1: 2024/09/27(金) 19:43:40 ID:???00
かのんの喫茶店


可可「プレゼント、何も用意できてないデス……」

可可「何をくれてやろうかと思案してるうちに、いつのまに時間が過ぎてしまいまシタ」ズーン

かのん「めずらしいね。可可ちゃんが誰よりも一番早く用意してると思ってたのに」

可可「むっ……どういう意味デスカ?」

かのん「あ、いや、なんでもないよ!」

マンマル「……」

かのん「はいお待たせ、特製カフェオレ」トン

可可「ありがとデス」チュー

かのん「プレゼントに小物とかどう?」

可可「それは去年やりまシタ。グソクムシのあみぐるみを作ったデス」

かのん「あー、そうだったね」

マンマル「……」

可可「アイヤー、どうすればいいのでショウ……」


「なら、好物をふんだんに使ったお菓子を作ってあげるのはどう?」

2: 2024/09/27(金) 19:45:25 ID:???00
可可「あぇ?お菓子……?」

かのん母「既存のものを買ったりするのもいいけど、心を込めてつくるお菓子ならもっと喜ぶはずよ」

かのん「そっか、料理という手もあった!さすがお母さん」

かのん母「どういたしまして。で、どうかしら?」

可可「かのんマーマサンの提案はうれしいデスガ……」

可可「……可可は料理が苦手なのデス。変な物を作ってすみれをガッカリさせてしまいマス」

かのん母「大丈夫よ。かのんが手伝ってくれるわ」

かのん「え゛っ゛、私も!?」

かのん母「お友達でしょう?」

かのん「でも、土曜はのんびりゴロゴロしたい気分で……」

かのん母「……かのん?」

かのん「わかったわかった!手伝うって!」

可可「謝謝デスよ、かのん!」

マンマル「……」

3: 2024/09/27(金) 19:49:34 ID:???00
可可「それで……ナニを作ってやりまショウか」

かのん「すみれちゃんの好物は、卵かけご飯、抹茶、メロンだね」

可可「卵かけご飯はお菓子になりえまセンので、残りのふたつで考えてみると」

かのん「メロンはどう?豪快にカットして、エレガントなフルーツ盛りとか!」

可可「……コスプレ衣装を買いすぎて、今月はスカンピンなのデス」フルフル

かのん「なら抹茶だね!シフォンやブラウニーとかきっと喜ぶよ」

可可「みんなで買うバースデーケーキとダブってしまいマス。それにうちはオーブンがないデス……」

かのん「そっかぁ……どうしようお母さん?」

かのん母「そうね……」

かのん母「ケーキはケーキでも、混ぜるだけでオーブンいらずで失敗しない特別な抹茶ケーキがあるわ」

可可「混ぜるダケで失敗しない……本当デスカ!?」

かのん「オーブンいらず!?そんなケーキがあるの?」

かのん母「ええ。レシピを教えるし、型と道具は貸してあげるわ」

可可「マーマサン、太謝デス!」

かのん「じゃあ材料を買って、明日つくってみよう!」

マンマル「……」

7: 2024/09/28(土) 09:48:59 ID:???00

翌朝、可可のアパート


ピンポーン

可可「ハーイ!アッ、かのん!」ガチャ

かのん「ふぁ……来たよ……」アクビ

ドン

かのん「で、このクーラーボックス。お゛も゛か゛っ゛た゛ぁ゛!」

可可「すみれと可可のためデス、加油!」

かのん「出来たケーキを運ぶのはわかるけど、ドライアイス入りとは聞いてなかったよー」

可可「マーマサンに頼みまシタ、これはすみれを喜ばせる演出に必要なのデス」

かのん「そうなんだ。じゃあ、さっそく……」

可可「材料はもう準備してるデス、あとは料理だけデスね」

かのん「よーし、お母さんからもらったレシピで作ろう!」

可可「ハイ!」

8: 2024/09/28(土) 09:49:42 ID:???00

かのん「えーっと、レシピではまず……」スッ

かのん「ゼラチンパウダーに水を入れて、軽く混ぜてふやかす」

可可「ハイ」

かのん「ボウルに抹茶を入れる」

可可「ハイ!」パッパッ

かのん「……あ、これ祇園の宇治抹茶じゃん!しかも半分使うんだ」

可可「マーマサンから譲ってもらいまシタ!とっても贅沢デスネー」

かのん「そこに砂糖を入れて、ヘラでなじませる」

かのん「あ、抹茶が白っぽくなるくらい丁寧に、だって!」

可可「ハイ」マゼマゼ

かのん「次は……充分に冷やした生クリーム1パック」

かのん「ダマにならないように3回にわけていれて、混ぜる」

可可「ハイ」マゼマゼ

9: 2024/09/28(土) 09:51:07 ID:???00

