76: 2015/01/06(火) 12:56:51.86 ID:pwCdzZMk0
【追悼の風】
「ここは……いい町だな」
爽やかな風が吹く町は、とても平和であり美しい
そこで僕はあるリストランテへ入った。この町一番のピッツァを出す店らしい
「いらっしゃいませ……ご注文は?」
店の奥から出てきた店主は人の良さそうな顔で注文を取りに来る
「このリストランテには、楢の薪で焼く熱々のマルゲリータが有名だと聞いて来てみたんだが、それにポルチーニ茸を乗せて貰えないだろうか?………出来る?グラッツェ…よろしくお願いします」
この僕の少し我が儘な頼みを快諾してくれた店主はピッツァを作りに公房へと入っていった
「やはりこの町はとてもいいな…とても」
リストランテの窓から見える子供の遊ぶ姿を遠い目で見ながらポツリと呟いた
「ここは……いい町だな」
爽やかな風が吹く町は、とても平和であり美しい
そこで僕はあるリストランテへ入った。この町一番のピッツァを出す店らしい
「いらっしゃいませ……ご注文は?」
店の奥から出てきた店主は人の良さそうな顔で注文を取りに来る
「このリストランテには、楢の薪で焼く熱々のマルゲリータが有名だと聞いて来てみたんだが、それにポルチーニ茸を乗せて貰えないだろうか?………出来る?グラッツェ…よろしくお願いします」
この僕の少し我が儘な頼みを快諾してくれた店主はピッツァを作りに公房へと入っていった
「やはりこの町はとてもいいな…とても」
リストランテの窓から見える子供の遊ぶ姿を遠い目で見ながらポツリと呟いた
77: 2015/01/06(火) 14:56:06.92 ID:pwCdzZMk0
「意外にでかいな……食べきれるだろうか?」
勿論味も香りもとても良いのだがいかんせん一人で食べきれるものか難しそうな大きさなのである
これならミスタの奴も連れてきておくべきだったなと半ば後悔しながら熱々のマルゲリータにかぶり付く
すると窓の外にある少年が通った
普通なら気にも止めること無い存在のはずが、ソイツは僕の目を釘付けにした
ソイツはアイツに似ていた。始めてあった残飯を漁っている頃のアイツと同じ目をしている
誰も彼も、信じらんねぇ…信じたくもねぇ…
そんなこの世の薄汚い情念が渦巻いているかのような、そんな目をしていたアイツに
勿論味も香りもとても良いのだがいかんせん一人で食べきれるものか難しそうな大きさなのである
これならミスタの奴も連れてきておくべきだったなと半ば後悔しながら熱々のマルゲリータにかぶり付く
すると窓の外にある少年が通った
普通なら気にも止めること無い存在のはずが、ソイツは僕の目を釘付けにした
ソイツはアイツに似ていた。始めてあった残飯を漁っている頃のアイツと同じ目をしている
誰も彼も、信じらんねぇ…信じたくもねぇ…
そんなこの世の薄汚い情念が渦巻いているかのような、そんな目をしていたアイツに
78: 2015/01/06(火) 15:27:01.19 ID:pwCdzZMk0
気付いたら僕はそいつの手を引くとその青年に余っていたピッツァを差し出した
「食べなよ。僕はもうお腹いっぱいでね。これだけで足りないなら追加してもいい」
ソイツは驚いて何も言えず固まっていたが腹の音がなった瞬間にはガツガツと涙を流しながらピッツァにかぶり付いていた
僕は無言で彼の食事風景を見ていた
この町でこの少年に出会ったことは何かの縁なのだろうか?
アイツにそっくりなこの少年がこんなところにいるのは……運命なのだろうか?
ソイツはピッツァを食べ終えると僕にこう尋ねた
「あなたって…ギャングですよね?身のこなしも年のわりにも落ち着きがある。かといって身なりはきっちりとしている」
ここまではっきりと見抜ける辺りは、アイツとは違うところだな
「食べなよ。僕はもうお腹いっぱいでね。これだけで足りないなら追加してもいい」
ソイツは驚いて何も言えず固まっていたが腹の音がなった瞬間にはガツガツと涙を流しながらピッツァにかぶり付いていた
僕は無言で彼の食事風景を見ていた
この町でこの少年に出会ったことは何かの縁なのだろうか?
