450: 2017/12/30(土) 18:00:01.50 ID:gCIL18dHo
だが、列車の旅にアクシデントはつきものだった。
第一章「薄暮・前」
第二章「薄暮・後」
第三章「夜中・前」
第四章「夜中・後」
第五章「深夜・前」
第六章「深夜・後」
第七章「未明・前」
それでは、第八章「未明・後」を開始します。
60レスほどの予定です。
第一章「薄暮・前」
第二章「薄暮・後」
第三章「夜中・前」
第四章「夜中・後」
第五章「深夜・前」
第六章「深夜・後」
第七章「未明・前」
それでは、第八章「未明・後」を開始します。
60レスほどの予定です。
451: 2017/12/30(土) 18:00:29.24 ID:gCIL18dHo
――1号車【展望車・前】 屋根の上
剣使い「あの噴火してる山は、高さと方角からいって……。富士山か?」
魔王「違う。あの山は、富士山だが、富士山ではない。き○こたけ○この生みの親……」
魔王「―――アポ○。あれなるは、ア○ロ富士山だ」
剣使い「あ。アポ○……? チョコ菓子の?」
魔王「そうだ。チョコ菓子のアポ○だ……」
魔王「…………」
452: 2017/12/30(土) 18:00:59.06 ID:gCIL18dHo
魔王「おい、白の大天使」
白ドレス「ハイハイ。何かな、まおーちゃん♪」
魔王「ちっ。やっぱチョーシ狂うわ、お前……」
魔王「白の大天使。今、お前は何もしていないと言ったが……」
魔王「それは本当か? お前は本当に今回の事態に何も関わっていないのか?」
白ドレス「うん! いやあ、この列車で事件が起きるのは、天界からフワっと見えてたんだけどね……」
白ドレス「むしろ私は、その事件を止める側っていうか。年末年始の旅行がてら? 来ちゃった?」フリフリ
魔王「来ちゃった? じゃねぇよ、ったく……」
魔王「すると、アレか。アポ○富士山の噴火は、まったく別の要因によるモノか? いったい何が……」
453: 2017/12/30(土) 18:01:26.36 ID:gCIL18dHo
白ドレス「あ、ソレだけど……。一つ心当たりがあるんだよね」
魔王「何? それは本当か!?」
白ドレス「うん。でも、関係者にはキチンと話したほうがいいし、一回全員集めましょ」
白ドレス「そこの君たちも、それでいいかなー?」
剣使い「お、おう……」
弓使い「なんだかタダゴトじゃなさそうだね。面白くなってきたぁ!」
銃使い「…………」ボリボリ
族長「お前たち、立てるか?」
マスター「ワタクシがご案内します。場所は……、まあ、階下の展望室で良いでしょう」
454: 2017/12/30(土) 18:01:55.18 ID:gCIL18dHo
――1号車【展望車・前】
弓使い「おっ、教授~。久しぶり~」
教授「弓使いさんたち、こんなにボロボロで……。いったい何が?」
ヒーロー「ぬぬっ、貴様らがハイジャック犯だったのか!」
キノコ頭「さっきは知らないで戦ってたのか……」
桜色の女「おっ、おいしそうでござるな。貰っていいでござるか?」
銃使い「どーぞ」ガシュガシュ
副運転士「はいはい!! 皆さん、静かにしてください!!」パン パン
455: 2017/12/30(土) 18:02:22.32 ID:gCIL18dHo
剣使い「静かに、つったってなぁ……」
族長「この一日で因縁の出来た者も多い。それが一堂に会すれば、騒がしくもなるモノよ」
テ口リストA「あ、さっきはハルバードに捕まらせてもらってありがとうございました」
フロント「いえいえ。執事のキミも、ナイスガッツでしたね」
執事「いや。あの時は、無我夢中で……」
魔族A「魔王さま、さっきはどうも……」
魔王「いやいや、戦いは終わったんだから気楽にいこうぜ! それも魔界のコトワリだ!」
小型メカ「次の仕事の件なんですが……こういう場合はいったいどうすれば……」
料理長「ああ、それなら……とにかく上質な素材のゴリ押しで……一個1000円くらいの……えっ、違う?」
革ジャン「そんなクソ高ェのジャンクフードじゃねえよ」
456: 2017/12/30(土) 18:02:49.84 ID:gCIL18dHo
黒コート「鉄仮面……、それはそれとして。キズだらけだが、大丈夫か? 治療するか?」
仮面の男「ふ……。これは名誉の負傷、というモノだよ。彼女の思いを受け流してはいけない」
マスター「え、今はせいぜい飛ぶくらいの術しか行使できなかった? それは、失礼しました」
白ドレス「ホント! 天界の者だからって、問答無用で斬りかかったりしないでよね!」
ウェイター「増えに増えたってカンジだよなあ」
ウェイトレス「未来人だけで六人もいるって本当かなあ?」
運転士長「ひ、ふ、み……。おそらく、これで全員じゃないか?」
車掌「アバウトですねえ。まあ、誰なら全員を把握してるんだ、って感じですが」
副運転士「あのー、すいません! 今からハナシをまとめるので、聞いてもらっていいですかー!?」
457: 2017/12/30(土) 18:03:18.93 ID:gCIL18dHo
教授「待って、運転士さん。なんだか知らないけど、私たち、モメてる場合じゃないんでしょう」
教授「だったらせめて、この場で改めて、全員の素性を一通り確認すべきだと思うのだけど?」
魔王「そうだな。今から俺たちは全員が協力する必要がある。なるべく不理解による内ゲバは避けたい」
副運転士「そ、そうですね……。では、お一人ずつ、身分と目的を明かしていただいて良いですか?」
