」

神使「修道院!?」

修道女「よくお分かりに・・・ しかし私以外に人はおりませんから気になさらなくても」

神様「?」

神使「どうされました? 神様」

神様「いや何でも。 取りあえず犬ころは今日はココで寝ること」

神使「そう言うことでしたら、気にしないで下さい。 私は外でも寝られますから」

修道女「しかし、客間の方をお使い頂く位でしたら」

神様「大丈夫だって。番犬にもなるし丁度良いって」

修道女「番犬!? そんな・・・ 信仰は違えど神にお仕えする方を番犬扱いなど・・・」

神使「お気になさらず。 ワンワン」

神様「ね?」

修道女「フフッ。では、お布団をお持ちいたしますので」スタスタ

39: 2017/02/05(日) 20:25:11 ID:aytmGO.M

神使「神様?」

神様「あ?」

神使「何か知っているんですね?」

神様「嫌だな神使君、なんでもごじゃりませんよ?」

神使「こちらの修道院にお心当たりがあるんですね?」

神様「・・・・・・」

神使「言いたくなければ無理には伺いませんが」

神様「・・・あれは、私がお爺さんと愛犬のパトラッシェと一緒に住んでいたときだった。 貧しい生活に耐―――」

修道女「お待たせいたしました。 お布団です」スタスタ

神使「ありがとうございます」

神様「・・・・・・」

神使「あっ、すいません神様。 まだお話になります?」

神様「いや、いいや・・・」

40: 2017/02/05(日) 20:26:31 ID:aytmGO.M

神様「ねぇシスターちゃん」

修道女「はい?」

神様「この修道院は他に人は居ないって言ってたけど?」

修道女「人は・・・ 私だけです」

神様「人以外は?」

修道女「!?」

神使「神様、何を言っておられるのですか?」

神様「あ~ ちょっと意地悪な質問だったかな」

神使「?」

41: 2017/02/05(日) 20:27:34 ID:aytmGO.M

神様「フラソダーピスチヌ会女子修道院、設立者はシスターアロハ」

修道女「よく・・・ ご存じで・・・」

神使「随分お詳しいんですね」ジー

神様「何見てんだよ。 やんのかコラッ!」

神使「なんでそんなに柄悪いんですか・・・」

神様「お前じゃねーよ」

神使「?」

42: 2017/02/05(日) 20:28:34 ID:aytmGO.M

ダダダダダッ


?「神ちゃん!?」ズサッー

神様「やっぱり居た」

修道女「シスターうさー! お戻り下さい」

神使「シスターうさー・・・?」

修道女「いえ・・・ これは・・・」オロオロ

うさー「大丈夫だよシスターちゃん! 彼女は私の友達だから!」

修道女「シスターうさーのお知り合いなのですか?」

うさー「うん! 神ちゃんって言って神宮の神!」

修道女「神!?」

43: 2017/02/05(日) 20:30:11 ID:aytmGO.M

神様「あっ、本業は見ての通り巫女ね。 神はバイトみたいなものだから」

神使「立場が逆かと・・・・・・」

修道女「・・・・・・」


うさー「久しぶり! 神ちゃん!」

神使「神様、ご紹介お願いします」

神様「こいつは、はさまれ神社の主神でうさー」

神使「主神様!?」

神様「神階の登録は・・・ 従三位だっけ?」

うさー「正三位だよ! もうどっちでも良いけど」

神様「こんな性格だから神階は高くないけど、神力は猫神と同じくらいある」

神使「え!?」

44: 2017/02/05(日) 20:31:08 ID:aytmGO.M

神様「お前いつまで修道院にいるつもりだよ」

うさー「私は修道女! ここで祈りの生活を続けるの!」

神様「はぁ? お前、神だろ・・・」

うさー「もう神社に戻らないもん! シスターとして修道院で生きていくんだもん!」

神様「お前は日本の神! 自分の立場も忘れたのかっ!!」

神使「神様・・・ それブーメランですよ?」


うさー「それより、そっちの男の人は~ ・・・だれ?」

神使「申し遅れました。 私、神様の使いをしております狛犬の神使と申します」フカブカ

うさー「神ちゃんの神使さんなんだ。 よろしくね!」

45: 2017/02/05(日) 20:31:53 ID:aytmGO.M

修道女「そんな・・・」

神様「どったの?」

うさー「あ~ 自分の信仰する神には会った事がないのに、こう簡単に他の宗教の神に会ったら・・・ ねぇ」

修道女「い、いえ! 神は存在します! 主よ、少しでも疑念を抱いてしまった私をどうかお許し下さい。 アーメン」

神様「ラーメン」

神使「・・・・・・」

46: 2017/02/05(日) 20:33:10 ID:aytmGO.M

神様「ねぇ、シスターちゃん?」

うさー「なに?」

神様「お前じゃねーよ、偽シスター」

うさー「に、偽!?」


神様「シスターちゃんは、うさーの正体を知ってるんだよね?」

シスター「はい。 しかし過去はどうであれ今は敬虔な修道女、シスターうさーです」

うさー「そう! 私はこの修道院で祈りの生活を送るシスターなのです! ラーメン」

神様「塩バタコーンラーメン」

神使「・・・・・・」

47: 2017/02/05(日) 20:36:53 ID:aytmGO.M

神使「何故うさー様は、修道院で修道女など・・・」

うさー「ここが私の本来の居場所だからです。 塩バタコーンラーメン」

神様「塩バタコーンネギチャーシューラーメン、大盛」

うさー「素晴らしい! お~神よ、この者達に祝福を」ピカー

神使「!? 後光が!」

シスター「シスターうさー、力が漏れています・・・」オロオロ

うさー「あっ、失礼」シュー

神様「・・・・・・」

52: 2017/02/09(木) 00:29:05 ID:kdX936ks

うさー「神ちゃんありがとう! 来てくれるって信じてた!」

神様「は?」

うさー「この修道院を守るために来てくれたんでしょ!?」

神様「いいえ、違いますが。 何わけの分からない事を仰っているのですか?」

うさー「そんな事言って、相変わらず照れ屋さんなんだから!」

神様「神社VS教会VS寺の右手で握手して左手で殴り合う陰湿な宗教戦争をするために来たのです」

うさー「!?」

神様「三大宗教をぶっ潰して“神ちゃん世界教”を作るのさ」ウヒヒヒ

神使「違います。 そんないかがわしい教団作りませんし、宗教戦争など起こしませんから」

神様「あ? そろそろ私の時代だろ。 私が頂点に立つ頃合いだろ」

神使「そんな世界お断りいたします」

神様「うん、確かに何度かこの国を治めていた時は失敗した。 でも、その教訓を生かせば次は大丈夫だと思うんだよ!」

神使「・・・・・・」

53: 2017/02/09(木) 00:29:59 ID:kdX936ks

うさー「お願い神ちゃん! 助けて!」

神様「お前はさっきから私の話の腰を折ってんじゃねーよ! もっと乗っかって来いよ!」

神使「何か問題事でも?」

うさー「バレそうなの」ウルウル

神様「はぁ? 」

修道女「実は・・・ シスターうさーの力が知られてしまったようで・・・」

神使「力・・・ ですか?」

神様「お前、神力使って何かしたのか?」

うさー「気づかないうちに漏れちゃったみたいで・・・」

54: 2017/02/09(木) 00:32:22 ID:kdX936ks

修道女「司祭様がここを尋ねてきたときに、その・・・ 先ほどのように後光が・・・」

うさー「しかも慌てて隠したら力が暴走して宙に浮いちゃって」

神様「すげーじゃん。 どうやって浮くの? 私にも教えて?」

うさー「うん。 神力放出を逆に―――」

修道女「シスターうさー、真面目に」

うさー「はい・・・」

神使「司祭様にうさー様の力を見られたというのですね?」

修道女「はい。 見事な後光を出して宙に浮いたところを・・・」

神様「そんなの適当にあしらっておけば良いんじゃないの? 幻覚とか言って」

修道女「実は、司祭様がバチカンにご報告をしてしまい・・・ パチカンから奇跡調査が来る事に」

神使「奇跡調査?」

55: 2017/02/09(木) 00:33:35 ID:kdX936ks

修道女「シスターうさーの力を奇跡として認定しようとしているのです」

神使「なにか不都合でもあるのですか?」

神様「日本の神がパチカンに奇跡として認定とか普通に考えてダメでしょ」

神使「まぁ、そうですよね」

神様「この修道院だってタダじゃ済まないし、マジもんの宗教戦争だよ?」

神使「・・・・・・」

うさー「お~ 神よ、救い給え・・・ 塩バタコーンネギチャーシューラーメン、大盛」

神様「君、何の神にお祈りしてるの? 自分も神だからね?」

56: 2017/02/09(木) 00:35:35 ID:kdX936ks

うさー「神ちゃん、お願い! 修道院を守って!」

神様「だからなんで私なんだよ!」

うさー「くろまやラーメンの塩バタコーンネギチャーシューラーメン大盛ご馳走するから」

神様「え~ 私はとさん子ラーメン派なんだけど~」

神使「神様、何とかならないんですか?」

神様「他宗教に手を出すのはさすがにダメだって」

うさー「神ちゃんしか頼りに出来る人がいないの」

神様「お前がココを出て行けば解決するだろうが。 神社に戻れよ」

うさー「・・・・・・」

神様「?」


うさー「お願い神ちゃん、虫のいいお願いだけど・・・ この修道院を救って下さい」フカブカ

神様「・・・・・・」

61: 2017/02/11(土) 22:32:11 ID:GKTj3BYA

〓〓〓

神様「パチカン!」

修道女「申し訳ございません・・・」ペコリ

〓〓〓

62: 2017/02/11(土) 22:34:14 ID:GKTj3BYA

――― 夜


神使「神様? そろそろ10時ですから就寝されます?」

神様「そうね。 しかし、あいつらが8時に寝るとは思ってなかった・・・」

神使「その代わり朝3時起きと言ってましたから」

神様「早いね~」ポイポイ

神使「・・・さすがに下着姿で修道院内をウロウロするのはダメですよ?」

神様「分かってるよ」

神使「あの・・・」

神様「ちゃんとパジャマ着る!って」

神使「当たり前です。 それより、うさー様のことお伺いしても良いでしょうか?」

神様「うさー?」

63: 2017/02/11(土) 22:37:31 ID:GKTj3BYA

神使「はさまれ神社の主神さまと先ほど仰っていましたが」

神様「あ~ うさーは元神使で、その前はシスターアロハに飼われていたウサギなんだよ」

神使「シスターアロハ? 確か、初代院長でしたっけ」

神様「そうそう。 その後、私の神使を経て神になって神社に赴任した」

神使「なるほど」

神様「で、風の噂でシスターアロハが修道院を作るって話がうさーの耳にも届いてさぁ」

神使「うさー様は恩返しで手助けしたくなりますよね」

