353: 2020/10/05(月) 20:12:09 ID:DJXIjJjs

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#12 「あにあに神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#13 「いつでも一緒」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#0
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#14 「キセキ野教会」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#15 「神苑温泉」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#16 「お花を摘みに」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#17 「こんこん稲荷神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#18 「我☆偽神」

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#19 「神宮美食クラブ」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#20 「未来へ託して」

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編・2018年夏
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編・2018年冬
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編・2019年春
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編 2019年冬『おにゅおにゅ神社』
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編 2020年春『継々乃社之領域』~
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」~ 番外編 『モノノケランド』~【前編】
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――― 海ノ町・路地裏


隣町の主神「ふい~ ちょっと飲み過ぎちゃったかなぁ~」フラフラ

 モクモク

主神「ん? 霧・・・ いつの間に」キョロキョロ

 『この・・・ 町から・・・ 出て・・・』

主神「え? 誰かいるんですか?」

 『あなた邪魔・・・ この町に必要ない・・・』

主神「ど、どこに隠れているんです? 悪戯にしてはタチが悪いですよ」キョロキョロ

 『隠れてないよ。 上・・・』

主神「うえ?」クルッ

 『あはははははは!』


主神「・・・ぁ」バタッ
江戸前エルフ(9) (少年マガジンエッジコミックス)
354: 2020/10/05(月) 20:13:05 ID:DJXIjJjs

~あらすじ

神様「神宮の女神、神ちゃんです!」

神使「お付きの神使です」

355: 2020/10/05(月) 20:14:06 ID:DJXIjJjs

――― 数日後・山ノ町神社


主神「本当なんです! 信じて下さいってば~!」

神様「神使君、帰ろう」

主神「待って下さい! 私だって怖いんです!!」ガシッ

神様「別に怖い訳じゃねーし! もう秋だし! お化けは夏だし!!」

主神「話を聞いて頂けるまで離しません!!」

神様「話なら今聞いただろ! それモノノケだよ! 私の管轄外だ!!」

主神「400年生きてますがモノノケなんて見たことないですよ~」

神様「目撃第1号おめでとさん! よかったね!」

主神「も~ お願いですから助けて下さいよ神様~」

神様「得体の知れない物に触って、何かあっても責任取れねーんだよ!」ゲシゲシ

主神「それを言ったら私だって! 隣の海ノ町は元々の管理地じゃないですし!」

356: 2020/10/05(月) 20:15:12 ID:DJXIjJjs

神使「まあまあ、お二人とも取りあえず冷静に」

主神「神使さんは信じてくれますよね!」

神使「要約すると、霧の中で人影を見たという事ですよね?」

主神「あれは人ではありません、でも女の子でした」

神様「女の子なら人だろ・・・」

主神「人って浮きませんよね? それにカピチューが肩に乗ってたんです」

神様「・・・・・・。 えっと・・・ なに?」

主人「カピチューです。 こう、黄色くて丸っとした」

神様「・・・・・・」

神使「私の知る限り、カピチューはゲームのキャラだと思うのですが認識は合っていますか?」

主神「はい。 30センチくらいでしょうか、その子の肩にチョコンと」

357: 2020/10/05(月) 20:15:56 ID:DJXIjJjs

神様「神使君、こいつに良い医者を紹介してやってくれ。 じゃバイバイ」

主神「神様~ 話はこれだけじゃないんですよぉ~」ガシッ

神様「だから離せって!!」

主神「はい、話します。 実は―――」

神様「そっちの話せじゃねーよ!」

神使「神様も、ちゃんとお話を最後まで聞いたらお小遣い上げますから」

神様「うむ、その言葉をずっと待っていた。 話を続け給え主神君」

主神「ありがとうございます神使さん。 後で是非お礼をさせて下さい」

神様「私にしろよ…」

主神「実はこちらが本題なのですが・・・―――」

361: 2020/10/07(水) 19:05:00 ID:Rszs7N36

~ 数日前・隣町(海ノ町)


