428: 2013/10/01(火) 00:30:03.75 ID:6SG3k9mOo

431: 2013/10/01(火) 00:40:43.17 ID:6SG3k9mOo
ーー夕食後、不二咲の部屋前ーー

苗木「不二咲くん、大丈夫なのかな」

舞園「具合が悪いって言ってましたけど、風邪なんでしょうか?」

戦刃「そういえば、盾子ちゃんのこと皆に紹介しなくて良かったの?」

苗木「あそこにいた人はいいけど、不二咲くんとセレスさんと桑田くんと腐川さんが後から色々言ってきそうだしね」

舞園「また説明するのも手間ですからね」

苗木「とりあえず、不二咲くんの様子を確かめよう」

コンコン

舞園「…」

苗木「…寝てるのかな?」

432: 2013/10/01(火) 00:43:43.13 ID:6SG3k9mOo
戦刃「おーい!」

ドンドンドン

苗木「ちょっ戦刃さん!不二咲くんは具合が悪いんだから静かにしてあげないと!」

戦刃「あっ、えと、ごめんね」

舞園「苗木くん、怒鳴ることは無いですよ。戦刃さんにも悪気があった訳じゃないんですし」

苗木「あ…ごめん、戦刃さん」

ーー不二咲の部屋内ーー

不二咲「ん…?」

不二咲「今の声、苗木くんと舞園さんかな?」

不二咲「はーい」

ガチャ

433: 2013/10/01(火) 00:46:41.61 ID:6SG3k9mOo
苗木「あ、具合どうなの?」

舞園「顔色は良さそうですね」

不二咲(そういや具合悪いことになってるんだった)

不二咲「大丈夫だよ、寝たら治ったみたい」

戦刃「良かったー!」

不二咲「あ、戦刃さん」

苗木「風邪だったの?」

不二咲「ううん、ちょっとだるかっただけ」

舞園「なら良かったです」

戦刃「また明日めんこやろ!」

434: 2013/10/01(火) 00:50:19.25 ID:6SG3k9mOo
不二咲「ふふ、戦刃さんは相変わらずだね」

舞園「めんこですか、一度やってみたいですね」

苗木「メタルめんこ無しでね」

戦刃「私あれじゃないと勝てない…」

苗木「でも、あれだと絶対ひっくり返せないからね…ちょっと強いくらいのめんことか無いかな」

舞園「葉隠くんの持ってた油に漬けためんことか2枚重ねのめんこなんてどうです?」

不二咲「それも十分強そうだけどね…」

435: 2013/10/01(火) 00:55:06.28 ID:6SG3k9mOo
苗木「初心者の舞園さんと戦刃さんはそれくらいがちょうどいいんじゃないかな?」

舞園「それを使ってもひっくり返せる気はしませんね」

不二咲「そういや苗木くん」

苗木「どうしたの?」

不二咲「明日で薬の効果は切れるけど、苗木くんは男に戻るの?」

舞園「そうですよ、私との約束もありますし」

苗木「ちょっ舞園さん」

舞園「えへへ」

戦刃「約束ってー?」

苗木「舞園さんとプリクラを撮りに行くだけだよ」

戦刃「ぷりくら?」

舞園「シールにできる写真ですよ」

戦刃「面白そう面白そう!私も行っていい!?」

苗木「僕はいいよ」

舞園「苗木くんがいいならいいですよ。不二咲くんもどうですか?」

436: 2013/10/01(火) 01:02:19.54 ID:6SG3k9mOo
不二咲「うーん…僕はいいよ」

戦刃「えー!一緒に撮ろうよ!」

苗木「不二咲くんにも用事があるんだよ」

舞園「そういえば不二咲くんも明日で元に戻すんですか?」

不二咲「うん、そのつもりだよ」

苗木「そうなんだ?」

不二咲「色々、あってね」

舞園「…その色々が何かは聞きませんが、頑張って下さいね」

苗木「?」

戦刃「?」

不二咲「さすがに舞園さんだね…うん、ありがとう」

苗木「え、えっと…」

舞園「不二咲くんにも事情があるんですよ。さ、そろそろ行きましょう」

437: 2013/10/01(火) 01:05:01.29 ID:6SG3k9mOo
戦刃「次は、セレスちゃんだね!」

苗木「そういえば夕食食べてないようだけど、大丈夫なの?」

不二咲「そういえば、お腹空いたな…」

苗木「まだ誰かいると思うから、早めに行った方がいいよ」

不二咲「うん、ありがとう苗木くん」

舞園「じゃ、行きましょう」

不二咲「あ、苗木くん…」

苗木「?」

不二咲(僕の機械に対する考察を言うべきかな…)

苗木「どうしたの?」

不二咲(…いや、こんなこと言って苗木くん達を惑わせちゃいけないよね)

不二咲「ううん、何でもないよ」

438: 2013/10/01(火) 01:08:20.38 ID:6SG3k9mOo
苗木「?…何か相談事があるなら…って、余計なお節介だったかな」

不二咲「ううん、こっちこそごめんね」

苗木「うん。じゃあ、そろそろ行くね」

戦刃「ばいばーい!」

舞園「治ったと言っても油断したらダメですよ?」

不二咲「あはは、大丈夫だよ。じゃあ僕は食堂に行ってくるね」

戦刃「よく分からないけど、頑張ってね!」

苗木「僕もよく分からないけど、応援してるよ」

舞園「じゃあ、不二咲くん。お大事に」

不二咲「うん」

439: 2013/10/01(火) 01:11:14.06 ID:6SG3k9mOo
ーーセレスの部屋前ーー

苗木「セレスさーん」

コンコン

セレス「…どうかしましたか?」

苗木(また、この匂いだ…)

舞園「具合が悪いと聞いたので、様子を見に来ました」

戦刃「大丈夫なの?」

セレス「ええ、すっかり良くなりましたわ」

苗木「ほんとに…?その割には顔色が悪く見えるけど…」

セレス「昨日から寝不足でして」

舞園「夜更かしは美容の大敵ですよ?」

セレス「ふふ、分かっていますわ」

440: 2013/10/01(火) 01:14:26.24 ID:6SG3k9mOo
苗木「セレスさん、夕食食べてないみたいだけど…」

セレス「食欲が無くて…」

舞園「おかゆでも作ってあげましょうか?」

セレス「大丈夫ですわ」

戦刃「無理したらダメだよ?」

セレス「ふふ、そうですわね。確かに無理をしすぎたかもしれませんわ」

セレス「そんなので気持ちが伝わらないと知っているのに…」

苗木「セレスさん…?」

セレス「あら、今のは忘れてくださいね?」

舞園「ひょっとして、不二咲くんのことですか…?」

441: 2013/10/01(火) 01:19:31.02 ID:6SG3k9mOo
セレス「…」

苗木「不二咲くん?」

舞園「私の勘ですけどね」

セレス「…私としても、あまり他人に弱みは見せたくないのですが」

舞園「言いたくないなら、無理して言わなくていいんですよ」

セレス「…じゃあ、そうさせてもらいますわ」

苗木「えっと、セレスさん。悩みがあるなら遠慮なく相談してね?」

セレス「ふふっ、あなたに解決できる問題なら、相談しますわ」

戦刃「私も相談に乗るよ!」

セレス「お気遣いは嬉しいのですが…これは私の問題ですから、誰にも相談したくないのです」


442: 2013/10/01(火) 01:22:52.74 ID:6SG3k9mOo
苗木「あんまり、無理しないようにね」

舞園「…」

セレス「ええ、わかってますわ」

舞園「…」

苗木「舞園さん?」

舞園「…あくまで私の勘ですけど。結果を求め過ぎるとダメですよ」

セレス「…ええ」

舞園「じゃあ、私たちはそろそろ行きますね」

苗木「…?」

舞園「ふふ、これは女性にしか分からないことなんですよ、苗木くん」

443: 2013/10/01(火) 01:26:30.81 ID:6SG3k9mOo
苗木「そうなの?…僕も一応女だけど」

戦刃「私もだよ!」

舞園「まだまだ経験が浅いってことですよ」

舞園(まあエスパーだからなんですけどね)

苗木「うーん…」

セレス「では、私はもう寝ますね」

戦刃「あ、おやすみー!」

苗木「うん、おやすみ」

舞園「頑張って下さいね」

苗木「僕たちも部屋に戻ろうか?」

戦刃「そういえば盾子ちゃんはどこで寝るの?」

苗木「あっ」

舞園「忘れてましたね…」

444: 2013/10/01(火) 01:29:05.48 ID:6SG3k9mOo
苗木「下手に1人にさせると今日みたいに勝手に動きそうだし…」

舞園「私たちと一緒にさせればいいんじゃないでしょうか?」

戦刃「ほんとに!?お泊まり!?」

苗木「僕はいいけど…舞園さんはいいの?」

舞園「私から言い出したことですし、いいも何も無いですよ」

戦刃「じゃあじゃあ」

苗木「今日は、4人で寝ることになるかな?」

戦刃「やったー!」

舞園「じゃあ、江ノ島さんを探しに行きましょう」

445: 2013/10/01(火) 01:37:40.25 ID:6SG3k9mOo
ーー20分前の遊戯室ーー

江ノ島(江藤)「こんな所に呼び出して何かあったんですか?」

霧切「いつまでお芝居を続けるつもりかしら?」

江ノ島「あちゃー、やっぱバレてたかぁー」

霧切「苗木くんや戦刃さんの態度を見てればすぐわかるわ」

江ノ島「お姉ちゃんはやっぱ絶望的に残姉だね、うぷぷぷぷ」

霧切「それで、あなたの目的はなんなのかしら?」

江ノ島「目的?」

霧切「とぼけないで。あなたが戻って来て何も企まないはずがない」

446: 2013/10/01(火) 01:43:06.73 ID:6SG3k9mOo
江ノ島「それが私も絶望的な何かをしてやろうと思ってたんだけどさー」

江ノ島「ほら、モノクマももう無いじゃん?」

江ノ島「何かしようと思っても絶望的に無理なんだよね」

霧切「あなたの言うことは信じられないわね。今日だって何かしようとしてたんじゃないかしら?」

江ノ島「証拠も無いのにそんなこと言われてもねー」

霧切「あなたは恐らく苗木くんと舞園さんがここへ連れてきた。その後なぜかは分からないけど1人になった」

霧切「でもその後なぜか朝日奈さんと大神さんと一緒にいた」

霧切「あなたが1人で何かをしようとした何よりの証拠じゃないかしら?」

447: 2013/10/01(火) 01:51:16.43 ID:6SG3k9mOo
江ノ島「ぐぬぬ」

霧切「何をしようとしてたか、本当のことを言いなさい」

江ノ島「本当のことを言っても信じないだろうしねー」

霧切「今の私なら真か偽か、見抜くことができるわ。いくら隠しても無駄よ」

江ノ島「じゃあ言ってあげましょう」

江ノ島「これを聞いても驚かないことだ」

江ノ島「苗木に会おうとしてたんだよ!ヒャッハー!」

霧切「な、苗木くんに?」

江ノ島「うぷぷぷぷ、絶望的に困惑しちゃってる?」

448: 2013/10/01(火) 01:54:34.24 ID:6SG3k9mOo
霧切(嘘をついているようには見えなかったけど…)

霧切(このまま鵜呑みにしていいのかしら?)

霧切(…この後問い詰めて行って、嘘が出ればわかるはず)

霧切「苗木くんに会って何をしようとしてたのかしら」

江ノ島「そこまで言う義理はありませんね」

霧切「言いなさい。もし苗木くんに危害を加えいうと言うのなら許さないわ」

江ノ島「あれ、まさか霧切も苗木狙ってんの?」

霧切「茶化さないで」

江ノ島「舞園も狙ってるけど、霧切じゃ絶望的に勝ち目は無いね、うぷぷぷぷ」

449: 2013/10/01(火) 01:58:29.36 ID:6SG3k9mOo
霧切「茶化さないでと言っているの」

江ノ島「苗木に危害を加える気はないとだけ、言っておく」

霧切(嘘をついてる様子じゃない)

霧切(まさか、全部本当のことだと言うの?)

霧切「くっ…」

江ノ島「まだ話あんの?」

霧切「…もう、無いわ」

霧切「けど、変なことは考えないことね」

江ノ島「だから考えてねーっつーの!」

江ノ島「では、私はこれで失礼します」

450: 2013/10/01(火) 02:01:20.45 ID:6SG3k9mOo
ーー食堂前ーー

苗木「食堂にはいなかったし…どこにいるんだろ?」

舞園「霧切さんとどこかへ行ったと言ってましたが…」

戦刃「あ、盾子ちゃんだ!」

苗木「えっ?」

江ノ島「げ、姉ちゃんだ」

舞園「江ノ島さん、今日は私たちの部屋で寝てください」

江ノ島「はい?」

苗木「江ノ島さん1人だと今日みたいに勝手に行動しそうだからね」

戦刃「お泊まりだよ!」

451: 2013/10/01(火) 02:05:00.42 ID:6SG3k9mOo
江ノ島「ふーん…いいよ」

戦刃「じゃあ早く部屋行こ!」

苗木「あはは、戦刃さん相当楽しみなんだね」

江ノ島「残姉だからねー」

舞園「行きましょう」

ーー苗木の部屋ーー

苗木「で、何で僕の部屋なの?」

江ノ島「なんとなく」

舞園「怪しいですね」

戦刃「盾子ちゃん、今日は一緒に寝よ!」

江ノ島「その前に、ちょっと苗木に話があるんだけど」

舞園「話?」

江ノ島「あ、お姉ちゃんと舞園はちょっと出てて」

舞園「…5分だけですよ」

464: 2013/10/05(土) 17:06:18.27 ID:PZgeORHeo
舞園「…戦刃さん、行きましょう」

戦刃「う、うん」

舞園「異変を感じたら即入りますからね」

江ノ島「変なことはしないつもりですよ?」

舞園「…」

ガチャ

苗木(なんか、様子が変だったな…)

江ノ島「じゃあ苗木、5分しかないからパパッと言うね」

苗木「あ、うん」

465: 2013/10/05(土) 17:08:42.75 ID:PZgeORHeo
江ノ島「あ、その前に。いい事と嬉しい事どっちから聞きたい?」

苗木「なんか変な選択肢だね…」

江ノ島「ほら、5分しかねーから早く選べっつーの」

苗木「じゃ、じゃあいい事からで」

江ノ島「あの機械の秘密、私知ってるんだよね」

苗木「ええっ!」

江ノ島「でも最後までは教えない」

苗木「なんで?」

466: 2013/10/05(土) 17:12:00.50 ID:PZgeORHeo
江ノ島「そうすれば『あと少しで真相なのに分からない』ってなるじゃん」

苗木「うん?」

江ノ島「全部教えたら面白くないってのもあるけど、もどかしくて悶々するとかなんか絶望的じゃん」

苗木「ああ、そういう…」

江ノ島「あの機械、顔が変わる基準はちゃんとしたものがあるんだよね」

江ノ島「一部例外もいるけど、その基準はちゃんと確立されてる」

苗木「うんうん」

467: 2013/10/05(土) 17:15:53.39 ID:PZgeORHeo
江ノ島「変化があまりない奴とありまくる奴がいるじゃん」

苗木「うん」

江ノ島「あまりない奴はイメージが無いだけ」

苗木「イメージって、何の?」

江ノ島「それは秘密です」

苗木「…」

江ノ島「…」

苗木「え、終わり?」

江ノ島「そうだけど」

468: 2013/10/05(土) 17:18:21.60 ID:PZgeORHeo
苗木「うーん…」

江ノ島「もう時間無いし、嬉しい事もさっさと言いたいんだけど」

苗木「あ、どうぞ」

江ノ島「苗木、好き」

苗木「えっ」

ガチャ

舞園「5分、経ちましたよ」

江ノ島「わーお時間ぴったりだねー」

戦刃「えっと、もう入っていい?」

舞園「構いませんよ、戦刃さん」

苗木(それは舞園さんが言うことじゃないんじゃ…?)

469: 2013/10/05(土) 17:20:34.39 ID:PZgeORHeo
舞園「…さて」

苗木(…なんか舞園さん怖い)

舞園「何の話をしていたかは聞きませんが…」

江ノ島「なに」

舞園「今後、苗木くんは江ノ島さんと2人きりにならないようにして下さい」

苗木「えっ?」

舞園「いいですね」

苗木「う、うん」

江ノ島(うひゃー舞園こえー!)

470: 2013/10/05(土) 17:22:23.77 ID:PZgeORHeo
戦刃「え、えっとえっと」

舞園「どうしました?」

戦刃「…な、なんでもないです!」

苗木「…舞園さん」ボソ

舞園「なんですか」

苗木「戦刃さん、怖がってるよ」ボソ

舞園「ああ、すいません」

苗木「舞園さん?」

舞園「…」

江ノ島「もしかしてイライラしてる?」

471: 2013/10/05(土) 17:25:00.86 ID:PZgeORHeo
舞園「そんなことはありませんが?」

苗木「…舞園さん、僕が何かしたのなら謝るよ」

舞園「苗木くんは関係ないですよ」

江ノ島「関係あるでしょー、明らかに苗木のことでイライラしてるし」

苗木「江ノ島さんも、さっきから挑発するようなことは」

江ノ島「何で私が悪いみたいになってんのかなー」

苗木「ちょ、そんなつもりは」

舞園「苗木くん」

472: 2013/10/05(土) 17:27:54.00 ID:PZgeORHeo
苗木「な、なに?」

舞園「私がここにいると邪魔なようなので、すみませんがこの2人の監視はお願いします」

苗木「舞園さん」

舞園「じゃあ、今日は失礼しますね」

ガチャ

苗木「ちょっ、舞園さん!」

江ノ島「うぷぷぷぷ、絶望的?絶望的?」

苗木「…っ!」

戦刃「じゅ、盾子ちゃん」

苗木「…」ダッ

ガチャ

江ノ島「ありゃ、苗木も行っちゃったよー」

473: 2013/10/05(土) 17:36:05.14 ID:PZgeORHeo
すいません用事が入ったので今日はここまでです

475: 2013/10/05(土) 23:47:14.75 ID:PZgeORHeo
用事が済んだので投下します

476: 2013/10/05(土) 23:50:57.24 ID:PZgeORHeo
ーー廊下ーー

苗木「舞園さん!」

舞園「…なんですか」

苗木「さっきからどうしたのさ、いつもの舞園さんらしくないよ」

舞園「…」

苗木「僕が何かしたなら謝るよ」

舞園「…謝って欲しいことはありません」

苗木「なら」

舞園「でも、私との約束は守ってくれますよね?」

苗木「約束?」

舞園「さっき言ったじゃないですか」

舞園「今後江ノ島さんと2人きりになるのはやめてください」

477: 2013/10/05(土) 23:54:19.65 ID:PZgeORHeo
苗木「うん、約束するよ」

舞園「それと…何を話していたか教えていただけますか?」

苗木「あの性別が反転する機械のことだよ」

舞園「聞かせてください」

苗木「性転換した時の顔の変化にはちゃんとした基準があるみたいなんだ」

苗木「それはその人のイメージに依るらしいけど…」

舞園「イメージ?」

苗木「僕もよく分からないんだよ。顔に変化があまりない人には『イメージが無いだけ』って言ってた」

舞園「顔に変化が無い…苗木くんや不二咲くんのことでしょうか」

478: 2013/10/05(土) 23:56:27.04 ID:PZgeORHeo
苗木「あとは十神くんと大神さんもだね」

舞園「…イメージって、何のイメージなんですか?」

苗木「それがそこは教えてくれなかったんだよ」

舞園「…」

苗木「どういうことなんだろう?」

舞園(…まさか)

苗木「うーん」

舞園(そんなことは…)

苗木「舞園さん、どうしたの?」

舞園「いえ、なんでもないですよ」

479: 2013/10/05(土) 23:58:21.46 ID:PZgeORHeo
苗木「これ以上は考えてもわかんなそうだね」

舞園「そうですね」

苗木「えっと…舞園さん、今日はどうするの?」

舞園「今日は私1人にさせてもらっていいですか?」

苗木(舞園さんも疲れてるんだな)

苗木「いいよ。あの2人はちゃんと僕が見ておくね」

舞園「…」

苗木「じゃあ、そろそろ戻るよ」

舞園「苗木くん」

480: 2013/10/06(日) 00:00:41.64 ID:Hv9suCQmo
苗木「?」

舞園「江ノ島さんと話したことはそれだけですか?」

苗木(…)

苗木(江ノ島さんの言った『あれ』がどういう意味かはまだ分からないけど…)

苗木(これは、言わない方がいいよね)

苗木「うん、それだけだよ」

舞園「…そう、ですか…」

苗木「じゃあ、僕は行くね」

舞園「あ、戦刃さんを呼んで来てもらえますか?」

苗木「分かったよ」

481: 2013/10/06(日) 00:02:52.79 ID:Hv9suCQmo
舞園「あと、私と戦刃さんが話してる間は苗木くんは自分の部屋にいて下さい」

苗木「うん?」

舞園「約束、もう忘れたんですか?」

苗木「あ、そういうことか…うん、分かったよ」

苗木「じゃあ呼んで来るね」

ガチャ

江ノ島「おー」

戦刃「あ、おかえりー!」

苗木「戦刃さん、舞園さんが話したいことがあるみたいだよ」

482: 2013/10/06(日) 00:05:09.95 ID:Hv9suCQmo
戦刃「わたし?」

苗木「うん」

戦刃「じゃあ盾子ちゃん、行ってくるね」

江ノ島「はいはい、行ってらっさい」

苗木「僕は舞園さんとの約束があるから話が終わるまで自分の部屋にいるね」

江ノ島(約束ってさっきのあれかねー)

ガチャ

苗木「じゃあ僕は部屋にいるね」

舞園「話が終わったら呼びますね」

苗木「うん」

483: 2013/10/06(日) 00:07:23.24 ID:Hv9suCQmo
舞園「さて戦刃さん」

戦刃「あ、はい!」

舞園「明日の朝まで、もし江ノ島さんが苗木くんに何かしようとしたら止めてもらえますか?」

戦刃「?なにかって?」

舞園「苗木くん変なことをしていると感じたらでいいです」

戦刃「うーん…」

舞園「苗木くんに触ろうとしたりだとか」

戦刃「うん、分かったよ!」

舞園「じゃあ、お願いしますね」

484: 2013/10/06(日) 00:08:42.29 ID:Hv9suCQmo
舞園「苗木くん、もういいですよ」

ガチャ

苗木「すごく早かったね…」

舞園「でも、一応聞かれたくない内容ですので」

苗木「詮索はしないよ。じゃ戦刃さん、戻ろうか」

戦刃「うん!」

ガチャ

舞園「…」

485: 2013/10/06(日) 00:10:28.26 ID:Hv9suCQmo
舞園(正直戦刃さんが止めてくれるとは思えない)

舞園(私が自分で行けばいい話なんですが…)

舞園(あの場にいたら、何をするか分かりませんしね)

舞園(…)

ガチャ

苗木「舞園さん」

舞園「?どうしたんですか」

486: 2013/10/06(日) 00:15:00.36 ID:Hv9suCQmo
苗木「えっと…明日からもよろしくね」

舞園「ふふっ、いきなりどうしたんですか?」

苗木「何となくだよ、何となく」

舞園「なら、そういうことにしておきましょう」

苗木「じゃあ、おやすみ」

舞園「お休みなさい」

バタン

苗木(…舞園さんと変な空気で別れちゃったからあんなこと言ったけど…)

苗木(最善なのは、舞園さんと一緒にいることだよね)

苗木(でも…)

苗木(その前に、江ノ島さんの件を片付けなくちゃ)

487: 2013/10/06(日) 00:19:11.53 ID:Hv9suCQmo
ーー舞園の部屋ーー

舞園(苗木くんは隠し事をしている)

舞園(私が機械のこと以外に何か話したことは無いかと聞いた時、苗木くんは心中で『あれ』のことは言わない方がいいと考えてました)

舞園(心が読めてしまうのも考えものですね)

舞園(苗木くんは私に言えないような『何か』を江ノ島さんと話した)

舞園(…それを聞かなかったのは、苗木くんを信じているから、ですが…)

舞園(今こうして不安になっているのは、私が苗木くんを信じていない証拠なんでしょうか)

488: 2013/10/06(日) 00:23:48.81 ID:Hv9suCQmo
舞園(当たって欲しくない予感だけが頭をよぎる)

舞園(そんなことは無いと信じているはずなのに)

舞園「…うぅ」

舞園(我慢しなきゃ、我慢しなきゃ…)

舞園(私が、私が苗木くんを信用しなきゃいけないのに)

舞園「ううぅうぅ」

舞園(我慢して、我慢して…)

489: 2013/10/06(日) 00:26:24.29 ID:Hv9suCQmo
ーー苗木の部屋ーー

江ノ島「遅いー」

戦刃「ご、ごめんね」

苗木「3分も経ってないよ…」

江ノ島「まあ、いいや」

戦刃「ねね、とらんぷしよ!」

江ノ島「えぇー…疲れてるしパス」

苗木「じゃあ、僕とやろっか」

江ノ島「お風呂入ってくる」

490: 2013/10/06(日) 00:29:20.31 ID:Hv9suCQmo
苗木「戦刃さん、大富豪できる?」

戦刃「だいふごう?」

苗木「えっと…じゃあ、ルール説明するね」

ーーーーーーーーーー

苗木「分かった?」

戦刃「うん!」

苗木(さすが超高校級の軍人だ…覚えが早い)

戦刃「でも、2人だと手札多くなるよ?」

苗木「そこで『タイマン大富豪』だよ」

戦刃「た、たいまん?」

苗木「2人専用の大富豪なんだ。普通のと違ってデッキ性なんだよ」

491: 2013/10/06(日) 00:33:41.84 ID:Hv9suCQmo
戦刃「デッキ?」

苗木「うん、まずカードを半分に分けて…」シュッシュッ

戦刃「うん」

苗木「で、配られたカードを見ないでシャッフルする」シュッシュッ

戦刃「うんうん」

苗木「5枚引く」ピッ

戦刃「うんうんうん」

苗木「で、先攻後攻を決める為に、お互いにデッキの一番下のカードを見せる…7だね」

戦刃「えっと…9だ!」

492: 2013/10/06(日) 00:36:49.46 ID:Hv9suCQmo
苗木「今回は戦刃さんの方が数が多いから、戦刃さんが先攻になるんだ」

戦刃「うん」

苗木「で、デッキの一番下のカードを見ちゃったからもう一回デッキをシャッフルする」シュッシュッ

戦刃「うんうん」シュッシュッ

苗木「で、ここからは基本は普通の大富豪」

戦刃「普通に出していいの?」

苗木「うん、でも出した後に必ず手札が5枚になるように引いて行くんだ」

戦刃「??」

苗木「例えば今僕は5のペアがあるんだけど、これを出したら手札が3枚になるよね?」

苗木「そのあとデッキから手札が5枚になるように、2枚引くんだ」

493: 2013/10/06(日) 00:38:52.84 ID:Hv9suCQmo
戦刃「うん」

苗木「あとは、これの繰り返しで先にデッキと手札が無くなった方の勝ち」

戦刃「なるほどー!」

苗木「僕の手札見せちゃったし、もう1回配るね」

ーーーーーーーーーー

戦刃「うあー!負けたー!」

苗木「最初はこんなものだよ」

戦刃「2を4枚も持ってくなんてズルい!」

苗木「こんなこともしょっちゅうあるよ」

494: 2013/10/06(日) 00:41:00.64 ID:Hv9suCQmo
江ノ島「楽しそうだねー」

戦刃「あ、次私入るねー!」

苗木「うん」

江ノ島「なに、2人で大富豪してたの?」

苗木「そうだよ」

江ノ島「なんか、さみしいねー」

苗木「2人でトランプ自体無理があるよ…」

江ノ島「それで、苗木。返事は?」

苗木「返事?」

江ノ島「うわ、もう忘れてるよ」

495: 2013/10/06(日) 00:43:39.76 ID:Hv9suCQmo
苗木「ああ、あれか…」

苗木(ついに来た…!)