神様「あいつ、はさまれ神社の土地を半分譲っても良いか? って私に相談しに来て」

神使「しかし、他宗教ですし神宮が許可しませんよね」

神様「大変だったよ、小細工するのは・・・」ハァ

神使「譲ったんですか!?」

64: 2017/02/11(土) 22:39:12 ID:GKTj3BYA

神様「神社の土地10%だけ。 うさーのやつ、何日も私の前で土下座しに来やがって・・・」

神使「まさか、神宮に内緒で・・・」

神使「10%減るくらいなら大したことないと思ったんだけど、今日見た感じでは90%以上減ってたな」

神使「真逆じゃないですか・・・ それで、はさまれ神社はあんなに細長かったのですね」

神様「しかも、アロハ1人だけじゃ修道院を運営できないから手伝いもするって」

神使「それ以来うさー様は修道院に残っていると言う事ですね」

神様「そうね」

神使「何故、うさー様は修道院にこだわるのでしょうか?」

神様「・・・・・・」

神使「シスターアロハはすでにお亡くなりになっているのですよね、なぜ今も修道女を・・・」

神様「・・・・・・」

神使「神様?」

神様「取りあえず今日は寝よう」

神使「分かりました」

65: 2017/02/11(土) 22:40:08 ID:GKTj3BYA

神様「そうだ、犬ころは今日寝たくないだろ?」

神使「・・・・・・。 はい?」

神様「眠れないだろ」

神使「程よい疲労感による眠気が私のまぶたを下げようとしておりますが」

神様「奇跡調査というのが気になる。 寝ずに番犬してろ」

神使「・・・神様は?」

神様「程よい疲労感による眠気が私のまぶたを下げようとしているから、奥の部屋のベットに身を委ねる」

神使「・・・・・・」

神様「おやすみ、パトラッシェ」トテトテ

66: 2017/02/13(月) 08:56:06 ID:4ewRkb7s

――― 翌朝


神様「ふぁ~ よく寝た」トテトテ

神使「あっ、神様おはようございます」

神様「何か変わったことは?」

神使「特にございませんでしたが」

神様「あっそう」

神使「・・・・・・」

神様「まぁ、そういうこともあるさ。 ほら、ご褒美に“うんまい棒”やるから」ホレッ

神使「どうも・・・(粉々・・・)」

67: 2017/02/13(月) 08:57:07 ID:4ewRkb7s

修道女「おはようございます。 お二人ともゆっくり眠れましたか?」スタスタ

神様「バッチシ!」

神使「・・・・・・」

神様「うさーは?」キョロキョロ

修道女「シスターうさーは朝食の準備を」

神様「じゃぁ犬ころ、私達も朝ご飯食べに外行こうか。 朝焼肉が良いと思うの」

神様「何ですかそれ・・・」

修道女「お二人の分も用意いたしておりますのでぜひご一緒に」

神様「私達も良いの?」

修道女「もちろんです」ニコッ

68: 2017/02/13(月) 09:00:49 ID:4ewRkb7s

――― 食堂


神様「このパン美味しい」モグモグ

神使「私達だけメニューが違うようで申し訳ありません」

修道女「お気になさらず」

うさー「さすがにお客様に修道女と一緒のメニューはキツいだろうしね!」

神様「シスターちゃん達はそれだけで足りるの?」モグモグ

修道女「馴れてしまえば大丈夫です」

神使「神様も、普段は質素な食事を心がけてはいかがですか?」

神様「は? お前、巫女はガテン系だぞ? もりもり食べないと仕事できないってーの」

神使「いつの時代から巫女はガテン系になったんですか・・・」

69: 2017/02/13(月) 09:02:11 ID:4ewRkb7s

神使「それより、どうなさいます?」

神様「何が?」モグモク

神使「うさー様の件ですよ」

神様「あ~」

神使「うさー様が神力を無意識のうちに放出しなくなれば良いんですよね?」

神様「いや~ 問題はそこじゃないだろうな~」

うさー「・・・・・・」

神様「お前、神辞めて人になるか?」

うさー「神を、辞める・・・」

神様「・・・・・・」ジィー

うさー「やっぱり・・・ それしか方法無いのかな・・・」シュン

修道女「シスターうさー・・・」

70: 2017/02/13(月) 09:03:17 ID:4ewRkb7s

神様「さてと、ごちそうさま。 犬ころ、帰るぞ」

神使「え?」

神様「私達も仕事がある。 シスターちゃん、泊めてくれてありがとう」ペコリ

神使「大変お世話になりました」ペコリ

修道女「いえ、こちらこそ逆にご迷惑をおかけしてしまったようで」

うさー「・・・・・・」


神様「うさー」

うさー「?」

神様「お前のしている事は許される事ではない。 神法上では重罪だ」

うさー「・・・・・・」コクッ

神様「でも、私はお前に神の力を与えた以上・・・ その行使がどんな物であれそれを受け入れる」

うさー「神ちゃん・・・」

71: 2017/02/13(月) 09:03:59 ID:4ewRkb7s

神様「シスターちゃん」

修道女「はい」

神様「どの宗教の神を信じようが、この国にいる以上私は皆の力になる。 遠慮しないで頼って欲しい」

修道女「ありがとうございます」フカブカ


神様「帰るぞ、犬ころ」トテトテ

神使「はい。 いつでも相談に来て下さいね」ペコリ

修道女「・・・・・・」

72: 2017/02/13(月) 09:05:17 ID:4ewRkb7s

テクテク


神使「神様、もしよろしければ教えて頂きたいのですが・・・」

神様「あ?」

神使「なにか気になる事があるんですよね?」


神様「・・・あの修道院は奇跡が満ちている」

神使「奇跡? うさー様の神力という事ですか?」

神様「神の力は奇跡じゃない」

神使「?」

77: 2017/02/16(木) 06:06:28 ID:.mrHVH.M

――― 午後・はさまれ神社


神様「うへ~ ちかれた」グテッ

神使「えっ!? まだ掃除始めて1時間も経っていませんよ?」

神様「だってさぁ~ これ掃除しても無理だって」

神使「しかし・・・」

神様「それに、か弱い私に力仕事なんて出来ないよ」

神使「・・・あの、先ほど巫女はガテン系だと仰ってませんでしたっけ?」

神様「いつまでも過去に囚われてんじゃねーよ。 今を生きろ!」

神使「・・・・・・」

78: 2017/02/16(木) 06:07:16 ID:.mrHVH.M

ギィー


修道女「あの~」

神様「ん?」

神使「シスターさん」

修道女「先ほどはどうも」ペコリ

神使「どうされました?」

修道女「・・・少しお時間よろしいでしょうか」

神使「?」

79: 2017/02/16(木) 06:08:30 ID:.mrHVH.M

――― 境内


神使「まともな場所が用意できず申し訳ございません」

修道女「いえ・・・ お気遣い無く・・・」

神様「ねぇ、なんで真冬なのに外でパラソル出して話しをしなきゃいけないの」ブルブル

神使「社務所も本殿も崩壊寸前ですから」

神様「せめてサ店行こうぜ、サ店」

修道女「私のことでしたらお気になさらず。 この格好ですのであまり外をうろつくのもアレですし」

神様「え~」

神使「はい、神様コーラあげますから」コトッ

神様「キンキンに冷えてんじゃねーかよ! 何、嫌がらせ? ねぇ、嫌がらせ?」プシュ

修道女「・・・(でも飲むんですね)」

80: 2017/02/16(木) 06:11:17 ID:.mrHVH.M

神使「うさー様はお留守番ですか?」

修道女「えっ? あ、はい・・・」

神使「それでお話しというのは?」

修道女「実は、シスターうさーの件でして」

神様「寝ている時間が長くなった?」グビグビ

修道女「!?」

神使「お寝坊さんと言うことですか?」

修道女「私も最初はそう思って注意をしていたりしたのですが・・・」

神使「体調でも悪いんでしょうか?」

修道女「シスターうさーは気にしないでと言っているのですが、最近は私を気遣って無理をしているような気がします」

神様「あいつは神だからな、まぁ当然だね」ゲップ

神使「どういうことです?」

81: 2017/02/16(木) 06:12:32 ID:.mrHVH.M

神様「少なくともあいつはこの神社の主神だ」

神使「まぁ、形式上はそうですね」

神様「この状況見ろよ。 参拝者なんて何年も来てないだろ」

神使「確かに、その気配は感じられませんよね」

神様「そういうこと」

神使「?」

神様「だから神は参拝者からのお願い事で神力が溜まるの」

神使「・・・しかし、うさー様は無意識で放出するくらい神力が強いのでは?」

神様「あれはアイツ自身が持ってる元々の神力、資本金みたいな物だよ」

神使「・・・・・・」

神様「何だよ」

神使「神様、今の説明凄く分かりやすかったです」

神様「軽くバカにした?」ゲシッ

82: 2017/02/16(木) 06:13:09 ID:.mrHVH.M

修道女「では、シスターうさーの神力というのが底をつきかけていると?」

神様「もって1年」

修道女・神使「!?」

神使「ど、どういうことですか?」

神様「1年後に消えるって事、もっと早いかも」グビグビ

修道女「そんな・・・」

神使「何か方法はないんですか?」

神様「神社に戻すか、神を辞めて人になるかの2つしか方法はない」

修道女「・・・・・・」

83: 2017/02/16(木) 06:14:39 ID:.mrHVH.M

神様「シスターちゃんはどうしてあの修道院でシスターに?」

修道女「・・・私、孤児なんです」

神使「ご両親がお亡くなりに?」

修道女「いいえ、その・・・ 捨て子でして」

神使「ぁ・・・」

修道女「あの修道院の前に捨てられていたそうです」

神使「そうだったのですか・・・ 立ち入ったことをすいません」

修道女「いいえ、お気になさらず」ニコッ

神様「シスターアロハって知ってる?」

修道女「私が物心つく前にお亡くなりになったと聞いています」

神様「そう」

修道女「以来、シスターうさーが私をここまで育ててくれて」

神使「うさー様が修道院を離れない理由はそういう事があったのですね」

84: 2017/02/16(木) 06:16:50 ID:.mrHVH.M

神様「・・・シスターちゃんはどうしたい?」

修道女「・・・・・・」

神様「このままだとアイツは1年以内に消える。 人で言う氏ぬって事」

神使「ちょっと、神様・・・」

神様「神社に戻せば神力は回復できる。 ただアイツは神法違反をしている」

修道女「神法違反?」

神様「神宮に引き戻して最低でも数百年はまともに外には出られない」

神使「そんな・・・」

神様「神力を無くして神籍抹消すれば人になることも出来る」

神使「うさー様は躊躇していたみたいですが」

神様「そうだろうな~ あいつはたぶん人には戻らないと思う」

神使「なにかお心当たりが?」

