257: 2017/12/27(水) 18:05:50.53 ID:bYSVmpXyo
おお、キャラまとめお疲れ様です。やっぱ人数多いですね。ちなみに列車の構造はこんな感じです。


先頭
  1号車【展望車・前】
  2号車【寝台車一】
  3号車【寝台車二】
  4号車【寝台車三】
  5号車【スイート】
  6号車【食堂車】
  7号車【ラウンジ】
  8号車【ロビー】
  9号車【寝台車四】
 10号車【寝台車五】
 11号車【寝台車六】
 12号車【謎車】
 13号車【展望車・後】
後方

第一章「薄暮・前」
第二章「薄暮・後」
第三章「夜中・前」
第四章「夜中・後」

それでは、第五章「深夜・前」を開始します。
60レスほどの予定です。

258: 2017/12/27(水) 18:07:17.44 ID:bYSVmpXyo


――12号車【謎車】 屋根の上


ドゴォォォン…!!!


キノコ頭「な、なんだ!?」ガバッ


テ口リストA「ぜ、前方車両で爆発です!!」

テ口リストB「……と、思ったら、爆発が後方に遠ざかっていった」

テ口リストC「ど、どういうコトだ……?」


キノコ頭「…………」
ふらいんぐうぃっち(13) (週刊少年マガジンコミックス)
259: 2017/12/27(水) 18:07:48.68 ID:bYSVmpXyo


キノコ頭「……あれは、爆発が遠ざかっていったんじゃない」

テ口リストD「え?」

キノコ頭「遠ざかっていってるのは、俺たち、この列車だ」


キノコ頭「つまり。まず、前方車両のどこかで爆発の原因が発生した」

キノコ頭「ただし、爆発自体は、前方車両から外に出て、列車の外で起こった」

キノコ頭「だから実際に爆発したのは……。列車の外の木か、何かだろう」

キノコ頭「そして今、列車は爆発地点から猛スピードで遠ざかっているから」

キノコ頭「爆発が後方に遠ざかっていくように見えた……。というところか」

テ口リストD「お、おお……。さすがですリーダー、今の一瞬でそこまでわかるとは!」

260: 2017/12/27(水) 18:08:15.36 ID:bYSVmpXyo


キノコ頭「たいしたコトじゃない。それよりも問題は、今の爆発の原因だ」

キノコ頭「俺たち以外に、この列車で、また暴れている奴がいるのか……?」

テ口リストA「例の、たけ○こ派や、アル○ォート派の連中でしょうか?」


テ口リストB「あ、爆発の煙だけは、車両からも出ていますね……」

テ口リストB「どうやら爆発の原因が発生したのは、6号車のようです」

キノコ頭「6号車といえば、食堂車か……? 飯時に、何かあったのだろうか……」


テ口リストC「う、うう。俺たちも腹が減ってきましたよ、リーダー」

テ口リストD「本当なら今ごろ、教授を捕らえて、アジトで祝勝会のハズだったのに……」

261: 2017/12/27(水) 18:08:41.53 ID:bYSVmpXyo


キノコ頭「……そうだな。くそっ、あの忌々しいたけ○こ派や、乗務員どもめ……」

キノコ頭「奴らさえいなければ、俺たちは何の問題もなく達成し、教授の身柄を確保できたモノを……」

テ口リストA「リーダー……」


テ口リストB「……いえ、リーダー! 俺たちの戦いは、まだ終わっちゃいません!」ガタッ

キノコ頭「……!」

テ口リストC「そうですよ。リーダー。こんな寒い所でクヨクヨしてるなんて、リーダーらしくもない」

テ口リストD「俺たちの目的は、“最強の兵器”を開発した教授の身柄を抑え、たけ○こ派を倒すコト」

テ口リストD「たとえ一度失敗しても、それは変わりません。ならばもう一度、挑戦すればいいだけです!」

キノコ頭「……。お前たち……」

262: 2017/12/27(水) 18:09:07.86 ID:bYSVmpXyo


キノコ頭「……そうだな。いちいち悩むのも、俺らしくはなかった」

キノコ頭「ならばもう一度、襲撃を仕掛けるとしよう! 教授の身柄を確保するために!」

キノコ頭「そしてたけ○こ派たちをも出し抜き、あの乗務員どもに一泡吹かせようではないか!!」

テ口リストA~D「「「「おお!!!!」」」」


キノコ頭「よし。そうと決まればさっそく、もう一度……」


シュボオオオオオオ!!!!!! ガン!!!!!!