江ノ島「確かに質素な告白だけどいくらなんでも忘れるのはないわ」

苗木「あれを告白って受け取れるのは桑田くんぐらいだよ」

江ノ島「んな奴どうでもいいから。返事は?」

苗木「悪いけど、僕はもう付き合ってる人がいるんだ」

496: 2013/10/06(日) 00:45:40.45 ID:Hv9suCQmo
苗木「だから…」

江ノ島「で?」

苗木「え?」

江ノ島「で、って言ってんの。そんなのどうでもいいし」

苗木「いやいや、最後まで聞いてよ」

江ノ島「どうせもう彼女がいるから無理とか言うじゃん」

苗木「そこまで分かってるならありがたいよ」

江ノ島「でも、そんなのどうでもいいって」

苗木「いや、どうでもよくないでしょ…」

497: 2013/10/06(日) 00:49:05.22 ID:Hv9suCQmo
江ノ島「どうでもいいし。彼女がいるからなんなの?」

苗木「え」

江ノ島「ねえ苗木。苗木は私の事嫌い?」ズイッ

苗木(ち、近い…!)

苗木「き、嫌いでは無いよ。けど…」

江ノ島「じゃあそれで十分じゃん。私と付き合えばいい」

苗木「な、なんでそうなるのさ」

498: 2013/10/06(日) 00:53:17.79 ID:Hv9suCQmo
江ノ島「私は苗木に彼女がいても気にしないよ?」

苗木「ふ、二股なんてダメに決まってるだろ!」

江ノ島「別に問題無いよ。バレなきゃいいだけじゃん」

苗木「そういう問題じゃないよ」

江ノ島「何、そんなに彼女が怖いの?」

苗木「そんなのじゃない!」

江ノ島「じゃあなんなのかなー」

苗木「…舞園さんを裏切って君と付き合うなんて無理だよ」

499: 2013/10/06(日) 00:55:57.66 ID:Hv9suCQmo
江ノ島「なんだ、やっぱり舞園かぁー」

苗木(しまった…)

江ノ島「じゃあ舞園と別れたら私と付き合ってくれるんだよね?」

苗木「…僕は舞園さんとは別れないよ」

江ノ島「強がらなくてもいいんだけどなー」

苗木「強がってなんかない!」

江ノ島「苗木、私のこと好きでしょ」

苗木「そ、そんなこと」

江ノ島「そこでハッキリ否定できない時点で確定だねー」

苗木「な、なにが」

500: 2013/10/06(日) 00:59:13.32 ID:Hv9suCQmo
江ノ島「苗木は今私の方に傾きかけてるってこと」

苗木「…それは、それは違うよ!」

江ノ島「違わない」

苗木「違う、違うんだ」

江ノ島「違わない、何も違わないよ」

苗木「ううううう」

江ノ島「苗木、楽になろうよ…ね?」チュッ

苗木「…!」

江ノ島「返事はやっぱ明日でいいよ。一日、たっぷり絶望的に悩んでねー」スタスタ

苗木「…僕は…」

苗木「…舞園、さん」


510: 2013/10/06(日) 23:47:44.17 ID:Hv9suCQmo
ーー後日、朝、苗木の部屋ーー

苗木「…ん」パチ

苗木「…寝ちゃってた」

苗木「今は…6時か」

江ノ島「スー…」

戦刃「ん~…」ゴロッ

苗木「2人共よく寝てるね…」

苗木「…」

苗木「どうしよう」

511: 2013/10/06(日) 23:51:44.19 ID:Hv9suCQmo
苗木「…舞園さん、まだ寝てるかな」

苗木「…行ってみよう」

ーー廊下、舞園の部屋前ーー

苗木「起きてるかな…?」

石丸「やあ、おはよう苗木くん!」

苗木「あ、石丸くん。早いね」

石丸「早起きは三文の徳と言うからな!」

苗木「正直三文て少ないよね」

石丸「塵も積もれば山となると言うだろう!」

苗木「で、山になったの?」

512: 2013/10/06(日) 23:54:22.62 ID:Hv9suCQmo
石丸「い、いや…」

苗木「…そのうち積もるよ、きっと」

石丸「うむ…」

石丸「そんなことより、苗木くんは何をしているんだ?」

苗木「ああ、眠気覚ましに散歩してたんだよ」

石丸「そうなのか!」

苗木「でも眠いから部屋に戻って寝る所だったんだ」

石丸「そうか…では、僕も散歩をしてこよう!」

513: 2013/10/06(日) 23:56:16.48 ID:Hv9suCQmo
苗木「えっと…まあ、行ってらっしゃい」

石丸「うむ、苗木くんも寝過ぎないようにな!」スタスタ…

苗木「ふう…」

苗木「じゃあ、気を取り直して…」

ガチャ

苗木(え、勝手に空いた!?)

舞園「…」

苗木「…おはよう」

舞園「…おはようございます」

514: 2013/10/06(日) 23:58:23.95 ID:Hv9suCQmo
苗木「その…」

舞園「…どうしたんですか」

苗木「と、とりあえず、何で顔だけ覗かせてるの?」

舞園「…ちょっと、寝癖がひどいんですよ」

苗木「そ、そうなんだ」

苗木(舞園さんってそんな寝相悪くなかったよね…)

舞園「…」

苗木「えっと…」

舞園「…」

515: 2013/10/07(月) 00:02:41.25 ID:Lpe0fJTso
苗木「その…ちょっと早いけど、朝ごはん、食わない?」

舞園「…いいですよ、ちょっと待ってて下さい」

苗木「うん」

ーー20分後ーー

苗木「…遅いな…」

ガチャ

舞園「お待たせしました」

苗木「あれ、その包帯は…?」

舞園「お風呂で転んじゃって、すりむいたんですよ」

苗木「そうなんだ、大丈夫?」

舞園「ええ、元気ですよ」

苗木(…元気そうには、見えない)

苗木(目の下のくまもひどいし…ちょっとやつれているようにも見える)

516: 2013/10/07(月) 00:04:51.40 ID:Lpe0fJTso
舞園「苗木くん」

苗木「うん?」

舞園「言いたいことは全部口に出した方がいいですよ、私の前では」

苗木「…?」

舞園「…エスパー、ですから」

苗木「!」

舞園「今からする話は誰にも聞かれたくありません。とりあえず入って下さい」

苗木「…うん」

517: 2013/10/07(月) 00:06:49.17 ID:Lpe0fJTso
ーー舞園の部屋ーー

苗木「…」

舞園「苗木くん、今から隠し事は一切無しです」

苗木「…うん」

舞園「そんな構えないで下さい。私が聞きたいのは1つです」

苗木「…」

舞園「昨日、江ノ島さんに何を言われたんですか?」

苗木「…それは…」

舞園「言えないことではないはずです」

苗木「…わかったよ」

518: 2013/10/07(月) 00:09:23.40 ID:Lpe0fJTso
苗木「昨日、機械のことを話したあとに一言だけ言われたんだ」

舞園「何をですか?」

苗木「…僕のことが好きだって」

舞園「…!」

苗木「…ごめん。今思うと、隠す事じゃなかったね」

舞園「…いいですよ。そんなことは問題じゃないですし」

苗木「えっ」

舞園「まさか…苗木くん。私に別れを告げに来たんですか…?」

苗木「!」

519: 2013/10/07(月) 00:12:51.46 ID:Lpe0fJTso
舞園「…答えて下さい」

苗木「…違うよ」

舞園「本当に、ですね?」

苗木「うん」

舞園「…」

舞園(…良かった…)

苗木「その…ごめん。僕が最初から隠さなければ舞園さんも苦しむことは無かったんだよね」

舞園「いいんですよ」

苗木「ありがとう、舞園さん…ん、メール?」ブルル

苗木「なんだ、メルマガかぁ」

舞園「!」

520: 2013/10/07(月) 00:15:44.42 ID:Lpe0fJTso
苗木「えっと…」

舞園「…苗木くん」

苗木「?」

舞園「それ…なんですか?」

苗木「なんですかって?」

舞園「ケータイの後ろに貼ってあるプリクラですよ」

苗木「それは舞園さんと撮った…え!?」

舞園「…なんで、江ノ島さんのプリクラが貼ってあるんですかね」

苗木「ち、違うよ!僕はこんなの貼ってない!」

舞園「…」

521: 2013/10/07(月) 00:19:04.54 ID:Lpe0fJTso
苗木「舞園さん、信じて。僕じゃない」

舞園「…」ブルル

舞園(メール…)

苗木「…舞園さん」

舞園(まさか…)

舞園「…苗木くん、ちょっと待ってて下さい」

苗木「え?」

舞園「すぐ戻りますから」

523: 2013/10/07(月) 00:24:31.08 ID:Lpe0fJTso
ガチャ

苗木「どこ行くんだろう」

ーー苗木の部屋ーー

舞園「…」

江ノ島「いきなり来て無言はないでしょー」

戦刃「ん…、あ、おはよう」

舞園「戦刃さん、ちょっと廊下に行っててもらえますか?」

戦刃「な、なんで?」

舞園「…」

戦刃「し、失礼します!」

ガチャ

524: 2013/10/07(月) 00:29:47.98 ID:Lpe0fJTso
舞園「江ノ島さん、あなた、苗木くんに何をしたんですか」

江ノ島「告白とキス」

舞園「!」

江ノ島「苗木も嬉しそうだったよー」

舞園「…!」グッ

江ノ島「おおっと、私を殴っても頃しても解決しないよ?」

江ノ島「苗木が誰を舞園を選んだら私を殴ってもいいけどね」

舞園「…あなたを、許しません」

江ノ島「舞園にも非はあるのに?」

舞園「何を言っているんですか」

江ノ島「だって苗木は拒まなかったんだよ?」

525: 2013/10/07(月) 00:32:32.16 ID:Lpe0fJTso
江ノ島「あの時私を止めようと思えば止めれたはずなのに、止めなかった」

江ノ島「苗木が舞園のことをそこまで好きじゃないって証拠」

江ノ島「ちゃんと苗木に愛されなかった舞園にも非はあるんじゃないの?」

舞園「そんなの、屁理屈です!」

江ノ島「そうかもしんないけど、事実だよね?」

舞園「…っ」

江ノ島「私たちが言いあっても何も解決しない。重要なのは、苗木がどっちを選ぶかってことだけ」

526: 2013/10/07(月) 00:34:53.18 ID:Lpe0fJTso
江ノ島「…で、もう言うことは無いの?」

舞園「…もし苗木くんが私を選ばないのなら…」

舞園「卑劣な手段を取ったあなたを、頃すかもしれません」

江ノ島「…」

舞園「…それだけです」

ガチャ

527: 2013/10/07(月) 00:36:15.62 ID:Lpe0fJTso
ーー廊下ーー

戦刃「あっ」

舞園「話はもう終わったので、入っていいですよ」

戦刃「う、うん」

ガチャ

舞園「…」

舞園「…苗木くん」

舞園「…」

ガチャ

528: 2013/10/07(月) 00:40:10.60 ID:Lpe0fJTso
ーー舞園の部屋ーー

舞園「…苗木くん」

苗木「あ、舞園さん」

舞園「…私は信じています」

苗木「え?」

舞園「…今思うと、あの時苗木くんを鎖に繋いででも、あの部屋に行かせなければ良かったのかもしれませんね」

苗木「舞園さん…?」

舞園「江ノ島さんは、あなたがどっちを選ぶかだけど言いました」

苗木「…!」

舞園「…今日の夜。私は部屋にいます」

舞園「もし私を選んでくれるなら…来て下さいね」

苗木「…うん」

舞園「では」

苗木「…」

ガチャ

529: 2013/10/07(月) 00:43:39.69 ID:Lpe0fJTso
ーー廊下ーー

苗木(…)

苗木(僕がどっちを選ぶか…?)

苗木(そんなの舞園さんに決まってる)

苗木(…でも)

苗木(昨日、江ノ島さんに感じた感情は…)

苗木(あれは気の迷いだと言うことだと信じたい)

苗木(江ノ島さんの言葉には、魔翌力がある)

苗木(ダメだと分かっているはずなのに、『もうそれでいいや』と思わせる魔翌力が)

530: 2013/10/07(月) 00:48:07.90 ID:Lpe0fJTso
苗木(でも、あれは気の迷い)

苗木(それを拭う必要がある)

苗木(中途半端な気持ちで済ましていい問題じゃない気がする)

苗木(そのためにも…)

苗木(今日、江ノ島さんと話さなきゃならない)

苗木(惑わされるな)

苗木(江ノ島さんの言葉に、惑わされちゃダメだ)

苗木(気を、引き締めていこう…!)

ガチャ

548: 2013/10/08(火) 07:51:58.71 ID:mM6AUqG6o
今日は帰って来てから更新したいので16時頃に投下予定です
寝てしまったら遅くなるかもです

552: 2013/10/08(火) 23:02:12.64 ID:mM6AUqG6o
ーー1時間程前の不二咲の部屋ーー

不二咲「んー…」

不二咲「朝かぁ…」

不二咲「…セレスさん、起きてるかな?」

不二咲「まだ6時だし…」

不二咲「さすがにこの時間から行くのは失礼かな」

不二咲「…先に機械の所に行こうかな」

不二咲「あれはただの推測だけど…」

不二咲「もし合ってるなら大変なことだよね」

553: 2013/10/08(火) 23:07:00.93 ID:mM6AUqG6o
不二咲(もしあの推測が合ってるなら…)

不二咲(今の僕のこの気持ちはどうなるんだろう)

不二咲(男に戻った途端、霧切さんを好きじゃなくなるのかな)

不二咲(…それも、霧切さんに失礼だよね)

不二咲(そういう考えを持って元に戻った事になるんだから)

不二咲(…それを承知で、元に戻るべきかな?)

不二咲(いっそのこと、霧切さんに言ってからの方が…)

不二咲(…いやいや、それこそ失礼じゃないか。何を考えているんだ)

554: 2013/10/08(火) 23:11:58.61 ID:mM6AUqG6o
不二咲(やっぱり、今の姿のままで決断するのが一番いいはずなんだよね)

不二咲(…でも、答えは出ない)

不二咲(同じ思考を繰り返すだけだ)

不二咲(………そういえば)

不二咲(今、僕はセレスさんにも霧切さんにも好意を持ってる状況だ)

不二咲(僕の推測は、『性転換した直後は脳内は元の性のままだけど、時間が経つにつれ異性の脳内に変わっていく』だ)

不二咲(最初は男の脳内だからセレスさんを好きになった)

不二咲(時間が経って脳内が女になって、男になった霧切さんを好きになった)

不二咲(でも今はどっちも好きな状況だ)

不二咲(…僕の脳内は今、どっちの性になってるんだろう)

不二咲(まだ完全に女になりきなってないのなら説明はつく)

555: 2013/10/08(火) 23:17:28.07 ID:mM6AUqG6o
不二咲(説明はつくけど、そんな簡単なものなんだろうか?)

不二咲(もしかしたら、女である僕と男である僕の2人が脳内に存在してるかもしれない)

不二咲(だから悩むのかな)

不二咲(まだ完全に女になりきれてないってことなのかな)

不二咲(…訳が分からなくなってきた)

不二咲(男に戻って脳内の女である僕を無くせばいい話なのかな?)

不二咲(…よし)

不二咲(霧切さんに失礼なのは百も承知だ)

不二咲(戻ろう、男に)

556: 2013/10/08(火) 23:21:57.58 ID:mM6AUqG6o
ーー同じ頃の霧切の部屋ーー

霧切(…男になって、2日目ね)

霧切(興味本位で男になったのはいいけど…)

霧切(あまり、収穫は無かったわね)

霧切(いや、不二咲くんを好きになるっていうとても素敵な収穫があったわね)

霧切(…久々に、人を本気を好きになった気がするわ)

霧切(…元に戻ろうかしら)

霧切(この姿にも未練は無いし…)

霧切(今の時間なら、まだ皆寝てるでしょうし)

霧切(誰もいないうちに行きたいわね)

557: 2013/10/08(火) 23:26:04.79 ID:mM6AUqG6o
霧切(それにしても性転換する時は苦労したわ)

霧切(カプセルの扉を少しだけ開けて、ボタンを押してすぐ扉を閉めて…)

霧切(ああいう精密機械なら扉が閉まってない時は作動しないと思っていたけれど、意外とアバウトなのね)

霧切(変わっている間は妙に変な感覚に襲われるし…)

霧切(そういえば苗木くんや十神くんも元に戻るのかしら)

霧切(あんな叫び声は聞かれたくないし…)

霧切(早めに行きましょう)

558: 2013/10/08(火) 23:33:04.92 ID:mM6AUqG6o
ーー2時間程前のセレスの部屋ーー

セレス(ん…)

セレス(寝てしまってましたか)

セレス(…不二咲くんは、答えを出したのでしょうか)

セレス(もし選んでくれなかったら…)

セレス(自分でも、何をしでかすか分かりませんわね)

セレス(…)スッ

セレス(…くまがひどい)

セレス(とりあえず、シャワーでも浴びましょう)

559: 2013/10/08(火) 23:35:14.78 ID:mM6AUqG6o
ーーーーーーーーーー

セレス「ふぅ…」

セレス(…昨日から、体調が優れませんわね)

セレス(…もう一眠りしましょう)

セレス「…」

セレス「不二咲くん…」キュッ

564: 2013/10/10(木) 22:37:32.98 ID:QysDUCdHo
ーー機械のある部屋ーー

不二咲「着いた」

不二咲「まだ早いし誰もいないね」

不二咲「…誰か来ないうちにやってしまおう」

不二咲(1人でやるの大変なんだよなあ…)

不二咲「まず試薬Aを飲んで…」ゴクッ

不二咲「カプセルに入る」

不二咲「で、ボタンを押すんだけど…」

565: 2013/10/10(木) 22:39:53.55 ID:QysDUCdHo
不二咲「押しにくいぃ…」グググ

不二咲「手が短いから届きにくいな」

不二咲「なんか適当な棒…あ、これでいいかな?」ヒョイ

不二咲「普通の鉄パイプだよね…?」

不二咲「よし…これなら届くよね」

不二咲「えい」カチッ

不二咲「よし今だ!」バタンッ

566: 2013/10/10(木) 22:41:18.20 ID:QysDUCdHo
不二咲「うああああえええええええええええええ」

不二咲「ううううううううういいいいいいいいいいいあ」

不二咲「ああああああああぁぁぁぁぁあぁ…」

不二咲「……」

567: 2013/10/10(木) 22:43:36.88 ID:QysDUCdHo
霧切「…よし、誰もいないわね」

霧切「さっさとやってしまいましょう」

霧切「まず薬を飲んで…」ゴクッ

霧切「カプセルに入って…きゃぁっ!」

霧切「…不二咲くん?かしら」

不二咲「…」

霧切「返事が無いわね…」

霧切「というより…」

霧切「男に戻ってる…?」

568: 2013/10/10(木) 22:49:59.69 ID:QysDUCdHo
霧切「…」

霧切(なぜ不二咲くんが男に…?)

霧切(いや、戻るか戻らないかは本人の自由だけれど…)

霧切(今戻る必要はあったのかしら?)

霧切(それに不二咲くんは女の子になりたがってたはず…)

霧切(何か心境の変化が…?)

不二咲「ん…」

霧切「あら、お目覚めね」

569: 2013/10/10(木) 22:52:51.29 ID:QysDUCdHo
不二咲「霧切さん!?」

霧切「そうよ」

不二咲「な、なんでここに?」

霧切「あなたと同じよ、元に戻ろうと思ってね」

不二咲「そ、そうなんだ」

霧切「不二咲くん、スイッチを押してもらえるかしら?」

不二咲「あ、うん」

霧切「じゃあ、お願いね」バタン

570: 2013/10/10(木) 22:54:22.30 ID:QysDUCdHo
不二咲「いくよ」

霧切「ええ」

不二咲「えい」カチッ

霧切「ああああああああああああええええええええええいあああああああああ」

霧切「うひひひひえええええええええおおおおおおお」

霧切「いいいいいいいぃいぃぃぃいぃいいぃ……」

霧切「…」

不二咲「静かになった…」

不二咲「終わったのかな?」

571: 2013/10/10(木) 22:56:40.56 ID:QysDUCdHo
不二咲「開けるよ?」ガチャ

不二咲「霧切さん、大丈夫?」

霧切「…」

不二咲「返事がない…」

不二咲(性転換した直後は短時間だけど意識が戻らないのかな?)

不二咲(…)

不二咲(しかしびっくりしたなあ、いきなり霧切さんが現れるから)

不二咲(戻った理由は絶対に言わない方がいいよね…)

不二咲(…僕の心境に変化はあるんだろうか)

572: 2013/10/10(木) 22:59:03.31 ID:QysDUCdHo
ーー少し前、苗木の部屋ーー

苗木「入るよ」

江ノ島「あ、おかえりぃー」

戦刃「お、お疲れさま!」

苗木「江ノ島さん、君と話があるんだ」

江ノ島「また?最近こんなのばっかじゃん」

苗木「君がそうしてるんじゃないか」

江ノ島「苗木が決めれば済む話だよ?」

苗木「…確かにね」

573: 2013/10/10(木) 23:01:10.70 ID:QysDUCdHo
江ノ島「で、答え出たの?」

苗木「…もちろん」

江ノ島「そ。じゃあ、一旦姉ちゃんは外にいてねー」

戦刃「ま、またなの?」

江ノ島「…」

戦刃「行ってきます!」ガチャ

苗木「ごめんね、戦刃さん」

江ノ島「残姉ちゃんは置いといてさ。答えを聞かせて欲しいなー」

苗木「君が望む答えではないよ」

574: 2013/10/10(木) 23:03:59.51 ID:QysDUCdHo
江ノ島「へぇ」

苗木「僕は舞園さんが好きだ。だから君とは付き合えない」

江ノ島「あれ、じゃあ昨日したキスはどうなんの?」

苗木(きた、ここからだ)

苗木(江ノ島さんのペースにしたらダメだ…!)

江ノ島「キスは愛の証じゃん。好きでもない人とキスしといてそれはないんじゃない?」

苗木「あれは君が無理やりしたようなものだからね」

江ノ島「へえ、じゃあ拒否れば良かったのに?」

苗木「あの時の僕は放心状態だった」

苗木「そこにいきなりされたら拒否する意思も湧かないよ」

575: 2013/10/10(木) 23:09:40.25 ID:QysDUCdHo
江ノ島「そんな理由で通ると思ってる?」

苗木「今のところはね」

江ノ島「じゃあ今、キスするって言ったらどうする?」

苗木「もちろん、断るよ」

江ノ島「へぇ、ほんとに?」ズイ

苗木「今の僕は揺れないよ」

江ノ島「ふーん」

苗木「…悪いけど、舞園さんとはもう話さないで欲しいんだ」

江ノ島「なんで?」

苗木「舞園さんは今回の件でかなり傷ついているんだ、その原因は僕にもあるけど、君にもある」

江ノ島「…」

苗木「…江ノ島さんと話した後の舞園さん、辛そうだったから」

576: 2013/10/10(木) 23:11:44.95 ID:QysDUCdHo
苗木「だから」

江ノ島「辛そう?ほんとにそんな風に見えたの?」

苗木「…そうだよ」

江ノ島「舞園、私になんて言ったか知ってる?」

苗木「…知らないよ」

江ノ島「舞園ね、私を頃すって言ってきたんだよ?」

苗木「…っ!舞園さんはそんなこと言わない!」

江ノ島「それが言ったんだよね、ほんとに。聞く?」

苗木「…まさか」

577: 2013/10/10(木) 23:16:00.57 ID:QysDUCdHo
江ノ島「あの時の舞園なんか顔が怖かったからさ、一応録ってみたんだよね」

苗木「…」

舞園『…もし苗木くんが私を選ばないのなら…』

舞園『卑劣な手段を取ったあなたを、頃すかもしれません』

舞園『…それだけです』

苗木「…!」

江ノ島「苗木が選ぼうとしている人間は、こんな人間だよ?」

苗木「…それも、君がこんな卑怯な手で…!」

江ノ島「なに、苗木まで私のせいにするんだ?」

苗木「だって、そうだろ!」

江ノ島「なら、最初から私の誘いを全部断れば良かったんじゃん」

578: 2013/10/10(木) 23:18:52.90 ID:QysDUCdHo
江ノ島「誘いって言っても、1つだけだけどさ」

江ノ島「それをちゃんと断れない自分が悪いんじゃないの?」

苗木「…」

江ノ島「でも仕方ないよね」

苗木「…何がさ」

江ノ島「苗木が断れなかったのは、本心では舞園じゃなく私の方が好きだからだもんね」

苗木「…違う」

江ノ島「違うなら、あの時即座に断れるはずじゃん」

苗木「あの時は、放心状態で」

江ノ島「じゃあ、放心状態になった理由思い出してみようか?」

579: 2013/10/10(木) 23:22:49.86 ID:QysDUCdHo
江ノ島「あの時のくだり、覚えてる?」

ーーーーーーー

江ノ島『苗木、私のこと好きでしょ』

苗木『そ、そんなこと』

江ノ島『そこでハッキリ否定できない時点で確定だねー』

苗木『な、なにが』

ーーーーーーー

江ノ島「私のこと好き?って聞いたら苗木が放心状態になったんじゃん」

江ノ島「まあ、あれは放心ってか動揺だったけどねー」

苗木「…」

江ノ島「苗木は、認めたくないだけなんじゃない?」

580: 2013/10/10(木) 23:26:00.31 ID:QysDUCdHo
苗木「…何を?」

江ノ島「私のこと好きだってことね」

苗木「…」

苗木(…違う、僕は舞園さんの方が)

江ノ島「苗木は舞園を怖がっているんだよ」

苗木「僕が、舞園さんを…?」

江ノ島「それと、正しいことをしなきゃいけないっていう変な心理にとらわれてる」

江ノ島「…だから、苗木は素直になれない…」

苗木「…僕は」

581: 2013/10/10(木) 23:29:20.23 ID:QysDUCdHo
江ノ島「苗木はこう思ってるんじゃない?」

江ノ島「『舞園さんをフったら何かされるに違いない』」

江ノ島「『それに、他の人が好きになったからって今の彼女をフるなんて最低だ』とか」

苗木「…」

江ノ島「完全には合ってなくても、大方当たってるんじゃない?」

江ノ島「苗木、正義感強そうだしねー」

582: 2013/10/10(木) 23:31:40.66 ID:QysDUCdHo
江ノ島「でも別にいいんじゃない?」

苗木「…?」

江ノ島「別に最低でもいいじゃん。本能なんだし仕方ないでしょ」

江ノ島「周りからは軽蔑されても、好きな人と一緒にいれるだけで幸せじゃないの?」

苗木「…分からないよ」

江ノ島「私を選んだら舞園が私を頃しに来るんだっけ?」

苗木「…舞園さんは、そんなことしないよ」

江ノ島「分からないよー。一時の感情は何させるかわかんないしね」

583: 2013/10/10(木) 23:34:27.07 ID:QysDUCdHo
江ノ島「まあでも、その時はその時で何とかなるよ」

江ノ島「だって苗木、超高校級の…」

苗木「もう、いいよ」

江ノ島「あり?」

苗木「…もう、よく分からない」

江ノ島「…」

苗木「…僕が何をしたいのか、何が好きなのか、訳が分からなくなってきた」

江ノ島「ふーん…」

苗木「…ごめん、ちょっと寝たいから、戦刃さんの所へ行ってくれるかな」

江ノ島「じゃあ、最後に質問いい?」

584: 2013/10/10(木) 23:36:42.35 ID:QysDUCdHo
苗木「…手短にね」

江ノ島「苗木、今キスしていいかって言ったら断る?」

苗木「………」

江ノ島「その様子だと、どっちを選ぶかも決めてないみたいだねー」

江ノ島「今日の夜でいいよ。苗木」

苗木「…うん」

江ノ島「…おでこ、出して」

苗木「…?」スッ

江ノ島「ん」チュ

苗木「!」

江ノ島「んじゃ」ガチャ

585: 2013/10/10(木) 23:38:08.31 ID:QysDUCdHo
苗木「…」

苗木(結局僕は騙されているんだろうか)

苗木(それとも、本心を呼び起こされただけなのかな…?)

