597: 2021/01/18(月) 22:35:18 ID:hmERLUJs
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#01 「ひのひの村」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#02 「おきつねこんこん教」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#03 「にゃんにゃん島」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#04 「吉祥寺」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#05 「京都」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#06 「神宮」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#07 「こわこわ神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#08 「神使」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#09 「のんびり村」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#10 「巫女カフェ」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#11 「もももも神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#12 「あにあに神社」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#13 「いつでも一緒」
神様「神様だっ!!」神使「神力ゼロですが・・・・・・」#0
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#14 「キセキ野教会」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#15 「神苑温泉」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#16 「お花を摘みに」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#17 「こんこん稲荷神社」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#18 「我☆偽神」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#19 「神宮美食クラブ」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」#20 「未来へ託して」
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編・2018年夏
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編・2018年冬
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編・2019年春
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編 2019年冬『おにゅおにゅ神社』
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」番外編 2020年春『継々乃社之領域』~
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」~ 番外編 『モノノケランド』~【前編】
神様「神様だっ!」神使「神力ゼロですが・・・」~ 番外編 『モノノケランド』~【後編】
――― 学校
ガラガラ
神様「」キョロキョロ
生徒A「あっ、神ちゃんおはよう」
神様「おは。 少女ちゃんは来てない?」
生徒A「少女ちゃん?」
神様「いつも一番に来てるし、いないって事は今日は休みか?」
598: 2021/01/18(月) 22:36:07 ID:hmERLUJs
生徒B「ねぇ、少女ちゃんって誰?」
神様「え?」
生徒A「別のクラスの子? でも聞いたことない名前だなぁ。 B子ちゃん知ってる?」
生徒B「知らないなぁ」
神様「・・・・・・」
生徒A「それより神ちゃん、今日の放課後サイセリアで―――」
神様「っ!」タッタッタッ
生徒B「ちょ、神ちゃん! どこ行くの!?」
600: 2021/01/26(火) 02:05:40 ID:FoQtZErI
――― 10分後・海ノ神社
神様「お~い」タッタッタッ
神使「あっ、神様」
神様「どうだ?」
主神「本殿を中心に強力な結界が張られているようです」
神様「見たことない結界だな」
神使「もしかして巫女さんと少女さんはモノノケの世界に・・・」
神様「間違いないな。 向こうから結界を張ったんだろ」
主神「流石に我々では解除できそうに無いですね」
601: 2021/01/26(火) 02:06:28 ID:FoQtZErI
神使「巫女さん達はもうこちらに戻って来ないつもりなんでしょうか」
神様「どうして・・・ どうして黙って行っちゃうんだよ!!」クッ!
神使「神様・・・」
神様「な~んてね」ウヒャヒャ
主神・神使「・・・・・・」
神様「お前達二人で取りあえず金目になりそうな物だけ運び出せ」
神使「え!?」
神様「この神社、ぶっ潰すぞ」
神使「ど、どういう事ですか!?」
602: 2021/01/26(火) 02:07:39 ID:FoQtZErI
神様「言ったとおりだよ。 まずは海ノ神社を解体して更地にする」
神使「解体!? 更地になんかしてその後はどうするんですか?」
神様「遊園地にしようぜぇ~」
神使「・・・・・・」
神様「どちらにしろ解体は必要だし、近くに山ノ神社だってあるんだからここは必要ないだろ」
神使「いくら何でもこのタイミングで解体しなくても。 巫女さんと少女さんはどうするんですか」
神様「どうしようもないだろ。 主神、後は任せたぞ」
主神「え? あっ、はい・・・」
神使「・・・・・・」
神様「大丈夫だよ。 立派な遊園地にするから」
神使「そこを心配しているわけではないのですが・・・」
603: 2021/01/26(火) 02:11:04 ID:FoQtZErI
――― 翌週
ガガガガッ
神使「もうほとんど残っていませんね」
神様「解体って結構早いのな」
神使「神社の隣にあった建物も解体しているみたいですが?」
神様「あ~ 隣の土地を買ったから一緒に潰してる」
神使「え!?」
神様「なんかボロボロの空き家だったし、不動産屋に欲しいって言ったら売ってくれた」
神使「そんなに土地を広くしてどうされるんです? まさか本当に遊園地を作る気ですか!?」
神様「本気も本気、大マジよ。 有言実行、それが神ちゃんのモットー」
604: 2021/01/26(火) 02:11:54 ID:FoQtZErI
神使「そんなお金どこから・・・」
神様「心配すんなって。 私の隠し貯金を使っただけだから」
神使「・・・そのお金の出所は問題ないんですよね? これ以上の借金は本当に洒落になりませんよ?」
神様「大丈夫だよ。 ちゃんと銀行の人が手続きしてくれたんだから」
神使「だったら良いのですが」
神様「今日中に更地にして、明日からアトラクションの建設に入るぞ」
神使「こんな町中にジェットコースターは無理ですよ? 苦情ラッシュになりますから」
神様「そんなありふれたものなんか作らねーよ。 もっと独創的なアトラクションだよ」ニヒヒ
607: 2021/02/04(木) 23:14:08 ID:prglVsVw
――― 翌月・山ノ神社
神様「ふぁ~ おはよ~」トテトテ
神使「おはようございます。 昨日も随分遅くまで勉強されていたようですね」
神様「まぁね~ あれ? 主神は?」キョロキョロ
神使「海ノ神社へ行かれました」
神様「そういえば、そろそろ完成だな」
神使「私には今だに何の施設なのか分からないですが」
神様「考えるんじゃない。 感じるんだよ」
神使「そうですか。 私にはまだ早すぎたようです」
神様「んじゃ、学校行ってくる。 帰りに海ノ神社に寄るって主神に言っておいて」タッタッタッ
神使「行ってらっしゃいませ・・・」
608: 2021/02/04(木) 23:14:59 ID:prglVsVw
――― 学校
神様「おはよ~さん」ガラガラ
生徒A「あっ、神ちゃん・・・」
ガヤガヤ
神様「ん? 何か騒がしいけど、どしたの?」
生徒A「神ちゃんの隣の空いている席を片付けて前に詰めるんだって」
神様「え?」
609: 2021/02/04(木) 23:15:50 ID:prglVsVw
先生「お~い、空き机の中に入っている教科書は誰のヤツだ?」
神様「先生」トテトテ
先生「おう、どうした? この教科書は神宮さんのヤツか?」
神様「いえ。 あの~ この席、もう少しこのままにしておいてもらえないでしょうか」
先生「そうは言ってもなぁ」
神様「せめて期末試験が終わるまではこのままに・・・」
生徒A「私からもお願いします」
生徒B「お願いします」
先生「まぁ、そこまで言うのであれば試験まではこのままでも構わないが・・・」
神様「ありがとうございます」ペコリ
610: 2021/02/04(木) 23:17:56 ID:prglVsVw
――― 昼休み
神様「ねぇ」
生徒A「な~に?」モグモグ
生徒B「お弁当ならあげないよ?」モグモグ
神様「え~ って、そうじゃなくて・・・ 空き席の件」
生徒A「あ~ 何となくだけどあの机は片付けちゃダメな気がして」
生徒B「私も。 なんか誰か座っていた気がするんだよね」
神様「・・・そう」
生徒A「でも、思い出せないんだよね~」
生徒B「そうそう。 出てきそうで出てこないモヤモヤした感じ、もしかして神ちゃんも?」
611: 2021/02/04(木) 23:18:31 ID:prglVsVw
神様「私は・・・ 私は覚えてる」
生徒A・B「え?」
神様「ここは、少女ちゃんの席」
生徒A「少女・・・ ちゃん?」
神様「負けず嫌いで、ちょっと短気で生意気な優等生」
生徒B「・・・・・・。 それ神ちゃんの事じゃないの?」
神様「いやいや、私は生意気じゃないし。 負けず嫌いでも短気でもないよ?」
生徒B「えっと・・・ そうなんだ」
612: 2021/02/04(木) 23:19:04 ID:prglVsVw
生徒A「少女ちゃん・・・かぁ」
生徒B「聞いたことあるような無いような~」ウーン
神様「私と期末試験の得点勝負の約束をしてるんだよ」
生徒A「試験・・・」ウッ
生徒B「明日だね・・・ なんか急に食欲がなくなってきたよ・・・」
神様「食欲がないならそのお弁当食べてあげようか?」
生徒A・B「お気遣い無く」
613: 2021/02/04(木) 23:19:54 ID:prglVsVw
――― 夕方/旧・海ノ神社
神様「お~い」タッタッタッ
主神「ご苦労様です。 もう下校の時間でしたか」
神様「おう。 犬ころも来てたんだ」
神使「はい。 完成と聞いたもので」
神様「出来はどうだ?」
主神「和をふんだんに取り入れた斬新な建物が良い感じです」
神様「ん~ 私的にはもう少し洋風テイストが良かったんだけど」
主神「施工が神宮建設ですから。 時間もありませんでしたし」
神様「多少は大目に見るか」
614: 2021/02/04(木) 23:20:38 ID:prglVsVw
神使「あの、それでここは一体どういう施設なのでしょうか?」
神様「ムフフ~ 聞きたいか?」
神使「それはまぁ」
神様「ここは“モノノケランド”だ!」ドヤッ
神使「・・・・・・。 はい?」
神様「モノノケと触れ合える斬新な施設」
主神「ちょ、ちょっと待って下さい」
神様「なに?」
主神「私は神様から“モーモーランド”と聞いていたのですが」
神様「モーモー? 何それ」
主神「え!?」
615: 2021/02/04(木) 23:21:24 ID:prglVsVw
神様「それ、ただの牧場じゃん」
主神「牧場じゃないんですか!?」
神様「こんな町中に牧場はないだろ。 常識で考えろって」
主神「・・・・・・」
神使「え~と・・・ どこからモノノケさん達を連れてくるんですか?」
主神「結界が張られてこちらの世界と分断されているかと思いますが」
神様「そだね」
神使「どうされるおつもりで?」
神様「結界を解除してもらえば良いじゃん」
主神「まぁそうなんですが、問題は私達では解除出来ない結界でして」
神様「張った本人が解除すれば良いだろうが」
主神「それが可能であれば苦労しないのですが」
616: 2021/02/04(木) 23:22:14 ID:prglVsVw
神様「確かに。 んじゃ巫女ちゃんと少女ちゃんを呼び戻しますか」
主神・神使「え!?」
神使「そんな事が出来るのですか!?」
神様「私が何の策もせずにあの二人を野放しにするとでも思った?」
神使・主神「はい」
神様「お前ら、後で電気あんま神ちゃんスペシャル10連ね」
神使・主神「・・・・・・」
神様「まぁ見てろって。 私のずる賢・・・ 神がかり的な力を刮目せよ!」スッ
主神「? 神様・・・ その牛の象って・・・」
617: 2021/02/04(木) 23:23:04 ID:prglVsVw
神様「我が守護の証を召還せし。 我が神力に応えよ!」ポワッ
主神「ちょ、神様! 待って! 私の神力! 待って~!!」
神様「神力全解放!」
ピカー
神使「あっ」
主神「う~・・・」
622: 2021/02/10(水) 01:34:52 ID:QKhM5ujc
シュン
少女「―――で、神ちゃんったら私に勝つんだって鼻息荒くしちゃって」
巫女「そうなんですか?」フフフ
少女「だから、私言ってやっ・・・ って、あれ?」キョロキョロ
巫女「?」クルッ
神様「ハロ~」
少女「神ちゃん!?」
巫女「しゅ・・・ 主神さまと神使さま!?」
主神「どうも、お久しぶりです」ペコリ
神使「ご、ご無沙汰しております」ペコリ
623: 2021/02/10(水) 01:35:37 ID:QKhM5ujc
少女「どうして神ちゃん達がモノノケの世界に!?」
神様「いやいや、逆だよ」
少女「?」
神様「ここ、人間の世界ですが」
少女「え?」
巫女「どうして・・・ 結界が機能していたはずですが・・・」
神様「私の神力を引き寄せて戻しただけなんだけどね」
巫女「引き寄せ・・・ どういう意味でしょうか?」
神様「少女ちゃんにあげた私のお守り」
少女「お守りって・・・」ゴソゴソ
624: 2021/02/10(水) 01:36:24 ID:QKhM5ujc
少女「もしかして、これ?」スッ
神様「そう、それ。 私の持ってるお守りの中で一番強力な神力を入れてあるヤツ」
巫女「まさか、神ちゃん様の神力を少女に持たせて召還したと?」
神様「ザッツライト!」
少女「どうして・・・」
神様「?」
少女「どうして私達を戻したの!」
625: 2021/02/10(水) 01:37:04 ID:QKhM5ujc
神様「決まってんじゃん。 明日は勝負の日だし」
少女「はぁ?」
神様「明日は期末試験だぜ」
少女「期末って・・・ そんな理由で?」
神様「そんなって失礼な。 私は受けた勝負はどんな事をしてでも勝つ!!」
少女「それって結界を壊してまですること?」
神様「すること」
巫女「このままだとまたモノノケがこちらの世界に・・・」
神様「大丈夫。 結界維持は手を打ってあるから」
巫女「?」
626: 2021/02/10(水) 01:38:10 ID:QKhM5ujc
~~~
~~
~
――― 数日前・りんごちゃん神宮
prrr prrr
狐娘「? 凄爺様、携帯が鳴っておりますが」
凄爺「四柱結界の維持で手が離せん。 代わりに出てくれ」
狐娘「わかりました」テクテク
ピッ
狐娘「はい、凄爺さまの携帯です」
神様『あっ、もしもし? その声は狐娘ちゃん?』
狐娘「神ちゃんさま! ご無沙汰しております」
凄爺「ん? クソガキからか?」
627: 2021/02/10(水) 01:38:54 ID:QKhM5ujc
神様『実はお願いがあってさぁ』
狐娘「お願い・・・ どのような?」
凄爺「安請け合いはするでないぞ」
神様『新しく結界維持をお願いしたのがあって』
狐娘「追加の結界維持ですか?」
凄爺「断れ」
神様『ちょっと見たことのない結界で定期的な維持も必要になる案件なんだよね~』
狐娘「神ちゃん様でも見たことのない結界なのですか?」
凄爺「絶対に断れ」
628: 2021/02/10(水) 01:39:43 ID:QKhM5ujc
神様『凄爺って追加で結界維持お願い出来そう?』
狐娘「」チラッ
凄爺「無理じゃ。 これ以上仕事増やされたら氏ぬ」
狐娘「ちなみに、どのような結界なのでしょうか?」
神様『モノノケの世界と人間の世界の次元結界。 しかも結構複雑な術式』
狐娘「モノノケ!? 次元結界!?」
凄爺「ふざけるな! そんなもの扱ったことなど無いわ!」
神様『何とかならないかなぁ。 困っている人とモノノケちゃん達がいてさぁ』
狐娘「それは困りましたね・・・」
凄爺「おい、ヤツの口車に乗せられるんじゃないぞ!」
629: 2021/02/10(水) 01:41:36 ID:QKhM5ujc
神様『頼むよ~ ちゃんと埋め合わせはするから』
狐娘「・・・・・・」チラッ
凄爺「狐娘! 替われ! ワシと電話を替われ!」
神様『うちの神使君がさぁ、狐娘ちゃんならきっと取り持ってくれるからって』
狐娘「先輩が!?」
神様『神使君がどうしても狐娘ちゃんにお願いしたいって』
狐娘「お任せ下さい! 凄爺さまは完璧にこなすとおっしゃっております!」
凄爺「言っとらん!!」
神様『助かったよ。 ありがと、狐娘ちゃん』
狐娘「困ったときはお互い様です!」
神様『んじゃ、詳細は後でラインするねぇ~ それと神使君のベスト写真も送るわ』
狐娘「お待ちしております!!」キャッ キャッ
630: 2021/02/10(水) 01:42:14 ID:QKhM5ujc
ピッ
狐娘「ゴホン」
凄爺「おい」
狐娘「私もお手伝いしますので。 がんばりましょう!」フンスッ
凄爺「ワシは助手の選定を間違えたか・・・」ハァ
~
~~
~~~
631: 2021/02/16(火) 06:13:06 ID:1VkqqWC.