テ口リストA「え……?」

キノコ頭「ん? なんだ、今の音? 後ろから聞こえたな。13号車か……?」

263: 2017/12/27(水) 18:09:39.31 ID:bYSVmpXyo


――12号車【謎車】 動力室の前


剣使い「な、なんだ今の音!?」


車掌「後方から聞こえましたね。しかし、13号車は施錠しています。となると、屋根の上で何か……?」

弓使い「シュボオオオに、ガン、か。何かが火を出してる音に……、金属音かな?」

銃使い「…………」ガシュガシュ


剣使い「なあ、車掌さん。さっきも、前のほうの車両で、爆発のような音がした……」

剣使い「この列車。ラウンジが荒らされた時みてぇに、また何か起こってんじゃねぇのか?」

車掌「…………」

264: 2017/12/27(水) 18:10:06.23 ID:bYSVmpXyo


弓使い「1号車のほうには、教授も残してるしねぇー。き○こ派に襲われてないか、心配だな」

銃使い「…………」ボリボリ


車掌「―――だとしても」

剣使い「……!」

車掌「だとしても。私は、士長や、新米の彼女、このドライ・ブラー号の乗務員を信じます」

車掌「二人だけじゃない。食堂車には、料理長や、ウェイター、ウェイトレスたちもいる」

車掌「ラウンジには、貴方たちも見たでしょう。マスターもいるし、ロビーにはフロント担当もいる」


車掌「ご心配ならば、私が断言します。教授さんや乗客の皆さんのコトは、彼らが必ず守っていると」

265: 2017/12/27(水) 18:10:38.12 ID:bYSVmpXyo


剣使い「……、…………」

車掌「…………」


剣使い「……そっか」

剣使い「アンタらも、アンタたちの絆で、繋がってるんだな」

車掌「ええ。その通りです」


弓使い「絆かぁー。いいよね、そういうの! 同じ職場のみんなが、一つにまとまってるとかさ!」

弓使い「こりゃぁ私たちも負けてられないね。そう思うでしょ、銃ちゃん!?」バンバン

銃使い「そうかな」バスバス

266: 2017/12/27(水) 18:11:05.56 ID:bYSVmpXyo


剣使い「……悪かった。アンタらのシゴトを疑ったりして」

剣使い「ならば教授の嬢ちゃんたちのコトは、アンタらに任せよう」

剣使い「だから、俺たちも。俺たちのシゴトを確実に果たす」

車掌「ええ。私たちの役目は、乗客の皆さんを守り、今日の運行を無事成功させるコト……」

車掌「そしてその目的は、貴方がたの目的とも共通しているハズ。共に頑張りましょう」


弓使い「でもさー、それでもやっぱ何の襲撃も無いっていうのは、やっぱりヒマだよねー」

弓使い「アル○ォート派の魔族っていうのは、本当にこの12号車の動力室を襲うのかなあ?」

車掌「おそらくは。過去襲撃してきた魔族は皆、この動力室の動力源を狙いました」

車掌「今回の魔族も、動力室の場所に勘付けば、きっとココに現れるかと」

267: 2017/12/27(水) 18:11:33.97 ID:bYSVmpXyo


車掌「それに、この12号車から繋がる、13号車は、この列車の要の一つ……」

車掌「もし教授さんを狙うき○こ派や、謎の赤色仮面が、列車の機能を狙って襲ってきても」

車掌「ここに張ってさえいれば。迎え撃ち、懸案を一つ減らすコトが出来ます」


プルルルルル…

銃使い「ん。電話?」

車掌「おや……。乗務員の誰かでしょうか。……失礼。もしもし」ピッ


弓使い「やれやれ。こりゃあ、年をまたぐ、大シゴトになりそうだねぇ。朝まで気合い入れていこうか!」

剣使い「ああ、そうだな……。……魔族。お前たちは今、どこにいる?」

268: 2017/12/27(水) 18:12:19.93 ID:bYSVmpXyo


――11号車【寝台車六】


ヴヴヴヴヴン


族長「……ッ!?」ガバッ


魔族A「ぞ、族長? 今、族長も感じましたか!?」

族長「あ、ああ……」

魔族B「絶大な魔力の奔流……! 前方車両から……」

魔族C「これほどの術を発動するとは。手練れの術士でも乗っているのか?」

魔族D「あるいは、我々と同じ魔族か……?」

269: 2017/12/27(水) 18:12:47.41 ID:bYSVmpXyo


族長「…………」


族長「……いや。今の魔力の波動には、心当たりがある」

魔族A「え?」

族長「まず、魔力を使った術というのは、我々が使っているそれと」

族長「一部の人間が使うそれは、似ているようで、根本的に違うという」


族長「そして、俺の経験から言えば……。今のは、魔族の使う術の波動だ」

魔族B「というコトは、今の術の主は、魔族……?」

族長「おそらくはな。そして、今ほどの術となれば、使えるのは魔族でも、ほんの一握り……」

270: 2017/12/27(水) 18:13:14.37 ID:bYSVmpXyo


魔族C「……ま、まさか?」

族長「ああ、そうだ……」


族長「マチガイない。今の術の主、この列車に乗っている魔族とは、魔王の誰かだ」


魔族D「魔王……!!」

魔族A「そんな。魔王のような大物が、どうしてこの列車に……」

族長「わからん。だが、我々の行動の範疇で、考えられる原因は……」


族長「人間界に干渉した我々の行動を誅するために、魔王が直々にやって来た、という可能性だ」

魔族B「な……!」

271: 2017/12/27(水) 18:13:41.20 ID:bYSVmpXyo


魔族C「そ、そんなまさか。ははは、そんなワケないッスよ」

魔族D「そ、そうッスよ。いくら俺たちの行動が、魔界のルールを破るモノだとはいえ……」