苗木(…決心をぐらつかせちゃいけない)

苗木(そう思ってたはずなのに…)

苗木(…もう、嫌だ)

591: 2013/10/12(土) 02:27:34.50 ID:FWLw3Giro
ーー機械のある部屋ーー

霧切「う…」

不二咲「あ、目、覚めた?」

霧切「…ええ」

不二咲「うん、いつもの霧切さんに戻ってるね」

霧切「2日しか変わってないのに懐かしい感覚ね」

不二咲「僕はそんな変化を感じなかったよ」

霧切「不二咲くんはそんな変化がなかったものね…」

不二咲「見た目はそんなに変わんなかったからね」

592: 2013/10/12(土) 02:30:45.56 ID:FWLw3Giro
霧切「そういえば、なぜ不二咲くんは男に?」

不二咲「ええっと、その」

霧切「女性になりたいって言ってなかったかしら」

不二咲「う、うん…」

霧切「別に責めてる訳じゃ無いわ。言いたくないなら言わなくてもいいのよ」

不二咲「まあ、その…何となくだよ、何となく」

霧切「意外と安直な理由ね…」

不二咲「霧切さんはなぜ?」

霧切「私が男になったのは単なる興味本位よ。男である理由が無くなったから元に戻っただけ」

593: 2013/10/12(土) 02:34:17.01 ID:FWLw3Giro
不二咲「そうなんだ」

不二咲(気づかれてないよね…)

霧切「それで…不二咲くん」

不二咲「どうしたの?」

霧切「その…決まったのかしら」

不二咲「…まだだよ」

霧切「そう…」

不二咲「えっと…できるだけ早く答えを出すよ、ごめんね」

霧切「急がなくていいの。むしろ、じっくり考えて決めて欲しい」

不二咲「うん、ありがとう」

霧切「じゃあ、私は部屋に戻るわね」

不二咲「ばいばい」

594: 2013/10/12(土) 02:37:44.92 ID:FWLw3Giro
不二咲(良かった…気づかれてなかったみたいだ)

不二咲(性転換したら才能が強化されるのは、元に戻ったら無くなるのかな?)

不二咲(もしかしたら隠してるだけかもしれないけど…)

不二咲(…ふう)

不二咲(よし。一旦落ち着いて、思考を整理しよう)

不二咲(僕の推測は『性転換すると性転換直後は脳内は元の性のままだけど、時間が経つにつれ異性の脳内になっていく』)

不二咲(今僕は元の性である男に戻った訳だけど…)

不二咲(現状で考えられる可能性は色々ある)

595: 2013/10/12(土) 02:41:49.66 ID:FWLw3Giro
不二咲(1つは『元の性に戻っても同じように脳内が徐々に変わる』こと)

不二咲(2つ目は『元の性に戻ると脳内は完全に元の性のものになる』こと)

不二咲(恐らくこのどちらかなはず)

不二咲(それだけじゃなく、まだ問題はある)

不二咲(仮に脳内が後者の状態だとして…)

不二咲(『性転換した時の異性の感情は引き継がれるか』?)

不二咲(今の僕の脳内が完全に男だとして、女の子だった頃の感情や気持ちはまだ持ち合わせているんだろうか?)

596: 2013/10/12(土) 02:47:04.88 ID:FWLw3Giro
不二咲(…こんがらがってくるなあ)

不二咲(とりあえず考えられる可能性は3つかな?)

不二咲(…まとめてみよう)

1:『元の性に戻っても同じように脳内が徐々に変わる』

不二咲(もし今この状態なら性転換した意味はあんまりないことになる…はず)

2:『元の性に戻ると脳内は完全に元の性のものになる』

不二咲(今この状態なら霧切さんへの好意は無くなるはず…)

3:2の状態に加えて、『性転換した時の異性の感情は引き継がれる』

不二咲(1と2を足したような状態がこの3)

不二咲(もしこれなら状況は全く進展しないことに…?)


597: 2013/10/12(土) 02:49:21.83 ID:FWLw3Giro
不二咲(今の僕の脳内はどれに該当するか…)

不二咲(確かめるにはセレスさんと会って、霧切さんともう一度話をするのが手っ取り早いかな)

不二咲(…)

不二咲(…今思うと最低なことな気がする)

不二咲(2人を振り回してるようなものだし…)

不二咲(2人共ずっと待ってるはずだもんね…)

不二咲(こんなことしてていいのかな…?)

598: 2013/10/12(土) 02:51:45.99 ID:FWLw3Giro
不二咲(…今選べと言われたらまた僕は悩むんだろうな)

不二咲(やっぱり、2人共好きなのかな…)

不二咲(機械が原因じゃない、僕が原因なんだ)

不二咲(2人共好きになるなんてあり得るのかな?)

不二咲(誰か相談できそうな人…)

不二咲(………今、起きてるかな?)

不二咲(行ってみよう)

602: 2013/10/13(日) 01:01:53.05 ID:ihzfUiP7o
ーー苗木の部屋ーー

苗木(なんかよくわかんなくなってきた)

苗木(江ノ島さんに騙されないようにって思ってたのに)

苗木(今でも舞園さんか江ノ島さんか選べと言われたら舞園さんを選ぶのは間違いない)

苗木(江ノ島さんと話す前もそう思ってた)

苗木(…結局、何1つ進展してない)

苗木(いや、むしろ悪化してるのかも?)

苗木(でも、特に悩むことはないはずなんだ)

603: 2013/10/13(日) 01:04:58.75 ID:ihzfUiP7o
苗木(舞園さんのことを好きなんだから、舞園さんとそのまま付き合っておしまいじゃないか)

苗木(…でも、なんか引っかかるというか)

苗木(江ノ島さんがよぎる)

苗木(江ノ島さんのことが好きになったってことなのかな)

苗木(でも、江ノ島さんに対してそんな感情は無い)

苗木(悩むことなんて無いはずだけど…)

苗木(僕は一体何を考えてるんだろう?)

604: 2013/10/13(日) 01:07:55.03 ID:ihzfUiP7o
コンコン

苗木「ん?はーい」

ガチャ

苗木「不二咲くん」

不二咲「お、おはよう苗木くん」

苗木「あ、男に戻ったんだ?」

不二咲「うん」

苗木「えっと…どうしたの?」

不二咲「…ちょっと相談したいことがあるんだ」

苗木「?分かったよ、とりあえず入って」

605: 2013/10/13(日) 01:12:13.18 ID:ihzfUiP7o
苗木「相談って?」

不二咲「うん、えっとね」

苗木「…」

不二咲「…今、セレスさんと霧切さんの2人から告白されてるんだ」

苗木「!」

不二咲「じ、自慢しにきた訳じゃないよ!ほんとに悩んでるんだ」

苗木「うん…分かってるよ」

不二咲「それで…その、僕が今、どっちを好きなのかよくわかんないんだ」

苗木「…、どういうこと?」

不二咲「何ていうのかな…どっちに対しても好きなのかもしれない」

606: 2013/10/13(日) 01:14:16.16 ID:ihzfUiP7o
苗木「…」

不二咲「こんなことあり得ないって自分でも分かってるけど…そうなるんだ」

不二咲「悩んでも悩んでも答えは出ないし…」

不二咲「しまいには機械のせいにしちゃうし」

苗木「機械って…あの?」

不二咲「うん、ちょっとした推測を立ててみたんだよ」

苗木「…一応、聞かせてもらえないかな」

不二咲「うん」

607: 2013/10/13(日) 01:18:54.62 ID:ihzfUiP7o
不二咲「あの機械は性転換した直後は脳内は元の性のままだって考えたんだ。で、時間をかけて異性の脳に変わっていく」

苗木「えっと…僕の場合、最初身体は女の子だけど脳内は男のままで、時間が経つと脳内も女の子に変わっていくってこと?」

不二咲「うん、そういうこと」

苗木「でも…それだとしても不二咲くんが悩む理由には繋がらないんじゃ?」

不二咲「ううん、違うんだ」

不二咲「僕が性転換した後、セレスさんと一緒にいたんだよ」

苗木「うん」

苗木(あれか…)

不二咲「その時まだ僕の脳内は男の子だった。だから、女性であるセレスさんを好きになった」

不二咲「次の日、男になった霧切さんに告白された…今でもよくわかんないけど、霧切さんのことを好きになったんだと思う」

608: 2013/10/13(日) 01:22:27.96 ID:ihzfUiP7o
苗木「つまり…1日くらいすると脳内が女の子のものになったいたってことかな」

不二咲「僕はそう考えてるよ」

苗木「…うーん」

不二咲「それで、もう少し考えてみたんだ」

苗木「うんうん」

不二咲「もし脳内が女の子に変わったことによって霧切さんを好きになったのなら、男になれば」

苗木「不二咲くん、それは…」

不二咲「…うん、霧切さんに失礼だってことは百も承知だよ」

苗木「なら、なんで?」

不二咲「…悩んでも悩んでも答えが出ないから、機械のせいにして逃げようとしてたんだと思う」

609: 2013/10/13(日) 01:26:19.83 ID:ihzfUiP7o
苗木「…そんなことでその問題は解決しちゃいけないんじゃないかな」

不二咲「…そうだよね…」

苗木「…それに、不二咲くんの好きな人はもう決まってるんじゃないかな?」

不二咲「えっ?」

苗木「自分でも分かってないだけかもしれないけど、それはもう行動に出てるよ」

不二咲「行動に?」

苗木「うん」

不二咲「…」

苗木「…それは、僕が教えるより自分で考えた方がいいと思う。元々、不二咲くん自身の問題だからね」

不二咲「…うん、ありがとう」

610: 2013/10/13(日) 01:28:55.69 ID:ihzfUiP7o
苗木「えっと…それで、一応聞かせてもらえるかな?」

不二咲「?何を…?」

苗木「その…男に戻ってからどうなったか」

不二咲「今のところよくわかんないけど…」

苗木「そうなんだ…分かったよ」

不二咲「僕、あの機械のこと、もう忘れるようにするよ。変なことばっかり考えちゃうし」

苗木「うん、それがいいよ」

611: 2013/10/13(日) 01:33:36.25 ID:ihzfUiP7o
不二咲「…じゃあ僕、そろそろ行くね」

苗木「うん」

不二咲「ありがとう、苗木くん」

苗木「力になれたなら嬉しいよ」

不二咲「じゃあ、またね」

ガチャ

苗木(不二咲くんも似たようなことで悩んでたんだなぁ…)

苗木(…あの機械の考察…ほんとに合ってるとした僕にも当てはまるんじゃないか?)

苗木(江ノ島さんは機械の秘密を知り尽くしている様子だった)

苗木(それを知って言ってきたのかも…?)

苗木(…僕も元に戻る必要があるかな)

612: 2013/10/13(日) 01:34:18.97 ID:ihzfUiP7o
今日はここまでです

619: 2013/10/18(金) 16:20:07.57 ID:DHqtm54Io
今読み返して気づいたんですが>>404で十神が話があるとか言って全く話してなかった…
とりあえず>>425と>>431の間に今から投下する苗木舞園十神のくだりが入ることにしておきます

620: 2013/10/18(金) 16:26:49.12 ID:DHqtm54Io
ーー食堂前ーー

苗木「じゃ、不二咲くんの所に行こっか」

舞園「はい」

戦刃「はーい!」

十神「待て、苗木、舞園」

苗木「あっ、そういえば話があるって言ってたね」

舞園「完全に忘れてました」

十神「貴様ら…まあいい、ここでは話しにくい。俺の部屋へ行くぞ」

戦刃「私は?」

十神「ちょうどいいから、お前も来てもらう」

十神「行くぞ」

621: 2013/10/18(金) 16:31:04.48 ID:DHqtm54Io
ーー十神の部屋ーー

苗木「話って…?」

十神「単刀直入に話すか。江ノ島はどこへ行った?」

舞園「!」

戦刃「!」

苗木「…江ノ島さんはどこへ行ったかはわからないよ。戦刃さんも教えれない理由があるみたいだし」

十神「あくまでしらを切るつもりか」

苗木「本当のことだからね、しらを切るも何も無いよ」

十神「俺は公園でお前たちが話していたのを見たんだがな」

舞園「…」

戦刃「え、えっと…」

622: 2013/10/18(金) 16:40:01.16 ID:DHqtm54Io
苗木「…えっと」

舞園「苗木くん、十神くんには言ってもいいんじゃ無いですか?」

苗木「うーん…」

十神「言わなくても大体の察しはつくがな」

苗木「なら、隠すこともないね」

舞園「江ノ島さんは今男の子となって、この学園にいます」

十神「やはりな…大方あの江藤とか言う奴だろう?」

戦刃「す、すごいね!当たってるよ!」

苗木「うん。条件を付けて戻って来てもらうことにしたんだ。2人共行き場を無くしているようだったし…」

十神「条件?」

舞園「私達を絶望に陥れるようなことはしないこと。姿を隠す為に男の子になってもらうことの2つです」

十神「1つ目の条件を守るとは思えないがな…」

苗木「大丈夫だよ。前みたいにモノクマもいないし」

623: 2013/10/18(金) 16:46:38.57 ID:DHqtm54Io
十神「それでも、何らかの方法を使ってきそうだがな」

苗木「その辺は僕たちができる限り監視していきたいとこだけど…」

舞園「四六時中って訳にも行きませんしね」

十神「戦刃は逆らえずに終わりそうだからな」

戦刃「そ、そんなことない!」

十神「そういえば…どうやって江ノ島と合流したんだ」

戦刃「えっ」

苗木「確かに…」

舞園「今まで忘れてましたけど、気になりますね」

戦刃「そ…その…」

十神「…苗木、舞園。何か隠してるんじゃないだろうな」

苗木「そこまでは知らないよ…」

624: 2013/10/18(金) 16:54:23.45 ID:DHqtm54Io
戦刃「…」

舞園「言いたくないなら、言わなくてもいいんですよ?」

十神「そうは行かないな。江ノ島がいる限り、奴に関する謎は全部明かしておくべきだ」

苗木「だけど…戦刃さんが江ノ島さんと合流した方法が影響してくるとは言えなくない?」

十神「それは俺にも分からないが…だが江ノ島が以前黒幕であった以上、用心し過ぎるくらいがちょうどいい」

舞園「確かにそうですが…」

戦刃「…ごめんなさい」

苗木「…十神くん。本人が言わないのなら、これ以上はどうすることもできないよ」

十神「………」

625: 2013/10/18(金) 16:58:47.91 ID:DHqtm54Io
十神「…まあいいだろう」

十神「だが…その方法を聞く必要が来た時は話してもらう」

苗木「…戦刃さん、いいかな?」

戦刃「…………うん…」

舞園「じゃあ、そろそろ不二咲くんのお見舞いに行きましょうか?」

十神「…戦刃」

戦刃「?」

十神「耳を貸せ」

戦刃「う、うん」

十神「………」ゴニョゴニョ…

戦刃「!」

苗木(何を話したんだろう?)

舞園(戦刃さんの表情が明るくなってますね)

626: 2013/10/18(金) 17:02:09.31 ID:DHqtm54Io
戦刃「じゃ、2人共、行こー!」

苗木「う、うん…?」

舞園「恐ろしい程のテンションの上がりようですね…」

苗木「じゃあ、十神くん、またね」

十神「…ああ」



>>431へ

627: 2013/10/18(金) 17:04:07.61 ID:DHqtm54Io
途中に挟む形になりましたが矛盾はないはず…多分

ここからの投下は>>611からの続きとなります

629: 2013/10/18(金) 17:08:52.27 ID:DHqtm54Io
ーー遊戯室ーー

大和田「俺はもうダメだ…」バタッ

石丸「僕も…限界だ…」バタッ

葉隠「2人共倒れるにはまだ早いべ!」

大和田「…」

石丸「…」

葉隠「…俺も、もうダメかもしれないべ」

葉隠「2人共…今日は…楽しかったべ…」バタッ

大和田「…」

石丸「…」

葉隠「…」



zzz…

630: 2013/10/18(金) 17:14:59.94 ID:DHqtm54Io
ーー30分後の遊戯室ーー

朝日奈「…めんこの練習をしに来たら…」

大神「3人共ここで寝ているとはな」

葉隠「zzz…」

石丸「zzz…」

大和田「zzz…」

朝日奈「徹夜で麻雀してたのかな?」

大神「葉隠が大勝ちした様子が伺えるな」

朝日奈「葉隠の席に変な棒一杯あるもんね」

631: 2013/10/18(金) 17:17:27.52 ID:DHqtm54Io
朝日奈「ま、気にせずめんこやろっか!」

大神「うむ」

朝日奈「さくらちゃん強すぎるから私はメタルめんこ使うね!」

朝日奈「まあ、メタルめんこ使っても勝てない訳だけどね…」

大神「油に漬けたと言っていたあのめんこを重ねてはどうだ?」

朝日奈「それでも負けそうな感じがする…」

632: 2013/10/18(金) 17:21:50.41 ID:DHqtm54Io
ーー腐川の部屋ーー

腐川(インスピレーションが止まらない…)

腐川(愛した男(十神)は実は女で女同士で禁断の愛に堕ちて行く…)

腐川(たまにはこういうのもいいわね…)

腐川(今日は1日中書けそう)

ーー山田の部屋ーー

山田「んんん…」

山田「おお、もう朝ですとな」

山田「寝落ちも慣れたものですな」

山田「さて、朝ごはんですぞ!」

633: 2013/10/18(金) 17:25:23.81 ID:DHqtm54Io
ーー桑田の部屋ーー

桑田「くぁ~…」

桑田「朝か…」

桑田(いつの間にか寝ちまってたみてーだな)

桑田(今日で苗木も不二咲も元に戻るはずだよな?)

桑田(俺の苦悩もここまでだな!)

桑田(さて、朝飯朝飯)

639: 2013/10/20(日) 05:02:49.24 ID:tA/IOriBo
ーー十神の部屋ーー

十神「……む…」

十神「…朝か」

十神「………」

十神(江ノ島が何もしてなければいいが…)

十神(奴のことだ。何もしないという訳ではあるまい)

十神(…まずは顔を洗うか)

640: 2013/10/20(日) 05:10:09.44 ID:tA/IOriBo
ーー廊下ーー

十神(江ノ島はどこにいるんだ?)

十神(昨日の夕食の後霧切について行ったのは見たな)

十神(霧切を訪ねてみるか)

コンコン

ガチャ

霧切「あら、珍しい」

十神「ん…?女に戻ったのか」

霧切「ええ。男性になっている必要は無かったから」

十神(俺も後で戻っておくか。目的は果たしたことだからな)

641: 2013/10/20(日) 05:15:57.78 ID:tA/IOriBo
霧切「それで、どうしたのかしら」

十神「江ノ…江藤がどこにいるか知らないか」

霧切「ああ、彼…昨日は夕食の後に話したけれど、その後どこかへ行ってしまったわ」

十神「どこへ行ったか分からないか?」

霧切「…そこまでは聞いてないわね。ただ…」

霧切(十神くんに江藤=江ノ島だということを伝えるべきかしら)

十神「江藤が江ノ島だということか」

霧切「!…気づいていたのね」

642: 2013/10/20(日) 05:25:01.97 ID:tA/IOriBo
十神「公園で苗木、舞園が江ノ島、戦刃と話しているのを見たからな」

霧切「そういうことね…江ノ島さんは苗木くんに会いたいと言っていたわ」

十神「苗木…?」

霧切「ええ。危害を加えるつもりも、変なことをする気もないとも言っていたわね」

十神「信じられんな。江ノ島が何もしないはずが無い」

霧切「それが…嘘は言ってなかったわ」

十神「何?」

霧切「あの時男性だった私は才能が強化されていたわ。嘘かどうかはすぐに分かる」

643: 2013/10/20(日) 05:28:58.51 ID:tA/IOriBo
十神「だが、相手はあの江ノ島だ。嘘をついていないように見せることもできるだろう」

霧切「それを見抜けない程私は甘くないわよ?」

十神「…まあいい。俺は江ノ島に話がある」

霧切「何を話すつもりかしら」

十神「それをお前に言う必要は無い」

霧切「…そう」

十神(あの後苗木と会ったのなら、苗木は江ノ島がどこへ行ったかも知っているはずだ)

十神「俺はもう行く。失礼したな」

霧切「ええ」

644: 2013/10/20(日) 05:33:05.39 ID:tA/IOriBo
ーー苗木の部屋前ーー

コンコン

十神「苗木、起きろ」

ガチャ

苗木「…十神くん?」

十神「江ノ島に何をされた?」

苗木「えっ!?」

十神(この反応を見る限り、江ノ島はやはり嘘をついていた)

十神「質問に答えろ」

苗木「……十神くんには関係ないことだよ」

十神「そうは行かないな、奴は嘘をついていた」

苗木「嘘?」

十神「奴が何かを目論んでいる可能性は十分高い」

645: 2013/10/20(日) 05:38:57.37 ID:tA/IOriBo
苗木「…まあ、確かに目論みはあったね」

十神「それを話せ」

苗木「………」

苗木「……江ノ島さんに、告白されたんだ」

十神「…」

苗木「…」

十神「…それだけか?」

苗木「え?…う、うん」

十神「………」

十神(苗木が嘘をついていることは無いだろうが…)

十神(こんなくだらんことの為に俺は動き回っていたのか)

646: 2013/10/20(日) 05:43:31.94 ID:tA/IOriBo
十神「江ノ島がその他に何か企んでいる様子はなかったか!」

苗木(何で怒ってるんだろ…)

苗木「…舞園さんと僕を別れさせようとした」

十神「……くだらん」

苗木「!」

十神「江ノ島が戻って来て危機を感じていたが」

苗木「くだらなくなんかないよ!」

十神「くだらんことだ。他人から見ればな」

苗木「……僕は真剣なんだ」

647: 2013/10/20(日) 05:49:44.85 ID:tA/IOriBo
十神「江ノ島に恋をしているとでも言いたいのか?」

苗木「…分からない」

十神「それが分からない以上、俺にとってもお前にとってもくだらんことだ」

苗木「…」

十神「そんなもので悩む事自体どうかしているとしか思えないな」

苗木「…十神くんには、分からないんだ」

十神「お前がどれほど悩み苦しんでいるかと言うことか?」

十神「そんなものを俺が知る必要は無い。お前がいくら悩もうとそれはお前自身の悩みである限り、俺には一切関係の無いことだ」

苗木「うう…」

十神「江ノ島はどこへ行った?」

苗木「…戦刃さんとどこかへ行ったみたいだよ」

648: 2013/10/20(日) 05:52:06.17 ID:tA/IOriBo
十神「ち…これ以上探すのは面倒だな…」

苗木「…」

十神「苗木。少し手伝え」

苗木「え…何を?」

十神「今から男に戻る」

苗木「!」

十神「この姿での目的は果たしたからな。これ以上女である必要は無い」

苗木「…分かったよ」

十神「なら、とっとと行くぞ」

649: 2013/10/20(日) 05:55:35.36 ID:tA/IOriBo
ーー機械のある部屋ーー

十神「この部屋も2日ぶりか」

苗木「そうだね」

十神「まず試薬A…」ゴクッ

苗木「次にカプセルに入って」

十神「ボタンを押せ」ガチャ

苗木「…行くよ」カチッ

十神「うおおおおおおおおおおおぬううぅぅううううううぅぅぅぅううう」

十神「ああああああああああああああううううううううううあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

苗木(なんか、大神さんを彷彿とさせる叫び声だったな…)

苗木「開けるよー」ガチャ

十神「…」

苗木「うん、戻ってる戻ってる」

苗木「十神くん、もう大丈夫だよ?」

650: 2013/10/20(日) 05:59:01.15 ID:tA/IOriBo
十神「…」

苗木「返事が無いね…」

苗木「…」

苗木(僕も、戻っておくべき、だよね)

苗木(不二咲くんの言うことを信じる訳ではないけれど…)

苗木(僕も、女である必要は無いもんね)

苗木(……早く、起きないかな)

651: 2013/10/20(日) 06:01:23.30 ID:tA/IOriBo
ーー2、3分後ーー

十神「む…」

苗木「あ、おはよう」

十神「…寝ていたのか」

苗木「寝ていたというよりは、気絶かな?」

十神「何分くらいだ」

苗木「5分くらい」

十神「そうか…用も済んだ。俺は部屋に戻る」

苗木「ちょっちょっと待ってよ!」

652: 2013/10/20(日) 06:04:08.98 ID:tA/IOriBo
十神「何だ」

苗木「僕も元に戻りたいんだ。ボタン押してくれるよね?」

十神「ち…さっさとしろ」

苗木「うん」ゴクッ

十神「入れ」

苗木「よいしょ」ガチャ

十神「行くぞ」カチッ

苗木「あああああああぁぁぁあああぁあんんんんんうううぅうううぅぅぅう」

苗木「うええええええええええああああああああああいいいいいいいいああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