執事「わかりました。では、俺たちから」スクッ
執事「俺たち二人は、ただの一般乗客です。ですが、彼女は。“教授”と言えば通りが良いでしょうか……」
執事「元日の昼、彼女がオーサカで行う発表会のため。オーサカ行きの、この列車に乗車しました」
キノコ頭「情報はマチガイなかったか。だが、もう一度誘拐を試みれる状況でもないな……」
教授「おいそこ」
458: 2017/12/30(土) 18:03:47.74 ID:gCIL18dHo
副運転士「なるほど。お二人は、この列車自体に何か用があったワケではない、というコトですね」
剣使い「ただオーサカ行きだから乗っただけ、というなら俺たちも同じだな」
弓使い「そうそう。ポストにあった招待状に、この列車のチケットが入っててね」ピラー
ヒーロー「あ。ちなみに彼らに招待状を送ったのは、俺だな」
剣使い「なんだと? 変O仮面、お前が俺たちのところに招待状を?」
ヒーロー「その通りだ。歴史を調べたところ、今日この列車には君たちが乗っていたのでな」
銃使い「そうだったんだ」
運転士長「そういえば、今日のチケットが事前にやたら買い占められていた。犯人は君かね……」
仮面の男「とすると、僕の招待状も、君の差し金か。サプライズパーティーではなかったか」
459: 2017/12/30(土) 18:04:15.01 ID:gCIL18dHo
キノコ頭「謎が解けたようで結構だ。ならばこの流れで言わせてもらおう。俺たちはハイジャック犯だ」
副運転士「いやなんでこの流れなら言えると思ったんですか!?」
キノコ頭「いずれ言わなければならないのだから、仕方がないだろう……。ああ、だが安心してくれ」
キノコ頭「俺たちの目的は教授の身柄だが、何やら事態が逼迫しているのだろう? なら黙っている」
教授「それは、事態が逼迫しなくなったら、私をさらいに来るってコトかな……」
弓使い「おおっと、教授狙い? だったら、私たちを倒してからにしてよね」
テ口リストA「なんでお前たちがジャマをするんだ!?」
副運転士「と、とにかく。き○こ派のテ口リストさん、というコトで良いですか? 良いんでしょうか……」
族長「構わんだろうよ。そういう意味なら俺たちも、アル○ォート派のテ口リストだな」
460: 2017/12/30(土) 18:04:44.03 ID:gCIL18dHo
運転士長「魔族……」
族長「そう身構えるな。たしかに俺たちの目的は、この列車の動力源だった」
族長「だが、動力源の場所は皆目見当がつかず……。そして、その動力源は今回の事態のカギだという」
族長「ならば我らも事態を静観するとしよう。むろん、列車がオーサカにつけば、発表会は潰すが」
教授「なななんで私の発表会が今の流れで出てきたんだ!?」
魔族D「初志貫徹の精神、マジリスペクトっす!」
ヒーロー「では私たちも宣言しよう! 私たちの目的は、この列車のハイジャックを阻止することだ!」
小型メカ「はい。正確には、ハイジャックによって未来で起こる、き○こたけ○こ大戦の阻止が目的です」
副運転士「そ、その口ぶりからすると、もしや未来の方ですか……? 味方なのは嬉しいですが」
461: 2017/12/30(土) 18:05:11.33 ID:gCIL18dHo
黒コート「では、未来繋がりで。私たちは、未来のタイムパトロール。区の警察署の時空環境整備課です」
革ジャン「おらおらおら、この中に時空指名手配犯はいねえか? 逆らうならバラしちまうぞ!」
黒コート「完全に言動が悪党だろうが! 誤解されるから黙ってろ!」ゴスッ
革ジャン「お、おえっ」
仮面の男「シゴト熱心だねえ、時空整備課。それで、時空指名手配犯の僕を捕まえなくていいのかい?」
黒コート「いや。今すぐにでも捕まえたいところだが。だが、事態はそれどころではないだろう」
黒コート「まずは事態の収拾に手を貸せ。だが働き次第では、上に減刑をかけあうコトも考えよう」
仮面の男「おお、温情痛み入る……。ありがたい。あの整備課にも良心はいた。しかもよく見れば美人だ」
黒コート「……大丈夫か? 後ろ、ニラまれてるぞ?」
462: 2017/12/30(土) 18:05:41.39 ID:gCIL18dHo
桜色の女「……このキザな仮面男のコトは、置いておいて」
桜色の女「拙者は、通りすがりの風来坊。旅を求めて、この列車に立ち寄った者でござる」
桜色の女「いや、この列車、すばらしいでござるなあ! 特に料理が美味でござる!」
フロント「おや……? おかしいですね。このようなお客様には、見覚えが……」
桜色の女「ぎ、ぎく!」
仮面の男「そういえば。根無し草で文無しの君が、どうやってこの列車の乗車券を手に入れたんだい?」
桜色の女「……て、鉄仮面卿! ここは拙者をおぬしの連れ、というコトにしておくでござるよ!」ヒソヒソ
仮面の男「ん? 構わないが。……ふっ、しかしさっきの立ち合いの時の君はどこへやら」
副運転士「お二人はお知り合いなのですか? 腕の立つ方がたくさんいらっしゃるのは、心強いです!」
463: 2017/12/30(土) 18:06:08.69 ID:gCIL18dHo
魔王「そして、俺たちが最後か。俺については、数時間前も自己紹介したな? 魔王だ」
白ドレス「アーンド、謎の白いお姉さん改め、白の大天使でーす。よろしくぅ!」ビッ
革ジャン「おい。さっきの魔王のハナシじゃお前、今回の黒幕なんだよな? ん?」チャッ
白ドレス「へ、私が黒幕? 何それ!? 私、今回はなにもしてないよ。清廉潔白。だ、だから銃下ろして」