神様「・・・・・・。 ハァ~ どうすっかな~」

85: 2017/02/16(木) 06:17:41 ID:.mrHVH.M

修道女「私にできることはないでしょうか」

神様「・・・・・・」ジッー

修道女「?」


神使「そういえば奇跡調査の方は?」

修道女「まだ・・・ 事前連絡なしで来るとのことですので」

神様「あ~ そっちもあるんだよな・・・ 面倒くさい」

神使「面倒だなんて失礼ですよ?」

神様「先にそっちをどうにかしないとな」

神使「何か策はあるんですか?」

神様「シスターちゃん」

修道女「はい」

神様「私からもお願いがあるんだけど良い?」

修道女「?」

87: 2017/02/17(金) 06:51:03 ID:Lc63lBFc

――― 夕方・キセキ野教会


神使「・・・・・・」

神様「ふへへ~♪」ニッコニコ

うさー「うん、神ちゃん似合ってる!」

神様「やっぱり? 私って何着ても似合うよね」


神使「あの・・・」

神様「何だよ犬ころ」

神使「なぜ神様が修道服を?」

神様「私はシスターかわゆーいカミーです」

88: 2017/02/17(金) 06:52:09 ID:Lc63lBFc

神使「何ですかその名前・・・ かわゆーいは不要だと思うのですが」

神様「天の裁き!」ゲシッ

神使「痛っ!」

神様「天にましまし神よ、この邪道極悪腐れ犬ころを地獄に送り給え。 次郎系ラーメン」

神使「ましまし、って・・・」


うさー「神使くんも似合ってるよ! 本物の神父様みたいだね!」

神使「ありがとうございます・・・」

89: 2017/02/17(金) 06:53:16 ID:Lc63lBFc


ギー


司祭「失礼いたします」

修道女「司祭様!?」

司祭「おや、お客様ですか?」

修道女「あっ、こちらは・・・」


神様「初めまして、シスターかわゆーいカミーです」

司祭「シスターカミー?」

神様「シスター“かわゆーい”カミーです!」

司祭「はじめまして、シスターカミー」

神様「・・・うん」

90: 2017/02/17(金) 06:54:23 ID:Lc63lBFc

司祭「そちらは?」

神様「こっちはシンシー神父」

神使「え!?」

神様「話を合わせろ」ボソッ


神使「は、はじめまして。 神父のシンシーと申します」ペコリ

司祭「これはこれは初めまして、シンシー神父。 どちらの教会から?」

神様「伊勢! 私達はシスターうさーに呼ばれて参りました」

司祭「それはわざわざご苦労様です。 私はこの地区一帯を管理してます司祭と申します」

91: 2017/02/17(金) 06:55:07 ID:Lc63lBFc

修道女「あの、司祭様? 今日はどのようなご用件で」

司祭「そうでした、今日の夕方にパチカンから使者の方がお見えになります」

うさー「今日!?」

修道女「そんな急に・・・」

司祭「シスターうさー、あなたの奇跡を認定するためにです」

うさー「・・・・・・」


神様「その件で司祭様にお話しがございます」

司祭「これからパチカンの使者をお迎えに行かなくてはならず。 その後でもよろしいでしょうか?」

神様「いいえ、ダメです」

司祭「・・・・・・」

92: 2017/02/17(金) 06:56:09 ID:Lc63lBFc

神様「犬ころ、狛犬になれ」

神使「はい。 ・・・はい!?」

神様「はやくしろ」

神使「え~・・・」ボンッ

司祭「!?」

修道女「うそ・・・」

うさー「ちょっと神ちゃん! 神使君! 何やってんの!?」

神様「犬ころ! 司祭を確保!!」

神使「その必要は無いかと・・・」

修道女「司祭様!」

うさー「あ~あ、司祭様ビックリして気絶しちゃったよ」

93: 2017/02/17(金) 06:57:16 ID:Lc63lBFc

神使「神様・・・ どういうことですか?」ボンッ

神様「今からこの修道院は悪魔が占拠する!」

修道女「!?」

うさー「神ちゃん! いつ悪魔に魂なんか売ったの!?」

神様「この修道院とお前を助けるためだったら悪魔でも何にでもなってやるよ」イヒヒヒ

うさー「神ちゃん・・・」ウルウル

神使「うさー様、神様が良いことを言っているように感じるかも知れませんが本気にしないで下さい」

うさー「え?」

神様「何だよ、良いこと言ってんだろうが!」

神使「神様のあの笑い方は、絶対に良からぬ事を企んでいるはずです」

神様「・・・・・・」

94: 2017/02/17(金) 06:58:19 ID:Lc63lBFc

うさー「知ってるよ! 神ちゃんに全部任せれば良いって事だよね!」

神使「かなり危険な橋だとは思いますが」

うさー「でも神ちゃん」

神様「あ?」

うさー「昔みたいに島を一つ消しちゃうような事はしないでね!」

神使「島を!?」

修道女「消す!?」

神様「えっ? してないよそんな事」

神使「・・・・・・」ゾッ

修道女「・・・・・・」ゾッ

神様「ちょ、本当してないって! 適当なこと言ってんじゃねーよ、うさー!」

うさー「ふふっ!」ニコッ

98: 2017/02/20(月) 22:34:29 ID:VKZnMIxU


――― 1時間後


司祭「う~ん、ここは・・・」ボー

神様「目が覚めましたか?」

司祭「シスターカミー!?」

神使「・・・・・・」

司祭「あっ・・・ あぁぁぁ」ゾッ

神様「シンシー神父がどうかしましたか?」

司祭「あ、悪魔・・・」ブルブル

神様「見てしまったのですね?」

司祭「お~ 神よ、救い給え・・・ アーメン」

神使「・・・・・・」

99: 2017/02/20(月) 22:36:39 ID:VKZnMIxU

神様「なんか言えよ」ボソッ

神使「ワンワン」

司祭「ひぃ~!」ブルブル

神使「・・・・・・(すいません)」


神様「私は悪魔祓いを専門に扱うシスターです」

司祭「Exorcist!?」

神様「え?」

神使「エクソシスト、悪魔祓いの事です」ボソッ

神様「そう! 私はエクソシスター!」

司祭「そんな! 神の御業をシスターカミーが!?」

神様「ん?」

神使「エクソシストはパチカンでは神の権能なんです」ボソッ

神様「へ~」

100: 2017/02/20(月) 22:37:57 ID:VKZnMIxU

司祭「何故この修道院に悪魔が・・・」

神様「心配いりません、この悪魔は私の力により下僕化しています」

司祭「お~ 何ということでしょう! この国にExorcistがいたなんて・・・」

神様「司祭様、この修道院には解決しなければいけない事がまだあるのです」

司祭「どういう事でしょうか?」

神様「救わなければならない者がいます」

司祭「・・・まさか、シスターうさー!?」

神様「迷える子兎をを私は救わなければなりません」

神使「子羊です」

神様「・・・・・・」ゲシッ

神使「痛っ!」

司祭「!?」

101: 2017/02/20(月) 22:39:26 ID:VKZnMIxU

神様「あっ、この悪魔の邪心が開きそうだったんで制裁を」

司祭「その悪魔はどのように? 早めに消した方がよろしいのでは?」

神様「そうですね。 木っ端みじんにしましょうか」ニヤッ

神使「勘弁して下さい・・・」

神様「邪には邪を、まだコイツには利用価値があります」

司祭「そうだ! パチカンの使者もExorcistと伺っておりますのでお呼びした方が!」

神様「え!?」


神使「お、お前の管理する司教区で悪魔がでたんだぞ? パチカンに知られても良いのか(棒)」

司祭「!?」

神様「私が隠密に対処します。 くれぐれもパチカンの人間を近づけさせないように」

司祭「わ、分かりました」

102: 2017/02/20(月) 22:42:43 ID:VKZnMIxU


ギィー
バタン


神様「行ったか?」

神使「はい」

神様「危ねぇ、危ねぇ」フー

神使「なんで私が悪者に・・・」

神様「いや~ 良い演技だった」ポンポンッ

神使「事が済んだら私の汚名を晴らして下さいよ?」

神様「分かってるって。 しかし宗教が違うと訳わかんねーな」

103: 2017/02/20(月) 22:44:06 ID:VKZnMIxU

うさー「ねぇ神ちゃん、大丈夫?」

神様「任せておけって」

修道女「・・・・・・」

神様「心配?」

修道女「い、いえ・・・ 神である方にこのような事をさせてしまって、私・・・」

神様「シスターちゃんの信じる神のことは私は畑違いだからよく分からないけど、神は人のためにいる」

修道女「人の・・・」

神様「人の願いを叶えるのがお仕事。 だからその願いを叶えるためだったら何だってする、どんな手を使ってでもね」

修道女「神ちゃん様・・・」

神様「お前もそうなんだろ? うさー」

うさー「・・・・・・」コクッ

104: 2017/02/20(月) 22:45:04 ID:VKZnMIxU

神様「さてと、シスターちゃんお使い頼まれてくれる?」

修道女「お使い・・・ ですか?」

神使「買い物でしたら私が行って参りますが」

修道女「・・・いえ、私が行って参ります」

神様「メモしてあるからこれ買ってきてくれる?」スッ

修道女「・・・分かりました」

神様「ごめんね、よろしく」

修道女「それでは」ペコリ


スタスタ
ギー バタン

105: 2017/02/20(月) 22:47:39 ID:VKZnMIxU

神様「頭の良い子だな」

神使「?」

神様「さてと、うさー」

うさー「ん?」

神様「時間が無いし隠し事は禁止だ。 正直に言え」

うさー「・・・・・・」コクッ


神様「お前とシスターちゃんの状況は見れば分かる。 どういう経緯があったかを教えてくれ」

うさー「シスターちゃんは孤児なんだよ」

神使「たしか、修道院前に捨てられていたと・・・」

うさー「うん。 20年前の真冬に外で・・・ シスターアロハがそれを見つけて」

神様「シスターアロハが!?」

神使「この修道院の院長様ですよね」

106: 2017/02/20(月) 22:48:56 ID:VKZnMIxU

神様「それでお前はシスターちゃんを助けるために神力を渡したな?」

うさー「・・・」コクッ

神使「え!? 神力を?」

神様「やっぱり・・・」ハァ

うさー「シスターちゃんを救うには、それしか方法がなかったんだよ!」

神使「と言うことは、シスターさんは」


 「お願いします、話を聞いて下さい!」
 「シスター、そこをどいて下さい」


神様「ん?」

神使「外で何か争っているような声ですが」

107: 2017/02/20(月) 22:49:36 ID:VKZnMIxU


 バンッ


調査官「パチカンから来ました神父と申します」

神様「・・・」チッ


司祭「シスターカミー、やはりパチカンの神父にお任せした方が良いかと・・・」

神様「・・・・・・」

神使「神様、どうしましょう」

