550: 2017/07/24(月) 00:22:42 ID:zHnNduY.
春先にあらすじ書いて完結出来なさそうだったのでお蔵入りしたヤツですが……
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#12 「あにあに神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#13 「いつでも一緒」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#0
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#14 「キセキ野教会」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#15 「神苑温泉」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#16 「お花を摘みに」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#12 「あにあに神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#13 「いつでも一緒」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#0
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#14 「キセキ野教会」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#15 「神苑温泉」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#16 「お花を摘みに」
551: 2017/07/24(月) 00:23:29 ID:zHnNduY.
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
【#16】「お花を摘みに」
ガタンゴトン
神様「ねぇねぇ神使く~ん」モジモジ
神使「どうしたんです?」
神様「私、結婚式は牡蠣の養殖場が見える海辺の教会がいいなぁ~」クネクネ
神使「どこにあるんですかそんな場所・・・ って、神社じゃなくて教会なんですか!?」
神様「白無垢よりドレスが着たい!」
神使「・・・・・・」
神様「それよりさぁ~ 一つ聞いてもいい?」
神使「なんです?」
神様「どこ向かってるの? 神宮と逆向きだよね、この電車」
神使「良くお分かりになりましたね」
神様「私くらい立派な神だと、上りと下りの電車くらい分かるんだわ」
【#16】「お花を摘みに」
ガタンゴトン
神様「ねぇねぇ神使く~ん」モジモジ
神使「どうしたんです?」
神様「私、結婚式は牡蠣の養殖場が見える海辺の教会がいいなぁ~」クネクネ
神使「どこにあるんですかそんな場所・・・ って、神社じゃなくて教会なんですか!?」
神様「白無垢よりドレスが着たい!」
神使「・・・・・・」
神様「それよりさぁ~ 一つ聞いてもいい?」
神使「なんです?」
神様「どこ向かってるの? 神宮と逆向きだよね、この電車」
神使「良くお分かりになりましたね」
神様「私くらい立派な神だと、上りと下りの電車くらい分かるんだわ」
552: 2017/07/24(月) 00:24:34 ID:zHnNduY.
神使「夏と言えば?」
神様「夏休み!」フンスッ
神使「夏休みと言えば?」
神様「アルバイト!」
神使「アルバイトと言えば?」
神様「生活費の足しを求めて私達が行うもの!」
神使「さすが神様、正解です!」
神様「・・・予想はしていましたが、浮かれていた気分が一気に冷めました。 はい」
553: 2017/07/24(月) 00:25:30 ID:zHnNduY.
─── とある神社・参道
テクテク
神様「はえ~ デカい神社だな~」
神使「参道も大きくて長いですよね。 本殿がまだ見えないですよ」
神様「お前の友達って結構良いとこに勤めてるのな」
神使「友さんはとても優秀な神使ですから」
神様「も~ 自分の方が優秀なくせに謙遜しちゃって~」ウリウリ
神使「・・・・・・」
554: 2017/07/24(月) 00:26:49 ID:zHnNduY.
お~い
神様「ん? あれ知り合い?」
神使「友さんです」
友「よー神使。 久しぶり」タッタッタッ
神使「ご無沙汰しております」ペコリ
友「わざわざこんな遠くまですまないな」
神使「お気になさらず。 バイトさせてもらう身分ですから」
友「ん? となりの子は巫女さんかい?」
555: 2017/07/24(月) 00:28:04 ID:zHnNduY.
神使「ご紹介します。 こちら私の主神様で神様です」
神様「はじめまして。 かわゆい神ちゃんと申します」ペコリ
友「・・・確かお前って神宮の神付き神使だったよな」
神使「はい」
友「という事は、こちらは神宮の・・・」
神様「内宮神籍で女神をやらせて頂いております」
友「!? ・・・・・・」スッ
神様「おっと! ふかぶか禁止!」
神使「神様は仰々しいのが苦手なので友達感覚でフレンドリーに接してあげて下さい」
友「いや・・・ あの・・・ 神宮の女神様にそのような事は・・・」
556: 2017/07/24(月) 00:29:08 ID:zHnNduY.
神使「神宮の神と言っても今は野良───」
神様「アッチョー!」ゲシッ
神使「痛いっ!」ガクッ
友「・・・・・・」
神様「気にせず、かわゆい神ちゃんと呼んで下さいね」ウフン
友「はぁ・・・ では、初めまして神ちゃん様」
神様「堅いな~ “かわゆい”かみちゃん、で良いって」
友「分かりました、神ちゃんさん」
神様「・・・うん」
557: 2017/07/24(月) 00:30:00 ID:zHnNduY.
神使「しばらくご厄介になります」
友「いや~ 神使が来てくれて助かったよ。 この時期どこも人手不足で」
神様「夏休みだものねぇ~ みんな夏休みだものねぇ~」ジロッ
神使「・・・・・・」
神様「この神社って神は誰が配属されてるの?」
友「この神社に神は配属されていません」
神様「え? これだけ大きいのに?」
友「そう思いますよね・・・ でも立派なのは参道だけなんです」
神使「お社の方は小さいのですか?」
友「まぁ見てもらえれば分かるとは思うけど・・・ 立ち話も何だし、歩きながらでも」
558: 2017/07/24(月) 00:31:01 ID:zHnNduY.
テクテク
神様「なんか、風化した石像みたいなのが参道横に沢山並んでるな」
友「八百万の神をお祭りしている石碑です」
神使「へぇ、珍しいですね」
友「何の神かは今となっては分からないんだけどな」
神様「八百万って便利なシステムだよね~」
神使「・・・立場上、あまりそう言う事は言わない方が良いですよ?」
友「昔は一体一体把握していたと思うんですが、さすがに今では何をお祀りしていたか分からずで」
神様「だいぶ風化しているし、神力は全部空っぽか」
559: 2017/07/24(月) 00:32:20 ID:zHnNduY.
テクテク
友「着きました」
神様・神使「・・・・・・」
友「これが当社の本殿です」
神様「え? どれ?」キョロキョロ
友「ですから、こちらです」コンコンッ
神使「いや、友さん・・・ 今日は暑いですから冗談は良いので早く案内して下さい」
友「うん、言いたい事は分かる。 でも本当なんだよ」
神様「ちょっと待って、これって・・・」
560: 2017/07/24(月) 00:33:20 ID:zHnNduY.
神使「あの・・・ これ、トイレですよね?」
友「厠だな」
神様「?」
友「当社の本殿でございます」
神様「・・・ごめん、ちょっと何言っているのか分からないんだけど」
友「当お社は、花摘み神社と申します」
神使「・・・なるほど、そう言うことですか」
神様「え? なんで今ので神使君は分かっちゃうの?」
562: 2017/07/24(月) 00:34:30 ID:zHnNduY.
神使「神様、よくお手洗い行くときに何て言って出かけます?」
神様「うOこ行ってくる、かな?」
神使「・・・普段おちゃらけて言う事があるじゃないですか」
神様「お花もりもり摘んでくる?」
神使「それです!」
神様「お花を摘む、花摘み・・・ 花摘み神社、トイレ!」
神使「そうです!」
神様「隠語じゃん! マジで?」
友「はい」
神様「このトイレが本殿?」
友「はい」
神様・神使「・・・・・・え!?」
570: 2017/07/25(火) 04:01:09 ID:x9saOh.6
神様「・・・神使君、帰ろ?」
友「まっ! 待って下さい! 帰りたい気持ちは分かります! ですが!」
神様「いやいや、だってトイレじゃん! 私ずっとこの中でお花摘むの?」
神使「普段は自分から進んで本殿には入らないじゃないですか」
神様「お~ 良くお分かりで」
神使「しかし、本殿なのにどうしてこんな隅の方に・・・」
友「え? 厠だし」
神使「確かに普通神社ではお手洗いは隅に設置しますが・・・」
神様「あっちにある建物は? あれ本殿じゃないの?」
友「あちらは社務所です」
神様「何で社務所が参道の正面にあるの? 何で本殿が隅っこなの? 設計したヤツどんだけ捻くれてるの?」
神使「どうしてトイレが本殿がなんです?」
友「さぁ? 詳しい事は俺も・・・ やっぱ花摘み神社だからじゃないか?」
571: 2017/07/25(火) 04:02:33 ID:x9saOh.6
神様「友くんは、この神社の神使なんだよね?」
友「いえ、私はここから5kmほど離れた立派天満宮の神使です」
神様「ん? ここの神使じゃないの?」
友「このお社は神がいませんから、神使も不在です。 神職も巫女もいません」
神使「では、なぜ友さんがこちらの管理を?」
友「数年までは宮司さんがいたんだけど、後継者がいなくて今は立派天満宮が管理しているんだよ」
神使「そういう事でしたか」
神様「こんな所で私達は何のバイトするの? トイレ掃除? まさか一日中ブリブリするの?」
友「さすがにそれは・・・ この神社は24時間見張りを付ける事になっておりまして」
神使「24時間体制ですか?」
神様「トイレしかないのに?」
572: 2017/07/25(火) 04:03:53 ID:x9saOh.6
友「実は、このお社には埋蔵金伝説がありまして」
神様「埋蔵金!?」クワッ
神使「・・・本当にあるんですか?」
友「さぁね。 そんな資料や文献は見つかっていないし都市伝説だと思うけどさ」
神使「なるほど、埋蔵金目当てで忍び込む人達がいるんですね?」
友「そう言うこと」
神使「困ったものです」ハァ
神様「火のない所に煙は立たぬ!」キラキラッ
神使「神様・・・ 瞳に¥マークが浮かんでいます」
573: 2017/07/25(火) 04:06:40 ID:x9saOh.6
友「これだけ広い神社で何にもないと逆に何かあるんじゃないか? って思う気持ちも分かるけどな」
神使「徳河の埋蔵金レベルの話しですね。 そんなありもしない物を・・・」
神様「徳河の埋蔵金ならあるよ?」
神使・友「え!?」
神様「いや、徳河の埋蔵金ならあるって」
神使・友「・・・はい?」
神様「日光にキラキラピカピカ神社あるじゃん?」
神使「西照宮の事ですか?」
神様「そうそう。 そこに今も手つかずで埋まってると思うけど」
神使・友「・・・・・・」
574: 2017/07/25(火) 04:08:11 ID:x9saOh.6
神様「本気で金に困ったら掘り返しに行こうぜ」ニヒヒ
神使「あの、それって本当なんですか?」
神様「埋めるとき私もその場にいたし。 何を隠そう許可を出したのは私なのだ!」フンスッ
神使「・・・・・・」
友「何か、今凄い事を聞いてしまった気が・・・」
神様「それより、この神社の埋蔵金だよ。 さすがの私も初耳だ」
神使「徳河の埋蔵金の方が気になるのですが・・・」
神様「あんなの、すぐに掘り返せないしこっちの方が面白そうじゃん!」
神使「・・・・・・」
神様「私のカンだと、この神社間違いなく何か隠していると思うんだよ」クンクン
友「ま、まずは社務所の方にでも・・・ 参拝者の方に聞かれるとアレですし」
575: 2017/07/25(火) 04:09:12 ID:x9saOh.6
─── 社務所
神様「変わった形の社務所だよね。 なんかキノコみたい」
神使「一周丸い形の社務所って初めて見ました」
友「この神社は色々と特殊でな」
神様「いいね~ もう埋蔵金が埋まっているって言っているようなものだよね」
神使「・・・・・・」
神様「よっしゃー! 燃えたぎってきた! 神使君、超特急でこの神社の事調べて!」
神使「え!?」
神様「神勅! 花摘み神社の由緒を徹底的に調べよ!」
神使「!?」フカブカ
576: 2017/07/25(火) 04:10:23 ID:x9saOh.6
神様「神宮の総力を挙げ徹底的に調べるんだ。 財宝は私のものだ!」
友「まさか、財宝を独り占めに!?」
神使「友さん、神様の神勅中です」ボソッ
友「あっ」フカブカ
神様「うそうそ、財宝が出たら全部寄付するに決っているじゃん。 イヤだな~ 私これでも神だよ?」アセアセ
神使・友「・・・・・・」ジトー
神様「と、取りあえず花摘み神社の事を早急に調べよ! 内宮神籍神様からの神勅を申し伝えた!」
神使「神様! そんな事で神勅なんて出さないで下さいよ」
神様「良いから、さっさと仕事!」シッシッ
神使「全く・・・」
577: 2017/07/25(火) 04:11:48 ID:x9saOh.6
神様「それより、この神社に詰めるのは私と犬ころの2人だけ?」
友「私も一緒にここにおりますので3人体制です」
神使「友さんはご自分のお仕事はよろしいのですか?」
友「夏休み中だし俺も一緒にここにいるよ」
神様「え? 夏休みなの?」
友「はい。 特に休んでもやる事はないですから」
神様「海とか、買い物とか、貝食いツアーとかしないの?」
神使「貝食いって・・・ そんな事するのは神様くらいですよ?」
神様「いやいや、巫女のA子ちゃんはプール行って海行って温泉入るって言ってたけど?」
神使「どんだけ水が好きなんですか・・・ そんな事するのは神様とA子ちゃんくらいです」
神様「何だよその言い方! 私とA子ちゃんが外れ者みたいじゃん!」
神使「そう言ったつもりです」
神様「・・・・・・」
578: 2017/07/25(火) 04:13:10 ID:x9saOh.6
友「神使・・・ お前、神に向かって随分とキツい発言するな・・・」
神様「友くん! もっと言ったって! この子、私に凄くきつく当たるの!」
神使「神様? 神社で奉職するというのは仕事とは違うんです」
神様「またそんな労働基準法の抜け道みたいな事言いやがって!」