アイツにそっくりなこの少年がこんなところにいるのは……運命なのだろうか?
ソイツはピッツァを食べ終えると僕にこう尋ねた
「あなたって…ギャングですよね?身のこなしも年のわりにも落ち着きがある。かといって身なりはきっちりとしている」
ここまではっきりと見抜ける辺りは、アイツとは違うところだな
79: 2015/01/06(火) 15:47:32.66 ID:pwCdzZMk0
「ギャングなんだろ?頼むよ、俺をギャングにしてくださいよぉ。もうどうなったっていいんだよ俺はよぉ……」
その少年の悲痛な目を見た瞬間、僕の返事は決まっていた
無言で力一杯の一撃を少年の腹へ見舞う
当然その少年は吹っ飛んでいく
腹を抱えて苦しむ少年にこう吐き捨てた
「ギャングになりたい?自分なんてどうでもいい?ふざけないでくださいよ、僕のいる世界はそんな生半可な覚悟で入ってチャラチャラしていられるような世界なんかじゃあないんですよ。
この世界から掃き捨てられてごみ溜めの中で這いずり回った奴等が最後に落ちる場所なんですから」
そして顔を持ち上げ、その少年の目を見据えた
「君の目には…覚悟も凄みの欠片もない……。だが君がホントに覚悟が出来たなら、僕達の元へ来てもいいですよ」
そう言った後、幾らか病院代を渡すとその場を後にした
その少年の悲痛な目を見た瞬間、僕の返事は決まっていた
無言で力一杯の一撃を少年の腹へ見舞う
当然その少年は吹っ飛んでいく
腹を抱えて苦しむ少年にこう吐き捨てた
「ギャングになりたい?自分なんてどうでもいい?ふざけないでくださいよ、僕のいる世界はそんな生半可な覚悟で入ってチャラチャラしていられるような世界なんかじゃあないんですよ。
この世界から掃き捨てられてごみ溜めの中で這いずり回った奴等が最後に落ちる場所なんですから」
そして顔を持ち上げ、その少年の目を見据えた
「君の目には…覚悟も凄みの欠片もない……。だが君がホントに覚悟が出来たなら、僕達の元へ来てもいいですよ」
そう言った後、幾らか病院代を渡すとその場を後にした
80: 2015/01/06(火) 16:07:32.58 ID:pwCdzZMk0
次に僕がたどり着いた地は無縁墓地である
簡素な花束を手に僕はある人の墓参りに来ていた
ナランチャ・ギルガ。僕の組織のメンバーでありある戦いで氏んでしまった少年のためだった
「……あのとき、君は船に乗った。自分の意思で覚悟をもって」
ド低脳と罵った事もある彼は本当は僕よりも重要なことに気付いていた
今更になって君の墓参りに来る資格も無いような恥知らずだけれど、僕なりに成長したつもりだ
「僕は君のその勇気ある意思と覚悟に敬意を表する」
花束を墓へ添えしばしの黙祷を終えると耳に付いていたイチゴのイヤリングが風にそよいだ
「そうだ、君の食べようと思っていたピッツァ、とても美味しかったよ……。それじゃあ、アリーヴェデルチ」
そう墓に礼をすると、僕の町へと帰ることにした
今度来るときはあそこのピッツァを持っていくことにしよう。そんなことを考えながら……
END
簡素な花束を手に僕はある人の墓参りに来ていた
ナランチャ・ギルガ。僕の組織のメンバーでありある戦いで氏んでしまった少年のためだった
「……あのとき、君は船に乗った。自分の意思で覚悟をもって」
ド低脳と罵った事もある彼は本当は僕よりも重要なことに気付いていた
今更になって君の墓参りに来る資格も無いような恥知らずだけれど、僕なりに成長したつもりだ
「僕は君のその勇気ある意思と覚悟に敬意を表する」
花束を墓へ添えしばしの黙祷を終えると耳に付いていたイチゴのイヤリングが風にそよいだ
「そうだ、君の食べようと思っていたピッツァ、とても美味しかったよ……。それじゃあ、アリーヴェデルチ」
そう墓に礼をすると、僕の町へと帰ることにした
今度来るときはあそこのピッツァを持っていくことにしよう。そんなことを考えながら……
END
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