108: 2017/02/20(月) 22:50:40 ID:VKZnMIxU

神様「あっ! 悪魔が逃げた!」

神使「?」

神様「おい、お前犬ころになって外を散歩してこい」

神使「え~・・・」

神様「早くしろ、この状況はマズい」

神使「も~ 勘弁して下さいよ」ボンッ

調査官「なに!?」


神使「あ、悪魔様のお通りだー。 どけどけ~(棒)」タッタッタッ

調査官「逃がすか! 悪魔め!」タッタッタッ

司祭「お、お待ち下さい神父~」タッタッタッ

109: 2017/02/20(月) 22:51:31 ID:VKZnMIxU

神様「よし、これで少しは時間が稼げるな」

うさー「ねぇ、神使君あの姿で外を走り回るのマズくない?」

神様「マズいね。 私の来月の給料が減給になるのは間違いない」

うさー「そのレベルで済めば良いけどさぁ・・・」


神様「取りあえず場所を変えよう」

うさー「場所って・・・ 神社?」

神様「でも、ボロボロだし見つかったら逃げ道がないしなぁ・・・」

110: 2017/02/20(月) 22:52:25 ID:VKZnMIxU


 「スィニョリ~ナ!」


神様「?」クルッ

住職「うち来る? 歓迎しま~すよ」キラッ

神様「・・・・・・」

修道女「住職さん?」

住職「チャオ!」

うさー「かくまってくれるの?」

住職「美しいスィニョリ~ナ達をお迎えできるなんて大歓迎で~す!」

うさー「助かるよ! イタリアン住職君!」

神様「・・・・・・」

111: 2017/02/22(水) 20:37:56 ID:gHgDLCaA


―――キセキ野寺


住職「さぁ、遠慮しないで上がってスィニョリ~ナ達」

神様「随分立派な寺だなぁ~ 儲かってんのか?」

うさー「神ちゃん、失礼だよ!」

神様「え~ だってそこら中キラキラじゃん」

住職「お金よりもスィニョリ~ナ達を助ける事が私の使命で~す」キラッ

神様「うざっ!」チッ

うさー「も~ 神ちゃん! ゴメンね住職君、神ちゃん仏教のことあまり快く思っていなくて」

住職「気にしないで下さ~い」

神様「ちげーよ、そんなこといつまでも根に持ってないっつーの。 いつの話してんだよ」

住職「奥の部屋をお使いくださ~い。 今お茶持ってきま~す」テクテク

112: 2017/02/22(水) 20:41:07 ID:gHgDLCaA

スタスタ


神様「この部屋か?」

うさー「そうだね、入ろ!」


ガチャッ


神様「うへ~ ちかれた」グテッ

うさー「確かに」グテッ

修道女「シスターうさー? お行儀が悪いですよ?」

うさー・神様「ごめんなさい」

修道女「いえ、神ちゃん様は別に・・・」


神様「でも修道服って動きづらいな。 首元がキツい」

うさー「あ~ うちの修道院の服って古いタイプだからね!」

修道女「申し訳ありません、あまり他の修道院や教会と交流がないもので・・・」

神様「いや別に謝る必要ないけど。 私は古い修道服の格好の方が好きだし」

113: 2017/02/22(水) 20:42:29 ID:gHgDLCaA

うさー「それより、神使くんは大丈夫かな?」

修道女「心配ですよね・・・」

神様「まぁ、なんとかするでしょ」

うさー「信頼してるんだね!」


神様「それよりもだ」

うさー「?」

神様「アロハに関して、私から話しておくことがある」

うさー「シスターアロハ? 神ちゃん知ってるの?」

神様「私は過去にアロハと会ったことがある」

うさー・修道女「え!?」

114: 2017/02/22(水) 20:43:40 ID:gHgDLCaA

神様「アロハは・・・ 元、神宮の神だ」

うさー「なっ!?」

修道女「院長が神!?」

神様「元と言ったでしょ。 少なくともうさー達が知っているアロハは神を辞め人に戻った後だ」

うさー「ど、どういう事!? 神ちゃん!」

神様「私がアロハを神にして、その後アロハの意思で神籍を抹消した経緯がある」

うさー「そんな・・・ 知らなかった」

115: 2017/02/22(水) 20:44:32 ID:gHgDLCaA

コンコン


住職「失礼しま~す。 お客様で~す」

神様「客?」

うさー「まさか奇跡調査官!?」


ガチャッ


神使「私です」スタスタ

神様「お~ 悪魔か」

うさー「神使君! 上手く逃げられた?」

神使「大変でした・・・」

116: 2017/02/22(水) 20:46:20 ID:gHgDLCaA

神様「アイツらは上手く撒けたか?」

神使「はい。 しばらく時間は稼げると思います」

神様「よし。 でも、どうして私達がココにいることが分かったんだ?」

神使「神様達を探して、はさまれ神社の裏にいたところを住職さんに」

うさー「そうなんだ! ありがとね、住職君!」

住職「礼には及びませ~ん」


神様「おい、クソ坊主」

うさー「ちょっと、神ちゃん!」

住職「なんで~すか?」

神様「お前、何者だ?」

うさー「何言ってるの? この寺の住職君じゃない」

神様「違うね」

住職「・・・・・・」

神様「私を騙すことは出来ないぞ?」

117: 2017/02/22(水) 20:48:54 ID:gHgDLCaA

住職「さすがで~す。 私、パチカンの者で~す」

一同「!?」

住職「おっと、今回パチカンが寄越した調査官とは無関係で~すよ」


神様「目的は何だ?」

住職「私の目的は一つ、修道院の保護で~す」

神様「何の保護だ?」

住職「・・・・・・」

神様「答えられないか?」

住職「私は20年前、あの修道院で奇跡を見ま~した」

神様「・・・・・・」

118: 2017/02/22(水) 20:50:32 ID:gHgDLCaA

修道女「どのような奇跡を見たのですか?」

うさー「・・・・・・」ドキドキ


住職「それは~・・・」

神様「・・・」キッ

住職「お教えできませ~ん」ニコッ

神様「変な笑顔を私に向けるな」プイッ

住職「ははっ、私ちょっと仕事ありますから失礼しま~す」テクテク


ガチャッ


神使「何か隠している感じですね?」

神様「・・・犬ころ、ちょっと付き合え」

神使「はい」

121: 2017/02/24(金) 00:07:36 ID:XiCKXaNc

――― 廊下


スタスタ


神使「まさか住職さんがパチカンの方とは思いませんでした」

神様「怪しいもんだ」

神使「え? パチカンの方というのは嘘ですか?」

神様「いや、嘘は言っていないと思う」

神使「どういう事です?」

神様「それを確かめに行くんだよ」

神使「?」


神様「この部屋だな」

神使「住職執務室? 住職さんとお話しに?」

神様「お前は入り口で待ってろ」

神使「分かりました」

122: 2017/02/24(金) 00:08:48 ID:XiCKXaNc

――― 住職執務室


コンコン


神様「私だ、入るぞ」


 どうぞお入りくださ~い


ガチャ


神様「立派な部屋だな」トテトテ

住職「お連れさんは中に入らなくて良いので~すか」

神様「一対一だ」

住職「分かりま~した」

123: 2017/02/24(金) 00:10:46 ID:XiCKXaNc

神様「私は神宮の神、名を神様と言う。 一応この国の最高神ということになっている」

住職「ご丁寧にありがとうございま~す。 私はパチカンの使い、この国でいう神使でしょうか?」

神様「天使・・・ でいいのか?」

住職「はい、合っていま~す」

神様「まさかこの国に天使がいるなんて驚いた」

住職「私のような一使いがこの国の最高神様とお話しなど、無礼をお許し下さ~い」フカブカ

神様「今更だな」

住職「・・・・・・」

神様「冗談だよ」

124: 2017/02/24(金) 00:12:01 ID:XiCKXaNc

住職「コーヒーでもお飲みになりま~すか?」

神様「いらない」

住職「おっと、コーラ派でしたね。 すいませ~ん、まだ買ってないです」


神様「目的はうさーか?」

住職「・・・・・・」

神様「・・・修道院の壁画か?」

住職「私達は“神の息吹”と呼んでいま~す」

神様「たいそうな名前になったもんだ」

住職「神の息吹は奇跡をもたらす物の総称で~す」

神様「奇跡、か・・・」

住職「パチカン最上級の宝物で~す」

125: 2017/02/24(金) 00:13:09 ID:XiCKXaNc

神様「あれは元々私の物だぞ?」

住職「ノンノン、あなたはあれを修道院に譲渡しました。 その時点で所有権は我々にありま~す」

神様「詳しいな」

住職「私は修道院が出来た時からずっ~といるんですよ?」

神様「・・・・・・なぜ持ち帰らずに何十年も監視なんかしているんだ?」

住職「持ち帰っても良いので~すか?」

神様「・・・・・・」キッ

住職「すいませ~ん。 冗談で~す」


神様「一つ聞かせてほしい」

住職「なんで~すか?」

神様「パチカンは敵か? 味方か?」

住職「どちらにでもなれま~す」

126: 2017/02/24(金) 00:14:00 ID:XiCKXaNc

神様「うさーは、日本の神だ。 お前達が手を出すことは許さない」

住職「彼女は監視対象から外れていま~す。 興味ありませ~ん」

神様「本当か?」

住職「でも~ あの教会にいる限り私達の管理下で~すよ?」

神様「・・・・・・」

住職「私達は神社に手出しはしない。 あなた達は教会に手出しはしない。 約束事で~す」

神様「心得ているつもりだ」

住職「それは良かったで~す」ニコッ

神様「・・・・・・」

127: 2017/02/24(金) 00:15:23 ID:XiCKXaNc


バタン


神様「ふ~っ」ハァ

神使「神様・・・ かなり緊張したやり取りでしたね・・・」

神様「ああいう探り合いは馴れないな。 好きじゃない」

神使「パチカンはあの絵画が目的だったのですね」

神様「そんな訳ないだろうが」

神使「え!?」


神様「いま何時だ?」

神使「もうじき18時です」

神様「コーラが飲みたい。 ちょっと外出よう」

神使「はい」


テクテク

130: 2017/02/26(日) 18:30:06 ID:SsgA9Wno

――― 客間


うさー「ん~・・・」ソワソワ

修道女「シスターうさー、どうしました?」

うさー「え? いや、えっと~・・・ ちょっと外行ってくる!」スタッ

修道女「・・・神ちゃん様達の後をつけてはダメですよ?」

うさー「嫌だなぁ~ トイレだって」

修道女「本当ですか?」

うさー「う~・・・」

修道女「・・・お手洗いは玄関近くにありましたから」

うさー「あ、ありがとうシスターちゃん!」タッタッタッ

修道女「まったく、シスターうさーときたら・・・」ハァ


修道女(そう言えば、神ちゃん様のメモ・・・)ピラッ

修道女(これ買ったら19時までに礼拝堂集合)