魔族D「そんな、魔王さまが、俺らみたいな木端を直々に罰しに来るモンすかねえ?」

族長「だが、ならばこの状況。他にどう説明する?」

魔族A「!」


魔族B「そ、それは……」

魔族C「……、……」

魔族D「……ぞ、族長。もし魔王さまが、本当に俺らを捕まえに来たら……。どうします?」

族長「…………」

272: 2017/12/27(水) 18:14:09.01 ID:bYSVmpXyo


族長「……たしかに、我々の行いは、魔界の規範を越えて、人間界に干渉するモノだ」

族長「もし魔界に発覚すれば、処罰は避けられまい。一族の取り潰しもあり得る」

魔族A「そ、そんな。じゃあ……」


族長「―――だが、それがどうした?」

魔族B&C「「……!」」

族長「我らの決意は、その程度のコトで崩れるようなヤワなモノであったか」

族長「改めて誓おう。是が非でも俺は、この列車の動力源を奪い、アル○ォートこそが至高と知らしめる」

族長「果たさねばならぬ約定もある。ココで退くワケには、いくまいよ。例え敵が魔王だろうと天使だろうと」

魔族D「……うおおおおっ!! 反逆の精神、マジリスペクトっす!!!」

273: 2017/12/27(水) 18:14:37.99 ID:bYSVmpXyo


【1月1日 午前0時】

――1号車【展望車・前】


運転士長「―――“白の大天使”?」


魔王「ああ、そうだ。あんたたちが会ったという、白ドレスの女の正体……」

魔王「そして。今回の一連の騒動の黒幕である可能性が最も高い存在だ」


執事「テ口リスト、悪魔、未来人ときて、とうとう天使が出てきましたか……」

教授「もう今さらって感じだよね。私は何も驚かないよ。あ、き○この山もらえる?」

副運転士「はいはい、どうぞー」

274: 2017/12/27(水) 18:15:11.53 ID:bYSVmpXyo


副運転士「さて、今回ここにお集りいただいたのは。ディナータイムでの、食堂車での騒動の関係者……」


革ジャン「へーえ。あの赤いポリマースーツが、お前を雇った、未来の市民ボランティアのねぇ」

小型メカ「たしかに彼は完全に不審者でした。ですが、車外に蹴り飛ばすのは、やりすぎでしょう……」

黒コート「う、うう。すまない。まさか、私たちの標的は、あの鉄仮面のほうだったとは」

桜色の女「まあまあ。過ぎたるは、なお、及ばざるが如し。アル○ォートでも食べて元気出すでござるよ」

魔王「ん? 人間のコトワザの、過ぎたるはナントカって、そういう使い方だったか?」

ウェイター「あ、オジサンたちも周りで掃除してるけど、事情よく知らないから気にしないでねー」

ウェイトレス「もう深夜だから、ほとんど乗客のヒトは寝てるだろうし、これ以上騒がないでねー」

運転士長「では料理長、食堂車の後始末はよろしく頼む。はあ、これで連絡は最後か……」ピッ

275: 2017/12/27(水) 18:15:40.48 ID:bYSVmpXyo


執事「それと、俺とお嬢様の二人。居合わせただけの乗客の皆さん以外は、これで全員でしょうか」

副運転士「そうみたいですね。こんな遅い時間に、ご協力感謝します」

教授「なんだか、まとめ役が板についてきたね」

副運転士「そ、そうですか? えへへ……」


副運転士「それにしても、もう深夜の0時ですか……」

教授「本当なら、皆でハッピーニューイヤー、って言ってるような時間だね」

教授「あいにく、私たちにそんな余裕は無いけれど」


運転士長「さて……。それで、ミスター・魔王。白の大天使、とは、いったい……?」

276: 2017/12/27(水) 18:16:10.05 ID:bYSVmpXyo


魔王「ああ。ここまで事態が大きくなれば、詳しく説明せざるを得ないな」

魔王「乗務員の嬢ちゃんには、軽く説明したが……。改めて詳しく説明するとしよう」


魔王「まず、この世界の裏には、天界という場所がある。生き物の魂が最後に行き着く場所だな」

魔王「世界の裏と言ったのは、物理的な上でも下でもないからだ」

魔王「通常の方法では行き来できない世界……。まあ、既に俺たちの出身の魔界や」

魔王「乗務員の嬢ちゃんも行った冥界なんかも関わってるし、そういうモノと理解してほしい」


運転士長「え。君、冥界に行ってきたのか……?」

副運転士「は、はい。氏神のヒトや、冥王さんなんかとも会ってきちゃいました」

277: 2017/12/27(水) 18:16:43.66 ID:bYSVmpXyo


魔王「次に、天界は、多くの神々と、多くの天使によって運営されている」


魔王「神々のシゴトは、この世のコトワリを正常に運営するコトだ。そうだなあ、わかりやすく言えば……」

魔王「ハッキングから今晩のオカズまで、ってやつか? このコトバ、どっかで聞いたが面白いよな」

魔王「天界には、今晩のオカズを司る神から、ハッキングの神まで、色々いる。本当に色々だ」


桜色の女「ほー。今晩のオカズを司る神様とは、具体的にどんなコトを?」

魔王「俺も詳しくは知らないが、まあ、献立に迷ってる主婦の思考を助けたりとかだろうな」

魔王「あんたの思いついた今日のメニューも、案外、今晩のオカズの神の助けかもだぜ?」

副運転士「す、スゴい地味なコトしてるんですね……」

278: 2017/12/27(水) 18:17:21.82 ID:bYSVmpXyo


魔王「いやいや、ハデなコトしてる神々もいるぜ? 隕石の軌道を変えたり、冥界からの魂を処理したり」

魔王「そんなワケで、主神みたいなまとめ役もいるが、神々ってのは基本的に皆平等で、色々いる」


魔王「そして……。これが本題だな。天使……。神々の意志を実行に移す者だ」

