28: 2011/04/24(日) 22:02:32.56 ID:L5QdiUXd0
男(この子中学生ぐらいだよな・・・なにこの展開)

男(待てよ、リアルにそんなうまい話があるわけない。あれか、流行りのオヤジ狩りって奴)

杏子「どうしたの、ぼーっとして。こんなチャンスめったにないと思うんだけど」

男(でも・・・違う気がする。服はぼろぼろだし汚れてるし、髪もボサボサ・・・おまけによく見るとそこら中に小さな傷がある)

杏子「あぁ、やっぱ気になる? この傷」

男「まぁ・・・ね」

杏子「ガキが一人で生きていくのは大変なのさ、色々とね」

男(どう考えてもヤバい臭いがプンプンするぜ! ヤがつく怖いオジサンとか関連ですかねこりゃ)

男(・・・けど、この子を掘っておいていいのだろうか)

男(いやいや、なに正義漢ぶってんだか。俺みたいな一般人は厄介ごとに関わらないのが一番。きっと誰かが何とかしてくれる)

男(でも、でも・・・)

杏子「おにーさんさっきから考え事しすぎじゃない? アタシもう行くね」

男(・・・・・・)

男「待って!」ガシッ

杏子「おっと・・・。やっとその気になったかい、おにーさん」

33: 2011/04/24(日) 22:09:18.31 ID:L5QdiUXd0
男「いや、そういうのじゃなくて・・・」

杏子「そういうのって何?」

男「あー、えっと、その・・・」

杏子「顔真っ赤」

男「大人をからかうな!」

杏子「大人はこんなことで顔真っ赤にならないよ」

男「可愛くないガキだな。さっさと飯食いに行くぞ・・・近くのファミレスでいいだろ」

杏子「おぉ、ファミレス! こりゃまた豪華だねぇ」

35: 2011/04/24(日) 22:18:28.57 ID:L5QdiUXd0
杏子「ファミレスなんて久しぶりだな・・・」

男「俺も久しぶりだ。結構メニューが豊富だ」

男(ファミレス行ったことあるってことは、普通に暮らしてた時期もあったのかな。そりゃそうか)

杏子「アタシはハンバーグセットとメロンソーダね」

男「ん、思ったより少なめだな。もっと頼んでもいいんだぞ」

杏子「頼みすぎたら残しちゃうかもしれないじゃん」

男「よくあるなぁ、それ。食べきれないってわかってるのに頼んじゃうんだよ」

杏子「食い物を粗末にするんじゃねぇ、頃すぞ」

男「・・・ッ!」

杏子「おっとごめんごめん、ついね」

男「いや、こっちも不注意な発言だった」

38: 2011/04/24(日) 22:25:14.53 ID:L5QdiUXd0
店員「お待たせしましたハンバーグセットでございます」

杏子「んじゃお先にいただきまーす」

杏子「もぐもぐもぐもぐ」

男(ほおばりすぎだから。ハムスターかお前は)

杏子「あふぃっ!あふぃふぃふぃ! みみみ・・・水っ!」ゴクゴク

杏子「ぷはぁ! 温かい食べ物なんて久しぶりでつい」

男「ははは! 面白いやつだなぁ」

杏子「わ、笑うな!」

男「さっきからかったお返しだ」

杏子「むー・・・」モグモグ

男(・・・なんか癒される光景)

43: 2011/04/24(日) 22:37:40.45 ID:L5QdiUXd0
杏子「ふー、食った食った。ごちそうさま、美味しかった」

男「意外といけるもんだな、ファミレス」

杏子「・・・そんじゃま、行きますか」

男「・・・」

杏子「どうしたの。そのつもりでご飯おごってくれたんでしょ」

男「いや・・・俺は」

杏子「したくないの?」

男「そりゃしたくないかと聞かれたらしたいけどさ・・・」

杏子「じゃ、いいじゃん。何悩んでんの」

男「こういうのよくないかなーって」

杏子「アタシはお腹いっぱいになった。その見返りにアンタは気持ちいいことしちゃう。何の問題があるのさ?」


44: 2011/04/24(日) 22:42:43.38 ID:L5QdiUXd0
男(何て言えばいいんだろう・・・。というよりも、俺はこの子をどうしたいんだろう)