主神「今日のお昼はホッケ定食にしようかなぁ~♪ うん、そうしよう!」テクテク

 「あの」

主神「ん? 私ですか?」クルッ

少女「この町へは何をしに?」

主神「何をって、ご飯を食べに。 そこの定食屋です」

少女「止めに来たんじゃないんですか?」

主神「止めに? 何をです?」キョトン

少女「そんな事も分からないなんて、神の力って大したことないんですね」ハァ

主神「!? あなた、何で私の正体を・・・」

少女「先日忠告をしたと思うんですが」

主神「忠告・・・ !? あなた、まさか先日のカピチュー!?」

362: 2020/10/07(水) 19:05:51 ID:Rszs7N36

少女「・・・・・・」

主神「いえ、その・・・ すいません」

少女「警告です。 30分以内にこの町から出て下さい。 でないと・・・」

主神「・・・でないと?」ゴクリ

少女「この町に災厄が降ることになります。 あなたは望みますか?」ズイッ

主神「ひぃ!」ゾッ

少女「あはははははは」

主神「・・・・・・」バタリ


~~~
~~

363: 2020/10/07(水) 19:06:35 ID:Rszs7N36


主神「という事がありまして」

神様「怖っ! っていうかお前気絶しすぎだろ」

神使「その少女さんは、最初にお話し頂いた子と一緒だったんですか?」

主神「ハッキリとは覚えてはいないのですが、そうみたいですね」

神様「お前取り憑かれたね。 やっぱり私の管轄外だし帰る」 トテトテ

神使「神様、取りあえず最後まで話を聞きましょう」

主神「そうですよ!」グイッ

神様「グヘェ! いや、聞いたってどうにもならないって!」ジタバタ

364: 2020/10/07(水) 19:07:19 ID:Rszs7N36

神使「30分以内に町を出ろというのはどういう意味なのでしょう」

主神「それなんですが・・・ 実はその1時間後に事故があったんです」

神使「事故?」

主神「海ノ町の大通りで地盤沈下が」

神様「あっ、それニュースで見た。 3日くらい前だよな」

主神「タイミングが良すぎると思いませんか?」

神様「偶然じゃねーの?」

神使「確か奇跡的に巻き込まれた人はいなかったと聞きましたが」

主神「もしかしたら、あの子が防いだんじゃないかと」

神使「少女さんの言った“止める”というのは、地盤沈下による犠牲者・・・」

365: 2020/10/07(水) 19:08:10 ID:Rszs7N36

神様「だったら普通地盤沈下の方を止めない?」

神使「神であれば止めることは出来るのでしょうか?」

神様「分かりもしない事故なんかどうやって止めんだよ。 預言者じゃあるまいし」

神使「それですと、少女さんは神以上の存在という事になりますが」

神様「やっぱモノノケだね。 よし帰ろう」

主神「これを見てもそう言えますか?」ペラッ

神使「これは・・・ お札(ふだ)ですか?」

神様「綺麗な字だね。 上手上手」

主神「どうぞ」スッ

神様「パードゥン?」

主神「どうぞ」ズイッ

366: 2020/10/07(水) 19:08:50 ID:Rszs7N36

神様「・・・・・・。 ちょっとだけだぞ。 先っちょ触るだけだからな」ペトッ

神使「どうですか?」

神様「先っちょが濡れて・・・ いや~ん、この温もり体が火照っちゃう」クネクネ

神使「神様?」ジトー

神様「うそうそ。 っていうか何だよこれ。 何か変なの感じるんですけど・・・」

主神「結界のような物じゃないかと。 事故があった現場の周囲に置かれていました」

神使「まさか、このお札のお陰で巻き込まれた人が出なかったと?」

主神「断言は出来ませんが」

神使「その少女さんというのは一体・・・」


トントン


一同「!?」ビクッ

367: 2020/10/07(水) 21:13:01 ID:Rszs7N36


ガチャ


巫女「本日はようこそ」フカブカ

主神「巫女さんでしたか」ホッ

巫女「お飲み物をお持ちしました」スタスタ

神様「お、いいね~ 私はできれば気付けにシュワシュワしたものを」

巫女「コーラですがよろしいでしょうか」ニコッ

神様「ナイス! これが欲しかったの!」

巫女「こちらは濃いめの緑茶です」コトッ

神使「良い濁りですね。 ありがとうございます」

巫女「主神様はコーヒー牛乳ですね」コトッ

神使「いつもすみません。 頂きます」

巫女「何かございましたらお声を。 それでは、ごゆっくり」スタスタ


ガチャ

368: 2020/10/07(水) 21:13:42 ID:Rszs7N36

神様「今の子は?」

主神「巫女です」

神様「そんなの見りゃ分かるよ。 あの格好で巫女じゃなかったら何なんだよ・・・」

神使「こちらの神社の巫女さんですか?」

主神「はい、確か高校を卒業してからすぐに。 しっかり者でとても良い子です」

神様「良いね~ かわゆいし、一番脂がのってる時期だね」ジュル

神使「えーと・・・ お話しの続きなのですが、その少女さんの素性はお調べになったのですか?」

主神「はい。 隣町の中学2年生、聞いた限りでは普通の女子中学生のようですが」

神使「どうされますか神様」

神様「そうだね~ この場合は経験上放置がベストな選択かな」

神使「まずは気付かれないように少女さんを詳しく調べる必要がありますよね」

主神「しかし、私は素性がバレているようですし」

369: 2020/10/07(水) 21:14:17 ID:Rszs7N36

神様「んじゃ、解決したらメールだけ送っておいて。 話聞いたし私は帰る」

主神「待ってくだいさよ神様~」ガシッ

神様「だから離せよ! そんなの神宮の調査部にやらせろって」

神使「それは少しマズいですね」

神様「は? 何でだよ」

神使「私達に報酬が入りません。 お金が欲しいんです」

神様「お前・・・ いつからそんなこと言う子になっちゃったの?」

神使「あっ! 良い方法を思いつきました」

神様「神使君の良い方法はいつも良くない気がします!」

神使「きっと神様も気に入ってくれると思いますよ?」

神様「どんな妙案でも私は100パーセント動かないからな」

371: 2020/10/09(金) 22:11:11 ID:6.fGVMeE

――― 翌日・隣町 海ノ中学校


教師「では、自己紹介をお願いします」

神様「三重の方にある何とかっていう学校から来た“神宮 御子(じんぐう みこ)”です」ペコリ

教師「神宮付属皇學院中学校だね。 他に挨拶とか抱負はある?」

神様「そうですね、まずはこの2年4組を私の配下に置くことが目標です」グッ

教師「ここは2年3組だよ。 まずは自分のクラスを覚えないとね」ハハハッ

神様「え?」

教師「じゃ、神宮さんはそこの空いている席に座って下さい」

神様「はあ」トテトテ


教師「神宮さんは来月までの限定的な転校なので、短い間だけど皆仲良く」

生徒達「はーい」

372: 2020/10/09(金) 22:12:21 ID:6.fGVMeE

神様「よいしょ。 よろしゅうねお隣さん!」ニコッ

隣席の少女「よろしく」ニコッ

神様「私の事は親しみを込めて“かわゆい神ちゃん”って呼んで欲しいなぁ」クネクネ

少女「私は少女。 困ったことがあったら何でも言ってね」

神様「・・・ん? ごめん、もう一度名前教えて?」

少女「少女だよ?」

神様「・・・・・・。 え~と・・・」

少女「どうかしたの?」

神様「いや、なんで同じクラスなのかなって」

少女「だって、同じクラスの方が都合が良いでしょ?」フフッ

神様「・・・・・・」

少女「神ちゃんて凄い後光だね。 何の神さま?」ニコッ

373: 2020/10/09(金) 22:13:25 ID:6.fGVMeE

――― 30分後・校門


神使「急でしたが、これで無事に転入手続きは終わりです」

主神「しかし神様を転入させるなんて凄いアイデアですね」

神使「神様の性格上、絶対に快諾すると思いました」

主神「バレたりしないでしょうか?」

神使「少女さんとは別クラスで手配したので、神様がミスさえしなければ大丈夫かと」

主神「それが一番心配ですが」


 神様「本当だよ」


神使・主神「!?」クルッ

神様「チャオ」

神使「神様! 学校はどうされたんですか!?」

神様「バレちゃいました」テヘッ

374: 2020/10/09(金) 22:14:29 ID:6.fGVMeE

――― 昼・定食屋


神使「いくら何でもバレるのが早すぎますよ・・・」

神様「私のせいじゃないって! 大体何でクラスが同じなんだよ、話が違うだろ」

神使「え!? 同じクラスだったんですか?」

神様「2年3組。 しかも隣の席が少女ちゃんなんてあり得ないだろ」

主神「神使さん、これは一体・・・」

神使「おかしいですね。 確か神様は2年4組だったはずですが」

神様「いきなり“神ちゃんて後光が凄いね”って言われた」

神使「後光?」

主神「もしかして、少女さんは神力を察知出来る能力があるのでは?」

神使「いえ、その線は薄いと思います」

主神「?」

375: 2020/10/09(金) 22:15:22 ID:6.fGVMeE

神使「神様は神力ゼロですから」

神様「そうそう、私って神力ないから気付かれない。ってうるせーよ」ゲシッ

神使「痛っ!」

主神「では一体どうして・・・」

神様「今回に限っては私は1ミリも悪くないからな」


店員「はいお待たせ。 牡蠣フライ定食に牡蠣フライ追加の方は?」


神様「あっ、私だ」

神使「凄い量ですね。 牡蠣フライばかりそんなに食べられるんですか?」

神様「余裕よ」パクパク

376: 2020/10/09(金) 22:16:49 ID:6.fGVMeE

神使「しかし、なんでこんな手違いが・・・」

主神「バレてしまったからには別の方法を考える必要がありそうですね」

神使「神様はどう思います?」

神様「私に聞くなよ・・・ まぁ、私の後光が見えたってのはちょっと変だよなぁ」

主神「神様くらいでしたら神力ゼロと言っても、僅かに残っているのでは?」

神様「私だってバカじゃないよ。 今朝、学校へ行く前に神力は完全に抜いたし」

神使「ではどうして神様の正体が・・・」

神様「少女ちゃんは私達の事を以前から知っていた。 または知る機会があった」

主神「私がこの件を相談したのは昨日が初めてですし、とてもそんな時間は・・・」

377: 2020/10/09(金) 22:17:33 ID:6.fGVMeE

神使「どちらにしろ別の調査方法を模索した方が良さそうですね」

神様「いや、このまま成り行きに任せて相手の出方を見た方が良いかもな」

主神「何か良い方法でも?」

神様「飯食い終わったら、私はもう一度学校に戻る」

神使「大丈夫でしょうか? 少し心配な気もしますが・・・」

神様「だって」

主神・神使「?」

神様「この制服かわゆいし、もう少し着ていたい」モグモグ

主神・神使「・・・・・・」


神様「すいませーん! 牡蠣フライおかわり!!」

379: 2020/10/12(月) 21:59:12 ID:NeT/D3MI

――― 放課後・教室


 ガヤガヤ

生徒A「神宮さん、朝はどうしたの?」

生徒B「急に教室飛び出していったけど」

神様「あ~ ちょっとね。 えーと・・・ 女の子なもので」アハハハ

生徒A「そ、そうだったんだ///」

生徒B「ごめんね、変なこと聞いちゃって///」

神様「変な心配させちゃって悪かったね」ハハハ

少女「でも、良かった。 もう学校に戻ってこないと思って心配しちゃったよ」

神様「私もそれなりに場数踏んでるから、あの位の事ではダメージゼロよ」ニッ

少女「・・・・・・」

380: 2020/10/12(月) 21:59:54 ID:NeT/D3MI

神様「あっ、それと皆も私のことは神ちゃんって呼んで」

生徒A「うん。 そういえば、神ちゃんて神宮御子(じんぐうみこ)っていう名前だよね」

神様「そだね。 ちなみに最初の“じ”にアクセントね」

生徒A「・・・そうなんだ」

生徒B「何か御利益ありそうな名前だね」

神様「おみくじは必ず大吉を引けるしね」

生徒A「うそ!?」

生徒B「何か見分け方とかあるの?」

神様「神の力」ニヤッ

少女「・・・・・・」

神様「な~んてね」ウヒャヒャ

381: 2020/10/12(月) 22:00:36 ID:NeT/D3MI

少女「神宮の学校に通ってるって事は、将来は神主とか巫女にでもなるの?」

神様「え~ 少女ちゃん、それを私に聞いちゃうの~?」

少女「・・・・・・」

神様「うそうそ。 ま、何を隠そう私は神宮で巫女をやってたしね」

生徒A「え!? 神ちゃんって巫女さんなの?」

神様「こう見えて私は優等生なのだよ」フンスッ

生徒A「少女ちゃんとどっちが成績が上なんだろうね」

生徒B「少女ちゃんはいつも成績トップだもんね」

少女「そ、そんな事ないよ///」

神様「おほほっ。 これはどちらが上か楽しみですな」カッカッカッ

少女「・・・・・・」イラッ

382: 2020/10/12(月) 22:01:15 ID:NeT/D3MI

生徒A「あっ、でも中学生で巫女さんって凄いね」アタフタ

生徒B「う、うん。 格好いいよね」アセアセ

神様「巫女の御子ちゃん。 みこみこってダジャレかよオイ!」ウヒャヒャ

一同「・・・・・・」

神様「あっ、神宮巫女と神宮御子でダブルミーミングじゃん。 すげー」

少女「ミーニング。 神ちゃん英語は苦手みたいだね」ニコッ

生徒A・B「・・・・・・(少女ちゃんがキレてる)」タラタラ

生徒B「え~と・・・ か、神ちゃんの家って海ノ町?」

神様「山之町、隣町だね。 転校期間中は山之神社に住んでる」

生徒B「神社に!?」

383: 2020/10/12(月) 22:03:15 ID:NeT/D3MI

生徒A「少女ちゃんと同じだね」

少女「・・・・・・」

神様「?」

生徒B「ちょっとA子ちゃん」コソッ

生徒A「あっ、ごめん・・・」

少女「気にしないで」ニコッ

神様「少女ちゃんの家って神社なの?」

少女「神社の近くに住んでるだけだよ」

神様「ふ~ん」

生徒A「そ、そうだ! 神ちゃん、まだここら辺って慣れてないでしょ」

生徒B「案内がてらこの後お茶でもしない?」

神様「だったら歓迎会してよ」

生徒B「え~ それ自分から言うの~?」アハハハ

384: 2020/10/12(月) 22:03:48 ID:NeT/D3MI

神様「うちの神社大きいし、これから皆で来ない? もてなすよ」

生徒A「あっ、行ってみたーい」

神様「じゃ、決まり! 少女ちゃんも来てくれるよね?」

少女「私は用事があるから」

神様「え~ 来てよ~ 歓迎してよ~」スリスリ

少女「わ、分かったから。 そんなにくっ付かないでよ」

神様「私、職員室に寄って行くから校門で待ち合わせね。 じゃ、また後で」タッタッタッ


生徒A「神ちゃんて変わってるね・・・」

生徒B「猪突猛進って感じだよね」

少女「なんか・・・ 調子狂うなぁ」ボソッ

385: 2020/10/12(月) 22:04:20 ID:NeT/D3MI

――― 廊下


prrr prrr

神使『はい神使です』

神様「あっ、犬ころか? これから皆でそっち行くから」

神使『皆って、まさか少女さんもですか!?』

神様「そう。 少女ちゃん含めクラスメイト3人」

神使『何が事前に準備しておくことはございますでしょうか』

神様「お菓子、ケーキ、コーラ、間に合えばピザも。 後は~」

神使『いえ、そういう意味ではなく・・・』

神様「いいか? 私のこれからの学生生活の立ち位置がかかっている。 手を抜くなよ」

神使『ちょ、かm―――』

ピッ

神様「さ~て、どう出てくるかな?」ニヤッ

387: 2020/10/15(木) 02:58:25 ID:7L0fanAA

――― 山之神社


神様「ささ、みんな上がって」

生徒A「ねぇ神ちゃん、ここって本殿って言うところでしょ?」

神様「よく知ってるね」

生徒B「本殿って神聖な場所だよね。 勝手に入っちゃっても良いの?」

神様「神聖? 金と欲にまみれた願いを聞くための穢れた場所だよ」

生徒A「そうなんだ・・・」

少女「・・・・・・」

神様「ま、立ち話も何だし早く中に入って」ニコッ

一同「お邪魔しま~す」

388: 2020/10/15(木) 02:59:20 ID:7L0fanAA

生徒A「うわ~ 凄い豪華」キョロキョロ

生徒B「壁がキラキラしてる」キョロキョロ

神様「こういうのにお金使わないと色々とうるさいんだって。 税金対策って言うの?」


 トントン


神様「だれ?」

神使「私です。 お菓子をお持ちしました」

神様「お~ サンキュ」

神使「皆さん、ようこそいらっしゃいました」ペコリ

生徒A・B(格好いい!!)キュン

389: 2020/10/15(木) 03:00:19 ID:7L0fanAA

神様「おい犬ころ、ピザとケーキがないんだけど」ゴソゴソ

神使「そんな物すぐに用意できるわけないじゃないですか・・・」

神様「ったく、使えねーな」チッ

生徒A「ちょっと神ちゃん、こちらの方は?」コソッ

神様「ん? こいつは、え~と・・・」

神使「神宮の神職で神使と申します」

神様「そうそう、私のお付きとして連れてきた犬ころ」

神使「お付きというかお守りですね。 皆さん、どうぞよろしくお願いします」ニコッ