――― 旧海ノ神社・裏手
巫女「本当にここが海ノ神社なんですか?」キョロキョロ
少女「面影が跡形もないんだけど」
神様「元・海ノ神社ね。 新しく観光施設に改造したけど」
少女「破産して神社を手放した私達に言う権利はないけど・・・ 神聖さゼロね」
神様「こう見えても神宮最高の最新設備なんですぜ」
巫女「設備?」
神様「まずは、あれ。 結界維持のための柱」
632: 2021/02/16(火) 06:15:03 ID:1VkqqWC.
巫女「随分と高さのある見事な御柱ですね」
神様「あれで青森から結界の維持と次元接続の管理を担うらしい」
巫女「次元接続?」
神様「人とモノノケの世界を柱の下にある小屋を通じて行き来可能」
巫女「まさか結界の解読をされたんですか!?」
神様「らしい」
巫女「そんな簡単には解読できないと思うのですが・・・」
神様「何か、すっげー大変だったって聞いた」
巫女「絶対に解除されないと思っていた自惚れが恥ずかしいです・・・」
633: 2021/02/16(火) 06:15:48 ID:1VkqqWC.
少女「で? それは向こうにある変ちくりんな建物は何の関係があるわけ?」
神様「分からないかなぁ~?」
少女「分かるわけないでしょ」
神様「商売だよ」
少女「は?」
神様「これ、いくらかかったと思う?」
少女「知らないけど・・・ 1千万くらい?」
神様「ここの整地で1億、結界維持の柱の建設が3億、少女ちゃん達の住居とか合わせたら8億もかかっているのだ!」
少女・巫女「8億!?」
634: 2021/02/16(火) 06:16:38 ID:1VkqqWC.
神様「そんだけつぎ込んだんだから、せめて元は取ってもらわないとね~」
少女「そんな大金一生かかっても返せないわよ。 一体私達に何させるつもりなのよ」
神様「簡単に言えば遊園地的なアトラクション管理のお仕事」
少女「遊園地?」
神様「まぁ百聞は一見にしかず。 当施設一番の目玉にご案内しま~す」トテトテ
巫女・少女「・・・・・・」
635: 2021/02/16(火) 06:17:42 ID:1VkqqWC.
――― 変な形の建物
主神「ようこそ、いらっしゃいませ!」
巫女「主神さま・・・ 何をしているのですか」
神様「主神にはこのアトラクション施設の館長を任せた」
主神「神様からは、モーモーランドの館長と聞いていたのですが」
神様「思い込みは良くないぞ」
主神「・・・・・・。 まぁ、どうぞ中へお入り下さい」
巫女「では・・・」テクテク
少女「おじゃまします」テクテク
ギー
巫女・少女「!?」
636: 2021/02/16(火) 06:18:47 ID:1VkqqWC.
ワチャワチャ
巫女「モノノケ達が・・・」
少女「いっぱいいる・・・」
神様「ここはモノノケ達とふれあえる“モノノケ友達館”!」
少女・巫女「・・・・・・」
神様「良いアイデアだと思わない?」
少女「いやいや」
巫女「モノノケ達は一体誰と触れ合うのでしょうか・・・」
神様「そりゃ人でしょ」
639: 2021/02/16(火) 21:59:52 ID:1VkqqWC.
少女「神ちゃん、自分で何を言ってるか分かってるの?」
神様「もちろん。 何か問題でも?」
少女「大問題よ! モノノケの存在が世間に知れ渡ったら大騒ぎになる!」
神様「本当にそう思う?」
少女「思う。 逆にそう思わない理由が見つからない」
神様「んじゃ、ここへ遊びに来た人は記憶を操作してから帰ってもらうとか」
少女「あのねぇ・・・ そんな事を一々出来るわけないでしょうが」ハァ
神様「え~ 今までモノノケ見た人の記憶をチマチマと操作してきたくせに~」
少女「それは・・・ 数が違いすぎるでしょ」
神様「本当に~?」チラッ
巫女「・・・・・・」
640: 2021/02/16(火) 22:00:53 ID:1VkqqWC.
神使「神様、何を考えているんですか?」
神様「ん? 私が考えるベストな選択肢が二つある」
巫女「それはどのような・・・」
神様「一つは、ここを訪れた人からモノノケの記憶を消してから帰す」
少女「さっきも聞いた。 論外ね」
神様「んじゃ、もう一つの方で」
少女「私達を帰して結界を張り直す。 そして、ここはオープンすることなく閉鎖」
神様「それは私的に論外なのよ」
巫女「ではどのような?」
神様「もう~ 分かってるくせに~」
少女「勿体つけずに言いなさいよ」
641: 2021/02/16(火) 22:01:56 ID:1VkqqWC.
神様「すでにかけられている暗示を解く」
巫女「!」ビクッ
少女「はぁ? どういう意味?」
神様「太古の昔から現在まで、超強力な暗示結界がかけられているんでしょ?」
主神・神使・少女「え!?」
神様「簡単に言えば、モノノケの存在は本来周知の事実ってこと」
神使「ちょっと待って下さい。 言っている意味が分からないのですが」
神様「分かれよ。 モノノケはこの世に存在しないって暗示がこの国全体にかけられているんだよ」
主神「そんな・・・ それだけの規模の暗示なんてかけられるのですか?」
神様「いや~ 凄いね巫女ちゃんは。 流石パイセン」
巫女「・・・・・・」
642: 2021/02/16(火) 22:02:48 ID:1VkqqWC.
少女「地神さま、こんな妄想に付き合う必要はないですよ。 ハッキリ言ってやって下さい」
巫女「・・・・・・。 神ちゃんさま、良くお気づきになられましたね」
少女「え!? 本当に!?」
巫女「仰るとおり、モノノケの存在は周知の事実です。 私が記憶操作をして封じています」
神様「ほら、言った通りじゃん。 どうよ私の推理は!」フンスッ
神使「正直ビックリしました・・・」
主神「正直ビックリしました・・・」
少女「正直ビックリしました・・・」
神様「正直ビックリしました・・・」
巫女「・・・・・・。 ビックリしました///」
647: 2021/02/23(火) 23:48:14 ID:VjDBbCrg
主神「でも、どうしてそんな事をしているのですか?」
巫女「それは・・・」
神様「ま、取りあえずはこの施設から少しずつ元の姿に戻していきましょ」
少女「ごめん、神ちゃんの目的が全く分からないんだけど」
神様「あ? 最初に言ったじゃん。 全ては明日のテスト勝負のためだって」
少女「あのね、今更私が学校なんかに行くわけないでしょ」ハァ
神様「何? 勝負するのが怖い? まぁ少女ちゃん負けちゃうもんねぇ~」
少女「はぁ?」キッ
神様「私、凄いよ? 超勉強したし」ニヤッ
648: 2021/02/23(火) 23:49:04 ID:VjDBbCrg
少女「学校のテストなんて普段の努力の積み重ねよ。 そんな付け焼き刃に私が負けるわけないじゃない」
神様「そんだけ威勢を張るなら勝負せーやー!」
少女「私がそんなベタベタな挑発にのると思ってるの?」
神様「最初に挑発してきたのはそっちだろーが!!」
神使「まぁまぁ、お二人とも冷静に」
少女「私は冷静よ」
神様「私なんて超冷静だし! 感情氏滅してんかよ!ってくらい冷静だし!!」ムキー
神使「顔真っ赤ですが・・・」
649: 2021/02/23(火) 23:49:43 ID:VjDBbCrg
主神「えーと・・・ あっ、施設の案内をしますので巫女さんと少女さんどうぞこちらへ」テクテク
巫女「はあ、では。 少女も行きますよ」テクテク
少女「全く・・・ べ~~だっ!」テクテク
神様「べーべーべー!!」
神使「神様、そんな無理に白黒付けなくても」
神様「悪いど最初に白黒付けようって言ったのはあっちだからね?」
神使「だからってそんなに無理強いしなくても・・・ 少女さんも色々とあるでしょうし」
神様「そんな安い理由じゃねーよ」
神使「?」
神様「・・・・・・。 犬ころ、コーラ飲みたいから買ってきて!」
650: 2021/02/23(火) 23:50:20 ID:VjDBbCrg
――― 10分後・裏庭
神使「神様、どうぞ」スッ
神様「おっ、缶コーラじゃん。 ここの自販機は優秀だな」プシュッ
神使「神様の意思が働いたとしか思えないラインナップしか売っていませんでしたが」
神様「そういえば、私が指示したような気もする」ゴクゴク
神使「まさかモノノケの存在が当たり前の事実だったなんて未だに信じられません」
神様「本当だよ。 私の天才的な洞察力が無ければ解決できなかったわ」ゴクゴク
651: 2021/02/23(火) 23:52:16 ID:VjDBbCrg
神使「どうして暗示がかかっていると分かったんです?」
神様「まぁ、少し考えれば分かるはずだったんだよ」
神使「?」
神様「私は今まで妖怪とかお化け、幽霊なんかは見たことがない。 当然モノノケも」
神使「私もございませんね」
神様「じゃぁ、どうして居る居ないなんて噂が立つんだ?」
神使「?」
652: 2021/02/23(火) 23:59:15 ID:VjDBbCrg
神様「人は見たことないものは想像なんて出来ない」
神使「今回のように結界の歪みで偶然モノノケさんを見た人がいたのでは?」
神様「そのレベルなら、見たことのない人は存在の想像は難しいだろうなぁ」
神使「なるほど。 確かに私も見たことはありませんでしたが姿形の想像は何となく出来ました」
神様「つまり、全員モノノケ自体の概念は多少なり持っていたという事」
神使「巫女さんの結界が完全ではなかったという事でしょうか?」
神様「さぁね~ そうかも知れないし、わざとかも知れない・・・」
神使「存在自体はみんなに知ってもらいたかったのかも知れませんね」
神様「巫女ちゃんは私よりも年上だし、あまり深追いは出来ないけどな」
653: 2021/02/24(水) 00:00:13 ID:I1CEslkQ
神使「でも、それだけのヒントで良くそこまでたどり着けましたね」
神様「まぁ私は凄いって事だよ。 褒めて称えて牡蠣を献上せよ!!」カッカッカッ
??「神ちゃん様~」タッタッタッ
神様・神使「?」クルッ
狐娘「お久しぶりです」ペコリ
神使「狐娘さん!?」
狐娘「ご無沙汰しております神使先輩///」モジモジ
神様「・・・・・・」
654: 2021/02/24(水) 00:00:58 ID:I1CEslkQ
狐娘「神ちゃん様、先日は電話で失礼しました」ペコリ
神様「・・・・・・。 お、おう」
神使「どうして狐娘さんがこちらに?」
狐娘「結界維持の御柱の最終調整です」
神使「それはそれはご苦労様です」ニコッ
狐娘「はうっ!」ポッ
神様「んじゃ、私はちょっと向こうに用事があるんで」
狐娘「モノノケさんの暗示結界は上手く解けましたか?」
神様「!」ビクッ
655: 2021/02/24(水) 00:01:58 ID:I1CEslkQ
神使「え? もうこの国全体の結界を解かれたんですか?」
狐娘「いえいえ、そんな事をしたら大騒ぎですから」
神使「でも、今結界を解いたと」
狐娘「神ちゃん様にだけ結界を解いたんです」
神使「それはどういう事でしょうか?」
狐娘「凄爺様と結界解析をしていた時に強大な暗示結界を確認しまして、テスト的に神ちゃん様に暗示解除をしたんです」
神使「へぇ~ 神様にだけ暗示解除を。 そうだったんですか」ジー
神様「ま、まぁ暗示解除なんか無くても私には全てお見通しだったんだけどね」アセアセ
神使「へぇ~」
656: 2021/02/24(水) 00:03:10 ID:I1CEslkQ
神様「何ていうか・・・ そう、考察の補強をしただけ!」
神使「・・・・・・」ジー
神様「すいません、暗示解除がなければ全く分かりませんでした」ドゲザ
神使「謝れる子は良い子です」
神様「ありがとうございます!」
狐娘「?」
657: 2021/03/02(火) 01:49:49 ID:bFVw9rEY
神使「狐娘さんは今日はゆっくりしていけるのですか?」
狐娘「それが、調整を終えたらすぐに戻らないといけなくて・・・」
神使「今日中に終わるのですか?」
狐娘「徹夜で作業して明日の夕方の新幹線に間に合えばと言う感じです」
神使「相変わらず狐娘さんは頑張り屋さんですね」ニコッ
狐娘「はぁ~」ウットリ
神様「狐娘ちゃん? 口から涎垂れてるけど・・・」
狐娘「!? あ! すみません!!」ジュルリ
神使「体調良くないのですか?」
狐娘「いえ! その・・・ お、御柱はどちらでしょうか!」
神使「向こう側のようですが、ご案内しましょうか?」
狐娘「大丈夫です! 一人で行けます!!///」タッタッタッ
658: 2021/03/02(火) 01:50:25 ID:bFVw9rEY
神使「狐娘さん顔が赤かったですが大丈夫でしょうか?」
神様「放っておきゃ治るだろ」
神使「りんごちゃん神宮のお二人が結界維持をされるのであれば安心ですね」
