246: 2017/04/06(木) 00:01:31 ID:LRssWfN2

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#12 「あにあに神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#13 「いつでも一緒」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#0
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#14 「キセキ野教会」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#15 「神苑温泉」

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

神様「フフフ~ン~♪」ジャバジャバ

神使「神様・・・ お願いですから、もう少しお行儀良く入浴して下さい」

神様「うるせー犬、人がいないんだから良いじゃねぇかよ」バシャバシャ

神使「人はいませんが、他の神と神使が沢山いますので・・・」

 他神・他神使「・・・・・・」

神様「あ?」バサァ!

神使「ちょっと神様! 素っ裸で立たないで下さい///」

神様「神様機構付属神苑温泉! 神と神使のユートピア! ここに羞恥などという言葉はない!!」

 他神・他神使「・・・・・・」

神様「おや~? かわいらしいお猿さんの神使み~つけた~」ニヤリ

キー子「ヒィッ!」ビクッ

神様「か~わ~ゆ~い~ わたしと一緒に遊びましょ~」ピョン!


 イヤ~!
 ウヒャヒャヒャヒャ!

247: 2017/04/06(木) 00:02:24 ID:LRssWfN2

~あらすじ~

神様「私は神様! とっても立派なかわゆい女神!」

神使(訳)「神宮を追い出されたダメ女神です」
江戸前エルフ(9) (少年マガジンエッジコミックス)
248: 2017/04/06(木) 00:04:05 ID:LRssWfN2

【#15】


――― 更衣室


神様「すいませんでした。 調子に乗りすぎました」ドゲザ

支配人「・・・・・・」ギロッ

神様「!? ほ、本当にもう他のお客さんにちょっかい出したりしませんので!」ドゲザ

神使「私からも後でキツく言って聞かせますので」ドゲザ

支配人「周りに迷惑かけないで下さいよ? た・の・みますよ」スタスタ


神様「ひぇ~ おっかね~ あの支配人・・・ マジで殺されるかと思った」ホッ

神使「筋肉ムキムキでしたね」

神様「さすが、熊の神使だ・・・」

神使「部屋に戻りましょうか」

神様「あぁ」トテトテ

神使「ちょと待って下さい神様! 全裸ですから浴衣着て下さい!」

249: 2017/04/06(木) 00:04:45 ID:LRssWfN2


――― 宿泊部屋


仲居「お湯の方はいかがでしたか?」

神使「・・・とても良いお湯でした。 すいません」

仲居「?」


神様「ここの温泉って昔はもっとヌルヌルしてトロトロだった気がするんだけど」

仲居「最近、ちょっと泉質が落ちてまして・・・」

神使「何か原因でもあるんですか?」

仲居「えぇ・・・ まぁ・・・」

神使「?」

250: 2017/04/06(木) 00:05:37 ID:LRssWfN2

仲居「お食事は17時から20時までの間に1階の食堂へどうぞ」

神使「あっ、はい。 分かりました」

仲居「それでは、ごゆっくり」スタスタ


神使「神様、仲居さんの様子が少し変でしたね」

神様「そう? 特に違和感は感じなかったけど」

神使「気のせい・・・ ですかね」

251: 2017/04/06(木) 00:06:59 ID:LRssWfN2

神様「しかし、機構の保養所に連れてこられるとは思ってなかった・・・」

神使「一般の旅館になんか泊まれるわけないじゃないですか。 そんなお金ありません」


神様「ハァ~ 周りが神と神使ばっかで休める感じがしないんだけど」

神使「そんなこと言わずに。 見て下さい、外の景色とても綺麗ですよ」ガラガラ

神様「・・・何もねぇな」

神使「だから良いんじゃないですか」

神様「周りにある宿は、普通の旅館なのか?」

神使「そのようですね。 この旅館は表向き企業の保養所になっているそうです」

神様「企業ねぇ~」


神使「1週間ほど予約しましたからゆっくり骨休みしましょう」

神様「こんな所に1週間もいるのかよ・・・」

252: 2017/04/06(木) 00:08:17 ID:LRssWfN2

――― 1時間後


神様「・・・・・・」ボー

神使「神様どうしたんです? さっきから外ばかり見て」

神様「んぁ~?」

神使「反省文まだ1枚も書いてないじゃないですか。 期限は今月中ですよ?」スタスタ

神様「ん~」ボー

神使「ずっと同じ所を見ているようですが何かあるんですか?」ニュッ

神様「あんだよ、あっち行けよ」シッシッ


神使「あれ? 向かいの山の中腹に神社がありますね」

神様「・・・・・・」

253: 2017/04/06(木) 00:09:26 ID:LRssWfN2

神使「あの神社を見ていたんですか?」

神様「わたし見えな~い」

神使「・・・いえ、結構な規模の神社ですが」

神様「見えな~い。 神使君、頭だけじゃなくて目もおかしくなっちゃったんじゃないの?」


神使「・・・・・・」ペラッ

神様「? 何、その紙」

神使「フロントでもらった観光案内です。 え~と・・・ この温泉地帯の守護神様がお祀りされている神社のようですね」チラッ

神様「・・・・・・」プイッ

神使「気になるのでしたら後で行ってみましょうか?」

神様「気になってねぇし! 神社なんて行くのイヤだし!」

254: 2017/04/06(木) 00:10:10 ID:LRssWfN2

神使「神様?」

神様「休暇中なんだし神社のことは忘れようぜ~」

神使「あの神社、長官さんからもらった要調査神社に名前が記載されています」

神様「だから?」

神使「行きます」


神様「神使君、あそこはダメだ。 あそこに私達は近づいてはいけない」

神使「?」

神様「大いなる災いが私達を襲うであろう。 触らぬ神に祟りなし」

神使「触れて下さい。 仕事です」

255: 2017/04/06(木) 00:10:55 ID:LRssWfN2

神様「絶対行かないぞ! 私は何があろうと、この宿から一歩も外に出ない!」

神使「そうですか」

神様「うむ。 神の発した宣言は絶対なのだよ」ウンウン

神使「それでは、私一人でちょっと付近を散歩に行ってきます」

神様「おみやげよろ~」


神使「この温泉街は“牡蠣アイス”というのが名物のようですね」

神様「!?」

神使「アイスはさすがに溶けてしまうので、神様には温泉卵でも買って参りますね」スタスタ

神様「ちょ、ちょっと待って! 牡蠣アイスって何? 私も行く~!」タッタッタッ

261: 2017/04/08(土) 00:23:00 ID:Qj2qGMXw


――― 泉源山


テクテク


神様「・・・・・・」

神使「ここが温泉の泉源がある泉源山ですか」

神様「おい、犬」

神使「?」

神様「牡蠣アイス食いに来たんじゃないのかよ」

神使「そのつもりですが」

神様「ここって宿から見えた神社がある山じゃん。 騙したな?」

神使「騙すだなんて人聞きの悪い、アイスは神社で売っているんです」

神様「はぁ?」

262: 2017/04/08(土) 00:24:37 ID:Qj2qGMXw

神使「では、行きましょう」

神様「ヤダ! 行きたくない!」

神使「“牡蠣アイス”食べないんですか?」

神様「く、くそっ・・・ そんな卑怯な手を・・・」ムググ

神使「早く行きますよ」

神様「そうだ! お前が買ってくれば良いんじゃん。 私ここで待ってる」


神使「あっ、参道の出店に牡蠣フライ棒が売ってますね」

神様「よし、行くぞ神使よ。 もたもたするな」トテトテ

263: 2017/04/08(土) 00:25:54 ID:Qj2qGMXw


――― 参道


テクテク


神様「なぁ~ まだ階段上るのかよ・・・」ハァハァ

神使「あと半分くらいですね」

神様「牡蠣フライ棒、あと1本しかないんだけど」

神使「え!? もう食べちゃったんですか?」

神様「はぁ? 5本しか買ってないんだぞ?」

神使「・・・・・・」


神様「それより、参道綺麗に掃除されてるな」

神使「これだけ長い参道をここまで綺麗に維持するなんて、結構な数の神職さんや巫女さんが居るんでしょうね」

神様「さすがだねぇ~」

264: 2017/04/08(土) 00:26:56 ID:Qj2qGMXw


――― 10分後


テクテク


神使「そろそろ階段も終わりみたいですね」

神様「へふぼぐばー」ゼェゼェ

神使「・・・なんて言っているんですか?」

神様「やっぱり・・・ 帰ろうぜ・・・」ゼェゼェ


神使「あっ、階段登り切ったところにまた牡蠣フライ棒の屋台がありますね」

神様「よし! もう少しだ! 気合い入れろ!」スタスタ

神使「・・・・・・」

265: 2017/04/08(土) 00:28:54 ID:Qj2qGMXw


――― 境内


神様「おっちゃん! 牡蠣フライ棒2本!」

屋台店主「あいよ」

神使「私はもう食べられないので1本だけで・・・」

神様「あ? 私が食べる分だよ」

神使「・・・そうですか」

屋台店主「はい、揚げたてどうぞ」

神様「ども~♪」


神使「しかし、どうして牡蠣フライ棒なんですか? 私、初めて見ました」

屋台店主「あ~ ここの神社は屋台出すためには牡蠣関係じゃないと許可おりないんだよ」

神使「・・・・・・」

神様「んめ~ 牡蠣フライんめ~ やっぱ揚げたてが一番だよね」パクパクッ

266: 2017/04/08(土) 00:30:51 ID:Qj2qGMXw

神使「・・・神様?」

神様「言っておくけど、私は関係ないぞ」アムアム

神使「本当ですか?」

神様「それより、早く牡蠣アイス食って帰ろうぜ」


神使「店主さん、こちらで牡蠣アイスが売っていると聞いたのですが」

屋台店主「あ~ 境内の右手にある授与所で売っているよ」

神使「ありがとうございます」

267: 2017/04/08(土) 00:32:25 ID:Qj2qGMXw


―――授与所


神使「この授与所ですかね?」

神様「誰もいねーじゃん。 お~い巫女さ~ん、奥にいないの~?」


 幼女「ねぇ、ねぇ。 お兄ちゃん達参拝に来たの?」


神使「え?」クルッ

幼女「参拝に来たの?」

神使(かわいらしいお稚児さんですね)

幼女「・・・・・・」ジーッ

神使「神様、後ろ見て下さい。あの子、巫女服着てかわいらしいですよ」

268: 2017/04/08(土) 00:33:22 ID:Qj2qGMXw

幼女「お兄ちゃん?」

神使「あっ、ごめんなさい。 聞こえてますよ」ニコッ


幼女「・・・なんじゃ、こちら側の者か。 珍しいな」

神使「えっ!?」

幼女「我を子供扱いするんじゃない無礼者」ムスッ


神使「あの神様、って・・・ 神様どうして後ろ向いたままなんです?」

神様「わ、わたくしそろそろ帰りますわね。 おホホホホ」

神使「何ですかその言葉使い・・・ しかも裏声で・・・」

神様「しっ! 帰るぞ」ボソッ

269: 2017/04/08(土) 00:34:58 ID:Qj2qGMXw

幼女「おや~? もしかしてお前・・・」

神様「・・・・・・」


幼女「おい、そこの女。 こちらを向いてワシに顔を見せろ」

神様「・・・そ、そんな幼女神さまに見せる顔など」

神使「だから何ですかその裏声は・・・ って“ようじょしん”さま?」

神様「あぁぁぁぁぁぁ!!!! セイッ!」ゲシッ

神使「痛っ!」


幼女神「お前、ワシを知っておるのか?」ニヤッ

神様「イヤですわ、わたくしそんな事言っておりませんの事ですわよ?」

270: 2017/04/08(土) 00:36:47 ID:Qj2qGMXw

幼女神「そうか、いやワシの知っている者と後ろ姿がよく似てるのでな」

神様「その方は美人さんなのですわね」

幼女神「いや、その者は中身が腐っておってな? 全身からクズのオーラが滲み出ておるのじゃ」

神様「わ、私と正反対ですわね」プルプル

幼女神「ふむ。 しかもそいつは何を勘違いしておるのか、自分がとても“かわゆい”と信じ切っておるのじゃ」

神様「てめぇ! 幼女だからって調子にのってるとケチョンケチョンにしばき倒すぞ!」クルッ


幼女神「やはりお前か」ニヤッ

神様「うぐっ!」

271: 2017/04/08(土) 00:38:19 ID:Qj2qGMXw

神使「あの・・・神様、これは・・・」

神様「あ? 見てわかんないかよ。 巫女服着た幼女だよ、幼女」

神使「どうしていつも紹介が雑なんですか・・・」


幼女神「ワシは、この社の主神じゃ」

神使「主神様でしたか! 初めまして、私こちらの神様に使える狛犬の神使と申します」フカブカ

幼女神「ほぉ、倭国神の使いか」

神使「わこくしん?」

神様「その名前で呼ぶの止めてくれない? 前にも言ったよね?」

幼女神「お前、誰に向かって口を利いているんだ?」

神様「うぐっ・・・ す、すいません」

神使「!?」

273: 2017/04/11(火) 00:45:52 ID:MFu2sOGw

幼女神「久しぶりじゃな」

神様「ご無沙汰しております」フカブカ

神使「えっ? え?」


幼女神「なんじゃ、狛犬の神使よ」

神使「いえ、神様が他人にこんな態度を取るのを初めて見た物で・・・」

神様「ばか! 余計なことを喋るな!」

幼女神「まぁ無理もなかろう。 そいつはこの国の最高神だからな」

神使「はぁ」

幼女神「ほぉ、これは驚いた。 神使の身分であるお前がこいつの正体を知っておるのか!?」

神使「はい・・・ 一応、神様の使いですので」


幼女神「なるほど、そういうことか」ニヤッ

神様「チッ」イラッ

274: 2017/04/11(火) 00:47:00 ID:MFu2sOGw

神使「主神様はとても・・・ その、何と言いますか・・・ お若いですね」

幼女神「お前も外見で判断する類いの者か?」

神使「いえ、そのようなことは・・・」

幼女神「クックックッ、すまぬ。 冗談じゃ楽にしろ」

神使「・・・恐れ入ります」ペコリ


神様「そ、それでは私達はこれで」

幼女神「待て待て、折角来たんじゃ。 茶の一杯くらい飲んでいくが良い」

神様「いえ、私達も色々と忙しいもので」ペコリ

幼女神「特製の牡蠣アイス、食べたくないか?」

神様「お言葉に甘えます!」クワッ!