魔王「天界の使いと書いて、天使。枕コトバに、“大いなる”とつけば、大天使」

魔王「下っ端の天使はウジャウジャいやがるが、上司である大天使の数は限られている」

魔王「それだけに、大天使のチカラは強力無比。俺たち魔王も何人いれば、一人とようやく渡り合えるか」

執事「魔王さんは天使と戦ったコトがあるんですか?」

魔王「小競り合いなら、何度か。だが魔界と天界の全面戦争となると、俺たちにとっても神話の時代だな」

教授「私の知らないコトもまだまだあるモンねぇ~。知的好奇心がくすぐられる」ウズウズ

279: 2017/12/27(水) 18:17:53.22 ID:bYSVmpXyo


魔王「最後に。その大天使の中で、少なくとも騒動への関係はマチガイないのが……」

魔王「―――白の大天使。混沌を司り、自由と無秩序を愛する、ハタ迷惑な、乳デカ姉ちゃんだ」


ウェイター「お。胸が大きいのは良いねえ。お兄さん、直接会ったコトがあるのかい?」

魔王「あんた、気が合いそうだな。……うん、まあ、俺とアイツは、色々とな」

ウェイトレス「貧Oはステータスだ! 希少価値だ!」


革ジャン「白い乳デカ姉ちゃん? っとすると、もしかして、さっきの……」ドスッ!!!

黒コート「お前は黙ってろ!!」

小型メカ「うわあ。痛そお。毎日黒コートさんに殴られて、よく氏にませんよね」フワフワ

280: 2017/12/27(水) 18:18:21.46 ID:bYSVmpXyo


副運転士「なるほど。その白の大天使さんが、今回の騒動を招いたと?」

魔王「ああ。大騒動、事件、イベント事だいすきの、アイツのコトだ……」


魔王「奴さん、ヒマに飽いて、この列車に揉め事を大量に集めやがったんじゃねえか?」

副運転士「うーん。そんなふうには、見えなかったような……」

副運転士「……いや、やっぱり見えたような?」


魔王「そして、この列車は、魔族にもよく狙われる厄ネタを積んでいる……。そうだな?」

運転士長「……! そこまで知っているのか、ミスター・魔王」

魔王「ああ。ドライ・ブラーの魔力塊のハナシは、魔界でも有名だからな」

281: 2017/12/27(水) 18:18:52.88 ID:bYSVmpXyo


魔王「まあ、その魔力塊の、本当の意味まで知る者は少ないが」

運転士長「本当の意味だと? この列車の動力源、というコトではなく?」

魔王「違う。古き人間と魔族の約定……。魔力塊はその要石、といったところか」

魔王「この列車の路線が、この国最大の霊峰の傍を通るのも、そのためだ」


魔王「簡潔に言おう。白の大天使は、魔力塊を破壊し、古の封印を解こうとしている可能性が高い」

魔王「なぜなら。それが俺の考えうる限り、この列車における最大の“大騒動”になるからだ」


副運転士「大騒動って……。その封印を解くと、いったい何が起こるんですか?」

魔王「要石が動かされれば、封印された神々の怒りは解き放たれ、最悪の大戦が始まる」

282: 2017/12/27(水) 18:19:20.86 ID:bYSVmpXyo


魔王「具体的に言うと。ある山が突然噴火して、みんな氏ぬ」

副運転士「……!」


副運転士「それが……。あのエンマ帳の、真相……?」

魔王「そうだ。皆、聞いてくれ」


魔王「俺が冥界に行ったところ、今日の分の人間の氏亡リストを確認するコトが出来た」

魔王「―――そこに、このドライ・ブラー号の乗員乗客、全員の名前があったんだ」

革ジャン「なんだと……!」

桜色の女「聞き捨てならないでござるな」

283: 2017/12/27(水) 18:20:02.89 ID:bYSVmpXyo


魔王「氏因は、火砕流に、土石流。加えて、火山弾」

魔王「……マチガイない。件の、封印が解かれた結果の山の噴火によるモノだ」


執事「なるほど。列車の魔力塊とやらが、封印の要石であると知っているのは……」

魔王「ああ。魔界でもごく一部。さもなくば、封印された側の、天界の者だけだ」

運転士長「私でも知らなかったな。あの魔力塊に、そんなヒミツがあったとは……」


黒コート「つまるところ。白の大天使を捕らえるのが最優先、というワケか……」

小型メカ「私たちの問題も、教授の氏亡がトリガーですから。山の噴火とやらが原因かもしれませんね」

教授「え、なになに? 私って有名人?」

284: 2017/12/27(水) 18:20:50.01 ID:bYSVmpXyo


小型メカ「あ、そういえば教授。“最強の兵器”ってどこにあるんですか?」

教授「げ。それか……。ゴメン、まだ無い。今現在絶賛思案錯綜中」

小型メカ「そ、そうなんですか……。なるべく早く作ってくださいね。未来のために」


教授「ねえ運転士さん。運転士さんは、さ。さっき、なんで食堂車の乗客にお菓子を配ったの?」

教授「それも、き○この山も、たけ○この里も、アル○ォートも、関係なく」

副運転士「え? あ、そういえばアレ、イマイチ意味ありませんでしたね……。あはは」


副運転士「いやあ。どれもおいしいお菓子なんだから、皆で一緒に食べればいいんじゃないのかな、って」

教授「……どれも、皆で、一緒に、か」

285: 2017/12/27(水) 18:21:21.84 ID:bYSVmpXyo


革ジャン「なるほどなあ。んじゃあ、俺たちで、その白の大天使って奴をとっちめてみますか」ジャコ

黒コート「は!?」

革ジャン「いやあ、俺たちは仮面の男を追ってたワケだけど、センパイが外に蹴り飛ばしちゃったジャン」

革ジャン「それにせっかくこんなヤバい列車に乗ってるのに、俺たちだけ仲間外れってのも、シャクだろ」

革ジャン「だったら、自分から悪を探す! そして倒す!」バン!!!

