1: 2012/04/05(木) 23:03:32.55 ID:7ttMT5pi0

辺り一面を埋め尽くす機械の残骸の平原。
その中央で、二体のパワーローダーがガラクタ漁りをしている。




?「なんか見つかったー?」

ジャンク屋「なんもねぇなー、そっちはどうだ、相棒?」ガションガション

相棒「んー、ボクの方もないねぇ。」ガションガション



2: 2012/04/05(木) 23:04:00.62 ID:7ttMT5pi0

相棒「あ、これなんかどうだろ?」つ マネキン

ジャンク屋「……真っ赤なペンキがついてなくて、断末魔挙げてるみたいな表情じゃなけりゃあな。」ポイッ

4: 2012/04/05(木) 23:04:21.57 ID:7ttMT5pi0

相棒「じゃあ、これは?」つ 自転車

ジャンク屋「フレームが明後日の方向にひん曲がってるのと、タイヤがひしゃげてるのと、ブレーキワイヤーが千切れてるのと、サドルがないのが難点だなー、」

ジャンク屋「って全然だめじゃねぇかっ」ガシャッ

5: 2012/04/05(木) 23:05:06.62 ID:7ttMT5pi0

相棒「うーん、じゃぁこれどう?」つ 冷蔵庫

ジャンク屋「お、これいいかも、ドア開けたら吹き抜けになってて……って。」 ガシャーン

7: 2012/04/05(木) 23:05:26.97 ID:7ttMT5pi0
・・・

相棒「……どれもこれもガラクタばっかだね。」

ジャンク屋「“ガラクタ山”の名前は伊達じゃないわな。あー、今日も不作かー……。」

相棒「まぁそんな日もあるよー。」ポンポン

ジャンク屋「……お前はいいなぁ、気楽で。」

相棒「えへへ。」

8: 2012/04/05(木) 23:05:49.24 ID:7ttMT5pi0


ジャンク屋「飯にするかー。」

プシュー、ガチャッガチャッ

ジャンク屋「しっかし、作業用ローダーってもっと涼しい構造にならんもんなのかねー。」ヌギヌギ

相棒「そうだねー。」ヌギヌギ

相棒「ふー、あちー……シガニー・ウィーバーが乗ってた奴みたいなのだったらいいのにねー……」 パタパタヌギヌギ


10: 2012/04/05(木) 23:06:20.78 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「ああそうだなー……ってうわッ」ササッ

相棒「どうしたの?」

ジャンク屋「……あのさぁ。」

相棒「うん?」


ジャンク屋「年頃なんだからもうちょっと恥じらいってものを持てよ」

相棒「えー?パワーローダー脱いだだけでオーゲサな……」

ジャンク屋「汗で透けてんだよッ!!」

相棒「ふぇえっ!?」

12: 2012/04/05(木) 23:06:38.49 ID:7ttMT5pi0

相棒「…………キ、きききキミ相手だったら、ボボボボボクは平気だよ!?」フンスー

ジャンク屋「嘘つくな、明らかに強がってんじゃねぇかっっっ!!」

相棒「だだだだだっていつかは見られるもんだし!?」

ジャンク屋「何言ってんだかさっぱりわからんがとにかく着替えろおおおおおおおおおおおッッ!!」


13: 2012/04/05(木) 23:07:02.60 ID:7ttMT5pi0

***

相棒「あれ?」

ジャンク屋「ん、どうした?」

相棒「このトランクはなに?」

ジャンク屋「ああ、これか?中身入ってるっぽいから拾って来たんだ。」

相棒「ボクくらいだったら入るかも。」

14: 2012/04/05(木) 23:07:18.64 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「そういや、昔じっちゃんと観た映画で、そんなのあったっけな。」

相棒「あー、あったあった!」

相棒「ハゲの宅急便の話だったよね。」

ジャンク屋「そう、それ。よく覚えてるなぁ。」

相棒「あの映画、好きだったしねー。」


15: 2012/04/05(木) 23:07:34.78 ID:7ttMT5pi0

相棒「鍵穴が塞いであるけど、どうやって開ける?バーナー?」

ジャンク屋「バールくれバール。中身が燃えたら困るし。」

相棒「これまた古風な事。ほいさっ。」ヒョイッ

ジャンク屋「おっと。じゃ、開けるか。」ガッ 

相棒「頑張れー。」

ジャンク屋「ふんふんっ!!」グイッグイッ


ジャンク屋「 ど ぅ お り ゃ っ せ ぇ い っ っ っ !!!!」ベキーン


16: 2012/04/05(木) 23:07:56.56 ID:7ttMT5pi0

相棒「おー、開いた開いた。」

ジャンク屋「さぁーて、何が出るかね。金目のものだったらいいけれど。」




パカッ、ドサッ

ジャンク屋&相棒「「ッ!?」」


17: 2012/04/05(木) 23:08:31.34 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「……。」

相棒「…………。」

ジャンク屋「………………。」

相棒「………………確かにボクら貧乏だけどさ。」


18: 2012/04/05(木) 23:08:52.66 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「ああ……ああ?」

相棒「いくらなんでも“女の子を箱に詰めて誘拐”ってのはまずいんじゃない?」

ジャンク屋「いやいやいやいや、違うから。」

相棒「貧乏でさ、ご飯食べれない日もあるけどさ、それでも心まで貧しくなっちゃいけないよ!」

ジャンク屋「違うっての。聞けよ。」

相棒「……趣味なの?」

ジャンク屋「だから違うって言ってんだろおおおおおおおおおお!!!!」


20: 2012/04/05(木) 23:09:51.47 ID:7ttMT5pi0


相棒「……調べ終わったよー。」

ジャンク屋「……どうだった?」

相棒「うん、このコ、アンドロイドみたいだね。」


22: 2012/04/05(木) 23:10:07.68 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「だと思ったぜ。」

相棒「キミがそういうヤヴァイ嗜好の持ち主じゃなくてほっとしたよボクは。」

ジャンク屋「考えれば、髪の毛がこんなカラフルラジカルな女の子なんているわけねぇもんなぁ。」

相棒「萌えアニメじゃあるまいしね。」

24: 2012/04/05(木) 23:10:39.21 ID:7ttMT5pi0


相棒「よく出来てるけど、手首と後頭部にジャックとモデムがあるし、型番も入ってるみたい。」

ジャンク屋「ほほぅどれどrあいたァッ!?」パコーン

相棒「覗かないの!!」


25: 2012/04/05(木) 23:10:55.29 ID:7ttMT5pi0

相棒「じっちゃんのデータベース引いてみたんだけどさー。」

ジャンク屋「んー?」

相棒「この娘は“ボーカロイド”って言うんだって。」 ウィーンウィンウィン


27: 2012/04/05(木) 23:11:19.59 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「ぼーかろいど?」

相棒「うん、イベント用エンターテイメント・アンドロイドだって。」 クパァ……

相棒「制限つきの自己学習AIが搭載されてて、音楽やダンスを学習して歌って踊るとかなんとか。」 ヌチュクチュクチュ……

ジャンク屋「ほう。」


29: 2012/04/05(木) 23:11:43.82 ID:7ttMT5pi0

相棒「もちろんそれだけじゃつまらないってんで、」

相棒「ぱっと見、人と同じ振る舞いが出来る程度の強いAIが搭載されてるんだとか。」 ジュルジュル……

ジャンク屋「おいおい、そんなもん積んだらやばいんじゃ?」

相棒「でもやっぱりエンタメ用だしねぇ。」 ネトォッ‥…

ジャンク屋「へぇー……でも、そこまでよく出来てると、高いんだろ?」

相棒「でも捨ててあったわけだしねぇ。」 ヴィヴィヴィヴィヴィヴィ……


30: 2012/04/05(木) 23:12:06.66 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「……ところで、さっきから何を?」

相棒「ちょっと中開けて調べてるだけだよ?興味あるし。」 ギュイーン!

ジャンク屋「!あ、ああ、そうか。」

相棒「‥‥ひょっとして、えOちい事期待してた?」 ウィーンウィーン!

ジャンク屋「……ちょっとだけ。」

相棒「きみ は じつ に ばか だな。」 ジジジジジ

31: 2012/04/05(木) 23:12:40.18 ID:7ttMT5pi0


相棒「さて、中はほとんど無事だったし、これで電源入れたら動くと思うんだけど……?」

ジャンク屋「頼むぜ相棒。」

相棒「電源は耳の後ろだったっけ。」

相棒「ポチっとな。」


33: 2012/04/05(木) 23:12:57.14 ID:7ttMT5pi0



ガリガリガリガリガリ……カチッ ウィーン

ボーカロイド「…………!」 パチッ


35: 2012/04/05(木) 23:13:19.04 ID:7ttMT5pi0


ボーカロイド「…………?」パチクリ

相棒「あっ!点いた!」

ボーカロイド「…………。」 キョロキョロ

ジャンク屋「えーっと、俺達の事がわかるか?」

ボカロ「…………」 コク


37: 2012/04/05(木) 23:13:35.51 ID:7ttMT5pi0

相棒「ねーねー、なんか唄ってみてよ!」

ジャンク屋「ばっか、いきなり唄えなんて無理に決まってんだろ。おい、なんか喋ってみてくれ。」

ボカロ「…………。………………。」

相棒「あ、あれ?」

ボカロ「……ッ!ッッ!?」 アタフタ

ジャンク屋「おいおい、まさか…………!」




38: 2012/04/05(木) 23:13:55.21 ID:7ttMT5pi0


ボカロ「……‥‥…。」 ショボーン

相棒「うーん、人工声帯が壊れてるみたいだねぇ。」

相棒「部品を替えればイケると思うけど、この手の部品はジャンクにするもんじゃないし。」

ジャンク屋「街まで連れて行かないと駄目か。」





ジャンク屋「というわけで、しばらくの間だけど、よろしく。」

ボカロ「…………。」 ペコリ

39: 2012/04/05(木) 23:14:11.57 ID:7ttMT5pi0

相棒「ボーカロイドがいる生活かー。なんかとってもわくわくするね!」

ボカロ「…………?」

ジャンク屋「なんだそりゃ?」

相棒「きみはほんとうにばかだなぁ!」



相棒「メカ娘と同居する事と巨大ロボに乗る事は、全國のメカ好きの男の子の夢じゃないか。」



40: 2012/04/05(木) 23:14:28.95 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「お前なあ……」

