671: 2010/06/20(日) 19:51:12.61 ID:KbwHOSo0
 七月上旬 学園都市 第七学区 とある高校の学生寮の一室

 削板「213!…214!…215!…216!」フン!フン!
 削板「…225!…226!…227!…222!…223!…てあれ?何回数えたっけ?」ピタ…
 削板「…はっ、なにを途中休憩しているのだ削板軍覇!もう一度最初から腹筋だぁ!」1! 2! …

 ~~~~~~隣室~~~~~~

       コンジョー!


 土御門「にゃー…。うるさすぎだぜぃ、ナンバーセブン…」
 
 土御門元春は辟易していた。
 自分が通っている高校は極めて普通で普遍で凡庸で、学園都市外部のそれと比べてもあまり違いは見受けられない。
 なぜそんな高校に、学園都市二三十万人の頂点、三十二万八五七一分の一の天才、超能力者、削板軍覇が在籍するに至ったのか。
 科学と魔術の多角スパイ、土御門元春は回想する。

 ~土御門~~~~~~~~~~~

  高校最初の夏休みが少しだけ見え始めた六月末


 土御門「…第七位がこの学校に編入されるだと…?」
 
 呆けたように繰り返す土御門。

 雲川「その通り。ちなみにこれは、君の担任が望んだ結果だけど」

 とある高校の屋上にて向かい合うは、
 学園都市の表向きの最高権力、十二人しかいない『統括理事会』がひとり、貝積継敏のブレインを務める少女、雲川芹亜。

 土御門「子萌先生が…?どういうことだ?」

 雲川「こういうことだけど」

 土御門の回想の中で、雲川芹亜はさらに回想する。
とある魔術の禁書目録 外典書庫(3) (電撃文庫)
673: 2010/06/20(日) 19:52:41.20 ID:KbwHOSo0
 ~雲川~~~~~~~~~~~

  高校初めての中間テストが終った五月中旬 どっかのスゴメの高校の学生寮近くにて


 チンピラエリート「ぐぇへへ。ねーちんねーちん、いっしょに遊ばなぁい?」

 女の子「や、やめてください。友達を待たせてるので…」

 チンピラ子分「つぅれぇねぇえぇなぁ。少しだけなのにYO!」

 チンピラ手下「友達なんていいじゃないか。僕たちと甘「くおぉぉるあぁぁ!根性が足りてないようだなお前らは!」

 チンエリ「誰だ!」

 削板「お前らみたいな根性無しに名乗る名前なぞないわ!そんなことよりその女の子は嫌っがっているだろう!?
    それなのにお前らときたしつこく―――」クドクド

 チン子分「うぅるぅさぁいぃなぁ。これでも喰らいなYO!」拳銃ぱぁん 削板ドサッ

 チン手下「あっけn 女の子「きゃあぁぁぁぁ!」

 削板「―――人の話を最後まで聞かず!あまつさえ女の子を泣かすとは何事だあぁぁぁ!!」ムクリ

 チンエリ「なっ…なんだとっ……!」

 削板「もう加減はしても容赦はしてやらんぞ根性無し共!覚悟しろ!」

 チン子分「な…なんなんだYO…おまえ…」

 削板「根性の使者、ついでに学園都市の超能力者、七人の中の七番目、削板軍覇がお前らを成敗してくれる!!」

 チン手下「う、うs削板「すごいパーンチ!」ボルシチ!」バタッ

 チン子分「た助けてエリートちゃーn削板「すごいチョーップ!」トムヤンク!」ドタッ

 チンエリ「ち、畜生!パパンに言いつけてやr削板「すごいキーック!」シシカバブ!」ズサァッ

 削板「だァァァらっしゃァァあああああああああああああ!!」背後でカラフルな煙がどっかーん

 女の子「やだ、カッコイイ…」ポッ

  翌日

 チンピラエリートのパパンは削板の学校の理事長だった!
 削板は学校を退学になった!寮を追い出された!ホームレスになった!

 子萌「どーしたのですかー。こんな夜遅くに公園にいるなんて。悩みがあるなら相談に乗るのですよー」

