522: 2018/09/09(日) 02:53:38 ID:soVEIZkM
完結しているので続けるのは難しいかなぁと。
書き切った感もありますし。
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#12 「あにあに神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#13 「いつでも一緒」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#0
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#14 「キセキ野教会」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#15 「神苑温泉」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#16 「お花を摘みに」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#17 「こんこん稲荷神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#18 「我☆偽神」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#19 「神宮美食クラブ」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#20 「未来へ託して」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編・2018年夏
書き切った感もありますし。
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#12 「あにあに神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#13 「いつでも一緒」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#0
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#14 「キセキ野教会」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#15 「神苑温泉」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#16 「お花を摘みに」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#17 「こんこん稲荷神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#18 「我☆偽神」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#19 「神宮美食クラブ」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#20 「未来へ託して」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編・2018年夏
523: 2018/09/09(日) 02:54:55 ID:soVEIZkM
■ 神様「神様だ!」 神使「神力ゼロですが・・・」 番外編・2018年夏
ガタンゴトン
神様「」ゲシ ゲシッ
神使「・・・・・・」
神様「」ゲシ ゲシッ
神使「神様、さっきから痛いんですが・・・」
神様「何でこの電車は冷房がついてないんだよ!」
神使「今時珍しいですよね」
神様「今は2018年だぞ? あり得ないだろ!」
神使「神様? 一応は日本の神なんですから西暦でなく和暦を使いましょう」
神様「グローバルに生きる私は常に世界基準なんだよ! あと一応は余計だ」ゲシッ
神使「しかし、本当に暑いですね・・・」
ガタンゴトン
524: 2018/09/09(日) 02:55:34 ID:soVEIZkM
─── 1時間後・とある田舎の駅
プシュー
神使「ホーム低いので気をつけて下さいね」
神様「はいよ」ガクッ
神使「・・・・・・」
神様「うん。 思ったより低かったね」
神使「ちゃんと下を見て確認しないからです」
神様「私は常に上を見て歩む。 決して下は見ない」
神使「そういう意味ではありません」
神様「しっかし、ビックリする位何もないな」キョロキョロ
神使「凄いですね、見渡す限り一面の緑です」
神様「見える範囲に人工物がないんだけど。 ここに駅は必要なのか?」
525: 2018/09/09(日) 02:56:09 ID:soVEIZkM
神使「さて、それでは行きましょうか」
神様「ちょい待ち」
神使「?」
神様「私が次に言いたいことは分かるよね?」
神使「要調査神社です」
神様「帰る。 あとはよろぴこ」トテトテ
神使「仕事です」グイッ
神様「何の調査だよ~」ジタバタ
神使「これから行く神社は予算が足りなく、このままでは廃社になってしまうそうなんです」
神様「そんな神社腐るほどあるだろ」
神使「主神の居られる神社というのが問題なんです」
神様「そんなの神宮で予算付けてやれよ。 神がいれば最低限の金は出すだろ」
526: 2018/09/09(日) 02:56:54 ID:soVEIZkM
神使「神宮の資料によると寄付金を断っているようで」
神様「は? お金くれるのを断るなんてあり得ないじゃん、何で?」
神使「それを調べるのが私達の仕事です」
神様「はは~ん、売り上げの大半を給料にして、神社の財布と個人の財布は別です! とか言うパティーンね」
神使「どうしてそんな悪知恵ばかり知っているんですか・・・」
神様「ちなみに、その神社運営が下手な神って?」
神使「この先にある大神之神社の主神様です」
神様「大神之神社?」
神使「はい、狼之神様こと、大神様です」
527: 2018/09/09(日) 02:57:29 ID:soVEIZkM
─── 田舎道
テクテク
神使「見えました。 あれが大神之神社のようですね」
神様「鳥居の横にあるのは社務所か?」
神使「売店のようですが」
神様「こんなド田舎に売店なんか作っても誰も来ないんじゃない?」
神使「随分と寂れていますね」
神様「ちょっと寄ってこーぜ、オシッコしたい」トテトテ
神使「またそんなはしたない事を・・・」
528: 2018/09/09(日) 02:58:44 ID:soVEIZkM
─── 売店
ガラガラ
神使「ごめんくださ~い」
神様「誰もいないね」キョロキョロ
神使「これは・・・ 駄菓子屋さんのようですね」
神様「すげー くじとか安っぽいオモチャも置いてる。 ホコリ被ってるけど」トテトテ
神使「神様、勝手に入っちゃダメで───」
ダダダダダ
神使「?」
529: 2018/09/09(日) 02:59:16 ID:soVEIZkM
巫女「いらっしゃいませー!」ズサァー
神使「あっ、勝手にすいません」
巫女「いえ大丈夫です!」ハァハァ
神使「お忙しいようでしたら後ほどお伺いいたしますが」
巫女「気にしないで下さい! 全然忙しくないです!」
神使「?」
神様「これと~ あっ、これも」ゴソゴソ
神使「ちょっと神様、買うんですか?」
神様「当たり前だよ、餅飴は青リンゴと・・・ おっ、コーラもあるじゃん」
530: 2018/09/09(日) 02:59:51 ID:soVEIZkM
巫女「・・・・・・」ソワソワ
神使「失礼ですが、大神之神社の巫女さんでしょうか?」
巫女「え? 私ですか?」
神使「はい。 巫女さんの格好をしているもので」
巫女「あぁ。 まぁそんなもんです」
神使「? ということはこちらの駄菓子屋さんも神社が運営を?」
巫女「そうなりますね」
531: 2018/09/09(日) 03:00:27 ID:soVEIZkM
神様「私これ買う」ドサッ
巫女「!? こ、こんなに沢山・・・」
神使「あんまり無駄遣いしちゃダメですよ?」
神様「私の全財産を投入だ!」
巫女「全部で180円です!」
神様「はい」ジャラジャラ
神使「それが全財産なんですか・・・」
巫女「嬉しー!」キャッキャッ
神様・神使「はい?」
巫女「売れたの久しぶりなんです!」
神様・神使「・・・・・・」
巫女「今日はおかげで贅沢できそうです」ニヘラ
532: 2018/09/09(日) 03:01:11 ID:soVEIZkM
神使「えっと・・・」
神様「し、神使君も何か食べたいんじゃない?」
神使「そ、そうですね。 では、私は・・・ これを頂けますか?」
神様「いいねぇ~ 酢イカ。 私も好き」
神使「1本おいくらですか?」
巫女「20円です」
神使(安い・・・)
神様「神使君金持ってんだろ? ここは大人買いだろ~」ウリウリ
神使「で、では全部頂きます」
巫女「え!?」
神使「この容器ごと・・・ でも何本入っているんでしょうか」
巫女「100本です!」
神使「あっ、1本も売れていないんですね・・・ では2000円で」スッ
巫女「あ・・・ ありがとう・・・ ございます・・・」ウルウル
533: 2018/09/09(日) 03:01:50 ID:soVEIZkM
神様「じゃ、またね~」トテトテ
神使「ちょっと、神様」グイッ
神様「グヘッ!」
神使「駄菓子を買いに来たんじゃないですよ」
神様「あ? そうか、オシッコをしに来───」
神使「すいません、私達こちらの神社に用がありまして」
巫女「神社に・・・」ピクッ
神使「社務所は横の鳥居から入っていけば良いんでしょうか?」
巫女「遊び半分で参拝に来たのであれば、今すぐ立ち去った方が身のためですよ?」
神使「そういう訳では・・・ 狼之神様とお会いしたく」
巫女「!?」
神使「申し遅れました。 私達、神宮の者です」
巫女「神宮?」キョトン
534: 2018/09/09(日) 03:02:37 ID:soVEIZkM
─── 大神之神社・参道
テクテク
巫女「先ほどは失礼しました。 大神様のお知り合いとは知らず・・・」
神様「かなりご無沙汰だけどね」
神使「木々が凄いですね。 だいぶ気温が低く感じます」
巫女「無造作に生えているように見える木も、気温を下げるために手入れをして配置しているんです」
神使「へぇ~ 参拝者思いな作りなんですね」
巫女「はい。 神社に踏み入れたら一気に気温が低くなった方が怖さが増しますからね」ニコッ
神使「怖さ・・・ ですか?」
535: 2018/09/09(日) 03:03:17 ID:soVEIZkM
巫女「あっ、こちらが本殿です」
神使「これは随分と・・・」
神様「壊れ~かけの~神社~♪」
神使「主神様はこちらに?」
巫女「はい。 ただ、今はあまりお見せできる状態ではなく」
神様「大丈夫だって。 そういうの馴れてるし」
巫女「そうですか? では」
ギィ
巫女「大神様、お客様です」
大神「フンッ! フンッ! あ? 客ってだ───」
ギィー バタン
536: 2018/09/09(日) 03:03:58 ID:soVEIZkM
神様・神使「・・・・・・」
巫女「どうされたんです? 急に閉めて」
神様「ねぇ、真っ裸の女が竹刀振ってたんだけど・・・」
神使「神様にもそう見えましたか」
巫女「最近暑いですし」
神様「いや、まぁ何となく言いたいことは理解できるし気持ちも分かるけど・・・」
バンッ
大神「おい、騒々しいぞ!」
神様「お巡りさ~ん! 露出狂の痴女がいます~」
大神「露出なんかしとらんわ! 褌とサラシを巻いているだろうが!」
神様「服着ろよ! 服!」
神使(神様がそれを言いますか)
大神「まさか・・・ 神ちゃんか!?」
543: 2018/09/10(月) 00:31:41 ID:1JKUSx3.
