809: 2017/09/28(木) 00:48:48 ID:zqIHe042
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#12 「あにあに神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#13 「いつでも一緒」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#0
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#14 「キセキ野教会」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#15 「神苑温泉」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#16 「お花を摘みに」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#17 「こんこん稲荷神社」
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
─── 廃神社・本殿
神様「・・・・・・暇だな~」ゴロゴロ
神様「お~い、神使く~ん」
シーン
神様「・・・・・・。 スマホでテレビでも見るか」ポチッ
ザー
神様「ですよね~」グテッ
神様「暇すぎ~! 誰か遊んで~!!」
810: 2017/09/28(木) 00:49:27 ID:zqIHe042
~あらすじ
神様「私は神様! 神宮に籍を置く立派でかわゆい理想の女神!」
狐神「ぷっ! どこがかわゆいって? どこが理想だって?」ケラケラ
神様「・・・・・・」イラッ
811: 2017/09/28(木) 00:50:33 ID:zqIHe042
【#17】
─── 少し前
テクテク
神様「おい~ まだかよ~」
神使「神宮アプリだとこの辺に廃神社があるみたいなんですが・・・」キョロキョロ
神様「も~歩けないって~」
神使「ですから一緒に行きませんか? って聞いたじゃないですか・・・」
神様「何で私が神使会に行く必要あるんだよ」
神使「別に会議に出席なさらずとも、宿にいれば良いのでは・・・」
神様「宿って神宮付属宿舎だろ? いかねーよ、そんな所」
812: 2017/09/28(木) 00:51:13 ID:zqIHe042
神使「しかしこんな田舎・・・ せめて都会までは一緒に行けば良いと思うのですが」
神様「だって~ バスと電車で2時間もかかるじゃん」
神使「すでに田舎道を2時間は歩いているのですが・・・」
神様「地図で見たら近かったんだけどなぁ~」
神使「ここまで来たら仕方ありません。 見つけるまで探しましょう」
神様「もう、ここで野宿でも良いかな・・・」
813: 2017/09/28(木) 00:51:56 ID:zqIHe042
─── 30分後
神使「あっ、神様見て下さい。 正面の小さい山の上」
神様「鳥居! やったー! 神社発見!」
神使「間違いありません、地図に載っている神社のようです」
神様「神社を見てこんなに嬉しいなんて初めてだよ」
神使「それは関係者としてどうかと思いますが・・・」
神様「早く行こうぜ~」タッタッタッ
神使「あっ、待って下さい~」
814: 2017/09/28(木) 00:52:46 ID:zqIHe042
─── 廃神社
神使「廃神社にしては意外と綺麗ですね」
神様「小さいけど本殿はあるし良いね~。由緒とかは?」
神使「データベースには特に詳しい事は書かれてはいないようですが、八幡宮のようですね」
神様「まさか、長官くんリストの要注意神社とかじゃないだろうな」
神使「いいえ、ここはリストにも記載はございません」
神様「良かった。 んじゃ、私ここでお留守番してる」
神使「本当に一人で大丈夫ですか?」
神様「神使くん? こう見えて私は昔、一人で旅をしていたのだよ?」
神使「そうですね。 分かりました、ではこれをどうぞ」ドサッ
815: 2017/09/28(木) 00:53:37 ID:zqIHe042
神様「重! なにこの袋」
神使「食料です。 二週間は持つと思いますので」
神様「え!? 二週間?」
神使「はい、合宿もありますから。 昨日言いましたよね?」
神様「・・・・・・そ、そうね」
神使「では、何かあれば電話下さい」
神様「あっ、うん」
神使「それでは行って参ります」ペコリ
神様「ぁ・・・ いってらっしゃい・・・」フリフリ
────
───
──
816: 2017/09/28(木) 00:54:20 ID:zqIHe042
─── 廃神社・本殿
神様「なんだよ、二日位かと思ってたのに。 こんな所で二週間もどうすんだよ」モグモグ
神様「はぁ~・・・ 神使君と別れて早1時間。 すでにバナナは全部食べてしまった・・・」ポイッ
神様「どうやって暇潰すかなぁ~」ゴロゴロ
ゴンッ
神様「痛っ!」
ゴロッ
神様「この神社の神体か。 ん~ 暇だしちょっと覗いてみるか」
817: 2017/09/28(木) 00:55:12 ID:zqIHe042
神様「・・・・・・。 たまには神使くんに買ってもらった祭儀服でも着て神さましちゃう?」
シュルシュル
神様「うん、良いね~ かわゆい」
神様「すげー、本物の神さまみたい」
神様「それでは、神ちゃんの成就の儀スタートゥ!」
ポワポワ
神様「う~ん・・・」
818: 2017/09/28(木) 00:56:01 ID:zqIHe042
バンッ
神様「!?」クルッ
村人A「ん? お前、こんな所でなにやってんだ?」
神様「やだなぁ、誰もない本殿でやる事なんて言ったら一つしかないじゃんよ~」
村人B「まぐわい・・・」ゴクリ
神様「違うわ!」
村人A「何だ? このバナナの皮の量・・・ あんた何日住んでんだ?」
神様「1時間ほど前から」
村人B「たった1時間でこんなに散らかしたのか・・・」
819: 2017/09/28(木) 00:57:09 ID:zqIHe042
村人A「この村の者じゃないな? おい、取りあえず縛っておけ」
村人B「おう」スタスタ
神様「やっぱり縄で縛られるのですね?」
ギシギシ
村人B「変な格好しやがって。 ほら大人しくしてろ、服が破けるぞ」
神様「おい。 私を痛めつけるのは別に良いが、この服に少しでも傷を付けたらタダじゃおかないぞ」キッ
村人B「はぁ?」
神様「理解できないか? この先まともな生き方が出来ると思うな、という意味だ」ギロッ
村人B「!?」ゾクッ
神様「それと変な服じゃない、祭儀服だ。 失礼だぞ」
村人B「あ、あぁ・・・ 分かった。 すまない」
ギシギシ
神様「あっ、でも縛るんですね・・・」
823: 2017/10/02(月) 00:57:41 ID:pEwjv.VM
─── 数分後
村人A「で? こんな所でなにやってたんだ?」
神様「それはこっちの台詞! ここは神社の本殿だろ、関係者以外立ち入り禁止だぞ」
村人C「ここは村の集会場なんだよ」
神様「は? 神宮管轄の神社じゃないの?」
村人A「こんな山奥の田舎神社に参拝者なんか来るわけないだろ?」
神様「うん」
村人A「かといって放置していたら神社は崩れ落ちて本当の廃墟になる」
神様「うん」
村人A「人がいれば神社も廃墟にならない」
神様「うん」
村人A「ここで会合を開いて定期的に人が来れば神社は守られるわけだ」
神様「なるほど」フム
824: 2017/10/02(月) 00:58:51 ID:pEwjv.VM
村人A「Win-Winだと思わないか?」
神様「思う」
村人A「だろ?」
神様「神社を維持して頂きありがとうございます。 神宮に変わってお礼をいたします」ペコリ
村人B「あんた、神宮の人なのか?」
神様「まぁ、遠からず近からず・・・ 一応神宮に籍はある」
村人B「籍?」
村人A「俺たち、これから村の会合をここで開きたいんだけど」
神様「ん~ まぁ良いけど。 私も一応ここにいるよ? 本殿以外いるとこないし」
村人A「分かった。 ただ会合の邪魔だけはしないでくれ」
神様「うん」
村人A「よし、みんな入った入った」
ゾロゾロ
825: 2017/10/02(月) 00:59:40 ID:pEwjv.VM
村人A「それじゃ、会合を始める」
ペッコン
村人A「先週、役場から町営バス廃止の通達があった」
村人達「バスが廃止!?」
ペッコン ペッコン
村人A「1日に平均2人しか乗降客がいないというのが致命的なんだと」
村人B「鉄道の駅も廃止にるって噂もあるんだが・・・」
村人C「一つ先の駅は大きなロータリーまで作ってるのになぁ」
村人A「あっちは、去年ゴルフクラブが出来ただろ? 好調なんだとよ」
ペッコン
826: 2017/10/02(月) 01:00:28 ID:pEwjv.VM
村人B「くそう・・・ 一つ前の集落は近所にイヤンモールが出来て賑わってるっていうのに・・・」
村人C「この集落もいよいよ終わりかもな」
村人A「うちも何か人が来るようなものを作れば良いんだよ!」
村人B「それ、先月も言ってた。 先々月も、ここ何年かずっと言っている気がする」
村人C「そうそう。 この村に何があるんだよ・・・ 野生の動物がうろついているだけじゃないか」
ペッコン
村人達「・・・・・・」
ペッコン ペッコン ペッコン ペッコン
827: 2017/10/02(月) 01:01:12 ID:pEwjv.VM
村人A「・・・なぁ」
神様「ミー?」
村人A「さっきからペッコンペッコンうるさいんだけど・・・」
神様「いいでしょ、ビードロ」ペッコン
村人A「良くないし。 気が散るだけだから」
神様「どこも田舎は大変だよね~」ペッコン
村人A「勝手に会合に参加しないでくれ・・・」
828: 2017/10/02(月) 01:01:54 ID:pEwjv.VM
神様「そこの端っこに座っている少女は参加しないの?」ペッコン
少女「!?」
村人達「・・・・・・」
村人A「あぁ~ 彼女は・・・ なぁ」
村人B「そうそう。 コン子はいいんだよ」
コン子「・・・・・・」シュン
神様「ふぅ~ん」ペッコン
829: 2017/10/02(月) 01:04:09 ID:pEwjv.VM
─── 会合終了・本殿外
村人B「いや~ 次回の会合までに何か策を考えておかないとなぁ~」
村人C「そうだなぁ~」
ゾロゾロ
コン子「・・・・・・」トボトボ
お~い!