 ~~~~~~~~~~雲川~~

674: 2010/06/20(日) 19:54:09.07 ID:KbwHOSo0
 土御門「なるほど。それでうちの学校に…」
 土御門「だがそれだけじゃないだろう?おまえも口を効かしたんじゃないのか?」

 雲川「それも正解。まぁ、私の生活がもっと楽しくなりそうだと思ったからだけど」

 ~~~~~~~~~~土御門~~

 土御門(まさか俺のクラス、俺の隣室に送り込んでくるとは…。世話でもさせる気か)

 まぁそんなことより、

 舞夏「兄貴ー。肉じゃができたぞー」

 土御門「にゃー!まってたぜぃ!その言葉を!」

 今はまだ楽しもう。

675: 2010/06/20(日) 19:56:45.92 ID:KbwHOSo0

  七月十九日 夏休み前夜の学園都市―――


 削板「足りんな、根性が。全然足りん」

  路地裏にて、削板軍覇は地に伏す不良少年たちを見下ろしていた。別に自分からケンカを売ったわけではない。
  本日は一学期の最終日。転校してきて早速、Level5のくせに期末テストで真っ赤な成績を手に入れ、
 見事夏休みに学校へ来る義務を獲得した削板は気分転換のため夜の街にくりだしていた。
  そこでクラスメイトの上条当麻を大人数で追いまわしていた男共を発見。今に至るという訳だ。

 削板「何処に行ったんだ上条のヤツ。せっかく親睦を深めようと思ったのに…」

  上条は削板に向かってこなかった何人かの男とともに、不幸だーとか言いながらそのまま走っていった。
  やることもなかったのでそんな上条を探し、大きな鉄橋までやってきたわけだが。

 御坂「…なんでアンタが来るわけよ」

  突如、声のほうから放たれた雷撃を、受けるでも無効化するでもなく、根性と速度でかわす削板。
  不機嫌此処に極まり、といった感じで鉄橋にて仁王立ちしている少女は、学園都市第三位『超電磁砲』御坂美琴。

 御坂「今日はあっちの馬鹿を追いまわしてるはずだったんだけどね。……ま、アンタでもいっか」

 削板「あっちの馬鹿が誰かは知らんが…。いい加減にそこらの人間を追いまわすような根性無いことはやめろよ?通報されるぞ?」

 御坂「そこらの人間って…。アンタ達みたいな奴等がそこらにいてたまるかゴルァ!」

  怒声と同時に再び雷撃の槍が発射されるが、高速でブレる削板には当たらない。
  と、避けた先の場所にピンポイントで紫電が走り、削板に直撃する。生身の人間がまともに喰らえば気絶必至の一撃だ。

 

676: 2010/06/20(日) 19:58:01.24 ID:KbwHOSo0
 が。

  削板軍覇は倒れない。
  ぶるぶるっと身体を震わしても立っている。

 削板「痛いな!それがかつて不良から助けてやろうとした人間にすることか!なんであれから俺をつけまわす!?」

 御坂「それよそれ!確かにあの時も直撃したわよね!?あの馬鹿みたいに無効化したわけでもないのに、
    なんで私より序列が四つも下なうえ、超能力者かも怪しいアンタにはほとんど効かないのよ!普通に考えておかしいでしょ!」」

 削板「根性だよ根性」

 御坂「それ以外になんかあんでしょうが!」

 削板「む。そういえば今日は筋トレがまだだったな」

  ビリビリ放電している御坂を無視してきびすを返す削板。

 削板「じゃあな御坂!中学生は早く寝ろよ!」

 御坂「子ども扱いするんじゃ―――って待ちなさいよ話聞きなさいよ無視するなー!」

  追われる第七位と追う第三位。

  こうして学園都市の夏休みが始まる。

677: 2010/06/20(日) 20:01:02.95 ID:KbwHOSo0
ここまでです。

ご意見感想注意からお褒めの言葉まで幅広く受け付けておりますです。

お願いするです。

678: 2010/06/20(日) 20:02:42.52 ID:XUEIsYQo
とりあえず小萌先生の名前は『子』萌じゃないのですよー?

手下どもの断末魔が全部統一されててクスッってきた!

後マジ楽しみにしてる!乙!

75: 2010/06/23(水) 17:26:37.70 ID:iMXrfBs0
  七月二十日 とある高校の学生寮 AM5:00


 TV『一月二十日から二月十八日生まれのみずがめ座のあなたは恋もお金も仕事も最強運!