生徒A・B(凄く格好いい!!)キュン

390: 2020/10/15(木) 03:01:40 ID:7L0fanAA

神様「そうだ神使君、巫女ちゃんを紹介したいから呼んできて」

神使「それが、先程急用で主神さ・・・ お二人で一緒に外に出られました」

神様「そうなの?」

神使「戻りは遅くなるようです」

神様「ふ~ん」チラッ

少女「」ホッ

神様「・・・・・・」


神様「よーし! それじゃ、神ちゃん歓迎会スタートゥ!」

391: 2020/10/15(木) 03:02:53 ID:7L0fanAA

――― 1時間後


神様「――という訳で全部私の物になった訳よ」

生徒A「神ちゃん面白い!」ケラケラ

生徒B「もうダメ、笑いすぎてお腹痛い」ヒーヒー

神様「どうよ少女ちゃん、私の武勇伝は」

少女「これ以上笑えない・・・ 腹筋が氏んだ」ピクピク

神様「おまる」ボソッ

少女「ダメ! それ以上言わないで」プッ クスクス

神様「まぁ私にかかればこんなもんよ」フンスッ

生徒A「神ちゃん、お手洗い借りてもいい?」

神様「おまる貸そうか?」

生徒A「もう良いって! これ以上笑ったら漏れちゃう」クスクス

神様「建物が複雑だから案内してあげる」

392: 2020/10/15(木) 03:03:29 ID:7L0fanAA

――― 廊下


生徒A「大きい神社だね。 確かにこれは迷うわ」テクテク

神様「間借りしてるだけだから、私の家じゃないけどね」トテトテ

生徒A「隣町のちっこい神社とは大違い」

神様「あれ? 隣町には神社がないって聞いてるけど」

生徒A「あ~ 昔はあったんだよ」

神様「学校で少女ちゃんの家も神社だって言ってたね」

生徒A「あっ・・・ うん・・・」

神様「言いたくなければ無理には聞かないけど」

生徒A「そういう訳じゃないんだけど・・・」

神様「?」

393: 2020/10/15(木) 03:04:04 ID:7L0fanAA

生徒A「隣町にあった神社って、元々少女ちゃんの家だったんだよ」

神様「だった?」

生徒A「詳しい理由は知らないけど、廃止されたって聞いてる」

神様「廃止・・・ それっていつ頃?」

生徒A「確か3年くらい前だったかな」

神様「・・・・・・。 少女ちゃんてその神社で巫女さんとかしてたの?」

生徒A「まだ小学生だったし、そういう事はしてなかったんじゃないかな」

神様「そっか・・・」

生徒A「でも、神社がなくなってから大変なんだよ」ハァ

神様「何が?」

394: 2020/10/15(木) 03:04:35 ID:7L0fanAA

生徒A「出るらしいよ~ 先週、うちのクラスのC子ちゃんが見たんだって」

神様「・・・何を見たのでしょうか」

生徒A「カエルの軍曹が、ぴょんぴょん跳ねてるのを!」

神様「・・・・・・」

生徒A「ゲロゲ~ロ! ゲロゲロりんちょ! って追いかけてきて!」ズイッ

神様「・・・・・・」ゴクリ

生徒A「あっ、あそこがトイレ?」

神様「え? あっ、うん」

生徒A「行ってくるね~」タッタッタッ


神様「モノノケやんけ!」

396: 2020/10/17(土) 05:12:13 ID:BMpIOBj.

――― 町外れの喫茶店


主神「誰も来ませんね」

巫女「隣町で起こっている怪異の件で話があるという事だったのですが」

主神「電話をしてきた方にお心当たりは?」

巫女「」フルフル

 prrr prrr

巫女「あっ、すいません。 私の携帯です」

主神「気にせずどうぞ」ニコッ

巫女「もしもし・・・ うん・・・ うん・・・ 分かった」ピッ

主神「私達を呼び出した方からですか?」

巫女「いえ。 ・・・妹です」

主神「そうですか。 もう1時間経ちましたし、今日は帰りましょうか」

巫女「そうですね」

397: 2020/10/17(土) 05:14:09 ID:BMpIOBj.


――― 神社・本殿


神様「神ちゃんトイレより帰還しました!」


 バンッ!


少女「うん、これから帰るから」ピッ


神様「あっ、ごめん電話中だった? 大きな音立ててすまんね」

少女「大丈夫」ニコッ

生徒B「暗くなってきたし、私達そろそろ帰るね」

神様「うちの犬ころに送らせようか?」

少女「まだ明るいし大丈夫」

神様「じゃ、神社の出口まで見送りを」

398: 2020/10/17(土) 05:14:57 ID:BMpIOBj.

――― 鳥居前


生徒A「今日はありがとね、神ちゃん」

神様「今度は神さまを紹介してあげるから」

生徒B「神さま!?」

生徒A「神ちゃん面白~い」

神様「少女ちゃんも、近いうちにゆっくり話そうね」

少女「そうだね」ニコッ

生徒B「じゃ、また明日学校で」

神使「お気をつけてお帰り下さい」ペコリ

神様「ばいばーい」

399: 2020/10/17(土) 05:15:44 ID:BMpIOBj.

神様「さてと、社務所戻って残ったお菓子を食べますか」

神使「も~ 神を紹介するだなんて余計なことを話さないで下さいよ・・・」

神様「気にすんなって。 これも作戦よ。さ・く・せ・ん」

神使「本当ですか?」

神様「それより、主神と巫女ちゃんはどこに行ったんだ?」

神使「実は神様達が来る直前に呼び出しの電話がありまして」

神様「急なお祓いの依頼でも入ったか?」

神使「今回の怪異の件で相談があるという内容だったそうです」

神様「は? 相手は」

神使「身に覚えはない方のようです」

神様「ふ~ん」

400: 2020/10/17(土) 05:16:40 ID:BMpIOBj.


 主神「只今戻りました」テクテク


神様「おっ、噂をすれば」

主神「うわっ! 神様眩しいですね。 凄い後光が出てますが・・・」

神様「あ? あ~ 忘れてた。 ゴメンゴメン」シュ~ン

主神「収まりましたね。 流石神様、あれほどの後光を出せるとは」

神使「神様、後光を出されてたんですか?」

神様「あ~ ちょっとね」

神使「それより主神さま、例の呼び出しの件はいかがでしたか?」

主神「それが・・・ ここでは何ですし、社務所の方でお話しを」

401: 2020/10/17(土) 05:17:18 ID:BMpIOBj.

――― 社務所


神様「怪異の件で呼び出しがあったって聞いたけど」

主神「結局待ち合わせの時間になっても誰も来ませんでした」

神使「内容的に悪戯という事も考えにくいですし、相手の真意が気になりますね」

神様「その呼びだし、ちょっとタイミングが良すぎるな」

神使「どういう事です?」

神様「電話を受けたのはお前か?」

主神「いえ、巫女さんです」

神様「う~ん・・・ あれ? 巫女ちゃんは?」キョロキョロ

402: 2020/10/17(土) 05:18:27 ID:BMpIOBj.

主神「今日はもう遅いので直帰してもらいました」

神様「残念。 一緒にお風呂入りたかったのに」

神使「お願いですから巫女さんが嫌がることだけは止めて下さい」

神様「分かってるよ・・・ そんなマジになるなって」

神使「それより、神様の方は少女さんの件で何か分かりましたか?」

神様「ん? そうだね~ ちょっと変だな」

主神「やはり、少女さんから何か得体の知れないものを感じたんですか?」

神様「逆。 あれ、どう見ても普通の中学生だぞ」

神使「普通の女子中学生は宙を浮いたり、預言じみた事など出来ないと思うのですが」

神様「さっき私が出してた後光、ずっと少女ちゃんの前でも出してたんだよ」

神使「後光を?」

403: 2020/10/17(土) 05:19:34 ID:BMpIOBj.

主神「まさか、少女さんは気がつかなかったんですか?」

神様「おかしいだろ? 前に“凄い後光ですね”とか言ったくせに」

神使「気付いていない振りをしていたとか」

神様「それはないって。 あんだけの後光を出されたら眩しくて仕方ないし」

神使「私には分からなかったのですが、そんなに眩しいんですか?」

主神「2万ルーメンくらいはありました」

神使「それは直視できない明るさですね。 かなり眩しいです」

神様「後光は電球かよ・・・」

404: 2020/10/17(土) 05:20:25 ID:BMpIOBj.

主神「でも、それだけで決めつけるのは早計では?」

神様「他にも色々やったよ。 体に神力流してみたり結界符近づけたりさ」

神使「効果はなかったんですか?」

神様「全く。 久々にすげー勢いで神力使ったから疲れたよ」

神使「あの・・・ その神力はどこから?」

神様「本殿に神力がたんまり詰まった変な像があってさ」

主神「それ・・・ うちのご神体・・・」

神様「そこから吸い取った」

主神「わ、私が丹精込めて貯めた神力が・・・」

神様「半分くらい使っちゃった! ごめーんね」テヘッ

主神「はふっ」ヘナヘナ

406: 2020/10/19(月) 22:31:57 ID:P17ezW5U

――― 翌日・学校


先生「――ですから、この和歌を訳すと~」


神様「はぁ~ 暇だなぁ~」ボー

少女「ちゃんと授業聞かないとダメなんじゃないの? 神なんでしょ?」ボソッ

神様「いや~ あの和歌、訳し方を間違ってるし覚えても意味ないって」

少女「何で神ちゃんがそんな事まで知ってるのよ」

神様「だって、あれ作ったの私だもん」

少女「はあ?」


先生「おい少女、何か質問でもあるのか?」

少女「え!? いえ・・・ すみません」ジロッ

神様「なるほど、ここはそう訳すのか。 ためになるなる」フムッ

少女「・・・・・・」イラッ

407: 2020/10/19(月) 22:33:14 ID:P17ezW5U


先生「ここテストに出るからちゃんと聞いておけよ。 で、次の行は―――」


神様「ごめーんね」ボソッ

少女「もう話しかけないで」キッ

神様「そんなつれないこと言わないでさぁ~」

少女「・・・・・・」

神様「はぁ~ ・・・ん?」

チョロチョロ

神様「・・・・・・。 ねぇ少女ちゃん」

少女「もぉ、今度は何よ」

神様「いや、何か変な生き物が・・・」

少女「変な? どこ?」キョロキョロ

408: 2020/10/19(月) 22:34:00 ID:P17ezW5U


 変な生き物「ハッハー!」


神様「・・・・・・。 ネズミの里?」

少女「は?」



 生徒C「キャー!!」


先生「どうしたんです!?」

生徒C「ネズミの里の生き物が!」

先生「ネズミ?」キョロキョロ


 ガヤガヤ

409: 2020/10/19(月) 22:34:52 ID:P17ezW5U


少女「神ちゃん、まさかこの教室に何かいるの?」

神様「いや、だからネズミの・・・ 少女ちゃん見えないの?」

少女「・・・・・・」


 変な生き物「ハッハー! ハッハー!」テクテク


生徒C「キャー! こっち来ないで!」

先生「大丈夫ですかC子さん!? ネズミなんかいませんよ?」


神様「マズいな」ガタッ

先生「あっ、神宮さん! 席に戻って―――」

410: 2020/10/19(月) 22:35:30 ID:P17ezW5U

神様「C子ちゃん、落ち着いて」ボソッ

生徒C「神ちゃん! あれ! アレ! ネズミの・・・ ミッk―――」

神様「それ以上言っちゃダメ、色んな意味で面倒だから」

生徒C「あれ何? 何で・・・ みんなは見えてないの?」

神様「大丈夫、私には見えてる。 悪いけどちょっと眠ってて」ポワッ

生徒C「え?・・・」ガクッ

神様「昨日の神力少し残しておいて良かったわ」


少女「・・・・・・」

411: 2020/10/19(月) 22:36:43 ID:P17ezW5U

先生「誰かC子さんを保健室に」

神様「なんか気分悪そうなので先にトイレ連れて行きます~」トテトテ


 ガヤガヤ


先生「ほら、みんな落ち着いて」


少女「・・・・・・」ガタッ

先生「少女さん、C子さんの方は神宮さんに任せて」

少女「神宮さんは保健室の場所を知りません。 私も付き添います」タッタッタッ

先生「あぁ・・・ そういえば転校してきたばかりだったな・・・」

413: 2020/10/19(月) 22:37:37 ID:P17ezW5U

――― 数分後・保健室


コンコン

少女「失礼しまーす」ガラガラ

少女「C子ちゃん? 神ちゃん?」キョロキョロ


 シーン


少女「あっ、C子ちゃん!」タッタッタッ

C子「・・・・・・」スヤスヤ

少女「寝てる・・・ 神ちゃん? 居ないの?」キョロキョロ


 シーン


少女「・・・・・・」ゴソゴソ

少女「ごめんね、C子ちゃん」スッ


 ポワポワ

414: 2020/10/19(月) 22:38:23 ID:P17ezW5U


 神様「何やってるのかな?」トテトテ


少女「!?」クルッ

神様「来ると思った」

少女「神ちゃん・・・ 全く気配感じなかったのに・・・」

神様「私をそこらの神と同じに思っちゃダメよん。 それより、今かなり不思議な力を感じたけど」

少女「・・・・・・」コソッ

神様「後ろに隠したのは何かなぁ~? お札かなぁ~?」

少女「何のこと? じゃ、私教室に戻るね」スタスタ

神様「ねぇ、私に協力する気はない?」

少女「え?」

神様「力になれると思うけど?」

少女「・・・私、神って信じてないんです」スタスタ


神様「ん~・・・」

418: 2020/10/23(金) 21:18:33 ID:xEI2jbZY

――― 社務所


神様「たでーま~」トテトテ

神使「お帰りなさいませ」

神様「今日のおやつは?」

神使「“の”って何ですか・・・ そんな習慣は記憶にないですが」

神様「じゃあ巫女ちゃんにもらうし良いよーだ!」ベー

神使「巫女さんは主神さまと一緒にお仕事中です」

神様「主神と仕事・・・ だと!?」

神使「何でそんなに驚いているんですか・・・」

神様「あいつが進んで仕事をする光景を私は一度も見たことがない!」

神使「そんな失礼な・・・ 神様が勝手に神社の神力を使ったからですよ」

神様「あ~ 参拝者を増やして神力をまた貯めたいのか」

神使「神様もお手伝いしないとダメですよ。 さ、行きましょう」ガシッ

神様「え!? 私も手伝うの?」スルズル

419: 2020/10/23(金) 21:19:27 ID:xEI2jbZY

――― 本殿


主神「ネズミの里?」

神様「そう、学校でハッハー!を見た」

巫女「・・・・・・」

神使「それって、着ぐるみとかそんな感じの物ですか?」

神様「違うって。 ハッハー! は中に人なんかいないし」

神使「設定上はそうですが・・・」

神様「設定とか言うな。 本当だからね? 嘘ついてないからね?」

巫女「あの・・・」

神様「ん?」

420: 2020/10/23(金) 21:20:32 ID:xEI2jbZY

巫女「それって1体だけですか?」

神様「うん。 私が見たのは1体だけ」

巫女「・・・・・・」

神様「何か思い当たる節でも?」

巫女「いえ、そういう訳では」

主神「確かに巫女さんの言うように、恋人のミギーちゃんやダックもいないと役者が揃いませんよね」

巫女「そういう意味で聞いた訳でもないのですが・・・」

主神「やっぱりモノノケはいるんですね!」

神様「モノノケねぇ~」グテッ

主神「あー! 神様が作ったおみくじ全部大凶って書いてあるじゃないですか!」

神様「どうせ誰も引かないんだし良いだろ。 こっちの方が面白いって」

主神「面白くないですよ・・・ 参拝者来てくれなくなっちゃうじゃないですか・・・」

神様「うるせー」

421: 2020/10/23(金) 21:21:30 ID:xEI2jbZY

神使「モノノケが出たとなっては学校は大騒ぎだったのでは?」

神様「それが、見えるヤツと見えない奴がいるみたいなんだよね~」

神使「どういう事です?」

神様「ん~」チラッ

巫女「」サラサラ

神様「・・・・・・」ジーッ

巫女「? どうかなさいましたか?」

神様「何書いてるの?」

巫女「これはお守り用のお札です」

神様「ふ~ん・・・ 巫女ちゃんは字が上手だね」

巫女「え? あ、ありがとうございます」

422: 2020/10/23(金) 21:22:18 ID:xEI2jbZY

神様「ねぇ、“繋”って字書いて」

巫女「繋・・・ ですか?」

神様「私、好きなんだよね~ その字」

巫女「分かりました」サラサラ

神様「・・・・・・」ジー

巫女「どうぞ」スッ

神様「あんがと、やっぱ上手いわ。 この字バランスが難しいんだよね~」

巫女「ありがとうございます」ニコッ

423: 2020/10/23(金) 21:23:07 ID:xEI2jbZY

神様「じゃ、おやすみ」ゴロン

神使「ちょっと神様、こんな所で寝ないで下さいよ・・・」

神様「色々疲れて、もう無理なんだよ」

主神「夕飯の前にお風呂入りますか? すぐに湧かしますが」

神様「風呂かぁ~」グテー

巫女「あっ、でしたら私が準備して参ります」

神様「巫女ちゃんも一緒に入ってくれる?」

巫女「え!?」

神使「またそんな意味不明なことを・・・」

424: 2020/10/23(金) 21:23:55 ID:xEI2jbZY

主神「それでしてら、海ノ町にある銭湯にでも行きますか?」

神様「お、いいね!」ガバッ

巫女「・・・・・・」

神様「巫女ちゃんも行くでしょ?」

巫女「あの・・・ 私はおみくじのセットもしないといけないので・・・」

神様「え~ 一緒に行こうよ~」スリスリ