コン子「?」クルッ
神様「初めまして、私は神ちゃん」
コン子「は、はじめまして・・・」ペコリ
神様「ちょっとお話ししたいんだけど良い?」
コン子「あっ・・・ でも私、家に帰らないと・・・」
神様「歩きながらでも良いから」
コン子「・・・・・・」コクリ
830: 2017/10/02(月) 01:06:02 ID:pEwjv.VM
─── 農道
神様「コン子ちゃんで良いのかな?」トテトテ
コン子「はい」テクテク
神様「生まれはこの村?」
コン子「・・・そうです」
神様「ご両親も?」
コン子「・・・・・・」
神様「あんまり村の人と良い関係じゃない感じだったけど」
コン子「・・・・・・」
831: 2017/10/02(月) 01:06:38 ID:pEwjv.VM
神様「」クンクン
コン子「!? ちょ、急にどうしたんですか!?」
神様「ごめんごめん」
コン子「あ、あの・・・ 私の家そこですから///」
神様「そう」ニコッ
コン子「し、失礼します」ペコリ
タッタッタッ
神様「・・・・・・」
835: 2017/10/03(火) 04:05:36 ID:Rpvh/qcg
─── 翌日・朝
神様「しかし本当何もないな~」トテトテ
神様「この道のどこがメインストリートなんだよ・・・ 店どころか家すらねぇじゃん」
神様「どっかに食える物でも生えてないかなぁ~」キョロキョロ
?「お利口さんだねヨシヨシ」
神様「ん? この声・・・」コソコソ
コン子「山から出てきちゃダメよ? 後でご飯持ってくるからね」
神様「・・・・・・」ジーッ
836: 2017/10/03(火) 04:06:39 ID:Rpvh/qcg
村人A「コン子! お前こんな所で何を・・・ こいつ、またキツネに餌付けしやがって!」
コン子「!?」
村人A「おい皆! コン子がまたキツネを呼んでるぞ!」
コン子「違うんです! この子達は悪さするために出てきたんじゃな───」
村人A「どけっ!」ドンッ
コン子「キャッ!」ドサッ
村人「猟銃持ってきたぞ」タッタッタッ
コン子「やめて! やめて下さい! この子達はまだ子供なんです!」
村人A「うるさい! おい、逃げないうちに早く猟銃で───」
神様「何やってんの?」トテトテ
村人達「!?」
837: 2017/10/03(火) 04:07:44 ID:Rpvh/qcg
神様「あれ~ 猟銃? まさかキツネを撃つつもり?」
村人A「だ、だったら何だ」
神様「ここ公道だよ? 許可は?」
村人A「うっ・・・」
神様「大丈夫だよ。 私がコン子ちゃんにキツネを見せて欲しいって頼んでただけだから」
村人A「あんたが?」
神様「コンクリートジャングルで荒んだ暮らしをしている私は中々キツネを見る機会なんかないからね~」
村人達「・・・・・・」
神様「ダメ?」
村人A「程々にしておけよ、おい帰るぞ」スタスタ
村人達「全く、本当にキツネに取り憑かれてるんじゃないのか? あの子」
村人達「気持ち悪いったらありゃしない」
ゾロゾロ
838: 2017/10/03(火) 04:08:38 ID:Rpvh/qcg
コン子「・・・・・・」
神様「大丈夫?」
コン子「ありがとうございます」ペコリ
神様「コン子ちゃん、強いね」
コン子「え?」
神様「この村、君みたいな子は居づらいんじゃない?」
コン子「・・・・・・」
神様「いつから人の姿に?」
コン子「!!」
神様「心配しないで、私は君みたいな子をいっぱい知っているから」ニコッ
839: 2017/10/03(火) 04:09:55 ID:Rpvh/qcg
─── 神社・本殿
神様「自己紹介がまだだったね」
コン子「確か、神宮の方と・・・」
神様「神宮、内宮神籍の神様。 一応、神として女神なんかをやらせてもらっています」ペコリ
コン子「神宮の女神さま!?」
神様「いや~ そんな“かわゆい女神さま”だなんて言われると照れちゃうなぁ~」クネクネ
コン子「・・・・・・」
神様「?」
コン子「あっ、すいません。 神さまが本当にいるだなんて・・・」
神様「驚いた?」
コン子「」コクッ
神様「コン子ちゃんが、昔はキツネだったって事は見て分かった」
狐子「!?」
840: 2017/10/03(火) 04:11:36 ID:Rpvh/qcg
神様「いつから人の姿に?」
コン子「・・・覚えていなくて」
神様「コン子ちゃんの周りに人の姿になったキツネは他にいる?」
コン子「」フルフル
神様「じゃぁ、ずっと一人?」
コン子「」コクン
神様「そっか・・・ ずっと一人でキツネたちを守って面倒を見てるの?」
コン子「あの子達は、人と仲良くしたいだけなんです・・・ でも、村の方達から見ればただの・・・」
神様「農作物を荒らす憎い存在」
コン子「あの子達が畑を荒らした事なんて一度もありません!」
神様「・・・・・・」
コン子「あっ、すいません・・・ 大声を出してしまって」
841: 2017/10/03(火) 04:12:57 ID:Rpvh/qcg
神様「これ、何か知ってる?」コトッ
コン子「それは・・・ 確かこの神社のご神体」
神様「そう、神体には参拝に来た人の願いが記録されるんだよ」
コン子「願いが?」
神様「どうでも良いような願いが大半だけど、この中に無視できない大きな願いを2つ見つけたんだ」
コン子「大きな・・・ 願い・・・」
神様「一つは村の人みんなが思ってお願いをしている事」
コン子「みんな・・・ 村のことですか?」
神様「昨日も会合で話してたけど、みんなこの村が好きなんだね」
コン子「はい。 みなさんこの村を愛していると思います」
842: 2017/10/03(火) 04:15:14 ID:Rpvh/qcg
神様「そして、もう一つはここ数十年に渡って毎日記録されているお願い」
コン子「・・・・・・」
神様「この2つのお願いを見てしまった以上、私はこれを叶える義務がある」
コン子「え?」
神様「まぁ、一つ目の願いは何てことはないけど問題はもう一つの方かな」
コン子「・・・・・・」
神様「神は人の願いを叶えるために存在する。 残念ながらもう一つは人ではない者の願いだ」
コン子「・・・そう ・・・ですか」
神様「他の神なら残念ながら成就する事は出来ない。 でも~ 私には出来る」
コン子「!?」
神様「その代わり、それ相応の対価は付く事になるけど」
コン子「対価・・・ でも私、その・・・ お金などは全く持っていなくて・・・」
神様「コン子ちゃんはどうやって暮らしているの?」
843: 2017/10/03(火) 04:16:58 ID:Rpvh/qcg
コン子「村の畑のお手伝いをしたりしながら・・・」
神様「でも、それだけじゃ暮らしていくの大変じゃない? キツネたちの世話もしているんでしょ?」
コン子「月に一度、町に出てストラップを卸してます」
神様「ストラップ?」
コン子「これです」スッ
神様「お~ かわゆい。 キツネの尻尾みたい」
コン子「あの子達の抜け毛を使って・・・ 動物園などで売ってもらっているんです」
神様「なるほど。 まさに自給自足ってわけだ」
コン子「でも、抜け毛も売り物に使えるのはわずかしかなくて・・・」
神様「へ~」
コン子「なので、毎月の生活だけでほとんどお金を使ってしまって」
神様「大丈夫、お金なんかいらないよ。 対価・・・ いや、代償はコン子ちゃんのこれからの人生」
コン子「私の人生?」
844: 2017/10/03(火) 04:17:56 ID:Rpvh/qcg
神様「コン子、其方の今後の人生を捨ててでも願いを叶えたいか?」
コン子「もし・・・ もし、あの子達が安心してこの村で暮らせるようになるなら私はどうなっても!」
神様「本当か?」
コン子「はい!」
神様「分かった。 其方の願い、この神ちゃんが叶えて進ぜよう」
コン子「あ、ありがとうございます」フカブカ
神様「んじゃ、2つとも一遍に叶えちゃいますか」
コン子「え?」
神様「その前に~ コン子ちゃんにちょっとだけお願いがあるんだけど~」
コン子「私に出来る事でしたら」
神様「本当に?」
コン子「・・・どのような事でしょうか?」
神様「ちょっと、言いにくいんだけど~」クネクネ
コン子「?」
845: 2017/10/03(火) 04:19:19 ID:Rpvh/qcg
神様「その~ お耳をチョコンと出して欲しいなぁ~ って」
コン子「耳?」
神様「そう、キツネのお耳を頭にチョコンて」
コン子「はぁ・・・」ニョキ
神様「!?」
コン子「これで良いでしょうか?」
神様「ぁ・・・ あぁ・・・」ワナワナ
コン子「?」
神様「辛抱たまらん」ピョン