十神「………」

十神「山田あたりが喜びそうな断末魔だったな」

十神「ドアだけ開けておくか」ガチャ

657: 2013/10/20(日) 20:07:43.81 ID:tA/IOriBo
ーー5分後ーー

苗木「ん…」

苗木「あ、戻ってる」

苗木「ていうかカプセルの中に放置したままって…いや確かに出しにくいけどさ」

苗木「よいしょ」

苗木「…ふぅ」

苗木「……これからどうしようかな」

苗木「やるべきことは1つだけど…」

658: 2013/10/20(日) 20:10:04.30 ID:tA/IOriBo
苗木(僕が女だった時、確かに江ノ島さんに好意を感じていた)

苗木(…この場合、感じさせられたと言うべきなのかな)

苗木(…でも、舞園さんを裏切るなんてことは絶対にしたくない)

苗木(それこそ、舞園さんを傷つけてしまう)

苗木(……)

苗木(江ノ島さんは、舞園さんに『頃す』って言われてたみたいだけど…)

苗木(それが本当なら…)

659: 2013/10/20(日) 20:12:43.21 ID:tA/IOriBo
苗木(舞園さんは、江ノ島さんと2人で話をしていた)

苗木(その時に言ったのかな)

苗木(…タイミング的に、そこしかあり得ないか)

苗木(江ノ島さんはきっと舞園さんにそこまで言わせる程の何かを言った)

苗木(あの舞園さんを追い詰める程の言葉を)

苗木(…だとするなら、舞園さんは今も傷ついたままだ)

苗木(…)

苗木(…一度、舞園さんと話をしよう)

660: 2013/10/20(日) 20:16:30.24 ID:tA/IOriBo
苗木(それにしても…)

苗木(僕って、最低な人間なのかな)

苗木(江ノ島さんが舞園さんを傷つけたと思ってて、江ノ島さんを好きになるんだから)

苗木(…どう考えても、最低だよね)

苗木(舞園さん、怒るだろうな)

苗木(…謝りに行こう)

苗木(舞園さんにハッキリ僕の気持ちを伝えるんだ)

苗木(…そして、2人で江ノ島さんときっちり話つけよう)

苗木(…それで、全部終わるはずなんだ)

661: 2013/10/20(日) 20:18:51.24 ID:tA/IOriBo
苗木(江ノ島さんと話す前は、『江ノ島さんが気になるままこの件を片付けちゃいけない』と思ってた)

苗木(…でも、これ以上江ノ島さんと話すと、どうにかなっちゃいそうだ)

苗木(舞園さんはそんなこと許さないかもしれない)

苗木(…けれど、もうこれしかない)

苗木(強引にこの話を片付けるんだ)

苗木(………やっぱり舞園さん、怒りそうだなあ)

662: 2013/10/20(日) 20:21:09.11 ID:tA/IOriBo
ーー舞園の部屋前ーー

苗木「………」

苗木(いざ部屋の前まで来ると、今からやろうとしていることがダメだってよくよく感じる)

苗木(…でも今は前に進もう)

苗木(強引でもいい。この一歩が大事なはずなんだ)

苗木「…舞園さん」

コンコン

舞園「…苗木、くん?」

苗木「寝てるのかな」

ガチャ

舞園「…起きてますよ」

663: 2013/10/20(日) 20:24:01.65 ID:tA/IOriBo
舞園「…まだ夜じゃありませんが、もう心は定まったんですか?」

苗木「…そのことで、話に来たんだ」

舞園「っ…」

舞園「…いいですよ。とりあえず入って下さい」

苗木「うん」

バタン

舞園「……」

苗木「……」

舞園「…何で黙っているんですか?」

苗木「…今から言うこと、舞園さんが怒りそうだなーって」

664: 2013/10/20(日) 20:29:58.93 ID:tA/IOriBo
舞園「…多分、大丈夫です」

苗木「…舞園さん、江ノ島さんと2人で話してたよね」

舞園「はい」

苗木「あの時…その、江ノ島さんに『頃す』って言ったのは…」

舞園「……本当ですよ」

苗木「舞園さん」

舞園「…頃すに決まってるじゃないですか!」

苗木「っ!」

舞園「…私が!…私が苗木くんに愛され無かったから…!」

舞園「苗木、くんは、江ノ島さん、を、好きになったって…」グスッ

苗木「…舞園さん…」

665: 2013/10/20(日) 20:33:57.42 ID:tA/IOriBo
舞園「私は…私は」

苗木「ごめん、舞園さん」

舞園「うぅ……」

苗木「…ごめん」ギュッ

舞園「うぁああああああぁあ」ギュゥゥ

苗木「…舞園さんは、何も悪く無いよ」

苗木「僕が全部悪いんだよ」

苗木「だから、舞園さんは何も悪く無い」

苗木「…これから、2人で江ノ島さんの所へ行こう」

舞園「…」グスッ

苗木「…僕達2人はどんなことがあっても離れない」

苗木「それを証明しに行こう」

673: 2013/10/21(月) 23:16:03.81 ID:ZoGOBEoJo
ーー10分後ーー

苗木「落ち着いた?」

舞園「はい、なんとか」

苗木「ごめん、僕のせいで」

舞園「苗木くんは悪くありませんよ」

苗木「でも…」

舞園「江ノ島さんの言うことにも一理ありますからね」

苗木「え?」

舞園「私に魅力が足りなかったから、こんなことが起きたんですよ」

苗木「そんなことないよ」


674: 2013/10/21(月) 23:19:19.47 ID:ZoGOBEoJo
舞園「でも、苗木くんはこの結論を出すまで時間がかかってしまった」

苗木「…それは…」

舞園「苗木くんを責めてる訳じゃありませんよ?」

苗木「うん」

舞園「ただ、私にも非はあると」

苗木「でも、僕がしっかりしていればこんなことにはならなかったんだよ?」

舞園「苗木くんがしっかりしなかった原因には私も含まれてますからね?」

苗木「えっ」

675: 2013/10/21(月) 23:23:24.36 ID:ZoGOBEoJo
舞園「今回はお互いに非はあるんです」

苗木「…舞園さんの非って?」

舞園「苗木くんが私だけを見るようにできなかったことですかね?」

苗木「…それは、舞園さんの非になることなの?」

舞園「私はそう思っていますよ」

苗木「僕は、舞園さんしか見てなかったつもりだけどな」

舞園「でも、現実にこんな問題が起きてしまった」

苗木「…う」

舞園「それは、私がしっかり苗木くんを繋ぎ止めておかなかったからですよね」

676: 2013/10/21(月) 23:26:35.84 ID:ZoGOBEoJo
舞園「あの時、止めておくべきでしたね」

苗木「あの時?」

舞園「江ノ島さんが『苗木くんと5分だけ話がしたい』って言ってたあの時ですよ」

苗木「ああ…」

舞園「嫌な予感はしてたんです」

苗木「…」

舞園「…あの時」

舞園「私、苗木くんを信じていました」

舞園「その後も、今もです」

苗木「…ありがとう」

苗木「あと、ごめん」

677: 2013/10/21(月) 23:29:08.60 ID:ZoGOBEoJo
舞園「ふふ、謝罪ならさっき聞きましたよ?」

苗木「いや、そうじゃないよ」

舞園「?」

苗木「…江ノ島さんと話してる時、僕、多分舞園さんのことを信じ切れてなかったんだと思うんだ」

舞園「そんなことありませんよ。現にこうしてここにいるじゃないですか」

苗木「でも、ここに来るまで凄い時間がかかった」

苗木「本来なら、江ノ島さんと話した直後にでも来るべきなのに」

苗木「それをしなかったのは…」

舞園「…もう、いいですよ」

678: 2013/10/21(月) 23:32:45.59 ID:ZoGOBEoJo
苗木「…舞園さん」

舞園「過程はどうあれ、今はここにいるんですから。それに、苗木くんがそう思うのには私にも責任はあるって言いましたよね?」

苗木「…うん。でも」

舞園「はい!この話はここで終わりにしましょう」

苗木「舞園さん?」

舞園「過程なんてどうでもいいですよ。大事なのは結果だけですし」

苗木「…そうだね」

舞園「私達がこれからどうするかの方が大事ですよ」

苗木「…うん」

679: 2013/10/21(月) 23:37:05.16 ID:ZoGOBEoJo
舞園「ついでに今約束しておきましょうか?」

苗木「約束?」

舞園「次どちらかが相手を信用しないことがあったなら…」

苗木「あったなら…?」

舞園「氏刑です!」

苗木「えOちょ、怖いよ!」

舞園「まあ、それくらいのことをするってことですよ」

苗木「とてつもなく重い約束だね…」

舞園「そんなもの感じさせないくらい私達が信じ合えば関係無いですよ。はい、ゆびきりしましょう」スッ

苗木「うん。…はい」スッ

680: 2013/10/21(月) 23:41:54.99 ID:ZoGOBEoJo
ーー不二咲の部屋ーー

不二咲(色々あったなぁ)

不二咲(女になったこと。セレスさんとのこと。霧切さんに告白されたこと。2人のどっちが好きかで悩んだこと。男に戻って、また、悩んだこと)

不二咲(結局、答えは出ないままだね)

不二咲(簡単なことのはずなんだけどね)

不二咲(どっちが好きかなんて、自分が一番分かってるはずだけど)

不二咲(苗木くんは、『自分で分かってないだけかもしれないけど、もう行動に出てる』って言ってた)

不二咲(僕の好きな人は定まってるんだ)

681: 2013/10/21(月) 23:50:07.41 ID:ZoGOBEoJo
不二咲(自分で分からないってことは…)

不二咲(………)

不二咲(嫌われるとか思ってるのかな)

不二咲(霧切さんが言ってた)

不二咲(『あなたは決して突き放さない。なぜなら、その人のことがどこかで好きだから』)

不二咲(当たってるのかもしれない)

不二咲(2人共好きだから、選べないんだ)

不二咲(…でもそんなのは答えじゃない)

682: 2013/10/21(月) 23:52:08.55 ID:ZoGOBEoJo
不二咲(…でも)

不二咲(答えはもう出ているはずなんだよね)

不二咲(苗木くんはそう言ってた)

不二咲(僕が2人に関することでとった行動…)

不二咲(…もしかして?)

690: 2013/10/24(木) 21:37:46.09 ID:LeoFjIUFo
不二咲(もし『あの行動』が僕の本当に好きな人を示しているとしたら…)

不二咲(………)

不二咲(いや、最低なことだってことは元から承知の上なんだ)

不二咲(それを覚悟で『あの行動』をとったんじゃないか)

不二咲(…答えは、出たんだ)

不二咲(…でも)

不二咲(こんな答えの出し方、2人共望んでないよね)

不二咲(…どうしよう)

691: 2013/10/24(木) 21:39:31.05 ID:LeoFjIUFo
不二咲(もう取り返しはつかない)

不二咲(いっそのこと、隠し通せばいい話なのかな)

不二咲(…)

不二咲(いや、それこそ2人共許さないよね)

不二咲(隠し事なんてすぐにバレるんだ)

不二咲(…2人共、納得してくれるかな)

不二咲(…)

692: 2013/10/24(木) 21:41:45.10 ID:LeoFjIUFo
不二咲(…いや、納得もらおうとは思わない)

不二咲(許してもらうつもりもない)

不二咲(2人が納得しなくてもいい、これが僕の答えなんだ)

不二咲(確かに最低なことだ)

不二咲(…けど、こうでもしなかったら答えは出なかった)

不二咲(…霧切さん)

不二咲(やっぱり、僕は君が思ったような人じゃなかったよ)

不二咲(…)

不二咲「ごめんね…」

693: 2013/10/24(木) 21:46:09.17 ID:LeoFjIUFo
ーー舞園の部屋ーー

舞園「約束は絶対ですよ?」

苗木「うん、わかってる」

舞園「ゆびきりまでしたんですからね」

苗木「ゆびきりってそんな重大なことなの…?」

舞園「私の中では重大です」

苗木「まあ、あんな罰まで用意されちゃね」

舞園「罰が怖くて約束を破ったら、その時は何が起こるか分かりませんよ?」

苗木「怖いよ…約束から脅しになってるし」

舞園「約束を守れば問題無いですよ」

苗木「まあ、確かにね…」

694: 2013/10/24(木) 21:49:45.10 ID:LeoFjIUFo
舞園「なんだか久しぶりに苗木くんと恋人らしい会話をした気がしますね」

苗木「実際は1日も経って無いんだけどね…」

舞園「まあ、こういうトラブルも込み込みで絆が深まっていくんですよ!」

苗木「確かに、今回の件で絆は深まったよね」

舞園「でも、こんなことはもうこりごりですよ?」

苗木「うん、わかってるよ。もう大丈夫」

舞園「ふふ、ならいいです」

苗木「…それで、舞園さん」

舞園「なんですか?」

695: 2013/10/24(木) 21:53:46.18 ID:LeoFjIUFo
苗木「このこと、江ノ島さんに話しにいかなくちゃ」

舞園「…いいですけど…」

苗木「江ノ島さんと話すと何が起こるか分からないから、僕も極力会話は避けたいんだけどね」

舞園「でも、この話はしない訳にはいきませんね」

苗木「うん。今度は2人だから、大丈夫だよ」

舞園「…1人だと、何かあるんですか?」

苗木「江ノ島さんの言葉を聞いてるとその気にさせられるから」

舞園「ああ…確かに。今でもそうかもしれませんね」

苗木「決して惑わされちゃいけないって思って話してても、いつの間にかのせられてたりするからね」

舞園「…」

696: 2013/10/24(木) 21:57:58.79 ID:LeoFjIUFo
苗木「まあ、2人ならそんな心配はな」

舞園「苗木くん」

苗木「うん?」

舞園「もしかして、惑わされたんですか?」

苗木「!えっと…」

舞園「隠しても無駄ですよ?」

舞園「…私、エスパーですから」

苗木「…そうだね。もう隠し事は無しにしよう」

舞園「私はもう動じませんよ。過程は気にしないって決めたんです」

舞園「それに、苗木くんは今こうしてここにいるんですから」

苗木「舞園さん」

舞園「江ノ島さんにいくら惑わされようが、ここにいればそんなのは関係の無いことです」

697: 2013/10/24(木) 22:00:30.96 ID:LeoFjIUFo
苗木「…ありがとう、舞園さん」

舞園「いえ、いいですよ」

舞園「結果良ければ全て良しですよ」

苗木「舞園さんらしいね」

舞園「褒めても何も出ませんよ?さ、そろそろ話して下さい」

苗木「…うん」

苗木「…僕、江ノ島さんと話すうちに江ノ島さんを好きになってたかもしれないんだ」

舞園「…はい」

698: 2013/10/24(木) 22:04:21.89 ID:LeoFjIUFo
苗木「いや、好きと言ってしまうほどでは無いかもしれないけれど、それでも江ノ島さんに惹かれてた…と思う」

舞園「…別に、濁さなくてもいいですよ」

苗木「…うん」

舞園「…終わり、ですか?」

苗木「そう…、だね。これ以上隠し事は無いよ」

舞園「…」

苗木「…言い訳かもしれないけれど」

苗木・舞園「「僕は舞園さんだけが好きだよ」」

苗木「ええっ」

舞園「エスパーですから」

苗木「びっくりしたよ…」

舞園「苗木くん、何度も言わせないで下さい」

苗木「えっ?」

699: 2013/10/24(木) 22:08:53.37 ID:LeoFjIUFo
舞園「さっきも言ったじゃないですか、過程はどうでもいいって」

苗木「…そうだったね」

舞園「苗木くんは江ノ島さんを好きになったかもしれません」

舞園「けど、そんなの偽りの感情です」

苗木「偽り?」

舞園「人を好きになるってことは、騙されてなることじゃありません」

苗木「…確かに、そうだね」

舞園「そんなので人の心を掴んでも、すぐ離れていってしまいます。苗木くんみたいに」

苗木「僕?」

舞園「現に今、苗木くんは江ノ島さんを好きになってたのにここにいるじゃないですか」

苗木「あ、えっと」

舞園「…まだ、何かあるんですか?」

700: 2013/10/24(木) 22:16:03.14 ID:LeoFjIUFo
苗木「…ここに来るまで、江ノ島さんへの気持ちは拭いきれないままだった」

舞園「…なら、なぜここへ来たんですか」

苗木「舞園さんを、これ以上傷つけたくなかったんだ」

舞園「私が?」

苗木「江ノ島さんに『頃す』って言ったくらいなんだ。江ノ島さんに何か言われたに違いないと思って」

舞園「…」

苗木「…あと、謝りに来たんだ」

舞園「…さっき、2回ほど謝られましたが…」

苗木「舞園さんが傷ついてるって分かっておきながら、江ノ島さんを好きになったこと」

苗木「…ごめん」

701: 2013/10/24(木) 22:19:26.08 ID:LeoFjIUFo
舞園「…」

苗木「…本当に、ごめん」

舞園「…えへへ」

苗木「舞園さん?」

舞園「ちょっと、嬉しくなっちゃいました」

苗木「???」

舞園「苗木くん、江ノ島さんか私か悩んでいる時に私の部屋に来たんですよね?」

苗木「うん」

舞園「苗木くんは『私が傷ついてる時に江ノ島さんを好きになったこと』で謝りたいって言ってましたよね?」

苗木「う…うん」

舞園「良かったです」

苗木「…?」

舞園「苗木くん、私やっぱり信じて良かったんですね」

苗木「えっと…、よく分からないんだけど…」

702: 2013/10/24(木) 22:22:54.24 ID:LeoFjIUFo
舞園「苗木くんは江ノ島さんより私の方が好きだったってことですよ」

舞園「もしかしたら他に思惑があってここに来たのかもしれません」

舞園「でも、どうあれ悩んでいる中私の部屋にきたんですよ?」

苗木「…僕は、無意識のうちに舞園さんを選んでいた…」

舞園「そういうことですよ」

舞園「今も江ノ島さんのことが気になっているのか分かりませんが…」

舞園「私への気持ちの方が強かったんですよ」

703: 2013/10/24(木) 22:28:15.33 ID:LeoFjIUFo
舞園「江ノ島さんにいくら惑わされようが、苗木くんには関係無かったってことですよ」

苗木「…舞園さん…」

舞園「動じないって言いましたよね?私、苗木くんをずっと信じてましたから」

苗木「…ありがとう」ギュッ

舞園「わ。急に抱きつかないで下さいよ」

苗木「ありがとう…ありがとう、舞園さん」

舞園「ふふ。泣いちゃうなんて、まだまだ子供ですね。ほら、お姉さんが慰めてあげますよ」ギュッ

苗木「舞園、さん、だって、グスッ、さっき、泣いてた」

舞園「覚えてないですね」

苗木「…」

舞園「…もう少し、このままでいましょうか」

苗木「…うん」

710: 2013/10/25(金) 22:53:29.05 ID:6uk/knd9o
ーー不二咲の部屋ーー

不二咲(…とりあえず、2人に謝ろう)

不二咲(霧切さんは許さないだろうな)

不二咲(あれだけ僕のことを信頼してくれてたのに、その気持ちをこんな形で裏切られるんだから)

不二咲(…うじうじしてても何も始まらない)

不二咲(まずは…霧切さんの部屋に行こう)

711: 2013/10/25(金) 22:56:43.54 ID:6uk/knd9o
ーー霧切の部屋前ーー

不二咲(…いるかな?)

コンコン

霧切「はい」

不二咲「えっと…話があるんだ」

霧切「話?…いいわ、中に入って」

ガチャ

不二咲「失礼します」

霧切「よいしょ…はい、座って」

不二咲「うん」

霧切「とりあえず紅茶を入れてくるわ」

712: 2013/10/25(金) 22:59:23.27 ID:6uk/knd9o
霧切「はい。ダージリンだけど、飲めるかしら?」

不二咲「紅茶苦手な人ってあんまりいないと思うけど…いただきます」

霧切「それで、話って?」

不二咲「あ…うん」

不二咲「その…言いにくいことなんだ」

霧切「言いにくい事でも、それを話す覚悟があるからここに来たのよね?」

不二咲「うん。…もう少しだけ、待ってもらっていいかな」

霧切「ええ、ゆっくりでいいわ」

713: 2013/10/25(金) 23:03:00.82 ID:6uk/knd9o
ーー5分後ーー

不二咲「ふぅ…よし」

霧切「決心はついたかしら?」

不二咲「うん」

霧切「じゃあ、聞かせて。あなたの大事な話」

不二咲「………」

不二咲「…霧切さんは、僕に告白してくれた時、僕は裏切らない人だって言ったよね」

霧切「ええ」

不二咲「…そんなことなかった。僕は最低な人間だ」

霧切「不二咲くん?」

714: 2013/10/25(金) 23:07:13.34 ID:6uk/knd9o
不二咲「実はもう、答えが出てるんだ」

霧切「答え…」

不二咲「霧切さんか、セレスさんか」

霧切「…」

不二咲「僕、最初は分からなかったんだ。どれだけ悩んでも、答えが出ないから」

不二咲「2人共好きなんだと思ってた。でもそう思ううちに、変な考えがよぎったんだ」

霧切「変な考え…?」

不二咲「あの機械、性別が変わった時、脳内は元の性のままだったよね?」

霧切「ええ、確かにそうね。姿は男だけれど、中身は変わった気はしなかったわ」

不二咲「…僕、時間が経つにつれて、脳内も異性に変わっていくと思ったんだ」

霧切「…それで?」

715: 2013/10/25(金) 23:09:43.52 ID:6uk/knd9o
不二咲「最初僕の脳内は男だった。でも、次の日にはもう女の脳内になってた」

霧切「…だから、男だった私を好きになってしまった、と?」

不二咲「………うん」

霧切「…」

不二咲「…今日、元に戻ることで全部分かると思ったんだ」

霧切「…それで、何か分かったのかしら」

不二咲「…何も分からなかった。何も変わらなかったんだ」

霧切「…」

716: 2013/10/25(金) 23:11:54.39 ID:6uk/knd9o
不二咲「そのあと、苗木くんに相談しに行ったんだ」

霧切「苗木くんに?」

不二咲「うん。…苗木くんは、『答えはもう行動に出てる』って言ってくれた」

霧切「行動に…」

不二咲「その行動が何か考えて、分かったんだ」

不二咲「…霧切さんにとっても失礼な行動をとってたことが」

霧切「…」

717: 2013/10/25(金) 23:15:04.92 ID:6uk/knd9o
不二咲「僕…男に戻ることで、無意識のうちに霧切さんへの思いを消そうとしてたんだと思う」

不二咲「『女である自分が霧切さんを好きなら、男に戻ればいい』って考えてたんだと思う」

不二咲「……最低だよね」

霧切「…今のあなたは、どうなのかしら?」

不二咲「今の僕?」

霧切「さっきは男性に戻っても分からなかったと言ってたわ」

霧切「でもそれは、色々混乱してたからだと考えるわ」

不二咲「…」

718: 2013/10/25(金) 23:19:18.26 ID:6uk/knd9o
霧切「今のあなたは、こうして私にその話をするくらいに落ち着いている。今なら、心の整理もできるんじゃないかしら」

不二咲「整理…」

霧切「あなたの答えはもう分かっているわ。でも」

不二咲「でも…?」

霧切「私は、そんな納得のいかない答えは許さないわ」

不二咲「っ…」

霧切「未練とか執着とかそんなのじゃない。納得のいく答えが欲しいだけよ」

不二咲「…そう、だよね」

霧切「…そんな答えじゃ、セレスさんも何も嬉しくないはずよ」

霧切「自分に正直になって」

霧切「機械なんてどうでもいい。あんなものに、私達の心まで変えることはできない」

719: 2013/10/25(金) 23:24:50.83 ID:6uk/knd9o
不二咲「…うん。そうだよね…ありがとう、霧切さん」

霧切「あら、目の色が変わった気がするわね」

不二咲「何か、吹っ切れた気がするんだ」

霧切「そう、なら良かったわ」

不二咲「あと…ごめん」

霧切「それは…セレスさんに言うべきね」

不二咲「うん、分かってる」

霧切「こんな選ばれ方をしたと知ったら、セレスさんは怒るでしょうね」

不二咲「…」

霧切「でも今、あなたが何にも左右されずに答えを出せばいい話よ」

不二咲「うん」

霧切「…もう少し、時間が必要かしら」

不二咲「…そう、だね。あと1時間だけ時間をもらえるかな」

720: 2013/10/25(金) 23:29:11.38 ID:6uk/knd9o
霧切「私はいつまでも待つと言ったはずよ?セレスさんも同じく、ね」

不二咲「…ありがとう」

霧切「どれだけ時間がかかってもいいわ。時間はいくらでもあるのだから」

不二咲「…うん」

不二咲「…本当に、ありがとう、霧切さん」

霧切「お礼はさっき聞いたわ」

不二咲「感謝してもしきれないくらいだよ」

霧切「ふふ」

不二咲「じゃあ、部屋に戻るね」

霧切「ええ」

721: 2013/10/25(金) 23:32:24.45 ID:6uk/knd9o
ーー食堂ーー

江ノ島「…」

戦刃「…」

江ノ島「…」

戦刃「…あの」

江ノ島「静かにして」

戦刃「…はい」

戦刃(お姉ちゃんなのに…うー)

江ノ島「…お姉ちゃん、ご飯食ったのにいつまで座ってるの?」

戦刃「えっ!え、ええと」

江ノ島「もしかして私を待ってる?」

723: 2013/10/25(金) 23:37:18.78 ID:6uk/knd9o
桑田「なぁ、山田」

山田「どうされましたかな」

桑田「なんでワイワイ食事を楽しむ食堂でこんな気を遣わなきゃなんねーのかな」

山田「江藤殿が放つオーラが強烈過ぎますな…」

桑田「転校生とは思えない威圧だよな」



江ノ島「うるさいなー…」

戦刃「えっ、ご、ごめんね」

江ノ島「お姉ちゃんじゃないってば。あそこの2人」

戦刃「ほっ…」

江ノ島「はぁ…1人になりたいから、お姉ちゃん、どっか行ってて」

戦刃「えっ…う、うん…」

江ノ島「はい、お疲れしゃーん」ヒラヒラ



山田「なんか、キャラが変わった気がしますな」

桑田「いや、個性が強すぎるこの学園で存在感を出そうとしてるんじゃねえか?」

724: 2013/10/25(金) 23:38:11.11 ID:6uk/knd9o
ーー食堂前ーー

戦刃「うーん…どこ行こう」

戦刃「…あ」

戦刃「十神くん…いるかな」

730: 2013/10/26(土) 15:03:50.42 ID:f7tHdLNuo
ーー十神の部屋前ーー

戦刃「いるかな?」

コンコン

ガチャ

十神「…何だ」

戦刃「えぇと、約束の…」

十神「ああ、完全に忘れていたな…」

戦刃「ええっ!」

十神「今思い出したから問題無い」

戦刃「じゃ、行こ!」

十神「分かったから、引っ張るな」

731: 2013/10/26(土) 15:05:58.16 ID:f7tHdLNuo
ーー遊戯室ーー

十神「む…誰かいるな」

戦刃「おじゃましまーす!」

ガチャ

朝日奈「あ、おはよー!」

大神「爽やかな朝だな」

十神「この部屋は異質だがな」

戦刃「3人とも、寝てるの?」

朝日奈「徹夜で麻雀してたみたい」

十神「馬鹿としか言いようが無いな…」

732: 2013/10/26(土) 15:09:40.09 ID:f7tHdLNuo
大神「2人はなぜここへ?」

戦刃「十神くんと遊びにきたんだ」

十神「どこへ連れていかれると思ったらまさかこことはな」

朝日奈「なんか珍しいツーショットだね」

十神「どうでもいいだろう」

戦刃「2人は何してたの?」

朝日奈「めんこだよ!今さくらちゃんに5連敗中だよっ!」バシッ

十神「若干やけくそ気味だな」

戦刃「私もやるー!」

大神「十神はどうする」

733: 2013/10/26(土) 15:11:56.71 ID:f7tHdLNuo
十神「本来ならめんこなどという愚劣な遊戯はしないが…」

十神「約束だからな。全力で叩きのめしてやろう」

朝日奈「十神が負けて悔しがるのが浮かぶねー」

戦刃「じゃ、チームでやろ!」

大神「む…どう組むのだ?」

朝日奈「うーん…バランスで考えてあたしと十神かな?」

十神「バランスを考えるなら俺と朝日奈と戦刃で組むべきだな」

734: 2013/10/26(土) 15:14:23.88 ID:f7tHdLNuo
朝日奈「ちょ、それはさくらちゃんがかわいそうだよ」

十神「よく考えろ。俺とお前で大神に勝てると思うか?」

朝日奈「………ちょっと、厳しいかな」

十神「ちょっとで済むのならいいがな」

戦刃「え、えっと、どうするの?」

大神「ここは我が1人になるべきだな」

朝日奈「いいの?」

大神「勝負はいつでも公平に行うものだ」

735: 2013/10/26(土) 15:16:39.72 ID:f7tHdLNuo
十神「ハンデとして俺はこの厚さ5mmのゴールドめんこを使う。いいな?」

朝日奈「それ、いくらすんの…」

戦刃「すごい!キラキラしてるー!」

大神「構わぬ」

朝日奈「普通のめんこであのゴールドめんこひっくり返すって物理的に無理なんじゃ」

十神「大神なら可能にしてくれるだろう」

朝日奈「変なところでいいこと言うよね、十神」

戦刃「よし、やろー!」

736: 2013/10/26(土) 15:21:17.82 ID:f7tHdLNuo
ーー舞園の部屋ーー

舞園「…苗木くん?」

苗木「…スー…」

舞園(寝ちゃいましたか。無理も無いですね)

舞園(…私も、ちょっと眠くなってきましたね)

舞園(江ノ島さんの所に行く前に、少し眠っておきましょうか)ポフッ

苗木「…スー…」

舞園(ふふ。おやすみなさい、苗木くん)

737: 2013/10/26(土) 15:26:32.79 ID:f7tHdLNuo
ーー不二咲の部屋ーー

不二咲(…僕の中で出てた答えは、セレスさんだった)

不二咲(男に戻ることで霧切さんの思いを消そうとした。それが答えだと思ったからだ)

不二咲(…でも、その答えは出してはいけない答えだった)

不二咲(何度も、最低なことだって分かってたのにね)

不二咲(…整理しよう)

不二咲(僕が本当に好きな人を見極めるんだ)

不二咲(…いや、見極めるってのも変な話だよね)

不二咲(自分のことだから、分かるはずなんだ)

738: 2013/10/26(土) 15:30:43.96 ID:f7tHdLNuo
不二咲(…結局、わからないままなのかな)

不二咲(…『考えても分からないなら』…)

不二咲(『分かる方法を見つければいい』)

不二咲(誰かが言ってたけど、今まさにそんな状況だよね)

不二咲(この言葉の意味自体よく分からないけど)

不二咲(『考えて答えを出す』以外の方法を見つければいいってことなのかな)

不二咲(…)

不二咲(2人と話してみれば、分かるかな?)

