1: 2019/12/06(金) 02:57:25 ID:f1i/L8eQ

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#12 「あにあに神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#13 「いつでも一緒」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#0
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#14 「キセキ野教会」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#15 「神苑温泉」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#16 「お花を摘みに」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#17 「こんこん稲荷神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#18 「我☆偽神」

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#19 「神宮美食クラブ」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#20 「未来へ託して」

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編・2018年夏
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編・2018年冬
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編・2019年春
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編 2019年冬『おにゅおにゅ神社』

巫女「ごめんなさい・・・ ごめんなさい・・・」グスッ

??「ありがとう」

巫女「なんで・・・ なんで謝ったりするの・・・?」

??「私はずっとこの村を・・・ そして・・・ これからもあなたを見守り続けます」ゴボッ

巫女「いや・・・ うそ・・・ いやだ・・・」

??「辛い思いをさせて・・・ ごめんね」ウッ

巫女「いやだ・・・ お願い・・・ 嫌だよ!」

??「笑って・・・ 笑顔を見せて・・・ そしたらまた私は・・・・・・」ニコッ

巫女「嫌ー!!!」

――――
―――
――
江戸前エルフ(9) (少年マガジンエッジコミックス)
2: 2019/12/06(金) 02:58:11 ID:f1i/L8eQ

~あらすじ

神様「私は神様! ボン!キュッ!ボーン!の見事なボデーを誇るかわゆい女神!」

神使「ツルペタ幼女体型である神様へお使いする神使と申します」

3: 2019/12/06(金) 02:59:27 ID:f1i/L8eQ

■ ~ 番外編 2019年冬『おにゅおにゅ神社』~


神使「良いお天気ですね、神様」テクテク

神様「・・・・・・」トテトテ

神使「見て下さいよ、この大自然。 空気がとても美味しいです」ニコッ

神様「うがー!!」ゲシッ ゲシッ ゲシッ

神使「痛いっ! ちょ、痛いですよ神様」

神使「おい、クソ犬! また私を騙してこんな田舎に連れてきやがって!!」

神使「騙したなんてとんでもないですよ」

神様「昨日、『次は都会方面に行きます』って言っただろ!」

神使「私は東海方面って言ったんです。 都会じゃなく東海地方の東海です」

神様「・・・・・・」

神使「聞き違えたのは神様です」

神様「神使くんさぁ・・・ マジ腹立つんだけど」イラッ

4: 2019/12/06(金) 03:00:39 ID:f1i/L8eQ

●田舎道

テクテク

神使「今回は神社の確認だけですから、すぐ終わると思いますよ」

神様「そんな誰でも出来るような仕事、私たちがやる必要ないんじゃない?」

神使「それが特別手当の額がとても良い案件なんです」

神様「お前・・・ それ、訳あり物件じゃねーの?」

神使「そんな事はないと思うのですが・・・」

神様「今回はサクッと終わらせてすぐ帰るぞ。 深追いはナシな」トテトテ

神使「あっ、見えてきました。 あの神社のようですね」

神様「期待通り、見事なボロ神社」

神使「そんな失礼な・・・ あれ? 境内裏の草地に誰かいますね」

神様「昼寝なんて良い身分だな」

神使「そうでなく、あの格好はもしかして・・・」

神様「うほっ!」タッタッタッ

神使「あっ! ちょっと神様ー!」

5: 2019/12/06(金) 03:01:55 ID:f1i/L8eQ

●境内裏

チュンチュン

少女「・・・・・・」ボー

 ウヒャヒャヒャ

少女「!?」ビクッ

神様「巫女さんみーつけた~ きゃ~わ~ゆ~い~!!」ピョーン

神使「初対面で飛びつきはダメです」グイッ

神様「グヘッ!」

少女「・・・・・・」

神使「驚かせてしまい申し訳ございません。 ほら神様、ちゃんと謝って下さい」

神様「だって、巫女服がかわゆいんだもん。 飛びつかない方が失礼だろうが」

神使「その格好、もしかしてこの神社の巫女さんでしょうか?」

少女「・・・・・・」ガクガク

6: 2019/12/06(金) 03:02:59 ID:f1i/L8eQ

神使「あ、あの・・・ 大丈夫ですか?」

少女「こ、こちらこそ・・・ ごめんなさい」タッタッタッ

神使「あっ・・・」

少女「」タッタッタッ


神使「・・・行ってしまいましたね」

神様「どう思う?」

神使「あの怯え方は普通ではないですね」

神様「私的には、ツインのお団子結いがとってもポイント高かった訳よ」

神使「・・・・・・」

神様「あれだけ大きなお団子、解いたらとても長いロングだろうな。 かわゆい」

神使「謝りに行きますよ」

神様「望むところよ!」

神使「全く・・・ すぐ見境無く飛びつくんですから」ハァ

神様「・・・・・・」

7: 2019/12/06(金) 03:04:00 ID:f1i/L8eQ

●鬼遊神社

神様「おにあそび神社?」

神使「鬼と遊ぶと書いて“おにゅおにゅ”と読むそうです」

神様「うん、百歩譲って“おにゅ”は良いとしよう。 何で2回言うの?」

神使「さあ? 私に聞かれましても・・・」

神様「主神にみっちり問い詰めてやる」ニヤッ

神使「このお社に主神様はいないとの事ですよ?」

神様「あ?」

神使「その状況も合わせ、神宮から確認するよう言われています」

神様「・・・・・・」

神使「何か気になる事でも?」

神様「いや、取りあえず本殿に行きますか」

神使「その前に神様はやることがありますよね?」

神様「・・・・・・。 はい、巫女さんにビックリさせてごめんなさいって謝ります」

8: 2019/12/06(金) 03:05:26 ID:f1i/L8eQ

●社務所

トントン

神使「ごめん下さい」

ガラガラ

少女「は、はい」チラッ

神使「先程はどうも」

少女「あっ」ビクッ

神様「さっきは急に抱きつこうとしてごめんなさい」ペコリ

少女「い、いえ・・・ 私の方こそ申し訳ございませんでした・・・」ペコ

神様「抱きついた後に、ペロペロしようと考えていてごめんなさい」ペコリ

少女「・・・・・・」

神使「あ、あの・・・ こちらの神社の巫女さんでしょうか?」

少女「」コクリ

9: 2019/12/06(金) 03:06:19 ID:f1i/L8eQ

神使「少しお話しをさせて頂いてもよろしいですか?」

少女「・・・・・・。 村の方ではないみたいですが・・・」

神使「私たちは神宮の者です」

少女「神宮?」

神様「神ちゃんです!」ズイッ

少女「!」ビクッ

神使「神様、またそうやって前のめりにならないで下さい」

神様「あっ、ごめんね」ハハハ

少女「わ、私こそごめんなさい・・・」

神様「外寒いし、中に入っても良い?」

少女「」コクリ

10: 2019/12/06(金) 03:07:33 ID:f1i/L8eQ

●社務所内

少女「お茶くらいしかお出しできる物がなくて」コトッ

神様「あんがと」ニコッ

少女「はぅ・・・///」

神様「?・・・」ズズズ

神使「改めまして、私たち神宮から参りました。 こちらは・・・」

神様「私は、かわゆい神ちゃん。 巫女を少々」

神使「私は神使と申します」

少女「おにゅおにゅ神社の巫女で少女です」ペコリ

神使「このお社には少女さん以外は?」

少女「私一人・・・ です」

神使「それは大変ですね」

少女「いえ。 それでご用件の方は」

神使「大した用事ではなく、この神社に関する簡単な確認だけですので」

11: 2019/12/06(金) 03:08:23 ID:f1i/L8eQ

神様「ちょっと数日泊まって調査させてもらおうかなぁ~って」

神使「え? 泊まる!?」

少女「この村に旅館とかはない思いますが、お知り合いでも?」

神様「水くさいなぁ~ ここに泊めてよ」

少女「ここに・・・ ですか?」

神様「何か問題でも?」

少女「いえ・・・ でも、何もおもてなしが出来ないですが・・・」

神様「適当に過ごすから気にせず、いつも通りで良いよ」

神使「滞在費や食事などは自分達で何とかしますので」

少女「・・・分かりました。 少し小さいですが空き部屋がありますので」

神使「お手数をおかけします」ペコリ

神様「さて、それじゃまずはメシだな。 近くに食堂は?」

少女「小料理屋が1軒ありますが、営業は夜だけなので・・・」

12: 2019/12/06(金) 03:09:18 ID:f1i/L8eQ

神様「スーパーとかは?」

少女「10分くらい歩けば小さな商店がいくつか」

神様「しゃーないな、自炊か」

神使「買い出しに行きますか? 簡単なものでしたら私が作りますが」

神様「豚キムチ食べたい」

神使「キムチ?」

神様「神使君が高級キムチを隠しもっていることを、私は知っている」

神使「・・・・・・」

神様「さて。 んじゃ少女ちゃん、お店まで案内してくれる?」

少女「・・・・・・。 私は一緒にいかない方が良いと思いますが・・・」

神使「何かお仕事でも?」

少女「いえ、そういう訳では・・・」

神様「案内して?」ニコッ

少女「・・・・・・」

14: 2019/12/07(土) 00:15:30 ID:Eej.TR4g

●田舎道

テクテク

少女「」キョロキョロ


神使「少女さんは何故あんなに辺りを警戒しているんでしょう」

神様「ん~・・・」

神使「あまり外を出歩いたり、人と接するのが得意ではないようですね」

神様「そんな単純な理由かなぁ?」

神使「それより神様、どういう風の吹き回しですか? 急に泊まるだなんて」

神様「何となく?」

神使「やっぱり何か隠してるんですね」

神様「いや、ちょっと引っかかるんだわ」

神使「少女さんのことですか?」

神様「それもあるけど~ う~ん・・・」

15: 2019/12/07(土) 00:16:36 ID:Eej.TR4g

テクテク

神使「ようやく家や建物が見えてきましたね」

少女「あっ、はい。 この辺りからが村の集落なので」

神様「おっ、畑に村人発見」

神使「こんにちは」


 村人A・B「」チラッ


少女「・・・・・・」ペコリ


 村人A「」コソコソ

 村人B「」コソコソ


神使「神様」ボソッ

神様「あぁ」ボソッ


少女「・・・・・・」

16: 2019/12/07(土) 00:17:49 ID:Eej.TR4g

●小さな商店街

神様「うお~ ガチャガチャだ! 懐かしい~」タッタッタッ

神使「無駄遣いはダメですよ?」

神様「となり肉屋じゃん。 丁度良いや、少女ちゃん豚コマ500g買ってきて」

少女「え・・・?」

神様「コレ財布。 ダサいけど」スッ

神使「あ! それ私の財布。 いつの間に」ゴソゴソ

少女「・・・・・・」

神使「大丈夫です。 私が買ってきますから」

神様「ダーメ! 犬ころは、このガチャガチャで電気ショックのオモチャ取って」

神使「そんな物は後でも―――」

神様「合わせろ」ボソッ

神使「?」

神様「お願い、少女ちゃん」ニコッ

少女「・・・・・・。 はい」

17: 2019/12/07(土) 00:21:58 ID:Eej.TR4g

●肉屋

少女「あの」

肉屋の息子「いらっしゃ・・・」

少女「・・・・・・」ペコリ

肉屋の息子「何か用?」

少女「あ、あの・・・ 豚コマ500g頂けないでしょうか」

肉屋の息子「随分と多いな」

少女「神社にお客様が来ていまして・・・」

肉屋の息子「少しは遠慮しろよ」チッ

少女「・・・ごめんなさい。 あの、お幾らでしょうか?」

肉屋の息子「嫌みか?」

少女「・・・ごめんなさい」

肉屋の息子「ほら」スッ

少女「ありがとう・・・ ございます」ペコリ

18: 2019/12/07(土) 00:23:04 ID:Eej.TR4g


神使「神様」

神様「どう見ても普通じゃないな」

神使「いくら何でもあの対応は」

神様「・・・・・・」

神使「先程の村の人達と良い、少女さんは村八分にされているんじゃ?」

神様「でも、お金払わずにお肉をもらってたな」

神使「確かに。 でも、寄進・・・ って訳でもなさそうですね」

神様「う~ん・・・」

19: 2019/12/07(土) 00:24:16 ID:Eej.TR4g

●夜・社務所

神様「ふぁ~ 食った食った」ゲップ

神使「はしたないですよ?」

神様「ちょっとキムチ辛すぎ。 今度からもう少しマイルドなヤツにしろ」

神使「神様に食べてもらうために買った物ではないのですが・・・」

少女「とても美味しかったです。 ごちそうさまでした」

神使「お粗末様でした」ニコッ

少女「はぅ・・・///」

神使「どうされました?」

少女「あ、いえ・・・ 誰かと一緒に食事をするのが久しぶりだったので・・・」

神様「ねぇ、ここに主神・・・ 神はいないの?」

少女「・・・・・・」

神様「やっぱいいや、気にしないで」

少女「ごめんなさい・・・」

神使「謝らないで下さい。 誰にでも話したくない事はありますから」

20: 2019/12/07(土) 00:25:32 ID:Eej.TR4g

少女「・・・・・・。 あっ、お風呂どうされますか?」

神様「私たちはいつも遅いから、少女ちゃん先に入って」

少女「そうですか。 では、お先に頂きます」テクテク

ガチャッ バタン


神使「神様? こちらの主神様をご存じで?」

神様「私が記憶する限りでは“おにゅ”だった気がする」

神使「おにゅ様? 鬼遊神社・・・ まさか」

神様「あぁ、千年前に途絶えてしてしまったが鬼族の子だ」

神使「え!? おに?」

神様「鬼と言っても頭にツノがある以外、見た目は普通の人間だったけどな」

神使「本当に存在していたんですか・・・」

21: 2019/12/07(土) 00:26:36 ID:Eej.TR4g

神様「鬼族はかなり少なかったから・・・ 色々と大変だったみたいだけど」

神使「大変とは?」

神様「人は自分と違う対象には畏怖するものだ。 見た目が自分たちに近ければ近いほど」

神使「確かに・・・」

神様「おにゅは鬼族最後の生き残りだ。 神にする以外の方法はなかった」

神使「苦労されたのですね」

神様「当時はまだ7つ、そんな歳の子には重すぎる人生だった」

神使「・・・・・・」

神様「でも、おにゅは人を恨んだりすることは絶対無かった。 優しいヤツだよ」

神使「おにゅ様はこの村にもう居ないのでしょうか?」

神様「だとしたら・・・ 悲しいな。 おにゅは本当に良い子だったから・・・」

神使「神様・・・」

22: 2019/12/07(土) 00:27:46 ID:Eej.TR4g

●30分後

ガラガラ

少女「お湯、お先に頂きました」

神様「あ~ パジャマ姿もかわえぇの~」ウットリ

神使「自重して下さいよ、神様」

神様「うん、無理! うひょー 辛抱たまら~ん」ピョーン

少女「えっ!?」

神様「この大きなお団子かわえ~ 2つとも私が食べちゃおうかなぁ~」アムアム

少女「お、お願いですから髪には触らないで下さい!」

神使「神様! 少女さんはお風呂上がりなんですから」

神様「私のヨダレは聖水だー」アムアム

少女「あの・・・ 本当に・・・」

神使「ほら、少女さん嫌がっているじゃないですか。 離れて下さい!」グイッ

神様「うにゃー! 嫌じゃー!!」ジタバタ

少女「きゃっ!」

23: 2019/12/07(土) 00:28:58 ID:Eej.TR4g

ファサァ~

神様「あ~ 少女ちゃんの髪が解けちゃったじゃん!」

少女「髪・・・ !!」ハッ!