魔王「ああ、すまん……。コイツが黒幕というのは、俺の早とちりだったようだ」
革ジャン「なんでえ。チッ!!」サッ
白ドレス「舌打ちの音が大きい! で、まおーちゃん……。何でも私のせいとか、そりゃないよねぇ?」
魔王「うぐ……。だが、今回は、だろう。今までお前がしてきたコトを思い出してみやがれ!!」
黒コート「まったくだな。億万回思い出して、爪の垢ヒトカケラほどでも良心が苛むなら、自首するといい」
464: 2017/12/30(土) 18:06:36.88 ID:gCIL18dHo
白ドレス「揃って同じようなコトを言わない! 仲良しかっ!!」
副運転士「え、ええと……。とりあえず、事態に関わった普通じゃない乗客の方は、これで全員ですか?」
運転士長「あとは我々だな。もう察していると思うが、私たちは、この列車の乗務員だ」
車掌「こちらは、この列車の副運転士、運転士長。私は車掌です。そして……」
ウェイター「ウェイターでーす。日雇いで雇われてる、掃除屋の中年でーす」
ウェイトレス「ウェイトレスでーす。ドライ・ブラー号には、ごヒイキしてもらってる美少女でーす」
料理長「皆さんの食事を任されているコックです。雑菌は即消毒、がスローガンです」
マスター「ラウンジのマスターでございます。お見知りおきを」
フロント「ロビーのフロントです。……さて、ではそろそろ本題に入りたいのですが」
465: 2017/12/30(土) 18:07:04.10 ID:gCIL18dHo
魔王「ああ。まずは、この列車―――いや、この世界に迫っている危機についてハナシをしたい」
白ドレス「はいはい! 詳しいコトは私から! このウソツキ冤罪野郎の魔王なんてアテにならないよ!」
副運転士「白ドレスのお姉さん。またお会いしましたね!」
白ドレス「へいガール、今まで頑張ったね。あとはお姉さんに任せなさいっ!」ドンッ
魔王「お前が出てくるとハナシがこじれるから黙ってて! 疑ったのは悪かったから!」
魔王「オホン……。まずは、この世界の現状を説明したい」
魔王「カンタンに言うと。アポ○富士山が噴火して、世界の危機だ」
剣使い「アポ○富士山……? さっきも聞いたが、そりゃ何だ? 富士山じゃねぇのか?」
466: 2017/12/30(土) 18:07:31.03 ID:gCIL18dHo
魔王「いい質問だ。まずはアポ○富士山の来歴から説明しよう」
魔王「富士山とは……。この日本で最大の標高を誇る山で、世界文化遺産にも登録されている霊峰だ」
魔王「だが、今の富士山は、あれが完全なカタチではない」
教授「何? あの台形みたいなカタチじゃないの?」
魔王「違う。富士山の真のカタチとは、こういうモノだ。車内販売の、ちょっと、貸してくれるか?」
副運転士「はいはーい。どうぞ」コト
△
△△
△△△
△△△△
▲▲▲▲▲
▲▲▲▲▲▲▲
467: 2017/12/30(土) 18:07:59.01 ID:gCIL18dHo
銃使い「あっ、アポ○チョコレートだ」
魔王「そうだ。だいたい誰でも知っているだろう。いわゆるアポ○だ」
魔王「そしてコレが、アポ○富士山の真の形態でもある」
執事「は? どう違うんですか?」
魔王「富士山は台形だが、アポ○は三角だろう。上に三角がついた富士山こそが、アポ○富士山だ」
弓使い「は? ちょっとついていけないけど皆ついてきてる?」
魔王「ハナシを続けよう。古来、アポ○富士山とは台形ではなく三角だった」
魔王「だが……。古に、血で血を洗う、ある大戦があった。神々はその争いに怒り、富士山を噴火させた」
魔王「このままでは、世界が終わる。故にそれを防ぐため、古の大術士たちは、“最強の兵器”を作った」
468: 2017/12/30(土) 18:08:52.00 ID:gCIL18dHo
教授「“最強の兵器”……?」
魔王「大戦を終わらせたという兵器だ。別に、スゴい爆弾とかじゃないぞ」
教授「ふうん。そこの発想は同じなんだ」
魔王「は……? ともかく、“最強の兵器”の開発によって、大戦は終わった」
魔王「そして、古き人間と魔族の約定……。人間と魔族が和平協定を結ぶことで、争いは終息を迎える」
魔王「その和平協定の内容とは!!」
魔王「―――人間と魔族が、き○この山と、たけ○この里では、もう争わないというコト!!」
魔王「き○こたけ○こ戦争、ひいては、き○こたけ○こ大戦を起こさないというコトだッ!!!」
副運転士「な……!!」
469: 2017/12/30(土) 18:09:19.67 ID:gCIL18dHo
キノコ頭「なんだとっ? き○この山が!?」
革ジャン「おいおいマジかよ……! ココでソレが繋がってくるのかよ!!」
族長「思わぬところで登場したな、我らの戦いが……」
ザワザワ ザワザワ
魔王「え……、何? 今のとこ、アホらしすぎて絶対ドン引きされるから」
魔王「勢いで押し切ろうと思ったんだけど……」
魔王「むしろ、『そうだったのか!』『なるほどなー』みたいなこの空気はナニ……?」
白ドレス「そっか……。なるほど、私にも事態の全貌が見えてきたよ」
魔王「なんで一人でナットクしちゃってるんですかねこの天使は」
470: 2017/12/30(土) 18:09:47.21 ID:gCIL18dHo
副運転士「そ、それでは、昔のヒトは……」
副運転士「き○この山と、たけ○この里が、原因で争ったために」
副運転士「神々の怒りを受けてしまったと……?」