739: 2013/10/26(土) 15:34:21.48 ID:f7tHdLNuo
不二咲(自分で考えても分からないなら)

不二咲(2人と一緒に話して、僕の心を見極めよう)

不二咲(2人の言動が僕に答えを与えてくれるはずだ)

不二咲(…こんなこと言ったら、また霧切さん、怒るかな?)

不二咲(待ってくれるって言ってくれたけど…)

不二咲(…時間はいくらあっても、答えが出そうに無いよ…)

不二咲(……)

742: 2013/10/28(月) 01:10:57.05 ID:KC9kk4uio
不二咲(とりあえず、2人を呼びに行こう)

不二咲(会って僕の気持ちを確かめよう)

不二咲(…セレスさんと会うのも久しぶりな気がするな)

不二咲(とは言っても、24時間も経ってないんだけど)

不二咲(1人でいると、時間が長く感じる)

不二咲(…行こう)

743: 2013/10/28(月) 01:14:38.62 ID:KC9kk4uio
ーーセレスの部屋前ーー

不二咲(…なんか緊張してきた)

不二咲(…よし)

コンコン

不二咲「…」

セレス「はい?」

不二咲「あ、僕だよ」

セレス「不二咲くん?」

ガチャ

不二咲「あ、えと、久しぶり?」

セレス「ふふ、1日しか経っていませんわよ?」

不二咲「あはは…まあ、そうだね。それより…」

セレス「?」

744: 2013/10/28(月) 01:17:10.79 ID:KC9kk4uio
不二咲「あの匂い、まだ残ってるんだ」

セレス「あら、臭いますか?」

不二咲「うん、若干だけど」

セレス「この匂い、結構気に入ってまして」

不二咲「独特な匂いだよね」

セレス「それで…どうしてここに?」

不二咲「ああ、そうだ。これから霧切さんも誘って3人で話がしたいんだ」

セレス「話?」

745: 2013/10/28(月) 01:21:13.56 ID:KC9kk4uio
不二咲「うん」

セレス「彼女も誘うからには…何か大事な話、ということですわね」

不二咲「いや、話の内容自体は考えてないよ」

セレス「?」

不二咲「その…まだ、決まってないんだ」

セレス「それは分かりますが…それがなぜ話をすることに?」

不二咲「自分でいくら考えても分からないんだ。でも、2人の顔を見たら分かると思うんだ」

セレス「分からない話ではないですが…」

746: 2013/10/28(月) 01:24:01.14 ID:KC9kk4uio
不二咲「その…ごめんね。僕がハッキリすればいいだけなのに」

セレス「私は構いませんが…彼女にはもう話はつけてあるのですか?」

不二咲「ううん、まだだよ」

セレス「なら、行きましょうか」

不二咲「いいの?」

セレス「構いませんと言ったはずですが…」

不二咲(そっちのことだったんだ)

不二咲「えと、ごめん」

セレス「ふふ、別に謝るようなことじゃありませんわ」

747: 2013/10/28(月) 01:28:04.85 ID:KC9kk4uio
不二咲「うん、ありがとう」

セレス「…じゃあ、行きましょうか」

不二咲「うん」

セレス「そういえば、男性に戻ってますわね」

不二咲「あ…うん」

不二咲(あのこと、言った方がいいかな…)

セレス「やっぱり、私はこっちの方が好きですわ」

不二咲「えっ?…あ、ありがとう」

セレス「ふふ、可愛い」

不二咲「でも、男でも女でもそんなに違いはないんだけどね…」

セレス「あら、微妙な変化はありましたよ?」

748: 2013/10/28(月) 01:30:57.92 ID:KC9kk4uio
不二咲「そんな些細な変化でも、印象は変わるものなの?」

セレス「ええ。些細だろうと微妙だろうと、変わっているのは事実ですから」

不二咲「自分じゃ、よくわかんないけどね」

セレス「他人からはよく見えるものですわ。…着きましたわね」

不二咲「…霧切さん」

コンコン

749: 2013/10/28(月) 01:34:05.63 ID:KC9kk4uio
霧切「ん…不二咲くん?」

ガチャ

霧切「…あら、お久しぶりね。セレスさん」

セレス「ええ、お久しぶり」

不二咲「ちょ、喧嘩はやめてよ」

霧切「今は恋敵なんだから、どうしても身構えちゃうのよね」

セレス「あら、それは私もですわ」

不二咲(何か怖いことになりそう)

霧切「それで…不二咲くん、答えが出たのかしら?」

不二咲「いや、まだなんだ」

750: 2013/10/28(月) 01:36:30.94 ID:KC9kk4uio
霧切「あら…それなら、なぜここに?」

不二咲「…自分で考えても分からなかったから、2人の顔を見て話したいと思ったんだ」

霧切「…それなら、答えが出ると?」

不二咲「…僕は、そう思う」

霧切「……不二咲くん自身が言うのなら、そうなのでしょうね」

セレス「話は分かりましたか?」

霧切「あら、そこまで阿呆じゃないわよ」

751: 2013/10/28(月) 01:39:37.21 ID:KC9kk4uio
セレス「別に蔑んだつもりはありませんがね」

霧切「あら、私にはそう聞こえたわ」

不二咲「ちょちょちょ、喧嘩はやめてって」

霧切「不二咲くん、これくらいを喧嘩と言っているようじゃ必ず後悔する時が来るわ」

セレス「本当の喧嘩は、もっと恐ろしいものですわよ?」

不二咲「嬉しくない忠告だね…」

セレス「茶番はもう飽きましたわ」

不二咲(自分から始めておいて…)

霧切「そうね、行きましょう」

セレス「それで、どこで話すのか決めてあるんですよね?」

752: 2013/10/28(月) 01:45:51.10 ID:KC9kk4uio
不二咲「えっと…まだ、です」

霧切「そう…」

セレス「そうですか…」

不二咲(さっきからなんなんだろうこの空気)

不二咲「じゃあ、この前霧切さんと行った喫茶店でいいかな」

セレス「そんなのいつ行きましたの?」

霧切「私があなたから不二咲くんを借りた日よ」

セレス「…そうですか」

不二咲(この2人、実は仲悪いんじゃないだろうか)

不二咲「霧切さん、今のはさすがに…」

霧切「…そうね。ごめんなさい」

セレス「…いえ、いいですわ」


753: 2013/10/28(月) 01:46:30.13 ID:KC9kk4uio
不二咲「その…じゃあ、行こっか」

セレス「はい」

霧切「ええ」

758: 2013/11/01(金) 00:14:53.13 ID:GQ5473nSo
ーー喫茶店ーー

霧切「着いたわね」

セレス「案外早かったですわね」

不二咲「何か久々に来た気がするね」

霧切「とりあえず、入りましょう」

ガチャ

店長「いらっしゃいませ。あ、霧切さん」

霧切「1日ぶりね」

店長「えっと…雰囲気、変わられましたね」

霧切「仕事の為に変えてただけだものね」

店長「ということは、今回の仕事はもう?」

霧切「ええ、終わったわ」

759: 2013/11/01(金) 00:18:06.61 ID:GQ5473nSo
セレス「意外とお洒落な店を知ってますのね」

霧切「店長が知り合いだと、色々都合が良いのよ。さ、座りましょう」

不二咲「よいしょ」ガタ

セレス「…」ガタ

霧切「…」ガタ

不二咲「…」

セレス「…」

霧切「…」

不二咲「あの、3人並んで座るって狭くないかな…」

セレス「しごく自然な形ですわ」

霧切「あら、気が合うわね」

760: 2013/11/01(金) 00:20:59.58 ID:GQ5473nSo
店長「ご注文を…あの、差し出がましいかもしれませんが、狭くないですか?」

霧切「店長ならそこは気を遣うべきね」

セレス「そうですわ」

店長「ま、まあ何か事情があるなら何も言いませんが…」

不二咲「えっと、僕はホットで」

セレス「私は紅茶で」

霧切「レモンティを」

店長「かしこまりました」

店長(絶対窮屈だよなあ…)

761: 2013/11/01(金) 00:23:29.07 ID:GQ5473nSo
不二咲「えと、狭いから、僕向こうに座るね」

セレス「あら、それは許しませんわ」ガシッ

霧切「右に同じよ」ガシッ

不二咲「ちょ、でもこれじゃ話しにくいよ」

セレス「む…」

霧切「確かにそうだけれども」

不二咲「僕は2人共の顔が見たいのに、これじゃ見えないし」

セレス「なら仕方ないですわね」

霧切「止むを得ないわ」

762: 2013/11/01(金) 00:25:45.60 ID:GQ5473nSo
店長「お待たせしました」

霧切「ありがとう」

不二咲「…あ、美味しい」

セレス「久々に美味しい紅茶を飲みましたわ」

霧切「あの人、味にはかなりこだわりがあるみたいね」

不二咲「ふぅ…」

霧切「じゃ、そろそろ本題に入りましょうか」

セレス「本題と言っても、話すだけですわね」

不二咲「と言っても、何を話そうか」

763: 2013/11/01(金) 00:29:48.04 ID:GQ5473nSo
セレス「それじゃ、質問をしていいですわね?」

不二咲「うん」

セレス「不二咲くんはなぜ男に戻ったのでしょうか?」

不二咲「あ…えっと」

霧切「不二咲くん、それは隠すべきじゃないわ」

セレス「あら、あなたは知っていますの?」

霧切「ええ」

不二咲「…そうだよね。これは隠すべきじゃないよね」

セレス「男に戻るのにそんなに重い理由があるなんて思ってもいませんでしたわ」

霧切「あなたにも私にも関係のあることよ」

764: 2013/11/01(金) 00:34:55.89 ID:GQ5473nSo
不二咲「その…僕が2人のどっちが好きか悩んでる時に、考えが浮かんだんだ」

セレス「考え?」

霧切「性転換すると、脳内が徐々に異性になるという考えだったわね」

不二咲「そう」

セレス「いまいち話が分かりませんわね」

不二咲「性転換して僕の身体は女になったけど、脳内は男のままだった。そう考えたんだ」

セレス「…それが、男に戻った理由にどう繋がるのですか?」

不二咲「時間が経つにつれ、脳内も女になっていったと考えたら」

霧切「その時男性だった私を好きになってしまった、だったかしら?」

不二咲「…あの時はそう考えてたけど、今になると馬鹿だったと思うよ」

セレス「つまり…脳内が女になったことで男である霧切さんを好きになり、男に戻ることでそれを解消しようとした、ということでしょうか」

不二咲「…うん」

765: 2013/11/01(金) 00:37:56.43 ID:GQ5473nSo
セレス「それは…つまり」

霧切「不二咲くんは、あなたを選んでいた、ということね」

セレス「なら、この話し合いをする意味は無いのでは?」

霧切「…私が納得いかなかったから、不二咲くんにはもう一度考え直してもらうことにしたの」

セレス「あら、そうでしたの」

霧切「…笑わないのね」

セレス「私だって、そんな理由でフられたら納得がいきませんわ」

766: 2013/11/01(金) 00:45:27.48 ID:GQ5473nSo
霧切「あの時、未練とか執着じゃないと言ったけど、本当はそうじゃなかったわ」

不二咲「…そうだったんだ」

セレス「不二咲くん、今はどうなのですか?」

不二咲「今は…よくわかんないんだ。…2人共好きだから」

霧切「…」

セレス「…」

不二咲「僕なりに色々考えたんだけど、答えが出なくて」

霧切「…大変だったわね」

セレス「私たちのせいで苦しんでいたのなら、謝りますわ」

不二咲「ううん、2人は悪くないよ」

セレス「…良ければ、不二咲くんが悩んでるときに考えたことを聞かせて欲しいですわ」

霧切「…私も聞いてみたいわね」

不二咲「…うん。いいよ」

771: 2013/11/01(金) 23:39:44.70 ID:GQ5473nSo
投下していきます

772: 2013/11/01(金) 23:40:12.62 ID:GQ5473nSo
不二咲「最初、何で女になった時セレスさんについていったんだろうって思ったんだ」

セレス「あの時ですね」

霧切「何かは気になるけど…言いにくいなら、言わなくてもいいわ」

セレス「まあ、人に言える内容では無いですわね」

不二咲(何か笑顔なのに怖い…)

不二咲「苗木くんと舞園さんにはそれとなく言っちゃったんだけどね」

セレス「あら、そうでしたの」

霧切「…一応、聞かないことにするわ。嫌な予感しかしないもの」

セレス「賢明な判断ですわね」

773: 2013/11/01(金) 23:47:26.94 ID:GQ5473nSo
霧切「それで…そのあとは?」

不二咲「霧切さんに告白された時ドキッとしたのも事実なんだ。だから、どっちが好きなんだろうって」

セレス「こうして聞くと、あなたが寝取ったようにしか聞こえませんわね」

霧切「あなたと不二咲くんはまだ付き合っていなかった。それを知ってたから告白したのよ」

セレス「あの時私についてきたということは、その時私への好意があったととってもいいとは思いますが?」

霧切「それは、不二咲くんに聞くべきじゃないかしら?」

不二咲「えっと…」

セレス「不二咲くん、正直にお願いしますわ。好意が無かったなら無かったのでも構いませんわ」

不二咲「僕があの時、ついていったって事は僕はセレスさんに好意があると考えたよ」

セレス「だそうですが?」

霧切「私はそのことを知らなかったのよ?」

774: 2013/11/01(金) 23:52:03.36 ID:GQ5473nSo
セレス「…」

霧切「それに、不二咲くんがこう言ってたのを覚えてないかしら?」

『でも好きかって言われると少し悩んじゃうな』

『もしかしたらセレスさんのことを好きなのかもしれないけど、僕の中でしっかり決まってないだけかもしれないし』

セレス「む…」

霧切「私が告白した時も、あなたにはそれらしいことは言われてないと思うと言ったわ」

不二咲「ちょ、ちょっと」

霧切「なにかしら?」

不二咲「その、責めるのはやめようよ。僕全部悪いんだから、2人に非は無いんだから」

霧切「…そうね、ごめんなさい」

セレス「…構いませんわ」

775: 2013/11/01(金) 23:57:27.00 ID:GQ5473nSo
霧切「不二咲くんは、私達2人共に好意があると言い切れるのかしら?」

不二咲「…うん。そうじゃなかったら、答えは出てると思うんだ」

セレス「不二咲くんは、そのことについて何も考えなかったのですか?」

不二咲「勿論、考えたよ。これが一番重要なことだから」

霧切「それを聞きましょうか。何か見えてくるかもしれないわ」

不二咲「霧切さんが僕に告白した時、好きには2種類あることを教えてくれたよね」

霧切「ええ」

不二咲「もしかしたら、2人のどちらかがLikeなんじゃないかなって考えたんだ」

776: 2013/11/01(金) 23:59:24.70 ID:GQ5473nSo
不二咲「それと、霧切さんはこう言ってくれた」

『あなたがセレスさんに対する気持ちを話してる時、こう思ったわ』

『『ああ、この人は絶対に裏切らないし、傷つけることはしないんだな』って』

『あなたは決して突き放さない。なぜなら、その人のことがどこかで好きだから』

『その好きがLikeなのかLoveなのかは分からない』

霧切「ええ、言ったわね」

不二咲「僕がセレスさんについていったのは、あの時誘いを断ることでセレスさんが傷つくから、ついていったんじゃないかって考えた」

777: 2013/11/02(土) 00:04:15.75 ID:6/ubK2Nxo
セレス「…!」

不二咲「ごめん。本当に、ごめんね」

セレス「いえ…いいですわ」

不二咲「…ごめん」

セレス「…私はそんなことで、傷ついたりしませんわ。ほら、話を続けて下さい」

不二咲「…セレスさん」

セレス「ほら」

不二咲「…うん。…僕は、2人のどちらかを選ぶことで、選ばれなかった方が傷つくから選べないんじゃないかってことも考えた」

霧切「…そうなの…」

セレス「…大変でしたわね」

778: 2013/11/02(土) 00:08:14.42 ID:6/ubK2Nxo
不二咲「その後、あの推測が合ってるか確かめる為に男に戻ったんだ」

セレス「脳内が少しずつ異性に変わるというあれですわね?」

霧切「でも、結局変わらなかったわね」

不二咲「…うん」

セレス「あら、まだ分かりませんわよ?」

霧切「?」

セレス「性転換した時、少しずつ脳内が異性に変わっていくのなら、男性に戻った時も同じだと思いますが」

不二咲「!…確かに」

霧切「私は今の脳内が完全に女性であると断言できるわ」

セレス「不二咲くんは?」

不二咲「うーん…まだ、よく分からないかな」

779: 2013/11/02(土) 00:11:02.77 ID:6/ubK2Nxo
霧切「…埒があかないわね」

不二咲「うーん…」

セレス「…この際、私達どちらかに対する好意がLikeであると仮定して話を進めるのはどうでしょう」

霧切「あら、いいかもしれないわね」

不二咲「どういうこと?」

セレス「仮に私に対する好意がLikeだとして、

780: 2013/11/02(土) 00:17:31.58 ID:6/ubK2Nxo
セレス「仮に私に対する好意がLikeだとして、それが真か偽か確かめますわ」

霧切「不二咲くんとセレスさんが絡んだ事実を掘り下げて、聞いていけばいいのかしら?」

セレス「…まあ、こんなことでわかるとは思ってはいませんがね」

不二咲「僕とセレスさんが絡んだこと…」

霧切「まずは、不二咲くんが女性になった直後ね」

セレス「私の部屋に来た時ですわね」

霧切「あの時、不二咲くんがセレスさんに対してLikeの好意だったとするわ」

不二咲「うん」

セレス「…今、Likeだったと考えても違和感はあるかどうか、ですわね」

不二咲「…」

霧切「…」

781: 2013/11/02(土) 00:21:48.15 ID:6/ubK2Nxo
不二咲「…今そう考えると、違和感はあるよ」

不二咲「………あの時僕が感じてたのは、Likeじゃなかった」

セレス「…なら」

霧切「…セレスさんに対する感情は分かったわ」

セレス「?」

霧切「…今、私に対してはどうなのかしら」

不二咲「…」

霧切「……」

不二咲「…っ」

霧切「…お願い。答えて、不二咲くん。お願い…」


788: 2013/11/04(月) 22:34:21.70 ID:CD7JXheLo
セレス「…」

不二咲「…よく、わかんないんだ」

霧切「…分からない?」

不二咲(…泣いてる…?)

不二咲(…うつむいててよく分からないけど、涙声になってるような…)

不二咲「…うん」

霧切「分からないって…どういう、こと?」

不二咲「……霧切さんが好きなのは確かだよ。でも」

セレス「…でも?」

不二咲「それが、LoveなのかLikeなのか…」

霧切「…」

789: 2013/11/04(月) 22:36:57.27 ID:CD7JXheLo
セレス「分からない…と」

不二咲「…うん…」

霧切「…不二咲くんは、優しいわね」

不二咲「…霧切さん」

霧切「ここまで気を遣わなくてもいいのに」

セレス「…」

不二咲「…そんなんじゃないよ」

霧切「不二咲くん、お願いがあるの」

不二咲「なに?」

霧切「…キスして」

セレス「!」

不二咲「!」

790: 2013/11/04(月) 22:40:46.53 ID:CD7JXheLo
霧切「…お願い」

セレス「…不二咲くん」

不二咲「?」

セレス「私は何も言いませんわ」

不二咲「セレスさん」

セレス「…あなたにも、霧切さんの気持ちは分かるはずですわね?」

不二咲「…うん」

霧切「…」

セレス「…私は、少し席を外しますわ」

不二咲「…分かったよ」

霧切「ありがとう、セレスさん」

791: 2013/11/04(月) 22:45:27.01 ID:CD7JXheLo
不二咲「…」

霧切「…今なら、彼女の気持ちが分かる気もするわ」

不二咲「セレスさんの?」

霧切「ええ。縛り付けてでも、好きな人を渡したくない」

不二咲「…霧切さん…」

霧切「分かっているわ。そんなのは、一方的な愛でしかない」

霧切「好きな人が傷ついたら、果たして私は癒されるのかしら?」

不二咲「…」

霧切「…ごめんね、不二咲くん」ズイ

不二咲「…ううん。僕が悪いんだから」

霧切「ふふ、本当に優しいのね」

不二咲「ん…」チュッ

霧切「っ…」


793: 2013/11/04(月) 22:55:32.92 ID:CD7JXheLo
霧切「…ありがとう。不二咲くん」

不二咲「…うん」

霧切「私達の関係はこれからも変わらないわ」

不二咲「うん…」グスッ

霧切「…思えば、あの時から答えは出てたのよね」

霧切「あなたが、私に謝りに来た時から」

不二咲「…」

霧切「私、実はあの時嘘をついていたの」

霧切「未練とか執着じゃないって言ったけど、嘘」

不二咲「…そう、なんだ」

795: 2013/11/04(月) 23:00:36.07 ID:CD7JXheLo
霧切「…じゃあ、ありがとう。不二咲くん」

不二咲「…うん」

霧切「ほら、泣かないで。可愛い顔が台無しよ」

不二咲「でも、でも」

霧切「ふふ、本当に優しいのね」

霧切「私は大丈夫よ。あなたが泣くことじゃないわ」

不二咲「うん…」

霧切「…じゃあ」

霧切「さよなら、不二咲くん」

不二咲「あ…」

796: 2013/11/04(月) 23:07:59.50 ID:CD7JXheLo
不二咲「…」

セレス「…霧切さんは?」

不二咲「…帰った、よ」

セレス「…そう、ですか…」

不二咲「…」

セレス「…」

不二咲「…こんなことなら、女になんかならんきゃ良かったのかな」

セレス「…大丈夫ですわ」

不二咲「…もう、霧切さんとは仲良く話せないのかな」

セレス「…大丈夫。大丈夫、ですわ」ギュッ

不二咲「うぅう…」

セレス「…頑張りましょう。不二咲くん」




…霧切さんが最後に放った『さよなら』は何か重いような気がした。

802: 2013/11/07(木) 14:51:55.95 ID:oXi2+Rhjo
夜になったら更新します

804: 2013/11/07(木) 23:14:32.83 ID:oXi2+Rhjo
ーー10分後ーー

不二咲「…ありがとう、落ち着いたよ」

セレス「いえ…いいですわ」

不二咲「…」

セレス「…1つ、聞いてもよろしいかしら?」

不二咲「…?」

セレス「不二咲くんは結論を出した訳ですが…ちょっと違和感を感じていまして」

不二咲「違和感…」

セレス「ええ。最後、私達への気持ちを確かめていたわけですが」

セレス「何というか…唐突、というか…簡単に答えが出たような気がしまして」

不二咲「!」

805: 2013/11/07(木) 23:19:39.44 ID:oXi2+Rhjo
セレス「一度は、私えお選んだということで答えは出ていたと聞きました」

セレス「驕りかもしれませんが…もう一度話し合いがしたいと言った時も、答えは変わっていなかったのでは?」

不二咲「…よく、わかんないよ」

セレス「…ここからは私の勝手な想像です」

セレス「あなたは、霧切さんに答えを言いに行った」

セレス「霧切さんは、納得が行かないということで、もう一度考え直すように言ったそうですね」

セレス「…あなたは、霧切さんを傷つけまいとしてその場では彼女に従った」

806: 2013/11/07(木) 23:24:05.46 ID:oXi2+Rhjo
セレス「でも…自分の気持ちがあらわになっていくにつれ」

不二咲「…」

セレス「…結論を出した」

不二咲「…」

セレス「…確かに、彼女は傷ついているかもしれませんわ」

セレス「でも、彼女も分かっていたはずですわ」

不二咲「…僕の気持ちはもう変わらない、って…」

セレス「…そう、ですわね」

不二咲「僕は、間違って無かったんだよね?」

セレス「あなたが自分で出した答えなら、間違えているはずがありませんわ」

807: 2013/11/07(木) 23:29:09.56 ID:oXi2+Rhjo
セレス「…私達は2人共、選ばれなかった時のことは覚悟していましたわ」

セレス「彼女は…」

不二咲「…分かってるよ」

セレス「不二咲くん」

不二咲「霧切さんの気持ちはよく分かるんだ」

不二咲「…自分でも、僕は正しいことをしたはずだって思ってるのに」

セレス「…」

不二咲「…霧切さんとは、もう仲良く話せないのかな」

セレス「…大丈夫ですわ。彼女はそんなに弱くない」

セレス「立ち直ってくれるはずですわ」

不二咲「…そうだよね」

不二咲「ゆっくり、待つことにしよっか」

808: 2013/11/07(木) 23:31:26.65 ID:oXi2+Rhjo
セレス「でも」

不二咲「?」

セレス「今からあなたの彼女となる私としましては、あまり嬉しくありませんわね?」

不二咲「せ、セレスさん。そういう意味じゃ」

セレス「…もう、不安になりたくありませんの」

不二咲「…セレスさん」

セレス「…そういえば、まだ、ちゃんと言ってませんでしたわね?」

不二咲「僕も…まだだったね」

809: 2013/11/07(木) 23:33:57.12 ID:oXi2+Rhjo
セレス「…」

不二咲「…」

セレス「…いざ言うとなると、妙に恥ずかしいですわね」

不二咲「…同じく」

セレス「ここは、男性である不二咲くんから言うべきですわ」

不二咲「うぅ…えっと」

セレス「うふふ」

不二咲「…そんなにニマニマされると言い辛いんだけど…」

セレス「お気になさらず」

不二咲「うー…」

不二咲「んー…ごほん」

810: 2013/11/07(木) 23:36:35.76 ID:oXi2+Rhjo
不二咲「えっと…僕は、セレスさんのことが好きです」

不二咲「良かったら、僕と付き合って下さい!」

セレス「…古い言い回しですわね」

不二咲「だって、こんなのしか思いつかなかったから…」

セレス「そういう所も可愛いですわよ?」

不二咲「…ぅー」

セレス「ふふ、喜んで、お付き合い致しますわ。地獄の底まで」

不二咲「…何か、重みが凄いね」

セレス「それだけ愛してるってことですわ」

811: 2013/11/07(木) 23:51:22.80 ID:oXi2+Rhjo
不二咲「えっと…じゃあ、これからよろしくね、セレスさん」

セレス「ええ、お願い致しますわ」

不二咲「……じゃ、そろそろ戻ろっか」

セレス「あら、もうこんな時間でしたの」

不二咲「…戻ったら、霧切さんと少し話をしてきてもいいかな」

セレス「…」

不二咲「さっきは待つことにしようって言ったけど、やっぱり心配だよ」

セレス「…私も行きますわ」

不二咲「セレスさんも?」

セレス「…まあ、私も、その」

不二咲「…うん、いいよ。一緒に行こう」

不二咲(…なんだかんだ言ってセレスさんも心配なんだね)