神使「少女さん大丈夫で――― えっ!?」

神様「やっぱり少女ちゃんの髪って凄いロング・・・ だ・・・」

神使「少女さん、それは・・・」

神様「頭から何かニョッキしているように見えるんだけど・・・」

少女「あ・・・ あの・・・ こ、これは・・・」

神様「まさか、ツノ?」

少女「!! あ・・・ ご、ごめんなさい。 私・・・」ブルブル

神使「少女さん?」

少女「嫌・・・ 近寄らないで!! ごめんなさい・・・ ごめんなさい」ブルブル

神使「少女さん落ち着いて下さい。 大丈夫です、 私たちは何も―――」

少女「ひっ! ごめんなさい! 言うこと聞きます! ごめんなさい!」ガタガタ

神様「・・・・・・」

26: 2019/12/08(日) 03:49:42 ID:Be/zhTec

神使「神様、少女さんの様子が」

少女「助けて・・・ 違うんです、私は・・・ お願い。 助け・・・ ごめんなさい」ガタガタ

神様「神ちゃーんパーンチ!」

ボフッ

少女「うっ・・・!」バタリ

神使「ちょと神様!」

神様「気絶させてだけだよ。 神の御業だ、心配ない」

神使「ただのローブローじゃないですか・・・ もう少しやり方が」

神様「あのままにして置く方がマズいだろ。 彼女の精神的にも」

神使「確かに、尋常ではありませんでしたね」

神様「しかし、驚いたな。 これツノだよな」ツンツン

神使「髪でお団子を結っていたのはツノを隠すためなんですね・・・」

神様「う~ん・・・」ペタペタ

神使「まさか少女さんは鬼族の・・・」

27: 2019/12/08(日) 03:50:37 ID:Be/zhTec

ポロッ

神様「あっ、取れちゃった・・・」

神使「え!?」

神様「これ、ツノの飾りがついたカチューシャじゃん」

神使「どういう事です? 何で取れるツノをわざわざ髪で隠して・・・」

神様「・・・・・・」

神使「村の人たちの少女さんへの態度と関係があるんでしょうか」

神様「それだけなら良いんだけどな」

神使「他にも何か?」

神様「・・・・・・。 犬ころ、本殿からご神体もってきてくれるか?」

神使「この神社のですか?」

神様「いま彼女から目を離したくない。 悪いけどすぐ持ってきてくれ」

神使「分かりました」スタスタ

神様「・・・・・・」

28: 2019/12/08(日) 03:51:24 ID:Be/zhTec

●数分後

ガラガラ

神使「お待たせしました。 たぶんこれがご神体かと」コトッ

神様「随分と願いが溜ってるな」

神使「私たちがいる限りでは参拝者は一人も来ていないようでしたが」

神様「ちょっと覗いてみますか」

ポワポワ

神使「どうですか?」

神様「・・・・・・」ハァ

神使「神様?」

神様「今までよく耐えてきたな・・・」

神使「?」

神様「それは少女ちゃんが背負う罪じゃない・・・」

少女「―――」

30: 2019/12/09(月) 01:24:52 ID:nnFIBW4U

―――――
―・・・・・・
・・・

~10年前

おにゅ「おじさん! お肉下さい!」

少女「下さい!」

肉屋「おっ、今日は2人揃ってお買い物かい?」

おにゅ「今日は少女の誕生日なんです!」

少女「です!」

肉屋「そりゃめでたい。 おや? 少女ちゃんの頭に付いてるのは何だい?」

少女「おにゅとお揃いのツノー、可愛いーでしょ~」

おにゅ「恥ずかしいなぁ~ もぉ~・・///」

肉屋「はははっ! こりゃ参った。 さすが鬼遊神社の巫女さんだ」

少女「でも私のツノは取れるけど」ポコッ

肉屋「この村に神さまが2人もできちまったな」ハハハ

おにゅ「むぅー」

31: 2019/12/09(月) 01:26:06 ID:nnFIBW4U

肉屋「よし、今日は可愛い神さま達に奮発しちゃおう!」

おにゅ「うわっ! こんなに高いお肉・・・ 安い方で大丈夫です・・・」

肉屋「誕生日なんだろ? 気にすんなって」

おにゅ「お金払います。 お幾らですか?」ゴソゴソ

肉屋「良いって。 この村を守ってくれている2人からお金なんて取れないよ」

おにゅ「でも、流石に今日は・・・」

肉屋「村の決まりだ。 その代わり、これからも村をよろしくな」

少女「はい! 行こ! おにゅ」タッタッタッ

おにゅ「あっ、こら少女! おじさんにちゃんとお礼を!」

少女「わ~い」タッタッタッ

おにゅ「まったく・・・」ハァ

32: 2019/12/09(月) 01:28:38 ID:nnFIBW4U

肉屋「少女ちゃんはいつも元気いっぱいだねぇ」ハハハ

おにゅ「すみません。 お肉、ありがとうございました」ペコリ

肉屋「子供が遠慮なんかするもんじゃないよ」

おにゅ「なりは子供だけど、これでも千年も生きてるんだから!」

肉屋「はははっ! 確かに、おにゅちゃんはこの村の生き字引だもんな」

おにゅ「神をおちょくるなんて罰当たりですよ!」

肉屋「可愛い神さまに当てられるバチなら喜んで」

おにゅー「むー」

肉屋「まぁ、でも変な気を遣わず毎日でも来てくれて良いんだからね」

おにゅ「ありがとうございます。 少女の事はこれからもよろしくお願いします」ペコリ

肉屋「あぁ、約束するよ。 俺だけじゃなく村の皆で見守る事を」

おにゅ「おじさん大好き! おじさんに神の加護を!」タッタッタッ


肉屋「2人とも可愛いねぇ~」フフッ

33: 2019/12/09(月) 01:29:45 ID:nnFIBW4U

●帰り道

テクテク

少女「今日は豪勢だね! いっぱいもらっちゃった!」

おにゅ「少女? どうしてこんなに沢山頂けたのか分かってるの?」

少女「私の誕生日だから!」

おにゅ「・・・・・・」

少女「おにゅが、この村を守っているからそのお礼だよね!」

おにゅ「違いますよ」

少女「違うの?」

おにゅ「良いですか、少女。 村の人から良くされたら、きちんとお礼をしないとダメですよ?」

少女「ごめんなさい」シュン

おにゅ「よし! ちゃんと謝れる子は良い子です」

少女「うん!」

おにゅ「早くお家に帰って今日はいっぱい食べるぞー!」オー

少女「おー!」タッタッタッ

34: 2019/12/09(月) 01:30:55 ID:nnFIBW4U

●数日後・神社境内

悪ガキA「この本殿って、宝がいっぱい隠してあるって話知ってるか?」

悪ガキB「うそ! 探検しようぜ」

悪ガキC「面白い物が沢山ありそうだな」


少女「こらー!」タッタッタッ


悪ガキA「やべ、見つかった!」

少女「そこは、おにゅのお部屋だよ!」

悪ガキB「だから何だよ!」

少女「悪戯してるとおにゅに怒られるんだから!」

悪ガキC「おにゅ? あ~ アイツか」

悪ガキA「変な名前だよな。 ツノ生えてるし」

悪ガキB「化物だよな」ハハハ

少女「おにゅをバカにするな!!」

35: 2019/12/09(月) 01:32:11 ID:nnFIBW4U

悪ガキA「お前もそんなツノの飾りなんか付けて化物の仲間なんだろー」

悪ガキB「いっつも一緒にいるもんな」

悪ガキC「やーい、化物の仲間ー」

少女「あなた達なんか、おにゅに祟られちゃえ!」

悪ガキ達「!?」

少女「おにゅは神さまなんだから! バカにするとみんな罰が当たるんだから!」

悪ガキA「う、嘘つけー!」

少女「本当だもん! おにゅを怒らせたら村だって滅んじゃうんだからね!」

悪ガキA「うっ・・・ か、帰ろうぜ」タッタッタッ

悪ガキB・C「う、うん」タッタッタッ


少女「・・・・・・」グスッ

ポタッ ポタッ

少女「雨・・・」


ザー

36: 2019/12/09(月) 01:34:51 ID:nnFIBW4U