巫女「・・・・・・。 分かりました」

神様「よし、決まり! んじゃ皆で一緒に銭湯へ!」

巫女「折角ですし、ストロベリー温泉に行きませんか?」

神使「ストロベリー温泉?」

425: 2020/10/23(金) 21:24:30 ID:xEI2jbZY

主神「そういえばそんな温泉がありましたね」

神様「何そのイカした名前の温泉! そこにする!」

主神「結構遠いですよ?」

巫女「この時間でしたら電車を使えば間に合うと思います」

主神「そうですね。 折角の提案ですし、ストロベリー温泉にしましょうか」

神様「ヨッシャ! 燃えたぎってきたぜ!」

426: 2020/10/30(金) 00:29:46 ID:rwDMruAs

――― 山ノ駅


神様「うへ~ やっと駅かよ。 こんなに遠かったっけ?」

主神「神社からですと本当は隣町の海ノ駅の方が近いんですが・・・」

神様「じゃぁそっちから乗れよ!」

巫女「こちらの駅の方が電車の本数が多いんです」

神様「あ~ そういう事ね」

神使「では、行きましょうか」

427: 2020/10/30(金) 00:30:24 ID:rwDMruAs

――― 電車内


 ガタンゴトン


神様「どのくらい乗るの?」

巫女「二駅先ですからすぐ着くと思います」

神様「良かった。 38時間とか言われたらどうしようかと思った」

巫女「38時間!?」

神様「冗談だと思うでしょ? でもこのクソ犬は平気でそういう事するの」

神使「金銭的に色々ありまして・・・」

428: 2020/10/30(金) 00:31:21 ID:rwDMruAs

主神「神様はお金いっぱい持っているじゃないですか」

神様「あ?」

神使「神宮銀行の神様の口座には18円しか残高がないんです」

主神「あれ? 神宮資産管理銀行の方がメインですよね?」

神様「ねぇ、そういうトップシークレットをベラベラ話さないでくれる?」

主神「あっ、そうでした。 すみません・・・」

神使「毎日金欠金欠言ってるならその銀行からお金下ろせば良いじゃないですか」

神様「キャッシュカードがねーんだよ。 そもそも、その銀行がどこにあるかも知らねーし」

神使「そうなんですか・・・」

429: 2020/10/30(金) 00:32:04 ID:rwDMruAs


 放送「まもなく~ 海山の境駅に到着しま~す」


巫女「あっ、私ちょっとお手洗いに行ってきます」

神様「あんまり長いことブリブリしてると置いて行っちゃうよ~」

巫女「そ、そんなに長くありません! それに・・・し、小の方です///」スタスタ

神使「神様・・・ はしたなさ過ぎますよ」

主神「あまり虐めないで下さい。 30年ぶりの大切な巫女さんなんですから」

神様「分かってるって。 あそこまで優秀な巫女は中々――― !?」クルッ


 ポワ ポワ~ン


神使「どうしました?」

神様「・・・・・・。 後ろの車両から変な力を感じた」

430: 2020/10/30(金) 00:32:36 ID:rwDMruAs

神使「後ろって、巫女さんがトイレに!」

神様「しまった!」タッタッタッ

神使「あっ、神様!」タッタッタッ


神様「主神はこの車両で待機! 何かあったら――― ウギャッ」ドンッ

巫女「キャッ!」ドンッ

神様「痛たた・・・」

巫女「どうされたんですか!?」

神使「巫女さん無事でしたか」ホッ

431: 2020/10/30(金) 00:33:08 ID:rwDMruAs

巫女「そんなに慌てて何かあったんですか?」

神様「隣の車両で変な物を見たり感じたりしなかった?」

巫女「いえ、特には。 お手洗いに行っただけですから」

神使「後ろの車両を見てきます」スタスタ

神様「気をつけろよ」


神使「あれ?」キョロキョロ

神様「どした、何かあったか?」

神使「後ろにの車両には誰もいないようです。 ただ・・・」

神様「ただ?」

神使「いえ・・・ 何でも・・・」

神様「?」

432: 2020/10/30(金) 00:33:40 ID:rwDMruAs

――― 数分後


神使「一体何だったのでしょう」

主神「私にも微かですが神力に近いものを感じました」

神様「巫女ちゃんは何か見たりしなかった?」

巫女「いえ、特に何も」

神使「・・・・・・。 お手洗いに不審な点はありませんでしたか?」

巫女「なかったと思います」

神使「・・・そうですか」

433: 2020/10/30(金) 00:34:15 ID:rwDMruAs


 放送「まもなく~ ストロベリー温泉駅に到着しま~す」


巫女「あっ、そろそろ着くみたいですね」

神使「どうされますか?」

神様「決まってるだろ」

神使「そうですね、このまま放置しては―――」

神様「ストロベリー温泉で私はイチゴ姫になる!!」

神使「・・・・・・」


 プシュー


神様「ほら、早く降りるぞ」トテトテ

435: 2020/11/02(月) 23:50:59 ID:QSF0Es.Q

――― 海ノ中学・教室


生徒A「どう? 見つかった?」

生徒B「保健室にはいなかったよ」


 少女「どうしたの? こんな時間まで」テクテク


生徒A「あっ、少女ちゃん」

生徒B「少女ちゃんもまだ学校に残ってたんだ」

少女「委員会が長引いて。 下校時間過ぎてるけど何かあった?」

生徒A「実はC子ちゃんがいなくて」

少女「C子ちゃん? 先に帰ったんじゃないの?」

生徒B「でも鞄はまだあるんだよね」

生徒A「今朝のこともあるし、ちょっと心配で・・・」

少女「・・・・・・」

436: 2020/11/02(月) 23:51:50 ID:QSF0Es.Q

生徒A「神ちゃんに相談してみる?」

生徒B「そうだね。 電話してみようか」

少女「まって」

生徒AB「?」

少女「私が電話する。 その間にC子ちゃんを探しましょう」

生徒A「探すって・・・ 校舎は全部探したけど当てでもあるの?」

少女「私はもう一度校内を探すから、2人は校外の近場を捜してみて」

生徒B「うん」

生徒A「分かった」

少女「何かあれば携帯で連絡を取り合いましょう」

生徒A「じゃ、私達外行ってくるね」タッタッタッ



少女「・・・・・・。 まさか・・・」ボソッ

437: 2020/11/02(月) 23:53:29 ID:QSF0Es.Q


――― ストロベリー大浴場


 チャポン


神様「いや~ 良い気持ちだねぇ~」ブクブク

巫女「この温泉は美容にとても効果があるみたいです」

神様「マジで!? んじゃ、体の内側も綺麗にしちゃお~」ゴクゴク

巫女「流石にそれは・・・ あまり飲まない方が良いかと」

神様「卵臭い・・・ そういえば温泉の元って・・・」ウエー

巫女「色はピンクでも、成分は温泉ですから」フフフ


神様「・・・巫女ちゃんはさぁ、どうして巫女になろうと思ったの?」

巫女「そうですね・・・ 私、将来は神社で働きたいと思っているんです」

神様「もう働いてるじゃん」

438: 2020/11/02(月) 23:54:29 ID:QSF0Es.Q

巫女「その・・・ 巫女としてではなくて、神社を管理できる立場になりたいと」

神様「あ~ 宮司って事ね」

巫女「まぁ・・・ そんな感じですね」

神様「今この業界は大変だよ~ 儲からないし」

巫女「そうみたいですね。 私はあまりお金には興味がないので」ハハハ

神様「まあ、困ったことがあったら何でも言ってね。 相談に乗るから」

巫女「その時はよろしくお願いします」ニコッ

神様「この町に立ち寄って巫女ちゃんと出会えたのも何かの縁だろうしね」

巫女「・・・・・・。 神ちゃん様は海ノ町で起こっている件でこちらに来たんですよね?」

神様「まぁね。 何か知ってたりするのかな?」

439: 2020/11/03(火) 00:07:24 ID:3RtMd9Mw

巫女「いえ、その・・・・ 私も見たことありますので」

神様「なるほど。 何か隠してそうな感じはしてたけど」

巫女「海ノ町では目撃情報は以前からありましたし。 特に最近は多いですから」

神様「まぁ、私的にはあまり触れたくないんだけどねぇ~」

巫女「モノノケは本当に悪い存在なんでしょうか・・・ 私にはそうは思えないんです」

神様「・・・・・・。 平安の末期、とある地から魑魅魍魎が出ると相談があってさ」

巫女「え?」

神様「私は実際にその地に足は運ばなかったから真偽は不明だけどね」

巫女「どうして、対処なさらなかったのですか?」

神様「対処・・・ か」

巫女「・・・・・・」

440: 2020/11/03(火) 00:08:30 ID:3RtMd9Mw

神様「私にはモノノケの気配は感じ取れなかったっていうのが正直なところ」

巫女「・・・・・・」

神様「私の知らない事柄に首突っ込んでも良し悪しの判断が出来ない」

巫女「神でも分からない事があるんですか?」

神様「そりゃあるさね。 犬ころが隠してるへそくりの場所とか、全く分からないし」

巫女「それは・・・ 分かってしまったらへそくりではなくなりますから・・・」

神様「それと同じ」

巫女「?」

神様「分かっていたら対処せざるを得ないから」

441: 2020/11/03(火) 00:09:30 ID:3RtMd9Mw

巫女「もし、神ちゃん様の知らない世界が存在していたとしたら・・・」

神様「したら?」

巫女「神ちゃん様は何かしらの対処をして頂けるんですか?」

神様「面白い質問だ」

巫女「・・・」

神様「今の私の気持ちとしてはやっぱり対処はしないかな」

巫女「それはこの国を治める神としてあまりにも無責任では?」

神様「へぇ~」

巫女「あっ・・・ すいません、失礼な発言でした」

神様「気にしないで。 ただ巫女ちゃんは一つ勘違いをしている」

巫女「勘違い?」

442: 2020/11/03(火) 00:10:09 ID:3RtMd9Mw

神様「神はこの国を治める存在じゃない」

巫女「え?」

神様「極論を言えば私が知ることが出来ない世界は私の管轄じゃない」

巫女「・・・随分と割り切られているんですね」

神様「ん~ その考え方もちょっと違うな」

巫女「?」

神様「まあ、私が守護する対象である人達に危害を加えるというなら話は別だけど」

巫女「・・・・・・」

神様「あともう一つ、対処をして欲しいと誰かの強い願いがあればその望みは叶える」

巫女「・・・・・・」

神様「まぁ、今は紙一重かな~」

巫女「・・・そうですか」

443: 2020/11/03(火) 00:10:47 ID:3RtMd9Mw

神様「さて、そろそろ上がりますか」サバッ

巫女「神ちゃん様・・・ お願いがあるのですが・・・」

神様「おや? 何かな?」


巫女「せめて前は隠して下さい///」

神様「そっちか~!」


巫女「・・・・・・」

444: 2020/11/03(火) 00:12:40 ID:3RtMd9Mw

――― ロビー


神様「うひょ~ このイチゴ牛乳うますぎ!」ゴクゴク

神使「ちょっと神様! 何本飲んでるんですか」

神様「だってこの自販機、手首に巻いた輪っか近づけるだけで出てくるんだもん」

神使「それ買ってるんですよ・・・ 後で精算されるんです・・・」

神様「気にすんなって。 あれ? 巫女ちゃんは?」キョロキョロ

主神「急ぎの用があるようで先に帰りました」

神様「そうなの?」

神使「もしかして、お風呂で巫女さんに引っ付いたりペロペロしたりしたんじゃないですか?」

神様「してねーよ! いつ私がそんな事したよ!」

神使「いつもしてます」

主神「何か携帯の留守電を聞いて慌てて飛び出していったようですが」

神様「ふ~ん・・・」

446: 2020/11/05(木) 02:20:30 ID:D.8AdPPc


――― 夜・本殿


神様「Zzz」グガー

神使「神様、寝るなら部屋に戻ってから寝て下さい」

神様「ん~ Zzz」モゾモゾ

神使「あっ、ご神体を枕なんかにしてバチ当たりますよ?」ユサユサ

神様「当てられるもんなら当ててみろってんだよ」ムニャムニャ

神使「まったく・・・」

447: 2020/11/05(木) 02:21:44 ID:D.8AdPPc


prrrr prrrr


神使「? 神様、携帯が鳴ってますよ」

神様「んだよこんな夜中に~」モソモソ

神使「夜中って・・・ まだ夜9時前ですが」

神様「もひもひ~ 皆のアイドル神ちゃんでしゅ」

 生徒A『あっ! 神ちゃん! 助けて!』

神様「その声・・・ どうしたの! 何事!?」ガバッ

 生徒A『海ノ町の神社! きゃ!』

神様「海ノ・・・ 今行く! 5分で着くから!」

448: 2020/11/05(木) 02:22:39 ID:D.8AdPPc

神使「どうされたんです?」

神様「主神は!」

神使「隣町にお酒を飲みに行かれましたが」

神様「つかえねーなー!」タッタッタッ

神使「ちょ、神様!」

神様「犬ころはここで待機してろ! 何かあったら電話する!」

神使「わかりました・・・」


神使「っていうか、ご神体置いていって下さい!」

449: 2020/11/05(木) 02:23:17 ID:D.8AdPPc

――― 海ノ神社前


 神様「お~い!」タッタッタッ


生徒A「あっ! 神ちゃん! 助けて!!」

生徒B「お化け! お化けが!!」


 変な生き物「ハロー ハロー」


神様「!? キテェー・・・」ゴクリ

キテェー「あなた失礼ね。 初対面なんだからさん付けで呼ぶのが礼儀じゃないの?」

神様「あっ、すいません・・・ っていうか声髙っ!」

450: 2020/11/05(木) 02:24:25 ID:D.8AdPPc

生徒A「神ちゃん! 向こうからもたくさん来る!」

神様「神社の中に入って隠れよう」

生徒B「それが門に鍵がかかってて入れないの!」

神様「神力錠か・・・」ガチャガチャ

生徒A「しんりきじょう?」

神様「液晶画面付って、いつの間にこんな最新型を作ったんだよ・・・」

生徒A「神ちゃん! 左からも何か変なのが来てる! 囲まれちゃう!」

神様「至急の対策が要の料、神の名におきて鍵を開くことおきつ!」ポワッ


 “文法が正しくありません”


神様「ざけんなよ! 最高神の言うこと聞けや!!」ガチャガチャ

 カチャ

神様「開いた! 2人とも早く神社の中に!」

生徒AB「うん」タッタッタッ

451: 2020/11/05(木) 02:25:28 ID:D.8AdPPc

――― 海ノ神社・本殿内


神様「よし! これで内側から鍵かけときゃしばらく持つかな」

生徒A「ねぇ神ちゃん、さっきの何?」

生徒B「やっぱりお化けかな?」

神様「う~ん・・・ キテェーさんをお化けと言って良いのか微妙だけど」

生徒A「どうしよう。 ここに隠れていてもすぐ見つかっちゃうよ」

生徒B「私達食べられちゃうのかな?」

神様「さ~て、どうすっかなぁ~」

生徒A「あれ? 神ちゃん何持ってるの?」

神様「ん? これは・・・ 枕だね。 さっきまで寝てたから持って来ちゃった」

生徒B「随分と硬そうな枕だね・・・ 何かの像に見えるけど」

神様「・・・・・・。 あのさ、二人に協力してもらいたいことがあるんだけど」

生徒A「協力?」

神様「ちょっと巫女してみない?」

452: 2020/11/05(木) 02:26:45 ID:D.8AdPPc

生徒B「神ちゃん、こんな時に何言ってるの?」

神様「やっぱり神の力の行使には巫女が必要じゃん?」

生徒A「え? どういう事?」

神様「私だけだと力の暴走が心配でさ。 二人に中和をしてもらいたい訳よ」

生徒AB「?」

神様「私が神力解放したら2人で神力が暴走しないようにコントロールして」

生徒A「神ちゃんが何を言っているのか分からないんだけど・・・」

神様「すぐ分かるから。 二人とも少し眩しいかも知れないから気をつけてね」

453: 2020/11/05(木) 02:27:32 ID:D.8AdPPc

神様「持ってて良かったご神体! ごめんね主神! 神力解放!!」


ピカー


生徒A「ちょ! なにこの光!?」

生徒B「眩しい!!」


シュー


神様「もう大丈夫。 目を開けて」

生徒A「ん・・・ って神ちゃん!?」

生徒B「え!? その格好・・・ 何?」

454: 2020/11/05(木) 02:28:16 ID:D.8AdPPc

神様「装束。 まぁ着なくても良いんだけど雰囲気が出るし」

生徒AB「・・・・・・」

神様「あー・・・ 驚いちゃった?」

生徒AB「うん・・・」

神様「私は一応神宮の女神。 俗に言う神さまってやつ」

生徒AB「・・・・・・」ポケー

神様「お~い」フリフリ

生徒A「え? あの・・・ え!?」

神様「まぁ驚くのも無理ないよね。 今は基本的に神の存在を隠してるし」

生徒A「嘘でしょ・・・」

生徒B「信じられない・・・」

455: 2020/11/05(木) 02:29:28 ID:D.8AdPPc

神様「と言うわけで、二人もお着替え~」ピカッ


ポワポワ


生徒A「え!?」

生徒B「何この格好!? いつの間に・・・」

神様「お、いいね~ 巫女服似合うじゃん」

生徒B「あっ・・・ 神ちゃんに後光が差してる・・・」

神様「期間限定だけど神付巫女になったからだね。 お付きの巫女には見えるんだよ」

生徒A「本当に神ちゃんって神さまなんだ・・・」