神使「友さんも神様を甘やかさないで下さい。 すぐ調子に乗りますから」
友「・・・・・・」
神様「労働基準法を遵守せよ!」ギャーギャー
友「お、おれ夕飯買ってくるわ・・・」
581: 2017/07/26(水) 23:03:47 ID:NBlwRsYE
─── 夜
侵入者A「おい、今日はこの辺でも掘ってみるか?」
侵入者B「そうだな。 じゃぁ早速───」
神様「オラァァーーッ!!」ダダダダダ
侵入者A「やべ、巫女だ!」
侵入者B「逃げろ!」タッタッタッ
神様「穢れなき神聖な場所で何やってんだ!! 呪うぞ! 狐神呼んで陰湿な呪いくらわすぞ!」
友「なぁ、あの方は本当に女神様なのか?」
神使「はい、神宮が誇る穢れなき神聖な女神さまです」
友「穢れなきねぇ・・・」
神様「コラー!! お前も私の財宝を狙っているのか! 猫神呼んで折檻させるぞ!!」ダダダダダ
582: 2017/07/26(水) 23:04:54 ID:NBlwRsYE
─── 社務所・深夜
ガラガラ
神様「ふぃ~ いい汗かいた」
友「・・・・・・お疲れ様でした」
神様「友君さぁ、盗人達の普段の追い返し方が不十分なんじゃない?」
友「そ、そのようですね」ハハハ
神様「まぁ、これでしばらくは邪魔者は来ないだろう」
583: 2017/07/26(水) 23:05:44 ID:NBlwRsYE
神使「神様、神宮から花摘み神社の資料がメールで届いてます」
神様「お~ 早いな」
神使「神勅ですから・・・ 神宮の資料室の方達も総出で対応したようです」
神様「どれどれ~」
友「へぇ、さすが神宮。 見た事ない資料ばっかりだ」
神様「何か変わった事あった?」
神使「そうですね、この神社ですが過去に社名が変更されているようです」
神様「名前が?」
神使「はい、以前は“茶摘み神社”と言われていたようです」
神様「茶摘み? そうなの?」
友「はじめて聞きました」
584: 2017/07/26(水) 23:07:00 ID:NBlwRsYE
神様「茶摘みって、トイレ関係ないじゃん!」
神使「私に言われましても・・・」
神様「あっ、お茶飲むとトイレ行きたくなるからってやつ?」
神使「そんな理由で神社名を変更しないと思うのですが・・・」
神様「他に何か埋蔵金のヒントになりそうなものは?」
神使「茶摘み神社時代の資料はもう残っていないようです」
神様「う~ん、茶摘みか・・・」
友「摘むという部分は変わっていないんですね」
神様「茶摘み・・・ 夏も近づく八十八夜・・・」
神使「え?」
585: 2017/07/26(水) 23:07:52 ID:NBlwRsYE
神様「茶摘みだよ。 茶摘みの歌」
神使「歌?」
神様「♪夏も近づく八十八夜~ 野にも山にも若葉が茂る~」
神使「その歌が何か関係あるんですか?」
友「まさか、茶摘み歌がこの神社と関係があると?」
神様「・・・・・・」
神使「ちょっとこじつけ過ぎではないですか?」
神様「いや、そうとも言い切れないぞ」
神使「どういう事です?」
神様「大抵昔の歌は歌詞をもじって秘密を記すのが常識だ」
神使「どこの常識ですかそれ・・・」
586: 2017/07/26(水) 23:09:24 ID:NBlwRsYE
神様「この辺ってお茶の産地なの?」
友「いいえ、聞いた事ございませんね」
神様「八百万の神が祀られているんだったら、お茶の神もこの神社に祀ってあるんじゃない?」
友「あるかも分かりませんが・・・ 今この神社で把握しているのは三つだけです」
神様「三つ?」
友「はい。 今日は遅いですし、明日朝にでもご案内いたします」
神様「もう2時か・・・ 眠いわけだ」フワー
友「朝までは私が見張りを」
神使「いえ、私が見張りをします。 その為にバイトに来たので」
神様「犬ころが犬ころである所以、神使君は番犬なのだよ。 それ以外の何ものでもない」
神使「狛犬です」
神様「へいへい、それじゃおやちゅみ~」バタン
587: 2017/07/26(水) 23:10:09 ID:NBlwRsYE
神使「え!? ここで寝るんですか?」
神様「だって~ 私と神使君はもう離れられない関係だし~」ポッ
神使「うっ・・・///」
友「?」
神使「あっ、特に深い意味はございませんから。 気にしないで下さい友さん」
友「意味も何も、神付き神使は主神と道中離れちゃいけないからだろ?」
神使「え!? そ、そうでした。 そう言うことです」アセアセ
友「どうしたんだ?」
神様「ウヒヒヒ。 ま、そう言う事にしておきますか」
592: 2017/07/29(土) 08:50:46 ID:Z6PQVj1o
─── 翌朝・社務所
チュンチュン
神様「・・・・・・朝?」ボー
神使「あっ、神様起きられます?」
神様「ん」モソモソ
神使「今日は珍しく寝相が良かったですね」
神様「・・・あ? お前膝枕してたの?」
神使「えぇ、まぁ」ポリポリ
593: 2017/07/29(土) 08:51:30 ID:Z6PQVj1o
ガラガラ
友「あっ、神ちゃんさんおはようございます」
神様「おはよう」
友「献身的な神使ですな。 頭が下がるよ」
神使「からかわないで下さい」
友「からかってないよ」
神使「・・・・・・///」
友「朝食を買ってきました」
594: 2017/07/29(土) 08:52:46 ID:Z6PQVj1o
─── 居間
神様「やっぱりおにぎりはツナマヨだよね」モグモグ
友「良くお分かりで」モグモグ
神使「お二人がツナマヨが好きなのは良いのですが、全部ツナマヨというのは・・・」
友「だから野菜スティックも買ってきただろ?」
神使「はぁ・・・」
神様「食べた食べた。 ごちそうさま」
友「では、昨日お話ししたお祀りしてある3つの石碑にご案内します」
神様「あ~ ここから近いの? 外暑そうだしあんまり動きたくない」
友「すぐ近くなので大丈夫です」
595: 2017/07/29(土) 08:53:41 ID:Z6PQVj1o
─── 社務所前
神様「朝なのに暑いね~」
神使「ここ数日、良いお天気ですよね」
神様「それじゃ、行きま───」
友「こちらが石碑です」
神様「え? まだ社務所前だよ? 三歩しか動いてないけど」
神使「確かに、石像っぽいのが三つ並んでいますが」
神様「社務所の真ん前って・・・ 昨日は気がつかなかった」
友「原型は分からないほどに風化していますし、かなり小さいものなので」
596: 2017/07/29(土) 08:56:10 ID:Z6PQVj1o
神様「これ参道の真っ正面にあるって事は結構重要なものじゃないの?」
神使「普通はこの場所には本殿がありますから、ご神体という事も考えられますよね」
友「確かに・・・ どうして脇にあるトイレが本殿なのかなぁ?」
神様「まぁいいや。 で、この三つは何を祀ってんの?」
友「“水”と“お米”の神と聞いております」
神様「水と米ねぇ~」
神使「確かに石碑には米印(※)の刻印がありますね。 真ん中のヤツは特に米印も大きいですし」
神様「三つとも米印があるのか・・・」
597: 2017/07/29(土) 08:57:15 ID:Z6PQVj1o
神使「中心が米で両隣が水でしょうか? 随分と変わった祀り方ですよね」
友「米を育てるのに水は不可欠だし、日照り続きで米が不作にならないように合祀しているんじゃないのか?」
神様「ん~」キョロキョロ
神使「神様、どうされました?」
神様「この石碑の前だけ石畳が敷かれてるな。 結構広い」
神使「本当ですね。 綺麗に石が揃っています」
友「祭りの日にこの場所で巫女舞が奉納されるので、そのスペースになっているからだと思います」
神様「ここで巫女舞が・・・」
598: 2017/07/29(土) 08:57:57 ID:Z6PQVj1o
神使「そのお祭りはいつ頃なのですか?」
友「確か、5月の第1日曜日だったかな」
神使「・・・八十八夜に近いですね」
神様「やっぱり何かあるなぁ~」
神使「まさか本当に埋蔵金が?」
神様「ここ掘り返してみる?」
神使「ダメに決まっているじゃないですか。 それに歌が埋蔵金のありかを示しているのであれば他の歌詞も解かないと・・・」
友「失礼ですが、神ちゃんさんの神力で調べたり出来ないのでしょうか?」
神様「・・・・・・」
神使「・・・・・・」
友「?」
599: 2017/07/29(土) 08:58:59 ID:Z6PQVj1o
神様「こんな事で神の力を使うなんて事は出来ない。 神力は人の願いを成就するためにあるのだよ」
友「!? し、失礼しました!」フカブカ
神使「・・・・・・」ジーッ
神様「そんな見るなよ。 照れるだろうがっ!!」ゲシッ
神使「痛い!」
友「ん? どうした神使」
神使「いえ、何でもありません」スリスリ
神様「他の歌詞かぁ~」
神様「♪夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
茜(あかね)襷(だすき)に菅(すげ)の笠~ 」
神使「茜(アカネ)、襷(タスキ)、菅(スゲ)という言葉が出てきますね」
600: 2017/07/29(土) 09:00:42 ID:Z6PQVj1o
神様「茜・・・ アカネ・・・」
友「アカネは確か染料で使いますよね。 赤い染料」
神使「神社だと巫女さんの緋袴の色ですね」
神様「緋袴・・・ 巫女かぁ~ そう言えば昔はアカネで袴を緋色に染めたな」
友「あっ! そう言えば、参道の脇にアカネが沢山植えられています」
神様「マジで!?」
友「えぇ、入り口の鳥居からここまでの参道までビッシリと」
神様「アカネの帯か・・・ 茜襷はそれを意味しているな。 後は菅の笠・・・」
神使「スゲはしめ縄で使われたりしますが」
601: 2017/07/29(土) 09:01:47 ID:Z6PQVj1o
友「この社も、しめ縄と社務所の屋根がスゲで作られていた気が・・・」
神使「そう言えば、社務所の屋根が笠に見えますよね」
神様「このキノコ型の社務所の屋根は笠を表してるのか!」
友「菅の笠・・・ ですか」
神様「ほぉ~ 繋がったな。 間違いない、茶摘み歌はこの神社の事を歌っている」
神使「でも、肝心の茶摘みの由来が分からないですが」
神様「お茶と、この神社を結ぶ何かがあるはずだ」
友「お茶・・・ う~ん、思いつかないですね」
神様「財宝が近づいてきている! これで地獄のローンともおさらばだ!!」
神使「・・・・・・」ジトー
神様「うそうそ、皆が幸せになれるの間違い」ハハハッ
神使「全く・・・」ハァ
604: 2017/07/30(日) 21:32:27 ID:K1rUDJU.
神様「それより、神事の時の巫女舞って誰が舞うの?」
友「伝承では村の生娘だったと聞いておりますが、今はうちの巫女達が奉納しています」
神様「ちょっと見てみたいんだけど、お願い出来たりする?」
友「夕方でよろしければ。 ただ巫女も夏休みに入っている者が多く人数が少ないですがよろしいですか?」
神様「うん。 一人だけでも振りが分かれば、他は何となく補完できるから」
友「え?」
神使「神様はこう見えて巫女なので」
友「巫女?」
605: 2017/07/30(日) 21:34:06 ID:K1rUDJU.
神使「実は神力ゼロなので神宮では巫女の仕事しかやらせてもらえ───」
神様「セイッ!」ゲシッ
神使「痛っ!」
友「・・・・・・」
神様「私は巫女舞に関しては誰にも負けないほどには造詣が深いのだよ」
友「さすが神宮の女神さま。 見かけによらずやる事は押さえているのですね」フム
神様「・・・・・・」
神使「メモします?」
神様「う~ん、今のはいらない」
606: 2017/07/30(日) 21:34:52 ID:K1rUDJU.
神使「さて、それでは本日の奉務をはじめましょう」
神様「今日は境内を徹底的に調べる感じだな」
神使「神様? お忘れかも知れませんがアルバイトをしに来たのですよ?」
神様「分かってるよ。 掃除しながら調べりゃ良いんだろ」
友「私は普段手つかずの裏庭の草むしりをしてきます」
神使「では、私は建物周りを。 神様は参道のお掃除をお願い出来ますか?」
神様「へいへい。 って、私の範囲広くない?」
607: 2017/07/30(日) 21:35:38 ID:K1rUDJU.
神使「箒を持たせて神様の右に出るものはおりませんから」
神様「やっぱり?」
神使「神様の箒捌きは、神宮の庭師の方ですら真似できないと言わしめるほどです」
神様「だよね~ まぁこの位の広さの参道なら半日やればできちゃうけどね!」
友「半日!? 1人でですか?」
神様「あれ~ 信じてないな? よかろう! 神使くん、箒を」
神使「はい、どうぞ」スッ
神様「その目で刮目せよ、神ちゃんの箒捌きを!!」タッタッタッ
友「・・・単純で良いな」
神使「はい」
608: 2017/07/30(日) 23:26:29 ID:K1rUDJU.
─── 参道入り口
サァ サァ
神様「♪夏も近づく八十八夜~」
じいさん「おんや~ 珍しい。 巫女さんがおる」ヨロヨロ
神様「おはようございます。 絶好の徘徊日和ですね」
じいさん「じじいはそれが仕事じゃからの」
神様「その年でボケないのは毎日の徘徊のおかげという事ですね!」
じいさん「徘徊するのはボケてる証拠じゃがな」
神様「面白い!」ハハハッ
じいさん「じゃろ?」ハハハッ
神様「・・・・・・」
じいさん「・・・・・・」
609: 2017/07/30(日) 23:28:05 ID:K1rUDJU.
神様「じいさんはこの村は長いの?」
じいさん「生まれてからず~とこの村に住んどるな」
神様「じゃぁ、この神社の事って詳しい?」
じいさん「不思議な所じゃよ」
神様「不思議?」
じいさん「入り口の横に池があるじゃろ?」
神様「ん? あ~ まん丸の小さい池があるね」
じいさん「参道をはさんで反対側にもあるんじゃよ」
神様「そうなの?」トテトテ
じいさん「今は枯れているがのぉ」
神様「本当だ、空っぽ」
じいさん「小宝池と言ってな? 池の水はとても清らかで“宝水”と言われているんじゃ」
神様「宝水・・・ たから!?」
610: 2017/07/30(日) 23:30:01 ID:K1rUDJU.
じいさん「両方の池に水が張ったとき、村が豊かになるという言い伝えがあるそうじゃ」
神様「ほぉ~ 村が豊かに」
じいさん「ワシが小さいときに爺様から聞いた話じゃがな」
神様「両方の池に水か・・・」
じいさん「この地区は近くに川もなければ水もでない場所でな。 地下に水脈がなく昔は年中水不足じゃった」
神様「あ~ それで宝水か・・・ 財宝の事じゃないんだ」
じいさん「水の話をしていたら喉が渇いた。 巫女ちゃんも何か飲むか? その自販機で買ってやるぞ」
神様「コーラを! 赤い缶のやつ」
じいさん「これか」ポチッ
ガコン
じいさん「ほれ、じゃぁな。 可愛い巫女ちゃん」ヨロヨロ
神様「じいさん、トクターペッパーだよこれ・・・」
611: 2017/07/30(日) 23:30:43 ID:K1rUDJU.