275: 2017/04/11(火) 00:49:56 ID:MFu2sOGw

――― 社務所


幼女神「茶を入れてくるから、この部屋で待っておれ」テクテク


神使「神様、幼女神さまというのは・・・?」

神様「私よりも前からこの国にいる神だよ。 元々は、あれが最高神だった」

神使「え!?」

神様「内緒にしておけ、私以外知らないはずだし」

神使「ど、どういうことです!?」

神様「あれが引退して、私が後を継いでいるんだよ」

神使「引退って・・・ いつのことですか?」

神様「えっと~ 私が卑弥呼になった少し前だから~」

神使「・・・・・・」

神様「何だよ」

神使「いえ・・・ 何となく気付いてはいましたが、聞かない方が良かったなぁと思っただけで」

神様「どういう意味?」

277: 2017/04/11(火) 00:52:17 ID:MFu2sOGw

幼女神「あまりワシの居ないところで昔話をするでない」テクテク

神様「別にいいじゃん」

幼女神「言葉使い」

神様「それを言うならあんたもだろ! その見かけで、その言葉使いは違和感ありまくり!」

幼女神「ほぉ~ そんなことを言っても良いのか?」ニヤッ

神様「何だよ」

幼女神「よいしょ」スッ


テクテク
ガラガラ


神様「あんだよ、寒いから窓開けんなよ」ブルッ

幼女神「外に参拝者が居るのぉ」ニヤッ

神様「?」

278: 2017/04/11(火) 00:53:23 ID:MFu2sOGw

幼女神「ふぇ・・・」グスッ

神様「!?」

幼女神「びえぇぇーん! おねぇちゃんがいじめるよ~ びぇぇぇーん!」

神様「ちょ! お前! 何さらしとんじゃ!!」ガシッ


ガラガラ ピシャッ



幼女神「ヘッ」ニヤッ

神様「何ていう姑息な手を」グヌヌ

神使「・・・・・・(何でしょう、この方から神様と同じニオイがします・・・)」

幼女神「このガキとワシを一緒にするでないわ」

神使「!?」

279: 2017/04/11(火) 00:54:49 ID:MFu2sOGw

神様「あ~ こいつ勝手に心を覗くから注意した方が良いぞ」

神使「心を!? そんなこと可能なんですか?」

幼女神「当たり前じゃ。 この位そこのクソガキだって出来るだろう?」

神様「・・・・・・」

神使「神様も!?」


神様「私は・・・ 覗かない」

幼女神「ほぉ」

神様「必要のない力だ」

幼女神「なるほどな」

神様「あー! もう! 早く牡蠣アイス出せよ!」バンバン

幼女神「まぁまぁ、少し待つが良い」

神様「だから来たくなかったんだよ・・・」

280: 2017/04/11(火) 00:55:39 ID:MFu2sOGw

神使「あの、幼女神さま?」

幼女神「なんじゃ?」

神使「神職や巫女の方の姿が見受けられないのですが、祭儀中とかでしょうか?」

幼女神「おらぬ」

神使「え?」

幼女神「この社に神職や巫女はおらぬ」

神様「あんた一人なのか?」

幼女神「神使がいる。 もうじき戻ってくると思うが」


 ?「ただいま戻りました~」


幼女神「噂をすれば、戻ってきたようじゃ」

神使「女性の神使なのですね」

281: 2017/04/11(火) 00:57:19 ID:MFu2sOGw


ガラガラ


キー子「幼女神さま、ただいま戻りました」

幼女神「ご苦労」

キー子「あっ、失礼しました。 お客様でしたか」ペコリ

幼女神「気にすることはないぞ」


神様「あっ」

キー子「? ・・・あっ!」


幼女神「なんじゃ、顔見知りか?」

神様「べ、べ、別に・・・ は、初めましてだよ」アセアセ

神使「先ほど、神様が機構の温泉で悪戯した方です・・・ 素っ裸で飛びついて長時間スリスリしてました」

神様「何その言い方! スキンシップって言えよ!」

282: 2017/04/11(火) 00:58:19 ID:MFu2sOGw

幼女神「・・・・・・お前」ゾッ

神様「おい、そこ! 引くな!」


キー子「支配人のゴリ夫さんに首を捕まれて温泉から連れ出されていましたが、大丈夫でしたか?」

神様「そういうこと言わないで・・・ 私の立場が悪くなるだけだから・・・」


幼女神「お前は相変わらず、おバカじゃのぉ」ハァ

神様「幼女に吐き捨てるように言われると精神的にキツいんですけど・・・」

285: 2017/04/14(金) 08:59:53 ID:cNhZPYgc

幼女神「キー子、帰って早々すまぬが牡蠣アイスを用意してくれるか?」

キー子「はい、ただいまお持ちいたします」ペコリ

神様「特盛りでお願いね」

キー子「はい、分かりました」フフッ


スタスタ



神使「しかし、何故牡蠣なのですか?」

幼女神「この世で一番美味いものだからだ」

神様「さすが、良くお分かりで」ウンウン

神使「・・・・・・」

286: 2017/04/14(金) 09:01:06 ID:cNhZPYgc

幼女神「昔はよくお前と海で牡蠣を食べたな」

神様「そうだっけ?」

幼女神「なんじゃ、もう忘れたのか?」

神様「いつの話だよ」

幼女神「まだ人が石を投げてウホウホ言っている時代じゃ」

神使「え!? それって石器時代とかですか?」


神様「嘘つくなよ! そんな時代に私はまだいねーよ!」

幼女神「そうじゃったか?」

神使「・・・・・・」

神様「神使君? コイツの話を真に受けないでね? さすがに私はそこまで古くないから」

287: 2017/04/14(金) 09:01:56 ID:cNhZPYgc

幼女神「ハハハッ! 愉快じゃ!」ゲラゲラ

神様「アンタさぁ、そういう嘘言って楽しいわけ?」

幼女神「すまぬ、すまぬ」ハハッ


神使(幼女神さま、楽しそうですね)

幼女神「ワシも楽しむことくらいある」

神使「あっ、すいません・・・」ペコリ

神様「ったく・・・」

288: 2017/04/14(金) 09:03:00 ID:cNhZPYgc


スタスタ


キー子「お待たせいたしました」


神様「待ってました!」

キー子「どうぞ」コトッ

神使「普通のアイスクリームのようですが?」

キー子「中に牡蠣が入っているんです」


神様「どれどれ~」ホジホジ

幼女神「何じゃお前は。 折角綺麗に盛り付けてあるのに、ほじくり返すな」

神様「お~ カチOコチンの牡蠣発見!」

神使「神様、お願いですからもう少しお行儀良くして下さい・・・」

神様「うるせー」パクッ

神使「では私も、いただきます」パクッ

289: 2017/04/14(金) 09:04:08 ID:cNhZPYgc

神様「・・・・・・」

神使「・・・・・・(生臭い)」


キー子「お口に合いませんでしたか?」

神使「いえ・・・ 何と言いますか、独特な・・・ どうですか神様?」


神様「うっ・・・ うめえーー!!」

神使・キー子「!?」ビクッ

神様「うめー! うめー!」パクッパクッ

幼女神「そうじゃろう、そうじゃろう」ニコニコッ

290: 2017/04/14(金) 09:05:02 ID:cNhZPYgc

幼女神「狛犬の神使には普通のやつが良いじゃろ。 キー子、入れてやれ」

キー子「はい」スッ

神使「日本酒・・・ ですか?」


キー子「一般にお出ししている物はお酒に浸しておりまして」トクトクッ

神使「そうだったのですか」

幼女神「まぁ、これで食べられるじゃろ」

神使「それでは、改めていただきます」パクッ


キー子「いかがです?」

神使「臭みが消えて美味しい!」

幼女神「そうじゃろ?」

291: 2017/04/14(金) 09:05:51 ID:cNhZPYgc

神様「私もそれ食べたい」

神使「ダメです、神様お酒弱いじゃないですか」

神様「私だってお酒くらい大丈夫だよ」

幼女神「止めておけ、牡蠣の濃厚な味が弱くなるぞ」

神様「ふ~ん、じゃこのままで良いや」パクパク


神使「生臭くないですか?」

神様「そこがいいんじゃん」

神使「はぁ・・・」

292: 2017/04/14(金) 09:07:29 ID:cNhZPYgc

神様「それより、さっき温泉に入ってきたんだけどさぁ」

幼女神「保養所のか?」

神様「なんか昔よりヌルヌルしなかったんだけど」

神使「仲居さんも、最近泉質が悪いようなこと言っていました」

キー子「・・・・・・」

幼女神「結構頑張って温泉を作っているんじゃがのぉ」

神様「あ? 泉質とアンタって関係あるのか?」

幼女神「当たり前じゃ。 温泉の効能はワシ自身の神力だからのぉ」

神様「は?」

神使「どういうことです?」

293: 2017/04/14(金) 09:08:32 ID:cNhZPYgc

幼女神「元々この地の温泉はただの白湯じゃ。 そこにワシが神力を入れてこの地一帯に出している」

神使「神力入りの温泉・・・ 通りで効能が日本一のはずです」

幼女神「しかし、最近は旅館が増えてのぉ。 理想の泉質に中々追いつかないのじゃ」

神様「アンタそんな事してたのかよ」


キー子「幼女神さま、そろそろ明日汲みあがる分の温泉を作りませんと」

幼女神「そうじゃな、行ってくるか」ヨイショ

神使「どのようにして神力を入れるのですか?」

幼女神「見てみるか?」ニヤッ

296: 2017/04/18(火) 00:14:35 ID:BIVRsQn.


――― 源泉殿


神様「何? この掘っ立て小屋」

幼女神「おい、失礼だぞ」

神使「こちらで温泉をお作りに?」

キー子「はい。 中には源泉をくみ上げた湯を張っておりまして、幼女神さま専用の入浴場所です」

神様「入浴?」

幼女神「そうじゃ。 さて準備するかの」ポイポイッ

神使「・・・・・・」


キー子「幼女神さま? 失礼ですが、お客様もおりますので浴衣を着用されては?」

幼女神「いまさら他人に裸を見られたところでなんとも思わんわ」

キー子「しかし・・・・・・」

神使「私達の事はお気になさらず。 神様もいつも裸ですので」

神様「神使君、その言い方おかしくない? 悪意あるよね?」

297: 2017/04/18(火) 00:16:24 ID:BIVRsQn.


幼女神「さて、入浴ターイム!」サブ-ン!

神使・神様「・・・・・・」


幼女神「ふい~ 気持ちいいのぉ~」チャプン

神様「おい・・・ もしかして、温泉の元ってお前が入浴して神力入れてんの?」

幼女神「そうじゃ。 ワシも気持ちいいし一石二鳥だと思わんか?」

神様「マジかよ・・・・・・」

幼女神「?」


神様「ここの温泉って幼女の出し汁かよ!」

幼女神「出し汁とか言うな! 無礼者!」

298: 2017/04/18(火) 00:18:03 ID:BIVRsQn.

神様「あのヌルヌルでトロトロした温泉の元が幼女の絞りかすだったとは・・・」

幼女神「クソガキ! それ以上ワシを侮辱すると牡蠣を絶滅させるぞ!」

神様「・・・・・・。 幼女神さまの有り難き神力を下々の者が享受できる最善の方法、感服いたしました」フカブカ

幼女神「そうじゃろ? 中々良い案であろう?」フフン

神様「はい、このような素晴らしき方法は私には思いも付きません」

幼女神「うむ。 どうだ? お前も一緒に入らぬか? 特別に許可しよう」

神様「いえ、私のような半人前が幼女神さまと一緒に入浴などおこがましく」

幼女神「遠慮はいらん。 さぁ一緒に入ろうではないか」

299: 2017/04/18(火) 00:18:58 ID:BIVRsQn.

神様「・・・・・・キー子ちゃんは一緒に入ら―――」

キー子「あっ! 私、境内のお掃除の時間ですのでお先に失礼いたします」ペコリッ

神様「わ、私も! キー子ちゃんとお掃除に行って参ります! お湯はその後で頂きます!」

幼女神「そうか・・・ まぁ入浴は掃除の後の方が良いな。 頑張ってこい」シュン


キー子「で、では失礼いたします」ペコリ

神様「失礼します!」ペコリ


タッタッタッ


神使「あっ、神様・・・」

300: 2017/04/18(火) 00:20:02 ID:BIVRsQn.

幼女神「おい、狛犬の神使や」

神使「はい!?」

幼女神「お前はどうじゃ?」

神使「え!?」

幼女神「一緒に風呂に入らぬか」

神使「私がですか?」

幼女神「遠慮することはない。 源泉になど中々入ることは出来ぬぞ?」

神使「しかし・・・・・・」

幼女神「腰痛・肩のこりが酷いようじゃな。 その位、この湯に浸かるだけで一発で治るぞ?」

神使「お言葉に甘えます」ペコリ

307: 2017/04/23(日) 03:38:21 ID:L/FPh.t.


神使「気持ちいいですね」フ~

幼女神「そうじゃろう、肩まで良く浸かれよ」


神使「幼女神さまは毎日このように温泉をお作りになっているのですか?」

幼女神「うむ。 朝昼夕と日に3度じゃな」

神使「そんなに!?」

幼女神「大きな宿が出来てのぉ、中々追いつかないのじゃ」

神使「それは大変ですね」

幼女神「なぁに、皆が温泉に浸かって少しでも疲れが癒えるのならそれでいい」

神使「・・・・・・」

308: 2017/04/23(日) 03:40:25 ID:L/FPh.t.

幼女神「何で温泉の神なんかやっているのかって?」

神使「あっ、すいません・・・」


幼女神「牡蠣と・・・」

神使「?」

幼女神「アイツは、牡蠣と温泉が好きなんじゃ」

神使「・・・・・・」

幼女神「・・・・・・」


神使「そうですね」

幼女神「アイツが好きな物はワシも大好き、それだけじゃ」

309: 2017/04/23(日) 03:42:01 ID:L/FPh.t.

神使「・・・・・・」

幼女神「何か気になることでもあるのか?」

神使「え?」

幼女神「ワシに隠し事など出来ぬぞ?」ニヤッ

神使「・・・・・・」


幼女神「そうか。 今日は気分が良い、少しだけ昔話をしてやろう」

310: 2017/04/23(日) 03:43:21 ID:L/FPh.t.

幼女神「遙か昔、人がワラや木を組んで住居を作り始めた頃、ワシはこの国の未来をあのガキに託した」

神使「そんなに古く・・・」

幼女神「古い、か・・・」

神使「?」

幼女神「アイツが神になってから今までの期間より、ワシはもっと長くこの国の神をしていたんじゃぞ?」

神使「え!?」


幼女神「神の仕事を託てしからのアイツは・・・ それはもう酷いもんじゃった」

神使「・・・・・・」

311: 2017/04/23(日) 03:45:23 ID:L/FPh.t.

幼女神「卑弥呼に据え国を治めさせれば失敗。 その後も何度か国を治めていたが失脚、逃亡・・・ 最低じゃった」

神使「そうでしょうね・・・」

幼女神「アイツの側近はいつも大変そうじゃったな」

神使「最高神がアレですから、周りがきちんとしないと歯止めがきかないですよね・・・」

幼女神「そう。 そこじゃ!」

神使「はい?」


幼女神「アイツは短期間でこの国をここまでの姿に変えた。 それはアイツがダメ神だったからなんじゃ」

神使「どういうことでしょうか?」

幼女神「こう見えて、ワシは完璧主義者でな? 何かを成すときは必ず順を追って物事を進めるのじゃ」

神使「ご立派です」

幼女神「いいや、それがダメだったんじゃ。 それをやるのはワシではなかった・・・ ワシがやってはいけなかった」

神使「?」

312: 2017/04/23(日) 03:48:31 ID:L/FPh.t.

幼女神「ワシはアイツよりも長く最高神をしていながら・・・」

幼女神「・・・・・・」ハァ

神使「幼女神さま?」


幼女神「あのクソガキは優秀だ。 ワシは到底アイツにはかなわない」

神使「そのようなことはないと思うのですが・・・」

幼女神「いいや、お前も気付いているのであろう? アイツの偉大さが」

神使「・・・・・・」


幼女神「多神の存在、神社や神宮の機能。 全てアイツが作った・・・ いや、上手く言って作らせた物だ」

神使「そう言われれば・・・ 素晴らしい仕組みですね」

幼女神「神使の存在もアイツが作ったのだぞ?」

神使「え!?」

313: 2017/04/23(日) 03:50:39 ID:L/FPh.t.