男(俺の家に置くなんて無理。そんな金はないし、通報とかされたらアウト。てかヤバい人にぶっ殺されるかも)

男(見ず知らずの女の子のために氏ねるほど、俺は立派な人間ではない)

男(・・・・・・)

男(・・・俺が出来るのはせいぜい飯をおごってやるぐらいか、今日みたいに)

杏子「また考え事してる。おにーさんって頭かたそう」

男「ふぅ・・・お前みたいな自分の価値を分かってないガキに言われたくないな」

杏子「?」

男「教えてやるよ。お前の価値って奴を」

46: 2011/04/24(日) 22:48:26.10 ID:L5QdiUXd0
男「お前、年齢は中学生ぐらいだろう」

杏子「そうだけど」

男「女子中学生とヤるのにはだな・・・安くても5万、高ければ10万以上いるんだ」

杏子「じゅ、じゅうまん!?」

男「そうだ。今日の飯を100回食ってもお釣りが来る」

杏子「はんばーぐ100個・・・」ジュルリ

男「ハンバーグ100個に囲まれてる妄想は後にしろ」

男(やばい、よだれペロペロしてぇ・・・いかんいかん、これでは変Oだ)

男「まぁ何が言いたいかというとだな、俺はあと100回以上お前に飯をおごらないとヤれないってことだよ」

杏子「なるほど、たしかに一理あるね」ゴシゴシ

男(よだれを拳でゴシゴシとか最高だわ、拳も舐めたい)

男「というわけであと99回飯をおごってからお前をペ口リチョしよう」

杏子「今のペ口リチョ・・・気持ち悪っ!」

男「ひどっ!」

50: 2011/04/24(日) 22:55:34.19 ID:L5QdiUXd0
杏子(変な男だったな・・・でも、これでなんとかなりそうだ)

杏子(最近この周辺では魔女はめっきり出てこなくなった)

杏子(魔力がある頃は盗みやらなんやらで飯食ってきたけど、魔力がほとんど空に近い今は動くだけで精一杯だ)

杏子(魔力もねぇ、飯も食えねぇ・・・あのままじゃ確実に氏んでた)

杏子「・・・魔女か?」

杏子「こりゃツいてるねぇ。お腹はいっぱいになるし、魔力の補充もできそうだ」

杏子「しばらく様子を見て、使い魔を出すまで待ちますか」

53: 2011/04/24(日) 23:02:42.20 ID:L5QdiUXd0
――ファミレス前

男「おはよう」

杏子「おーっす」

男「ほれ、朝メシだ」

杏子「おぉ、おにぎり」

男「いやー今更言うのもアレなんだが、俺貧乏学生でさ・・・毎日ファミレスいけるほど金ないんだよ。すまん」

杏子「あやまるなよ。うまそうなおにぎりじゃん?」

男「そっか・・・そう言ってくれると握ったかいがあるぜ」

杏子「握ったってなんかえOちぃな」

男「な、ななな何言ってんだよ朝っぱらから!

女「ほんと、この手のネタに弱いね」

男「うっさい。おにぎりは朝昼兼用だからな。学校いってくる」

杏子「いってらー」モグモグ

55: 2011/04/24(日) 23:07:19.61 ID:L5QdiUXd0
杏子「おにぎりに唐揚げとか変わってるなアイツ・・・うまいからいいけど」

杏子「まだ本調子には程遠いし、夕方まで休むとしますか」

杏子「はやく使い魔でてこねーかな・・・戦闘のこと考えると、あと1週間ぐらいで決めないとマズい」

杏子「最悪、魔女本体だけ殺そう・・・」


57: 2011/04/24(日) 23:10:02.00 ID:L5QdiUXd0
男「おっと、もう来てたか」

杏子「おそーい、もう18時だぞ」

男「講義が長引いて・・・すまんすまん。夕飯はファミレスでいいか?」

杏子「外食大丈夫なのか? 貧乏ならあまり無理すんなよ」

男「ガキが金の心配するな。ほれ、行くぞ」

59: 2011/04/24(日) 23:18:43.42 ID:L5QdiUXd0
杏子「ピザまだかなー、お腹ぺこぺこ」

男「おにぎり少なかったか?」

杏子「そんなことないかなー、十分」

男「ならいいけど」

杏子「おにーさんは何も聞かないね」

男(聞くのが怖いだけさ)