魔王「うん。そういうコトだ」
魔王「アポ○といえば、き○この山や、たけ○この里の製造方法の元となったというお菓子」
魔王「ゆえに神々は、上位たるアポ○富士山のチカラで、き○こたけ○こ大戦を押しつぶそうとした」
魔王「そこで、古の大術士は、アポ○富士山の頂点の三角の部分をもぎ取り、“最強の兵器”に変えた」
魔王「そして富士山はチカラを封印され、不完全なカタチとなり、台形の姿で知られている……」
魔王「というのが、アポ○富士山の来歴、ひいては古のき○こたけ○こ大戦の顛末だ」
471: 2017/12/30(土) 18:10:15.33 ID:gCIL18dHo
運転士長「なるほど、古のき○こたけ○こ大戦とやらのコトは、よくわかった……」
運転士長「だがそれが、今回のアポ○富士山の噴火と、何の関係がある?」
運転士長「ハナシによれば、“最強の兵器”とやらで、アポ○富士山は封印されたのではないのか?」
魔王「そこだ。俺には、そこだけがわからない」
魔王「“最強の兵器”で、アポ○富士山は封印されている。二度と噴火するハズが無い」
魔王「だが事実、アポ○富士山は噴火した。とすれば、考えられる原因は二つ」
魔王「まず一つ目。古の“最強の兵器”が破壊された、という可能性だ。だがそれはありえない」
魔王「なぜなら“最強の兵器”とは、このドライ・ブラー号の動力源。今も12号車に安置されている」
運転士長「なんだと? ……いや、それがさっき言っていた……!」
472: 2017/12/30(土) 18:10:43.30 ID:gCIL18dHo
族長「……と、いうコトは、我々が狙っていたのは。魔力塊ではなかった?」
魔王「いや、“最強の兵器”は優れた魔力塊には違いない。古の大術士たちの魔力が込められている」
魔王「だが、間違ってもソレを持ち出そうなどとは思わぬコトだ」
魔王「“最強の兵器”は、アポ○富士山の周囲を回遊する、この列車だからこそ安置されている」
魔王「アポ○富士山から近すぎては魔力が集まりすぎるし、遠すぎては封印の効力が薄れるからな」
魔王「まあ、ドライ・ブラー号の動力源は優れた魔力塊だ、というウワサが独り歩きしすぎて」
魔王「この列車を狙う魔族が後を絶たないが……。そこはそれ、防衛をコイツに一任している」
マスター「ワタクシです。もちろん、この列車の乗務員は、皆精強。ワタクシだけのチカラではありません」
族長「な、なるほど……」
473: 2017/12/30(土) 18:11:14.62 ID:gCIL18dHo
魔王「しかし、“最強の兵器”は今もココにある。なら、アポ○富士山の噴火の原因とは、何か」
白ドレス「そう! 考えられるのは、二つ目の原因」
白ドレス「“き○こたけ○こ戦争が再び勃発したんじゃないか”……」
白ドレス「だよね? まおーちゃん」
魔王「そうだ……。しかし、これも。そんな馬鹿げたコト、あるハズが……」
キノコ頭「…………」
革ジャン「…………」
族長「…………」
魔王「なぜアイマイな表情で沈黙しているっ」
474: 2017/12/30(土) 18:11:41.59 ID:gCIL18dHo
副運転士「あの……、魔王さん?」
魔王「なんだ?」
副運転士「実はこの列車の騒動の原因、き○こたけ○こ戦争です」
魔王「なんだとっ!!?」
魔王「……ははあ。ああそう、ああそういう……。うんうん」
魔王「うーん。え、マジで?」
白ドレス「大マジだよ。まおーちゃん。き○こたけ○こ戦争が中心なのは、私にも見えてたけど」
白ドレス「まさか、最後のアポ○富士山の噴火の原因まで、き○こたけ○こ戦争とはなー」
魔王「うっわー、頭イタくなってきた……」
475: 2017/12/30(土) 18:12:09.35 ID:gCIL18dHo
白ドレス「そこで私は、ある一つの結論に行き着いた」
白ドレス「今、封印の要たるこの列車では、き○こたけ○こ戦争が起こっていた」
白ドレス「それは、人間と魔族が、き○この山と、たけ○この里では、もう争わない、という」
白ドレス「古き人間と魔族の約定を根底から揺るがすモノ。ゆえに“最強の兵器”はチカラを失った」
白ドレス「だから、封印が徐々に解かれ、アポ○富士山が噴火した……」
白ドレス「ってところかな?」
副運転士「う……。ニワカには信じがたいハナシですが……」
魔王「そう考えると、ガテンがいく……。いっちゃう」
車掌「まさか、き○こたけ○こ戦争が、諸悪の根源だったとは……」
476: 2017/12/30(土) 18:12:40.72 ID:gCIL18dHo
ヒーロー「すまない。ややこしすぎて意味がわからないのだが」
副運転士「そ、そうですね。では情報をまとめましょう。ホワイトボード、あります?」
車掌「ここに」
1.昔、古のき○こたけ○こ大戦を、神々がアポ○富士山の噴火で止めようとしたので封印した
2.アポ○富士山を封印したのは、古の大術士たちの“最強の兵器”である
3.“最強の兵器”とは、現在のドライ・ブラー号の動力源である
4.しかし、き○こたけ○こ戦争で封印のチカラが弱まったため、アポ○富士山がまた噴火した
副運転士「こんなところでしょうか……」キュッ
477: 2017/12/30(土) 18:13:33.17 ID:gCIL18dHo
桜色の女「おお。字がキレイでござるな」
副運転士「あ、ありがとうございます」
仮面の男「それは状況を理解していないがゆえの指摘だな、君」
桜色の女「難しいコトはよくわからんでござる」