    まったくありえないことにどう転がってもイイことしか起こらないので宝くじでも買ってみろ!
    あんまりモテモテちゃうからって三股四股に挑戦、なんてのはダメダメなんだぞ♪』

  漠然と朝の占いを見つつ早朝の筋トレを終らした削板軍覇は、まだ自分の体温を残している布団をたたんでいた。
  そういえば隣室の隣室の上条当麻はみずがめ座だったな羨ましいないや根性でどうにでもなるなどと思いつつ
  朝から補習という嫌な気分を切り替えるべく、日光を浴びようとさわやかな行動を選択し、ベランダに出た削板の目の前に


  白い少女が舞い降りる(舞い降りるというにはいささか速い速度で)。


 削板「なぬ!?」

 禁書「あぅっ」ぽすっ

  勢い良く手すりに引っかかる銀髪緑眼の落下系少女。その姿はさながら干された布団のよう。
  などと削板があまりの出来事に呆けていると、

 禁書「…困っている人に手を差しのべよって、日本人は教えられないのかな?」

  流暢な日本語で話し掛けられた。外国語(に限らず)の成績が良くはない削板にしてみればありがたい。



76: 2010/06/23(水) 17:27:37.84 ID:iMXrfBs0
 削板「…俺の名前は削板軍覇って言うんだが」

  まだショックから立ち直れていないのか、すこしハズレた受け答えをする削板。

 禁書「私の名前は禁書目録(インデックス)って言うんだよ。よろしく、ぐんは♪」

 削板「禁書目録?変な名前だな」

 禁書「むぅ。あなたのぐんはって名前もジャパニーズにしては変わった名前かも」

 削板「この街じゃあまりおかしくはないんだがな…」

  削板の頭に浮かぶのは、今まで研究などで顔を合わせてきた能力者や研究者達。外部のそれと比べれば奇妙な名前が多い…らしい。

 削板「…ところで結構な速度でぶつかってたけど、痛くないのか?」

 禁書「ん、へーきだよ。私にはこの『歩く教会』があるからね」

 削板「『歩く教会』? その服、最新の対衝撃吸収用の素材でも使っているのか?」

 禁書「たいしょー…?それはよくわからないけど、これに使われてる魔術はトリノ聖骸布と同じもので、法王級の防御力なんだよ!」

 削板「………魔術?」

 禁書「まあ、一般の人にはわからないかもね。だいたいの地域で魔術は一部の人々だけの秘匿とされてるから―――」

  ふしぎワードが出てきたと思ったらいきなりオカルト講座が始まってしまった。イギリス、バチカン、魔導書、魔術結社、etc...

77: 2010/06/23(水) 17:28:25.65 ID:iMXrfBs0
  と、削板が疑問を口にする間もなく少女の肩ががくりと落ちる。

 削板「?どうした?」

 禁書「……お………」

 削板「お?」

 禁書「お腹がへったんだよ。…おいしいご飯をくれるとうれしいな♪」

  こんないたいけな少女の笑顔を曇らせるなんて根性の無いことができるだろうか。いやできない。
  と削板が決意を新たに拳を固く握ったところで―――

    ―――どこからかベランダのてすりを三毛猫が走ってきた。驚いた少女がベランダから落ちてしまう。

 禁書「ひゃぁっ!?」

 削板「ッ危な―――!」

  削板はとっさに左手で手すりを、右手で少女の服の袖を掴み、引き上げようとする。が、

 削板(力が…込められない!?)

  服を確かに握っているはずなのに、ウナギでも掴んでいるような、そんな手応えの無い感覚になる。これが魔術という奴だろうか。
  はやく引き上げないと、ずるずるとインデックスは落ちていってしまうのに。
  そう考えた刹那。
  カチリと頭の中でスイッチが切り替わる。カラダに得体の知れないチカラが宿る。

 削板「ぬうオオぉぉぉぉぉ!!こおぉぉぉんんんじょぉぉぉう!!」

 禁書「―――えっ?」

  得体の知れないチカラは少女の着ている修道服『歩く教会』を片手でしっかりと掴み、引きずり上げる。
  勢いを殺せず、開きっぱなしの窓からインデックスは部屋の中に飛び込んでいき、

  ビリッと。
  『歩く教会』は、それを掴む得体の知れないチカラと守るべき対象インデックス。両者に引っ張られ、斜めに引き裂かれた。

  インデックスは顔を赤く染め、たたまれていた布団の中に潜りこみ、
  あまりの出来事にしりもちをついた根性少年の顔面に、白い布きれとなった『歩く教会』がひらりと舞い落ちる。

   