─── 社務所
巫女「お水です」コトッ
神様「ありが、えっ!? 水?」
巫女「どうぞ」コトッ
神使「あ、ありがとうございます」
神様「お茶請け、いや水請けとかないの?」
神使「水請けって・・・ 先ほど買った酢イカならありますが」パカッ
神様「水と酢イカって合うか?」
巫女「頂きます」クチャクチャ
神様「売ったお前が食うんかい・・・」
544: 2018/09/10(月) 00:34:02 ID:1JKUSx3.
大神「それより、どうしたんだ神ちゃん。 随分と久しぶりじゃないか」クチャクチャ
神様「仕事だよ。 ってお前も食うのかよ」
大神「土産だろ? そんな事よりこんな田舎に仕事なんかあるのか?」
神様「お前の神社が参拝者もなく赤字続きの借金まみれで潰れそうだから調べに来たんだよ」
神使「そんなぶっちゃけなくても・・・」
大神「えーと、君は神ちゃんの連れか?」
神様「あ~ これは犬ころ」
神使「神様のお付きで狛犬の神使と申します」フカブカ
大神「ほぉ~ 狛犬の神使とは珍しいな」
545: 2018/09/10(月) 00:35:17 ID:1JKUSx3.
巫女「わぁ~ 私以外の神使って初めてお会いしました!」キラキラ
神使「よろしくお願いいたします」ペコリ
巫女「神使さんは、その・・・ お一人なんですか?」モジモジ
神使「え!? いや・・・ まぁ・・・」
神様「これは私の犬ころだから。 狛犬はワシントン条約で保護されてる希少種だから交尾はダメ」
神使「そんな物で保護されていません。 あと、はしたない言葉を使わないで下さい」
巫女「確かに人や神と少し違う匂いがしますね」クンクン
神使「うっ・・・///」
神様「悪魔に魂を売り渡した極悪邪道腐れ犬ころだし腐臭とか漂ってるんじゃない?」
神使「失礼な・・・」
巫女「とても良い匂いです。 心が安らぐような気分が落ち着くような」クンクン
546: 2018/09/10(月) 00:36:23 ID:1JKUSx3.
大神「これは、ラベンダーだな」
神様「狛犬ってラベンダーの匂い発するの?」
神使「発しません。 ラベンダーの香りの匂い袋をもっているもので」
神様「相変わらずオシャレさんですね~」
神使「ほんの少しだけなのですが、よくお分かりになりましたね」
巫女「鼻には自信がありまして」
神様「ちなみに私はどんな匂いする?」
巫女「そうですね・・・ 草木の香りと言いますか、大地の香りと言いますか・・・」
大神「正直に言ってやれ。 雑草と土の匂いだ」
神様「・・・・・・」
547: 2018/09/10(月) 00:37:43 ID:1JKUSx3.
神使「ちなみに巫女さんは何の神使さんなのですか?」
巫女「私は───」
大神「まてまて、今こそ名乗りの成果を見せるときじゃないのか?」ニヤッ
巫女「!? 確かに!」
神様・神使「?」
神様「まぁ、狛犬には負けるかもしれんがな。 全力でいけ」
巫女「はい!」
大神「こいつは別嬪じゃぞ? オスなら皆イチコロだ」
神様「ほぉ~ん。 私の美貌には足下にも及ばないと思うけどね!」
大神「さぁ、我が使いにしてこの地を守りし巫女よ! お前の真の姿を見せるが良い!」
548: 2018/09/10(月) 00:38:48 ID:1JKUSx3.
巫女「ウゥ・・・」グルルル
神様・神使「!?」
巫女「グォ グガーー!!」メキメキ
ボキボキ ミシミシ
巫女「グギャーーー!!」グルルル
神様・神使「・・・・・・」
大神「うんうん、良い変身っぷりだ」
巫女「ありがとうございます!」
大神「どうだ神ちゃん、うちの神使は」
神様「う、うん。 立派な狼娘さんなのね・・・ なんか、生々しい変身だったね・・・」
神使「そ、そうですね。 ホラー映画のようでした・・・」
549: 2018/09/10(月) 00:40:54 ID:1JKUSx3.
