7: 2012/04/02(月) 20:30:36.86 ID:EtO26PmS0
恒一「ただいま~」

怜子「あ、おかえりなさい」

恒一「怜子さん、今から出かけるんですか?」

怜子「うん、ちょっと仕事で呼ばれちゃって」

恒一「そうですか、気をつけて行ってらっしゃい」

怜子「ありがと、じゃね」

恒一(怜子さんの仕事って大変そうだな……ん?買い物袋?
   怜子さん片付ける前に呼び出されたのかな……生モノかもしれないし運んでおくか)
Another 2001(上) (角川文庫)

10: 2012/04/02(月) 20:41:58.42 ID:EtO26PmS0
ガサガサ

恒一(……ビール……おつまみのチーズ……またビール……いったい何本買ってるんだろ……
   ……こっちの紙袋は……ナプキン///……他にも何か箱があるけど見ないほうがよさそうだな)

民江「あら、恒ちゃん、帰ってたのかい」

恒一「ただいま、お祖母ちゃん」

民江「おや、その袋はなんだい?」

恒一「あ、これは玄かn」

民江「まさかお酒じゃないよね?お酒だったら許さないよ」

恒一「えっ!?ま、まさか……はは」

12: 2012/04/02(月) 20:54:04.07 ID:EtO26PmS0
民江「そうかい、お祖父さんは恒ちゃんぐらいのころから飲んでたらしくてね
   そのせいか早くからボケちゃって……怜子もその血を引いてかお酒が大好きでね
   預かってる恒ちゃんまでお酒に目覚めたら陽介さんに顔向けできないよ」

恒一「へ、へ~、怜子さんってそんなにお酒好きだったんだ……」

民江「恒ちゃんを預かるようになってからはなるべく控えて
   飲むときは恒ちゃんの目に付かないとこでって言ってあるんだけどねぇ」

恒一「そうだったんだ……」

恒一(その割には何度か目にしてるけど……)

恒一「この袋は学校の美術で使う道具なんだ、怜子さんも承知してるから安心して」

民江「そうかい、そうだよねぇ、恒ちゃんはお酒なんてまだ興味ないよねぇ」

恒一「うん、それじゃ荷物置いてくるから」

恒一(ふぅ、危うく誤解されるところだった……荷物全部持ってきちゃったけどどうしよう
   離れの怜子さんの部屋に持っていくにはお祖母ちゃんの前通らなきゃいけないし……
   とりあえず押し入れに隠しとくか)

15: 2012/04/02(月) 21:06:12.91 ID:EtO26PmS0
恒一「ごちそうさま」

民江「はい、お粗末さまでした
   怜子はまだ帰ってこないみたいだから恒ちゃん、先にお風呂入っちゃいなさい」

恒一「うん、そうさせてもらうね」

──────
────
──

恒一「ふぅ、さっぱりした……ふぁ~」

恒一(お風呂上りのこの眠気は抗いがたいものがあるな……ちょっと早いけどもう寝るか)

フトンシキシキ

恒一「おやすみ・・・ZZZzzz...」

17: 2012/04/02(月) 21:18:25.14 ID:EtO26PmS0
ガタッ、ソロソロソロ

??(……う~ん、まさかと思ったけど……やっぱりないなぁ)

zzz...

??(……カワイイ寝顔しちゃって……)

恒一「……ん~……」

???「……ぃちくん……起きて、こういちくんってば……授業中よ!榊原君!!」

恒一「すいません!!!……アレ?……怜子さん?」

怜子「あ、起こしちゃった?ゴメンね、恒一君」

恒一「馬乗りになってあんな起こし方して何言ってるんですか」

18: 2012/04/02(月) 21:25:37.27 ID:EtO26PmS0
怜子「退いて欲しかったら正直に答えなさい……アレはどこ?」

恒一「……アレって何です?」

怜子「……恒一君じゃないの?」

恒一「だから何の事です?」

怜子「今日帰ってきたとき玄関に……なかった?」

恒一「……あぁ、あの袋ですか?」

怜子「やっぱり恒一君だったのね!?」

20: 2012/04/02(月) 21:35:32.53 ID:EtO26PmS0
恒一「……お祖母ちゃんから聞きましたよ?
   いくら好きだからって隠れてあんなに買い込むなんて感心できませんよ」

怜子「お祖母ちゃんって……まさか、母さん知ってるの!?」

恒一「いえ、僕の美術道具って事でごまかしておきましたけど……」

怜子「よかった~、あんなの目にしたら心臓止まっちゃうかも知れないもの」

恒一「そんな大げさな」

怜子「大げさじゃないわよ、あの年でアレの事を理解できるわけ無いでしょ」

恒一「確かに僕にまで悪影響が出ないか心配してましたけど……」

怜子「恒一君に悪影響?…………///
   やぁねぇ、そんな事あるわけ無いじゃないの///」バシッバシッ

恒一「いたっ、そんな叩かないでくださいよ」

22: 2012/04/02(月) 21:49:06.11 ID:EtO26PmS0
怜子「それで?アレはどこにあるの?」

恒一「押し入れです
   ちょっと待ってください、電気点けますから」

カチッ

恒一(……バスタオルのみ///)