相棒「なんか言った?」

ジャンク屋「いや、なにも。」


41: 2012/04/05(木) 23:14:50.46 ID:7ttMT5pi0

ボカロ「…………」パクパクパク


ジャンク屋「……って、聞いても無理に決まってんだろ。」

相棒「あ、そっか、ゴメン。」

ジャンク屋「ごめんなー、こいつ バ カ だから。」

相棒「ば、バカじゃないもん!バカっていう方がバカだもん!」

ジャンク屋「あ、言いやがったなバカのくせに!」

相棒「またバカって言った!」

ジャンク屋「うっせ、バーカバーカ!」


43: 2012/04/05(木) 23:15:19.32 ID:7ttMT5pi0


ボカロ「…………。」チョイチョイ

ジャンク屋「ん?下見ろって?」


 わたしのなまえは


ジャンク屋「地面に書いたのか」

ボカロ「…………」カキカキ


ジャンク屋「……よ、読めん……。」

ボカロ 「」ズコー

44: 2012/04/05(木) 23:15:51.28 ID:7ttMT5pi0

相棒「あ、これ知ってる!」

ジャンク屋「知ってるのか」


相棒「確か“カンジ”っていう、東の方の國の難しい字でしょ?」

ジャンク屋「……わかった、読めないってオチだろ?」

相棒「失敬な、ちゃんと読めるもん!……言うほどじゃないけど。」

47: 2012/04/05(木) 23:16:07.37 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「ほほう、ならば読んでいただこうか?」

ボカロ ゴゴリ……

相棒「えぇっとね……これが“3”と“9”だから……



   「“ミク”かな?」



ジャンク屋「……それ型番じゃね?」

ボカロ「…………。」

48: 2012/04/05(木) 23:16:34.28 ID:7ttMT5pi0

*工場*

ジャンク屋「……も、もうちょいなんとかなりません?」

工場長「いやぁ、お前さん達とは馴染みだし、もっとあげたいのは山々なんだが。最近取り締まりが厳しくなってなー。」

ジャンク屋「そんなぁ……」

工場長「ウチのような軍部お抱えの工場が、お前さん達みたいなのと取引してんのバレたらまずいんだ。」

50: 2012/04/05(木) 23:16:50.60 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「で、でも貴重な連邦製の部品ですよ!?ほら、輸入制限掛かってる奴。」

工場長「最近輸入制限緩んだんだが……知らんのか?。」

ジャンク屋「え、なにそれこわい」

工場長「しかも輸入制限が緩んだ代わりに、連邦製のジャンク品に規制がかかっちまってなぁ。」

工場長「だから今欲しいのは、帝國系統のジャンクなんだよなー。すまんなぁー。」

51: 2012/04/05(木) 23:17:19.51 ID:7ttMT5pi0


相棒「……どうだった?」

ジャンク屋「駄目だった……他当たれだとさ。」 ズーン

相棒「ま、まぁ、次があるって!」

ミク「…………。」 ショボーン

52: 2012/04/05(木) 23:17:37.12 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「ところで、ちょっと見て欲しいもんがあるんだ。」

相棒「なーに?」

ミク「…………?」

ジャンク屋「意思疎通が出来ないって不便だなー、と思ってさ。」ゴソゴソ


53: 2012/04/05(木) 23:17:58.75 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「ジャンクパーツから適当に見繕って作ってみたんだが……。」

相棒「あ、携帯用メッセージボードかぁ!気が効いてるじゃーん!」

ジャンク屋「はっ、俺はいつでも気が利いてんだろ!というわけで、チクッとしますよー、っと。」 

カチッ

ミク「…………ッ!」


54: 2012/04/05(木) 23:18:18.98 ID:7ttMT5pi0

*スクラップ工場*

相棒「オヤジさんいるー?」

工員「ああ、相棒ちゃんか!オヤジさーん、あの子達が来ましたぜー!」




オヤジ「おー、お前らか!よく来たなぁ!二階の部屋を使ってくれ。」

55: 2012/04/05(木) 23:18:36.05 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「また暫くお世話になります!」

オヤジ「久しく見ない内にお前さんは美人さんになりやがって!」ナデナデ

相棒「でへへへ…///」

ミク …

オヤジ「……で、そこのは?」

ジャンク屋「あ、この子はちょっと事情があって……」

56: 2012/04/05(木) 23:18:57.92 ID:7ttMT5pi0

オヤジ「……ふむ、お前らが連れて来るんだから変な奴ってこたぁないだろう。」

ジャンク屋「ありがとうございます、おやっさん。」

オヤジ「……お前さんもちゃんとお礼が言える真人間になったんだなぁ。オイラ感動で涙ちょちょ切れるわ。」

ジャンク屋「ちょ、昔の事は言わんで下さいよっ」

オヤジ「ま、いいってこった、お前達のじっちゃんには昔散々世話になったからよぉ。」


58: 2012/04/05(木) 23:19:30.88 ID:7ttMT5pi0

オヤジ「お前さん達ならいつでも歓迎だ。実家だと思っていつでも帰って来い、な?」ニッ

ジャンク屋「本当お世話になります。」ペコリ




59: 2012/04/05(木) 23:19:57.99 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「ところでおやっさん。」

オヤジ「なんでェ?」

ジャンク屋「俺達、ボーカロイド用の人工声帯ってのを捜してるんスけど、安く扱ってるところ知りません?」

オヤジ「……あの娘の事か?」

ジャンク屋「あ、やっぱりわかりました?」

60: 2012/04/05(木) 23:20:15.01 ID:7ttMT5pi0

オヤジ「ああいうもんがあるってのは知ってたが、まさか実物を拝めるとはなぁ~。」

ジャンク屋「成り行きで拾ったんスけど、声帯だけ壊れてるらしくって。」

オヤジ「相当珍しいもんだからなぁ、中古品でもなかなか手に入るもんじゃねェし…」

ジャンク屋「そうですか……。」

オヤジ「まぁでも、何かのついでに手に入ったら、真っ先にお前さん達に知らせてやるよ。」

ジャンク屋「よろしくお願います。」


61: 2012/04/05(木) 23:20:36.08 ID:7ttMT5pi0

相棒 ソロー……
ミク テクテク……


ジャンク屋「……俺がおやっさんと話し込んでいる隙に、お前ら何処行くんだ?」

相棒「!」ビクッ



63: 2012/04/05(木) 23:20:57.04 ID:7ttMT5pi0

オヤジ「……あーあ、バレちまいやがって。ほれ正直に言ってやんな。」

相棒「ミクちゃんの服買いに行くんだよ。」

ジャンク屋「……金は?」

相棒「M資金からー。」

ジャンク屋「何?」ギュー

64: 2012/04/05(木) 23:21:19.10 ID:7ttMT5pi0


相棒「いひゃいいひゃいいひゃいやめへやめへ……オヤジさんから貰ったんだってば。」

ジャンク屋「!またお前という奴はっ!」

相棒「てへっ☆」




65: 2012/04/05(木) 23:21:37.70 ID:7ttMT5pi0

オヤジ「まぁまぁ、気にすんな。おいらが好きでやったんだからよ。」

ジャンク屋「おやっさん、すみません。」

相棒「そうだよ、気にしない!」

ジャンク屋「お前が言うか……まぁ、いつまでもお前のボロツナギ着せとくわけにもいかないしな。」


66: 2012/04/05(木) 23:21:53.91 ID:7ttMT5pi0

相棒「……ボロってわかってるなら、ボクのも買ってくれりゃいいのに。」

ジャンク屋「お前の場合どうせすぐ汚すじゃん。」

相棒「ケチ。」

ジャンク屋「なんか言った?」

相棒「いってきまーす。」スタスタ


67: 2012/04/05(木) 23:22:13.35 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「(というわけで、御茶でも啜りつつ、留守番してるわけだが。)」

ジャンク屋「(……なーんか見られているような。)」チラチラ










ユラァッ

68: 2012/04/05(木) 23:22:32.26 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「(なんだ今の揺らぎ!?)!誰だお前!?」

刺客「……チッ」ダッ

ガシッ

ジャンク屋「ぐえっ!?」

刺客「…………。」グググ

ジャンク屋「(喉が絞まって……なんて馬鹿力だっ……!?)」







ガチャ

相棒「たっだいまー☆」

69: 2012/04/05(木) 23:22:47.85 ID:7ttMT5pi0

相棒「見てみて可愛いでsy……ええええええええええ!?」

刺客 ビクッ!

ジャンク屋「(今だっ!!)」

ガチャン
ばしゃあっ!

刺客「ッ!?」バチッバチバチッ バチッ


71: 2012/04/05(木) 23:23:09.11 ID:7ttMT5pi0

相棒「大丈夫!?」ダッ

ジャンク屋「げほげほっ……耐水性のなさ、ゆらぎ、やっぱり光学迷彩か!!」

刺客「………………。」スチャ


73: 2012/04/05(木) 23:23:26.87 ID:7ttMT5pi0

相棒「ちょ、誰さ、こいつ!?」

ジャンク屋「んな事俺が知るか!」





ばたん!

???「なーんかどったんばったんしてると思ったらよォー……」


74: 2012/04/05(木) 23:23:43.91 ID:7ttMT5pi0

刺客「ッ!?」

オヤジ「ウチの若いのに、何してくれてんだテメえええええええええ!!!!」ジャキッ

ジャンク屋「ちょ、おやっさん!」



刺客「!!」

ドォン!



75: 2012/04/05(木) 23:24:15.29 ID:7ttMT5pi0

刺客「」ドタッ

相棒「顔面にもろに食らった……!?」

ジャンク屋「おい生きてるか!?しっかりしろ!!」ユサユサ




刺客「…………うう……」

ジャンク屋「よ、よかった、氏んd」ふにっ

77: 2012/04/05(木) 23:24:30.96 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「……ん?」

相棒「……マスク、とってみたら?」

ジャンク屋「あ、ああ。」

パコッ プシュー



女剣士「…………」クター

78: 2012/04/05(木) 23:24:50.45 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「こいつ女だったのか……!?」ゴゴリ

相棒「……鼻の下伸びてるよ?」ジトー

ジャンク屋「な、ば、馬鹿言え!殺されかかったんだぞ!」

相棒「へぇー?」ジトー



女剣士「………………?」パチ

79: 2012/04/05(木) 23:25:08.24 ID:7ttMT5pi0

相棒「あ、起きた。」

女剣士「………………???」パチクリ

ジャンク屋「おい、アンタ大丈夫か?」




女剣士「!」

バキョッ

ジャンク屋「ふらばっ!?」

81: 2012/04/05(木) 23:25:24.86 ID:7ttMT5pi0


女剣士「……。」ダッ

相棒「ああっ逃げちゃう!?」

オヤジ「おい、待ちやがれ……どわっ!!」ドカッ

がしゃーん!