─── 夕方・社務所前
神様「ふ~ 疲れた」トテトテ
神使「ご苦労様です。 落ち葉は捨ててきました?」
神様「裏庭にまとめて置いてきた」
友「本当にお一人でやってしまったんですね」
神様「おかげで調査の方は出来なかったけど・・・」
神使「それで良いんです」
神様「ん? 友くんの隣にいる子は?」
612: 2017/07/30(日) 23:32:31 ID:K1rUDJU.
巫女「初めまして、立派天満宮の巫女と申します」ペコリ
神様「これはこれはご丁寧に。 神宮の内宮巫女のかわゆい神ちゃんと申します」ペコリ
友「神事の巫女舞をと思いまして」
神様「あ~」
巫女「申し訳ありません、今日は私しか出勤しておらず・・・」
友「でも彼女が巫女舞は彼女が一番上手ですから」
巫女「いえ、そんな事は・・・」
神様「楽しみ~」
巫女「そんな神宮の巫女様にお目にかけられるほどのものでは・・・///」
神使「ご心配なく。 正式な神事とは違いますので、気を楽に」
友「じゃ、早速で悪いんだけどお願い出来る?」
巫女「はい」スタスタ
613: 2017/07/30(日) 23:33:22 ID:K1rUDJU.
友「神ちゃんさん、始めてよろしいですか?」
神様「うん。 よろぴこ」
巫女「では、はじめます」
♪~
神様「・・・・・・」ジー
614: 2017/07/30(日) 23:34:28 ID:K1rUDJU.
─── 十分後
♪~
巫女「以上です」ペコリ
神様「・・・・・・」
神使「神様、どうですか?」
神様「巫女ちゃんって浦安の舞とか出来る?」
巫女「浦安・・・ はい、あまり得意ではありませんが」
神様「さわりだけでも良いから見せてもらってもいい?」
巫女「分かりました」
♪~
神様「おっけ~ ありがと」
巫女「?」
615: 2017/07/30(日) 23:36:01 ID:K1rUDJU.
神使「もうよろしいんですか? 10秒くらいしか経っていませんよ?」
神様「巫女ちゃん、舞が上手だね」
巫女「お褒め頂きましてありがとうございます」ペコリ
神様「A子ちゃんの百倍は上手だ」
神使「比べる相手の次元が・・・ A子ちゃんは舞で転んでそのままでんぐり返して退場しますからね・・・」
神様「アレは斬新だよね」
友・巫女「・・・・・・」
神様「気になった事があるんだけど聞いてもいい?」
巫女「はい」
神様「この神社の神事の舞の時、動きがぎこちなかった気がするんだけど」
巫女「あっ・・・」
616: 2017/07/30(日) 23:37:07 ID:K1rUDJU.
神様「足下を気にし過ぎていた感じかな。 浦安の舞の時はそれを感じなかった」
神使「そうですか? とても美しい舞でしたが」
巫女「いえ・・・ 仰る通りだと思います」
神使「どういうことです?」
巫女「こちらが花摘み神社の舞の教本です」スッ
神様「見てもいい?」
巫女「どうぞ」
神様「・・・なにこれ?」ペラッ
617: 2017/07/30(日) 23:38:21 ID:K1rUDJU.
神使「八五左、八七右・・・ 昔の棋譜のようですね」
巫女「はい、仰るとおり棋譜です」
神様「ん?」
巫女「実は、足の置く位置が石畳の決められた場所になっていまして」
神使「石畳?」
巫女「はい。 最初の“八、五、左”というのは正面から八つ目、右手から五つ目の石畳の上に左足を置くという意味なんです」
神様「なるほど・・・ それで足下を気にしながら舞っていたんだ」
友「へぇ~」
神使「友さん知らなかったんですか?」
友「さすがに巫女舞の事は・・・」
神使「これ、覚えるの大変ですよね」
618: 2017/07/30(日) 23:39:18 ID:K1rUDJU.
神様「この舞って、他に何か特殊な事ってある?」
巫女「そうですね・・・ 神事の時は三人で舞うんですが、本当は一人だけのようです」
神様「一人?」
巫女「はい。 ただ一人だけですと少し寂しいので三人に増やしたと聞いております」
神様「・・・・・・」
神使「何か分かりましたか?」
神様「巫女舞に関しては私より知識のある奴はいないと自負しているけど、こんな変な舞は初めてだな」
619: 2017/07/30(日) 23:40:41 ID:K1rUDJU.
神使「ちなみに、これは何という舞なのですか?」
巫女「“長閑の舞”と申します」
神様「“のどかのまい”か・・・」
神使「聞いた事ありませんね」
神様「私も初耳だ」
友「お役に立てましたでしょうか?」
神様「最後に一つ巫女ちゃんにお願いがあるんだけど良い?」
巫女「?」
625: 2017/08/07(月) 01:38:02 ID:Tnbkc1KE
─── 夜・社務所
ガラガラ
巫女「お邪魔します」
友「おっ、ご苦労様」
巫女「」ペコリ
友「神ちゃんさんへの教授は終わった?」
巫女「私が知っている事は全て」
神使「あれ? 神様はまだ外ですか?」
巫女「それが・・・ もう少し練習したいと」
友「そりゃ随分と熱心だな」
626: 2017/08/07(月) 01:38:56 ID:Tnbkc1KE
神使「巫女舞に関しては神様なりの拘りがあるようですので」
友「へぇ~」
巫女「凄いんですね」
神使「あ~ たぶん自分の知らない巫女舞だったので興味津々なだけだと思いますから」
巫女「はぁ・・・」
神使「もっと言えば、自分の知らない巫女舞が存在しているという事が納得いかないのでしょう」
巫女「・・・・・・。 で、でも神ちゃんさまとても綺麗な舞で・・・ あんなに美しく舞える方、初めてお会いしました」
神使「神様は巫女舞に関しては神宮で一番お上手ですから」
巫女「通りで・・・」
友「さて、今日は遅いし巫女ちゃんは上がって良いよ?」
巫女「はい。 それではお先に失礼させて頂きます」ペコリ
627: 2017/08/07(月) 01:39:37 ID:Tnbkc1KE
─── 1時間後
ガラガラ
神様「ふへぇ~ 疲れた」トテトテ
神使「あっ、神様。 随分と熱心でしたね」
神様「ひっひっひっ」ニヤッ
神使「?」
神様「覚えてやったぜ!」
神使「覚えたって・・・ あの巫女舞をですか?」
神様「おうよ! 最初から最後までな!」
628: 2017/08/07(月) 01:40:22 ID:Tnbkc1KE
神使「あんな数字の羅列、この短時間で良く覚えきれましたね」
神様「まぁ私にかかればこのくらい朝飯前だって事!」
神使「さすが巫女舞に関しては敵無しですね・・・」
神様「私の知らない巫女舞は存在しない! これがこの世の理!」
神使「そうなんですか・・・」
神様「でもさすがに疲れたな」
神使「時間も遅いですし、お休みになりますか?」
神様「そうね・・・ でもその前に」トテトテ
神使「どちらへ?」
629: 2017/08/07(月) 01:41:04 ID:Tnbkc1KE
神様「寝る前にお花もりもり摘んでくる」
神使「・・・そうですか」
神様「それはもう、もりもりと!」
神使「分かりました・・・」
神様「信じられないくらい、もりも───」
神使「もう良いです。 あっ、社務所のお手洗いは友さんがお掃除中ですよ」
神様「まじで!? んじゃ外の方に行ってくるわ」トテトテ
神使「暗いので気をつけて下さいね」
神様「へいへい」ガラガラ
630: 2017/08/07(月) 01:41:42 ID:Tnbkc1KE
─── 数分後
ガラガラ
友「ふぅ」
神使「あっ友さん、掃除の方は終わったんですか?」
友「あぁ。 ・・・あれ? 神ちゃんさんは?」
神使「お手洗いの方へ」
友「でも、すれ違わなかったけど?」
神使「お掃除中と言ったら外のトイレに行くと」
友「・・・多分、本殿のトイレだよな」
神使「だと思いますが」
631: 2017/08/07(月) 01:42:22 ID:Tnbkc1KE
友「どうしよ」
神使「何か問題でも?」
友「あそこ、トイレって言っても一般には解放していないんだよ」
神使「え?」
友「一応本殿扱いだし。 あれでも重要文化財だから」
神使「連れ戻しましょうか?」
友「う~ん」
神使「出たばかりですからまだ間に合うかと思いますよ?」
友「いや、神に本殿使うなってのも失礼だろ」
神使「まぁ、そうですね・・・」
632: 2017/08/07(月) 01:44:35 ID:Tnbkc1KE
─── トイレ本殿
ギー
神様「うわ~ 古! 和式じゃん! しかも蓋付き!?」パカッ
チョロチョロ
神様「ん? 下に小川・・・ 用水路か? この時代に垂れ流し式って平安でもオマルだったぞ・・・」
神様「まぁいいや。 秘技! 袴を脱がずにトイレをする術!」ゴソゴソ
神様「さて、お花をもりもり摘みませう・・・ って、壁に何か書いてある」
633: 2017/08/07(月) 01:46:16 ID:Tnbkc1KE
摘んだか
神様「摘んだか・・・ って、何を? あっ、取っ手がある」
神様「はは~ん、お花を摘んだ後に取っ手を引く。 中にちり紙が入ってるのかな?」ギィ
プシュー
神様「ウギャー! お尻に水が!! まだしてない! まだしてないよ!」ビクッ
プシュー
神様「真水のウォシュレットかよ! 冷てーよ!」ジタバタ
634: 2017/08/07(月) 01:47:05 ID:Tnbkc1KE
ミシミシ
神様「?」
バキバキ
神様「なるほど、床が腐っているのですね? そして暴れた私は床が抜け無残に落ちてしまうのですね? 分かりました」
バリバリ
神様「覚悟は出来ている! さぁ落とせるものなら落とすが良い!」
635: 2017/08/07(月) 01:47:46 ID:Tnbkc1KE
ドーン
ジャボン
神様「あ~れ~ 流されるぅ~」
バシャ バシャ
神様「行ってきま~す」
638: 2017/08/09(水) 05:34:32 ID:DUBIsCs2
─── 社務所
友「なぁ、神ちゃんさんちょっと遅くないか?」
神使「きっとコーラでも買いに自販機まで行ったのでは?」
友「コーラ?」
神使「参道の入り口に自販機がありましたから、時間的にそろそろ帰ってくるかと」
友「そう・・・ なのか?」
ガラガラ
神様「たでーま~」
友「お~」
神使「あっ、やっぱりコーラ持ってますね。 ダメですよ神様、こんな時間にコーラだな・・・ ん・・・ て?」
639: 2017/08/09(水) 05:35:23 ID:DUBIsCs2
友「神ちゃんさん! どうしたんです?」
神使「ビショビショじゃないですか! 雨でも降っているんですか?」
神様「トイレに落ちた」
神使・友「・・・・・・」
神様「いや~ 久々に焦ったわ」
友「落ちたって・・・ トイレの中にですか?」
神様「そうそう」
神使「それにしては、その・・・ 綺麗ですね」
神様「ん?」
640: 2017/08/09(水) 05:36:03 ID:DUBIsCs2
友「確かに。 使っていないトイレでもさすがに落ちれば・・・ もっと、こう・・・」
神様「くみ取り便所じゃないよ? あのトイレ、下に人が入れるくらいの用水路が流れてるんだよ」
神使「用水路?」
神様「すんげー昔の仕組みだね、あれ」
友「そんな構造になっているんですか」
神様「え? 知らないの?」
友「あそこはトイレとしては使っていませんから」
神様「・・・・・・」
神使「一応本殿ですし、一般開放されていないそうなんです」
神様「あ~ それで床が腐っていたのかぁ~ なるほどね~」ハハハ
友「あははは」
641: 2017/08/09(水) 05:37:01 ID:DUBIsCs2
神様「先に言えよ!」ゲシッ
神使「痛っ! え!? 私ですか?」スリスリ
神様「ったく・・・」
友「でも、本殿の下に用水路があるなんて初耳でした」
神使「随分と変な構造ですね」
神様「そうか、そう言う事か!」
神使「何がです?」
神様トイレに流されて分かったことがあるんだよ」
友「?」
642: 2017/08/09(水) 05:37:52 ID:DUBIsCs2
神様「神社の入り口横に池があるの知ってる?」
友「あ~ 小宝池でしたっけ」
神様「そう、参道を挟んで左右にある小さな丸い池」
神使「その池がどうしたんですか?」
神様「私が流されて、たどり着いたのが池だったんだよ」
友「トイレ下にある用水路が池と繋がっているという事ですか?」
神様「両方の池に水が張ったとき、村が豊かになる」
神使「?」
神様「参道を掃除していた時じいさんから聞いたんだよ」
神使「両方の池に水・・・」
神様「そう。 今は片方しか池に水がないの」
友「そう言われれば」
643: 2017/08/09(水) 05:39:09 ID:DUBIsCs2
神使「友さん、池の調査とかはやられていないんですか?」
友「一応、神池だしな。 この神社自体あまり調べたりとかそう言う事はしていないんだよ」
神様「きっと枯れた片方の池にも同じような仕組みがあるんじゃない?」
友「何かの原因で片方の用水路には水が流れていないと考えるのが普通ですよね」
神様「そう! きっとその用水路を見つけて水を流せば両方の池に水が!」
友「両方の池に水が張ると・・・」
神様「村が豊かになる」
友「それって・・・」
神様「財宝だよ」ニヤッ
友「神ちゃんさん!」
神様「友くん!」
友「」グッ!
神様「」グッ!