~~~~~~とりあえず根性と安全ピンで留めておくことにした~~~~~~

78: 2010/06/23(水) 17:29:57.19 ID:iMXrfBs0
  謝罪のついでにご飯を要求するんだよ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 禁書「…ごちそう様。おいしいお肉をたくさんくれたからさっきのことはとりあえず許してあげるんだよ」チラチラ

 削板「お粗末様。なかなか根性のある喰いっぷりだったな。それでこそ作った甲斐があるってもんだ!」もぐもぐ

  とりあえず先ほどの出来事は忘れることにした。過去を引きずるのは削板の性分ではない。

 禁書「…話を蒸し返すようでわるいけど。なんでぐんはは『歩く教会』を破けたのかな?
    さっきも言ったとおり、これは最強クラスの防御結界だったんだよ。
    ぐんはのちょーのーりょくってみんなそんなにすごいの?」ウズウズ

 削板「そんなことは無いぞ。強いて挙げれば、、
    学園都市二三十万人の頂点、七人しかいないLevel5、七人の中の七番目『念動砲弾』削板軍覇ってことがあるだろうが、
    そんなことは些細なこと。あのときはお前が落ちてしまいそうだったからな。すこし根性出しただけだ」

 禁書「…ようするにぐんははすごい学園都市の中でもすごい人だったんだね」ひょいパク

 削板「いやそれもあるがやはりあれは俺の中で熱く煮えたぎる根性がだな―――ってなに俺の朝食まで食ってんだよおぉい!」  

 禁書「ひあぅっ!」ビクッ
 禁書「ご、ごめんなさい!…。ひ、久しぶりのちゃんとしたごはんだったから…その、つい……」シュン…

 削板「久しぶり?なんでだ?」ピク

 禁書「ッ!そ、それは…」

79: 2010/06/23(水) 17:30:48.86 ID:iMXrfBs0
 削板「……………」
 削板「さっきも言ったが、俺はそれなりに根性も力もある方だと自負している。多少危険なことに首を突っ込んだこともある」

 禁書「………」

 削板「話してくれないか?」

 禁書「―――完全記憶能力、って知ってる?」

 削板「ん?…あぁ知ってる」

  いつだったか授業で習ったような気がする。一度見たら、聴いたら、読んだら、忘れない。なんとも便利な体質だと思ったものだ。

 禁書「私がそうなんだ。で、さっきも教えた世界中に点在する魔導書10万3000冊を、記憶しているの。それら全てを使えば
    世界の理を捻じ曲げられる。私は魔翌力が無いから使えないけど力のある魔術師が私という知識を手に入れれば、
    『魔神』―――魔術を極め、神の領域にまで足を踏み入れた存在になれるから。これを狙ってる人はたくさんいるんだよ」

  もともとは世界に溢れた魔導書に、対抗する為の私(モノ)らしいんだけどね。そう呟く彼女は儚げだった。

 削板「…らしいってなんだよ?」

 禁書「私、一年くらい前からの記憶が無いの。目が覚めたらこの街にいたから。
    さっき話したような知識はあったから、一応行動指針はあったんだけどね」

80: 2010/06/23(水) 17:32:35.18 ID:iMXrfBs0
  インデックスが話し終えたとき、削板のケータイが鳴った。いつぞやの夜の公園で登録した小萌先生からだ。

