1: 2010/10/12(火) 02:56:23.94 ID:b/1uud2UO

ハルヒが泊まりにきた。

ハルヒ「やっほーう!」

一人で。

ハルヒ「言った通り来てやったわよ! あれ? キョン、スリッパは?」

お前から来るって言ってたくせにえらい上から目線だな

ハルヒ「にひひ、じゃあ、おっじゃまっしまーす!」

なんか俺に言いたいことがあるらしい。

ハルヒ「あんたの部屋どこ?」

遠慮ってもんを知らんのか。

キョン「……こっちだ」

まあ、仕方ない。

ハルヒだからな。
涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)
3: 2010/10/12(火) 03:01:58.16 ID:b/1uud2UO

ハルヒ「ふ~ん。普通の部屋ね」

お前とは違うんだ俺は。

ハルヒ「あ、なんか飲み物ちょうだい?」

……。

ハルヒ「何ボケーっとつったんてんのよ。団長が喉が渇いたって言ってるのよ?」

……へいへい。

本当に可愛いげがないな

オレンジジュースでいいか。

キョン「ほらよ」

ハルヒ「んっ、んっ、んっ、プファー! 生き返るー!」

おっさんか、お前は。

4: 2010/10/12(火) 03:06:38.51 ID:b/1uud2UO

キョン「……で、話ってなんだよ」

古泉が、どうしてもハルヒを泊まらせてやれとうるさかった。

ハルヒ「まあそれは後でいいじゃない!」

それほどまでに大事な用を後回しか。

ハルヒ「何よその顔……。さては話なんてないんじゃないかって疑ってるわね?」

鋭い。

さすがハルヒだ。

ハルヒ「ちゃ、ちゃんと用意してきてるわよ!」

じゃあ言えばいいじゃないか。

ハルヒ「それよりテレビないの? この部屋」

俺だって何度も頼んださ。

ハルヒ「今日特番やってたのよね」

あー……UFOがなんちゃらとかいうあれね。

5: 2010/10/12(火) 03:13:40.14 ID:b/1uud2UO
テレビのある一階に移動することにした。

ハルヒ「あたし達でも見つけられなかったのに、こんなやつにUFOを撮影できるわけがないわ!」

予定通り、今日の不思議探索も無駄足だった。

ハルヒ「デマよ!」

妹「ハルにゃんかしこ~い!」

じゃあ何故見る。

何故妹を膝に乗せている。

妹「ハルにゃんふかふかっ」

何故そんなに喜んでいる。

ハルヒ「これもうさんくさいわね……」ナデナデ

そしてハルヒは何故妹の頭を撫でている!

何故! 何故!

姉妹か! こんちくしょう!