神使「・・・・・・友さんはいつから神様派になったんです?」
644: 2017/08/09(水) 05:44:21 ID:DUBIsCs2
655: 2017/08/13(日) 22:59:59 ID:iJE/KWfU
神様「よーし! それじゃぁ早速───」
神使「ダメです。 今日はもう遅いんですから」
神様「え~」
神使「盗人の監視役が盗人になってどうするんですか・・・」
神様「神社の物は私の物! 私が財宝をもらう権利があるの!」
神使「ないです」
神様「あるの!!」
神使「それでは、全国の神社の借金も神様の物という事で良いですか?」
神様「えっ!?」
神使「全部神様が引き取っていただけるんですね?」
神様「撤回。 神社の物は皆の物」
656: 2017/08/13(日) 23:00:59 ID:iJE/KWfU
神使「ハァ・・・ まぁ、このまま無視しておくのもモヤモヤしますし明日調べてみましょう」
神様「よしっ! じゃぁ今日は寝る!」
神使「そんなビショビショで寝るんですか? シャワー浴びて着替えて下さい」
神様「ん」トテトテ
神使「パジャマ脱衣所に持っていきますから、ちゃんと着て下さいよ?」
神様「分かったよ」
神使「あとパンツもちゃんと履いて───」
神様「うるせーよ! 履くよ!! 私を全裸キャラにするなよ・・・」トテトテ
友「・・・・・・」
657: 2017/08/13(日) 23:02:21 ID:iJE/KWfU
─── 翌日・朝
神様「はよ~」ムニャムニャ
神使「おはようございます、神様」
友「おはよ・・・う・・・・・・」
神様「ん? どったの友くん」
友「いえ、その・・・///」
神使「神様? パジャマどうされたんですか?」
神様「起きたら着てなかった」
神使「はい、廊下に落ちていましたから着て下さい」スッ
神様「お~」イソイソ
神使「上着とズボンが別々の場所にありましたよ?」
神様「たぶん、私のパジャマには付喪神が宿っているんだよ。 だから歩くんだよ」
神使「またそんな・・・ すいません友さん」
友「い、いや・・・」
658: 2017/08/13(日) 23:03:36 ID:iJE/KWfU
神使「コンビニでおにぎり買ってきましたから」
神様「おにぎり飽きたな~」ゴソゴソ
神使「今日はいつもと違う具にしましたので」
神様「ねぇ、ツナマヨないよ?」
神使「聞いていました? いつもと違う具です」モグモグ
友「神使は分かってないよな~ ツナマヨを食べないと1日が始まらないって事を」
神使「友さんまで・・・ はい、神様は鮭です」
神様「これさぁ、本当に鮭なの? オレンジ色した糸くずじゃない?」
神使「友さんは昆布です」
友「・・・また微妙なものを」
神使「嫌なら朝食抜きです」
神様・友「!? 食べます!」
659: 2017/08/13(日) 23:05:15 ID:iJE/KWfU
神使「それで、今日はどうされるんですか?」
神様「もちろん枯れた池に繋がる用水路探し」モグモグ
友「神ちゃんさんが流された用水路は地下を流れていたんですよね?」
神様「そうそう。 水量は多くなかったけど、ちょっと坂になっててツルツルーって」
神使「用水路の水はどこから来ているんですか?」
友「う~ん・・・ この辺に川なんて無いんだけどな」
神様「じいさんもそんな事言ってた」
友「あの池の水も地下から湧き出しているかと思ってた」
神使「用水路が繋がっているという事は、池に出口があるはずですよね」
友「そんなもの見た事無いんだけどな~」
神様「でも、私が流されてたどり着いた先は小宝池だったよ?」
神使「先に池の方に行ってみましょうか」
友「そうだな」
660: 2017/08/13(日) 23:06:16 ID:iJE/KWfU
─── 小宝池(左)
神使「綺麗な神池ですね」
神様「でもトイレの出口~」
神使「・・・・・・」
友「ぱっと見、用水路の出口は見当たらないんだけどな~」キョロキョロ
神使「神様は本当にこの池に流れ着いたんですか?」
神様「嘘言ったって仕方ねーベ! 池から這い上がって自販機でコーラ買ったんだし」
友「あっ、おい神使あそこ見てみろ。 縁の所」
神使「木片がいっぱい・・・ 土手の土が少しめくれていますね」
友「もしかして・・・」テクテク
神使「ちょっと、友さん。 池に入るんですか?」
友「あぁ、膝下までしか深さはないし」
661: 2017/08/13(日) 23:07:53 ID:iJE/KWfU
バシャバシャ
友「ん~」ゴソゴソ
神様「どう? なにか変なところある?」
友「この木片は・・・」
神使「?」
友「おい、これ見てみろ」
ギィー
神様・神使「!?」
662: 2017/08/13(日) 23:08:34 ID:iJE/KWfU
友「用水路の出口だ」
神使「そんなところに扉が・・・」
友「内側からの圧で開いて押し出すタイプだな」
神使「水草や土が張り付いていて池の方からは分からないんですね」
友「この木片は神ちゃんさんが床を抜いた本殿の木だよ。 一緒に流されたんだろうな」
神様「わざとじゃないからね? 腐ってただけだから弁償はしないよ?」
神使「と言う事は、反対側の枯れた池にも同じ仕組みが・・・」
友「あぁ、見てみよう」テクテク
663: 2017/08/13(日) 23:09:29 ID:iJE/KWfU
─── 小宝池(右)
友「あったぞ!」
ギィー
神様「用水路!」
神使「水は流れていませんね」
友「ギリギリ行けるな」
神使「まさか、中に入るんですか?」
友「行けるとこまで。 懐中電灯あるか?」
神使「えぇ」スッ
友「サンキュ、ちょっと見てくるわ」
神使「気をつけて下さいね」
664: 2017/08/13(日) 23:10:32 ID:iJE/KWfU
─── 数分後
友「ふぅ~」
神使「あっ、友さん」
神様「どうだった? お宝山盛り?」
友「途中で扉があって進めないですね。 たぶん内側からじゃないと開かないと思います」
神使「池の用水路出口と同じ構造ですね・・・」
友「あぁ、どこかに用水路の起点があるはずだと思うんだけどな」
神様「もうさぁ、この参道全部掘り返しちゃおうよ」
神使「ダメに決まってるじゃないですか」
神様「茶摘み歌と良い、この仕掛けといい宝は間違いなくこの神社にある!」
665: 2017/08/13(日) 23:11:16 ID:iJE/KWfU
神使「・・・う~ん」
神様「どったの?」
神使「いえ、何か引っかかるんです」
神様「?」
神使「茶摘み歌です」
友「何が引っかかるんだ?」
神使「確かに、フレーズを見るとこの神社と合致しているところは多いのですが・・・」
神様「なら良いじゃん」
神使「いえ、やはりおかしいと思います」
友「聞こうじゃないか」
666: 2017/08/13(日) 23:12:13 ID:iJE/KWfU
神様「♪夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
茜(あかね)襷(だすき)に菅(すげ)の笠~ 」
神使「“あれに見えるは茶摘みじゃないか”って、思いっきり茶摘みと言っているんです」
神様「分かりやすくて良いじゃん」
神使「もし、茶摘み歌が埋蔵金のありかを示しているのであれば隠すはずです」
神様「マジで!?」
神使「神様が言ったんですよ? 歌詞をもじって秘密を記すのが常識だ、って」
神様「言ったっけ?」
神使「・・・・・・」
667: 2017/08/13(日) 23:13:32 ID:iJE/KWfU
友「なるほど・・・ 確かに普通は隠すよな」
神使「はい、思いっきり場所を言ってしまっているんです」
神様「でも、茜・襷・菅の笠はこの神社じゃん」
神使「この神社の事をうたっているのであれば、その部分の歌詞は必要ないのでは?」
友「何か別の意味があると?」
神使「・・・・・・」
神様「え~ でもこの神社の事をうたっているのは間違いないと思うんだけどなぁ~」
神使「しかし隠す必要があるのであれば肝心の場所がすぐに分かっては意味ありません」
神様「だから神社名を変えたんじゃない?」
神使「歌に合わせて神社名を? 普通歌の方が合わせませんか?」
神様「まぁ、そうね」
668: 2017/08/13(日) 23:14:37 ID:iJE/KWfU
神使「仮に歌の方に合わせて神社名を変えたとなると、その時に初めてこの歌が秘密の歌として効力を発揮します」
友「つまり、埋蔵金は茶摘み神社時代ではなく花摘み神社時代に出来上がったと?」
神使「いえ、時代的にそれはないとは思うのですが・・・ なにか引っかかるんですよね・・・」
友「この辺は特に民間信仰が強かったから、何か別の意味があるのかもな」
神使「民間信仰ですか・・・」
神様「あっ、だったら専門家に聞けば良いんじゃない?」
神使「専門家?」
神様「ほら、民俗学の第一人者に知り合いがいるじゃん」
神使「・・・まさか」
671: 2017/08/17(木) 00:21:21 ID:Yddk5ylg
─── 翌日
村長「お久しぶりです」ペコリ
神様「おひさ~」
神使「ご無沙汰しております。 たぬ吉さんはお元気ですか?」
村長「はい、毎日ご立派にお務めを行っております」
神様「たぬきのお務めって何だよ・・・」
神使「友さん、ご紹介します。 こちら村長さんで“こわこわ神社”の宮司さんと、村の村長さんを兼任されています」
神様「兼、神宮の民俗学研究担当なのだ!」
672: 2017/08/17(木) 00:21:56 ID:Yddk5ylg
友「はじめまして、花摘み神社の管理を任されております友と申します」
村長「ご丁寧にどうも。 しかし中々興味深い神社ですね」
神様「でしょ? で、早速で悪いんだけどさぁ~」
村長「私にお手伝いできる事があれば何なりと」
神使「実は村長さんのご意見を伺いたい事がありまして」
友「とりあえず社務所の方へ。 詳しくお話しいたします」
673: 2017/08/17(木) 00:23:03 ID:Yddk5ylg
─── 社務所
村長「なるほど・・・」
神使「いかがでしょうか?」
村長「非常に興味深いお話しですね」
神様「これ間違いなく埋蔵金だよね!」
村長「茶摘み歌がこの神社の事をうたっているのは間違いないと思います」
神様「やっぱり? さすが私の推理力も大したもんだ!」カッカッカッ
神使「村長さんの考えをお聞かせ頂けないでしょうか?」
村長「まだ仮説ですが紐解いていって見ましょう。 まず、茶摘み歌1番の3節目を見て下さい」
674: 2017/08/17(木) 00:23:47 ID:Yddk5ylg
神様「あれに見えるは~ 茶摘みぢやないか~♪」
村長「ありがとうございます」
神様「どういたしまして」ペコリ
村長「これは、茶摘み神社の事です」
神使「私達もそう思ったのですが・・・」
友「直球で場所をバラすような事をするのは変ではないかという結論に至りまして」
村長「そうですね。 厳密に言えばこの神社の事を指してる訳ではないと思います」
神様「え?」
神使「どういう事です?」
675: 2017/08/17(木) 00:24:39 ID:Yddk5ylg
村長「隠語です」
神様「隠語?」
村長「1番の第1節に戻ります」
神様「夏も近づく~ 八十八夜~♪」
村長「どうも」
神様「いえいえ」ペコリ
村長「八十八。 これはお米ですね。 88歳が米寿と言われる所以でもあります」
神様「社務所の前に※印の石碑があるんだよ」
村長「先ほど私も見ました。 両隣には2つの石像がありますね」
友「はい」
676: 2017/08/17(木) 00:25:44 ID:Yddk5ylg
村長「八十八夜に行われる巫女舞の祭事写真はありますか?」
神使「神宮の資料に確か・・・」ペラッ
村長「なるほど・・・ 見て下さい、石碑の位置を」
神様「あれ? 縦に並んでる」
神使「今は横並びですよね?」
友「あ~ 神事の時には左右の石碑を移動させて横位置から縦位置にするんです」
村長「理由はご存じですか?」
友「いいえ、伝承でそのようにと」
村長「ちなみにこの舞は何という名だかお分かりに?」
神様「長閑の舞」
村長「のどか・・・ なるほど」
神使「何か気になる事でも?」
677: 2017/08/17(木) 00:26:34 ID:Yddk5ylg
村長「その前に、第2節に戻りましょう」
神様「野にも山にも~ 若葉が茂る~♪」
村長「恐れ入ります」
神様「なんのなんの」ペコリ
神使「茂る・・・」
村長「はい。 茂っているんです。 ボウボウと」
神様「ボウボウ?」
村長「はい、それはもうボウボウです」
神様「嫌だな村長~ ひ・わ・い!」
村長「はい、かなり卑猥ですね」
神様「?」
678: 2017/08/17(木) 00:27:37 ID:Yddk5ylg
村長「1番の最後、第4節」
神様「茜だ───」
神使「あかねだすきに~ すげのかさ~♪」
神様「!?」ゲシッ ゲシッ ゲシッ
神使「痛い! 痛いです! すいません」
友「・・・・・・」
村長「茜は真っ赤ですね、それは血のように」
神使「・・・・・・はぁ」