 削板「ぬぁしまった!補習がもう始まってしまう!どうするか……!」

  ここから全力で走れば、削板ならすぐに学校へ着く。その気になれば、ほとんど一瞬だが音速の二倍での行動が可能だ。キツイけど。

 禁書「…クスッ。…私の話はこれでお終い。君は君の生活に戻った方がいいよ?」

 削板「でも………お前はどうするんだ?」

 禁書「私はへーき。一年間も魔術師達から逃げてきたんだよ?私がここにいると君にまで危険が及ぶかもしれないし。それに―――」

 削板「だから少しくらい危険でも 禁書「それに!」 ッ!」

 禁書「―――私もプロなんだよ?あなたは巻き込みたくない。それが私にとっての―――」
 禁書「―――根性、かな?」

 削板「…行くアテはあるのか?」

 禁書「あるよ。私の所属しているイギリス清教の教会まで行って、そこから本国に帰るの。簡単だよ」

  この優しい少女をモノ扱いした根性無しの教会に。
  そう考えると削板の胸は穏やかではなくなるが、少女の覚悟と根性を踏みにじるようなこともしたくはない。

 削板「…そっか。気をつけていけよ、インデックス」

 禁書「うん。…ごはんおいしかったよ。ありがとう、ぐんは!」

  さよなら。そう言って白い少女は魔術で彩られた日常へと去っていき、
  また部屋の主の少年も科学で縁取られた日常へと向かった。 

 
  丸まった布団の中に白いフードだけが残して。

81: 2010/06/23(水) 17:34:41.54 ID:iMXrfBs0
こんなとこですかね。
俺も肉喰いてぇです。

82: 2010/06/23(水) 17:36:04.02 ID:S3PX6VQo
乙乙乙!おもしろかった!
続きHKB!

325: 2010/06/25(金) 17:03:22.18 ID:m8tTlvk0
  とある高校の補習教室

 青髪「どーしたんソッギー?なんや考えてるようやけど。モテモテ男子を見つけてもうて、どない制裁加えたろか迷っとるとか?」

 削板「…どうしてオマエそんな根性曲がった発想しか出来ないんだ?」

 土御門「んー、やっぱり変だぜぃ。いつも、『その発想、根性が足りてねぇようだな!根性注入してやろう!』とか言うのににゃー」

  顔に出ていたか。どうやらあの少女のことががよっぽど気がかりのようだ。

 黄泉川「ほう、おまえら。私の授業中におしゃべりとはいい度胸じゃんよ。こんど全員で裏庭の草むしりでもするか?」

 上条「それってひょっとしなくても上条さんが入っているんでせうか?入ってるんでしょ入ってるんですね三段活用!!」

 青髪「んなーっ。もう黄泉川センセってば怒った顔もうっつくしぃ!」

 削板「………」

 黄泉川「本当に浮かない顔じゃんね削板。なんかあったのか?」

 土御門「にゃー、朝からずっとこんな調子ですたい。なに考えてんのか俺達にもわからんぜよ」

 黄泉川「…なんだか知らないけど、私達に出来ることがあったら頼って欲しいじゃん。教師は生徒を助けるもんだから」

 削板「…はい。もしものときは、お願いします」

 黄泉川「うんよろしいっ。あと土御門。あとで職員室に来い。先生に対する口のきき方ってやつを教えてやるじゃんよ」

 土御門「」

 青髪「つっちー羨ましすぎるでー!黄泉川センセの個人授業やなんて…!」

 黄泉川「青髪、お前も受けたいのか?」

 青髪「はいはーい!受けます受けますー!」

 黄泉川「まあ私は警備員の仕事があるから、担当は災誤先生になるじゃん?」

 青髪「」

 黄泉川「あ、ついでに上条もな」

 上条「」

326: 2010/06/25(金) 17:04:08.36 ID:m8tTlvk0
  削板軍覇は寮を目指し、歩きつつも考える。なぜ自分の心はこんなにも落ち着かないのだろう。
  あの少女はイギリス清教の教会へ保護され、イギリスに帰るはずだ。それはハッピーエンドになるのではないか。
  
 通行人少女A「―――鴻野江君が転校してから、なんだか教室が少し、物足りなくなっちゃったような気がしますね、佐天さん」

 通行人少女B[あぁ、鴻野江遥希君か。確かにねぇ。鉄装さんも激拳仲間が居なくなって寂しがってたし―――」

 通行人少女C「あ、いたいた!この野郎!ちょっと待ちなさっ―――」
 
 女子中学生達の会話を聞いて、削板はそちらに視線をやった。

 削板(黒髪長髪の女の子と…花瓶あたま?)