……

82: 2012/04/05(木) 23:25:48.13 ID:7ttMT5pi0

その夜


ジャンク屋・相棒「「……お世話になりましたー。」」ペコリッ

オヤジ「おいおい大丈夫か?さっきの事気にしてんだったらおいらぁ別に……」

83: 2012/04/05(木) 23:26:06.48 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「いやいや、これ以上おやっさんに迷惑はかけられないっすよ。」

相棒「それにまたライフル持たせたら危……げふんげふん」

オヤジ「そういうなら仕方ねぇけどよぉ……また近くまで来たら顔見せてくれ。」



カチッ brrr……

相棒「ありがと、おやっさーん!」ノシ

オヤジ「また来いよー!」ノシ


……

86: 2012/04/05(木) 23:26:32.15 ID:7ttMT5pi0

相棒「……とは言ったものの、行くアテはないんだよね。」

ジャンク屋「まぁ、いざとなれば野宿出来るからいいけどな。」

ミク<すみません……。>

87: 2012/04/05(木) 23:26:52.81 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「いや、そこでなんでお前が謝るんだよ、お前何も悪くないじゃん。」

相棒「そーだよ。ボクらもおやっさんも何したってわけじゃないんだから気にしなくてもー。」

ミク「……」

ミク<実は、>

相棒「……どうしたの?」




ミク<お二人に話しておきたい事があるんです。>


88: 2012/04/05(木) 23:27:19.21 ID:7ttMT5pi0

ドンドンドン!!


オヤジ「ったく、今何時だと思ってやがるんだ……。」ガチャ




89: 2012/04/05(木) 23:27:35.12 ID:7ttMT5pi0

ずかずかずかずか

オヤジ「……これはこれは軍服さんがお揃いで、一体何の御用事ですかい?」

部下1「おい貴様、ここに、ボーカロイドを一体連れた若い男女が来ただろう?」

オヤジ「さぁ?ウチには若い衆がいっぱいいるんでね。どれの事を言ってるのやら。」

部下2「おい、隠し立てすると為にならんぞ!?」

91: 2012/04/05(木) 23:28:03.59 ID:7ttMT5pi0

オヤジ「……で、そいつらは一体、何の罪なんです?」

部下1「窃盗、國内における違法な破壊活動、國家反逆、スパイ行為、及び敵國との取引の容疑だ。」

オヤジ「おいおい、そんな御大層な奴ァ、おいらの知り合いにゃいませんぜ?」



??「もういい、お前達、下がれ。」

93: 2012/04/05(木) 23:28:40.35 ID:7ttMT5pi0

部下1「し、しかし!」

??「下がれと言ってるんだ。」

部下2「はっ!……。」


94: 2012/04/05(木) 23:28:57.26 ID:7ttMT5pi0

??「……部下達が失礼した。」

オヤジ「どこのどちらさんなのか、名乗りもしないのが最近の軍人さんの礼儀って奴なんですかい?」

??「……それもそうだな。」

??「私は帝國陸軍大将付副官の“中尉”だ、よろしく。」

95: 2012/04/05(木) 23:29:13.78 ID:7ttMT5pi0

オヤジ「へへぇ、将校にしてはお若いんですな。見た感じ、一番の下っ端だと思ってましたが。」

部下2「おい貴様、侮辱する気k」

中尉「下がれと言っただろう?二度も同じ台詞を言わせるなよ阿呆が。」

97: 2012/04/05(木) 23:29:37.20 ID:7ttMT5pi0

オヤジ「……で、そんなお偉いさんが何の御用事で?」


中尉「端的に言おう。貴方のその若い友人達について、軍の重要機密を盗んだ疑いがかかっている。」


オヤジ「そんな馬鹿な~。」ヘラヘラ

中尉「無論、私も信じたい。信じたいが、これもまた仕事でね。」

98: 2012/04/05(木) 23:29:58.11 ID:7ttMT5pi0

オヤジ「で、そのままサツへ引き渡すと?」

中尉「いやいやいや、それは違う。彼らのような職業も法的には認められているからな。」

中尉「どうやら指定外の企業とも取引しているようだが、それとこれとは別問題。」


99: 2012/04/05(木) 23:30:13.57 ID:7ttMT5pi0

オヤジ「だったらなんで……?」

中尉「だから言っただろう、これは軍の重要機密に関連する問題だと。」

中尉「会ってみて、疑いが晴れればそれでかまわない。それ以上接触する理由がない。」


101: 2012/04/05(木) 23:30:41.00 ID:7ttMT5pi0

中尉「それに、もし協力してくれるなら……個人的なお礼として、貴方に中央技術部の友人を何人か紹介しよう。」

オヤジ「!!」

中尉「おぉっと、もちろん彼らにも、だ。無論、人格的に問題がなければの話だが。」

オヤジ「!!!」

102: 2012/04/05(木) 23:31:03.46 ID:7ttMT5pi0

中尉「もっとも、協力する気がないなら、それはそれでかまわんよ。」ニヘラ

中尉「だが、その場合、その友人達の身の安全を保証する事は出来ないがな。」

オヤジ「…………ッ」

中尉「よく考えてもらいたい。」

104: 2012/04/05(木) 23:31:38.10 ID:7ttMT5pi0

中尉「貴方の若い友人達はおそらく、浮浪児のような生活を送っているんじゃないか?」

中尉「あるいは、連邦のスパイに騙され、利用されているのかもしれない。」

中尉「彼らを庇いたい貴方の態度もよくわかる。だがしかし、」

中尉「そうした“悪”から若者を守り、救ってやるのも、私達大人の義務だと私は思うが、いかが?」


オヤジ「……。」



さるってあったっけ

105: 2012/04/05(木) 23:32:00.03 ID:7ttMT5pi0



ミク<思い出したんです、私の持ち主<マスター>の事を。>

ジャンク屋「おぉ、マジか!?」

相棒「どんな人どんな人!?」

ミク<いつも白衣を着ている男の人で、皆からは「ハカセ」「ジュンさん」と呼ばれていました。>

相棒「……なんか聞き覚えのあるような。」

ジャンク屋「気のせいだろ。続けて続けて。」

106: 2012/04/05(木) 23:32:19.90 ID:7ttMT5pi0

ミク<「ハカセ」は私の事をとても可愛がってくれました。それこそ気色悪いくらいに。>

ジャンク屋「き、気色悪い?」

ミク<ちょっとだけ。>

相棒「うーん、その人の気持ちもわからなくもないけど、流石に気色悪いまでいっちゃうとねぇ」

ジャンク屋「お前が言える台詞じゃないな。」

相棒「どういう意味さ?」

ジャンク屋「さぁな。で、その「ハカセ」氏たぁ、ナニモンだ?」

107: 2012/04/05(木) 23:32:37.95 ID:7ttMT5pi0

ミク<「ハカセ」は“衛星”に関連する研究をしている人でした。>

ミク<どんな研究なのかは知りませんし、教えてもらえませんでしたが、>

ミク<大事な研究だそうで、「ハカセ」のところには毎日毎日、いろんなお客さんが来ていました>


108: 2012/04/05(木) 23:32:54.32 ID:7ttMT5pi0

ミク<ある時期から、お客さんの中に“茶色い服を着た人”が来るようになりました。>

ミク<ソリが合わない、とでも言うのでしょうか、>

ミク<茶色い服を着たお客さんと「ハカセ」は、研究の事で度々口論になっていました。>


110: 2012/04/05(木) 23:33:10.72 ID:7ttMT5pi0

ミク<そんな事が何度か続いたある日、「ハカセ」が私に、>

ミク<『大掛かりなメンテナンスをしたいからスリープモードにさせて欲しい』と、言いました。>

ミク<今思えば、おかしな話でした。そこまでの故障があれば私自身わからないはずがないのに。>



ミク<そして、それが私の見た「ハカセ」の最後の姿でした。>

111: 2012/04/05(木) 23:33:35.30 ID:7ttMT5pi0

ミク<「ハカセ」はこうも言っていました。>

ミク<『目覚めた時、ひょっとすると僕は傍にいないかもしれない』>

ミク<『信用出来る人に見つけてもらったら、この事を話すんだよ』>

ミク<『例の茶色い服を着た人達とは絶対に関わっちゃ駄目だよ』って。>


113: 2012/04/05(木) 23:33:56.56 ID:7ttMT5pi0

相棒「……なんか複雑なんだね、ミクちゃんも」

ジャンク屋「茶色い服……ねぇ。」

ミク<心当たりがあるのですか?>

ジャンク屋「あ、いや、気のせいだ。」





すたすた

??「やぁ青年少女の諸君、随分捜したよ。」

114: 2012/04/05(木) 23:34:28.00 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「……誰だあんた?」

中尉「君らが連れ回しているボーカロイドを探していた者だ。見ての通りの軍人、階級は中尉さ。」

相棒「ミクちゃんを?」



中尉「そのボーカロイドは我々帝國陸軍の所有物でね。渡してもらおうか。」


115: 2012/04/05(木) 23:34:45.09 ID:7ttMT5pi0


ジャンク屋「証拠は?」

中尉「そのボーカロイドのシリアルは『VL三十九-01983457』じゃないかね?」

ジャンク屋「……ああ。そうだったかもな。」

中尉「そして声帯部分に故障がある…………だろ?」



相棒「(ホントの持ち主かなぁ?)」ヒソヒソ

ジャンク屋「(いやー、まだわかんねーぞー?)」ヒソヒソ

116: 2012/04/05(木) 23:35:08.26 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「……こちらもショーバイなんでね。」

ジャンク屋「ジャンク屋が“規定領域”で回収したもんはジャンク屋の商品だ。ただで商品を渡すわけにはいかないな。」

中尉「ふむ。金なら相応の額を用意してある。おい、例の物をここへ。」

部下1「はっ。」


117: 2012/04/05(木) 23:35:24.59 ID:7ttMT5pi0

パチパチッ

ジャンク屋「!」

相棒「す、凄い大金……!」

中尉「悪くない取引だと思うが……どうかね?」



ミク チョイチョイ

118: 2012/04/05(木) 23:35:41.47 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「……ん、なんだ?」

ジャンク屋「ちょ、ちょっと話をさせてもらっていいか?」

中尉「かまわんよ。じっくり相談してくれたまえ。」

119: 2012/04/05(木) 23:36:02.94 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「……どうしたんだ?」ヒソヒソ

ミク <この人、“茶色い服を着ているお客さん”と同じ服を着ています>

ジャンク屋「……やっぱりそうか。」

120: 2012/04/05(木) 23:36:24.52 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「一つ教えてくれよ軍人先生。」

中尉「なにかね?」

ジャンク屋「何に使うのかぐらい、教えてもらってもかまわねーよな?」

中尉「!」

121: 2012/04/05(木) 23:36:40.16 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「あんたらは知らんだろうが、アンドロイドってのは下手すりゃ犯罪の道具にもなる。」

ジャンク屋「俺らにも信用ってもんがあってね。犯罪の道具売り付けたって評判が立つとこっちが困るんだ。」

122: 2012/04/05(木) 23:37:15.40 ID:7ttMT5pi0

中尉「……んー、それは出来ない相談だな。ま、ある種の“実験”に使われるとだけ言っておこう。」

中尉「だが、それで君らが害を被る事はない。私が保証してもいい。」

ジャンク屋「ふーん……じゃぁ渡せねぇなぁ。」

中尉「……。」




中尉「……図に乗るなよ社会のゴミが。」ボソッ

123: 2012/04/05(木) 23:37:31.94 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「なんだと?」