村長「茜で染めたタスキ、昔は止血として使われてもいます」
友「・・・・・・まぁ」
村長「そして、笠。 丁度この社務所のように立派な形をしているんじゃないですかね? 太くて先が笠のようになって」
神様「・・・・・・ぁぅ///」
679: 2017/08/17(木) 00:29:10 ID:Yddk5ylg
村長「まとめます」
村長「八十八夜にこの神社ではある神事があったはずです」
村長「その奇祭では男は裸。 もうボウボウと茂った立派で勇ましい若い男」
村長「そして、中央には3つの※印が付いたものが縦一列に、中央がメインでしょうな」
村長「茶摘み、これは茶入の事だと思います。 隠語で女性の大切な場所の事です」
村長「そして、そこがあかね色に染まる───」
神様「シャウエッセン!! もう良い! もう良いって分かったよ! 何だよそれ・・・///」
村長「きっと、この祭りの伝承を茶摘み歌に託したのでしょう」
友「なるほど、と言う事はあの石像も・・・」
村長「はい、神事化した際に女性と見立てたものだと思います」
神様「シャウエッセン!」
神使「随分と変わった神事なんですね・・・」
680: 2017/08/17(木) 00:30:07 ID:Yddk5ylg
村長「似たような奇祭が別の村にもあります。 その地区の昔の初夜についての伝承です」
神様「え? 初夜!?」
神使「という事は婚礼に関わる儀式という事ですか?」
村長「はい、忌み祭でなく夫婦を誓うとても幸せで大切な神事です。 町の人に囲まれて行われるんです」
神様「なら良いけど・・・ って良くねーよ! なんでそんな衆人環視でやるんだよ! どんだけ見られたいの?」
村長「今とは価値観も違いますから。 村の習わしで、村から出た事のない民は抵抗すらなかったのでしょう」
神様「ちょっと待って? って事は埋蔵金は?」
神使「この歌の歌詞を見る限りでは埋蔵金の事は差していないと思います。 伝承歌ですから」
神様「うぅ~ 私の埋蔵金・・・」ガクッ
神使「神様の物ではありません」
681: 2017/08/17(木) 00:30:50 ID:Yddk5ylg
村長「しかし、気になる事があります」
友「なんですか?」
村長「私も民俗学者として、神職として様々な神社を見てきましたが・・・ この花摘み神社の設計は明らかに変です」
神様「そう! トイレが本殿なんて変だよ!」
村長「この神社の設計者ですが、からくり技師だった可能性があるんです」
神様「からくり技師?」
村長「はい、彼は様々な山車のからくりを考案した天才で生前に1社だけ神社設計をしたと記録があるのです」
神使「それがこの神社だと言うんですか?」
村長「分かりません。 しかし、彼はこの村出身だったと考えられているんです」
友「だとすると、この神社を設計した可能性が高いですね」
神使「そう言えば、小宝池の用水路もトリックじみた感じの作りですよね」
682: 2017/08/17(木) 00:31:42 ID:Yddk5ylg
神様「あっ、そう言えばトイレ本殿がウォシュレットだった」
神使・村長・友「え!?」
神様「何か取っ手引いたら水が勢いよく噴き出してきてビックリして飛び跳ねたから床が抜けて落ちたんだよ」
神使「友さん、本殿のトイレは改築や修繕などは行われているのですか?」
友「いや、重要文化財で勝手にはいじれないし出来た当時のままを維持しているはずだ」
神様「でも、あれウォシュレットだよ? 川の水で冷たかったけど」
村長「・・・からくりの可能性がありますね」
神使「と言う事は、この神社には何か別の隠された物があると言う事でしょうか?」
村長「・・・歌詞の2番です」
神様「そう言えば、茶摘み歌って2番があるね」
村長「はい。 この神社の別の秘密が2番に隠されているのではと」
神様「シャウエッセン!」
689: 2017/08/18(金) 22:23:22 ID:5mqrCtHE
村長「歌詞の2番です」
神様「・・・・・・」
神使「あれ? 神様、歌わないんですか?」
神様「・・・知らない」ボソッ
友「日和(ひより)つづきの今日このごろを
心のどかに摘みつつ歌ふ
摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにゃ日本(にほん)の茶にならぬ」
村長「ありがとうございます」
神様「いえいえ」ペコリ
友「!?」
690: 2017/08/18(金) 22:24:35 ID:5mqrCtHE
村長「先ほどのお話しの中で出てきた単語が入っています」
神様「ん?」
神使「のどか・・・」
村長「そうです」
神様「長閑(のどか)の舞!」
友「確かに・・・」
村長「関係がありそうですよね?」
神使「しかし、それ以外の言葉に思い当たる節が・・・」
村長「3節目の歌詞が気になります」
神使「摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ。 ですか?」
691: 2017/08/18(金) 22:25:19 ID:5mqrCtHE
神様「摘む・・・ あっ!」
神使「どうされました?」
神様「摘んだか!」
神使「はい?」
神様「いや、取っ手の横に“摘んだか”って字が掘ってあったんだよ」
神使「取っ手ってウォシュレットの取っ手ですか?」
神様「うん」
村長「・・・・・・」
神使「何か関係があるんでしょうか?」
692: 2017/08/18(金) 22:29:39 ID:5mqrCtHE
村長「再現してみましょう」
神様「トイレでお花摘む?」
村長「その前に歌詞の1番から順を追って再現しないとダメなような気がします」
神使「歌詞の1番って・・・」
友「さすがにそれは・・・」
神様「いくら私でも周りに人がいるとちょっと恥ずかしいなぁ~ ねぇ、神使君?」ポッ
神使「・・・・・・」
村長「いえ・・・ 行為は必要ありませんので・・・ と言いますか舞でないとダメだと思います」
神様「あぁ~ 舞だけで良いんだ、残念。 神使くんのフランクフルトは出番なしか」
友「フランク!? 神使、お前ってそんなに・・・」
神使「何言っているんですか友さん・・・」
神様「安心するんだ友くん、神使くんの普段はポークビッツだ。 フランクフルトになるのは朝起き───」
神使「やめてください!」
友「・・・・・・」
695: 2017/08/21(月) 01:29:18 ID:CoQTw086
村長「えっと・・・ この辺りは最近お天気はどうでしたか?」
神使「え? お天気ですか?」
神様「快晴、ずっと良い天気だった」
村長「雨は降っていないんですね?」
友「はい、何か関係が?」
村長「“日より続きの”と歌詞にありますから、できるだけその状態が良いかと」
友「でしたら問題ありません。 取水制限が起こりそうなほど水不足です」
696: 2017/08/21(月) 01:30:30 ID:CoQTw086
村長「それと、八十八夜の神事の“長閑の舞”が出来る方はおられますでしょうか」
友「巫女ちゃんを呼びましょうか?」
神様「いや、私が舞う」
神使「神様が?」
神様「巫女ちゃんに教えてもらったし」
神使「しかし、石畳の順番もありますよ?」
神様「私を誰だと思ってるわけ? 巫女舞に関しては誰にも負けないのだ!」フンスッ
697: 2017/08/21(月) 01:31:22 ID:CoQTw086
─── 社務所前
村長「それでは、神事と同く再現してみましょう」
友「石像を動かします」
神使「手伝います」
ゴリゴリ ゴリゴリ
友「この並びが神事と同じものです」
神使「参道に向かって縦一列ですね」
村長「それでは神様、準備はよろしいでしょうか」
神様「おうよ! いつでもオッケー」
村長「ではお願いします」
698: 2017/08/21(月) 01:32:19 ID:CoQTw086
神様「長閑の舞」ペコリ
♪~
友「!?」
神使「? どうされました?」
友「凄く綺麗な・・・ いや、優雅な舞だな・・・」
神使「神様は舞に関しては神宮一ですから」
♪~
友「毎年見ている巫女舞と同じとは思えない」
神使「ありがとうございます」
699: 2017/08/21(月) 01:33:20 ID:CoQTw086
♪~
神様「・・・終わった。 ミスゼロ!」ヨシッ!
ガチャン
ギギギギ
神様「? 何この音」
神使「地下から聞こえますね」
村長「からくりが動き出したようです」
ギギ…
神様「止まった」
村長「第1段階クリアと言ったところでしょうか」
700: 2017/08/21(月) 01:34:11 ID:CoQTw086
友「毎年舞を奉納しているのに、こんなの初めてだ」
村長「たぶん人数の問題でしょう」
神使「そう言えば、巫女さんも本当は1人で舞うものだと言っていましたね」
村長「3人で舞えば石畳を押していく順番が狂いますからね」
神様「さて、お次は~?」
村長「神様が見つけたウォシュレットのあるトイレですね」
神様「トイレ本殿だ!」タッタッタッ
友「元気だな・・・」
神使「目に¥マークが浮かんでいた気がしますが・・・」
村長「私達も行きましょう」タッタッタッ
友・神使(村長の目も!?)
702: 2017/08/23(水) 23:22:32 ID:ovl5hACY
─── トイレ本殿
ギィー
友「うわっ、これは・・・」
神使「神様、盛大に壊しましたね・・・」
友「修復できるのかな・・・」
神様「床が腐ってたの! 私のせいじゃないから弁償はしないからね?」
友「でも、本当に下に用水路があるんですね」
神使「水量はそれほど多くないようですが」
703: 2017/08/23(水) 23:23:55 ID:ovl5hACY
村長「神様、取っ手というのは?」
神様「あ~ 座らないと見えないんだよ」
村長「床がほとんど崩れていて座るのは難しいですね」
神様「両端にちょっとだけ床が残ってるし、私なら大丈夫かな」ヨイショ
神使「また落ちないで下さいね?」
神様「あった。 で、この取っ手を引けば良い?」
村長「・・・4回引いて下さい」
神様「4回?」
神使「なるほど“摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ”で摘むが4回」
神様「んじゃ、引くよ」
704: 2017/08/23(水) 23:24:36 ID:ovl5hACY
キコッ キコッ キコッ キコッ
一同「・・・・・・」
神様「何も起こらない、って言うかウォシュレットも動かな───」
ゴゴゴゴゴゴ
神様「ん? なにこの音」
神使「用水路の上流から聞こえる気がしますが」
村長「!? まずい! 神様、そこから離れて下さい!」
神様「え?」
705: 2017/08/23(水) 23:25:36 ID:ovl5hACY
ザザザザザー
神様「うわ! 水!! ぶばばば」
神様「あっ」ズルッ
ジャボン
神使「神様!」
ジャバ ジャバ
神様「あ~れ~ 流される~」
ジャバ ジャバ
神使「神様~!」
神様「行ってきま~す」
706: 2017/08/23(水) 23:26:19 ID:ovl5hACY
友「神様が流された!」
村長「用水路はどこに繋がっているんです?」
神使「池です」
友「神社入り口の小宝池です」
村長「急ぎましょう」
タッタッタッ
708: 2017/08/25(金) 07:43:17 ID:nzsW5IcU
─── 小宝池
神様「うへぇ~ また流されちゃったよ」ゲホッ
じいさん「・・・・・・」プルプル
神様「おっ、じいさん! また会いましたね! 今日も徘徊?」
じいさん「どうして・・・」
神様「?」
神使「神様~!」タッタッタッ
神様「ん?」クルッ
709: 2017/08/25(金) 07:44:51 ID:nzsW5IcU
神使「大丈夫ですか?」
神様「いや~ 地下の用水路が結構狭くてさぁ、あちこち体をぶつけて痛いの」
友「枯れ池に水が溜まってる!」
村長「先ほどのからくりはこれでしたか」
友「え?」
村長「おそらく、長閑の舞で作動したからくりで地下用水路のつなぎが変わったのでしょう」
神使「その後に、私達がトイレ本殿のからくりで水を流して枯れ池に水が流れたという事ですか?」
村長「そうだと思います」
友「じゃぁ、両方の池に水が溜まったという事は・・・」
神様「ねぇ、取りあえず私の心配しようよ。 早く引き上げて」
710: 2017/08/25(金) 07:45:28 ID:nzsW5IcU
神使「あっ、すいません神様。 って・・・ 池の水が溢れ出してきましたが」
神様「へ?」
友「反対側の池からも水が溢れ出してる」
チョロチョロ
神使「どうしましょう。 水が参道まで」
村長「・・・・・・」
神使「村長さん?」
711: 2017/08/25(金) 07:46:39 ID:nzsW5IcU
村長「見て下さい、参道まで溢れた水が社務所の方に向かって流れています」
友「本当だ・・・」
神様「これは・・・ フランクフルトの子宝原理!」
神使「フラ? なんですかそれ・・・」
村長「なるほど!」
神使・友(え!? なにが?)
