1: 2010/11/16(火) 23:52:52.98 ID:6nyV4QzW0
「キョン、大好き」

その一言が言えなかったせいであんなに苦しんでいたなんて。

団活を早めに終え、家に帰る。

そのまま地下室に下り、頑丈な鍵を何個も外す。

分厚い鉄の扉を開き、内部から鍵をかける。

自分の家に、こんな地下室があったなんて最近まで知らなかった。

でも、それはとても都合が良かった。

「ただいま、キョン」

鎖で何重にも縛られたキョンは、ゆっくりとあたしを見る。

あたしだけを見る。
涼宮ハルヒの憂鬱 「涼宮ハルヒ」シリーズ (角川スニーカー文庫)

7: 2010/11/16(火) 23:59:06.32 ID:6nyV4QzW0
「今日はね、大変だったの」

「……」

「みくるちゃんがお盆をひっくり返してお茶を頭からかぶっちゃって」

「……」

「全く、ドジっ娘にもほどがあるわね」

「……」

最近、キョンは喋らなくなった。

ここに連れて来た時は、あれこれ文句を言ってたのだけれど。

もう、分かってくれたんだろう。

あたしは無精ひげの生えたキョンの頬を撫でる。

「キョン。お腹空いたでしょう? あたし、朝にお弁当作っておいたの」

キョンは何も喋らない。

ただ、あたしだけを見つめている。

10: 2010/11/17(水) 00:04:30.67 ID:3FydZhAn0
「じゃ、食べさせてあげるね。何からが良い?」

キョンは何も言わない。

だけどあたしには分かる。

「そう。玉子焼きがいいのね。うん、分かった」

あたしは自分の口に玉子焼きを放り込み、良く噛んだ。

キョンがお腹を壊さない様に、念入りに。

そしてキョンの唇のに、あたしの唇を重ねる。

どろどろの玉子焼きを、舌でキョンの口の中に押し込む。

キョンの喉が、それを飲み込む。

16: 2010/11/17(水) 00:14:15.72 ID:3FydZhAn0
ご飯、タコさんウインナ、鶏のから揚げ。
全部を口移し。

今日も残さず食べてくれた。

「そうだ、水も飲まなきゃね」

ミネラルウォーターを、これも一口づつ、ゆっくり飲ませる。

「どうかな? 美味しかった?」

「……」

「そっか、良かった! 嬉しいわ」

「……」

「本当はね? 作りたての、暖かい料理を食べさせてあげたいんだけど
 学校を休むわけにもいかないしね。……ごめんね?」

「……」

キョンはあたしを見つめてくれている。
それは分かってるよ、のサイン。

今度は本当のキスをした。

キョンの唾液があたしの唾液と混ざり合う。
三十分ほど時間が経って、あたしは嫌々ながらに唇を離す。

24: 2010/11/17(水) 00:29:44.34 ID:3FydZhAn0
キョンの体臭で一杯の、この天国のような地下室で。

まだしなくちゃいけない事もある。

「キョン、ちょっと脱がすわね」

あたしはキョンのオムツに手をつける。

案の定、オムツは汚れていた。

でも、あたしは平気だ。

だってキョンのオムツだもの。

キョンの身体に付いた汚れを、丁寧にあたしの舌で綺麗にする。

新しいオムツをはかせる。

「これですっきりしたわね、キョン」

キョンが目で、ありがとうと伝えてくる。

「いちいちお礼なんて要らないわよ、キョン」

時計を見る。

そろそろ行かないと家族に怪しまれる。

「じゃ、また明日ね、キョン」

26: 2010/11/17(水) 00:35:25.72 ID:3FydZhAn0
部屋を出て、鍵を閉めている時に、キョンの声が聞こえた。

分厚い鉄の扉が遮って、何を言ってるのかは聞き取れない。

でも意味は分かる。

ハルヒ、早く来てくれ。

ハルヒ、もっと一緒にいたい。