中尉「図に乗るなと言ってるんだ。こちらが下手に出ればつけ上がりやがって。」

124: 2012/04/05(木) 23:37:49.60 ID:7ttMT5pi0

中尉「陸軍将軍付副官という私の役職の意味がよくわかっていないようだから、教えてやるが。」

中尉「私がその気になれば強制執行で無理やり奪う事も出来る。」

中尉「それどころか、君達を公務執行妨害、スパイ容疑でぶち込む事さえ出来るわけだよ。」

125: 2012/04/05(木) 23:38:04.94 ID:7ttMT5pi0

中尉「……ここで交渉に応じてやっているのが私の善意だって事をどうしてわかってくれない?」

ジャンク屋「なんだt」

部下 チャキッ

ジャンク屋「……チッ。」


127: 2012/04/05(木) 23:38:26.41 ID:7ttMT5pi0

中尉「……とまぁ、ここまで言ったんだから、いくら育ちと頭と諦めが悪くてもわかるよな?」

中尉「これ以上ごねるなら“交渉”は無しだ。あとは……言わせないでくれ。」

ジャンク屋「(……なるほど、そこまでして手に入れたいってわけか。)



ジャンク屋「まぁあんたの言い分もわk」

相棒「 異 議 あ り !!」ズイ

128: 2012/04/05(木) 23:39:17.35 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「おいこら、お前邪魔すんな!」

相棒「だってそうでしょ?拾い主に言えないなんて、どーせろくな事じゃないに決まってるって。」

中尉「ほほう、これはこれは随分強気なお嬢さんd……!!」

129: 2012/04/05(木) 23:39:36.33 ID:7ttMT5pi0

相棒「……なにさ?」

中尉「お、お前は……?」ジリッ

相棒「ボクの顔に何かついてるの?」

中尉「いや、馬鹿なそんなはずが……!?」

130: 2012/04/05(木) 23:40:19.54 ID:7ttMT5pi0

部下1「いかがなされましたか中iどわっ!?」バキッ

部下2「ぎゃっ!?」ガッ

中尉「なんだ!?」






女剣士「……間に合った。」スゥ…

131: 2012/04/05(木) 23:40:45.95 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「あ、あんたはっ!?」


中尉「その光学迷彩と長剣、それに強化外骨格鎧……貴様、“摂政親衛隊”だな?」

女剣士「……。」

中尉「やれやれ、摂政殿の走狗がこんな辺境まで、何の用事かね?」

女剣士「……彼らは我々の保護対象。こちらに渡してもらう。」







相棒「(なんか、変に話が拗れて来てるけど……?)」ヒソヒソ

ジャンク屋「(とりあえず様子を見るか、動いたら何されるかわかんねーし。)」ヒソヒソ

相棒「(そうだね…。)」ヒソヒソ

132: 2012/04/05(木) 23:41:30.37 ID:7ttMT5pi0

中尉「保護対象……ねぇ?」

女剣士「こちらも事を荒立てたくはない。貴方と同じように。」

中尉「目立つも何も。」

中尉「我々は我々の管轄下において、法的手続きを取った上で、物品の押収を行なっているだけだ。」

133: 2012/04/05(木) 23:41:56.68 ID:7ttMT5pi0

女剣士「摂政閣下の勅命が出ている。貴方達“軍部”の出る幕ではない。」

中尉「ほほう、“摂政閣下の勅命”とやらが、陸軍大将閣下の命令も行政法も無視するもんだとは知らなかったよ。」

女剣士「摂政閣下の勅命はすなわち帝國皇帝陛下の勅命。素直に渡して欲しい。」

中尉「陸軍の指揮権も先帝陛下から大将閣下へ直接委任されている。摂政閣下とは同格の扱いのはずだがね?」

女剣士「……貴方と話していても無駄。」

134: 2012/04/05(木) 23:42:12.29 ID:7ttMT5pi0

女剣士「これ以上妨害するなら“超法規的措置”を取らせて貰う。」

中尉「ほほう。それはそれは奇遇だな……」

シャッ!

女剣士「ッ!」



中尉「ちょうど同じ事を言おうとしていたところだッ!」ヒュンッ

135: 2012/04/05(木) 23:42:27.96 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「逃げるぞ!!」

相棒「う、うん!!」

ミク コクッ


136: 2012/04/05(木) 23:42:49.42 ID:7ttMT5pi0

女剣士「!」

金的!

中尉「おうほぉっ!?」

部下1「ちゅ、中尉殿!!」

中尉「た、タマッ!たまが!たまげたああああああああああああ!!」ゴロゴロゴロ


137: 2012/04/05(木) 23:43:05.70 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「おい、早く出せ!」

相棒「わかってるってば!」ガチャガチャ

女剣士「まって!」


カチッ brrrrrrrrrrrr…

相棒「点いたッ!」

キキィィーッ


140: 2012/04/05(木) 23:43:40.66 ID:7ttMT5pi0

女剣士「……っ。」ダッ

中尉「わ、私はいいからッ……バイクで、早く追えェェ……!!」

部下2「は、はっ!」


141: 2012/04/05(木) 23:44:34.74 ID:7ttMT5pi0


ジャンク屋「お、おい、追って来たぞ!?」

相棒「任せて!ポチっとな。」ポチッ

ギゴガゴギゴガゴ

ミク<変形してる?>

142: 2012/04/05(木) 23:44:51.21 ID:7ttMT5pi0

相棒「足りない、足りないぞぉぉぉぉっ!!」

ミク「!?」ビクゥッ

相棒「このバギーに足りないもの、それはァァァ!!」

ミク「……?」

ジャンク屋「ああ気にすんな、こいついつもこうだから」



143: 2012/04/05(木) 23:45:45.74 ID:7ttMT5pi0


相棒「情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!!」

相棒「そして何よりもッ!!」




         「『 速 さ が 足 り な い !!』」


144: 2012/04/05(木) 23:46:06.34 ID:7ttMT5pi0

部下1「な、なんだあのスピードは!?」

部下2「作業用バギーだよなアレ!?」

部下1「なんでバイクの俺らが追い付けねェスピードで走ってんだアレ!?」


145: 2012/04/05(木) 23:46:35.07 ID:7ttMT5pi0

ジャンク屋「なんかすげぇスピード出てねぇか!?」

相棒「そりゃそうだよ、僕が直々に魔改造したんだもーん。」フンス

ミク<強度とか大丈夫なんですか?>

相棒「だいじょーぶだいじょーぶ、ヅダみたいにならないからー!」

ジャンク屋「加速し過ぎてブッ壊れた奴と一緒にすんなよ、縁起でもない。」

ミク<その発言も大丈夫なんですか?>



147: 2012/04/05(木) 23:46:55.06 ID:7ttMT5pi0
*バスの車窓から*

子供「……おかあさん、おかあさん!」

母「どうしたの坊や?」

子供「向こうからすっごい速さで車が走ってくるよ!」

母「あらやだ、危ないわねぇ。」

148: 2012/04/05(木) 23:47:17.67 ID:7ttMT5pi0

子供「おかあさん、おかあさん!」

母「どうしたの坊や?」

子供「この バス から となり の 車 の やね に 人 が とびのったよ!」

母「……悪い夢でも見たのね、可哀そうに。」ナデナデ

149: 2012/04/05(木) 23:47:35.73 ID:7ttMT5pi0

子供「ほんとうだって!見てよ!」

母「はいはい。」

子供「ほら!見てってばー!」

母「まったく、そんなわけないでs……!!」


158: 2012/04/05(木) 23:56:58.06 ID:7ttMT5pi0

がんっ!

相棒&ミク「「!」」

ジャンク屋「なんか屋根の上で音が!?」


ズバンッ!ズバズバッ!


161: 2012/04/05(木) 23:58:36.11 ID:7ttMT5pi0

がしゃーん




女剣士「…………みつけた。」チャキッ


さるってめんどいな

163: 2012/04/06(金) 00:00:38.13 ID:3UgsgOKl0

相棒「あーッ!!こいつ、車の屋根を!!」

ジャンク屋「ってちょ、おま!!」

相棒「何さ!?」

ジャンク屋「前前前!前見ろ前ええええええええええ!!」

相棒「へ?」

165: 2012/04/06(金) 00:01:03.92 ID:7ttMT5pi0

相棒が視線を戻した先はT字路で、


相棒「わあああああああああああああああ!?」


その正面は八百屋が客と談笑しているところであった。

167: 2012/04/06(金) 00:01:44.30 ID:/FJ40S2l0

ジャンク屋「うおおおおおおおおおおおおお!?」

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!!

女剣士「ッッッ!!!」

どかーん!



クルマ カラ ヒト ガ オチタゾー!ギャー!ウワー!

168: 2012/04/06(金) 00:02:49.00 ID:/FJ40S2l0

ミク<今の人、野菜の山に突っ込みましたね>

相棒「危なかった……すっごく危なかった……ッ!」

ジャンク屋「気をつけろバカッ!」ポカッ

相棒「あいたっ!」

170: 2012/04/06(金) 00:04:16.64 ID:7ttMT5pi0

相棒「さーてもう一発ブーストかけて一気に逃げきっちゃうよー……って、あれ?」カチッ

ジャンク屋「……嫌な予感がすっげぇするんだけど、どうした?」

相棒「アクセル掛かんない……」カチッカチッ

ジャンク屋「え?」

相棒「さっき上でゴチャゴチャやってたせいかも……」タラー

173: 2012/04/06(金) 00:05:22.16 ID:3UgsgOKl0

ミク<三行で>


相棒「バギー
    止まる
   オワタ\(^o^)/」


ミク<把握>

175: 2012/04/06(金) 00:05:42.16 ID:3UgsgOKl0

プスン……

ジャンク屋「ヤバいな、よりによって検問所の前で……!」

相棒「ヤバイ、止まっちゃうよ……!」

??「おい、そこの屋根全開バギー、脇に寄せろ!」

176: 2012/04/06(金) 00:06:00.22 ID:3UgsgOKl0

相棒「げっ」
ジャンク屋「んなっ!?」

??「この時間の、この街を、この通り沿いに、このスピードで抜けよう、というお前達の読みは間違っちゃあいない。」

??「この辺りの道と交通事情に詳しい人間だからこそ出来る芸当だ。」






中尉「だが、私もこの辺りの出身でね。先回りさせて貰ったよ。」

177: 2012/04/06(金) 00:06:21.11 ID:/FJ40S2l0
ジャンク屋「……クソッタレ。」

中尉「んっんー、聞こえたぞー青年ー?」

バキッ

ジャンク屋「ぐほっ!?」

相棒「ちょ、乱暴しないで!!」

中尉「おおっと、これは失礼。手が滑った。」


178: 2012/04/06(金) 00:06:38.49 ID:3UgsgOKl0

中尉「全員、本部に連れて行け!」

部下s「はっ!」





……

184: 2012/04/06(金) 00:09:36.26 ID:3UgsgOKl0

*その頃、T字路の八百屋*

八百屋「おいおい、大丈夫かッ!?」バタバタッ

女剣士「……」むくり

八百屋「アンタ、車から放り出されたんだぞ?」

女剣士「野菜が……。」

八百屋「そ、それもそうだが……大丈夫かあんた?」

女剣士「……平気。」 コキッコキ

八百屋「ぶ、無事ならいいんだが……」





女剣士「……ごめんなさい。」ダッ


186: 2012/04/06(金) 00:10:43.12 ID:3UgsgOKl0

*独房*

ジャンク屋「(捕まっちまった……)」

ジャンク屋「(相棒の方もどこ連れて行かれたかわかんねーし、ミクもどうなったかわかんねぇし……)」

ジャンク屋「クソ、なんて厄日なんだ……。」




オ、オイ キサマ ナニモノd ドガッ バンボッビィ!