神様「まぁね。 結構大変そうだけど」
神使「今まで巫女さんは一人でこなしていたなんて、凄い神力量なんですね」
神様「流石パイセン、どうやったらそんな量の神力を得られるのか教えて欲しいわ」
モノノケ「教えてあげようかぁ~」
神様「?」
659: 2021/03/02(火) 01:50:56 ID:bFVw9rEY
モノノケ「巫女ちゃんには神力の神さまが付いてるからだよ」
神様「なにそれ! そんな奴いるの!?」
モノノケ「何を隠そう私が神力のモノノケなのだ!」エヘン
神様「マ・ジ・で!?」
モノノケ「マ・ジ・で!」
神様「ほぉ。 アヒルっぽいかわゆい姿なのに中々のお力をお持ちのようで」ゴクリ
モノノケ「巫女ちゃんにならいくらでも神力を補充しちゃうも~ん」
神様「ねぇ~ 巫女ちゃんから私に鞍替えしない?」
モノノケ「嫌だよ~だ」
660: 2021/03/02(火) 01:51:32 ID:bFVw9rEY
神様「そう言わずにさぁ~ ちょっと私とお話ししな~い?」ワナワナ
モノノケ「ちょ・・・ ちょっとそれ以上近づかないで・・・」
神様「私についてくれたら生牡蠣いっぱい食べさせてあげるからぁ」
モノノケ「生牡蠣はお腹壊してピーピーになるから嫌・・・」
神様「大丈夫だよ。 一緒にドキドキを味わおうぜ~」
モノノケ「嫌だー!!」タッタッタッ
神様「あっ! 逃げないで! 待って~」タッタッタッ
モノノケ「きゃ~」
神様「おら! まてやー!」タッタッタッ
神使「神様・・・」
661: 2021/03/02(火) 01:52:48 ID:bFVw9rEY
巫女「何かございましたか?」テクテク
神使「あっ、巫女さん。 神様が神力のモノノケさんを・・・」
巫女「神力? あの子は“おまる”のモノノケですが」
神使「おまる!?」
巫女「いたずら好きで困りものです」ハァ
神使「そうでしたか・・・」
巫女「でも、とても楽しそう」
662: 2021/03/02(火) 01:53:54 ID:bFVw9rEY
神使「見学の方は終わったんですか?」
巫女「一通り。 今は少女が結界維持装置の操作方法を教えてもらっているところです」
神使「今回は神様が勝手なことをして申し訳ございませんでした」ペコリ
巫女「そんな事はありません。 こちらに戻れたことは感謝しています」
神使「・・・・・・。 一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
巫女「私に答えられることでしたら」
神使「どうしてモノノケの世界へ行かれたのですか?」
巫女「・・・・・・。 私、神ちゃん様を利用したんです」
神使「え?」
667: 2021/03/05(金) 04:05:53 ID:LG8HH0XE
巫女「モノノケの管理は私の力では無理でした」
神使「でも、今までは守ってこられたのですよね?」
巫女「崩壊するのは時間の問題だったと思います。 ですから・・・ 私は神ちゃん様に進退を預けたんです」
神使「進退?」
巫女「私が必要か、不必要かを」
神使「不必要なんて事は無いと思いますが。 モノノケさん達にとって巫女さんはとても大切な存在なのですよね」
巫女「・・・神使さんは今の世界が好きですか?」
神使「?」
巫女「人がいて、神使がいて、神がいて・・・ 多種多様な生物が共存する今の姿のことです」
神使「それが普通だと思っているので、好き嫌いという事は考えたことなかったです」
668: 2021/03/05(金) 04:06:46 ID:LG8HH0XE
巫女「とても素晴らしい回答です。 きっと神ちゃん様も喜ぶと思いますよ」
神使「神様が? どういう関係があるのでしょうか」
巫女「昔は全て別の世界だったんです」
神使「え?」
巫女「現在の生物学的に言うところの“科”や“目”くらいの分類で世界が分断されていたのです」
神使「そんな・・・ はじめて聞きました」
巫女「太古の昔のことですから」
669: 2021/03/05(金) 04:07:20 ID:LG8HH0XE
神使「それがどうして現在の姿に?」
巫女「神ちゃん様の先代様が統一をしていったのです」
神使「幼女神さまが?」
巫女「当然それぞれの管理者は反対し全力で抵抗しました。 私も反対派でしたから」
神使「それが崩れて今の姿になっているという事は・・・」
巫女「はい。 私が管轄するモノノケの世界以外は全て統一されてしまいました」
神使「巫女さんだけが残ったという事ですか!? それは凄いですね・・・」
巫女「少しは見直して頂けましたか? 私、こう見えて武闘派なんです」フフッ
670: 2021/03/05(金) 04:08:35 ID:LG8HH0XE
神使「神様ともやり合ったのですか?」
巫女「私は直接ないですが。 でも、神ちゃん様は一人で別の統一の仕方を模索されていました」
神使「別の・・・ それはどういった方法でしょうか」
巫女「神使」
神使「?」
巫女「神と人、そして動物を統一して神使という存在を作りました」
神使「・・・・・・」
巫女「驚きましたか? あなた達“神使”という存在は神ちゃん様の理想型なんですよ?」
神使「えっと・・・」
巫女「どうしてそんな事をしていたのか、その時は私にも理解できなかったですが・・・」
671: 2021/03/05(金) 04:09:14 ID:LG8HH0XE
神使「スケールが大きすぎて私にはついて行けそうにないお話です」
巫女「ごめんなさい、混乱させるつもりはなかったのですが」
神使「まさに“神の戦い”といった時代ですね」
巫女「当時は大変な時代と思いましたが、今に思えば一番楽しかったかも知れません」
神使「やはり神という存在は凄いのですね」
巫女「神ちゃん様と先代様はとくに強い力を持っていました」
神使「その二人に対抗した巫女さんも十分凄いと思いますが」
巫女「確かに神の力という事だけで言えば私の方が勝っていると思います」
神使「では、どうして身を引くようなことを・・・」
巫女「神ちゃん様と神使様にお会いしてようやく気付いたんです」
神使「?」
672: 2021/03/05(金) 04:10:02 ID:LG8HH0XE
巫女「完全に私の負けだって。 私の役目は終わったと」
神使「しかし、神様も今回は随分と苦戦していたみたいですが」
巫女「そうですね・・・ 追い返すだけであれば簡単に勝敗は着いたと思います」
神使「どうして、そうなさらなかったのですか?」
巫女「その考えが間違っていたからです」
神使「?」
巫女「神の力は強すぎるんです。 神ちゃん様はそれに気付き、私は気付けなかった・・・」
673: 2021/03/05(金) 04:10:40 ID:LG8HH0XE
巫女「・・・・・・。 神ちゃん様には力が無かったんです」
神使「力・・・ 神力の事でしょうか?」
巫女「はい。 この国を治める最高神の神力がゼロだったなんてビックリしました」
神使「お恥ずかしい限りです・・・」
巫女「でも、それが正しい力の使い方だったんです。 いえ、それが神ちゃん様が辿り着いた道」
神使「道?」
巫女「私は守る為には力が必要だと思っていました」
神使「間違っていないような気もしますが」
巫女「私が使っていた力は、モノノケの存在を抑え込むための物」
674: 2021/03/05(金) 04:11:15 ID:LG8HH0XE
巫女「私は、誰にも頼ることをしなかった。 なまじ力がある事に自惚れていたんです」
神使「・・・・・・」
巫女「こんな簡単な事、どうして気付かなかったんでしょう。 学ぶ機会は沢山あったのに・・・」
神使「神様は他人に頼りすぎのような気もしますが」
巫女「そうなんですか?」
神使「毎日大変ですよ。 アレやれコレやれって、自分で出来ることすらやらないんですから」
巫女「ふふっ」クスッ
神使「“巫女服着させろ”、“足袋履かせろ”、“あ~んで食わせろ”とか」
巫女「・・・・・・」
神使「歩挙げ句の果てには歩くのが面倒だからおんぶしろって」ハァ
675: 2021/03/05(金) 04:12:02 ID:LG8HH0XE
巫女「・・・・・・。 私からも神使さんに一つ質問しても良いですか?」
神使「私にですか?」
巫女「神使さんは、神ちゃん様とはどういう関係なのですか?」
神使「は!?」
巫女「どういう関係なのですか?」ズイッ
神使「じょ・・・ 上司と部下。 神とお付きの神使な関係です」
巫女「・・・・・・」ジー
神使(もしかして、私の心を読まれて・・・)ゴクリ
巫女「・・・・・・」ジー
676: 2021/03/05(金) 04:12:33 ID:LG8HH0XE
神使「え~と・・・ 正直、恋い焦がれております///」
巫女「えっ? そうなんですか!? それは意外です」キョトン
神使「は!? 私の心を読まれたのでは!?」
巫女「そんな事はしませんよ。 私は“良きパートナー”という言葉を期待していたのですが」
神使「今のは忘れて下さい。 本当にお願いします」ドゲザ
巫女「どうしようかなぁ~」ニタニタ
神使「神様とは良きパートナーです!」
巫女「私、これでも性格がかなりひん曲がっているんです」
神使「・・・・・・」
677: 2021/03/05(金) 04:13:13 ID:LG8HH0XE
巫女「冗談ですよ。 今のは聞かなかったことにしておきます」フフッ
神使「ありがとうございます」ホッ
巫女「でも、私が神ちゃん様だったら・・・ その言葉を早く聞きたいと思いますけどね」
神使「・・・・・・」
巫女「すみません。 ちょっと意地悪でした」クスクス
神使「え~と・・・ あっ、神様が抱きついている“おまる”のモノノケさんを助けないと!」
巫女「そうですね」ニコッ
682: 2021/03/08(月) 23:59:47 ID:lR3s7dcY
――― 翌日・学校
ガラガラ
神様「おはよーさん」トテトテ
生徒A「あっ、神ちゃん様おはようございます」
神様「おはよ・・・ ん? 様?」
生徒A「今日は良い天気だよね」
生徒B「テストじゃなければなぁ~・・・」
神様「私は今日のテスト楽しみですわ」カッカッカッ
生徒B「相当自信があるようで・・・」
神様「勿の論の助よ。 で、私の隣の席にいるのはどちら様ですかな?」
少女「・・・・・・」
683: 2021/03/09(火) 00:00:32 ID:blfqc9ws
神様「おや、少女ちゃんでしたか。 昨日まで空席だったから転校生かと思ったよ」
生徒B「空席? 2年になってから少女ちゃんの席って変わってないよね」
少女「そうね。 まさか、神ちゃん痴呆? まぁその歳じゃ無理もないけど」ニヤッ
神様「あ?」
生徒A「相変わらずだね・・・ そんな事を面と向かって言えるの少女ちゃんくらいだよ」ハハハ
先生「おーい、席に着け。 テスト始めるぞ~」
神様「正々堂々、どちらが上か決着をつけようぜ」
少女「そんなのやる前から分かってるのに。 アホくさ」プイッ
神様「何を!? その腐った性根、コテンパンにへし折ってやる!」
684: 2021/03/09(火) 00:01:05 ID:blfqc9ws
――― テスト中
神様「う~ん・・・ ここってどうやって解くんだっけ?」ウーン
生徒「先生ー」
先生「どうした?」
生徒「黒板にモノノケが張り付いていてテストに集中出来ません」
先生「モノノケ?」クルッ
モノノケ「あたいもテスト受けたーい」
先生「・・・・・・」
685: 2021/03/09(火) 00:01:42 ID:blfqc9ws
神様「うお! モノノケやんけ!」
生徒「うわ~ かわいい~」
生徒「あのモノノケ初めて見た~」
先生「おい、少女。 これ何とかならないか?」
少女「・・・・・・」
先生「っていうか、これ何のモノノケだ?」
少女「その子は電子黒板のモノノケです。 最近生まれたばかりの新米ちゃんです」
神様「電子黒板!? ニッチすぎだろ・・・」
686: 2021/03/09(火) 00:02:19 ID:blfqc9ws
モノノケ「少女ちゃ~ん。 やっほ~」
少女「学校が終わったら遊んであげるから、今日はお帰りなさい」
モノノケ「わかったー」スー
先生「おっ、消えた・・・」
神様「ほぉ、これはこれは」
少女「モノノケは人にとって身近な存在。 驚くことでもないわ」
神様「へぇ~」
少女「神ちゃんの責任でこういう世界構造になったんだから、少しは責任を感じて欲しいんだけど」
神様「結界解除の効果か。 良きかな良きかな」
少女「おめでたいわね」ハァ
先生「よーし、テスト再開だ。 おしゃべり禁止な」
687: 2021/03/09(火) 00:02:53 ID:blfqc9ws
―――放課後
生徒A「テストどうだった?」
生徒B「最悪。 あれ問題意地悪すぎでしょ」