男「紳士はレディーのプライベートを詮索しないのさ」

杏子「プッ、紳士だって・・・あははは!」

男「笑うな!結構恥じゅかしいんだぞ」

杏子「はじゅかしいんだぞだって!あっははははは!」

男「こいつ鬼や、魔女や・・・」

杏子「・・・魔女?」

男「どうかしたか?」

杏子「いや、なんでもないよ。あ、ピザきた!」

男(いま魔女って言葉に明らかに反応したような・・・気のせいか)

60: 2011/04/24(日) 23:25:34.36 ID:L5QdiUXd0
杏子「チーズがちぎれないいいー」ウニューン

男「間抜けすぎる構図だな」パシャッ

杏子「と、撮るなよ!」

男「いやー、お前があまりにも可愛くてな」パシャッ

杏子「そ、それ以上撮るならこのピザ全部アタシが食べるからな!」

男「それは困る。俺も腹が減ってるのだ」

杏子「わかればよろしい」

63: 2011/04/24(日) 23:30:58.03 ID:L5QdiUXd0
杏子「食った食ったぁ」

男「なぁ・・・聞きたいことがあるんだが」

杏子「ん、なんだい?」

男「そ、その・・・名前をだな・・・」

杏子「おっと、名乗ってすらいなかったね。しっけいしっけい」

杏子「てか名前聞くだけでどもりすぎ。本当に変なところウブだね、アンタ」

男「ぐぬぬ」

杏子「アタシは佐倉杏子。よろしく・・・って今更か。アンタは?」

男「男だ」

杏子「男ね、オッケー。ごちそうさま、男」

男「おう。んじゃまた明日な佐倉」

杏子「ん、おやすみー」

64: 2011/04/24(日) 23:36:53.16 ID:L5QdiUXd0
杏子(チーズがうにゅーんの写真撮られてるのは恥ずかしかったな)

杏子(次あんなことしたらタダじゃおかねぇぞ)

杏子(・・・きたな)

杏子(お、使い魔を出したか・・・さっそく人間襲ってやがる)

杏子(もし男が襲われたりしたら)

杏子(・・・・・・)

杏子(いや、男が氏のうがアタシには関係ないさ)

67: 2011/04/24(日) 23:44:17.17 ID:L5QdiUXd0
杏子(遅いな、男・・・)

杏子(もう9時過ぎてるのに来ない、いつもなら8時前には来るのに)

杏子(まさか・・・)

杏子(仕方ないだろ。出来る限り多くのGSを集めないとアタシは生きて行けないんだ)

杏子(いや、まだ氏んだと決まったわけじゃない)

杏子(風邪でも引いてるのかもしれないし、怪我をしてるのかもしれない)

杏子(こっそりつけて自宅ぐらい確認しておけばよかった)

杏子(ってさすがにそりゃ男に依存しすぎだろ。ああもう)

杏子(アタシに飽きたって可能性もある。これが一番現実的じゃね?)

杏子(そもそも、こんな色気もないガキに飯食わせるなんてことがおかしかったんだよ)

杏子(「拾って」と書かれた箱に入った犬や猫に最初はエサをあげるけど、すぐに飽きて放置)

杏子(きっとそんな感じかな・・・アタシは犬や猫と同じか。ははっ)

69: 2011/04/24(日) 23:50:20.15 ID:L5QdiUXd0
杏子(って何考えてんだ、男が殺されたかも知れないってのに)

杏子(けどどうやって調べればいいんだ)

杏子(アタシは人探しをする魔法なんて持ってない・・・!)

杏子(ホント肝心なときにこそ役に立たねぇな、魔法ってのは)

杏子「うぅ・・・」ポロポロ

杏子「なんで・・・なんで泣いてんだアタシ」

杏子「会って2日しか経ってない人間が氏んだかもしれない。それだけなのに」

杏子「ちくしょお・・・」

杏子「どこ行ったんだよ男のバカ野郎おおおおおおおおおおお!」

男「うわわっ!」

70: 2011/04/24(日) 23:55:15.51 ID:L5QdiUXd0
杏子「お、男おおおおおおおおおおおおおお!?」

男「わわわ! 声でかいよ佐倉! 氏ぬ! 耳が氏んじゃう!」

杏子「バカ野郎! 氏ねっ! 氏んじまえ!」ポコポコ

男「痛い痛い! 佐倉マジ怪力!」

杏子「人がどんだけ心配したと思ってんだ!」

男「・・・?」

男(事情が良くわからんが・・・佐倉は真剣そのものだな)