大神「随分とありきたりな評価だな」
狼娘「少し拍子抜けですね。 大抵の人は泣き喚くか失神しますから」
大神「変身途中で涎をまき散らした方が良いんじゃないか?」
狼娘「なるほど。 最後に舌を垂らしてボタボタと涎がしたたり落ちれば更に怖いですね」
神様「いやいや、今ので十分怖いから」
神使「私も、腰が抜けて立てない位ビックリしました」
神様「犬ころもまだまだだな。 私を見ろ、オシッコ漏らしたぞ」ジワッ
神使「・・・・・・」
大神「お~ 95点! 合格点だ」
狼娘「ありがとうございます! 歴代3位の高得点です!」
大神「それより神ちゃん、あんまり汚さないでくれよ」
狼娘「大丈夫ですか?」ズイッ
神様「きゃー! 大丈夫! 怖いから変身解いて!」ジュワッ~
551: 2018/09/11(火) 01:31:44 ID:N4fvY2DA
─── 10分後
ガチャッ
神使「あっ、神様お風呂上がりました? って、また素っ裸で・・・」
神様「・・・・・・」ブルブル
大神「体くらい拭いてこい」
神様「み、水風呂なんですけど・・・ 冷え冷えなんですけど・・・」ブルブル
大神「暑いし水でも大丈夫だろ」
狼娘「湧き水って気持ち良いですよね。 お清めにも丁度良いですし」
神様「水なんかで何が清まるんだよ」ブルブル
神使「神がそんな事言わないで下さい」
552: 2018/09/11(火) 01:32:55 ID:N4fvY2DA
神様「神使君、早く着る物!」
神使「神様が着る物をねだるなんて珍しいですね」
神様「こんなん風邪引くわ!」
大神「鍛え方が足りないんじゃないのか?」
神様「どう鍛えりゃあんな冷たい水風呂に耐えられるようになるんだよ!」
神使「Tシャツと短パンは洗濯中なので巫女服でも良いですか?」ゴソゴソ
神様「ん」イソイソ
大神「ほぉ~ 神ちゃんの巫女姿なんて初めて見るな」
神使「そうなんですか? 神様は巫女服以外Tシャツとジャージ、後は小学生みたいな服しか持っていないので」
神様「」ゲシッ
553: 2018/09/11(火) 01:34:18 ID:N4fvY2DA
大神「昔はもっとゴテゴテした動きにくそうな服を着てたよな」
神様「装束だよ、いつの話してんだよ。 それを言うならお前だっていっつも鎧着てたじゃないかよ」
神使「鎧って・・・ いつの時代ですか・・・」
大神「流石に今の時代にあんな物着てても役に立たないしな」
狼娘「・・・・・・」
大神「あ~ そんな事より、ココへは何をしに来たんだ?」
神様「さっき言っただろうが。 廃社寸前の経営状態だから調べに来たんだよ」
大神「そんな事言われてもなぁ~ 人が来ないんじゃどうしようもないだろ」
神使「休日なのに参拝者の方が1人も来ていないようですね」
大神「もう何ヶ月も鳥居から奥に来た奴はいないな」
554: 2018/09/11(火) 01:36:47 ID:N4fvY2DA
狼娘「威嚇が足りないんでしょうか?」
神様「威嚇してんのかよ・・・」
大神「畏れは大事だろ」
神使「失礼ですが、地元の方や氏子さん達は?」
大神「年に一度ある祭儀の時だけだな」
狼娘「それも年々人が来なくなり去年はゼロでしたね」
神様「祭儀って?」
狼娘「大神様と私で参列者を徹底的に恐怖へ陥れるんです」
神様・神使「・・・・・・」
神様「もしかして、さっきのホラー映画ばりのやつを披露したり?」
狼娘「はい! でも最後に本殿までたどり着いたのは10年位前でしたね」
555: 2018/09/11(火) 01:37:32 ID:N4fvY2DA
神使「何でそんなことを?」
大神「神としての威厳を示す。 畏れは大事だろ?」
神様「この神社に人が寄りつかず破産寸前な理由が分かった気がするよ」ハァ
神使「そうですね」
大神・狼娘「え!?」
神様「え? じゃねーよ! 気付よ!」
大神「狼娘、分かるか?」
狼娘「う~ん、やっぱりヨダレをまき散らさなかったのがいけないんでしょうか」
神様「ちげーよ! 逆だよ、逆!」
大神・狼娘「?」キョトン
神様「はぁ~・・・ これは面倒くせーな・・・」
557: 2018/09/12(水) 01:40:13 ID:lsHExe6s
─── 夕方・神社近くの田舎道
テクテク
神様「暇だから散歩に出たは良いものの、ビックリする位何もない村だな」
神使「でも長閑で良い雰囲気です」
神様「おっ、ようやく第一村人発見」
神使「畑のお手入れでしょうか?」
神様「こんちわ~」
村人「ん?」クルッ
神使「立派なトウモロコシですね」
558: 2018/09/12(水) 01:41:09 ID:lsHExe6s
村人「見かけん顔ですな。 旅行かい?」
神様「まぁそんな感じ」
村人「残念だけど、この村には何もないで?」
神様「・・・・・・」ジーッ
村人「モロコシが気になるのか、食べるけ?」ポキッ
神様「いいの!?」
神使「すいません、何か催促したような感じで・・・」
村人「えぇって、今年は余るほど収穫があってな」
神様「甘い!」モグモグ
神使「生で食べるんですか・・・」
559: 2018/09/12(水) 01:42:06 ID:lsHExe6s
村人「このモロコシは生でもいけるで」
神様「イケルで」モグモグ
神使「・・・では私も」パクッ
村人「どうだ?」
神使「本当ですね。 生でもこんなに美味しいと動物に持って行かれたり大変じゃないですか?」
村人「あ~ ここらの畑はそういうのがないんだよ」
神様「猿とかいないの?」
村人「猿もイノシシも沢山いるがな。 でも畑の作物は絶対荒さんのだわ」
神使「珍しいですね」
村人「良かったらもう少し持っていくか?」
神様「マジで! 頂戴頂戴」
560: 2018/09/12(水) 01:43:16 ID:lsHExe6s
ワオーン
村人「!?」ピクッ
神使「遠吠え?」
村人「あ、すまん。 用事思い出したからワシは帰るわ」
神使「え? あ、はい。 ごちそうさまでした」
村人「あんたらも日が落ちる前に村出てはよ帰れよ。 モロコシは好きなだけ持っていってええから」スタスタ
神使「急にどうしたんでしょう」
神様「ねー」ポキポキッ
神使「日も傾いていますし、暗くなる前に戻りましょうか」
神様「もう少し」ポキポキッ
神使「それ以上はダメです。 持っていくのは2~3個にして下さい」
561: 2018/09/12(水) 01:44:04 ID:lsHExe6s
─── 10分後
テクテク
神様・神使「・・・・・・」
神様「神使君?」
神使「・・・はい」
神様「気付いてる?」
神使「えぇ。 あまり良い感じではなさそうですね・・・」
神様「せーの、で振り向いてみようか」
神使「分かりました」
神様「せーの!」
神様・神使「」クルッ
562: 2018/09/12(水) 01:45:01 ID:lsHExe6s
グルルル
神様「な~んだ・・・ 野生のチワワが唸ってるだけじゃ~ん」
神使「どう見ても立派な狼さんだと思います・・・」
狼「グルルル」ノシッ ノシッ
神様「こっちに来るんですけど・・・ お前仲間なんだから私達は無害ですって通訳しろよ」
神使「狼さんの言葉なんて分かりませんよ・・・」
神様「使えねー犬ころだな。 ヤベーな、逃げるか?」
神使「目を反らすと襲ってくると思いますが・・・ 神様の持っているトウモロコシを餌にするというのは?」
神様「それはあり得ない。 絶対にダメだ、これだけはダメだ」ギュッ
神使「しかし、狼さんがトウモロコシをガン見てますが」