●翌日・社務所

ザー

少女「昨日からすごい雨だね・・・ 全然止まないよ」

おにゅ「・・・・・・」スタッ

少女「おにゅ?」

おにゅ「少し出かけてくるね」

少女「え? 危ないよ。 村の有線でも消防団以外は家から出るなって」

おにゅ「大丈夫。 これでも神さまなんだから!」

少女「そんなの知ってるけど・・・ どこいくの?」

おにゅ「ちょっとね」テクテク

少女「おにゅ・・・」

おにゅ「遅くなると思うから先に寝ててね。 おやすみ、良い夢を」ニコッ

37: 2019/12/09(月) 01:35:57 ID:nnFIBW4U

●河川敷

ザー

おにゅ(予想以上に川の氾濫が進んでる・・・)ポワポワ

村長「流石おにゅちゃん。 だいぶ濁流の進路が変わったわい」

おにゅ「これでこの場所は持ちこたえると思います」フゥ

 村人「村長ー!」タッタッタッ

村長「お~ 上流の方はどうじゃ?」

村人「土手の決壊が始まってます。 上流の方を急いで塞がないと」

村長「そうか、手の空いている者を向かわせよう。 おにゅちゃんも一緒に」

おにゅ「いえ、先に下流側の補強を」

村長「下流?」

おにゅ「上流は地盤が固いので決壊は起こりません」

村人「しかし、土手の隙間から川の水がすでに漏れはじめていて!」

38: 2019/12/09(月) 01:37:04 ID:nnFIBW4U

おにゅ「私の言葉を信じて下―――」

 村人「おーい大変だー!」

おにゅ「?」

村長「どうした!」

村人「土砂崩れです。 家が何軒か巻き込まれたようで」

おにゅ「!? すぐ行きます」タッタッタッ

村長「お、おい! おにゅちゃーん」

村人「それより村長、一刻も早く上流に人を。 田畑が台無しになってしまします!」

村長「え? あぁ。 でも下流の方を先に・・・」

村人「今年は上流地区が不作です。 これ以上の被害は流石に・・・」

村長「そ、そうじゃな。 うちの畑もあるし・・・ 手の空いている者を上流に集めよう」

村人「はい」タッタッタッ

39: 2019/12/09(月) 01:38:12 ID:nnFIBW4U

●崩落現場

おにゅ「・・・・・・」ポワポワ

村人「どうだい、おにゅちゃん・・・」

おにゅ「大丈夫。 この中に人の気配はないみたい」

村人「はぁ~ よかった・・・」

ウー ウー

おにゅ「警報?」

村人「大変です! 下流の堤防が決壊したようです!」

おにゅ「下流が!? でも、補強の方をしていたはずじゃ?」

村人「いえ・・・ 特に手は付けていないみたいでしたが・・・」

おにゅ「・・・・・・」

村人「下々地区が壊滅的だそうです」

おにゅ「そんな・・・」

村人「今日はこれで中止にするそうです。 おにゅちゃんも一旦集会場の方へ」

おにゅ「・・・はい」

42: 2019/12/09(月) 22:32:48 ID:nnFIBW4U

●深夜・村の集会場

おにゅ「ちょっと待って下さい!」バンッ

村長「おにゅちゃん、落ち着いて」

おにゅ「被害を全て防げなかった事は私の力不足です。 それは認めます」

村長「何もそこまで言ってるわけでは・・・」

おにゅ「でも、少女は関係ない!」

村人A「昨日、うちの息子が少女に村が滅ぶと告げられたって言ってるんだよ」

おにゅ「少女が!?」

村人B「うちの子も聞いたそうだ。 祟りだって」

おにゅ「・・・・・・」

村人C「あんたら本当はこの村を恨んでいるんだろ?」

おにゅ「なっ!?」ガタッ

村人A「少女の両親が亡くなったことを村のせいだって」

43: 2019/12/09(月) 22:34:16 ID:nnFIBW4U

おにゅ「あれは老朽化した神社の建物が原因で―――」

村人B「俺達がちゃんと寄進していれば防げたって、内心では思ってるんだろ?」

おにゅ「そんな事・・・ 一度も思ったことなんか!!」

 ドクン

おにゅ「っ!?」ズキッ


村人A「少女に祟られろって言われて、うちの子が事故に巻き込まれたんだよ!」バンッ!

おにゅ「え?」

村長「今朝、水車小屋の水車が倒れる事故があってな」

村人B「少女に祟りだって言われた子が全員巻き込まれた」

おにゅ「・・・・・・」

村長「でも、お宅らの子が水車小屋で悪戯していたって証言も。 しかもこんな雨の中で・・・」

村人A「県議の息子の俺が嘘をついているとでも言ってんのか?」

村長「・・・・・・」

44: 2019/12/09(月) 22:35:27 ID:nnFIBW4U

村人C「これでも2人が生活できるように支援はしているつもりなんだけどね」

村人A「それをこんな仕打ちするなんて。 なぁ」

村人B「まったくだ」

おにゅ「っ!」ギュ

 ドクン

おにゅ「!?」ウッ

村長「まぁ、その位で。 おにゅちゃん、大丈夫かい? 顔色が悪いようだけど」

おにゅ「だ、大丈夫です。 ごめんなさい・・・」

村長「いや・・・ こっちこそ」

おにゅ「・・・・・・」

45: 2019/12/09(月) 22:36:30 ID:nnFIBW4U

●社務所

ザー

少女「まだ雨降ってる・・・ おにゅ大丈夫かな?」

ガラガラ

少女「あっ、おにゅ帰ってきた」タッタッタッ

おにゅ「・・・・・・」ポタッ ポタッ

少女「どうしたの!? ビショビショじゃん!」

おにゅ「凄い雨が降っててね」ハハハ

少女「傘持っていかなかったの?」

おにゅ「・・・・・・。 少女、昨日神社で何かありましたか?」

少女「どうしたの急に。 真面目な顔して・・・」

おにゅ「もう一度問います。 昨日神社で何かありましたか?」

少女「おにゅ、怖いよ・・・ そんな神さまの時みたいな喋り方で・・・」

おにゅ「神として問うています。 お話しなさい、人の子よ」

少女「うっ・・・ ひっぐ・・・ ご、ごめんなひゃーい」ウワーン

46: 2019/12/09(月) 22:37:29 ID:nnFIBW4U

●社務所内

おにゅ「そう、私を庇ってくれたんだね」

少女「うっ・・・ ひっぐ・・・」グスッ

おにゅ「ありがとう少女。 心の優しい子・・・」ギュ

少女「おにゅ・・・ ごめんね」ギュ

おにゅ「大丈夫。 嫌なことも全部吹き飛んじゃった」ニコッ

少女「おにゅ、怒られたちゃったの?」

おにゅ「・・・・・・。 その悪ガキ達が、今朝事故に遭ったみたいで」

少女「え?」

おにゅ「水車が倒れてケガしたんだって。 雨の中で悪戯した自業自得なんだけど」

少女「もしかして、おにゅのせいだって言ってるの!?」

おにゅ「大丈夫。 私はそんな事しないし、そんな力はないから」

少女「私のせいだね・・・ ごめんなさい」シュン

47: 2019/12/09(月) 22:38:29 ID:nnFIBW4U

おにゅ「いっその事、私がやったって事にしちゃおっか」

少女「え!?」

おにゅ「みんな私のことを崇め奉ってくれるかも。 おにゅ様~って」テヘッ

少女「ふふっ、おにゅはそんな事しないよ」

おにゅ「?」

少女「おにゅは、そういうの嫌いだって知ってるもん!」

おにゅ「・・・・・・。 ありがとう、少女」ギュ

少女「おにゅ?」

おにゅ「さて、今日は神さまのお仕事終わり! もう遅いし寝よう!」

少女「一緒のお布団で寝よ?」

おにゅ「うん!」ニコッ

48: 2019/12/09(月) 22:39:43 ID:nnFIBW4U

●寝室

少女「Zzz・・・」ムニャ ムニャ

おにゅ(私・・・ 村を守るだなんて見栄張って・・・)

おにゅ(守るどころか・・・ 挙げ句の果てには、村の人達にあんな感情まで持って・・・)


少女「Zzz・・・」ムニャ ムニャ

おにゅ(少女がいなかったらきっと私は・・・)