ハルヒ、好きだ。

うん、分かってる。

でも、今はまだ駄目なの。

そのうちに何とかするから。

任せといてよ、あたしはなんだってできる。

キョンの為なら、何だって。

地下室の階段を昇りながら、あたしは思う。

きっと、キョンには伝わってる。

29: 2010/11/17(水) 00:47:08.03 ID:3FydZhAn0
――
「涼宮さんの事ですが」

「……今の所は、特に異常は見当たらない」

「以前の涼宮さんと、全く変わりありませんよね。でも……」

「そうですね、朝比奈さん。変化が無い事が、異常なのです」

「涼宮ハルヒの力が使用されている形跡はある。しかし、それがどのような形かは、まだ私にも分からない」

「閉鎖空間も、ほぼ発生していませんしね」

「涼宮さんは、無理して普段通りに振舞ってるんじゃないでしょうか?」

「いえ、……彼女の精神状態は、安定しています」

「そう。そしてそれが一番不自然な事」

「性急な結論は出せませんが、何とかしないとならないでしょうね」

「涼宮さんの為、ですよね……」

「引き続き、調査は行う。その結果にもよるけれど……」

「強引な措置を取る覚悟を決めた方がいいでしょうね」

「そう、ですよね……」
――

30: 2010/11/17(水) 00:53:24.24 ID:3FydZhAn0
朝、目が覚めると、あたしは身支度をしてからお弁当作りを始める。

あたしの分と、キョンの分。

栄養のバランスを考えて、おかずを配置。

うん、完璧。

キョンの分のお弁当を、鞄の一番下に入れて、家を出る。

朝日が気持ち良い。

キョンにも、この気持ちを分けてあげたい。

あたしが話すだけじゃ、限度がある。

それに……二人で外を歩けたら、それはとても素晴らしい事だと思う。

朝日に、夕日、そして夜空。

一緒に見れたら、その感動は何倍にもなるだろう。

でも。

今は駄目。

まだ、キョンと一緒には歩けない。

早く、その方法を考えなくてはいけない。

34: 2010/11/17(水) 01:01:30.65 ID:3FydZhAn0
少し遅めに家を出たせいか、小学生の登校に出くわした。

……あれは?

「妹ちゃん、おはよ!」

「ハルにゃん? おはよー」

気のせいか、元気が無い。

いや、気のせいじゃない。

自分のお兄ちゃんが、キョンが、三ヶ月も帰ってこないんだから、当然だ。

胸が、痛む。

ごめんね、ごめんね。ごめんね?

「妹ちゃん、元気出して?」

あたしにそんな事を言う資格は無い。

だけど。

「うん。ハルにゃんもね」

笑ってあたしに言う。とても、良い子だ。

「……あたしはいつでも元気いっぱいよ!」

35: 2010/11/17(水) 01:07:33.69 ID:3FydZhAn0
教室に入り、自分の席に着く。

一つ前の席には誰もいない。

キョンはこの教室にはいない。

「涼宮さん、あの……」

国木田、だっけか。
あたしに話しかけてきた。

「あの、キョンの事なんだけど」

「国木田。……やめとけ」

谷口が彼を止める。

恐らく、キョンが行方不明になった事に対する、励ましでもするつもりだったんだろう。

また、胸が痛む。

キョンは、あたしの家の地下室にいるの。

だから、そんなに心配しなくていいの。

ごめんね? ごめんね? ゴメンネ?

37: 2010/11/17(水) 01:15:55.56 ID:3FydZhAn0
退屈な授業が終わる。

キョンと他愛も無い会話ができないのは、やっぱり寂しい。

あたしは気合を入れる。

放課後はSOS団だから。

教室を出る前に、キョンの机に触れる。

薄っすら、埃が手に付いた。

いくら使ってない机だからって、あんまりじゃないの?