563: 2018/09/12(水) 01:46:05 ID:lsHExe6s
狼「グオー!!」
神様・神使「ひえぇ~!」
?「こら! アンタは何吠えてるの!!」ペシッ
狼「キャウ~ン!」
神使「狼娘さん!」
狼娘「大丈夫でしたか? 本当に申し訳ありません!」ペコペコ
神様「助かった~」ストン
狼娘「このお二人は大神さまの客人です! 匂いで分からないんですか!」
狼「」プイ
狼娘「きちんと謝りなさい!」
564: 2018/09/12(水) 01:47:04 ID:lsHExe6s
狼「グルル」
狼娘「大神さまの右腕である私にまで牙を見せるとは良い度胸です! お前は反省するまでご飯抜きです!!」
狼「!?」ペコリペコリ
狼娘「今更謝っても無駄です! 私が本気で怒る前に早くお山に帰りなさい!!」
狼「」タッタッタッ
狼娘「大丈夫ですか? 立てます?」
神様「うん・・・ ちょっとだけ漏れたけど」
神使「またですか・・・」
神様「に、2滴だけだよ」ジュワ~
神使「全部出し切ったように見えますが・・・」
566: 2018/09/13(木) 00:27:59 ID:Qvq90ftc
テクテク
神様「犬ころ、疲れたからおんぶ」
神使「・・・・・・。 すいません、今日はちょっと・・・」
狼娘「本当に申し訳ありませんでした。 後でキツく叱っておきますので」
神様「この地の守護も担ってるんだから、ちゃんと管理しておかないとダメだと思うの」
神使「確かに野生の狼さんが現れると、村人の方もビックリするかも知れませんね」
狼娘「村の方達の臭いは全員教えているので、絶対牙を剥いて危害を加えることはないのですが・・・」
神使「人里まで降りてきて、お腹でも空いていたんですかね」
狼娘「いえ・・・ ちょうど見回りの時間なんです」
神様「見回り?」
狼娘「はい。 村の作物を荒らす猿やイノシシを追い払ったり部外者が侵入しないようにと」
神使「なるほど、私達の匂いを部外者だと思ったわけですね。 しかも神様はトウモロコシを持っているせいで余計に」
神様「これは盗んでないし!」ギュッ
567: 2018/09/13(木) 00:29:59 ID:Qvq90ftc
狼娘「どちらかというと、お二人に付いた大神さまの匂いが原因かと」
神使「大神さまの匂い?」
狼娘「はい。 大神さまは村の狼たちにとって雲の上のような存在ですから」
神様「でも唸られたけど」
狼娘「大神さまと決闘をした凄腕と思い、自分も決闘したいと思ったようです。 大神さまと決闘することは皆の憧れですから」
神様「なにその危険な関係・・・」
神使「でも、どうして狼さん達が村を守るお仕事をされているんですか?」
狼娘「この村の作物を守るためです。 昔は作物の出来不出来が村人の氏活問題でしたから」
神様「なるほどね~ その代わりに村人から神社に作物の献上があったとか?」
狼娘「」コクッ
神使「持ちつ持たれつですね。 山の狼さん達の食事は献上から賄っているのですか?」
狼娘「・・・いえ」
神様「今の時代に献上とか概念ないだろ~」
神使「え!? それではタダ働きじゃないですか」
狼娘「・・・・・・」
568: 2018/09/13(木) 00:30:52 ID:Qvq90ftc
神様「大神は何て?」
狼娘「見回りだけは絶対に手を抜くなと。 それが私達の勤めだと」
神様「ふ~ん・・・」
神使「参拝のない神社運営に狼さん達の餌、それは赤字が続きますよね・・・」
神様「しかも駄菓子屋にも客は来ず、と」
狼娘「う~・・・」
神使「大神さまはどうされるつもりなんでしょう」
神様「さ~ね~」
狼娘「あの!」
神様・神使「?」
狼娘「神社を・・・ 大神様を助けてあげて下さい!!」
神様「・・・・・・」
569: 2018/09/13(木) 00:31:35 ID:Qvq90ftc
─── 駄菓子屋
ガラガラ
狼娘「どうぞお入り下さい」
神様「おじゃま~」
神使「失礼します」
狼娘「よろしければ好きな駄菓子を取って食べて下さい」
神様「いいの!?」
神使「ダメです。 売り物なんですから」
狼娘「気にしないで下さい。 置いておいてもお客さん来ませんから」ニコッ
神使「・・・・・・」
狼娘「お茶持ってきますので中に入ってお待ち下さい」スタスタ
570: 2018/09/13(木) 00:32:26 ID:Qvq90ftc
神使「神様、何とかならないですかね?」
神様「ふもふ、ふぁふもむ」モグモグ
神使「・・・・・・」
神様「ふもふぉ、ふもぉもむ」モグモグ
神使「・・・・・・食べた分はお金払って下さい」
神様「ふもっ!?」
571: 2018/09/13(木) 00:33:36 ID:Qvq90ftc
─── 駄菓子屋・奥
テクテク
神様「あれ? 下に行く階段がある」
神使「地下室でもあるんですかね?」
狼娘「あぁ、倉庫です」スタスタ
神使「倉庫ですか?」
狼娘「元々この場所には道場がありまして、駄菓子屋を作るときに地下に移したんですけど今は倉庫として使っています」
神様「ふ~ん」
狼娘「さっ、どうぞお入り下さい」
572: 2018/09/13(木) 00:34:29 ID:Qvq90ftc
─── 駄菓子屋・奥の部屋
狼娘「どうぞ」コトッ
神様「あっ! お茶だ!」
狼娘「私のへそくり茶ですが。 神使さんもどうぞ」コトッ
神使「ありがとうございます。 そんなに大事な物を良いんですか?」
狼娘「せめてものお詫びです。 こんな物がお詫びになるとも思っていないですが・・・」
神使「そのお気持ちで十分です。 いただきます」ズズッ
神様「神社の運営が厳しい?」
狼娘「」コクッ
神使「失礼ですが月の売り上げはどのくらいでしょうか」
狼娘「ここ数年ゼロです・・・」
神様・神使「・・・・・・」
573: 2018/09/13(木) 00:35:22 ID:Qvq90ftc
狼娘「あっ、今日2100円の売り上げがありました」
神使「それは私達ですね・・・」
狼娘「貯金を切り崩して何とかしのいでいるのですが、多分長く持ちません」
神使「実は、神宮から神社運営の寄付金の話がありまして」
狼娘「本当ですか!?」パァ
神使「はい。 それも20年前から」
狼娘「え?」
神様「大神の奴が寄付金を断ってんだってよ」
狼娘「何で・・・」
神使「もしよろしければ、神社の運営帳簿を見せて頂けますか?」
狼娘「はい。 今持ってきます」スタスタ
574: 2018/09/13(木) 00:36:22 ID:Qvq90ftc
神使「狼娘さんは寄付金のことを知らなかったようですね。 どういう事でしょうか?」
神様「別に金があるのか、それとも・・・」
狼娘「お待たせしました」スタスタ
神使「あっ、ありましたか?」
狼娘「はい。 こちらが帳簿です」スッ
神使「拝見します」ペラッ
神様「どう?」ニョキッ
神使「酷い赤字ですね・・・ これでは破綻も時間の問題かと」
狼娘「・・・・・・」
575: 2018/09/13(木) 00:37:23 ID:Qvq90ftc
神使「ん? 20年前に結構な入金があるようですが」
神様「おいくら万円?」
神使「2000万です」
神様「なんだ、金持ってんじゃん」
神使「でも、それも毎月の補てんで食い潰して残っていないようですが」
狼娘「そのお金は・・・ 大神様がご自身の鎧をお売りしたお金でして・・・」
神使「鎧?」
神様「・・・もしかして大神之武神鎧?」
狼娘「」コクッ
神様「・・・・・・」