幼女神「お前とあのガキは良い夫婦じゃ」

神使「め、めおと!?///」


幼女神「真っ赤になって源泉にでもやられたか? 上がって体を休めると良い」ニヤニヤ

神使「そ、そうさせてもらいます」ザバー

幼女神「きちんと体を拭くんじゃぞ」


神使「・・・・・・」チャポン

幼女神「どうした?」

神使「無礼を承知の上で、一つ伺いたいのですが」

幼女神「?」



神使「神様はどのように生まれたのですか?」

317: 2017/04/24(月) 05:20:06 ID:0zBm2Adk

幼女神「アイツの生まれか?」

神使「はい。 もし差し支えなければ・・・」

幼女神「ふむ。 アイツは・・・ ワシが朝、目を覚ましたら隣にいた」

神使「え?」

幼女神「目を覚ましたらジーッとワシを見ていての~」

神使「どこからか歩いて来たとかですか?」

幼女神「分からぬ。 とても不思議な感じじゃった」

神使「不思議?」

幼女神「まるでワシが分裂したかのような・・・ 最初は意識もある程度共有されていた気がする」

神使「それって・・・・・・」

318: 2017/04/24(月) 05:21:20 ID:0zBm2Adk

~~~



神様「二百年くらい前にね、気付いたら別れてた」



神使「原因が分からないんですが、一体何がおこったんですか?」

猫神「分からないんだよね~ 神ちゃん自身も驚いてたくらいだし」



~~

319: 2017/04/24(月) 05:22:30 ID:0zBm2Adk

神使「・・・・・・」


幼女神「そうか、そんなことがあったのか」

神使「あっ」

幼女神「すまん、お前の心を見てしまった」

神使「もしかして、同じでしょうか・・・」

幼女神「そうだな」

神使「ということは、神様はもいずれ・・・」

幼女神「お前が気にすることはない」

神使「そう・・・ ですよね。 幼女神さまも最高神をお譲りになってもお元気ですし」

幼女神「・・・ワシは、まだあのガキに渡していない物があるからな」

神使「渡していない物?」

320: 2017/04/24(月) 05:23:15 ID:0zBm2Adk

幼女神「それをアイツに渡せば、ワシは・・・ この世から消えるであろう」

神使「!?」

幼女神「ただ、受け取ってくれなくてのぉ」

神使「一体何を・・・」

幼女神「教えないよーだ」ベー

神使「・・・・・・」


幼女神「そろそろ上がった方が良い。 源泉故少し湯あたりがキツいと思うしな」

神使「はい」ザバッ

321: 2017/04/24(月) 05:23:57 ID:0zBm2Adk

幼女神「狛犬の神使よ」

神使「?」

幼女神「知っているとは思うが、あのガキはお前を好いておる。 そして、お前もな」

神使「・・・///」

幼女神「アイツはワシにとって・・・ いや、この国にとっても大切な宝じゃ」

神使「・・・・・・身分不相応な感情お許し下さい」

幼女神「そんなことはない。 ただ、一つだけ言わせて欲しい」

神使「はい」


幼女神「アイツをよろしく頼む」

神使「幼女神さま・・・」

325: 2017/04/28(金) 20:30:37 ID:.o9yvy.U


――― 更衣室


神使(のぼせてしまいました・・・ 早く着替えて私もお掃除を手伝いましょう)スタスタ

ガラガラ


神様「んがっ!?」ビクッ

神使「うわっ! 神様! キー子さんと掃除に行かれたんじゃないんですか!?」

神様「え? パ、パンツ忘れちゃって」

神使「・・・神様は温泉入っていないじゃないですか。 それにパンツだって今日は履いてないですし」

神様「履いてるよ! 見ろよ! 超かわゆいパンツだろ!」ズルッ

神使「履いているじゃないですか」


神様「?? あっ! お前騙したな!」

神使「こんな手に引っかかるなんて・・・」

326: 2017/04/28(金) 20:31:29 ID:.o9yvy.U


神様「ったく・・・ 幼女のやつベラベラ喋りやがって」ボソッ

神使「盗み聞きしていたんですか?」

神様「ん? してないよ?」

神使「・・・今ベラベラと喋りやがって、って」

神様「言ってないよ?」

神使「・・・・・・」


神様「そんなことはどうでも良いの! 話があるから着替えたら社務所の裏まで来い」

神使「話?」

神様「いいから! 早くしろよ」タッタッタッ

327: 2017/04/28(金) 20:32:26 ID:.o9yvy.U


――― 社務所裏


神使「・・・・・・」


神様「うひゃひゃ! このスベスベな肌がたまんねーよ。 気持ちい~い~」スリスリ

キー子「あの・・・ そんなにくっつかれると動き・・・ にくいのですが・・・」

神様「高速スリスリ―!」スリスリスリスリ


神使「神様?」グイッ

神様「ぐへっ!」ズルズル

神使「どうしてそんなにキー子さんにくっつくんですか・・・」

神様「だって、見ろよこの透き通るような白い肌! ツルツルスベスベで辛抱堪らん」グヘヘ

キー子「・・・・・・///」

神使「その発言は変質者としか思えないんですが・・・」

328: 2017/04/28(金) 20:33:28 ID:.o9yvy.U

神様「犬ころ、お前幼女くせーな」スンスン

神使「え!?」

神様「幼女としっぽり裸の付き合いを堪能したんですね、分かります」

神使「温泉に入っていただけですから・・・ 見ていたんじゃないんですか?」

神様「見てねーし。まぁ良いや」


神使「それより、こんな所に呼び出してお話しというのは?」

神様「お前、この神社が要調査神社に指定されているって言ってたよな」

神使「えぇ。 それほど重要性は高くはありませんでしたが」

神様「理由は?」

神使「主神さまの神階調査書が神宮に提出されていないと」

キー子「・・・・・・」

329: 2017/04/28(金) 20:34:25 ID:.o9yvy.U

神様「何? 神階調査って」

神使「神社の格や主神さまの神階を規定するため、身上や主神さまの神力量を記した報告書です」

神様「そんなのあるの? 私、今まで書いた覚えないよ?」

神使「神様、聞いていました? “神社の主神さま”が書く物です。 神様は神社の主神ではございませんので」

神様「・・・あぁ~」ゲシッ

神使「痛っ!」

神様「そんなの出さなくたって問題ないだろ」

神使「はい、ですから重要度はそれほど高くないと」

神様「ん~」チラッ

キー子「・・・・・・」

330: 2017/04/28(金) 20:35:29 ID:.o9yvy.U

神様「聞きましょうか?」

キー子「え?」

神様「何かあるんでしょ? 私これでも神宮が誇る最強の女神だよ?」

キー子「神宮の!?」

神使「元です。 先日、神宮から―――」

神様「ア~チョ~ッ!」ゲシッ

神使「痛い!!」ガクッ


神様「確かに、私はかわゆくて神に見えないと思うけど立派な女神なの」

キー子「はい。 幼女神さまと同じ気を感じます」

神様「・・・・・・」

神使「気? ですか?」


キー子「一緒に来てもらいたいところがあるのですが、よろしいでしょうか」

335: 2017/05/05(金) 16:30:16 ID:dLFOvlH.


――― 高級ホテル・ホテルニューよこどり


神使「ここは?」

キー子「2年ほど前にオープンした高級ホテルです」


神様「すげー・・・ 神使君、今日から私達ここに泊まらない?」

神使「きっと1泊何万もするんでしょうね・・・」

キー子「最低でも一泊4万円するそうです」

神様「一泊4万!?」

神使「機構の保養所に20日間も泊まれますね・・・」

神様「え!? 私達の宿って一泊2千円なの? 安っす!」

神使「しかも食事付きです」

神様「いくら神宮からの補助が出てるっていっても安すぎだろ・・・」

336: 2017/05/05(金) 16:32:00 ID:dLFOvlH.

神使「こちらの高級ホテルに何かあるのですか?」

キー子「取りあえず中に」スタスタ

神様「一張羅着てくれば良かった」トテトテ

神使「そうですね、神様ジャージですから・・・」


ウイーン


神様「なにこれ・・・」

神使「中も立派ですね・・・」

神様「建物の中なのに噴水があるんですけど」

神使「正面にある案内板だけで神様の神宮の部屋より大きですね・・・」

神様「そういうこと言わないで、悲しくならから」

337: 2017/05/05(金) 16:32:57 ID:dLFOvlH.


――― フロント


従業員「いらっしゃいませ」

キー子「日帰り温泉に入りたいのですが・・・」

従業員「そちらのお客様もご一緒ですか?」

キー子「はい、3名でお願いします」


従業員「・・・・・・」チラッ

神様「ジャージじゃダメ?」

従業員「いいえ、3名様で1万5千円になります」

神様・神使「!?」

338: 2017/05/05(金) 16:34:07 ID:dLFOvlH.

キー子「回数券で」スッ

神様「日帰り温泉が1人5千円!?」

従業員「当ホテルは最高の温泉施設を有しておりますので、きっとご満足頂けると思います」


キー子「行きましょう、こっちです」スタスタ

神使「あっ、はい」スタスタ

神様「高け~」トテトテ

339: 2017/05/05(金) 16:35:17 ID:dLFOvlH.


テクテク


神使「私達の分は後ほどお支払いいたしますので・・・」

キー子「お気になさらず。 温泉組合専用の回数券がありますから」

神使「すいません・・・ お言葉に甘えさせて頂きます」ペコリ


神様「5千円の温泉ってどんなかな~♪」

神使「しかし、この辺の温泉は全て源泉が同じなんですよね?」

キー子「はい。 この時間ですと露天風呂が空いていると思いますのでそちらに行きましょう」

神様「いいね~ 露天」

340: 2017/05/05(金) 16:36:24 ID:dLFOvlH.


―――よこどり大露天風呂


神様「大露天風呂入り口か」

神使「では、私は男湯の方で」

神様「覗いちゃいやよ~ 覗いたら罰としてお前は明日から3食コンビーフな」

神使「覗きません。 っていうか何でコンビーフなんですか・・・」


キー子「では、後ほど」

神使「はい。 私の方が早く上がると思いますので、ここのロビーで待っております」

キー子「ふふっ」クスッ

神使「?」

341: 2017/05/05(金) 16:38:06 ID:dLFOvlH.


ガラガラ


神使「お~ これは広いですね。 神様もいませんし、久しぶりにのんびりできそうです」

神様「神使君さぁ、本人のいる前でそういうこと言っちゃダメだと思うの」

神使「え!?」クルッ


神様「いや~ん、豊満な私の体を見たくて変質者が女湯に紛れ込んでるぅ~」クネクネ

神使「女湯!? え? 私、男湯の方から! あれっ!?」キョロキョロ

キー子「安心して下さい。 ここの露天は混浴ですから」

神使「そ、そうでしたか」ホッ


神様「犬ころ、お前覗いたから明日からコンビーフな」

神使「覗いたって・・・ 混浴ですから仕方がないかと思うのですが・・・」

キー子「この一帯の温泉は露天風呂は混浴という決まりがありまして」

神使「そうだったんですか」

342: 2017/05/05(金) 16:39:29 ID:dLFOvlH.

キー子「まだ他のお客さんもいないようですから入りましょう」

神使「はい」

キー子「その角を曲がれば露天風呂です」


神様「おっ風呂~ おっ風呂~♪」トテトテ

神使「神様・・・ 混浴なんですからキー子さんのようにタオルを巻くとかして下さいよ」

神様「何で風呂入るのにタオルなんか巻くんだよ。 お前もその腰に巻いているタオル取れよ!」グイグイ

神使「ちょ、止めて下さいよ! あっ、引っ張らないで下さい!」

キー子「ふふっ」クスクス

神様「キー子ちゃんも一緒に裸になりましょ~」ピョン

キー子「すいません、止めて下さい」キッ

神様「・・・・・・はい」

350: 2017/05/08(月) 01:23:32 ID:LVfBWC2g


スタスタ


神使「お~! すごい大きさのお風呂ですね」

キー子「国内でも有数の大きさを持つ露天風呂だそうです」

神様「よっしゃー! 客いねーし泳ぎまくってやる!」ピョーン


ザブーン


神使「神様、何度も申しておりますがもう少しお行儀良くして下さい・・・」

神様「あれ? この温泉、昔入ったやつと同じだ」

神使「昔?」

神様「トロトロでヌルヌル、保養所の温泉と全然違う」

神使「え?」

351: 2017/05/08(月) 01:25:28 ID:LVfBWC2g

キー子「汲み上げ直後の源泉掛け流しですので」

神様「うわっ、そういえばこれ幼女の出し汁だった・・・」

神使「では、私も失礼して」チャポン


神使「確かに全然違いますね」

神様「なんでこんなに違うの?」

キー子「幼女神さまがお作りになった源泉は、地下で鉱物などと合わさって汲み上がるんです」

神様「幼女汁は地下で熟成するって事か」

神使「熟成って・・・ 保養所の温泉や他の旅館は違うのですか?」

キー子「同じなんですが・・・」

神使「?」

352: 2017/05/08(月) 01:27:54 ID:LVfBWC2g

キー子「このホテルが建つ前は、この場所は汲み上げ場の一つだったんです」

神様「汲み上げ場の上にホテルがあるの?」

キー子「温泉の管理組合が資金難で、3年前にこの土地を売ってしまい・・・」

神使「なるほど・・・ それで、ホテルニューよこどりがこの場所に建ったと」

キー子「今は他に湧く場所がなく、他の旅館もここから温泉をもらっております」

神使「他の場所からは出ないのですか?」

キー子「もう一つあったのですが・・・ 枯渇してしまいまして」

神使「そうだったのですか」

キー子「それで、無理を言って各旅館へ源泉を融通してもらっている状況なんです」

神様「は~ん、周りの旅館には源泉を薄めて渡しているって事か」

キー子「確証はないので何とも・・・」

神使「それが本当だとするとちょっと許せないですね。 周りの旅館から文句は出ないのですか?」

キー子「施設自体はこのホテルの物ですし、薄めているとはいえ譲ってもらえるだけでも有り難い部分もありまして」

353: 2017/05/08(月) 01:30:28 ID:LVfBWC2g

神使「組合の方で汲み上げ場を新設するのは難しいのでしょうか?」

キー子「何千万円もかかりますから・・・ とてもそんな予算は・・・」

神様「金に困ってなかったらこの場所売ってねーだろ」

神使「まぁそうですよね」

神様「それに他の旅館分の源泉もこの状態で作るのは、あの幼女の神力が追いつかない」

神使「そう言えば、今も日に3度作っていると仰っていましたね」

神様「このホテル、神ちゃんパワーで潰しちゃう?」ニヤッ

神使「またそんなことを言って・・・」

キー子「このホテルのおかげで、周りの施設にもお客さんがたくさん来てくれている事もありますので・・・」

神使「持ちつ持たれつ、って事ですね」

354: 2017/05/08(月) 01:31:24 ID:LVfBWC2g

神様「幼女は知ってんの?」

キー子「・・・いいえ」

神様「でも、あいつに隠し事なんか出来ないでしょ」

神使「そう言えば、幼女神さまは心を読むことが出来ますからね」

キー子「幼女神さまは、私の心は読めないようで」

神使「え?」

神様「ふ~ん」

神使「どういうことです?」

神様「キー子ちゃんは、いつからあの幼女と一緒に?」

キー子「三百年ほどお仕えしております」

355: 2017/05/08(月) 01:32:42 ID:LVfBWC2g

神様「幼女の神力、昔よりかなり減っているよね?」

キー子「・・・はい」

神使「そうなんですか?」

キー子「先月の簡易測定では8カミーでした」

神使「8カミーって結構高いんじゃないですか? 最高は10カミーですよね?」

神様「神使君? カミーの最高値は100だよ?」

神使「しかし、最大の神力を持つ猫神さまが10カミーですよ? 10カミーが最高じゃないのですか?」

神様「カミーの基準値って何か知ってる?」

神使「基準?」

神様「私の神力が基準になっているのだよ。 そう! 私の神力が上限値の100カミーなのだ!」フンスッ

神使「・・・・・・」

356: 2017/05/08(月) 01:34:04 ID:LVfBWC2g