  いや、そちらも気にはなるが今はそのことではない。
  転校、物足りない、居なくなる、寂しい…。この感情の正体はそういうものか。
  削板は一度転校してきているのだが、以前在籍していた高校に、人として惹かれる者がいなかったためか、
 はたまた在籍期間が二ヶ月ほどだったためか、そういった感情は芽生えなかった。
  そしてそういった感情を会ってからほんの二時間足らず過ごしただけの少女に抱いていたのか。
  
 通行人?少女C「ちょっとアンタよアンタ!」   
 
  魔術などといったこんな科学の街では普段聞かない言葉を使われたから印象に残っただけだろうか。
  いや、恐ろしい本を頭に詰め込んでまで迷える子羊達を救おうというそんな彼女の根性に―――

 通行人少女C改め御坂美琴「止まりなさいってば!!」

 削板「お?またか電撃中学生」

 御坂「まった電撃中学生って…!私の名前は御坂美琴!ちゃんと言いなさいよ!」

 削板「おまえだって俺のことを名前では呼んでないだろう?自分だけ名前で呼んでもらおうなんて根性足りてねーんじゃねぇのか!」

  うっさいビリビリィぬぉこんじょー

  いつもどおりの日常の中に戻ってきて、削板軍覇は神様に願う。
  願わくば、あの少女にもう一度あえますように。

327: 2010/06/25(金) 17:05:42.44 ID:m8tTlvk0
高速で投下狩う猟。とっとと寝るです。

669: 2010/06/29(火) 17:51:36.92 ID:EthLsvc0
  電撃中学生を振り切って(御坂はほぼ同じ超能力者である削板に突っかかってくるだけなので、あまり根性無しというわけでもない。
 よって路地裏の不良のように殴って追い払うのは気が引ける)ファーストフード店でおやつに買ったハンバーガーをもぐもぐ食いながら
 学生寮に戻ってきた。七人しかいないLevel5の第七位が第七学区の寮の七階なんてすごいなと、エレベーターの七階のボタンを押す。
  チーンという安っぽい音を聞き、ファーストフード店でハンバーガーを大量に購入していた巫女さんのことを考え、宗教つながりで
 今朝のインデックスのことまで考えて、削板は部屋の前の異変に気付いた。清掃ロボットが三台ほど群がっている。

 削板(いやな予感しかせんな…)

  清掃ロボットはけっこうパワフルだ。それが三台がかりでもてこずっているとなると、近くの部屋の上条がついに不良にボコられ、
 自室の前で倒れているところをゴミと認識され、排除されそうになってでもいるのだろうか…。
  兎にも角にも確認せねば始まらない。とりあえず近くに寄ってみて―――

  ―――血だらけで倒れているインデックスを発見した。

 削板「…お、おい………いん…でっくす?」

  インデックスは動かない。ピクリとも。
  清掃ロボットがジャマだ。能力をつかってふっ飛ばすと、壁にぶつかり、警告音を鳴らすことなく三台とも行動停止した。
  良く見ればインデックスの腰のあたりが横にスッパリと切られているようだ。真っ赤な体液がまだまだ溢れてくる。
  ギリッと歯を強く食いしばる.

 削板「誰だ…!こんなことした根性無しは………!」

 ステイル「うん?僕達『魔術師』だけど?」

  気配も感じなかったのに、その赤髪の少年はもう削板の五メートルほど後方にいた。大柄でタバコを吸っているが、顔立ちからして
 、年齢はおそらくインデックスと同じくらいだろう。