セレス(…)

815: 2013/11/08(金) 23:06:37.66 ID:5FbddafZo
ーー舞園の部屋ーー

苗木「ん…」パチ

苗木「あれ、寝ちゃってたんだ」

舞園「…」

苗木「舞園さんも寝てる…」

苗木「ん…2時間ほど寝ちゃったのか」

苗木「…」キュー

苗木「お腹減ったな」

舞園「ん…」

苗木「あ、おはよ」

舞園「おひゃようございます…」

816: 2013/11/08(金) 23:12:05.91 ID:5FbddafZo
苗木「まだ寝ぼけてるね」

舞園「…顔、洗ってきまふ」

苗木「うん」

ーー3分後ーー

舞園「スッキリしました!」

苗木「寝起きいいのか悪いのか分からないね…」

舞園「目さえ覚めれば完璧ですよ」

苗木「お腹空いたし、ご飯食べに行かない?」

舞園「いいですけど…江ノ島さんの所に行かなくてもいいんですか?」

苗木「腹が減っては戦はできぬだよ!」

817: 2013/11/08(金) 23:17:07.14 ID:5FbddafZo
舞園「じゃ、行きましょうか?」

苗木「うん、食堂でいいよね?」

舞園「いいですよ」



ーー食堂ーー

苗木「誰もいないね」

舞園「10時ですからね、皆さんは朝食を済ましたのでしょう」

苗木「じゃ、僕はこれとこれを…」

舞園「苗木くん、野菜が少ないですよ」

苗木「え、サラダあるよ?」

818: 2013/11/08(金) 23:19:42.01 ID:5FbddafZo
舞園「そんな量のサラダで野菜を食べたとおっしゃるつもりですか?」

苗木「いや、食べたのは事実なんじゃ…」

舞園「言い訳は結構です。はい、追加」

苗木「…3倍?」

舞園「さ、食べましょうか」

苗木「あ、舞園さんがサラダ嫌いなだけじゃんか!」

舞園「まあ、野菜不足の苗木くんのためですから、ね?」

苗木「…せめて、半分こにしようよ」

舞園「しょうがないですね」

苗木「じゃ、いただきます」

819: 2013/11/08(金) 23:22:04.22 ID:5FbddafZo
ーー食後ーー

苗木「ふぅー…」

舞園「ごちそうさまでした」

苗木「美味しかったね」

舞園「じゃあ、江ノ島さんの所に行きましょうか」

苗木「江ノ島さん、どこにいるんだろ?」

舞園「あー…しらみつぶしに探しましょう」

苗木「誰かに聞いた方が早いんじゃない?」

舞園「んー…じゃ、手当たり次第に回ってみましょうか」

820: 2013/11/08(金) 23:26:32.73 ID:5FbddafZo
ーー桑田の部屋前ーー

苗木「桑田くーん」コンコン

桑田「んー?」ガチャ

桑田「よう、苗木」

苗木「江…江藤さんを探してるんだけど、知らないかな?」

桑田「朝食堂で見たけど、俺らが出る前にどっか行っちまったぞ?」

苗木「そうなんだ…」

桑田「つーか聞いてくれよ。あの転校生朝になって急にキャラ変わったんだよ!」

苗木「あー…イメチェンみたいな」

821: 2013/11/08(金) 23:32:14.12 ID:5FbddafZo
桑田「いやもう何というか…雰囲気から違ってたような…」

苗木(やな予感しかしない)

桑田「無言の圧力というかな…とにかく、大神を初めて見た時のあれに近いな」

苗木「うん、納得」

桑田「何で急にイメチェンなんかしたんだろうな?」

苗木「さぁ…?彼なりの自己主張なんじゃないかな?」

桑田「ずいぶん怖え自己主張だな…誰も近づくなってか?」

苗木「独りが好きなんだよ、きっと」

822: 2013/11/08(金) 23:35:04.69 ID:5FbddafZo
桑田「その割にはなぜか戦刃と一緒に食堂に来たけどな…戦刃は妙に馴れ馴れしい感じだし」

苗木「ほら、戦刃さん人になつきやすいから」

桑田「動物かっつーの…まあ、ウザそうにはしてたな」

苗木「でしょ?江藤さんは一匹狼なんだよ、きっと」

桑田「あんま関わって欲しくねーってことか」

苗木「うん。本人が望まないなら、僕たちもあんまり接触するべきじゃないよ!」

桑田「んー…まあ、どうでもいいか」

苗木(めんどくさい)

823: 2013/11/08(金) 23:36:33.13 ID:5FbddafZo
苗木「えっと…他の人にも聞かなきゃいけないし、そろそろ行くね」

桑田「おう、舞園ちゃんによろしくな」

苗木「あー…うん」

苗木(僕と舞園さんが付き合ってるの知ったらどうなるんだろ)

桑田「どした?」

苗木「何でもないよ、またね」

824: 2013/11/08(金) 23:39:22.51 ID:5FbddafZo
ーー山田の部屋前ーー

舞園「山田くん」コンコン

山田「?」ガチャ

山田「おお!これはこれは!」

舞園「えっと…江藤くんを見ませんでしたか?」

山田「さあ、朝食堂で見たきりですな」

舞園「どこへ行ったか分かりますか?」

山田「そこまでは…」

舞園「そう…じゃあ、もう行きますね」

山田(早ッ!)

825: 2013/11/08(金) 23:43:49.25 ID:5FbddafZo
ーー廊下ーー

苗木「舞園さん、どうだった?」

舞園「山田くんに聞いたけど、ダメでした」

苗木「僕は桑田くんに聞いたけど、知らないって」

舞園「あとは誰も部屋に居ませんし…手がかり無しですね」

苗木「あ、江ノ島さんがイメチェンしてたとか言ってたよ」

舞園「イメチェン?」

苗木「何か、近寄り難いオーラが出てたって」

舞園「謎ですね…」

苗木「そういや桑田くんは朝誰かとご飯食べてたみたいだけど、誰なんだろ」

舞園「ああ、多分山田くんですよ」

826: 2013/11/08(金) 23:46:44.53 ID:5FbddafZo
苗木「あれ、そうなの?」

舞園「朝食堂にいたと言ってました」

苗木「そうなんだ…山田くんは江ノ島さんのイメチェンについて何か言ってた?」

舞園「さぁ…全く聞いてません」

苗木「山田くんなら話すと思ったんだけどなあ…」

舞園「まあ、私がパパッと話を切ってきたからなんですけど」

苗木「え、そうなの?」

舞園「何と言いますか…好きではない空気が彼の部屋から漂いまして」

苗木「…うん、分かるよ」

舞園「しかし、江ノ島さんはどこに居るんでしょうか?」

827: 2013/11/08(金) 23:50:31.37 ID:5FbddafZo
苗木「うーん…学校の中をしらみつぶしに探して、いなかったら食堂で待ってれば来るんじゃないかな」

舞園「今はそれしか無いですね」

苗木「じゃあ、とりあえず1階から行こっか」

舞園「…?」

苗木「どうしたの?」

舞園「今玄関から帰って来たの…霧切さんじゃないですか?」

苗木「え?」

舞園「今角に曲がっちゃったんで分かりませんが、きっとそうですよ」

苗木「どこ行ってたんだろ?」

舞園「嫌なことがあったのは確かですね」

苗木「え、な、なんで?」

舞園「泣いてました」

苗木「…!」

831: 2013/11/14(木) 01:18:11.66 ID:UF/ksa8xo
苗木「霧切さん!」

霧切「…」

舞園「気づいてませんね…聞こえてないんでしょうか?」

苗木「そんなにショックを受けてるのかな…?」

舞園「女の子は傷つきやすいんですよ」

苗木「あの霧切さんでもそんなことがあるんだね」

舞園「悠長に話してる場合じゃないですよ。早く呼び止めないと」

苗木「霧切さーん!」

832: 2013/11/14(木) 01:22:21.09 ID:UF/ksa8xo
霧切「…?」クルッ

舞園「気づいたみたいですね、行きましょう」




苗木「霧切さん、…何かあったの?」

霧切「…」グスッ

舞園「私達でいいなら相談に乗りますよ?」

霧切「…いいの。放っておいてちょうだい」

苗木「そういう訳にもいかないよ…」

舞園「誰かに話して解決することもありますよ」

833: 2013/11/14(木) 01:26:34.87 ID:UF/ksa8xo
霧切「…」

苗木(…もしかして?)

苗木「霧切さん、不二咲くんと何かあったの?」

霧切「!…なぜあなたがそれを知っているのかしら?」

舞園「苗木くん、何か知っているんですか?」

苗木「この前、不二咲くんが相談に来たんだよ」

霧切「…」

舞園「相談…?」

苗木「えっと…」チラ

舞園「…霧切さん、もし聞かれたくない内容なら私は席を外しますが…」

834: 2013/11/14(木) 01:35:35.88 ID:UF/ksa8xo
霧切「…確かに、誰かに相談した方がスッキリするのかもしれないわね」

苗木「…とりあえず、僕の部屋に行こう。廊下でする話じゃないから」

舞園「そうですね、行きましょう」



ーー苗木の部屋ーー

霧切「…」

舞園「霧切さん、大丈夫ですか?」

霧切「…ええ、大丈夫よ」

苗木「えっと…まずは、僕が不二咲くんに相談された内容からだね」

苗木「不二咲くんに、霧切さんとセレスさんの2人から告白されて、どっちが好きか分からないって相談されたんだ」

舞園「どっちが好きか分からないなんてあるんでしょうか?」


835: 2013/11/14(木) 01:42:05.64 ID:UF/ksa8xo
苗木「…ある、と思うよ」

舞園「…まあ、経験者が言うならそうなんでしょうね」

霧切「…それで苗木くんは、不二咲くんに好きな人はもう分かってるって教えたのよね?」

苗木「え?そうだけど…何で知ってるの?」

霧切「不二咲くんは苗木くんに相談して答えを出したと言っていたから」

苗木「そうなんだ…」

舞園「苗木くんは何て言ったんですか?」

苗木「もう行動に表れてるよって言ってあげたよ」

舞園「行動に?」

836: 2013/11/14(木) 01:47:46.30 ID:UF/ksa8xo
苗木「不二咲くんは、あの機械で女の子になったことで、どっちも好きになってるって考えたみたいなんだ」

舞園「どういうことですか?」

苗木「性転換した直後は脳内は元の性のままだけど、時間が経つにつれ脳内も異性になっていくって考えたみたい」

舞園「…じゃあ、不二咲くんは脳内が女の子になったことで2人共好きになったと?」

苗木「仮定だけどね。女の子になった直後の脳内が男の子のままの不二咲くんはセレスさんを好きになる」

苗木「後日、脳内が女の子になった不二咲くんは男になった霧切さんを好きになる」

舞園「…不二咲くんには悪いですけれど、ひどいですね」

837: 2013/11/14(木) 01:51:57.94 ID:UF/ksa8xo
霧切「…」

苗木「それだけ不二咲くんは悩んでたんだよ」

舞園「それで…そのあとは?」

苗木「不二咲くんは男に戻ることで自分の気持ちがハッキリするって思ったみたいなんだ」

舞園「…ということは…」

苗木「うん。女である脳内を男に戻すことで…」

霧切「…私への思いを消そうとした」

苗木「…霧切さん」

舞園「…霧切さん、不二咲くんは今どこに?」

霧切「…彼を責めないであげて。お願い」

舞園「でも」

霧切「…私は、そんなことで泣いてるんじゃないわ」

838: 2013/11/14(木) 01:55:05.94 ID:UF/ksa8xo
舞園「…強いですね、霧切さん」

苗木「泣いてる理由は…不二咲くんに何か言われた訳じゃ無いんだよね」

霧切「…ええ」

舞園「…分かりますよ。今の霧切さんの気持ち」

霧切「…」

舞園「私もつい最近似たような状況でしたから」

苗木「…僕のせいだけどね」

舞園「皮肉で言ったんじゃないですよ?」

苗木「でも、事実だから」

霧切「…苗木くんも、不二咲くんみたいに?」

839: 2013/11/14(木) 02:04:23.53 ID:UF/ksa8xo
苗木「…うん」

舞園「例の転校生ですよ」

霧切「…江ノ島さんね」

苗木「気づいてたの?」

霧切「ええ。苗木くんや戦刃さんの態度が怪しかったから」

舞園「すごい動揺してましたもんね、苗木くん」

苗木「嘘は良くないね」

霧切「その時に、江ノ島さんは苗木くんに会うつもりだったと言っていたわ」

苗木「うん、会ったら大変なことになったよ」

舞園「絶望的でしたね」

霧切「その割にはスッキリしてるように見えるわね」

舞園「もう済んだことですからね!」

苗木「大変だったね…」

840: 2013/11/14(木) 02:10:59.16 ID:UF/ksa8xo
舞園「まあ私達の話は置いておきましょう。まだ解決してませんし」

霧切「なら、私に構ってる場合じゃ」

苗木「困った時はお互い様だよ」

舞園「私達の方はすぐ片付きますからね」

霧切「そう…」

苗木「それで…霧切さんが泣いてた理由って…?」

舞園(苗木くん、本当に分からないんでしょうか)

霧切「…不二咲くんは、セレスさんを選んだ、それだけよ」

苗木「……えっと」

舞園「…これから、不二咲くんと普通に接することができないのが、辛いんですよね」

霧切「…」コクッ

苗木「…」

849: 2013/11/16(土) 14:14:41.45 ID:RjcbwwE2o
苗木(霧切さんが泣いてる理由…)

苗木(…不二咲くんは、霧切さんの心の拠り所だったのかな)

舞園「大丈夫ですよ。ちゃんと今まで通り話せるようになりますから」

霧切「でも」

苗木「不二咲くんも、きっとそう思ってるはずだよ」

舞園「そうですよ」

霧切「…」

苗木(とは言ったものの…)

苗木(霧切さんと不二咲くんの間に気まずい空気が流れてるのは確かだ)

舞園「私達が何とかしてみせます」

苗木(舞園さんには、何か策があるのかな)

霧切「…その必要は無いわ」

苗木「ど、どういうこと?」

850: 2013/11/16(土) 14:20:51.61 ID:RjcbwwE2o
霧切「これは私の問題だから、私一人で解決したいの」

舞園「でも、私達に相談してくれたじゃないですか」

霧切「…あなた達に話したら、少しは悩みも消えるかと思ったの」

苗木「…今は、どうなの?」

霧切「少し、吹っ切れたわ。10分前の私なら不二咲くんと目を合わすことさえできなかったかもしれないわね」

苗木(いつもの霧切さん…だよね?)

舞園「…それでも、私達にもお手伝いさせて下さい。友達がそんな辛い状況になってて放っておけないですよ!」

霧切「…」

苗木(…いや、いつもの霧切さんじゃない)

舞園「1人で悩んで行動するより、皆で一緒に行動した方がいいはずです」

霧切「…いいの。大丈夫よ」

苗木(……いつもより、少し弱い霧切さんだ)

舞園「………もしかして、私達ってそんなに頼りないですかね」

851: 2013/11/16(土) 14:27:08.18 ID:RjcbwwE2o
霧切「…そんなことは無いわ。いつでも、あなた達は心から信頼できる人達だった」

苗木「…」

舞園「なら」

霧切「私のせいで起きた問題だから。私が原因なら、私一人で済ましたいの」

舞園「そんな…そんなこと関係ないですよ!」

苗木「霧切さんは、何でも1人で背負い込もうとしすぎだよ。…たまには、僕達を頼ってほしい」

霧切「…」

苗木「江ノ島さんの時だって…」

舞園「…また、あの時のようになるかもしれないんですよ」

霧切「…あの時とは、全く別の問題よ」

苗木「でも、霧切さんに掛かってる負担は同じくらいなんじゃないかな?」


852: 2013/11/16(土) 14:33:09.74 ID:RjcbwwE2o
霧切「…」

舞園「…霧切さん」

苗木「一緒に行こう、不二咲くんの所」

霧切「…ありがとう」

苗木「霧切さん」

霧切「…行く前に、少しだけ部屋で休ませてもらえるかしら」

苗木「うん、精神的にかなり疲れてるはずだから…寝た方がいいかも」

舞園「送って行きますよ!」

霧切「こんな短い距離で送ってもらわなくてもいいわよ?」

苗木「あ、じゃあ僕も行くよ」

舞園「ほらほら、行きましょう」

霧切「ふふ、せっかちね」

853: 2013/11/16(土) 14:36:01.26 ID:RjcbwwE2o
ーー霧切の部屋前ーー

霧切「じゃあ、起きたら電話するわ」

苗木「うん、待ってるね」

舞園「ゆっくり休んで下さいね。なんなら、明日でもいいですよ?」

霧切「大丈夫よ、お気遣いなく」

苗木(すっかり元の霧切さんだ、良かった)

舞園「じゃ、おやすみなさい」

苗木「おやすみ」

霧切「ええ、ありがとう」バタン

854: 2013/11/16(土) 14:46:56.96 ID:RjcbwwE2o
ーー苗木の部屋ーー

舞園「霧切さん、大丈夫ですかね?」

苗木「大丈夫だよ。最初見た時より、確実に元気になってる」

舞園「ならいいんですけど」

苗木「…不二咲くんはどう思ってるのかな?」

舞園「うーん…」

苗木「やっぱり、今まで通りの友達として付き合いたいと思ってるよね?」

舞園「まあ、普通ならそうですよね」

苗木「不二咲くんに限って、縁を切るなんてことはしないはずだしね」


864: 2013/11/26(火) 07:52:08.72 ID:jPqWBn6Ho
お久しぶりです
今日の16~18時頃に更新します

866: 2013/11/26(火) 16:28:31.01 ID:jPqWBn6Ho
苗木「霧切さんから連絡来るまでどうしよっか」

舞園「今江ノ島さんの所に行くと時間かかりそうですし…」

苗木「探すのにも時間かかるしね」

舞園「うーん…」

苗木「うーん…」

舞園「…そう言えば、苗木くんはもう女の子になるつもりはないんですか?」

苗木「今のところ無いかな」

舞園「色々かたがついたら、もう一度女の子になりましょうよ」

苗木「またあんなことが起こると思うと…」

867: 2013/11/26(火) 16:33:41.53 ID:jPqWBn6Ho
舞園「大丈夫ですよ、今度は気の構え方が違いますから」

苗木「まあ、そうなんだけど…」

舞園「私、女の子の苗木くんも好きなんですよね」

苗木「じゃあ、その時は舞園さんも男になるってことで」

舞園「いえ、それはできません」

苗木「え」

舞園「ほら、私アイドルですから」

苗木「イメチェンってことにしとこう」

舞園「2日で戻るイメチェンなんて前代未聞ですよ」

苗木「時代に新しい風を吹き込もう」

舞園「何言ってるんですか」

868: 2013/11/26(火) 16:38:16.80 ID:jPqWBn6Ho
苗木「でも今にして思うと、性転換なんて一部の人にしか需要ないよね」

舞園「不二咲くんですね」

苗木「そうそう、僕はノリでやらされた感じだけどさ」

舞園「そう言えばあの機械、誰が作ったんですか?」

苗木「不二咲くんじゃないの?」

舞園「不二咲くんがプログラミングしたとしても、装置までは作れないと思いますよ?」

苗木「じゃあ、卒業生が?」

舞園「まあ、そう考えるのが自然ですよね」

869: 2013/11/26(火) 16:43:12.38 ID:jPqWBn6Ho
苗木「よくあんな需要の薄い機械を作ろうと思ったよね」

舞園「誰かに需要があるなら作って損は無いと思いますよ?」

苗木「不二咲くんの様な人にとって性転換はそんなに魅力があるものなのかな」

舞園「そうなんでしょうね、あんな大掛かりな装置作っちゃう程ですし」

苗木「実際凄い技術だよね」

舞園「個人的にはノーベル賞ものだと思ってます」

870: 2013/11/26(火) 16:49:27.38 ID:jPqWBn6Ho
苗木「その信じられない技術を今もどこかで奮っているんだろうね」

舞園「改良版とか作ってるかもしれませんよ」

苗木「あそこまでの装置を作れるんだから性格を真逆にする機械とかも作れそうだよね」

舞園「完全に裏社会の人間ですよ」

苗木「才能がありすぎるってのも困るよね」

舞園「悪用したら大変なことですよ」

苗木「そう言えばさ」

871: 2013/11/26(火) 16:56:05.31 ID:jPqWBn6Ho
舞園「はい?」

苗木「僕達高校卒業したらどうなるんだろ」

舞園「普通に大学行ったり就職したりするんじゃないですか?」

苗木「それはそうなんだけどさ、大学卒業したら働かなきゃならないでしょ?」

舞園「それはそうですね」

苗木「就職に役立たない才能の人ってどうするんだろう」

舞園「…」

苗木「不二咲くんはプログラマーだし、桑田くんや朝日奈さんはそれぞれのスポーツの道に進めばいいけどさ」

苗木「僕と大和田くんはどうすんのさ」

舞園「まあ苗木くんはまだいいとして…大和田くんは確かに」

872: 2013/11/26(火) 17:01:33.78 ID:jPqWBn6Ho
苗木「まさか…ヤ」

舞園「苗木くん、それ以上言ってはいけません」

苗木「あ、ごめん」

舞園「いくら大和田くんと言えど、それは無いですよ」

苗木「だよね」

舞園「苗木くんは十分役に立つ才能じゃないですか」

苗木「希望?」

舞園「他人に希望を与えれるんですから」

苗木「…そんな仕事ある?」

舞園「…政治家、とか」

苗木「政治家ってそんなイメージじゃないよね」

舞園「新しい風を吹き込むんですよ!」

苗木「あまり出しゃばり過ぎると圧力をかけられて潰されそうな気がするよ」

舞園「まあ、そこは努力ですよ」

苗木「雑に〆たね…」

873: 2013/11/26(火) 17:10:06.00 ID:jPqWBn6Ho
テーレッテー♪

苗木「あ、霧切さんから着信」

舞園「結構話してましたね、…もしもし」

舞園「はい…はい。分かりました」

苗木「何て?」

舞園「準備ができたらこちらへ来るそうです」

苗木「じゃ、僕達も準備しよっか?」

舞園「準備と言っても、何もすること無いですよ」

苗木「いざ行くとなると落ち着かない…」

舞園「不安なのは私も同じですよ」

苗木「2人とも、また仲良くなれたらいいんだけど…」

舞園「そうさせる為に私達が行くんですよ」

苗木「ちゃんとできるといいけど…」

879: 2013/12/03(火) 13:34:26.79 ID:keZrYEzmo
霧切「待たせたわね」

苗木「いいよいいよ」

舞園「不二咲くんはどこにいるんですか?」

霧切「まだ移動してなければ分かるけど…」

苗木「電話してみよっか」

舞園「いいですね」

苗木「…」

舞園「出ないんですか?」

苗木「うん」

舞園「仕方ないですね、歩いて探しましょう」

霧切「…」

霧切(もしかして…私がいると思って出なかったのかしら)

苗木「霧切さん、不二咲くんと話してた所まで案内してもらえるかな?」

880: 2013/12/03(火) 13:43:25.05 ID:keZrYEzmo
霧切(…私からあんな別れ方をしたのだから、当然かもしれないわね)

舞園「霧切さん?」

霧切「あ、ええ。分かったわ」

苗木(…不二咲くんのこと考えてたのかな?)