修道女「あと1時間・・・ 今買いに行けば間に合いますね」スッ

131: 2017/02/26(日) 18:31:21 ID:SsgA9Wno

――― はさまれ神社・境内


トテトテ


神使「コーラ売っていなくて残念でしたね」

神様「・・・あぁ」チラッ


 うさー「・・・・・・」コソッ


神様「・・・・・・」

神使「神様?」

神様「ん? あぁ、たまにはペポシでもいいや」プシュッ

132: 2017/02/26(日) 18:33:24 ID:SsgA9Wno

神使「神様、修道院の絵画って何か曰くがあるのですか?」

神様「・・・神が人に戻るとき、私は必ずある物を渡すことにしているんだ」

神使「?」

神様「そいつの神力を抜いて別の物に移して渡す。 アロハにはあの絵画に神力を移して渡した」

神使「それが修道院の絵画と言うことですか?」

神様「そう。 その神力は人になった後、1度だけ使うことが出来る。 まぁ退職金みたいなもんだ」


神使「もしかしてあの前衛的な絵って・・・」

神様「私が書いた」

神使「・・・なるほど。 通りで意味不明な絵だと思いました」

神様「・・・・・・」ギロッ

神使「すいません」

133: 2017/02/26(日) 18:34:48 ID:SsgA9Wno

神様「この修道院に奇跡を・・・」

神使「え?」

神様「20年前、アロハはあの絵にそう願っているようだ」

神使「奇跡・・・」


神様「うさー、隠れてないで出てこい」

神使「うさー様?」


うさー「・・・・・・」テクテク

神様「お前は、シスターちゃんを助けるため自分の神力を渡した」

うさー「うん」

神様「そうしないとシスターちゃんを救えなかった。 そうだな?」

うさー「うん」

134: 2017/02/26(日) 18:36:32 ID:SsgA9Wno

神使「シスターさんが神力を受け取ったということは、神になったということですよね?」

神様「・・・・・・」


神使「一つ疑問があるのですが」

神様「なぜ成長しているのか、だろ」

神使「はい」

神様「神の力を得た者はその時点で成長が止まる」

うさー「・・・・・・」


神様「お前、シスターちゃんが成長するように自分の神力を少しずつ渡してるな?」

神使「え!? うさー様の神力を?」

神様「そうだな?」

うさー「・・・・・・」コクッ

135: 2017/02/26(日) 18:38:25 ID:SsgA9Wno

神様「特定対象者への連続的な神力使用は立派な神法違反だぞ?」

うさー「だって! だって・・・ そうじゃないとシスターちゃんが・・・」

神使「うさー様・・・ それで今まで修道院に・・・」


うさー「神ちゃん、どうしよう。 私、神力がなくなりそうで」

神使「神力がなくなったら、うさー様は・・・」

うさー「私なんてどうでも良いんだよ! でも、シスターちゃんは・・・ シスターちゃんだけは!」


神様「お前の神力は少なくなってるけど、消えることはないみたいだ」

うさー「えっ!?」

神様「はさまれ神社のご神体はすでに神力が枯渇している。 参拝者もろくに来ていない」

神使「この状態ですからね・・・」

うさー「ごめん・・・ 私のせいだよね」シュン

136: 2017/02/26(日) 18:39:16 ID:SsgA9Wno

神様「でも、お前は今でも存在している」

神使「それは、うさー様の元々の神力が強いからですよね?」


神様「うさー、ちょっとおでこ貸せ」

うさー「おでこ?」

神様「少し触れるぞ」ピトッ

うさー「ひやっ!」

神様「・・・・・・」

うさー「・・・神ちゃん?」

神様「なるほどな」スッ


神使「何がですか?」

神様「予想よりも神力が多く残ってる」

うさー「え!?」

137: 2017/02/26(日) 18:41:02 ID:SsgA9Wno

神様「たぶん、シスターちゃんに渡した神力がお前にそのまま還元されている」

うさー「私が渡していた神力が使われずに戻ってきてるって事!?」


神使「ちょっと待ってください。 では、どうしてシスターさんは成長をして・・・」

神様「奇跡・・・ だな」

神使「神力とは違うのですか?」


神様「日本の神は“確率”を扱い神力を操作する。 簡単に言えば“運”だな」

うさー「うん」

神様「・・・・・・」ゲシッ

神使「痛っ! え!? なんで私が蹴られたんです??」スリスリ

138: 2017/02/26(日) 18:46:23 ID:SsgA9Wno

うさー「奇跡・・・ まさか、シスターアロハの願い!?」

神様「シスターちゃんは、うさーとアロハの神力を得ている」

神使「2つの神力を!?」

うさー「で、でもシスターちゃんからシスターアロハの神力は感じなかったよ?」

神使「そもそも、神力すら使えない感じでしたが」

神様「シスターちゃんの神力は押さえ込まれていると思う。 うさー、お前もだ」

うさー「でも、私は少しだけど使えるけど?」

神様「お前は神力が強すぎるから押さえられない部分が暴走している」

神使「それで、あの時に後光が・・・」

うさー「でも押さえ込むって、どうやって?」

139: 2017/02/26(日) 18:47:36 ID:SsgA9Wno

神様「“奇跡”を扱うのは」

うさー「パチカン・・・」

神様「そう、あのクソ天使が監視しているのはシスターちゃんだ」

神使「しかし、住職さんはそんなこと言っておられませんでしたが」

神様「私に隠し事なんていい度胸してるよな」


うさー「住職くんがシスターちゃんを狙ってるってこと!?」

神使「シスターさんを一人にするのはマズいのでは?」

神様「大丈夫だよ。 あのクソ天使もシスターちゃんを連れ出せない理由がある」

神使「理由?」

神様「あのクソ天使よく考えたわ」

うさー「?」

神様「本当、敵か味方かわかんねーな」

140: 2017/02/26(日) 18:48:17 ID:SsgA9Wno

神使「そう言えば、シスターさんはどちらに?」

うさー「シスターちゃんなら部屋にいると思うけど」

神様「私が頼んだ買い物をしに行ったと思う」

うさー「え!? 急いで連れ戻さないと!」

神様「大丈夫」

神使「どういう事です?」


神様「楽しいショータイムの始まりだよ、神使君や」ウヒャヒャヒャヒャヒャ

うさー・神使「(悪魔がココにいる・・・)」

144: 2017/02/28(火) 04:01:33 ID:b1eyWmmk

神様「犬ころ、お前は調査官達を探して1時間後に礼拝堂に連れてこい」

神使「え!?」

神様「ギリギリまで粘ってから見つかれよ?」

神使「・・・・・・」


神様「うさー、お前主神やってた時の祭儀装束ってまだ持ってるか?」

うさー「装束? たぶんあると思うけど」

神様「今日だけで良い。 日本の神として責務を果たして欲しい」

うさー「でも私・・・」

神様「シスターちゃんを救うんだろ?」

うさー「・・・分かった! 今日は神さまやる!」

神様「よし、19時に修道院の礼拝堂で合流だ」

神使「・・・はい」

神様「行くぞ、うさー」

うさー「うん!」

145: 2017/02/28(火) 04:02:51 ID:b1eyWmmk

――― キセキ野寺・墓地


神使「あの人達はまだココにいるでしょうか・・・」コソコソ


司祭「あの悪魔いませんね」キョロキョロ

調査官「隅々まで探しましょう」

司祭「しかし、これだけ大きな墓地ですと・・・」

調査官「そうですね・・・ そうだ! 墓地全体を清めましょう!」

司祭「え?」

調査官「悪魔がこの墓地にいれば、きっと苦しくて出てくるはずです」

司祭「なるほど、さすがパチカンの神父様! では早速」


神使「私には効かないですよね・・・ 祓われたらどうしましょう・・・」

146: 2017/02/28(火) 04:03:54 ID:b1eyWmmk


――― キセキ野教会・うさーの部屋


うさー「う~ん・・・ ここに隠しておいたと思うんだけど~」ゴソゴソ

神様「しかし、何もない部屋だな」キョロキョロ

うさー「修道女の部屋なんてこんなもんだよ」

神様「私なら退屈すぎて30分で発狂する自信がある」

うさー「はははっ」ゴソゴソ


神様「ん? あれって・・・」トテトテ

うさー「どしたの?」

神様「この写真」

147: 2017/02/28(火) 04:05:06 ID:b1eyWmmk

うさー「あ~ シスターアロハだよ」

神様「・・・いつの写真だ?」

うさー「う~んと、亡くなる少し前だから・・・ 20年くらい前かな?」

神様「・・・・・・」


うさー「懐かしい?」

神様「老けたな。 私が知っているアロハは20歳くらいだったから」

うさー「そっか」

神様「彼女は常に弱き者の味方で・・・ 本当に立派だった」

うさー「そうだね。 私の知ってるシスターアロハも同じ」

神様「アロハは私が神にする前も修道女だったんだよ」

うさー「そうなんだ」

148: 2017/02/28(火) 04:06:27 ID:b1eyWmmk

神様「驚かないんだな」

うさー「だって、シスターアロハが修道女以外の事をしているなんて想像できないもん」


神様「今みたいに教会が受け入れられる前でさ、凄く苦労してた」

うさー「なんで別の宗教だったシスターアロハを神になんかしたの?」

神様「宗教とかそんな壁どうでも良いんだよ。 人が勝手に区別しているだけだ」

うさー「え~ でも神宮が納得しないでしょ、そんなの」

神様「あぁ、許さなかった。 神宮はアロハを使って教会を手中に収めようとしていた」

うさー「そんな事まで!?」

神様「アロハには辛い思いをさせてしまった・・・」

149: 2017/02/28(火) 04:07:36 ID:b1eyWmmk

うさー「そんな過去があったんだ」

神様「恨んでいるだろうなアロハは・・・ 神の除籍をした後、私は会わす顔がなかった」


うさー「・・・あの壁画って神ちゃんが描いてシスターアロハに送った物なんでしょ?」

神様「結構自信作なんだけど、お前までいちゃもんつける気か?」

うさー「シスターアロハ、毎日あの絵にお祈りしてたよ?」

神様「え?」

うさー「とっても大切で、最も尊敬する親友から頂いた宝物だって」

神様「・・・・・・」

うさー「修道院の運営が立ちゆかなくなった時も、あの絵だけは守り通したんだ」

150: 2017/02/28(火) 04:08:28 ID:b1eyWmmk