9: 2010/10/12(火) 03:21:07.62 ID:b/1uud2UO

妹「キョンくん、お菓子~」

ハルヒ「キョン! 妹ちゃんがお菓子ほしがってるわよ!」

言われなくても分かってるさ。

キョン「ほらよ」

妹「ありがとキョンくん」

ああ、好きなだけ食べろ。

そして嬉しそうな顔でお菓子を食べているハルヒを踏み潰してやれ。

ハルヒ「しけてるわね」

妹「キョンくん、他の~」

なんだろうな、この孤独感は。

ハルヒ「心霊コーナーも見るわよ!」

妹「え~!!」

ああ、わかった。あいつらがあんなに仲が良さそうだからだ。

おいハルヒ。妹の頭に顎を乗せるんじゃない。

大事そうに抱き抱えるんじゃない。

11: 2010/10/12(火) 03:28:14.19 ID:b/1uud2UO
ハルヒ「ふ~。あれは全部デマよ! デマ! くだらない番組だったわ!」

輝いた目で観てたくせに。

ハルヒ「……やっぱり妹ちゃんかわいいわね」

ああ、ありがとよ。

俺は孤独を感じただけだがな。

ハルヒ「さて、何をしようかしらね」

ほう。

独断で決める気満々だな。

ハルヒ「寝る?」

キョン「それはいくらなんでも早いだろ」

ハルヒ「じゃあご飯?」

キョン「さっきお菓子食ってたじゃねぇか」

ハルヒ「それともあたs」

キョン「適当にごろごろしよう」

言わせねぇよ。

12: 2010/10/12(火) 03:35:01.07 ID:b/1uud2UO
ハルヒが布団に座ったせいで俺は地面だ。

フーユーニーオーボエーター ウーターヲーワースレーター

キョン「お、メールか」

ハルヒ「青春ね」

キョン「ああ、好きなんだ」

佐々木か。

「明日は暇かい? 久しぶりに中学に戻りたい気分になったんだ
 いや何。偶然国木田くんを駅で見かけてね。
 返事待ってるよ」

キョン「……」カチカチ

ハルヒ「誰からよ」

キョン「たいしたことじゃない」

ハルヒ「……」

なんだその目は。

13: 2010/10/12(火) 03:40:20.82 ID:b/1uud2UO

ハルヒ「女の子?」

キョン「ん? ああ」

素早いな。

1秒で携帯を奪われちまった。

ハルヒ「佐々木さんに誘われてるじゃない」

頼むから携帯だけは壊すなよ。

ハルヒ「で?」

キョン「ん?」

ハルヒ「行くの?」

キョン「明日もSOS団の活動で忙しいんだろう」

どうせハルヒが行かせてはくれないさ。

ハルヒ「よろしい」

満足そうな笑顔だな。

すまん、佐々木。

15: 2010/10/12(火) 03:45:31.69 ID:b/1uud2UO
さて、と。

ハルヒ「暇ね」

ああ、そうだな。

キョン「じゃあそろそろ言いたいこととやらを言ってみたらどうだ」

ハルヒ「それは後よ!」

この話題を振る度に顔が赤くなる訳を教えてくれないか。

ハルヒ「ふう」

おいハルヒ。

人のベッドに寝転ぶな。

ハルヒ「眠くなってきたわ」

寝るな。

ハルヒ「なんかあんたの匂いがするわ」

キョン「俺のベッドだからな」

ハルヒ「つまらない返答ね」

うるさい。

17: 2010/10/12(火) 03:49:51.84 ID:b/1uud2UO
ハルヒ「横にきてもいいわよ」

ベッドをポンポンするな。

俺をからかうな。

ハルヒ「何赤くなってんのよ。冗談に決まってるじゃない」

ちくしょう。

キョン「赤くなってねぇよ」

ハルヒ「赤いわよ」

キョン「なってない」

ハルヒ「いや、赤いわよ」

キョン「違う」

ハルヒ「だって赤いもん」

なんだよ、これ。

18: 2010/10/12(火) 03:54:01.63 ID:b/1uud2UO
覚悟はできてるんだろうな。

ハルヒ「な、何よ」

キョン「ハルヒ!」

ガバッと。

ハルヒ「ちょ、ちょっとキョン!」

抱き着くフリ。

キョン「おいハルヒ。顔真っ赤だぞ」

ハルヒ「~っ!」

なんだそれは。

腕ぐるぐる回しても俺には当たらんぞ。

キョン「ふふっ」

って、何やってんだ俺は。

ハルヒ「許さないわ」

ちょ、待て。

19: 2010/10/12(火) 03:58:38.90 ID:b/1uud2UO
ハルヒ「観念しなさい!」

キョン「や、やめろ! やめわははははは!」

くすぐるな!