神様「さてと、それじゃちょっと暴れますか!」

456: 2020/11/06(金) 01:26:29 ID:zBp4sbDQ

生徒A「暴れるって何する気?」

神様「さっきも言ったけど、二人は私が神力解放している時に神力の流れを弱めてね」

生徒A「え!? ちょ、何それ!」

生徒B「流れってどうするの!?」

神様「大丈夫。 何とかなるさ」ポワポワ

生徒A「そんな急に言われても―――」

神様「モノノケめ! 私のマイフレンズ達に牙を向けたこと後悔するが良い!」ウヒャヒャ


 ボワー


神様「う~ん 久しぶりやね~ この感じ。 全力で行きまっせ!」ポワポワ

457: 2020/11/06(金) 01:27:03 ID:zBp4sbDQ

生徒A「すごい・・・ これが神さまの力・・・」

生徒B「神ちゃんの神力が体に流れ込んでくる・・・」

神様「さて、それじゃ発動しますか! 破魔の―――」


 バチン!


神様「痛ッ!? これは・・・ 外部からの対抗? 嘘だろ!?」


 バチン!


神様「うぎゃーん!」ズサー


 モクモク


生徒A「きゃっ!」バタッ

生徒B「うっ!」バタッ

458: 2020/11/06(金) 01:27:35 ID:zBp4sbDQ


 シュー


生徒A「痛たたっ・・・」

生徒B「何が起こったの? 電気ショックみたいなの感じたけど・・・」

生徒A「あれ? 神ちゃんは?」キョロキョロ

生徒B「・・・消えた」


 ギー


生徒AB「!?」クルッ


 ??「こんばんは。 2人ともケガはない?」

459: 2020/11/06(金) 01:28:24 ID:zBp4sbDQ

――― 某所


神様「うへぇ~ 凄え神力対抗だったな・・・ ん?」


 「ちょっと何あの子・・・」
 「おいおいマジかよ・・・」


神様「あれ? どこだココ??」キョロキョロ


警官「ねぇ・・・ 君何やってるの?」

神様「え?」クルッ

460: 2020/11/06(金) 01:29:23 ID:zBp4sbDQ

警官「こんな時間に駅前で・・・ その・・・ ちょっとマズいんじゃないの?」

神様「駅前? ってか、何でこんなに人だかりが・・・ 何かあったの?」

警官「まあね。 女の子が全裸で駅前にいたら人だかりはできるでしょ」

神様「何その痴女! どこ? 私も見たい」

警官「君だよ」

神様「?」

警官「駅前で全裸になっている女の子は君」

神様「・・・・・・。 んが!!」

462: 2020/11/09(月) 21:45:42 ID:VdMOdJgM


――― 1時間後・交番


神使「本当にご迷惑をおかけしました」フカブカ

神様「もう全裸で外には出ません」フカブカ

警官「事件性はないようだし、今日の所は大目に見るけど気をつけて」

神使「温情ありがとうございます。 キツく言って聞かせますので」

神様「本当にごめんなさい」ペコリ

463: 2020/11/09(月) 21:47:48 ID:VdMOdJgM


――― 帰り道


テクテク

神使「警察から電話が来たときはビックリしましたよ」

神様「私の方がビックリしたっちゅーの。 久しぶりに超恥ずかしかったわ」

神使「神様でも恥ずかしいと思うことがあるんですね。 ちょっと意外です」

神様「お前・・・ 私だって多少の恥じらい位は持ってるっつーの」

神使「多少・・・ それより一体何があったんです?」

神様「あ? 海ノ神社に行ったんだよ。 んで、気付いたら駅前で真裸だった」

464: 2020/11/09(月) 21:48:51 ID:VdMOdJgM

神使「海ノ神社? それって、ご学友の方と関係があるのですか」

神様「そうだ! 助けに行かないと!」

神使「ご安心下さい。 みなさん山ノ神社の方にいますよ」

神様「は?」

神使「私が交番へ向かうのと入れ替わりで山ノ神社へ来まして」

神様「マジで!? 私と同じように飛ばされたのか? まさか真裸!?」

神使「いえ、歩いて来ました。 でも2人は巫女さんの格好をしてましたね」

神様「良かった~ 無事だったか」ホッ

465: 2020/11/09(月) 21:49:34 ID:VdMOdJgM

――― 山ノ神社


 ガラガラ


神様「たでーま」

主神「あっ、神様。 お帰りなさい」

神様「私のマイフレンズ達が来てるって聞いたけど」

主神「先程みなさんお帰りになりました」

神様「帰った!? まさかJCだけで帰したのか?」

主神「いえいえ。 巫女さんにお願いしました」

神様「巫女ちゃんに?」

主神「はい。 こちらには巫女さんが連れてきたので」

神様「・・・・・・」

466: 2020/11/09(月) 21:50:26 ID:VdMOdJgM

――― 社務所


神様「巫女ちゃんが連れて来たってどういう事?」

主神「海ノ神社の前でウロウロしている子達を巫女さんが見つけたようで」

神様「それで保護してここに連れてきたと?」

主神「はい。 巫女さんはそう言ってましたね」

神様「2人の様子は? 何か言ってたか?」

主神「2人? あ~ 巫女服を着ていた子達は何も覚えていないと言っていましたが」

神様「覚えてない?」

主神「私服を着た子の方は何か知っている感じでしたが、何も話してくれませんでした」

神様「ん? ちょっと待って。 2人だけじゃないの?」

467: 2020/11/09(月) 21:51:15 ID:VdMOdJgM

主神「3人ですね。 同じ学校の子のようでしたが」

神様「誰だ? それ」

神使「神様の認識と食い違う点があるみたいですね」

神様「私が電話を受けて海ノ神社に行ったときは、クラスメイト2人だけだった」

神使「海ノ神社で何があったんです?」

神様「キテェー・・・ いや、キテェーさんに囲まれてた」

主神「キテェー?」

神様「キテェーさん。 ちゃんとさん付けしないとダメ」

主神「はあ・・・」

468: 2020/11/09(月) 21:52:03 ID:VdMOdJgM

神様「んで、ちょっとヤバそうだったから神力使って破魔をしようとした」

神使「破魔?」

主神「珍しいですね。 神様がそんな大技を出すなんて」

神様「しかも結構本気なヤツ。 久しぶりだったから中和のために2人を巫女にたてたんだけど」

神使「なるほど。 それで2人は巫女服を着ていたんですか」

神様「その後は~・・・ そうだ! 私が神力解放したら打ち消されたんだよ」

主神「え!?」

神様「んで、気がついたら駅前で痴女してた」

主神「ちょっと待って下さい。それ本当ですか!?」

神様「本当。 久しぶりにビックリしたわ」

神使「確かに気がついたら駅前で全裸になっていたらビックリですよね」

主神「いえ、そちらはいつものことですので大して驚かないのですが・・・」

神様「おい」

469: 2020/11/09(月) 21:52:42 ID:VdMOdJgM

主神「神様の破魔を打ち消すって流石に何かの間違いでは?」

神使「私にはよく分らないのですが、そんなに大変なことなのですか?」

主神「少なくとも神様の力を超える神力容量が必要ですから」

神使「神様の神力が弱かったという事は?」

神様「装束付けたしほぼMAX。 神体からの神力を極限まで圧縮して放出したから」

主神「神体?」

神様「うん。 丁度手元に神体があってさ、助かったよ」

主神「あの・・・ それって・・・」

神様「全部使っちゃった。 ごめーんね!」テヘッ

主神「うおっぷ!」バタリ

471: 2020/11/14(土) 23:00:29 ID:XoRY0yyg

――― 翌日・学校


神様「おはよ~さん」トテトテ


少女「・・・おはよう」

生徒A「あっ、神ちゃんおはよう」

生徒B「おはよー 何か眠そうだね」

神様「まぁね。 C子ちゃんもおはよ~」

生徒C「・・・おはよう」


神様「2人とも昨日は大丈夫だった?」

生徒A「昨日?」

472: 2020/11/14(土) 23:01:28 ID:XoRY0yyg

神様「あの後、うちの神社に来たって聞いたけど」

生徒B「神ちゃん何言ってるの?」

神様「えっ?」


生徒A「昨日は放課後に皆でサイセリアでケーキ食べてすぐ別れたじゃん」

神様「は?」


生徒B「そうそう。 神ちゃんカキプリンばっかり食べて」

神様「カキプリン!? サイセリアで?」

473: 2020/11/14(土) 23:02:34 ID:XoRY0yyg

生徒A「え~ あれだけ食べておいて覚えてないの?」

神様「そんなもの食べたんなら絶対忘れないと思うんだけど」


少女「神ちゃん物忘れ酷すぎじゃない?」フフフ

神様「・・・少女ちゃんも一緒に行ったの?」

少女「酷いな~ あれだけ食べ比べしたのに」ニヤッ

神様「・・・・・・」


生徒C「あの・・・」

神様「ん?」

少女「どうしたのC子ちゃん」キッ

生徒C「・・・なんでもない」ブルッ

神様「そう・・・」

474: 2020/11/14(土) 23:08:19 ID:XoRY0yyg

――― 昼休み・トイレ


生徒C「・・・・・・」ハァ


 神様「C子ちゃん?」ボソッ

生徒C「え?」キョロキョロ

 神様「そのまま鏡で身だしなみ整えてる振りでもしてて」

生徒C「・・・神ちゃん? どこ」キョロキョロ

 神様「隣のトイレ。 大丈夫、他から見えないから」

生徒C「・・・・・・」

475: 2020/11/14(土) 23:09:19 ID:XoRY0yyg

 神様「昨日何があったか覚えてる?」

生徒C「記憶が曖昧で・・・」

 神様「うちの神社に来た?」

生徒C「うん」

 神様「少女ちゃん達とサイセリアに行った?」

生徒C「行ってない・・・ と思う」

 神様「覚えていることだけでも教えて欲しい」

生徒C「でも・・・」

 神様「もしかして、誰かに口止めされてる? 」

少女「・・・・・・」

476: 2020/11/14(土) 23:12:00 ID:XoRY0yyg

 神様「人の記憶が改竄されてる。 正直に話して」

生徒C「でも、こんな話をしたらおかしいと思われるし」

 神様「大丈夫。 私にもハッハーが見えたんだから」

生徒C「・・・・・・。 実はモノノケがいっぱいいる世界に紛れ込んだような気がして」

 神様「昨日?」

生徒C「うん。 保健室で目が覚めたら知らない世界で・・・」

 神様「夢とかじゃなくて?」

生徒C「・・・・・・」

 神様「ごめん。 疑うようなこと聞いて」

生徒C「いいの。 私も夢なんじゃないかって思ってるくらいだから」

 神様「どうやってそこから帰ってきたの?」

生徒C「突然凄い光に包まれて」

 神様「・・・・・・」

477: 2020/11/14(土) 23:14:54 ID:XoRY0yyg

生徒C「気がついたら海ノ神社前で・・・ 巫女服を着た2人がいて」

 神様「その時の2人の様子は?」

生徒C「何かボーッとしてた。 そこで山ノ神社の巫女さんに偶然会って」

 神様「なるほどね」

生徒C「やっぱり変だよね・・・ 少女ちゃんの言うように忘れた方が良いのかも」

 神様「もしかして、少女ちゃんに相談したの?」

生徒C「うん」

 神様「・・・・・・」

478: 2020/11/14(土) 23:15:29 ID:XoRY0yyg

生徒C「少女ちゃんが―――」


 ギー

 女子生徒「でさぁ~」
 女子生徒「わかる~」


生徒C「誰かトイレに入って来たみたい」

 神様「放課後もう少し詳しく聞かせてもらっても良い?」

生徒C「うん」


 神様「・・・・・・」

482: 2020/11/19(木) 00:49:28 ID:LJlDv3bU


――― 廊下


生徒C「やっぱり私おかしくなっちゃたのかな」ボソッ


 少女「そんな事ないよ」


生徒C「え!?」クルッ

少女「言ったでしょ? 早く忘れた方が良いって」ニコッ

生徒C「・・・少女 ・・・ちゃん?」

少女「ごめんね。 保健室で急に神ちゃんが来ちゃったから上手く処置できなくて」

生徒C「なに・・・ 言ってるの?」

少女「今度は大丈夫。 これで全部忘れられるから」

生徒C「な・・・ なにする気?」ブルブル

少女「すぐ終わるから」ニコッ

生徒C「え・・・ やだ・・・ やめ―――」

483: 2020/11/19(木) 00:50:44 ID:LJlDv3bU

――― 放課後


神様「C子ちゅあ~ん」ダキッ

生徒C「うわ! 神ちゃん!?」クルッ

神様「さっきの話の続きなんだけど」ボソッ

生徒C「はなし?」

神様「モノノケちゃんのお話し」

生徒C「? そんな話したっけ?」キョトン

神様「・・・・・・」

生徒C「あっ、もしかしてカキプリンに乗ってたお化けみたいなお菓子の件?」

神様「いや、えーと・・・ 何というか・・・ うん」

生徒C「あれ何がモチーフなんだろうね。 私が思うに―――」

神様「・・・・・・」

484: 2020/11/19(木) 00:52:03 ID:LJlDv3bU

――― 山ノ神社・社務所


神様「たでーま!」ズカズカ

神使「お帰りなさいませ。 カキプリン食べます?」

神様「お前もかよ! 皆してカキプリン言いやがって」

神使「今日は随分とご機嫌斜めですね」

神様「んがー! 先手打たれた!! ちきしょー! ぐやじぃー」バタバタ

神使「先手? もしかして少女さんにですか?」

神様「私好みのかわゆいオナゴだと思って甘く見過ぎていたようだ」

神使「神様が女子中学生にやられるなんて珍しいですね」

神様「あ? 私がJCなんかに負けるわけないだろうが」

神使「?」

485: 2020/11/19(木) 00:53:36 ID:LJlDv3bU


 巫女「あっ、お帰りなさいませ神ちゃんさま」スタスタ


神様「・・・・・・。 ただいま」チラッ

巫女「そのカキプリンとても美味しいので神ちゃん様もどうぞ」ニコッ

神使「これ巫女さんが買ってきてくれたんですよ」

巫女「神ちゃん様が好物だと聞きまして」

神様「カキは好きだね、好物だし。 1日6食カキでも良い」

神使「1日6食って何ですか・・・」

巫女「飲み物がないですね。 今コーラ持ってきます」スタスタ

486: 2020/11/19(木) 00:54:45 ID:LJlDv3bU

神様「・・・・・・」ハァ

神使「どうしたんです? 食べないなら私がもらっちゃいますけど」

神様「食うに決まってんだろ! 寄越せよ!」ガシッ

神使「あっ、そんな奪い取らなくても・・・」

神様「ん? これ・・・ 何?」

神使「言ったじゃないですか。 カキプリンです」

神様「カキって果物の柿かよ・・・」

神使「まさか海にいる牡蠣が入ってると思ったんですか?」

神様「だって私の好物だって」

神使「カキ違いですね」

神様「・・・・・・」

487: 2020/11/19(木) 00:55:20 ID:LJlDv3bU

神使「どうされました?」

神様「巫女ちゃんは何で私の好物を知ってるんだ?」

神使「さぁ、神様がお話になったのでは?」

神様「・・・・・・」

神使「何か気になることでも?」


神様「あ~ そういう事か・・・」

神使「?」

神様「こりゃ面倒だな。 早々に手を打つか」

489: 2020/11/23(月) 22:33:25 ID:htuIZfZc

――― 夜・本殿


主神「遅くなりました」テクテク

神様「おぉ、巫女ちゃんは?」

主神「帰り支度中です。 あと15分もあれば終わるかと」

神様「よし、んじゃそれまでにで終わらそう」

神使「巫女さんには内緒のお話ですか?」

神様「今回の件の主犯候補がいたらマズいだろ?」

神使「え? どういう事です?」

主神「まさか巫女さんが犯人って言ってます? 少女さんではないのですか?」

神様「まぁまぁ、それを補強するために2人に聞きたいことがあるんだわ」

490: 2020/11/23(月) 22:34:33 ID:htuIZfZc

神使「私達にですか?」

神様「まず主神。 お前、私達がここへ来る前に巫女ちゃんにこの件の話しをした?」

主神「当然してます。 神様達に滞在して頂く部屋や食事の都合もありますし」

神様「もうひとつ、巫女ちゃんと一緒に海ノ町へ行ったことはあるか?」

主神「隣町ですか? う~ん・・・ 記憶にはないですね。 最近は海ノ町方面からの依頼もないですし」

神様「依頼か・・・ いつ頃から仕事が来なくなった?」

主神「3年くらい前からパッタリです」ハァ

神様「巫女ちゃんがこの神社に来た頃からだな」

主神「まさか巫女さんが隣町からの依頼を断っていると!?」

491: 2020/11/23(月) 22:35:12 ID:htuIZfZc

神様「ん~ その話は一旦おいておこう。 次はイチゴ温泉事件」

神使「イチゴ温泉って、先日みんなで行った場所ですよね」

神様「そう、最初は海ノ町にある銭湯に行く予定だった」

神使「確か、イチゴ温泉を提案したのは巫女さん」

主神「イチゴ温泉に何かあるんですか?」

神様「いや、問題は行く途中の電車の中での出来事」

神使「神様が不思議な力を感じたという件ですか?」

神様「あの時、巫女ちゃんはトイレに行っていた」

主神「それが何か?」

神使「トイレ・・・ あっ」ハッ

492: 2020/11/23(月) 22:36:00 ID:htuIZfZc

神様「何だ」

神使「関係があるのか分からないですが、あの電車トイレが付いていなかったんです」