ーー喫茶店ーー

店長「いらっしゃいませ」

苗木「いないね」

舞園「移動したんでしょうか?」

霧切(やっぱり…私といると勘付いているのね)

苗木「どうしようか」

舞園「霧切さん、何か当てはありませんか?」

霧切「…セレスさんと一緒にいたから、彼女に電話してみてはどうかしら」

苗木「じゃあ、電話してみるよ」

舞園「…」

苗木「…だめだ、電源切ってるみたい」

霧切(…)

舞園「そうだ、店員さんにどこに行くか言ってなかったか聞いてみましょうよ」

苗木「さすがに教えてくれないんじゃない?」

霧切「大丈夫よ、ここの店長、知り合いだから」

881: 2013/12/03(火) 13:49:30.86 ID:keZrYEzmo
苗木「え、ほんとに?」

霧切「ちょっと聞いてくるわ」

舞園「色んな人と繋がりがあるんですね」




霧切「さっき私と来てた2人組、どこへ行くか言ってなかったかしら?」

店長「いえ、言ってませんでしたね…どこか行くとは言ってましたが」

霧切「そう…」

店長「…あの」

霧切「気遣いは無用よ」

店長「…上手くいくといいですね」

霧切「…そうね」

店長「私は、いつでも味方ですから」

霧切「ええ、私も頼りにしているわ」

店長「…では、仕事があるので、これで…」

霧切「ありがとう」

882: 2013/12/03(火) 13:58:34.51 ID:keZrYEzmo
霧切「ダメね、どこかへ行くとは言っていたけれど、場所までは言わなかったそうよ」

苗木「うーん…」

舞園「学校では無いですよね?」

霧切「それなら帰るとか戻るとかの表現があってもいいと思うわ」

舞園「そうですよね…」

苗木「あの2人が行きそうな場所…」

舞園「…全くイメージがわきませんね」

霧切(…私とは顔を合わせようとすら思ってないのだから、分からないような場所に行っても当然かもしれないわね…)

苗木「街の人に聞くっていうのどうかな」

舞園「いいかもしれませんね、セレスさん目立ちますし」

霧切(…私は本当に取り返しのつかないことをしてしまったのね)

苗木「遠くにいてもセレスさんならすぐ分かるから探しながら聞き込みして」

舞園「いいですね、あんまり遠くに行ってなければすぐ見つかりそうですし」

霧切(…まあ、元はと言えば私が横取るような形だから、仕方ないわね…)

苗木「これでいいかな?霧切さん」

霧切「…」

舞園「霧切さーん」

霧切「あ、え、何かしら」

舞園「本当に大丈夫ですか?やっぱり休んでた方が…」

霧切「大丈夫よ、まだまだいけるわ」

苗木(無理してる感じが…)

883: 2013/12/03(火) 14:02:21.60 ID:keZrYEzmo
ーー少し前の学校にてーー

江ノ島「…」

江ノ島「…」

江ノ島「…」

江ノ島(やっぱりね)

江ノ島(この機械、こういう仕組みになってたのねー)

江ノ島「これを使えば…うぷぷ」

884: 2013/12/03(火) 14:12:55.26 ID:keZrYEzmo
ーー遊戯室ーー

葉隠「ロンだべー!」

大和田「うがああああああ!」

石丸「お、落ち着くのだ」

十神「うるさいぞ」

朝日奈「ていやっ!」ペシッ

戦刃「えい!」パキーン

葉隠「それにしても、まさかゴールドめんこがひっくり返されるとは思ってなかったべ」

十神「俺はそれを使っても普通のめんこをひっくり返せないあの2人に驚きだがな」

朝日奈「十神だってひっくり返せてなかったじゃん」

十神「俺は浮かせただけでもお前らよりは上出来だ」

戦刃「なんで人にひっくり返せないんだろ…」

大和田「オーガの力は計り知れねえな」

石丸「人智を超えたそれに近いということか!?」

大神「我は何もしてないが…」

890: 2013/12/04(水) 22:37:13.79 ID:PVdvNyRmo
ーー公園ーー

セレス「まだ悩んでいるんですか」

不二咲「うん」

セレス「行って普通に話せばいいのですわ」

不二咲「まあ、そうなんだけどね…」

セレス「確かに行きにくいのは分かりますが」

不二咲「もし話すのを嫌がられたら…」

セレス「それはあり得ませんわ」

不二咲「なんで?」

セレス「彼女の方が元の関係に戻りたいと思ってると思いますが」

不二咲「そうなのかな…」

セレス「彼女はあの時ああ言ってたそうですけど、そんなの一時の感情に過ぎませんわ」

891: 2013/12/04(水) 22:44:03.80 ID:PVdvNyRmo
不二咲「霧切さんはそんな感情任せで言ったりしないよ」

セレス「そうでしょうか?確かにいつも冷静ですけど、あの時に限っては冷静だったとは思えませんわ」

不二咲「うーん…」

セレス「悩んでてもしょうがありませんわ。行きましょう」

不二咲「…うん」

セレス「もし都合が悪いようなら、私は席を外しますし」

不二咲「それは…その時次第だよ」

セレス「まあ、そうですわね。ほら、行きますよ」

不二咲「と言っても、どこにいるか分からないよ」

セレス「とりあえず学校に戻ってみましょう。どこかへ行くとは思えませんし」

892: 2013/12/04(水) 22:47:21.98 ID:PVdvNyRmo
ーー街ーー

苗木「さて、とりあえず手当たり次第に聞いてみる?」

舞園「じゃあとりあえず手分けして聞きましょう」

苗木「霧切さん、いい?」

霧切「…ええ」

苗木「じゃ、僕はあっちで」

舞園「5分くらいしたらここに戻って来ましょう」

霧切「分かったわ」

893: 2013/12/04(水) 22:51:21.49 ID:PVdvNyRmo
苗木「すいません、この辺でツインテールのゴス口リの服装をした女の人見かけませんでした?」

女性「いや、見てないわね」

苗木「そうですか…」

女性「ごめんね」

ーーーーーーーーーー

舞園「あの、ツインテールで色白でゴス口リの服装した女性を見ませんでした?」

青年「あ、舞園ちゃんじゃない!?」

舞園「いえ、人違いかと」

青年「いやいや間違いないでしょ!サイン下さい!」

舞園「あの、質問に…」

青年「見てないよ、ねえ、サインくれよ!」

舞園「はあ…」


898: 2013/12/06(金) 02:30:28.04 ID:gW5iN+26o
ーーーーーーーー

霧切(2人は私を避けている…)

霧切(なら、探した所で気づかれて逃げられるに決まってるはず)

霧切(…けど、それでも話がしたい)

霧切(自分から突き放すような言い方をして、それで避けられて)

霧切(その上私が元の関係に戻りたいなんて、身勝手過ぎるけど…)

霧切(それでも、それでもやっぱり話がしたい)

霧切(苗木くんと舞園さんにも迷惑をかけてしまっている)

霧切(…いつか、ちゃんとお礼をしましょう)

899: 2013/12/06(金) 02:34:51.93 ID:gW5iN+26o
霧切(そういえば、聞き込みをするんだったわね)

霧切(…私のためにしてくれてるのに、その私が何もしてないのでは話にならないわね)

霧切「すいません、この辺に小さな男の子連れのツインテールで色白でゴス口リの服装をした女性を見かけませんでしたか?」

男性「いや、見てないなあ…」

霧切「そうですか、ありがとうございました」

男性「君みたいな若い子が聞き込みなんて、助手か何かなの?」

霧切「いえ、個人的な事情で探しているんです」

男性「そっか…何があったか知らないけど、頑張ってね」

霧切「はい、ありがとうございます」

900: 2013/12/06(金) 02:41:08.00 ID:gW5iN+26o
ーーーーーーーーー

舞園「ふぅ…」

苗木「ダメだったよ」

霧切「私もよ」

舞園「あっちの公園に行ったのを見た人がいるそうですよ。疲れました…」

霧切「ごめんね、私のせいで」

舞園「気にしなくていいですよ、友達なんですから」

苗木「そうだよ、友達が困ってたらほっとけないじゃない」

霧切「…ありがとう。必ず、お礼はするわ」

舞園「いいですよ、お礼なんて」

苗木「僕達が好きでやってるんだからね」

霧切「…ふふ」

苗木「なんか、久しぶりに霧切さんの笑顔を見たよ」

霧切「あら、そうかしら?」

苗木「そうだよ、このところ浮かない顔してたから」

901: 2013/12/06(金) 02:45:09.33 ID:gW5iN+26o
霧切「…色々あったものね」

舞園「それも経験ですよ」

苗木「これから活かしていけばいいよ」

霧切「…そうね…」

苗木「さ、そろそろ行こっか!」

舞園「あ、その前にあそこに寄ってもいいですか?」

苗木「?メガネ?」

舞園「さっき、聞き込みしてる時にファンの人に囲まれちゃいまして…」

苗木「…何もされなかったよね?」

舞園「もちろんですよ、サインくらいです」

霧切「人だかりができてると思ったら、
そういうことだったのね」

舞園「なので、サングラスを買おうかと」

霧切「それだけだと気づかれてしまうかもしれないから、私の帽子を貸してあげるわ」

902: 2013/12/06(金) 02:49:25.05 ID:gW5iN+26o
舞園「さすが霧切さん、おしゃれな帽子ですね」パフ

霧切「さ、サングラス買いに行きましょう」

苗木「舞園さん、次からちゃんと僕がついてくよ」

舞園「ふふ。ありがとうございます、苗木くん。でも、慣れてるから大丈夫ですよ」

苗木「いや、万が一ってこともあるから」

舞園「なら、お願いしますね。ちゃんと守って下さいよ?」

苗木「大丈夫…だと思う」

舞園「そこは嘘でも大丈夫って言いましようよ」

苗木「じゃ、大丈夫」

舞園「はい、じゃあ約束ですよ?」

苗木「うん」

舞園「あ、霧切さん先に入っちゃいましたよ、行きましょう」

903: 2013/12/06(金) 02:54:01.29 ID:gW5iN+26o
ーーーーーーーーーー

霧切「うん、似合ってるわ」

苗木「大人っぽい…」

舞園「霧切さんに任せて正解でしたね」

苗木「ファッションに疎い僕でもセンスいいのが分かるよ」

舞園「そろそろ行かないと、2人共移動しちゃいますよ」

苗木「そうだ、急がなきゃ」

霧切「そんなに焦らなくても」

舞園「善は急げ、ですよ」

苗木「ちょっと早足で行こうか?」

舞園「いいですよ」

霧切「じゃ、行きましょうか」

904: 2013/12/06(金) 02:57:13.56 ID:gW5iN+26o
ーー公園ーー

苗木「…いないね」

舞園「…いませんね」

霧切「………」

苗木「霧切さん、大丈夫?」

霧切「…ちょっと…座ってもいいかしら」

舞園「あ…私も…」

苗木「2人共、疲れ過ぎだよ…」

舞園「予想以上に距離ありましたからね…」

霧切「こんなの動いたのは久しぶりだわ…」

苗木「それより、どうしよっか?」

舞園「また、聞き込みしかないと思いますよ」

霧切「でも、公園に誰もいないわね…」

苗木「あんまり人来ないからね、ここ」


905: 2013/12/06(金) 03:02:14.42 ID:gW5iN+26o
テーレッテー♪

苗木「ん、電話?」

舞園「誰からですか?」

苗木「!不二咲くんだ!」

霧切「!」

舞園「なぜ今になって…?」

苗木「もしもし」

不二咲『あ、苗木くん。ごめんね、携帯置いて出かけちゃってた』

苗木「そうなんだ…今どこにいるの?」

不二咲『僕の部屋だよ。それより苗木くん、霧切さんがどこにいるか分からない?』

苗木「今、隣にいるよ」

不二咲『え、そうなの!?』

苗木「うん、霧切さんと舞園さんと一緒に不二咲くんを探してたんだ」

不二咲『僕も、霧切さんに会いたくて戻って来たんだけど…』

苗木「もしかして…」

不二咲『…霧切さんに代わってもらっても、いい?』

906: 2013/12/06(金) 03:04:51.08 ID:gW5iN+26o
苗木「うん、ちょっと待ってて」

舞園「どうしたんですか?」

苗木「霧切さんに代わって欲しいって」

霧切「…」

苗木「霧切さん、大丈夫だよ。不二咲くんも話をしたかったみたい」

霧切「…ええ」

苗木「はい、…頑張ってね」

霧切「…もしもし」

不二咲『あ、えっと』

霧切「…」

不二咲『…』

907: 2013/12/06(金) 03:08:59.74 ID:gW5iN+26o
舞園「霧切さん、そこで黙ったらダメですよ!」

霧切「…その」

不二咲『…うん』

霧切「…」

不二咲『…』

苗木「…霧切さん…」

霧切「…」

舞園「…ダメ、ですか?」

霧切「…」コクッ

苗木「…霧切さん、電話貸して」

舞園「苗木くん?」

苗木「不二咲くん?ごめん、僕達がいると話しにくいみたいなんだ。だから、今から2人が会って話して欲しいんだ」

不二咲『え?う、うん』

舞園「ちょ、苗木くん?」

908: 2013/12/06(金) 03:22:23.11 ID:gW5iN+26o
苗木「じゃ、さっきの喫茶店で待ち合わせね」

不二咲『えっと、分かったよ』

苗木「じゃあ」

プチッ

舞園「苗木くん、何してるんですか」

苗木「いや、その、2人きりの方が話しやすいかと…」

舞園「それにしたって急に決めすぎです。霧切さんの意思は関係無いんですか?」

苗木「それは、その…ごめん」

霧切「…いや、いいの」

舞園「霧切さん」

霧切「私がちゃんと話せないのが悪いだけなんだから」

舞園「そんなこと無いですよ。誰だって謝る時はああなるものです」

苗木「…」

霧切「苗木くん、舞園さん、ありがとう」

苗木「…うん」

舞園「はい」

霧切「ちゃんとやってくるわ。必ず」

舞園「…約束ですよ」

霧切「ええ」

苗木「仲直りしたら、皆でご飯食べに行こうよ」

舞園「その時は、私達の方も片付けてからですね」

霧切「その時は、精一杯手伝わせてもらうわ」

909: 2013/12/06(金) 03:26:48.02 ID:gW5iN+26o
舞園「いやいや、いいですよ、私達の問題なんですから」

霧切「そんなのは関係ないわ、友達ですもの」

苗木「あはは、言い返されちゃったね」

舞園「霧切さん、その調子ですよ」

霧切「…そうね」

苗木「じゃあ、僕達は学校で待ってるね」

舞園「2人共一緒に来て下さいね!」

霧切「ええ」

苗木「待ってるよ」

舞園「約束、守って下さいね」

霧切「…ええ、必ず」

914: 2013/12/11(水) 17:02:16.56 ID:zowFzp7ao
ーー喫茶店ーー

店長「いらっしゃいませ。あれ」

不二咲「あはは、また来ました」

店長「待ち合わせですか?」

不二咲「まあ、うーん…そんな感じです」

店長「?」

不二咲「その、霧切さんと話すことになって」

店長「…色々事情があるんですね」

不二咲「そうですね」

店長「じゃあ、奥の席へどうぞ。そこなら誰にも聞かれる心配は無いですよ」

不二咲「ありがとうございます」

店長「では、後ほどご注文を伺いますね」

不二咲「はい」

915: 2013/12/11(水) 17:06:41.03 ID:zowFzp7ao
ーー20分後ーー

店長「いらっしゃいませ…あ」

霧切「…」

店長「奥の席でお客様がお待ちになってますよ」

霧切「ありがとう」

店長「お仕事大変でしょうけど、頑張って下さいね」

霧切「…ええ」

店長「飲み物はどうされますか?」

霧切「ホットでいいわ」

店長「かしこまりました」

霧切「それじゃ」

店長「ごゆっくりどうぞ」

916: 2013/12/11(水) 17:26:46.84 ID:zowFzp7ao
霧切「…」

不二咲「あ、霧切さん」

霧切「座るわね」

不二咲「うん」

霧切「…全然飲んでないのね。コーヒー、冷めてるわよ?」

不二咲「あ、すっかり忘れてたよ」

霧切「…私、誤解してたみたいね」

不二咲「誤解?」

霧切「あなたを探してる時、なかなか見つからないから私を避けてるのかと思ったわ」

不二咲「そんな訳ないよ、僕も霧切さんを探してたぐらいだし」

霧切「私からあんなことを言ったのだからそうなっても仕方ないとは思っていたわ」

不二咲「あれは…お互い様だよ。僕だって霧切さんにひどいことしたんだから」

霧切「…でも、私が謝りたいのはそれだけじゃないわ」

不二咲「全部聞くよ」

917: 2013/12/11(水) 17:48:43.06 ID:zowFzp7ao
店長「お待たせしました。ごゆっくり」

霧切「ありがとう」

不二咲「…霧切さんが他に謝りたい事って?」

霧切「…あなたを、セレスさんから奪おうとしたこと」

不二咲「それは、セレスさんに言うべきだよ」

霧切「それについて、あなたを騙したことの方が正しいわね」

不二咲「僕を?」

霧切「ええ。あなたと最初にここに来た時のこと、覚えてるかしら?」

不二咲「覚えてるよ」

霧切「私はこう言ったわ」

霧切『2つ目は、私があなたが彼女のことが嫌いに仕向けてる訳では無いと言うこと』

不二咲「…」

霧切「…あの時、私の意図は1つだったわ」

霧切「あなたが自分でも気づいてない所でセレスさんを好きなのはわかってた」

霧切「…私が、あなたと付き合うには、これしかないと思った」

霧切「あの時、セレスさんに関して言ったことも全て嘘よ」

920: 2013/12/11(水) 22:35:43.25 ID:zowFzp7ao
不二咲「セレスさんに関して?」

霧切「ええ。彼女が病的にあなたを愛してるって」

不二咲「…そういえば」

霧切「…全部嘘よ。全部」

不二咲「…」

霧切「…ごめんなさい」

不二咲「…」

霧切「…許してもらえるとは思ってない。けど」

霧切「ちゃんと、償いはしたいと思ってる。それがどんな形になるか分からないけど」

不二咲「…僕が、こんなことを言うのは変かもしれないけど…」

不二咲「…セレスさんも、同じ僕を好きだった人として、きっと許してくれるよ」

霧切「…」

921: 2013/12/11(水) 23:03:35.37 ID:zowFzp7ao
不二咲「…僕も、今のを聞いて、怒ったりしないよ」

霧切「…え?」

不二咲「…僕もそんなことを言える立場じゃないんだから」

霧切「…」

不二咲「僕は一度、霧切さんを傷つける形で答えを出したんだ。なら、これでお互い様だよ」

霧切「でも、それをしなきゃならなくなったのも私が嘘をついたから…」

不二咲「でも、僕はそれを知らなかった」

霧切「…」

不二咲「…僕の本心だったんだ」

922: 2013/12/11(水) 23:14:58.74 ID:zowFzp7ao
霧切「…」

不二咲「…結局、僕達は傷つけ合っただけなんだ」

霧切「…そうね…」

不二咲「でも、もういいじゃない」

霧切「え?」

不二咲「もう、傷つけ合うことなんてないんだ」

霧切「…」

不二咲「…霧切さんも、僕も。本心を全部晒したんだ。これ以上、咎める必要はないんじゃないかな」

霧切「…本当に、許してくれるの」

不二咲「勿論だよ」

霧切「…」

不二咲「…僕達は、一度縁を切ったかもしれない。でもそれも、糧にしていこうよ」

霧切「糧…?」

不二咲「これがまた、経験になっていつか誰かがそんな時に陥った時」

不二咲「救いの手を、僕達は差し伸べられるようになったんだ」

霧切「…誰かを救えるようになった」

923: 2013/12/11(水) 23:47:42.14 ID:zowFzp7ao
不二咲「…行こうよ。皆待ってるよ」

霧切「…ええ」

不二咲「色々心配かけちゃったみたいだからね。ちゃんと謝らないと」

霧切「…そうね。行きましょう」

不二咲「霧切さん、これからも変わらず過ごしていこうよ」

不二咲「今日あったことを忘れて過ごす訳じゃない。でも、引きずる訳でもない」

霧切「…経験にして」

不二咲「うん」

霧切「…また、元に戻るのね」

不二咲「でも、過ちはもう起きないよ」

霧切「…ええ」

不二咲「あ、霧切さん。コーヒー冷めてるよ」

霧切「…飲んでる暇なんか、なかったものね」

不二咲「…もう少し、ゆっくりしていこっか。皆には悪いけど…」

霧切「…皆、分かってくれるわ」

926: 2013/12/15(日) 01:21:16.28 ID:zhujTb/zo
ーー学校ーー

苗木「遅いなあ」

舞園「遅いですね」

苗木「電話するわけにもいかないし」

舞園「2人共意思は同じですから大丈夫だと思うんですけど…」

苗木「大丈夫って分かってて待つのは辛いね」

セレス「大丈夫だと分かっているのなら黙って待つべきですわ」

苗木「セレスさんは心配じゃないの?」

セレス「私は信じてますから」

苗木「僕も信じてるけど…やっぱり心配だよ」

セレス「なら、2人がいる喫茶店に行きますか?」

舞園「さすがにそれはダメですよ」

セレス「なら、ただ待てばいいのですわ」

927: 2013/12/15(日) 01:25:24.44 ID:zhujTb/zo
コンコン

苗木「!」

舞園「来ましたかね?」

セレス「出ればいいのでは」

ガチャ

桑田「おう苗木!飯食いに…」

苗木「ごめん、今日は無理みたい」

桑田「お、おう…またな」

桑田(何だあの空気…)

バタン

舞園「思わぬフェイントでしたね」

セレス「正直、ちょっとイラっと…」

苗木「ま、まあまあ」

苗木(セレスさんが怒ったら何が起こるか分からないからね…)

舞園(概ね同意ですね)


928: 2013/12/15(日) 01:28:48.43 ID:zhujTb/zo
苗木「やっぱり、セレスさんも心配なんだね」

セレス「心配じゃない訳がないですわ」

舞園「それにしても、遅くないですか?」

苗木「もう1時間経ったよ」

セレス「色々込み入った話があるのでは?」

苗木「霧切さんと不二咲くん、色々あったみたいだしね」

舞園「とにかく、待つのみ。ですか…」

コンコン

苗木「はい」

霧切「苗木くん?私よ」

セレス「!」

舞園「!」

929: 2013/12/15(日) 01:32:40.72 ID:zhujTb/zo
苗木「今開けるね!」

ガチャ

舞園「おかえりなさい、どうでした?」

不二咲「えへへ」

セレス「その様子からすると…」

苗木「ちゃんと、元どおりになったみたいだね」

霧切「ごめんなさい、長引いてしまって」

舞園「全然大丈夫ですよ、待つのは慣れてますから」

セレス「ええ、慣れたものですわ」

苗木「僕はちょっとソワソワしてたけどね…」

霧切「色々ありがとう、必ずお礼はするわ」

舞園「お礼はいいって言いましたよ?」

霧切「それじゃ、私の気が済まないから…」

930: 2013/12/15(日) 01:39:25.40 ID:zhujTb/zo
苗木「でも、良かったね。2人共」

不二咲「うん、仲直りできて良かった」

舞園「あれ、喧嘩じゃないですよね?」

セレス「一度仲違いになってたのですから、仲直りでも間違いではないと思いますわ」

苗木「そういうものなの?」

舞園「まあまあ、細かいことは抜きですよ!」

苗木「そだね、結果が大事だからね」

霧切「それより…」

苗木「?」

霧切「苗木くん達の方は、どうなったの?」

不二咲「?苗木くん達?」

セレス「初耳ですわね」

舞園「明日、行くつもりですよ」

苗木「この際、2人には言ってもいいかもね」

931: 2013/12/15(日) 01:44:45.45 ID:zhujTb/zo
ーーーーーーーーーーー

セレス「そんなことが…」

不二咲「僕の立場と似てるね」

霧切「私が江ノ島さんに当てはまるわね」

舞園「でも、殆ど解決ですよ」

苗木「江ノ島さんに僕達の意思を伝えるだけだもんね」

不二咲「苗木くん、自分で答え出したんだ…凄いね」

苗木「不二咲くんの場合と違って、僕は江ノ島さんと話す前から舞園さんと付き合ってたから」

舞園「見事に揺れてましたけどね」

苗木「舞園さん、経過なんてどうでもいいって言ってたのに…」

舞園「冗談ですよ?」

苗木(立場が悪いだけに何も言えない…)

舞園「苗木くん、聞こえてますよ」

苗木「…そういや、舞園さんエスパーだったね…」

932: 2013/12/15(日) 01:50:19.89 ID:zhujTb/zo
セレス「仲がいいことですわね」

不二咲「舞園さんて、本当にエスパーだったんだ…」

舞園「なぜか苗木くんの心しか読めないんですよね」

苗木「男になれば皆の心が読めるようになるんじゃない?」

舞園「山田くんと腐川さんの心を読むのが怖いので遠慮しておきます」

霧切「それ以前に、舞園さんは『超高校級のアイドル』だから男になった所で無駄じゃないかしら」

不二咲(アイドルの強化ってどんなのだろう…)

舞園「私が男になると色々問題が起きるのでやっぱり遠慮しておきます」

セレス「しかし、あの転校生が江ノ島さんだったとは思いませんでしたわ」

苗木「まあ、顔が完全に変わってたからね」t

933: 2013/12/15(日) 01:55:35.67 ID:zhujTb/zo
舞園「そういえば江ノ島さんの件で気になることがあるんですが」

霧切「何かしら?」

舞園「戦刃さん、どうやって江ノ島さん連れて来たんでしょうか?」

苗木「確かに…」

霧切「これに関しては戦刃さんも何も言おうとしないわね」

セレス「あんな状態の江ノ島さんをどうやって…」

不二咲「色々コネがあるんじゃないかな?」

苗木「だとしても、あそこまできるとは思えないよ」

舞園「明日、聞いてみましょうか」

セレス「戦刃さんは何も言わないのでは?」

舞園「いえ、江ノ島さん本人に聞くんですよ」

苗木「そんな余裕あるかな…」

霧切「あの江ノ島さんが言うとも思えないわね」

934: 2013/12/15(日) 02:04:28.66 ID:zhujTb/zo
苗木「…確かに気になるけど、戦刃さんがあそこまで隠すんならきっと物凄い重要なことなんだよ」