コン子「え!? ちょ・・・」
神様「きゃわいい~!」アムアム
コン子「ぁっ、そんな耳をハムハムされると・・・」ヘナヘナ
神様「ちょー可愛い!! コン子ちゃんは私のものだ~!!」アムアム
コン子「はぅ///」ヘナヘナ
848: 2017/10/06(金) 23:14:02 ID:yWgtJYFc
─── 30分後
神様「先ほどは我を忘れてしまい、大変失礼いたしました」ドゲザ
コン子「い、いえ・・・ 随分と長く我を忘れてしまっていましたね・・・」
神様「私からのお願いというのは、明日ここに村の人を呼んでもらえないかと」
コン子「村の方達をですか?」
神様「そう、夕方頃がいいかな」
コン子「・・・分かりました」
神様「コン子ちゃんは、その前にここに来てくれる?」
コン子「はい」
神様「あっ、それとキツネたちをすぐに呼べるように待機させておくことは出来る?」
コン子「はぁ、大丈夫ですが」
神様「よし、じゃぁ明日!」
849: 2017/10/06(金) 23:17:27 ID:yWgtJYFc
─── 翌日・本殿
神様「犬ころのヤツ、缶詰おいてくのは良いけど缶切りがねーよ・・・」ポイッ
トントン
神様「お、来たか。 どうぞ~」
ギィ
狐神「・・・・・・」
神様「おせーよ」
狐神「遠い! 遠すぎ!!」
神様「だから言ったじゃんよ、始発で来いって」
狐神「始発よ! っていうか・・・ あんた、何でこんなに散らかってんのよ」
神様「堅い事言うなって、まぁ上がれや」
850: 2017/10/06(金) 23:18:39 ID:yWgtJYFc
狐神「はい、これ」ドサッ
神様「お~ こんなに沢山」ゴソゴソ
狐神「重かったんだから。 でも、祭儀服なんて何に使うのよ」
神様「お前、結構良いヤツ持ってんじゃん」
狐神「一応体裁ってもんがあるし、それなりにお金は掛けてるつもり」
神様「おっ、これ良いね~」バサッ
狐神「さすが目の付け所が良いわね。 それは最近拵えたお気に入りなの」
神様「そう。 んじゃこれくれ」
狐神「・・・・・・は?」
神様「ん? これ頂戴って言ったの」
狐神「冗談じゃないわよ! あんた人の話聞いてたの?」
神様「え~ くれよ~」
狐神「それだけはダメ!」
神様「まぁ、お前はこの祭儀服を渡さなければならない状況にならなくなるから後でも良いや」
狐神「はぁ? あんた・・・ 私に何させるつもり?」
851: 2017/10/06(金) 23:19:31 ID:yWgtJYFc
トントン
神様「お、主役も到着したようだ」
狐神「主役?」
ギィー
コン子「お待たせしました」
神様「ナイスタイミング」
狐神「・・・・・・」
コン子「あっ、お客様でしたか」
狐神「ねぇ・・・ 神ちゃん?」
神様「なに?」
コン子「説明してくれる?」
852: 2017/10/06(金) 23:20:54 ID:yWgtJYFc
神様「こちらは、コン子ちゃん」
コン子「コン子と申します」ペコリ
神様「」ニコッ
狐神「終わりかよ! 説明になってない!」ムキー
神様「これ、コン子ちゃんの先輩で従一位の狐神」
コン子「狐神!?」
狐神「正一位、狐神。 あと、ちゃんと様を付けなさい」
コン子「す、すいません! 狐神様!」
神様「ん? 正一位だったっけ?」
狐神「位が上がったの」ニヤッ
神様「・・・マジかよ」
854: 2017/10/06(金) 23:22:25 ID:yWgtJYFc
狐神「これで正真正銘、稲荷のトップってわけよ」フフン
神様「今度、お祝いに大好きな油揚げ食い切れないほど送りつけてやるよ」チッ
狐神「油揚げなんか好きじゃないし。 あんたが変なデマ流すから同族一同迷惑してんだけど・・・」
神様「まぁ位なんてどうでも良いけど。 さて、お互い紹介も終わったところで」
狐神「終わってない! ちゃんと説明しなさいよ!」
神様「コン子ちゃん、キツネたちは呼んである?」
狐子「はい、神社の裏にいます」
狐神「キツネ!?」
神様「沢山いるぞ~」
狐神「!?」
神様「会いたい?」ニヤッ
狐神「そりゃ~ まぁ・・・ 都会にはあまりいないし・・・ たまには・・・」ソワソワ
神様「コン子ちゃん、ちょっとだけ中に入れてもらっても良い?」
コン子「はい、呼んで参ります」テクテク
855: 2017/10/06(金) 23:23:13 ID:yWgtJYFc
─── 数分後
狐神「あ~ かわいい~」ワシャワシャ
キューン キューン
狐神「お前、べっぴんさんだねぇ~ 私のキツネ時代にそっくりよ」デレデレ
神様「なんだよ、あの気持ち悪いヤツは・・・」
コン子「みんなとても楽しそうです」
神様「そうなの?」
コン子「あまり人とふれあえる機会なんてないですから」
神様「おい狐神、あんまり可愛いからって持って帰るなよ」
狐神「そんな事しないわよ。 この子達はここでコン子ちゃんと一緒に暮らしたいって言っているし」
コン子「・・・///」
856: 2017/10/06(金) 23:24:02 ID:yWgtJYFc
神様「それなんだけどさぁ~ ちょっと狐神の力を借りたいなぁ~って」
狐神「私の?」
神様「実はコン子ちゃんを含め、このキツネたちが村から迫害されているんだよ」
狐神「あ? この子達が?」ギロッ
神様「そう。 “迫害”されてんだよ」
狐神「分かった。 この村を呪えば良いのね? 滅ぼせば良いのね?」
コン子「!?」
神様「違うって。 お前のちんけな悪戯なんかじゃ何の解決にもなんねーよ」
狐神「ちんけ言うな!」
神様「村の奴らもこの集落を守るためにちょっと過敏になっているだけなんだよ」
狐神「なるほどね。 それで私に何をしろと?」
神様「それなんだけどさぁ~」ズイッ
狐神「何よ。 顔近いって」
神様「この・・・・・・ で~・・・・・・ ちょっとだけ・・・・・・」ゴニョゴニョ
狐神「はぁ!?」
860: 2017/10/07(土) 21:49:26 ID:ASEw5dmI
神様「良い案でしょ?」
狐神「それ、マジで言ってんの?」
神様「マジ」
狐神「・・・・・・」ジー
コン子「?」
狐子「あんた、責任とれんの?」
神様「何バカな事言ってんだよ。 お前が責任を取るんだよ」
狐神「・・・・・・」
861: 2017/10/07(土) 21:50:39 ID:ASEw5dmI
神様「このかわゆい子達は何?」
狐神「キツネ」
神様「コン子ちゃんは?」
狐神「・・・キツネ」
神様「お前は?」
狐神「・・・・・・キツネ」
神様「この神社は?」
狐神「稲荷・・・ じゃない! 八幡でしょ!」
神様「そんなの今日から稲荷にしておけば良いじゃん」
狐神「あんた・・・ そんな勝手な・・・」
神様「この神社、由緒がないみたいだし。 稲荷の勢力拡大、みたいな?」
狐神「勘弁してよ・・・」ハァ
862: 2017/10/07(土) 21:52:03 ID:ASEw5dmI
神様「狐神ったら、同族想いだしその祭儀服をかわゆい後輩にあげちゃうんだろなぁ~」チラッ
狐神「・・・・・・」
神様「先輩がかわゆい後輩へ餞として上げちゃうんだろうなぁ~ 優しいなぁ~」チラッ
狐神「分かったわよ。 はい、これ貴方にあげる」ドサッ
コン子「え!? 私にですか?」
狐神「これから大変なこともあるだろうけど頑張りなさい」
コン子「?」
狐神「ん? ねぇ、神ちゃん?」
神様「あ?」
狐神「コン子ちゃんは、その・・・ これからのことを知っているの?」
神様「今から説明する」
狐神「ちょっと・・・ 順番が逆でしょ・・・」
863: 2017/10/07(土) 21:53:31 ID:ASEw5dmI
神様「コン子」
コン子「はい」
神様「ちょっと、こっちに来て座りなさい」
コン子「はい」スタスタ
チョコン
神様「狐神、ちょっと神力もらうぞ」
狐神「え!? 私の力使うの!?」
神様「他に誰がいるんだよ。 その為にお前を呼んだんだから」
狐神「勘弁してよ・・・」
神様「も~ うだうだ言っていないで協力しろよ」
864: 2017/10/07(土) 21:54:31 ID:ASEw5dmI
狐神「その前に、コン子ちゃんにきちんと説明しなさいよ」
神様「面倒くさいな~」
狐神「説明くらい最低限のことでしょ」
神様「分かったよ。 コン子、これからお前の人生をもらい受ける」
コン子「代償・・・ ですね」
神様「そうだ」
コン子「覚悟は出来ています。 ひと思いに!」
神様「そんじゃ狐神、ちょっと神力もらうぞ」
狐神「も~ あんまり持って行かないでよね・・・」
神様「んじゃ、二人とも私の手を握って」
狐神「ん」ニギ
コン子「・・・・・・」ニギ