うさー「椅子とか聖書とか売られても、あの絵だけは誰にも触れさせなかった」

神様「・・・・・・」

うさー「シスターアロハが神ちゃんを恨むはずないじゃん」

神様「だと、嬉しいな」

うさー「このバタバタが終わったらシスターアロハの墓地に一緒に行ってくれる?」

神様「そうだな」

うさー「ありがと!」

151: 2017/02/28(火) 04:11:34 ID:b1eyWmmk

神様「で、装束はあったのか?」

うさー「うん一応・・・ まさかこれ着るの?」

神様「当たり前だろ。 服は着るためにあるの!」

うさー「え~ 神ちゃんはいっつも脱いでるじゃん」

神様「着てるだろ! 見ろよ! ちゃんとおべべ着てるだろうが!」

うさー「あっ!」

神様「なんだよ」

うさー「この装束を売れば良かった! 結構価値あるよね、この服って!」

神様「・・・・・・」

うさー「冗談だって! これは神ちゃんからもらった物だもん、私の宝物!」

神様「あ~ それ猫神のお古だから。 私そういう装束とか大っ嫌いだから邪魔だったんだよ」

うさー「!?」

152: 2017/02/28(火) 04:12:30 ID:b1eyWmmk


 修道女「ただいま戻りました。 神ちゃん様いらっしゃいますか?」


神様「シスターちゃん帰ってきたみたいだな」

うさー「ほんとに着なきゃダメ? 恥ずかしいよ」

神様「私は先に礼拝堂に行ってるから、ちゃんと着替えてこいよ」トテトテ

うさー「う~・・・」

153: 2017/03/01(水) 02:30:45 ID:/Qe3D7Dc


――― 礼拝堂


修道女「神よ、どうか私達をお守りください・・・」


ギィ


神様「お疲れちゃん」トテトテ

修道女「神ちゃん様」

神様「頼んだ物は買えた?」

修道女「・・・はい」

神様「どれどれ~」ゴソゴソ

修道女「一体何に使うのですか?」

神様「ウヒヒ、これでアイツらをコキャと言わせるの」

修道女「コキャ? 」

154: 2017/03/01(水) 02:31:38 ID:/Qe3D7Dc


ギィ


うさー「神ちゃ~ん・・・」モジモジ

修道女「シスターうさー? そんなところに隠れてどうしたんです?」

神様「何やってんだよ、早く来いって」


うさー「う~・・・」テクテク

修道女「シスターうさー!?」

うさー「はははっ、似合わないよね・・・ 自分でも分かってるし!」

修道女「・・・・・・」

神様「今日は神さまやるんだろ?」

うさー「そうだけどさぁ~・・・」

155: 2017/03/01(水) 02:33:07 ID:/Qe3D7Dc

神様「シスターちゃんに紹介しよう。 はさまれ神社の主神、従三位ウサノ神だ」

うさー「正三位だよ! どっちでも良いけど・・・」


修道女「それが・・・ シスターうさーの本当のお姿なのですね?」

うさー「え!? 違うよ! 私はシスター! シスターうさーだよ!」

神様「ウサノ神だろ?」

うさー「も~ 分かったよ! 今日は神さまのウサノ神!」

修道女「とてもご立派ですよ、ウサノ神様」ニコッ

うさー「シスターちゃんまで、からかわないでよ!」

修道女「・・・・・・」フカブカ

うさー「え!? ちょ、やめてよシスターちゃん」オロオロ

156: 2017/03/01(水) 02:34:28 ID:/Qe3D7Dc

神様「よし、それじゃぁこれ」スッ

うさー「なにこれ?」

修道女「台本・・・ ですか?」

神様「神ちゃん特性台本! そして~」ゴソゴソ

うさー「かぶり物?」

神様「私は悪魔のボス! 大悪魔だ!」カポッ

うさー「え~ ぴえろのかぶり物じゃん」

神様「・・・・・・」

修道女「すいません、そのぴえろが一番インパクトが強かった物で・・・」シュン

うさー「えっ、それシスターちゃんチョイスなの!?」

157: 2017/03/01(水) 02:35:46 ID:/Qe3D7Dc

神様「まぁ・・・ 私の演技力でカバーするから大丈夫・・・」

うさー「演技? 学芸会でもするの?」

神様「違うわ! 面倒な調査官達を蹴散らすんだよ」

うさー「どうやって?」

神様「その為の台本だよ」

うさー「ふ~ん」


神様「もうすぐうちの犬ころが調査官達を連れて礼拝堂に入ってくるから。そしたらこの台本通りでお願いね」

修道女「え!? 後10分しかありませんが!?」

うさー「・・・ねぇ、神ちゃん?」ペラペラッ

神様「あ? 泣き言なら聞かないぞ」

158: 2017/03/01(水) 02:36:47 ID:/Qe3D7Dc

うさー「これ神使くんの台詞もあるけど打ち合わせしたの?」

神様「・・・・・・」

修道女「一行目から神使さまの台詞ですが」

神様「・・・・・・」


うさー「まさか、神使くん知らないんじゃ・・・?」

神様「だ、大丈夫! 犬ころならきちんと出来るって。 あいつと私は深い精神の所で繋がっているから!」フンスッ

うさー「神ちゃん、色々無理・・・」

162: 2017/03/03(金) 01:34:40 ID:owHcblW.

――― キセキ野寺・墓地


神使「もうじき19時・・・ そろそろ行きますか」ボンッ



司祭「やはりここから逃げて別の所にいったのでは?」

調査官「そのようですね、他を探してみましょう」


神使「う、うわー 苦しいー(棒)」

司祭・調査官「!?」

神使「お、お前達何をしたー(棒)」

調査官「出たな悪魔め!」

司祭「さすがパチカンの神父! 効果覿面ですな」


神使「くそー、逃げてやるー(棒)」タッタッタッ

調査官「今度は逃がすか!」タッタッタッ

司祭「待ってください~ 神父~」タッタッタッ

163: 2017/03/03(金) 01:35:57 ID:owHcblW.

――― キセキ野教会・礼拝堂


神様「よしっ、と」グイグイッ

うさー「シスターちゃん、キツくない?」

修道女「大丈夫です」

うさー「別にシスターちゃんを縛り付けておかなくても良いんじゃない?」

神様「あ? 人質は縄で縛るのが常識だぞ。 私なんか捕まったときはいっつも縄で縛られるし」

うさー「そうなの?」


神様「あとは、犬ころが入って来るのを待つだけだ」

うさー「えっと~ “大悪魔様、我々の理想郷を作るために生け贄を連れて参りました”っていう神使くんの台詞だね」

神様「よし、うさーは柱の裏にでも隠れてろ」

うさー「うん」スタスタ

164: 2017/03/03(金) 01:37:39 ID:owHcblW.

神様「シスターちゃんは恐怖におびえた子兎のようにプルプルして、できるだけ言葉は発しないように」

修道女「難しいですね・・・ 出来るでしょうか?」

神様「大丈夫。 さて、私も準備を」カポッ

修道女「・・・・・・」


神様「大悪魔に見える?」

修道女「・・・・・・」

神様「嫌だな、まだ話はしても大丈夫だよ」

修道女「・・・はい。 インパクトはありますね・・・ すいません」


神様「よし! 準備オッケー」

165: 2017/03/03(金) 01:39:00 ID:owHcblW.


バンッ


神様「来た!」


神使「神様~ あとはお願いします~」タッタッタッ


神様「・・・・・・」

うさー「あちゃー、やっぱり神使くんの台詞全然違うよ・・・」


調査官「!?」

司祭「シスターカミー、そのお面は何ですか?」

神様「・・・わ、私は悪魔の親方! 悪魔長だ! ドドン!」

一同「・・・・・・」

修道女(大悪魔では・・・)

166: 2017/03/03(金) 01:40:35 ID:owHcblW.

司祭「シスターカミーですよね?」

神様「悪魔長だ! 犬こ・・・ 下級悪魔よ、 悪魔長である私の隣へ来い!」

神使「私ですか?」スタスタ

神様「さぁ、人間どもを威嚇するのだ! 犬こ・・・ 悪魔犬よ!」

神使「・・・ワンワン」

うさー(せめて呼び名は統一しようよ、神ちゃん・・・)


一同「・・・・・・」


神様(確か、コイツ尻尾握ると吠えまくったよな)


ギュッ


神使「!! ギャーッ!!!」

一同「!?」ビクッ

司祭「ひぃぃぃ~!」ブルブル

167: 2017/03/03(金) 01:42:00 ID:owHcblW.

神使「神・・・ 様・・・ 尻尾はダメで・・・す・・・」バタン

神様「やべっ、強く握りすぎたか」


調査官「悪魔を一瞬で!?」

神様「わ、私の力を思い知ったか!」

調査官「修道女の格好などして、私達を騙していたと言うことですか」

神様「その通りだよ! うひゃひゃひゃひゃ!」


調査官「何という凶悪な悪魔・・・」

司祭「神父、さすがにそれはないと思うのですが・・・」

168: 2017/03/03(金) 01:43:12 ID:owHcblW.

調査官「いいえ、確信しました。 あれは悪魔特有の笑い方です」

司祭「なんと!」


調査官「それと、あのお面は魔面に似ています」

司祭「魔面?」

調査官「14世紀に悪魔崇拝者が書いた禁書に出てくる最凶の悪魔が被っていた物です」

司祭「なんと!」


神様「・・・・・・」

調査官「まさか魔面を持つ物が悪魔の親玉だったとは・・・」

169: 2017/03/03(金) 01:44:24 ID:owHcblW.

調査官「・・・・・・」ジリジリ

神様「おっと、それ以上近づくとこのシスターがヤバいことになるよ?」

修道女「・・・・・・」プルプル

調査官「卑怯な! 私達の敬虔な修道女をすぐ解放しなさい!」

神様「嫌だね~ うひゃ・・・ イヒヒヒヒッ」


うさー(ここで出て行けば良いのかな?)

うさー「待ちなさい! 大悪魔!」


神様「だ~れ~だ~?」クルッ

うさー「その人を解放しなさい!」スタスタ

司祭「シスターうさー?」

170: 2017/03/03(金) 01:45:20 ID:owHcblW.

神様「お前は、日本の神で神力がめっぽう強いはさまれ神社の主神ウサノ神だな?」

司祭「シスターうさー、その格好はどうしたのです?」

うさー「わ、私は日本の神ウサノ神である! 今から悪魔を懲らしめる!」

神様「やれる物ならやってみろ~」


調査官「シスターうさー、危ないので離れていてください」グイッ

うさー「え?」ズルズル

神様「ちょ、うさーと戦わせろよ」

調査官「その必要はありません」


シャキン


神様「!?」

171: 2017/03/03(金) 01:47:41 ID:owHcblW.