桜色の女「しかし。肝要なのはコトの仔細、その把握ではなく」
桜色の女「今、拙者たちは何をすべきなのか、ではないでござるかな?」
副運転士「む。たしかに……。魔王さん、私たちはいったいどうすれば?」
魔王「そうだな。もう一度言うぞ。今、アポ○富士山が噴火して、世界の危機だ」
478: 2017/12/30(土) 18:14:01.49 ID:gCIL18dHo
魔王「そも、アポ○富士山の噴火とは、神々の怒り……」
魔王「き○こたけ○こ大戦ごと世界を押し流す、という物騒極まりないモノだ」
黒コート「もうちょっと別の方法は無かったのか? 神々というのは」
白ドレス「だって神々だからね。脳ミソまで筋肉だよ」
魔王「お前に言われたかないーっ」
魔王「そして、俺たちは何をすればいいか? これは単純明快だ」
魔王「まず、アポ○富士山の噴火の原因。“最強の兵器”の封印のチカラの弱まり」
魔王「これを解決しなくてはならない」
副運転士「つまりソレは、具体的に言うと……?」
479: 2017/12/30(土) 18:14:29.80 ID:gCIL18dHo
魔王「き○こたけ○こ戦争の休戦」
キノコ頭「……!」
革ジャン「なるほどね」
族長「ほう……」
魔王「“最強の兵器”の封印のチカラの弱まりは、この列車で起こったき○こたけ○こ戦争が原因だ」
魔王「だから、まずはその休戦。そして和解」
魔王「その後、世界からき○こたけ○こ戦争が無くなるよう、しかるべき措置を施すのが理想的だ」
キノコ頭「だが、待て! 俺たちは確固たる理想を持ってき○こたけ○こ戦争に参加している!」
480: 2017/12/30(土) 18:14:59.04 ID:gCIL18dHo
キノコ頭「なのに、急に和解しろなどと言われても!」
魔王「お前らかよ原因は。とっとと和解しろや」
族長「だが、魔王様……。俺もアル○ォート派として、一言物申したい」
魔王「あっ、そうかお前らアル○ォート派か! こじれてきたなぁ」
族長「我らのチョコ菓子を愛する気持ちはホンモノ。だからこそ、お互いを認めろなどと……」
族長「そのようなコトは不可能だ。俺も、アル○ォートこそが至高だと信じている」
魔族A「そうだそうだー!」
キノコ頭「笑止。俺たちは、き○この山こそが最強と主張する。その思いに揺るぎは無い」
魔王「はぁー……、やっぱ根深いんだな、こういうの。たかがき○こたけ○こ戦争と侮ったか」
481: 2017/12/30(土) 18:15:26.75 ID:gCIL18dHo
副運転士「しかし、ここは和解してもらわないと……。それも心から」
副運転士「そうでないと、アポ○富士山の噴火は止まらないんですよね?」
魔王「ああ。まずは封印のチカラを復活させないコトには……」
教授「―――ちょっといい?」
魔王「なんだ? ヘンクツそうなガキンチョ」
教授「ヘンクツそうは余計だ。その、封印のチカラの主、“最強の兵器”って言った?」
魔王「ああ。具体的には、アポ○富士山の頂点にあった、三角の部分。あれこそが“最強の兵器”だ」
魔王「今も12号車にはアポ○富士山の頂点にある三角の部分が存在するってワケだな」
教授「そう。古の大戦を止めた発明も、“最強の兵器”……。これも何かの因果なのかな」
482: 2017/12/30(土) 18:15:55.79 ID:gCIL18dHo
教授「みんな、聞いてください」
教授「私は教授と呼ばれている、若き天才科学者です。発明とかやってます」
執事「自分で言いますか、お嬢様」
教授「私は先日、たけ○こ派から、ある依頼を受けました。その内容は――――」
教授「き○こたけ○こ戦争を終わらせる、“最強の兵器”を開発するコトです」
族長「……!」
キノコ頭「…………」
魔王「えっ、“最強の兵器”? 同じ通称!?」
483: 2017/12/30(土) 18:16:24.22 ID:gCIL18dHo
教授「はい。き○こたけ○こ大戦を止めるのは、いつの時代も“最強の兵器”、というコトなのでしょう」
教授「き○こたけ○こ戦争に勝利する、のではなく、終わらせる。私はそう依頼を受けました」
教授「そして、私には。その“最強の兵器”の、具体的なプランがあります!!」
キノコ頭「なんだと! それは本当か!?」
族長「明日の、いや、日付で言えば今日。オーサカで、発表されるという……」
執事「ああ、また大ボラを……。“最強の兵器(仮)”は、まだアイデアの一つも出ていないのに……」
教授「…………」ニヤ
執事「……?」
484: 2017/12/30(土) 18:16:51.41 ID:gCIL18dHo
執事「あれ、ちょっと待て。さっきから仰っているのは、“最強の兵器(仮)”じゃなく、“最強の兵器”……」
執事「というコトは、まさかお嬢様、本当に“最強の兵器”のプランが組み上がっている!?」
教授「ええ、その通り。この発明は、き○こたけ○こ戦争を止め……」
教授「き○こたけ○こ大戦の勃発を阻止する、神の一手」
教授「今日の昼のオーサカでの発表会で、私は、現代の“最強の兵器”を公開する」
教授「その内容は、き○こ派、たけ○こ派の双方がナットクできるモノであり……」
教授「かつ、き○こたけ○こ戦争をココで終わらせるモノだと、私は約束しましょう!」
キノコ頭「…………」
485: 2017/12/30(土) 18:17:19.62 ID:gCIL18dHo
キノコ頭「……信じていいんだな?」
教授「ええ。誓えるモノは無いけど、この私を信じなさい」