おにゅ(・・・これじゃ、どっちが神だか分からないね)フッ


少女「ん・・・ おにゅ?」ポー

おにゅ「どうしたの? 少女」

少女「嫌な夢見たの・・・」

おにゅ「もう大丈夫。 神さまが一緒についてるから・・・」

少女「うん・・・ Zzz」

おにゅ「・・・・・・」ギュ

50: 2019/12/11(水) 01:48:04 ID:pWUTmUC6

●翌朝・社務所

少女「おはよ~ おにゅ」ムニャムニャ

おにゅ「おはよう」

少女「今日は早いね。 って、どうしたのその格好!」

おにゅ「少女、一緒に本殿に来てくれますか?」

少女「本殿っておにゅのお部屋?」

おにゅ「そうです」

少女「でも、おにゅのお部屋は入っちゃダメだって・・・」

おにゅ「少女に話しておきたいことがあります」

少女「おにゅ?」

おにゅ「それと、私が装束を着ている時は神として接しなさい」

少女「・・・・・・。 はい」

51: 2019/12/11(水) 01:49:22 ID:pWUTmUC6

●本殿

ギー

少女「わ~ 凄い・・・」

おにゅ「少女がここへ入るのは初めてですね」

少女「うん」

おにゅ「少女には以前話したことがあると思いますが、私は鬼です」

少女「でも、おにゅは神さまだよ。 良い鬼だよね」ニコッ

おにゅ「少女? 先程私は神として接しなさいと言いました」

少女「あっ、ごめんなさい。 鬼神様」

おにゅ「・・・いくら神でも、私の体には鬼の血が流れています」

おにゅ「鬼は人と違い・・・ 残忍で冷酷です」

少女「おにゅは・・・ 鬼神様はそんな性格じゃないと思います」

おにゅ「私もそのつもりです。 故に争いを嫌い非道な行ないを敬遠しています」

おにゅ「しかし・・・ 私の中の血がそれを許しません」

少女「?」

52: 2019/12/11(水) 01:50:23 ID:pWUTmUC6

おにゅ「・・・・・・」

少女「おにゅ・・・ 鬼神様?」

おにゅ「少女、ご神体の裏にまわりなさい」

少女「はい」テクテク

おにゅ「ご神体が置かれた台の下が扉になっていると思います。 そこを開けなさい」

少女「これかな」ゴソゴソ

ギー

少女「うわー 金色の長い棒がある」

おにゅ「それを持ち、私の前へ」

少女「んしょ。 重い」テクテク

おにゅ「それは、神剣と言います」

少女「しんけん?」

おにゅ「もし・・・ もし、私が悪鬼となりこの村に災厄をもたらすことがあった場合・・・」

少女「?」

53: 2019/12/11(水) 01:52:08 ID:pWUTmUC6

おにゅ「その剣で私を・・・ 刺し頃しなさい」

少女「え?」

おにゅ「神・・・ 鬼である私を止めることが出来るのは、その剣しかありません」

少女「何言ってるの? おにゅ・・・」

おにゅ「この神社の巫女の役割は、神である私が悪鬼と化したときに頃すこと」

少女「そんな・・・」

おにゅ「つまり、それが・・・ 鬼遊神社の巫女であるあなたの役目です」

少女「嫌だ・・・」

おにゅ「では、この社からすぐに立ち去りなさい」

少女「!?」

おにゅ「役を果たせぬ巫女を側に置いておく訳にはいきません」

少女「で、でも・・・ そんな事・・・ できないよ」グスッ

54: 2019/12/11(水) 01:53:31 ID:pWUTmUC6

おにゅ「心優しき人の子よ、よく聞きなさい」

おにゅ「あなたのご先祖様も役を受け入れてくれました」

少女「私は・・・ ひっく・・・ 嫌だよ」グズッ

おにゅ「この社の巫女は、少女で82代目・・・ みな少女のように優しい心の持ち主でした」

少女「おにゅ・・・」

おにゅ「あなたのお母様も、お婆さまも・・・ 巫女として役を受け入れてくれた」

少女「何で・・・」

おにゅ「もし、私に何かあったときは・・・ この社の巫女に最後を託したいのです」

おにゅ「少女のご両親があのような事故で逝かれてしまい・・・」

おにゅ「・・・幼きあなたに、このような話をしなければならない事を許して下さい」

少女「嫌だよ・・・ ひっぐ・・・ 嫌だよー!」ウワーン

おにゅ「ごめんなさい少女・・・ ごめんなさい・・・」

55: 2019/12/11(水) 01:54:23 ID:pWUTmUC6

●夕方・少女の部屋

トントン
ガチャッ

おにゅ「少女~ 寝てるの~?」

少女「・・・・・・」

おにゅ「もう夕方になっちゃうよ?」

少女「・・・・・・」モソモソ

おにゅ「」ハァ


おにゅ「私お買い物にい行ってくるから、お留守番よろしくね」

少女「・・・・・・」

ギー バタン


少女「おにゅのバカ・・・」

56: 2019/12/11(水) 01:55:12 ID:pWUTmUC6

●村道

テクテク

おにゅ「あっ、お婆さん。 おはようございます!」

婆「?」クルッ

おにゅ「お買い物ですか?」ニコッ

婆「え? あ、あぁ・・・ 家に帰るところでね・・・」

おにゅ「この前は煮物ありがと―――」

婆「ご、ごめんね。 ちょっと急ぐから」スタスタ

おにゅ「あ・・・ はい」

婆「」スタスタ

おにゅ「?」

57: 2019/12/11(水) 01:57:40 ID:pWUTmUC6

●商店

おにゅ「すいません、お肉下さい!」

肉屋の息子「?」

おにゅ「あれ? 今日おじさんは・・・」

肉屋の息子「何か用?」

おにゅ「え? あ・・・ 豚コマ100g下さい!」

肉屋の息子「」ゴソゴソ

おにゅ「あの・・・ そっちじゃなくて、こっちの100g80円の安い方で」

肉屋の息子「神さまなんだろ? 少しは売り上げに貢献してくれよ」

おにゅ「え?」

58: 2019/12/11(水) 02:00:53 ID:pWUTmUC6

肉屋の息子「ほら」スッ

おにゅ「・・・ありがとうございます」

肉屋の息子「100gで300円」

おにゅ「・・・・・・」

肉屋の息子「まさかタダでもらえるなんて思ってないよね?」

おにゅ「いえ、そんな事は。 今お金払います」ゴソゴソ

肉屋の息子「前から思ってたんだけどさぁ」

おにゅ「?」

肉屋の息子「その頭のツノって本物なのか?」

おにゅ「・・・・・・。 はい」

肉屋の息子「へぇ~」ジー

おにゅ「・・・これお金です」ジャラジャラ

肉屋の息子「売ってあげるだけでも感謝しろよ」

おにゅ「・・・・・・。 ありがとうございます」

59: 2019/12/11(水) 02:03:26 ID:pWUTmUC6

●社務所

少女「・・・・・・」ボー

~~~

少女「私ね、大きくなったらおにゅと同じ神さまになるの!」

おにゅ「えっ、巫女さんじゃなくて!?」

少女「うん! それでこの神社をもっと儲かるようにするの!」

おにゅ「あ、あはは・・・ なんか私がダメ神みたいで耳が痛いな・・・」ハハハ

少女「おにゅは大きくなったら何になりたいの?」

おにゅ「私が大きく? ん~・・・ 少女が誇れるような立派な神さま、かな?」

少女「本当!? じゃ、一緒に頑張ろうね!」

おにゅ「うん、約束」ニコッ

~~~

少女「おにゅが鬼になるなんて無いよ・・・ 今まで大丈夫だったんだもん」

少女「そうだよ、約束したし! あっ、もしかしておにゅのお仕置き?」ハッ

少女「おにゅのヤツ~」タッタッタッ

60: 2019/12/11(水) 02:04:08 ID:pWUTmUC6

●神社前

少女「おにゅ、お買い物に行くって言ってたっけ」キョロキョロ

少女「商店街かな?」タッタッタッ


 おう、どうだった


少女「?」キョロキョロ


 商店の連中は押さえた


少女(悪ガキのおじさん達だ・・・)コソッ

61: 2019/12/11(水) 02:06:29 ID:pWUTmUC6

村人A「集落の方はどうだ」

村人C「あぁ、下流地区と上流地区の住人は何人か押さえた」

村人A「金の力は怖いね~」ハハハ

村人C「災害見舞金とか言って抱き込むなんてよく考えたな」

村人A「ハハハ! まぁ、丁度良いタイミングだったしな」

村人B「金よりお前の親の力が恐いんじゃねぇの?」

村人A「この村の象徴気取りやがって。 何が神だよ、馬鹿馬鹿しい」

村人C「で? これからどうするんだ」

村人A「あのガキ共を追い出して、代わりに俺が村を牛耳る」

村人B「あいつらも、一ヶ月もすれば耐えられなくなって出て行くだろうな」

村人C「この神社、結構貴重な物もゴロゴロあるみたいだぜ?」

村人A「何だかんだ言っても千年以上の歴史があるからな」

村人B「本当の目的はそっちかぁ?」

村人A「一石二鳥。 徹底的にあのガキの信用を落とすんだ。 その為なら―――」

62: 2019/12/11(水) 02:07:12 ID:pWUTmUC6

少女(そんな・・・)ヨロッ

ガサッ

少女「はっ!」


 村人達「!?」クルッ


少女(見つかっちゃった!)


 村人B「おい、あれ! 神社の」

 村人A「くそ、居たのかよ! 聞かれたか、捕まえろ!」


少女「早くおにゅに知らせないと!」タッタッタッ


 村人「待てコラー!」

63: 2019/12/11(水) 02:08:54 ID:pWUTmUC6

● 村道

おにゅ「・・・お肉しか買えなかった」

おにゅ「今からバスで隣町まで行って夕飯までに間に合うかな・・・」トボトボ


 キャー


おにゅ「?」キョロキョロ


 村人B「大人しくしろ!」

 少女「嫌ー 助け―― むぐむぐ」


おにゅ「少女!?」


 村人A「おい、縄で縛って工事現場の倉庫に運ぶぞ。 車出せ」

 ブーン


おにゅ「少女!」タッタッタッ

64: 2019/12/11(水) 02:09:57 ID:pWUTmUC6

●工事現場倉庫

少女「ハァ・・・ ハァ・・・」グッタリ

村人B「おい、大丈夫か? この子」

村人A「息が上がっているだけだ」

村人C「なぁ、さすがにコレはマズくないか?」

村人B「これって誘拐・・・ だよな」

村人A「このガキが盗み聞きなんてしてなきゃこんな事には」チッ

村人C「家に帰した方が良くないか?」

村人B「あぁ。 さすがに犯罪はマズいだろ」

村人A「そうだな・・・ なぁ、少女ちゃん?」

少女「!?」ビクッ

村人A「鬼ごっこ楽しかったねぇ~」ズイッ

少女「ひぃ!」ガタガタ

村人A「今日はこれでお開き。 お家に帰っても誰にも言っちゃダメだよ」ニタァ

少女「・・・・・・」ガタガタ

65: 2019/12/11(水) 02:10:38 ID:pWUTmUC6

村人A「聞こえたのか!!」

少女「ひぃ!! ご、ごめんんさい・・・ ごめんなさい」 ガタガタ

村人A「おい、この縄ほどいて帰らせろ」

村人C「あぁ」

村人B「何か手を打った方が良いんじゃないか?」

村人A「そうだな」

村人C「縄がきつくて解けないぞ?」ギシギシ

村人A「そこに斧があるだろ。 それで縄を切れよ」

村人C「ん? あれか」スタスタ

村人A「ガキに傷つけんなよ。 面倒になる」

村人C「分かってるよ。 動くなよ!」スッ

少女「ひぃ!」ガタガタ

66: 2019/12/11(水) 02:11:35 ID:pWUTmUC6

バンッ

おにゅ「少女! ここにいるの!?」ハァ ハァ

村人達「!?」クルッ

少女「うぅ・・・」ガタガタ

おにゅ「!!」ハッ

 ドクン


少女「お、おにゅ・・・?」ガタガタ

おにゅ「・・・・・・。 お前達・・・ 少女に何をした」

村人A「な、何も・・・ 俺達はただ・・・ なぁ」

村人B「あぁ、まだ何もしちゃ・・・」

おにゅ「その振り上げている斧を少女の視界から退けよ」

村人C「斧? あ、これは違う。 縄を解こうとして―――」

おにゅ「斧を退けよと申した! 我に二度言わすな!!」カッ

67: 2019/12/11(水) 02:12:22 ID:pWUTmUC6

ボン!

村人C「うわっ!」ズサー

村人B「ひぃ!」

おにゅ「最初の問いに答えよ。 少女に何をした」

村人B「な、何も・・・ 何もしちゃ―――」

おにゅ「問いはもう繰り返さぬ」

ボン!

村人B「ぐぁ!」バタッ

村人A「う・・・ うそだろ。 お前ら何を勝手に吹っ飛んでんだよ・・・」

おにゅ「おいお前、何か言い残すことはあるか?」ギロッ

村人A「お、俺に何かしたら2人ともこの村に住めなくし―――」

おにゅ「知ったことか。 こんな村に用はない」

ボン!