神様「まぁ多少クセはあったよねー」
生徒A「ねぇ、少女ちゃん。 気分転換に今日モノノケランドに行っても良い?」
少女「え?」
生徒B「あっ、わたしもモノノケちゃんと触れ合いたい!」
少女「構わないけど・・・」
688: 2021/03/09(火) 00:03:36 ID:blfqc9ws
神様「いいねぇ~ 私も一緒に行く~」
生徒AB「・・・・・・」
神様「?」
生徒A「もちろんです。 是非ご一緒に」
神様「敬語流行ってるの?」
生徒B「え~と・・・ 一度家に帰ってからモノノケランドの入り口集合で良い?」
少女「今日は施設点検で臨時休業なんだけど、特別入場チケット用意しておく」
生徒A「やったー! 貸し切り! じゃ、また後でね~」タッタッタッ
生徒B「ばいばーい!」タッタッタッ
神様「さようなら~」フリフリ
生徒AB「!?」ペコリ
689: 2021/03/09(火) 00:04:24 ID:blfqc9ws
少女「はぁ~・・・」グテッ
神様「ねぇ、少女ちゃん?」
少女「なに」
神様「モノノケランドってもうオープンしてるの?」
少女「そういう風に暗示を付加したの。 その方が都合が良いし」
神様「ふ~ん。 あ、あともう一つ聞きたいんだけど」
少女「なによ。 私、昨日狐娘さんと徹夜で暗示補正してたから疲れてるの」
神様「いやさ、なんか皆さんの私への接し方に距離を感じるんですけど気のせいでしょうか?」
少女「・・・・・・。 気のせいじゃない?」
神様「そうかなぁ?」ウーン
少女「いつも通りだって」ニヤッ
692: 2021/03/18(木) 23:27:08 ID:NJZRwtQs
――― 山ノ神社
ガラガラ
神様「たでーまー」トテトテ
神使「あっ! 神様! 大変な事がおこっ―――」
神様「私モノノケランド行ってくる。 戻り遅くなるから夕ご飯は遅くて良いや」タッタッタッ
神使「ちょ、神様!」
神様「牡蠣フライでよろしく~」タッタッタッ
神使「・・・・・・。 私、知りませんよ?」
693: 2021/03/18(木) 23:28:02 ID:NJZRwtQs
――― 海ノ町・商店街
神様「う~ん・・・ 何かお土産でも買っていくかなぁ」キョロキョロ
和菓子屋「いちご大福特売だよ~」
神様「おっ、いちご大福良いねぇ~ あれにしよ」トテトテ
神様「おっちゃん、いちご大福6つ頂戴」
和菓子屋「いらっしゃ・・・ !?」ビクッ
神様「お土産だから包んでくれる?」
和菓子屋「は、はい! すぐにお包みします!!」ゴソゴソ
神様「?」
694: 2021/03/18(木) 23:28:35 ID:NJZRwtQs
和菓子屋「お待たせしました」
神様「いくら?」
和菓子屋「お代なんて滅相もない。 どうぞお持ち下さい」スッ
神様「え? いいの?」
和菓子屋「勿論です。 今日は大安吉日、どうぞお納め下さい」
神様「ラッキ~ んじゃもらっていくね。 あんがと」トテトテ
和菓子屋「・・・・・・。 はぁ~・・・ 緊張した」
695: 2021/03/18(木) 23:29:20 ID:NJZRwtQs
神様「いや~ 儲けた儲けた!」トテトテ
通行人「・・・・・・」ペコリ
神様「?」ペコリ
神様「知り合いだっけか? まぁいいか」トテトテ
通行人「!?」フカブカ
神様「・・・こんちは」
神様「・・・・・・」トテトテ
通行人「」ペコリ
通行人「」ペコリ
神様「・・・・・・」ペコリ
神様「これって・・・ !! もしかして、私の人徳に皆が気付いた!?」ニヘエ
696: 2021/03/18(木) 23:30:07 ID:NJZRwtQs
――― モノノケランド(旧海ノ神社)
神様「お待たせ~」トテトテ
生徒A「あっ」
神様「ちょっと遅れちゃった。 ごめ~んね」
少女「ちょっと? 20分も遅刻しておいて」
神様「いや~ お土産買ってきたからさぁ」
少女「お土産?」
神様「超高級いちご大福!!」
生徒B「私大好物!」
生徒A「私も!」
神様「うむ。 皆、我に感謝し崇め奉るが吉と知り給え! 頭が高いぞ!」カッカッカッ
697: 2021/03/18(木) 23:30:58 ID:NJZRwtQs
生徒A「!! もっ、申し訳ございません!」ドゲザ
生徒B「生意気な言葉使い大変失礼しました!!」ドゲザ
神様「え!? ちょ、何? なんで土下座!? やめてって・・・」オロオロ
少女「流石この国を治める最高神様は下々の者にも寛大ね」ニヤッ
神様「・・・ちょっと少女ちゃん、こっち来て」グイッ
少女「な、何よ。 制服伸びちゃうから引っ張らないで」ズルズル
698: 2021/03/18(木) 23:31:49 ID:NJZRwtQs
――― 建物裏
神様「説明プリーズ」
少女「何の?」
神様「いやいや、おかしいでしょ。 なんか皆の私への接し方がいつもと違うし」
少女「それが普通の態度じゃない?」
神様「・・・・・・。 もしかして、私の正体バレてる?」
少女「神ちゃんはこの国の最高神。 何か間違いでもある?」
神様「ない。 でもね、それ隠してるの。 内緒なの。 シーなの」
少女「昨日まではそうだったみたいね」
699: 2021/03/18(木) 23:32:27 ID:NJZRwtQs
神様「どういう意味?」
少女「さて問題。 昨日と今日、何が変わったでしょうか」
神様「モノノケの存在がオープンになった」
少女「厳密に言えば暗示結界を緩めた。 まだ完全に解除はしてないけど」
神様「それが何か?」
少女「ここまで言っても分からないの?」
神様「全く」
少女「神ちゃんは神の存在を今までどうやって隠してたの?」
神様「ん? え~と・・・ 何となく? 強いて言うなら私の努力の賜」
700: 2021/03/18(木) 23:33:08 ID:NJZRwtQs
少女「努力だけで隠せるの? だったら地神様も苦労しなかったのに」
神様「・・・・・・。 まさか、私が張ってた暗示結界も一緒に解いたりとかしてないよね?」
少女「その結界の事って他に誰か知ってる?」
神様「誰にも言ってない。 他の神にも話していない」
少女「あら。 それは大変」
神様「・・・・・・。 まさか・・・」
少女「一緒に解除されちゃったみたいね」クスクス
神様「何て事してくれとんねん!」
少女「暗示結界を解除したのは私じゃなくて、そちら側の方よ?」
神様「んが!」
703: 2021/03/22(月) 00:20:30 ID:Y4qvqDtg
――― モノノケランド・中庭
狐娘「ふわ~・・・ ようやく終わりました。 結局貫徹になるなんて私の力もまだまだですね・・・」フラフラ
神様「狐娘ちゃーん!」タッタッタッ
狐娘「神ちゃん様?」クルッ
神様「お願いが! お願いがあるのです!」ガシッ
狐娘「え!? ちょ、どうされたんですか?」
704: 2021/03/22(月) 00:21:12 ID:Y4qvqDtg
神様「結界を! 結界を張って欲しいの!」
狐娘「結界ですか? どの位の規模でしょう」
神様「大きいの!」
狐娘「この建物の侵入結界くらいでしたら私でも可能だと思いますが」
神様「そんな小さいのじゃなくて、この国全体に!」
狐娘「・・・・・・。 はい?」
神様「日本全土に暗示結界を今すぐ張って!」
狐娘「この国全体!? そんな巨大な結界・・・ しかも暗示結界なんて凄爺様クラスでないと」
705: 2021/03/22(月) 00:21:46 ID:Y4qvqDtg
神様「何でもするから・・・凄爺には内緒で、しかも超特急で・・・ 頼むよ」ガクッ
狐娘「私の力ではとても・・・ それに、そんな事を勝手にしたら凄爺様に大目玉を食らってしまいます」
神様「神使君を1ヶ月りんごちゃん神宮に貸し出す!」
狐娘「!」ピクッ
神様「2ヶ月! 狐娘ちゃん専属で貸すから!」
狐娘「!! お任せ下さい! この狐娘、自分の力を超えて挑む所存です!!」フンスッ
神様「狐娘ちゃんは話が分かるヤツで助かるよ」ウルウル
狐娘「でも、ちょっとだけ寝させてもらっても良いですか?」
706: 2021/03/22(月) 00:22:42 ID:Y4qvqDtg
――― 山ノ神社・本殿
主神「ふんふ~ん♪ ようやく神力も溜ってきました」キュッキュッ
神使「主神さま、ご神体を磨いている状況ではないのですが・・・」
主神「まぁ私達に出来ることなんて何もありませんからね。 きっと時が解決してくれますよ」
神使「そんな悠長な・・・」
神体『おい』
主神・神使「・・・・・・」キョロキョロ
神体『おい、聞こえないのか?』
主神「あれ? おかしいですね・・・ 私の神体から声が聞こえます」
神使「この声、この状況・・・ 以前、私同じ体験をしたことがあります」
707: 2021/03/22(月) 00:23:13 ID:Y4qvqDtg
神体『お前は相変わらず仕事をしてないようじゃな』
主神「まさか、りんごのじじい!?」
神体(凄爺)『お前、後でりんごちゃん神宮へ一人で来い』
主神「・・・・・・」
神使「凄爺様、ご無沙汰しております」
凄爺『その声は、ガキのお付きか?』
神使「その節はお世話になりました。 今日はどういうご用件で?」
凄爺『ワシ自らが出張る事態、お前も分かっているであろう』
神使「神の存在がオープンになっている件でしょうか・・・」
708: 2021/03/22(月) 00:27:16 ID:Y4qvqDtg
凄爺『全く・・・ あのクソガキはワシに内緒で暗示結界を張っていたとは』
神使「やはりそういう事でしたか」
凄爺『まだ完全には解除されてはおらぬが、張り直さねばならんな』
神使「可能なんでしょうか?」
凄爺『正直厳しいのぉ。 結界自体は張ることは出来るが安定化のために人柱が必要じゃ』
神使「人柱?」
凄爺『簡潔に言えば結界維持を担う生け贄じゃ。 まぁ言うても多少の行動制限が伴う程度じゃが』
主神「でしたら、私がやりましょうか? どうせずっとここにいますし」
凄爺『バカ者、神力で不安定になってしまうわ』
神使「では私が」
凄爺『それも無理じゃ。 人柱は読んで字のごとく“人”またはそれに準ずる物でなければ務まらぬ』
709: 2021/03/22(月) 00:28:01 ID:Y4qvqDtg
主神「それって結構ハードル高いですよね」
神使「どういう事です?」
主神「いや、人の寿命では結界維持に限界もありますし」
神使「確かに言われてみれば・・・」
凄爺『まぁ良い。 その件に関しては少し考える』
神使「お手数をおかけします」
凄爺『じゃが、その前にクソガキに少しお仕置きが必要じゃな』
神使「それに関しては私からも是非お願いします」
凄爺『うむ。 では二人共、ワシに協力せい』
神使・主神「?」
710: 2021/03/22(月) 00:28:34 ID:Y4qvqDtg
――― 数分後・山ノ神社社務所
ガラガラ
神様「うわ~ん!!」タッタッタッ
神使「お帰りなさいませ。 そんなに慌てていかがされました?」
神様「神使く~ん! 皆が私を崇め奉ってくるの~」ウワーン
神使「それは良い事ではございませんか。 なんと言っても神様はこの国の最高神なのですから」ニコッ
神様「し、神使君!?」
主神「お勤めご苦労様です神様。 湯浴みのご用意が出来ておりますが」テクテク
神様「主神・・・ お前までどうした!? お前はそんな気の利いたことするヤツじゃないだろ!」
711: 2021/03/22(月) 00:29:08 ID:Y4qvqDtg
主神「そんな・・・ 私はただ・・・ 最高神様のために・・・ ちょっと首吊ってきます」
神様「待て待て! 怒ってないから! お前の気遣い心から感謝するから!」
主神「有り難き慈悲。 その心の広さ、流石最高神・神様!」ウルウル
神様「マジでそういうのやめて下さいませんか? 気持ち悪い」
主神「気持ち悪い!? ・・・ちょっと首吊ってきます」
神様「あー! もう!!」ジタバタ
神使「神様、そろそろ祭儀服にお着替えになられては?」
神様「は? 何で祭儀服なんかに着替えるの?」
神使「最高神がいつまでもそのような下々と同じ格好もどうかと思いますので」
神様「うわ~ん! 今日はもう寝る~! 明日まで起こさないで!!」タッタッタッ
712: 2021/03/22(月) 00:29:44 ID:Y4qvqDtg
神使「だいぶ効いてますね」
主神「よほど最高神扱いされるのが嫌なんでしょう」
神使「普段は崇め奉れと大口を叩いているくせに、いざとなるとヘタレるんですよね」
主神「神様らしいといいますか・・・ しかし神様が最も精神的ダメージを負うお仕置きを思いつく凄爺が怖いです」
主神・神使「ご武運を」パンパンッ
716: 2021/03/26(金) 00:03:40 ID:qvZH5pe.