掃除当番が手を抜いてるんだわ。

あたしは、雑巾で軽く拭いて、団室に向かった。

後ろで話し声が聞こえた。


「涼宮さん……」

「あいつだって、辛いんだろ」


ごめんね、あたしは辛くないの。

だって、キョンがいるから。

47: 2010/11/17(水) 01:29:54.85 ID:3FydZhAn0
――
「調査の結果が出た」

「お疲れ様です、長門さん。それで、どういった事態なのでしょう?」

「涼宮ハルヒは、彼を自宅の地下室に監禁している」

「えっ……それって……長門さん、本当なんですか?」

「事実。地下室は元々存在していなかった。彼女の能力が産み出したもの」

「そこに、彼を監禁していると?」

「……三ヶ月前。彼が私たちの前からいなくなったその時から」

「そんな……そんな!」

「覆しの無い事実、なんですね……長門さん」

「そう」

「あっ、あの! このままにしておくっていうのは……やっぱり、駄目、ですか?」

「朝比奈みくる。それは危険。いつかは破綻する」

「ならば……我々のする事は一つです。涼宮さんに、正気を取り戻してもらいましょう。
 ……それが、世界を崩壊させる引き金になるかもしれませんが」

「そう……ですね……」
――

50: 2010/11/17(水) 01:40:12.19 ID:3FydZhAn0
団室の扉を勢いよく開ける。

「みんな! 揃ってる?」

「はい、涼宮さん」

「は、はい」

「……いる」

「まあ、例によってキョンは欠席だけど……戻ってきたら、お祝いでもしましょ!
 本来なら氏刑なんだけど……行方不明じゃ、しょうがないしね!」

古泉君が、挙手をする。

「少し、宜しいですか……涼宮さん」

「ん? 何?」

「彼の事についてです。今日はその事を議題に、話し合いをすることを提案します」

あたしの喉が鳴る。

「だって、行方不明で……警察でも、捜索中なんだし……」

「あのっ、わたしも話し合いに賛成です」

「……私も」

有希にみくるちゃんまで?

56: 2010/11/17(水) 01:52:40.14 ID:3FydZhAn0
「……分かったわ。副団長の古泉君が提案して、みんなもその気なら、仕方が無いわね」

「ありがとうございます。……では、涼宮さんにお聞きしたいのですが」

「何よ?」

「先程、警察が彼の行方を捜査している、と仰られましたね」

「それが?」

「いえ。僕たちの知ってる涼宮さんなら……彼の捜索をSOS団で行わないのはおかしいと思いまして」

「そっ! それは……あたしたちはプロじゃないんだし、下手に行動しても効果は無いって考えてっ!」

「そうですね。筋は通っています。……ですが、僕たちに奇妙な情報が持ち込まれまして」

「情報?」

「これは、僕の携帯なんですが……今朝方、奇妙なメールを受け取りました」

「メー……ル?」

「件名は無し。内容は……『古泉、俺はハルヒに監禁されている』、とだけ」

違う。違う。違う。そんなわけ無い。
キョンはそんな事は言わない。
キョンがあたしを裏切るわけが無い!

「……ただの、悪戯でしょ、そんなの」

59: 2010/11/17(水) 02:05:16.93 ID:3FydZhAn0
「そうでしょうか? 僕のメールアドレスに届き、文章に僕の名前が入っているんですよ」

「そんなわけがあるはずがないのよ! キョンは携帯なんか持ってやしないんだから!」

「す、涼宮さん!」

しまった……! 失言、いえ、古泉君の誘導?

「……彼が携帯を持ってない、と断言できる以上は、涼宮さん。
 貴方は僕たちに、彼に関する隠し事をしていると僕は確信しました」

「……古泉君」

「ちなみに。メールなんて着ていません。カマをかけたんですよ」

「涼宮さん! お願いします! わたしたちに隠し事なんかしないでください!」

「……同じSOS団の仲間として。私たちは貴女に、嘘をついてほしくは無い」

「有希……みくるちゃん……」

「僕も同じ意見です。……世間に公表するつもりはありません。
 ですが……彼に、会わせてはもらえないでしょうか? 勿論、秘密は守ります」

キョン、キョン、キョン。どうすればいいの?

教えてよ、キョン!

――『ハルヒ。SOS団の仲間を信じろ』

61: 2010/11/17(水) 02:10:50.70 ID:3FydZhAn0
「え……キョン?」

「どうかしましたか、涼宮さん?」

「キョンの声が聞こえた……みんなを信じろ、って」

はっきりとあたしの頭に響いたその声は、幻聴なんかじゃない。
本当の、キョンの声だった。

「……みんな。今から、あたしの家に来て」

古泉君、有希、みくるちゃんは、それぞれ頷いた。

本当に、みんなを連れて行っていいのだろうか?
キョンとあたしを、離れ離れにするんじゃないんだろうか?