ジャンク屋「!」

ケ、ケイビヲヨb バギョッ オプティマース! ガンッ


女剣士「……またせた。」ストッ

189: 2012/04/06(金) 00:12:05.70 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「あんたか……こんなとこまで頃しに来るとは、随分律儀なこった。」

女剣士「……頃す?」

ジャンク屋「どうしてもロシナンテもねぇよ。勅命だのなんだの言ってたじゃねーか。」


女剣士「……わたしは頃し屋じゃない。」


193: 2012/04/06(金) 00:13:00.15 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「………はい?」

女剣士「だから、わたしは頃し屋じゃない。」シャキン

ジャンク屋「何言ってんだよ。昼間俺を殺そうと……!」

女剣士「その事については詫びさせて欲しい。それに頃す気はなかった。」

195: 2012/04/06(金) 00:13:36.95 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「頃す気はなかった、だと?」

女剣士「当初、あなた達にはスパイ容疑が掛かっていた。」

女剣士「今回のわたしの任務は秘密任務。誰にも知られてはならなかった。」

女剣士「だからあなたに見つかった時、あなたを何らかの方法で排除せざるを得なかった。」

196: 2012/04/06(金) 00:14:15.15 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「……ジョーダンきついぜ。」

女剣士「……ごめんなさい。」

女剣士「でも、これからわたしが言う事を、よく聞いて欲しい。」

ジャンク屋「なんだよ?」



女剣士「これからあなたを脱出させる。」

198: 2012/04/06(金) 00:15:14.89 ID:3UgsgOKl0


ジャンク屋「何だって?」

女剣士「元々あなた達は巻き込まれただけの被害者。」

女剣士「こうなったのはわたしのミスが原因。貴方の相棒も必ず助け出す。」

ジャンク屋「……そんな台詞、信用すると思うのか?」

女剣士「無理なのはわかっている。」

200: 2012/04/06(金) 00:15:56.25 ID:3UgsgOKl0

女剣士「でもとにかく今はわたしを……」ヒュンッ




兵士「動くな貴様達ひでぶっ!」スカーン





女剣士「信用して欲しい。」

ジャンク屋「(あ、あっぶねEEEEEEEEE!!!)あ、ああ、わかったよ。」

202: 2012/04/06(金) 00:17:08.38 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「いや、それで俺と相棒は助かったとして……ミクはどうなるんだ?」

女剣士「?」

ジャンク屋「さっきの陸軍の糞野郎もそうだが、アンタらの本当の狙いはミクなんだろ?」

女剣士「……あなたには関わりの無い事。知らない方がいい。」

203: 2012/04/06(金) 00:17:26.69 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「いや、あるね。」

女剣士「何故?」

ジャンク屋「ワケもわからんまま、ダチを連れていかれてたまるか。」

女剣士「…………。」

ジャンク屋「よしんば俺が平気でも、相棒の方が黙ってない。」

女剣士「……彼女の正体は───────────。」



206: 2012/04/06(金) 00:20:01.73 ID:3UgsgOKl0



中尉「“最終兵器”の起動コード……ですか?」

将軍「そうとも。帝國軍が大戦中に開発、完成までこぎつけていたが、摂政派に先を越され、起動コードを封印されてしまった。」

中尉「そして、最終兵器は夢のまた夢と消えた……はずだった。」


ふろいってくる

210: 2012/04/06(金) 00:32:38.54 ID:3UgsgOKl0

将軍「そうだ。近年、摂政派のデータベースから、開発者の作業日誌が見つかった。」

中尉「失われたはずの起動コードは、実はボーカロイドにインプラントしてあったわけですね。」

中尉「それで作戦名が“唄わない歌姫”というわけですか……」

将軍「ふふ、いいセンスだろう?」

中尉「ええ、なかなかロマンティックな事で。」

211: 2012/04/06(金) 00:32:54.50 ID:3UgsgOKl0

中尉「衛星軌道上から太陽光を集束し、ピンポイントで目的地点を焼き払う……まさに無敵の兵器ですなぁ。」

中尉「しかもナノテクを利用した自己防衛システムと自己修復システムを搭載しているから、劣化や撃墜の恐れもない。」

将軍「……当時わしは階級が低かった。力が足りなかったのだ。」

将軍「あの“兵器”さえあればあの屈辱の講和条約を結ぶ事も、先帝陛下も退位なさる必要なかった。」

215: 2012/04/06(金) 00:35:02.76 ID:3UgsgOKl0

中尉「そして女子供に帝位を汚されるような事も、摂政派に牛耳られる事もなかった!……ですよね?」

将軍「そうだ、よくわかっているではないか。」

中尉「まぁ、将軍閣下、ひいては先帝陛下の御遺志ですからね。当然です。」

216: 2012/04/06(金) 00:35:41.07 ID:3UgsgOKl0

将軍「時は満ちた。今度こそは摂政ごとき愚物に付け込まれる隙など与えん。」


将軍「戦争の傷も癒えた今こそ、前大戦の雪辱を晴らすのだ。」



218: 2012/04/06(金) 00:37:23.41 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「……そんな事ほいほい喋っちまっていいのか?」