ハルヒ「あたしをからかった罰よ!」コチョコチョ

キョン「あはははは! わ、わかったはははは!
    俺が悪かった!」

ハルヒ「ふん、わかればいいのよ」

ふう。

何普通に楽しんでんだ。

まあ、いいが。

腹減った。

キョン「ハルヒ、晩飯食うぞ」

20: 2010/10/12(火) 04:05:59.44 ID:b/1uud2UO
ハルヒ「キョンにしては良いこと言うじゃない」

何、三つの欲求に従っただけさ。

二人で一階へ。

キョン「俺がつくるから待ってろ」

ハルヒ「そういえば親御さんは?」

キョン「今日は出かけてる」

じゃないと家にお前を泊めるもんか。

古泉「それも涼宮さんの能力の影響ですかね」

くそっ。あいつのニヤケ面が浮かぶ。

妹「わ~い!」

気がつけばもう膝の上抱っこ状態か。

ハルヒ「いい? 妹ちゃん! キョンはね、ホ〇なのよ」

妹「ホ〇~?」

オーケー。あいつはタバスコチャーハンだ。

40: 2010/10/12(火) 14:56:04.97 ID:b/1uud2UO
キョン「ほらよ、完成だ」

妹「わ~い!」

ハルヒ「……」

有り合わせチャーハンだがな。

ああ、ハルヒが顔をしかめてやがる。

きっとこの後こう言うんだろうな

「なんでこんなに」

ハルヒ「あたしのだけなんでこんなに赤いの?」

そうらみろ。

ああ、気にするな、気にするな。

キョン「ハルヒに料理を振る舞う俺の情熱が色となってあらわれたんだろう」

さてと、スプーンスプーン。

ハルヒ「……」

何を顔赤くしてんだ。

勘違いしてもらっちゃこまるがそれ情熱じゃなくてタバスコだぞ。

41: 2010/10/12(火) 15:01:15.19 ID:b/1uud2UO

ハルヒ「~っ!」ジタバタ

ははっ、どうだハルヒ参ったか。

俺をホ〇呼ばわりした仕返しだ。

妹「ハルにゃんどうしたの?」

ハルヒ「うげぇっ! キョン! あんたタバスコ入れたでしょ!?」

キョン「さあ、なんのことだか」

42: 2010/10/12(火) 15:05:06.14 ID:b/1uud2UO

ああ、俺はなんてバカなんだろう。

ハルヒ「あんたが食べなさい! ホ〇キョン!」

妹「ハルにゃんホ〇ってなーに?」

なぜこうなると思わなかったのか。

ハルヒ「あ、ちなみに全部食べないと妹ちゃんにホ〇の意味教えるから」

目の前には真っ赤な情熱チャーハン。

ハルヒ「じゃ気を取り直して……」

ハルヒ&妹「いっただっきまーす!」

キョン「ふう」



俺は泣いた。

43: 2010/10/12(火) 15:14:36.58 ID:b/1uud2UO
焼ける喉を水で洗い流してから二階へ。

ハルヒ「これにこりたらあたしをはめようなんて思わないことね」

ちくしょう。タバスコチャーハンは恐ろしい。

キョン「汗だくだ。風呂に入ってくる」

ハルヒ「あら、そう」
ハルヒ「じゃ、あたしも入ろうかしら」

さてと、無視無視。

ハルヒ「ねえ」

着替えはどこだったかな。

ハルヒ「キョンってば」

俺はシャワーだけでいいか。

ハルヒ「……」

キョン「わかったから頬を膨らますな。俺が悪かった」

手でむにっ!