――― 深夜・モノノケランド
少女「こんなもんかな」ガチャガチャ
巫女「遅くまでご苦労様」トテトテ
少女「地神さま」
巫女「結界維持装置の調子はどうですか?」
少女「順調です。 もう少し結界調整のスピードを速めることも出来ますけど」
巫女「悩ましいところですね・・・」
少女「神ちゃんの件ですか?」
巫女「えぇ」
少女「凄爺さんに聞いてみます? 何かアドバイスをもらえるかも」
717: 2021/03/26(金) 00:04:16 ID:qvZH5pe.
凄爺『うむ。 良きタイミングじゃ』
少女「?」キョロキョロ
凄爺『結界維持装置を中継して話をしておる』
巫女「凄爺さま、こんな遅くまでご苦労様です」
凄爺『これがワシの仕事、気にせずとも』
巫女「こんな時間に何か急用でしょうか?」
凄爺『其方達の心配事と同じであろう。 聞いてもらえるであろうか』
巫女「もちろんでございます」
718: 2021/03/26(金) 00:05:37 ID:qvZH5pe.
少女「じゃあ、私は部屋に戻ってるね」
凄爺『お主も一緒に聞いて欲しい』
少女「私も?」
凄爺『話の内容はお主と、クソガキに関わる事じゃ』
少女「私?」
凄爺『相談に乗ってもらえると助かる』
少女「はあ」
719: 2021/03/26(金) 00:06:41 ID:qvZH5pe.
――― 翌日・学校
先生「よ~し、それじゃぁテスト返すぞ」
ガヤガヤ
少女「」チラッ
神様「・・・・・・」ブルブル
少女「・・・・・・。 今更緊張しても仕方ないと思うけど?」
神様「そっちの意味で震えてるわけじゃないから」
少女「あれだけ自信満々だったんだし、良い点数なんじゃないの? 最高神さ・ま」ニヤッ
神様「それ止めて。 マジで今精神追い込まれてるの」
720: 2021/03/26(金) 00:07:15 ID:qvZH5pe.
先生「次は少女さん」
少女「はい」スタスタ
先生「流石だ。 相変わらずだな」
少女「ありがとうございます」ペコリ
神様「どう?」
少女「100点」
神様「やるじゃん・・・」チッ
721: 2021/03/26(金) 00:08:00 ID:qvZH5pe.
先生「次は、最高神 神宮天上乃御子大御神さま」
神様「あっ、はい。 それ、たぶん私のことですよね」トテトテ
先生「流石最高神様、我が校始まって以来の高得点です」
生徒「お~」
神様「え? あの・・・ この点数って・・・」
先生「全教科100点超えでございます」
生徒「流石最高神様、素敵」
生徒「100点を超えるなんてまさに神業」
神様「・・・・・・」
722: 2021/03/26(金) 00:08:49 ID:qvZH5pe.
少女「へ~ 流石最高神さま。 下々にはどうがんばっても取れない点数、私の完敗です」
神様「いやいや、こことここ×のはずなのに何で○なの? 後、どうして100点突破してるの?」
少女「だって、神ちゃんはこの国で一番偉い最高神だもの」
神様「偉くないし。 それに神とテストの点数なんて何の関係もないじゃん」
少女「×なんて付けたらどんな神罰をくらうか分からないじゃない」ニヤッ
神様「神罰なんてしないよ・・・」
少女「理由はどうあれ、勝負は私の負け。 何すれば良い?」
神様「こ・・・ こんなの私の求めていた勝負じゃなーい!」タッタッタッ
少女「ちょ、神ちゃん!? まだ授業が―――」
神様「ちくしょー! もう嫌だ~!!」タッタッタッ
少女「・・・・・・」
725: 2021/03/31(水) 22:33:52 ID:1UYvtEMM
――― 夕方・山ノ神社
コンコン
神使「はーい」ガラガラ
少女「こんにちは」ペコリ
神使「おや、少女さんじゃないですか」
少女「あの・・・ 神ちゃんいますか」
神使「いるにはいるのですが・・・」
少女「?」
神使「取りあえず中へどうぞ」
少女「お邪魔します」
726: 2021/03/31(水) 22:34:31 ID:1UYvtEMM
――― 本殿
神使「神様はこちらの本殿の中に・・・」
少女「中に入っても?」
神使「それが・・・」
少女「何か取り込み中ですか?」
神使「え~と・・・ この穴から中を覗いてみて下さい」
少女「?」コソッ
727: 2021/03/31(水) 22:35:17 ID:1UYvtEMM
神様「怖い・・・ 怖いよ・・・」ブルブル
狐娘「怖い・・・ 怖いよ・・・」ブルブル
少女「・・・・・・」
神使「と、言うような状況です」
少女「神ちゃんが震えている理由は分かるんですけど、どうして狐娘さんまで?」
神使「どうも神様の口車に乗ろうとしたのがバレたようで、凄爺様に大目玉をもらったそうです」
少女「はあ、そうなんですか。 お気の毒に」
神使「こういう状況でして、しばらく表に出てこないと思います」
少女「そのようですね・・・」ハァ
神使「折角ですし、社務所でお茶でもいかがでしょうか」
少女「・・・・・・。 ではお言葉に甘えて」
728: 2021/03/31(水) 22:36:41 ID:1UYvtEMM
――― 社務所
神使「―――という感じで神様の正体が知れ渡ってしまったようで」
少女「神ちゃんの結界が崩壊したのは知ってます」
主神「そうなんですか?」
少女「はい。 僅かですが地神さまも感じたようで」
神使「流石ですね」
少女「昨日りんごちゃん神宮の凄爺さんから相談もあったので」
主神「りんごのじじいが?」
少女「はい。 その時に、神ちゃんへのお仕置きの件も聞きました」
729: 2021/03/31(水) 22:38:15 ID:1UYvtEMM
主神「元は神様がダマテンで結界を張っていたのが原因ですからね」
少女「神ちゃん相当堪えていましたね」
神使「・・・・・・。 神様のことを気にかけて頂きありがとうございます」ペコリ
少女「わ、私は神ちゃんが凹んでいる姿が見れて嬉しかったというか///」
神使「?」
少女「その・・・ 地神さまが気になるから見に行けって言ったんで・・・ 仕方なく・・・」モジモシ
神使「そうでしたか。 巫女さんにもよろしくお伝え下さい」ニコッ
少女「・・・・・・」
神使「少女さん?」
730: 2021/03/31(水) 22:38:51 ID:1UYvtEMM
少女「あの!」ガタッ
神使・主神「!?」
少女「その・・・ え~と・・・ごめんなさい!」フカブカ
主神「え!? 急にどうしたんです?」
少女「私、何度も主神さまを怖がらせるようなことをしてしまって・・・」
主神「・・・あ~ 大丈夫ですよ。 ぜ、全然怖くなかったですし。 こう見えて神ですから」アセアセ
少女「神使さんにも嫌な思いをさせたと思います・・・」
神使「私は何も。 気にする必要などございませんよ」
731: 2021/03/31(水) 22:39:34 ID:1UYvtEMM
少女「私、こんな性格で性根も腐ってますし表裏も激しいし・・・」
少女「いろんな人に迷惑をかけたと自覚はしています」
少女「だから・・・ ごめんなさい!」フカブカ
主神「何かあったんですか?」
少女「私、神ちゃんがこの町に来たのはモノノケの世界を壊すのが目的だと思ってました」
少女「でも、蓋を開けてみれば・・・ モノノケの存在とか、地神さまの悩みとか全部解決していて」
少女「それって、全部神ちゃんのお陰なんだって」
神使「・・・・・・」
732: 2021/03/31(水) 22:40:11 ID:1UYvtEMM
少女「凄爺さんから、神ちゃんの過去の話も色々と聞きました」
神使「神様のことを?」
少女「私、神ちゃんがあんなに苦労してきたなんて知らなかったから・・・」
神使「神様はそれを見せないように・・・ いえ、知られないようしていますからね」
少女「私、今日は神ちゃんに謝ろうと思って来たんです・・・」
神使「必要ないですよ」
少女「え?」
主神「そうですね、私もその意見に同意します」
733: 2021/03/31(水) 22:40:55 ID:1UYvtEMM
少女「でも、わたし神ちゃんを相当傷つけたと思いますし。 きちんとお礼もしたいし」
神使「神様が一番喜ぶ方法をお教えしましょうか」
少女「?」
神使「今まで通り、いえ今まで以上に神様を罵って挑発することです」
少女「どういう事ですか?」
主神「神様は敵が欲しいんです。 それも仲良しの天敵が」
少女「仲良しの天敵?」
神使「簡単に言えば、神様は友達が欲しいんですよ」
主神「正直、これが意外と少ないんです」
少女「でも、私にはそんな資格・・・ 最高神と友達だなんて」
734: 2021/03/31(水) 22:41:28 ID:1UYvtEMM
神使「みんな神様の正体を知ると、そう言って距離を置いてしまうんです」
主神「他の神でも神様とは対等に接することも難しいですからね」
少女「・・・・・・」
神使「神様はああ見えても最高神。 少女さんの性格くらい最初から見破っていますよ」
主神「それ込みで神様はちょっかい出してたんでしょうし」
神使「神様は今の少女さんが好きなんです。 表裏があって、でも根っこは優しくて芯の強い少女さんが」
主神「そうですね。 少女さんは神様が大好物な性格だと思いますから」
735: 2021/03/31(水) 22:42:38 ID:1UYvtEMM
少女「神ちゃんてMなんですか?」
神使「難しいですね。 SでもありMでもあります」
主神「両刀使いですね。 私と同じです」
少女「え・・・ それ、言い方がちょっと気持ち悪い」ゾッ
主神「そう。 その顔! 神様が大好な顔です。 もちろん私も」グッ
少女・神使「・・・・・・」
神使「ま、まぁそういう事ですから神様との関係は今まで通りでお願い出来ませんでしょうか」
少女「・・・・・・。 分かりました」
736: 2021/03/31(水) 22:43:42 ID:1UYvtEMM
神使「神様が調子こいてウザくなったら私に相談して下さい」
少女「はい」クスッ
神使「もう一杯、お茶はいかがですか?」
少女「いえ、今日はこれで失礼します」スッ
神使「そうですか。 モノノケランドまでお送りします」
少女「まだ明るいですし大丈夫です」
神使「では、お気を付けてお帰り下さい」
主神「明日から、私も館長としてできる限りは出勤いたしますので」
少女「・・・・・・」
神使「少女さん?」
少女「あの、お二人にお願いがあるのですが」
主神・神使「?」
740: 2021/04/02(金) 22:02:05 ID:t0c7Tl5I
――― 夜・山ノ神社本殿
神様「いーやーだー」ジタバタ
神使「ワガママ言っていないで来て下さい!」グイグイ
神様「お外出たくない! ずっとここでニートしてる!!」
神使「全く・・・」ハァ
神様「それより狐娘ちゃんはどこだよ! さっきお前に連れて行かれたきり帰ってこないぞ!!」
神使「先程凄爺さまから電話があって・・・」
神様「あって?」
741: 2021/04/02(金) 22:02:43 ID:t0c7Tl5I
神使「話をしている途中で意識を失っ・・・ 疲れが溜っていた様で今は寝室で寝ています」
神様「“意識を失って”って言いかけただろ! ぜってーここから出ない!!」
神使「神様は同じ目に遭いたくないですよね?」ニコッ
神様「・・・・・・。 ど、どこに連れて行く気だよ」
神使「モノノケランドです」
神様「モノノケ? 何しに?」
神使「行けば分かりますから」
神様「・・・・・・」
742: 2021/04/02(金) 22:03:25 ID:t0c7Tl5I
――― モノノケランド
神様「こんな遅くに連れてきて、誰もいないじゃないかよ」キョロキョロ