キノコ頭「…………」
キノコ頭「……わかった。その言葉、信じよう。教授」
テ口リストA「いいんですか? リーダー」
キノコ頭「ああ。あの小娘が今日の昼、何を発表するのか。それを見届けてからも遅くはあるまい」
革ジャン「あ、先に言っとくけど、俺はたけ○こ派をそこまで強硬に主張する気は無いからなー」
黒コート「誰も聞いてないぞ。ハナシがこじれるようなコトを言うな」
486: 2017/12/30(土) 18:18:09.08 ID:gCIL18dHo
族長「そうか……。俺のアル○ォートへの思いは変わらぬ」
族長「だが俺もその発表会、馳せ参じよう。貴様が何を発表するのか、小娘」
教授「人間でも魔族でも、誰でも来なさい。目にモノ見せてあげる」フフン
族長「ああ。だがそれは今は関係の無いコト。魔王様、ハナシを続けてください」
魔王「わかった」
魔王「この列車におけるき○こたけ○こ戦争は、一旦和解、というコトでいいな?」
魔王「なら、古の“最強の兵器”の封印は、徐々に復活するハズだ。放っておけば問題ない」
魔王「だが……。現在、既にアポ○富士山は噴火を始めている。それも止める必要がある」
487: 2017/12/30(土) 18:18:35.98 ID:gCIL18dHo
ウェイター「たしかに、アポ○富士山の山頂から、煙が出ていたなあ。悪化するとどうなる?」
魔王「おそらく、火砕流、土石流、火山弾が世界を覆い尽くす」
副運転士「……! それは、もしかして……」
冥王「―――エンマ帳に書かれている氏亡理由と、同じこと。ですなあ」ザッ
運転士長「……! 何者だ!?」
副運転士「士長! あの男のヒトが、私の会った、冥王さんです!」
運転士長「何、彼が……!?」
冥王「乗務員さん、さっきぶりですなあ。皆さん、冥界を管理してる冥王です。よろしゅう」
488: 2017/12/30(土) 18:19:03.91 ID:gCIL18dHo
魔王「冥王。何かあったか? どうして出張ってきた?」
冥王「そら、魔王はん。あのアポ○富士山がやっぱり噴火したて、聞いたさかい」
冥王「わてもアポ○富士山の封印に立ち会った一人やからなあ。気にならへん言うたら嘘になる」
魔王「なるほど……。そうか、ならチカラを貸してくれ」
冥王「情報の共有はどこまで?」
魔王「アポ○富士山の噴火の原因が、き○こたけ○こ戦争であるコト」
魔王「最終的に、アポ○富士山を物理で止める必要がある、というコトまでだ」
冥王「なるほど。ほぼ全部ですか。エンマ帳に書かれていることが現実になってもうたら、困るやろなあ」
副運転士「その、エンマ帳に書かれているコトは……。覆せるんですか?」
489: 2017/12/30(土) 18:19:31.33 ID:gCIL18dHo
冥王「基本的には無理や。せやけど、発行者が内容を改変するなら、その限りやない」
副運転士「……! それはつまり?」
冥王「天界のもんに内容を書き換えさせる、いうことやなあ」
魔王「さて。この中で天界の者、というと……」
白ドレス「げ! 私ぃ?」
魔王「そうだ。アポ○富士山を物理で止めるコト。お前も協力してもらうぜぇ……」ガシ
白ドレス「ひーん。私はただ、年末年始の旅行を楽しみに来ただけなのになあ……」
革ジャン「けっ、本当かよ」
黒コート「それはいちおう、本当だ。私が保障できる」
490: 2017/12/30(土) 18:19:59.49 ID:gCIL18dHo
革ジャン「なんでお前が保障するんだよ……」
魔王「さて。天界の者がエンマ帳に書かれているコトを打ち消す行動をすれば、エンマ帳は効力を失う」
魔王「つまり、このドライ・ブラー号の乗員乗客は、誰も氏なずに済むというワケだ!!」
ウェイトレス「ひゃっほーう。生きれるのバンザーイ」
冥王「ただし、一つだけ注意点があります」
冥王「エンマ帳に書かれているコトは、内容が消えるまでは、絶対。効力を失いまへん」
冥王「そして、このエンマ帳の今日の分の有効期限は、当然今日まで……」
冥王「冥界の基準で言うたら、次の朝日が昇るまで、いうことになります」
491: 2017/12/30(土) 18:20:30.06 ID:gCIL18dHo
副運転士「というコトは……?」
魔王「ああ。エンマ帳の書き換えが有効なのは、次の朝日まで」
魔王「つまり、初日の出までに、すべての決着をつける必要がある!!」
ヒーロー「なるほど。わかりやすくなってきたな」
小型メカ「つまり、き○こたけ○こ大戦の勃発を止めるには……」
小型メカ「あとは、朝までにアポ○富士山の噴火を止めればいいと」
桜色の女「ここまで理解しやすくなれば、拙者にもわかるでござるよ」
仮面の男「ああ。アポ○富士山の噴火を物理で止める……。それだけだ」
492: 2017/12/30(土) 18:21:24.18 ID:gCIL18dHo
副運転士「しかし、物理で止める、と言っても、どうやって?」
副運転士「やっぱりアポ○富士山に向かってビームでも撃ちますか?」
魔王「ううん。俺一人がビーム撃っても、たかが知れてるしなあ……」
冥王「…………」
冥王「……これは、“あの機能”を使う時が来たようですなあ」
副運転士「“あの機能”? それはいったい……」
冥王「きたるべき、再決戦の日に備え、大術士たちが遺した、最後の遺産」
冥王「―――“最終決戦艦ドライ・ブラーモード”の起動です」
493: 2017/12/30(土) 18:21:51.58 ID:gCIL18dHo