神様「ビックリした? ねぇ、超ビックリしたでしょ」

神使「神様は0カミーじゃないんですか?」

神様「今の話じゃねーよ! 私の最盛期は100カミーだった訳よ。 ユーノウ?」

神使「・・・・・・」

神様「あ~ 驚いて言葉も出ない? それも仕方のないこと、私の凄さに恐れ戦きひれ伏した後に牡蠣を納めよ!」カッカッカッ

神使「そうですか。 で、キー子さん。以前の幼女神さまの神力はどのくらいあったのですか?」

神様「あれ? 神使君? もっと、こう“さすがかわゆい神様! かわゆいだけではないと思っていました!”とかないの?」

神使「神様? いくら何でも100カミーは盛りすぎです。 せめて20カミーくらいでないと信憑性がありません」

神様「いや・・・ まじで私100カミーなんだけど・・・」

357: 2017/05/08(月) 01:35:20 ID:LVfBWC2g

キー子「以前の幼女神さまは30カミーほどありました」

神使「30カミー!?」

神様「ほら! 30カミーだってあるじゃん! 私は100カミー!!」

神使「30カミーだなんて、ちょっと想像できませんね・・・」

キー子「日本中の温泉は幼女神さまが過去に全国を旅して神力を入れていった物だそうですので」

神使「日本中の!?」

神様「マジかよ・・・ でも温泉から神力を全く感じないけど」

キー子「神力がバレないように調整するのが非常に難しいそうです。 それにここと違って1回限りの神力注入なので」

神使「日本の温泉が特殊なのはそういうことだったのですか」

神様「うげー、温泉全部が幼女の出し汁なのかよ・・・」

359: 2017/05/10(水) 01:34:28 ID:XFF0KwzY

神使「やはり幼女神さまの神力減少は、温泉の作りすぎという事でしょうか?」

神様「う~ん」


神使「神社に来る参拝者からの願掛神力はどうされているのですか?」

キー子「実は・・・ 私が頂いておりまして・・・」

神使「え? キー子さんが神力を?」

キー子「あっ、でも頂いたお力は参拝者さんのお願い事の成就に使っておりますので」

神使「それは・・・」

キー子「幼女神さまは、何と言いますか・・・ あまり成就などのお仕事は好きでないようで・・・」

神様「あ~ 私と違って幼女はそう言うの好きじゃないしな」

神使「・・・・・・ (やっぱり神様と似ていますね)」

キー子「でも、温泉を作ったり屋台の牡蠣フライ棒や牡蠣アイスなどの監修でお忙しので」

神使「はぁ・・・」

キー子「それに、幼女神さまの負担を少しでも軽くしたくて・・・ 成就は幼女神さまからの許可も得ております」

360: 2017/05/10(水) 01:35:27 ID:XFF0KwzY

神使「しかし、それは神の仕事であって・・・」

神様「キー子ちゃんは三百年もいるんだぞ? もう神使の枠を超えてるだろ」

神使「ちょっと待って下さい。 するとキー子さんは神使でなく・・・」

神様「まぁ、ある意味神だよね。 幼女の代わりに神力使って参拝成就しているわけだし」


神使「ちなみに、いつからキー子さんが幼女神さまの代わりを?」

キー子「三百年ほど前から・・・」

神使「幼女神さまとお会いになった時じゃないですか・・・」

キー子「・・・はい」

神使「では幼女神さまは何百年も神力補充をしていないと言うことですか?」

キー子「そう・・・ なりますね。 幼女神さまが神力を得ているところを見たことありませんので」

神使「それでは幼女神さまの神力は減る一方じゃないですか」

キー子「・・・すいません」

361: 2017/05/10(水) 01:37:07 ID:XFF0KwzY

神様「私が最高神を継いだとき、幼女はまだ私と同じくらいの見かけだった」

神使「え!?」

神様「アイツは大人から子供へと成長の過程をたどる。 今の仕組みとは逆だ」

神使「ちょ、ちょっと待って下さい。 どういうことですか?」

神様「赤子から子供、そして大人になるという成長過程の前は逆だったんだよ」

神使「・・・はい?」


神様「進化の試行錯誤。 どうやって成長させたら良いのか色々と試していたわけ」

神使「そんな時代があったんですか?」

神様「私はその時代の事は知らないけどね。 昔、幼女から聞いただけだし」

神使「ということは幼女神さまは最後は赤子になると?」

神様「さーね。 私には分からないけど成長しているって言うことはそうなんじゃない?」

キー子「・・・・・・」

362: 2017/05/10(水) 01:38:18 ID:XFF0KwzY

神様「まぁ早い話が今の幼女はヨボヨボのお婆ちゃんが老体にむち打って仕事してるって事」

神使「老体って・・・」

神様「アイツは他の神とは根本的に違うから、神力補給とかいう概念が分からないんだろ」

キー子「神力の補給をすれば幼女神さまの神力量は戻るのでしょうか?」

神様「たぶん」


神使「キー子さんは幼女神さまにご助言はされたのですか?」

キー子「いいえ・・・ 私もそういう事はよく分からないもので」

神使「神使学校や講習会で習ったと思うのですが?」

キー子「すいません。 そういうのは出たことないんです」

神使「・・・失礼ですが、キー子さんは形式上は神使なのですよね?」

キー子「はい。 幼女神さまから神使と言われております」

神使「神使としての階位は?」

キー子「階位・・・」

神様「あ~ たぶん未登録だろうなぁ~ あの幼女が神宮の規律なんか知らないだろうし」

363: 2017/05/10(水) 01:40:02 ID:XFF0KwzY

キー子「そう言えば、以前神宮から色々と書類を出せと言われたことはあります」

神使「登録書類はお出しに?」

キー子「はい。 結局返事が来なかったので、どうなっているのかは分からないんですが」

神様「さすが神宮はザルだな。 やっぱり、かわゆい神ちゃんが頂点に立って構造改革をするべきだと思うの」


神使「神宮のだれ宛てに申請を?」

キー子「広域特務課? という所へ審査申請を送りました」

神使「・・・・・・広域特務課」チラッ

神様「あはは~ やっぱり広い温泉は良いなぁ~ わたしちょっと奥で泳いでくる~」バシャバシャ

神使「神様?」グイッ

神様「ぐへっ!」

神使「温泉は泳ぐところではありません」

神様「ちょ、苦しい! 直接首掴むなよ!」ジタバタ

364: 2017/05/10(水) 01:41:40 ID:XFF0KwzY

神使「そのような書類を受けた記憶は?」

神様「・・・あった気がする」


神使「なぜ審査なさらなかったのですか?」

神様「だってさぁ~ 書類記載神使の神使籍をデータベースで調べたらなかったから~」


神使「なかったからどうしたんです?」

神様「後でやろうかなぁ~ って思って・・・」


神使「何をやろうと思ったんです?」

神様「なんか・・・ こう、良い感じの手続きを・・・」


神使「本当は?」

神様「・・・面倒くさいんで見なかったことにしました」

365: 2017/05/10(水) 01:43:10 ID:XFF0KwzY

神使「神様のやるべき事は三つ」

神様「温泉に入る。 牡蠣を食べる。 昼寝する。 ですね? その願い、我が身をもって成就して進ぜよう!」


神使「一つ目はキー子さんの手続きをして処遇をハッキリさせること」

神様「はい」


神使「二つ目は、源泉問題の解決」

神様「幼女にむちを打って働かせろと言うことですね? さすが極悪邪道犬ころ、悪魔に魂を売った男はひと味違う」


神使「三つ目は、幼女神さまの神力問題の解決」

神様「そんなのどうやって解決するんだよ」

神使「分かりましたね?」


神様「・・・一つ目だけで解決したことにしない?」

神使「ダメです。 三つとも解決して下さい」

神様「・・・・・・」

366: 2017/05/10(水) 01:44:58 ID:XFF0KwzY

神様「キー子よ」

キー子「はい?」

神様「神勅! キー子を神籍登録し神階を従三位とする。 神様から神勅を申し伝えた!」

キー子「・・・・・・」


神様「一個解決した」

神使「そんな簡単に神勅出さないで下さい・・・ しかも露天風呂なんかで・・・」

神様「あ? 場所なんてどこでもいいんだよ」

神使「キー子さんの主神である幼女神さまに断りもなく・・・ 怒られますよ?」

神様「・・・・・・」

神使「知りませんよ?」

神様「・・・今の神勅は無しで」

神使「神勅はそんな簡単に取り消せません」

神様「ですよね~」

367: 2017/05/10(水) 01:47:26 ID:XFF0KwzY

キー子「あの・・・ 今、私が神と・・・」

神使「はい。 神様が神勅を発してしまいましたので・・・」

神様「今日からキー子ちゃんは神! キー子神。 美容の女神とかどう?」

キー子「いえ・・・ そんな、私が神だなんて烏滸がましい。 しかも、め・・・ 女神だなんて///」

神様「そのツルツル美肌が手に入るなら、私はキー子神を主神の女神さまとして崇め奉る!」

キー子「はぅ・・・///」


神使「きちんと幼女神さまに報告して下さいよ、神様?」

神様「分かったよ。 次にアイツと会うのは百年くらい先だと思うけど」

神使「今日中に報告して下さい」

神様「え~」

神使「分かりましたね?」

神様「へいへい。 でもその前に行きたいところあるんだけど」

神使「どこです?」

神様「キー子ちゃんに案内してもらおう」

371: 2017/05/11(木) 23:32:21 ID:5n4ZX6Lk


――― かれかれ汲み場


キー子「ここが枯渇した源泉の汲み上げ場です」

神使「確かに何も出ていないですね」

神様「う~ん・・・」クンクン

神使「?」

神様「・・・・・・」

神使「どうされました?」

神様「いや、別に」


神使「この場所は枯渇した後も土地を売らずに残っているんですね」

キー子「はい。 神社が保有している土地なので売却はできないんです」

372: 2017/05/11(木) 23:34:07 ID:5n4ZX6Lk

神使「枯渇したのはホテルニューよこどりが建った後だと仰っていましたが」

キー子「1週間ほど経った頃だったと思います」


神様「その期間に何か問題とか異常とかは起こらなかった?」

キー子「そうですね・・・ 急に源泉の汲み上げ量が増えたので幼女神さまが体調を崩された位でしょうか」

神様「ふ~ん」クンクン

キー子「!?」

神使「ちょっと神様、キー子さんに何しているんですか・・・」

神様「あ? キー子ちゃんのにおいを嗅いでいるんだよ」クンクン

神使「意味が分からないのですが・・・ 失礼ですよ」グイッ

神様「あんだよ~ 嗅がせろよ!」ジタバタ

キー子「・・・///」

373: 2017/05/11(木) 23:34:47 ID:5n4ZX6Lk

神使「全く・・・ で、どうですか?」


神様「二つ目の問題は解決できる」

神使「二つ目って、源泉問題の事ですか?」

神様「ここの枯渇した汲み上げ場から温泉を再び出すことは可能だ」

キー子「え!?」

神使「では早速!」

神様「待てっちゅーの。 物事には順番というのがあるのだよ神使君や」

神使「順番?」

神様「先に保養所の方に行くか」

374: 2017/05/11(木) 23:35:32 ID:5n4ZX6Lk


テクテク


神使「保養所へは何をしに?」

神様「このまま汲み上げ場から温泉を出したらどうなると思う?」

神使「ニューよこどりから薄めた源泉を分けてもらわなくて済みますね」

神様「そんな上手くいく分けねーだろ」

神使「どういうことです?」

神様「さっき話しただろ。 源泉が足りないんだよ」

神使「幼女神さまへの負担ですか・・・」

神様「あいつは無理してでも源泉を作ろうとするだろうけどね~」

375: 2017/05/11(木) 23:36:37 ID:5n4ZX6Lk

神使「そういえば、それが原因で体調を崩されたと先ほど仰っていましたね」

キー子「・・・はい」コクッ

神様「神力が不足しているわけ。 だったらそれを補うしかない」

神使「しかし、幼女神さまは他から神力をもらうのを嫌がるようなことを仰っていませんでした?」

神様「それは~ まぁ、良い感じに手を打ってだねぇ~」

神使「それに結構な量の神力が継続的に必要になると思うのですが、そんな簡単にどこから集めるんです?」

キー子「なんとかして神社の参拝者からの願掛け神力を幼女神さまに―――」

神様「ダメ! それは絶対ダメ。 神社で得た神力はきちんと参拝者のために使うこと」

キー子「そう、ですよね・・・ 失言でした」

神使「ではどうやって神力を?」

神様「それを解決するために向かっているのだよ」ニヤッ

376: 2017/05/11(木) 23:37:32 ID:5n4ZX6Lk


――― 神苑温泉


支配人「入湯税を導入しろだぁ?」

神様「ダメ?」

支配人「この保養所は神と神使のユートピア。 実費以外の金銭要求は神宮規定で禁止されています」

神様「金銭以外は良いんだな?」

支配人「どういう意味です?」


神様「ここに来た神から入湯税として神力をもらう」

支配人「はぁ?」

神様「神力は金じゃないから神宮規定に引っかからないだろ」

支配人「そんなの無理です。 だいたい貴方たち誰なんですか?」

377: 2017/05/11(木) 23:38:33 ID:5n4ZX6Lk

神様「ふふふっ、私は何を隠そう神宮が誇るかわゆい女神!」

支配人「神宮の女神!?」

神様「我が神使よ、私の神籍証をこの者へ見せてやれ!」

神使「いや・・・ それは・・・」

神様「私も権力を盾にすることは本意ではないが、仕方のないことなんだ」

神使「・・・・・・こちらが神様の神籍証です」スッ

支配人「・・・・・・」

神様「うひゃひゃ! どうだ! 我を敬い奉り、ひれ伏した後に大量の牡蠣を献上せよ!」

支配人「神力ゼロ、神階なしで所属無しの野良神ですか?」

神様「はい?」

神使「残念ですがこれが神様の新しい神籍証です」

神様「うがっ!」

378: 2017/05/11(木) 23:40:21 ID:5n4ZX6Lk

支配人「ご用件は以上ですか?」

神様「ねぇ~ 一応ここに来てる神達に聞いてみてよ~ 熊夫ちゃ~ん」

支配人「ゴリ夫です」

神使「ダメでしょうか?」

支配人「ダメです」

神様「良い子紹介するからさぁ~ 東北に熊好きのかわゆい巫女がいるんだよ~」

支配人「ダメなものはダメです」


キー子「無理は承知です。 神々の皆さんにお話しだけでもさせて頂けないでしょうか?」

支配人「うっ・・・ キ、キー子さんがそこまで言うのなら・・・」デレー

神様「え? キー子ちゃん今初めて喋ったんだよ? そこまで言ったのはこのかわゆい神ちゃんだよ?」

神使「神様、可愛いは正義なんです」

神様「私だってかわゆいだろ!」

神使「性格の話です」

神様「・・・・・・」

381: 2017/05/12(金) 22:46:51 ID:1VerBbIs


――― 神苑温泉・とある部屋


神A「見てくれよコレ」コトッ

神B「何それ! 我らのアイドル、キー子ちゃんのフィギュアじゃん!」

神A「知り合いの原型師に作ってもらったんだよ」

神B「さすが秋葉を牛耳るオタク神。 よく出来てるなぁ」

神A「はぁ~ 可愛いよなぁ~ キー子ちゃん」ウットリ

神B「会いに行きたいけど、あの神社はなぁ・・・」

神A「近づきがたい神力を感じるしな」

神B「独特の神力だよな。 強くはないけど畏怖を感じるもん」

神A「キー子ちゃんが、毎日この保養所に遊びに来てくれれば良いのになぁ」

382: 2017/05/12(金) 22:48:14 ID:1VerBbIs


ピン ポン パン ポーン♪


神A・B「?」


『本日は、神様機構付属神苑温泉にお越し頂きありがとうございます』


神A「おっ、この声はキー子ちゃんだ!」

神B「スピーカー越しの声も良いよなぁ~」


『当旅館にご滞在の皆様に ・・・わ、わたくしキー子よりお願いがありご連絡いたします』


神A・B「!?」


『もし、お時間があるようでしたら大広間の方へお集まり頂けますようお願いいたします』


ピン ポン パン ポーン♪

383: 2017/05/12(金) 22:48:51 ID:1VerBbIs


神A「さて、久しぶりに本気で仕事をするか」

神B「おいおい、お前は静養に来たんだろ? ゆっくりここで休んでいろって」