712: 2017/08/25(金) 07:47:49 ID:nzsW5IcU
村長「そう言う事でしたか! さすが神様!」
神様「褒めよ」
神使「すいません・・・ どういう意味でしょうか?」
村長「両方の丸池は小宝池、“子宝”です」
神様「きんたま!」
神使・友「・・・・・・」
村長「そこから出た水が参道を通り本殿に向かっています」
友「え~と・・・ それって・・・」
神使「左右の丸池、まっすぐ延びた参道・・・ まさか」
村長「はい、私には・・・ その・・・ “ナニ”に見える気がします」
神様「ちんぽこ!」
神使・友「・・・・・・」
713: 2017/08/25(金) 07:48:35 ID:nzsW5IcU
村長「するとその先は」
神様「社務所だ! 社務所の屋根!」
友「なるほど、先っちょという事ですね?」
神使「先っちょって・・・」
神様「急ぐぞ! モタモタするな、極悪邪道腐れ犬ころ変Oすけこま意識高い系ポークビッツアホ神使!」タッタッタッ
友「え!? 何それ? あだ名?」
神使「気にしないで下さい、と言うかどうしてそんな長い物を覚えていられるんですか・・・」
じいさん「・・・・・・」
715: 2017/08/28(月) 23:12:05 ID:wk6/lV7Y
─── 参道正面・社務所前
タッタッタッ
友「・・・・・・」
神使「どうされたんですか、友さん」
友「いや、あのお爺さんどこかで見た気がするんだよなぁ」
神使「参拝でよくいらっしゃる方ではないんですか?」
友「う~ん・・・」
神様「早く来いよ犬ころ!」
神使「今行きますから~」
716: 2017/08/28(月) 23:13:28 ID:wk6/lV7Y
タッタッタッ
神使「お待たせしました」フー
神様「私より後に来るなんていい度胸してるね」
神使「あんな全速力の神様なんか追いつけるわけないじゃないですか・・・」
友「何かあったんですか?」
村長「見て下さい」
神使「池から流れ出た水が石畳の下に流れ込んでいますね」
ギギギ
村長「次のからくりが動き出したようです」
717: 2017/08/28(月) 23:14:27 ID:wk6/lV7Y
神様「次はどこだ?」キョロキョロ
ゴゴゴゴ
友「見ろ! 社務所の屋根が!」
村長「これは凄い・・・」
神様「先っちょが割れた! 宝か! いよいよ財宝の登場なのか!?」
プシュー
一同「!?」
神様「先っちょから水が・・・」
718: 2017/08/28(月) 23:16:22 ID:wk6/lV7Y
プシュー
神使・友「・・・・・・」
村長「これはまるで・・・ え~と・・・ 噴水のようですね」
神様「射せ───」
神使「神様? その先は言っちゃダメです」
神様「え~」
友「何と言いますか・・・」
神様「これでもか! って言うくらい卑猥な仕組み~ ウブな私は照れちゃうの~」クネクネ
一同「・・・・・・」
神様「それより、私の宝はどこ?」トテトテ
神使「神様、それ以上近づくと水が降って───」
719: 2017/08/28(月) 23:17:35 ID:wk6/lV7Y
ザバー
神様「うわ! ぶばばばば」
神使「あ~・・・」
村長「皆さん、社務所の屋根を見て下さい」
ピュッ ピュッ
神使「一定間隔で水が噴き出していますね・・・」
友「凄いこだわりだな・・・」
女神さま・・・
一同「?」クルッ
720: 2017/08/28(月) 23:20:10 ID:wk6/lV7Y
じいさん「女神さまだ・・・」プルプル
友 (この人・・・ まさか・・・)
神使「失礼ですが、神様をご存じなのですか?」
村長「・・・神使さん、友さん、神様を見て下さい!」
友・神使「え?」クルッ
神様「も~ ビショビショだよ・・・」
一同「・・・・・・」
神様「ん? 何? 何でそんなに私を見てるの?」
神使「神様・・・」
友「なんと美しい・・・」
721: 2017/08/28(月) 23:23:15 ID:wk6/lV7Y
神様「え? 何々? 私のかわゆさにようやく皆気がついた?」
村長「それは・・・ 神様のお力ですか?」
神様「はい? まぁ私のかわゆさの事を言っているのであればそれは私の生まれ持った───」
神使「神様にかかった水が太陽に照らされて光り輝いて・・・ それと、後ろに丸い虹が後光のように・・・ 」
神様「え? 虹? 私には見えないけど」キョロキョロ
じいさん「このお社に再び女神さまが・・・」ドゲザ
神様「ちょ、何?」アタフタ
カチャ
神様「ん?」チラッ
村長(この音・・・ トイレ本殿から?)チラッ
722: 2017/08/28(月) 23:24:21 ID:wk6/lV7Y
神使「とてもお美しいですよ、神様」
神様「えっ? あ、うん。 その・・・ ありがと///」モジモジ
神使「神様、そんなにモジモジしてると足滑らせますから気をつけ───」
神様「あっ」ズルッ
神使「言ったそばから・・・」
神様「痛たたた・・・」
神使「・・・・・・」
ツルー
神様「ちょ、あれ!? 水に流される!」
一同「・・・・・・」
神様「行ってきま~す」ツルー
723: 2017/08/28(月) 23:26:25 ID:wk6/lV7Y
友「なぁ、神ちゃんさんはいつもあんな感じなのか?」
神使「この数日一緒にいてもまだ分かりませんか?」
友「いや、素なんだな・・・ あれは・・・」
ズドン
神様「ぐへっ!」
神使「・・・・・・」
友「あれ、絶対痛いぞ。 思いっきりコンクリの壁にぶつかったし」
神使「3分間動かなければ迎えに行きます」
友「・・・うん」
友「それより」キョロキョロ
神使「どうされたんです?」
友「じいさんがいない・・・」
神使「あれ? 先ほどまでいたんですが、どこに行ったのでしょう」キョロキョロ
友「・・・・・・」
725: 2017/08/31(木) 23:18:18 ID:OLIXrdgI
─── 翌日・社務所
チュンチュン
神使「神様? Anmazonから荷物が届いていますが」
神様「おっ、サンキュ~ 昨日の夜に注文したのにもう来るなんて凄いね~」
神使「何を買ったんです?」
神様「お洋服」
神使「あまり無駄遣いしちゃダメですよ?」
神様「分かってるって」
神使「・・・・・・。 開けてみないんですか?」
神様「ん? あとで見るの」ニヒヒ
神使「?」
726: 2017/08/31(木) 23:20:25 ID:OLIXrdgI
友「しかし、昨日は散々だったな」
神使「そうですね」
村長「警察や、役場の方がたくさん来ましたね」
神様「それよりこの社務所どうすんだよ」
神使「屋根が開いて空が丸見えになっちゃいましたね」
友「見事にぱっくり割れてるな」
村長「昨夜はとても綺麗な星が見えて良い眠りにつけました」
神様「私はたくさん蚊に刺されて、あちこち赤い膨らみが出来ました」
神使「それ、蚊ではなくダニじゃないですか?」
神様「え!? まじかよ・・・」ポリポリ
友「そうそう、役場から湧き出した水の簡易結果が朝一で届いてたよ」
村長「長年地下に溜まっていた水ですから衛生的に心配ですね」
神様「私たらふく飲んじゃってんだけど・・・」
727: 2017/08/31(木) 23:21:25 ID:OLIXrdgI
友「飲料にもそのまま使えるくらい綺麗な水質だそなのでご安心を」
神様「よかった」ホッ
友「地下に石が敷き詰められていて濾過の役割を果たしていたのではという事です」
神使「神社から湧き出るお水なんて御利益高そうですね」
神様「御利益なんてねーよ」ポリポリ
神使「神様? そう言う神聖なものを扱うのが私達の役目ですよ?」
神様「へいへい。 でも、財宝がただの水だったなんてショックだわ~」
神使「この町にとっては水源はとても貴重な物です。 まさに財宝ですよ」
神様「そーですね。 有り難きお水さまー」ポリポリ
728: 2017/08/31(木) 23:22:16 ID:OLIXrdgI
神使「?」ジー
神様「何だよ。 だからそんなに見つめられると照れちゃうって言ってんだろーがよ!」ゲシッ
神使「痛い! ・・・いえ、今回は随分と諦めが良いですね?」スリスリ
神様「へ!?」ギクッ
神使「いつもの神様だったら、諦めきれずにそこら辺を掘り返す位の事はすると思うのですが」
神様「神使くんさぁ、私をどういう目で見てるの?」
神使「まぁ、悪さしなければ良いんですが」
神様「そんな面倒くさいことしません~ ねぇ~村長さん」ポリポリ
村長「・・・・・・」
神使「?」
729: 2017/08/31(木) 23:23:51 ID:OLIXrdgI
神様「さて、私は奥の部屋でちょっと二度寝してくるね~」スクッ
神使「神様?」
神様「え? 何? 悪さなんかしないよ?」
神使「荷物、持って行かなくて良いんですか?」
神様「お~ 忘れてた。 サンキュー」ヨイショ
神使「神様?」
神使「今度は何だよ・・・」
神使「足、掻きすぎじゃないんですか?」
神様「うおっ! 血が出てる!」
神使「はい」スッ
神様「ギンカン・・・ まさか、この状態で足に塗れと?」
神使「耐えて下さい」ニコッ
神様「・・・・・・」
友(・・・鬼だ)
731: 2017/09/01(金) 16:27:20 ID:uRIuVrxM
─── 深夜・トイレ本殿前
覆面A「間違いないな」
覆面B「はい」
覆面A「どうやって中に入るかだな」
覆面B「・・・・・・」
覆面A「鍬を持ってきておいて良かった。 これで一気に!」
待ちなさい!
覆面A・B「!?」クルッ
神使「そこまでです。 神聖なお社で何をしているんですか!」
覆面A「チッ、逃げるぞ!」
732: 2017/09/01(金) 16:28:21 ID:uRIuVrxM
友「そう簡単には逃がさないぞ」ガシッ
覆面A「ぎゃ! 放せ!」ジタバタ
友「あれ? この声・・・」
神使「やはり・・・」ハァ
覆面A「うぐっ!」
神使「・・・忍び装束、良くお似合いですね神様?」
覆面A「な、何を言っている! 私は格好いい忍者だ!」
神使「友さん、覆面をはいで下さい」
友「覆面を取りますね神様?」
スポッ
神様「こんばんは。 友くんってよく見るとイケメンだよね」
733: 2017/09/01(金) 16:29:26 ID:uRIuVrxM
神使「神様?」
神様「いやいや、神使くんの方がイケメンだって」
神使「そういう事を言っているのではありません」
友「という事は、もう1人は・・・」
村長「申し訳けありません・・・」スポッ
友「どうして村長さんまで・・・」
村長「神様がお忍びでどうしても調べたい事があると」
神使「何かこの本殿にあるんですね?」
神様「知らない」プイッ
神使「正直に話すか、今後コーラと牡蠣禁止の罰どちらが良いですか?」
神様「実は、昨日このトイレ本殿からからくりが動いた音がしたので見に来ました」
神使「音?」
734: 2017/09/01(金) 16:31:26 ID:uRIuVrxM
友「どうしてお忍びで・・・」
神使「粗方、財宝があると睨んだ神様が独り占めしようと私達に内緒で来たのでしょう」
神様「うっ・・・」ギクッ
神使「しかしその忍び装束はどこから・・・ まさか、今朝届いたAnmazonからの荷物って・・・」
神様「雰囲気が大事だと思いまして。 やっぱり忍者の格好かなぁと思い購入させて頂きました」
神使「いくら使ったんです?」
神様「二着で3万です」
神使「二着って・・・ 村長さんの分もですか?」
神様「1人じゃ恥ずか・・・ きっと村長も着たいかなぁと思って」
村長「え!?」
神使「無駄使いにもほどがあります」
神様「はい、すいません」
友「・・・・・・」
735: 2017/09/01(金) 16:32:27 ID:uRIuVrxM
神使「全く、神様はすぐ暴走する癖を直さないとダメですよ?」
神様「善処します」
友「しかし、何のからくりが動いたんですか?」
村長「中を見ないと何とも」
神使「なにも鍬で壁を壊さなくても、明日明るくなってから調査すれば良いのでは?」
神様「急ぎたいんだよ。 本当にわずかだけど中から神力を感じるんだ」
神使「え!? 中に神がおられるという事ですか?」
神様「分かんない。 今ここに来て初めて感じた位の微妙な神力だから」
神使「今までは感じなかったんですか?」
神様「うん、たぶんからくりが動いた事が原因だと思うんだけど」
736: 2017/09/01(金) 16:33:18 ID:uRIuVrxM
神使「でしたら急がないと行けませんね」
友「どうする? 1枚ずつ壁の木を剥がしていくか?」
神使「もし神がいるのでしたらそんな悠長な事をしているわけにはいきませんね」ガシッ
友「おい神使、まさか鍬で壁を!?」
神使「皆さん離れていて下さい」ソレッ
ドンッ!
神様「キャ~、神使さん格好いい~」ヒュー
友「重要文化財が・・・」
ボロボロッ
神使「これは!?」
738: 2017/09/02(土) 06:45:28 ID:rEf8mi4s
神様「何々? 宝?」ヒョコッ
村長「小さな部屋のようですね」
神使「トイレの奥にこんな隠し部屋があったんですね・・・」
友「見て下さい。 下に降りる階段があります」
神使「神様どうですか? 神力は感じます?」
神様「う~ん・・・ 本当にわずかだけど階段の下の方から感じる」
村長「ご神体に入った神力とは違うのですか?」
神様「神体の神力と神の神力って微妙に違うんだよ。 この感じは神体の神力じゃない」
神使「神が幽閉されて弱っているのかも知れませんね」
神様「・・・・・・」
神使「行きましょう」
テクテク
739: 2017/09/02(土) 06:46:27 ID:rEf8mi4s
─── 地下
テクテク
友「真っ暗だな」
神使「神様、足下気をつけて下さいね」
神様「分かって── うぎゃ!」ズルッ
コロコロ
神様「グヘッ!」ドンッ
神使「・・・・・・大丈夫ですか?」
神様「痛い・・・ 痛い! 痛ーい!!」ジタバタ
村長「壁・・・ いや、扉のようですね」
神使「開けてみましょう」
友「手伝うよ」
740: 2017/09/02(土) 06:47:11 ID:rEf8mi4s
神使・友「せーの!」
ギーッ
一同「!?」
神様「なんだよ・・・ ここ・・・」
村長「これは・・・ 一面花畑ですね・・・」
友「なんで地下なのに明るいんだ?」
神使「電気ではないようですが、これもからくりなのでしょうか」
村長「見て下さい、部屋の中央に誰か倒れています」
神様「!?」タッタッタッ
神使「あっ、神様」
741: 2017/09/02(土) 06:48:29 ID:rEf8mi4s
神様「おい、しっかりしろ!」ユサユサ
神使「女性の方・・・ 友さん、ご存じですか?」
友「いいや。 ただこの格好・・・」
村長「はい。 今では使われておりませんが、過去に使用されていた上級神様のご装束です」
神使「上級神様!? 神様、ご存じの方ですか?」
神様「うそだ・・・ どうしてこんな所に・・・」
神使「神様?」
?「良くこの場所までたどり着けたのぉ」テクテク
一同「!?」クルッ
742: 2017/09/02(土) 06:49:43 ID:rEf8mi4s
神使「おじいさん?」
友「貴方・・・ もしかして?」
じいさん「5年前まで花摘み神社の宮司をしておった」
神使「花摘み神社の?」
友「それで・・・ どこかで見覚えがあると思いました」
神様「どうして・・・ どうして“ミズハ”がここに・・・」
神使「ミズハ?」
村長「まさか、ミズハノメ様!?」
じいさん「そうじゃ。 彼女はミズハ、この社の主神をしておった」
神使「どうして主神様がこんな所に・・・ 神様、ミズハ様の具合は?」
神様「神力がほとんど残っていないな。 かろうじて存在できるギリギリのレベルだ」
村長「ミズハノメ様といえば、数百年前に神籍抹消された水の女神様ですね」
友「神籍抹消?」
743: 2017/09/02(土) 06:50:43 ID:rEf8mi4s
神様「行方不明で神力確認が取れなくなったんだ。 でもミズハはこの社の主神じゃなかったはず」
じいさん「400年ほど前、この地に立ち寄られたミズハは村が水不足に悩んでいる事を知ってやってきたんじゃ」
神様「ミズハがここに?」
じいさん「」コクリ
じいさん「ミズハは、村の者と力を合わせ水不足を解消しようと尽力された」
じいさん「じゃが・・・ あろうことかミズハはこの村の男と恋に落ちたんじゃ」
村長「神と人の恋ですか・・・」
神使「・・・・・・」
友「その男というのは?」
じいさん「とある・・・ からくり技師じゃ」
一同「!?」
746: 2017/09/03(日) 03:34:59 ID:46GEwBZ2
じいさん「人が神と恋に落ちるなど許されん。 男は村人達によってその命を閉じたそうじゃ」
神使「そんな・・・」
じいさん「じゃがのぉ、ミズハは自身の神力を使いからくり技師に再び生を与えおった」
神使「生き返らせたという事ですか? そんな神力を使ったらミズハ様は・・・」
じいさん「そうじゃな。 ミズハはそれ以降目覚める事はなかった」
神様「・・・・・・」
じいさん「からくり技師はミズハのために社を建て直し、再び目覚めるその日が来るまでこの場所でかくまったんじゃよ」
村長「見る限りミズハノメ様を囲んでいるのはアカネのようですが」
じいさん「彼女は花が好きでのぉ、特にアカネが大好きじゃった」
村長「・・・・・・」
747: 2017/09/03(日) 03:36:05 ID:46GEwBZ2
じいさん「からくり技師は神社の名を花摘み神社に改め、彼女の残した神聖な水を年に一度村へ引く仕組みと神事を作った」
友「どうしてそんな回りくどい事を?」
じいさん「彼女を・・・ ミズハを忘れないため」
友「でしたら何も年に一度でなくても・・・」
村長「いえ、神事化すれば年に一度必ず行われ伝承も言い伝えとして後生に残ります」
神使「有り難みもその方が増しますからね」
友「なるほどな・・・ でも、こんな奇妙な仕掛けをこしらえる必要はなかったんじゃ?」
じいさん「彼女は面白い事が大好きでな、からくり技師のヘンテコな仕組みをいつも喜んで見てくれた」
748: 2017/09/03(日) 03:37:22 ID:46GEwBZ2
神使「からくり技師さんのその後の事は残っているのですか?」
じいさん「・・・彼はからくりを捨て、宮司としてこの社を守る事を決めたそうじゃ」
神使「神職に・・・」
じいさん「じゃが・・・ 何年経ってもミズハは目覚める事はなかった」
じいさん「神事も次第に改変され神水を出す事もなくなった・・・ いや、必要が無くなったと言った方が良いかのぉ」
友「そんな大切な伝承なのにどうして・・・」
村長「時代の流れです。 こればかりは当事者にしか分かりませんが、どうしようもない事も多々あったのでしょう」
じいさん「いや、男は挫折してしまったんじゃよ・・・ 何百年待ってもミズハは・・・」
神使(何百年?)