かのん「ここが肝心なところだよ……小鍋に牛乳を入れて、沸騰直前まで温める!」

かのん「あ、沸騰しちゃったら失敗確定だからもう一度やりなおして……だって」

可可「うぅ、緊張するデス……!」トン

ボッ

かのん「弱火にしてヘラで常にかき混ぜる」

可可「あぇ、忙しいデスね……これもすみれのためデス」マゼマゼマゼッ

かのん「温度計を入れて、70度……うん、オッケー!」

かのん「火を止めて新しいボウルに移そう!」

可可「ハイ!」ドバー

かのん「で、すぐゼラチンを入れて溶かす」

可可「……溶かしマシタ!」

かのん「それを抹茶クリームに入れて、よーく混ぜたら生地の完成!だって」

可可「ハイ……どんどんすみれの色になっていくデス」

10: 2024/09/28(土) 09:54:56 ID:???00

かのん「……最後に茶こしで残ったダマを取り除いたら」

かのん「パウンドケーキ用のトヨ型にオーブンシートをしいて……あ、私がやっておいたよ」

可可「生地を型にドバーデスよ、かのん!」ドバー

かのん「これを冷蔵庫で6時間冷やす!」

可可「ハイ」スッ

バタン

かのん「出来上がりまで待つったら待つ!」

可可「……すみれみたいデスよ」

かのん「あれで5人前だから、可可ちゃんもう一回つくろう!」

可可「ハイデス!」

可可(すみれとみんなのぶんを作ったあと、待ち時間はかのんにスクールアイドルの講義をたっぷり行いまシタ)

11: 2024/09/28(土) 10:11:40 ID:???00

午後、アイドル部の部室


八人「せーの、誕生日おめでとう!」クラッカーパーン

すみれ「みんなありがとう!こんなギャラクシィーなパーティーを企画してくれて!」

可可「……」

可可(ついにすみれの誕生日パーティーが始まった。一大決戦デス)

恋「こちらが、バースデーケーキです」

すみれ「わあ……すごいじゃない!」

夏美「みんなで一緒に選びましたの、九つに分けられるように四角いフルーツケーキですの」

すみれ「何から何まで、ありがとうったらありがとうよ!」

可可(無事にマーマサンのレシピ通りに出来たものを金型ごとクーラーボックスに収め、学校まで注意して運び込みまシタ)

可可(味もどんな出来上がりかもまだ確認してないのデ、ほんの少しドキドキしてマス……)

きな子「ケーキにロウソクを立てるっす!」

四季「円に沿った均等な間隔の位置特定なら、任せて」グッ

メイ「また妙な機械を持ってきたな……」

可可(みんなですみれにプレゼントを披露するときまで、ボックスを奥にコッソリ隠してマス)

きな子「ローソクに火をつけたっす!」

千砂都「よし!はじめにバースデーソングだよ!かのんちゃん、お願いね!」

かのん「わかった!じゃあ歌うよー」ジャラン

12: 2024/09/28(土) 10:14:45 ID:???00

かのん「……ハッピーバースデイ、トゥ、ユー♪」ジャララン

パチパチパチ

可可「スバラシイコエノヒトー!」

かのん「はいすみれちゃん、吹き消しちゃって!」

八人「せーの!」

すみれ「……フッ」

八人「おめでとー!」

きな子「きな子がケーキを切り分けるっす!」

千砂都「切り分けてる間、みんなのプレゼントをすみれちゃんに渡していこう!」

可可(……来た)

可可「……」タッタッ

可可(クーラーボックスを少し開けて、コップ一杯の水を入れマス)

可可(すみれをアッと驚かせてやるデスよ……)

可可「かのん、準備オッケーデス」

かのん「了解!」

すみれ「?」

かのん「じゃあ、私からね!」スクッ

13: 2024/09/28(土) 10:17:19 ID:???00

かのん「私はライトグリーンのネイルチップ!」

恋「わたくしは、メロン型のクッションを……」

千砂都「たこ焼き器で作ったコロコロでマルーい、抹茶焼き!中はアンコだYO」

きな子「きな子は地元から取り寄せた、北海道限定のメロンラングドシャっす!」

メイ「わ、私は……スミレの花を持った猫のガラス細工……」

すみれ「あら、可愛いじゃない」

きな子「見た目に反してチョイスが可愛いっすね!」

メイ「う、うるせー」カアッ

四季「これ。すみれ先輩のために調合した香水。夕張メロンの芳香、きな子ちゃん監修」

夏美「オニナッツ謹製、卵かけご飯スムージーですの!」

可可(みんながプレゼントを披露し終えまシタ)

千砂都「えっと、最後は……可可ちゃんだね!」

可可「ハイッ!」スクッ

可可(緊張の一瞬デス!)