村人A「うっ!」バタッ

68: 2019/12/11(水) 02:13:11 ID:pWUTmUC6

少女「お・・・ おにゅ・・・?」

おにゅ「」ギロッ

少女「ひぃ!」ゾワッ

シュルシュル

少女「縄が解けた・・・ おにゅ!」タッタッタッ

おにゅ「・・・・・・」

少女「おにゅ・・・ おにゅ! ありがとう・・・ 怖かった」ブルブル

おにゅ「我より離れよ、人の子よ」

少女「え?」

おにゅ「聞こえなかったか? 離れよと申した」

少女「おにゅ?」

69: 2019/12/11(水) 02:14:18 ID:pWUTmUC6

おにゅ「我はこの村を滅ぼす。 跡形もなくな」

少女「滅ぼすって・・・ ダメだよ、おにゅはそんな事しないよ・・・」

おにゅ「忘れたか? 我は鬼、そしてこの村の神。 生かすも頃すも我次第」

少女「そんな・・・ うそ・・・ おにゅはそんなこと言わないよ・・・」

おにゅ「この地に最大級の神罰を。 絶望の神頃しの惨状をもたらしてやる」ニヤッ

少女「!!」ゾクッ

おにゅ「我を止めたくば、神剣で我が胸を突くことだな」クククク

少女「おにゅ・・・」ガタガタ

おにゅ「たっぷり時間をかけ村の者達を屠ってやる。 我が力を知るが良い!!」ヒャヒャヒャ

・・・
―・・・・・・
―――――

71: 2019/12/11(水) 21:10:49 ID:pWUTmUC6

少女「・・・にゅ・・・」ウーン

神使「!? 神様、少女ちゃんが!」

神様「少女ちゃ~ん、朝ですよ~」

少女「おにゅ・・・ おにゅ!」バサッ

神使「少女さん、気がつきましたか」ホッ

少女「はぁ・・・ はぁ・・・ ここは・・・」キョロキョロ

神使「社務所です。 痛みとかはありませんか? 特にお腹とか」

少女「私・・・ どうして・・・ !?」ハッ

ペタペタ

神様「髪は結い直しておいた」

少女「・・・・・・」

神様「おにゅとは知り合い?」

少女「!?」

神様「私は、おにゅの親友。 もう千年以上前からかなぁ」

少女「せん・・・ ねん?」

72: 2019/12/11(水) 21:11:46 ID:pWUTmUC6

神様「私はアイツと同じ神だ」

少女「・・・・・・」

神様「おにゅは争いごとが嫌いで、人思いの心優しい子だった」

少女「おにゅ・・・」ウルウル

神様「ありがとう、心優しき人の子よ」ギュ

少女「え・・・?」

神様「長く辛い道を歩んできたアイツに、救いを差し伸べてくれてありがとう」

少女「私は・・・ 私は、おにゅを・・・ おにゅを・・・」グスッ

神様「少女ちゃん・・・」

少女「おにゅをこの手で・・・ この手でっ! あっ・・・あーーっ!!」

神様「落ち着いて」

少女「うぅ・・・ うっ・・・ おにゅ・・・ おにゅ」ポロポロ

神様「大丈夫。 それは人が背負う罪じゃない」ギュッ

少女「うぅ・・・ うっ・・・」ポロポロ

73: 2019/12/11(水) 21:12:20 ID:pWUTmUC6

神様「おい、犬ころ」

神使「・・・はい」

神様「これから神勅を出す。 一字一句漏らさず正確に神宮と神様機構に伝えよ」

神使「畏まりました」フカブカ


神様「最高神、神様より神勅を申す! ―――」

74: 2019/12/11(水) 21:13:41 ID:pWUTmUC6

●翌日

ガラガラ

神様「お、来たか」

狐神「・・・・・・」

神様「いらっしゃい、早かったな」

神使「狐神様?」

神様「お茶でいいか? みかんは籠から落ちてるヤツから先に食べて」

狐神「あんたねぇ、私も忙しいの。 毎回変なことに巻き込まないでくれる?」

神使「どうして狐神様が?」

狐神「アンタ達何やらかすつもり? 今回ばかりは流石の私もドン引きなんだけど・・・」

神様「良い勉強になるだろ」

狐神「今時代にこんな物を神勅するヤツがいるなんて・・・」ハァ

神使「あの、どういう事です?」

狐神「あ~ えっとね――― ん?」

少女「?」キョトン

75: 2019/12/11(水) 21:14:54 ID:pWUTmUC6

狐神「神ちゃん、この子は?」

神様「勇者様」

少女「はい!?」

狐神「そう、あなたが・・・。大変だと思うけど、私も初めてだしお互い頑張りましょう」

少女「あの・・・ 何かなさるのですか?」

狐神「・・・・・・。 神ちゃん?」

神様「あ?」

狐神「いつも言ってるわよね? 話の順番が違うって」

神様「いや~ 私も今回ばかりは内容を全部覚えてないから説明できなくて」

狐神「覚えていないものを神勅で出すな!!」

神様「まぁまぁ。 神ともあろう者がそんな短気じゃダメだと思うの」

狐神「何で私が今回の順番だったんだろう」ガクッ

神様「頼んだよ、生け贄さん」ニタァ

狐神「勘弁してよ、私まだ氏にたくない・・・」

76: 2019/12/11(水) 21:16:31 ID:pWUTmUC6

神様「説明しよう! 今回行う作戦は、ずばり“神頃し”!」

少女「!?」ピクッ

神様「神が行える神罰のうち、最大レベルの作戦だ!」

狐神「簡単に言うと対象の地から神を抹消するための特殊工作なんだけどね」

神使「神を抹消?」

狐神「うん。 何らかの理由で神をその地に置くことが出来なくなった場合の神法特例第18項」

神使「神を置けなくなった場合というのは?」

狐神「例えば、統廃合とかで神から人へ管理を任せる必要になった場合とか」

神使「委任とは違うのですか?」

狐神「もし、神の信仰が極端に高い土地から神が居なくなった場合どうなると思う?」

神使「みんな悲しみますよね」

狐神「それだけで済めば良いけど、実際は求心力が無くなって村は崩壊する」

神使「そこまでなるものでしょうか?」

神様「経験上間違いなく起こる。 物理的、秩序的、精神的と色々な形でな」

77: 2019/12/11(水) 21:17:16 ID:pWUTmUC6

狐神「だから、神がいなくなる前にその後を継げる者へその任を移すの」

神使「それは信仰を移すという事ですか?」

狐神「実際には人にその任を移すから、信仰というより一種のシンボルね」

神使「しかし、今回はその神がいないので当てはまらないと思うのですが」

狐神「それが今回私が派遣された理由」

神使「?」

狐神「何らかの理由で神が役を遂行できない場合、持ち回りで他の神が代理で立つの」

神様「で、都合良く今回はコックスが順番だった訳よ」

神使「なるほど。 それで、どのような方法なのですか?」

78: 2019/12/11(水) 21:18:26 ID:pWUTmUC6

狐神「文字通り、神を頃す」ニヤッ

神使「え?」

狐神「といってもお芝居だけどね」

神様「まず、消える予定の神が村を壊滅寸前まで追い込む」

少女「!?」

狐神「そして、次を継ぐ者が衆人環視でその神を神剣で刺して消滅させる」

神様「すると、あら不思議。 勇者様は村から絶大な支持を集めることが!」

狐神「で、神はその地を離て神頃し終了」

少女「・・・・・・」

神使「破壊って・・・ 流石にそれは・・・」

神様「大丈夫。 被害を最小限にするために綿密な下調べはするから」

狐神「村に損害が出た場合は、神宮保険の神罰損害安心特約が適用されるわ」

神様「このために毎月給料から天引きされてるんだから使わないとな」

79: 2019/12/11(水) 21:19:26 ID:pWUTmUC6

神使「そんな手法・・・ よく考えつきましたね・・・」

少女「あ、あの・・・」

神様「?」

prrrr prrrr

神使「すいません、私の携帯です。 ちょっと失礼します」


神様「なに? 少女ちゃん」

少女「いえ・・・ 私の思い違いかも知れないですが、実は―――」

 神使「え!? 本当ですか!?」

一同「」ビクッ

神様「なんだよクソ犬! 少女ちゃんがお話しをする大切な場面なんだよ!」

神使「神様・・・ 神勅が取り消されました」

神様・狐神「!?」

81: 2019/12/12(木) 23:08:46 ID:epjmLgg6

神使「はい、いま神様に替わります」

神様「だれ?」

神使「神様機構の長官さんです」スッ

神様「ちょっと長官君! 取り消しって一体・・・・・・ うん・・・・・・ いやだって・・・・・・」


狐神「神ちゃんの神勅が取り消されるなんてあり得ないんだけど」

神使「それが、すでにこの地に神頃しの神勅が発令されているようで」

狐神「は!?」

神使「それも10年前に」

狐神「それって・・・ 10年前に誰かが出した神頃しが解除されていないって事?」

神使「その様です」


 神様「分かった」ピッ

狐神「あっ、神ちゃんどういう事なの?」

82: 2019/12/12(木) 23:09:52 ID:epjmLgg6

神様「・・・・・・」

少女「やっぱり・・・」

一同「?」

少女「やっぱり、おにゅのお芝居だったんだ・・・ なのに私は・・・ 本当に・・・」ガタガタ

狐神「ちょ、あなた震えが凄いけど大丈夫?」

少女「私が気付かずに・・・ この手で・・・ おにゅを・・・ あぁ・・・」ガタガタ

神様「アッチョー!」

ボフッ

少女「うっ・・・!」バタリ

狐神「アンタはいきなり何やってんのよ!!」

神様「心配いらない。 ただのローブローだ」

神使(神の身技では・・・)

狐神「可哀想に・・・ この子気絶してんじゃないの」

神様「それより色々と問題がありそうだな」

狐神「私、来たばかりで詳しい事情が分からないんだけど・・・ ちゃんと説明しなさいよ」

83: 2019/12/12(木) 23:10:40 ID:epjmLgg6

神様「・・・・・・。 おにゅが・・・ 消えた」

狐神「消えたって、どこに?」

神様「神力消滅だ」

狐神「え!?」

神様「鬼の血に飲まれて、村を・・・」

狐神「おにゅが? そんな・・・ 冗談でしょ!?」

神様「この少女ちゃんが神剣を使って・・・ おにゅを救ってくれた」

狐神「・・・・・・」

神様「」コトッ

狐神「?」

神様「この神社の神体だ。 神力使って見てみろ」

狐神「またアンタはそんな簡単に・・・ 普通の神には結構大変なんだけど」スッ

ポワポワ

84: 2019/12/12(木) 23:11:27 ID:epjmLgg6

ポワポワ

狐神「・・・・・・」ハァ

神様「事情はそういう事だ」

狐神「なるほどね。 アンタはこれを見て神頃しを発動しようと考えた」

神様「この村、そして少女ちゃんの為にも一度リセットが必要だ」

狐神「神ちゃん」

神様「?」

狐神「アンタ、おにゅが鬼の血に飲まれたなんて本当に思ってるの?」

神様「あ?」

狐神「・・・アンタってヤツは」ガタッ

神様「グヘッ! ヘブロブバー!」ズサー

神使「神様!?」

神様「痛たた・・・ 何だよいきなりビンタしやがって!!」

85: 2019/12/12(木) 23:12:49 ID:epjmLgg6

狐神「いや叩いてないし・・・ みかん取っただけだし・・・ アンタが勝手に吹っ飛んだんでしょ」

神様「おにゅを信じることが出来ないなら神を辞めた方が良いんじゃない? ってか?」

狐神「・・・・・・。 いや、そんな事全く考えて無いんだけど」

神様「分かってるよ、その位」

狐神「面倒くさいなぁ・・・ 合わせればいいの?」ハァ

神様「おにゅはずっと悩んでいたんだな。 無理もない」

狐神「そうね。 自身で神頃しを発動させるなんてよっぽどよね」

神様「は!?」

狐神「・・・・・・。 は?」

神様「エキノコックスは何言ってんの?」

狐神「それはこっちのセリフ。 というかフォックスは許すけどその呼び方は辞めて」

神様「フォックスなんて言わねーよ。 コックスだろうが」

86: 2019/12/12(木) 23:14:08 ID:epjmLgg6

狐神「・・・もしかして、アンタと私が考えていることは違うの?」

神様「そうみたいだな。 フォックスとコックスの区別がつかないなんて老年性の難聴なんじゃね?」

狐神「呼び方の話は良い。 おにゅの件よ」

神様「ついカッとなって暴走しちゃいました、テヘッ! 的なヤツだろ?」

狐神「いやいや、おにゅは元々正気を失っていないでしょ」

神様「いやいや、おにゅの暴走を神体経由で見ただろ? あれ演技ってレベルじゃないぞ?」

狐神「おにゅだってやるときは全力でやるでしょ。 自分で神頃しを出したんだから」

神使「おにゅ様は10年前に自身で神頃しを発動されたんですか?」

狐神「うん。 神勅宣言はしてないけど」

神様「確かにそれっぽい言葉は言ってたけど、神頃しなんて神勅宣言しないと発動できないだろ」

狐神「自分の管理地だったら問題ないでしょうが」

神様「いやいや、神頃しだよ? 事前に神宮と機構に許可だって必要だし」

狐神「人命に関わるような緊急性があれば、緊急神勅が出せる。 現に少女ちゃんはあの時・・・」

神様「そういえば、そんな特例があった気がするような」

87: 2019/12/12(木) 23:16:55 ID:epjmLgg6

狐神「あんた痴呆?」

神様「うるせーよ! 私の記憶力はそこら辺の人間の非じゃないぞ!」

神使「しかし神頃しであれば、おにゅ様が消えたままというのはおかしいのでは?」

神様「そうだよ、それ! 本当は私もそれが言いたかったの!」

狐神「本殿に神剣が戻ってない」

神様・神使「神剣?」

狐神「神ちゃんさぁ、本当にマニュアル覚えてないのね・・・」

神様「100ページのマニュアルなんか覚えきれるかよ」

神使(記憶力・・・)