男「・・・すまん、佐倉」

杏子「・・・うぅ」グスッ

男「泣くな泣くな! 朝から牛丼おごっちゃうからさ、うん!」

杏子「特盛り」ボソッ

男「おk、おk。特盛な!」

77: 2011/04/25(月) 00:04:07.05 ID:wvWGdL3I0
牛丼特盛りオマチッ

杏子「いただきます」モグモグ

杏子「うまいなぁ牛肉!」

男「そりゃよかった。で、何があったんだ佐倉」

杏子「そりゃこっちの台詞だよ。何でこんなに遅いのさ」

男「寝坊した」

杏子「ね、寝坊!?」

男「す、すまん。昨日徹夜でレポートやってて」

杏子「大変なんだな、男も」

男「まぁギリギリになってやる俺が悪い。・・で、佐倉は何であんなに心配したのよ」

杏子「・・・・・・」

78: 2011/04/25(月) 00:14:34.82 ID:wvWGdL3I0
杏子「ごめん。それは言えない」

男「そうか・・・」

男(おいおいおいおい。ちょっとマジでやばくないかこれ)

男(ヤ〇〇が俺の家を襲撃したとか思ったんじゃね? だとしたらこれはシャレにならん)

杏子「世話になっておいて、こんなこと言うのもアレなんだけどさ。もうアタシと関わらないほうがいい」

杏子「信じてもらえないだろうけどさ、昔アタシは大事な人たちを氏なせちまったんだよ」

男「え・・・」

杏子「これ以上大事な人に氏んでほしくないんだよ」

男(おいちょっと待てよ、佐倉はいきなり何を・・・)

杏子「話はこれで終わり。短い間だったけど楽しかったぜ、男」

男(待てって言いたいのに、言わなきゃいけないのに、その言葉が口から出てこない)

杏子「アンタが居なきゃアタシはとっくに氏んでたよ」

男(なんで俺はビビってんだよこんな時に。行っちまうぞ、佐倉が。いいのかよ、こんな後味の悪い別れ方で)

杏子「バイバイ」

男(いいはずがないのに・・・なんで動かねぇんだよ畜生)

82: 2011/04/25(月) 00:24:31.23 ID:wvWGdL3I0
杏子(さっさと魔女を倒してこの街を出よう)

杏子(入手できるGSは減っちまうけど、男が氏ぬかも知れないってよりはマシだろ)

杏子(今夜、一気にケリをつける)

杏子(長くこの街にいたらまたアイツに会いに行っちゃうだろうしな)

杏子(でもアタシの周りにいたらアイツは絶対に不幸になる)

杏子(アタシを助けるために、ご飯100回食わせてからヤるぜ!なーんて見え見えの嘘をついちゃう・・・)

杏子(あんな優しすぎる大バカは幸せにならないとダメだろ、やっぱ)

83: 2011/04/25(月) 00:30:14.29 ID:wvWGdL3I0
杏子「みーつけた・・・おいおい、よりによってここかよ」

杏子「男が飯おごってくれたファミレス。やれやれ、因果なもんだねぇ」

杏子「そんじゃ、お邪魔しますか!」

84: 2011/04/25(月) 00:35:51.93 ID:wvWGdL3I0
男「・・・俺ってホント馬鹿」

男「佐倉の腕を無理矢理にでも掴んで止めるべきだったんだよ」

男「普段はかっこつけてるけどイザってときは本当に何も出来ない。どうしようもないクズだ」

男「きっと佐倉はもう二度と俺の前に姿を見せない」

男「出会って2日そこらなのに・・・なんで心配でしょうがない。アイツ、これから飯どうすんだろう・・・」

男「アイツと会った初日みたく男に身体売ったりするんだろうな・・・あんな小さな子が」

男「俺がどうこう出来る問題じゃなかったんだよ、やっぱ」

男「情けないな・・・本当」

男「アイツと初めて飯食ったファミレスにでもいこう・・・もしかしたら、いるかも」

88: 2011/04/25(月) 00:44:41.45 ID:wvWGdL3I0
――ファミレス内

杏子「おい、店員さんしっかりしろ! おい!」

店員「・・・・・・」

杏子「畜生、ダメか・・・」

男「ははははは・・・」

杏子「男!?」

男「杏子がいるわけないよなやっぱ・・・ははは。おれってどうしようもないわ」

男「おれはどうしようもねぇ、氏ぬしかねぇんだ・・・」

杏子「バカ野朗、ナイフを放しやがれ!」パンッ

男「きょう、こ・・・?」バタリ

杏子(気を失ったか)