心配で心配でたまらない。

でも。

キョンの声が言った。

SOS団の仲間を信じろ、って。

キョンが言ったんなら、大丈夫よね。

団室の鍵を閉める。

65: 2010/11/17(水) 02:18:24.39 ID:3FydZhAn0
あたしの家へ進む、SOS団。

あたしは、これまでの事を、ぽつりぽつりと話していた。

三ヶ月前、自宅に地下室を見つけた事。

キョンを呼び出し、そこに住んでくれるように頼んだ事。

衣食住の全てをあたしが管理してきた事。

キョンがあまり喋らなくなり、でも心が通じ合ってきた事。

みくるちゃんが泣いていた。

古泉君が言った。

「涼宮さんは、彼が好きなんですね」

あたしは、僅かに頷く。

まだ親の帰っていない時間帯。

あたしはみんなを連れて、あたしとキョンだけの楽園、地下室への道を歩く。

たくさんの鍵を開け、分厚い鉄の扉を開く。


そこには鎖で幾重にも縛り付けた、キョンがいた。

69: 2010/11/17(水) 02:26:46.64 ID:3FydZhAn0
「キョン……くん……」

みくるちゃんが大きく目を開く。

「……衛生的とは言えない」

有希が失礼な事を言う。

そして、古泉君が……。

「お久しぶりですね。こんな形で会えるとは思いませんでした」

キョンに声をかける。

「……ああ、全くだ。しかしよく来てくれたもんだ」

キョンが喋ってる。どういう事なの?

「貴方は、ご自分の事は知っておいでですか?」

「まあな。ハルヒには何度も言ったんだが、聞いちゃくれなかった」

「それも仕方ないかもしれませんね。こうして目の前に貴方がいるのですから」

キョン、何を話してるの?

あたしとお喋りしよう?

ね? ね? ね?

75: 2010/11/17(水) 02:45:21.02 ID:3FydZhAn0
「古泉、長門、朝比奈さん。ハルヒに本当の事を教えて……いや、思い出させてやってくれ」

「そう、ですね」

本当の事? 何? 何を言ってるのキョン?

「涼宮さん。三ヶ月前、何があったか覚えてますか?」

「あたし……が、キョンを、ここに連れて……来て……」

「その、もう少し前です、涼宮さんっ!」

「もう、少し、前……?」

「涼宮ハルヒ、思い出して。赤信号、飛び出した貴方、追いかけた彼」

あたしの頭の中で何かが弾けた。
そして記憶が鮮明に甦る。

交通事故。
あたしを助けるために、飛び出したキョン。
消える『手術中』のランプ。

そして、キョンの葬儀。


――キョンは、氏んだ。三ヶ月前に、氏んだ。

84: 2010/11/17(水) 02:56:56.30 ID:3FydZhAn0
あたしは祈った。
キョンに再び会えるように。
涙を流す事も忘れ、ただひたすら祈った。