調査官「この聖剣で悪魔どもを封じます」

神様「ちょ、ナイフはダメだって」

調査官「聖剣です」

神様「ナイフだろ! そんなの悪魔じゃなくてもダメージ受けるわ!」

うさー「そ、そうだよ! 私の神の力で神ちゃ・・・ 大悪魔と戦うから!」ジタバタ

司祭「シスターうさーはおとなしくしていて下さい」ガシッ

うさー「放してよ~」ジタバタ


神様「やべーな・・・」

175: 2017/03/06(月) 01:55:15 ID:DoJcG5F6

――― キセキ野寺


住職「さて~ 私の目的は感づかれてしまいましたかね」

住職「取りあ~えず、何か策を考え――― !?」ガタッ

住職「・・・・・・」


住職「墓地から負の瘴気が消えて・・・・・・」

住職「マズいで~す!」タッタッタッ

176: 2017/03/06(月) 01:57:29 ID:DoJcG5F6

――― キセキ野教会


神様「・・・・・・(くそ、逃げるか・・・)」ジリジリ

調査官「一歩でも動いたら投げますよ?」スッ

修道女「ちょっと待ってください! ここは教会ですよ? そんな物騒な物・・・」

調査官「聖剣です」

神様「聖剣なら聖剣らしい使い方しろよ! なんで投げる気満々なんだよ!」

うさー「そ、そうだよ! 投げたら危ないよ!」ジタバタ


神様「あー! もうっ! ナイフ投げるなら私がいなくなってからにしろよ!」タッタッタッ


うさー「神ちゃん!」ジタバタ

司祭「シスターうさー! 暴れないでください!」ガシッ

うさー「うるさい! 放せ!!」バッ

司祭「シスターうさー! 危ないですから戻って!」

177: 2017/03/06(月) 02:00:33 ID:DoJcG5F6


調査官「神の名のもとに、悪魔よ! 消えろ!」シュッ

うさー「!? 神ちゃん! 後ろ!!」タッタッタッ


神様「うげっ! あの野郎、本当に投げやがった!」ササッ

調査官「くそ! 逃がすか!」シュシュッ

神様「てめー! 何本持ってんだよ! 聖剣なんて普通1本だろ!!」


うさー「神ちゃーん!」タッタッタッ

神様「バカ! うさー! 危ない逃げろ!」


修道女「シスターうさー! 後ろ!」

うさー「え?」



バンッ

住職「これは!?」ハッ

178: 2017/03/06(月) 02:02:33 ID:DoJcG5F6

神様「おい、うさー! 大丈夫か!? うさー!」タッタッタッ

うさー「う~・・・」


神様「!? ・・・・・・おい、何だ・・・ あれ・・・」

うさー「へ? あれ? ナイフは?」キョロキョロ

司祭「ナイフ・・・ 聖剣が空中で止まって・・・」


ポワポワ


神様「シスター・・・ ちゃん?」

うさー「シスターちゃんが・・・ 光ってる」

神様「壁画も光って・・・」

179: 2017/03/06(月) 02:03:48 ID:DoJcG5F6


ポワポワ


修道女「・・・・・・」スー


調査官「バカな・・・ 宙を浮いて歩いて・・・」

司祭「そんな!?」


ポワポワ


修道女「神ちゃん」

神様「シスターちゃ・・・ アロ・・・ハ・・・?」

修道女「ありがとう」ニコッ

神様「・・・・・・」

180: 2017/03/06(月) 02:05:22 ID:DoJcG5F6

うさー「シスターアロハ・・・?」

修道女「立派になったわね、うさー」ニコッ

うさー「うっ・・・っ うん!」ポロッ


住職「・・・・・・」



修道女「この修道院は神の力で救われます。 うさーの言葉に従いなさい」

住職「・・・・・・」フカブカ


修道女「」スー パタリ


神様「光が消えた・・・」

うさー「シスターちゃん!」ユサユサ

181: 2017/03/06(月) 02:06:48 ID:DoJcG5F6

スタスタ

住職「スィニョリーナ」ボソッ

神様「・・・・・・」ポケー


住職「スィニョリーナ!」

神様「んぁ!?」ハッ


住職「大丈夫で~すか?」ニュッ

神様「わっ、顔近い! な、何だよ」

住職「失礼、墓地からの負の瘴気が消えていま~す」

神様「瘴気・・・? やっぱりお前が墓地からの瘴気を使ってシスターちゃん達の力を押さえ込んでいたのか」

住職「シスターさんが意識を取り戻す前にもう一度瘴気を出してきま~す」

神様「その必要はない」

住職「?」

182: 2017/03/06(月) 02:07:57 ID:DoJcG5F6

神様「シスターちゃんにも正直に話すべきだ」

住職「・・・・・・」

神様「力の扱いをどうするかは本人が決めるべきだ」

住職「分かりま~した」


神様「それより、お前はあそこの二人をどうにかしておけ。 お前達の管轄だぞ」

住職「?」クルッ


調査官「」ポケー

司祭「」ポケー

183: 2017/03/06(月) 02:09:51 ID:DoJcG5F6

神様「記憶くらいは書き換えておけよ?」

住職「そうです~ね」ハァ


住職「それと、シスター・・・ いえ、うさー様?」スタスタ

うさー「え? 私?」

住職「この修道院の導きを、うさー様のお言葉で」フカブカ

うさー「・・・・・・」

神様「アロハからの願いだ。 お前の言葉で伝えるんだ」

うさー「私の言葉・・・」

神様「神宮もパチカンも、お前の言葉に従うだろう」

184: 2017/03/06(月) 02:11:24 ID:DoJcG5F6


うさー「私は・・・ 私は日本の神! この修道院は日本の神の力で守られる! ウサノ神からの神勅とする!」


神様「いいのか?」

うさー「今日は神さまやるって神ちゃんと約束したし! 私は、約束は守るんだよ!」プイッ

神様「だってさ」

住職「よろしいので~すか?」

うさー「神勅なんだから絶対まげない! 日本の神は言った言葉に責任を持つんだよ!」

住職「素晴らしいお言葉で~す。 これからもご尽力くださ~い」フカブカ


神使「う~ん・・・」ムクッ

神使「あれ?」ボー

神様「目が覚めたか」

神使「どうなったんです? これ?」

神様「解決したよ、お前の名演技のおかげでな」

神使「はぁ・・・ (お尻が痛い・・・)」スリスリ

188: 2017/03/08(水) 02:21:39 ID:0i9dhtss

――― 深夜・キセキ野寺・住職執務室


 コンコンッ


住職「?」

神様「扉開けっ放しだぞ?」トテトテ


住職「こんな遅くにどうされたので~すか?」

神様「お前こそ、こんな遅くに何の荷造りしているんだ?」

住職「私は明日にでもこの国を出ま~す」


神様「シスターちゃんは私達の管理下でも良いと言うことか?」

住職「あの修道院はパチカン管理でなくなりま~したからね」

神様「随分引き際があっさりしてるな」

189: 2017/03/08(水) 02:22:48 ID:0i9dhtss

住職「・・・私、シスターさんをどうすれば良いのか正直分からなかったんで~す」

神様「・・・・・・」

住職「私はただ彼女の力を押さえつけるだけで、それ以上の方法を思いつきませんで~した」


神様「まさか、ずっとそばにいて守り続けるつもりだったのか?」

住職「はい」

神様「・・・即答か」

住職「私の役目で~すから」ニコッ

神様「何十年でもか?」

住職「はい」

神様「何百年でもか?」

住職「もちろんで~す」

190: 2017/03/08(水) 02:23:46 ID:0i9dhtss

神様「立派だな・・・ とでも言うと思ったか? そんなものただの自己満足だ」

住職「・・・・・・返す言葉もありませ~ん」


神様「彼女はもう子供じゃない」

住職「そうで~すね・・・」

神様「でも、今まで彼女の身を案じ、守ってくれたことに関しては深く礼を言う」フカブカ

住職「頭を上げてくださ~い。 あなたはそういう事が似合いませ~ん」

神様「?」ジーッ

191: 2017/03/08(水) 02:27:27 ID:0i9dhtss

神様「・・・お前、もしかして以前に私と会ったことがあるか?」

住職「・・・・・・」


神様「ミカエル・・・」

住職「お~! 思い出してくれましたか! 嬉しいで~す!」

神様「確か・・・ 800年くらい前か」

住職「またお目にかかれて光栄で~した」フカブカ

神様「・・・・・・」

住職「?」


神様「あの時はすいませんでした!」ドゲザ

住職「もう昔の話で~す」ハハッ

神様「異国の者が珍しくて裸に剥いてしまい申し訳ありません!」

住職「・・・忘れましょう」

192: 2017/03/08(水) 02:29:29 ID:0i9dhtss

神様「でも、大天使がわざわざ出張るほどの重要案件だったと言うことか?」

住職「バチカンと日本の神の力を持つ人間で~すよ?」

神様「まぁ、確かに」

住職「でも、心置きなく帰れま~す」


神様「・・・お前達の主に伝言をお願いできるか?」

住職「もちろんで~す」

神様「あの修道院は、私達日本の神の管理下になる」

住職「・・・・・・」

神様「しかし、修道院と隣のはさまれ神社を私達とお前達の共有管理にしたい」

住職「神社もで~すか!?」

193: 2017/03/08(水) 02:30:26 ID:0i9dhtss

神様「あの二人が信仰しているのはお前達の神だ。 そこに私は立ち入れない」

住職「しかし・・・」

神様「彼女たちの力を維持するには神社が必要だ。 二人ともこの国の神力を持っている」

住職「・・・・・・」

神様「教義はパチカンだが、彼女たちが平和に暮らせるよう私達の力も扱わせたい」

住職「ご立派です。 主に必ずお伝えしま~す」

神様「頼んだ」

住職「日本の最高神様からのお願いです、主も意義なく全面承認されるでしょう」

194: 2017/03/08(水) 02:34:31 ID:0i9dhtss

住職「あっ、でもアレは持って帰らせてもらいます~よ」

神様「あれ?」

住職「神の息吹」

神様「力の無くなった物を持って帰っても仕方ないだろ。 今は私の描いたただの落書きだぞ?」


住職「私も大天使で~す。 パチカンには依頼を完遂したという示しが必要で~す」

神様「なるほどな」

住職「複製が終わり次第、すぐに修道院に戻しま~す」

神様「お前達の物にするんじゃないのか?」

住職「いりませ~ん」

神様「・・・・・・」

住職「それに、あの絵はあの修道院に飾られるべき物ですから」

神様「本当に建前上持って帰るだけなんだな・・・」

住職「ふふっ」

195: 2017/03/08(水) 02:35:44 ID:0i9dhtss

神様「あの落書きが海を越えてパチカンに行くことになるとは思ってもみなかった」

住職「複製はパチカン大聖堂に飾られて沢山の信者が祈りを捧げることになると思いま~す」

神様「パチカンはそれでいいのかよ・・・」

住職「パチカン自体は私達にはあまり関係ありませんから好きにやらせておけば大丈夫で~す」

神様「そんな発言、パチカンのお偉いさんが聞いたら泣くぞ・・・」

住職「内緒でお願いしま~す」

196: 2017/03/08(水) 02:36:34 ID:0i9dhtss

神様「最後に一つ聞いていいか?」

住職「?」


神様「お前達は敵か? 味方か?」

住職「パチカンはどちらにもなれま~す」

神様「・・・・・・」


住職「でも~」

神様「?」

住職「主と私達天使は、日本の神と神使の味方で~す。 断言できま~す」ニコッ

神様「そうか」フッ

205: 2017/03/10(金) 04:56:18 ID:Ht/oWEBw

――― 翌日・フラソダーピスチヌ会墓地


テクテク


うさー「ここがシスターアロハのお墓だよ」

神様「随分と質素だな・・・」

うさー「シスターアロハの遺言なんだ」


 神使「神様~」タッタッタッ


神様「?」

うさー「神使君、どこ行ってたの?」

神使「お花を買いに。 神様、これでよろしいですか?」

神様「おっ、いいね~ さすが悪魔」

神使「悪魔じゃありません。 神に仕える神使です」

うさー「そうだよ~ あんまりいじめちゃ神使君が可哀想だよ」

神様「へいへい」

206: 2017/03/10(金) 04:59:28 ID:Ht/oWEBw

うさー「へぇ~ 綺麗だね」

修道女「私、こんな色のバラ初めて見ました」


神様「人の造りし花・・・ でも、綺麗な青色だな。 人のイデオロジーも凄いな」

修道女・うさー「?」


神使「・・・・・・もしかして、テクノロジーの事ですか? バイオテクノロジー」

神様「お前はそうやってすぐに難しい言葉を使うな! 意識高い系神使でも目指してんのか!」