865: 2017/10/07(土) 21:55:29 ID:ASEw5dmI
ポワポワ
コン子(暖かい・・・)
狐神(辛い・・・)
神様「はい、オッケー」
コン子「?」
狐神「うへぇ~ ダルい・・・」グテッ
神様「どんな感じ?」
コン子「なにか・・・ 不思議な気分です」
神様「これでコン子ちゃんの代償は頂戴した」
コン子「今のでですか?」
866: 2017/10/07(土) 21:56:48 ID:ASEw5dmI
ガヤガヤ
神様「外が騒がしいな」
コン子「そろそろ夕方ですし、皆さんが集まりだしたのでは?」
神様「まぁ、頃合いだな」
狐神「う~ しんどい・・・」グテッ
神様「おい、コックス。 私は外で村人の相手してくるからコン子ちゃんに祭儀服着せて準備しておけ」
狐神「私が着させるの?」
神様「他にそんな変な服の着方なんか知っているヤツいねーよ」
狐神「変な服言うな!」
神様「それとコン子ちゃん」
コン子「はい」
神様「それ着たら、何匹か横にキツネを従えて扉の前に立ってて」
コン子「え!?」
神様「さて、神ちゃんプロデュースショーでも始めますか!」
868: 2017/10/08(日) 22:56:56 ID:kaIrnNBQ
─── 境内
ガヤガヤ
神様「皆の者、待たせたのぉ」トテトテ
村人A「あんたは・・・」
村人B「俺たちはコン子に呼ばれたんだが」
神様「私がコン子ちゃんに言付けを頼んだんだよ」
村人A「俺たちを呼び出して何の用だ?」
神様「この村のこと、それからコン子のことを少し」
村人B「よそ者には関係ない」
村人達「そうだそうだ!」
869: 2017/10/08(日) 22:58:32 ID:kaIrnNBQ
神様「そんな事を言って良いのかな?」ニヤッ
村人A「どういう意味だ?」
神様「この村を観光客がたくさん来る有名な村へと変えてやろう」
村人A「はぁ? 何をバカなことを」
村人B「アンタのようなガキにそんな事できるわけ無いだろ!」
神様「私の力を甘く見ているようだな」
村人A「お前みたいな小さなガキに何が出来るんだ?」
神様「村人A!!」
村人A「!?」
神様「娘さんの大切にしていた“ほそ末さん”ストラップを壊したようだな。 代わりは見つかったか?」ニヤッ
村人A「何故それを・・・」
870: 2017/10/08(日) 22:59:28 ID:kaIrnNBQ
村人B「ほそ末さんって何だ?」
神様「村人B!!」
村人B「!?」
神様「収穫した人参の選別、SサイズをMサイズにしているのがバレないと良いな?」ニヤッ
村人B「な、何故それを・・・」
村人C「お前、そんな事してたのかよ・・・」
神様「村人C!!」
村人C「!?」
神様「イヤンモールの受付の子には告白できたか?」ニヤッ
村人C「どうしてそれを・・・ 誰にも言っていないのに・・・」
神様「誰にも言ってない? じゃぁなんで私は知っているんでしょ~か?」
871: 2017/10/08(日) 23:00:48 ID:kaIrnNBQ
神様「村人D! 宝くじの当選祈願だけしかしないようなヤツが当選するはず無いだろ!」
神様「村人E! ジャガイモからかわゆい女の子なんか生まれないぞ!」
神様「村人F! 金くれって雑すぎだろ! 私が欲しいわ!」
神様「村人G! 賽銭くらい入れろ! アホちん!」
神様「村人H! ・・・なんか願っとけよ!」
村人達「・・・・・・」
村人A「あんた・・・ まさか・・・」
村人B「本物の・・・」
神様「ある時は“かわゆい少女”、ある時は“かわゆい巫女”、その正体は!」
村人達「正体は・・・」ゴクリ
神様「神宮が誇る美貌と教養を持つ“かわゆい女神”神ちゃんだ!」フンスッ
村人達「・・・・・・」
872: 2017/10/08(日) 23:01:52 ID:kaIrnNBQ
─── 本殿内
狐神「も~ 神ちゃんったら、いつも一言どころか二言三言余計なんだから・・・」ヨイショ
コン子「面白い方ですね」
狐神「まぁね。 ほら、腕もっと高く揚げて、袖通すわよ」シュルシュル
コン子「はい! すいません」
狐神「まったく、この装束特注で作ったばかりなのに・・・」ハァ
コン子「あの、どうして私がこんな綺麗な格好をさせられているんでしょうか?」
狐神「この服は、これからアンタが毎日着て暮らす服だからよ」
コン子「え!?」
狐神「ちゃんと着方を覚えておきなさいな」シュルシュル
コン子「・・・・・・」
873: 2017/10/08(日) 23:02:50 ID:kaIrnNBQ
─── 本殿外
村人達「・・・・・・」
神様「まぁ、皆が驚くのも無理はない。 神宮の女神が降臨しているんだからな」ウンウン
村人A「ほ・・・ 本当に神さまなのか?」
村人B「なんでこんな村に・・・」
神様「こんな村? おい、お前の住んでいる村はその程度のものなのか?」
村人B「!?」
神様「先日、この神社の神体を覗かせてもらった」
村人A「神体?」
神様「そうだ。 神体にはお前達が願ったことが記録される」
村人B「それで、俺たちの秘密を・・・」
874: 2017/10/08(日) 23:03:54 ID:kaIrnNBQ
神様「お前達の願いだけじゃないぞ? この神社が建立されてからの全ての願いを覗かせてもらった」
村人A「全て!?」
神様「神体を覗き、とても大きな願いを知った私はそれを叶える事にした」
村人A「大きな願い・・・」
神様「お前達、この村が好きなんだろ?」
村人達「・・・・・・」
神様「この村のことを多くの人に知ってもらいたいんだろ?」
村人達「・・・」コクリ
神様「隣村に負けたくないんだろ? 隣村よりこの村の方が素晴らしいんだろ?」
村人A「当たり前だ! この村が一番だ!」
村人達「そうだそうだ!」
875: 2017/10/08(日) 23:05:29 ID:kaIrnNBQ
神様「この村の素晴らしさを伝えられるんだったら何でもするんだろ?」
村人B「当然だ! 俺たちが出来ることならなんだってやるさ!」
村人C「おうよ、役場の集落活性化企画委員会設置準備室の奴らじゃあてにならねー!」
村人達「そうだそうだ!」
村人B「でも・・・ 意気込みだけはあるんだけど・・・」
村人C「あぁ、何から手を付けたら良いのか・・・」
神様「安心しろ、その為に私がいる。 私にかかればそんな事たやすいことだ」
村人達「お~」パチパチパチパチ
神様「この村を盛り上げるぞー!」
村人達「おー!」
神様「この村に観光客をいっぱい呼ぶぞー!」
村人達「おー!!」
神様「自分たちの手でこの村に元気を取り戻すぞー!」
村人達「おー!!!」
876: 2017/10/08(日) 23:06:11 ID:kaIrnNBQ
─── 本殿内
コン子「すごい・・・ こんな村の皆さんはじめて見ました」
狐神「相変わらず周りを巻き込むことに関しては天才的ね、神ちゃんは・・・」ヨイショ
コン子「今回は本当に何とかなりそうな気がしてきました」
狐神「アンタがするんだけどね」
コン子「私が!?」
狐神「はい、着付け終わり! 姿見で自分の格好を見てみなさいな」
コン子「え? あっ、はい」
スタスタ
877: 2017/10/08(日) 23:07:38 ID:kaIrnNBQ
コン子「・・・・・・」
狐神「どう? すごく似合ってるわよ」
コン子「これが私・・・」
狐神「私のとっておきの装束だけど・・・ 悔しいけどアンタの方が似合うわ」
コン子「綺麗・・・ 自分じゃないみたい」
狐神「これからは、その格好に合った生き方をしないとね」
コン子「え?」
狐神「さ、そろそろ出番よ。 準備して」
コン子「出番?」
狐神「キツネちゃん達もコン子ちゃんの隣にスタンバイね」
テクテク
狐神「お利口ね。 コン子ちゃん、背筋を伸ばしてまっすぐ正面を見ていてね」
コン子「あの、何が始まるんでしょうか・・・」
狐神「あなたの、初仕事よ」
879: 2017/10/09(月) 23:01:41 ID:CxJwnPaM
─── 本殿外
村人A「でも、神さまよ~ どんな策でこの村に人を?」
村人B「お金だって無いしなぁ」
神様「金なんか必要ない。 この村にあるものだけで1週間後には観光客でごった返すことになる」
村人達「たった1週間で!?」
神様「あぁ、でもそれを叶えるのは私ではない」
村人A「じゃぁ別の神さまが?」
神様「そうだ。 喜べ! 今日からこの神社に神が常駐することになった!」
村人達「お~~」パチ パチ パチ
神様「紹介しよう! 従三位コン之神だ!」
ギーッ
880: 2017/10/09(月) 23:02:29 ID:CxJwnPaM