革ジャン「……それが。俺のポリシー」ヒュウ


黒コート「……お前のポリシーなど誰も訊いていないんだが」

小型メカ「まあ、私の相方も一緒に飛んでいってしまいましたしね……。やるコトが無いのはたしかです」

桜色の女「―――いや。奴は、必ず戻ってくるでござるよ」

286: 2017/12/27(水) 18:21:53.99 ID:bYSVmpXyo


黒コート「え?」

桜色の女「―――仮面の男。拙者は、何度もあの男と戦った」

桜色の女「ある時は一対一で倒し、ある時は戦艦ごと落とし、ある時は空中庭園ごと叩き潰し……」

桜色の女「それでも、奴は、ケ口リとして次の戦いに現れた」


桜色の女「タイムパトロールどの。あまり、あの男を、侮らぬほうがいい」

桜色の女「あの男は必ず、この列車に戻ってくる。そして、……拙者と戦うコトになる」


桜色の女「仮面の男の身柄が目的なら、まだ諦めるのは早いでござる」

桜色の女「拙者が奴と決闘し、討ち果たした後に……。奴の身柄を、おぬしらに引き渡そう」

287: 2017/12/27(水) 18:22:20.38 ID:bYSVmpXyo


黒コート「なるほど……。そういうコトなら、仮面の男の打倒、ぜひお願いしたい」

桜色の女「承知した。そして、標的を譲っていただいたコト、かたじけないでござる」

小型メカ「あの正義の味方気取りも、しぶといですから、なんだかんだで戻って来そうですね」

革ジャン「ヒーロー野郎もオペ子ちゃんの味方だってんなら、やっぱ狙いは大天使だけだな」


魔王「ハナシはまとまったか? それじゃあ、俺もさっそく動きたい」

魔王「白の大天使は事件が大好きだ。だから、こちらからも事件を作って、おびき出す」

魔王「俺は魔王として、この列車に乗った魔族に灸をすえる必要もある。だから、まず魔族の奴らを……」


ミシッ

288: 2017/12/27(水) 18:22:47.65 ID:bYSVmpXyo


運転士長「ん? 今……」

副運転士「……ミシッ?」


ミシッ ベキベキベキベキ

ドゴン!!!!!!


ヒーロー「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!」ヒュウウウウウウ

仮面の男「おや! そこにいるのは! 我が麗しの、それでも呼びたければ教授さん!!」ヒュウウウウウウ

教授「ま、またお前か!? それと、それでも呼びたければは余計だ!!」

キノコ頭「落ちるうううううううううううううううううう!!!!!!」ヒュウウウウウウ

289: 2017/12/27(水) 18:23:15.33 ID:bYSVmpXyo


執事「な、なんだ? また空からヒトが!?」

黒コート「か、仮面の男……!」

革ジャン「おっ、こりゃちょうどいい! 氏ねぇ!!」バン!!!

テ口リストB「あっ待て、拳銃なんか撃ったら、爆薬に引火して――――」シュボッ
no title

290: 2017/12/27(水) 18:23:44.42 ID:bYSVmpXyo


――6号車【食堂車】


黒コート「時空整備課を……」

ヒーロー「――――あ」

黒コート「ナメるなァァッ!!!」

ドゴッ!!!


ヒーロー「ぶべらああああああああああああああああああ!!!!!!」ヒュウウウウウウ


桜色の女「な―――? 赤いカタマリ……!?」サッ

仮面の男「えっ? あの、ちょっ―――、待っ――――」

291: 2017/12/27(水) 18:24:12.62 ID:bYSVmpXyo


ズガッ!!!!!!


ヒーロー&仮面の男「「ぶべらああああああああああああああああああ!!!!!!」」ヒュウウウウウウ


ズドオ


ヒーロー「れ、列車の外に投げ出される!?」ヒュウウウウウウ

ヒーロー「そ、そんなワケにはいくか! 俺は列車に残って、まだやるべきコトがあるのだ!!」ジタバタ

仮面の男「むぅ……。このままでは線路の近くの木に叩きつけられて終わり、か……」ヒュウウウウウウ

仮面の男「ならば!!」チャッ

ヒーロー「な、何を!!?」ヒュウウウウウウ

292: 2017/12/27(水) 18:24:39.85 ID:bYSVmpXyo


仮面の男「こうするまでよ!!」ヒュッ

ヒーロー「ば、爆弾!? そんなモノお前、いったいどこに隠し持って――――」ヒュウウウウウウ

カッ


ドゴォォォン!!!