神様「あ?」

神使「私が後ろの車両を見たときにはトイレはどこにもありませんでした」

主神「巫女さんは実際にはトイレに行っていないと?」

神使「気になってトイレに行ったのかを聞いたんですが、行ったと言っていたんです」

神様「・・・・・・。 あの電車が走っていたのは山ノ町だけだよな」

主神「はい。 ほんの一瞬だけ海ノ町を横切る区間はありますが」

神様「ほぉ」

主神「確か、イチゴ温泉の一つ前の駅辺りが海ノ町です」

493: 2020/11/23(月) 22:37:17 ID:htuIZfZc

神様「ちょうど巫女ちゃんがトイレに行って変な力を感じた辺りだな」

神使「もしかして、巫女さんが海ノ町へ入ると何かが起こるという事ですか?」

神様「逆。 私達が入ると何かが起こる」

主神「私達が?」

神様「正確に言うと、神力を持つ者が海ノ町に入ると何かが起こる」

神使「何が起こるのですか?」

神様「神力共鳴による結界異常」

主神・神使「?」

神様「モノノケだよ。 それを打ち消すために―――」

494: 2020/11/23(月) 22:38:25 ID:htuIZfZc


 トントン


一同「!?」クルッ


 ガチャッ


巫女「それでは、私はこれで失礼させて頂きます」ペコリ

主神「ご、ご苦労様でした」

巫女「社務所の方は鍵をかけておきましたので」

主神「ありがとうございます。 お気を付けてお帰り下さい」

巫女「はい。 神ちゃん様と神使様もご苦労様です」ペコリ

神様「ばいばーい」

神使「ご苦労様でした」ペコリ


 ガチャッ

495: 2020/11/23(月) 22:39:05 ID:htuIZfZc


主神「もしかして話を聞かれたでしょうか・・・」

神様「聞かせたんだよ」

主神「え!?」


神様「追うぞ」

神使「追うって、巫女さんをですか!?」」

主神「着替えてきます」

神様「主神はここにいろ。 私と犬ころで追うから」

主神「はあ。 では、お気を付けて」

498: 2020/11/26(木) 22:16:01 ID:c5r8RAt2

――― 海ノ町・商店街


 ガヤガヤ

 巫女「コロッケとアジフライ2枚ずつ下さい」

 店主「はいよ」


神様「なぁ、あれどう思う?」

神使「お夕飯の買い物のように見えますが」

神様「あんなに可愛い子がアジフライは無いだろ」

神使「そうでしょうか? 良いチョイスだと思いますが」

神様「お前が犬ころである所以、それは私との絶望的な認識の差」

神使「・・・ちなみに、神様の思考は」

神様「私ならウズラの卵揚げ10個にする」

神使「聞いた私がバカでした。 すみません」

神様「分かればよろしい」

499: 2020/11/26(木) 22:17:18 ID:c5r8RAt2


 少女「かーみちゃん」


神様「・・・」チラッ

少女「こんばんは」ニコッ

神様「おやおや、買い物? こんな所で偶然だね」

少女「偶然だと思う?」

神様「いいねぇ~ その全て知ってますが何か? 的な態度。 全知全能の神のつもりですか?」

少女「あはは。 だって、いかにも怪しい挙動だったんだもん」

神様「それはお互い様じゃない? 私達が海ノ町に入ってからずっと付けたくせに」

少女「・・・・・・」

神様「冗談だって。 そこの惣菜屋さんでコロッケとアジフライでも買おうと思ってさ」

少女「なるほど。 今その2つを買った女の人を付けてたんだね」ニコッ

神様「駆け引きは面倒だし、用件を聞きましょうか」

少女「・・・・・・」

500: 2020/11/26(木) 22:18:02 ID:c5r8RAt2

神様「何なら場所を変えてもいいけど、サイセリアにでも入―――」

少女「お願いします。 この町から出て下さい」フカブカ

神使「しょ、少女さん!? 急にどうしたんですか?」

神様「そうきたか~ これは想定外」アチャー

少女「神の力を持った者がこの町に入って欲しくないの」

神様「神力を持った者は海ノ町に入ってくれるなって事?」

少女「そう」

神様「それは、少女ちゃんからのお願い? それとも他の誰かからの伝言?」

少女「私からのお願い」

501: 2020/11/26(木) 22:18:38 ID:c5r8RAt2

神様「う~ん、残念だけどその願いは叶えられないなぁ」

少女「どうして?」

神様「ん~ まず、願いを受ける前提としての条件が整っていないから」

少女「お賽銭のこと? もし祈願が必要ならすぐにでも山ノ神社へ伺うよ?」

神様「そうじゃないって」

少女「じゃあ、どうしたらお願いを聞いてもらえるの?」

神様「だから、そもそも私と犬ころが海ノ町を出て行く理由がないし」

少女「やっぱり神って人の願いを叶えてくれないんだね。 がっかり」ハァ

神様「そうじゃなくて、私も犬ころも神力は持ってないからその願いは叶えられないんだよ」

少女「え?」

502: 2020/11/26(木) 22:19:13 ID:c5r8RAt2

神様「私達の神力の有無も分からずにそんな事を言ったの?」

少女「・・・・・・」

神様「普通のJCなんだから、そんな事に首を突っ込まなくても良いんじゃない?」

少女「っ!」キッ

神様「理由は知らないけど、深追いしない方が良いと思うよ?」

少女「あなたに私の気持ちなんか分かるわけない!!」

神様「・・・・・・」

少女「あっ、大声出してごめん」

神様「早朝、海ノ神社本殿で結界解除の儀を行う」

少女「え!?」

503: 2020/11/26(木) 22:20:04 ID:c5r8RAt2

神様「この町に張られた結界は私好みじゃない」

少女「だめ・・・ そんな事をしたらこの町が!」

神様「帰るぞ、犬ころ」トテトテ

神使「え? ちょ、神様」

少女「そんなに全裸で飛ばされたことを怒ってるの!?」

神様「違うし! 怒ってないし! 全然気にしてないし! 恥ずかしくなかったし!!」

神使(かなり恥ずかしかったんですね・・・)


巫女「・・・・・・」コソッ

504: 2020/11/26(木) 22:20:43 ID:c5r8RAt2

――― 帰り道


神使「巫女さんの方は追わなくても良いんですか?」

神様「目的は達成できたし。 どうせ全部聞こえてただろ」

神使「そうですね。 あれだけ大声で話せば」

神様「さてと、忙しくなるぞ~」

神使「この後はどうされるんです?」

神様「決まってるだろ。 神ちゃんショーの開幕だよ」

神使「うっ」

神様「ここからはずっと神ちゃんターンだ!」ウヒャヒャ

神使「巫女さん、少女さん、どうかご無事で・・・」

506: 2020/11/29(日) 02:02:23 ID:5v9J8OWw

――― 翌日・早朝


神使「神様、神様」ユサユサ

神様「ん~ 何だよ・・・ まだ外暗いじゃん」ムニャムニャ

神使「そろそろ準備した方が良いのでは?」

神様「あ? 何をだよ」

神使「海ノ神社に行くんですよね?」

神様「いかねーよ面倒くさい。 いつもの時間に起こして」モゾモゾ

神使「えぇっ・・・ 少女さんに行くって啖呵切ったじゃないですか・・・」

神様「今日行くとは言ってないし」ムニャムニャ

神使「何て最低な宣戦布告・・・」

507: 2020/11/29(日) 02:03:12 ID:5v9J8OWw

――― 朝・社務所


ガラガラ

巫女「おはよございます・・・」フラッ

主神「おはようございます巫女さん。 って眠そうですね」

巫女「え!? あっ、すいません。 少し夜更かしをしてしまいまして」

主神「調子悪いならお休みしてもらっても」

巫女「お気遣いありがとうございます。 午後何も無いようでしたら早めに―――」

主神「あっ、今日は夕方に業者と年末用の限定おみくじの打ち合わせがありますので」

巫女「・・・はい」


神様「おっ、巫女ちゃんおはよ~。 学校行ってくるねー♪」トテトテ


巫女「・・・・・・。 行ってらっしゃいませ」

508: 2020/11/29(日) 02:04:44 ID:5v9J8OWw

――― 学校


 神様「おはよ~」トテトテ

生徒達「おはよー」

少女「・・・・・・」ボー

神様「おや? 少女ちゃんは寝不足ですか」

少女「・・・・・・」ジトー

生徒A「今日の1限は国語の小テストだからね」

神様「なるほど。 それで夜遅くまで・・・ いや早朝から頑張っていた訳ですか」ニヤッ

少女「白々しい・・・」ボソッ

神様「私は古文得意だから。 100点間違いなし!」ウヒャヒャ

少女「私も得意だし」

神様「ほぉ~ これはどちらが上か白黒付けようじゃないですか」

少女「っ!」キッ

509: 2020/11/29(日) 02:05:37 ID:5v9J8OWw

――― 夕方・社務所


神様「たでーまー」トテトテ

主神「今日は早い戻りですね」

神様「お小遣い尽きちゃって買い食い出来ないし」

巫女「・・・・・・」ボー

神様「巫~女ちゃん!」ダキッ

巫女「え? あっ、お帰りなさいませ! すいません、ボッとしてました」

神様「寝不足? ゆっくりと休んだ方が良いよ?」

巫女「ありがとうございます。 今日はゆっくりと家で休みます」

神様「私もちょっと寝てこようかな」

主神「もう寝るんですか!?」

神様「明日は早いし。 色々と準備もあるしね~」トテトテ

巫女「・・・・・・」

510: 2020/11/29(日) 02:06:22 ID:5v9J8OWw

――― 翌朝・社務所


 ガラガラ


巫女「おはようございます」ヨロヨロ

主神「おはよ・・・ って、巫女さん! 大丈夫ですか?」

巫女「お気遣いなく・・・」

主神「休まれた方が良くないですか?」

巫女「午後に地鎮祭があるので、巫女が居ないと格好が付かないと思って。 でも―――」

主神「それもそうですね。 今日も一日頑張りましょう」

巫女「はい・・・」ガクッ


神様「おっ、巫女ちゃんおはよ~。 学校行ってくるねー♪♪」トテトテ


巫女「・・・・・・。 行ってらっしゃいませ・・・」ハァ

511: 2020/11/29(日) 02:07:05 ID:5v9J8OWw

――― 学校


 神様「おっはよ~」トテトテ

生徒達「おはよー」

少女「・・・・・・」グテッ

神様「おや? 今日も少女ちゃんは寝不足ですか」

少女「うるさい。 話しかけないで」

神様「ちゃんと寝ないとお肌荒れちゃうよ?」ニシシ

少女「・・・誰のせいだと思ってるのよ」ボソッ


先生「おーい、席に着け~ 昨日のテスト返すぞ」


 ガヤガヤ

512: 2020/11/29(日) 02:08:29 ID:5v9J8OWw

先生「まずは少女さん」

少女「はい」スタスタ

先生「凡ミスなんて珍しいな。 でも良い点数だ」


 お~


少女(92点!? しまった! レ点を見逃した・・・ しかも2カ所も)シュン

先生「次は神宮さん」

神様「は~い♪」トテトテ

513: 2020/11/29(日) 02:09:37 ID:5v9J8OWw

先生「頑張ったな。 はい」ペラッ

神様「ん? 先生、なんでここ×なの?」

先生「どこだ?」

神様「この作者の気持ちを答えなさいってとこ」

先生「そこは“わざわざ遠くまで会いに来てくれた恋人の事を思っている”が正解だな」

神様「いやいや“おはぎを持ってきてくれた事を喜んでいる”だって」

先生「どこの文脈からおはぎが出てくるんだよ」

神様「私が言うんだから間違いないでしょ。 作った本人なんだし」

先生「そこまで妄想して作者の気持ちを導き出さなくてもいい」

神様「ちぇ~ あいつの持ってくるおはぎは超がつくほど美味しかったのに」トテトテ

514: 2020/11/29(日) 02:10:13 ID:5v9J8OWw

神様「あ~あ。 残念」グテッ

少女「一応聞いておくわ。 何点だった?」

神様「98点」ニヤッ

少女「っ!」

神様「わりーね」ウヒャヒャ

517: 2020/12/03(木) 01:44:49 ID:NAKf13gs


――― 夜・本殿


 ギー

主神「遅くなりました」テクテク


神様「お~ お疲れ」

神使「遅くまでご苦労様です」

神様「どうだった?」

主神「ようやく見つけました。 写真も撮ってきました」スッ

神様「間違いない、これだ。 どこにあった?」

主神「逆側の町の境界です。 遠くて大変でした」

神使「これで準備は整ったわけですね」

主神「いよいよ決行です」コトッ

神使「? 主神さま、その牛の置物は?」

518: 2020/12/03(木) 01:46:04 ID:NAKf13gs

主神「これですか? 可愛いですよね、牛の置物。 うちの新しいご神体です」

神使「ご神体?」

神様「私からのプレゼント。 この前神力使っちゃったからそのお詫び」

主神「私、牛乳が好きなので嬉しいです。 中々お目にかかれない一級品とお見受けしました」

神使「神様いつの間にそんな物を・・・」

神様「学校の帰りに100均で買った」

主神「ひゃ!? え? 有名工芸家の作とかではないのですか!?」

神様「私がそんなに金持ってるわけ無いだろ」

主神「・・・・・・」

神様「神力の方は少し溜ってきたみたいだな」スリスリ

主神「えぇ、まぁ。 ここ数日合間をぬって祈願成就を頑張りましたから」

519: 2020/12/03(木) 01:47:36 ID:NAKf13gs

神様「で、巫女ちゃんの様子は?」

主神「それはもうフラフラですね。 先程も帰り際に鳥居に頭をぶつけてました」

神使「だいぶ睡眠不足みたいですね」

主神「ちなみに、少女さんの方は?」

神様「向こうはイライラ全開で尖ったナイフになってる」

神使「若いですから肉体的な疲労よりもイライラが先に出てしまうんでしょうね」

神様「そんな状態でも学校に来てテストも良い点数取って中々ガッツはあるぞ」

神使「お話を聞いている限りでは負けず嫌いの気質があるようですが」

神様「ん~・・・ どうかなぁ」

主神「?」

520: 2020/12/03(木) 01:48:35 ID:NAKf13gs

神様「ま、それは置いておこう。 作戦を次のステップに進めるぞ」

神使「結構危うい作戦のような気もしますが」

神様「大丈夫。 間違いなく上手くいくって」

神使「だと良いのですが」

神様「それよりさぁ、前から気になってたんだけど天井のヤツは何だ?」

主神「天井? あ~ シミでしょうか?」ジー

神様「」ゴソッ

神使「・・・・・・。 神様、何を―――」

神様「ソイヤッ!」ゲシッ

神使「痛い!!」

主神「どうされました神使さん?」

521: 2020/12/03(木) 01:49:48 ID:NAKf13gs

神様「も~ 神使君はシミがお化けに見えちゃうなんてお可愛いこと」オホホ

神使「・・・・・・(神様、ご神体をすり替えましたね・・・)」スリスリ


主神「建物自体は結構古いですし、気になるようでしたら隠しますが」

神様「大丈夫大丈夫。 それより、このご神体そこに戻しておくぞ」

主神「ありがとうございます」


神様「んじゃ、明日は各々作戦準備だけに専念してくれ」

主神「はい!」


神使「・・・・・・(神様は何を企んでいるのやら)」ハァ

525: 2020/12/07(月) 22:23:54 ID:ecOyXiTQ

――― 翌日朝・山ノ神社


巫女「おじゃまします」フラフラ

主神「え?」

巫女「あっ、すみません。 こんばんは」

主神「まだ朝ですが・・・ だいぶお疲れのようですね」

巫女「とても良いお布団日よりですね。 羽毛がいいです」フラフラ

主神「・・・・・・」


神様「おっ、巫女ちゃんおはよ~。 学校行ってくるねー」トテトテ


巫女「今日の神ちゃん様の巫女は食べ放題なんですね」フフッ

主神「・・・・・・(怖い)」

526: 2020/12/07(月) 22:25:01 ID:ecOyXiTQ

――― 学校


神様「おっはよ~」トテトテ

生徒A「あっ、神ちゃん」オロオロ

神様「どしたの?」

生徒A「あれ・・・」チラッ


生徒B「ねぇ少女ちゃん、大丈夫?」

少女「・・・・・・」ボー

生徒B「目の下すごい隈だよ? ちゃんと寝てる?」

少女「結界符いっぱい食べてきたから大丈夫」ボー

生徒B「けっ!? それ何?」


生徒A「少女ちゃんが色々とヤバいの」

神様「みたいだね」

527: 2020/12/07(月) 22:25:59 ID:ecOyXiTQ


――― 放課後・教室


神様「――うよ、凄い――しょ」

生徒A「凄―― ねぇ、それ――うやってるの?」


少女「ん・・・」ウトウト

少女(寝ちゃってた・・・ もう放課後・・・)


生徒A「神ちゃん凄い!!」

神様「でしょ? これは神の力! 神が扱える神力なのだよ!」ウヒャヒャ


少女「(神力・・・) ・・・・・・神力!?」ガバッ

528: 2020/12/07(月) 22:26:46 ID:ecOyXiTQ


生徒A「あっ、少女ちゃん起きた?」

生徒B「少女ちゃんも見てよ、神ちゃん凄いの」


 フワフワ~


少女「!?」

神様「消しゴムが空中を浮いてま~す」

少女「神ちゃん・・・ あなた、まさか・・・」

神様「神の力、絶賛開放中!」

少女「そんな・・・(結界を張らないとモノノケが!)」ゴソゴソ

神様「おや、何かお探しですか?」ヒラヒラ

529: 2020/12/07(月) 22:27:33 ID:ecOyXiTQ