ハルヒ「ぶっ」

キョン「ハルヒ、不潔だぞ」

44: 2010/10/12(火) 15:22:19.33 ID:b/1uud2UO

おー痛い。綺麗に背中に紅葉を描かれた。

にしてもちょっとスキンシップをとりすぎたか。

思い出すと恥ずかしい。何やってんだ俺は。

一日中一緒にいると少し開放的になっちまうらしい。

キョン「ふう……」

ああ、疲れがとれる。

……んーっと。

俺の聞き間違いじゃなかったら、確かに今風呂の扉が開く音がしたな。

あー嫌な予感だ。

ハルヒ「キョ、キョン! とりあえず見てないからこのタオル受け取って巻きなさい!」

扉から手が生えてる。怪奇現象か。よかった。

ハルヒじゃない。ハルヒじゃない。ハルヒじゃない。ハルヒじゃない。ハルヒじゃ……

45: 2010/10/12(火) 15:29:27.35 ID:b/1uud2UO

ハルヒ「団長じきじきに背中を流してあげてるんだから感謝しなさいよね」

頼んだ覚えはないんだが、百歩譲ってハルヒは服を着ているから許そう。

ハルヒ「……」

そうは言っても、人に背中を流してもらうのも悪くない。

ハルヒ「あ、あんたって、結構背中大きいのね」

キョン「そうか? 俺にはわからん」

ハルヒ「う、うん」ゴシゴシ







キョン「おい、何かしゃべってくれよ」

ハルヒ「あ、ごめん。背中に見入ってた」

なんだそりゃ。

46: 2010/10/12(火) 15:40:57.88 ID:b/1uud2UO

ハルヒ「もう大丈夫ね」

キョン「ああ、すまんな」

ハルヒ「い、いいわよ別に」

キョン「しかし人の背中を流すなんてお前らしくないな」

ハルヒ「無理言って泊めてもらったんだし、これくらいするわよ」

あれ、なんか可愛い。何故だ。

キョン「なんか変わったな、ハルヒ」

ハルヒ「あたしはもとから礼儀正しいわよ」

ハルヒ「い、今まではそれが偶然あんたには向かなかっただけよ」

偶然ねえ。

ま、いいか。風呂から出よう。

50: 2010/10/12(火) 15:51:44.93 ID:b/1uud2UO

ふう、少しのぼせた。

ハルヒ「じゃあ次あたし入ってこようかしら」

キョン「ああ、行ってこい。背中を流してやる」

ハルヒ「な、なな、なに言ってんのよ工口キョン!」

キョン「冗談だ」

暑いな。窓を開けよう。

ハルヒが大声で妹を呼んでるが気のせいだよな。

一緒に入るとかそんなんじゃないよな。

そうだそうだ。

ハルヒ「妹ちゃーん! ほら、入るわよ!」

妹「あ、ハルにゃん待って~!」

ゴクリ……。

俺の馬鹿野郎。

52: 2010/10/12(火) 16:01:26.46 ID:b/1uud2UO

いかんいかん。落ち着いて本でも読もう。

キョン「……」ペラッ

もうこんな時間か。

そろそろ眠る準備をしといた方がいいだろう。

いや何を考えてるんだ俺は。

ハルヒが寝るのは妹の部屋だろう。

ガチャッ

ハルヒ「ああ、気持ち良かった」

キョン「ぐっ……」

ハルヒ「……何よ」

なんでもない。なんでもないんだ。

色っぽいなんて言えない。絶対にだ。

53: 2010/10/12(火) 16:07:33.84 ID:b/1uud2UO

ハルヒ「……ははーん」ニヤ

なんだそのニヤケ面は。

ハルヒ「……もうちょっと大きくならないかな」フニッ

キョン「うぐっ……」

ハルヒ「あははは! 真っ赤よ、あんた!」

この悪魔め。

ハルヒ「ふう……暑いわね」

やめろ。ボタン外すな。ちくしょう。

キョン「俺をからかうな」

ハルヒ「最高におもしろいんだもん」

キョン「よし、寝よう」

もう知らん。

54: 2010/10/12(火) 16:17:40.92 ID:b/1uud2UO
ハルヒ「暑いわね~」

キョン「……」

ハルヒ「窓開いてるわよね?」

キョン「……」

ハルヒ「あ、キョン、アイス食べたくない?」

キョン「……」

ハルヒ「キョーン」

キョン「……」

ハルヒ「キョン!」

キョン「……」

ハルヒ「キョン!!!」

キョン「……」

ハルヒ「……本当に寝たの?」

そろそろかわいそうになってきた。
ハルヒ「キョーン!!」
キョン「なんだよ」
ハルヒ「あ、よかった」