じいさん「お社へ来る参拝者も減り、埋蔵金目当ての盗賊しか訪れん有様・・・ 不甲斐ない」
じいさん「宮司は社の管理を他社へ任せ退く事にした。 そして、ひっそりとこの社の行く末を見守る事にしたんじゃ」
神使「ちょっと待って下さい。 それって最近の出来事では?」
749: 2017/09/03(日) 03:39:52 ID:46GEwBZ2
村長「あなたが、そのからくり技師なのですね?」
神使・友「え!?」
友「ちょっと待って下さい。 それじゃ宮司さんは・・・」
じいさん「どうしてじゃろうな? いくら経っても氏ぬ事ができんのじゃ」
神使「まさか、ミズハ様の神力でおじいさんは・・・」
神様「いや、じいさんは間違いなく人だ。 神力を全く感じない」
神使「そんな・・・ ではどうして・・・」
じいさん「バチが当たったんじゃろうな。 人が神に恋などした罰じゃ」
神様「・・・・・・」
じいさん「もうこの社には足を踏み入れない、そう誓ったはずじゃったが・・・ からくりが動いているのを見てのぉ・・・」
神使「おじいさん・・・」
750: 2017/09/03(日) 03:40:48 ID:46GEwBZ2
神様「からくり技師は、今でもミズハの事を想っているか?」
じいさん「一日も忘れた事などない。 毎日・・・ 日に何度も神社の入り口から・・・」
神様「再びミズハが生を取り戻すことが出来るとしたら?」
じいさん「許されるのであれば・・・ 氏ぬまで彼女を守り・・・ 通したい・・・」
神様「代わりにからくり技師に残酷な罰が下るとしてもか?」
じいさん「彼女のためであれば喜んで受ける」
神様「ミズハノメノ神に誓えるか?」
じいさん「もちろんじゃ」
751: 2017/09/03(日) 03:42:12 ID:46GEwBZ2
神様「・・・・・・」
神使「神様・・・」
神様「残念だけど、今の状態のミズハを再び目覚めさせるのは正一位の神でも不可能だ」
じいさん「・・・・・・」
神様「ただ・・・ じいさん、アンタついてるな」
じいさん「?」
神様「あんたは私にジュースを奢ってくれた。 トクペだったけど・・・」
神様「神は人からもらった恩は、その者の願いを成就させるのが勤めだ。 神は人なしで存在できないからな」
神使「神様・・・」
神様「喜べ。 お前が願った神は神宮最高神であり、この国の神の頂点に立つ女神だ」
じいさん「!?」
友「さ、最高神様!?」
神様「私はそこら辺の神とはひと味違うぞ?」ニヤッ
755: 2017/09/04(月) 01:06:53 ID:jBqi/5pA
神様「我が神使よ」
神使「はい」フカブカ
神様「神力を・・・ 少し使っても良いだろうか」
神使「私に断りを入れる必要などないと思いますが?」
神様「いや、私の神力はお前に渡すものだ。 自由に使えるような代物ではないと思っている」
神使「・・・・・・。 ミズハ様のためにぜひお使い下さい」ニコッ
神様「ありがとう。 ミズハは私にとっても大切な存在だ、親友のために少しだけ使わせてもらう」
神様「それに・・・ 私の神力解放の予行練習にも丁度良いしな。 いざお前に渡すとなったときに鈍っていたら格好もつかないし」
神使「神様の格好いいお姿をぜひ見せて下さい」
神様「分かった。 よく見ていろよ!」
神使「はい!」
756: 2017/09/04(月) 01:08:22 ID:jBqi/5pA
神様「皆、私から少し離れていてくれ」
一同「」スタスタ
神様「これからここで行われる事は他言無用で頼みたい。 それと、事が済むまで言葉を慎んで欲しい」
一同「畏まりました」フカブカ
神様「我、神力を解放す」
ピカー キラキラ
一同「!?」
友(すごい・・・)
村長(なんという荘厳なお姿・・・)
神使(これが本当の神様・・・ 最高神様・・・)
757: 2017/09/04(月) 01:08:53 ID:jBqi/5pA
キラキラ
神様「ミズハノメノ神よ、我が願いを聞き答えよ」
ミズハ「・・・・・・」
神様「汝に神力を与えん。 神としてその役を勤めよ」
ポワポワポワ
ミズハ「ん・・・」モソモソ
じいさん「!」
758: 2017/09/04(月) 01:09:38 ID:jBqi/5pA
神様「おい、ミズハ」ユサユサ
ミズハ「はい!」バッ
神様「おはよう」
ミズハ「神ちゃん様・・・?」
神様「起きられるか?」
ミズハ「はい・・・ あの・・・ どうして神ちゃん様がここに?」
神様「私より、そっちの男を見て驚け」
ミズハ「殿方?」キョロキョロ
759: 2017/09/04(月) 01:10:22 ID:jBqi/5pA
じいさん「・・・ミズハ」
ミズハ「技師・・・様・・・? 技師様!」
じいさん「ミズハ・・・ うっ・・・ うぅぅ」ヘナヘナ
ミズハ「そう言えば私、さっき技師様を生き返らせるために全神力を使って・・・」
神様「今、お前に新しく神力入れたんだよ」
ミズハ「そうだったのですか・・・ 申し訳ございません、ご迷惑をおかけしたみたいで」フカブカ
神様「本当だよ、折角神力たっぷり貯めておいたのに」ハァ
ミズハ「でも、神ちゃん様とてもご立派なお姿ですね。 久しぶりにそのお姿を拝見しました」
神様「うるさい。 神力封印!」シューン
ミズハ「あっ、お戻りに・・・」
760: 2017/09/04(月) 01:11:15 ID:jBqi/5pA
神様「私をいじるより、そこで泣き崩れているじいさんを何とかしろや」
ミズハ「そうでございますね」スタスタ
じいさん「ミズハ・・・」
ミズハ「私にとっては先ほどまでご一緒におりましたが・・・ だいぶお待たせさせてしまったようで」
じいさん「うっ・・・ うっ・・・」
ミズハ「またお目にかかれて嬉しゅうございます。 技師様」ギュッ
じいさん「お帰り・・・ ミズハ・・・」ギュッ
友「神使・・・ ウッ・・・ 神使~・・・ ウッ・・・」ユサユサ
神使「友さん、気持ちは分かりますが・・・ あの・・・ あまり揺らさないで下さい」
761: 2017/09/04(月) 01:12:00 ID:jBqi/5pA
神様「ハァ・・・ ちかれた」トテトテ
村長「お疲れ様です、最高神様」フカブカ
神様「それ、やめて?」
神使「神様?」テクテク
神様「あ?」
神使「とてもお美しかったです」
神様「お、おう・・・」
神使「・・・・・・」
神様「何々? 神使くんったら私を惚れ直しちゃった?」ウリウリ
神使「はい、こんなに美しくてご立派で素敵な女神様が私のお嫁様だなんて今でも信じられません」
神様「はぅっ///」
762: 2017/09/04(月) 01:12:44 ID:jBqi/5pA
友「は!?」
村長「え!?」
ミズハ「お嫁さん!?」
神使「あっ・・・ いえ・・・ その~・・・」
神様「そう! 私と神使くんは結婚して仲睦まじい夫婦なのです! ドドン!!」フンスッ
一同「・・・・・・」
神使「神様、私が言うのも何ですがあまり大っぴらに言わない方が・・・」アタフタ
友「神使・・・ お前、奥手だと思っていたのに神を奥さんにするなんてそんな大胆な事を・・・ しかも最高神様と・・・」
村長「これはこれは・・・」
763: 2017/09/04(月) 01:13:53 ID:jBqi/5pA
ミズハ「神ちゃん様! あの・・・ 神と神使は結婚しても・・・ その・・・ 許されるのでしょうか?」
神様「ダメなんて言う規則ないし。 それに愛し合ってるんだも~ん///」クネクネ
ミズハ「で、では・・・ 神と人もその・・・ 結婚は許されるのでしょうか?」
神様「あ?」
ミズハ「・・・申し訳ありません、やはり禁忌でございますよね」シュン
神様「問題ないだろ、そんな事一々聞くなよ」
ミズハ「えっ?」
友「いいの?」クルッ
神使「私に聞かないで下さい友さん・・・」
神様「人、神使、神はみんな一緒に遊んで恋をし生きることができる」
神使「だ、そうです」
友「そうなんだ。 はじめて聞いた」
ミズハ「神ちゃん様・・・ そうでございますか。 それは、うれしいお言葉です///」ニコッ
765: 2017/09/05(火) 00:49:07 ID:ss4O7wj.
神様「そんな事よりミズハ~」クネクネ
ミズハ「何でございましょう?」
神様「いきなりで悪いんだけど~ 財宝とかってない? 金銀財宝とかあったらさぁ~ くれ」
神使「神様・・・」
ミズハ「財宝ですか?」
神様「何て言うのかなぁ~ その~ お駄賃が欲しいわけよ」クネクネ
ミズハ「失礼を承知の上ではございますが、お金位しか・・・」
神様「お金!? 全然オッケー、むしろ喜んで!」
ミズハ「でも・・・ 神ちゃん様は莫大な役料の支給があると思いますので、私が持っているお金など大した額では・・・」
神様「いつの話してんだよ・・・ お金なんかもうスッカラカンよ」
ミズハ「はぁ・・・ 技師様、私のお金はまだございますでしょうか?」
じいさん「ミズハの眠っていた下に隠し扉があるはずじゃ」
ミズハ「ここでございますか?」ゴソゴソ
神様「手伝う、手伝うよ~ どれどれ」ヨイショ
766: 2017/09/05(火) 00:50:29 ID:ss4O7wj.
パカッ
神様「?」
神使「うわっ! 小判じゃないですか!」
村長「慶長小判がこんなに!?」
ミズハ「たぶん1000両くらいだと思うのですが、これでもよろしいでしょうか?」
一同「せんりょう!?」
神様「・・・・・・」
村長「1000両といったら今の価値で───」
神様「え~ 昔のお金じゃ~ん」
ミズハ「え!?」
神様「こんな古いの今は使えないよ」
ミズハ「えっ、古い!? でも先日幕府から預かった物なのですが・・・」
一同(幕府って・・・)
767: 2017/09/05(火) 00:51:48 ID:ss4O7wj.
ミズハ「あの・・・ 私、どのくらい眠っていたのでしょうか?」
神様「400年」
ミズハ「・・・・・・はい?」
じいさん「400年じゃよ」
ミズハ「・・・・・・江戸?」
神様「平成」
ミズハ「へいせい?」
神様「江戸、明治、大正、昭和、平成!」
ミズハ「・・・・・・家康公は?」
神様「誰それ?」
ミズハ「・・・・・・」
神使「いや、神様それはさすがにどうかと思いますが・・・」
768: 2017/09/05(火) 00:52:37 ID:ss4O7wj.
ミズハ「あ、あの・・・ 私、外に出るのが少し怖い気が・・・」
神様「この時代は凄いんだぜ? 江戸から京まで二刻かかんないで行けるんだぜ?」
ミズハ「!?」
神様「1町の鉄の塊が人乗せて空飛んでるんだぜ?」ニヤッ
ミズハ「そ、そんな! 人が空を!?」ブルブル
神使「神様、そんなにいじめちゃダメですよ」グイッ
神様「うおっぷっ!」
じいさん「大丈夫じゃよ。 ワシがついている」
ミズハ「技師さま・・・///」ウルウル
神様「イチャついてんじゃねーよ! ねぇ~ 神使くん、私達もイチャつこう?」クネクネ
神使「・・・さて、皆さん取りあえず戻りましょうか」
神様「んも~ 照れちゃって、可愛いぞ!」ツンツン
神使「神様?」
神様「へいへい」
769: 2017/09/05(火) 00:53:29 ID:ss4O7wj.
神様「あっ、そうだ。 神使くんさぁ、後でその小判を神宮に買い取らせる手続きしておいて」
神使「小判をですか?」
神様「そう。 んで、その金で花摘み神社の修繕を」
ミズハ・じいさん「え!?」
神様「じいさん、悪いけどあんたにはミズハを助けた代わりの罰を与えないといけない」
じいさん「・・・・・・」
ミズハ「神ちゃん様・・・ 技師様にも深いわけがあって・・・ せめて情状酌量の余地を───」
神様「あんた、この神社の宮司職に再び就く事」
じいさん・ミズハ「!?」
770: 2017/09/05(火) 00:54:33 ID:ss4O7wj.
神様「それと、ミズハ」
ミズハ「は、はい」
神様「上級神のくせに元の担当神社ほったらかしにした罪は重いぞ」
ミズハ「心得ております・・・ どのような罰でもお受けいたします」
神様「よし。 それじゃ、これからこの社の主神として赴任する事」
ミズハ「え?」
神様「まぁ、花摘み神社を2人でよろしく立て直す事だな」
ミズハ「それが、罰でございますか?」
神様「そう。 このご時世、神社運営は大変だぞ~? まぁ頑張るこったな」
ミズハ「あ、ありがとうございます、神ちゃん様・・・」フカブカ
じいさん「ありがとうございます、最高神様」フカブカ
神様「罰を与えただけだし、お礼言われる事じゃないし」プイッ
神使「フフッ、では上に戻りましょう」ニコッ
771: 2017/09/05(火) 00:55:06 ID:ss4O7wj.