狐神「神を討った神剣は、最後に本殿へ戻さないと神は消えたまま具現化できない」

神様「なにそれ?」

狐神「当然おにゅは具現化できていないから神勅解除も出ていない」

神使「では、おにゅ様は・・・」

狐神「えぇ、神剣を本殿に戻せばおにゅは戻ってくる」

神様「!?」

88: 2019/12/12(木) 23:18:04 ID:epjmLgg6

狐神「まぁ、おにゅは本当に消えるつもりだった気があるけどね」ハァ

神使「それはどういう・・・」

狐神「たぶん、任せたんでしょ」

神使「少女さんにですか?」

狐神「この子かも知れないし・・・ 私たちにかも・・・」

神様「・・・・・・」

狐神「少女ちゃんは今までよく耐えられたわね。 可哀想に・・・ 罪の意識で押しつぶされそう」

神様「いや、押しつぶされてる。 おにゅを手にかけたこと、そして村から神を奪ってしまったことを」

少女「―――」

神様「見ろ、気を失っているのにこの苦痛な表情・・・ 可哀想に」

狐神「アンタがローブローを叩き込んだからでしょ」

神様「やることは決まったな」

神使「まずは神剣の行方を調べないといけませんね」

狐神「所在は大体分かるけどね」

神使「?」

89: 2019/12/12(木) 23:19:54 ID:epjmLgg6

神様「でも、この村はもう一度恐怖のズンドコに陥れる必要がある」

狐神「そうね、その件に関しては私も異論はない」

神使「しかし、神頃しは出来ないのでは?」

狐神「一つだけ抜け道があるわ」

神様「ほぉ、聞こうじゃないか」

狐神「神法特例第18項付属4項が適用できる」

神様「あ~ あれね。 アレはいい手だわ」

狐神「・・・・・・」

神使「その付属特例とは?」

狐神「・・・神移し」

神様・神使「神移し?」

狐神「アンタ、そのいい加減な性格直した方が良いわよ?」

神使「その神移しというのは?」

狐神「神頃しとほとんど同じなんだけど、後継を人ではなく別の神に移す場合に適用される」

神使「神が神を頃すという事ですか?」

90: 2019/12/12(木) 23:22:34 ID:epjmLgg6

狐神「そう」

神様「ったく、いつの時代から神はそんなに細かい規則だらけになったのかねぇ~」

狐神「アンタが最終決済してるんだけど・・・」

神使「しかし何でそんな特例が・・・ それこそ神同士で話せば済むことでは?」

狐神「本来この特例は、元の神が更迭される場合に適用するの」

神使「なるほど、委任までの期間が短かすぎて権威を継承できない時という事ですね?」

狐神「さすが頭の回転が早いわね」

神様「恐縮です」ペコリ

狐神「アンタを褒めてない」

神使「・・・・・・」

狐神「まぁ理由はどうあれ、これなら別の神勅になるからきっと通るはずよ」

神使「しかし、その場合少女さんは・・・」

狐神「神ちゃん、私はこの子を神にすることを進言するわ」

神様「・・・・・・」

狐神「少女ちゃんにはその資格が・・・ いえ、少女ちゃんは神にするべきだわ」

91: 2019/12/12(木) 23:23:27 ID:epjmLgg6

少女「・・・ん・・・」ポー

神使「あ、少女さん」

狐神「良かった、気がついたようね」

少女「私・・・ ぅっ!」ズキッ

狐神「どうしたの? どこか痛む?」

少女「少しお腹に痛みが走っただけです」

神様「それは昨日食べたキムチが原因。 後で一緒に犬ころをボコしよう」

神使「・・・・・・」

神様「それより少女ちゃん、ちょっと話があるんだけど良い?」

少女「?」

92: 2019/12/14(土) 01:51:42 ID:t0iEx3j2

●本殿前

少女「あの、お話しって・・・」

神様「私がおにゅと初めて会った時、あいつは氏の寸前にいた」

少女「え?」

神様「悲惨な環境でたった一人・・・」

少女「・・・・・・」

神様「ツノがあるというだけで差別され・・・ おにゅは鬼族最後の一人になってしまった」

少女「おにゅにそんな過去があったんですか・・・」

神様「でも、あいつは決して人を恨んだりしなかった。 それどころか鬼族である自分が悪いんだと」

少女「・・・・・・」

神様「アイツは昔から自分の責任を重く捕らえる悪い癖があるんだよね。 あと、優しすぎる」

少女「私、おにゅはいつも隣に居るのが当たり前だって勝手に思い込んで・・・ それが悔しくて情けなくて・・・」

神様「・・・・・・。 少女ちゃん、おにゅをもう一度救ってくれない?」

少女「え?」

神様「お願いします! おにゅを助けて下さい!」ドゲザ

93: 2019/12/14(土) 01:52:33 ID:t0iEx3j2

●社務所

ガラガラ

狐神・神使「?」クルッ

神様「・・・・・・」トテトテ

神使「神様、少女さんは?」

神様「すぐ来る」

狐神「ダメだったか・・・」ハァ

神使「え?」

狐神「神が増えた気配がない」

神使「そんな・・・」

ガラガラ

少女「お待たせしました」スタスタ

神使「少女さん?」

神様「お団子結いも可愛かったけど、私はそっちの方が少女ちゃんに合っていると思う」

94: 2019/12/14(土) 01:53:31 ID:t0iEx3j2

狐神「? その頭についてるツノみたいなのは何?」

少女「これは、おにゅと共に生きる私の決意です」

狐神「・・・・・・。 そっか、ありがと」フッ

神様「さて」

狐神「?」

神様「おいコックス、ちょっと手を出せ」

狐神「手?」

神様「早く!」

狐神「?」スッ

神様「少女ちゃんも手を」

少女「はい」スッ

狐神「何? 決起の誓い? 良いわね、私そういうの結構好―――」

神様「秘技! 神力譲渡!!」

95: 2019/12/14(土) 01:54:13 ID:t0iEx3j2

ポワポワ

狐神「うギャぎゃぎゃぎゃ!!」

少女(温かい・・・)

ポワポワ

神様「フ~ これでよしっと」

狐神「アンタ・・・ 何したのよ・・・」グタッ

神様「少女ちゃんを神にしたんだけど」

狐神「にゃんで・・・ わだじの神力を゛・・・」ヘナヘナ

神様「だって私は神力ないし~」

狐神「あ~・・・ そういう・・・」

神さま「あと、猫でもないのにニャンとか言うな、狐はコンコンだろ」

狐神「狐は、そんな声・・・ 出さない・・・わ゛」バタッ

神使「狐神様!」

96: 2019/12/14(土) 01:54:56 ID:t0iEx3j2

神様「よし! それじゃ早速神勅を出すか!

狐神「待ちなさい。 再神勅を出すとしても、一つ問題があるわ」ヨロッ

神様「あ?」

狐神「残念だけど、私はこれ以上手伝うことが出来ない」

神様「は!? 何でだよ! あんなもんで拗ねるなよ!」

狐神「拗ねてないわよ!」

神様「お前、言い出しっぺだろうが」

狐神「私がここへ招致されたのは、先の取り消された神勅によるもの」

神様「は?」

神使「なるほど・・・ 神頃しの神勅が取り消されたから狐神様もその任は取り消されると」

狐神「そういう事。 たぶん神移しの神勅の方で別の神が来るんじゃない?」

97: 2019/12/14(土) 01:56:16 ID:t0iEx3j2

神様「え~ お前がいちばん適任だったんだけど」

狐神「どういう意味?」

神様「お前って人を脅かしたり騙したりするの好きだろ?」

狐神「好きじゃない! 私を何だと思ってるのよ」

神様「だって~ 神罰用のガラクタいっぱい持ってんじゃん」

狐神「うぐっ・・・」ギクッ

神使「ちなみに、次の番の神はどなたなんですか?」

神様「うさーとか頼りないヤツは勘弁な」

狐神「確か~・・・ ふふっ、ある意味私が取り消されて良かったかも」ニヤッ

神様・神使「?」

98: 2019/12/17(火) 00:52:52 ID:9mWHxeq2

●翌日・神社

猫神「」ポワポワ

神様「まさか猫神が次の順番だったとは・・・」

狐神「私は猫神ちゃん以外の適任者を知らない」

神使「猫神様は破壊とかそういう野蛮な行為は向かないような気が・・・」

神様「お前は、まだ猫神の本性を知らないからそんな事が言えるんだ」

狐神「うんうん」コクコク


猫神「・・・ふぅ」

神様「あ、神体見終わった?」

猫神「うん」

狐神「猫神の力が必要なのよ」

猫神「少女ちゃ~ん」

少女「?」

猫神「あなたには、私の全てをかけてでも幸せな人生を叶えてあげる~」ギュ

99: 2019/12/17(火) 00:53:35 ID:9mWHxeq2

神様「はいはい、百合はそこまで~」

猫神「できるだけ早めに作戦を実行したが良さそうだね~」

狐神「神剣ってどうする? この神社のやつは無いみたいだし」

猫神「わたし自分の持ってきたからこれ使って~」

狐神「うわっ、凄! 高そうな神剣ね・・・」

猫神「私の神力が詰まっているから、刺されてもそれほど痛みはないし~」

神様「え? やっぱ痛みとかあるの? わたし神頃しって経験した事ないから」

猫神「刺されるんだも~ん。 そりゃ痛いよ~」

狐神「・・・・・・。 私、やっぱり外れて良かった・・・」ホッ

神様「よし! それじゃ早速準備に取りかかろう」

猫神「その前に~ 一つ良いこと思いついちゃったんだけど~」

神様「良いこと?」

猫神「狐神ちゃ~ん、出番よ~」

狐神「私?」

100: 2019/12/17(火) 00:54:19 ID:9mWHxeq2

●夕方・神社裏

村人A「俺を呼びだしたのはお前か?」

狐神「そうだ」

村人A「アンタ誰だ? この村の者じゃねーな。 それにその格好・・・」

狐神「神」

村人A「はぁ?」

狐神「おにゅと同じ力を持つ者。 いやそれ以上と言えば理解できるか?」

村人A「!?」

狐神「そう怖がるでない。 私はお前の味方だ」ニヤッ

村人A「ど、どういう意味だ」

狐神「預言を授けよう」

村人A「・・・預言?」

狐神「明日、この村に10年前と同じ災厄が訪れる」

村人A「10年前って・・・ まさか!」

狐神「鬼がこの村を焼き尽くす。 誰一人逃げられぬぞ」ククク

101: 2019/12/17(火) 00:54:56 ID:9mWHxeq2

村人A「!?」

狐神「だが、助かる方法が一つだけある」

村人A「そ、それは一体・・・」

狐神「お前がこの村を救うのだ」

村人A「何をバカな。 そんな事を信じられるわけ―――」

シュン

村人A「消えた!?」

狐神「後ろだ」ボソッ

村人A「!?」クルッ

狐神「我の言っていることを信じる気になったか?」ニヤッ

村人A「あ・・・ あぁ」ゴクリ

狐神「お前が、鬼を討つのだ。 あの時の少女のように」

村人A「・・・・・・」

狐神「なぁに、難しいことはない。 同じようにすれば良いだけだ」

村人「で、でもどうやって・・・」

102: 2019/12/17(火) 00:55:32 ID:9mWHxeq2

狐神「持っているのだろ? その時の剣を」

村人A「何でそれを・・・」

狐神「神に隠し事などできぬぞ?」

村人A「そ・・・ その鬼とやらを、俺がその剣で・・・ いや、無理だろ・・・」

狐神「私には見える。 お前が鬼を討つ姿が」

村人A「・・・・・・」

狐神「そして、村を救った英雄として絶対的な力を手に入れる姿が」

村人A「!?」

狐神「あの剣は特殊でな、鬼は近づくことすら出来ぬほど極端に嫌う」

村人A「そういう事か・・・ それで10年前あんな小さなガキが鬼を退治できた訳か」

狐神「理解が早いな」

村人A「で、でもアンタは何で俺にそんな事を?」

狐神「これでも私は神だ。 鬼の悪行をほおって置けないのでな」

村人A「・・・分かった。 乗るぜ、その計画」

狐神「良い選択だ」ニヤッ

103: 2019/12/17(火) 00:56:09 ID:9mWHxeq2

●社務所

狐神「どう? 上手くいったと思うんだけど」スタスタ

神様「お前、結構良い演技するじゃん」

猫神「狐神ちゃんって昔からああいうの上手だよね~」

神使「神の神秘さ、畏れが滲み出ていて感銘しました」

狐神「別に・・・ 神なんてああいうのが仕事みたいなものだし///」モニョモニョ

少女「あの人が、おにゅの神剣を・・・」

猫神「10年前、混乱の中でこっそり持ち去ったみたいだね~」

神様「その神剣を本殿に戻せば、おにゅは帰ってくる」

狐神「少女ちゃん、覚悟は出来た?」

少女「はい。 おにゅに会えるなら何だってします」

猫神「全力でよろしくね~」

少女「今度は、最後まで絶対に役を果たしてみせます」

神様「よし、作戦は明日の朝。 気合い入れて行くぞ!」

一同「オー!」

104: 2019/12/17(火) 01:00:15 ID:9mWHxeq2

●翌日・村の中心街

 村人達「キャー 助けてー!」

 村人達「あぁ・・・ 村が・・・ 俺達の村が・・・」

ズドーン メラメラ


猫神「ニャーハハハッ! どうした人間共! 弱い! 弱すぎるぞ!!」

ズドーン ズドーン


猫神「我を止めぬと村が滅んでしまうぞ? まぁ、抵抗しようが時間稼ぎにもならぬがな」ニタァ

猫神「ニャーハハハッ! ほれほれ~っ!」

ズドーン ズドーン


神様「あ、あいつ本当に神かよ・・・ あんなの誰も倒せないだろ・・・」ブルブル

狐神「ね、猫神・・・ 怖い・・・ 怖いよ」ブルブル


猫神「破壊とはなんと愉快なり! 逃げ惑え! 愚かな人間共!!」

猫神「さぁ、最初に喰われたいヤツは誰だ! ニャーハハハッ!!」

105: 2019/12/17(火) 01:01:30 ID:9mWHxeq2


神使「・・・・・・」ブルッ

少女「あの・・・ あれって本当に演技なんでしょうか?」ガタガタ

神使「たぶん・・・ 本当の猫神様はとても優しい方だったと思いますので・・・」

少女「でも、予定外の所まで破壊している気がします・・・」

神使「取り壊し予定だった建物なのでは・・・」

神様「お前は本当の猫神の怖さを知らないからそんな事を言えるんだ・・・」ブルブル

狐神「あんなの止めるなんて自殺行為よ・・・」ブルブル

神使「少女さん、ファイトです」

少女「・・・・・・。 私、あの中に入るのはちょっと・・・」

神様「なぁ・・・ 中止して皆でおうち帰らない? あれ無理だって・・・」ブルブル

狐神「怖い・・・ 怖いよ」ブルブル


猫神「ニャーハハハッ!」

ズドーン ズドーン

107: 2019/12/18(水) 22:02:04 ID:SPwjGhC.