87: 2010/10/12(火) 23:59:21.49 ID:b/1uud2UO

あ、星がきれいだ

ハルヒ「ね、ねぇ、キョン」

こんなにハッキリ見えるのも珍しい。

ハルヒ「あたしね」

窓から吹く夜風も気持ちいい。

今日は、いい夜だ。

ハルヒ「キョンの部屋で寝たい」

キョン「ぶーっ!!」

90: 2010/10/13(水) 00:05:00.61 ID:h+2MyOWUO
ブワッと吹き出た汗。今度は夜風に冷やされる。

寒い。

キョン「な、何言ってんだ……正気か?」

ハルヒ「ダメかしら」

俺は紳士じゃない。

ハルヒ「ほ、ほら、言いたいこともまだ言えてないし」

男子だ。

キョン「確認するが、俺は男子高校生。そしてお前は容姿端麗な女子高生だ。この意味がわかるか?」

ハルヒ「よ、容姿端麗……」

おっと口が滑った。赤くなるなこっちまで恥ずかしい。

ハルヒ「なんかしたら、ぶっ頃すからね……」

鋭利なものはしまっておこう。

キョン「ま、まあ……ハルヒがそれでいいならいいが」

ハルヒ「ほんと?」

……参ったな。

92: 2010/10/13(水) 00:13:51.46 ID:h+2MyOWUO
ハルヒ「キョンの匂い」

ああ、布団の寝心地も悪くない。

ハルヒ「ほんとにベッド使ってもよかったの?」

これなら悪い夢を見ても転げ落ちることはないから安心だ。

例えば、灰色の世界でハルヒとキスをする夢とか。

キョン「何をにやにやしてるんだ」

ハルヒ「いや、なんかこの匂い落ち着くのよ」

変Oか。

遠くで救急車のサイレンが鳴ってるな。

夜遅くまでご苦労様です。

ハルヒ「あ、あのその、キャン」

キョン「どうしたハルヒ」

動揺しすぎじゃないか。

93: 2010/10/13(水) 00:19:54.37 ID:h+2MyOWUO
それにしても、全く眠くないな。

疲れているはずなのに、何故だ。

ハルヒ「と、とりあえず、電気消さない?」

キョン「あー、そうだな」

真っ暗だ。

キョン「いてっ!」

小指が。

ハルヒ「布団までたどり着いた?」

キョン「ああ、なんとか」

押し入れの匂いがする。

ハルヒ「……」

ふう。なんだこの妙な緊張感は。

94: 2010/10/13(水) 00:24:45.26 ID:h+2MyOWUO
キョン「なあ、ハルヒ」

ハルヒ「何?」

キョン「なんで、泊まったんだ? 泊まらないと言えないことなのか?」

ハルヒ「こういう雰囲気じゃないと言えないこともあるのよ」

キョン「そうか」

ハルヒ「ええ」

キョン「……」

ハルヒ「……」

ハルヒ「……キョン」

あ、目が慣れてきた。

96: 2010/10/13(水) 00:33:11.97 ID:h+2MyOWUO
ハルヒ「あんたって、宇宙人とかの存在信じてるのよね」

キョン「ああ、まあな」

ハルヒ「なんで?」

キョン「……特に理由はない」

ハルヒ「何よそれ」

キョン「いたらおもしろい。それだけのことだ」

ハルヒ「……そういえば、あたしもそれだけかも」

キョン「な」

ハルヒ「うん」

キョン「何が言いたいんだ?」

ハルヒ「時々不安になるのよね。なんで皆SOS団にいてくれるんだろうって。
    よっぽど宇宙人とかの存在を信仰してるとか……」

キョン「……それは、お前がいるからだろう」

ああ、そうか。

こんな雰囲気のときしか言えないことがある。

97: 2010/10/13(水) 00:39:51.86 ID:h+2MyOWUO
ハルヒ「……ありがと」

事後処理的な意味ではない。一人の人間として、だ。

キョン「おう」

ハルヒ「あたしね、有希もみくるちゃんも古泉くんも、好きよ」

キョン「そうか」

ハルヒ「……キョンも」

キョン「……そうか」

ハルヒ「このまま騒ぎ続けたいわね。ずっと」

キョン「前に進まにゃならんときもある」

強がった。

考えたくもない。

ハルヒ「そうね。でも、関係は切れないわ」

キョン「……もちろんだ」

安心した。

なんだ、びびってるのは俺じゃないか。

98: 2010/10/13(水) 00:45:41.75 ID:h+2MyOWUO
自然と、ハルヒの反対側を向く。

白い壁が俺の話し相手だ。

そう、今俺は白い壁と話してるんだ。