576: 2018/09/13(木) 00:38:25 ID:Qvq90ftc
神使「その大神之武神鎧というのは?」
神様「あいつが命より大事にしていた特注の鎧。 武神大神のトレードマークだ」
神使「武神?」
神様「そう、あいつは武神だからな。 昔は将軍やら全国の城主から絶大な信仰があったんだよ」
神使「それって国宝級じゃないですか! それをこんな値段でお売りに?」
狼娘「あの時は参拝者も減り本当にお金がなく・・・ 山の狼たちの餌もろくに出せない位困窮してまして・・・」
神使「そんな状況でなぜ寄付金をお受けにならなかったんでしょうか?」
神様「・・・・・・」
神使「神様?」
神様「アイツらしいな」
神使「どういう意味です?」
神様「不器用は変わらず、か」
578: 2018/09/13(木) 23:54:10 ID:Qvq90ftc
─── 夜・本殿前
大神「フンッ! フンッ!」
神様「素振りなんかして何と戦うんだよ」トテトテ
大神「? 神ちゃんか」
神様「ちょっと二人で話できるか?」
大神「向こうの木の陰に二人隠れているようだが?」チラッ
狼娘・神使「」コソッ
神様「盗み聞きさせてやる位は良いんじゃない?」
大神「・・・そうか。 そうだな、丁度良い時期かもしれん」フッ
579: 2018/09/13(木) 23:55:15 ID:Qvq90ftc
神様「ほい、モロコシ」スッ
大神「これは?」
神様「さっき村の人からもらった」
大神「この村のモロコシは美味いだろ」
神様「最高だね」モグモグ
大神「うむ。 相変わらず美味いな」モグモグ
神様「いつだ?」
大神「・・・・・・。 もってあと1年という感じかな」
神様「私の見立てと同じだ。 お前の神力がほとんど底をついている」
大神「潮時だよ。 武神などこの時代に必要ない」
神様「お前が鎧を着て戦に出ている姿は今でも目に焼き付いてる」
大神「惨い時代だったな。 多くの人を傷つけた」
580: 2018/09/13(木) 23:56:12 ID:Qvq90ftc
神様「私はお前が人を傷つけたところを見たことないけど?」
大神「・・・・・・」
神様「私の記憶だとお前の刀には一度も血が付いたことはなかった」
大神「美化しすぎだ」
神様「私の目は節穴じゃないよん。 よくあんな事が出来るな」
大神「私の勝手なこだわりだ。 さすが神ちゃん、よく気がついたな」
神様「私だけじゃなくて上の方の武将とかは気付いてたみたいだけど?」
大神「・・・・・・」
神様「まぁ、それ込みでお前を武神として崇敬してた訳だけど」
大神「皆を騙せていたと思っていたが・・・」フッ
神様「しかし、あんだけ偉いさんから崇敬されてた武神さまがこんなボロ神社の主神とはねぇ~」
大神「確かに。 私を慕ってくれた者達に顔向けできないな」
581: 2018/09/13(木) 23:56:59 ID:Qvq90ftc
神様「寄付金、断ってるんだって?」
大神「何の役にも立たない私がもらう価値などない」
神様「私なら一日中寝て過ごしたとしても貰うけどなぁ~」
大神「・・・・・・。 神ちゃんの役割と私の役割は違う」
神様「でも、村の農作物を守っているんだし少し位は良いんじゃない?」
大神「対価などモロコシ1本でも多い位だよ」
神様「お堅いね~」
大神「すまないな、面倒な性格で」
神様「武神ではなく普通の神じゃダメか?」
大神「私には他に才がない。 この神社の姿を見れば分かるだろ?」
神様「狼娘はどうするんだ?」
大神「・・・・・・」
582: 2018/09/14(金) 00:01:45 ID:iH9wdNQw
神様「話を変える。 あの駄菓子屋は?」
大神「話が変わってないな」フッ
大神「狼娘が小さかったとき・・・ まだこの神社に人の参拝があったときだが、あいつは人の子とじゃれ合うのが好きでな」
大神「神使になることが出来たら、駄菓子屋を作りたいと夢を語ってくれた」
神様「・・・・・・」
大神「私がいなくなっても狼娘が暮らしていけるようと、あれを拵えたんだが」
神様「鎧、売ったんだって?」
大神「あぁ、さすがに赤字が酷くてな。 鎧で夢は買えぬが、金に変えれば駄菓子屋は作れる」
神様「それでも神宮からの寄付金は使わずか」
大神「私の手で何とかしてやりたかった。 それだけだ」
神様「相変わらず不器用さんだね~」
大神「そうだな、私は面倒な性格でしかも不器用だ。 自分でもそう思うよ」
583: 2018/09/14(金) 00:02:33 ID:iH9wdNQw
大神「狼娘は私の宝、鎧なんかと比べられる物ではない。 迷いもなかったし後悔もない」
大神「駄菓子屋でも作るか、と言ったときのアイツの顔・・・ 今でもハッキリと覚えている。 作って良かった」
神様「そう」
大神「でも、ご覧の通り村から子供だけでなく人すら少なくなってな・・・」
神様「どこも同じだ。 散々見てきた」
大神「アイツには逆に苦労を背負わせてしまったようだが」ハハハ
神様「・・・・・・」
大神「神ちゃん、偉そうなことを散々言っておいて勝手な願いだが・・・ 狼娘を頼めないだろうか?」
神様「・・・・・・」
584: 2018/09/14(金) 00:03:24 ID:iH9wdNQw
大神「私がいなくなったらアイツは・・・」
狼娘「いや・・・ うそ・・・」
大神「」チラッ
神様「・・・・・・」
狼娘「イヤだ!」タッタッタッ
神使「あっ、狼娘さん!」
大神「・・・・・・」ハァ
神使「神様! 狼娘さんが外に!」
大神「すまん・・・ 神ちゃんに任せても良いだろうか。 私はこういう事が苦手でな・・・」
神様「分かった。 私に全て任せておけ」
大神「恩に着る」スタスタ
585: 2018/09/14(金) 00:04:33 ID:iH9wdNQw
スタスタ
神使「神様・・・」
神様「・・・・・・」
神使「まさかこんな事になっているだなんて・・・」
神様「」ニタァ
神使(うっ・・・ なぜこの状況で神様はこんな笑みを・・・)
神様「神使君や、ここへ電話を繋いでくれたまへ」スッ
神使「ここは?」
神様「神ちゃんプレゼンツショーの始まりだよ」ウヒャヒャ
589: 2018/09/15(土) 00:10:08 ID:vEtqBjXo
─── 駄菓子屋前
狼娘「・・・大神さま」グスッ
神様「狼娘ちゃん」
狼娘「・・・・・・」
神様「お願いがある」
狼娘「嫌です!」
神使「狼娘さん・・・」
神様「この私が手塩に掛けて育てた神を、そう易々と諦めるとでも思うのかい?」ニヤッ
狼娘「え?」クルッ
神使「駄菓子屋の地下倉庫を見せてもらえる?」
狼娘「倉庫?」
590: 2018/09/15(土) 00:11:28 ID:vEtqBjXo
─── 深夜・駄菓子屋地下倉庫
ギーッ
神様「うはっ! ゴミ屋敷!」
神使「これは、また凄いことになっていますね・・・」
狼娘「すいません・・・」
神様「倉庫って言ってももう少し綺麗に使わないと」
神使「神宮にある神様の私物倉庫と同じようなもんじゃないですか」
神様「もっと綺麗ですぅ~」ゲシッ
狼娘「こんな時間に倉庫に来てどうするんですか?」
神様「決ってんじゃん。 片づけるんだよ」
狼娘・神使「え!?」
591: 2018/09/15(土) 00:12:32 ID:vEtqBjXo
神様「明日の朝までにここを道場に戻す」
狼娘「道場に!?」
神様「時間がないし、ちゃっちゃとやるよ~」トテトテ
狼娘「で、でも・・・」