神A「・・・・・・」

神B「・・・・・・」


ダダダダダッ

384: 2017/05/12(金) 22:49:38 ID:1VerBbIs


――― 放送室


キー子「これでよろしいのでしょうか?」

神様「バッチグー!」


神使「こんな事で皆さん集まってくれるんですか?」

神様「だからお前は犬ころなんだよ。 今の放送を聞いて集まらない奴は神ではない!」

神使「え~・・・」


神様「さて、大広間の方に移動しますか」

支配人「・・・やはり、考え直して止めた方が良い気がしてきました」

神様「熊夫ちゃんさぁ」ズイッ

支配人「ゴリ夫です」

385: 2017/05/12(金) 22:50:33 ID:1VerBbIs

神様「これが上手くいったら、明日から毎日ここにキー子ちゃんが来てくれるんだよ?」

支配人「毎日!?」

キー子「え?」

神使「ちょっと神様、またそんな勝手な約束を承諾もなく・・・」

神様「い~や、キー子ちゃんは毎日ここに来ることになる。 熊夫ちゃんに会うためにね」ニヤッ

支配人「わ、私に会いに!?」

神様「そう! ここに! 熊夫と会うために!」

支配人「ウホウホ!」

神使「・・・(熊だかゴリラだか分からないんですが・・・)」

神様「ここで止めておく?」

支配人「続けて下さい」キリッ

386: 2017/05/12(金) 22:51:17 ID:1VerBbIs


――― 大広間


ガヤガヤ ガヤガヤ


神使「・・・・・・(こんなに宿泊している神と神使がいたんですか・・・)」


ガヤガヤ


神A「あれ? キー子ちゃんは?」

神B「キー子ちゃんまだ~?」

神C「キー子ちゃ~ん、はよはよ」


神使「・・・・・・」

387: 2017/05/12(金) 22:52:22 ID:1VerBbIs


神様『レジ~ス アンド ジィエントルメ~ン!』


神A「何だ?」

神B「キー子ちゃんの登場か?」

神C「待ってました! キー子ちゃん!」ヒューヒュー



神様「ようこそ! お集まりの皆さん!」トテトテ


シーン


神A「やべぇ、神ちゃんだよ・・・」

神B「そう言えば神ちゃんも泊まっているんだった・・・」

神C「どうする? 逃げるか?」

388: 2017/05/12(金) 22:53:20 ID:1VerBbIs

神様「おい、そこ! 一歩でも動いたら明日から3食“卵の白身だけかけご飯”だからな」


シーン


神様「え~ 今日からこの神苑温泉では入湯税を徴収することになりました」

神A「入湯税!?」

神様「おい、次喋ったらお前カンチョー100回な」

神A「!?」


神様「入湯税は、一神につき0.5カミーの神力を頂く」

神B「0.5カミーって結構な量じゃないか?」

神様「お前、喋ったから後でカンチョーな」

神B「!?」

389: 2017/05/12(金) 22:54:30 ID:1VerBbIs

神様「意見のある者はいる?」

神C「その分宿泊費が安くなるとか―――」

神様「お前、喋ったから後で金ケリな」

神C「!?」


神様「他にカンチョーと金ケリが欲しい・・・ いや、意見のある神は?」


シーン


神使A「あの・・・」

神様「なんだい? そこの勇気ある神使くんや」ニコッ

神使A「神使は神力が無いんですが、お付きで来た私達神使は入湯税の方はどうするんでしょうか?」

神様「お~ 良い質問だ。 主神から一神使につき0.1カミーをプラスで徴収することにしよう」

神達「・・・・・・」

390: 2017/05/12(金) 22:55:49 ID:1VerBbIs

神様「心配するな、私だって鬼じゃない。 入湯税の徴収は強制ではなく任意だ」

神A「なんだ~ よかった」ホッ

神B「任意なら良いや。 0.5カミーも取られたら戻るまで結構時間かかるもんな」

神C「でも、神力なんか徴収して何に使うの?」


神様「うむ。 徴収した神力はこの温泉の効能維持に使う予定だ」

支配人「維持?」

神様「ここの温泉を、いや他の旅館の温泉も全て以前の在りし日の泉質に戻すことに使われる」

支配人「融通してもらっている温泉を薄めずにもらうということですか!?」

神様「ノンノン。 枯れたとされる汲み上げ場から、再び温泉を湧き出させる」

支配人「そ、そんなこと出来るのですか!?」

神様「それがこの町に住む人々の願いなんだろ? だったらそれを叶えるのが私達、神の勤めだ」

391: 2017/05/12(金) 22:56:35 ID:1VerBbIs

神A「なんだ神ちゃん、そういう事かぁ~ だったら協力するよ」

神B「てっきり神ちゃんが神力使って、また悪さするのかと思ったよ」

神C「本当、この前も神ちゃん他の神から神力集めて光玉とか言って売り捌こうとしてたし」

神使「あの、すいません。 その話を詳しく教えて頂けないでしょうか」

神様「うるせー! お前ら全員金ケリだ、金ケリ! 一列に並べ!! ぶっ潰してやる!」

393: 2017/05/14(日) 00:31:13 ID:PJxa14Lg


――― 30分後


神様「あ~ 楽しかった!」ツヤツヤ

神使「これって、皆さん大丈夫なんでしょうか・・・」

神様「大丈夫だろ。 情けで弱めの電気アンマにしたから」

神A「弱くないよ! 全力でしょ! 絶対全力だよね?」イタタ

神B「うっ・・・ うっ・・・」ピクピク


神様「キー子ちゃんもやれば良かったのに」

キー子「えーっ!? 私なんかが神々の皆様にそのようなことは」

神様「スカッとするよ? なんか自分のさじ加減でどうにでも出来る状態になってるヤツを見てるのってゾクゾクしない?」

神使「神様、キー子さんに変なことを教え込まないで下さい」

394: 2017/05/14(日) 00:34:47 ID:PJxa14Lg

キー子「あの・・・ 神々の皆様、大丈夫でしょうか?」

神A「問題ありません」キリッ

神B「全然平気です」キリッ


キー子「よかったです。 安心しました」ニコッ


神A「なんてお優しい・・・」

神B「女神がいる・・・」


神様「ほら、大丈夫じゃん」

神使「そうでしょうか? 皆さん前傾姿勢で足がプルプルしてますが・・・」

395: 2017/05/14(日) 00:35:52 ID:PJxa14Lg

神様「遊びはこの位にして、早速入湯税の神力徴収でもはじめるか」

神使「神力ってどうやって集めるんです?」

神様「なにか神体になるようなものはないかなぁ?」キョロキョロ

神使「神々の皆様からお集めになる神力ですから、それ相応の神体でないといけませんよね」


神様「おっ!」ジー

神A「?」

396: 2017/05/14(日) 00:37:15 ID:PJxa14Lg

神様「おい、そこの・・・」

神A「おれ? 秋葉神だけど」

神様「お前、良いの持ってんじゃん。 それくれ」

神A「!? こ、これは俺の宝物! 例え神ちゃんでもこれだけは!」


神様「キー子ちゃん、あの人形が神体に相応しいから譲ってもらって?」

キー子「あの人形・・・ 私に似ている気がするのですが・・・ 他のものではダメでしょうか?」

神様「アレじゃなきゃ嫌だ」

キー子「・・・・・・」

神様「あれ譲ってもらって?」

397: 2017/05/14(日) 00:38:26 ID:PJxa14Lg

キー子「すいません、そのお人形を譲って頂くことはできませんでしょうか?」

神A「はい、喜んで」スッ

キー子「あ、ありがとうございます・・・」

神A「細かい設定まで忠実に再現させた自信作です」

キー子「私、巫女服って着たことないのですが・・・ どうして巫女服を着ているのですか?」

神A「いつか着て下さい。 キー子さんが巫女装束を着てくれるのであれば、いくらでも神力をお渡しいたします」

神様「期待しろ。 お前の願いは、この神ちゃんの力によって成就される!」

神A「なんと!」

398: 2017/05/14(日) 00:39:43 ID:PJxa14Lg

神様「キー子ちゃん、明日から巫女姿で1日1回この保養所に神力を取りに来ること」

キー子「え~っ!?」


神様「熊夫くん、キー子ちゃんの世話と護衛の大役は任せたぞ」

支配人「承知! この熊夫、責任を持って毎日キー子さんをお迎えいたします!!」

神使「・・・(ゴリ夫じゃないんですか?)」


神A「まさか、神力の授受ってキー子ちゃんが!?」

神様「あぁ、キー子神が直接執り行う!」

神B「キー子神? キー子ちゃんって神使では?」

神様「驚け! キー子は先ほど私の神勅により神籍に入った!」

神達「おぉ~」


パチパチ パチパチ

399: 2017/05/14(日) 00:40:42 ID:PJxa14Lg

キー子「私のような何の取り柄もない者が申し訳ありません!」フカブカ

神様「神としての初仕事。 これはキー子ちゃんにしか出来ないことだ。 誇りを持って」

キー子「は、はい・・・///」


神A「よっしゃー! これからキー子ちゃんと会えるとなれば、俺はここに通い詰める!」

神B「俺も神使いっぱい連れてくる!」


神様「ほぉ~」ニヤリ

神使「・・・・・・(神様が何か思いついた顔してますね)」

400: 2017/05/14(日) 00:41:57 ID:PJxa14Lg

神様「よーし! お前達の気概をくみ取り、このかわゆい神ちゃんがさらなる約束をしよう!」

神達「?」


神様「神力徴収の際に0.5カミーの入湯税で、キー子ちゃんから優しい微笑みをプレゼント!」

神達「!?」


神様「1カミーで神力徴収時にキー子ちゃんが手を添え手伝ってくれる!」

神A「なっ!?」


神様「そして、1カミー以上を払った者へは~」

神B「払った者へは・・・」ゴクリ

401: 2017/05/14(日) 00:43:35 ID:PJxa14Lg

神様「巫女服姿で抱擁だ!!」

キー子「え~!! 抱擁!?」


神A「よっしゃー!!」

神B「おれ、神力枯れるまで全部渡す!!」

神C「俺も来週は隣町の神使も引き連れて来る!!」


神様「よしよし、それじゃぁ~ キー子ちゃん、今日の分を早速―――」

支配人「お待ち下さい!」

神様「あ?」

402: 2017/05/14(日) 00:44:32 ID:PJxa14Lg

支配人「キー子さんが私服のままです」

神様「今日は良いだろ」

支配人「ダメです。 巫女装束でご奉仕なさると先ほどお約束しましたので」

神使「しかし、巫女装束の手持ちが今はないので・・・」


支配人「ここは旅館といえど、神様機構付属の神宮直轄施設ですよ?」

神様「まさか!」

支配人「最高級の巫女装束一式が用意できます」


神様「」グッ

支配人「」グッ

408: 2017/05/15(月) 21:41:05 ID:tGvvK6ZE


――― 保管庫


支配人「え~と・・・ 巫女装束は確かここに」ゴソゴソ

キー子「とても立派なご衣装がたくさんありますね」

支配人「はい、巫女装束から最高神様用のご装束まで全て揃っております」

神様「最高神用?」

支配人「いざという時のために、神宮規定の全装束が準備してあるんです」


神使「あっ、この大きな木箱ですね。 最高神様用御装束って書いてあります」

キー子「木箱の装飾がとても綺麗ですね」

409: 2017/05/15(月) 21:42:31 ID:tGvvK6ZE

支配人「この箱だけでも表に出せば国宝級だと思います」

神様「へぇ~ でも、私見たことないけど」

支配人「私もございません。 神力錠で封印されていますので一度も開封されたことはないと思います」

神様「神力錠なんて珍しいな」

神使「神力錠?」

神様「神の力に対応する専用の鍵だよ。 作るの面倒だから最近は使ってないんだけど」


支配人「一度で良いから最高神様の御装束を見てみたいものですよ」ハハハ

神使「確かに、興味ありますね」

支配人「ここだけの話、本当は最高神なんて存在しないんじゃないかって噂がありますので一生見られないと思いますが」

410: 2017/05/15(月) 21:43:51 ID:tGvvK6ZE

神様「これ、確か手をかざして念じれば解除されるんだよな」

支配人「あなたが最高神様であればですけどね」

神様「我、錠の解除を命ず」


ガチャン


支配人「・・・・・・」

キー子「鍵が!?」

神使「あぁ・・・」

支配人「ちょちょちょ! え? えっ?」

神様「なに? 開けちゃダメだった?」

支配人「ど、どうして神力錠が! 絶対に壊れたり誤動作しないはずなのに!」

411: 2017/05/15(月) 21:45:15 ID:tGvvK6ZE

神使「すいません、この方はこう見えて実は神宮最高神の女神でして・・・」

支配人「最高神!? し・・・ しかし、野良神って」

神使「話すと長くなるのですが、素性を隠しているといいますか・・・」

神様「いや~ん 私の正体がばれちゃった~」クネクネ


支配人「さ・・・ 最高神様!?」ドゲザ

キー子「・・・・・・」ドゲザ

神様「やばい、面倒なことしちゃった・・・」


支配人「数々のご無礼、お許し下さい!」フカブカ

キー子「最高神様とは知らず、申し訳ございません」フカブカ

神様「いや・・・ そういうのいいんで普通にして下さい」ペコリ

神使「神様はあまり仰々しくされるのが好きではないので、今まで通りフレンドリーに接してあげて下さい」

412: 2017/05/15(月) 21:48:10 ID:tGvvK6ZE

神様「そうだ!」

神使「?」

神様「この装束、キー子ちゃんにあげる」

キー子「え!?」

神様「これ、私のだから好きに使っていいんだよね?」

支配人「もちろんです。 しかしこの地からの持ち出しだけは規定で禁止されておりまして・・・」

神様「うん。 キー子ちゃんが神社で神力成就するときに着てよ」

キー子「そ、そんな!? 最高神様のご衣装を私なんかが!?」

神使「きっとお似合いになりますよ?」

神様「そうそう。 神なんて、それっぽい格好しているのが仕事みたいなものなんだから」

神使「もう少しオブラートに包んで言って下さい・・・」

413: 2017/05/15(月) 21:49:29 ID:tGvvK6ZE

神様「いいこと思いついた! サプライズで今日はこれ着て入湯税を徴収しよう」

神使「神になった記念でもありますし、いい案ですね」

キー子「!?」

神様「大丈夫。 何だかんだ言ってもただの装束だし」

神使「神用のご装束ですから神以外の着用は禁止されていますが、キー子さんは神ですから」


神様「ほらほら、着て見せてよ。 いいよね熊夫くん」

支配人「最高神様のご希望であれば。 わ・・・ 私もキー子さんが着ているところを見たいですし・・・」

キー子「私、こんな立派なものを着たことがないもので・・・ その・・・」

神使「大丈夫です。 私が着付けのお手伝いをいたします」

414: 2017/05/15(月) 21:50:21 ID:tGvvK6ZE


――― 30分後


神使「神様、キー子さんのお着替えが終わりました」

キー子「い、いかがでしょうか・・・」


神様「お~ すげー。 これ、いくらかかってんだよ」

支配人「なんと美しい・・・」ポー

神使「良くお似合いですよ」

キー子「あ、ありがとうございます///」


神様「なんか、アイツらに見せるの癪だな。 犬ころ、お前がアイツらの相手してこい」

神使「暴動が起こります」

415: 2017/05/15(月) 21:51:48 ID:tGvvK6ZE

神様「この感情、抑えきれない! キー子ちゃんは私のものだ~」ピョーン

神使「神様」グイッ

神様「ぅおぷっ!」

神使「キー子さんが汚れます」

神様「おま! 汚れるって何だよ!」

神使「もうこの時代では作れない最高級の装束ですよ? 神様のヨダレが付いたら大変です」

神様「ヨダレなんか付けねーよ」

神使「すでに垂れてます」

神様「おっと」ジュルリ


神使「皆さんお待ちのようなので行きましょうか」

キー子「はい」

416: 2017/05/15(月) 21:52:46 ID:tGvvK6ZE


――― 大広間


神様「待たせたな、お前達!」

神A「待ちくたびれたよ~」


神様「待たせただけはあるぞ?」ニヤッ

神B「期待してるよ~」


神様「お前達! キー子ちゃんの巫女姿が見たいかー!」

神達「オーー!!」

神使「・・・・・・(なんですか、この気迫は・・・)」