ヒーロー「ぶるああああああああああああ!!! 爆風に吹き飛ばされるうううううう!!!!!!」

仮面の男「ここからだ! しっかり捕まっていろ!!」シュボオオオオオオ

ヒーロー「あ、足からジェット噴射!? そんなモノお前、いつの間に装着して――――」ヒュウウウウウウ

ヒーロー「うおああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

293: 2017/12/27(水) 18:25:06.55 ID:bYSVmpXyo


――7号車【ラウンジ】 外部

ヒーロー「うおああああああああああああああああああ」

――8号車【ロビー】 外部

ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

――9号車【寝台車四】 外部

ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

――10号車【寝台車五】 外部

ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

294: 2017/12/27(水) 18:25:34.68 ID:bYSVmpXyo


――11号車【寝台車六】 外部

ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

――12号車【謎車】 外部

ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

――13号車【展望車・後】 外部

ヒーロー「ああああああああああああああああッ!!!」

仮面の男「―――む」


仮面の男「そこだアアァッッッ!!!」

シュボオオオオオオ!!!!!!

295: 2017/12/27(水) 18:26:02.38 ID:bYSVmpXyo


ヒーロー「ジェット噴射で列車の最後尾に近づいている!?」

ヒーロー「でも、一手足りない、届かない……ッ!!」

仮面の男「ならば一手伸ばすまでよおおォッッッ!!!」ビヨヨーン

ヒーロー「う、腕が伸びたああああああああああああ!!?」

ガン!!!!!!


ビュオオオオオオ

仮面の男「そら! 飛び乗れ!!」

ヒーロー「わかった!!」ダンッ

クルクルクル

296: 2017/12/27(水) 18:26:30.23 ID:bYSVmpXyo


ヒーロー「すたっ」


仮面の男「ふぅ……。危機一髪、といったところだったな」

ヒーロー「ああ……。仮面を被った変Oかと思ったら、スゴいんだな。お前」スッ…

仮面の男「ふふふ。君こそ。良いアクロバティックだった」スッ…
no title

297: 2017/12/27(水) 18:26:58.16 ID:bYSVmpXyo


テ口リストA「え……?」

キノコ頭「ん? なんだ、今の音? 後ろから聞こえたな。13号車か……?」


ドタドタドタドタ


ヒーロー「ん……? 何やらコッチに走ってくる人影がいるな……」

仮面の男「こんな時間の、しかもこんなところで、何者だ……?」


テ口リストB「―――た、大変です! 誰かいます!」

テ口リストC「仮面を被った変O二人組です!!」

キノコ頭「なんだと!!?」

298: 2017/12/27(水) 18:27:32.72 ID:bYSVmpXyo


ヒーロー「変Oとは失敬な!!」

仮面の男「我ら仮面の元に意気投合した二人組!!」


ヒーロー「マスク・ド・ヒーロー!」シャキーン

仮面の男「マスク・ド・スティール!」シャキーン

ヒーロー&仮面の男「「二人合わせて――――」」


ヒーロー「……あれ、何にしようか」

仮面の男「そこまで考えていない」


テ口リストD「やっぱり変Oだああああああああああああ!!!」

299: 2017/12/27(水) 18:28:25.31 ID:bYSVmpXyo


キノコ頭「く。どうしてこう、次から次へと、イレギュラーが……」

キノコ頭「……? 待て、鉄仮面のほう。お前、もしや……」


仮面の男「ん……? どうかしたかね、頭マッシュルームくん」

仮面の男「僕は君のような男に脳ミソヒトカケラほどの記憶も無いのだが……」


キノコ頭「……いや。お前が覚えていなくとも、俺は知っている……」

テ口リストA「リーダー?」

テ口リストB「あっ……! まさか、もしや……!」


キノコ頭「お前!! たけ○こ陣営に突然現れて、き○こ派壊滅の原因になった、仮面の男だな!!!」

300: 2017/12/27(水) 18:28:52.62 ID:bYSVmpXyo


仮面の男「ああ……。き○こたけ○こ戦争の」

ヒーロー「ああ……。き○こたけ○こ戦争の」


キノコ頭「……お前のせいで、俺たちが、どれだけの屈辱的大敗を喫したか」

キノコ頭「……お前の発案で、吊るされ火あぶりにされた、き○この山は数知れず」

キノコ頭「……お前の参戦で、ついにスフ○ラトゥーン決戦で、き○こ派は壊滅となった」


キノコ頭「―――お前のせいで、チョコとビスケットを分離され、街中に転がされたき○この恨み!!」

キノコ頭「今こそ思い知れ!! ファイヤアアアアアアァァァ!!!」

ボオオオオオ!!!!!!

301: 2017/12/27(水) 18:29:21.77 ID:bYSVmpXyo


ヒーロー「火炎放射器だと!?」ダッ

仮面の男「ううむ……。これは、逃げるしかあるまい」ダッ

仮面の男「ついでに10号車の客室の僕の武器も拾っていくとしよう」

キノコ頭「待てやゴラアアアアアアアアアアアア!!!」ボオオオオオ


テ口リストC「で、出た……! リーダー必殺の、火炎放射器だ!」

テ口リストD「き○こ派の憤怒の炎を体現したリーダーは、もはや誰にも止められない!!」


テ口リストA「行くぞ! 俺たちも追いかける! お前ら、残りの爆薬を分けて持て!」ダッ

テ口リストB「ああ。だけど今度は、火炎放射器の炎で引火させたりするんじゃないぞ!?」ダッ

302: 2017/12/27(水) 18:29:54.27 ID:bYSVmpXyo


――1号車【展望車・前】 屋根の上


キノコ頭「ファイヤアアアアアアアアアアアアァァァ!!!」

ボオオオオオ!!!!!!