村人達「・・・・・・」
コン子「え? あ、あの・・・」キョロキョロ
狐神「キョロキョロしない。 背筋を伸ばして顔は正面、遠くでも見てなさい」ボソッ
コン子「は、はい!」
村人A「なぁ、神ちゃんさん・・・ あれ、コン子じゃないのか?」
村人B「立派な服着てるけどコン子だよなぁ」
神様「そうだよ? コン子ちゃんは神だから」
村人達・コン子「えっ!?」
村人A「おかしいだろ。 コン子自身が驚いているじゃないか」
881: 2017/10/09(月) 23:03:15 ID:CxJwnPaM
狐神「ゴホン! お初にお目にかかる」テクテク
村人A「あなたは?」
神様「紹介しよう。 あいあい神社の主神で従一位、狐神だ」
村人A「狐神!?」
狐神「様を付けろ、無礼者」
村人A「す、すいません・・・」ペコリ
狐神「それと従一位ではなく、正一位! 稲荷を統括する神だ」
村人B「あぁ~ なんだ、こちらの方が本物の神さまですか」
村人C「ビックリした。 コン子が神さまだなんてなぁ」
狐神「なにを言っている、コン子は正真正銘の稲荷神だぞ?」
882: 2017/10/09(月) 23:03:58 ID:CxJwnPaM
村人A「確かにコン子が人ではないことは知っているけど・・・」
村人B「だからって神さまだなんていきなり言われても、なぁ?」
村人達「うんうん」
神様・狐神「はい?」
村人A「いや、だって年とらないし」
村人B「俺が子供の時からコン子は村に居たし」
村人C「俺のばあちゃんが子供の頃もコン子は居たって聞いてる」
神様「あ~・・・」
883: 2017/10/09(月) 23:04:52 ID:CxJwnPaM
狐神「お前達はコン子が人ではないことを知っていて今まで接していたのか?」
村人A「まぁ、コン子に関しては何て言うか~」
村人B「昔から触れないのが暗黙の了解っていう感じで」
神様「ほぉ~ この時代にこんな不思議な存在を受け入れているとは面白い村だ」
狐神「通りで神の存在もすぐに信じたわけだ」
村人A「でも、さすがコン子が神さまだなんて信じられないな」
村人B「そうだな。 神社になんか会合の時しか来ないし」
村人C「家も隅っこの小さな小屋だし」
村人D「畑の手伝いして生活する神さまなんていないよな」
コン子「ぅぅ・・・///」モジモジ
884: 2017/10/09(月) 23:05:40 ID:CxJwnPaM
狐神「まぁ、証拠を見せた方が早いな」ハァ
村人A「証拠?」
狐神「コン子、お前には先ほど私の神力を分け与えた」
コン子「神力?」
狐神「この者達に神力を使って神としての証拠でも見せてやれ」
コン子「そんな・・・ どうやって・・・」
狐神「ここはお前の社だ。 神力も自由に使えるはずだ」
神様「コン子ちゃん、この神社の神体の力は感じ取れる?」
コン子「神体?」
神様「そう、頭の中で神体を感じてみて?」
コン子「頭の中・・・ あっ」
神様「そしたら、そうだなぁ~ 神体から力を少しもらって手のひらにのせる感じを想像してみて?」
コン子「手のひら・・・」ジーッ
村人達「・・・・・・」ジーッ
885: 2017/10/09(月) 23:07:19 ID:CxJwnPaM
ポワポワ
村人達・コン子「!?」
神様「そうそう、うまいうまい」
狐神「狐火だな」
村人A「そんな・・・」
村人B「うそだろ・・・」
ザワザワ
狐神「コン子はこの地に住まうキツネたちを守り、そしてこの村の人々を守る存在」
村人達「・・・・・・」
狐神「お前達はコン子に今までどんな接し方をしてきた?」
村人達「・・・・・・」
狐神「この村のキツネたちに何をしてきた?」
村人達「・・・・・・」
886: 2017/10/09(月) 23:08:15 ID:CxJwnPaM
狐神「コン子、神であるお前の口から村の者達に言うことはあるか?」
コン子「・・・・・・」
神様「コン子ちゃん、正直に」
コン子「私は・・・ 皆さんと違って人ではありません・・・」
コン子「でも、そんな私をこの村に居させてもらったことを本当に感謝しています」
村人達「・・・・・・」
コン子「この子達も、悪気があって村まで出ているわけではなかったのですが・・・」
コン子「でも、野生のキツネですから驚かせてしまったことはこの子達も反省しています」
コン子「私も、この子達もこの村が大好きです。 もし私が力になれることがあるのであればその恩返しをさせて下さい」
コン子「よろしくお願いいたします」フカブカ
村人達「・・・・・・」
狐神「本心でこれか・・・ 大した子だ」フッ
887: 2017/10/09(月) 23:09:41 ID:CxJwnPaM
神様「コン子ちゃん、キツネ達を境内に呼んでもらえる」
コン子「はい。 みんな出ておいで」
テクテク
神様「お~ たくさんいるね~」
コン子「これでもこの村にいる子達の1/3程です」
狐神「結構な数がいるな」
コン子「ほら皆、ちゃんとご挨拶して? この日のために覚えたんでしょ?」
キツネたち「キュ~ン キュ~ン」ペコリ ペコリ
狐神「ふぁぁ~」ニンマリ
村人達「・・・・・・」
888: 2017/10/09(月) 23:10:30 ID:CxJwnPaM
村人A「コン子・・・」
コン子「?」
村人A「すまなかった」ドゲザ
コン子「やめて下さい、謝らなければいけないのは私達ですから」オロオロ
村人B「すまない」ドゲザ
村人C「確かに・・・ キツネたちが村を荒らしてるところなんか見たことないしな・・・」ドゲザ
コン子「ちょ、皆さんやめて下さい」
スリスリ
村人B「?」
キツネ「」ペロペロ
村人B「・・・・・・。 こんな優しいキツネに猟銃を向けたなんて情けねぇ」グッ
コン子「あれはこの子達が出てきては行けない場所に出てきたのが悪いんですから」
村人B「いや・・・ 悪いのは俺だ・・・」
コン子「この子達には、村まで出て行かないようにキツく言っておきましたから」
889: 2017/10/09(月) 23:11:04 ID:CxJwnPaM
神様「その必要は無い!」
コン子「え?」
神様「これからは、キツネたちは村中を自由に出歩くことを命ずる」
コン子・狐神「!?」
狐神「ちょっと神ちゃん、どういう事?」
神様「村人達も、これからは村の中をキツネが出歩いていても自然に接すること」
村人A「もちろんだ」
村人B「約束する」
村人達「うんうん」
神様「この村を活性化するにはそれだけで良い」
一同「はい?」
890: 2017/10/09(月) 23:11:48 ID:CxJwnPaM
神様「コン子ちゃん、これからはこの神社に住みキツネたちはここを住処にさせるように」
コン子「この神社にですか?」
神様「そう、そして村の中をキツネたちが多く出歩くように指示してほしい」
コン子「?」
狐神「ちょっと、どういう意味があるのか説明しなさいよ」
神様「キツネの住む神社と、キツネが町中を闊歩する村。 これは最高の村おこしだと思わないかね?」ニヒヒ
狐神「アンタまさか・・・」
神様「神ちゃんプロデュース第二章の始まりだよ、コックスくんや」ニヤッ
狐神「コックス言うな」ゲシッ
神様「あぅ」
896: 2017/10/10(火) 23:02:22 ID:liiiw5Ho
─── 1週間後・神使会休憩室
ガチャ
神使「ふ~ さすがに座学だらけだと疲れますね」
神使友「おい、神使これ見てみろよ」
神使「テレビですか?」
レポーター『見て下さい。 今、私の横を可愛いキツネが何の警戒もなく通り過ぎていきましたよ』
レポーター『あそこにも、あっちにも村中にキツネがいます。 村の人達も一向に気にしていませんね』
897: 2017/10/10(火) 23:03:08 ID:liiiw5Ho
神使「へぇ~ 凄い村ですね」
神使友「おれ、この村に住んでみたいなぁ~」
神使「そういえば、神使友さんはキツネさんでしたね」
神使友「あぁ。 最近この村の神社に神が常駐されたみたいで、その神の発案だって噂」
神使「人と動物のふれ合い・・・ 立派な神ですね」
神使友「この神社に転勤したいなぁ」
神使「これだけ大胆な発想ができる神なんて、きっと優秀でご立派な方なんじゃないですか?」
神使友「だよな~ 絶対ハードル高いよな」
898: 2017/10/10(火) 23:04:00 ID:liiiw5Ho
レポーター『このキツネさん達、普段はこの神社で生活しているそうなんです』
レポーター『うわ~ 凄いキツネさんと観光客の数ですね~』
神使友「お! 神社も取材されてるじゃん」
神使「神も写りますかね?」