神様「狼娘ちゃんは掃除機持ってきて」
狼娘「掃除機は・・・ 無いです・・・」
神様「は?」
狼娘「そういう高い物は・・・」
神様「あ~・・・ じゃぁ箒とちりとりでも・・・」
狼娘「それならありますが」
神様「大神を助けたいんだろ?」
狼娘「すぐ持ってきます!」タッタッタッ
592: 2018/09/15(土) 00:13:32 ID:vEtqBjXo
神様「いや~ これはやりがいがあるねぇ~」
神使「朝までに終わるんでしょうか?」
神様「終わらせるしかない」キッ
神使「神様・・・」
神様「さて、んじゃ大物から始めて神使君」
神使「え? ・・・神様は?」
神様「膝に水が溜っててさ、ドクターストップかかってんだよ」
神使「・・・・・・」ハァ
593: 2018/09/15(土) 00:14:20 ID:vEtqBjXo
─── 2時間後
神様「お~ だいぶ片づいてきたね。 がんばれ~」
神使「神様も少しは手伝って下さいよ・・・」
神様「さっき言っただろうが、腰やっちゃってドクターストップかかってんだよ」
神使「膝の水はどうしたんですか・・・」
狼娘「あっ、私バケツの水を取り替えてきますね」スタスタ
神様「よろぴこ~ ついでに何か駄菓子差し入れで持ってきて~」
狼娘「は~い」
594: 2018/09/15(土) 00:15:50 ID:vEtqBjXo
神使「しかし、どういう事ですか? あの電話は」
神様「あ?」
神使「さらなる剣の上達に一生懸命な腕利きの剣道バカを紹介しろだなんて」
神様「いや、剣道“バカ”までは言ってないと思うけど・・・」
神使「とりあえず、明日は神宮付属道場の師範の方が来るそうですが」
神様「へぇ~ 剣道バカなの?」
神使「1年中剣道のことばかり考えている方で、凄腕の剣士がいると聞くとすぐに手合わせに行く位だとか」
神様「あ~ バカだねぇ~」
神使「でも剣道界で名は知れ渡っていて協会の理事も務めていると聞きました」
神様「それは良いカモだ! いや~ 楽しみだ」ウヒャヒャ
595: 2018/09/15(土) 00:17:26 ID:vEtqBjXo
─── 翌日・鳥居前
神使「神様、あの方ではないですか?」
神様「お~ 間違いないね。 お~い!」
剣士「?」スタスタ
神使「遠いところご苦労様です」
剣士「神宮付属武道館の剣士と申します」ペコリ
神使「神使と申します」ペコリ
神様「かわゆい神ちゃんと申します」ペコリ
剣士「凄腕の女剣士がいると聞き参上しました」
神様「いや~ 凄いよ? 剣道界の勢力図を塗り替える逸材だね、あれは」
剣士「ほぉ~ それは楽しみですね。 しかし、それは私が剣を交えてから判断させて頂きましょう」
神様「ビビるなよ?」ニヤッ
596: 2018/09/15(土) 00:18:25 ID:vEtqBjXo
─── 本殿
大神「・・・・・・」ハァ
コンコン
大神「?」
ギーッ
狼娘「失礼します」ペコリ
大神「狼娘・・・」
狼娘「大神さま、お話しがございます。 一緒に来て頂けますでしょうか」
大神「・・・・・・」
狼娘「お願いします」キッ
大神「・・・・・・。 分かった」スタスタ
597: 2018/09/15(土) 00:19:17 ID:vEtqBjXo
─── 駄菓子屋・廊下
狼娘「・・・・・・」スタスタ
大神「狼娘、昨日の話のことだが・・・」スタスタ
狼娘「」スタスタ
大神「・・・・・・」ハァ
狼娘「どうぞお入り下さい」
大神「ん? ここは・・・ 倉庫じゃないか」
ギッー
大神「!?」
600: 2018/09/15(土) 23:05:24 ID:vEtqBjXo
─── 倉庫改め道場
神様「お、来たか」
大神「これは・・・ 一体どういう事だ!?」
神様「いや~ お前ガラクタ置きすぎ。 掃除するの大変だったんだから」
神使「神様は何もしていませんが・・・」
神様「古くさいけど結構良い道場じゃん」
大神「なぜこんな事を・・・」
神様「ちょうど狼娘と稽古の時間だろ?」
大神「まさか、ここで狼娘と稽古をしろと?」
神様「狼娘ちゃんはケガのため見学」
大神「ケガ?」
601: 2018/09/15(土) 23:06:45 ID:vEtqBjXo
神様「今日のお相手はこちらの方です! ババン!」
スタスタ
剣士「よろしくお願いします」フカブカ
大神「・・・・・・。 だれだ?」
剣士「神宮付属武道館の剣士と申します」
大神「で?」
神様「ちょっとあの人と勝負して?」
大神「は?」
神様「狼娘ちゃんが稽古できないからこの人と勝負して?」
大神「意味が分からんのだが・・・」
剣士「あなたが剣に自信があると聞き、手合わせをお願いできればと参上しました」
大神「・・・・・・」
602: 2018/09/15(土) 23:07:59 ID:vEtqBjXo
神様「実は~ぁ」サササッ
大神「うっ、何だ近いな・・・」
神様「狼娘ちゃんがアレにコテンパンにやられちゃって~」ボソッ
大神「何? 本当か狼娘」
狼娘「え? あ、はい。 痛い痛い~」スリスリ
神使(見事な棒読みですね・・・)
神様「次は私と神使君をボコするって。 まぁ神使君はどうでも良いんだけど私は流石にね~」ボソッ
大神「・・・・・・」チラッ
剣士「?」
大神「」ハァ
603: 2018/09/15(土) 23:09:12 ID:vEtqBjXo
神様「あの男、強いよ? お前でも厳しいかもなぁ~」
大神「」ピクッ
神様「武の達人ってああいうのを言うんだろうな~ やっぱお前でも難しいかなぁ~」
大神「・・・・・・。 何を考えているのか知らんが、良いだろう。 守る必要があるのであれば私の意に反しない」
神様「そうこなくちゃ!」
大神「おい、そこの剣士」
剣士「?」
大神「手を抜くな。 どうなっても知らんぞ?」
剣士「望むところ」
大神「狼娘、竹刀を」
狼娘「はい!」スッ
大神「ん」
剣士「」ゴクリ
神様「はじめ!」
604: 2018/09/15(土) 23:10:16 ID:vEtqBjXo
─── 数分後
剣士「くっ!」ガタッ
大神「良い剣筋だった」
剣士「・・・恥を忍んで、もう一勝負付けてもらえないでしょうか!」
大神「何度やっても同じだ。 私とお前では剣の重みが違う」
剣士「重み?」
大神「私は後ろにいる者達を身命を賭して守るために剣を振るった。 勝ち負けのために振るったお前の剣が勝てるわけない」
剣士「!?」
大神「そんな軟弱な剣で私を倒すことなど何度やっても無理だ」
605: 2018/09/15(土) 23:11:13 ID:vEtqBjXo
剣士「しかし! あなたは私へ一度も有効をつかなかった!」
大神「ほぉ、そこまで見ていたとは見事だ」
剣士「まさか!? わざと・・・」
大神「狼娘、この者に水を」
狼娘「は、はい!」タッタッタッ
大神「ところで狼娘、傷は大丈夫なのか?」チラッ
狼娘「うっ・・・」ピクッ
大神「なら、良い」フッ
狼娘「あの!」
大神「?」
狼娘「私も稽古をお願いしても良いでしょうか!」
大神「・・・・・・。 もちろん」
606: 2018/09/15(土) 23:12:15 ID:vEtqBjXo
神様「♪~」ニヤニヤ
神使(あ~ これはきっと神様の作戦通りに事が進んでしまっているんでしょうね・・・)
神様「んじゃ、次は“いつも通り”の大神と狼娘ちゃんの稽古開始!」
狼娘「よろしくお願いします!」
大神「こちらこそ。 久しぶりの道場だ、遠慮なく行くぞ」タッ
パンパン!