杏子(魔女の奴、許さねぇ・・・男に手ぇだしやがって)

89: 2011/04/25(月) 00:53:06.61 ID:wvWGdL3I0
――魔女空間

杏子「そこら中に動物の氏体が転がってやがる。かじり取ったような跡から体液が垂れ流しだ」

杏子「臭いもキツイし、ずいぶん悪趣味だなこりゃ・・・オエッ」

杏子「おっと、使い魔のおでましか。いろんな動物が合体した感じか・・・? 本当に気持ち悪いぜ」

杏子「お前らも体液をぶちまけな、そらっ!」

92: 2011/04/25(月) 00:59:14.54 ID:wvWGdL3I0
杏子「ふぅ・・・結構キツいねぇ」

杏子「普段なら楽勝なんだけど今は魔力を温存しねーと・・・」

杏子「こっから最深部に行けそうだな、首洗って待ってろよ」



杏子「さて、アンタがここのボスかい?」

魔女「OHHHHHHHHHHHHHHHHHHッ!」

杏子「これまた動物がぐちゃぐちゃに混ぜ合わさった感じだねぇ・・・大きさは使い魔の数十倍ってところか?」

杏子(魔力はそんなに残ってない・・・一気に決めるしかねぇ)

杏子「行くぜ――」


93: 2011/04/25(月) 01:06:20.50 ID:wvWGdL3I0
男「ん、俺は一体・・・?」

男「ファミレスにきて注文して、杏子のこと考えてて・・・それから、えっと」

男「痛っ・・・思い出そうとすると頭がすげぇ痛ぇ」

男「無理して思い出すことでもないか・・・」

男「でも、何か大切な事だったような、うーむ」

『バカ野朗、ナイフを放しやがれ!』

男「杏子ッ!?」

男「そうだ、俺は何もできなかったことを悔やんでナイフで自頃しようと・・・」

男「杏子は、杏子はどこに行ったんだ!」

男「ん、あれは・・・空間の裂け目、みたいな奴か? おいおいゲームかよ」

男「なんとなく、なんとなくだけど。あの先に杏子がいる気がする」

男「怖いな・・・でも行かないと。もう、後悔はしたくない」

95: 2011/04/25(月) 01:13:27.02 ID:wvWGdL3I0
魔女「GOAAAAAAAAAAAA!」」

杏子「ぐわぁぁぁっ!」ミシミシ

杏子(なんて握力だよ。ぐ、身体が潰れそうだ・・・)

杏子(こりゃは万全の状態ですら勝てるか怪しいぜ・・・甘かった)

杏子(・・・アタシが氏んだらどうなるんだろーな)

杏子(コイツを倒せなきゃ魔女のくちづけは消えない・・・つまり男を救えない)

杏子(それはダメだと決めたばかりじゃねーか)

杏子(・・・・・・)

杏子(魔力を暴走させて、自爆。これしかねぇ)

96: 2011/04/25(月) 01:21:02.22 ID:wvWGdL3I0
魔女「FOAAAAAAAAA!」」

杏子「あがぁああああああ!」バキバキバキ

杏子「なめんじゃねぇえええええ!」

杏子(槍をからめてコイツの拳の上からに巻きつけた・・・これでもうアタシを放せねぇだろ)

杏子「うおぁああああああああっ!」

杏子(じゃあな、男――)

98: 2011/04/25(月) 01:31:14.94 ID:wvWGdL3I0
男「杏子!」

杏子「男!?」

杏子(しまった、魔力がもう・・・。拳に巻きつけた槍も砕かれた・・・)

杏子(そんでコイツがアタシを握るのをやめれば下に落ちるのは当たり前・・・あぁ、情けねぇ氏に方だぜ)