レポーター『あっ、巫女さんがいますね。 ちょっとお話を伺ってみましょう』
レポーター『こちらの神社の巫女さんですか?』
神様『あ! テレビ? いえ~い。 写ってる?』ピース
神使「・・・・・・」
神使友「なんだよ、この巫女さんは。 バイトか?」
899: 2017/10/10(火) 23:04:42 ID:liiiw5Ho
レポーター『ははは・・・ 元気な巫女さんですね。 ちょっとお話しを伺っても良いですか?』
神様『これカメラ? イエーイ! 神使く~ん、見て───』
ピッ
神使友「おい、どうしたんだよ。 急にテレビ消して」
神使「も、もうじき次の座学の時間です。 行きましょう」
神使友「まだ早くないか?」
神使「早く行かないと良い席が取られてしまします。 行きましょう」
神使友「お、おう・・・ って言うか、今の巫女さん、お前の名前呼んでなかったか」
神使「気のせいでは?」
神使友「そうかなぁ?」
900: 2017/10/10(火) 23:05:51 ID:liiiw5Ho
─── 翌週
ガタンゴトン
神使(おかしいです)
ガヤガヤ
神使(確か2週間前、この電車は1両編成でお客さんは全く乗っていなかったはず・・・)
ガヤガヤ ガヤガヤ
神使(どうして5両編成でこんなに混雑しているのですか? しかも・・・)
車掌『本日は臨時快速おきつねふれ合い号をご利用頂きありがとうございます』
神使(臨時って・・・)
901: 2017/10/10(火) 23:06:59 ID:liiiw5Ho
─── 駅
神使「・・・・・・」
ガヤガヤ ガヤガヤ
村人A「こんこん稲荷神社行きの直通バスはこちらになります~」
神使「あの、すいません」
村人A「はい?」
神使「こんこん稲荷神社って先週テレビに映っていた神社ですか?」
村人A「そうですよ。 直通バスはこちら、先払いで片道250円です」
神使「うわ、満員ですね」
村人「後ろのバス2台も臨時なので空いている方へどうぞ」
神使「そうですか・・・」テクテク
902: 2017/10/10(火) 23:08:08 ID:liiiw5Ho
─── 神社前
ガヤガヤ ガヤガヤ
狐神「境内へのご入場は現在1時間待ちとなっておりま~す」
神使「・・・・・・」
狐神「村の中にもキツネちゃん達が沢山いますので、お時間のある方は先に村の散策を───」
神使「あの、狐神様ですよね?」
狐神「ん?」クルッ
神使「お久しぶりです・・・」
狐神「お~ 神使君か。 丁度良かった、上で着替えてすぐに神ちゃんを手伝ってくれる?」
神使「それより、これは一体・・・」
狐神「説明は後! 神ちゃんヘロヘロになってるから!」
神使「は、はい!」タッタッタッ
904: 2017/10/10(火) 23:09:13 ID:liiiw5Ho
─── 境内
ガヤガヤ ガヤガヤ
神使「あの廃神社にこんなに人が・・・ というか稲荷でなく八幡だった気がするのですが・・・」
お守り~ 牡蠣フライ~ おみくじ~ 牡蠣フライ~
神使「あの声は・・・」スタスタ
神様「こちらがお守りになります」スッ
参拝者「ありがとうございます」
神様「名物の牡蠣フライも一緒にどうですか?」
参拝者「牡蠣フライは・・・」ハハハ
905: 2017/10/10(火) 23:09:55 ID:liiiw5Ho
神使「あの・・・」
神様「はい、牡蠣フライですか? お守りでしたら全種一律300円!」
神使「何でお守りと牡蠣フライを一緒に売っているんですか? 神様」
神様「お~ 犬ころじゃん。 丁度良かった手伝ってくれ」
神使「今日はお祭りか何かなのですか? 凄い人ですが・・・」
神様「先週からずっとなんだよ。 凄いだろ、もうボロ儲けだよ」ウヒャヒャ
神使「巫女さんの格好でボロ儲けだなんて言葉を使わないで下さい・・・」
神様「良いから早く着替えて来いよ。 本殿あいてるから」
神使「後でちゃんと説明して下さいよ?」スタスタ
906: 2017/10/10(火) 23:10:31 ID:liiiw5Ho
─── 本殿
ギィー
神使「全く神様ったら今回はどんな悪巧みを───!?」
コン子「!?」クルッ
神使「し、失礼しました!」
コン子「いえ、お気になさらず」
スリスリ
神使「? キツネさん?」
907: 2017/10/10(火) 23:12:15 ID:liiiw5Ho
コン子「こら、ダメよ? 勝手にすり寄っちゃ迷惑でしょ?」
神使「いえ、お気になさらずに。 人懐っこくて可愛いキツネさんですね」ヨシヨシ
コン子「あの、失礼ですが・・・」
神使「失礼しました。 私、神様の仕いを務めております狛犬の神使と申します」ペコリ
コン子「神ちゃんさんの?」
神使「はい。 それより、主神様のいる本殿に勝手に入ってしまい申し訳ございませんでした」フカブカ
コン子「そ、そんな・・・ 主神様だなんて・・・///」
神使「?」
コン子「最近神ちゃんさんに神にされたばかりで、私なんかまだ何も・・・」
神使「・・・そうですか。 やはりこの惨状は神様の企てですか」ハァ
コン子「神ちゃんさんは、この村を・・・ とても素敵な村に変えてくれたんです」ニコッ
神使「・・・あの、詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか」
コン子「はぁ」
908: 2017/10/10(火) 23:13:04 ID:liiiw5Ho
─── 1時間後
バンッ
コン子「!?」
神様「犬ころ! 着替えにいつまで時間かかってんだよ!!」ズカズカ
コン子「あっ、神ちゃんさん・・・」
神使「はい・・・ えぇ、出来ればそのような形ですと有り難いのですが・・・ はい」
神様「ん? 犬ころ電話中なのか」
コン子「はい、先ほどから」
909: 2017/10/10(火) 23:13:42 ID:liiiw5Ho
神使「では、よろしくお願いします」ピッ
神様「どこ電話してんだよ。 はよ手伝えや、忙しくてかなわないんだよ」
神使「お待たせしてすいません。 すぐ行きます」
神様「んじゃ、神使君はコックスと交代で下で入場列の整理やってくれる?」
神使「分かりました」
神様「そろそろコックスのヤツへたってる頃だと思うし」
神使「神様は?」
神様「私はもう少しお守りと牡蠣フライ売ってくる」
神使「何故、牡蠣フライも一緒に売っているのですか・・・」
神様「売れるから良いんだよ!」
910: 2017/10/10(火) 23:14:19 ID:liiiw5Ho
コン子「あの、やはり私もお手伝いを」
神様「コン子ちゃんは、ここにいて」
コン子「でも、私も何か・・・」
神様「これから毎日この状態が続くんだから。 主神のコン子ちゃんに疲れが出ちゃうと村全体に影響しちゃうの」
コン子「・・・・・・」
神様「その気持ちだけで十分。 主神はこの村とキツネちゃん達を陰から見守るのが仕事」
コン子「分かりました」
神様「よし。 それじゃぁもうひと頑張り!」フンスッ
911: 2017/10/10(火) 23:15:21 ID:liiiw5Ho
─── 夜
神様「うへ~ ちかれた~・・・」グテッ
狐神「ぁ・・・ ぁ・・・」ピクピク
神使「狐神様、大丈夫ですか?」
狐神「ダメかも・・・」
神使「しかし凄い人の量ですね」
狐神「神ちゃん・・・ これ人来すぎじゃない?」
神様「想像以上だな」
神使「テレビで取材されたらこうなりますよ・・・」
コン子「明日は土曜日・・・ 大丈夫でしょうか?」
神様・狐神「・・・・・・」
912: 2017/10/10(火) 23:16:24 ID:liiiw5Ho
神使「ちなみに、土日対策は?」
神様「・・・・・・」
狐神「してるわけ無いじゃんよ・・・」
神使「だろうと思いました」ハァ
神様「どうしよう・・・ お守りも牡蠣も全然足りない」
神使「明日の早朝に神宮から巫女と神職の応援が20名ほど来ます」
一同「え!?」
神使「それと、仮設の授与所用にテントが3つほどきます」
狐神「そんな手配いつの間に?」
神使「稲荷用の祈祷済みお守りが5000個、おみくじ1000セットも明日着で届く予定です」
神様「まさか、さっき電話してたのって・・・」
913: 2017/10/10(火) 23:17:28 ID:liiiw5Ho
神使「村おこしの案としては大変素晴らしいと思いますが、先のことも考えておかないとダメですよ? 神様」
神様「はい」
神使「それと、コン子さんの件を神宮に報告していませんね?」
神様「・・・はい」
神使「先ほど神宮に無理を言って、コン子さんの神籍追加と神社の社名変更を至急してもらうように手配しました」