女剣士「貴方が聞いた。」

ジャンク屋「……確かにそうだけどさ。」

女剣士「わたしは貴方に借りがある。」

ジャンク屋「借り?勘違いして襲った事か?」

女剣士「それもある。」

ジャンク屋「それも、って、それ以外に何かあったっけか?」

220: 2012/04/06(金) 00:38:13.08 ID:3UgsgOKl0

女剣士「……その後貴方が助けてくれなかったらわたしは殺されていた。」

ジャンク屋「ああ、その事か……アンタも律儀だな。」

女剣士「律儀?」

ジャンク屋「だってスパイ容疑かけてたんだろ?いや、この場合は御人好しか?」

女剣士「貴方ほどじゃない。」

ジャンク屋「は?」

女剣士「何でもない。」


221: 2012/04/06(金) 00:38:50.01 ID:3UgsgOKl0

*独房*

兵士1「いやー、眼福眼福。」

兵士2「最初この仕事任せられた時はめんどくせぇと思ったが、なかなかどうして俺自身の籤運を褒めたくなるね。」

相棒「むーむー!」

兵士1「ホントけしからん身体しているぜ。スリーサイズいくつだこいつ?」

相棒「むぐぐー!!」

225: 2012/04/06(金) 00:42:52.83 ID:3UgsgOKl0

兵士1「確か資料だと未成年らしいが、それでこのスタイルは反則だろ~。」

兵士2「しかもこいつあれだぜ、幼馴染設定あるらしいぜ。」

兵士1「どうせあれだろ?鈍感でウブな男と二人暮らし~みたいな設定なんだろ?」

兵士2「いや、そうと見せかけて実はヤリまくりかもしれないぜ?」

相棒「むぐう、むぐうー!!///」 ブンブン

226: 2012/04/06(金) 00:43:35.27 ID:3UgsgOKl0

兵士2「そういえば、ちょっと気になってたんだけど。」

兵士1「ん?」

兵士2「こいつをとっ捕まえた中尉殿って中央、“帝國軍中央司令本部”の人だよな?」

兵士1「あ、それが?」

兵士2「なんでこんな辺鄙な支部に来たんだ?将軍閣下は実験だから仕方ないとはいえ。」

228: 2012/04/06(金) 00:44:20.73 ID:3UgsgOKl0

兵士1「ああ、お前は新入りだから、知らねえんだよな。」

兵士1「あの中尉殿は元々この地方出身でな。」

兵士1「この支部での実績を認められて、さらに将軍の推薦で本部へ異動したらしい。」

兵士1「言うまでもなくエリート街道への仲間入り、栄転中の栄転ってわけだ。」

231: 2012/04/06(金) 00:51:09.78 ID:3UgsgOKl0

兵士2「……で、なんでそんなエリート様がこんなド田舎に戻って来たんだ?」

兵士1「……これはあくまでも噂なんだが、」

兵士2「ふむふむ?」

兵士1「あの中尉殿、実は将軍閣下のスパイだったらしい。」

236: 2012/04/06(金) 00:54:27.86 ID:3UgsgOKl0

兵士2「えっ、マジで!?」

兵士1「今回この支部で新兵器の大規模演習やるって話も、中尉殿が集めてきた中央のお偉方の弱味を将軍が利用したから実現したんだとさ。」

兵士2「ひぇ~……やんごとなき方々のやりとりってのは怖いねぇ」

兵士1「ま、本当のとこは知らんよ。単にヘマして左遷食らっただけかもしんねーし?」

兵士2「いや、待てよ、そういや家族の話も聞かんなぁ……こっちにオンナでもいるのかな。」

兵士1「ははっ、そうかもしれんなぁwあの人まだ若いみたいだしなww」




??「なるほどなるほど、お前達はそう思っていたわけか。」

237: 2012/04/06(金) 00:54:54.14 ID:3UgsgOKl0

兵士1「は、へっ、ちゅ、中尉殿!?」

兵士2「い、いつ頃からそちらに!?」

中尉「んっんー。お前達がそこの捕虜について下劣な品評に熱中していた頃からだな。」

中尉「私に関する評判も、実に興味深かったよ。」ギロリ

兵士s「ひ、ひぃっ、ご、ご勘弁を!!」 ワタワタ

中尉「今しがたの暴言は聞かなかったことにしておいてやる。一つ頼みを聞いてくれないか。」

兵士1「は、はいっ、なんでございましょうっ!?」



中尉「そこのメスガキに幾つか尋ねたい事がある。20分程度で構わん、少し外せ。」

241: 2012/04/06(金) 00:56:03.00 ID:3UgsgOKl0

兵士1「ははーっ!!では、調書を持って参りますので……」

中尉「ああ、要らん。」

兵士1「へ?」

中尉「そこまでする事じゃない。あぁ、そうだな、あと、監視カメラとマイクも切っておけ。」

248: 2012/04/06(金) 01:02:26.26 ID:3UgsgOKl0


兵士1「!ははぁ~、なるほど。」 ニヤリ

兵士2「し、しかし、お言葉ですが、それは規定違反になってしまうのではないかと…?」

兵士1「バカ!中尉殿の仰られている意味がわからんのか!!」 ゴツッ

兵士2「あいてっ!」


兵士1「中尉殿は、 そ こ の 女 と 二 人 っ き り に な り た い 、と仰られてるんだ!」

中尉「オホン……言い方はアレだが、まぁ、そういう事だ。」

兵士2「あ、あぁ~……なるほど。」 ニヤニヤ

250: 2012/04/06(金) 01:02:54.53 ID:3UgsgOKl0

兵士1「しかし、中尉殿もなかなかスミに置けませんなぁ。」 ニヤニヤ

中尉「……そうかそうか、最果て支部への“栄転”がご希望か。」

兵士1「!!」

中尉「最果て支部はいいぞー?空気が綺麗だし、自然は豊かで。」

兵士2「失礼しましたァァ~!!」

スタコラサッサ~





中尉「……さて、邪魔はいなくなったな。」ニヤ

相棒「むぐううううううーっっ!!!」 ジタバタ

251: 2012/04/06(金) 01:04:10.32 ID:3UgsgOKl0
* * *

モブ兵士「将軍閣下!」

将軍「どうした?」

モブ兵士「例のジャンク屋に脱走されました!」

将軍「なんだと」


さるがうざい
たしかあれって一時間の内のレスの数が3分の1超えると引っ掛かるんだっけ

255: 2012/04/06(金) 01:07:07.36 ID:3UgsgOKl0

モブ兵士「手引きした者がいる模様です。」

将軍「中尉の報告にあった親衛隊のサイボーグだな。よかろう、ジャミングシステムを起動しろ。」

モブ兵士「はっ!」ダダッ

将軍「いい機会だ、摂政の奴もこれで終わりにしてやる。」



中尉「……遅くなりました!」

将軍「愚か者め、実験前にネズミをなんとしても捕らえろ!」

中尉「はっ!」ダダッ


259: 2012/04/06(金) 01:09:23.53 ID:3UgsgOKl0



将軍「この数十年の成果が実るこの時を、よりによって社会のクズ如きに……!!」






261: 2012/04/06(金) 01:10:23.72 ID:3UgsgOKl0

女剣士「…………っ!」がくっ

ジャンク屋「お、おい、どうしたんだ!?」

女剣士「……ジャミングウェーブが外骨格に干渉している。」

ジャンク屋「それやばいんじゃ?」

女剣士「大丈夫、問題ない。」

ジャンク屋「大丈夫じゃないだろ!?」



女剣士「脱げばいい。」

264: 2012/04/06(金) 01:11:41.29 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「は?」

女剣士「外骨格を排除、素体モードに移行。」

ジャンク屋「何を言って……どわぁっ!?」

パチッパチンッ ジジジー

ガシャッ

ジャンク屋「ちょ、おま、やめ!!」


265: 2012/04/06(金) 01:12:42.92 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「やめやめやめえええええええええええい!!!」

女剣士「……何か?」

ジャンク屋「スマした顔して何が「……何か?」だ!露出狂かおまえ。」

女剣士「下が見えなければ問題ない。」シレッ

ジャンク屋「上も気にしろ!」

269: 2012/04/06(金) 01:15:02.01 ID:3UgsgOKl0

女剣士「光学迷彩が使えず、単なる重りにしかならない以上、外骨格を着ているメリットはない。」ヌギヌギ

ジャンク屋「だったらせめてシャツぐらい着てくれ、さっきノした奴の服あるだろ。」

女剣士「……了解。」ファサッ



ジャンク屋「……ったく、なんで俺の周りの女はどいつもこいつも変なのばっかりなんだ……」ブツブツ

女剣士「……?」

272: 2012/04/06(金) 01:16:13.42 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「……さっきから気になってたんだが。」

女剣士「何?」

ジャンク屋「あの身のこなしといい、タフさといい……あんた、普通の人間じゃないよな?」

女剣士「……シンセティック。」

273: 2012/04/06(金) 01:16:59.11 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「シンセテ……なに?」

女剣士「合成人間。遺伝子操作を加えたデザイナーベビーを素体に、改造を施された。」

女剣士「わたしは闘う為に作られた。」

274: 2012/04/06(金) 01:17:19.79 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「そんな事が……」

女剣士「……ボーカロイドの事はどう思う?」

ジャンク屋「え?」

女剣士「ボーカロイドは人を楽しませる為の道具、人格があるように見えても人間ではない。」

女剣士「わたしも同じ。ボーカロイドとの違いは素材、もっと言えば有機と無機の比率の差でしかない。」

ジャンク屋「でもアンタは人間じゃ……」

女剣士「わたしは人間じゃない。ただの道具。」

275: 2012/04/06(金) 01:18:08.12 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「……アンタは道具なんかじゃねぇ、人間だ。」

女剣士「……何?」

ジャンク屋「“借り”だの“ミス”だの、そんなのを気にする時点でアンタは人間だよ。これ以上ないくらいにな。」


277: 2012/04/06(金) 01:18:26.53 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「それに、アンタは“人頃しじゃない”って言った。そんな自己主張をするのは人間だけだ。」

女剣士「…………。」




??「やあ、待っていたよ侵入者のお二人さん。」


280: 2012/04/06(金) 01:19:49.77 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋・女剣士「「!」」



中尉「ここで待ってれば会えると思っていたんでね。」



ジャンク屋「くそっこんな時に……!」

女剣士「…………。」

中尉「君達には随分苦い汁をなめさせられた。」

283: 2012/04/06(金) 01:21:57.26 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「通して……は、くれないよな」

中尉「“次は交渉はしない”、と言っただろう?」

ジャンク屋「ですよねー。」



女剣士「ここはわたしにまかせて。」スッ

中尉「ほほう。」

ジャンク屋「……わかった!」ダダッ

290: 2012/04/06(金) 01:28:44.99 ID:3UgsgOKl0

中尉「……行ったか。」

女剣士「…………。」

中尉「ま、わざと行かせたんだけどな。」ニヤリ

女剣士 ピクッ


中尉「しかしアンタも頑張るねぇ。ジャミング下で立ってるのも辛いだろうに。」

女剣士「……狙いは何?」

中尉「ははは。“リベンジ”、とでも思ってくれたまへ。」チャキッ

女剣士「……。」ダッ

中尉「んー、いいね、そういう態度。嫌いじゃあない。」ジャキッ



292: 2012/04/06(金) 01:30:44.07 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「(……とまぁ、ここまで潜り込んだはいいものの、)」


兵士達「~~~~~~♪(軍歌斉唱中)」
ずらああああああ─────────────…………………っ






ジャンク屋「(……どうしてこうなった)」←口パク中

294: 2012/04/06(金) 01:32:27.28 ID:3UgsgOKl0

中尉「……申し訳ありません、遅くなりました。」


将軍「遅かったぞ、貴様今までどこで何をしていた!?」

中尉「侵入者確保に時間がかかりまして……おい。」

部下1・2「はっ!」


女剣士「……。」ドサッ

ジャンク屋「(あ、あいつ……!)」

296: 2012/04/06(金) 01:32:48.85 ID:3UgsgOKl0

将軍「くくく、サイボーグ兵士もこうなっては形無しだな。」

女剣士「……。」

将軍「貴様には後でたーっぷりと聞きたい事がある。」グイッ

女剣士 ペッ

将軍「……ちっ、機械人形め!」ごっ

女剣士「うぐっ!」どさっ

297: 2012/04/06(金) 01:33:41.95 ID:3UgsgOKl0

将軍「これから、起動実験を開始する!……気分はどうだ木偶人形?」

ミク「…………。」 ツーン

ジャンク屋「(……ミク!)」

将軍「あくまでも拒絶するつもりか。まぁそれもよかろう。」

将軍「だがしかし、実験の前に、ゴミ掃除をしておかねばならんようだ。」 ニヤ

299: 2012/04/06(金) 01:34:18.73 ID:3UgsgOKl0

将軍「おい、そこの貴様!」 ビシッ

ジャンク屋「(お、俺か!?)は、はっ!」

将軍「見慣れん顔だな、どこの所属だ?」

ジャンク屋「……ちっ!」 ダッ

将軍「おい、そこの侵入者を取り押さえろ!」

兵士達「「「はっ!」」」 ダダッ

ガシッ

301: 2012/04/06(金) 01:34:56.58 ID:3UgsgOKl0

将軍「くっくっく、灯台下暗しとはまぁよく言ったものだ。どこの手の者だ?」

将軍「大方、連邦の工作部隊か何かだろうが。」

将軍「対抗馬としては、我々の敵対派閥の奴らかもしれんな。大穴で、トチ狂ったコスプレ狂か。」


ジャンク屋「……」 ギリッ

303: 2012/04/06(金) 01:36:34.38 ID:3UgsgOKl0

将軍「まぁ答える気がないなら仕方あるまい。」 スチャッ

中尉「将軍!いくらなんでもそれは!」

将軍「敵に子どもも老人もあるか。だから貴様は甘いというのだ。」

ダンッ



304: 2012/04/06(金) 01:37:06.83 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「うがああああっ!?」