男「させるかよっ・・・と。痛ぇ!」ダキッ

杏子「男・・・」

男「いやぁ、お姫様抱っこはキツイなぁ。杏子、案外重いな」

杏子「うるさい、バカ野郎!」

男「なんか、久しぶりに声聞いた気がする。そんなに時間経ってないのに。もう聞けないと思った」

杏子「・・・なんできたんだよ」

100: 2011/04/25(月) 01:37:54.26 ID:wvWGdL3I0
男「ここに杏子がいるから、じゃあ駄目か?」

杏子「ホントに・・・バカ。アタシがいないと生きていけないってか」

男「あぁ、杏子が居ない世界なんて生きた心地がしないね」

杏子「・・・言うじゃん、色男」

男「惚れるなよ?」

杏子「はいはい、勝手に言ってな。アタシは大きなごみを処理しなくちゃいけないんでね」

男「こりゃまたでかいごみだな。できるのか?」

杏子「できないと思うの?」

男「まさか。杏子ならできる」

杏子「あぁ。男が居ればこんな奴ちょちょいのちょーい、さ」

101: 2011/04/25(月) 01:46:56.10 ID:wvWGdL3I0
杏子「男、この宝石一緒に握ってくれる?」

男「綺麗だな・・・わかった」

杏子「そんでアタシ達は絶対に負けないって強く願うんだ」

男「オーケイ」

男(杏子キュート!杏子怪力!杏子無敵!杏子可憐!杏子ビューティフル!杏子最強!)

杏子(なんか違うような気がするけど・・・ま、いいか)

男「杏子愛してるうううううううううううううううううううう!!」カァァァッ

杏子「・・・おい///」

杏子(っと、ソウルジェムが輝きを取り戻した・・・いや、今まで以上に輝いてやがる)

杏子「これなら・・・楽勝だ!」

男「いくぜぇ、魔法少女杏子おおおおおおおおおおお!」

杏子「わかってらぁ!」

杏子(そうさ、アタシは――)


杏子「魔法少女、佐倉杏子だ」

102: 2011/04/25(月) 02:00:02.75 ID:wvWGdL3I0
――1ヶ月後、ファミレス前

男「行くのか、杏子」

杏子「世話になったな、男」

男「絶対にもどってこいよ」

杏子「あぁ、約束するぜ。それまでに就職しといてくれよ?」

男「おk。結婚式とか金滅茶苦茶かかるらしいしな」

杏子「け・・・結婚とか何言ってんだよ!」

男「顔真っ赤」

杏子「子供をからかって楽しいかよ!」

男「いつぞやとは逆になってるな」

杏子「う、うるせぇ・・・」

男「ははは」パシャッ


104: 2011/04/25(月) 02:03:07.61 ID:wvWGdL3I0
杏子「ば、バカ野郎!撮るんじゃねぇ!」

男「これは待受にせざるを得ない」

杏子「まったく、油断もすきもねぇ」

男「ケータイ買ってやったんだから、ちゃんと連絡くれよ? 使い方はわかるな?」

杏子「バカにすんなよ。完璧だぜ」

男「だといいんだけどな」

杏子「それじゃ、またね」

男「あぁ、またな」

105: 2011/04/25(月) 02:08:03.89 ID:wvWGdL3I0
杏子(あの時、アタシと男の強い想いから奇跡は起きたけど、次もまたあんな事が起きるとは限らない)

杏子(いつかまたこの街に魔女が現れるかもしれない。もし今回の魔女より遥かに強かったりしたら・・・)

杏子(だからその時までにアタシはもっと強くならないといけないんだ)

杏子(使い魔は魔女になるまで無視して少しでも多くのGSを稼ぐ)

杏子(アタシのテリトリーで邪魔をする魔法少女は容赦なく頃す)

杏子(それが誰になんと言われようとも構わねぇ・・・アタシは男を守る、それだけだ)



杏子「QB・・・ずいぶんと久しぶりじゃねぇか」

杏子「何? 巴マミが・・・そいつは好都合だ、すぐに行くぜ」

杏子「それじゃ、まずは見滝原とやらに行くとしますか」




おわり

119: 2011/04/25(月) 07:28:12.88 ID:zE4O6Wm50

引用: 杏子「お兄さん達、パンをくれたら何をしてもいいよ」