剣士「!?」
神使「これは・・・ 凄いですね・・・」
剣士「凄いなんてものじゃ・・・ これが普段の稽古!?」ゴクリ
大神「入り方が雑だ! いつも言っているだろう!」パンッ
狼娘「はい!」
大神「刀の長さを考えろ! それでは守れんぞ!」パンッ
剣士「・・・・・・」
607: 2018/09/15(土) 23:13:24 ID:vEtqBjXo
─── 数分後
神様「は~い。 見てるの飽きたから終わり~!」
大神・狼娘「・・・・・・」
神様「どうよ、うちの秘蔵っ子の力は」
剣士「こんな方達がいたなんて・・・」
神様「二人ともご苦労様~ ゆっくりと休んで下さいな」
剣士「・・・・・・。 あの!」
神様「おや~ 何かな?」
剣士「お願いがあります」フカブカ
大神「私か?」
剣士「弟子として私を鍛え直して頂けないでしょうか!」
大神「はぁ!?」
神様「」ウヒャヒャヒャ
神使(もはや隠す気すらないようですね・・・)
608: 2018/09/15(土) 23:14:36 ID:vEtqBjXo
剣士「先生の剣の心得、感動しました! 是非私にもその心を!」
狼娘「!? だ、ダメです! 大神さまの右腕は私だけです! 私以外と稽古だなんて許しません!」プンプン
剣士「そこを何とか!」
狼娘「大神さまと剣を交えられるのは日に30分だけ。 私の稽古時間が減ってしまいます!」
剣士「姉さん! 雑用からでも結構です! 側でお二人の剣を見させて頂くだけでも結構です!」
狼娘「ね、姉さん!?」
神様「まぁまぁ、皆さんそう熱くならずに」トテトテ
神使(うわっ、神様が出てきた・・・ 〆の小芝居開始ですね)
609: 2018/09/15(土) 23:16:06 ID:vEtqBjXo
神様「大神師範も色々と忙しい」
大神「師範!?」
神様「あんた一人だけのために貴重な時間を割くというのも、ねぇ?」
剣士「確かに・・・ ではどうすれば」
神様「もう少し教えを請いたいという人がいればねぇ~」
大神「おいおい神ちゃん、何を言っているんだ!? 私は剣術を教えるなどそんな気は───」
神様「お前だって大好きな剣を振るって余生を過ごしたいだろ?」ボソッ
大神「ま、まぁ・・・ 剣を振るうのは好きだが・・・ しかし、私の剣は勝負事の物でなく───」
神様「おいおい、私に全部任せるんじゃなかった~? そう言ったよね? 昨日そう言ったよね?」ニヤッ
大神「うっ・・・」
神様「狼娘ちゃんのためを思ってやってるんだけどなぁ~」ボソッ
大神「・・・・・・。 分かった」ガクッ
神様「というわけで、あんたの知り合いに声を掛けて人集めてくれ。 話はそれからだ」
剣士「」コクッ
610: 2018/09/17(月) 04:03:45 ID:/gkUaJus
─── 翌日
大神「・・・・・・」
ガヤガヤ
狼娘「受付はこちらになりま~す!」
神様「本日特価! “武神の水”は1本100円! 24本以上は配送料無料だよ~」
大神「なぁ、狛犬の神使よ」
神使「はい」
大神「この人の量は何だ?」
神使「みんさん凄腕の剣士さん達のようです」
大神「・・・・・・」
611: 2018/09/17(月) 04:04:57 ID:/gkUaJus
神様「も~ 大神遅いって」トテトテ
大神「昨日は茶番に付き合ってやったが、今日は勝負などしないぞ?」
神様「だれも勝負なんかしろなんて言ってないだろうが」
大神「そうか」ホッ
神様「ちょっと相手してやるだけで良いって」
大神「・・・それを勝負と言うんじゃないのか? 」
神様「時代は違えど、こいつらは武の道を極めんとする剣士だぞ? お前、その元締めじゃないのか?」
大神「うっ・・・」
神様「この時代で武を志す者達を見捨てるの~? 大神さんて何の神なの?」
大神「・・・・・・」
神様「それしか才がないんだよね~? 他にできることなんか無いんだよね~?」
大神「・・・しかし」
612: 2018/09/17(月) 04:05:44 ID:/gkUaJus
神様「狼娘ちゃんはどうすんの?」ボソッ
大神「それを言えば私が頷くとでも?」
神様「思ってるよ? 当たり前じゃん」
大神「・・・・・・」
神様「何か問題でも?」
大神「分かった・・・」ガクッ
神様「よーし! 狼娘ちゃん、皆さんを道場へお連れして」
狼娘「は、はい!」タッタッタッ
神様「神使君は水売って」
神使「え~・・・」
613: 2018/09/17(月) 04:07:15 ID:/gkUaJus
─── 道場
神様「さて、皆さん防具は着けましたね?」
剣士達「はい!」
神様「それでは、大神総師範よりご挨拶! ババン!」
大神「・・・・・・」
剣士達「」ゴクリ
大神「あ~・・・ 私は、このような───」
神様「はい、ありがとうございました」
大神「・・・・・・」
614: 2018/09/17(月) 04:08:07 ID:/gkUaJus
神様「んじゃ、最初に対戦したい人は前へ」
剣士「はい! 幸運館・館長です! よろしくお願いいたします!」
大神「待て待て」
剣士「?」
大神「面倒だ。 全員まとめてかかってこい」
ザワザワ
大神「武神・大神の力を見せてやる」ニヤッ
615: 2018/09/17(月) 04:09:04 ID:/gkUaJus
神使「だ、大丈夫でしょうか? 30人はいると思いますが」
神様「楽勝だろ。 本物の戦で先陣切って剣を振るってた奴だぞ?」
狼娘「大神さま凄く楽しそうです。 何十年ぶりだろう・・・ こんな大神さま見たの」
神様「アイツの本気の剣は凄いぞ? 今相手したら私でも厳しいかもな」
神使「はいはい」
神様「」ゲシッ
大神「どうした? 来ないのならこちらから行くぞ!」タッ
剣士達「!?」
616: 2018/09/17(月) 04:10:00 ID:/gkUaJus
─── 10分後
パン! パンッ!
大神「剣士A! お前の狙った場所は違うはずだ!! 敵は常に動いていることを忘れるな!」
剣士A「はい!」
大神「剣士B! 残心が無いぞ!」
剣士B「はい!」
パン! パンッ!
神使「凄いですね・・・ これだけの人数を相手にしながら一人ずつ助言するなんて・・・」
神様「あれでも全然本気出してないな」
狼娘「そうですね、大神さまの本気の一振りは当たらなくても気絶しますから」
神使「・・・・・・」
617: 2018/09/17(月) 04:11:12 ID:/gkUaJus
─── 30分後
剣士達「参りました!」フカブカ
大神「こちらこそ相手頂き感謝する」ペコリ
神様「どうよ、剣士達の腕は」トテトテ
大神「皆良い腕を持っている。 正直少し見くびっていた私が恥ずかしい程だ」
神様「まだまだ上達すると思わない?」
大神「あぁ、さらなる高みへ登る可能性は秘めている」
ザワザワ
神様「お聞きになりましたか皆さん! うちの総師範が皆さんの上達を約束しました!」
剣士達「うおー!!」
大神「!?」
618: 2018/09/17(月) 04:12:24 ID:/gkUaJus
神様「と、いうわけで当“神ちゃん道場”で指導を希望する方はこちらの入門届を提出して下さい」
大神「は?」
神様「指導料は月1万円、キッズクラスも併設予定なので知り合いの子供の入門を希望される方は割引がありますよ~」
剣士「入門届下さい!」
剣士「私にも!」
剣士「キッズクラスの分も一緒に下さい!」
大神「ちょ、ちょっと待て! どういう事だ!?」
神様「は? 入門届を配ってんだけど?」
大神「いや、そうじゃなくて。 まさか私が稽古を付けるのか?」
神様「他に誰がいるんだよ。 あ、キッズクラスは狼娘ちゃんが師範で稽古付けるから心配すんな」
狼娘「え!? 私ですか?」
619: 2018/09/17(月) 04:13:48 ID:/gkUaJus
神様「二人とも毎日ちょー暇だろ? 少し位は武道の役に立てよ。 武神とその神使なんだから」
大神・狼娘「・・・・・・」
神様「お前は剣を教え、その対価を貰う。 お前の一つしか無い才を使ってな」
大神「・・・・・・」
神様「こいつらは戦のない今の時代で“武”を守っていく者達だ」
大神「!?」
神様「何かお前のこだわりに反することでも?」
大神「いいや、なさそうだ」フッ
神様「狼娘ちゃんはキッズクラスで頑張って。 駄菓子屋に子供も来て一石二鳥!」
狼娘「はい!!」
神様「皆さ~ん、当道場へ入門すると大神師範も毎日飲んでいる“武神の水”が80円で買えますよ~」
剣士「師範も飲んでいる!? すいません、武神の水を下さい!」
剣士「私も!」
620: 2018/09/17(月) 04:14:44 ID:/gkUaJus
神様「はいはい押さないで! うひょ~ バカ売れだよ、笑いが止まんねーよ」ウヒャヒャ
神使「神様・・・」ハァ
大神「なぁ、さっきから思っていたんだがあの水は何だ?」