ミク「ッッ!?」

将軍「ふむ、動揺しているな……おい、39番!!」

将軍「貴様が駄々こねていると、貴様の大事な色男の風穴が増える事になるぞ!」

ミク「……ッ!」






??「そんな事させないよッッッ!!!」

306: 2012/04/06(金) 01:39:19.93 ID:3UgsgOKl0
一同「!?」

ドゴオオオオオオオン

一同「のわあああああああああ!!!」


プシュー プシュー ガシャコン ガシャコン ガシャコン

ジャンク屋「く、蜘蛛のお化け!?」

将軍「あれは、あれは、まさかァァッッ!?」


ガシャコン

プシュゥー


相棒「二人とも乗って!!」

314: 2012/04/06(金) 01:45:00.27 ID:3UgsgOKl0

兵士「に、逃げられる!」

兵士「だ、誰か緊急停止装置……がはっ!?」ゴンッ




女剣士「邪魔させない……!!」

316: 2012/04/06(金) 01:50:20.43 ID:3UgsgOKl0

バキッ ベキッ ガンッ コキャッ


女剣士「……わたしの装備を返して。」ズイッ

モブ兵士「あわわわわ……こ、殺されるゥ!!」

女剣士「頃してない。」

モブ兵士E「は、はいィッ、わかりましたから命だけは命だけはンムラビッ!!」ポカッ




女剣士「……頃してないって言ってるのに。」スタスタ

318: 2012/04/06(金) 01:53:55.02 ID:3UgsgOKl0


ジャンク屋「お前捕まってたはずじゃ……!?」

相棒「実はね……」


・・・

中尉「……さて、邪魔はいなくなったわけだが。」

相棒「むぐううううううーっっ!!!」ジタバタ

320: 2012/04/06(金) 01:54:24.69 ID:3UgsgOKl0

中尉「おっと、静かにしていろ。」

相棒「むぐぐ!むぐぐぐ!!!」

中尉「騒がなければ危害を加えるつもりはない。」

相棒「むーむー!!!」ジタバタジタバタ

中尉「だから危害は加えないと……」

相棒「むぐむむー!!!」

322: 2012/04/06(金) 01:56:04.85 ID:3UgsgOKl0

中尉「ダァーもう!何もしないって言ってるだろうが!!」



相棒「むー!!!!…………むぅ?」

中尉「だから落ち着け。」

323: 2012/04/06(金) 01:57:32.96 ID:3UgsgOKl0

中尉「……あー。」ボリボリ

中尉「勘違いしているようだから言ってやるが、私はお前が思っているほどゲスな奴じゃないぞ?」

相棒「……むぅー?」 ジトー

中尉「やれやれ、信用がないらしい。いや、あれだけの事をしておけば当然か。」




中尉「これが証拠に、今から脱走の手引をしてやる。」

325: 2012/04/06(金) 01:58:08.99 ID:3UgsgOKl0

相棒「!!」

中尉「今から拘束具と猿轡を外してやるが、騒げばどうなるか……わかるよな?」 スチャ

相棒「…………」 コクコク

中尉「よしよし、それでいい……」 カチャカチャッ

326: 2012/04/06(金) 01:59:23.29 ID:3UgsgOKl0

相棒「ぶはっ!!」 ケホケホ

中尉「どうだね、少しは楽になったろう?」

相棒「……ねえ、なんで助けてくれたの?」

中尉「……お前、出身はどこだ?」

329: 2012/04/06(金) 02:01:46.65 ID:3UgsgOKl0

相棒「え?」

中尉「いいから答えろ、出身はどこだ?」

相棒「さ、さぁ、捨て子だったから……。」

中尉「その胸のペンダント、どこで手に入れた?」


330: 2012/04/06(金) 02:02:13.77 ID:3UgsgOKl0

相棒「え、これ?」ジャラッ

中尉「そう、それ。」

相棒「じっちゃんがくれたんだよ。『お前と一緒に拾った、だからお前のもんだ』って……それがどうかしたの?」

中尉「……いや。」

332: 2012/04/06(金) 02:03:58.28 ID:3UgsgOKl0

中尉「さて、脱走の件だがな、」

相棒「ほうほう。」

中尉「この独房を出た先に、開発中の新型戦車の格納庫がある。それを奪え。」
    メタルギア
相棒「 戦 車 ?」

中尉「ちゃうわ。」

333: 2012/04/06(金) 02:04:18.97 ID:3UgsgOKl0

相棒「そんな、戦車なんて……。」

中尉「新型戦車といってもお前の乗ってた運搬車と大差はない。」

中尉「お前の技量なら運転できるはずだ。部下がお前の運転テクを褒めていたよ。」

相棒「そ、そんな褒められても……///」

336: 2012/04/06(金) 02:05:48.85 ID:3UgsgOKl0

中尉「そしてこれが鍵だ。」 ヒョイッ

相棒「おっと。随分、変わった形の鍵だね。」 トスッ

中尉「技術部で開発中の電子キーだ。これがなければ戦車は起動しない。」

338: 2012/04/06(金) 02:06:06.81 ID:3UgsgOKl0

中尉「あと15分程度か……この後すぐここの人員の入れ替えがある。」

相棒「そのどさくさに紛れろ、って事?」

中尉「そういう事だ。」

中尉「監視も緩めておいたから、独房を出たら見張りに見つからんように格納庫へ向かえ。いいな?」

相棒「わかった。」

340: 2012/04/06(金) 02:06:44.88 ID:3UgsgOKl0

相棒「……ひょっとしてアンタとボクって、どっかで会ったりしてない?」

中尉「……どうしてそう思う?」

相棒「いやー、何か目的があるにしたってミョーに親切だなぁー、って。」

中尉「勘違いするな。別にお前の為じゃない。」

相棒「ツンデレ乙」

中尉「あ?」

相棒「ううん、なんでもないっ。ありがとね。」ペコッ



中尉「……ふん。せいぜい頑張れよ。」


341: 2012/04/06(金) 02:07:14.80 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「あのスケコマシ野郎がか?」

ミク「意外ですね。」

相棒「案外、悪い人じゃないのかもねっ!しっかり掴まってて!」 ガコンッ

ジャンク屋「おぉっと!」 ダキッ

ミク「ッッ!?」

344: 2012/04/06(金) 02:09:10.24 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「離すなよ!あと相棒、もう少し安全運転で頼む!」

相棒「おっけー!」

ミク「…… ///」


ガシャコン ガシャコン ガシャコン ガシャコン

345: 2012/04/06(金) 02:09:31.70 ID:3UgsgOKl0

兵士「や、奴ら多脚戦車を奪いやがった……!」

将軍「ひ、怯むな!撃てー!」

ダダダダダダダダダダダダダ!!キュンチュイーンカイーンコンアイーンチューン

相棒「そんなひょろひょろ弾、効かないよっ!」 ガシャッ ガコンッ

ギゴガゴ ギゴガゴ

兵士達「「「ひ、ひぃっ!?」」」

350: 2012/04/06(金) 02:16:17.95 ID:3UgsgOKl0

相棒「これはミクちゃんに酷い事した分!」

ドバババババババババババババババ (ミニガン)

兵士達「「「「うわあああああああああああ!!!!」」」」

チュインチュインチュイーン

355: 2012/04/06(金) 02:18:50.24 ID:3UgsgOKl0

相棒「そしてこれは、さっきのセクハラのお返しだァァァァァーッッ!!!」

ドォン!ドォン! (大口径衝撃砲)

兵士1、2「「うひえええええええええええ!!!!!!」」

ズドーン!ズドーン!

357: 2012/04/06(金) 02:19:15.90 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「馬鹿ッ、あんまり人を撃つんじゃねぇよっ!」

相棒「大丈夫大丈夫、当ててないって!ヒャッハー!」

ギャー!ワー!ズドーン!ドカーン!

相棒「ヒィハァァーッ!!いいぞベイベー!戦場は地獄だぜ!!」

ジャンク屋「……お前の将来が心配になってきた。」

相棒「何で?」

ジャンク屋「なんでそんなに楽しそうなんだよ、お前。」

358: 2012/04/06(金) 02:19:43.13 ID:3UgsgOKl0

相棒「だってホラ!」


相棒「巨大ロボだよ?」


相棒「おまけに多脚歩行戦車だよ!?」


相棒「それを自分の思う通りに動かせるんだよ!!??」


相棒「メカ好きの夢満載じゃん!!わくわくしないわけないじゃん!!」キラキラー


ジャンク屋「……すまないが、それの一体何がいいんだ?」

359: 2012/04/06(金) 02:20:01.69 ID:3UgsgOKl0

相棒「別にわかんなくてもいいもーん。君は電子工作が専門でロボ操縦の楽しさを知らないしねー。」

ジャンク屋「ははっ、まったくお前らしいや……ぐっ!」

相棒「だ、大丈夫!?」

ミク「大丈夫ですか!?」

ジャンク屋「へ、平気平気、かすり傷だ……」



362: 2012/04/06(金) 02:21:20.38 ID:3UgsgOKl0

ガシャコン ガシャコン ガシャコン ガシャコン

相棒「ここまでくればもう大丈夫でしょー、もうそろそろ出口だよ!」

ミク「貴女は最高のパイロットです。」

相棒「い、いやーそれほどでもー!」デレデレ

ジャンク屋「……。」

364: 2012/04/06(金) 02:23:38.45 ID:3UgsgOKl0

ミク「どうかなさいましたですか?」

ジャンク屋「い、いや、ミクって、こんなにいい声してたんだなーって。」


ミク「……ボーカロイドは唄って踊って人間を楽しませる為に造られた物です。」

ミク「唄う事、踊る事、そしてそれを見た人に楽しんでもらえる事、それが私の喜び。」

366: 2012/04/06(金) 02:26:07.46 ID:3UgsgOKl0

ミク「……私は生まれてきてはいけなかったのでは?」

相棒「そ、そんな事ないよ……!」

ジャンク屋「……そんな事、あってたまるか。」






ドカーン!

相棒「何事!?」

368: 2012/04/06(金) 02:26:31.09 ID:3UgsgOKl0

将軍「フハァァ────ハハハハハハハハハハハハハ!!!」

将軍「どうやってくすねたか知らんが、新兵器が一台だと思うなよクソガキどもめ!」




ジャンク屋「くっそ、しつこいおっさんだなァ!」

相棒「大型パワーローダー……!」キラキラキラキラ

369: 2012/04/06(金) 02:27:16.92 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「おい、しっかりしろ。」ツンツン

相棒「……はっ!?」ズビビッ

ジャンク屋「涎拭け。」

ミク「ハンケチどうぞ。」

相棒「あ、ありがとう。」フキフキ


371: 2012/04/06(金) 02:27:50.15 ID:3UgsgOKl0

相棒「喰らえっ、衝撃砲!」カチカチ


ドゴォォン!!



将軍「効かぬわっ!」ヌンッ

相棒「ふぇっ!?」

将軍「わしの専用機のパワーと装甲ならば衝撃砲ごとき造作ないわァ!!」

ドガシーン!

376: 2012/04/06(金) 02:33:15.61 ID:3UgsgOKl0

メキメキメキメキ……

相棒「すっごいパワーだ、やられちゃうよぉ……!」


prr!prr!

ジャンク屋「(通信!?)……もしもし!?」







女剣士『……ザザッ……聞こ…え……ザーッ…聞こえてる……?』

380: 2012/04/06(金) 02:37:57.40 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「……あんたか!!無事か!?」

女剣士『……わたしが援護する……ザザッ……指示が欲しい……ザザッ』

相棒「そ、そんな事言われても……」


将軍「ぬわーっはっはっはっはー!氏ね氏ね氏ねェェェイ!!」

ジャンク屋「(基本的には俺らが使ってるのと同じ設計っぽいな……って事は……)」





ジャンク屋「おい聞こえてるか!!」

女剣士『……ばっちりと。』

ジャンク屋「あれの弱点は……─────!」

381: 2012/04/06(金) 02:38:23.13 ID:3UgsgOKl0

将軍「くたばれい売国奴めえええええええ!!!!」

ズバンッ!

将軍「!?」

ガシャコン プシュー……

将軍「な、い、いきなり出力が……!?」バチチッ







女剣士「…………。」シャキン


383: 2012/04/06(金) 02:39:35.43 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「よっしゃ、膝突いたぞ今だッ!!」

相棒「ブースト、オンッ!!」

ギゴガゴ

相棒「隙ありぃいいいいいいいいいいい!!!」

将軍「!?」



ドカーン!!