 削板「…そうか。お前ら魔術師がやったのか。……こんな華奢でか弱い女の子を追い回してる根性無しが……」

 ステイル「うん?実際に斬ったのは僕じゃなく神裂だけどね。それに追い回すって言ったのはソレから事情を聴き出したからかな?」

 削板「―――ぇな」ボソ

 ステイル「なんて言ったのか聞こえなかったけど、他人の遺言には興味がないから訊かないよ?ああ、事情を知った君には―――」

  魔術師は煙草を手でつまみ、削板のほうに無造作に放る。

 ステイル「―――氏んでもらおうか。Fortis931、巨人に苦痛の贈り物を!」

  虚空を舞う煙草が描く軌跡の、延長線上から燃え上がった灼熱の炎が、学生寮のてすりを溶かしつつ削板を飲み込んだ。

670: 2010/06/29(火) 17:53:02.52 ID:EthLsvc0
  削板を包み込む炎を満足げに眺め、ステイルはインデックスに目をやった。

 ステイル「途中から『歩く教会』の魔力がまったく動かないのに、キミの姿が確認できなかった。確認できたと思ったら
      今度は無敵の防御機能が失われている。……おかしいと思ったんだけど、まさか『歩く教会』が破壊されていただなんてね。
      ここにずっと反応があったことを考えると、無くなっているフードをここらで落としてしまったのかな」

  再び炎に視線を戻す。

 ステイル「大方、さっきの少年の部屋にでも忘れたのかな?で、いったん別れたがフードに気付き、少年に危険が迫る前に回収しようと
      したところ神裂に遭遇。背中を切られてしまい現在に至ると。こんなとこだろうね」

  インデックスをそろそろ回収しなければ彼女の生命にかかわる。治癒の術式は専門外だし、神裂は『歩く教会』を破壊し得るような
 危険な存在が、この街にはいるかもしれないと別行動をとっている。
  ステイルが思案しながら新しい煙草を取り出すと


 燃え盛る業火の中から、少年が一人、歩いてきた。

671: 2010/06/29(火) 17:53:54.88 ID:EthLsvc0
 削板「根性が足りてねぇなって言ったんだよォ!」

 ステイル「ッなぁ!?」

  魔術師―――ステイル=マグヌスは目の前の状況が理解できない。
  この街の住人がおかしな能力を持っているのは聞いてはいた。だがステイルは若干十四歳にして現存するルーン文字二四字を解読し、
 力のある文字を新たに六つ開発した天才魔術師だ。多少力があるからといっても、そこらの学生にその魔術を防がれるハズがない。
  そのはずなのに。

 削板「女の子を追い回し、空腹で倒れさせ、背中を切って、悪びれもせず、どこぞの教会と同じようにソレとモノ扱いにする!!」

  目の前の少年はその身を溶かさず、その白い学ランを焦げつかせず、三〇〇〇度の炎の中からツカツカと歩いてくる。

 削板「お前の炎も熱かったが!今!俺の中には!お前に対するさらに熱い怒りが渦巻いている!」

 ステイル「い、魔女狩りの王!!」

  彼の奥義、紅蓮の巨人が二人の間に顕現し、歩いてきた削板を包み込むように迎撃した。

 削板「ぬおォォォ!」

  炎の巨人の黒い芯にぶつかり、削板の歩みは止まる。焼けるような熱さが削板の体力をじわじわと奪う。

 削板(こんなところで立ち止まる暇はない!助けなくちゃならない少女は、殴らなければならない根性無しは―――)

 ステイル「よし、いいぞ魔女狩りの王!そのまま焼き殺せ!」

 削板(この向こうにいる!根性出せよ削板軍覇ァ!)
 削板「ふるわアァァァァァ!!」

  削板の正体不明のチカラがさらに強まる。

 ステイル(!?左腕が魔女狩りの王を突き破っt)ガシッ

 削板「覚悟、しろよ。根性無し」ギリリッ

 ステイル「イノケンティあつっ!やめろ!はなせ能力者!」

 削板「自分で痛みを負う覚悟も根性もねぇのに―――」

  削板は力いっぱい握り締める。あのとき少女に差しのべられなかった右手を。

 削板「他人のために犠牲になるような、根性ある奴にひでぇことしてんじゃねエぇぇぇ!!」 

  そして振りぬいた。プロだからと、出会って間もない、自分をも守ろうとしてくれた少女のために。

672: 2010/06/29(火) 17:58:44.70 ID:EthLsvc0
…ふぅ。………いつかスレ独立してみたいですね。

さぁ、GJから批判まで受け止める根性はあるです。
ばっちこぉい。

引用: ▽ 【禁書目録】「とあるシリーズSS総合スレ」-8冊目-【超電磁砲】