神使「まぁまぁ。 そろそろ時間ですから」
神様「時間?」
少女「ようこそモノノケランドへ!」
神様「?」クルッ
少女「しけた顔してるわね。 それでもこの国の最高神?」
神様「そうですが何か?」
少女「ふっ、私にテストで負けたのがそんなに悔しいの?」
神様「悔しくねーし! それに私の方がテストの点数高かったし! 100点超えだし!!」
743: 2021/04/02(金) 22:04:04 ID:t0c7Tl5I
少女「私は全問正解、神ちゃんは確かミスがあったわよね? 無理矢理正解になってたけど」ニヤッ
神様「うぐっ」
少女「厳密に言えば私の勝ち」
神様「学校では“神ちゃんの勝ち”とか言ってたくせに」ブツブツ
少女「なに?」
神様「何でもないですぅー」
少女「忘れてないでしょうね? 負けた方が勝った方の言うことを聞くって約束」
神様「今回はノーカン、ノ~カン」
少女「そう。 じゃあ、こういうのはどうかしら?」
神様「あ?」
744: 2021/04/02(金) 22:04:53 ID:t0c7Tl5I
少女「私が神ちゃんの願いを一つ叶えてあげる」
神様「はい?」
少女「最高神ですら叶えられない願いを私が叶える。 それが成就できたら私の言う事を二つ聞く事」
神様「ほぉ」
少女「勝負から少しかけ離れるけど、お互い悪くないと思わない?」
神様「いいねぇ、面白い。 その勝負のった!」
少女「じゃあ、私はこれから祈願成就の準備に取りかかるから明日学校で会いましょう」
神様「うっ・・・ 学校行くの? っていうか、私まだ願いを言ってないんだけど」
少女「私を誰だと思ってるの? そんなの聞かなくても分かるわ」
神様「その生意気な態度、好きだぜ。 よし、あえて聞かずにいておこう」
少女「私は別に構わないけど、本当に聞かなくても良いの?」
神様「その方が面白いし。 外に出るのは嫌だけど明日は我慢して学校行ってやる!」
少女「私の力が凄すぎて腰を抜かさないようにね」クスクス
745: 2021/04/02(金) 22:06:09 ID:t0c7Tl5I
――― 物陰
神使(少女さん・・・)
巫女「こんなに遅くにどうしたんです?」テクテク
神使「?」クルッ
巫女「こんばんは」ペコリ
神使「巫女さんでしたか」ホッ
巫女「神ちゃんさま・・・ と、少女? あの二人は何をしてるんです?」
神使「とても素敵な意地の張り合いです」
巫女「そうですか。 それは喜ばしい事ですね」ニコッ
神使「・・・・・・。 あの」
巫女「?」
746: 2021/04/02(金) 22:06:43 ID:t0c7Tl5I
神使「少女さんを巻き込んでしまって申し訳ございません」フカブカ
巫女「あの子が自分で決めた事ですから。 それにこの役を任せるには適任だと思います」
神使「でも、少女さんの生活を犠牲にしてまで・・・」
巫女「多少の行動制限があるくらいです。 心配には及ばないと思いますよ?」
神使「そう言って頂けるとありがたいです」
巫女「私も少女を見習わないと」
神使「?」
巫女「ふふっ。 では、私はこれで」スタスタ
神使「・・・・・・。 巫女さん?」
749: 2021/04/08(木) 02:31:22 ID:dsXZiCkc
――― 翌日・山ノ神社
神様「おはよう也」トテトテ
神使「おはようございま―― ぶっ!」ゲホゲホ
主神「神様!? どうしたんですかその格好は!」
神様「あ? 我は最高神也や。 これはその装束也」
神使「どうして継姫様みたいな喋り方を・・・」
主神「まさか、その格好で学校へ行くんですか?」
神様「もう諦めた。 これなら皆ビビって声かけてこないだろうし」
主神「確かに声はかけてこないと思いますね。(色々な意味で)」
750: 2021/04/08(木) 02:32:19 ID:dsXZiCkc
神使「しかし、少々目立ちすぎでは?」
神様「お前、この前は装束着て過ごせって言ったじゃねーかよ!」
神使「うっ」
主神「神使さん、神使さん」チョイチョイ
神使「?」
主神「やはり、神様は暗示結界が再構成されたことに気が付いていないようですね」ボソッ
神使「教えて上げたいところですが、少女さんとの約束もありますし」ボソッ
751: 2021/04/08(木) 02:32:58 ID:dsXZiCkc
神様「おいそこ! 何コソコソ話してんだよ」
神使「いえ、別に」
神様「お前ら、何か怪しいなぁ?」ジー
主神「な、なにがです?」
神様「私への態度がおざなりになってる気がする」
神使・主神「・・・・・・」
神様「もしかして~ 何か隠し事でも・・・」
神使「そ、そんな事はございませんよ」
主神「わ、私達は神様を常に崇め奉り尊敬致しております」
神様「じゃあ、何をコソコソ話してたんだ? 言うてみぃ」
752: 2021/04/08(木) 02:33:35 ID:dsXZiCkc
神使「え~と・・・ 失礼ながら平緒の色は紫の方がよろしいのでは? と思ったもので」
神様「平緒?」
主神「そうですね。 やはり最高神ですから格の高いお色の方が」
神様「あ~ 朱色は私のこだわりなのだよ。 紫は階位が高いとか考え古すぎ」
神使「そ、そうでしたか。 失礼しました」ハハハ
神様「まぁいいや。 んじゃ、学校行ってくる」
神使「お気を付けて」
主神「色々な意味でお気を付けて・・・」
神様「ったく歩きにくいなぁ」トテトテ
神使・主神「・・・・・・」
主神「流石にあの格好は止めた方が良かったでしょうか」
神使「難しいところですね・・・」
753: 2021/04/08(木) 02:34:25 ID:dsXZiCkc
――― 海ノ町・町中
神様「♪~」トテトテ
通行人「!?」
神様「おはよう」
通行人「え!? あ、おはようございます」
神様「おはよう」
通行人「ど、どうも・・・」ペコリ
神様「いや~ これはこれで懐かしいねぇ。 昔を思い出すよ」トテトテ
通行人「あれ何?」
通行人「コスプレってやつ?」
754: 2021/04/08(木) 02:34:56 ID:dsXZiCkc
――― 学校
ガラガラ
神様「皆おはよう也」トテトテ
生徒達「・・・・・・」
神様「ここは学校、我を敬い奉る必要などない也。 一生徒として接してくれると嬉しい也や」オホホ
シーン
755: 2021/04/08(木) 02:35:41 ID:dsXZiCkc
少女「神ちゃん・・・」
神様「おはよう也。 どうかな? 私の正装は」
少女「あっ、うん。 その・・・ 古風だね」
神様「本当はもう少しゴテゴテしてんだけど、動きにくいから少し簡素化してみた也」
少女「そ、そうなんだ。 でも、目立ちすぎじゃ・・・」
神様「もう吹っ切れたよ。 これはコレで悪くないと思ってね。也」
少女「いや、でも学校だし制服の方が・・・ あと語尾のナリって何?」
神様「私は最高神だよ? その示しだけは付けないと。 あと、也は也ナリ」
少女「・・・・・・。 あのね、神ちゃんその件なんだけど―――」
756: 2021/04/08(木) 02:36:18 ID:dsXZiCkc
生徒A「ねぇ神ちゃん、その格好どうしたの?」
神様「ん?」
生徒B「いくら神宮の人だからって、それは流石に引くんだけど・・・」
神様「・・・・・・。 だって私、神だし」
生徒A「神?」
生徒B「神ちゃん・・・ 頭大丈夫?」
神様「は? ちょ、何? どういう事??」
ガラガラ
先生「よーし。ホームルーム始めるぞ~ って、神宮! 何て格好しているんだ!!」
神様「え?」
757: 2021/04/08(木) 02:37:04 ID:dsXZiCkc
――― お昼休み
神様「う~///」
少女「ずっと顔が赤いけど熱でもあるの? 最高神さ・ま」クスッ
神様「ここまで恥ずかしかったの数百年ぶりなんですけど! 絶対許さない!」ムスッ
少女「私からの祈願成就は気に入らなかった?」
神様「結界張り直したなら朝に言ってよ! 電話してよ! 事前に教えてよ!!」
少女「敢えて聞かないって言ったのは神ちゃんだけど?」
神様「うぐっ・・・ まぁそうだけどさぁ」
少女「もしかして迷惑だった?」
神様「・・・・・・。 いや、そんな事は・・・」ブツブツ
少女「よかった」
758: 2021/04/08(木) 02:37:55 ID:dsXZiCkc
神様「でも、あの暗示結界はそう簡単に張れるようなものじゃないと思うけど。 どうやったの?」
少女「それは秘密。 別に私が一人で張り直したわけじゃないし」
神様「?」
少女「神は神力成就の方法なんて種明かしないでしょ?」
神様「感じ悪っ!」
少女「さて、それじゃ私のお願いも聞いてもらおうかしら」
神様「はぁ・・・ まあ約束だし、何か願いでもあるの?」
少女「学校が終わったらモノノケランドに来て」
神様「モノノケランドに?」
少女「その時に話すわ」
759: 2021/04/14(水) 00:28:45 ID:FbleumL2
――― 夕方・モノノケランド
神様「よぉ」トテトテ
主神「あっ、神様」
神使「学校は終わられたんですか?」
神様「まぁね。 っていうか、お前ら結界が復活してたこと私に隠してたろ」ジー
神使「え!? さ、さぁ何のことでしょうか?」アセアセ
主神「わ、私達も先程気が付いた所でして」アセアセ
神様「はぁ~・・・ まぁ良いけど。 で? お前達はここで何してるの?」
主神「私は館長としての仕事を」
神使「私はお手伝いですね」
760: 2021/04/14(水) 00:29:19 ID:FbleumL2
神様「山ノ神社は不在かよ・・・」
主神「まさかまさか。 狐娘さんにお留守番してもらっております」
神様「狐娘ちゃんが?」
神使「凄爺様から次のお仕置きが決まるまで、奉公するようにと厳命を受けたようで」
神様「次のお仕置きって何だよ・・・」ブルッ
神使「少女さんから裏庭で待っていると伝言を預かっております」
神様「ふ~ん。 お前らもグルって訳か」ジトー
神使・主神「!?」
神様「今日は付き合ってやるけど、後でちゃんと話せよ」トテトテ
主神「流石神様・・・ お見通しのようですね・・・」
神使「やはり私達では役不足っぽかったですね・・・」
761: 2021/04/14(水) 00:29:54 ID:FbleumL2
――― モノノケランド・裏庭
神様「はろ~」トテトテ
少女「いらっしゃい」クルッ
神様「へぇ~ 中々様になってるじゃん」
少女「こ、これは・・・ モノノケランドの制服だから。 仕方なく・・・」モジモジ
神様「作ったの? 言ってくれれば私の装束あげたのに」
少女「これは、地神さまからのプレゼントだから・・・ これが良いの!///」
神様「そっか。 上等な装束だよそれ、似合う似合う」
少女「ほ、本当?」パァ
762: 2021/04/14(水) 00:30:35 ID:FbleumL2
神様「まぁ私の上級装束には及ばないけど」ニヤッ
少女「感じ悪っ」
神様「さて、前置きはここまでにして約束通り願いを聞きましょうか」
少女「・・・・・・」
神様「さあ、其方の願い我に聞かせてみよ」
少女「・・・・・・」
神様「どうした? 最高神自らが願いを叶えると言っている」
少女「・・・・・・。 まず一つ目! モノノケランドの安泰を祈願して下さい!」フカブカ
神様「承ろう。 二つ目の願いを申せ」
少女「二つ目! ・・・・・・。 二つ目は・・・」モジモジ
神様「?」
763: 2021/04/14(水) 00:31:10 ID:FbleumL2
少女「わ、私と・・・ 私と、友達になって下さい!」フカブカ
神様「・・・・・・」
少女「だ、ダメ?」
神様「その願いは難しい」