ハルヒ「……ぐすっ、うっく……」

ああ、この壁の染み、人の顔に見えるんだよな。

ハルヒ「……ひんっ……ぐすっ」

怖い。怖いんだ。

一人になるのが。

ハルヒ「キョン……そっち行ってもいい?」

それは、ハルヒも同じなんだ。

99: 2010/10/13(水) 00:50:23.07 ID:h+2MyOWUO
ハルヒ「ふふっ、あったかい……ぐすっ」

背中があったかい。

ハルヒの熱か。涙か。俺は今、最高に安心している。

お腹に回されているハルヒの手を握っちまった。

ハルヒにも、安心を分けてやらないといけない。

ハルヒ「キョン……好きよ」

ああ、壁の顔がこっちを見ている。

そうだ。

そうなんだ。

こんなときにしか、言えないことがある。

それは、最高に恥ずかしくて、最高に大事なことなんだ。

キョン「ああ」

星がきれいだ。

100: 2010/10/13(水) 00:57:23.93 ID:h+2MyOWUO

ハルヒ「今日言いたかったことは、それ」

ああ、そうだ。

モゾモゾと体を動かし、俺がしてやれることは一つだ。

ハルヒ「……あったかいわね」

ハルヒの背中に腕を回す。

ハルヒが背中に腕を回す。

キョン「暗闇でよかった」

ハルヒ「雰囲気ぶち壊しよ」

キョン「すまん」


101: 2010/10/13(水) 01:00:58.51 ID:h+2MyOWUO

ハルヒ「へへ、キョン」

なんだ、その嬉しそうな声は。

ハルヒ「ん~あったかいわ」

キョン「だな」

ハルヒ「ふふっ、えへへ」

なんだよ。

ハルヒ「幸せ」

キョン「……そうかい。そりゃ、よかった」

ハルヒ「にひひ」

ニヤケすぎて、笑い方変になってるぞ。

ハルヒ「えへへ」

まだいうか。

105: 2010/10/13(水) 01:08:08.74 ID:h+2MyOWUO

ああ、そろそろ寝ないといけないな。

もう夜中だ。

ハルヒ「そうね」

ハルヒもそう言うことだし、寝るとしよう。

だが、最後に夢くらい見させてくれたっていいじゃないか。

今回は、カラフルだ。

ハルヒ「んっ……ふふっ」

ああ、口が柔らかい。

106: 2010/10/13(水) 01:15:48.40 ID:h+2MyOWUO
~次の日~

ああ、とんだ罰ゲームだよ。
確かに曖昧な俺が悪い。それは認める。
だが、こんな場所で言わせるのか? え? 公開処刑か?

古泉「……」ニヤニヤ

みくる「なんかこっちまで恥ずかしいな」

長門「……」ジッ

ハルヒ「ねえ、早くあんたの答え聞かせてくれないかしら」

ああ、ちくしょう。
こいつめ、絶対に分かってやってやがる。
見てやがれ。今にそのニヤケ面をやめさせてやる。

キョン「ああ、わかった。わかったよ」

107: 2010/10/13(水) 01:19:34.15 ID:h+2MyOWUO

古泉「……」ニヤニヤ

みくる「ふえぇ……ひゃ……ふぅあ~」

長門「……」ジッ

ハルヒ「にひひ」

タバスコみたいな赤い顔に、変えさせてやる。

キョン「……その、なんだ。……好きだ、ハルヒ」

って、それは俺の方か、ちくしょう。

ハルヒ「うんっ!」ニコッ

ああ、ああ、そうだよ。

こんなときにしか、言えないことがある。



終わりぃぃぃぃぃいいいいいいいい!!!!!!!

108: 2010/10/13(水) 01:23:17.26 ID:bQzA8aE10

113: 2010/10/13(水) 01:37:41.66 ID:h+2MyOWUO
書いてた俺が氏にたくなったよ
でももうちょっとハルヒデレさせたかった
読んでくれてありがとう

126: 2010/10/13(水) 09:37:35.36 ID:h+2MyOWUO
何これ続きあるの?

128: 2010/10/13(水) 09:51:59.44 ID:h+2MyOWUO
なるほど
書いた側からしたら正直嬉しい

130: 2010/10/13(水) 10:04:14.69 ID:h+2MyOWUO
>>129
蛇足になる気がしてならない
落ちのつけ方がわからないし、書くとしても遊園地デートみたいなありきたりな展開しか思い浮かばない
これでいいかなと思ってる

引用: キョン「なーんでこんなことになっちまうんだか……」