キョンが、そこにいた。
何かを訴えるキョンを、あたしは地下室に隠した。
もう、事故に遭わないように。
もう、氏んじゃわないように。

「キョンは……生き返ったの?」

「それは……」

古泉君の言葉を遮り、キョンが言う。

「それは違う。俺は、お前の力が産んだ存在だ」

否定したい。でも、分かってしまう。
このキョンは、キョンだけどキョンじゃない。
あたしの祈りが、願いが産み出した仮初の存在。

「お前はもう、気づいてるはずだ。自分が願望を叶える力を持ってるって事を」

キョンが言う。

「でも、氏人が生き返るなんて、常識では考えられない。
 心の底でそれを知ってるお前は、俺という存在を創造し、自分の記憶を改竄した」

「……あんたは、キョンは、行方不明であたしが監禁してるって?」

86: 2010/11/17(水) 03:09:08.28 ID:3FydZhAn0
「その通りだ」

鎖に繋がれたキョンは、溜息をつきながら続ける。

「本当に、見ちゃいられなかったぜ。俺はキョンとしての意識はあるが、造られた存在である事も理解していた」

「キョン……」

「この三ヶ月の間。俺が思ってたのは監禁されて辛い、なんて事じゃない。
 事実を受け入れずに造り物と戯れてる、お前の事だけだった」

「キョン……」

「いいか、ハルヒ。俺は、キョンは氏んだ人間だ。生きてるお前が、それに振り回されるな」

「でも、キョン!」

「頼むよハルヒ。本当の俺は、墓の下なんだ。俺を、本物の俺を、忘れないでくれ!」

「……キョン」

「古泉、長門、朝比奈さん。ハルヒの事を、宜しく頼む」

古泉君たちが、しっかりと頷く。

「さあ、ハルヒ。この三ヶ月間で、お前の気持ちは分かった。それを、本物の俺に伝えてやってくれ」

「……うん。……じゃあ、ね」

涙で霞んで見えにくいあたしの前で、キョンは存在する事を止めた。

87: 2010/11/17(水) 03:18:25.50 ID:3FydZhAn0
地下室は歪み、その形を変えようとしていた。

「さあ、外へ出ましょう、涼宮さん」

有希とみくるちゃんに支えられながら、階段を昇る。

外に出て、振り返ると、偽りの楽園の入り口は無くなっていた。

「涼宮さん、大丈夫ですか?」

みくるちゃんが、声をかけてくる。

答える代わりに、あたしはみんなに言った。

「今からSOS団で、キョンのお墓参りに行くわよ」

夕暮れの中、電車に乗ってキョンのお墓に向かう。

あたしはお墓には行ってなかった事を思い出す。


綺麗に掃除された、真新しい墓石の横には、キョンの本名が刻まれていた。
途中で買った線香を上げ、全員で黙祷する。

キョン。キョン。キョン。

キョン。キョン。キョン。

今まで出なかった涙が、後から後から溢れ出て止まらなかった。

88: 2010/11/17(水) 03:30:21.33 ID:3FydZhAn0
「涼宮さん、これからどうなるんでしょうか? 能力の事とか……」

「そうですね。こうなれば、彼女にきちんとした説明を……となるんでしょうね。忙しくなりそうです」

「……しかし」

「長門さん?」

「私は、悪いようにはならない気がしている。上手く言語化できないけど」

「僕も、そう思いますよ」

「そう、ですね……きっとそうですよ」


「キョン。ずっと言えなかった事、言うね」

「生きてる時に言えれば良かった……」

「……キョン、大好き」

風が吹き、その音の中で声が聞こえた気がした。

――『俺もだ、ハルヒ』


 -End-

89: 2010/11/17(水) 03:31:01.96 ID:3FydZhAn0
 本当はSOS団員全員でオムツプレイする話にするつもりだったのですが。
 読んで下さった方々、ありがとうございました。
 おやすみなさい。

117: 2010/11/17(水) 20:44:51.75 ID:3FydZhAn0


 な、何故そんなにオムツプレイに興味を……?
 ちょっと用事がありますので、もしスレが残ってたら書いてみます。

 落ちても多分立てますが。
 ハルヒ「キョン、オムツプレイって好き?」みたいな感じで。

124: 2010/11/17(水) 23:43:08.11 ID:3FydZhAn0
昨日の夜の事だ。

ハルヒからのメールが届いた。

『団長命令! 今から明日の団活まで、トイレに行くの禁止!』

……こいつは一体、何を考えているのやら。

しかしまあ、明日の放課後くらいまでなら我慢はできる。

俺は了解の文章を綴った返信を送り、その後は自慰を三回して眠った。


次の日の朝。

危うくトイレに入るところで、俺はメールの事を思い出した。

普通ならばれるはずは無いと思うのだが、何せあのハルヒの事だ。

鋭敏な知覚もしくは第六感で、必ず看破するに違いない。

大人しく従う事にし、しぶしぶ排泄を我慢した。

嗚呼、神に排泄の喜びを奪われた、哀れな子羊の俺。

なんて事を考えながら学校へ向かった。

125: 2010/11/17(水) 23:55:03.46 ID:3FydZhAn0
教室でハルヒが対面して初めて言った言葉は、

「あんた、トイレに行ってないでしょうね?」

というものだった。

「団長命令なんだろ? 行ってねえよ」

そう答えるとハルヒは、不思議なくらい上機嫌で頷いた。

「よろしい! ま、あんたが我慢できてるんなら、みんなは大丈夫よね」

「みんなって……SOS団全員にトイレ禁止を命じたのか?」

「そうよ。もちろんあたしも我慢してるわ!」

「一応聞くが、一体どういう訳で、俺たちはトイレを我慢しなきゃならないんだ?」

「それは団活までのお楽しみ! ふふ~ん」

まあ、答えが返ってくるのを期待した訳ではないのだが。

排泄行為を我慢するのがお楽しみとは、随分とマニアックな事だ。


俺は、授業が終わり、放課後になるまではそう思っていた。

しかし、団活が始まると、そんな考えはチョコラテの様に甘いものだと思い知らされる事となった。

引用: ハルヒ「キョン、大好き」