少女「そ、そうだよね。 虫が良すぎるよね」シュン
神様「いやいや、そうじゃなくて」
少女「?」
神様「親友とか、そんな感じじゃダメかな?」
少女「え?」
神様「だってすでに友達だし。 あっ、マブダチとかそんな感じの方がカッチョイイかな」ウーン
少女「じゃあ・・・ し、親友で///」
764: 2021/04/14(水) 00:31:45 ID:FbleumL2
神様「でも、それもちょっと照れくさいよね。 “永遠のライバル”とか“盟友”なんてどう?」
少女「え? それなら普通の友達で良いよ。恥ずかしいし」
神様「ただの友達じゃ願いの成就には入らないって言ったじゃん」
少女「言い方なんてどうでも良いと思うけど?」
神様「いや~ でもさぁ」
少女「神ちゃん、ちょっとしつこい」
神様「!?」
少女「わかった。 そしたら、もう一つのお願いはここの草むしりで」
神様「ちょっと待てや! そんな雑な願い久しぶりに聞いたわ! 神だよ? 我は神なりぞ?」
少女「願いは願いよ? 神宮の神は願いの大小で成就を振り分けたりするの? 小さっ」ハァ
神様「ム・カ・つ・くー!」キー
少女「ふふっ、神ちゃん面白い」クスクス
765: 2021/04/14(水) 00:32:30 ID:FbleumL2
神様「あのさぁ、1分前まで私にペコペコしたくせになんでそんなに態度が変わるの?」
少女「ペコペコなんかしてないけど?」
神様「してたね! モノノケランドの安泰を祈願して下さい! ってフカブカしたし!」
少女「そっちだって、申せ! とか、承ろう! な~んて偉そうに」
神様「威厳ですぅ~ 神としての貫禄ですぅ~」
少女「威厳? 貫禄? ろくに神力も使えないくせにどの面下げてそんな言葉を使ってるの?」
神様「言ったな! よ~し、私の本気見せてやるよ!」
少女「見せられるだけの物を持ってるなら見せてみなさいよ! このポンコツ女神!」
神様「あー! 言っちゃいけないこと言った!」ムキー
766: 2021/04/14(水) 00:33:02 ID:FbleumL2
――― 物陰
神使「何て品のない喧嘩を・・・」
主神「小学生レベルですよね・・・ まぁ神様らしいと言えばそうなんですが・・・」
巫女「また随分と面白そうなことをしてますね」テクテク
神使「巫女さん」
巫女「少女の様子はどうですか?」
神使「あの通りです」
767: 2021/04/14(水) 00:33:38 ID:FbleumL2
神様「私なんて、昔はチヤホヤされて凄かったんですー」
少女「それでそんな子供みたいな性格なんだ。 いい加減成長したら?」
神様「うっせーよ!! そっちの方がお子ちゃまだろーが!!」キー
巫女「随分と打ち解けたようですね」クスッ
神使「ははは」
769: 2021/04/21(水) 23:14:57 ID:8JMxnCRc
巫女「・・・・・・。 最初から何も心配する必要なんてなかったのですね」ボソッ
主神「?」
巫女「主神さま、諸々の失礼を深くお詫びいたします」フカブカ
主神「え、ちょっと・・・ 止めて下さいよ。 どうしたんですか急に」オロオロ
巫女「海ノ神社を追い出され、路頭に迷っていた私を迎え入れてくれた事は本当に感謝しております」
主神「私なんか何も・・・ それに、お世話になったのは私の方ですから」
巫女「今日まで、あの子と暮らしてこられたのは主神さまのお陰です」フカブカ
主神「巫女さん・・・」
770: 2021/04/21(水) 23:15:47 ID:8JMxnCRc
神使「主神さまはどういう経緯で巫女さんを雇われたのですか?」
主神「えっ? それは~・・・」
巫女「私が町を歩いていたら声をかけて頂いたんです」
神使「それって、スカウトですか?」
巫女「そういえば、どうして私に声をかけて頂けたのでしょう」
主神「え~と・・・ 着物姿が美しかったので・・・」ボソッ
神使「・・・・・・」
主神「・・・・・・」
神使「え? それだけですか?」
主神「だって、こんなに若くて和服美人とか絶対巫女向きだと思ったんですよ」
巫女「ふふっ、ありがとうございます」ニコッ
771: 2021/04/21(水) 23:16:31 ID:8JMxnCRc
神使「それは、主神さまが巫女さんのことを好みだったという―――」
主神「そ、そんな事より事務所でお茶でもどうです?」
巫女「そうですね。 和菓子のモノノケも来ているので美味しい大福を作ってもらいましょう」
神使「あの二人は・・・ まぁ、後で良いでしょう」
主神「では、早速―――」
ブーン
巫女・神使・主神「?」クルッ
神使「来客でしょうか?」
巫女「随分と高級なお車ですね」
神使「・・・・・・。 あの車って・・・」
主神「ドアに神宮紋みたいなものが入っているようですが。 私ちょっと見てきます」タッタッタッ
772: 2021/04/21(水) 23:17:02 ID:8JMxnCRc
巫女「神使さんどうされたんですか? 顔色が良くないようですけど」
神使「いえ・・・ 別に・・・」
巫女「?」
神使「残念ですが、今日は失礼しなければいけなくなりそうです」
巫女「え?」
神使「大福はとても魅力だったのですが・・・」
巫女「何か急ぎの御用でも?」
神使「下手したら神宮に戻らないといけないかも知れなく・・・」
巫女「・・・・・・。 それは、この町を出て行くという事でしょうか」
神使「場合によっては」
巫女「・・・そうですか」
773: 2021/04/21(水) 23:17:33 ID:8JMxnCRc
神使「正直、私達ももう少しこちらに滞在していたいのですが」
巫女「でしたら、近いうちにお礼を兼ねて宴を設けさせて下さい」
神使「お気持ちだけで結構です。 たぶんそこまで時間もなさそうなので」
巫女「そんな急に?」
主神「ちょ・・・ 待って下さいってば・・・」
長官「どきたまえ」ギロッ
主神「はい。 長官殿・・・」
神使(やっぱり・・・)
775: 2021/04/30(金) 23:34:09 ID:qjA1Kb5M
長官「久しぶりだね、神使君」テクテク
ズルズル
神使「あははは・・・ お久しぶりです長官さん。 何を引き摺っておられるのでしょうか?」
長官「これか? うちの巫女のA子君だよ。 ちょっと意識が無くなっちゃたけど」ポイッ
ドサッ ゴロッ
神使「うっ!」ゾッ
776: 2021/04/30(金) 23:35:35 ID:qjA1Kb5M
長官「良く出来ているだろ? これは人形だよ」ハハハ
神使「人形!?」
主神「そういえば長官さんてからくり技師でしたね」
神使「からくり?」
主神「からくり人形を作らせたらこの国で最高峰とまで言われた凄腕だったんですよ」
長官「“だった”とは失礼じゃないか? まだまだ腕はなまっていないつもりだ」
神使「どうしてこんな精巧な人形を・・・」
長官「この位の準備をしないと神ちゃんに逃げられてしまうからね」
主神「これ本当に人形ですか? 体温感じますけど・・・ 肌も柔い」ペタペタ
A子似の人形「う~ん・・・」
主神「・・・・・・ぇ?」
777: 2021/04/30(金) 23:36:15 ID:qjA1Kb5M
長官「もしかして、あなた様がモノノケ最高神さまでしょうか」
巫女「え? あ、はい。 初めまして」フカブカ
長官「お初にお目にかかります。 神宮神様機構の長官と申します」フカブカ
巫女「長官様?」
長官「今回の一件、こちらにはご迷惑がかからぬよう神宮内で手配を行なっております」
巫女「お気遣いありがとうございます」フカブカ
長官「とんでもございません。 全てこちら側の責任ですから」
778: 2021/04/30(金) 23:36:54 ID:qjA1Kb5M
主神「どうして長官さんがここへ?」
長官「決まっている。 神ちゃん、A子君、狐娘君を神宮の折檻室に閉じ込めるために来た」
一同「折檻室!?」
巫女「ちょっと待って下さい。 神ちゃん様は私達のために・・・」
長官「承知しております。 その件に関しては不問としておりますので」
神使「ではどのような罪状で?」
長官「神ちゃんとA子君が、神宮の資産を勝手に売却して金策をした」
神使「え!?」
779: 2021/04/30(金) 23:38:00 ID:qjA1Kb5M
長官「まぁ、それは良い。 私が調べた限りでは適切な処置だったと思うからね」
神使「では何故?」
長官「残ったお金を返却した形跡がない」
神使「あ、それはダメですね」
巫女「狐娘様は? 彼女は結界を張るために態々来て頂いたと伺っておりますが」
長官「彼女は・・・」チラッ
神使「?」
長官「凄爺に内緒で神ちゃんと何かを企んでいたようだ。 凄爺から一緒に折檻室行きを頼まれた」
巫女「そうなんですか・・・」
長官「さて、神ちゃんを連れて帰るか」ヨイショ
A子似の人形のような物「痛たたっ!」
主神・神使・巫女「・・・・・・(人形って喋りましたっけ?)」
780: 2021/04/30(金) 23:38:40 ID:qjA1Kb5M
――― 裏庭
神様「どうよ! やっぱ、私って凄くね?」
巫女「そんなミジンコみたいな手柄で威張りくさるなんてどんだけ小さいの?」
長官「全くだ」
神様「あ? この小さな積み重ねが・・・ この国の・・・ って、長官君?」
長官「久しぶりだ、神ちゃん」ニコッ
神様「!?」タッタッタッ
長官「こら! 何で逃げようとしてるんだ!」ガシッ
神様「何もしてない! 何もしてないって!!」ジタバタ
長官「じゃあ逃げる必要は無いだろ」
神様「つい反射で・・・ って、長官君が引き摺っているのって何でしょうか?」
781: 2021/04/30(金) 23:40:03 ID:qjA1Kb5M
長官「あぁ、これか?」ポイッ
ドサッ ゴロッ
神様「A子ちゃん!?」
長官「あまり手荒な事はしたくなかったんだが、逃げようとするから」
神様「」ゾッ
長官「こうなりたくなければ大人しく一緒に来るんだ」
神様「こ、これ人形でしょ? 精巧なからくり人形でしょ? わ、分かってるし・・・」
A子似の人形のようなA子「・・・・・・」グー
神様「へ、へぇ~ 人形もお腹すくんだ・・・」
A子「・・・恥ずっ///」
782: 2021/04/30(金) 23:40:40 ID:qjA1Kb5M
神様「・・・・・・。 うにゃー!!」ガシッ
少女「ちょ、神ちゃん離してよ!」
神様「あれモノノケだよ! モノノケ! 何とかして!!」
少女「え~ 違うよ。 どう見ても人じゃん」
神様「そっちの方が怖いわ!!」
長官「往生際が悪いぞ! 早く来るんだ!」グイグイ
神様「い~や~だ~ 殺される!!」ギュッ
少女「もうっ! 神ちゃん離してって! 引っ張ったら装束破れちゃう!」
長官「ほら! 早く来るんだ!」グイグイ
783: 2021/04/30(金) 23:41:25 ID:qjA1Kb5M
少女「そうよ。 大人しく従った方が―――」
神様「人柱の件、ありがと」ボソッ
少女「え?」
神様「このお礼はいつか必ず」パッ
少女「神ちゃん?」
長官「やっと離れたか。 いくぞ」ガシッ
神様「歩ける! 自分で歩けるから~! っていうかA子ちゃんはあのまま捨てていくの?」ズルズル
長官「烏の餌にでもなるさ」
神様「A子ちゃーん!!」ズルズル
少女「・・・・・・」
784: 2021/05/03(月) 02:34:41 ID:aze3Ds1E
少女「あ~あ・・・ 気付かれてたか。 やっぱり敵わないなぁ・・・」
巫女「――― なんですね」
神使「はい。 毎度の―――」
少女「?」クルッ
少女(あれ? 向こうにいるのって神使さんと地神さま?)