仮面の男「くっ……! しつこい奴らだ! 列車の端から端まで追いかけてくるか!」フォン

ヒーロー「隙あり! 今必殺のォォ―――、カカト落とし!!」メキャ

キノコ頭「ぐあ!!!」ビタンッ

仮面の男「ま、待て! 炎の熱さと冬の寒さでモロくなった屋根に、そういうコトをすると……」

ミシッ

303: 2017/12/27(水) 18:30:22.00 ID:bYSVmpXyo


運転士長「ん? 今……」

副運転士「……ミシッ?」


ミシッ ベキベキベキベキ

ドゴン!!!!!!


ヒーロー「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!」ヒュウウウウウウ

仮面の男「おや! そこにいるのは! 我が麗しの、それでも呼びたければ教授さん!!」ヒュウウウウウウ

教授「ま、またお前か!? それと、それでも呼びたければは余計だ!!」

キノコ頭「落ちるうううううううううううううううううう!!!!!!」ヒュウウウウウウ

304: 2017/12/27(水) 18:30:49.51 ID:bYSVmpXyo


執事「な、なんだ? また空からヒトが!?」

黒コート「か、仮面の男……!」

革ジャン「おっ、こりゃちょうどいい! 氏ねぇ!!」バン!!!

テ口リストB「あっ待て、拳銃なんか撃ったら、爆薬に引火して――――」シュボッ
no title

305: 2017/12/27(水) 18:31:16.65 ID:bYSVmpXyo


魔王「うおおおおお、また爆発した!?」

小型メカ「よく爆発しますねこの列車は!!」

桜色の女「―――やはり、現れたか」チャキ


副運転士「士長……! あのキノコ頭、教授さんや剣使いのヒトたちのお話通りなら……」

運転士長「うむ。奴こそが、ハイジャック犯の片割れ、き○こ派の総元締め……!」

ウェイター「あー、もう。せっかく掃除したのにグチャグチャだよ。オジサン、ショック」

ウェイトレス「まったく。ヒトの苦労を何だと思ってるのかなー」


ヒーロー「あ、いたたた……。まったく、ヒドい目に遭った」

306: 2017/12/27(水) 18:31:45.81 ID:bYSVmpXyo


小型メカ「自称ヒーローさん! ご無事でしたか!?」

ヒーロー「あ、ああ。なんとか。あの仮面のおかげで、列車に戻ってこれたぜ」

小型メカ「なんで指名手配犯と仲良くなってんですか……」


キノコ頭「むッ……。あれは、教授……!!」

教授「キノコ頭!」クルッ

キノコ頭「……クッ、ククハハハハ。俺たちは事故にはよく遭うが、天運もついている……!」

キノコ頭「やれ、者ども!! 再び奴とまみえたは僥倖!! 教授を捕らえろ!!」

テ口リストA~D「「「「イェッサー!!」」」」

執事「ぐ……ッ!」

307: 2017/12/27(水) 18:32:16.69 ID:bYSVmpXyo


ドタン!!! バタン!!!

ワー!!! ギャー!!! ワー!!!