セレス「だから聞くべきではない、と?」

苗木「うん。本人達が拒むんなら、無理して聞くべきじゃないよ」

霧切「それでも、黒幕だった江ノ島さんに関して謎を残す訳にはいかないわ」

セレス「そうですわね。些細なことでも、全て明らかにしておくべきです」

苗木「でも、江ノ島さんが戻って来た方法が分かっても分からなくても一緒だと思うけど…」

霧切「次江ノ島さんが何かしでかして、この学園から追放した時その方法が使えないようにする必要があるわ」

セレス「そういう意味でも解明しておくべきですわね」

不二咲「僕は江ノ島さんが改心してくれれば解決だと思うけど…」

舞園「それは無いですね。苗木くんを寝取ろうとしたんですよ?」

935: 2013/12/15(日) 02:15:29.16 ID:zhujTb/zo
不二咲「でもそれは、純粋に苗木くんが好きだっただけなんじゃ…」

舞園「純粋な人は寝取りなんてしませんよ」

不二咲「まあそうだけど…」

霧切「厳密には寝取りというより、苗木くんの浮気を誘ったと言うべきね」

舞園「同じことですよ…」

苗木「…とりあえず皆、ご飯食おうよ」

霧切「そういえばそんな時間ね」

舞園「何だかガッツリ食いたい気分です」

霧切「アイドルなんだから、スタイルには気をつけないとダメよ?」

舞園「霧切さんはスタイルいいですよね…羨ましい」

霧切「ちょちょっと、どこ触ってるの!」

舞園「うろたえる霧切さん可愛いですー」

霧切「な、苗木くん!何とかしなさい!」

苗木「え?あ、うん。舞園さーん」

舞園「あらら、もっと堪能したかったんですが」

セレス(雌を見ましたわ…)

不二咲(…無心、無心)

936: 2013/12/15(日) 02:16:11.35 ID:zhujTb/zo
今日はここまでです

941: 2013/12/19(木) 18:36:51.38 ID:9X2ZUyMbo
ーー食後ーー

霧切「それで、どうするの?」

舞園「どうするのって、何がですか?」

霧切「あなた達と江ノ島さんの件よ」

苗木「結論は出てるからいつでもいいとは思うけど…」

不二咲「でも、早い方がいいよ」

舞園「そうは言っても、なかなか江ノ島さん掴まらないんですよ」

霧切「なら、探してくるわ。まさか外出してることはないと思うけど」

舞園「いえいえ、いいですよ」

苗木「うん、明日ゆっくり2人で探すよ」

霧切「そういう訳にも行かないわ。あなた達には恩を返さないといけないから」

セレス「それに、彼女を1人にすると何をするか分かりませんわ」

霧切(私のことかしら…)

舞園(それは無いと思いますよ)

942: 2013/12/19(木) 18:42:45.02 ID:9X2ZUyMbo
苗木「いや、でも…」

苗木(江ノ島さんと話させると何が起きるかわからないし)

舞園(人のこと言える身分ですか)

セレス「とにかく、彼女が絡む以上手伝わない訳にはいきませんわ」

不二咲(なんだかんだ言って協力したいんだなぁ…)

霧切「じゃあ、私はあっちの方を探すわね」

苗木「あ、霧切さん」

霧切「なにかしら」

苗木「念の為、2人以上で行動しようよ。何があるかわからないし」

苗木(霧切さんが1人で江ノ島さんと話すと事態が混乱しそうな予感がする)

霧切「…今、何か失礼なこと考えてなかったかしら」

苗木(女の人って心が読めるのが普通なのかな)

舞園(そんな訳ないでしょう)

943: 2013/12/19(木) 18:49:04.08 ID:9X2ZUyMbo
苗木「いや、違うよ。ほんとに心配で」

霧切「…分かったわ」

セレス「じゃあ、私と不二咲くんはあっちを探すので、3人はあっちをお願いします」

舞園「分かりました」

不二咲「何か分かったら連絡してね」

苗木「分かったよ」

霧切(何か納得いかない…)

舞園(これも人生経験だと考えれば納得できますよ、多分)

舞園「ほら、行きましょう」

ーーーーーーーーーーーー

苗木「でもどこにいるかなんて見当もつかないよね」

霧切「とりあえず、唯一コンタクトがありそうな戦刃さんに聞いてみましょう」

舞園「名案ですね」

944: 2013/12/19(木) 18:53:47.38 ID:9X2ZUyMbo
苗木「でも、その戦刃さんはどこに?」

霧切「…」

舞園「食堂で夕食をとってる時には見ませんでしたね」

苗木「…もしかしたらめんこしてるのかな」

舞園「ああ、妙にハマってましたからね」

霧切「私の知らない間にブームになってるのかしら…」

苗木「皆大神さんに勝とうと必氏なんじゃないかな」

舞園「空も飛べないのに鷹に勝負を挑むようなものですね」

霧切「鉄製のめんこなら勝てるんじゃないかしら」

945: 2013/12/19(木) 19:01:46.71 ID:9X2ZUyMbo
ーー遊戯室ーー

戦刃「スー…スー…」

朝日奈「…んー…」

大神「………」

十神「…ん…」

葉隠「皆寝ちゃってるべ」

大和田「めんこしてたみたいだな」

石丸「壮絶に争った形成が見られるな」

葉隠「しかし…眼福だべ…」

大和田「ああ…そうだな…」

石丸「む?眼福とは…」


946: 2013/12/19(木) 19:04:31.46 ID:9X2ZUyMbo
ガチャ

苗木「失礼しまーす」

葉隠「おお苗木っち、いいところに来たべ!」

大和田「見ろよこれ」

苗木「うん?」

戦刃「んー…」

朝日奈「…スー…」

苗木「こ…これは…」

大和田「な?」

葉隠「眼福だべ」

石丸「だから、眼福とはなんのことだ!」


947: 2013/12/19(木) 19:12:53.67 ID:9X2ZUyMbo
舞園「苗木くん?」

苗木「うん?…」

苗木(何か…笑顔が怖い…)

舞園「怖くて当たり前ですよ。ほら、こっち来てください」

苗木「いや、これは不可抗力で」

舞園「言い訳はたっぷり聞いてあげますから、ね?」

苗木「…はい…」

舞園「いい子ですね。こっちですよ」

葉隠「苗木っち、どこ行くんだべ?」

大和田「まああいつは放っておいて、俺たちは目の保養をだな」

霧切「あなた達は私がたっぷり絞ってあげるわ」

葉隠「し、絞るってなんのことだべ」

大和田「た…助けてくれ…」

948: 2013/12/19(木) 19:15:34.95 ID:9X2ZUyMbo
ーーーーーーーーーーーーー

戦刃「!」ガバッ

朝日奈「ん…どうしたの?」

戦刃「叫び声と何かの破裂音が聞こえた…」

朝日奈「えっえっ?」

大和田「…」

戦刃「お、大和田くん!」

朝日奈「…まさか…」

舞園「大和田くんなら大丈夫ですよ」

朝日奈「ええ?」

霧切「破裂音は多分これね」

苗木「…」

戦刃「顔に手形…?」

朝日奈「…納得」

949: 2013/12/19(木) 19:18:26.43 ID:9X2ZUyMbo
霧切「ほら、とりあえず隠して」

朝日奈「隠して…あああっ!」

戦刃「???」

舞園「ちゃんと制裁は与えましたから、大丈夫ですよ」

朝日奈「…ありがとう」

戦刃(何で顔真っ赤なんだろ…)

舞園(戦刃さんは気づいてないんでしょうか…)

苗木「…痛い…」

舞園「当然の報いです」

苗木「すいませんでした…」

舞園「はい、許してあげますよ」

石丸「なぜ僕まで…」

950: 2013/12/19(木) 19:40:56.43 ID:9X2ZUyMbo
霧切「戦刃さん、江…江藤さんがどこにいるか知らないかしら」

戦刃「えとう?」

舞園「ほら、転校生の」

戦刃「あ、えと、わかんない」

霧切「戦刃さん」ボソ

戦刃「?」

霧切「何も江ノ島さんを掴まえて悪いことをしようと言うんじゃないの。話したいだけ」ボソボソ

戦刃「…ごめん。わかんない」

霧切(私って信頼感無いのかしら…)

舞園(ありますけど、まずは相手を信じた方がいいですよ)

舞園「そうですか…」

霧切「また降り出しね」

葉隠「転校生なら見たべ」

霧切「何ですって!」

舞園「言ってください。ほら、早く言ってください」

葉隠(何か今日この2人怖いべ…)

954: 2013/12/26(木) 20:12:48.97 ID:B7ei1ucho
舞園「それで、どこで見たんですか?」

葉隠「部屋に帰った時に、廊下をうろついているのを見たべ」

霧切「それはいつ頃の事かしら」

葉隠「1時間くらい前だべ」

大和田「お前起きてたのか」

葉隠「その後結局寝たべ」

石丸「何をしに部屋へ戻ったのだ?」

葉隠「あ!UNOしようと思ってたんだべ!」

朝日奈「今度はUNO?」

戦刃「うのってなに?」

955: 2013/12/26(木) 20:19:47.40 ID:B7ei1ucho
舞園「とりあえず行きましょうか」

苗木「ほっぺ痛い…」

霧切「1階だったわね」

苗木「あ、不二咲くん達に連絡しないと」

霧切「今メールしたわ」

舞園「さすが霧切さん、早いですね」

霧切「不二咲くん達は2階にいたみたい」

苗木「じゃ、行こっか」



ーー1階ーー

舞園「とりあえず合流できましたね」

不二咲「1時間前に見たんだっけ」

霧切「葉隠くんの話ではね」

セレス「若干信憑性に欠けますわ」

苗木「でも今はこれしか情報が無いんだし、とりあえず探してみようよ」

956: 2013/12/26(木) 20:25:10.45 ID:B7ei1ucho
ーーーーーーーーーーーー

霧切「見つからないわね…」

舞園「1時間も経つとさすがに移動してるんでしょうか」

苗木「あとは部屋の中だけだけど…」

セレス「さすがにそれは無いと思いますわ」

不二咲「でも、江ノ島さんなら入りかねないような」

霧切「鍵くらいこじ開けそうね」

苗木「じゃあ、全部の部屋に行ってみる?」

舞園「それがいいですね。と言ってもここにいる人達の部屋しか入れませんが」

霧切「でも、部屋に入って何をするつもりなのかしらね」

苗木「江ノ島さんのやる事は全く見当がつかないもんね」

957: 2013/12/26(木) 20:30:27.90 ID:B7ei1ucho
不二咲「じゃあ。一番可能性がありそうな苗木くんの部屋に行ってみようよ」

苗木「何か怖いなぁ…」




ーー苗木の部屋前ーー

舞園「いないとは思いますが…」

苗木「1時間前は部屋にいなかったから可能性はあるけど」

霧切「私たちが帰って来るのを待ってる時は舞園さんの部屋だったかしら」

舞園「そうですよ」

セレス「なら、怪しいですわね」

苗木「あの時隣の僕の部屋にいたと思うとゾッとするよ」

舞園「苗木くん、鍵かして下さい」

苗木「はい」

舞園「…」

セレス「?」

霧切「どうしたの?」

958: 2013/12/26(木) 20:38:28.28 ID:B7ei1ucho
舞園「鍵、空回りするんですが…」

苗木「…」

不二咲「…開いてるってこと?」

霧切「だと思うわ」

セレス「ビンゴですわね」

苗木「何か怖いなぁ…」

舞園「…じゃあ、開けますよ」

ガチャ

江ノ島「やほー」

不二咲(凄いナチュラルだ…)

苗木「…久しぶりだね」

江ノ島「え?1日2日しか経ってないよー?うぷぷぷぷ」

960: 2013/12/26(木) 21:28:15.29 ID:B7ei1ucho
舞園「1日しか経ってませんよ」

江ノ島「私からすれば1日『も』だけどねー」

苗木「色々あったんだよ」

江ノ島「色々ってあれ?」チラ

霧切「…」

不二咲(まさか分かってる…?)

セレス「今そのことは関係ありませんわ」

江ノ島「まあそうだよねー」

苗木「話に来たんだ」

舞園「大事な話です」

江ノ島「…その3人は?」

霧切「…」

不二咲「…助っ人?」

セレス「…ですわね」

江ノ島「うぷぷぷぷぷ」

967: 2014/01/03(金) 23:43:20.26 ID:3taNnOpNo
霧切「何がおかしいのかしら?」

江ノ島「助っ人って、何の?」

不二咲「何のって…苗木くんと舞園さんの」

江ノ島「そういうのじゃなくてさ、どんな風に助っ人するのかってこと」

セレス「…話を成立させる為ですわね」

江ノ島「そんなのしなくても、話は成立するよ?」

セレス「貴方の好きなように、成立しますわね」

霧切「それを防ぐ為に来たのよ」

江ノ島「うーん…」

不二咲「異論は無いよね?」

江ノ島「あるよ」

霧切「…」

江ノ島「ちょっと聞かれたくない話もあるからねー」

968: 2014/01/03(金) 23:50:56.38 ID:3taNnOpNo
苗木「僕達との話なら、もう霧切さん達は知ってるよ」

江ノ島「でも、私の本音は知らないじゃん」

セレス「本音?」

江ノ島「苗木に対しての本音ね」

舞園「それは苗木くんが好きってことで完結してるんじゃないですか?」

江ノ島「まだ言いたいことがあんの」

霧切「だとしても、席を外す訳にはいかないわね」

不二咲「うん、それはできないよ」

江ノ島「どうしても?」

霧切「無理ね」

969: 2014/01/03(金) 23:59:40.29 ID:3taNnOpNo
江ノ島「じゃあ交換条件で」

霧切「何を出しても引かないわよ?」

江ノ島「あの機械の秘密でも?」

不二咲「秘密?」

江ノ島「秘密というより、真相かな?」

霧切「興味無いわね」

セレス「待って下さい」

霧切「?」

セレス「ちょっと来て下さい」

霧切「わかったわ」

ガチャ

江ノ島「何か行っちゃったねー」

970: 2014/01/04(土) 00:08:12.55 ID:jKU3JV8Uo
ーー部屋前ーー

霧切「どうしたの?」

セレス「ここで機械に関して知っておいた方がいいのでは」

霧切「確かに気になるけど、今は苗木くんと舞園さん2人で江ノ島さんと話させるべきじゃないわ」

セレス「気になるのもありますが、それ以上に知ることに意味がありますわ」

霧切「何かメリットがあると?」

セレス「まず、あの機械の真の利用価値が分かるという所」

霧切「利用価値…?」

セレス「今は不二咲くんのような性転換を望む人向けに作られたのだと思ってましたが…」

霧切「機械の真相が分かれば、利用できる…」

セレス「そうですわ。もっとも、空振りに終わるかもしれませんが」


971: 2014/01/04(土) 00:15:38.44 ID:jKU3JV8Uo
霧切「でも、あの機械にそれ以外の目的はないと思うわ」

セレス「ならば、なぜ顔が劇的に変化する人が現れるのでしょうか?」

霧切「…それは…」

セレス「ただ性転換するだけなら、パーツをいじって女性らしくすればいいだけですわ」

霧切「確かに、本人の面影が無くなるまで変える必要は無いわね」

セレス「そういう点から、あの機械の利用価値は別の所にあると思いますわ」

霧切「でも、それが今役立つとは限らないわ」

セレス「今役立たなくても、後で使えるかもしれませんわ」

霧切「駄目ね。今あの3人で話させる訳にはいかないわ」


972: 2014/01/04(土) 00:21:03.97 ID:jKU3JV8Uo
霧切「忘れたの?舞園さんは一度江ノ島さんに『頃す』って言ってるのよ?」

セレス「…そうでしたわね…」

霧切「何かあった時、苗木くんだけじゃ危ないかもしれないわ」

セレス「そのこと、完全に忘れてましたわ…」

霧切「さ、戻りましょう」

セレス「…」

霧切「…まだ何かあるのかしら?」

セレス「交換条件を変える、というのはどうでしょう」

霧切「…?」

セレス「機械の真相ではなく、『江ノ島さんはどうやって戻って来たのか』」

霧切「…」

973: 2014/01/04(土) 00:29:24.38 ID:jKU3JV8Uo
セレス「これを知ることに好奇心はありませんわ」

霧切「…確かに、知っておきたいわね…」

セレス「今日の結果次第では、また江ノ島さんを…」

霧切「…」

セレス「…その時の為に、復活経路を断つことは必要だと思いますわ」

霧切「…それも、却下よ」

セレス「…そう、ですか」

霧切「…確証や自信は無いけど…」

セレス「…」

霧切「今日、必ずいい結果で終わらせてみせるわ」

セレス「…無理だとは言いませんが…」

霧切j「……あんなもの、もう見たくないもの」

セレス「…それは、私もですわね」

974: 2014/01/04(土) 00:34:28.05 ID:jKU3JV8Uo
霧切「それに、私たちの問題と違って江ノ島さんが絡んだことで簡単には済まないわ」

セレス「舞園さんが暴走する可能性もありますわね」

霧切「…最悪の結果だけは、避けたいから」

『君に何が分かるんだ!!!』

霧切「!」

セレス「不二咲くん!?」

『うわああああああ!!!』

ガチャッ

霧切「きゃっ!」ドン

セレス「不二咲くん!」

霧切「セレスさんは不二咲くんを追って!」

セレス「分かりましたわ!」

975: 2014/01/04(土) 00:41:48.95 ID:jKU3JV8Uo
霧切「何があったの!?」

舞園「霧切さん!」

江ノ島「うぷぷぷぷ」

苗木「このっ…!」

霧切「苗木くん、落ち着いて!」

江ノ島「霧切ちゃんも追った方がいいんじゃなーい?うぷぷぷぷぷぷ」

苗木「くそっ…」

舞園「苗木くん…」

霧切「…まずは、話を聞きましょう」

江ノ島「話すことなんてないよー?」

霧切「あなたには聞いて無いわ」

舞園「私が話しますね」

979: 2014/01/09(木) 17:02:31.26 ID:e7Y+/aNyo
舞園「実はさっき…」


ーー5分前ーー

江ノ島「…」スッ

苗木「どこ行くの?」

江ノ島「様子を見ようかなーと」

舞園「2人が外で話してる意味が無くなりますから、座ってて下さい」

江ノ島「じゃあ何、黙って待ってろっての?」

苗木「5分もかからないと思うから、じっとしててよ」

江ノ島「いや、私常に何かしないと氏んじゃうから」

不二咲「苗木くんの部屋にいた時は何をしてたの?」

江ノ島「そりゃもう、匂いかいだり」

苗木「いや、言わなくていいよ」

江ノ島「ええー」

980: 2014/01/09(木) 17:07:46.24 ID:e7Y+/aNyo
舞園「というか、何さりげなく変O的な事してるんですか」

江ノ島「え、許可とかいるの?」

苗木「いや、許可とかじゃなくて…」

江ノ島「まあどんだけ止められても自分のしたいことはするけどね」

苗木「僕の部屋に無断侵入してる時点で言っても無駄か…」

舞園「本当に勝手な人ですね」

江ノ島「ねー、退屈だし何か話そうよ」

苗木「何かって…何を?」

江ノ島「そうだねぇ…」

苗木(やな予感が)

舞園(そう思うなら何で話させたんですか)

981: 2014/01/09(木) 17:11:12.40 ID:e7Y+/aNyo
江ノ島「そういや不二咲がさりげなく男に戻ってるけど…」

不二咲「…」

苗木「深い理由があるんだ、その話は無しで」

江ノ島「戻った理由、当ててあげよっか」

不二咲「!」

舞園「不二咲くん、相手にしなくていいですよ」

江ノ島「相手にしなくても、聞こえたら意味が無いよねー」

苗木「…」

不二咲「…分かるもんか」ボソ

982: 2014/01/09(木) 17:18:59.30 ID:e7Y+/aNyo
江ノ島「皆が食堂で機械の考察してる時は、確か女だったよね」

苗木「言わなくていいよ」

江ノ島「それが今は男に戻ってる、女になりたいと思ってた不二咲が」

苗木「言わなくていいって言ってるだろ」

江ノ島「止めても自分のしたいことはするって、さっき言ったよね?」

苗木「そんなの関係無いよ」

江ノ島「じゃあ、勝手に止めればいいよ。私は勝手に話すから」

苗木「くっ」

舞園「苗木くん、落ち着いて下さい」

江ノ島「セレスと霧切との間で一悶着あったんよね」

不二咲「えっ」

983: 2014/01/09(木) 17:26:36.17 ID:e7Y+/aNyo
江ノ島「ちょっと驚いてるってことは、正解だよね?」

苗木「…」

不二咲「…」

江ノ島「黙ってるってことも、正解だねー」

不二咲「…」

江ノ島「どうせ、霧切に告白でもされたんじゃない?」

舞園(…なぜ、わかるのでしょうか…)

江ノ島「セレスが好きだった不二咲は、霧切も好きになっちゃったと…」

苗木「…」

不二咲「僕が、セレスさんのことを好きだったという根拠でもあるの?」

江ノ島「霧切に告白されて、悩んでたのが根拠。セレスにはまだ告白されてないにも関わらずね」

苗木「…霧切さんが告白したと決めつけてるけど、確証があって言ってるの?」

江ノ島「あの日の夜の不二咲、妙に悩んでたしねー、あんな悩むって言ったらやっぱ恋の悩みでしょ」

984: 2014/01/09(木) 17:33:11.72 ID:e7Y+/aNyo
舞園「それじゃ、霧切さんが告白したとは分かりませんよ」

江ノ島「でも男に戻った後、セレスと霧切を連れてどっか行ったじゃん」

不二咲「なんで知ってるの?」

江ノ島「たまたま見ただけ」

苗木(怪しい…)

江ノ島「まあ、それを見ただけで十分さっきの説明の根拠になるんじゃない?」

不二咲「…僕が男に戻った理由は」

江ノ島「霧切を切る口実」

苗木「!」

江ノ島「セレスと霧切で悩んでた不二咲は、霧切が男だという事を利用して男に戻った理由と霧切をフる理由を作る」

江ノ島「まあ、不二咲にしては賢い考えだと思うよ。霧切、平気で人殺そうとするんだもんね」


985: 2014/01/09(木) 17:38:54.27 ID:e7Y+/aNyo
不二咲「っ!」

苗木「言い過ぎだよ、江ノ島さん」

江ノ島「本当の事だしね。私から言わせればセレスもあり得ないけど」

不二咲「セレスさんの何がダメだって言うの」

江ノ島「他人を信用してないし、隙あらば利用しようとする所かな。コロシアイの時もそうだったしね」

舞園「そんなことありませんよ」

江ノ島「今不二咲が誰と付き合ってるか知らないけど、セレスはやめた方がいいよー?利用されるだけかもしんないしね」

不二咲「…君に」

江ノ島「ん?」

不二咲「君に何が分かるんだ!!!」

986: 2014/01/09(木) 17:44:15.41 ID:e7Y+/aNyo
江ノ島「分かるよ、コロシアイの時全員を見続けた張本人だしね」

不二咲「うわああああああ!」



ーーーーーーーーーーーーーーー

舞園「という訳です」

霧切「…よく分かったわ」

江ノ島「霧切も追いかけて慰めた方がいいんじゃない?」

霧切「あなたとこの2人を残す訳にはいかないわ」

江ノ島「あれ、いいの?不二咲くんに嫌われちゃうよ?」

霧切「セレスさんがいるから、心配無いわ」

江ノ島「私からすればセレスを不二咲と2人きりにさせる方がまずいと思うけどねー」

988: 2014/01/09(木) 17:50:00.04 ID:e7Y+/aNyo
霧切「…」

苗木「霧切さん、載せられちゃダメだ」

霧切「分かっているわ」

舞園「セレスさんはそんなことしません」

江ノ島「ふーん、随分信頼してること」

苗木「…友達だからね」

舞園「信頼できなくて、何が友達ですか」

霧切「そういうことね」

江ノ島「ふーん…でも、霧切がどっか行かないと私は話さないいからね?」

霧切「あんなことがあった今、離れる訳にはいかないわ」

苗木「そうだね」

舞園「そういえば、セレスさんと何か話してましたけど…」

霧切「交換条件について話してたの」

996: 2014/01/15(水) 17:26:02.54 ID:VdD8Je8co
苗木「交換条件?」

舞園「霧切さんが席を外す代わりに機械の秘密を教えるというものでしたね」

江ノ島「ああ、あれねー」

霧切「セレスさんは、あの機械に利用価値があると考えたみたいね」

苗木「利用価値?」

霧切「ええ。ただ性転換させるだけなら、顔を劇的に変える必要は無いから」

舞園「あの機械には、性転換以外の目的で作られた可能性もあるってことですか?」

霧切「そうセレスさんは考えたみたいね」

江ノ島「ふーん。で、どうするの?呑むの?」

霧切「呑む訳無いでしょう。2人を置いてくわけにはいかないわ」

997: 2014/01/15(水) 17:31:11.70 ID:VdD8Je8co
江ノ島「何?苗木と舞園のこと信頼してないんだ?」

霧切「何を言ってるのかしら…」

江ノ島「2人が私と話したら、また変なことになると思って?」

霧切「そんな訳ないでしょう」

江ノ島「なら、どっか行っててよ。私は2人と話したいし」

霧切「そうは行かないわ。万が一って事があるもの」

江ノ島「やっぱり、信頼してないんじゃん」

霧切「そうやって、今度は苗木くんと舞園さんを口車に乗せる気かしら?」

江ノ島「さあ、それは苗木と舞園が判断するんじゃない?」

霧切「苗木くん、まさか騙されて無いわよね?」

998: 2014/01/15(水) 17:37:29.59 ID:VdD8Je8co
苗木「うん、大丈夫」

霧切「舞園さんは?」

舞園「まさか、あんなのに引っかかりませんよ」

霧切「聞いての通りよ。話をしましょうか」

江ノ島「…」

霧切「…まだ、言いたいことがあるのかしら?」

江ノ島「1つ聞いていい?」

霧切「ええ」

江ノ島「セレスと廊下で話した内容、さっきのだけじゃないでしょ?」

霧切「……ええ」

苗木「交換条件について?」

霧切「セレスさんは、交換条件を変えたらどうかと言ったわ」



999: 2014/01/15(水) 17:43:06.37 ID:VdD8Je8co
舞園「交換条件を…」

江ノ島「で、別の条件って?」

霧切「…『江ノ島さんがどうやって戻って来たか』…」

苗木「!」

舞園「なるほど…」

江ノ島「……賢いねー」

霧切「当然、それも却下したわ」

苗木「…でも霧切さん、それは知っておくべきなんじゃ」

霧切「その理由は、江ノ島さんをこの学園からあの時と同じ方法で追い出すことを想定してるからかしら?」

苗木「…いや…」

霧切「隠さなくてもいいわ。セレスさんも、その事を想定してこの交換条件にしようと考えてたみたいだから」

1000: 2014/01/15(水) 17:49:36.81 ID:VdD8Je8co
江ノ島「さすがセレスといった所だねー、いいとこ突いてくるよー」

舞園「…そんな理由なら、その交換条件にすべきでは無いですね」

霧切「舞園さんも私と同じ考えのようね」

苗木「…?」

霧切「私は、江ノ島さんを追い出す気なんて無いわ」

舞園「私もです」

苗木「…」

舞園「今日は、ただ話をしにきただけですから」

霧切「それに、悪い結果には必ずさせないわ」

江ノ島「ふんふん、いいこと言うねえ」

霧切「苗木くん、あなたは江ノ島さんを追い詰めるつもりでここに来たの?」

苗木「…違うよ」

霧切「なら、私達と同じ考えのはずよ。悪い結果なんて、誰も望んでないわ」


苗木「性別が反転する機械?」【後編】

引用: 苗木「性別が反転する機械?」