神使「本殿の裏から汲んだ湧き水をボトルに詰めただけです」
大神「・・・・・・」
神様「狼娘ちゃん、急いで水汲んできて」
狼娘「え? あ、はい!」タッタッタッ
621: 2018/09/17(月) 04:17:35 ID:/gkUaJus
大神「神ちゃんは相変わらずだな」
神使「すいません、勝手なことをして・・・」ペコリ
大神「いや・・・ どうやら、私はまた神ちゃんに救われてしまったようだ」フッ
神使「?」
大神「何の取り柄もない私を武神へ指南してくれたのは神ちゃんなんだ」
神使「神様が?」
大神「知っているか? 神ちゃんは私より強いんだぞ?」
神使「え!?」
大神「おっと、これは喋ってはいけないことだったかな?」
神使「・・・・・・」
622: 2018/09/17(月) 04:19:07 ID:/gkUaJus
神様「よっしゃ! んじゃ、早速明日から道場オープン!」
大神「まてまて」
神様「なんだよ、この期に及んで嫌だとか言うなよ?」
大神「言わんよ。 一つだけ条件がある」
神様「あ?」
大神「日が昇っている時間だけだ。 日が沈む前には皆この村から出ること」
神様「そんな事か。 おっけ~ おっけ~」
剣士「水を! 武神の水を60本下さい!」
神様「はい喜んで! 今汲んでくるからちょい待ちね」ウヒャヒャ
624: 2018/09/17(月) 21:09:57 ID:/gkUaJus
─── 1週間後
神様「見てみて! このお金!」
神使「今月の月謝が大人クラス30万円、キッズクラスと駄菓子屋の売り上げが5万円です」
神様「武神の水の売り上げも1万あるよ!」
神使「それは帳簿に載っていないですね。 そのお金渡して下さい」
神様「ぇ?」
狼娘「うわぁ~ こんなに沢山のお金を見たの初めてです」
神使「これから毎月これだけの売り上げが入ってきますよ?」
狼娘「毎月!?」
神使「神社の修繕や備品購入もしやすくなりますね」
神様「ちょっと街出て鰻食いに行こうぜ~」
大神「いや、生活に必要な分として毎月2万円だけを頂くことにする」
神様「それだけで暮らしていけんのかよ・・・」
神使「残りはどうされるんです?」
625: 2018/09/17(月) 21:11:01 ID:/gkUaJus
─── 村の畑
村人「いや~ 今年もモロコシ残っちまったな」
村人「うちも猛暑の影響か作物不良でほとんど廃棄だよ」
神様「こんちわ~」トテトテ
村人「ん? お~ いつぞやの」
神使「先日はトウモロコシごちそうさまでした」
村人「美味かったろ。 今日も少し持ってい・・・ く・・・・・・」
大神「邪魔する」スタスタ
村人達「!?」
626: 2018/09/17(月) 21:12:06 ID:/gkUaJus
大神「これは懐かしい顔だ。 お前子供の時に神社の祭儀で本殿までたどり着いた者だな」
狼娘「あ! 覚えてます。 確か私の渾身の変身で気絶した方ですね」
村人「・・・・・・」
神様「あ~ 知ってんだ」
大神「当たり前だ。 村の者は全員匂いで分かる」
村人「い、いつも見回りご苦労様です・・・」ペコリ
大神「気にするな、助けて貰っているのはこちらだ」
神様「?」
627: 2018/09/17(月) 21:13:13 ID:/gkUaJus
村人「き、今日は何か・・・」
大神「その作物は廃棄するのか?」
村人「はい、出荷は出来ないので・・・」
大神「これから廃棄する作物は神社に持ってこい。 私が全て買い取らせて貰う」
村人「え!?」
大神「いいな?」
村人「そ、そんな・・・ 神社の方には新鮮な作物を持っていきますので」
大神「前にも言ったはずだ。 献上は受け付けない」
村人「・・・・・・」
大神「私に廃棄する物を売るのだ。 わ・かっ・た・な?」ズイッ
村人達「わ、分かりました!! すぐにかき集めて売りに行きます!!」タッタッタッ
628: 2018/09/17(月) 21:14:15 ID:/gkUaJus
神様「ねぇ、皆ちょー怖がってたけど。 逃げちゃったけど」
大神「畏れは大事だろ?」
神様「廃棄する野菜なんか買い取ってどうするつもりだよ」
大神「食べるに決っている」
神様「マジかよ・・・」
神使「廃棄といっても市場の出荷規格に合わないだけで物は新鮮で問題ありませんからね」
神様「金あるんだからまともな方を買えよ」
大神「この地に住まわせてもらっているせめてもの恩返しだ」
神使「どういう事です?」
大神「私や狼娘、それに山に住む狼は村の民に守ってもらっているからな」
神様「え? 逆じゃないの?」
629: 2018/09/17(月) 21:17:35 ID:/gkUaJus
大神「残念だが日本で野生の狼がいるのはこの地だけだ」
神使「言われてみれば確かに・・・」
神様「そうなの?」
神使「確かニホンオオカミはすでに絶滅しています。 他に出没事例も聞いたことありませんね」
神様「いやいや、いるじゃん。喧嘩売られたじゃん」
神使「まさか、それを知って村の人達は・・・」
大神「あぁ。 皆は何も言わないが、影ながら私達の存在を隠してくれている」
神使「それで代わりに村の作物を守っていたんですか」
大神「山の狼たちの命と作物の見張りでは釣り合わないがな」
神使「もしかして献上がないというのは・・・」
大神「そんなものを受け取れるわけないだろ」
神様「うへぇ~ 面倒くせー性格してますなぁ~」
大神「何度も言うな・・・」
630: 2018/09/17(月) 21:18:21 ID:/gkUaJus
神使「日が落ちるまでに道場の皆さんを帰らせているのも狼さん達を隠すためですか?」
大神「あまり知られたくはないからな」
神使「そうでしたか・・・ なんか私達が荒らしてしまったようですいません」
大神「心配するな、いつかは話すつもりだ。 これも時代の流れだろう」
狼娘「・・・・・・。 申し訳ありません大神さま!」フカブカ
大神「?」
狼娘「私・・・ 色々誤解していたみたいです。 村の方達とか、見張りの件とか・・・」シュン
大神「変わることが出来なかった私の責任だ。 狼娘が気にすることではない」
神様「そうそう、ついでに人を怖がらせるのも辞めた方が良いと思うぞ? 時代に合わない」
大神「しかし、神には畏れを持って接して───」
神様「変わるんだろ?」
631: 2018/09/17(月) 21:19:34 ID:/gkUaJus
大神「・・・・・・。 そうだな、これからはもう少し───」
剣士「名誉会長ー!」タッタッタッ
神使「名誉会長?」
剣士「ここにいましたか、名誉会長」ハァハァ
神様「バカ! 外に出てくるなっていっただろうが」ボソッ
神使「しかし完成したらすぐに知らせろと言ったのは名誉会長では・・・」
神使「神様? 剣士さん達に何をさせているんですか?」
神様「いやちょっとね・・・」アセアセ
大神「名誉会長ってのは何だ?」
神様「・・・・・・」
632: 2018/09/17(月) 21:20:34 ID:/gkUaJus
神使「剣士さん、何が完成したんでしょうか?」
剣士「湧き水を汲み上げる大型の井戸が完成しまして───」
神様「うわー! 言うんじゃない!」
大神「井戸?」
神使「まさか“武神の水”を量産する井戸ではないですよね?」
神様「・・・・・・」
大神「剣士、急いで道場へ戻れ。 何があっても振り返るな」
剣士「え? あ、はい。 分かりました。 それでは名誉会長、先生、失礼します」タッタッタッ
大神「前言撤回だ」
神様「どの前言でしょうか・・・」
633: 2018/09/17(月) 21:21:20 ID:/gkUaJus
大神「畏れは大事なようだ。 狼娘! お前の全力を見せてやれ!」
狼娘「はい!」
神様「ちょ、何する気? 言っておくけど狼娘ちゃんじゃ私に剣は敵わないよ?」
狼娘「ウゥ・・・」グルルル
神様・神使「!?」
狼娘「グォ グガーー!!」メキメキ
ボキボキ ミシミシ
狼娘「グギャーーー!!」グルルル
神様・神使「・・・・・・」ストン
狼娘「上手そうな匂いのする餌だ」ポタポタ
634: 2018/09/17(月) 21:22:31 ID:/gkUaJus
神使「か、神様・・・ 謝って下さい」アワアワ
神様「」コテッ
神使「神様が失神した!?」
大神「お~ これは怖いな。 100点だ!」
狼娘「初めての100点! ありがとうございます!!」
大神「やはり畏れは必要だな」ハハハ
神様「」
神使「神様! 神様ー!!」
神様「」ジュワ~
神様「神様だ!」 神使「神力ゼロですが・・・」 番外編・2018年夏
おわり
635: 2018/09/17(月) 21:23:21 ID:/gkUaJus
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