417: 2017/05/15(月) 21:53:32 ID:tGvvK6ZE

神様「私の巫女姿も見たいかー!」


シーン


神様「見たいかー!」


シーン


神使「お、お~」モジモジ

神A「・・・さすが神ちゃんの神使」

神B「あぁ、良く調教されている」

神使「うぅ・・・///」

418: 2017/05/15(月) 21:55:09 ID:tGvvK6ZE

神様「神使君?」

神使「は、はい」

神様「私のかわゆさを理解できるのは君だけのようだ。 こいつらちょっと絞めるから手伝って?」

神使「それより、早くキー子さんを」

神様「あ? ったく、しょーがねーな~」チッ


神様「今日はキー子にとって神になった記念すべき日。 特別仕様でお披露目する!」

神B「特別仕様?」

神様「従三位! キー子神のお披露目だ! ババン!」

422: 2017/05/16(火) 23:39:47 ID:zI0MiFEo


キー子「・・・・・・///」テク テク

神達「・・・・・・」ポケー


シーン


キー子「あ、あの・・・」

神A「言葉では言い表せない美しさ・・・」

神B「これは間違いなく女神さま・・・」

神C「本物の最高神はこの地に居たか・・・」

キー子「はうっ///」

423: 2017/05/16(火) 23:41:02 ID:zI0MiFEo

神様「よーし! 入湯税を支払うものは一列に並べ!」


ダダダダッ


神様「小さく前へならえ!」

神達「」サササッ

神様「直れ!」

神達「」ササッ


神様「最初の者、前へ!」

神A「よしっ!」テクテク

424: 2017/05/16(火) 23:43:33 ID:zI0MiFEo

神様「キー子ちゃん、神体の前へ」

キー子「は、はい」テク テク


神様「アニオタ、お前は何カミー支払うんだ?」

神A「私は! 3カミーお支払いします!」


神達「お~」パチパチ


神様「お前、3.5カミーしかないのに3カミーも出したら倒れるぞ?」

神A「自分のキー子ちゃんフィギュアがご神体に、しかもトップバッター。 ここで私が男を見せるんです!」フンスッ

神様「その心意気、しかと受け止めた! 礼に私もお前にハグしてあげよう!」

神A「あっ、そう言うのは結構です」

神様「・・・・・・」

425: 2017/05/16(火) 23:44:18 ID:zI0MiFEo

キー子「あの、私はどうすれば・・・」

神様「ん? 秋葉神の神力は感じる?」

キー子「・・・気は感じますが」

神様「それが神力。 元々キー子ちゃんは神力を感じ取る力があるみたいだから」

キー子「これって、神力だったのですか・・・」

神様「まぁ厳密に言うと、表には出ない神力も感じているようだけど」

キー子「表には出ない?」

神様「いや、何でもない」

神使「?」

426: 2017/05/16(火) 23:45:27 ID:zI0MiFEo

神様「よし、秋葉神! 手を前に!」

神A「はい!」スッ


神様「いい? 神体にこれから神力を徴収して何に使うかを、そして神力を渡してくれる神に深い感謝を強く念じて」

キー子「はい」


ポワ


神様「そう、その調子。 もう少し力を抜いてリラックスしようか」

キー子「はい」

神様「うん、今の感じを覚えて。 じゃぁそのまま続けてみて?」

キー子「」コクッ

427: 2017/05/16(火) 23:46:29 ID:zI0MiFEo


ポワポワ


キー子「秋葉神さまから頂く神力はこの地に住まう、そしてこの地を訪れた人々の笑顔を守るため使わせて頂きます」

神A「はい!」


ポワポワポワ


キー子「秋葉神さまに深い感謝を」ギュッ

神A「ふぉーーー!! キー子ちゃんの熱い抱擁!! 最高・・・ で・・・ す・・・・・・」バタリ

428: 2017/05/16(火) 23:47:52 ID:zI0MiFEo

神様「3.3カミー頂きました!」

キー子「あ、あの! 大丈夫ですか!?」オロオロ

神A「問題ありません」キラッ

神様「さすがキー子ちゃん、生かさず殺さずギリギリの神力を持っていくとは末恐ろしい」

キー子「いえ! そんなつもりは・・・」

神様「まぁ、最後の方はコイツ自分から神力放出してたから自業自得なんだけど」

神様「熊夫くん、こいつ温泉にでも放り込んでおいて」

支配人「承知!」ヨイショ

神A「あっ、お構いなく。 キー子さんの近くに居れば回復しますので」

支配人「行きますよ」スタスタ

神使「秋葉神様、大丈夫でしょうか・・・」


神様「よし、それじゃぁ次の神は前へ!」

神B「はい!」

429: 2017/05/16(火) 23:48:59 ID:zI0MiFEo


――― 1時間後


神様「お~ 結構集まったな」

神使「皆さん氏んだように倒れておりますが・・・ すごい惨状ですね」

キー子「・・・・・・」


神様「さてと、何カミー溜まったかなぁ?」

支配人「神力計を用意してあります」スッ

神様「気が利くねぇ」

神使「小型の懐中電灯みたいですね」

支配人「最新型ですから。 対象に向けて上のボタンを押すと液晶部分に神力量が表示されます」

神様「ふ~ん。 ハイテクだねぇ~ ポチッと」ポチッ


ピピッ

430: 2017/05/16(火) 23:50:25 ID:zI0MiFEo

神様「お~すげ~ 40カミーもある」

神使「みなさん倒れるまで神力を差し出していましたからね・・・」


キー子「神々の皆さん、本当にありがとうございます」フカブカ

神C「何のこれしき・・・ 明日も神力渡すからね・・・」バタリ

キー子「いえ・・・ そこまでなさらなくても・・・」


神様「おい犬ころ、ちょっと出かけるぞ」

神使「?」

神様「キー子ちゃんはコイツらを介抱しててくれる?」

キー子「はい」

神様「すぐ戻ってくるから後で合流ね」

キー子「お気をつけて」

434: 2017/05/18(木) 01:53:05 ID:qQYGK.Oo


――― かれかれ汲み場


神使「汲み上げ場に戻ってきてどうされるんです?」

神様「この場所からキー子ちゃんの香りがした」

神使「香り? そう言えば、先ほどキー子ちゃんをクンカクンカしていましたね」

神様「・・・・・・。 ここから温泉が出なくなったのはキー子ちゃんが原因だ」

神使「え!?」

神様「幼女が体調を悪くしたって言ってただろ?」

神使「そう言えば、急に源泉の汲み上げが増えたからと仰っていたような」

神様「キー子ちゃんは幼女に代わって普段から祈願成就をしている」

神使「それが何か関係あるんですか?」

435: 2017/05/18(木) 01:54:15 ID:qQYGK.Oo

神様「たぶん、キー子ちゃんは見よう見まねで祈願成就をしているんだろう」

神使「神使講習も受けていないくらいですからね」

神様「自分のお願いも知らずに成就している」

神使「自分のお願い?」

神様「幼女が体調不良になってお願い事をするとしたら、お前なら何て願う?」

神使「体調が良くなりますように・・・ でしょうか?」

神様「そう、体調が良くなるには?」

神使「汲み上がる源泉の量を減らす・・・」

神様「この場所は神社の飛び地、ニューよこどりの汲み上げ場よりも影響を受けやすい」

神使「キー子さんは知っているのでしょうか?」

神様「自覚なんかないだろ。 でも、幼女は知っているかもな」

神使「・・・・・・」

436: 2017/05/18(木) 01:55:14 ID:qQYGK.Oo

神様「私の神力が入ったお守り、一つくれ」

神使「はい」スッ

神様「お守りに封印されし我が神力を解放す」


ポワ


神様「神力祈願で成就されし願いを我が命令で上書きせよ」


ポワポワ


神様「これで良しと。 ん~ 神力少し余ったなぁ~」

神使「あの、特に変化ないようですが?」

437: 2017/05/18(木) 01:56:06 ID:qQYGK.Oo

神様「明日には源泉が出るだろうよ」

神使「キー子さんには何と・・・」

神様「言う必要なんかないよ。 彼女の神力が上がって、いずれこの場所へ来たときに気がつくだろう」

神使「大丈夫でしょうか? キー子さん自分の行いにショックを受けるのでは・・・」

神様「そんな弱っちい者は私は神にしない。 キー子は私が認めた神だ」

神使「そうですね」

神様「いずれ真実に気付いたとき“さすが私のかわゆい神様! ぜひスリスリしてもらいたい!”と私を―――」

神使「そろそろキー子さんと合流して神社に行きましょうか」スタスタ

神様「・・・・・・」

438: 2017/05/18(木) 01:57:12 ID:qQYGK.Oo


――― 神苑温泉前


神様「お~い、キー子ちゃ~ん」

キー子「あっ、ご用の方は終わったのですか?」

神使「遅くなりましてすいません」


神様「あれ? キー子ちゃん私服に着替えちゃったの?」

キー子「歩くのが少し大変なので・・・」

神様「巫女服でもいいんですぜ?」グヘヘ

キー子「・・・・・・。 祭儀服と巫女服は後で熊夫さんが神社に持ってきてくれるそうです」

神使(あっ、もう熊夫さんになっちゃったんですね)

神様「それじゃぁ、行きたくないけど幼女のところに行きますか・・・」

神使「幼女神さまを説得させるの大変そうですね」

神様「うっ・・・」

440: 2017/05/18(木) 23:10:17 ID:qQYGK.Oo


――― 泉源神社


神様「ちょっと私一人で幼女と決闘してくるわ」

神使「大丈夫ですか?」

神様「二人は障子に耳でも付けて成り行きを見守っていてくれ」

神使・キー子「はい」コクッ

神様「ふ~ ・・・よし!」トテトテ


ガラガラ


神様「幼女!」

幼女神「お~ クソガキか。 キー子のヤツを見なかったか?」

神様「そんなことはどうでもいい。 アンタに大事な話がある」

幼女神「あ?」

441: 2017/05/18(木) 23:12:50 ID:qQYGK.Oo


――― 社務所


幼女神「断る」

神様「そう言うと思った」

幼女神「なら一々聞くでない。 だれが他のヤツの神力なぞもらうものか」フンッ


神様「アンタ今の状態で倍の源泉なんか作れるのか?」

幼女神「出来るわ! 入浴回数を倍にすれば良いだけじゃ!」

神様「無理だね」

幼女神「・・・・・・」

神様「そもそも今の状態で温泉作れるのって、後どのくらいだよ」

442: 2017/05/18(木) 23:14:31 ID:qQYGK.Oo

幼女神「・・・お前気付いておるのか?」

神様「当たり前だろーが。 私これでもあんたの後を継いだ神だよ?」

幼女神「わ、ワシの後はキー子が継いでくれる!」

神様「それはアンタが決めることじゃない」

幼女神「うるさい! 一々口出しするでない!」


神様「ニューよこどりが出来て・・・ キー子ちゃんの願いを知ってるんだろ?」

幼女神「お前、汲み場のことを知っているのか・・・」

神様「だから、私を誰だと思ってるんだよ」

幼女神「まさか原因のことをキー―――」

神様「いいや、話してない」

幼女神「そうか」ホッ

443: 2017/05/18(木) 23:15:49 ID:qQYGK.Oo

神様「それに、私はアンタからまだもらっていない物がある」

幼女神「・・・・・・」

神様「それをもらうまで消えることは無理だよ~」

幼女神「ワシの神力がなくなり、寿命を迎えれば有無を言わずにお前に伝わる」

神様「私はアンタからもらうって決めてるし。 それまで勝手に消えることは許さないし」

幼女神「なにを勝手なことを」フンッ



神様「アンタさぁ、この神社の主神を引退しろ」

幼女神「はぁ? 引退じゃと!?」

神様「私これでもこの国の最高神。 アンタでも私の命令に背くことは出来ない」

幼女神「・・・何を考えている」

444: 2017/05/18(木) 23:18:02 ID:qQYGK.Oo

神様「神宮の主神規定ってのがあってさぁ」ゴソゴソ

幼女神「?」

神様「これ、神力計。 これで神力量が測れるんだわ」

幼女神「ま! まて、計る前に準備を!」

神様「ズルはダ~メ~」ピピッ

幼女神「くっ!」


神様「2.5カミーか。 大分少ないようで」

幼女神「・・・・・・」

神様「キー子ちゃんは前回の測定で8カミーって言ってたけど、あれってキー子ちゃんの神力量だよね」

幼女神「お前そこまで知って・・・」

神様「キー子ちゃんは騙せても私には通用しないぞ。 私くらいになると見ただけで神力量なんて分かるんだわ」

幼女神「相変わらず面倒くさい力を・・・」

445: 2017/05/18(木) 23:20:28 ID:qQYGK.Oo

神様「2.5カミーしかないんだったら主神としてこの神社への配属は無理だなぁ~」

幼女神「姑息な手を・・・」


神様「神勅。 泉源神社の主神である幼女神を神力不足により解任、キー子神を新たな主神として任命する。 最高神神様から神勅を申し伝えた」

幼女神「!?」

神様「じゃ、そういう事で」

幼女神「まて! キー子にはまだ早すぎる! アイツはまだワシの神使で教えていないことも沢山―――」

神様「さっき神勅出してキー子ちゃんを神籍に入れたから問題ないし」

幼女神「神籍じゃと!? お前・・・ 勝手に何をしているのじゃ!!」

神様「今のアンタよりキー子ちゃんの方が神力高いんだし、当然でしょ」

幼女神「・・・・・・」グヌヌ

神様「世代交代だよ~ お疲れちゃん。 これからはキー子ちゃんが主神、幼女はさっさとここから出て行くこと」

幼女神「きさま・・・」


神様「」チラッ

幼女神「?」

446: 2017/05/18(木) 23:21:30 ID:qQYGK.Oo


 ちょ、キー子さん落ち着いて!
 は、放して下さい!


神様「いいタイミング」ニヤッ

幼女神「・・・お前、まさか!」


バンッ


キー子「最高神様!」

神様「おや? 主神様の登場か」

キー子「酷すぎます! 幼女神さまは・・・ 皆のことを思って温泉を作っているのに・・・」ワナワナ

神使「キー子さん・・・」

447: 2017/05/18(木) 23:22:33 ID:qQYGK.Oo

キー子「私は幼女神さまから離れません! この神社の主神様は幼女神さまで、私はそのお付きです!」

神様「ほぉ」ニヤリ


幼女神「バカ! キー子、余計なことを喋るな! このクソガキは何か企んで―――」

神様「今、この神社の主神はキー子ちゃんだ。 神勅宣言はしなかったが、この社においては同等の力を有す」

幼女神「くっ!」

神様「その主神がなんて言った?」

幼女神「お前・・・」

448: 2017/05/18(木) 23:24:03 ID:qQYGK.Oo

神様「なんと! 神力の少ない幼女を主神にすると! しかし、この幼女は神力が神宮規定以下の量しかない」

神様「どうすれば良いんだー。 泉源神社の主神が発した神勅には逆らえないしー」ウーン

キー子「・・・あの」


神様「あっ! キー子神が手に持っているのは神力が詰まった神体!」

神様「そうか! それを幼女が取り込めば主神認定分の神力が溜まるということか!」

キー子「・・・最高神様?」


神様「なに!? しかも毎日その神体分の神力量が手に入るって!?」

神様「さすが、キー子神! 準備はすでに出来ていたと!」

神様「素晴らしい作戦! 私もそれに乗ろう!」

キー子「・・・・・・」ポカン


神使「神様・・・ 棒読み過ぎるんですが・・・」

449: 2017/05/18(木) 23:24:53 ID:qQYGK.Oo

神様「おい、幼女。 主神様からアンタの神力を上げるように言われたぞ。 さっさと取り込んで神力上げろ」

幼女神「んがー! なんという回りくどいことを!!」ジタバタ


神様「最高神と主神からの命だ。 神宮規定でお前は逆らえないし言うこと聞いておけ」

幼女神「こんな下らない仕込みを見抜けなかった自分が悔しぃー!!」ジタバタ

神様「心ばっか読んでるからだ。 ざまー」ニヤッ

幼女神「んがー! んがー!」ジタバタ

454: 2017/05/24(水) 01:30:07 ID:ZOdeniU2


――― 本殿


キー子「では、幼女神さま」

幼女神「ふん!」プイッ

神様「おい、往生際が悪いぞ。 あんまりダダをこねてるとママ許しませんよ?」

幼女神「うっさいわ! 誰がママじゃ!」