村人A「まて!」スタッ

猫神「あ?」ギロッ

村人A「!?」ビクッ

猫神「何だ~お前? 喰われたいのかぁ?」ニタァ

村人A「そ、そんな口叩いていられるのも・・・ い、今だけだ」ブルブル

猫神「ニャーハッハッ! 足をガクつせて何を言っているのかなぁ?」

村人A「う、うるさい。 勝負だ!」ブルブル

猫神「ほぉ~ お前が我の相手をすると申すか。 人の分際で我を相手にすると~?」ニャハハハ

村人A「コレを見てもそんな事が言えるのか?」

スッ

猫神「そ、それは!」ピクッ

村人A「形勢逆転ってな」ニヤッ

猫神「何故それを・・・ それは神に選ばれし者しか扱えぬ剣」グヌヌ

村人A(へっ、どうやら本当にあの目狐の言った通りに事が進みそうだな)

108: 2019/12/18(水) 22:02:49 ID:SPwjGhC.

ジリジリ

猫神「ま、待て! 望みは何だ! お前が望むなら私の右腕に―――」

村人A「だれが、アンタみたいな化物の仲間になんかなるかよ!」タッタッタッ

猫神「くっ! ここまでか~」

村人A「おら~ くたばりやがれ!!」

猫神「」ニヤッ

スッ

村人A「え?(消えた!?)」

猫神「後ろだよ~」ボソッ

村人A「またかよ!」クルッ

パンッ

村人「ぐあっ!」ズサー

109: 2019/12/18(水) 22:03:33 ID:SPwjGhC.

猫神「おめでとう~ 神に選ばれし者よ~」

村人A「痛つつ・・・ 何ビンタなんかしてん―――」

パンッ

村人A「痛っ! てめぇ!」

パンッ

村人A「ふざけやがっ―――」

パンッ

村人A「ぐぁ! いい加減にし―――」

パンッ

村人A「おま―――」

パンッ

村人A「ぐっ!」ドサッ

猫神「倒れるのはまだ早いんじゃないの~? 神の怒りに触れ神罰を受ける者よ」グイッ

村人A「うっ・・・」

パンッ パンッ パンッ パンッ

110: 2019/12/18(水) 22:04:06 ID:SPwjGhC.

狐神「うわ・・・ 猫神、完全に切れてるわね」

神使「猫神様・・・」

神様「・・・・・・」


村人A「」ドサッ

猫神「この神剣は返してもらうわね~ あなたのような者が触れて良いものではないから」

村人A「ぅっ・・・」

猫神「今回はこの位で勘弁してあげる~」

村人A「・・・・・・」グッタリ

猫神「ただし~ 二度とこの地を踏むんじゃないぞ。 分かったな?」ギロッ

111: 2019/12/18(水) 22:05:04 ID:SPwjGhC.


神使「」ブルッ

狐神「久しぶりに見たわね、猫神の本気」ゴクリ

神様「・・・・・・」

狐神「神ちゃん?」

神様「・・・・・・」

神使「あっ、これ神様失神してますね」

狐神「通りで静かだった訳ね・・・」

神様「」ジュワ~

神使「神様・・・ 洗濯する方の身にもなって下さい」


狐神「少女ちゃん、怖いのは分かるけどそろそろ出番・・・ って」キョロキョロ

神使「あれ? 少女さんがいませんね」

狐神「まぁ、あんなの見せられちゃ無理もないか・・・」ハァ

112: 2019/12/18(水) 22:05:46 ID:SPwjGhC.

猫神「さ~て、次は誰が私の相手をしてくれるんだ~い?」


少女「私がお相手いたします」ザッ

猫神「へぇ~ その格好はこの村の巫女さんかなぁ~?」

少女「あなたに名乗る必要はありません」キッ

猫神「ほぉ~ 若くて美味そうだ」ニヤッ

少女(怖い・・・)ゴクリ

113: 2019/12/18(水) 22:06:20 ID:SPwjGhC.

狐神「へぇ、やるじゃんあの子」

神使「とても凜々しいですね」


村人「おい、あれは・・・」

村人「まさか、少女ちゃんか?」

村人「少女ちゃーん! また村を守ってくれー!」

村人「そうだー! やっぱり鬼遊神社の巫女さんはこの村の守り神だー!」



狐神「随分と勝手なものよね」

神使「少女さんへあれだけの仕打ちをしておきながら・・・」

狐神「でも、少女ちゃんよく耐えてるわね」

神様「・・・・・・」


村人「そんな鬼なんかその剣で一突きにしてしまえー!」

村人「あの時みたいに格好良く頼むぞー!」

114: 2019/12/18(水) 22:07:02 ID:SPwjGhC.


少女「うるさいな・・・」ボソッ


村人達「・・・・・・」


少女「」ジリジリ

狐神「さぁどうした、人の子よ。 怖くて踏み出せぬか?」

少女「・・・・・・」ゲシッ ゲシッ

村人A「お、おい・・・ 何故俺を蹴るんだ・・・ けが人だぞ・・・」

少女「失礼。 そんなところで転がっているのでゴミかと思いました」

村人A「・・・・・・」

115: 2019/12/18(水) 22:07:38 ID:SPwjGhC.

狐神「やっぱ少女ちゃんでも怒るよね」

神使「どことなく神様と似た雰囲気がするのは気のせいでしょうか?」

神様「・・・・・・」



少女「」スチャッ

猫神「ほぉ~ 随分と良い剣じゃないか」

少女「あなたへの餞です」

猫神「ニャハハ! その言葉、そのまま返してやろう」

116: 2019/12/18(水) 22:08:27 ID:SPwjGhC.


猫神 「さぁ、勝負だ。 その神剣を我に向けよ」
おにゅ『さぁ、勝負だ。 その神剣を我に向けよ』

少女「!?」スチャッ

少女(あの時と同じ・・・ 剣が勝手に・・・)


猫神 「ふははっ! 良いぞ、では参る!」ザッ
おにゅ『ふははっ! 良いぞ、では参る!』ザッ

少女(体が勝手に!?)

タッタッタッ

猫神 「氏ねー!」
おにゅ『氏ねー!』


グサッ

117: 2019/12/18(水) 22:08:59 ID:SPwjGhC.


――
――――


ドサッ

おにゅ「・・・・・・」

少女「お・・・にゅ・・・?」

おにゅ「さすが少女・・・ 素晴らしい立ち振る舞いでした・・・」ウッ

少女「ごめんなさい・・・ ごめんなさい・・・」グスッ

おにゅ「ありがとう」

少女「なんで・・・ なんで謝ったりするの・・・?」

118: 2019/12/18(水) 22:09:35 ID:SPwjGhC.

おにゅ「私はずっとこの村を・・・ そして・・・ これからもあなたを見守り続けます」ゴボッ

少女「いや・・・ うそ・・・ いやだ・・・」

おにゅ「辛い思いをさせて・・・ ごめんね」ウッ

少女「いやだ・・・ お願い・・・ 嫌だよ!」グスッ

おにゅ「笑って・・・ 笑顔を見せて・・・ そしたらまた私は・・・・・・」ニコッ

少女「嫌ー!!!」


――――
――

119: 2019/12/18(水) 22:10:09 ID:SPwjGhC.

少女「・・・おにゅ」


猫神「とても綺麗な立ち振る舞いでしたよ~」ウッ

少女「猫神様!」ハッ

猫神「頑張って・・・ 少女ちゃん・・・」ゴボッ


村人「・・・勝ったのか?」

村人「やった・・・ やったぞ!!」

村人「これで村が守られたー!!」

120: 2019/12/18(水) 22:10:46 ID:SPwjGhC.

少女「うるさい・・・」ボソッ

村人達「?」

少女「うるさい!! 私は今のこの村を守ったんじゃない!!」

村人達「・・・・・・」

少女「私は・・・ 私はおにゅが愛した10年前の村を守ったの! 勘違いしないで!!」グスッ



神使「少女さん・・・」

狐神・神様「・・・・・・」


少女「こんな村、わたし一人なら絶対に守ったりしない・・・」

少女「でも、おにゅが守ったから・・・ おにゅが居てくれれば私は一緒に・・・ もう一度」グッ


村人達「・・・・・・」

121: 2019/12/18(水) 22:11:23 ID:SPwjGhC.


少女「神勅! 三度鬼の出でしこの地へ“鬼之神おにゅ”と“おにゅ之神少女”が鎮座し、村の平穏を導く事とする!」

少女「以上! おにゅ之神少女から神勅を申し伝えた!」


狐神「中々様になってるじゃない」

神使「はい。素晴らしい神勅ですね」

神様「・・・・・・」


狐神「ったく、アンタはいつまで気を失ってるのよ」

神様「起きてるよ」

狐神「?」


少女(おにゅ、わたし役目を果たせたかな・・・)