魔王「……なんか、エラいコトになってきたなぁ」

魔王「いや、でもちょうど屋根に大穴が開いた! 今がチャンスだ!」


フワッ

魔王「……もしやこの事態すらも、白の大天使の掌の上という可能性もあるか?」

魔王「いや、それは穿ちすぎか……。いずれにせよ、俺は今、魔族を呼ぶという役目を果たすべきだ」


魔王「さあ! この列車のすべての戦いに、決着をつける時だ! ふんっ!!!」ヴヴヴヴヴン

308: 2017/12/27(水) 18:32:44.79 ID:bYSVmpXyo


――11号車【寝台車六】


ヴヴヴヴヴン


族長「……!」


魔族A「ま、また魔力波です、族長!」

魔族B「今度は明確な指向性を持っています! 1号車の、屋根の上から……!」

族長「…………」


魔族C「……? 族長?」

309: 2017/12/27(水) 18:33:10.34 ID:bYSVmpXyo


族長「―――お前たちはココに残れ」


魔族D「え!?」

族長「今の魔力の波動は、間違いなく魔王様だ……」

族長「『この列車に潜伏せし魔族よ。申し開きがあるならば、この魔王の元に馳せ参じよ』」

族長「この魔力波は、そういう意味を持った、念話だ……」


族長「……おそらく、俺がいけば、魔王様との戦いになる」

族長「それにお前たちを巻き込む必要は無い。お前たちは、ここに残れ」

魔族D「―――族長」

310: 2017/12/27(水) 18:33:37.59 ID:bYSVmpXyo


魔族A「……そんな冷たいコト、言いっこナシですよ」

族長「何……?」

魔族B「族長の、アル○ォート派として覇を唱えたいという気持ちは、俺たちも同じです」


魔族C「だったら、たとえ魔王さまが相手でも、一人では行かせられません」

魔族D「一蓮托生ってやつッスよ、族長!!」

族長「……。お前たち……」


族長「そうか。ならば、行くとしようか、バカども。―――魔王を倒しに」

魔族D「下克上の精神、マジリスペクトっす!!」

311: 2017/12/27(水) 18:34:06.31 ID:bYSVmpXyo


――12号車【謎車】 動力室の前


弓使い「……?」


剣使い「ん? どうかしたか、姐さん?」

弓使い「いや。今なんか、聞こえなかった?」

銃使い「物音……? 何も、しなかった」

車掌「私も、特には。弓使いさんは耳が良いのですか?」

弓使い「まあ、耳は良いほうだけど。そうじゃなくて……」


弓使い「頭の中に直接響いてきた感じ。テレパシーってやつかな?」

312: 2017/12/27(水) 18:34:34.27 ID:bYSVmpXyo


剣使い「テレパシー? そいつは、まさか……」

車掌「魔力によるモノですか? 弓使いさんは、魔法の素養がおありで?」

弓使い「まあね。本職の魔法使いほどじゃないけど、魔法も戦闘に使う」


弓使い「みんなには聞こえなかった? じゃあ、指向が限定的なモノなのかな」

剣使い「テレパシーってコトは、内容があるんだよな。なんて言ってた?」

弓使い「うん。盗み聞きしたみたいなモノだから、よくは聞こえなかったんだけど……」


弓使い「『おしおきするから、魔王のところに来ーい!』……みたいな?」


車掌「ま、魔王? いわゆる、魔族の王の……?」

313: 2017/12/27(水) 18:35:02.51 ID:bYSVmpXyo


銃使い「おしおきってコトは、上司が部下に罰を与える、ってコト?」

剣使い「ちょっと待て。魔王が罰を与える相手、ってのは……」


車掌「……! この動力室を狙っているハズの、魔族!?」

弓使い「つまり、アル○ォート派の魔族の、上司の魔王がこの列車に乗っていて……」

弓使い「その魔王が、部下の魔族を、いま呼び出した。ってコトか」


弓使い「……なら、さ。いつ魔族が勘付くかわからない、この動力室で待ってるよりも」

剣使い「俺たちも今のテレパシーの主の魔王を探したほうが早い、か!?」

車掌「そうですね。魔王が動いたとなれば、また新たな騒動が起きるのかもしれない」

314: 2017/12/27(水) 18:35:29.08 ID:bYSVmpXyo


――1号車【展望車・前】


魔王「ふぅぅぅぅ……。これで魔族のほうは、おとなしく降参してくれるだろ」


教授「うぐっ!?」

キノコ頭「フゥーハハハァー! 教授の身柄は、俺たちき○こ派が預かった!」

テ口リストA「教授さえいればこの列車に用はありません! 脱出しましょう!」


執事「待て、下郎ども……ッ!!」

副運転士「し、士長! 私たちの乗客を、彼らに誘拐させるワケにはいきません!」

運転士長「ああ。この列車の総力を持って、き○こ派、ハイジャック犯どもをここで止める!!」

315: 2017/12/27(水) 18:35:57.69 ID:bYSVmpXyo


仮面の男「おお! 我が麗しの、それでも呼びたければ教授さん……。今この鉄仮面が、お助けに」


桜色の女「―――悪いが、ここは通行止めだ」ザッ


仮面の男「……! またしても君か。一度ならず二度までも会うとは、君は僕のファンなのかな?」

桜色の女「さてな。だが、その得物……。貴様も、私との戦いを予期していたのではないか?」

仮面の男「ほう……。これはこれは。運命とは、知らず知らずのうちにヒトを動かすらしい」

桜色の女「その言葉、どこまで本心かな。私は自分の欲望に正直になろう。少なくとも私は期待していた」


桜色の女「貴様と二人で氏合うこと。忘我の果てに、獣のように踊り狂い、鮮血の華を咲かせること」スッ…

仮面の男「下品だね。だがそれがいい。僕たちの戦いに装飾は不要。必要なのは、互いの刃のみ」スッ…

316: 2017/12/27(水) 18:36:27.10 ID:bYSVmpXyo


黒コート「始まるか……。彼女らの戦いに割って入るのは、彼女らへの侮辱になるな」

革ジャン「ようし、それじゃあセンパイ! 白の大天使とやらを、探すとしようぜ!」

黒コート「は!? お前、本気で言ってるのか? それ、あの魔王が勝手に言ってるだけだぞ!」

革ジャン「ん? でも、なんか腹立つンだよな。俺の見えないところで、動いてる奴がいるってのは」


ヒーロー「はっ! 無辜の乗客の女性がさらわれた! おのれハイジャック犯!!」

ヒーロー「悪は滅ぶべし! 正義は必ず勝つ! 俺の目の黒いうちは、好きにはさせんぞ悪党!」ダンッ

小型メカ「ああっ、待ってください! もう……。本当に勝手なんだから」

小型メカ「申し訳ありません、革ジャンさん。大天使とやらは、お任せできますか!?」

革ジャン「おうよ。お互い、悪党は全員お天道様の元に引きずり出して、初日の出を迎えるとしようぜ!」

317: 2017/12/27(水) 18:36:53.58 ID:bYSVmpXyo


――4号車【寝台車三】


ドズン…!!!


白ドレス「お。この音……。これは、ついに始まったかな? 始まっちゃったかな!?」

白ドレス「『ドライ・ブラー号乗っ取り爆発大炎上事件』における、最後の大騒動が!!」


白ドレス「ラウンジでの爆発、食堂車での爆発……。正直爆発にも飽きてきてたんだよね」

白ドレス「さて。乗っ取りが起きて、爆発が起きれば……最後に起きるのは、なーんだ?」


白ドレス「―――さあっ! 私も、ただ一人の傍観者として、特等席での見物といきますか!」ガチャ

318: 2017/12/27(水) 18:37:27.10 ID:bYSVmpXyo
第五章「深夜・前」は以上になります。
物語も折り返し地点です。

第六章は、明日12/28(木)の18時ごろ開始の予定です。


第六章「深夜・後」

引用: テロリスト「「「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」」」