少女「!? そのお札・・・ 何で神ちゃんがそれを!」

神様「床に落ちてた」

少女「返して!」

神様「良いけど。 いらない物だと思って落書きしちゃった。 ごめ~んね」

少女「っ!」タッタッタッ


生徒A「少女ちゃん!? どこ行くの?」

神様「きっとトイレだよ。 ずっと寝てたから」

生徒B「あっ、この消しゴム真ん中に透明な糸が通ってる」

神様「バ~レ~た~か~」テヘッ

530: 2020/12/07(月) 22:28:06 ID:ecOyXiTQ

――― 山ノ神社


巫女「・・・・・・」ウトウト


神使「巫女さん、ご苦労様です」


巫女「!? 神使様!」ハッ

神使「大丈夫ですか?」

巫女「すみません。 ボーとしてしまいました」

神使「主神様はお出かけなので、早めに上がって頂いて大丈夫ですよ」

巫女「出かけ・・・ え? どちらに」

531: 2020/12/07(月) 22:28:41 ID:ecOyXiTQ

神使「急な地鎮祭のご依頼があって、海ノ町まで行ったようです」

巫女「海ノ町!? どのくらい前ですか!」ガタッ

神使「30分ほど前ですね」

巫女「そんな・・・」

神使「海ノ町の商店街で16時開始と伺っています」

巫女「(あと5分!?) すみません! 私ちょっと行ってきます!」タッタッタッ


神使「あっ! 巫女さん!!」

神使「・・・・・・。 さて、私も出かけますか」

534: 2020/12/12(土) 00:36:21 ID:aEDkE1uc

――― 海ノ町・商店街


巫女(おかしい・・・ 町に張ってある結界に異常を感じない)タッタッタッ

 ブルブル ブルブル

巫女「?(電話・・・)」ピッ

巫女「もしもし・・・ え! 学校で神力を!? そんな・・・」

巫女「・・・分かりました。 私は商店街の周辺を調べますので後程海ノ神社で」ピッ


巫女(どうしよう、主神様と神ちゃん様が同時に神力を発動したらこの町は・・・)


 主神「どうされましたか?」


巫女「!?」クルッ

主神「巫女服を着たまま出歩くと目立ちますよ?」

巫女「主神様・・・」

主神「少し付き合っていただけますか?」

巫女「・・・・・・」

535: 2020/12/12(土) 00:37:29 ID:aEDkE1uc

――― 海ノ神社前


少女「ハァ・・・ ハァ・・・」ゼェゼェ

少女「・・・・・・(門に鍵がかかってない。 神社に誰かいる・・・)」


 神使「随分とお疲れのようですね」


少女「!?」クルッ

神使「海ノ神社にご用ですか?」ニコッ

少女「あなた、確か山ノ神社の・・・」

神使「神様のお付きで神使と申します」ペコリ

少女「どうしてここに」キッ

神使「本殿までご案内いたします」

少女「・・・・・・」

536: 2020/12/12(土) 00:38:22 ID:aEDkE1uc

――― 海ノ神社・本殿


神使「どうぞお入り下さい」


 ギー


少女「・・・やっぱり」ハァ

神様「ハロ~」

少女「私よりどうして早くここにいるの?」

神様「私は神だよ? その位は造作も無い」ニヤッ

少女「・・・・・・」

神使(タクシー代は神様のお小遣いから引きますからね)

537: 2020/12/12(土) 00:39:16 ID:aEDkE1uc

神使「神様、私は外に居ますので何かありましたらお呼び下さい」

神様「おう」


 ギー バタン


少女「・・・・・・。 巫女服似合ってるね」

神様「でしょ! 少女ちゃんは普段着ないの?」

少女「どうして私が着る必要あるの? 私は巫女じゃないんだけど」

神様「確かに。 巫女服より祭儀服の方が似合うかも」

少女「? ・・・どういう意味?」

神様「ま、それは置いておきましょうか」

538: 2020/12/12(土) 00:40:17 ID:aEDkE1uc

少女「私をこんな所に呼び出して何がしたいの?」

神様「前に言ったじゃん。 海ノ町に張られた結界を解くって」

少女「そう簡単にはいかないと思うけど」

神様「おや、何か対策でもしているのかな?」

少女「何日も間を開けてくれたお陰で色々と対策は出来たわ」

神様「へ~」

少女「私達をフラフラにして、その隙を突いてくるって事は予想できたしね」

神様「へ~」

少女「でも、約束は早朝じゃなかった?」

神様「甘いなぁ~」

少女「?」

539: 2020/12/12(土) 00:41:44 ID:aEDkE1uc

神様「準備は朝までに済ませた。 私だってバカじゃないさね」ニヤッ

少女「っ!」


神様「」コトッ

少女「なに・・・ その牛の置物は」

神様「これ? 神力が詰まったご神体。 少ない量だけど十分かな」

少女「・・・・・・」

神様「今から良いもの見せてあげる」ニヤッ

少女「ここで神力を出したらまた裸で転送されちゃうわよ?」

神様「じゃ、試してみようか」

少女「・・・・・・」

540: 2020/12/12(土) 00:45:03 ID:aEDkE1uc

神様「海ノ町に張られし結界の再構築を命ず!」ポワ

少女「だから封印の解除は無駄だって言っ―― !?」ハッ


神様「やっぱ少くね~ あいつ全然仕事してねーじゃん」ポワッ


少女「うそ・・・(神ちゃんが転送されない!?)」

神様「さ~て、本気出しちゃ―――」


 神使「ちょ! 下がって下さい!」


神様「?」クルッ


 バンッ

541: 2020/12/12(土) 00:45:55 ID:aEDkE1uc


 「封!!」

 ボワボワ~


神様「んぎゃー! 神力抵抗! やっぱ強えぇ~!」ズサー


 巫女「ハァ・・・ ハァ・・・」ゼェゼェ


少女「!」


 巫女「大丈夫ですか、少女さん」タッタッタッ

542: 2020/12/12(土) 00:46:39 ID:aEDkE1uc

少女「地神さま・・・」

神様「痛たた・・・ 私の方も心配してよ・・・」ムクッ


巫女「」キッ


神様「そんな怖い顔しなさんなって。 お楽しみはこれからなんだからさぁ~」

巫女「え?」

神様「予定通り。 始まりまっせ」ニヤッ

543: 2020/12/12(土) 00:47:31 ID:aEDkE1uc


 ワチャワチャ


巫女「そんな・・・」

少女「うそ、なにこれ・・・」

巫女「なんでモノノケが。 まさか結界構築に失敗した!?」

神様「いやいや、海ノ町の周囲に張ってあった結界符にちょっと細工しただけ」

巫女「細工!?」

神様「前に巫女ちゃんに書いてもらった“繋”の符を“結”の上に張った」

巫女「!?」

神様「キーになる結界符を見つけるのに時間かかったわ」

544: 2020/12/12(土) 00:48:31 ID:aEDkE1uc

巫女「まさか、私が再結界を発動することを狙って」

神様「結界の再構築を発動すると、繋がっちゃうんですよ~」テヘッ

巫女「っ! 何でそんな事を!」


 神使「神様! 外にモノノケが!!」

 主神「参道に凄い量いるんですけど!!」


神様「大丈夫だよ、この神社以外には出られないようにしてるから」

巫女「・・・・・・」

神様「あと、この神社にいるヤツには見えちゃうように結界を弄ってみた」

巫女「まさか・・・ 少女さん!?」クルッ

545: 2020/12/12(土) 00:49:07 ID:aEDkE1uc

少女「これがモノノケ・・・ 初めて・・・ 見た・・・」

巫女「!? 少女さん! 見ちゃダメです!」ダキッ

少女「嬉しい・・・ 初めてモノノケを・・・ 初めて・・・・・・」

巫女「少女さん! ダメです! 見ちゃいけません!」

少女「モノノケ・・・ 違う・・・ 私はモノノケを・・・ あっ」ブルブル

巫女「大丈夫です。 あなたは違います・・・ あなたは違うから・・・ 大丈夫」ギュッ

少女「うっ!」バタリ

巫女「少女さん? 少女さん!?」ユサユサ

神様「気を失っただけだよ。 大丈夫」

巫女「・・・・・・」

546: 2020/12/12(土) 00:49:45 ID:aEDkE1uc


神様「土地神、とでも呼べば良いのかな?」

巫女「・・・・・・」コクリ

548: 2020/12/21(月) 23:23:42 ID:Lm68JRd2

――― 数分後・参道


 ワチャワチャ


モノノケ「あんた色男だねぇ。 私と一緒に朝まで付き合わない?」

神使「すみません・・・ そういうのはちょっと・・・」


モノノケ「ペロペロペロペロ」

主神「あの・・・ あんまり顔をペロペロしないで下さい・・・」


 ワチャワチャ

549: 2020/12/21(月) 23:24:57 ID:Lm68JRd2

巫女「神使様と主神様は助けなくてもよろしいでしょうか」

神様「放っておいて何か害とかある?」

巫女「いえ、それは大丈夫ですが・・・ 何なら私がモノノケを追い払いましょうか」

神様「いいの。 しばらくあのままにしておこう」

巫女「そうですか」ンショ

神様「少女ちゃん背負って重くない?」

巫女「大丈夫です。 この子、意外と軽いので」フフッ

神様「しかし凄い量のモノノケだな・・・」

巫女「こちら側でこれだけの量を一度に見たのは私も久しぶりです」


 モノノケ「ねぇ」ツンツン


神様「?」クルッ

550: 2020/12/21(月) 23:26:06 ID:Lm68JRd2

モノノケ「傘は持たなくても良いの?」

神様「かさ? っていうかピグミン?」

巫女「その子は雨のモノノケです。 たぶん雨でも降るんじゃないでしょうか」

神様「へぇ~ 便利じゃん。 明日は晴れる?」

モノノケ「分かんないよ~」タッタッタッ


神様「あっ、行っちゃった・・・」

巫女「雨のモノノケは雨のことしか分からないですから」

神様「ん~・・・ ちょっと不便だな」

巫女「ちなみに、先程から主神さまに纏わり付いているのは牛乳のモノノケです」

神様「あいつ牛乳好きだからな。 お似合いじゃん」

巫女「神使様に付き纏っているのは・・・ あれは狛犬のモノノケかと」

神様「ふ~ん。っていうか、狛犬?」

551: 2020/12/21(月) 23:27:36 ID:Lm68JRd2

巫女「はい。 モノノケはこの世に存在する生命・モノ、一つ一つに存在します」

神様「もしかして“ピザ”のモノノケとか“牡蠣”のモノノケもいるの!?」

巫女「もちろんです。 それこそ八百万」

神様「それはモノノケと言うより・・・」

巫女「言葉を借りれば八百万の神といった方が良いかもしれませんね」

神様「そういう事か」

巫女「?」

神様「いやさ、昔先代に私らの系に属さない神が無数にいる土地があるって聞いたことがあって」

巫女「神ちゃん様の先代・・・ それって随分と昔の話ですよね」

神様「冗談かと思ってたんだけど・・・ こういう事だったのか」

552: 2020/12/21(月) 23:28:34 ID:Lm68JRd2

巫女「そういえば、神ちゃん様は先代様の面影がありますね」ジー

神様「もしかして、幼女・・・ というか、あのクソ女と会ったことあるの!?」

巫女「はい、何度か。 もう何千年も前ですけど」

神様「・・・巫女ちゃんって今お幾つ?」

巫女「覚えていませんが、神ちゃん様の先代様よりは古いですよ?」

神様「パイセンですね。 偉そうにしてすんません」ペコリ

巫女「そんな! お願いですから今までと同じように気さくに接して下さい」オロオロ

神様「何というか領地を勝手に荒らしてしまったみたいで、ごめんなさいパイセン!」ドゲザ

巫女「そんな事はないです。 正直言いますと限界でした」

神様「?」

553: 2020/12/21(月) 23:29:19 ID:Lm68JRd2

巫女「神社を追い出され、モノノケ達の管理も上手くいかず・・・ それに」

神様「少女ちゃん」

巫女「」コクリ

神様「この子は何?」

巫女「お察しかとは思いますがモノノケです」

神様「やっぱそうか。 ちなみに何のモノノケ?」

巫女「この子は、人のモノノケ」

神様「人・・・ って事は人の神?」

巫女「はい」

554: 2020/12/21(月) 23:29:58 ID:Lm68JRd2

神様「それは、私みたいな神の存在とは違うの?」

巫女「それは私にも分かりません」

神様「・・・・・・」

巫女「私の考えですが、あまりそこは重要でない気がします」

神様「同意。 深追いは止めよう」

巫女「」ニコッ


神様「それより、少女ちゃんはモノノケの記憶を押さえ込まれているみたいだけど」

巫女「この子は、自分の存在を受け入れることが出来なかったんです」

神様「なるほどね。 だから少女ちゃんにはモノノケが見えないようにしてた訳か」

巫女「精神的に受け入れることが出来るようになったら話すつもりでした」

神様「それまではモノノケであることは隠して、人として育てようと」

巫女「はい」

555: 2020/12/21(月) 23:31:10 ID:Lm68JRd2

神様「もしかして、モノノケの世界と人の世界を分けたのもそれが原因?」

巫女「いいえ、時代の流れです。 この地だけ特別扱いすることが出来なくなったので」

神様「いつ頃?」

巫女「平安の末期頃だったと記憶してます」

神様「あの時か・・・」

巫女「最初のうちは特に問題は無かったのですが・・・」

神様「結界の揺らぎ」

巫女「どうしても結界に綻びができて、モノノケが人の世界で見られることが・・・ 当然その逆も」

神様「それを修正するのが巫女ちゃん・・・ いや、土地神の仕事」

巫女「はい。 少女にはそのサポートをお願いしていました」

556: 2020/12/21(月) 23:31:49 ID:Lm68JRd2

神様「で、この海ノ神社は結界維持のための要っていう認識でOK?」

巫女「その通りです」

神様「ちなみに、どうしてここは閉鎖になったの?」

巫女「それは・・・」


 神使「神様ー!!」

 主神「助けて下さーい!!」


神様「うるせーな~」

巫女「そろそろお二人を助けてあげましょうか」


少女「・・・・・・」

558: 2020/12/29(火) 20:35:42 ID:wpt9dUKs

――― 海ノ神社・旧宝物庫


 ギー


巫女「ここならモノノケ達も寄りつかないので大丈夫です」

主神「しかし驚きました。 まさかモノノケの世界があるだなんて」

神様「主神さぁ、お前は何で海ノ町を管轄するようになったんだ?」

主神「こちらの神社が税金滞納で破産したので」

神様「破産!?」

巫女「うっ」ドキッ

神様「マジ?」

巫女「お恥ずかしいですが3年前に・・・///」モジモジ

主神「元々ここは神宮とは関係のない神社だったので、破産後に競売にかかっていたんです」

神様「それを神宮が買ったと?」

559: 2020/12/29(火) 20:37:03 ID:wpt9dUKs

主神「そうです。 でも老朽化が進んでいたので閉鎖してうちが管理することになりまして」

神様「あ~ それで巫女ちゃんは山ノ神社にバイトに出稼ぎか・・・」

巫女「お金の件はもちろん、神社運営の知識を一から身に付ける必要もありましたので・・・」

神様「私よりも長く生きてるんだし、それくらいの知識はあるんじゃないの?」

巫女「だったら良かったのですが、その結果がこれなので」

神様「あっ、うん。 そうね・・・」

主神「それでしたら素性なんか隠さずに、初めから言って頂ければ良かったのに」

巫女「そう上手くいかないんです。 海ノ町以外の地では私には何の力もありませんし・・・」

神使「何か良い方法はないでしょうか」

神様「巫女ちゃんはこの先どうするつもり?」

巫女「万策尽きたので、モノノケの世界側から強力な結界を張ってこちらの世界と断絶させようかと」

神様「巫女ちゃんの拠点をモノノケの世界に移すって事?」

巫女「はい」

560: 2020/12/29(火) 20:37:45 ID:wpt9dUKs

主神「それは海ノ町から出て行くという事ですか?」

巫女「モノノケが出なくなった後は、神宮の方でこの地を管轄して頂ければと」

主神「それって解決策になるのでしょうか? 私達よりも長くこの地を守ってきたのですよね?」

巫女「・・・・・・」

主神「本来であれば、私達神宮側が海ノ町から出て行く立場ですし」

巫女「そんな事はございません。 これも時代の流れなのでしょう」

主神「少女さんはどうされるつもりなんですか?」

巫女「・・・・・・」


神様「まぁまぁ、その位で。 って、少女ちゃんは?」キョロキョロ

巫女「少女でしたら少し夜風に当たってくると外に出ました。 たぶん裏手かと」

神様「向こうの意見も聞いてみますかね」

561: 2020/12/29(火) 20:38:42 ID:wpt9dUKs


――― 宝物庫裏


 ワチャワチャ


少女「・・・・・・」ボー


 神様「しかし、色々なモノノケ達がいますなぁ~」トテトテ


少女「」チラッ

神様「となり座ってもいい?」

少女「できれば一人にし―――」

神様「嫌だって言っても座っちゃうけどねぇ~」ヨイショ

562: 2020/12/29(火) 20:39:18 ID:wpt9dUKs

少女「なに?」

神様「全部聞いてたんでしょ?」

少女「白々しい・・・ 私に聞かせるために話してたくせに。 神ちゃんは演技派だね」

神様「お互い様でしょ。 気絶した振りまでしちゃってさぁ」

少女「・・・・・・」

神様「どこまで知ってた?」