運転士長「さ。最終決戦艦……」
車掌「ドライ・ブラーモード!!?」
副運転士「な、なんですか? そのいかにも、変形しそうなカンジの名前は!!」
冥王「なんでもなにも、文字通りの意味です」
冥王「かつて、古の“最強の兵器”を作った大術士は、あることを恐れました」
冥王「き○こたけ○こ大戦の再びの勃発です」
冥王「もしまたアポ○富士山が噴火したら、自分たちのおらんそん時は、始末がつけられへん……」
冥王「せやから、自分たちの代わりにと、ある列車をこの世界に遺しました」
冥王「それが、このドライ・ブラー号。そして“最終決戦艦ドライ・ブラーモード”いうわけです」
494: 2017/12/30(土) 18:22:18.61 ID:gCIL18dHo
副運転士「は、はんなりした言い方で、何ロボティクスなコト言ってるんですか」
冥王「おや、興味あらへん? おもろいよ? ロボット」
車掌「もしやその最終決戦艦ドライ・ブラーモードとかいうの、最初に言い出したの、このヒトじゃ……」
運転士長「ううむ……。私はドライ・ブラー号の運転を開始から見てきたが」
運転士長「とすると、その古の大戦とは、案外最近のコトなのか……?」
魔王「まあ、き○この山やたけ○この里が既にあるくらいだからな」
魔王「人間の時間感覚は、俺たち魔族には正直よくわからんが」
副運転士「と、ともかく……。そのモードを起動できれば、アポ○富士山を止められると?」
副運転士「だったら、さっさと起動しちゃいましょう! そしてアポ○富士山をやっつけましょう!」
495: 2017/12/30(土) 18:22:46.35 ID:gCIL18dHo
冥王「血が騒ぐなあ。でも、その前にやらなあかんことが一つある」
副運転士「やらなければいけないコト?」
冥王「そう。最終決戦艦となったドライ・ブラー号を操縦する、艦長の存在を探すことや」
運転士長「艦長か……。このドライ・ブラー号の責任者は私だが、あいにく戦艦の操縦経験はな」
マスター「そのような機能があると知っていれば、ワタクシが勉強しておいたのですが……」
車掌「これは、困りましたねえ。一介の一般人である私たちには、どうにも」
副運転士「むむ……。艦長、戦艦……。そういえば一連のどこかで、誰が言及してませんでしたっけ?」
桜色の女「……?」
496: 2017/12/30(土) 18:23:14.60 ID:gCIL18dHo
桜色の女「ああ、それなら。拙者のコトではござらんか?」
副運転士「え? 剣士さん、もしや戦艦の操縦経験が?」
桜色の女「あいや、操縦したのが拙者、というコトではなく。言及したのが、というコトでござる」
桜色の女「たしかに拙者は言ったでござる。あの男を戦艦ごと落としたコトがある、と」
仮面の男「……待ちたまえ、君。それは、もしかすると。いや。もしかしなくても……」
桜色の女「そう! このムッツリ仮面のコトでござる!」ババーン
仮面の男「君に言われたくはないのだがね!?」
副運転士「ええっ! 仮面さんが……、戦艦を……?」
497: 2017/12/30(土) 18:23:42.13 ID:gCIL18dHo
仮面の男「ああ……。実は、ちょいと戦艦を調達して、小さな国を征服に乗り出したコトがある」
仮面の男「その時は彼女に嗅ぎつけられて、出航少しした後に戦艦ごと爆散、となったがね」
桜色の女「へへへ。やりすぎちゃったでござる」
副運転士「やりすぎちゃったって規模ですか……? いや、ともかく!」
副運転士「仮面さん! お願いします、ナントカモードの操縦をお願いできませんか!?」
仮面の男「おお……。麗しき女性の頼みは、断りがたい……」
仮面の男「いや、しかし……。僕は決闘の直後。満身創痍でね。体力の使う戦艦の操縦などは……」
教授「変O仮面。私からもお願いしたい」
仮面の男「喜んでぇっそれでも呼びたければ教授さん!!!」
498: 2017/12/30(土) 18:24:09.22 ID:gCIL18dHo
教授「ああもう、その名前でいいよ……」
桜色の女「現金な奴でござるなあ」
副運転士「良かった……! ありがとうございます、仮面さん!」
運転士長「しかし、そのモードの起動は、いったいどうやって……?」
冥王「もうええの? それやったら、運転室に赤い自爆スイッチがあるやろ? それを、ポチっとな」
運転士長「じば……? あの、謎の赤い!?」
冥王「ああ、安心してええで。間違って押さんよう、自爆スイッチとか言うてるだけやし」
冥王「そんなん、ほんまに自爆するためだけのスイッチなんかつけるわけないやん! あっはっは」
運転士長「た、たしかにそうだな……。それでは、さっそく起動してくるとしよう」
499: 2017/12/30(土) 18:24:37.62 ID:gCIL18dHo
――1号車【展望車・前】 運転室
副運転士「運転室は、無事でしたか……。展望室に大穴開いたし、もうダメかと」
運転士長「ここまで侵入されたコトも、たびたびあったがな……。おっと、コレだな」
500: 2017/12/30(土) 18:25:04.18 ID:gCIL18dHo
副運転士「うわ、胡散くさ……。コレ、本当に押すんですか?」
運転士長「う、うむ……。だが、それも安易に押さないための対策というコトらしい」
運転士長「まあ、イチかバチかだ!」ポチ
副運転士「…………」
運転士長「…………」
副運転士「何も、起きませんね……」
運転士長「ああ、そうだな……」
ゴウン!!!