神使「え!? イデオロジーなんて言葉の方が難しいと思うのですが・・・」

神様「うるさい! 極悪邪道腐れ犬ころ変Oすけこま意識高い系アホ神使!」

神使「それ、次も同じ順番で言えます・・・?」

神様「うるせー、早く花を寄こせよ」

神使「はい、どうぞ」

神様「ったく」

207: 2017/03/10(金) 05:03:21 ID:Ht/oWEBw


トテトテ


神様「アロハ、心配かけたな・・・」

神様「ゆっくり話をしたいところだが神は墓地に長くいることは出来ないから・・・ 一言だけ」

神様「安らかに・・・ アーメン」


一同「アーメン」


―――――
―――

208: 2017/03/10(金) 05:04:53 ID:Ht/oWEBw

――― 帰り道


テクテク


うさー「ありがとうね、神ちゃん!」

神様「いや・・・」


うさー「ねぇ、皆お腹空かない? ラーメン食べようよ」

神様「いいね~」

修道女「シスターうさー? そんなお金・・・」

うさー「大丈夫だよ、一日くらい」

修道女「明日からしばらくパンを一つ減らしますからね?」ハァ

うさー「え!?」

209: 2017/03/10(金) 05:05:57 ID:Ht/oWEBw

ブルブル


神使「?(メール?)」ゴソゴソ



神様「そうだ、近いうちにシスターちゃん宛に神宮の使いを寄こすから」

修道女「ご使者の方ですか?」

神様「まぁ、神力の使い方とか簡単なレクチャーだけ受けておいて」


うさー「ね~ 神ちゃん、本当に私達このまま修道院にいても良いの?」

神様「その代わり、はさまれ神社の手入れもこれからはきちんとするんだぞ」

うさー「う~・・・ 分かった」

210: 2017/03/10(金) 05:06:53 ID:Ht/oWEBw

修道女「・・・・・・」

神様「心配?」

修道女「急だった物で・・・ 私に神の力があるだなんて・・・」

神様「大丈夫。 アロハの神力だ。 暴走することなんてないから」

うさー「私の神力もシスターちゃんにあるんだよ!」ニコニコッ

神様「・・・神力が暴走しないよう、レクチャーはちゃんと受けて慎重に扱うように」

うさー「ひどい! それじゃ私の神力が暴走するみたいじゃん!」

神様「みたいじゃない、するんだよ」

うさー「酷いよ神ちゃん・・・」

211: 2017/03/10(金) 05:07:50 ID:Ht/oWEBw

修道女「本当に、神ちゃん様には何とお礼を言えば良いか・・・」

うさー「神ちゃん、本当にありがとう」


神様「うさー」

うさー「ん?」

神様「私を庇ってくれてありがとう」

うさー「え!? いや、体が勝手に動いちゃっただけだし。 私こそ色々とゴメン」

神様「やっぱり、私はお前を神にしたことは間違っていなかった」

うさー「神ちゃん・・・」


神様「まっ、それは置いておいて早くラーメン食べに行こう!」

212: 2017/03/10(金) 05:09:39 ID:Ht/oWEBw

神使「・・・・・・」

うさー「どうしたの神使くん、元気ないね」

神使「いえ・・・ その・・・ 神宮からもの凄い量の着信とメールが・・・」

神様「神宮?」

神使「はい、100件以上も・・・」

うさー「あ~ 神使くん狛犬の姿で街中走り回ったから・・・ バレたんでしょ」


神様「うげっ! 私も着信凄い!」

神使「どうしましょう」

神様「取りあえず、早めに逃げた方が良いみたいだな」

神使「そうですね」

神様「じゃ、私達は逃げるから!」

213: 2017/03/10(金) 05:11:26 ID:Ht/oWEBw

うさー「え!? ラーメンは?」

神様「これで二人して食べてこい」ジャラジャラ

うさー「・・・神ちゃん」

神様「遠慮するな」フッ

うさー「いや・・・ 250円しかないよ?」

神様「私の手持ちの有り金だ。 それで腹一杯食べてこい」キラッ

うさー「う~ 一応、ありがとう・・・」


神様「よし、犬ころ! 逃げる準備は良いか?」

神使「はぁ」

214: 2017/03/10(金) 05:12:16 ID:Ht/oWEBw

うさー「ねぇ神ちゃん、また会える?」

神様「当たり前だ」

うさー「本当に? 嘘ついてない?」

神様「大丈夫だよ、あの修道院だって神宮の管理下に入ってるんだし。 また遊びに来るよ」

うさー「約束だからね!」

修道女「本当にお世話になりました」フカブカ


神使「こちらこそ、お世話になりました」

神様「じゃ!」


うさー「元気でねー また来てね~!!」

修道女「・・・・・・」フカブカ


―――――
―――

215: 2017/03/10(金) 05:14:32 ID:Ht/oWEBw

テクテク


神様「神ちゃん世界教はまだまだお預けのようだな」

神使「きっとその日は来ないと思いますが・・・」


神様「きせき野町か・・・」

神使「町の名前の通り奇跡に満ちていましたね」

神様「あぁ・・・ さて、急ぐぞ。 早めにこの町を出た方が良い気がする」

神使「そうですね」


ブーン キキィ!


神様「危ねっ! なんだ!?」

神使「黒塗りの車! まさか!」


バタン!


神様・神使「!?」

218: 2017/03/11(土) 20:37:10 ID:Zj492Vqg


神様機構長官「久しぶり、神ちゃん」

神様「長官君!?」


神使長「ご無沙汰だ、神使君」

神使「神使長!」


長官「探したよ」

神使長「なぜ2人とも電話に出ないんだ?」


神様・神使「・・・・・・」

219: 2017/03/11(土) 20:38:54 ID:Zj492Vqg

長官「中々楽しい事をしていたみたいだね?」

神様・神使「・・・・・・」


神使長「まぁ、とやかく言っても仕方ないから連絡事項だけ伝えておく」

長官「まずこれ」ドンッ!

神様「この紙の束は何でしょうか、長官君・・・」

長官「ん? それいっぱいに反省文を書いて」

神様「え!? コレ何枚あるの?」

長官「500枚」

神様「・・・・・・」

220: 2017/03/11(土) 20:40:16 ID:Zj492Vqg

神使長「あと、これね」ペラッ

神使「これは・・・」

神使長「2人の辞令だ」

神使「辞令!?」


長官「今まで出向ご苦労様だったね」ニコッ

神様「まさか、出向が解かれてるの!?」

長官「長い間不便な思いをさせて済まなかったね、神ちゃんと神使君」

神様「おっ、神宮帰還?」

神使「・・・・・・」

221: 2017/03/11(土) 20:41:37 ID:Zj492Vqg

神様「どったの?」

神使「いえ・・・ この辞令は・・・」


長官「本日付で2人は調査室に転属だ」

神様「調査室? そんなの神宮にあったっけ?」

神使長「いやいや、神宮にはそんな部署は無いよ」

神使「辞令に“神様・神使を神宮付きから解くものとする”と書いてあるのですが・・・」

神様「ふぇ?」


長官「好き勝手するのに神宮の名前は邪魔だろうからね」

神様「それって・・・」

神使「・・・・・・クビですか?」

神使長「いやいや、優秀な2人をそんな事するはず無いじゃないか」

222: 2017/03/11(土) 20:42:32 ID:Zj492Vqg

長官「辞令とは別にリストが付いているだろ?」

神使「沢山神社の名前が書いてありますが・・・」

長官「要調査神社の一覧だ」

神使「要調査?」


神使長「今後2人でその神社を調査するのが仕事になる」

神様「うげっ! なにこの数!」

長官「やりがいがあるだろ?」

神様・神使「・・・・・・」

223: 2017/03/11(土) 20:43:21 ID:Zj492Vqg

長官「それじゃ、私達は帰るよ」

神使長「健闘を祈る」

神様・神使「・・・・・・」


長官「そうだ、2人とも半年間は給料が出ないから」

神使長「反省文は今月中に提出するように」

神様・神使「・・・・・・」


バタン
ブーン


神様・神使「・・・・・・」

224: 2017/03/11(土) 20:45:41 ID:Zj492Vqg

――― 車内


ブーン


神使長「本当によろしいのですか? 長官」

長官「あの2人は私達が長い時間をかけても解決できなかった問題を、全てたった数日で解決してくれている」

神使長「そうですが・・・」


長官「あの2人なら大丈夫だよ」

神使長「可愛い子には旅をさせろ、ですか?」

長官「いや・・・ 神宮は大きくなりすぎた。 スリムアップかが急務だ」

神使長「大変な作業ですな」

長官「その間はあの2人を巻き込みたくないからね」

神使長「その為の一時的な措置ですか・・・」

225: 2017/03/11(土) 20:46:46 ID:Zj492Vqg

長官「神ちゃんは自ら神宮を出て行ったんだ。 また戻ってきたいと思える姿にするのが私達の使命だ」

神使長「・・・・・・」

長官「神ちゃんの理想とした神宮の姿を取り戻す」

神使長「可能ですか?」

長官「さぁ、どうかな。 ・・・それよりもだ」

神使長「気が重いですな」

長官「相手はパチカンだしな・・・」

神使長「今回の件でパチカンとの追加契約書だけでも300ページはありますからね」

長官「神ちゃん、こっちの身も考えてくれよ・・・」

神使長・長官「ハァ~・・・」ゲンナリ


ブーン


―――――
――――
――

226: 2017/03/11(土) 20:47:46 ID:Zj492Vqg


神様「神使君?」

神使「何でしょうか?」

神様「これって神宮から追い出されたって事?」

神使「その認識で合っていると思います」


神様「私、ついに野良神になった?」

神使「私も野良神使ですかね・・・」


神様「半年間、給料出ないって言ってたよね?」

神使「はい」

神様「私のローンの支払いは?」

神使「・・・・・・」

227: 2017/03/11(土) 20:49:30 ID:Zj492Vqg

神様「私、銀行に601円しかないよ? 手持ちはゼロ。 財布にレシートとポイントカードしか入ってない」

神使「私の貯金で半年持つでしょうか・・・」


神様「ちゃんと私を養ってね、ハート」

神使「・・・・・・」

神様「・・・・・・」


神様・神使「ハァ~」ゲンナリ

228: 2017/03/11(土) 20:50:58 ID:Zj492Vqg

神使「仕方ありません、早速次の勤務先に行きましょう」

神様「都会がいい。 都会に行きたい」

神使「ワガママ言っている場合ではありません」

神様「え~ こんなに沢山神社あるんだから都会行こうぜ~」

神使「都会の神社は大変ですよ? 人間関係とか色々。 なんと言っても要調査神社ですから」

神様「・・・・・・。 だよね~」

神使「近場から行きましょう」


神様「その前に二人で温泉行こうぜ~」

神使「温泉!?」

神様「疲れちゃったしさぁ~」

神使「しかし・・・」


神様「最近、宿に泊まってないし・・・ お前とゆっくり過ごしたい」

神使「・・・・・・」

229: 2017/03/11(土) 20:52:46 ID:Zj492Vqg

神様「ダメ?」

神使「・・・そうですね。 たまには贅沢も良いでしょう」ニコッ

神様「途中、廃神社によって賽銭パクっ・・・ もらってさぁ」

神使「それはダメです!」

神様「え~ 大丈夫だよ。 昔はよくパクッ・・・ もらったぞ?」

神使「バレたらシャレになりませんよ?」

神様「駅前に結構デカい無人の神社があったんだよ。 行こうぜ~」タッタッタッ

神使「ちょ、神様~」タッタッタッ


神様「早く来いよ~! あそこなら絶対賽銭多いから~」

神使「待って下さ~い」


タッタッタッ




神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
#14「キセキ野教会」 ―END

230: 2017/03/11(土) 20:53:27 ID:Zj492Vqg

一番長い話になってしまいました、すいません……
また暇があったら書きたい、そう思ったのでした

ありがとございました

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#15 「神苑温泉」

232: 2017/03/11(土) 21:20:24 ID:RQs5GLb2
おつ!

引用: 神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」 3社目