少女「地神さまって、意外と抜けてるところがあるの」

神様「?」

少女「地神さまが海ノ町を離れると、私に掛けられていた封印が緩くなる」

神様「ん?」

少女「結構前から正体に気が付いていたわ」

神様「あ~ それって・・・」

少女「私も演技派だって事」

563: 2020/12/29(火) 20:40:02 ID:wpt9dUKs

神様「もしかして、“初めてモノノケを見た!”って下りも演技?」

少女「・・・半分演技で半分は本当。 モノノケが見られない封印はかなり強力だったから」

神様「じゃぁモノノケさん達を見て驚いたのは本当だったと」

少女「そうね。 姿形を認識できたのは私の記憶では初めて」

神様「どうして自分の正体に気が付いていたことを巫女ちゃんには隠してるの?」

少女「地神さまがそう願ってるんだし。 心配させたくなかった」

神様「健気だねぇ~」

少女「うるさい」プイッ

神様「私の見立てだと、巫女ちゃんは人の心が読めるっぽいけど気付かれてんじゃないの?」

少女「神ちゃんは地神さまのことを分かってないわね」ハァ

神様「?」

564: 2020/12/29(火) 20:40:58 ID:wpt9dUKs

少女「地神さまがそんな力を使うはずないじゃない」

神様「でも、私の好物とか話してもいないことを知ってたけど」

少女「全部山ノ神社のダメ神さんが地神さまに言った事よ。 情報ダダ漏れ」

神様「あのクソ主神・・・ あとで〆て三枚におろしてやる」グヌヌ

少女「地神さまは本当にに立派で、尊敬できる方」

神様「ふ~ん。 で、これからどうするつもり?」

少女「決まってるでしょ。 今まで通り地神さまに合わせるだけよ」

神様「巫女ちゃんがこの世界から離れるって言ったら?」

少女「付いていく」

神様「少女はこちらに残れって言ったら?」

少女「・・・従う」

神様「うへ~ 面倒くせ」

565: 2020/12/29(火) 20:41:44 ID:wpt9dUKs

少女「・・・・・・。 やっぱり私、神ちゃんは好きじゃない。 嫌い」

神様「ストレート拒絶はキツいっす」

少女「ごめんね、言い直す。 神ちゃんとは分かり合えない」

神様「何故にそこまで私を嫌うわけ? 私ってとっても気さくでかわゆいじゃん」

少女「はぁ?」

神様「私を嫌いになる理由が分からない! みんな大好き神ちゃんだよ?」

少女「簡潔に言えば同業者だからよ」

神様「同業?」

少女「神ちゃん達は神宮側の神、私達も規模は違えどモノノケ側の神」

神様「神同士じゃん。 仲良くいこうよ~」

少女「人は自分のテリトリーを荒らす者は許せない性格なの。 特に私は人のモノノケだしね」

566: 2020/12/29(火) 20:42:48 ID:wpt9dUKs

神様「なるほど。 本家に嫉妬する分家ってことか」フム

少女「だれが分家よ! 私達から見たらそっちが分家なんだけど」

神様「大企業の社長に嫉妬する中小企業の社長、っていう例えの方が分かりやすい?」

少女「神ちゃん最低。 信じられない。 幻滅した。 私から3メートル離れて」

神様「冗談だって・・・ マジ言葉の選択がキツいっす」

少女「話は終わり? すぐに帰れとは言わないけれど、なるべく早めにこの町から出て行って欲しいな」

神様「私がすぐ出ていくと思う?」

少女「思えない」

神様「分かってんじゃん。 ま、出て行く前に落とし前だけは付けさせてもらうわ」

少女「何? 私と勝負でもするつもり?」

神様「いやいや。 その発想はどういう思考で導き出されたわけ?」

567: 2020/12/29(火) 20:43:19 ID:wpt9dUKs

少女「勝負を売られたからには全力で買うわよ? 神vs神の頂上決戦ね」

神様「血の気が多いなぁ。 落とし前っていうのはそういう意味じゃないんだけど・・・」

少女「前の小テストでは体調不良で負けたけど、万全の状態なら神ちゃんなんて相手にならないし」

神様「はぁぁぁ!?」

少女「もしかして、私と勝負するのが怖い?」ニヤッ

神様「言ってくれますなぁ~ 悪いけど、私はこうみえて学問の知識は凄いよ?」

少女「じゃ、こういうのはどうかしら。 来月ある期末試験の総合点で勝負をつける」

神様「いいぜ~ ちなみに負けた方の罰ゲームは?」

少女「負けた方は勝った方の指示に従うってのはどうかしら」

神様「望む所よ!」

568: 2020/12/29(火) 20:43:51 ID:wpt9dUKs

少女「ま、神ちゃんなんか私の足下にも及ばないと思うけど」フッ

神様「上等だコラ! 全力でぶっ潰してやる!」

少女「それはコッチのセ・リ・フ」

神様「分家が本家に敵わないって事を教え込んでやらぁ!」

少女「だから、なんで私が分家なのよ・・・」

神様「精々私に負けないように勉学に勤しむことですな! ばーか!」タッタッタッ



少女「あれが神? 私達あんなガキんちょに負けたの?」ハァ

少女「・・・でも。 そうか、私達はすでに・・・」ボソッ

573: 2021/01/05(火) 00:16:57 ID:Ejl.vlV.


――― 宝物庫


 ギー


神使「あっ、神様」

主神「少女さんの方はどうでした?」

神様「ん? あ~ モノノケ達を見て興奮してる」

巫女「・・・・・・。 そうですか」


神様「良い子だよ。 人のかわゆいところを凝縮したみたいだ」

巫女「?」

574: 2021/01/05(火) 00:17:43 ID:Ejl.vlV.

神様「取りあえず今日の所は帰ろうぜ。 眠くなってきた」

主神「そうですね。 よろしければ巫女さん達も山ノ神社へ来ませんか?」

巫女「え?」

主神「今後のこともありますし、よろしいですよね神様?」

神様「私はOKよ。 部屋もいっぱいあるし」

巫女「ありがとうございます。 でも今日は二人で自宅に帰ります」

神様「近いの?」

巫女「はい。 ここからですと歩いて5分くらいですので」

神様「んじゃ、途中まで一緒に帰ろ?」

巫女「その前に、モノノケ達を戻してきます。 流石にこのままではマズいので」ニコッ

575: 2021/01/05(火) 00:18:17 ID:Ejl.vlV.

――― 帰り道


 テクテク

少女「―― それで、マシュマロのモノノケがね――」キャッ キャッ

巫女「そうなんですか?」フフフ


 テクテク

神使「巫女さんと少女さんはとても仲が良いようですね」

神様「少女ちゃんはツンツンしないで普段から笑顔でいれば良いのにな」

576: 2021/01/05(火) 00:18:50 ID:Ejl.vlV.

巫女「それでは皆さん、私達はここで」

主神「土日はゆっくり休んで頂いて、週明けはいつも通り神社に来て頂けますよね?」

巫女「ありがとうございます。 週明けは時間通り出勤します」ニコッ

神様「少女ちゃんも、また来週学校で」

少女「そうね」

神様「なんか冷たくね?」

少女「そう? いつも通りだけど」

神様「・・・・・・。 そうだ、良いもの上げる」ゴソゴソ

少女「?」

577: 2021/01/05(火) 00:19:42 ID:Ejl.vlV.

神様「はい、これ」スッ

少女「お守り?」

神様「まぁ、御利益無いんだけど持ってて欲しいなぁ~って」

少女「・・・・・・」

神様「もらってよ~」スリスリ

少女「わ、分かったよ」


巫女「それでは、失礼いたします。 今日はありがとうございました」フカブカ

 テクテク

神様「バイバ~イ!」

578: 2021/01/05(火) 00:20:14 ID:Ejl.vlV.

神様「さてと、私達も帰りますかね」

主神「この後はどうするつもりなんですか?」

神様「あ?」

主神「流石に巫女さん達をモノノケの世界に、って事はないですよね?」

神使「ご安心を。 神様が首を突っ込んで起こした事態を放っておくはずありません。 ね、神様?」

神様「良く分かってんじゃん。 ここはパイセンの為に一肌脱ぎますかね」ニヤッ

神使「うっ・・・」

神様「うっ! って何だよ!」ゲシッ

主神「ちなみに、どんな作戦なんです?」

神様「主神さぁ、ちょっと教えてもらいたい場所があるんだけど」

主神「?」

581: 2021/01/10(日) 23:41:38 ID:Uv.i5s9o


――― 翌日朝


神使「おはようございます」テクテク

主神「おはようございます神使さん。 ゆっくり眠れましたか?」

神使「お陰様で。 神様の姿が見当たらないのですがご存じありませんか?」

主神「神様でしたら朝一で神宮に行きましたよ」

神使「神宮!?」

主神「神宮資産管理銀行に用があるとか」

神使「そういえば、昨日主神さまに場所を聞いていましたね」

主神「新幹線を使えば片道2時間ですし、明日には戻ると言ってました」

神使「神様は新幹線に乗るほどお金は持っていないと思うのですが」

582: 2021/01/10(日) 23:43:09 ID:Uv.i5s9o

主神「そうなんですか? グリーン車の切符をクレジットカードで買ってましたけど」

神使「グリーン車!? クレジットカード!?」

ゴソゴソ

主神「?」

神使「・・・・・・。 私のクレジットカードがない」

主神「神様は自分のカード使ったのでは?」

神使「神様のカードはすでに限度額を超えているので使えません」

主神「でも、クレジットカードって他人の物は使えないですよね?」

神使「それが私のカードの暗証番号がバレているんです」

主神「あ~・・・ それで窓口でなく不慣れな券売機で買ってたんですね」

神使「悪知恵ばかり覚えて・・・ バレたら捕まりますよ」ハァ

583: 2021/01/10(日) 23:44:16 ID:Uv.i5s9o


――― 神宮・地下特別個室


神様「ほぇ~ 神宮の地下にこんな場所あったんだ・・・」トテトテ

守衛「こちらの部屋となります」


 ギー


神様「ここ? ただの応接室みたいだけど、本当に銀行?」キョロキョロ

守衛「私も詳しくは知らされておりませんので。 こちらにご案内するようにと」

神様「ふ~ん。 そうなんだ」


守衛「それでは失礼致します。 すぐに係の者が参りますので」


 バタン

584: 2021/01/10(日) 23:45:02 ID:Uv.i5s9o

神様「何か思ってたのと違うな」


 コンコン

神様「? どうぞ~」


 ガチャッ

 「失礼致します」フカブカ


神様「A子ちゃん!?」

A子「あっ、神ちゃんだ」

神様「こんな所で何してんの・・・ あっ、飲み物ならコーラでお願い」

A子「そんなの自分で買ってきなよ」

神様「・・・本当に何しに来たの? ここは神宮の巫女でも立入禁止っぽいけど」

585: 2021/01/10(日) 23:45:41 ID:Uv.i5s9o

A子「え? 資産管理銀行のお客さんが来てるって聞いたんだけど」

神様「それ私」

A子「合ってんじゃん」

神様「まさかとは思うけど、A子ちゃんが銀行の人?」

A子「そだよ。 私が掛け持ちで神宮資産管理銀行の担当してるの」

神様「またまた~ A子ちゃんが銀行の管理? 冗談でしょ、しかも掛け持ちって」

A子「失礼だなぁ。 前の大宮司が辞める前に引き継いだんだよ」

神様「なんでA子ちゃんなんかに・・・」

A子「だって顧客は一人しか居ないし、やることないから楽だって。 月1500円の手当も付くし」

神様「安っす!」

586: 2021/01/10(日) 23:46:26 ID:Uv.i5s9o

A子「銀行のたった一人のお客さんって神ちゃんだったんだ」

神様「そうなの? 私だけの銀行ってなんか凄くね!?」

A子「で、何の用?」

神様「銀行に来たんだから目的は一つ! お金を下ろしたいの」

A子「いくら?」

神様「逆に残高っていくらあるの?」

A子「いくらでも言って!」

神様「さすがA子ちゃん! 格好いい~」

A子「ドヤサッ!」フンスッ

神様「じゃ、じゃぁ取りあえず10億円くらい下ろそっかなぁ~」クネクネ

587: 2021/01/10(日) 23:47:08 ID:Uv.i5s9o

A子「それは無理だよ。 何言ってんの?」

神様「だ、だよね~ んじゃ1億円くらいならどう?」

A子「無理無理」ハァ

神様「そっか~ その位はいけると思ったんだけど・・・ んじゃ1千万円で!」

A子「だから無理だって」

神様「え? その位は流石にあるでしょ。 明治時代までの資産を全部入れてあると思うんだけど」

A子「そうじゃなくて、現金は1円もないんだって」

神様「?」

A子「実際の現金はないから、振り込みだけで対応するの」

588: 2021/01/10(日) 23:47:55 ID:Uv.i5s9o

神様「つまり・・・ どういう意味?」

A子「どういう意味だろ?」


神様「何かマニュアルとかそんな感じの書類はない?」

A子「これ」ドサッ

神様「おう・・・ 結構あるね」

A子「資産表と売却先のリストだって」

神様「売却?」

A子「資産管理銀行で必要になったお金はここに載ってる資産表の中から売却して現金化するらしいよ」

神様「あ~ そういう事ね」

589: 2021/01/10(日) 23:48:45 ID:Uv.i5s9o

A子「どれ売る?」

神様「うわっ、神宮本庁とかあるけどこれって売っていいの?」

A子「売却先は日本国政府のみだって。 でも売ったら3兆円だよ!」

神様「さんちょう・・・」ゴクリ

Aこ「でも、これはダメだよ? 売っちゃったら私無職になっちゃうし」

神様「だよね~ 私も無職になっちゃうか。 あっ、これなんかどう?」

A子「参伍報告文書? なにこれ」

神様「通称みこ書」

A子「巫女書?」

590: 2021/01/10(日) 23:49:20 ID:Uv.i5s9o

神様「そう。 昔、悪代官から没収した金銀財宝を保管してある場所が記載された報告書」

A子「埋蔵金のありかが書いてある文書って事? なんで巫女書なの?」

神様「私が率いる巫女軍団が起こした反乱だから。 巫女で参伍、なんちゃって」ウヒャヒャ

A子「ふ~ん。 うわっ! 資産見積もり20~50億だって!」

神様「いいね~」

A子「こんな大金何に使うの?」

神様「ちょっと古い神社を建て直したくてさぁ」

A子「今の時代に神社なんて立て直さなくても。 元取れないよ?」

神様「まぁね~ そこも悩みの種でさ」

A子「これだけのお金使うなら少し変わった神社がいいなぁ」

神様「変わったって?」

A子「例えば―――」

592: 2021/01/18(月) 22:29:29 ID:hmERLUJs

――― 翌日・山ノ神社


 ガラガラ


神様「たでーま~」

神使「・・・・・・」

神様「おや神使君。 出迎えご苦労」

神使「返して頂けますか?」スッ

神様「?」

神使「私のクレジットカード」

神様「っ!」ビクッ

神使「新幹線のグリーン車代と、食費、買い物代の合わせて6万5千円は天引きです」

神様「あい・・・」

593: 2021/01/18(月) 22:32:05 ID:hmERLUJs


――― 本殿


 ギー


主神「神様、お戻りでしたか」

神様「うん、今戻ったところ。 何か変わったことは?」

主神「一点、少しマズいことが・・・」

神様「何か問題でもあったか?」


主神「うちのご神体がすり替わっているんです」

神様「っ!」ビクッ

594: 2021/01/18(月) 22:33:07 ID:hmERLUJs

主神「で、神様の部屋から同じ牛さんの象が出てきました。 こんなに沢山」


 ゴロゴロッ


神様「・・・・・・」

主神「全部に“予備”ってシールが貼ってあります。 何の予備でしょう?」

神様「ちょっと何を言っているのか難しくて分からないですね」

主神「私の貯めた神力」ボソッ

神様「オーケー。 取り引きしよう」

主神「取り引き?」

神様「実はうまい話があるんだよ」ズイッ

主神「そ、それはどうのような・・・」

神様「聞くか?」ニヤッ

595: 2021/01/18(月) 22:33:54 ID:hmERLUJs

――― 夜・社務所


神様「ん~・・・」

神使「どうされたんです?」

神様「あ? 勉強してんだよ。 来月試験だし」

神使「神様が勉強!?」

神様「何その失礼なリアクション。 こう見えて私は勉強大好きっ子だぜ?」

神使「はじめて聞きました・・・ でも、どうしてそんなに本気出してるんです?」

神様「負けられない戦いがそこにあるから」キリッ

神使「・・・・・・。 そうですか、まぁ頑張って下さい」

神様「夜食は生牡蠣20個でいいや」

神使「それ夜食で出すメニューじゃないですよね・・・」

596: 2021/01/18(月) 22:34:48 ID:hmERLUJs

――― 週明け・山ノ神社


神様「おっはよ~」トテトテ

主神「あっ、神様・・・」

神様「お昼のお弁当くれ」

主神「それが・・・」

神様「?」

神使「実は巫女さんが出勤してないようでして、今日はパンでも買って頂ければと」

神様「は?」

主神「携帯にも何度かかけたんですが連絡が取れず」

神使「疲れが溜って寝ているだけならいいのですが・・・」

神様「ん~ 取りあえず学校行ってくるわ。 何かあったら電話してくれ」タッタッタッ

神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」~ 番外編 『モノノケランド』~【後編】