神様「そうですか、幼女神さまはキー子ちゃんの神勅を無視する気ですね? 見損ないました」

幼女神「うっ・・・ わ、分かったわ! しかし何じゃこの神体は」

神様「あ? 現代の職人が腕によりをかけて作り上げた唯一無二の工芸品だぞ? 文句あるのか?」

幼女神「これは・・・ キー子ではないのか?」

神様「この地に相応しい神体だろ? みんな大喜びでコレに神力入れてたぞ?」

キー子「・・・ぅぅっ///」

455: 2017/05/24(水) 01:31:40 ID:ZOdeniU2

神様「いいから早く手を出せよ」

幼女神「ったく」スッ

神様「キー子ちゃん、よろぴこ」

キー子「は、はい」スタスタ

幼女神「?」

キー子「善意ある神々から頂きし神力を我が主神である幼女神さまへ解放されたし」


ポワッ


幼女神「キー子・・・ お前・・・」

神様「さっき言っただろ、キー子ちゃんは神籍に入ったの。 神力操作位は扱えるようになってるの」

幼女神「そうか・・・」フッ

456: 2017/05/24(水) 01:32:52 ID:ZOdeniU2


ポワポワ ポワポワ


幼女神「ふむ。 これでいいか?」

一同「・・・・・・」

幼女神「なんじゃ、皆してアホずらしおって」

キー子「幼女神さま・・・ ですか?」

幼女神「あ? 何を言っておるのじゃキー子」

神使「神様が二人!?」

幼女神「? なんか背が伸びた気がするのぉ」

神様「随分と成長・・・ いやアンタからしたら若返ったのか」

神使「神様とうり二つですね」

幼女神「ふむ。 懐かしい感じじゃ」

457: 2017/05/24(水) 01:34:06 ID:ZOdeniU2

神様「せめて髪型くらい変えとけよ。 かわゆい神ちゃんがいっぱいいると困る」ムスッ

幼女神「そうだな。 ではワシは男どもに大人気のポニーテールにでもするかのぉ」

神様「え!? ポニーテールって野郎どもが好きなの?」

幼女神「なんじゃ、知らぬのか? ナウいおなごはポニーテールなんじゃぞ?」

神様「・・・幼女はそのままでいろ。 私がポニーテールにする!」

幼女神「狛犬の神使は、どちらが好みじゃ?」

神使「え!? 私は・・・ 特に髪型にこだわりは・・・」

幼女神「・・・・・・」ジーッ

神様「あっ! お前犬ころの心覗いたろ!」

幼女神「いいや?」ニヤッ

神様「どっちだったんだよ! 気にはならないけど、教えろよ!」

幼女神「ワシはポニーテールにする。 お前はそのままでいるんじゃな」ヒヒヒ

神様「んがー! ムカつく!」

463: 2017/05/27(土) 02:03:29 ID:58iIJxUA


――― 数分後


 おい教えろよ~
 あっちに行け! それ以上近づいたら電気アンマじゃぞ!!


神使「幼女神さま元気ですね」

キー子「・・・・・・」

神使「キー子さん?」

キー子「最高神様って凄いですね」


 ねぇ~ お願いだから~
 まとわりつくな! 用が済んだらとっとと帰れ!!


神使「・・・だと良いのですが」

464: 2017/05/27(土) 02:04:38 ID:58iIJxUA

キー子「私、幼女神さまの神力がどんどん減っていくのを見てどうすることも出来ず・・・」

神使「・・・・・・」

キー子「何十年も一人で悩んで・・・ でも、最高神様が来てたった1日で全部解決してくれて」

神使「お役に立てて何よりです。 神様もああ見えて一応神ですから、お願い事を成就するのが好きなんです」

キー子「尊敬いたします」

神使「なんか、神様が褒められると私も嬉しいですね」ハハハッ

キー子「神になった今、最高神様の凄さがハッキリと分かります。 とても強いお力をお持ちなんですね」

神使「力は・・・ どうなんでしょう。 神力ゼロですからね」

キー子「ゼロ? またご冗談を。 凄い量の気・・・ いえ、神力を感じますよ?」

神使「はい?」

465: 2017/05/27(土) 02:05:26 ID:58iIJxUA


ガバッ


キー子「きゃ!」

神様「犬ころの分際でしっぽりしやがって、私もキー子ちゃんとしっぽりするー」グヘヘ

神使「神様! どこから湧いたんですか!」

神様「キー子ちゃんは、やっぱり私のものだ~」スリスリ

キー子「最高神様! ちょ! あの!」

神様「うへうへ~、高速スリスリ~」スリスリ スリスリ

神使「それはしっぽりとは言いません。 ただの変質行為です」グイッ

神様「ぅおぷっ!」

466: 2017/05/27(土) 02:06:10 ID:58iIJxUA

神使「さて、日も暮れてきましたしそろそろ戻りましょうか」

神様「そうね、幼女いじるのも飽きたし」

キー子「え!? もう少しゆっくりされては・・・ 何でしたらお泊まりに」

神使「そんな迷惑をおかけするのも悪いですし」

キー子「迷惑だなんてそんな事は」

神使「いえ、キー子さんに被害が及ぶという意味ですので」

神様「ぐへへ~」ワンワナ

キー子「・・・・・・」


神使「神様? 口からよだれが垂れてます」

神様「おっと」ジュルリ

467: 2017/05/27(土) 02:07:02 ID:58iIJxUA

キー子「・・・・・・。 あっ、幼女神さまを呼んで参ります」

神様「良いって、また遊びに来るから」

神使「よろしいのですか?」

神様「それより、キー子ちゃんをお持ち帰りして―――」

神使「では失礼いたします。 ほら、神様行きますよ」グイッ

神様「あんだよ~ もっとキー子ちゃんとくっつきたい~」ズルズル

キー子「・・・・・・」


神様「キー子ちゃん! またね~」ズルズル

神使「幼女神さまによろしくお伝え下さい」ペコリ


キー子「ま、またお目にかかれる日を楽しみにしております」フカブカ

468: 2017/05/27(土) 02:07:39 ID:58iIJxUA


――― 参道


神様「おっちゃん! 牡蠣フライ棒30本!」

店主「はいよ!」

神使「ちょっと、何ですかその数・・・ すいません、3本で良いです」

店主「はい、牡蠣フライ棒3本」スッ

神様「え~ 私30本くらい食べれる~」

神使「食べられる食べられないの問題ではありません」

神様「なんだよ、ケチ」ブー

469: 2017/05/27(土) 02:08:32 ID:58iIJxUA


テクテク


神使「今回も無事解決できて良かったですね」

神様「まぁ、私にかかればこんな問題何でもない訳よ」パクパク


神使「あの、一つ良いですか?」

神様「あ? 食べ歩きくらい良いだろ」アムアム

神使「いえ、神様が幼女神さまに神力補給の神勅を出すだけで良かったのでは?」

神様「それじゃぁ面白くないだろ? もう少し幼女を“ぎゃふん”と言わせるような手をだね~」

神使「」ジーッ

神様「な、何だよ」

470: 2017/05/27(土) 02:09:32 ID:58iIJxUA

神使「誰も傷つかず関係も壊すことなく、なおかつ今まで以上に皆さんが喜ぶ方法でしたね」

神様「・・・何か言いたいんだよ」

神使「さすが神様です」

神様「ま、まぁ神使君が私の素晴らしさに気付いて崇め奉り大量の牡蠣を納めようとしている気持ちは―――」

神使「またそうやって照れちゃって」

神様「・・・・・・」


神様「買いかぶり過ぎだよ。 幼女はキー子ちゃんの願いは絶対に断らないし」

神使「そうなんですか?」

神様「主神と神使はそういうもんだ」

神使「・・・・・・。 では、毎日裸でうろつくのは止めて下さい」

神様「うろついてねーだろ! 毎日ちゃんとおべべ着てるだろーが! 見ろよ!」

471: 2017/05/27(土) 02:10:20 ID:58iIJxUA

神使「とにかく、今回もご苦労様でした」

神様「ご苦労しました」


神使「では、暗くなってきましたし急ぎましょう」

神様「まぁ、これでミッションクリアって訳だな」

神使「そうですね」

神様「次はもう少しだけ都会が良いなぁ。 あと、海が近いところで。 楽しみだな~」

神使「何を言っているんです?」

神様「は? いや、次の町に行くんだろ? そういう流れだったじゃん」

神使「今日の朝着いたばかりですよ? 一週間泊まると言ったじゃないですか」

神様「・・・・・・え?」

472: 2017/05/27(土) 02:11:09 ID:58iIJxUA

神使「今日から6泊しますので」

神様「いや・・・ もういいって言うか・・・ こんな所でやることないんだけど」

神使「何を言っているんですか。 反省文、まだ書いていませんよね?」

神様「・・・・・・」


神使「500枚ですからね?」

神様「どうにかして提出しなくてもいい方法ってないかなぁ」

神使「あるわけないじゃないですか。 さ、早く宿に戻りましょう」

神様「うぅ・・・ 私だけ願いが成就されないままだよ・・・・・・」

479: 2017/05/28(日) 02:24:31 ID:KpM4lsiY


――― 神苑温泉


ガラガラ


神様「たでーま~」

支配人「お帰りなさいませ、最高神様」ドゲザ

神様「いや、普通にかわゆい神ちゃんって呼んで欲しいんだけど。 っていうか何コレ!?」

神使「どうしてエントランスに神々の皆さんが?」

支配人「明日の分の入湯税徴収の順番待ちです」

神様「順番って・・・ 並んでないじゃん、倒れてんじゃん」

神使「あまり景観がよろしくないですね・・・」

480: 2017/05/28(日) 02:25:39 ID:KpM4lsiY

神様「おいクズども、徹夜待ちの者は明日キー子ちゃんの顔を拝めないぞ!」

神達「え!?」

神様「熊夫くん、徹夜待ちのヤツをチェックしておいて」

支配人「承知!」


ダダダダダッ


神使「すごい早さで居なくなりましたね・・・」

神様「ったく、アイツらときたら」

481: 2017/05/28(日) 02:27:18 ID:KpM4lsiY

支配人「神ちゃん様!」

神様「え!? なに?」

支配人「神ちゃんさまには何とお礼を申し上げたら良いか」フカブカ

神使「源泉のことでしたらお気になさら―――」

支配人「キー子さんの入湯税徴収サービスの噂を聞きつけ、向こう3年分の宿の予約が埋まる勢いです」

神使「あっ、そちらの話ですか・・・」

神様「良い案だっただろ?」ニヤッ

支配人「神々の皆さんが長期滞在で予約を入れて下さり大変有り難いことです」

神使「長期滞在なんかして皆さん神力は大丈夫なんでしょうか・・・」

482: 2017/05/28(日) 02:29:18 ID:KpM4lsiY

支配人「大のキー子さんファンでもある神様機構の長官様と、神使長様もご予約頂きまして」

神様「アイツらもかよ・・・」

支配人「視察名目で本日1泊だけですが、早速お越し頂けるとの事でご連絡頂きました」

神様「ぇ・・・・・・」サー

神使「神様? 顔色が悪―――」


ダダダダダダッ


神使「神様!?」

483: 2017/05/28(日) 02:30:05 ID:KpM4lsiY


――― 宿泊部屋


神使「どうされたんです? そんなに急いで部屋に戻って」ハァ ハァ


ポワポワ


神使「?」

神様「よし、と」


神使「神様?」

484: 2017/05/28(日) 02:31:31 ID:KpM4lsiY

神様「おい、荷物まとめて速く逃げるぞ」イソイソ

神使「反省文の件ですか? 提出期限までまだありますから大丈夫だと思いますが」

神様「私がそんなもの書くわけねーだろ!」

神使「・・・・・・。 私はほとんど書き上げたので・・・ 少しお手伝いしましょうか?」


神様「もう書けねーんだよ」

神使「どういう意味です?」


神様「・・・・・・。 これ」スッ

486: 2017/05/29(月) 22:43:47 ID:TavMzoVQ

神使「それは千羽鶴ですか?」

神様「うん」

神使「どうしたんですか、それ?」

神様「感想文の紙で作りました」

神使「・・・・・・」

神様「最初は数羽だったんだけど・・・ 気がついたら・・・ 全部・・・ こんなになって・・・」

神使「でも、神様の分だけですと500羽ですよね?」

神様「・・・・・・」

神使「あの・・・ 所々に文字の書いてある鶴があるのですが・・・」

神様「神使君の分も鶴にしてみました」テヘッ

神使「!?」

487: 2017/05/29(月) 22:45:05 ID:TavMzoVQ

神様「合わせて1000羽、みたいな?」

神使「私の反省文が!」

神様「諦めるんだ! もう戻せない!」

神使「ちょ、何で鶴にしちゃたんですか!?」

神様「なってしまったものは仕方がないんだ! 良いからアイツらが来る前にずらかるぞ」


長官「誰が来る前にだって?」

神様「長官くんと神使長だよ! あいつら私達を見たら絶対反省文のこと言って・・・ って」クルッ

長官「反省文は書けたのかい? 神ちゃん」

神様「・・・・・・」

神使長「神使君は出来たのかな?」

神使「・・・・・・」

488: 2017/05/29(月) 22:46:49 ID:TavMzoVQ

神様「あっ、長官くん! 足下にゲジゲジがいる!」

長官「!?」


神様「逃げるぞ! 犬ころ!!」ダダダッ

神使「え!? ちょ、神様!?」


 早く来いやー!! ダダダッ


神使「いや・・・ あの・・・」オロオロ

神使長「君の主神様がお呼びだ。 お付きの神使なら主神に従いなさい」

神使「すいません、失礼します」ペコリ


神使「神様~ 待って下さ~い」ダダダッ

489: 2017/05/29(月) 22:47:47 ID:TavMzoVQ

長官「全く・・・」ハァ

神使長「ん? これは・・・」

長官「千羽鶴のようだね」

神使長「これ、反省文の紙じゃ・・・」

長官「神ちゃんは一体何をやって・・・ ん?」

神使長「長官さん?」


長官「これは・・・ 千羽鶴から神ちゃんの神力を感じる・・・」

神使長「そんな! 最高神様の神力!?」

長官「・・・・・・」

490: 2017/05/29(月) 22:50:40 ID:TavMzoVQ


ブルブル


長官(メール?)




From:神ちゃん
Title:それ
本文:私達からのプレゼント 神宮のみんなにあげるから許してちょ





長官「全く」フッ

神使長「?」

長官「最高神の神力入り千羽鶴だなんて、神宮久しぶりの宝物だな」


長官「今日は素晴らしい日だ」

491: 2017/05/29(月) 22:51:44 ID:TavMzoVQ


テクテク


神使「も~ どうするんですか・・・」

神様「だって、アレに捕まったら面倒だろ?」

神使「面倒ってそんな・・・ 元々の原因は私達ですから」

神様「宿に戻れないし、このまま次の所に行こうぜ~」

神使「荷物がまだ宿にありますから戻りますよ。 それに宿泊費は前金で入れておりますから泊まらないと損です」

神様「え~ マジかよ」

神使「長官さん達は1泊と言っていましたから、私達は明日宿に戻りましょう」

神様「今日はどうするの?」

神使「野宿とか?」

神様「申し訳ございませんが、そういうのは本当に勘弁していただけないでしょうか」

神使「では」

492: 2017/05/29(月) 22:53:20 ID:TavMzoVQ


テクテク
ピタッ


神使「本日はこちらにお世話になりましょう」

神様「まぁ・・・ 野宿よりはマシか・・・」ハァ


ガラガラ


神様「たでーま~」

神使「おじゃまいたします」


キー子「最高神様、狛犬の神使さま。 お帰りなさいませ」ニコリ

幼女神「なんじゃ、夕飯は食べてしまったぞ? 食後の牡蠣アイスでも一緒に食べるか?」ニコッ





神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
#15「神苑温泉」 ―END

497: 2017/05/30(火) 19:33:47 ID:lr4svDw2


――― 深夜


神使「Zzz・・・」スヤスヤ


ゴソゴソ


神使「ん・・・」ムクッ


ゴソゴソ


神使「・・・神様?」ポー

498: 2017/05/30(火) 19:34:46 ID:lr4svDw2

幼女神「・・・・・・」

神使「幼女神さま? あれ、神様は・・・」キョロキョロ

幼女神「少し位はアイツと間違えると思ったのにのぉ」ハァ

神使「そんな失礼はさすがに・・・」

幼女神「しかも、目覚めて早々アイツの心配か」

神使「あ、いえ。 そういう訳では・・・ すいません///」