狐神「あ~ 神宮に登録しておかないと面倒だもんね」
神使「神宮登録の内容と違うと巫女と神職の派遣も出来ませんので」
神様「すんません、ありがとうございます」ドゲザ
コン子「私のせいでご迷惑を・・・ 申し訳ありません」ドゲザ
神使「お気になさらず。 言い出しっぺの神様に変わって私がすることですから」
914: 2017/10/10(火) 23:18:50 ID:liiiw5Ho
神様「ん? お守りとかの補充は良いけど牡蠣は? 牡蠣の補充は?」
神使「してませんよそんなもの・・・」
神様「それはマズいだろ~」
神使「土日は私が焼きそばの屋台でも開きますから」
神様「でも~ 牡蠣はこの神社の名物で~」
狐神「しかし、神宮が今日明日のことなんかでよく動いてくれたねぇ」
神使「神宮の各部署には知り合いが沢山いますので、少し無理を言って」
狐神「神宮に長くいる神ちゃんより神使君の方が顔が利くんじゃない?」
神使「さすがにそれは・・・」
神様「そうだよ! 私の方が顔聞くって!」
狐神「はいはい。 分かったわよ」
915: 2017/10/10(火) 23:19:23 ID:liiiw5Ho
神使「明日は早くから準備が必要です。 今日は寝ましょう」
神様「そうね、おやちゅみ~」ゴロン
狐神「おやすみ~」ゴロン
コン子「お休みなさいませ」ゴロン
キツネ達「」パタリ
神使「あの・・・ 私の寝る場所が・・・」
神様「Zzz」グガー
狐神「Zzz」スピー
コン子「Zzz」スヤスヤ
キツネ達「Zzz」
神使「・・・はい、外で寝てきます」テクテク
919: 2017/10/11(水) 22:26:16 ID:asHAx.4c
─── 翌日・駅前
村人A「こんこん稲荷神社行きの直通バスはこちらで~す」
村人C「よ! 凄い人だな~」スタスタ
村人A「あぁ、役場に言ってもう何台かバスを出してもらわないとな」
村人C「臨時電車も増便になったぞ。 しかし、こんな事になるなんて想像できなかったな」
村人A「そうだな・・・ コン子が機会を与えてくれたんだ。 ここからは俺たちの頑張りだ」
─── 町中
観光客「きゃ~ かわいい~」モフモフ
村人B「この子はキッコちゃんって言うんだよ」
観光客「キッコちゃんか~ 街の中にキツネがいるなんて凄いですね」
村人B「この子達はこの村の住人だ。 いて当たり前なんだよ」
観光客「へぇ~ 住人か~」
村人B「あぁ、大切な村の仲間だ」
920: 2017/10/11(水) 22:27:19 ID:asHAx.4c
─── 神社前
狐神「最後尾はこちらで~す。 現在境内までのご入場に2時間待ちとなっておりま~す」
巫女「狐神様、私が代わりますのでご休憩を」
狐神「ありがと、頼んだ」
子供「ねぇ~ まだ並ぶのぉ?」
母親「もう少し我慢してなさい」
狐神「ぼく?」
子供「な~に?」
狐神「あそこを歩いているキツネ、キツミちゃんって言うのよ? 呼んでごらん?」
子供「キツミちゃ~ん」
キツネ「・・・」タッタッタッ
狐神「キツミ? 沢山遊んでもらいなさい?」
キツネ「」コクコク
子供「すごい! 返事したみたい!」
狐神「順番がくるまで、この子と遊んであげてね?」ニコッ
921: 2017/10/11(水) 22:28:03 ID:asHAx.4c
─── 参道
参拝客「焼きそば3つ下さい」
神使「はい! 3つですね?」
ジュージュー
参拝客「ねぇ、牡蠣フライは売ってないの?」
神使「・・・焼きそばじゃダメですか?」
参拝客「この神社、牡蠣フライが名物だって聞いたんで」
神使「・・・・・・。 すいません」
参拝客「無いんじゃ仕方ないか。 焼きそば2つ下さい」
神使「はい。 すいません・・・」
ジュージュー
922: 2017/10/11(水) 22:29:19 ID:asHAx.4c
─── 境内
神様「お待たせしました、こちらお守りです」スッ
参拝客「ありがとうございます」
巫女「神ちゃんさん、お守りの補充を持って参りました」
神様「ありがと、あと釣り銭が少なくなってきたから祓い済みのヤツ持ってきてくれる?」
巫女「はい、すぐに準備します」
参拝客「すいません、このお守り下さい」
神様「はい、300円お納め下さ~い」
コン子「・・・・・・」ジー
?「こちらの主神かな?」
コン子「!? え? あの・・・ 私は・・・」
923: 2017/10/11(水) 22:30:17 ID:asHAx.4c
?「大丈夫。 神宮の神様機構長官と申します」ペコリ
コン子「神宮・・・ あっ、神ちゃんさんはあちらに───」
長官「いや、良いんだ。 ちょっとした申請が出ていたから視察をしに来ただけだから」
コン子「はぁ・・・」
長官「しかし、凄い量の参拝者だね」
コン子「全部、神ちゃんさんのおかげです」
長官「いや、この神社の主神であるコン之神の力だよ」
コン子「私なんか何も・・・ ただこうして影から見ているだけで・・・」
長官「下地を作ったのは君が今まで頑張ってきたからだ。 誇りを持ちなさい」
コン子「・・・・・・」
924: 2017/10/11(水) 22:31:04 ID:asHAx.4c
長官「はい、これ」スッ
コン子「これは?」
長官「神籍証。 神の証だよ」
コン子「神籍・・・」
長官「さて、視察も終わったし申請も問題なさそうだから私は帰るよ」
コン子「あの、申請って?」
長官「神ちゃんから、この神社に寄付金の申請があってね?」
コン子「寄付金?」
長官「あぁ、それが少し大きな額だったものでね」
コン子「おいくら位なのでしょうか?」
長官「1億円」
コン子「!?」
925: 2017/10/11(水) 22:32:06 ID:asHAx.4c
長官「結構な額だろ?」
コン子「そんな大金をどうして?」
長官「そう思うよね? だから見に来たんだよ。 でも妥当な額だと思う」
コン子「妥当って・・・」
長官「これだけの参拝者がいるのに社務所もなければ拝殿もない。 授与所だって無いし、全部新しく拵えたら最低でもその位はかかるね」
コン子「この神社の?」
長官「一番急ぎなのは、稲荷神がいる神社なのに鳥居が八幡タイプだ。 これはすぐに直さないとね」ハハハ
コン子「そんな、私みたいな者にそこまで・・・」
長官「神のいる神社は今はとても少ないんだ。だから最大限の協力はさせてもらうよ。 それに・・・」
コン子「?」
926: 2017/10/11(水) 22:32:52 ID:asHAx.4c
長官「村中の人が協力してくれているだなんて、こんな素敵な村には素敵な神社がないとね」
コン子「・・・嬉しいお言葉、ありがとうございます」ウルウル
長官「コン之神、ここからが君の力の見せ所だ。 大変だろうけど頑張るんだよ」
コン子「はい!」フカブカ
長官「それじゃ、神ちゃん達によろしく伝えておいてくれ」テクテク
コン子「・・・・・・」フカブカ
927: 2017/10/11(水) 22:33:27 ID:asHAx.4c
神様「は~い! お守り、おみくじはこちらですよ~」
狐神「キツネたちと沢山遊んであげてね~」
神使「焼きそばです」
コン子「ありがとうございます。 神ちゃん様、狐神様、神使様。 そして村の皆さん」フカブカ
928: 2017/10/11(水) 22:34:16 ID:asHAx.4c
狐神「? 神ちゃん」クイクイ
神様「何だよ」
狐神「あれ」
神様「?」クルッ
コン子「」フカブカ
神様「・・・・・・」
狐神「あの子がいれば、この村も安泰ね」
神様「当然!」ニコッ
932: 2017/10/12(木) 21:18:02 ID:DIrG99hY
─── 数日後
神様「い~や~だ~」ジタバタ
神使「ダメです。 ほら、ワガママ言っていなで」グイグイ
コン子「あれ? 神ちゃんさん、どうされたんですか?」
狐神「いやね、神ちゃん達帰るんだって」
コン子「え?」
933: 2017/10/12(木) 21:18:49 ID:DIrG99hY
神様「帰んない! ここでコン子ちゃんとモフモフした生活をしてダラダラ暮らすの!」
神使「どんな生活ですかそれ・・・ 神様が居ても食い散らかして本殿を汚すだけです」
神様「これからは食べ終わったゴミはちゃんとゴミ箱に捨てるから!」
神使「そんな最低限のこと約束しないと出来ないなんて・・・」
狐神「神ちゃんったら、キツネたちの餌も食べようとしてたんだよ?」
神使「神様・・・」ゾッ
神様「引くな! だって、皆美味しそうに食べてたし・・・」
コン子「あの餌は寄生虫対策も兼ねた特製の物なのであまり食べない方が・・・」
