218: 2009/04/12(日) 11:57:33.37 ID:bgobkxPB0
翠星石がそう呟いた
そうか、あれからもう1年近く経つんだ

「翠星石は・・・、まだ思い出したりする?」

聞いてはいけなかったかもしれない、1番忘れたいのは彼女なはずだ

「んー、忘れたくても忘れられねえです」

そりゃそうだよね
僕が翠星石の立場でも忘れられないと思う

「ごめんね、変なこと聞いちゃって」
グッドスマイルカンパニー ねんどろいど ローゼンメイデン 翠星石 ノンスケール ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア G12642

220: 2009/04/12(日) 12:02:37.81 ID:bgobkxPB0
「蒼星石のせいで帰りに寄る場所ができちゃったです」

どこに行くのかは想像がつく
多分僕が言わなくても彼女はそこに寄っただろう

「翠星石、僕もついていくよ」

僕と彼も知らない間柄じゃない

「そうですか、じゃあ一緒に行くです」

元気のない微笑みで彼女は答えた
どうしたんだろう

222: 2009/04/12(日) 12:06:05.36 ID:bgobkxPB0
「JUM、きてやったですよ」

彼女は目の前の石に話しかけた

その石の下にJUM君は眠っている

「喜べです、今日は蒼星石もきているですよ」

「やぁJUM君、久しぶりだね」

僕の声が届いているかどうか、それは関係がない
ただ、話しかけている間は気分が安らいだ

一通り話し終わると彼女は泣いていた

これが元気のない微笑みの正体か
実の妹にも涙は見せたくなかったのだろう

225: 2009/04/12(日) 12:10:54.19 ID:bgobkxPB0
JUM君、恨むよ
僕の姉を悲しませたりするなんてね

「蒼星石、もういいです」

彼女は微笑んだ

ここまでJUM君が彼女に愛されてるなんて
軽く嫉妬する

「また会おう、JUM君」

僕達はその場を後にした

229: 2009/04/12(日) 12:14:07.02 ID:bgobkxPB0
1年前の状況が脳裏をよぎる

本当に人が氏ぬなんて突然なんだ

今まで何度も経験しているとはいえ、やはり嫌な感じだ

ローゼンメイデンに氏の概念はない
あるのは長く、深い眠りだけ

今JUM君はどうなっているのだろう

帰路、僕と彼女の会話は一切無かった


232: 2009/04/12(日) 12:19:47.21 ID:bgobkxPB0
JUM君が亡くなってから、僕は翠星石と一緒に暮らすようになった

最初は彼女がはやまった行動に出ないように監視するつもりでいた
けど気づいた、寂しいのは僕だったんだ

JUM君がいなくなって間もなく、真紅と雛苺は眠りについた

僕は翠星石が眠りにつく前に、翠星石に力を与えた
真紅が雛苺にしたように

ただ、それもいつまでもつかは分からない
ある日突然止まってしまうかもしれない

毎日が不安

235: 2009/04/12(日) 12:24:27.23 ID:bgobkxPB0
「オジジ、今帰ったです」

翠星石が精一杯元気な声で言った

オジジというのは僕のマスター
だけど最近は寝たきりだ

もうこの家からは僕と彼女の声しか聞こえない

元々マスターと僕の間に会話らしい会話なんてなかったんだけど

「さて、今からおいしい夕食を作ってやるです」

238: 2009/04/12(日) 12:27:04.67 ID:bgobkxPB0
「おいしいですか?」

「うん、とってもおいしいよ」

いつもの会話
しかし、新鮮に感じる

僕たちに残された時間は少ない
そろそろこの時代にとどまるのも終わりかもしれない

残された時間を楽しむ
他にすることはないし、したいこともない

240: 2009/04/12(日) 12:31:51.10 ID:bgobkxPB0
今日は何故か元気が出ない
指輪の力が弱まっているのだろうか

「マスター、お体の調子はどうですか?」

返事がない、いつものことだけど

しかし最近マスターは何も口にしていないような・・・
まさか

「マスター、ちょっと失礼します」

241: 2009/04/12(日) 12:34:39.81 ID:bgobkxPB0
もう僕たちに残された時間は限りなく0に等しい
力を供給してくれる人が減ったのだから

このまま翠星石に力を分けると2人共まもなく眠りにつくだろう

けど僕1人なら・・・、まだ少しは持つ

構わない、彼女のためなら・・・

僕は翠星石への力の供給を止めた

まもなくキッチンからモノが落ちる音が聞こえた

242: 2009/04/12(日) 12:36:00.11 ID:bgobkxPB0
「さて、翠星石 君はこんなところで眠りたくはないだろう?」

僕は翠星石の入った鞄を担いだ

どのような境遇で生まれようと最期は自分の好きな場所で眠りたいだろう
苦渋の決断

僕はnのフィールドへ急いだ

ここを通った方がJUM君の家が近い
それに、真紅や雛苺もいる

急いだ、自分の螺子が切れる前に


出かけるから急ピッチで仕上げます^^

245: 2009/04/12(日) 12:37:03.26 ID:bgobkxPB0
僕は翠星石と同じ場所で眠れるならそれで構わない
姉のそばの方が落ち着ける

考えるのをやめよう、少しでも力を温存しないと



違う
僕は考えられなくなっていた

もう眠りのときは近い

246: 2009/04/12(日) 12:38:43.54 ID:bgobkxPB0
もうダメ
間に合わない

せめて翠星石だけでも送り届けたかった

瞼が重い

僕はこのままnのフィールドで眠ってしまうのか?

ここで寝てしまったら誰も僕を巻いてくれない

翠星石も二度と目を覚ませないかもしれない

248: 2009/04/12(日) 12:40:50.53 ID:bgobkxPB0
「レンピカ・・・、せめて翠星石だけでも・・・」

最後の最後にレンピカのことを思い出した
今まで翠星石と同じくらい僕と過ごした人工精霊

「後は頼んだよ」

僕はレンピカの姿を目で追いかけた

物語はいつでもハッピーエンドとは限らない

fin

じゃあいってくる
中途半端でごめん

249: 2009/04/12(日) 12:41:38.63 ID:9bQ3lGCWO
欝すぎだろ…
おつ

251: 2009/04/12(日) 12:43:35.00 ID:bgobkxPB0
また帰ったら本気出す とか思ったけど
帰ったら別のSS書いてみようとか
普通にゲームしようとか悩んだからとりあえず終わらせた

最後投げやりでごめんね!

255: 2009/04/12(日) 12:49:14.60 ID:bgobkxPB0
保守されると書かないといけないと思うから困る!

んじゃ 家族でバーベキューいってきまう

引用: 翠星石「ふあぁ・・・もう春ですねぇ・・・」