幼女神「謝る必要はない。 本心なのであろう?」

神使「ぅ・・・///」


幼女神「アイツなら本殿にいる」

神使「こんな夜中に本殿で何を・・・」

幼女神「キー子へ祈祷や祭儀の作法を教えているようだ。 ワシのやり方は古いそうでのぉ」

神使「そうでしたか」

幼女神「・・・・・・」

499: 2017/05/30(火) 19:35:40 ID:lr4svDw2

幼女神「この度は、この地の問題を解決してくれてありがとう」ドゲザ

神使「ちょ、幼女神さま! 止めて下さい」オロオロ

幼女神「それだけでなく、その・・・ ワシ自身の問題ごとまで解決してくれ何と礼を申したら良いか」

神使「私は何も・・・ 全部神様が一人で解決されたことですので。 私ではなく神様に」

幼女神「お前に礼を言えば同じであろうと思ってな」

神使「・・・直接お話しして頂いた方が神様も喜ぶと思いますよ?」

幼女神「ワシはこう見えてプライドが高いのじゃ」

神使「はぁ・・・」

幼女神「見たんまんま、と思っているのであろう」

神使「いえ、そんな事は・・・ すいません、心を読まれているので嘘は付けないですね・・・」

幼女神「読んでおらん」

神使「え?」

500: 2017/05/30(火) 19:36:30 ID:lr4svDw2

幼女神「そんなことより、お前に頼みがある」

神使「私にですか?」

幼女神「受け取ってもらいたい物がある」

神使「?」

幼女神「本来はアイツに渡すべき物なのだが」

神使「もしかして、神様が受け取ってくれないというやつですか!?」

幼女神「そうじゃ」

神使「しかし、それを渡してしまうと幼女神さまが・・・」

幼女神「今の最高神に渡せばな。 だがお前は違う、お前に渡してもワシは消えん」

神使「そんな大切な物を、私なんかがお預かりするというのは身分不相応かと」

501: 2017/05/30(火) 19:37:16 ID:lr4svDw2

幼女神「いいや、お前になら安心して渡せる。 出来れば生涯アイツの身近にいるお前に預かってもらいたい」

神使「・・・・・・」

幼女神「ずっと一緒にいるのであろう?」

神使「・・・・・・///」

幼女神「案ずるな。 爆発したり、道中かさばるような物でもない」

神使「しかし・・・」

幼女神「頼む。 アイツが信頼し、心許すお前に頼みたいのだ」

神使「・・・・・・。 承知いたしました、お受けいたします」フカブカ

幼女神「よし、そのまま楽にしておれ」

神使「?」


ポワン ポワン


幼女神「終わった」

502: 2017/05/30(火) 19:38:15 ID:lr4svDw2

神使「何か頭の中に・・・ 祝詞・・・ いや呪文でしょうか? なんですかこれ?」

幼女神「最後の言霊」

神使「最後の・・・ 言霊?」

幼女神「唱える者の願いを何でも叶えるそうじゃ」

神使「願い・・・」

幼女神「あぁ、何でも叶う。 この世をゼロにすることさえ出来る」

神使「え!?」

幼女神「その代わり、唱えた者の存在は消えるがの」

神使「命と引き換えの願い・・・ ということですか?」

幼女神「と、言われているがワシも知らん。 使ったことないしな」

神使「・・・・・・」

503: 2017/05/30(火) 19:39:11 ID:lr4svDw2

幼女神「呪文の意味が理解できぬ。 意味を理解しないと唱えても効果はないみたいじゃ」

神使「と言いますか、これ発音自体分からないのですが・・・」

幼女神「そうじゃろ? ワシも分からん。 まぁこの先あいつも必要になる事などないと思うが」

神使「だと良いんですが、教えてしまうと面白がって使いかねませんからね・・・」

幼女神「あいつもそこまでアホではなかろうに」ハハハッ

神使「私の命にかえても守り通します。 それこそ墓まで持っていく覚悟で」

幼女神「賢明じゃ」


幼女神「これでワシの役目は終わったな。 はぁ~・・・ いざ消えるとなると少し寂しいな」フッ

神使「!? 幼女神さま! 先ほど渡しても消えないと!!」


幼女神「プッ! 引っかかった~ 本気にした? ビックリくりした?」ウヒャヒャ

神使「・・・・・・」

504: 2017/05/30(火) 19:39:43 ID:lr4svDw2

幼女神「安心しろ。 ワシなら大丈夫じゃ」

神使「この雰囲気でそういう冗談は勘弁して下さい」ホッ

幼女神「すまぬ。 さて、少しキー子の様子でも見てくるか」ヨイショ

神使「お供してもよろしいでしょうか?」

幼女神「もちろんじゃ、行こうではないか」

505: 2017/05/30(火) 21:37:38 ID:lr4svDw2


――― 本殿前


♪~


幼女神「なんじゃ? この音は」

神使「巫女舞ですね。 神様はキー子さんに巫女舞も教えているのでしょうか?」

幼女神「そういえば、あのガキは昔から踊るのが好きじゃったからのぉ」


 もっと前に! 足が伸びすぎ! 少ししゃがむ位の感じで!
 は、はい!


神使「随分とスパルタですね・・・」

幼女神「あのガキがこんなに熱心になるとは珍しいの」

神使「邪魔してもアレですし、こっそり覗いてみましょうか」

幼女神「そうじゃの」

506: 2017/05/30(火) 21:38:14 ID:lr4svDw2


ソォー


神様「そんなんじゃ男どもを悩殺できないって! もっと襦袢見せて!! もっと肌出して!!」

キー子「え~っ!?」


神使・幼女神「・・・・・・」


神様「良い? 男達の視線を真っ赤な襦袢からその白い肌に向けさせる感じを意識し―――」


ガラガラ
バンッ!


神様「!?」ビクッ

507: 2017/05/30(火) 21:39:00 ID:lr4svDw2

幼女神「おい」

神様「あれ~ 幼女ちゃん・・・ 神使さんも一緒で・・・」タラタラ


神使「神様? 巫女舞にそんな振りはございませんよね?」

神様「・・・・・・」


幼女神「何を悩殺させるって?」

神様「・・・・・・」

幼女神「勅令口呪符霊不~」ポワン ポワン


ゴゴゴゴゴ


神様「ちょ、お前それマズいって! ダメだよマジモンじゃねーかよ!!」アワアワ

508: 2017/05/30(火) 21:41:19 ID:lr4svDw2


――― 数十分後


神様「・・・・・・」ゲッソリ


幼女神「ったく、何をしておるのじゃお前は」ハァ

神様「いや、キー子ちゃんが効率よく神力徴収が出来るようにと思いまして・・・」

神使「神様・・・ いくら何でもあれは・・・」

幼女神「祭儀の作法を教えるのではなかったのか?」

神様「教えたよ!」

キー子「神ちゃんさまからは一通り教えて頂き、時間が余ったので他の物をと私からお願いしただけですので」

神使「キー子さん、別に庇わなくても良いですよ?」

神様「いや待てよ! 基本形は本当に全部教えたって!」

509: 2017/05/30(火) 21:42:05 ID:lr4svDw2

幼女神「キー子は他に何を教えてもらったのじゃ?」

キー子「そうですね・・・ 神ちゃんさまの有り難いお札を作成して神力徴収の際に神々の皆さんにお配りする案を」

幼女神「無料か?」

キー子「1枚500円です。 でも凄いんです! 神ちゃんさまが半分この神社に初穂料を寄付してくれると仰ってくれまして!」

幼女神「・・・・・・」ピクッ

神様「ぁ、キー子ちゃん? あんまりそこら辺は・・・」


キー子「あと、神ちゃんさまグッズの案も色々頂きました!」

幼女神「そうかそうか」ニコッ

神様「・・・・・・」

510: 2017/05/30(火) 21:42:51 ID:lr4svDw2

幼女神「勅令口呪符霊不~」ポワン ポワン


ゴゴゴゴゴ


神様「だからそれダメだって! おい犬ころ! 逃げるぞ」ガシッ

神使「ちょ、神様!?」ズルズル

神様「あれくらったら意識失うぞ!」ダダダダッ


バリバリバリバリ


神様「犬ころ! もたもたするなー!」ダダダダッ

神使「私、関係ないのに何でー」タッタッタッ


幼女神「二度と足を踏み入れるな! この出来損ないの最高神がー!!」

511: 2017/05/30(火) 21:43:34 ID:lr4svDw2


シーン


キー子「行ってしまいましたね」

幼女神「全く、あいつは別れ際はいつもこんなじゃな」ハァ

キー子「しかし、神ちゃんさまってとても尊敬できる方ですね」

幼女神「あんなのを尊敬などすると大変じゃぞ?」

キー子「私の憧れる神が増えました」

幼女神「・・・・・・」

キー子「幼女神さまと、神ちゃんさま。 私は尊敬しお慕い申し上げます」フカブカ

幼女神「アイツと一緒というのが癪に障るが・・・ まぁ確かにアイツは優秀だ。 認めよう」

キー子「はい」ニコッ

512: 2017/05/30(火) 21:44:19 ID:lr4svDw2

幼女神「さて、こんな遅くなのにアイツらのせいで寝られそうにない」

キー子「温泉、お作りになります?」

幼女神「そうじゃな。 明日からは少し多めに作らんといかんし」

キー子「あ、あの・・・ 私も一緒に作らせて頂いても良いでしょうか?」

幼女神「・・・・・・」

キー子「すいません! 調子に乗ったことを・・・」ペコリッ

幼女神「いいや、助かる。 手伝ってくれるか?」

キー子「はい!」

幼女神「では、行こう」

515: 2017/05/31(水) 00:04:12 ID:ZiTUln7.


――― 神社入り口


神様「ハァ・・・ ハァ・・・」ゼエゼエ

神使「もう、神様・・・ 何てことを・・・」ゼエゼエ

神様「仕方ないだろ! お金欲しかったんだもん!」

神使「そんな直球で言わないで下さい」


神様「あ~ 折角の寝床が・・・ 今日は野宿確定か」ゲンナリ

神使「神様のせいです」

神様「へいへい、すんませんね~」


神使「さて、どこで休みましょうか」

神様「探しながら少し散歩でもしないか?」

神使「そうですね、とても眠れる感じでもありませんし」

516: 2017/05/31(水) 00:04:59 ID:ZiTUln7.


テクテク


神様「あ~ 今日は月がまん丸だな」

神使「満月ですね」

神様「良いこと教えてやろうか、月にウサギなんていないんだぜ?」

神使「・・・知ってはいますが、立場上あまりそういう事は言わない方が良いですよ?」

神様「私は月より団子派、情緒より娯楽。 現実主義者なのだよ」

神使「神様って本当に我が道を行く、ですね」

神様「それ褒めてるの? 貶してるの?」

神使「褒めているんですよ」

神様「斬新な褒め方ですな~」

517: 2017/05/31(水) 00:05:45 ID:ZiTUln7.


テクテク


神様「おっ、ここ野宿に丁度良いんじゃない?」

神使「程よい草地、月も見えて良い感じですね」


神様「私、こっち側~」ゴロン

神使「隣に失礼します」ゴロン


神様「もっとこっちに来いよ、お前半分草地から出てるじゃん」

神使「では、お言葉に甘えて」ピタッ


神様「はぁ~ 今日は長い一日だったな」

神使「とても良い一日でした」


神様「・・・・・・」

518: 2017/05/31(水) 00:06:51 ID:ZiTUln7.


神様「なぁ、どう思う?」

神使「何がです?」


神様「私さぁ、お前とこうして旅に出てから毎日が楽しくて仕方ないんだ」

神様「朝起きてから寝るまで、いや夢の中でもかな。 本当に毎日が楽しくて楽しくて」

神使「・・・・・・」


神様「私は神だ。 この国にいる人の願いを聞き成就するのが責務であり、私が存在できる理由でもある」

神様「そんな私がこんなに楽しんで良いのかってさぁ」

神使「・・・・・・」

519: 2017/05/31(水) 00:08:01 ID:ZiTUln7.

神使「良いと思いますよ? 神様が楽しければきっと周りも幸せです」

神使「神様が毎日ニコニコされていれば私は嬉しいですし、きっと皆も同じだと思います」

神様「・・・・・・」


神使「神様は最高神ですから。 神様がこの国で一番幸せになっても良いんじゃないですか?」

神使「周りに沢山迷惑かけて、自由奔放で何の悩みもなく好きなことを好きなだけする」

神様「・・・・・・」


神使「皆、そんな神様のお相手をするのがとても楽しいんです」

神使「朝起きてから寝るまで、夢も中でもいつも一緒の私が言うんですから間違いありません」


神様「そうか」

520: 2017/05/31(水) 00:09:01 ID:ZiTUln7.

神使「私も、こうして神様と一緒にお供できて毎日とても楽しいです」

神様「よかった」


神使「神様と出会い、旅をするのが規定事項だったとしても偶然の悪戯だったとしても・・・」

神使「神様の隣でこうしてお話しができ、一緒に居ることのできる幸せを与えて下さったことに私は・・・・・・」

神使「・・・・・・」


神様「?」

神使「・・・・・・」

神様「何だよ、急に黙り込んで」

521: 2017/05/31(水) 00:09:47 ID:ZiTUln7.

神使「神様、私は自分で意志が強いと思っておりましたが・・・」

神様「?」

神使「どうも違うようです」

神様「どしたの?」

神使「そして、私の身勝手な理由で待って欲しいなどとワガママを・・・」

神様「・・・・・・」


神使「・・・・・・神様」ジッ

神様「ぇ、ぁ・・・ な、なに?」

522: 2017/05/31(水) 00:10:52 ID:ZiTUln7.

神使「先日、私が胸を張って神様にお伝えできるその日まで時間を下さいと言いました」

神様「・・・・・・」

神使「でも、お待たせするわけには行きません」

神様「・・・・・・」

神使「いえ、私が待てそうにありません。神様にはもっと幸せになって頂かないと」



神使「今日の私は少し・・・ いえ、かなり自信過剰です。 許して下さい」ニコッ

523: 2017/05/31(水) 00:11:32 ID:ZiTUln7.





神使「神様、どうか私をあなたの―――――――」





神様「!?」

524: 2017/05/31(水) 00:12:16 ID:ZiTUln7.


――― 神社・浴室


チャポン


キー子「幼女神さま?」

幼女神「なんじゃ?」

キー子「神ちゃんさまの神力なんですが・・・」

幼女神「・・・お前には見えたか」

キー子「幼女神さまによく似ておりましたが・・・」

幼女神「でも桁が違ったじゃろ」

キー子「はい。 一体どのくらいの量なのか検討もつかない位・・・」

525: 2017/05/31(水) 00:13:23 ID:ZiTUln7.

幼女神「もう何百年も封印している感じじゃな」

キー子「封印?」

幼女神「きっと、渡したい相手がいるんじゃろ。 あいつは自身の神力を渡すことで神を作る」

キー子「神を?」

幼女神「あぁ、自身の半分の神力を渡すんじゃよ。 きっと沢山渡したい相手でも居るんじゃないのか?」

キー子「そうですか。 それであんなに」

幼女神「でも、近いうちにアイツも神力を再び使えるようになるじゃろ」


幼女神「アイツと同じ強い神力を授かり・・・ 二人がこの国を笑顔が絶えぬ国へと導いてくれる」

キー子「楽しみですね」


幼女神「見てみろ、今日は月がまん丸じゃ」

キー子「満月ですね」


幼女神「今日は素晴らしき日じゃ」


チャポン

526: 2017/05/31(水) 00:14:33 ID:ZiTUln7.



神使「ぅ・・・///」カーッ

神様「嬉しいな。 今まで生きてきた中で一番嬉しい言葉だ」

神使「すいません・・・ ムードもへったくれもなく・・・///」


神様「神使・・・ いや、神使さん」

神使「!?」



神様「その言葉、お待ち申し上げておりました」ギュッ

神使「神様・・・」




喜んでお受けいたします
私の一生をあなたに捧げます
不束者ですが、どうぞよろしくお願いします



私の愛する神使さま

527: 2017/05/31(水) 00:15:11 ID:ZiTUln7.

神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」―END

528: 2017/05/31(水) 00:15:55 ID:ZiTUln7.

引用: 神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」 3社目