じいさん「ミズハ、手を」スッ
ミズハ「はい、技師様///」スッ
神様「・・・・・・」ジー
神使「神様?」
神様「え!? あっ、何でもない」
神使「・・・神様も手を」スッ
神様「神使・・・///」スッ
772: 2017/09/05(火) 00:56:35 ID:ss4O7wj.
神使「1人で歩くとまた転ぶんですから、しっかり手を握って下さいよ」
神様「あ?」
神使「傷の手当て、薬代だってバカにならないんですから気をつけて下さいね」
神様「!」ゲシッ ゲシッ
神使「痛い! って、うわっ!!」ズルッ
神様「ちょ、お前私まで!!」ズルッ
コロコロ
神使・神様「グヘッ!」ドンッ!
友「仲がよろしい事で・・・」
777: 2017/09/06(水) 00:30:25 ID:xkqcrbao
─── 数日後・社務所
神使「神様、神宮から小判の買い取り金の一部が入金されました」
神様「お~ おいくら万円?」
神使「・・・こちらが明細です」
神様「ん~ 一億円か・・・ まぁこんなもんだろうな」
神使「換金は全部で20億らしいです」」
神様「は!? 20億だぁ!? いやいやおかしいだろ。 私の感覚だと1億くらいだけど」
神使「やはり小判の価値をご存じだったのですね」
神様「そりゃ使ってたんだし、いくら位の物かは分かるよ」
神使「当時の価値で言えば神様の仰った額でしょうけど、現代では慶長小判は大変希少で1枚あたりの取引額がとても高いんです」
神様「そうなの!?」
778: 2017/09/06(水) 00:31:32 ID:xkqcrbao
神使「希少価値がついてプレミアがついているというわけです」
神様「マジかよ・・・ え? じゃぁ残りの19億は?」
神使「残りは全て“ミズハ基金”の設立にまわされるそうです」
神様「なんだよ、ミズハ基金って・・・」
神使「おじいさん・・・ いえ、宮司さんから残りは他の神社の修繕にまわして欲しいと神宮へ連絡があったそうです」
神様「太っ腹すぎだろ・・・」
神使「1億でも結構立派なお社が改築できると思いますから」
神様「まぁ、ミズハも一応は上級神だな」
神使「ちなみに400年前、地方で神社建立を行うための1000両が行方知れずになった記録があるようです」
神様「間違いなくこの金やね」
神使「当時発行元の幕府と受け取り側の神宮の間でかなり揉めたそうで、結局幕府側がもう一度1000両を神宮に納めたと」
神様「よくあの堅物幕府が金出したな」
神使「当時、神宮の女神様がダダをこねて幕府に乗り込み暴れまくったと記録に書かれているそうですが」ジー
神様「そう・・・ すごい女神だね・・・ うん」プイッ
779: 2017/09/06(水) 00:32:15 ID:xkqcrbao
神使「一応、神宮からこのお金の出所は明らかにしないように通達がありました」
神様「そうね、あんまり探らない方が良いかもね」
神使「でも神様、小判の価値を知っていてよくネコババしようと思わなかったですね・・・」
神様「そんな高額なプレミアがついているなんて思わなかったし・・・ それに」
神使「それに?」
神様「神勅出しただろ。 “財宝が出たら全部寄付する”って」
神使「覚えておられたのですか・・・」
神様「自分で出した神勅くらい覚えてるっつーの」フンッ
神使「さすがですね」
神様「まぁ、つい言っちゃっただけだけど・・・ 今はもの凄く後悔しています」
神使「やはり…」
780: 2017/09/06(水) 00:33:07 ID:xkqcrbao
神様「あぁ~あ、1両だけでも貰っておけば良かったなぁ~」
神使「もらわないところが格好いいんじゃないですか」
神様「そうだけどさぁ・・・ まぁ、私はあんまりお金には興味ないし宵越しの分だけあれば十分だけど」
神使「それは困ります。 もう少し計画性を持ってお金を貯めて下さい」
神様「へいへい、善処しますよ」
神使「それと・・・」
神様「ん?」
781: 2017/09/06(水) 00:34:04 ID:xkqcrbao
ガラガラ
棟梁「よう! また会ったな」
神様「・・・・・・」
棟梁「神宮からこの神社を作り直せと言われてな」
神様「まぁ、そうなるよな」
神使「はい」
棟梁「施主さんはどこだい?」
神使「ご案内します」
782: 2017/09/06(水) 00:35:11 ID:xkqcrbao
─── 参道
神様「お~い! ミズハ~」トテトテ
ミズハ「あっ、神ちゃん様」
神様「どこ行ってたんだ?」
ミズハ「技師様と外に散歩へ」
神使「お着物、とてもお似合いですね」
ミズハ「お洋服というのがどうしても違和感がありまして・・・」
神様「馴れれば私みたいにかわゆい格好も出来るようになるって」
ミズハ「その・・・ 肌が露出しすぎではないのでしょうか?」
神使「Tシャツ短パンは可愛い格好とは言えないと思うのですが・・・」
神様「え~? そんな事ないと思うんだけどなぁ」
783: 2017/09/06(水) 00:35:56 ID:xkqcrbao
神使「外の方は馴れましたか?」
ミズハ「まだ少し怖いですね。 あまりにも変わりすぎて・・・」
じいさん「ゆっくりでいい」
ミズハ「はい、技師様///」
神様「じいさんは、この神社の神域内にとどまっている限りは年をとったりしないけど、外出ると時間が流れるから気をつけろよ」
じいさん「はい」
ミズハ「申し訳ありません、私が下手な願掛けをしてしまったせいで・・・」
じいさん「こうしてまたお前と同じ時間を過ごせるんじゃ、気にするでない」
ミズハ「技師様はお優しいですね///」ポッ
784: 2017/09/06(水) 00:37:03 ID:xkqcrbao
神様「人前でイチャつくのはその位にして頂けませんか?」
ミズハ「あっ、申し訳ございません・・・ あれ? お隣の方は?」
神様「あ~ 紹介するわ。 神宮お抱えの棟梁、花摘み神社の建て直しをするために来てもらった」
ミズハ「本当にこのお社を建て直してもよろしいのですか!?」
神使「さすがに社務所もぱっくり割れて住めませんし・・・」
神様「ちゃんとした本殿も必要だしな」
棟梁「最高の神社にしてやるぜ」
ミズハ「ありがとうございます」ペコリ
785: 2017/09/06(水) 00:37:38 ID:xkqcrbao
棟梁「何かご希望はありますかい?」
ミズハ「あの・・・ その・・・」モジノジ
神様「一度作ったら建て替えなんか出来ないんだから、言うなら今のうちだぞ」
ミズハ「そ、そうですよね・・・ 実は、参道の両端は本殿まで茜と噴水に囲まれた感じにしたいと・・・」
棟梁「花と噴水が参道に・・・ これはまた面白い」
じいさん「地下にからくりの水路が通っておるから再利用できるはずじゃ」
棟梁「からくり?」
神様「あ~、このじいさんからくり技師なんだよ」
棟梁「ほぉ~」ニヤッ
神使(まずい雰囲気ですね・・・)
786: 2017/09/06(水) 00:38:28 ID:xkqcrbao
ミズハ「あと・・・ 欲を言えば、参拝に来た方達に綺麗な水の音をお聞かせするような仕組みを・・・」
じいさん「手水舎がししおどしになっているとか良いかもしれんのぉ」
棟梁「水琴窟とかどうじゃ?」
じいさん「なるほど・・・ 一つ面白い手法を考えついたぞ」
棟梁「決まりだな。 少し予算オーバーしそうだが」
神使(あ・・・ その言葉は・・・)
ミズハ「棟梁様と技師様でお好きに作って下さいませ! 私、それが見てみたいです!」キラキラ
棟梁「任せろ、全力でいくぜ! 仕掛け満載の最高の水の女神を祀る神社にしてやる!」
ミズハ「うれしゅうございます!」キャッキャッ
神様・神使「・・・・・・」
神使「ミズハ様?」
ミズハ「はい?」
神使「神専用神社建て替えローンは100年までですから注意して下さいね・・・」
ミズハ「?」
787: 2017/09/06(水) 00:39:08 ID:xkqcrbao
タッタッタッ
お~い 神使~
神使「友さん」
友「ミズハ様、綺麗なお着物ですね」
ミズハ「ありがとうございます」ニコッ
神使「手続きの方はいかがですか?」
友「あぁ、神宮に出す書類の申請は全部終わったよ」
じいさん「手を煩わせてすまなかったのぉ」
友「お気になさらず。 後日うちの神職達を来させますので引き継ぎはその時にでも」
神使「ご苦労様でした」
788: 2017/09/06(水) 00:39:48 ID:xkqcrbao
友「そうだ、神ちゃんさん」
神様「ん?」
友「うちの立派天満宮の主神様が神様とお会いになりたいと言っているのですが」
神様「良いけど、友くんの神社って主神は誰なの?」
友「オカマ神さまです」
神様「・・・・・・」
神使「神様?」
789: 2017/09/06(水) 00:40:38 ID:xkqcrbao
神様「うん。 私、忙しいから会うのはまた今度で。 じゃ!」トテトテ
友「あっ、神ちゃんさん! お願いします、会ってあげて下さい!」スタスタ
神様「ヤダよ! オカマだろ? 絶対イヤだ!!」ダダダタ
友「逃げないで下さい! オカマ様は我々男性の者にもとても優しくスキンシップしてくれる優しい神ですから~」
神様「あいつ男だろーが! ヤベーよそれ!」
友「大丈夫です~ 若い女性にもとても優しく、特に小さな女の子には愛を持って接してくれますから~」
神様「もっとヤベーよ!」
友「待って下さ~い」
神様「帰れ! とっとと帰れ~!!」
ダダダダ
790: 2017/09/06(水) 00:41:15 ID:xkqcrbao
神使「騒がしくてすいません・・・」
ミズハ「そんな事ありません。 神ちゃん様はいつの時代でも楽しい方ですね」クスクス
じいさん「とても立派な神さまですな」
神使「そう言って頂けるとありがたいです」
ミズハ「ふふっ」クスクス
神使「?」
ミズハ「申し訳けありません。 お二人はとても良い仲なのですね」
神使「・・・///」
じいさん「大切にするんじゃぞ」
神使「はい」
791: 2017/09/06(水) 00:42:06 ID:xkqcrbao
神使「あの、おじいさん・・・ いえ、宮司様に伺いたい事があるのですが」
じいさん「ワシにか?」
神使「どうして本殿がその・・・ トイレなのですか?」
じいさん「ワシはアレをトイレや本殿などとして作ってはいないぞ?」
神使「え?」
じいさん「ワシがあまりにも大切にしていたもんじゃから誰かが本殿などと・・・ 建屋の形もトイレのような感じじゃったからな」
神使「噂が一人歩きしてしまったのですね・・・」
じいさん「あの小屋はからくりの制御と地下への通路を繋ぐために建てたものじゃ。 中には、たくさんの茜が植えられていたんじゃよ」
神使「茜が?」
じいさん「そうじゃ。 その茜を摘んでいくと、からくりが動作する取っ手が現れる仕組みじゃったんだ」
792: 2017/09/06(水) 00:43:15 ID:xkqcrbao
神使「しかし取っ手のある部屋には茜はありませんでしたが・・・」
じいさん「日光を反射して送り届ける仕掛けが壊れて、中の茜が枯れてしまっていたようじゃ」
神使「では、茶摘み歌の“摘めよ摘め摘め”というのは・・・」
じいさん「中の茜を摘めという事じゃ」
神使「そうだったのですか・・・」
じいさん「しかし、あの小屋のからくりは壊れかけていたんじゃがよく動いたのぉ」
神使「神様が床を壊したり取っ手を何度も動かしたので・・・」
じいさん「奇跡じゃな」
ミズハ「奇跡ではありませんよ」
じいさん・神使「?」
ミズハ「神ちゃん様が私達を助けてくれたんです」
じいさん「そうじゃな。 池で会ったのも偶然ではないのだろうな」
793: 2017/09/06(水) 00:44:06 ID:xkqcrbao
神使「では、このお社の本殿は・・・」
じいさん「ミズハが目覚めてから建てるつもりじゃった。 神が不在の神社に本殿は建てられん」
神使「そうでしたか・・・」
じいさん「これで、ようやく・・・ 本殿が建てられる」
ミズハ「お待たせして申し訳ございません」フカブカ
じいさん「二人で力を合わせて立派な神社を作っていこう」
ミズハ「はい」ニコッ
神使「私達に出来る事があれば何なりと言って下さい」
じいさん「恩に着る」
794: 2017/09/06(水) 00:44:45 ID:xkqcrbao
ミズハ「それより、はじめて聞く言葉なのですがトイレというのは何でしょう? 私が眠っていた小屋の事ですよね?」
じいさん・神使「・・・・・・」
ミズハ「?」
神使「その・・・ え~と・・・」
じいさん「なくてはならないとても大切な場所じゃ・・・ のぉ?」
神使「はい。 とても大切な場所です」アセアセ
ミズハ「そうでございますか。 私はそのような大切な場所で眠っていたのですね」
じいさん・神使「・・・・・・」
ギャーーー!!
一同「?」クルッ
795: 2017/09/06(水) 00:45:22 ID:xkqcrbao
ダダダダ
神様「なんでお前がここに居るんだよ!!」
オカマ神「いや~ん 神ちゃんに会いたくてぇ~ 久しぶりなんだからたっぷりお話ししましょうよ~」ウフン
神様「うるせーよ! 帰れよ! こっち来んなよ!!」
オカマ神「駆け足は負けないぞ~」ウフン
神様「早えー! ちょ、待って! イヤ! 助けて~!!」
オカマ神「私の勝ち~」ピョーン
神様「ひゃーーー!!」
796: 2017/09/06(水) 00:45:52 ID:xkqcrbao
神使「うるさくてすいません・・・」
ミズハ「ははは・・・」
ギャーーー! 喰われる~!!!
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
#16「お花を摘みに」 ―END
797: 2017/09/06(水) 00:47:30 ID:xkqcrbao
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