15: 2024/09/28(土) 19:52:00 ID:???00

可可「……これデスよ、すみれ」

ドン

すみれ「クーラーボックス!?えっと……可可?」キョトン

可可「プレゼントは中身デス。いま開けるデスよ」ガチャ

ボフッ

すみれ「ギャラクシー!?箱から煙!?」

千砂都「おぉー!なんか玉手箱みたいだねぇ!」

四季「スピリチュアル」

かのん「だからドライアイスをボックスに詰めたんだ」ポン

可可「すみれ、落ち着くデス。んしょ……」

すみれ「中は……金属の箱?筒?」

可可「かのん!」

かのん「はい、可可ちゃん」スッ

可可「型の端っこにケーキナイフを入れたあと、板にのせて……クルッと」ヒョイ

可可「型を外して、クッキングシートをめくったら……!」

ペラッ

八人「おおー!」

可可「抹茶ムースケーキの出来上がりデス!」

16: 2024/09/28(土) 19:53:50 ID:???00

すみれ「これ、アンタが作ったの……?」

可可「……と、当然デス。今日はすみれの誕生日デスから、可可が心を込めた手作りのお菓子をプレゼントしてやろうと思いまシテ」モジモジ

すみれ「可可!ありがとう……!」ジーン

可可「んなっ……!」カアッ

かのん「良かったね、可可ちゃん!」

可可「よ、良くなくないデスー!」ブンブン

きな子「さあ、切り分けるっすよー」スッ

可可「待つデス!!」バッ

きな子「ふぇ!?」ビクッ

可可「食べる前の最後の仕上げに……」スッ

可可「パラパラーっと宇治抹茶をムースにたっぷりふりかけるデス!」

パッパッ

すみれ「贅沢ったら贅沢じゃない!」

可可「きなきな、切り分けて欲しいデス」

きな子「はいっす~!」

17: 2024/09/28(土) 19:55:59 ID:???00

千砂都「それじゃ、ケーキがみんないきわたったところで……かんぱーい!」

みんな「かんぱーい!」

千砂都「そして~?」

みんな「いただきまーす!」

可可「……」ドキドキ

きな子「まずは可可先輩のムースからっす!」パクッ

きな子「……美味しいっすー!東京にはこんなトロトロのケーキがあるっすか!?」

恋「とてもなめらかですね……!」

四季「苦味甘味クリーミー、すべて均等。バランスが絶妙」

夏美「美味しくて、しかも贅沢!SNSにあげてオニバズりですのー!」カシャカシャ

メイ「……早く食わないと溶けちまうぞ?」

千砂都「美味しいねぇ、かのんちゃん!」

かのん「そうだねー」

すみれ「どれどれ」パクッ

すみれ「美味しいったら美味しいわ。可可、よく頑張ったわね」

可可「……」ホッ

すみれ「!」

スッ

すみれ「……ほら可可、口開けて。アンタも食べなさい。」

18: 2024/09/28(土) 20:01:04 ID:???00

可可「!」

可可「なななな、何でスプーンを可可の前に持ってくるデスか!?」

すみれ「私たちの感想を気にして、最後まで待っていたんでしょ?」

すみれ「抹茶ムース、みんなとっても美味しいって。安心して食べていいわよ」スッ

可可「イエ、そういう訳じゃなくて……って、なんですみれが可可に食べさせようとしてるデスカ!?」

すみれ「お礼に食べさせてあげようと思って」

可可「ク、可可は自分で食べマス!子供じゃありまセン!」バッバッ

すみれ「まあいいじゃない、そういうの」

すみれ「ほら、あーんして……」スッ

可可「……ハイ」パクッ

19: 2024/09/28(土) 20:02:39 ID:???00
すみれ「どう?」

可可「好好吃デス……アッ」

みんな「……」ニヤニヤ

可可「ナッ、なに見てるデスカーッ!」プンプン

かのん「いやー、仲良しさんだなぁーって」ニヤニヤ

夏美「甘すぎて少しお腹いっぱいになってきたですのー」スマホ

可可「うぅ……!」カアァ

可可「仕返しデスよ、すみれ!あーんするデスー!」スッ

すみれ「あむっ……んふっ、美味しいわ」ウットリ

可可「!!」カアァ

可可「……も、もうしまセン!あとは勝手に食べてくだサイッ!」プイッ


可可(こうして、今年のすみれの誕生日は可可にとって、抹茶ムースのように甘苦い特別な日となりまシタ……)


おわり

20: 2024/09/28(土) 20:06:22 ID:???00
終わりです。
平安名すみれちゃん誕生日おめでとう!

祇園辻利の抹茶で作ったら至高だったので、SSにしまシタ

引用: 【SS】可可「明日はすみれの誕生日デスが」