123: 2019/12/21(土) 21:42:11 ID:rmse/uQo

●本殿

神様「さてと、んじゃ久しぶりにおにゅとご対面といきましょうか」

狐神「こら、その前に猫神でしょ」

神様「あの悪鬼は永久封印で良いんじゃないか?」

狐神「あんた・・・ 後で猫神に言いつけてやるから」

神使「猫神様にお仕置きしてもらった方が良いかもしれませんね」

神様「!? う、嘘だよ・・・ 嫌だなぁ~」アハハ

狐神「少女ちゃん、猫神の神剣を貸して?」

少女「はい」スッ

神様「どうやって猫神を復活させるの?」

狐神「剣を本殿の祭壇に置いて、って知らないのかよ・・・」

神様「知ってる」

狐神「嘘くさいなぁ・・・」

神様「早くやれよ。 おにゅが待ってる」

124: 2019/12/21(土) 21:43:15 ID:rmse/uQo

狐神「分かったわよ」コトッ

シュー

猫神「ハロ~」

神様「なんかあっけないな。 つまんない」

神使「もう少し神秘的な感じを期待していましたが・・・」

猫神「え~ 折角のご対面でそんなこと言わないでよ~」

少女「猫神様・・・ 先程は失礼しました!」ドゲザ

猫神「いやいや、気にしないで~ 私も久しぶりに暴れて楽しかったし~」ツルン

神様「お前、村をあんなに破壊して本当は楽しんでたろ」

猫神「じゃぁ、神ちゃんもやってみる~? 剣で刺されるのって痛いんだよ」ギロッ

神様「!?」ジュワー

神使「神様、一日に何度漏らせば気が済むんですか・・・」

神様「バ、バカ! 一滴だけチビッただけだよ!」

神使「全出しじゃないですか」

125: 2019/12/21(土) 21:43:57 ID:rmse/uQo

狐神「はいはい。 それじゃぁ、メインイベントいきましょうかね」

猫神「久しぶりだなぁ~ おにゅちゃんに会うの~」

狐神「少女ちゃん、おにゅの剣を祭壇の上に」

少女「」コクリ

スタスタ

少女「おにゅ・・・」コトッ

ピカピカ

神様「うお~ 猫神の時と全然違う!」

神使「凄い光ですね」

シュー

おにゅ「・・・・・・」バタリ

少女「おにゅ・・・ おにゅ?」

126: 2019/12/21(土) 21:44:31 ID:rmse/uQo

神様「おい、アレ大丈夫なのか?」

狐神「長いことコッチと離れていたからね」

猫神「大丈夫。 すぐ覚めるよ~」

おにゅ「う~ん・・・」ムクッ

少女「おにゅ?」

おにゅ「あれ? えぇと・・・」

少女「おにゅ!」ダキッ

おにゅ「うわぁ! あの・・・ どちら様です?」

少女「久しぶりだね・・・ おにゅ」ウルウル

おにゅ「そのツノの飾り・・・ もしかして少女?」

少女「うん・・・ ごめんね、遅くなって」ギュッ

おにゅ「・・・・・・」

127: 2019/12/21(土) 21:45:30 ID:rmse/uQo

神様「よっ、久しぶり」

おにゅ「神ちゃん? それと・・・ お猫さんとお狐さんも・・・」

猫神「久しぶり~」

狐神「大丈夫そうね」ホッ

おにゅ「・・・神ちゃん、なんかお股が濡れて―――」

神様「あんま心配させるなよ」

おにゅ「え? あっ、私・・・ そういえば・・・」ハッ

神様「ちょっとゴタゴタがあって神頃しの遂行が遅くなった」

おにゅ「・・・・・・。 どうして」

神様「お前、神頃し発動させるなら少女ちゃんにきちんと話しておけよ」

おにゅ「・・・・・・」

128: 2019/12/21(土) 21:46:42 ID:rmse/uQo

狐神「少女ちゃんがあんたを助けてくれたのよ」

おにゅ「少女が?」

少女「私は何もしてない。 神ちゃんさまが」

おにゅ「どうして・・・ 私は消えるつもりで。 それより神ちゃんのお股が凄い事―――」

神様「少女ちゃんがこの10年間どんな思いで過ごしていたのか分かってんのか!」

おにゅ「!?」ビクッ

猫神「神ちゃん・・・」

狐神「おまた」ボソッ

神使「・・・・・・」

神様「少女ちゃんは・・・ 少女ちゃんは!」

少女「私は大丈夫です!」

129: 2019/12/21(土) 21:47:28 ID:rmse/uQo

おにゅ「少女・・・ 私、すごく迷惑かけてみたいだね・・・」

少女「悪いことをしたら?」

おにゅ「ごめんなさい」ペコリ

少女「きちんと謝れる子は良い子です」ニコッ

おにゅ「うっ・・・」グスッ

神様「今回の件、きちんと罰は受けてもらうぞ」

おにゅ「・・・はい」

神使「神様・・・」

猫神「今回くらいは良いんじゃないの~?」

神様「ダメだね。 こんだけ迷惑かけて、私たちだけでなく守るべき人にまで迷惑かけたんだから」

狐神「おまた」ボソッ

神様「」イラッ

130: 2019/12/21(土) 21:48:12 ID:rmse/uQo

おにゅ「罰・・・ 何でも、何千年でもお受けします」

神様「お前、この地の主神を剥奪な」

少女「!?」

おにゅ「・・・・・・。 はい、承知いたしました」フカブカ

猫神「神ちゃ~ん、それは厳しすぎるよ~」

狐神「そんなにお漏らしの件が気に入らなかったの?」

神様「うるさい、これは最高神判断だ。 口出しするな」

猫神・狐神「・・・・・・」

神様「本日よりこの地の主神は少女。 巫女をおにゅとする」

おにゅ・少女「え!?」

131: 2019/12/21(土) 21:48:42 ID:rmse/uQo

神様「明日は主神をおにゅ、巫女は少女」

一同「?」

神様「明後日は主神を少女、巫女を―――」

狐神「ちょ、ちょっとアンタ何言ってんの?」

猫神「なるほど~ それは厳しい罰だねぇ~」

神使「どういう事です?」

猫神「この大きさの神社だと神を二人も配置することが出来ないしね~」

神様「日替わりで主神と巫女を2人で入れ替える。 間違いは即神法違反」

狐神「なるほどね」フッ

おにゅ「それが罰?」キョトン

神様「厳しいだろ? 少女ちゃんは耐えられる?」

少女「はい!」

132: 2019/12/21(土) 21:49:15 ID:rmse/uQo

神様「おにゅはどうだ?」

おにゅ「・・・・・・」

神様「無理か?」

おにゅ「いや、その前に少女が神って? あと、神ちゃんのお股が気になって」

神様「少女ちゃんは神籍に入った」

おにゅ「神籍?」

少女「新米だけど///」

おにゅ「えー!?」

少女「神さまのお仕事を色々教えてね、おにゅ」ニコッ

おにゅ「少女・・・」

少女「2人でこの村を守っていこう? ずっと2人で・・・ 協力して」

おにゅ「ありがとう・・・ ありがとう少女」グスッ

133: 2019/12/21(土) 21:50:12 ID:rmse/uQo

狐神「アンタにしては良い締め方ね」

猫神「流石神ちゃんだねぇ~ 年期が違うよ」

神様「褒めてないよね、それ」

神使「でも、神様らしいですね」


神様「
こうして、かわゆい神様はその大役を果たしこの地を去った。
おにゅと少女は互いに協力し、村の発展に尽力。
寂れた村は立派な町へ、そして市へ、県庁所在地にまで反映を遂げる。
街の中心には常に助言を与え続けた神ちゃんの功績を称え、立派な神ちゃん像が鎮座。
そして―――



神使「神様? 勝手に変な妄想を垂れ流さないで下さい」

狐神「言っておくけど、今回アンタ大して役に立ってないから。 お股濡らしただけだから」

猫神「どちらかというと~ いちばんの功労者は私じゃないかなぁ~」

神様「うるせーよ! このままの流れじゃヤバいんだよ!」

神使「・・・確かに」

狐神「どういう意味?」

134: 2019/12/21(土) 21:51:45 ID:rmse/uQo

長官「こういう意味だ」


神様・神使「!?」ギクッ

長官「おや? 神ちゃん、お股が濡れているようだが」

神様「さっきオロミミンCこぼしたから」

猫神「長官く~ん 久しぶり~」

狐神「態々現地に出張るなんて珍しいわね」

長官「やぁ、久しぶりだね。 おにゅ」

おにゅ「お久しぶりです、長官さん」ペコリ

135: 2019/12/21(土) 21:52:22 ID:rmse/uQo

長官「君が神籍に入った少女神だね?」

少女「少女神だなんてそんな・・・ 私なんかまだ・・・///」ゴニョ ゴニョ

長官「後で神籍証を発行するから、これからよろしくね」

少女「・・・はい。 おにゅのように立派な神になれるよう精進いたします」

おにゅ「はぅ・・・///」

長官「期待しているよ」ニコッ

狐神「間違ってもお漏らしするような神にはならないでね?」

猫神「威厳に関わるからね~」

神様「さて、問題も解決したし私たちもお暇しようか」

神使「そ、そうですね神様。 まずは洗濯ですね」

神様「そうね」ハハハ

136: 2019/12/21(土) 21:53:07 ID:rmse/uQo

長官「何故、私が来たのかは神ちゃんと神使君なら分かるよね?」

神様・神使「・・・・・・」

長官「分かるよね?」

神様「まぁ・・・ 何となく・・・ いつものような感じでしょうか?」

狐神「あんた達、まーた何か悪さしたんでしょ」ケラケラ

猫神「も~ 神ちゃんは相変わらずだなぁ~」フフフ

長官「猫神君と狐神君にも話がある」

狐神・猫神「?」

長官「狐神君、君は何で今回の件に絡んだのかな?」

狐神「え?」

長官「君は最初の神勅取り消しで派遣を取り消されていると思うんだけど?」ニコッ

狐神「あ・・・ いや・・・ 何というか成り行きで・・・」オロオロ

137: 2019/12/21(土) 21:53:47 ID:rmse/uQo

長官「猫神君は、村の破壊が規定の10倍になっているんだけど?」

猫神「・・・・・・」

長官「村が滅茶苦茶なんだけど? 保険金が凄いことになるんだけど?」

猫神「それは~ あの位しないと迫力が~」オロオロ

長官「神ちゃんと神使君は、それら全ての元凶。 つまり首謀者だ」

神様「ちょ、それは間違いだ! 今回私は何の役にも立っていない!」

神使「確かに。 神様は今回オシッコ漏らしていただけのような・・・」

神様「そう! それ!! 皆も証明してくれる」

狐神「まぁ、確かに今回は・・・」

猫神「そうだね~ ほとんど失神してたし~」

長官「と言うことは、首謀者は猫神君と狐神君という事で良いかね?」

猫神・狐神「・・・・・・」

長官「首謀者の分の罰も二人が負担すると?」

神様「すまんね、猫ちゃん。 狐ちゃん」ニタァ

138: 2019/12/21(土) 21:54:23 ID:rmse/uQo

狐神・猫神「首謀者は神ちゃんです」

神様「ぇ?」

長官「だそうだ、神ちゃん」

神様「お前らふざけんなよ! 本当に私何もタッチしてないだろ!」

長官「神移しの神勅を出した張本人がそんなこと言っても説得力は無いよ?」

神様「うぐっ!」

長官「神ちゃん! 猫神君! 狐神君! そして神使君! 神宮で説教だ」

神様「ふーんだ! 今回は猫神と狐神が説教担当じゃないし怖くないよーだ」ベー

長官「説教担当は、神宮が誇るダメ巫女A子ちゃんだよ?」

神様「ぇ?」

139: 2019/12/21(土) 21:55:00 ID:rmse/uQo

長官「A子ちゃんプレゼンツ、96時間耐久A子の面白い話を聞き続ける会」

神様「ヤダ! ヤダヤダ!!」

狐神「なんか大したことない気がするけど」

神様「お前はA子ちゃんの面白い話が本当に面白いと思っているからそんな事が言えるんだ!」

猫神「? それってつまらないって事~?」

神様「そんな次元じゃない・・・ 私は5分で泡を吹く自信がある!」

神使「それはそれで逆に興味があるのですが・・・」

長官「それは神宮に帰ってのお楽しみだ。 さっ、行こうか」

おにゅ「あの、私は・・・ 私も罰を受ける必要が」

長官「おにゅちゃんも連れて行く予定だったけど、神ちゃんが先に罰を出しちゃったからね」

神様「マジかよ! じゃぁ私たちの罰は牡蠣食べ放題にする! 神ちゃん命令!」

長官「はいはい分かったから、行くぞ。 車を待たしてある」

140: 2019/12/21(土) 21:55:36 ID:rmse/uQo

神様「うわ~ん 嫌だよ~ 助けておにゅー! 少女ちゃーん!!」ズルズル

狐神「2人とも頑張ってね」ハハハ

猫神「何かあったら連絡してねぇ~」

神使「お二人のご活躍を願っております。 良い村にして下さい」ニコッ


おにゅ「ありがとう!」ニコッ

少女「皆様、ありがとうございます」フカブカ


おにゅ「あっ! なんか少女ってば落ち着きがあって格好いい」ムスッ

少女「10年の歳月は長かったの。 私、成長したんだから」ボイン

おにゅ「!? 少女が嫌な子に育ってるー」

少女「おにゅってこんなに小さかったっけ~?」ニヤッ

おにゅ「キー! 少女が鬼だ! 鬼畜だ!」ジタバタ

少女「そうよ、私は少女と同じ鬼。 頭にツノだってあるでしょ?」

おにゅ「・・・・・・」

141: 2019/12/21(土) 21:56:51 ID:rmse/uQo

少女「おにゅ?」

おにゅ「・・・ありがとう。 それを付けてくれたとき本当に嬉しかった」

少女「当たり前じゃない、これはおにゅと共に歩む私の覚悟・・・ 友情の証なんだから」


おにゅ「少女大好き! 少女に神の加護を!」

少女「おにゅにも神のご加護を」


 神様「その加護、私にも頂戴ー!」ズルズル


少女・おにゅ「ふふっ!」

少女・おにゅ「あはははは!」




神様「神様だ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
~ 番外編 2019年冬『おにゅおにゅ神社』~
おわり

142: 2019/12/22(日) 16:50:44 ID:ZoFTg8Ho
お疲れさま!神ちゃんは仕方ないなぁ…お布施の牡蠣鍋セットを寄贈します!

143: 2019/12/23(月) 01:47:53 ID:OVmJPVwU

引用: 神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」 5社目