384: 2012/04/06(金) 02:41:10.73 ID:3UgsgOKl0

*要塞の外*


ガシャコンッ プシュー……

相棒「あいたたた……」

ジャンク屋「派手にブッ壊したなー……大丈夫かお前ら?」

ミク「私は大丈夫です。」

相棒「僕はちょっと足捻ったかも……ま、平気だけどね。」

385: 2012/04/06(金) 02:42:31.88 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「しょーがねーなーもう……いててっ」

相棒「無理しなくていいって!」


ガタッ





将軍「この糞ガキがああああああああああああああああああああ!!!」スチャ

388: 2012/04/06(金) 02:45:01.66 ID:3UgsgOKl0

カチリ

ジャンク屋「!?」

相棒「あ、危ない!!」

ジャンク屋「(やべっ、足がッ!)」ガクッ

タ──────   ──  ─ ─   - -………ン










ミク「…………!」

389: 2012/04/06(金) 02:45:44.73 ID:3UgsgOKl0

将軍「な、なにィっ!?」

ユラァッ

将軍「!」

ドガッ

女剣士「……峰打ち。」

将軍「……き、きさま……!!」ドサッ

女剣士「……貴方ごとき、頃す価値もない。」

391: 2012/04/06(金) 02:46:25.90 ID:3UgsgOKl0

金属の部品を飛び散らせながら倒れるボーカロイドと、彼女へ飛び付くジャンク屋。

ジャンク屋「───────ッ!」ダッ






彼らの頭上の曇り空は、いつからか雨空に変わっていた。


393: 2012/04/06(金) 02:47:41.75 ID:3UgsgOKl0
*エピローグ*



部下1「……中尉殿、“例の物”の回収が完了致しました。」ビシッ

中尉「よくやった。」

部下2「例の“侵入者”の件は如何いたしますか?今ならまだ追えますが。」

中尉「放っておけ。社会のクズ二匹ごとき、知られたところでどうって事はない。」

397: 2012/04/06(金) 02:54:24.77 ID:3UgsgOKl0

部下2「……よろしいのですか?」

中尉「何がだ?」

部下2「あのペンダントの少女は中尉殿の……?」

中尉「……余計な事を。」

部下1「如何なさいますか?今なら引き留められますが……。」

中尉「今回の件は“事故”だ。侵入者など始めからいなかった。そうだな?」

401: 2012/04/06(金) 02:56:52.42 ID:3UgsgOKl0

中尉「……雨が強くなってきたな。さっさと片付けて引き上げるぞ。」

部下s「はっ!」ビシッ




*街中*

相棒「ぶえええええええっっっくしょいぶるあああああああっっっ!!!」

ジャンク屋「……ったく、バカでかい声でくしゃみしやがって。」

相棒「なんか、どこかで誰かがボクの噂をしている気が……?」ズズ

ジャンク屋「気のせいだろ。」

相棒「だよねぇ。」

402: 2012/04/06(金) 02:57:14.75 ID:3UgsgOKl0

ジャンク屋「アンタには世話になったな。ありがとよ。」

女剣士「……こちらこそ助けられた。礼を言わせて欲しい。」

相棒「いやいや、お礼だなんてー。」テレテレッ

405: 2012/04/06(金) 03:01:16.03 ID:3UgsgOKl0

女剣士「……“彼女”の事は、わたしの力不足だった。申し訳ない。」

ジャンク屋「いいや、アンタが謝る事じゃない……むしろ俺のせいだ。」

ジャンク屋「俺があの時ヘマしなければ、いいや、あいつの事を見つけなかったら……。」

女剣士「違う、そうじゃない……貴方達に言っていない事がある。」

ジャンク屋「なに?」



女剣士「今回のわたしの任務は、彼女の破壊だった。」

406: 2012/04/06(金) 03:03:47.55 ID:3UgsgOKl0

相棒「!?」

ジャンク屋「なんだと……?」

女剣士「彼女はそれだけ危険な存在だった。」

相棒「でも、例のキーとやらを除去する事だって出来たんじゃ……?」

女剣士「それが出来たら軍部もわたしも手古摺りはしない。」


女剣士「存在し続ける限り、彼女は起動キーとして利用され続ける可能性があった。」

相棒「そんな……!」

ジャンク屋「そんなのって、ねぇよ……!」


408: 2012/04/06(金) 03:04:44.35 ID:3UgsgOKl0

女剣士「……でも忘れないで欲しい。」


女剣士「少なくとも、軍事兵器として利用される事は彼女の本意でなかったはず。」


女剣士「彼女の犠牲を無駄にしないで。貴方達には、幸せになる義務と権利がある。」


410: 2012/04/06(金) 03:05:55.96 ID:3UgsgOKl0

女剣士「……わたしが言いたいのはそれだけ。」スタスタ

ジャンク屋「お、おい。」

女剣士「……何か?」

ジャンク屋「……行っちまうのか?」

女剣士「次の任務があるから。それに…」チラッ

相棒「ん?ボクの顔に何かついてる?」

女剣士「……。」





女剣士「……お幸せに。」ニコ

スッ……


412: 2012/04/06(金) 03:06:51.93 ID:3UgsgOKl0

相棒「……行っちゃったね。」

ジャンク屋「……俺らも行くか。」

相棒「うん。」





416: 2012/04/06(金) 03:08:17.54 ID:3UgsgOKl0
*要塞の外*


将軍「おのれガキどもめ……ただではすまさん……ッ!」




中尉「…………。」スタスタ

将軍「!お前か、ちょうどいい、あの売國奴を頃して来い!」

中尉「……売國奴ですか。」スチャッ






ターン

417: 2012/04/06(金) 03:08:57.65 ID:3UgsgOKl0

将軍「んな…………!?」

中尉「悪く思わないでくださいよ将軍閣下、これも“お國の為”ですから。」

将軍「何故……ッ!?」

中尉「中央のお偉方の考える売國奴と、貴方の考える売國奴は違うという事ですよ。」

将軍「よ、よせ、やめ……──────ッ!」





419: 2012/04/06(金) 03:10:46.95 ID:3UgsgOKl0

帝國公邸。

帝都の中心にその宮殿は立っている。
歴代皇帝の住居でもあり、現帝政の中枢でもある。




???「でやぁっ!」

カキンッ

??「だぁっ!!」

ヒュンッ

??「ッ!」

ポカッ

??「ぎゃっ!」

キィンッ


420: 2012/04/06(金) 03:11:24.90 ID:3UgsgOKl0

???「あいたたた……もう少し加減してよ。」

??「お言葉ですが皇帝陛下、」






摂政「あなた様を狙う刺客は、決して加減などしてはくれませんよ?」

421: 2012/04/06(金) 03:12:58.74 ID:3UgsgOKl0
皇帝「でも、お前ほどの達人が相手じゃ鍛錬なんて……!」

摂政「何をおっしゃりますのやら。この摂政めは、陛下の御為を思ってこそ……」

皇帝「わかってるよ、それぐらい!」

摂政「そこまでおわかりならば、鍛錬がまだ足りないのもおわかりいただけますね?」

皇帝「そりゃ、そうだけど……。」

摂政「まだまだ余裕があると御見受け致しますが、陛下?」

皇帝「ぐぬぬ」

426: 2012/04/06(金) 03:18:55.05 ID:3UgsgOKl0
コンコン

摂政「はいはい。」




女剣士「……参上いたしました、閣下。」

摂政「おや、貴女ですか。」

女剣士「例の件でご報告が少々。」

摂政「……仕方ありませんね。陛下、しばし休憩といたしましょう。」

皇帝「…………(`・ω・´)」グッ



摂政「ああ、戻り次第再開いたしますので。」

皇帝「…………(´・ω・`)」




427: 2012/04/06(金) 03:19:25.81 ID:3UgsgOKl0


摂政「なるほどなるほど……」

摂政「そういう展開ですか。ま、そういう事なら問題ありませんね。保険も効いたようだから。」

女剣士「……?」

摂政「いやいや、こっちの話。例の彼らは、しばらく様子見て、何か異変がなければそのまま放置で。」

女剣士「はい。」



摂政「……気になるならそれはそれで構いませんがね。」

女剣士「っ!?」

摂政「くつくつ、貴女も女の子だという事ですよ。」

女剣士「…………」

429: 2012/04/06(金) 03:22:26.57 ID:3UgsgOKl0

摂政「……あの戦争が終わってからもう10年、随分経ったものです。」

女剣士「……。」


摂政「……この國は未だ危うい均衡の上で成り立っている。」


摂政「軍部には今もなお魑魅魍魎が蠢き、議院や地方では害虫どもがこの國を食い物にしようとしている。」


432: 2012/04/06(金) 03:33:45.07 ID:3UgsgOKl0

摂政「陛下も先帝陛下に似て、とても聡いお方ではあるが、まだまだお若い。」

摂政「もうしばらくは私達のような人間が手を汚す必要がある。例え両手が血に染まろうとも。」

女剣士「……。」


摂政「貴女も辛いでしょうが、それもこれも全てはこの國の未来の為。」

摂政「もう少しだけ頑張ってください。」ニッコリ




女剣士「……仰せのままに、閣下。」


さるとたたかってた

433: 2012/04/06(金) 03:37:42.34 ID:3UgsgOKl0



*ガラクタ山*



相棒「……ミクちゃん、ここでいいのかな。」

ジャンク屋「……さぁな。でも、俺たちにしてやれんのはこれぐらいだろ。」



相棒「天国で、いっぱい唄うんだよ、ミクちゃん。」





437: 2012/04/06(金) 03:46:26.57 ID:3UgsgOKl0

prr!prr!


「ええ。はい。」

「“新兵器の起動実験における事故”です。例の衛星兵器は宇宙のチリに……。」

「……ご安心ください。目的の物は回収済みです。」

「新型多脚歩行戦車の駆動データも、大戦中最も手こずった合成人間兵士の戦闘データも。」


「……。」

「くくっ、流石の将軍サマも摂政殿も、この私がそちら側のスパイだとは見破れなかったようで。」

「これを機に武断派も大人しくなり、摂政派との交渉もやり易くなるでしょうな。」

「せっかくですから摂政派に恩を売っておくのも悪くないかと……あ、いえ、出過ぎた事でしたね。」


438: 2012/04/06(金) 03:47:33.02 ID:3UgsgOKl0

「……。」

「ええ、全て閣下のご意向通り、このまま潜伏を続けます。」








「……連邦大統領閣下。」



おわり

440: 2012/04/06(金) 03:51:39.25 ID:3UgsgOKl0
こんなアニメ・映画がみてぇなぁと思って書いた


感想欲しい


とりあえずボカロじゃない方がVIPウケはよかったかもなーと自分では思った

引用: ジャンク屋「今日も今日とてガラクタ漁り~♪」