恒一「怜子さん!なんて格好で忍び込んでくるんですか!?」

怜子「え~、だってぇ、疲れて帰ってきたらまずはお風呂でしょ?
   で、お風呂上りにまず飲もうと思って……思い出したの」

24: 2012/04/02(月) 21:58:30.87 ID:EtO26PmS0
恒一「……言っておきますけど押入れに入れてたので冷えてはいませんよ」

怜子「あぁ、そっちはいいの、ちゃんと冷えてるのが残ってたから」

恒一「……なら僕を起こさなくても明日言ってくれれば……」

怜子「恒一君?子供にはわからないかもしれないけどね、私がそれだけで足りるわけ無いじゃない」

恒一「はぁ……はい、どうぞ、これです」

怜子「♪~
   ……恒一君って意地悪するタイプだっけ?」

恒一「?何言ってるんですか?」

怜子「だって!これ!」

ドンッ、ドンッ、ドンッ、ドサドサッ

怜子「ビールとおつまみしかないじゃない!!」

25: 2012/04/02(月) 22:01:29.43 ID:EtO26PmS0
恒一「しかってそれはこっちの台詞……あぁ、これもですね、はい、紙袋」

怜子「これよこれ♪……ハッ、ゴメン、恒一君
   もしかしてこれ……あとでオカズにしたかった?」

恒一「違いますっ!///」

怜子「ふぅん、その反応は中を見たのね……誰にも言っちゃダメよ?///」

恒一「言いませんから早くそれ持って出てってください///」

怜子「はいはい、じゃね、おやすみ~」

48: 2012/04/02(月) 23:55:08.39 ID:EtO26PmS0
恒一(はぁ~、なんか眠気飛んじゃったな)

ガサッ

恒一(ん?おつまみ回収し忘れてる……しょうがないな)

ガラッ、スタスタスタ

恒一(学校の資料なんかもあるから普段は離れに近づくなって言われてるけど……秘密を守るためだし、いいよね)

49: 2012/04/03(火) 00:06:04.07 ID:HCYe1jMi0
ソロリソロリ

恒一(ちゃんと服着てるかな……)

コンコン

恒一(返事が無いな……電気は点いてるのに)

コンコン

恒一「怜子さん?いないんですか?」

カチャッ

恒一(しまった、ノックでドア開いちゃった)

52: 2012/04/03(火) 00:10:11.89 ID:HCYe1jMi0
アンッダメヨッソンナッ

恒一「……」ピシッ

アッイクッイッチャウー

恒一(……まさか…ね……ハハッ……さっきあんな姿見ちゃったから……僕が邪な想像しちゃってるだけだよね……)

アアァァァァアッァ!!!!!・・・・・・ハァ、ハァ、ハァ

ウィーン、ウィーン、ウィーン

恒一(……どうしよう……他の解釈の余地が無いよ……)

56: 2012/04/03(火) 00:18:20.44 ID:HCYe1jMi0
恒一(とにかく見つかる前に離れないと……これはドアの隙間から入れておこう)

ソローリソローリ

恒一(何とか気づかれずに部屋まで戻れたか
   明日どんな顔すればいいんだろう……怜子さん先に出ててくれないかなぁ)

ムクリ

恒一「……ダメだよ、怜子さんが来る危険もあるんだから……今日は我慢」

ショボーン

恒一(……頑張って寝るか……)

58: 2012/04/03(火) 00:24:26.20 ID:HCYe1jMi0
怜子「朝よ、恒一君、起きなさい」

恒一「……ん、ん~」

怜子「おはよ、目は覚めた?」

恒一「おはようございます……!?れ、怜子さん?」

怜子「そうよ、そんなに驚かなくてもいいじゃない」

恒一「いや、だって、いつもは起こしになんて……」

怜子「昨日遅くまで帰れなかったから今朝は時間に余裕があってね」

恒一「そ、そうですか……」

60: 2012/04/03(火) 00:31:48.78 ID:HCYe1jMi0

怜子「……それに……確認しときたい事もあったし……ね……」

ゴクリッ

恒一「……確認……ですか……」

怜子「そう、昨夜あの後ね……部屋の入り口にチーズが落ちてたの……スライスチーズが……
   恒一君……何か知らない?」

恒一「さ、さぁ?この部屋から回収したおつまみの一つじゃないんですか?」

怜子「そうなんだけど部屋の入り口ってところが問題でね……ドアも半開きだったんだ……」

恒一「それは……無用心…ですね……」

62: 2012/04/03(火) 00:38:24.58 ID:HCYe1jMi0
怜子「……」ジー

恒一「……」アセダラダラ

怜子「……本当に知らないのね?」

恒一「はい」コクコク

怜子「……そう、ならいいわ
   前にも言ったけど離れには近づかないようにね」

恒一「わかりましたっ!」

66: 2012/04/03(火) 00:42:26.86 ID:HCYe1jMi0
オハヨーオハヨー

恒一(咄嗟に嘘ついちゃったけどこのまま知らん振りしとけばいいのかなぁ)

勅使河原「どうした、サカキ、考え事か?」

望月「心ここにあらずって感じだね」

恒一「うん、ちょっとね……」

恒一(そう言えば望月がお姉さんのあんなとこ目撃したらどうするのかな……
   ちょっと聞いてみるか?……いや、そんな事聞いたら怜子さんの事もすぐ感付かれそうだな)

71: 2012/04/03(火) 00:55:00.13 ID:HCYe1jMi0
恒一(そうだ、水野さんなら……)

こうしてイノヤで水野さんに相談したところ、それを聞いていた智香さんのカミングアウトもあり
怜子さんは 風呂→ビール→オXXー の趣味について熱く語り合える同好の志を得たのだった

おしまい

引用: 恒一「僕の叔母がこんなに可愛いわけがない」