16: 2013/10/06(日) 23:04:03 ID:SvtbrpK6
訓練兵団に入って、約半年が経った。今日は訓練兵にとって、待ち侘びた休日であった。

ベルトルトは、トロスト区に位置する公園に向かっていた。季節は秋で、少々肌寒い風が吹いていた。
進撃の巨人(34) (週刊少年マガジンコミックス)
17: 2013/10/06(日) 23:04:50 ID:SvtbrpK6
約束の時間は2時。けれど、男が女性を待たせるのは、ナンセンスであり、約束の時間より20分も前に公園に着いた。

すっかり、鮮やかな紅葉で覆い尽くされた公園は、絵描きにとっては、絶好の景色だろう。

18: 2013/10/06(日) 23:05:47 ID:SvtbrpK6
公園の中に入り、ベンチの方をふと見ると、なんと彼女はもうベンチに座り、僕を待っていた。

よほど今日の日を楽しみにしていたんだなと思いつつ、僕は彼女に声をかけた。

19: 2013/10/06(日) 23:08:05 ID:SvtbrpK6
「やあ。今、着いたよ。待たせたかな?」

「ふふっ、全然。私も今、着いたところ」

彼女は、微笑みながら、そう答えた。僕がベンチに腰をかけると、彼女は早速、イーゼルを組み立て、絵を描く準備を始めた。

20: 2013/10/06(日) 23:10:13 ID:SvtbrpK6
僕らのデートは決まってこうだ。彼女が絵を描き、僕がそれを隣で見る。

出来れば、絵を描くだけじゃなく、街に出掛けて、いろいろと楽しませたい。

21: 2013/10/06(日) 23:14:52 ID:SvtbrpK6
すまん、何か見にくいな。もう一回、やり直させてくれ(土下座)

22: 2013/10/06(日) 23:17:11 ID:SvtbrpK6
反省を兼ねてsageでいきますね(謝)

23: 2013/10/06(日) 23:17:57 ID:SvtbrpK6
訓練兵団に入って、約半年が経った。

今日は訓練兵にとって、待ち侘びた休日であった。

ベルトルトは、トロスト区に位置する公園に向かっていた。

季節は秋で、少々肌寒い風が吹いていた。

24: 2013/10/06(日) 23:18:56 ID:SvtbrpK6
約束の時間は2時。

けれど、男が女性を待たせるのは、ナンセンスであり、約束の時間より20分も前に公園に着いた。

すっかり、鮮やかな紅葉で覆い尽くされた公園は、絵描きにとっては、絶好の景色だろう。

25: 2013/10/06(日) 23:19:59 ID:SvtbrpK6
公園の中に入り、ベンチの方をふと見ると、なんと彼女はもうベンチに座り、僕を待っていた。

よほど今日の日を楽しみにしていたんだなと思いつつ、僕は彼女に声をかけた。

「やあ。今、着いたよ。待たせたかな?」

「ふふっ、全然。私も今、着いたところ」

26: 2013/10/06(日) 23:21:13 ID:SvtbrpK6
彼女は、微笑みながら、そう答えた。

僕がベンチに腰をかけると、彼女は早速、イーゼルを組み立て、絵を描く準備を始めた。

僕らのデートは決まってこうだ。

彼女が絵を描き、僕がそれを隣で見る。

27: 2013/10/06(日) 23:23:11 ID:SvtbrpK6
出来れば、絵を描くだけじゃなく、街に出掛けて、いろいろと楽しませたい。

けれど、訓練兵にそんな贅沢をするお金はない。

彼女もそのようなお金を持ち合わせていない。

他人から見れば、僕らのデートはつまらないだろう。

28: 2013/10/06(日) 23:24:22 ID:SvtbrpK6
だが、彼女は今のままで充分、幸せだと言ってくれた。

そんな彼女の優しさが嬉しくて、せめて数ヶ月に一度は美味しいお店で、小さな贅沢をして彼女を喜ばせようと思った。

そのために、短い時間を見つけては、バイトをしてお金を貯めた。

29: 2013/10/06(日) 23:28:48 ID:SvtbrpK6
時が経ち、辺りはすっかり夕焼けに染まった。

そろそろ門限が近づいてきた。

門限に遅れるようなことがあれば、非常にマズイので、僕は彼女に時間が迫っていることを伝えた。

30: 2013/10/06(日) 23:30:08 ID:SvtbrpK6
「え!?もうそんな時間!?」

「うん。もうすぐ6時を過ぎる」

「そっか……まだ一緒にいたかった」

「僕もだよ。けど、また今度会えるから」

31: 2013/10/06(日) 23:32:30 ID:SvtbrpK6
「うん。楽しみにしてる」

「じゃあ、家まで送るよ」

「………ありがとう」

そのとき、彼女は、嬉しそうな、悲しそうな非常に複雑な表情をしていた。

32: 2013/10/06(日) 23:34:07 ID:SvtbrpK6
無事に家に送り届け、僕は帰路に着いた。

そのとき、頭の中は彼女で一杯だった。

なんせ次のデートは少ない時間の中で稼いだお金を使い、贅沢なデートが出来るからだ。

次回の休日、次回のデートが楽しみだった。

33: 2013/10/06(日) 23:38:54 ID:SvtbrpK6
僕はドキドキと胸をときめかせていた。

本当は、彼女に隠している秘密があるのに。

でも、彼女にとって平和で安らかな日々が続くのなら、それでいいと思った。

34: 2013/10/06(日) 23:45:17 ID:SvtbrpK6
おしまい

引用: ベルトルト「二重の偽り」