501: 2017/12/30(土) 18:25:32.03 ID:gCIL18dHo
副運転士「え? 今――――」
アナウンス『―――対アポ○富士山決戦仕様、起動要請、確認』
アナウンス『―――最終決戦艦ドライ・ブラーモードを起動します』
アナウンス『―――これより本艦は空中に浮上します。急な揺れにご注意ください』
ゴウンゴウン ゴウンゴウン
運転士長「く……? いったい、何が……」
副運転士「あ、士長! 窓の外見てください、窓の外!」
運転士長「……な―――に? まさか、そんな―――!」
502: 2017/12/30(土) 18:25:59.69 ID:gCIL18dHo
503: 2017/12/30(土) 18:26:26.81 ID:gCIL18dHo
504: 2017/12/30(土) 18:26:55.93 ID:gCIL18dHo
505: 2017/12/30(土) 18:27:24.53 ID:gCIL18dHo
506: 2017/12/30(土) 18:27:52.59 ID:gCIL18dHo
507: 2017/12/30(土) 18:28:20.30 ID:gCIL18dHo
副運転士「ド、ドライ・ブラー号が……」
運転士長「飛んだぁぁぁぁぁぁっ!!?」
冥王「いや、それだけやあらへん」ザッ
副運転士「冥王さん!」
冥王「最終決戦艦モードとなったドライ・ブラー号は、並外れた戦闘能力も有しとる」
冥王「たいていの障害物は撃ち落とす主砲を始め、小うるさいハエを叩き落すアーム」
冥王「機関砲、光線砲、数十門……。極めつけは、一日一発だけの、とっておきの切り札や」
副運転士「とっておきの切り札や、じゃありませんよいったい何言ってるんですか!?」
508: 2017/12/30(土) 18:28:52.07 ID:gCIL18dHo
冥王「でも、この艦なら、アポ○富士山を倒すことが出来る」
冥王「もはや最終決戦艦ドライ・ブラーモードを使う以外に道はない、いうことやな」
副運転士「そんな~」
白ドレス「ところで――そんな装備で大丈夫かな?」パチーン
ドクン…
副運転士「え……?」
運転士長「白ドレスの女!」
白ドレス「さて、エンマ帳の打破には、天界のチカラが必要と言ったかな? ならば私もチカラを貸そう」
509: 2017/12/30(土) 18:29:18.27 ID:gCIL18dHo
白ドレス「戦艦に翼! なかなか良いシュミしてるね! だから今、私は、戦艦の翼に加護を与えた!」
白ドレス「それは、不沈の加護! 墜落するという運命を覆す、“再び羽ばたく”ための翼!」
副運転士「え? いったいどういうコトなんですか!」
白ドレス「人が持つ唯一絶対の力――それは自らの意思で進むべき道を選択する事だ」
白ドレス「ほぼ全知の私だからこそ知り得るコトだけど、ある世界の堕天使は言った」
白ドレス「君は常に人にとって最良の未来を思い、自由に選択していけ」
白ドレス「さあ! キザハシの向こう側の世界はすぐそこに! クズカゴだってカっ飛ばしていけ!」
白ドレス「神じゃなくとも私が言おう―――! 全てを救え、と―――!!」
副運転士「だからどういうコトなんですか――――――ッ!!!」
510: 2017/12/30(土) 18:29:46.50 ID:gCIL18dHo
511: 2017/12/30(土) 18:30:18.59 ID:gCIL18dHo
第八章「未明・後」は以上になります。
ドライ・ブラーのスペルは「DRI BLAH」。墜落する、の反対です。
最終章は、少し文章量が多いので、時間を早めて
明日12/31(日)の17時ごろ開始の予定です。
最終章「薄明」
ドライ・ブラーのスペルは「DRI BLAH」。墜落する、の反対です。
最終章は、少し文章量が多いので、時間を早めて
明日12/31(日)の17時ごろ開始の予定です。
最終章「薄明」
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