785: 2021/05/03(月) 02:35:35 ID:aze3Ds1E
――― 物陰
神使「すいません。 こんなお別れで・・・」
巫女「え? 本当にこれで神ちゃん様とはお別れなんですか!?」
神使「まぁ、いつもこんな感じなんです」ハハハ
巫女「そうなんですね・・・ でも」フフッ
神使「?」
巫女「いえ、神ちゃん様らしいなって思いまして」
神使「なんと言いますか、反応に困りますね」ハハハ
巫女「・・・・・・」チラッ
少女「」コソッ
786: 2021/05/03(月) 02:36:18 ID:aze3Ds1E
巫女「神使様、神ちゃん様に伝言をお願いしても良いでしょうか?」
神使「伝言ですか?」
巫女「私、モノノケ側の最高神を引退することにしました」
神使「え!?」
巫女「そして、神の力とも今日でお別れです」
神使「そんな・・・ 一体どうして!?」
巫女「あっ、でも別に消えたりする訳ではございませんからそこは心配しないで下さい」
神使「そんな事になるようであれば全力でお止めします」
巫女「お優しいんですね」クスクス
神使「一介の神使相手にからかわないで下さいよ」
巫女「ごめんなさい。 でも、最高神を引退することはもう決めたことですので」
787: 2021/05/03(月) 02:36:53 ID:aze3Ds1E
神使「少女さんに引き継がれるのですか?」
巫女「さぁ、その判断は私には分かりません」
神使「しかし、モノノケさん達の管理をする方が不在になってしまうのでは・・・」
巫女「もう必要ないと思いませんか?」
神使「・・・・・・」
巫女「ごめんなさい。 変な意味で言ったのではないのですが」
神使「上の方達の考えることは、私にはまだ難しいようです」
巫女「そんな事はないですよ。 モノノケ達の存在は私の力がなくても問題ないと判断しただけです」
788: 2021/05/03(月) 02:37:25 ID:aze3Ds1E
神使「でも、神の力まで失う必要は・・・」
巫女「私、決めたんです。 この力の最後の使い道を」
神使「?」
巫女「神使さん、あなたにはこの先とても素敵な未来が待っています」
神使「それは・・・ どういう事でしょうか」
巫女「私が神として今まで出来なかった、願いの成就というのを最後にあなたで試させて下さい」
神使「え?」
巫女「神ちゃん様の真似事ですが」ニコッ
789: 2021/05/03(月) 02:38:18 ID:aze3Ds1E
神使「いや、神様のはそういうものでは・・・ 神力ありませんし」
巫女「私は神力が使えるので、神ちゃん様より効くかも知れませんね」ニコッ
神使「・・・・・・」
巫女「守護する事だけに使ってきた力ですから、うまく出来るか分かりませんが」スッ
神使「ちょ、一体何を!?」
巫女「神使さん、あなたに素敵な未来と祝福の祈願を」ポワッ
ポワッ ポワッ
神使「巫女さん・・・」
790: 2021/05/03(月) 02:38:50 ID:aze3Ds1E
巫女「ふぅ。 私の神力成就が上手く効いたら、いつか報告しに来て下さいね」ニコッ
神使「どうして、私なんかにそんな事を・・・ 少女さんに使って頂いた方が・・・」
巫女「少女は私が側に居る事が一番の望みでしょうから、神の力を使うまでもありません」
神使「でしたら、直接神様に・・・」
巫女「あなたが幸せになることが、神ちゃん様への恩返しになると判断したからです」
神使「神様の?」
巫女「神ちゃん様は最高神です。 そのような存在を守り通すために少しだけ私も協力させて下さい」ニコッ
神使「巫女さん・・・ ありがとうございます」フカブカ
巫女「ようやく、肩の荷がおりた気分です」
神使「長きにわたりお勤めご苦労様でした」
791: 2021/05/03(月) 02:39:23 ID:aze3Ds1E
巫女「これからは、今まで出来なかった事をいっぱい楽しみます」
神使「そうですね。 あっ、旅行とかいいですよ。 長閑な田舎を散策し―――」
巫女「旅行良いですね! 私、コンクリートジャングルに憧れてるんです!」キラキラ
神使「・・・え?」
巫女「新宿観光に渋谷でお買い物! 私の夢だったんです!」
神使「それは・・・ うちの神様と気があいそうですね」
巫女「こうしちゃいられません! 早速旅支度を!」タッタッタッ
神使「巫女さ・・・ あぁ、巫女さんが神様と同じような性格になってしまいそうで心配です」
少女「元々同じよ」
神使「?」
792: 2021/05/03(月) 02:39:56 ID:aze3Ds1E
少女「地神さまは猫かぶりだから。 根っこの部分は神ちゃんと同じ」
神使「少女さん、居たのですか」
少女「隠れてたつもりでした?」ニヤッ
神使「もしかして、先程の巫女さんとの会話も・・・」
少女「地神さまは私に聞かれている事を気が付いていたみたいだけど」
神使「・・・よろしかったのですか?」
少女「何がです?」
神使「巫女さんが最高神を引退して・・・」
793: 2021/05/03(月) 02:40:27 ID:aze3Ds1E
少女「地神さまがそれで少しでも楽になるのであれば、私は大賛成です」
神使「そうですね。 巫女さんも悩んで出した結論でしょうし、後悔もなさそうでしたから」
少女「それはどうかしら」
神使「?」
少女「たぶん今頃、隠れて裏でワンワン泣いていると思う」
神使「・・・・・・」
少女「数千年・・・ そんな長い時間担ってきた役を辞めるなんて簡単に割り切れるわけない」
神使「そうですよね・・・」
794: 2021/05/03(月) 02:41:09 ID:aze3Ds1E
少女「だから、私が・・・ 私が地神さまとモノノケをこれから守ってあげないと」
神使「少女さん・・・」
少女「地神さまは優しくて・・・ いつだって自分の事よりモノノケの事を最優先で考えてくれて・・・」
神使「それが分かる少女さんも、とても優しい方だと思いますよ」
少女「・・・今回は色々とありがとうございました」フカブカ
神使「そんな、私になんかに頭を下げないで下さい」
少女「いいえ。 初めてなんです」
神使「?」
少女「地神さまが本心で話してくれたことが。 地神さまの心を聞くことが出来たことが・・・」
少女「だから、本当にありがとうございました」
神使「神様に伝えておきます」
795: 2021/05/03(月) 02:41:49 ID:aze3Ds1E
少女「うっ・・・ それは///」
神使「大丈夫です。 たぶん、神様は最初から全部知っていたと思いますから」
少女「え?」
神使「実はこの町に来たいと行ったのは神様なんです」
少女「神ちゃんが?」
神使「本来であれば別の場所に行く予定だったんですが、どうしても海ノ町に行きたいとダダをこねて」
少女「・・・・・・」
神使「神様は本音を出すのが下手なので、いつも回りくどいんですよ」ハハハ
少女「地神さまと同じですね」クスッ
神使「少女さんとも同じです」
少女「うぐっ・・・」
796: 2021/05/03(月) 02:43:03 ID:aze3Ds1E
神使「色々と大変でしょうが、これから頑張って下さい」
少女「神使さんもお幸せに。 地神さまの神力をもらったのは神使さんが初めてなんですから」
神使「期待に応えられるよう精進いたします」
少女「絶対幸せになって下さいよ? でないと地神さま泣いちゃいますからね」
神使長「色恋ばなしの途中で悪いんだが」
神使「!?」クルッ
神使長「君も一緒に来るんだ」
神使「神使長・・・ やはり一緒に来られていたのですね」
797: 2021/05/03(月) 02:43:36 ID:aze3Ds1E
神使長「すまないね、割り込んでしまって」
少女「いえ・・・」
神使長「あの、神使長様が背負っているのは・・・」
神使長「狐娘くんだ。 凄爺と電話をしていたら意識が遠いところに行ってしまったようでな」
神使「はあ・・・ そうでしたか・・・」
神使長「早く車へいくぞ」テクテク
神使「では、そういう訳で私も失礼致します」ペコリ
少女「お、お気を付けて・・・ 無事を祈ってます」
神使長「神使君! 早く来るんだ」
神使「は! はい!!」タッタッタッ
798: 2021/05/03(月) 02:44:15 ID:aze3Ds1E
――― 参道
少女「はぁ・・・」テクテク
巫女「ため息なんかついてどうしたんです?」
少女「地神さま・・・」
巫女「皆さん、行ってしまわれましたね」
少女「そうですね・・・ って、地神さま目が赤いですけど大丈夫ですか?」
巫女「ご、ゴミが入ったんです。 気にせず」
少女「へぇ~」ニヤニヤ
799: 2021/05/03(月) 02:44:45 ID:aze3Ds1E
巫女「揶揄うんじゃありません」
少女「すいませんですぅ」
巫女「そういう態度、少女の悪いくせですよ?」
少女「ふふっ」クスッ
巫女「?」
少女「さん付け、やめてくれたのが嬉しくて」
巫女「・・・・・・。 私があなたとの垣根を作っていたことに気付いたんです。 だから止めました」
少女「ありがとうございます。 とっても嬉しいです」ニコッ
巫女「あなたも私のことを呼び捨てしても構わないのですよ?」ニヤッ
少女「地神さまも性格悪いですよね?」
巫女「ふふっ。 お互い様ってヤツですね」
800: 2021/05/03(月) 02:45:23 ID:aze3Ds1E
ブーン
巫女・少女「?」
神様「少女ちゃん! 巫女ちゃーん! バイバ~イ。 まったね~」
少女「ベ~~~だっ! フンッ!」プイッ
巫女「」フカブカ
長官「窓から顔を出すな!!」ゴツン!
神様「痛い!」
ブーン
801: 2021/05/03(月) 02:45:56 ID:aze3Ds1E
巫女「さて! 新しい生活、二人で頑張りましょう」
少女「うん!」
主神「あの・・・ お忘れかも知れませんが、私もいるのですが・・・」
A子「私もー」ムクッ
主神「!?」
A子「私はどうやって帰ればいいんだろう?」
主神「人形じゃなかったんですね・・・」
A子「私? 人形だよ?」
主神「え? ん~・・・ 長官さんの拵えた人形はついに一線を越えてしまいましたか・・・」
803: 2021/05/04(火) 06:19:57 ID:R1.815XA
――― 車内
ブーン
神様「ふぅ」
長官「すまないね。 少し早く着きすぎたかな?」
神様「あ~ 大丈夫。 丁度良いタイミングだった」
長官「モノノケランドの件に関しては、神宮から切り離して資金援助をする段取りで進めている」
神様「大丈夫そう?」
長官「独立機関の財団を立ち上げるつもりだ。 まずはあの土地の所有を神宮以外にしないとな」
神様「よく分からないけど、神宮がちょっかい出してこなければそれで良いや」
804: 2021/05/04(火) 06:20:31 ID:R1.815XA
長官「しかし、大変なことをしてくれたもんだ」ハァ
神様「元に戻しただけだよ」
長官「私が悩んでいるのは神ちゃんの張っていた結界の件だ」
神様「それなぁ~」
長官「全く・・・ 神宮にはどう言い訳するつもりだい?」
神様「・・・・・・」
長官「さっきの少女さんが新しい結界の人柱だって事が神宮に知れたら大変だぞ?」
神様「やっぱ狙ってくるよな」
805: 2021/05/04(火) 06:21:12 ID:R1.815XA
長官「当然だろ。 神の存在が公になれば神宮には絶大な崇敬が集まるからな」
神様「金と名誉か・・・」
長官「ちゃんと守ってあげるんだぞ」
神様「当たり前さね。 何人たりとも少女ちゃんには指一本触れさせるつもりはない」
長官「しばらくは根回しでいっぱいになりそうだな」
神様「わーてるよ。 だから小細工までして抜け出したんだろうが」
長官「なら良いが」
神様「まぁ・・・ 落とし前だけはちゃんと付けさせてもらいますよ。 ・・・親友だし」ゴニョゴニョ
長官「そうかい。 K7の神と神宮の役員達が待っているから飛ばすぞ」
ブーン
806: 2021/05/04(火) 06:21:43 ID:R1.815XA
――― 翌日・夕方/神宮
神様「うへ~ じがれだ」バタッ
猫神「神ちゃん、よく頑張ったね~」
狐神「いやいや、会議中暴れまくってただけじゃん・・・」
神使「私は中には入れなかったので詳細は分からないですが、外まで神様の罵声が響いていました・・・」
長官「“お前ら呪うぞ!”って発言は神としてどうなんだい?」
神様「だってアイツらが言うこと聞かないからぁ~」
狐神「呪いってどうやんの? 教えてよ」
神様「しらねーよ。 私がやり方を聞きたいわ」
狐神「あんた、相変わらず適当よね・・・」
807: 2021/05/04(火) 06:22:46 ID:R1.815XA
神使「これで無事に事は収まったのでしょうか?」
長官「少女さんの護衛も問題なさそうだしひとまずは安心だな」
猫神「当面は神が持ち回りでお手伝い名目って形で出向するからね~」
神使「それは何よりです」
狐神「最初は私か・・・」ハァ
神様「モノノケランドの維持は問題ないんだよな?」
長官「大丈夫だ。 モノノケ財団の方で全て面倒を見る手はずになっている」
神様「その財団ってそんなに資金力あるの?」
長官「あぁ。 先日とある文書を見つけてな、それを資金源にした」
神様「文書?」
808: 2021/05/04(火) 06:23:28 ID:R1.815XA
長官「A子君が隠し・・・ 偶然発見した埋蔵金のありかが記載された文章なんだが」
神様「・・・・・・」
狐神「へぇー 埋蔵金なんて久しぶりに聞いたわね」
長官「どうしたんだい神ちゃん。 顔色が悪いようだが何か気になることでもあるのかい?」
神様「いや・・・ その埋蔵金のお金って・・・」
長官「あぁ、A子君がどこかに振り込み手続きをしようとしていたらしいんだが全て回収した」
神様「!?」
長官「あんな大金、久しぶりに見たよ」ハハハ
神様「えっと・・・ そのお金って、モノノケランドの建設費・・・」
809: 2021/05/04(火) 06:24:04 ID:R1.815XA
長官「そういえば、神宮建設から請求書が届いていたから費用は神ちゃんに付けておいたよ」
神様「待って。 それいくらよ」
長官「10億」
神様「・・・・・・」
神使「神様・・・」
狐神「あんた、そんな大金払えるの?」
猫神「神ちゃんお金持ちだねぇ~」
神様「無理無理無理! 無理だってそんな大金!!」
長官「大丈夫だ。 何百年かかるか分からないがコツコツ返済していけば良い」
神様「嫌だ!」
810: 2021/05/04(火) 06:24:43 ID:R1.815XA
長官「さて」ガシッ
神様「え? どうしたの? 急に腕掴んで・・・」
長官「分かっているだろ?」ニコッ
神様「・・・・・・。 あの、逃げないのでそんなに強く腕を掴まないで下さい」ジタバタ
長官「じゃあ、なぜジタバタしているんだい?」
神様「・・・・・・」
長官「それじゃ、一緒に行こうか」
神様「どちらへ?」
長官「A子君と狐娘君が先に待っている」
神様「どこででしょうか・・・」
811: 2021/05/04(火) 06:25:18 ID:R1.815XA
長官「昨日言っただろ? 折檻室だ」
神様「!? ちょっと待って! あれは私を神宮に戻すためのお芝居じゃ!?」
長官「そんなわけ無いだろ!」
神様「いやーだー」ジタバタ
猫神・狐神「?」
神様「おい! 猫と狐! 助けろー!」
狐神「あんた、また何かしたの?」
神様「してない! してないって!!」
812: 2021/05/04(火) 06:25:50 ID:R1.815XA
長官「埋蔵金をネコババしようとしだろ!」
神様「まだ手を付けてないって!」
長官「“まだ”って何だ」
神様「そういう意味じゃなくて! ちょ、離してー!」ズルズル
長官「今回は長期戦だ。 3人で仲良くやるんだぞ」
神様「いーやーだー」ズルズル
猫神・狐神・神使「・・・・・・」
813: 2021/05/04(火) 06:26:25 ID:R1.815XA
狐神「折角伊勢に来たんだし、外でお茶でもしない?」
猫神「あっ、いいねぇ~」
狐神「神使君も一緒にどう?」
神使「お供致します」
狐神「よし! 実はここ来るときオシャレなお店見つけてさ。 行こうか」テクテク
猫神「楽しみ~」テクテク
神様「助けてー!!」ズルズル
神使「まだまだ借金生活から抜けられそうにありませんね」ハァ
神様「神様だ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
~ 番外編 『モノノケランド』~
おわり
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