神様「・・・ぇ?」
934: 2017/10/12(木) 21:19:34 ID:DIrG99hY
狐神「ちょっと、まさかアンタ食べたの?」
神様「た、食べても大丈夫だよね?」タラタラ
コン子「自然の物で作っているので大丈夫ですが・・・ お腹壊しませんでした?」
神使「神様は牡蠣の毒にも負けない胃袋の持ち主ですから」
狐神「でも、野ねずみとかは食べちゃダメよ?」
神様「喰わねーよ!」
狐神「ここのキツネ達は食べるものが管理がきちんとされているんだね」
コン子「はい。 私のあげる餌以外は食べないように厳しく言ってありますので」
神使「神宮所属の獣医の方にキツネさん達を調べてもらってお墨付きを頂きました」
神様「狐神、お前もついでに調べてもらったら?」
狐神「必要ない」ゲシッ
神様「あぅ」
935: 2017/10/12(木) 21:20:23 ID:DIrG99hY
コン子「あの・・・ 神ちゃんさん本当に帰られてしまうんですか?」
神使「次の仕事もありますので・・・ あまり一カ所に長居も出来ないんです」
コン子「そう・・・ ですよね・・・」シュン
神様「ほら! コン子ちゃんあんなに悲しそうな顔してるじゃん!」
神使「神様ここ数日何もしてないじゃないですか・・・」
神様「牡蠣フライの監修してるだろ!」
神使「食べてるだけじゃないですか・・・」
神様「巫女舞だってまだ教えてないし!」
神使「コン子さんは巫女じゃありません」
神様「祈祷とか、祈願成就の仕方とか!」
狐神「それは私が教えてる」
神様「・・・・・・」
936: 2017/10/12(木) 21:21:17 ID:DIrG99hY
神使「だそうです」
神様「しょうがねーな~」チッ
コン子「・・・・・・」
狐神「コン子ちゃんも気持ちは分かるけど、ね?」
コン子「はい」
神使「では、早く荷物をまとめて下さい」
神様「へいへい」
コン子「もう一日だけ・・・ もう一日待って頂けないでしょうか?」
神使「はぁ・・・ 一日くらいでしたら大丈夫ですが」
コン子「ありがとうございます!」タッタッタッ
狐神「ちょ、コン子ちゃんどこ行くの!?」
937: 2017/10/12(木) 21:21:55 ID:DIrG99hY
神使「行ってしまいましたね・・・」
狐神「全く」ハァ
神様「別に出かけるくらい良いだろうが」
狐神「出かけるのは良いけど、目立ちすぎるでしょ」
神様「?」
狐神「装束着たままよ?」
神様「あ~ 確かに、あんな変な格好じゃ怪しさ満点だな」
狐神「変な格好言うな!」ゲシッ
神様「あぅ」
神使「参拝者も観光客の方も帰られて少ないですから大丈夫だと思いますが・・・」
狐神「後で少しお説教しないとね」ハァ
938: 2017/10/12(木) 21:22:35 ID:DIrG99hY
─── 翌日
神使「では、神様そろそろ行きましょうか」
神様「へいへい」
コン子「あの・・・」
神様「ん?」
コン子「これを」スッ
神様「わ! モフモフストラップじゃん! デカい! しかも真っ白!」
コン子「ぜひ、神ちゃんさんに使って欲しくて///」
神様「かわゆい~ これ、キツネちゃん達の抜け毛?」
狐神「白キツネなんてこの村にいたっけ?」
コン子「いえ・・・ その・・・ 私の毛を・・・」
一同「え!?」
939: 2017/10/12(木) 21:23:26 ID:DIrG99hY
神様「だって、コン子ちゃん抜け毛なんてないでしょ」
コン子「昨日、ちょっとブラッシングをしまして。 ははは・・・」スリスリ
狐神「・・・・・・」
神様「そう・・・ わざわざありがとう。 宝物にする」
コン子「そんな! そこまでの物では・・・ 何か買ってプレゼントしたかったんですけど時間もないしお金もなくて・・・」
神様「」ギュッ
コン子「!?」
神様「沢山勉強して良い神さまになって。 そしてこの村を末永く守っていってね」
コン子「はい。 神ちゃん様に会えて、私・・・ 本当に・・・ ありがとうございました」グスッ
神様「元気でね」
コン子「はい」
940: 2017/10/12(木) 21:23:58 ID:DIrG99hY
神使「では、参りましょうか。 コン子さんお元気で」
コン子「神使様も色々とありがとうございました」フカブカ
神使「村の皆さんにもよろしくお伝え下さい」
コン子「はい!」ニコッ
神様「じゃ、狐神。 あとはよろぴこ」
狐神「はいはい」
神様「じゃ、またね~」
テクテク
941: 2017/10/12(木) 21:24:33 ID:DIrG99hY
─── 駅
ファーン
神使「あれ? 次の電車までまだ時間があるんですが、もう来ましたね」
神様「田舎だから交換待ちとかあるんじゃね?」
プシュー
神使「回送って書いてありますね」
神様「なんだよ、乗れないならドア開けんなよ」
942: 2017/10/12(木) 21:25:42 ID:DIrG99hY
車掌「帰りの電車待ち?」
神様「あっ、村人C! あんた車掌だったのかよ!」
車掌「乗っていくかい?」
神使「しかし、回送では?」
車掌「おかげさまで最近満員で座れないから、ついでだし乗って行きなよ」
神使「そんな・・・ 良いんですか?」
車掌「気にすんなって」
神様「やったー! 貸し切り~」トテトテ
943: 2017/10/12(木) 21:26:25 ID:DIrG99hY
─── 車内
車掌「右側の窓が全開になってる席に座って」
神様「うへ~ クーラーかかってない・・・」
車掌「回送だし」
神様「マジかよ・・・」ヨイショ
神使「座って帰れるだけよしとしましょう」
車掌「綺麗な車窓でも眺めながらごゆっくり」テクテク
944: 2017/10/12(木) 21:26:57 ID:DIrG99hY
ガタンゴトン
神使「コン子さん、とても良い子でしたね」
神様「そうね」
神使「でも、大丈夫でしょうか?」
神様「心配ないよ。 あの子は絶対に道を間違ったりしない」
神使「そうですね」
945: 2017/10/12(木) 21:27:45 ID:DIrG99hY
ファーン ファーン ファーン
神使「?」
神様「なんだ? 急にスピード落ちたぞ」
神使「あっ、神様! 外見て下さい、川の向かい側!」
神様「ん?」
お~い! 元気でな~
また遊びに来てくれよ~
神使「村の方達ですね。 大きな横断幕まで・・・」
神様「・・・・・・」
神使「コン子さんもあんなに大きく手を振って、キツネさん達も沢山いますよ」
神様「・・・中々イキなことしてくれるじゃん」チラッ
車掌「」グッ
946: 2017/10/12(木) 21:28:19 ID:DIrG99hY
コン子「神ちゃんさ~ん! また村に遊びに来て下さいね~!!」フリフリ
神様「・・・・・・」
神使「神様・・・」
神様「おーよ! また来るー! 皆元気でな~」フリフリ
ファーン
ガッタン ゴットン
947: 2017/10/12(木) 21:29:13 ID:DIrG99hY
神様「神使くん」
神使「はい」
神様「・・・・・・。 やっぱ私、コン子ちゃんの所に帰るわ」ヨイショ
神使「神様、真顔で何言っているんですか。 ちょ、電車動き出してますから!」ガシッ
神様「放せ~ もっとコン子ちゃんをモフモフするんだ~」ジタバタ
神使「神様! ちょっと勘弁して下さいって。 結構なスピード出てますから!」
神様「モフモフさせろーー!!」
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
#17「こんこん稲荷神社」 ―END
948: 2017/10/12(木) 21:30:35 ID:DIrG99hY
#14 「キセキ野教会」 >>1-229
崩れかけの廃神社。寝るところが無い神様は隣の修道院にお世話になる事に・・・
#15 「神苑温泉」 >>246-492
休暇で訪れた温泉。お猿の神使キー子にメロメロの神様は何か気になる様子・・・
幕間 「満月の夜」 >>497-527
神様と神使は野宿する嵌めに。満月が綺麗な夜に二人の思いは一つになって・・・
#16 「お花を摘みに」 >>551-796
埋蔵金伝説が噂される無人神社。歌に隠された暗号を元に神様が真実に迫る・・・
#17 「こんこん稲荷神社」 >>809-947
廃神社でお留守番の神様。村八分状態のコン子ちゃんがとても気になる様子・・・
949: 2017/10/12(木) 21:31:05 ID:DIrG99hY
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